説明

ピアノのチューニングピン

【課題】弦に特別な加工を施すことなく、弦を巻き付けるだけで、弦の音高を安定化させ、調律を容易に行うことができるピアノのチューニングピンを提供する。
【解決手段】本発明のチューニングピン1は、弦Sを挿入するための径方向に延びる弦挿入孔1eを有し、弦Sを巻き付けるための巻付部1cを備え、巻付部1cには、弦挿入孔1eの開口部付近を角部とし、弦Sの巻き付け方向に延びる巻付平面1fが形成されている。このチューニングピン1によって弦Sを張設する際には、弦Sの一端部を弦挿入孔1eに挿入した後、チューニングピン1を回転させる。これにより、弦Sは、巻付平面1fに沿って巻き付けられるとともに、弦挿入孔1eの開口部付近において、鋭角に曲げられる。その結果、弦Sの張力の分力が弦Sを弦挿入孔1eに押し込む方向に作用し、弦の緩みが防止され、その張設状態が良好に維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アコースティックピアノなどにおいて、弦を巻き付け、張設するためのピアノのチューニングピンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のピアノのチューニングピンとして、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このチューニングピンは断面が円形のものであり、その円周面の基部側にはねじが形成され、その上側には、軸方向に延びる係止用凹部が形成されている。このチューニングピンは、ピアノ本体に設けられたピン板に、ねじの部分を介して埋設されている。一方、弦の一端部には、コイル状の巻付部があらかじめ形成されており、この巻付部の端部は、折り曲げられ、内側に突出した突部になっている。
【0003】
このチューニングピンを用いて弦を張設する際には、まずチューニングピンに弦の巻付部を嵌めて圧入するとともに、巻付部の突部をチューニングピンの係止用凹部に係止させ、弦を取り付ける。次に、弦の他端部をヒッチピンに巻き掛けた後、チューニングピンを回転させ、弦を巻き付けることによって、弦を張設する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭64−30597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このチューニングピンでは、弦の巻付部の突部を、チューニングピンの円周面に形成された係止用凹部に係止しているだけなので、弦が強く張られたときに、巻付部の突部が変形したり、係止用凹部から外れたりすることがあり、その場合には、弦が緩み、弦の振動により発音される音の高さ(弦の音高)が不安定になるため、調律を容易に行えない。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、弦の緩みを防止し、その張設状態を良好に維持することができ、それにより、弦の音高を安定化させ、調律を容易に行うことができるピアノのチューニングピンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ピアノ本体に設けられ、弦を巻き付けることによって張設するためのピアノのチューニングピンであって、ピアノ本体に埋設される基部と、基部の上側に配置され、弦を挿入するための径方向に延びる弦挿入孔を有し、弦を巻き付けるための巻付部と、を備え、巻付部には、弦挿入孔の開口部付近を角部とし、弦の巻き付け方向に延びる少なくとも1つの巻付平面が形成されていることを特徴とする。
【0008】
このチューニングピンは、その基部をピアノ本体に埋設することによって取り付けられる。また、巻付部の弦挿入孔に弦の一端部を挿入した後、チューニングピンを回転させ、巻付部に弦を巻き付けることによって、弦を張設する。
【0009】
また、巻付部には、弦挿入孔の開口部付近を角部とする少なくとも1つの巻付平面が形成され、この巻付平面は、弦の巻き付け方向に延びている。この構成により、弦は、巻付平面に沿って巻き付けられるとともに、弦挿入孔の開口部付近において鋭角に曲げられる。この状態では、弦の張力の分力が弦を弦挿入孔に押し込む方向に作用するので、弦は、弦挿入孔から抜ける方向にスリップしにくくなる。その結果、弦の緩みが防止されることで、その張設状態を良好に維持することができ、したがって、弦の音高を安定化させ、調律を容易に行うことができる。
【0010】
また、巻付平面の弦挿入孔と反対側の端部とそれに連なる巻付部の円周面との境界部に、緩やかな角部が形成され、この角部においても弦が曲げられるので、その分、弦がより強固に保持され、弦の張設状態をさらに良好に維持することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のピアノのチューニングピンにおいて、巻付平面は、弦挿入孔の開口部付近を角部とする1つの巻付平面で構成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、巻付平面が1つのみであることで、巻付平面を形成することによる巻付部の断面積の減少が最小限に抑制されるので、チューニングピンの強度および剛性の低下を抑制でき、それにより、チューニングピンの破損や変形などの不具合を回避することができる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のピアノのチューニングピンにおいて、弦挿入孔は巻付部の径方向に貫通しており、巻付平面は、弦挿入孔の両端の開口部付近をそれぞれ角部とし、弦の巻き付け方向に延びる2つの巻付平面で構成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、弦挿入孔が径方向に貫通しているので、弦を弦挿入孔に深く挿入することによって、弦をより確実に係止することができる。また、弦挿入孔の両開口部付近をそれぞれ角部とし、弦の巻き付け方向に延びる2つの巻付平面が形成されているので、弦を弦挿入孔のどちらの開口部から挿入しても、それに対応する巻付平面によって、弦が鋭角に曲げられることで、弦の張設状態を良好に維持することができる。さらに、弦を弦挿入孔のどちらの開口部から挿入してもよいので、弦の張設の作業性を向上させることができる。
【0015】
さらに、2つの巻付平面が形成されていることで、各巻付平面の弦挿入孔と反対側の端部と巻付部の円周面との境界部に、それぞれ緩やかな角部が形成され、これらの角部においても弦が曲げられるので、その分、弦がより強固に保持され、弦の張設状態をさらに良好に維持することができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のピアノのチューニングピンにおいて、巻付部には、2つの巻付平面に連続するガイド平面がさらに形成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、2つの巻付平面に加えて、それらに連続するガイド平面が形成されていることで、各巻付平面とガイド平面によって、両者の境界部に角部が形成され、これらの角部においても弦が曲げられるので、その分、弦がより強固に保持され、弦の張設状態をさらに良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態によるチューニングピンを用いたグランドピアノにおいて、弦を張設した状態を示す側断面図である。
【図2】第1実施形態によるチューニングピンの正面図である。
【図3】第1実施形態によるチューニングピンを、弦が巻き付けられた状態において示す断面図である。
【図4】第2実施形態によるチューニングピンを、弦が巻き付けられた状態において示す断面図である。
【図5】第3実施形態によるチューニングピンを、弦が巻き付けられた状態において示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1に示すように、グランドピアノ2は、鋳造品で構成されたフレーム3や板材で構成された響板8を備えている。フレーム3の前端部(図1の左端部)には、第1実施形態のチューニングピン1が立設され、後端部(図1の右端部)には、ヒッチピン7が立設されている。ヒッチピン7の前側には、カポ・ダストロ・バー3aが、下方に突出するように一体に設けられている。また、ヒッチピン7とカポ・ダストロ・バー3aの間には、響板8の上面に設けられた駒9が配置されており、駒9の上面には前後2つの駒ピン9a,9aが立設されている。
【0020】
弦Sは、一端部において、ヒッチピン7に引っ掛けられ、中間部において、駒9の駒ピン9a,9aに係合し、カポ・ダストロ・バー3aによって下方に押圧されるとともに、他端部において、チューニングピン1に巻き付けられた状態で、張設されている。
【0021】
張設された弦Sは、鍵の押鍵に伴いハンマー(ともに図示せず)が打弦されることによって振動し、その振動が響板8に伝達されることによって、ピアノ音が発生する。また、グランドピアノ2の調律は、チューニングピン1を回転させ、弦Sの張りの強さを調整することによって行われる。
【0022】
また、フレーム3の前端部の所定位置には、左右方向(図1の奥行方向)に延びるピン板4が取り付けられている。ピン板4は、カエデやブナなどの木材から成り、所定厚さを有する複数(この例では4枚)の単板4aを、それぞれの繊維方向が互いに直交するように交互に積層した合板で構成されている。
【0023】
フレーム3のピン板4よりも上側の部分には、多数のピン孔5(1つのみ図示)が上下方向に貫通するように形成されている。各ピン孔5は、所定の径を有する断面円形のものである。ピン孔5には、チューニングピンブッシュ6が埋め込まれている。このチューニングピンブッシュ6は、合成樹脂の成形品で構成され、円筒状に形成されている。チューニングピン1は、チューニングピンブッシュ6を貫通するとともに、ピン板4に部分的に埋設され、鉛直に対して前方に傾斜した状態で立設されている。
【0024】
チューニングピン1は、高級炭素鋼で構成され、ピン孔5よりも小さな所定の径(例えばφ7)と、所定の長さ(例えば64mm)を有している。チューニングピン1は、上端部の頭部1aと、ピン板4に埋設される約下半部の基部1bと、弦Sを巻き付けるための、頭部1aと基部1bの間の巻付部1cとによって構成されている。
【0025】
このチューニングピン1の頭部1aの断面は、調律時にチューニングハンマー(図示せず)で回転操作できるようにするため、ほぼ正方形に形成されている。また、基部1bは円形の断面を有し、その外周面には、ピン板4に対する回転摩擦力を大きくするとともに保持力を強化するために、ねじ1dが形成されている。
【0026】
また、図2に示すように、チューニングピン1の巻付部1cには、弦挿入孔1eおよび巻付平面1fが形成されている。この弦挿入孔1eは、巻付部1c上端部に径方向に貫通するように形成されている。巻付平面1fは、弦挿入孔1eの上側から、巻付部1cの途中まで下方に延びるとともに、弦挿入孔1eの開口部付近を角部として、弦Sの巻き付け方向に周方向に延びており、全体として矩形状のものである。また、巻付平面1fの周方向に延びる辺は、径方向に延びる弦挿入孔1eと鋭角(約45°)をなし、巻付平面1fの弦挿入孔1eと反対側の端部と巻付部1cの円周面との境界部には、緩やかな角部が形成されている(図3参照)。なお、この巻付平面1fは、機械加工により、チューニングピン1の巻付部1cを切削することによって形成される。
【0027】
このチューニングピン1によって弦Sを張設する際には、一端部をヒッチピン7に引っ掛け、中間部を、駒ピン9a,9aに係合させるとともに、カポ・ダストロ・バー3aの下側を通す。また、図3に示すように、弦Sの他端部をチューニングピン1の弦挿入孔1eの一方の開口部から他方の開口部付近まで挿入した後、チューニングピン1を時計回り方向に回転させる。これにより、弦Sは、巻付平面1fに沿って巻き付けられ、巻付平面1fの弦挿入孔1eの開口部付近の角部において、鋭角に曲げられるとともに、巻付平面1fの反対側の端部に形成された緩やかな角部において、鈍角に曲げられる。
【0028】
以上のように、本実施形態によれば、巻付部1cに形成された巻付平面1fが、弦挿入孔1eの開口部付近を角部とし、弦Sの巻き付け方向に延びているので、弦Sが弦挿入孔の開口部付近において鋭角に曲げられることにより、弦Sの張力の分力が弦Sを弦挿入孔1eに押し込む方向に作用し、弦Sが弦挿入孔1eから抜ける方向にスリップしにくくなる。その結果、弦Sの緩みが防止されることで、その張設状態を良好に維持することができ、したがって、弦Sの音高を安定化させ、調律を容易に行うことができる。
【0029】
さらに、巻付平面1fが1つのみであることで、巻付平面1fを形成することによる巻付部1cの断面積の減少が最小限に抑制されるので、チューニングピン1の強度および剛性の低下を抑制でき、それにより、チューニングピン1の破損や変形などの不具合を回避することができる。
【0030】
また、巻付平面1fの弦挿入孔1eと反対側の端部と巻付部1cの円周面との境界部には、緩やかな角部が形成され、この角部においても弦Sが曲げられるので、その分、弦Sがより強固に保持され、弦Sの張設状態をさらに良好に維持することができる。
【0031】
さらに、巻付平面1fが単純な矩形状に形成されているため、機械加工などによって巻付平面を既存のチューニングピンに追加工するだけで、チューニングピン1を容易に製作することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、弦挿入孔1eは、径方向に貫通しているが、その途中まで形成された非貫通孔として形成してもよい。また、図3には、巻付部1cに弦Sを4分の3周、巻いた状態を示しているが、巻数をそれ以上、増やしてもよいことはもちろんであり、巻き数が増えるほど、弦Sが通る角部の数がより多くなることによって、弦Sの張設状態をさらに良好に維持することができる。このことは、後述する第2および第3実施形態についても同様である。
【0033】
次に、図4を参照しながら、第2実施形態によるチューニングピン11を説明する。このチューニングピン11の巻付部11cには、弦挿入孔11eおよび2つの巻付平面11f,11fが形成されている。弦挿入孔11eは、前述した第1実施形態と同様、巻付部11cの上端部に径方向に貫通するように形成されている。
【0034】
2つの巻付平面11f,11fはそれぞれ、弦挿入孔11eの上側から、巻付部11cの途中まで下方に延びるとともに、弦挿入孔11eの両端の開口部付近をそれぞれ角部として、弦Sの巻き付け方向に周方向に延びる矩形状のものである。また、巻付平面11f,11fは、互いに同じ大きさおよび形状を有し、平行であり、各巻付平面11fの周方向に延びる辺は、第1実施形態と同様、弦挿入孔1eと鋭角をなし、各巻付平面11fの弦挿入孔1eと反対側の端部と巻付部1cの円周面との境界部には、それぞれ緩やかな角部が形成されている(図4参照)。
【0035】
このチューニングピン11によって弦Sを張設する際には、前述した第1実施形態の場合と同様にして、弦Sをセットするとともに、その一端部を、弦挿入孔11eの一方の開口部から他方の開口部付近まで挿入した後、チューニングピン11を時計回り方向に回転させる。これにより、弦Sは、弦挿入孔11eの開口部付近の角部において、鋭角に曲げられるとともに、各巻付平面11fの反対側の端部に形成された緩やかな角部において、鈍角に曲げられる。なお、巻付平面11f,11fは、弦挿入孔11eの両側にそれぞれ形成されているので、弦Sを弦挿入孔11eのどちらの開口部から挿入しても、それに対応する巻付平面11fによって、弦Sが同様に曲げられる。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、弦挿入孔11eの両開口部付近をそれぞれ角部とし、弦Sの巻き付け方向に延びる2つの巻付平面11f,11fが形成されているので、弦挿入孔11eの一方の開口部から挿入した弦Sが、それに対応する巻付平面11fによって、鋭角に曲げられることで、弦Sの張設状態を良好に維持でき、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、弦Sを弦挿入孔11eのどちらの開口部から挿入しても同じ効果が得られるので、弦Sの張設の作業性を向上させることができる。
【0037】
さらに、2つの巻付平面11f,11fが形成されていることで、各巻付平面11fの弦挿入孔11eと反対側の端部と巻付部11cの円周面との境界部に、それぞれ緩やかな角部が形成され、これらの角部においても弦Sが曲げられるので、その分、弦Sがより強固に保持され、弦Sの張設状態をさらに良好に維持することができる。
【0038】
次に、図5を参照しながら、第3実施形態によるチューニングピン21を説明する。このチューニングピン21は、その巻付部21cに、第2実施形態と同様の弦挿入孔21eおよび2つの巻付平面21f,21fに加えて、1つのガイド平面21gを形成したものである。
【0039】
このガイド平面21gは、2つの巻付平面21f,21fの互いに対向する一端部に連続し、巻付平面21f,21fに対して直角に延びている。その結果、ガイド平面21gと各巻付平面21fとの境界部には、直角の角部が形成されている(図5参照)。また、ガイド平面21gは矩形状で、巻付平面21fと同じ大きさを有している。
【0040】
このチューニングピン21によって弦Sを張設する際には、前述した第1および第2実施形態の場合と同様にして、弦Sをセットするとともに、その一端部を、弦挿入孔21eの一方の開口部から他方の開口部付近まで挿入した後、チューニングピン21を時計回り方向に回転させる。これにより、弦Sは、弦挿入孔21eの開口部付近において、鋭角に曲げられるとともに、巻付平面21fとガイド平面21gとの境界部の2つの角部において、直角に曲げられ、巻付平面21fの反対側の端部に形成された緩やかな角部において、鈍角に曲げられる。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、2つの巻付平面21f,21fに加えて、それらに連続するガイド平面21gが形成されていることで、各巻付平面21fとガイド平面21gとの境界部に形成された直角の角部においても、弦Sが曲げられるので、その分、弦Sがより強固に保持され、弦Sの張設状態をさらに良好に維持することができる。なお、実施形態では、ガイド平面21gは1つのみであるが、これと対向するガイド平面21gをさらに形成してもよい。
【0042】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、巻付平面1f、11f、21fは、巻付部1c,11c,21cの上部にのみ形成されているが、弦挿入孔1e,11e,21eの開口部付近を角部とし、弦Sの巻き付け方向に延びている限り、巻付部1c,11c,21cの上下方向の全体にわたって形成してもよい。また、実施形態では、巻付平面1f,11f,21fは、チューニングピン1,11,21の軸線と平行であるが、傾斜していてもよい。
【0043】
また、第2および第3実施形態では、2つの巻付平面11f,11f、21f,21fは、互いに同じ大きさおよび形状を有し、平行であるが、大きさや形状が異なってもよく、あるいは平行でなくてもよい。さらに、第3実施形態では、ガイド平面21gは、巻付平面21fと同じ大きさおよび形状を有し、巻付平面21fに対して直角に延びているが、2つの巻付平面21f,21fに連続する限り、巻付平面21fと大きさや形状が異なってもよく、斜めに延びていてもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0044】
また、実施形態は、グランドピアノの例であるが、本発明は、他のタイプのピアノ、例えばアップライトピアノはもとより、グランド型またはアップライト型の消音ピアノや自動演奏ピアノに適用してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 チューニングピン
1c 巻付部
1e 弦挿入孔
1f 巻付平面
2 グランドピアノ(ピアノ)
3 フレーム(ピアノ本体)
11 チューニングピン
11c 巻付部
11e 弦挿入孔
11f 巻付平面
21 チューニングピン
21c 巻付部
21e 弦挿入孔
21f 巻付平面
21g ガイド平面
S 弦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピアノ本体に設けられ、弦を巻き付けることによって張設するためのピアノのチューニングピンであって、
前記ピアノ本体に埋設される基部と、
当該基部の上側に配置され、前記弦を挿入するための径方向に延びる弦挿入孔を有し、前記弦を巻き付けるための巻付部と、を備え、
当該巻付部には、前記弦挿入孔の開口部付近を角部とし、前記弦の巻き付け方向に延びる少なくとも1つの巻付平面が形成されていることを特徴とするピアノのチューニングピン。
【請求項2】
前記巻付平面は、前記弦挿入孔の開口部付近を角部とする1つの巻付平面で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のピアノのチューニングピン。
【請求項3】
前記弦挿入孔は前記巻付部の径方向に貫通しており、
前記巻付平面は、前記弦挿入孔の両端の開口部付近をそれぞれ角部とし、前記弦の巻き付け方向に延びる2つの巻付平面で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のピアノのチューニングピン。
【請求項4】
前記巻付部には、前記2つの巻付平面に連続するガイド平面がさらに形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のピアノのチューニングピン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−73339(P2012−73339A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217055(P2010−217055)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)