説明

ビール注出装置

【課題】 本発明は、ビールの通路を洗浄する際に、効率良く不凍液を昇温できるビール注出装置を提供する。
【解決手段】不凍液を有する冷却水槽(1)と、該水槽の不凍液を冷却する冷却パイプ(冷媒蒸発管)(2)と、冷却パイプ(2)の内側に配置された冷却蛇管(飲料水冷却管)(3)と、内側中央部に配置された攪拌機(6)とを備えたビール注出装置(A)であって、冷却蛇管(3)と冷却パイプ(2)の間には仕切スリーブ(4)が配置され、仕切スリーブ(4)の内側にはヒータ(5)が配置されている構成のビール注出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄効率の優れたビール注出装置に関し、更に詳しくは、ビールの通路を洗浄する際に、効率良く不凍液を昇温できるビール注出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からビール注出装置においては、酵母菌等の異物の繁殖や付着を防止するため、注出装置を使用した後は、該装置内のビールの通路(冷却蛇管等)を洗う洗浄作業を行わなければならない。
【0003】
しかし、使用後、不凍液に浸っている冷却蛇管に直ちに洗浄液を通過させると、不凍液がマイナス温度になっているために洗浄液(例えば水等)が凍って通路が詰まる。これでは洗浄が不可能となる。
【0004】
そのためには、洗浄する際、マイナス温度まで冷却された冷凍液を、前もって、一旦、プラス温度になるまで上昇させなければならない。
すなわち不凍液(通常マイナス温度となっている)を長い時間室温に放置して昇温させ、冷却蛇管内に洗浄水を流しても水が凍らない温度、すなわち0度より高くする必要がある。
【0005】
このようなことからビール注出装置の冷却水槽の中にヒータを設けて不凍液を積極的に温め0度より高く昇温し同時に冷却蛇管も温める方法が開発されている(特許文献1参照)。
この方法を採用すると不凍液の温度がヒータにより上がるので、不凍液を長い時間室温に放置して昇温させる必要がなくなり、時間短縮となり効率的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭2006−44690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この方法を採用しても冷却水槽に入っている不凍液全体を温める必要がある。
不凍液全体の熱容量が大きいため依然として昇温に時間を要し、昇温効率の点から必ずしも満足するものではなかった。
すなわち冷却蛇管の周囲の不凍液を温めるだけでよいのに、熱容量の大きい領域の不凍液、つまり冷却蛇管以外の冷却パイプを含む冷却水槽全体の不凍液、が温まってしまって熱効率が悪いのである。当然、時間もコストも増えることとなる。
本発明は上述したような事情を背景になされたものである。
すなわち本発明の目的は、従来のようなビール注出装置の問題点を解決し、ビールの通路を洗浄する際に、前もって効率良く不凍液を昇温できるビール注出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、冷却蛇管と冷却パイプの間に仕切スリーブを配置することにより、小さい熱容量の昇温領域を確保することができることを見出し、この知見をもとに、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(1)、不凍液を有する冷却水槽と、該水槽の不凍液を冷却する冷却パイプ(冷媒蒸発管)と、冷却パイプの内側に配置された冷却蛇管(飲料水冷却管)と、内側中央部に配置された攪拌機とを備えたビール注出装置であって、冷却蛇管と冷却パイプの間には仕切スリーブが配置され、仕切スリーブの内側にはヒータが配置されているビール注出装置に存する。
【0010】
また本発明は、(2)、仕切スリーブは、その長さを上下方向に延長可能にする補助移動スリーブを備えている上記(1)記載のビール注出装置に存する。
【0011】
また本発明は、(3)、補助移動スリーブは上補助移動スリーブと下補助移動スリーブとよりなり、仕切スリーブには上補助移動スリーブが上下移動自在に外挿入され、下補助移動スリーブも上下移動自在に外挿入されている上記(2)記載のビール注出装置に存する。
【0012】
また本発明は、(4)、補助移動スリーブの移動は上下移動手段によって行われる上記(2)記載のビール注出装置に存する。
【0013】
また本発明は、(5)、ビール注出装置に供給する飲料液が不凍液を使った冷却装置により前もって冷却されている上記(1)記載のビール注出装置に存する。
【0014】
また本発明は、(6)、ビール注出装置に供給する飲料液が冷却水を使った冷却装置により前もって冷却されている上記(1)記載のビール注出装置に存する。
【0015】
また本発明は、(7)、ビール注出装置に飲料液を供給するための飲料液樽が、冷蔵装置によって冷却されている上記(1)記載のビール注出装置に存する。
【0016】
なお、本発明の目的に添ったものであれば、上記(1)〜(7)を組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のビール注出装置は、飲料水の通路を洗浄する際に、前もって効率良く不凍液を昇温できる。
閉鎖状態では、仕切スリーブの内側が閉じた領域となり内側と外側とは不凍液が移動不可能となり、熱容量の小さい領域で効率良く温まる。
補助移動スリーブは、上補助移動スリーブと下補助移動スリーブとの移動により簡単に内側と外側が区画される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明のビール注出装置の外観を示す正面図である。
【図2】図2は、ビール注出装置の外観を示す側面図である。
【図3】図3は、ビール注出装置の内部構造を一部断面で表示した側面断面図であり開放状態を示す。
【図4】図4は、ビール注出装置の内部構造を一部断面で表示した正面断面図であり開放状態を示す。
【図5】図5は、ビール注出装置の内部構造を示す平面図であり開放状態を示す。
【図6】図6は、補助移動スリーブの移動状態を説明する図であり開放状態を示す。
【図7】図7は、補助移動スリーブの移動状態を説明する図であり開放状態と閉鎖状態の中間状態を示す。
【図8】図8は、補助移動スリーブの移動状態を説明する図であり閉鎖状態を示す。
【図9】図9は、隔離後と隔離前との不凍液の容積の違いを説明する模式図である。 図9(A)は隔離前、図9(B)は隔離後を示す。
【図10】図10は、ビール注出装置が冷蔵装置の上に置かれて接続された2段冷却方式を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
(ビール注出装置)
本発明のビール注出装置Aは、ビール樽Tから最先端部にあるビールコック7へ移送中のビールを、不凍液が充填されている冷却水槽1に配設された冷却蛇管3に通して冷やし、マイナス温度のビールを注出する装置である。
またビール通路の洗浄の際は、前もって不凍液を備え付けのヒータにより積極的に温めて冷却蛇管内を洗浄水の氷化を防止することができる装置でもある。
冷却蛇管内の洗浄する手法は、例えば接続口10から洗浄液を供給しビールコック7から汚れと共に排出する方法が採用される。
【0020】
ここで図1は本発明の実施例に係るビール注出装置の外観を示す正面図であり、図2はビール注出装置の外観を示す側面図である。
また図3は、ビール注出装置の内部構造を一部断面で表示した側面断面図であり開放状態を示す。
また図4は、ビール注出装置の内部構造を一部断面で表示した正面断面図であり開放状態を示す。
また図5は、ビール注出装置の内部構造を示す平面図であり開放状態を示す。
【0021】
なお、ビール注出装置Aは、別所にあるビール樽Tと接続されており、該ビール樽Tには圧力を加えてビールを圧送するための炭酸ガスボンベ13が接続されている。
【0022】
ところで本発明のビール注出装置Aの上方には、不凍液が入った直方体形状の冷却水槽1が備わっている。
この冷却水槽1には液体窒素等の冷却媒体が通るコイル状に巻回された冷却パイプ2が配設され、その内側には、ビール等の飲料液が通るコイル状に巻回されている冷却蛇管3が配設されている。
【0023】
冷却蛇管3と冷却パイプ2の間には仕切スリーブ4が配設され、また冷却蛇管3の内側中央には、モータ等で駆動される攪拌スクリュー6が配設されており、これを作動させることにより不凍液Yが攪拌されて均等に冷却される。
【0024】
仕切スリーブ4は不凍液の領域を内外2つに区画しその不凍液の移動を抑制できるメリットがある。
そして仕切スリーブ4の内側にはヒータ5が配設されている。
このヒータ5は、後述するように、使用後の洗浄時、不凍液Yを昇温させるためのものであり、加熱効率から棒状で電気式のものが使われる。
【0025】
ここで仕切スリーブ4について更に詳しく説明する。
図6は、補助移動スリーブの移動状態を説明する図であり開放状態を示し、図7は、補助移動スリーブの移動状態を説明する図であり開放状態と閉鎖状態の中間状態を示す。
図8は、補助移動スリーブの移動状態を説明する図であり閉鎖状態を示す。
仕切スリーブ4は、補助移動スリーブを備えているが、本発明においては、この補助移動スリーブを備えていることは大きな特徴点の1つである。
補助移動スリーブは上補助移動スリーブ41と下補助移動スリーブ42とよりなる。
仕切スリーブ4には上補助移動スリーブ41が上下移動自在に外挿され、下補助移動スリーブ42も上下移動自在に外挿されている。
これらの上下方向の移動は、後述する例えばリンク手段を使った上下移動手段を操作することによって簡単に行われる。
【0026】
上補助移動スリーブ41が下死点に位置する時は、下補助移動スリーブ42は上死点に位置し(開放状態)、また上補助移動スリーブ41が上死点に位置する時は、下補助移動スリーブ42は下死点に位置する(閉鎖状態)。
すなわち補助移動スリーブは、仕切スリーブ4を上下方向に延長可能にする役割を果たしている。
従って、開放状態では仕切スリーブ4の内側が外側と通じることとなり、不凍液が内側と外側に自由に流動可能となる。
【0027】
一方、閉鎖状態では仕切スリーブ4の内側が閉じた領域となり内側と外側とは仕切られて不凍液が流動不可能となる。
補助移動スリーブは、不凍液の流動を抑制するだけでなく、冷却水槽1内を内側と外側に仕切って不凍液の内側領域から外側領域への大きな流れ移動を無くするよう機能するのである。
【0028】
洗浄の際、不凍液を温める場合は、上記のような閉鎖状態にして冷却水槽内における仕切スリーブ4の内側の不凍液の領域のみを温めればよい。
内側の不凍液領域は全体の不凍液領域に比べて熱容量が小さいため昇温が速く行われ、時間短縮となり効率が良い。
なお、洗浄の際は、攪拌機6を攪拌して均一に不凍液の温度が上昇するようにすることは上述した通りである。
【0029】
(上下移動手段)
ここで上補助移動スリーブ41及び下補助移動スリーブ42を動かす上下移動手段について述べる(図6〜図8参照)。
下補助移動スリーブ42は移動桿42Aに固定されており、上補助移動スリーブ41は、移動桿42Aに案内され仕切りスリーブ4に沿って上下にスライド自在となっている。
移動桿42Aには下補助移動スリーブ42と上補助移動スリーブ41の間に互いに離反方向に作用するコイルバネ43が装着されている。
【0030】
上補助移動スリーブ41の上部には外挿管41Aが取り付けられており、外挿管41Aには移動桿42Aが貫挿されている。
この移動桿42Aは、下補助移動スリーブ42の下部に取り付けられている。
上補助移動スリーブ41及び下補助移動スリーブ42には、それぞれ案内スリット41S,42Sが形成されている。
この各案内スリットには、仕切スリーブ4に形成された各突起P1,P2が嵌り込んでいる。
この突起P1,P2が案内スリット41S,42Sの上下端に突き当たることにより、各補助移動スリーブの移動の上限(上死点)及び下限(下死点)が規定される。
【0031】
また、移動桿42Aの上端と外挿管41Aの上端には二股リンクLが取り付けられている。
通常は、図6に示すように、二股リンクLが一直線となっており(すなわち二股リンクを構成するリンクL1及びリンクL2が一直線)、下補助移動スリーブ42が上死点に、また上補助移動スリーブ41が下死点にある状態(開放状態)となっている。
この開放状態が冷却モードであり、営業時に使用するモードとなる。
【0032】
今、二股リンクLを引くように操作すると、図7に示すように、移動桿42Aの上端と外挿管41Aの上端とが接近し上補助移動スリーブ41が上に移動し下補助移動スリーブ42は下に移動する。
【0033】
そして二股リンクLの角度が徐々に小さくなり、やがて図8に示すように、下補助移動スリーブ42が下死点に達し、且つ上補助移動スリーブ41が上死点に達する状態(閉鎖状態)となる。
この閉鎖状態が洗浄モードであり、営業後の洗浄時に使用するモードである。
閉鎖状態では、下補助移動スリーブ42は冷却水槽1の底面に接地し、上補助移動スリーブ41は冷却水槽1の水面より一定距離超えた位置にある。
【0034】
このように洗浄の際、前もって不凍液は仕切スリーブを境として内側領域と外側領域とに区画される。
ヒータ5を使ってこの内側の領域を温めることにより冷却蛇管の管内部が0度以上となるため、この状態で通路内を洗浄することができる。
洗浄水を流してもそれが冷却蛇管内で凍ることはない。
仕切スリーブの内側の領域の不凍液は全体の不凍液の一部に過ぎないので温まり方が速く効率的である。
洗浄作業が無事終了したら、二股リンクを操作して冷却モードに戻す(図6参照)。
以上のように、本発明のビール注出装置は、仕切スリーブ4を設け、しかもこの仕切リーブ4の内側に棒状のヒータ5を設けたために、洗浄時に備えて温める際、不凍液の大きな流れが抑制される。
更に上下補助移動スリーブ41,42を移動させ、仕切スリーブ4を上下方向に延長した場合は、冷却水槽1内を内側と外側に確実に隔離でき水の大きな流れ移動を無くすることができる。
ヒータ5によって熱容量の小さい隔離された狭い領域のみの不凍液を速やかに加熱することができるのである。
【0035】
図9は、参考までに隔離前(A)と隔離後(B)との不凍液の容積の違いを説明する模式図である。
仕切スリーブ4を閉鎖する前の不凍液の容量V1(隔離前)に比べ、閉鎖した後の不凍液の容量V2(隔離後)が減少しており、加熱するための熱容量も少なくなることが理解できる。
【0036】
(冷凍機)
次に冷凍機について述べておく。
ビール注出装置Aには、その下部に冷却パイプ2を冷却して冷却水槽内の不凍液Yを冷却するための装置である冷凍機A1が設けられている。
この冷凍機A1は、冷却パイプ2に冷却媒体を圧縮供給するためのコンプレッサ9と、このコンプレッサ9によって圧縮供給した冷却媒体を放熱するための放熱器(図示略)と、外気を冷却風として放熱器に供給するための冷却ファン等を備えている。
【0037】
冷凍機A1の前面側には放熱器の近傍には、ビール樽Tから延びるビールホース12を冷却蛇管3に連結する部分である接続口10が設けられている。
この接続口10にビール樽Tに連絡されているビールホース12を接続することで、ビール注出装置Aとビール樽Tとのビール流路が一体に連通する。
なお接続口10の下方には、冷却水槽1内の不凍液Yを図示しない排出通路を介して流すための排出口が設けられている。
【0038】
(ビールコック)
ビール注出装置Aにはビールコック7が設けられ、該ビールコック7の下方にはビールジョッキを載置するための受け皿11が設けられている。
冷却蛇管3を通過して冷やされたたビール、例えば、−2.5℃〜−3℃のビールが、受け皿11に置かれた容器に注出される。
すなわち、このビールコック7を介して清涼感のある0℃未満に冷えたビール(通称マイナスビール)を注出できる。
【0039】
因みに、一般にビールはアルコールを含有しているため、マイナス3℃程度にビールを冷却しても凍結することはなく、敢えてマイナス3℃より低い方向へ温度を下げて行くと、ビールはシャーベット状に凍ってくる。
【0040】
(温度コントローラ)
またビール注出装置Aには、ビールコック7に温度コントローラが取り付けられており、ビールコック7を操作しながらビール注出装置A内の温度を視認することができる。
この温度コントローラは、ビールの冷却温度を調節できる機能を有しており、ビールコック5から注出されるビールの温度管理を行う。
【実施例2】
【0041】
(冷蔵装置)
上述した実施例1は、ビール注出装置Aが台の上に置かれて単独で使用される例で示したが、図10はビール注出装置Aが冷蔵装置Bの上に置かれて該冷蔵装置Bに接続されている実施例2を示す。
【0042】
これは冷蔵装置Bで一旦、冷やされたビールがビール注出装置Aに送られて更に冷却される2段冷却方式である。
この冷蔵装置B内には、ビール樽Tが収納されており、その外にはビール樽Tに圧力を加えビールを圧送するための炭酸ガスボンベ13が置かれている。
因みに、下側のビール樽Tは、上側のビール樽Tが空になった場合に使用される予備用のストック品である。
冷蔵装置Bの扉を開けることによりビール樽Tの交換が行える。
上側のビール樽Tと炭酸ガスボンベ13とは、ガスホース14を介して接続され使用可能な状態とされる。
【0043】
ビール樽Tが冷蔵装置Bに収納された場合は、ビールホース12とガスホース14が接続されたヘッドT1を、ビール樽Tの頂部に設けたフィッティング口金に取り付けた状態となる。
そして、炭酸ガスボンベ13の先端に設けたガスの元栓を開き、圧力調整器13Aの調整ハンドルを回して、ガスホース14内に出て行く炭酸ガスの圧力をビール樽T内のビールの温度(ここでは、冷蔵装置Bの設定温度)によって決まる適正な値になるように調整すれば良い。
【0044】
いま、ビール注出装置Aを使用可能な状態にするには、ヘッドT1のハンドルを操作してビール樽Tのフィッティング口金内のガス流路を開状態にし、炭酸ガスの圧力がビール樽T内のビールに作用するようセットする。
この状態でビールコック7のレバーを手前に引くと、ビール樽T内のビールは、炭酸ガスの圧力によってビールホース12及び冷却蛇管3を流れる。
そして、ビールコック7から下方にある受け皿上に載置された容器に注がれることとなる。
【0045】
(温度管理)
次に、参考までにビール注出装置Aの温度管理について説明する。
ビール注出装置Aの温度管理としては、ビール樽Tを収容する冷蔵装置B内の温度管理と、冷却水槽1によるビール注出温度の管理を行う。
【0046】
冷蔵装置B内の温度は、4℃以下の恒温状態になるように管理することが好ましい。
何故なら、4℃以下で保存することにより、酵母菌の活発な繁殖が抑えられてビールホース12にそれが付着しにくくなるためである。
もっとも、経済的な電力コストの観点から夏場(通常、外気温度又は室温が酵母菌の増殖が活発化する20℃以上の温度となる)は10℃以下に管理することがある。
【0047】
一方、ビール注出温度は、本装置の場合マイナス温度まで冷却することが条件である。
不凍液の温度を0℃より低いマイナス温度、好ましくは−3℃〜−2.5℃に保つことで、冷却蛇管内のビールの温度もそれと同様な温度に冷却されて、特有の清涼感のあるビールとなる。
温度管理全体として見た場合、ビールは冷蔵装置Bで既に室温より低く(例えば4℃以下に)冷却されているために、この冷却水槽1の不凍液による冷却が比較的負担なく行える。
【0048】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は上述した実施例にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、他の種々の変形が可能であることはいうまでもない。
上補助移動スリーブ41と下補助移動スリーブ42は、仕切スリーブ4に対して外挿されているが、それぞれ内挿されていてもよい。
【0049】
また、上述した実施例2では、ビール注出装置Aの前に冷蔵装置Bでビールを冷やす場合を示したが、不凍液でビールを冷やす別の第2のビール注出装置と接続して、このビール注出装置を通過させた後、本発明のビール注出装置Aから注出するようにしてもよい。
この場合は、第2のビール注出装置からもビールを注出することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、洗浄効率の優れたビール注出装置に関するもので、冷却水槽を仕切ることで、ビールの通路を洗浄する前に、効率良く不凍液を昇温することができる利点を有するものである。
したがって、この原理を利用する限り、ビール以外の飲料液、例えば、炭酸飲料、ジュース類の注出装置にも広く利用できる。
【符号の説明】
【0051】
1…冷却水槽
2…冷却パイプ
3…冷却蛇管
4…仕切スリーブ
41…上補助移動スリーブ
41A…外挿管
41S…案内スリット
42…下補助移動スリーブ
42A…移動桿
42S…案内スリット
43…コイルバネ
5…ヒータ
6…攪拌機
7…ビールコック
8…受け皿
9…コンプレッサ
10…接続口
11…受け皿
12…ビールホース
13…炭酸ガスボンベ
13A… 圧力調整器
14… ガスホース
A…ビール注出装置
A1…冷凍装置
B…冷蔵装置
L…二股リンク
L1…リンク
L2…リンク
P1…突起
P2…突起
T…ビール樽
T1…ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不凍液を有する冷却水槽と、該水槽の不凍液を冷却する冷却パイプ(冷媒蒸発管)と、冷却パイプの内側に配置された冷却蛇管(飲料水冷却管)と、内側中央部に配置された攪拌機とを備えたビール注出装置であって、冷却蛇管と冷却パイプの間には仕切スリーブが配置され、仕切スリーブの内側にはヒータが配置されていることを特徴とするビール注出装置。
【請求項2】
仕切スリーブは、その長さを上下方向に延長可能にする補助移動スリーブを備えていることを特徴とする請求項1記載のビール注出装置。
【請求項3】
補助移動スリーブは上補助移動スリーブと下補助移動スリーブとよりなり、仕切スリーブには上補助移動スリーブが上下移動自在に外挿入され、下補助移動スリーブも上下移動自在に外挿入されていることを特徴とする請求項2記載のビール注出装置。
【請求項4】
補助移動スリーブの移動は上下移動手段によって行われることを特徴とする請求項2記載のビール注出装置。
【請求項5】
ビール注出装置に供給する飲料液が不凍液を使った冷却装置によって前もって冷却されていることを特徴とする請求項1記載のビール注出装置。
【請求項6】
ビール注出装置に供給する飲料液が冷却水を使った冷却装置によって前もって冷却されていることを特徴とする請求項1記載のビール注出装置。
【請求項7】
ビール注出装置に飲料液を供給するための飲料液樽が、冷蔵装置によって冷却されていることを特徴とする請求項1記載のビール注出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−79559(P2011−79559A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234418(P2009−234418)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(595076008)株式会社ニットク (14)
【Fターム(参考)】