説明

ビールサーバヘッドの洗浄システム及びビールサーバヘッドの洗浄方法

【課題】本発明は、ビールサーバヘッドのビール流通路を洗浄する際に、同時にビールサーバヘッドのヘッド接続面側をも洗浄することができるビールサーバヘッドの洗浄システムを提供すること。
【解決手段】ビールサーバヘッドBのヘッド接続面側を洗浄する洗浄システムAであって、洗浄容器10内の洗浄液を圧入するための圧入流路P1と、該圧入流路P1と連通し該圧入流路P1より狭く形成され洗浄液を噴射するための噴射流路P2と、該噴射流路P2を経て噴射された後の洗浄液を回収するための回収流路P3と、該回収流路P3により回収された洗浄液を洗浄容器外へ排出するための排出流路P4と、ビールサーバヘッドBの洗浄システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールサーバヘッドを洗浄するためのビールサーバヘッドの洗浄システム及びビールサーバヘッドの洗浄方法に関する。
特に、ビールサーバヘッドを洗浄液が入った洗浄容器に取り付けた際に、容器内に位置するビールサーバヘッドのヘッド接続面側を洗浄することができるビールサーバヘッドの洗浄システム及びビールサーバヘッドの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビールサーバヘッドを洗浄する手段として、図9に記載するようなビールサーバヘッドの洗浄システム100が製造販売されている。
図9は、従来例に係るビールサーバヘッドの洗浄システムを示す断面図である。
洗浄システム100は、首部が絞られ小径にされたアルミニウム合金製の容器101と、この容器101の首部に螺合して固定される樹脂製の蓋体102とよりなる。
そして、この蓋体102は筒状のガイド109を有し、該筒状のガイド109にビールサーバヘッド103が差し込まれて取り付けられる。
【0003】
筒状のガイド109には、洗浄液108を容器101の底面付近から吸い上げるための透明な導入ホース104が外嵌される。
ビールサーバヘッド103に備わっているガスケット105が蓋体102とのシールを確実なものとしている。
導入ホース104の下端は、容器101に充填された洗浄液中に水没している。
【0004】
ビールサーバヘッド103には棒状のレバー部106が設けられ、このレバー部106を図中、一点鎖線の位置から押し下げ、水平面と平行にすると、ガス供給管107を介して炭酸ガスが容器内に流入するようになる。
そして、この流入したガスが洗浄液108の液面を押し下げ、その結果、洗浄液108の一部が導入ホース104の中を流れ、ビールサーバヘッド103内の通路を通って上方から逃げる。
なお、このような容器内に収容された洗浄液に圧力を加え排出させる装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−193096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような洗浄システム100のような構造では、ビールサーバヘッド103の洗浄が不完全である。
特にビールサーバヘッド103のヘッド接続面側のガスケット付近の洗浄ができない。
この洗浄方法では洗浄液がガスケット105に直接接触しないために、その部分の洗浄が行われないからである。
そのため、この部分には、固着物や雑菌が発生し易く極めて不衛生なものとなっていた。
このような問題を解決するために、前述のような洗浄の後、洗浄容器からビールサーバヘッド103を取り外し、再度、その汚れているヘッド接続面側に新たに洗浄液を吹き付けたり、或いはブラッシングを行ったりすることによって洗浄する必要があった。
そのため、余分の洗浄手間がかかり、また洗浄コストも高くなり問題があった。
【0007】
本発明は、かかる背景技術をもとになされたもので、上記の背景技術の問題点を克服するためになされたものである。
すなわち、本発明は、ビールサーバヘッドのビール流通路を洗浄する際に、同時にビールサーバヘッドのヘッド接続面側をも洗浄することができるビールサーバヘッドの洗浄システムを提供することを目的とする。
またその洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して鋭意研究を重ねた結果、ビールサーバヘッドのヘッド接続面側へ洗浄液が的確に噴射されるように特有の各流路を形成し、回収することにより、従来の問題点を解決することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、(1)、ビールサーバヘッドのヘッド接続面側を洗浄する洗浄システムであって、洗浄液を圧入するための圧入流路と、該圧入流路と連通し該圧入流路より狭く形成され洗浄液を噴射するための噴射流路と、該噴射流路を経て噴射された後の洗浄液を回収するための回収流路と、該回収流路により回収された洗浄液を排出するための排出流路と、を有するビールサーバヘッドの洗浄システムに存する。
【0010】
すなわち、本発明は、(2)、前記噴射流路は複数存在し、該噴射流路のそれぞれがビールサーバヘッドのヘッド接続面側に向けて洗浄液を噴射するように、該噴射流路が設けられている上記(1)に記載のビールサーバヘッドの洗浄システムに存する。
【0011】
すなわち、本発明は、(3)、前記回収流路は、上方に噴射された洗浄液を下方に案内する流路である上記(1)に記載のビールサーバヘッドの洗浄システムに存する。
【0012】
すなわち、本発明は、(4)、前記排出流路が、ビールサーバ本機内に形成された流路に連通されている上記(1)に記載のビールサーバヘッドの洗浄システムに存する。
【0013】
すなわち、本発明は、(5)、洗浄液を使ってビールサーバヘッドを洗浄する方法であって、洗浄液を吸い上げるための吸込工程と、該吸込工程で吸い上げた洗浄液をビールサーバヘッドのヘッド接続面側に噴射して吹き付ける噴射工程と、該噴射工程で噴射された洗浄液を回収する回収工程と、該回収工程で回収された洗浄液を排出する排出工程と、を有するビールサーバヘッドの洗浄方法に存する。
【0014】
すなわち、本発明は、(6)、ビールサーバ本機の接続口金にビールサーバヘッドを取り付けて圧力によりヘッド接続面側に向けて洗浄液を噴射する上記(5)に記載のビールサーバヘッドの洗浄方法に存する。
【0015】
なお、本発明の目的に添ったものであれば、上記(1)から(6)を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の洗浄システム(又は方法)によれば、ビールサーバヘッドの外部のヘッド接続面側と内部の流路の両方を一挙に洗浄することができる。
また圧入流路を通った洗浄液が噴射流路によりビールサーバヘッドのヘッド接続面側に向けて上方に勢い良く噴射され、集中的な且つ確実な洗浄が可能である。
また噴射流路から噴射され剥がれ落ちた固着物が混入した洗浄液を下方に落下させる回収流路があるため、噴射流路の洗浄液と回収する洗浄液とを極力混合しない状態で速やかに回収できる。
回収流路を通った洗浄液は、セットされたビールサーバヘッド内の流路を通って該流路内も洗浄することができる。
【0017】
このように噴射によって洗浄液を吹き付けることで、単に洗浄液との接触によりビールサーバヘッドのヘッド接続面側の雑菌を殺すだけでなく、この噴射した勢いによりヘッド接続面側にビールに起因するこびりついた固着物を吹き落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るビールサーバヘッドの洗浄システムを示す断面図であり、ビールサーバヘッドを洗浄システムにセットした状態を示す。
【図2】図2は、ビールサーバヘッドを示す図である。
【図3】図3は、ビールサーバヘッドを取り外した状態の洗浄システムを示す断面図である。
【図4】図4は洗浄容器から蓋体、カップ、及び洗浄アッセンブリーを取り外した状態を示す断面図である。
【図5】図5は、図4の上面図を示す図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施形態に係るビールサーバヘッドの洗浄システムを示す断面図であり、(A)は、接続口金を示し、(B)は接続口金にビールサーバヘッドを取り付けた状態を示す。
【図7】図7は、本発明の他の実施形態に係るビールサーバヘッドの洗浄システムを示す断面図であり、(A)は、接続口金を示し、(B)は接続口金にビールサーバヘッドを取り付けた状態を示す。
【図8】図8は、洗浄用の接続口金を備えたビールサーバ本機を示す。
【図9】図9は、従来例に係るビールサーバヘッドの洗浄システムを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔実施の形態1〕
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るビールサーバヘッドBの洗浄システムAを示す断面図であり、ビールサーバヘッドを洗浄システムにセットした状態を示す。
【0020】
〔ビールサーバヘッド〕
先ず、ビールサーバヘッドBについて簡単に説明しておく。
図2は、ビールサーバヘッドを示す図である。
【0021】
ビールサーバヘッドBは、図2に示すように、主として、炭酸ガス等のガスを通すためのガス供給流路3が形成されたサーバー本体部4と、該サーバー本体部4の貫通穴6に内挿されビール通路1が形成されたステンレス製の筒部2と、ビア樽に取り付けられた際にビールの抽出及び停止を制御するためのレバー部5と、を有している。
【0022】
サーバー本体部4には、レバー部5が回動自在に取り付けられており、このレバー部5を上下方向に回動させることにより、筒部2がサーバー本体部の内部を上下移動して、図示しない弁を介してビア樽内のビールを外に吐出又停止することができる。
すなわち、斜め上方にあるレバー部5を下方に回動させほぼ水平にすることで、ガス供給流路が開いてガスと共にビールが筒部2の下部(すなわち突出口部2A)から吐出される。
また、レバー部5を元に戻すことで、ガス供給流路が閉鎖されてビールの吐出が止まる。
サーバー本体部4の下部外側には係合部7が形成され、該係合部を介してビールサーバヘッドBは、ビア樽等に対して連結(例えばバヨネット結合等)される。
【0023】
筒部2の下部の突出口部2Aの周囲には第1パッキンG1が、またサーバー本体部4の下部には第2パッキンG2がそれぞれ備わっており、ビールサーバヘッドBが、ビア樽に取り付けられた場合、この各パッキンにより確実な封止が行われる。
以上説明したビールサーバヘッドBは、図1に示すように、洗浄システムAにセットされ(すなわち取り付けられ)洗浄されることとなる。
【0024】
〔洗浄システム〕
さて、以下、洗浄システムAについて構成部材毎に詳細な説明を交えながら説明する。
図3は、ビールサーバヘッドBを取り外した状態の洗浄システムAを示す断面図である。
図に示すように、洗浄システムAは、首部を絞り込まれた円筒状のアルミニウム合金製の洗浄容器10と、その首部の螺合部に螺合して固定された樹脂製の蓋体11と、該蓋体11に取り付けられたステンレス製のカップ12、及びカップ12内に配設された洗浄アッセンブリーA1を備えている。
カップ12は、カップ内の洗浄アッセンブリーA1と洗浄容器内の雰囲気とを隔離するためのものである。
【0025】
またカップ12とその中に配設されている洗浄アッセンブリーA1とにより、後述する圧入流路P1、噴射流路P2、回収流路P3、及び排出流路P4が区画形成される。
蓋体11、カップ12、及び洗浄アッセンブリーA1は、一体となって洗浄容器10に取り付けられるが、また螺合を緩めることで取り外すこともできる。
前述したように、ビールサーバヘッドB(詳しくはサーバー本体部4の下部外側)には、ビア樽等に接続するための係合部7が形成されており、この係合部7に対応するように蓋体11にも係合部が形成されている。
従って、ビールサーバヘッドBと洗浄システムAとは、これらの係合部を介して相互に取り外しすることができる。
ビールサーバヘッドBは、洗浄容器10にセットされた場合、蓋体11に差し込まれて洗浄容器内に筒部2の下部(すなわち突出口部2A)及びサーバー本体部4の下部が露出することとなる。
【0026】
この露出される部分は、ビールサーバヘッドBのヘッド接続面側といわれ、前述した第1パッキンG1及び第2パッキンG2の位置する領域である。
【0027】
図4は、洗浄容器から蓋体11、カップ12及び洗浄アッセンブリーA1を取り外した状態を示す断面図である。
蓋体11には、ガスを圧入するための流入部13が設けられており、この流入部13に接続された外部圧力ボンベ等から洗浄容器内にガスが導入される。
また、図5に示すように、蓋体11には、安全弁Vが設けられており洗浄容器内の圧力が上昇した場合に作動するよう機能する。
カップ12はボルト等により蓋体11に固定されており、このために洗浄容器内の雰囲気とカップ内とは区画される。
【0028】
ところで洗浄アッセンブリーA1は、中空胴部14Aと鍔部14Bとを有する支持体14と、該支持体から上方に突出する状態に設けられたノズル棒体15と、ビールサーバヘッドBを受けて支持する中空保持駒16を備える。
この中空保持駒16は、ビールサーバヘッドBの筒部2の突出口部2Aを内挿して保持することができる。
中空保持駒16は、支持体14に対して弾発体18により上方に付勢するように配設されており、その下端は支持体14の鍔部14Bとは常に一定の間隙を有する。
【0029】
また、中空保持駒16の外周の凹部16Aにノズル棒体15の周囲に設けられた止めリング(スナップリング)15Aが、一部挿入状態にあるため、中空保持駒16は、この止めリングに規制されて一定の距離を上下移動する自由度を有する。
この動きの自由度によりビールサーバヘッドBを取り付けた場合の突出度合いを吸収することができる。
すなわち、筒部2の突出口部2Aの突出長さがビールサーバヘッドBの種類によって多少異なることがあるが、その場合にも十分対応することができる。
【0030】
支持体14はカップ12の底穴12Aにその中空胴部14Aを挿入してナット等で固定することで取り付けられる。
また該中空胴部には洗浄液を吸い上げる吸上げパイプ17が外挿されている。
中空胴部14Aの鍔部近傍には抜け穴14Cが形成されており、吸上げパイプ17から上がってきた洗浄液はこの抜け穴14Cを通ってノズル棒体15の中に流れる。
【0031】
以上説明した洗浄アッセンブリーA1とカップ12とにより、圧入流路P1、噴射流路P2、回収流路P3、及び排出流路P4が区画形成される。
すなわち、吸上げパイプ17、支持体14の中空胴部14Aによって、洗浄容器内に溜まった洗浄液を吸い込むための圧入流路P1が形成される。
【0032】
また、ノズル棒体15により圧入流路P1から吸い込まれた洗浄液を上方に噴射するための噴射流路P2が形成される。
洗浄液は、広い空間(径)である圧入流路P1から、狭い空間(径)である噴射流路P2に移ることで圧が高まり、ビールサーバヘッドBのヘッド接続面側に勢い良く噴射される。
この噴射は、ビールサーバヘッド内のビール通路1とは隔離された部分、すなわち、ビールサーバヘッドBの筒部2の突出口部2Aの周囲及びサーバー本体部4の下端部、具体的には、ビールサーバヘッドのヘッド接続面側である第1パッキンG1、及び第2パッキンG2が位置する領域に向かって強く噴射される。
そのため上記各パッキンの周囲にこびりついた固着物が容易に剥がれて離脱する。
因みに、中空保持駒16は弾発体18を介して上方に引き上げられており、下端が支持体14より浮き上がった状態となっており、上記間隙は常に確保される。
【0033】
上方に向かって噴射された洗浄液は跳ね返り力により下方に向かって落下するが、この落下空間(カップ内における支持体14の鍔部14Bより上方でノズル棒体上端より下方の空間)が回収流路P3となる。
ここで洗浄液はカップ12の内壁やノズル棒体15等に沿って容易に落下することができる。
落下した洗浄液は、中空保持駒16の下端と支持体14の鍔部14Bとの間隙を通って、排出流路P4である中空保持駒内に入り込み、その後、上方に流れ、排出流路P4と連通されたビールサーバヘッドBの突出口部2Aに至り、ビール通路1を通って外に排出される。
なお、ビールサーバヘッドBの上端側には図示しない管が接続され、このチューブを介して所定の場所に洗浄液が排出されるのである。
【0034】
以下、本発明の洗浄システムの作用に基づく洗浄方法を説明する。
先ず、洗浄液を洗浄容器に一定量充填する。
図示しない高圧ボンベから管等を介して炭酸ガスが供給され、洗浄容器10の中は、例えば0.3MPaの圧力が加えられる。
この圧力を受けて洗浄液の一部は圧入流路P1(吸上げパイプ17、中空胴部14A等により形成される)を介して吸い上げられる[吸込工程]。
【0035】
圧入流路P1に流入した洗浄液は、支持部14の抜け穴14Cをいったん通って、噴射流路P2(ノズル棒体15より形成される)に流れ込む。
噴射流路P2から噴射された洗浄液はビールサーバヘッドBのヘッド接続面側に衝突して、第1パッキン及び第2パッキンが位置する領域を効率良く洗浄する[噴射工程]。
【0036】
ビールサーバヘッドBのヘッド接続面側に衝突した洗浄液は、跳ね返り力を受けて下方に急速に落下する。
その際、特にカップ12の内壁やノズル棒体15に沿って案内され落下することができる。
そして、落下した洗浄液は支持体14の鍔部14Bと中空保持駒16の間隙に達する[回収工程]。
【0037】
中空保持駒の下端の間隙を通った洗浄液は、上方に向かって流れ排出流路P4である中空保持駒内を通って突出口部2Aに至る。
そしてビールサーバヘッド内のビール通路1を洗浄して洗浄システムの系外へ排出される[排出工程]。
【0038】
このように、吸込工程P1、噴射工程P2、回収工程P3、及び排出工程P4の各工程を通じて洗浄液の吸い込み、噴射、回収、排出が行われる。
最後には洗浄容器内の洗浄液が無くなって、ワンサイクルの洗浄工程が終了することとなる。
ビールサーバヘッドBの洗浄としては、上述した洗浄サイクルが複数回行われて、最後に水による洗浄が行われる。
【0039】
〔実施の形態2〕
以上、洗浄容器を利用したビールサーバヘッドの洗浄システムを説明してきたが、ビールサーバ本機Cを利用して洗浄システムとすることも可能である。
その場合はビールサーバヘッドの洗浄用の接続口金21を利用することとなる。
図8に、洗浄用の接続口金21を備えたビールサーバ本機を参考までに示す。
【0040】
図6は、そのビールサーバヘッドの洗浄用の接続口金21を利用した洗浄システムを示す。
図6(A)は、接続口金21を示し、図6(B)は、接続口金21にビールサーバヘッドを取り付けた状態を示す。
【0041】
この接続口金21にビールサーバヘッドBを取り付けて図の矢印の方向から、圧の加わった洗浄液を供給する。
接続口金21の中には内接筒体22が配設されており、この内接筒体22の中程から下方にすり鉢状の仕切り壁22Aが突設されている。
この仕切り壁22Aには貫通穴23が形成されている。
この仕切り壁22Aの中央には、中空受け駒24が挿入されて上下方向に移動可能に取り付けられている。
また中空受け駒24の下方には弁棒24Aが突設されており、弁棒24Aの弁が接続口金21の縮径部26に当接して通路を閉鎖する。
この中空受け駒24は、バネ体25により上方に付勢されており、通常は、図6(A)のように通路は弁棒24Aで閉鎖されている。
【0042】
いま、下方の流入穴Hから洗浄液を圧入すると、弁棒24Aは下がって通路が開いているため、洗浄液が押し上げられて通過し、仕切り壁22Aの貫通穴23を通じて上方に噴射する。
ここで洗浄液は、仕切り壁22Aの周囲がテーパ状になって内接筒体22との間で圧入流路P1を形成しており、この噴射流路は上方に漸小するような流路となって貫通穴23である噴射流路P2に通じている。
このように、洗浄液は、広い空間(径)である圧入流路P1から、狭い空間(径)である噴射流路P2に移ることで圧が高まり、ビールサーバヘッドBのビールヘッド接続側に勢い良く噴射される。
そのためビールヘッド接続側の各パッキンの周囲にこびりついた固着物が容易に剥がれて離脱する。
ビールサーバヘッドBのビールヘッド接続側に衝突した洗浄液は、跳ね返り力を受けて下方に急速に落下する。
その際、仕切り壁22Aのテーパ状の壁面に沿った回収流路P3を通って落下する。
そして、落下した洗浄液は中空受け駒24の穴に入り、今度は上方に向かって流れ、排出流路P4である中空保持駒内を通って突出口部2Aに至る。
そしてビールサーバヘッド内のビール通路1を洗浄して洗浄システムの系外へ排出される[排出工程]。
【0043】
図8に示すようなビールサーバ本機Cの内部の通過流路を通って排出されるのである。
【0044】
〔実施の形態3〕
本実施の形態は、前述した実施の形態2と同様にビールサーバヘッドの洗浄用の接続口金31を利用した洗浄システムである。
図7は、そのビールサーバヘッドの洗浄用の接続口金31を利用した洗浄システムを示す。
図7(A)は、接続口金31を示し、図7(B)は接続口金31にビールサーバヘッドを取り付けた状態を示す。
【0045】
この接続口金31にビールヘッドBを取り付けて図の矢印の方向から、圧の加わった洗浄液を供給する。
接続口金31の中には仕切り壁32が配設されており、仕切り壁32は下方に落ち込むように形成されている。
仕切り壁32の水平部32Aには、貫通穴33が形成されており、この貫通穴33は開閉する開閉板34によって開閉することができる。
開閉板34は、バネ体35によって上方に付勢されており、通常は、この開閉板34によって貫通穴33が、図7(A)のように閉じた状態となっている。
開閉板34には突き棒36が水平部32Aに挿通されており、突き棒36がビールヘッドBの下面により押し下げられることで、開閉板34が開く構造となっている。
いま、ビールヘッドBが接続口金21に取り付けられた場合、開閉板34によって貫通穴33が開く。
そのため図のように下方の流入穴Hから洗浄液を圧入すると、洗浄液が押し上げられて貫通穴33を通過し、上方に噴射する。
【0046】
ここで洗浄液は、仕切り壁32の外壁と接続口金31の筒状の内壁とで圧入流路P1を形成しており、この圧入流路P1は細く絞られた貫通穴23である噴射流路P2に通じている。
洗浄液は、広い空間(径)である圧入流路P1から、狭い空間(径)である噴射流路P2に移ることで圧が高まり、ビールサーバヘッドBのビールヘッド接続側に勢い良く噴射される。
そのためビールヘッド接続側の各パッキンの周囲にこびりついた固着物が容易に剥がれて離脱する。
ビールサーバヘッドBのビールヘッド接続側に衝突した洗浄液は、跳ね返り力を受けて下方に急速に落下する。
その際、仕切り壁32の壁面に沿う回収流路P3に案内されて落下する。
そして、落下した洗浄液は、今度は上方に向かって流れ排出流路P4を通って突出口部2Aに至る(なお、この場合、排出流路P4は、上述した実施の形態とは異なって極めて短い)。
そしてビールサーバヘッド内のビール通路1を洗浄して洗浄システムの系外へ排出される[排出工程]。
図8に示すようなビールサーバ本機Cの内部の通過流路を通って排出されるのである。
【0047】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は上述した一実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、他の種々の変形が可能であることはいうまでもない。
例えば、上述した実施の形態1では、噴射流路の数(すなわちノズル棒体の数)は自由に設定可能である。
また、そのノズル棒体の先端に噴射角度を持たせることでより、局所的なヘッド接続面側の洗浄が可能となる。
【0048】
また、中空保持駒16の上下移動を中空保持駒16の凹部16Aとノズル棒体に設けた止めリングとで行ったが、それに限らず中空保持駒16が弾圧的に上下方向に移動する設計であれば良い。
また洗浄システムを構成する材質としては、実施の形態の説明で具体的な材質を挙げて説明した以外にも、その他の適した材料を使うことも当然可能である。
また、上述した実施の形態2の仕切り壁22Aの実施の形態3の仕切り壁32の形状は、その機能を異にしない限り、変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、ビールサーバヘッドを洗浄するためのビールサーバヘッドの洗浄システム及びビールサーバヘッドの洗浄方法に関する物であるが、ビールサーバヘッドを洗浄するものであるかぎり、他の分野、例えば水、酒、ワイン、牛乳等の飲料水の分野にも適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…ビール通路
2…筒部
2A…突出口部
3…ガス供給流路
4…サーバー本体部
5…レバー部
6…貫通穴
7… 係合部
10…洗浄容器
11…蓋体
12…カップ
12A…底穴
13…流入部
14…支持体
14A…中空胴部
14B…鍔部
14C…抜け穴
15…ノズル棒体
15A…止めリング
16…中空保持駒
16A… 凹部
17…吸上げパイプ
18…弾発体
21…接続口金
22…内接筒体
22A…仕切り壁
23…貫通穴
24…中空受け駒
25…バネ体
24A…弁棒
26…縮径部
31…接続口金
32…仕切り壁
32A…水平部
33…貫通穴
34…開閉板
35…バネ体
36…突き棒
100…洗浄システム
101…容器
102…蓋体
103…ビールサーバヘッド
104…導入ホース
105 …ガスケット
106 …レバー部
107… ガス供給管
108 …洗浄液
109… ガイド
A… 洗浄システム
A1… 洗浄アッセンブリー
B …ビールサーバヘッド
C …ビールサーバ本機
H …流入穴
P1… 圧入流路
P2… 噴射流路
P3… 回収流路
P4… 排出流路
G1… 第1パッキン
G2… 第2パッキン
V …安全弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビールサーバヘッドのヘッド接続面側を洗浄する洗浄システムであって、
洗浄液を圧入するための圧入流路と、
該圧入流路と連通し該圧入流路より狭く形成され洗浄液を噴射するための噴射流路と、
該噴射流路を経て噴射された後の洗浄液を回収するための回収流路と、
該回収流路により回収された洗浄液を排出するための排出流路と、
を有することを特徴とするビールサーバヘッドの洗浄システム。
【請求項2】
前記噴射流路は複数存在し、
該噴射流路のそれぞれがビールサーバヘッドのヘッド接続面側に向けて洗浄液を噴射するように、該噴射流路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のビールサーバヘッドの洗浄システム。
【請求項3】
前記回収流路は、上方に噴射された洗浄液を下方に案内する流路であることを特徴とする請求項1に記載のビールサーバヘッドの洗浄システム。
【請求項4】
前記排出流路が、ビールサーバ本機内に形成された流路に連通されていることを特徴とする請求項1に記載のビールサーバヘッドの洗浄システム。
【請求項5】
洗浄液を使ってビールサーバヘッドを洗浄する方法であって、
洗浄液を吸い上げるための吸込工程と、
該吸込工程で吸い上げた洗浄液をビールサーバヘッドのヘッド接続面側に噴射して吹き付ける噴射工程と、
該噴射工程で噴射された洗浄液を回収する回収工程と、
該回収工程で回収された洗浄液を排出する排出工程と、
を有することを特徴とするビールサーバヘッドの洗浄方法。
【請求項6】
ビールサーバ本機の接続口金にビールサーバヘッドを取り付けて圧力によりヘッド接続面側に向けて洗浄液を噴射することを特徴とする請求項5記載のビールサーバヘッドの洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−274769(P2009−274769A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188763(P2009−188763)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【分割の表示】特願2004−86843(P2004−86843)の分割
【原出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【出願人】(595076008)株式会社ニットク (14)
【Fターム(参考)】