ビールフィルタ
本発明は、特にビールの濾過のためのフィルタ装置および方法に関する。向上された簡略化された濾過のため、本発明に係るフィルタは、未濾過液入口および未濾過液出口を有する未濾過液チャンバを備え、その場合、未濾過液は、未濾過液チャンバの壁に対して略接線方向で未濾過液チャンバ内へ流れ込み、また、未濾過液チャンバの底部は少なくとも一部がフィルタとして構成される。また、本発明に係るフィルタは、前記底部の下側の濾過液チャンバおよび濾過液出口も備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にビールの濾過のためのフィルタ装置、および、対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールの製造中には、ビール中に含まれる酵母細胞および他の固体を除去しなければならない。そのような物質は、それらが経時的に単独で分離しないように且つビールを濁らせないように分離されなければならない。酵母は約5〜10μmの粒径を有しているため、例えば10−1〜10−2μmの範囲内で機能する、いわゆるマイクロフィルタを使用する必要がある。今まで、ビールは、主に、プレコートフィルタによって、例えばフィルタカートリッジによって濾過されてきた。そのようなプレコートフィルタを用いる場合には、今まで、主に珪藻岩が濾過助剤として使用されている。珪藻岩の毒性と珪藻岩の処理の問題とに起因して、この技術の代替的手段が模索されている。例えば、交差流フィルタモジュールが1つの代替的手段を与えるが、これらのフィルタモジュールは、僅かなフィルタ能力しか有しておらず、更に、非常に急速に目詰まりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑みて、本発明の根底にある目的は、特にビールの濾過のための改良されたフィルタ装置、および、簡単で効率的な態様で且つ環境的に安全な態様でビールを濾過できる対応する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的は、請求項1および請求項22の特徴によって達成される。
【0005】
濾過されるべき未濾過液が未濾過液チャンバの壁に対して接線方向で未濾過液チャンバ内へ導入されることにより、回転流を壁に沿って環状に形成することができ、また、この回転流は、未濾過液チャンバの内容物を、少なくとも一部がフィルタとして形成される底部上にわたって回転させる。この回転流の速度は、中心へ向かって減少し、それにより、未濾過液は、未濾過液出口を介して再び未濾過液チャンバから出ることができ、その結果、未濾過液チャンバにわたって連続した流れが得られる。
【0006】
好ましくはポンプにより加圧下で接線方向から供給される未濾過液は、ハイドロサイクロンと同様に下方へ向けられる螺旋循環流を形成させられる。未濾過液チャンバの下部のスロットル効果により、外側渦流の一部は、上方へ向けられる内部乱流U2へと絶えず偏向される。底部上にわたって流れる未濾過液は、フィルタまたはフィルタ領域を通過し、したがって、濾過されて、その後、フィルタ装置から出ることができる。
【0007】
未濾過液チャンバ内の遠心力により、大きくて重い粒子は、未濾過液チャンバの内壁に集まって、底部の中心へ向けて下方へと沈む。その後、未濾過液チャンバの底部に具現化されるフィルタまたはフィルタ領域によって精密濾過が達成される。このようにして、簡単で効率的な濾過を可能にするコンパクトなフィルタ構造が形成される。
【0008】
未濾過液出口は、未濾過液チャンバの上面のほぼ中心に配置されることが有益である。それは、ここでは、未濾過液が内部渦流に起因して上昇するからである。
【0009】
未濾過液出口が出口パイプを備え、該出口パイプの断面積が上端へ向かって減少することが有益である。出口パイプの断面の減少により、未濾過液の流速が上端へ向かって増大され、それにより、未濾過液を効率的に除去できる。
【0010】
フィルタディスクは、10−〜10−2μmの範囲内、特に0.2〜1.8μmの範囲内の粒子を濾過して除去するマイクロフィルタディスクであることが有益である。したがって、本発明に係るフィルタは、酵母および固体を確実に濾過して除去できる。
【0011】
好ましくは、マイクロフィルタは、マイクロフィルタディスクとして形成され、好ましくはレーザによって穿孔されるディスクまたはプレートから形成される。そのようなプレートは、十分な安定性を有して、容易に形成でき、μm範囲内の孔径を可能にすると同時に、大きな自由スクリーン面を可能にする。
【0012】
そのようなフィルタは、自立するように或いは支持体上に載置するように具現化することができる。支持体は、裏地として、特に金属ファブリックとして具現化することができ、あるいは、3次元的に延びる幅広メッシュ状グリッドとして具現化することができる。その場合、支持体のグリッド開口は、最適な流れ及び安定性を確保するために、フィルタの孔径よりも本質的に大きい。
【0013】
未濾過液チャンバの直径は底部へ向かって減少することができ、または、未濾過液チャンバの底部が弓形を成すことができる。濾過液チャンバの直径も底部へ向かって減少することができ、または、その底部を弓形にすることができる。
【0014】
未濾過液チャンバおよび濾過液チャンバは共同して略中華鍋のような形状を形成することができる。濾過液チャンバの直径が底部へ向かって僅かに減少する場合には、未濾過液チャンバの中心で上向きの流れを容易にする循環流のスロットル効果が存在する。
【0015】
未濾過液出口は、回路内の未濾過液を元の濾過液チャンバ及び/又はバッファ/フィーダタンクへ導く戻し導管に接続されることが有益である。
【0016】
したがって、未濾過液チャンバから排出される未濾過液を再び濾過へと供給することができ、底部上にわたる、すなわち、フィルタ上にわたる連続的な流れが可能である。
【0017】
好ましい実施形態によれば、濾過液出口は、幾つかの開口を介して濾過液チャンバに接続される円形導管を備える。これは、濾過液の安定した除去を可能にする。
【0018】
また、フィルタ装置は、好ましくはパルス態様で底部を振動させる手段を備える。底部またはフィルタはそれぞれ、フィルタ処理全体の間にわたって或いは間隔を置いて振動させることができる。励振は、フィルタの孔またはフィルタの表面の目詰まりを防止する。
【0019】
フィルタ装置は、移動可能に回転するブラシを洗浄目的で未濾過液チャンバの底部に備えることが有益である。これは、フィルタの表面が完全に目詰まりするのを防止できる。ブラシは堆積物をほぐすこともでき、該堆積物は、その後、逆流処理によって未濾過液出口を通じて除去できる。ブラシは、水槽の場合のように、外側を通るマグネットによって、あるいは、駆動シャフトによって移動させることができる。また、ブラシは、リニアモーターカーの場合のようにマグネットによって駆動させることもできる。
【0020】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの開口が未濾過液チャンバの底部に具現化され、上記開口内に対応するフィルタディスクが配置される。そのようなフィルタ底部は非常に簡単に形成することができ、また、幾つかの小さいフィルタディスクを底部に組み込むこともできる。特に底部が平坦な形態を有していない場合には、小さな寸法を有する幾つかのフィルタディスクを底部に配置することが有益である。このようにして具現化される底部は、更に大きな安定性も有する。その結果、大きな表面を伴って形成され得ないフィルタ材料を使用できる。
【0021】
更なる好ましい実施形態によれば、濾過液チャンバは、未濾過液チャンバの下側に配置されるとともに、濾過液チャンバの側方周囲にも延在する。そのような配置は、ここでは多かれ少なかれ未濾過液チャンバを濾過液チャンバ内に配置できるため、特にスペースを節約できコンパクトである。
【0022】
未濾過液チャンバの壁の少なくとも一部がベローズとして具現化されることが有益である。これは、未濾過液チャンバの底部を振動させる手段によって生み出される振動を吸収できるという利点を有する。
【0023】
未濾過液チャンバの底部を振動させる手段は、濾過液チャンバを貫通するスリーブ内で延び且つ底部を叩く振動シャフトを備えることが好ましい。スリーブは、一端を未濾過液チャンバの壁または底部に配置することができ、他端を濾過液チャンバの壁または底部に配置することができ、少なくとも一部がベローズとして具現化され得る。この解決策により、振動シャフトは、未濾過液チャンバ内の液体と接触することなく、未濾過液チャンバの底部を振動させることができる。プロセスでは、スリーブにおけるベローズによって振動が効率的に吸収される。
【0024】
出口パイプ及び/又は未濾過液入口が高さ調整可能に配置されることが有益である。したがって、対応する濾過プロセスに合わせて出口パイプの高さ及び未濾過液入口の高さを調整できる。
【0025】
圧力制御バルブが濾過液出口に配置され、それにより、濾過液チャンバ内の圧力を調整できることが有益である。
【0026】
濾過液チャンバ内および未濾過液チャンバ内の圧力がCO2の飽和蒸気圧よりも大きく維持されることが好ましく、それにより、CO2が抜け出ない。ここでは、未濾過液チャンバ内の圧力が濾過液チャンバ内の圧力よりも高くなるように圧力を調整しなければならず、それにより、未濾過液がフィルタを通過できる。十分な回転流を形成するため、濾過液が1〜10m/sの速度で接線方向から導入されることが好ましい。この場合、供給導管内では、約6m/sの速度が行き渡り、また、未濾過液チャンバ内への直ぐ入口では、最大で約10m/sの速度が生じる。
【0027】
フィルタ能力を高めるために、互いに直列に或いは並列に配置される幾つかのフィルタ装置を有するフィルタシステムを提供することが有益である。
【0028】
以下では、下記の図面を参照して、本発明を更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態の概略断面図を示している。
【図2a】フィルタディスクの平面図を示している。
【図2b】図2aの拡大領域Aを示している。
【図2c】図2aのI−I線に沿う拡大部分断面図を示している。
【図3】本発明の他の実施形態を示している。
【図4】幾つかのフィルタが互いに上下に配置されたフィルタシステムを示している。
【図5】幾つかのフィルタが互いに隣り合って配置されたフィルタシステムを示している。
【図6】フィルタディスクを洗浄するための手段を示している。
【図7】本発明に係る第2の実施形態を斜視図で示している
【図8】図7の実施形態の平面図を示している。
【図9】図8のA−A線に沿う断面図を示している。
【図10】図8のB−B線に沿う断面図を示している。
【図11a】フィルタ4の拡大断面図を示している。
【図11b】図11aのA−A線に沿う断面の拡大断面図を示している。
【図12】本発明に係る未濾過液チャンバ内の流れ経路を概略的に示している。
【図13】幾つかのフィルタディスクを備える未濾過液チャンバの底部の平面図を示している。
【図14】本発明に係る未濾過液チャンバの底部の他の実施形態の平面図を示している。
【図15】本発明に係る未濾過液チャンバの底部の他の実施形態の平面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の原理を明確にするべく意図される本発明に係るフィルタ装置1の断面を概略表示で示している。フィルタ1は未濾過液チャンバ2を備えており、この未濾過液チャンバ2内には、濾過されていない液体が、例えばバッファ/フィーダタンク17からポンプ20によって未濾過液入口7を介して圧送される(例えば、図5参照)。入口7は、未濾過液チャンバ2の側壁2aに対して略接線方向で液体が流れるように形成されている。ここでは、例えば、入口パイプが壁2aに対して略接線方向に延びることができ、あるいは、入口要素(図示せず)が例えば壁2aの内面に設けられて濾過されていない液体の流れを偏向させることができ、それにより、濾過されていない液体が壁2aに対して略接線方向に流れるようにすることができ、その結果、ハイドロサイクロンに匹敵する回転循環流が得られる。接線方向入口についてここで更に詳しく説明しない。そのような入口は、特に渦巻きやハイドロサイクロンに関連して知られているからである。未濾過液入口の構造において、唯一不可欠なことは、未濾過液チャンバの内容物を回転させる流れが壁に沿って環状に形成されるように流れが未濾過液チャンバの内壁に抗して流れることである。また、流入濾過液が垂直方向上向きで扇形に広げられるように入口を形成することもできる。ここで、入口は、例えば互いに上下に配置された幾つかの開口または1つのスロットを有する入口要素を備える。
【0031】
未濾過液チャンバは円形の断面積を備えており、未濾過液チャンバの直径は、ここでは、該チャンバの高さよりも大きい。未濾過液チャンバ2の底部は、少なくとも一部がフィルタ4として具現化され、ここではフィルタディスク4を備える。フィルタ装置1において、底部14は、該底部14の下側、ここではフィルタディスク4の下側に配置される濾過液チャンバ3から未濾過液チャンバ2を分離する。
【0032】
未濾過液チャンバ2は、未濾過液チャンバ2の上面2bから始まる未濾過液出口5を更に備える。未濾過液出口5は上面2bの中心に配置される。未濾過液出口5は出口パイプとして具現化され、その断面積は、未濾過液チャンバの上面2bから上端へ向かって減少する。未濾過液出口5は、制御バルブ8が内部に配置される導管22で終端しており、それにより、未濾過液の流量および未濾過液チャンバ内の圧力を調整または制御することができる。この実施形態において、未濾過液チャンバの直径は、下方へ向かって、すなわち、フィルタディスク4の方向で減少する。濾過液チャンバ3の直径も底部へ向かって減少する。したがって、未濾過液チャンバ2および濾過液チャンバ3は共同して例えば中華鍋の形状を成す。
【0033】
濾過液チャンバ3は、濾過液排出部23を介して濾過液を排出するために少なくとも1つの開口16を介して濾過液チャンバ3に接続される少なくとも1つの濾過液出口6を備える。濾過液排出部23内にも、濾過液の流量を調整するために制御バルブ9が設けられ、それにより、濾過液チャンバ内の圧力の調整または制御をそれぞれ行なうことができる。
【0034】
この実施形態では、未濾過液チャンバの高さが外壁2aから未濾過液出口5へ向かって減少する。
【0035】
フィルタディスク4は、10−1〜10−2μmのサイズの粒子、好ましくは0.2〜1.8μmのサイズの粒子を濾過して除去するマイクロフィルタディスクであることが好ましい。
【0036】
マイクロフィルタディスクにおいては、特に図2a,b,cで見ることができるように、フォトリソグラフィで生成されるグリッド10を備えることができる。
【0037】
図2aは円形フィルタディスク4の平面図を示しており、図2bは領域Aの拡大を示している。図2bから明確に分かるように、グリッド10は、プロセス中に未濾過液が通過して濾過される孔11を備えている。図2cは、図2aのI−I線に沿う拡大断面図である。ここでは、グリッド10が支持体上、すなわち、フォトリソグラフィで生成されるグリッド10よりも大きい厚さを有する支持ディスク12上に施されるのが明らかになる。支持体12または支持ディスク12は、例えば、裏地として、特に金属ファブリックとして具現化される。支持体は、3次元的に延びる幅広メッシュ状グリッドとして具現化することもでき、そのグリッドサイズはグリッド10のそれよりも大きく、そのため、濾過液は支持体12を容易に通過できる。支持体12は、フォトリソグラフィで生成されるグリッド10に対して十分な安定性を与える。
【0038】
特に好ましい実施形態によれば、マイクロフィルタディスクは、特に図11aおよび図11bから理解できるように、レーザによって穿孔されるディスクまたはプレートから形成される。フィルタディスク4は、例えば0.2〜1.8μmの範囲内の穴幅を有する孔11を備える。そのような穴幅は例えばビールの濾過に適している。テンサイドおよび胞子を濾過するため、穴幅は0.01μm以下の範囲内にすべきである。孔11はレーザによって生成される。このため、例えば0.3〜1mm厚のCrNiスチールシート或いはそれに対応する厚さのテフロンプレートがフィルタディスク材料として適している。これらの材料は、特にビール醸造産業あるいは医薬産業で必要とされる有能なCIP/SIPである。特に図11aのA−A線に沿う拡大部分断面を示す図11bから分かるように、孔11の断面積は、製造に起因して下側よりも上側の方が小さい。ここで、下側は、矢印Lによって示されるようにレーザにより孔が形成され始める側に対応する。前述した穴幅とは、上側における小さい方の穴幅のことである。フィルタディスク4は、小さい方の直径を有する孔11の側が未濾過液チャンバに面し且つ大きい方の孔径を有する側が未濾過液チャンバに面するようにフィルタ装置内に配置される。そのような配置は、孔の目詰まりを遅らせることができる。
【0039】
図11aおよび図11bに関連して示されるようなレーザによって穿孔されるフィルタディスク4は、自立するように具現化することができ、あるいは、前述したフォトリソグラフィで生成されるフィルタディスク4と同様に対応する支持体12上に配置させることもできる。
【0040】
フィルタディスク4は、図2aに表わされるように、未濾過液チャンバの底部14全体にわたって延びることができる。しかしながら、フィルタ底部14の一部だけをフィルタとして具現化することもできる。例えば図15から分かるように、底部14の外側リングだけをフィルタ4として或いはフィルタディスク4としてそれぞれ具現化できる。未濾過液出口の下側にほぼ位置される中央領域は、フィルタとして具現化されず、未濾過液をほぼ透過させない領域を構成する。図13および図14から分かるように、未濾過液チャンバ2の底部14には幾つかの開口を設けることができ、これらの開口内には対応するフィルタディスク4a,b,c,...4nが挿入される。この場合、フィルタディスクは、図14から分かるように円形であってもよいが、任意の他の形状、例えば図13から分かるように例えば楕円形状または多角形状を有することもできる。このとき、底部14とフィルタディスク14a〜14nとの間の接合部はシールされる。
【0041】
フィルタディスク4の目詰まりを防止するため、本発明に係るフィルタ1は、フィルタディスク4を振動させるための手段25を備えることが好ましい。手段25は、パルス形態でフィルタディスク4を振動させることが好ましい。そのような手段は、例えば、好ましくはフィルタディスク4と同じ高さでフィルタの外壁に配置され且つ振動をフィルタディスク4へ伝える振動ヘッドを備えることができる。本発明に係るフィルタ1は、底部またはフィルタ4を直接的に或いは間接的にパルス形態で押圧する機械的なバイブレータを備えることもできる。したがって、孔/チャンネル内の汚れ及びマイクロスクリーンの表面の汚れを効率的に防止できる。ここでは、濾過中の全体にわたって或いは間隔を置いてフィルタを振動させることができる。
【0042】
図3は、出口6が幾つかの開口16を介して濾過液チャンバ3に接続される円形導管16を備える本発明の他の実施形態を示している。ここでは、円形導管16が濾過液チャンバ3の底部に配置される。しかしながら、円形導管15は、未濾過液チャンバ3に側方から隣接させることもでき、あるいは、未濾過液チャンバの底部に側方から隣接するように配置させることもできる。しかしながら、この場合、円形導管15が幾つかの開口を備え、これらの開口を介して濾過液が濾過液排出部23へと導かれることが好ましい。
【0043】
以下、本発明に係るフィルタの機能原理について更に詳しく説明する。図1に矢印U1で表わされるように、未濾過液は、バッファ/フィーダタンク17から導管19(例えば図5参照)により未濾過液入口7を介して略接線方向で供給され、それにより、未濾過液は、未濾過液チャンバ2の側壁2aへと接線方向で流れる。未濾過液は、約1〜10m/sの高速でポンプ20(図5参照)を用いて圧送される。矢印で表わされるように、未濾過液チャンバ2の内壁では、未濾過液が、未濾過液チャンバの内容物を底部14上にわたって、ここではフィルタディスク4上にわたって回転させる下方へ(領域14aに)向けられる外側環状循環流へと押し進められる。プロセスにおいて、流量は、その負荷を含めて、未濾過液チャンバの中心へ向けて減少する。下部のスロットル効果により、外側の流れ、すなわち、外側渦流の一部は、内側上方へ向けられる乱流U2へと絶えず偏向される。図1では、上向きの流れが形成される領域14bが白い表面として示されている。したがって、未濾過液は、未濾過液チャンバ2の中央領域で未濾過液出口5を介して未濾過液チャンバ2から出ることができる。未濾過液出口5の断面の減少が排出を容易にする。図12では、流れ経路をかなり良好に見ることができる。
【0044】
遠心力により、未濾過液の大きくて重い粒子が未濾過液チャンバの内壁2aに集まる。しかしながら、排出される未濾過液流U2にも依然として粒子が取り込まれており、そのため、排出される未濾過液流U2をサイクル中に戻し導管22を介して未濾過液チャンバ2またはバッファ/フィーダタンクへと再び供給することができる。未濾過液出口2の速度および未濾過液チャンバ内の圧力を制御ベルブ8によって調整できる。底部14上にわたって未濾過液チャンバ4内で回転する未濾過液は、矢印Fによって表わされるように、底部を垂直に横切ってフィルタディスク4(または、フィルタディスク4a,b,c…n)を下方へと通過する。したがって、未濾過液がフィルタディスクによって濾過される。
【0045】
したがって、濾過中、2つの作用、すなわち、遠心分離とフィルタ4による精密濾過とが有利に組み合わされる。濾過液チャンバ3内の濾過液は、対応する濾過液出口6を介して濾過液排出部23へと供給することができる。濾過液の排出速度および濾過液チャンバ3内の圧力を制御バルブ9によって調整することもできる。
【0046】
未濾過液チャンバ2内および濾過液チャンバ3内の圧力はそれがCO2の飽和蒸気圧を上回るように調整され、それにより、ビールの濾過中にCO2が抜け出ない。未濾過液チャンバ内および濾過液チャンバ内の圧力は、未濾過液チャンバ2内の圧力が濾過液チャンバ3内の圧力よりも高くなるように未濾過液入口7および制御バルブ8,9によって調整される。
【0047】
図7は、本発明の好ましい実施形態を斜視図で示している。図7に示される実施形態は、図1〜図3に示される実施形態にほぼ対応する。未濾過液チャンバの底部14およびフィルタディスクは、図2,3,11,13〜15と関連して説明されるように具現化することもできる。また、図7の実施形態の機能原理も図1と関連して説明される機能原理に対応する。
【0048】
図7は、このケースでは弓形の底部13を有する略中空円筒状に具現化される濾過液チャンバ3の外壁を示している。しかしながら、底部13は平坦な形態を有することもできる。ここでは、未濾過液チャンバ3は、カバープレート46によって上端が耐圧シールされる。カバープレート46は少なくとも1つの点検ガラス47a,bを備える。ここでは、フィルタ装置1が幾つかの脚部48を備える。
【0049】
図8は、図7に表わされるフィルタ装置の平面図である。図9は図8のA−A線に沿う断面図であり、図10は図8の線に沿う断面図である。特に図9および図10から分かるように、ここでは、濾過液チャンバ3が濾過液チャンバ2の下側および側方周囲に配置される。未濾過液チャンバ2の壁2aもカバープレート14によって上端が耐圧シールされる。未濾過液チャンバ2は、未濾過液チャンバ2の壁2aに接続される装着具48によって濾過液チャンバ3内に保持される。未濾過液チャンバ2の底部14も弓形をしているが、それが平坦な形態を成すこともできる。
【0050】
図9および図10から分かるように、未濾過液出口5は、フィルタ装置1の上面から未濾過駅チャンバ2内へと延びている。ここでは、未濾過液出口5は、図1に関連して説明したように、少なくとも下側領域で上端へ向けてテーパが付けられている断面を備える出口パイプとして具現化される。未濾過液出口を形成するパイプ5が高さ調整可能に配置され、それにより、底部14までの出口パイプの下縁5aの距離を変えることができるのが好ましい。上端へ向けてテーパが付けられている出口パイプ5の領域を交換可能に配置することができる。この場合、異なる開放角度を有する領域を取り付けることができる。ここでは、図1と関連して説明したように、入口7が接線方向であり、このことは、環状循環流が形成されるように未濾過液が流れることを意味する。ここでは、入口7が入口パイプを備えており、該入口パイプは、上端から未濾過液チャンバ2内へ導入されるとともに、壁2aに接触して位置して未濾過液流を壁2aへと導く流入要素7aを備えている。また、入口7も高さ調整可能に配置することができる。入口7および未濾過液出口5の高さ調整可能性は、未濾過液の入口および出口を異なるプロセスに適合させることを可能にする。
【0051】
フィルタ装置は、濾過液チャンバ3の底部13に配置される濾過液出口6を更に備える。参照符号49は濾過液チャンバの通気孔を示している。通気孔は図示しないバルブによって開閉させることができる。
【0052】
このフィルタ装置1も、未濾過液チャンバの底部14を振動させるための手段25を備える。手段25は、底部14に隣接してそれを振動させる振動シャフト42を備える。振動シャフト42はスリーブまたはチューブ43を貫通して延びている。スリーブ43は、一端が未濾過液チャンバ2の底部に配置され、他端が濾過液チャンバ3の底部に配置される。したがって、振動シャフト25は、濾過液を通過することなく底部14に到達できる。スリーブ43は、少なくとも一部が振動を吸収するベローズ44として具現化される。したがって、振動は、濾過液チャンバ3のハウジングへ伝えられず或いは僅かにだけ伝えられる。同様に、未濾過液チャンバ2の壁2aも少なくとも一部がベローズ40として具現化されており、それにより、底部14の振動がカバープレート46および濾過液チャンバ3の壁へ伝えられない。
【0053】
この実施形態において、少なくともスリーブ43と対向する領域は、フィルタとして具現化されず、未濾過液を透過させないように形成されており、それにより、濾過液がスリーブ43内へ流れることができない。図7に示されるフィルタの機能原理は、図1に関連して示される機能原理に対応する。
【0054】
フィルタの能力を高めるため、図4に示されるように、幾つかのフィルタユニット1a,b,cを組み合わせて1つのユニット21を形成することができる。この場合、個々のフィルタ1a,b,cには、バッファフィーダタンク17から導管19および対応するポンプ20a,b,cを介して未濾過液が同時に供給される。未濾過液出口5を介して排出される未濾過液は、ここでは、相互の未濾過液戻し導管22で元のタンク17へと導かれるが、ポンプ20a,b,cを介して直接に対応するフィルタ1a,b,c内へと再び圧送することもできる。濾過液出口6a,b,cも相互の濾過液排出部23で終端する。バッファ/フィーダタンク17には導管18を介して未濾過液が供給される。
【0055】
図5は、図4に示される構成にほぼ対応する他の構成を示しているが、この場合、個々のフィルタ1a,b,cは互いに隣り合って配置される。図5には、水逆流導管またはCIP/SIP導管(現場洗浄/現場殺菌)24a,b,cが示されており、この導管を介して例えば水を対応するフィルタ1a,b,c内へ洗浄目的で圧送することができ、それにより、フィルタディスク4上の堆積物を未濾過液出口5を介して排出できる。
【0056】
更に、図6は、フィルタ表面4を洗浄するための手段を示している。ここでは、例えば、ブラシ26がフィルタディスク表面8上に移動可能に配置される。ブラシ26はフィルタ4の表面上にわたって通過する。この実施形態において、ブラシ26は、特に未濾過液チャンバ壁2aと対向する側に金属材料を備える。フィルタディスクの領域で壁2aの外面に配置されるマグネット27は、矢印で示されるように回転移動される。したがって、マグネット27は、水槽または磁石浮上装置の場合のように外側からブラシ26を移動させる。
【0057】
ブラシは、フィルタディスク4上の不純物をほぐす。ブラシ26は、例えば、フィルタディスク4の中心に回転可能に装着することもできる。
【0058】
図7〜図10に示される実施形態では、特に図10において見ることができるように、駆動シャフト50によってブラシ26を回転駆動させることができる。この場合、駆動シャフト50は図示しないモータに接続される。ここでは、駆動シャフト50が出口パイプ5を貫通して延びている。しかしながら、底部14を貫通するスリーブ43を通じて延び且つ底部からブラシ26を駆動させる駆動シャフトを介してブラシを駆動させることもできる。
【0059】
未濾過液排出部5を介して除去される未濾過液流を図示しないポンプによってサポートすることができる。濾過液出口も図示しないポンプによってサポートすることができる。濾過液の側には、適切な流れ生成によって、底部14の底面に沿う濾過液の循環を生み出すことができる。これは、スクリーン表面にわたって一定で且つバランスの良い底部からの膜貫通圧力降下をもたらす。
【0060】
本発明によれば、2つの作用、すなわち、遠心力に起因して非常に大きく重い成分が未濾過液チャンバの壁に押し付けられるハイドロサイクロンの作用と、フィルタディスク4による精密濾過の作用とが組み合わされる。したがって、本発明によれば、粗いフィルタと細かいフィルタとの組み合わせを必要とせず、1つのフィルタユニットだけで済む。
【0061】
ビールの濾過に関連して本発明に係る本フィルタまたはフィルタ方法について説明してきた。しかしながら、このタイプのフィルタは、例えば、テンサイドおよび胞子などが濾過して除去されるべき医薬分野での濾過にも同様に適している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にビールの濾過のためのフィルタ装置、および、対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールの製造中には、ビール中に含まれる酵母細胞および他の固体を除去しなければならない。そのような物質は、それらが経時的に単独で分離しないように且つビールを濁らせないように分離されなければならない。酵母は約5〜10μmの粒径を有しているため、例えば10−1〜10−2μmの範囲内で機能する、いわゆるマイクロフィルタを使用する必要がある。今まで、ビールは、主に、プレコートフィルタによって、例えばフィルタカートリッジによって濾過されてきた。そのようなプレコートフィルタを用いる場合には、今まで、主に珪藻岩が濾過助剤として使用されている。珪藻岩の毒性と珪藻岩の処理の問題とに起因して、この技術の代替的手段が模索されている。例えば、交差流フィルタモジュールが1つの代替的手段を与えるが、これらのフィルタモジュールは、僅かなフィルタ能力しか有しておらず、更に、非常に急速に目詰まりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑みて、本発明の根底にある目的は、特にビールの濾過のための改良されたフィルタ装置、および、簡単で効率的な態様で且つ環境的に安全な態様でビールを濾過できる対応する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的は、請求項1および請求項22の特徴によって達成される。
【0005】
濾過されるべき未濾過液が未濾過液チャンバの壁に対して接線方向で未濾過液チャンバ内へ導入されることにより、回転流を壁に沿って環状に形成することができ、また、この回転流は、未濾過液チャンバの内容物を、少なくとも一部がフィルタとして形成される底部上にわたって回転させる。この回転流の速度は、中心へ向かって減少し、それにより、未濾過液は、未濾過液出口を介して再び未濾過液チャンバから出ることができ、その結果、未濾過液チャンバにわたって連続した流れが得られる。
【0006】
好ましくはポンプにより加圧下で接線方向から供給される未濾過液は、ハイドロサイクロンと同様に下方へ向けられる螺旋循環流を形成させられる。未濾過液チャンバの下部のスロットル効果により、外側渦流の一部は、上方へ向けられる内部乱流U2へと絶えず偏向される。底部上にわたって流れる未濾過液は、フィルタまたはフィルタ領域を通過し、したがって、濾過されて、その後、フィルタ装置から出ることができる。
【0007】
未濾過液チャンバ内の遠心力により、大きくて重い粒子は、未濾過液チャンバの内壁に集まって、底部の中心へ向けて下方へと沈む。その後、未濾過液チャンバの底部に具現化されるフィルタまたはフィルタ領域によって精密濾過が達成される。このようにして、簡単で効率的な濾過を可能にするコンパクトなフィルタ構造が形成される。
【0008】
未濾過液出口は、未濾過液チャンバの上面のほぼ中心に配置されることが有益である。それは、ここでは、未濾過液が内部渦流に起因して上昇するからである。
【0009】
未濾過液出口が出口パイプを備え、該出口パイプの断面積が上端へ向かって減少することが有益である。出口パイプの断面の減少により、未濾過液の流速が上端へ向かって増大され、それにより、未濾過液を効率的に除去できる。
【0010】
フィルタディスクは、10−〜10−2μmの範囲内、特に0.2〜1.8μmの範囲内の粒子を濾過して除去するマイクロフィルタディスクであることが有益である。したがって、本発明に係るフィルタは、酵母および固体を確実に濾過して除去できる。
【0011】
好ましくは、マイクロフィルタは、マイクロフィルタディスクとして形成され、好ましくはレーザによって穿孔されるディスクまたはプレートから形成される。そのようなプレートは、十分な安定性を有して、容易に形成でき、μm範囲内の孔径を可能にすると同時に、大きな自由スクリーン面を可能にする。
【0012】
そのようなフィルタは、自立するように或いは支持体上に載置するように具現化することができる。支持体は、裏地として、特に金属ファブリックとして具現化することができ、あるいは、3次元的に延びる幅広メッシュ状グリッドとして具現化することができる。その場合、支持体のグリッド開口は、最適な流れ及び安定性を確保するために、フィルタの孔径よりも本質的に大きい。
【0013】
未濾過液チャンバの直径は底部へ向かって減少することができ、または、未濾過液チャンバの底部が弓形を成すことができる。濾過液チャンバの直径も底部へ向かって減少することができ、または、その底部を弓形にすることができる。
【0014】
未濾過液チャンバおよび濾過液チャンバは共同して略中華鍋のような形状を形成することができる。濾過液チャンバの直径が底部へ向かって僅かに減少する場合には、未濾過液チャンバの中心で上向きの流れを容易にする循環流のスロットル効果が存在する。
【0015】
未濾過液出口は、回路内の未濾過液を元の濾過液チャンバ及び/又はバッファ/フィーダタンクへ導く戻し導管に接続されることが有益である。
【0016】
したがって、未濾過液チャンバから排出される未濾過液を再び濾過へと供給することができ、底部上にわたる、すなわち、フィルタ上にわたる連続的な流れが可能である。
【0017】
好ましい実施形態によれば、濾過液出口は、幾つかの開口を介して濾過液チャンバに接続される円形導管を備える。これは、濾過液の安定した除去を可能にする。
【0018】
また、フィルタ装置は、好ましくはパルス態様で底部を振動させる手段を備える。底部またはフィルタはそれぞれ、フィルタ処理全体の間にわたって或いは間隔を置いて振動させることができる。励振は、フィルタの孔またはフィルタの表面の目詰まりを防止する。
【0019】
フィルタ装置は、移動可能に回転するブラシを洗浄目的で未濾過液チャンバの底部に備えることが有益である。これは、フィルタの表面が完全に目詰まりするのを防止できる。ブラシは堆積物をほぐすこともでき、該堆積物は、その後、逆流処理によって未濾過液出口を通じて除去できる。ブラシは、水槽の場合のように、外側を通るマグネットによって、あるいは、駆動シャフトによって移動させることができる。また、ブラシは、リニアモーターカーの場合のようにマグネットによって駆動させることもできる。
【0020】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの開口が未濾過液チャンバの底部に具現化され、上記開口内に対応するフィルタディスクが配置される。そのようなフィルタ底部は非常に簡単に形成することができ、また、幾つかの小さいフィルタディスクを底部に組み込むこともできる。特に底部が平坦な形態を有していない場合には、小さな寸法を有する幾つかのフィルタディスクを底部に配置することが有益である。このようにして具現化される底部は、更に大きな安定性も有する。その結果、大きな表面を伴って形成され得ないフィルタ材料を使用できる。
【0021】
更なる好ましい実施形態によれば、濾過液チャンバは、未濾過液チャンバの下側に配置されるとともに、濾過液チャンバの側方周囲にも延在する。そのような配置は、ここでは多かれ少なかれ未濾過液チャンバを濾過液チャンバ内に配置できるため、特にスペースを節約できコンパクトである。
【0022】
未濾過液チャンバの壁の少なくとも一部がベローズとして具現化されることが有益である。これは、未濾過液チャンバの底部を振動させる手段によって生み出される振動を吸収できるという利点を有する。
【0023】
未濾過液チャンバの底部を振動させる手段は、濾過液チャンバを貫通するスリーブ内で延び且つ底部を叩く振動シャフトを備えることが好ましい。スリーブは、一端を未濾過液チャンバの壁または底部に配置することができ、他端を濾過液チャンバの壁または底部に配置することができ、少なくとも一部がベローズとして具現化され得る。この解決策により、振動シャフトは、未濾過液チャンバ内の液体と接触することなく、未濾過液チャンバの底部を振動させることができる。プロセスでは、スリーブにおけるベローズによって振動が効率的に吸収される。
【0024】
出口パイプ及び/又は未濾過液入口が高さ調整可能に配置されることが有益である。したがって、対応する濾過プロセスに合わせて出口パイプの高さ及び未濾過液入口の高さを調整できる。
【0025】
圧力制御バルブが濾過液出口に配置され、それにより、濾過液チャンバ内の圧力を調整できることが有益である。
【0026】
濾過液チャンバ内および未濾過液チャンバ内の圧力がCO2の飽和蒸気圧よりも大きく維持されることが好ましく、それにより、CO2が抜け出ない。ここでは、未濾過液チャンバ内の圧力が濾過液チャンバ内の圧力よりも高くなるように圧力を調整しなければならず、それにより、未濾過液がフィルタを通過できる。十分な回転流を形成するため、濾過液が1〜10m/sの速度で接線方向から導入されることが好ましい。この場合、供給導管内では、約6m/sの速度が行き渡り、また、未濾過液チャンバ内への直ぐ入口では、最大で約10m/sの速度が生じる。
【0027】
フィルタ能力を高めるために、互いに直列に或いは並列に配置される幾つかのフィルタ装置を有するフィルタシステムを提供することが有益である。
【0028】
以下では、下記の図面を参照して、本発明を更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態の概略断面図を示している。
【図2a】フィルタディスクの平面図を示している。
【図2b】図2aの拡大領域Aを示している。
【図2c】図2aのI−I線に沿う拡大部分断面図を示している。
【図3】本発明の他の実施形態を示している。
【図4】幾つかのフィルタが互いに上下に配置されたフィルタシステムを示している。
【図5】幾つかのフィルタが互いに隣り合って配置されたフィルタシステムを示している。
【図6】フィルタディスクを洗浄するための手段を示している。
【図7】本発明に係る第2の実施形態を斜視図で示している
【図8】図7の実施形態の平面図を示している。
【図9】図8のA−A線に沿う断面図を示している。
【図10】図8のB−B線に沿う断面図を示している。
【図11a】フィルタ4の拡大断面図を示している。
【図11b】図11aのA−A線に沿う断面の拡大断面図を示している。
【図12】本発明に係る未濾過液チャンバ内の流れ経路を概略的に示している。
【図13】幾つかのフィルタディスクを備える未濾過液チャンバの底部の平面図を示している。
【図14】本発明に係る未濾過液チャンバの底部の他の実施形態の平面図を示している。
【図15】本発明に係る未濾過液チャンバの底部の他の実施形態の平面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の原理を明確にするべく意図される本発明に係るフィルタ装置1の断面を概略表示で示している。フィルタ1は未濾過液チャンバ2を備えており、この未濾過液チャンバ2内には、濾過されていない液体が、例えばバッファ/フィーダタンク17からポンプ20によって未濾過液入口7を介して圧送される(例えば、図5参照)。入口7は、未濾過液チャンバ2の側壁2aに対して略接線方向で液体が流れるように形成されている。ここでは、例えば、入口パイプが壁2aに対して略接線方向に延びることができ、あるいは、入口要素(図示せず)が例えば壁2aの内面に設けられて濾過されていない液体の流れを偏向させることができ、それにより、濾過されていない液体が壁2aに対して略接線方向に流れるようにすることができ、その結果、ハイドロサイクロンに匹敵する回転循環流が得られる。接線方向入口についてここで更に詳しく説明しない。そのような入口は、特に渦巻きやハイドロサイクロンに関連して知られているからである。未濾過液入口の構造において、唯一不可欠なことは、未濾過液チャンバの内容物を回転させる流れが壁に沿って環状に形成されるように流れが未濾過液チャンバの内壁に抗して流れることである。また、流入濾過液が垂直方向上向きで扇形に広げられるように入口を形成することもできる。ここで、入口は、例えば互いに上下に配置された幾つかの開口または1つのスロットを有する入口要素を備える。
【0031】
未濾過液チャンバは円形の断面積を備えており、未濾過液チャンバの直径は、ここでは、該チャンバの高さよりも大きい。未濾過液チャンバ2の底部は、少なくとも一部がフィルタ4として具現化され、ここではフィルタディスク4を備える。フィルタ装置1において、底部14は、該底部14の下側、ここではフィルタディスク4の下側に配置される濾過液チャンバ3から未濾過液チャンバ2を分離する。
【0032】
未濾過液チャンバ2は、未濾過液チャンバ2の上面2bから始まる未濾過液出口5を更に備える。未濾過液出口5は上面2bの中心に配置される。未濾過液出口5は出口パイプとして具現化され、その断面積は、未濾過液チャンバの上面2bから上端へ向かって減少する。未濾過液出口5は、制御バルブ8が内部に配置される導管22で終端しており、それにより、未濾過液の流量および未濾過液チャンバ内の圧力を調整または制御することができる。この実施形態において、未濾過液チャンバの直径は、下方へ向かって、すなわち、フィルタディスク4の方向で減少する。濾過液チャンバ3の直径も底部へ向かって減少する。したがって、未濾過液チャンバ2および濾過液チャンバ3は共同して例えば中華鍋の形状を成す。
【0033】
濾過液チャンバ3は、濾過液排出部23を介して濾過液を排出するために少なくとも1つの開口16を介して濾過液チャンバ3に接続される少なくとも1つの濾過液出口6を備える。濾過液排出部23内にも、濾過液の流量を調整するために制御バルブ9が設けられ、それにより、濾過液チャンバ内の圧力の調整または制御をそれぞれ行なうことができる。
【0034】
この実施形態では、未濾過液チャンバの高さが外壁2aから未濾過液出口5へ向かって減少する。
【0035】
フィルタディスク4は、10−1〜10−2μmのサイズの粒子、好ましくは0.2〜1.8μmのサイズの粒子を濾過して除去するマイクロフィルタディスクであることが好ましい。
【0036】
マイクロフィルタディスクにおいては、特に図2a,b,cで見ることができるように、フォトリソグラフィで生成されるグリッド10を備えることができる。
【0037】
図2aは円形フィルタディスク4の平面図を示しており、図2bは領域Aの拡大を示している。図2bから明確に分かるように、グリッド10は、プロセス中に未濾過液が通過して濾過される孔11を備えている。図2cは、図2aのI−I線に沿う拡大断面図である。ここでは、グリッド10が支持体上、すなわち、フォトリソグラフィで生成されるグリッド10よりも大きい厚さを有する支持ディスク12上に施されるのが明らかになる。支持体12または支持ディスク12は、例えば、裏地として、特に金属ファブリックとして具現化される。支持体は、3次元的に延びる幅広メッシュ状グリッドとして具現化することもでき、そのグリッドサイズはグリッド10のそれよりも大きく、そのため、濾過液は支持体12を容易に通過できる。支持体12は、フォトリソグラフィで生成されるグリッド10に対して十分な安定性を与える。
【0038】
特に好ましい実施形態によれば、マイクロフィルタディスクは、特に図11aおよび図11bから理解できるように、レーザによって穿孔されるディスクまたはプレートから形成される。フィルタディスク4は、例えば0.2〜1.8μmの範囲内の穴幅を有する孔11を備える。そのような穴幅は例えばビールの濾過に適している。テンサイドおよび胞子を濾過するため、穴幅は0.01μm以下の範囲内にすべきである。孔11はレーザによって生成される。このため、例えば0.3〜1mm厚のCrNiスチールシート或いはそれに対応する厚さのテフロンプレートがフィルタディスク材料として適している。これらの材料は、特にビール醸造産業あるいは医薬産業で必要とされる有能なCIP/SIPである。特に図11aのA−A線に沿う拡大部分断面を示す図11bから分かるように、孔11の断面積は、製造に起因して下側よりも上側の方が小さい。ここで、下側は、矢印Lによって示されるようにレーザにより孔が形成され始める側に対応する。前述した穴幅とは、上側における小さい方の穴幅のことである。フィルタディスク4は、小さい方の直径を有する孔11の側が未濾過液チャンバに面し且つ大きい方の孔径を有する側が未濾過液チャンバに面するようにフィルタ装置内に配置される。そのような配置は、孔の目詰まりを遅らせることができる。
【0039】
図11aおよび図11bに関連して示されるようなレーザによって穿孔されるフィルタディスク4は、自立するように具現化することができ、あるいは、前述したフォトリソグラフィで生成されるフィルタディスク4と同様に対応する支持体12上に配置させることもできる。
【0040】
フィルタディスク4は、図2aに表わされるように、未濾過液チャンバの底部14全体にわたって延びることができる。しかしながら、フィルタ底部14の一部だけをフィルタとして具現化することもできる。例えば図15から分かるように、底部14の外側リングだけをフィルタ4として或いはフィルタディスク4としてそれぞれ具現化できる。未濾過液出口の下側にほぼ位置される中央領域は、フィルタとして具現化されず、未濾過液をほぼ透過させない領域を構成する。図13および図14から分かるように、未濾過液チャンバ2の底部14には幾つかの開口を設けることができ、これらの開口内には対応するフィルタディスク4a,b,c,...4nが挿入される。この場合、フィルタディスクは、図14から分かるように円形であってもよいが、任意の他の形状、例えば図13から分かるように例えば楕円形状または多角形状を有することもできる。このとき、底部14とフィルタディスク14a〜14nとの間の接合部はシールされる。
【0041】
フィルタディスク4の目詰まりを防止するため、本発明に係るフィルタ1は、フィルタディスク4を振動させるための手段25を備えることが好ましい。手段25は、パルス形態でフィルタディスク4を振動させることが好ましい。そのような手段は、例えば、好ましくはフィルタディスク4と同じ高さでフィルタの外壁に配置され且つ振動をフィルタディスク4へ伝える振動ヘッドを備えることができる。本発明に係るフィルタ1は、底部またはフィルタ4を直接的に或いは間接的にパルス形態で押圧する機械的なバイブレータを備えることもできる。したがって、孔/チャンネル内の汚れ及びマイクロスクリーンの表面の汚れを効率的に防止できる。ここでは、濾過中の全体にわたって或いは間隔を置いてフィルタを振動させることができる。
【0042】
図3は、出口6が幾つかの開口16を介して濾過液チャンバ3に接続される円形導管16を備える本発明の他の実施形態を示している。ここでは、円形導管16が濾過液チャンバ3の底部に配置される。しかしながら、円形導管15は、未濾過液チャンバ3に側方から隣接させることもでき、あるいは、未濾過液チャンバの底部に側方から隣接するように配置させることもできる。しかしながら、この場合、円形導管15が幾つかの開口を備え、これらの開口を介して濾過液が濾過液排出部23へと導かれることが好ましい。
【0043】
以下、本発明に係るフィルタの機能原理について更に詳しく説明する。図1に矢印U1で表わされるように、未濾過液は、バッファ/フィーダタンク17から導管19(例えば図5参照)により未濾過液入口7を介して略接線方向で供給され、それにより、未濾過液は、未濾過液チャンバ2の側壁2aへと接線方向で流れる。未濾過液は、約1〜10m/sの高速でポンプ20(図5参照)を用いて圧送される。矢印で表わされるように、未濾過液チャンバ2の内壁では、未濾過液が、未濾過液チャンバの内容物を底部14上にわたって、ここではフィルタディスク4上にわたって回転させる下方へ(領域14aに)向けられる外側環状循環流へと押し進められる。プロセスにおいて、流量は、その負荷を含めて、未濾過液チャンバの中心へ向けて減少する。下部のスロットル効果により、外側の流れ、すなわち、外側渦流の一部は、内側上方へ向けられる乱流U2へと絶えず偏向される。図1では、上向きの流れが形成される領域14bが白い表面として示されている。したがって、未濾過液は、未濾過液チャンバ2の中央領域で未濾過液出口5を介して未濾過液チャンバ2から出ることができる。未濾過液出口5の断面の減少が排出を容易にする。図12では、流れ経路をかなり良好に見ることができる。
【0044】
遠心力により、未濾過液の大きくて重い粒子が未濾過液チャンバの内壁2aに集まる。しかしながら、排出される未濾過液流U2にも依然として粒子が取り込まれており、そのため、排出される未濾過液流U2をサイクル中に戻し導管22を介して未濾過液チャンバ2またはバッファ/フィーダタンクへと再び供給することができる。未濾過液出口2の速度および未濾過液チャンバ内の圧力を制御ベルブ8によって調整できる。底部14上にわたって未濾過液チャンバ4内で回転する未濾過液は、矢印Fによって表わされるように、底部を垂直に横切ってフィルタディスク4(または、フィルタディスク4a,b,c…n)を下方へと通過する。したがって、未濾過液がフィルタディスクによって濾過される。
【0045】
したがって、濾過中、2つの作用、すなわち、遠心分離とフィルタ4による精密濾過とが有利に組み合わされる。濾過液チャンバ3内の濾過液は、対応する濾過液出口6を介して濾過液排出部23へと供給することができる。濾過液の排出速度および濾過液チャンバ3内の圧力を制御バルブ9によって調整することもできる。
【0046】
未濾過液チャンバ2内および濾過液チャンバ3内の圧力はそれがCO2の飽和蒸気圧を上回るように調整され、それにより、ビールの濾過中にCO2が抜け出ない。未濾過液チャンバ内および濾過液チャンバ内の圧力は、未濾過液チャンバ2内の圧力が濾過液チャンバ3内の圧力よりも高くなるように未濾過液入口7および制御バルブ8,9によって調整される。
【0047】
図7は、本発明の好ましい実施形態を斜視図で示している。図7に示される実施形態は、図1〜図3に示される実施形態にほぼ対応する。未濾過液チャンバの底部14およびフィルタディスクは、図2,3,11,13〜15と関連して説明されるように具現化することもできる。また、図7の実施形態の機能原理も図1と関連して説明される機能原理に対応する。
【0048】
図7は、このケースでは弓形の底部13を有する略中空円筒状に具現化される濾過液チャンバ3の外壁を示している。しかしながら、底部13は平坦な形態を有することもできる。ここでは、未濾過液チャンバ3は、カバープレート46によって上端が耐圧シールされる。カバープレート46は少なくとも1つの点検ガラス47a,bを備える。ここでは、フィルタ装置1が幾つかの脚部48を備える。
【0049】
図8は、図7に表わされるフィルタ装置の平面図である。図9は図8のA−A線に沿う断面図であり、図10は図8の線に沿う断面図である。特に図9および図10から分かるように、ここでは、濾過液チャンバ3が濾過液チャンバ2の下側および側方周囲に配置される。未濾過液チャンバ2の壁2aもカバープレート14によって上端が耐圧シールされる。未濾過液チャンバ2は、未濾過液チャンバ2の壁2aに接続される装着具48によって濾過液チャンバ3内に保持される。未濾過液チャンバ2の底部14も弓形をしているが、それが平坦な形態を成すこともできる。
【0050】
図9および図10から分かるように、未濾過液出口5は、フィルタ装置1の上面から未濾過駅チャンバ2内へと延びている。ここでは、未濾過液出口5は、図1に関連して説明したように、少なくとも下側領域で上端へ向けてテーパが付けられている断面を備える出口パイプとして具現化される。未濾過液出口を形成するパイプ5が高さ調整可能に配置され、それにより、底部14までの出口パイプの下縁5aの距離を変えることができるのが好ましい。上端へ向けてテーパが付けられている出口パイプ5の領域を交換可能に配置することができる。この場合、異なる開放角度を有する領域を取り付けることができる。ここでは、図1と関連して説明したように、入口7が接線方向であり、このことは、環状循環流が形成されるように未濾過液が流れることを意味する。ここでは、入口7が入口パイプを備えており、該入口パイプは、上端から未濾過液チャンバ2内へ導入されるとともに、壁2aに接触して位置して未濾過液流を壁2aへと導く流入要素7aを備えている。また、入口7も高さ調整可能に配置することができる。入口7および未濾過液出口5の高さ調整可能性は、未濾過液の入口および出口を異なるプロセスに適合させることを可能にする。
【0051】
フィルタ装置は、濾過液チャンバ3の底部13に配置される濾過液出口6を更に備える。参照符号49は濾過液チャンバの通気孔を示している。通気孔は図示しないバルブによって開閉させることができる。
【0052】
このフィルタ装置1も、未濾過液チャンバの底部14を振動させるための手段25を備える。手段25は、底部14に隣接してそれを振動させる振動シャフト42を備える。振動シャフト42はスリーブまたはチューブ43を貫通して延びている。スリーブ43は、一端が未濾過液チャンバ2の底部に配置され、他端が濾過液チャンバ3の底部に配置される。したがって、振動シャフト25は、濾過液を通過することなく底部14に到達できる。スリーブ43は、少なくとも一部が振動を吸収するベローズ44として具現化される。したがって、振動は、濾過液チャンバ3のハウジングへ伝えられず或いは僅かにだけ伝えられる。同様に、未濾過液チャンバ2の壁2aも少なくとも一部がベローズ40として具現化されており、それにより、底部14の振動がカバープレート46および濾過液チャンバ3の壁へ伝えられない。
【0053】
この実施形態において、少なくともスリーブ43と対向する領域は、フィルタとして具現化されず、未濾過液を透過させないように形成されており、それにより、濾過液がスリーブ43内へ流れることができない。図7に示されるフィルタの機能原理は、図1に関連して示される機能原理に対応する。
【0054】
フィルタの能力を高めるため、図4に示されるように、幾つかのフィルタユニット1a,b,cを組み合わせて1つのユニット21を形成することができる。この場合、個々のフィルタ1a,b,cには、バッファフィーダタンク17から導管19および対応するポンプ20a,b,cを介して未濾過液が同時に供給される。未濾過液出口5を介して排出される未濾過液は、ここでは、相互の未濾過液戻し導管22で元のタンク17へと導かれるが、ポンプ20a,b,cを介して直接に対応するフィルタ1a,b,c内へと再び圧送することもできる。濾過液出口6a,b,cも相互の濾過液排出部23で終端する。バッファ/フィーダタンク17には導管18を介して未濾過液が供給される。
【0055】
図5は、図4に示される構成にほぼ対応する他の構成を示しているが、この場合、個々のフィルタ1a,b,cは互いに隣り合って配置される。図5には、水逆流導管またはCIP/SIP導管(現場洗浄/現場殺菌)24a,b,cが示されており、この導管を介して例えば水を対応するフィルタ1a,b,c内へ洗浄目的で圧送することができ、それにより、フィルタディスク4上の堆積物を未濾過液出口5を介して排出できる。
【0056】
更に、図6は、フィルタ表面4を洗浄するための手段を示している。ここでは、例えば、ブラシ26がフィルタディスク表面8上に移動可能に配置される。ブラシ26はフィルタ4の表面上にわたって通過する。この実施形態において、ブラシ26は、特に未濾過液チャンバ壁2aと対向する側に金属材料を備える。フィルタディスクの領域で壁2aの外面に配置されるマグネット27は、矢印で示されるように回転移動される。したがって、マグネット27は、水槽または磁石浮上装置の場合のように外側からブラシ26を移動させる。
【0057】
ブラシは、フィルタディスク4上の不純物をほぐす。ブラシ26は、例えば、フィルタディスク4の中心に回転可能に装着することもできる。
【0058】
図7〜図10に示される実施形態では、特に図10において見ることができるように、駆動シャフト50によってブラシ26を回転駆動させることができる。この場合、駆動シャフト50は図示しないモータに接続される。ここでは、駆動シャフト50が出口パイプ5を貫通して延びている。しかしながら、底部14を貫通するスリーブ43を通じて延び且つ底部からブラシ26を駆動させる駆動シャフトを介してブラシを駆動させることもできる。
【0059】
未濾過液排出部5を介して除去される未濾過液流を図示しないポンプによってサポートすることができる。濾過液出口も図示しないポンプによってサポートすることができる。濾過液の側には、適切な流れ生成によって、底部14の底面に沿う濾過液の循環を生み出すことができる。これは、スクリーン表面にわたって一定で且つバランスの良い底部からの膜貫通圧力降下をもたらす。
【0060】
本発明によれば、2つの作用、すなわち、遠心力に起因して非常に大きく重い成分が未濾過液チャンバの壁に押し付けられるハイドロサイクロンの作用と、フィルタディスク4による精密濾過の作用とが組み合わされる。したがって、本発明によれば、粗いフィルタと細かいフィルタとの組み合わせを必要とせず、1つのフィルタユニットだけで済む。
【0061】
ビールの濾過に関連して本発明に係る本フィルタまたはフィルタ方法について説明してきた。しかしながら、このタイプのフィルタは、例えば、テンサイドおよび胞子などが濾過して除去されるべき医薬分野での濾過にも同様に適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にビールの濾過用のフィルタ装置(1)であって、
未濾過液入口(7)および未濾過液出口(5)を備える未濾過液チャンバ(2)を備え、前記未濾過液入口(7)が前記未濾過液チャンバ(2)の壁(2a)に対して略接線方向で未濾過液を導き、
前記未濾過液チャンバ(2)の底部(14)の少なくとも一部がフィルタ(4)として具現化され、
前記底部(14)の下側に配置され且つ濾過液出口(6)を備える濾過液チャンバ(3)を備える、
フィルタ装置(1)。
【請求項2】
前記フィルタ(4)が少なくとも1つのフィルタディスク(4a,b,c)を備える、請求項1に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項3】
前記未濾過液出口(5)が前記未濾過液チャンバ(2)の上面(2b)のほぼ中心に配置される、請求項1または2に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項4】
前記未濾過液出口(5)が出口パイプ(5)を備え、前記出口パイプの断面積が上端へ向かって減少する、請求項1または3に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項5】
前記フィルタ(4)が、10−1〜10−2μmの範囲内、特に0.2〜1.8μmの範囲内の粒子を濾過して除去するマイクロフィルタである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項6】
前記マイクロフィルタが、レーザによって穿孔されるディスクから好ましくは形成されるマイクロフィルタディスクである、請求項5に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項7】
前記フィルタ(4)が支持体(12)上に載置され、前記支持体(12)が裏地として、特に金属ファブリックとして具現化され、あるいは、3次元的に延びる幅広メッシュ状グリッドとして具現化される、請求項5または6に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項8】
前記未濾過液チャンバ(2)の直径が前記底部へ向かって減少し、または、前記未濾過液チャンバ(2)の前記底部(14)が弓形である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
前記濾過液チャンバ(3)の直径が前記底部へ向かって減少し、または、前記濾過液チャンバの底部(13)が弓形である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項10】
前記未濾過液出口(5)が、回路内の未濾過液を元の未濾過液チャンバ(2)内へ及び/又はバッファ/フィーダタンク(17)内へ導く戻し導管(22)に接続される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項11】
前記濾過液出口(6)が、幾つかの開口(16)を介して前記濾過液チャンバ(3)に接続される円形ライン(15)を備える、請求項1〜10のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項12】
前記フィルタ装置(1)が、前記未濾過液チャンバの底部(14)を振動させるための手段(25)を備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項13】
移動可能な回転ブラシ(26)が洗浄目的で前記底部(14)に配置される、請求項1〜12のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項14】
前記ブラシ(26)が、前記未濾過液チャンバ(2)の壁(2a)の外側を通るマグネットによって移動され、あるいは、駆動シャフト(50)によって移動される、請求項13に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項15】
少なくとも1つの開口が前記未濾過液チャンバ(2)の底部(14)に具現化され、前記開口内には、1つの対応するフィルタディスク(4a,b,c)がそれぞれ配置される、請求項2〜14のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項16】
前記濾過液チャンバ(3)が、濾過液チャンバ(3)の下側および側方周囲に延在する、請求項1〜15のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項17】
前記未濾過液チャンバ(2)の側壁(2a)の少なくとも一部がベローズ(40)として具現化される、請求項1〜16のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項18】
前記手段(25)が、前記濾過液チャンバ(3)を貫通するスリーブ(43)内で延び且つ前記未濾過液チャンバの底部(14)を振動させる振動シャフト(42)を備える、請求項12に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項19】
前記スリーブ(43)が、一端が前記未濾過液チャンバの壁または底部に配置され、他端が前記濾過液チャンバの壁または底部に配置されており、少なくとも一部がベローズ(44)として具現化される、請求項18に記載のフィルタ装置。
【請求項20】
前記出口パイプ(5)及び/又は前記未濾過液入口(7)が高さ調整可能に配置される、請求項1〜20のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項21】
幾つかのフィルタ装置(1)が互いに直列に或いは並列に配置される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の幾つかのフィルタ装置を有するフィルタシステム。
【請求項22】
特にビールの濾過のための方法であって、
未濾過液を未濾過液チャンバ(2)内へ接線方向で導入することにより、前記未濾過液チャンバ(2)の中心へ向けて減速する回転流が前記未濾過液チャンバ(2)の壁(2a)に沿って形成されるようにし、それにより、未濾過液が、少なくとも一部がフィルタ(4)として具現化される前記未濾過液チャンバ(2)の底部上にわたって回転して、前記フィルタ(4)を通じて下方へと流れるとともに、そのプロセスで濾過されるステップと、
前記底部(14)の下側に濾過液を排出するステップと、
前記未濾過液チャンバ(2)の中心から未濾過液を排出するステップと、
を含む方法。
【請求項23】
前記フィルタ(4)がマイクロフィルタであり、10−1〜10−2μmの範囲内、特に0.2〜1.8μmの範囲内の粒子が濾過されて除去される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
除去される未濾過液が、サイクル中に前記未濾過液チャンバ(2)及び/又はバッファ/フィーダタンク(17)へ戻される、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記フィルタ(4)が濾過中に少なくとも間隔を置いて振動される、請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記フィルタ(4)がパルス態様で振動される、請求項22〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ブラシ(26)が洗浄目的で前記未濾過液チャンバの底部(14)の表面上で循環する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記濾過液チャンバ(2)内および前記未濾過液チャンバ内の圧力がCO2の飽和蒸気圧よりも大きく維持されることを特徴とする請求項22〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記未濾過液チャンバ(2)内の圧力が前記濾過液チャンバ(3)内の圧力よりも高く維持される、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
未濾過液が1〜10ms/sの速度で接線方向から導入される、請求項22〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
圧力制御バルブ(9)が前記濾過液出口(6)に配置される、請求項1〜21のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項1】
特にビールの濾過用のフィルタ装置(1)であって、
未濾過液入口(7)および未濾過液出口(5)を備える未濾過液チャンバ(2)を備え、前記未濾過液入口(7)が前記未濾過液チャンバ(2)の壁(2a)に対して略接線方向で未濾過液を導き、
前記未濾過液チャンバ(2)の底部(14)の少なくとも一部がフィルタ(4)として具現化され、
前記底部(14)の下側に配置され且つ濾過液出口(6)を備える濾過液チャンバ(3)を備える、
フィルタ装置(1)。
【請求項2】
前記フィルタ(4)が少なくとも1つのフィルタディスク(4a,b,c)を備える、請求項1に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項3】
前記未濾過液出口(5)が前記未濾過液チャンバ(2)の上面(2b)のほぼ中心に配置される、請求項1または2に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項4】
前記未濾過液出口(5)が出口パイプ(5)を備え、前記出口パイプの断面積が上端へ向かって減少する、請求項1または3に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項5】
前記フィルタ(4)が、10−1〜10−2μmの範囲内、特に0.2〜1.8μmの範囲内の粒子を濾過して除去するマイクロフィルタである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項6】
前記マイクロフィルタが、レーザによって穿孔されるディスクから好ましくは形成されるマイクロフィルタディスクである、請求項5に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項7】
前記フィルタ(4)が支持体(12)上に載置され、前記支持体(12)が裏地として、特に金属ファブリックとして具現化され、あるいは、3次元的に延びる幅広メッシュ状グリッドとして具現化される、請求項5または6に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項8】
前記未濾過液チャンバ(2)の直径が前記底部へ向かって減少し、または、前記未濾過液チャンバ(2)の前記底部(14)が弓形である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
前記濾過液チャンバ(3)の直径が前記底部へ向かって減少し、または、前記濾過液チャンバの底部(13)が弓形である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項10】
前記未濾過液出口(5)が、回路内の未濾過液を元の未濾過液チャンバ(2)内へ及び/又はバッファ/フィーダタンク(17)内へ導く戻し導管(22)に接続される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項11】
前記濾過液出口(6)が、幾つかの開口(16)を介して前記濾過液チャンバ(3)に接続される円形ライン(15)を備える、請求項1〜10のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項12】
前記フィルタ装置(1)が、前記未濾過液チャンバの底部(14)を振動させるための手段(25)を備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項13】
移動可能な回転ブラシ(26)が洗浄目的で前記底部(14)に配置される、請求項1〜12のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項14】
前記ブラシ(26)が、前記未濾過液チャンバ(2)の壁(2a)の外側を通るマグネットによって移動され、あるいは、駆動シャフト(50)によって移動される、請求項13に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項15】
少なくとも1つの開口が前記未濾過液チャンバ(2)の底部(14)に具現化され、前記開口内には、1つの対応するフィルタディスク(4a,b,c)がそれぞれ配置される、請求項2〜14のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項16】
前記濾過液チャンバ(3)が、濾過液チャンバ(3)の下側および側方周囲に延在する、請求項1〜15のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項17】
前記未濾過液チャンバ(2)の側壁(2a)の少なくとも一部がベローズ(40)として具現化される、請求項1〜16のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項18】
前記手段(25)が、前記濾過液チャンバ(3)を貫通するスリーブ(43)内で延び且つ前記未濾過液チャンバの底部(14)を振動させる振動シャフト(42)を備える、請求項12に記載のフィルタ装置(1)。
【請求項19】
前記スリーブ(43)が、一端が前記未濾過液チャンバの壁または底部に配置され、他端が前記濾過液チャンバの壁または底部に配置されており、少なくとも一部がベローズ(44)として具現化される、請求項18に記載のフィルタ装置。
【請求項20】
前記出口パイプ(5)及び/又は前記未濾過液入口(7)が高さ調整可能に配置される、請求項1〜20のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項21】
幾つかのフィルタ装置(1)が互いに直列に或いは並列に配置される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の幾つかのフィルタ装置を有するフィルタシステム。
【請求項22】
特にビールの濾過のための方法であって、
未濾過液を未濾過液チャンバ(2)内へ接線方向で導入することにより、前記未濾過液チャンバ(2)の中心へ向けて減速する回転流が前記未濾過液チャンバ(2)の壁(2a)に沿って形成されるようにし、それにより、未濾過液が、少なくとも一部がフィルタ(4)として具現化される前記未濾過液チャンバ(2)の底部上にわたって回転して、前記フィルタ(4)を通じて下方へと流れるとともに、そのプロセスで濾過されるステップと、
前記底部(14)の下側に濾過液を排出するステップと、
前記未濾過液チャンバ(2)の中心から未濾過液を排出するステップと、
を含む方法。
【請求項23】
前記フィルタ(4)がマイクロフィルタであり、10−1〜10−2μmの範囲内、特に0.2〜1.8μmの範囲内の粒子が濾過されて除去される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
除去される未濾過液が、サイクル中に前記未濾過液チャンバ(2)及び/又はバッファ/フィーダタンク(17)へ戻される、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記フィルタ(4)が濾過中に少なくとも間隔を置いて振動される、請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記フィルタ(4)がパルス態様で振動される、請求項22〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ブラシ(26)が洗浄目的で前記未濾過液チャンバの底部(14)の表面上で循環する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記濾過液チャンバ(2)内および前記未濾過液チャンバ内の圧力がCO2の飽和蒸気圧よりも大きく維持されることを特徴とする請求項22〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記未濾過液チャンバ(2)内の圧力が前記濾過液チャンバ(3)内の圧力よりも高く維持される、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
未濾過液が1〜10ms/sの速度で接線方向から導入される、請求項22〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
圧力制御バルブ(9)が前記濾過液出口(6)に配置される、請求項1〜21のいずれか一項に記載のフィルタ装置(1)。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2010−520050(P2010−520050A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552082(P2009−552082)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000793
【国際公開番号】WO2008/107051
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(506040652)クロネス アクティェンゲゼルシャフト (55)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000793
【国際公開番号】WO2008/107051
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(506040652)クロネス アクティェンゲゼルシャフト (55)
【Fターム(参考)】
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