説明

ピエゾ抵抗器高さ検知カンチレバー

カンチレバーが窒化ケイ素または炭化ケイ素を含み、かつピエゾ抵抗器がドープ(doped)ケイ素を含む、少なくとも一つの該ピエゾ抵抗器を備える少なくとも一つの該カンチレバーを備える装置が記載される。そのような装置を製造および使用するための方法も提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、それぞれ全体が参照により組み入れられる、2008年5月13日出願の米国仮特許出願第61/052,864号、および2009年4月8日出願の米国仮特許出願第61/167,853号の恩典を主張する。
【0002】
政府資金援助
本明細書に記載の特許請求される本発明は、NIH SBIR基金助成金第2 R33 HG002978-02号を用いて開発された。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
ケイ素は、走査型プローブ顕微鏡および原子間力顕微鏡等の器械に適合化されたカンチレバーの製造に関して、頻繁に使用されている。カンチレバーは、リソグラフィーおよび表面トポグラフィー走査等の用途に関して、その近接末端で探針(tip)を提供するアームとして作用するのみならず、基質表面とカンチレバー自体との距離を検出する検知機構をも提供し得る。例えば、M. Tortonese et al., Appl. Phys. Lett. 62 (1993), pp.834-836(非特許文献1);T.Albrecht et al.に付与された米国特許第5,595,942号(特許文献1)を参照のこと。より最近では、そのようなケイ素ベースの装置中に、ピエゾ抵抗器が組み入れられている。例えば、R. Jumpertz, et al., In Proceedings, European Solid-State Device Research Conference (ESSDRC), pp. 680-683 (1997)(非特許文献2);F. Goericke et al., Sensors and Actuators A143 (2008), pp. 181-190(非特許文献3);A. Gaitas, “Novel single cell disease markers with a hybrid AFM scanning piezothermal probe.” NIH助成金1R43GM084520-01, 2008年5月15日を参照のこと。
【0004】
ケイ素は導電体であるため、カンチレバーの基材としてケイ素を使用することの一つの重要な欠点とは、プローブおよびカンチレバーの電気的荷電ならびに、装置内の静電界制御の欠如である。とりわけ、生物学的材料を検知するためまたはリソグラフィーを使用して基板上に生物学的材料を蒸着するために生物学的材料の適用を要する場合、制御されない電界の存在および他の電気的荷電機構の存在は、適用に対して不都合な影響を与える。
【0005】
さらに、ピエゾ応答を最大化するために、通常利用可能なピエゾ抵抗器では、軽度ドープ(lightly-doped)ケイ素または真性ケイ素を利用することが多い。しかしながら、軽度ドープケイ素設計は大きなピエゾ応答を提供し得るが、温度補償(往々にして困難である)が必要になるという欠点を被り得ることも、当技術分野において一般的に公知である。例えば、Y. Kanda, “IEEE Trans. Elec. Dev. ED-29, pp. 64-70(1982) (非特許文献4)を参照のこと。
【0006】
したがって、カンチレバーの設計に関して、より良好な高さ検知機構を提供する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,595,942号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】M. Tortonese et al., Appl. Phys. Lett. 62 (1993), pp.834-836
【非特許文献2】R. Jumpertz, et al., In Proceedings, European Solid-State Device Research Conference (ESSDRC), pp. 680-683 (1997)
【非特許文献3】F. Goericke et al., Sensors and Actuators A143 (2008), pp. 181-190
【非特許文献4】Y. Kanda, “IEEE Trans. Elec. Dev. ED-29, pp. 64-70(1982)
【発明の概要】
【0009】
概要
装置、機器、組成物、これを作製する方法、およびこれを使用する方法が、本明細書において提供される。
【0010】
一つの態様は、少なくとも一つのカンチレバーが窒化ケイ素または炭化ケイ素を含み、少なくとも一つのピエゾ抵抗器が該少なくとも一つのカンチレバー上に配置され、かつ該少なくとも一つのピエゾ抵抗器がケイ素および少なくとも一つのドーパントを含む、該少なくとも一つのピエゾ抵抗器を備える該少なくとも一つのカンチレバーを備える装置を提供する。
【0011】
別の態様は、ハンドルウェハー中に少なくとも一つのピエゾ抵抗器を形成する段階、該ハンドルウェハー上に配置される少なくとも一つのカンチレバーを形成する段階、該少なくとも一つのピエゾ抵抗器を該少なくとも一つのカンチレバーに接触させるのに十分な時間に渡って該ハンドルウェハーをアニーリングする段階、ならびに組み合わせられた該少なくとも一つのピエゾ抵抗器と該少なくとも一つのカンチレバーを、残りの該ハンドルウェハーの少なくとも一部から分離させる段階を含む方法を提供する。
【0012】
また別の態様は、少なくとも一つのピエゾ抵抗器の少なくとも一つの抵抗を測定する段階、それらの測定値から最大抵抗または最小抵抗を決定する段階、該最大抵抗または最小抵抗の位置に対応する特定の位置を決定する段階、および探針たわみを算出する段階を含む方法を提供する。
【0013】
また別の態様は、少なくとも一つのひずみゲージの少なくとも一つの抵抗を測定する段階、それらの測定値から最大抵抗または最小抵抗を決定する段階、該最大抵抗または最小抵抗の位置に対応する特定の位置を決定する段階、および探針たわみを算出する段階を含む方法を提供する。
【0014】
少なくとも一つの態様の少なくとも一つの利点として、静電界に対する制御向上が挙げられる。
【0015】
少なくとも一つの態様の少なくとも一つの利点として、測定されるシグナルにおける電気的ノイズの減少が挙げられる。
【0016】
少なくとも一つの態様の少なくとも一つの利点として、生物学的材料との適合性の向上が挙げられる。
【0017】
少なくとも一つの態様の少なくとも一つの利点として、温度変化に対する回復力の増大が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一つの態様における、ハンドルウェハー中のホウ素の深度方向の濃度プロファイルを示す。
【図2A】ピエゾ抵抗器設計を伴う様々なカンチレバーの光学像を示す。「ツイスト」センサを伴うカンチレバーを示す。
【図2B】ピエゾ抵抗器設計を伴う様々なカンチレバーの光学像を示す。カンチレバー末端における「ツイスト」センサの近接像を示す。
【図2C】ピエゾ抵抗器設計を伴う様々なカンチレバーの光学像を示す。参照「ツイスト」センサの近接像を示す。
【図2D】ピエゾ抵抗器設計を伴う様々なカンチレバーの光学像を示す。一般的なパッドおよびダイ型(die)設計の画像を示す。
【図2E】ピエゾ抵抗器設計を伴う様々なカンチレバーの光学像を示す。長い長軸方向センサは、カンチレバーに接触しない。
【図2F】ピエゾ抵抗器設計を伴う様々なカンチレバーの光学像を示す。短い長軸方向センサは、カンチレバーに接触する。
【図2G】ピエゾ抵抗器設計を伴う様々なカンチレバーの光学像を示す。長軸方向センサは、カンチレバーに接触しない。
【図2H】ピエゾ抵抗器設計を伴う様々なカンチレバーの光学像を示す。サーマル能動ペンヒーターワイヤー(thermal active pen heater wire)を伴う一体型長軸方向センサは、カンチレバーに接触しない。
【図2I】ピエゾ抵抗器設計を伴う様々なカンチレバーの光学像を示す。ウェハー接合前の「ツイスト」センサを示す。
【図2J】ピエゾ抵抗器設計を伴う様々なカンチレバーの光学像を示す。ウェハー接合前の、カンチレバーに接触した長い長軸方向センサの近接像を示す。
【図3A】一つの態様における製造手順のプロセスフローチャートの概略図を提供する。
【図3B】一つの態様における製造手順のプロセスフローチャートの概略図を提供する。
【図3C】一つの態様における製造手順のプロセスフローチャートの概略図を提供する。
【図3D】一つの態様における製造手順のプロセスフローチャートの概略図を提供する。
【図3E】一つの態様における製造手順のプロセスフローチャートの概略図を提供する。
【図3F】一つの態様における製造手順のプロセスフローチャートの概略図を提供する。
【図3G】一つの態様における製造手順のプロセスフローチャートの概略図を提供する。
【図3H】一つの態様における製造手順のプロセスフローチャートの概略図を提供する。
【図3I】一つの態様における製造手順のプロセスフローチャートの概略図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本明細書に引用される全ての参考文献は、その全体が参照により組み入れられる。
【0020】
序論
本明細書に記載される様々な態様の実施に関して、直記式印刷およびパターン形成のための、リソグラフィー器械、マイクロリソグラフィー器械およびナノリソグラフィー器械、ペンアレイ、能動ペン、受動ペン、インク、パターン形成化合物、キット、インク送達、ソフトウェアならびにアクセサリーは、NanoInk, Inc., Chicago, ILから入手可能である。器械は、NSCRIPTORを備える。ソフトウェアは、INKCADソフトウェア(NanoInk, Chicago, IL)を包含し、リソグラフィー設計および制御に関するユーザーインタフェースを提供する。環境制御のために、Eチャンバーが使用され得る。Dip Pen Nanolithography(商標)およびDPN(商標)は、NanoInk, Inc.の商標である。
【0021】
カンチレバー、探針、およびパターン形成化合物の使用を伴う直記式印刷に関連する以下の特許および同時係属中の特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられ、インク、パターン形成化合物、ソフトウェア、インク送達装置等を含む本明細書に記載の様々な態様の実施において使用され得る。
【0022】
インク、探針、基板、および他の器械のパラメーターならびにパターン形成方法を含むDPN印刷の基礎的な局面を記載した、Mirkinらに付与された米国特許第6,635,311号。
【0023】
ソフトウェア制御、エッチング手順、ナノプロッタおよび複合的かつコンビナトリアルアレイ形成を含むDPN印刷の基礎的な局面をさらに記載した、Mirkinらに付与された米国特許第6,827,979号。
【0024】
DPN印刷のアパーチャ態様および駆動力態様を記載した、2002年9月5日公開の米国特許公開第2002/0122873 A1号(“Nanolithography Methods and Products Produced Therefor and Produced Thereby”)。
【0025】
DPN印刷に関するアラインメント方法を記載した、Ebyらに付与された米国特許第7,279,046号(“Methods and Apparatus for Aligning Patterns on a Substrate”)。
【0026】
DPN印刷に関する補正方法を記載した、Dupeyratらに付与された米国特許第7,060,977号(“Nanolithographic Calibration Methods”)。
【0027】
タンパク質およびペプチドのナノアレイを記載した、2003年4月10日公開のMirkinらの米国特許公開第2003/0068446号(“Protein and Peptide Nanoarrays”)。
【0028】
核酸を記載した、Mirkinらに付与された米国特許第7,361,310号(“Direct-Write Nanolithographic Deposition of Nucleic Acids from Nanoscopic Tips”)。
【0029】
反応性パターン形成およびゾルゲルインクを記載した、Mirkinらに付与された米国特許第7,273,636号(“Patterning of Solid State Features by Direct-Write Nanolithographic Printing”)(第2003/0162004号として2003年8月28日に公開されている)。
【0030】
能動ペンアレイを記載した、Liuらに付与された米国特許第6,642,129号および同第6,867,443号(“Parallel, Individually Addressable Probes for Nanolithography”)。
【0031】
2003年1月9日公開のSchwartsの米国特許公開第2003/0007242号(“Enhanced Scanning Probe Microscope and Nanolithographic Methods Using Same”)。
【0032】
2003年1月9日公開のSchwartsの米国特許公開第2003/0005755号(“Enhanced Scanning Probe Microscope”)。
【0033】
触媒ナノ構造およびカーボンナノチューブの用途を記載した、Demersらに付与された米国特許第7,093,056号。
【0034】
タンパク質の印刷および伝導ポリマーをそれぞれ記載した、Cruchon-Dupeyratらに付与された米国特許第7,199,305号およびMirkinらに付与された米国特許第7,102,656号。
【0035】
パターン形成化合物として伝導性材料を記載した、Crockerらに付与された米国特許第7,005,378号。
【0036】
フォトマスクリペアを含むマスク適用を記載した、2004年9月9日に第2004/0175631号として公開された、2003年10月21日出願の米国特許出願第10/689,547号。
【0037】
マイクロフルイディクスおよびインク送達を記載した、Cruchon-Dupeyratらに付与された米国特許第7,034,854号。
【0038】
ペプチドおよびタンパク質の印刷を記載した、2005年1月13日に第2005/0009206号として公開された、2004年3月1日出願の米国特許出願第10/788,414号。
【0039】
ROMP法およびコンビナトリアルアレイを記載した、Mirkinらに付与された米国特許第7,326,380号。
【0040】
スタンプ探針またはポリマーコート探針の適用を記載した、Zhangらに付与された米国特許第7,491,422号。
【0041】
探針のないカンチレバーおよび平版パネルディスプレイ探針を記載した、2005年10月27日に第2005/0235869号として公開された、2005年2月25日出願の米国特許出願第11/065,694号。
【0042】
DPN法により作製されたナノ構造のエッチングを記載した、2006年1月19日公開の米国特許公開第2006/001,4001号。
【0043】
接触印刷のための走査型プローブを記載した、2004年12月2日公開のLiuおよびMirkinの国際公開公報第2004/105046号。
【0044】
2005年11月8日公開のShileらの米国特許出願“Active Pen Nanolithography”第11/268,740号は、例えば、熱圧着接合およびケイ素ハンドルウェハーを記載する。
【0045】
DPN法はまた、ハイスループット並列法の記載を含むGingerらの“The Evolution of Dip-Pen Nanolithohraphy,”Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 30-45においても記載される。Salaitaらの“Applications of Dip-Pen Nanolithography,”Nature Nanotechnology, 2007, Advanced On-line publication(11ページ)も参照のこと。
【0046】
DPN印刷およびパターン転送法を含む直記式方法は、例えば、Direct-Write Technologies, Sensors, Electronics, and Integrated Power Sources, Pique and Chrisey (Eds), 2002中に記載される。
【0047】
本明細書に記載される直記式ナノリソグラフィー器械および方法は、ペプチド、タンパク質、核酸、DNA、RNA、ウイルス、生体分子等に基づくバイオアレイ、ナノアレイおよびマイクロアレイの調製における使用に関して、特に関心対象となる。例えば、探針およびライブラリーの大量製造に関する米国特許第6,787,313号を;ピペットチップを備える自動化された分子生物学実験室に関する同第5,443,791号を;薬学的用途における分子アレイの自動合成のための機器に関する同第5,981,733号を参照のこと。コンビナトリアルアレイが調製され得る。例えば、Hendersonらに付与された、米国特許第7,008,769号;同第6,573,369号および同第6,998,228号も参照のこと。
【0048】
走査型プローブ顕微鏡は、Bottomley, Anal. Chem., 1998, 70, 425R-475Rにおいて概説されている。また、例えば米国特許第5,705,814号(Digital Instruments)において記載されたようなプローブ交換機構を備えた走査型プローブ顕微鏡は、当技術分野において公知である。
【0049】
マイクロファブリケーション法は、例えば、Madou, Fundamentals of Microfabrication, 2nd Ed., 2002においておよび同じくVan Zant, Microchip Fabrication, 5th Ed., 2004においても記載されている。
【0050】
例えば、その全体が参照により組み入れられるMirkinらに付与された米国特許第6,827,979号も参照のこと。
【0051】
Liuらによる米国特許公開第2003/0022470号および同第2006/0228873号は、カンチレバー製造方法を記載している。
【0052】
King、Sheehanらによる米国特許公開第2006/0040057号は、サーマルDPN印刷方法を記載する。
【0053】
カンチレバー
一部の態様は、一つまたは複数のカンチレバーを備えた装置を含む。一部のカンチレバーは、顕微鏡寸法のものであってもよい。一部のカンチレバーは、ナノスコープ(nanoscope)寸法のものであってもよい。一部のカンチレバーは、原子間力顕微鏡、走査型顕微鏡またはナノスコープ等の装置において使用されてもよい。一部のカンチレバーは、材料を表面上に蒸着させ、表面の局所的な高さを測定し、表面の局所的な加熱または冷却を遂行する等のために使用されてもよい。
【0054】
一部の態様において、カンチレバーは窒化ケイ素を含んでもよい。あるいは、それらは炭化ケイ素を含んでもよい。これらの材料は、高い耐摩耗性を有する強固な多結晶セラミックスである。窒化ケイ素および炭化ケイ素はどちらも、電気的絶縁体である。これらの材料から作製されたカンチレバーは、ケイ素カンチレバーがそうであるように、電気的に荷電されるようにはならない。これらのカンチレバーにおける静電界に対する制御は、ケイ素で作製したカンチレバーよりも向上する。これらの材料は化学的に不活性でもあるため、該材料から作製されたカンチレバーをまた、生物学的材料と共に使用してもよい。窒化ケイ素は、炭化ケイ素よりもより容易に入手可能であり得る。
【0055】
いくつかのカンチレバーをアレイで構成してもよい。そのようなアレイは、一次元であってもよい。一部のアレイは、二次元以上であってもよい。一部の態様において、カンチレバーは二次元アレイで構成される。
【0056】
支持構造体
一部のカンチレバーは、支持構造体またはハンドルウェハーによって支持されてもよい。その全体が参照により本明細書に組み入れられる2007年3月23日出願のMirkinらによる米国正規出願番号第11/690738号は、支持構造体を記載している。一部の支持構造体は、不透明であってもよい。それらは、実質的に不透明な材料から、または実質的に不透明にされた透明な材料から製造されてもよい。例えば、透明なホウケイ酸ガラスの表面をスクラッチしても、エッチングしても、ザラザラにしても(roughened)、またはそれ以外の方法で実質的に不透明になるように改変してもよい。
【0057】
一部の支持構造体は、ホウケイ酸ガラスに対していくつかの利点を有する単結晶ケイ素から製造してもよい。ホールエッチングは、より簡易で、かつより安価である可能性がある。表面のでこぼこに起因する、カンチレバーを支持構造体へ接合させる場合の難点も、回避され得る。また単結晶ケイ素は、より簡易なエッチング制御も提供する可能性がある。あるいは、一部の支持構造体は、多結晶ケイ素から製造されてもよい。
【0058】
探針
一部のカンチレバーは、一つまたは複数の探針を含んでもよい。一部の探針は、カンチレバーの他の部分と同一材料を含んでもよい。一部の態様において、探針は、カンチレバーの他の部分と異なる材料を含んでもよい。
【0059】
一部の態様において、探針を加熱することが可能であってもよい。加熱は、誘導加熱、共鳴加熱、抵抗加熱等により達成されてもよい。カンチレバーが窒化ケイ素または炭化ケイ素等の断熱材料を含む場合、探針は、そのような加熱済探針から取り出されたカンチレバー上の位置の温度よりも実質的に高い温度で維持されてもよい。
【0060】
一部の探針は、カンチレバーの他の部分より下方に延びていてもよい。そのような探針は、カンチレバーよりも下方の表面に接触してもよい。一部の探針は、表面由来の物質を利用してもよく、または表面に物質を蒸着させてもよい。一部の探針は、表面または表面上の物質を加熱してもよい。一部の探針は、表面または表面上の物質によって加熱されてもよい。そのような探針は、サーマル能動ペン等の用途における使用に関して有用である。
【0061】
一部の探針は、走査用探針であってもよい。そのような探針は、そのカンチレバー下方の表面または表面上の物質の特徴を検出するために使用されうる。そのような特徴は、高さ、局所的な化学組成物等の、局所的物理的な寸法を包含してもよい。
【0062】
一部の探針は、原子間力顕微鏡探針等の顕微鏡探針であってもよい。一部の探針は、ナノスコープ探針であってもよい。他の変形は、当業者によって理解されると考えられる。
【0063】
ピエゾ抵抗器
一部のカンチレバーは、一つまたは複数のピエゾ抵抗器を含んでもよい。ピエゾ抵抗器とは、ピエゾ電気材料から作製される抵抗器である。機械的応力に供されると、そのような材料の抵抗は変化する。ピエゾ電気材料の例は、ゲルマニウム、多結晶ケイ素、非晶質ケイ素、炭化ケイ素、および単結晶ケイ素等を含むが、これらに限定されない。
【0064】
ピエゾ抵抗器は、重度ドープケイ素を含んでもよい。ケイ素は、単結晶ケイ素であってもよく、多結晶ケイ素であってもよい。好ましいドーパントは、ホウ素である。ホウ素で重度ドープされたケイ素を含むピエゾ抵抗器は、温度変化に対して実質的に非感受性である可能性がある。そのようなピエゾ抵抗器は、軽度ドープケイ素または真性ケイ素を使用するその他の設計(これらは温度変化に対してより感受性が高い)で一般的に直面する、温度補償の困難さを克服し得る。そのようなピエゾ抵抗器はまた、今まで探求されていないピエゾ容量(piezocapacitive)構造の調査も可能にし得る。
【0065】
一部の態様において、そのようなピエゾ抵抗器は、カンチレバーの機械的特性に実質的に影響を及ぼすことなく(探針たわみに関連する)ピーク応力を測定することが可能な位置で、カンチレバー上に直接配置してもよい。これにより、代替的設計と比較して、測定される応力の忠実度が向上し得る。
【0066】
一部の態様において、ピエゾ抵抗器は、二つの能動ピエゾ抵抗器および二つの参照ピエゾ抵抗器からなる、ホイートストンブリッジ(Wheatstone bridge)を備えてもよい。好ましい態様において、参照ピエゾ抵抗器は、カンチレバー上に直接配置される。参照ピエゾ抵抗器が能動ピエゾ抵抗器にごく近接して配置されるそのような場合において、電気的ノイズは、参照ピエゾ抵抗器が遠方に位置付けられているブリッジと比較して漸減する。(例えば、参照ピエゾ抵抗器なしで遠方のピエゾ抵抗器を使用するF. Goericke et al., Sensors and Actuators A143 (2008), pp. 181-190における設計などを参照されたい。)
【0067】
カンチレバー上のピエゾ抵抗器の数は、一つに限定される必要はない。例えば、一つの態様において、単一のカンチレバー上に複数のピエゾ抵抗器を配置できる。この設計により、単一のカンチレバー上に、完全ホイートストンブリッジの二本の足を製造することができる。
【0068】
高さ検知
カンチレバーに関連する二つの基礎的な作業とは、表面上の特定の位置に探針を設置すること、および該表面に対する探針の垂直変位(高さ)を決定することである。両作業には、カンチレバーの動きを指示するアクチュエータに対する探針の位置の認識を必要とする。そのような認識は完全ではなく、いくつかの不確定性によって変化する。
【0069】
不確定性の一つの原因は、温度変化に応じて材料が膨張・収縮するという事実である。材料の反応はそれらの熱膨張係数によって特徴付けられ、これは組成に応じて相違すると考えられる。例えばカンチレバーとその探針において異なる材料が使用される場合、この不確定性は複雑化する。不確定性の別の原因は、製造の際に導入され得るビルトイン(built-in)応力の存在であり、これにより、温度変化に応じたねじれ回転がもたらされ得る。不確定性のさらに別の原因は、製造の際の材料の事実上の物理的屈曲またはひねりであり、これによりさらなる予想外の位置オフセットが装置にもたらされる。
【0070】
顕微鏡サイズスケールまたはナノスコープサイズスケールで操作するカンチレバーは小さなスケールを必要とするため、設計および製造の際のそのような不確定性を減少させることが重要である。カンチレバー操作の際に、リアルタイムで探針位置の変化を検出できることもまた、有用である。一部の態様において、一つまたは複数の探針の位置の変動のリアルタイム検出を可能にするため、ピエゾ抵抗器を備えた一つまたは複数のひずみゲージセンサをカンチレバー上に製造してもよい。カンチレバー上の複数のピエゾ抵抗器の使用によって、探針たわみに関連する最大応力の位置を検出することが可能である。
【0071】
代替的なひずみゲージ設計は、カンチレバー上に製造される金属層を含む。クロム、ニッケル-クロム合金、銅-ニッケル合金、白金、および白金-タングステン合金等の金属が使用されてもよい。一部の態様において、金属層は、カンチレバーの長さに沿った蛇行構造を含んでもよい。一部の好ましい態様において、そのような蛇行構造は、カンチレバーの二つの対向側面上に製造される。そのような構成が半ホイートストンブリッジを構成すると、ゲージの感度を倍加し得、かつ電気的ノイズを減少させ得る。また、ひずみゲージ材料の抵抗の熱係数によってまたは局所的熱源もしくはシンク(sink)の存在によって導入される効果など、両構造に影響を及ぼすと考えられる効果の電気的解除も可能にする。
【0072】
これらのピエゾ抵抗器および金属ひずみゲージは、任意で、レーザー蛍光分析等の他の探針追跡法と組み合わせて使用されてもよい。
【0073】
表面との接触によって探針がたわむ場合、カンチレバー材料の応力とひずみの間の関係のために、接触力はピエゾ抵抗器またはひずみゲージから測定される抵抗より推定され得ることに注意されたい。
【0074】
カンチレバー、探針、ひずみゲージの製造
カンチレバーの調製において、一つの態様は、一つまたは複数の探針を備えたひずみゲージ構造を含むカンチレバーを提供し、該カンチレバーは(i)ケイ素上に二酸化ケイ素層を含む酸化ケイ素ウェハーを提供する段階、(ii)少なくとも二つの探針の形成に適合化されたエッチング開口部を生成するように、二酸化ケイ素層をパターン形成する段階、(iii)異方的にケイ素ウェハーをエッチングする段階、(iv)カンチレバーを形成するように窒化ケイ素を蒸着させて、パターン形成する段階、および(v)任意で、カンチレバーをハンドルウェハーに接合させる段階によって調製される。
【0075】
ペンの製造は、1990年代にQuateのグループによって開発され(1、2)、かつ様々なDPNペンシステムを作製するためにNanoInkにより使用されたのと同一の基本プロセスフローを用いて実施され得る。一つの態様において、このプロセスは、酸化ケイ素表面上に一つまたは複数の正方形開口部をパターン形成するための、極めて正確に電子ビーム描画されたマスクから開始し、これが一つまたは複数の探針になる。開口部は、任意のサイズであり得る。例えばこれは、約1ミクロン〜約60ミクロンの間、例えば約2ミクロン〜約50ミクロンの間であり得る。一つまたは複数の開口部のサイズは、互いに同一であっても、異なってもよい。二つ以上の開口部が使用される場合、窒化物において機械的な芯(stiffener)を形成するように、複数の穴の間にv字トレンチをパターン形成してもよい。
【0076】
続いて、KOHエッチング溶液中にウェハーを浸漬して、基本的な探針鋳型および任意のv字トレンチを形成するためにケイ素ウェハー中に角錐形のピットを異方的にエッチングする。次にマスクした酸化物を除去し、950℃で360分間に渡ってウェハーを再度酸化して、約3900Åの酸化ケイ素を生成する。この時点および温度で、ピット底部の酸化物の生成が妨げられ、したがってキャストフィルムをこのピット中に蒸着させると、探針の鋭度が10 nmまたはより小さい探針半径に近づき得る。探針サイズの最大限度を課す必要はない。例えば、探針サイズは、ピットサイズを増加させることによって増加され得る。
【0077】
続いて、低応力勾配を有する窒化ケイ素を鋳型ウェハー上に蒸着させて、カンチレバーを形成させることができる。一つの態様において、窒化物の厚さは約600 nmである。したがって、この厚さおよび幅25μmおよび長さ200μmにより、この態様における長方形カンチレバーは約0.04 N/mのバネ定数を有し得る。これは、コンタクトモードのAFMプローブに関して通常使用されかつDPNに対し非常に良好に作用し得る値であるが、他のバネ定数を得てもよくかつ使用してもよい。いずれの特定の理論に拘束されるわけではないが、所定の厚さtに関して、広範なバネ定数Kを得ることができる(K=Ewt3/4L3、式中、Eは構築物の材料に依存しうる)ように、バネ定数は、幅wおよび第三の力である長さLに伴い直線的に変化する。一つの代替的態様において、窒化物の厚さはまた、バネ定数のより大きな変動を有するようにバッチベースで変化し得る。例えば、カンチレバーに関する400 nm〜1000 nmの窒化物の厚さ(バネ定数は0.0015〜1 N/m超の範囲内)が、別の用途に関してNanoInkにより使用される。
【0078】
カンチレバーおよび接合領域を形成させるために、窒化物を酸化して、パターン形成し、かつエッチングすることができる。一つの態様において、ホウケイ酸ガラスウェハーを、パターン形成された窒化物ウェハーに対してさらに陽極接合させてもよい。各ダイに対する個々の保持(holder)探針を形成するようにダイシングソーを用いてホウケイ酸ガラスをスクライブした後、探針鋳型ウェハーをエッチングして分離し、窒化物カンチレバーを、NanoInkのNSCRIPTOR(商標)での使用に備えて、ホウケイ酸ガラス探針に付着したままにする。
【0079】
窒化物をパターン形成した後、リフトオフのためにフォトレジスト層をパターン形成し、ひずみゲージ金属を蒸着させ、続いて窒化物ウェハーをリフトオフする。窒化物層をハンドルウェハーに接合する第二のレジストパターンを加える。その後、クロム、白金、および金を蒸着させて、リフトオフする。パターン形成されたハンドルウェハー上に同様のCr/Pt/Au層を蒸着させてもよく、続いて金熱圧着接合等のプロセスにおいて熱および温度を使用して、二つのウェハーを整列させて接合する。次に、鋳型ウェハーが取り外され、ハンドルウェハーが分離して個々のダイとなるように、水酸化テトラメチルアンモニウム中でウェハーをエッチングすることができる。
【0080】
ピエゾ抵抗器の製造
ピエゾ抵抗器は、(i)ハンドルウェハー中に少なくとも一つのピエゾ抵抗器を形成する段階;(ii)該ハンドルウェハー上に配置される少なくとも一つのカンチレバーを形成する段階;(iii)各ピエゾ抵抗器の少なくとも一部がカンチレバーに付着するように、該ハンドルウェハーをアニーリングする段階;ならびに(iv)少なくとも該カンチレバーと該ピエゾ抵抗器が残るように、該ハンドルウェハーを選択的に取り外す段階を含むプロセスによって、製造されてもよい。
【0081】
ケイ素は、ホウ素等のn型ドーパントでドープされ得る。ホウ素の濃度は、例えば0.5×1020原子/cm3超、例えば少なくとも3×1020原子/cm3であり得る。ドーパントの用量は、厚さに伴い変動し得る。例えば、厚さが約2ミクロンである一つの態様において、用量は、約5×1016原子/cm2であり得る。イオン注入または拡散によって、ドーパントをケイ素中に導入できる。イオン注入が利用される一つの態様において、イオン注入を150 keVで遂行し得る。
【0082】
一部の態様において、一部のピエゾ抵抗器は、ケイ素ハンドルウェハーの望ましくない部分を取り外すために使用される後続のKOHエッチングのためのエッチストップを設けるのに役立ち得る。他の態様において、ホウ素で重度ドープされたケイ素の使用は、エッチング時間がより長くても、例えばエッチング時間が倍増しても、構造体の抵抗が実質的に一定であり続けるのを確実にすることを支援しうる。そのような構造体の電気的性質および機械的性質は、プロセス変化に対する回復力が高い。
【0083】
一つの態様において、上述の酸化プロセス等により探針を鋭敏化した後、窒化ケイ素のウェハーまたは層を探針およびハンドルウェハー上に蒸着させ得る。一つの態様において、探針の鋭敏化後、約0.1ミクロン〜約0.4ミクロン、例えば約0.22ミクロンのケイ素ハンドルウェハーを消費した。窒化ケイ素は、後にカンチレバーになり得る。あるいは、炭化ケイ素を蒸着させてもよい。続いて、新規に形成されたカンチレバーおよび探針を伴うハンドルウェハーをアニーリングしてもよい。任意の適切なアニーリング条件を適用できる。カンチレバーが窒化ケイ素を含む態様において、アルゴン雰囲気下、約1000℃で構造体をアニーリングする。
【0084】
アニーリングの際に、ハンドルウェハー中に注入されたドーパントは移動する可能性がある。したがって、アニーリング時間は一般に、ウェハー中のドーパントの深度方向の濃度に影響を及ぼすと考えられる。ドーパントは、アニーリング前にカンチレバーに接触していなくてもよいが、アニーリングの間に濃度プロファイルが広がり、ウェハーとカンチレバーとの界面に到達し得、最終的にカンチレバーと接触する。図1に示されるように、ドーパント濃度は、注入時の試料中では特定の深度に制限され、アニーリングの2時間後またはさらに3時間後までは、ドーパントのプロファイルが所望の深度に広がることはない。この態様において、3×1020原子/cm3で注入されたドーパントは、アルゴン中約1000℃で3時間のアニーリング後、約0.22μm〜約0.6μm、平均約0.4μmの深度まで広がる。
【0085】
図2A〜2Jは、様々な態様のピエゾ抵抗器設計を示す。図中に見られるように、カンチレバーは、アレイの形態であり得る。これらは、様々な方向からの力を検出するために使用され得る。例えば、「ツイスト」センサとは、ねじれ力を検出し得る一つのセンサを指す。同様に、ピエゾ抵抗器は、横方向または軸方向の力を検出するために使用され得る。
【0086】
参考文献
(1)T.R. Albrecht, S. Akamine, T.E. Carver, and C.F. Quate, “Microfabrication of cantilever styli for the atomic force microscope,” J. Vac. Sci. Technol. A, Vac. Surf. Films (USA), 1990
(2)S. Akamine, and C.F. Quate, “Low temperature oxidation sharpening of microcast tips,” J. Vac. Sci. Technol B., vol. 10, No. 5, Sep/Oct 1992。
【実施例】
【0087】
非限定的実施例
ピエゾ抵抗器製造手順を用いたサーマル能動ペン
手順の概略フローチャートを図3A〜3I中に提供する。
1)開始材料(窒化物およびハンドルウェハー)
2)洗浄(窒化物ウェハー)
3)酸化(窒化物ウェハー)
4)洗浄(窒化物ウェハー)
5)探針リソグラフィー(窒化物ウェハー)
6)デスカム
7)酸化物エッチング(窒化物ウェハー)
8)レジスト除去/洗浄(窒化物ウェハー)
9)ピエゾ抵抗器注入リソグラフィー(窒化物ウェハー)
10)ピエゾ抵抗器注入(窒化物ウェハー)
11)探針エッチング(窒化物ウェハー)
12)KOH残渣の取り出し(窒化物ウェハー)
13)酸化物除去(窒化物ウェハー)
14)洗浄(窒化物ウェハー)
15)酸化(窒化物ウェハー)
16)リソグラフィーの鋭敏化(窒化物ウェハー)
17)検査(窒化物ウェハー)
18)酸化物エッチング(窒化物ウェハー)
19)レジスト除去/洗浄
20)窒素ケイ素蒸着(窒化物ウェハー)
21)ピエゾ抵抗器アニーリング/打ち込み(drive-in)(窒化物ウェハー)
22)カンチレバーリソグラフィー(窒化物ウェハー)
23)前面窒化物エッチング(窒化物ウェハー)
24)裏面リソグラフィー(窒化物ウェハー)
25)裏面窒化物エッチング(窒化物ウェハー)
26)レジスト除去/洗浄
27)アクチュエータリソグラフィー(窒化物ウェハー)
28)デスカム(窒化物ウェハー)
29)金属蒸着(窒化物ウェハー)
30)金属リフトオフ(窒化物ウェハー)
31)洗浄(ハンドルウェハー)
32)ハンドル凹部リソグラフィー(ハンドルウェハー)
33)ケイ素エッチング(ハンドルウェハー)
34)レジスト除去および洗浄(ハンドルウェハー)
35)酸化(ハンドルウェハー)
36)洗浄(ハンドルウェハー)
37)TMAH保護リソグラフィー(ハンドルウェハー)
38)酸化物エッチング(ハンドルウェハー)
39)レジスト除去および洗浄(ハンドルウェハー)
40)ハンドル金属リソグラフィー(ハンドルウェハー)
41)デスカム(ハンドルウェハー)
42)金属蒸着(ハンドルウェハー)
43)金属リフトオフ(ハンドルウェハー)
44)洗浄(窒化物ウェハーおよびハンドルウェハー)
45)カンチレバー/アクチュエータウェハーに対するハンドルウェハーの整列および接合(窒化物ウェハーおよびハンドルウェハー)
46)ケイ素エッチング(接合したウェハーアセンブリ)
47)酸化物エッチバック(接合したウェハーアセンブリ)
48)コーナー補償ビーム(Corner Compensation Beam)の残遺物取り出し

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのピエゾ抵抗器を備える少なくとも一つのカンチレバーを備え、
該少なくとも一つのカンチレバーが、窒化ケイ素または炭化ケイ素を含み、
該少なくとも一つのピエゾ抵抗器が、該少なくとも一つのカンチレバー上に配置され、かつ
該少なくとも一つのピエゾ抵抗器が、ケイ素および少なくとも一つのドーパントを含み、該少なくとも一つのドーパントが、立方センチメートル当たり少なくとも0.5×1020原子の濃度で存在する、
装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つのカンチレバーが、窒化ケイ素を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つのドーパントが、n型ドーパントを含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つのドーパントが、ホウ素を含む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つのピエゾ抵抗器が、単結晶ケイ素を含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つのピエゾ抵抗器が、多結晶ケイ素を含む、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つのカンチレバー上に配置された少なくとも一つのひずみゲージをさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つのカンチレバーが、第一表面、第二表面、少なくとも一つの第一ひずみゲージ、および少なくとも一つの第二ひずみゲージを備え、該第一表面および該第二表面が対向し、該少なくとも一つの第一ひずみゲージが該第一表面上に配置され、かつ該少なくとも一つの第二ひずみゲージが該第二表面上に配置される、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つのカンチレバーがアレイを含む、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つのカンチレバーがアレイを含み、該アレイが一次元である、請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つのカンチレバーがアレイを含み、該アレイが二次元である、請求項1記載の装置。
【請求項12】
請求項1記載の少なくとも一つのカンチレバーを備える、熱駆動プローブ。
【請求項13】
少なくとも一つの探針(tip)をさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項14】
少なくとも一つの顕微鏡探針をさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項15】
少なくとも一つの原子間顕微鏡探針をさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項16】
少なくとも一つの走査型顕微鏡探針をさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項17】
少なくとも一つのナノスコープ探針をさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも一つのカンチレバーが、探針および該探針から離れた位置を含み、該探針の第一の温度が、該探針から離れた該位置の第二の温度よりも実質的に高い、請求項1記載の装置。
【請求項19】
少なくとも一つの金属コンタクト(metal contact)をさらに含み、該少なくとも一つの金属コンタクトがCr、Pt、Auのうち一つまたは複数を含む、請求項1記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも一つのカンチレバーが、長さ、幅、および厚さを有し、該長さ、該幅、および該厚さのうち最大のものが約1000μm未満である、請求項1記載の装置。
【請求項21】
(i)ハンドルウェハー中に少なくとも一つのピエゾ抵抗器を形成する段階;
(ii)該ハンドルウェハー上に配置される少なくとも一つのカンチレバーを形成する段階;
(iii)該少なくとも一つのピエゾ抵抗器を該少なくとも一つのカンチレバーに接触させるのに十分な時間に渡って、該ハンドルウェハーをアニーリングする段階;ならびに
(iv)該少なくとも一つのカンチレバーと該少なくとも一つのピエゾ抵抗器が接触したままになるように、該ハンドルウェハーの少なくとも一部を分離する段階
を含む、方法。
【請求項22】
前記少なくとも一つのカンチレバー上に配置される少なくとも一つの探針を形成する段階をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも一つのカンチレバー上に少なくとも一つの金属コンタクトを形成する段階をさらに含み、該少なくとも一つの金属コンタクトが該少なくとも一つのピエゾ抵抗器と接触する、請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも一つのカンチレバー上で少なくとも一つの金属コンタクトを形成する段階をさらに含み、該少なくとも一つの金属コンタクトが該少なくとも一つのピエゾ抵抗器と接触し、さらに該少なくとも一つの金属コンタクトが、クロム、白金、または金のうち一つまたは複数を含む、請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも一つのピエゾ抵抗器を形成する段階が、イオン注入またはイオン拡散を含む、請求項21記載の方法。
【請求項26】
前記ハンドルウェハーが、単結晶ケイ素を含む、請求項21記載の方法。
【請求項27】
前記ハンドルウェハーが、多結晶ケイ素を含む、請求項21記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも一つのピエゾ抵抗器が、単結晶ケイ素を含む、請求項21記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも一つのピエゾ抵抗器が、多結晶ケイ素を含む、請求項21記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも一つのピエゾ抵抗器が、ホウ素を含む、請求項21記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも一つのピエゾ抵抗器が、少なくとも約0.5×1020原子/cm3のホウ素を含む、請求項21記載の方法。
【請求項32】
前記カンチレバーが、窒化ケイ素を含む、請求項21記載の方法。
【請求項33】
前記カンチレバーが、炭化ケイ素を含む、請求項21記載の方法。
【請求項34】
前記ハンドルウェハーをアニーリングする段階が、アルゴン雰囲気下、約1000℃で遂行される、請求項21記載の方法。
【請求項35】
前記ハンドルウェハーをアニーリングする段階が、約3時間に渡って遂行される、請求項21記載の方法。
【請求項36】
前記ハンドルウェハーをアニーリングする段階後の前記少なくとも一つのピエゾ抵抗器が、約0.1μm〜約0.8μmの厚さを有する、請求項21記載の方法。
【請求項37】
前記ハンドルウェハーをアニーリングする段階後の前記少なくとも一つのピエゾ抵抗器が、約0.4μmの厚さを有する、請求項21記載の方法。
【請求項38】
前記ハンドルウェハー上に配置される少なくとも一つの酸化物層を形成する段階をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項39】
前記ハンドルウェハー上に配置される少なくとも一つの酸化物層を形成する段階をさらに含み、該ハンドルウェハーが、n型ドーパントでドープされた(doped)多結晶ケイ素を含む、請求項21記載の方法。
【請求項40】
前記ハンドルウェハー上に配置される少なくとも一つの酸化物層を形成する段階をさらに含み、該ハンドルウェハーがホウ素でドープされた多結晶ケイ素を含む、請求項21記載の方法。
【請求項41】
少なくとも一つのピエゾ抵抗器の少なくとも一つの抵抗を測定する段階、
該少なくとも一つの抵抗の最大抵抗または最小抵抗を決定する段階、
該最大抵抗または最小抵抗に対応する特定の位置を決定する段階、
探針たわみを算出する段階
を含み、
該少なくとも一つのピエゾ抵抗器が少なくとも一つのカンチレバー上に配置され、該少なくとも一つのカンチレバーが、長さ、幅、および厚さを有し、かつ該長さ、該幅、および該厚さのうち最大のものが約1000μm未満である、方法。
【請求項42】
前記少なくとも一つのピエゾ抵抗器が、請求項1記載の装置の一部である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも一つのピエゾ抵抗器が、ケイ素および少なくとも一つのドーパントを含む、請求項41記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも一つのピエゾ抵抗器が、ケイ素およびホウ素を含む、請求項41記載の方法。
【請求項45】
前記探針たわみが、前記特定の位置を使用して算出される、請求項41記載の方法。
【請求項46】
前記探針たわみが、前記最大抵抗または最小抵抗を使用して算出される、請求項41記載の方法。
【請求項47】
前記探針たわみが、前記少なくとも一つの抵抗を使用して算出される、請求項41記載の方法。
【請求項48】
力を算出する段階をさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項49】
少なくとも一つのひずみゲージの少なくとも一つの抵抗を測定する段階、
該少なくとも一つの抵抗の最大抵抗または最小抵抗を決定する段階、
該最大抵抗または最小抵抗に対応する特定の位置を決定する段階、
探針たわみを算出する段階
を含み、
該少なくとも一つのひずみゲージが少なくとも一つのカンチレバー上に配置され、該少なくとも一つのカンチレバーが、長さ、幅、および厚さを有し、かつ該長さ、該幅、および該厚さのうち最大のものが約1000μm未満である、方法。
【請求項50】
前記少なくとも一つのひずみゲージが、請求項1記載の装置の一部である、請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも一つのひずみゲージが、クロム、ニッケル-クロム合金、銅-ニッケル合金、白金、または白金-タングステン合金のうち一つまたは複数を含む、請求項49記載の方法。
【請求項52】
前記探針たわみが、前記特定の位置を使用して算出される、請求項49記載の方法。
【請求項53】
前記探針たわみが、前記最大抵抗または最小抵抗を使用して算出される、請求項49記載の方法。
【請求項54】
前記探針たわみが、前記少なくとも一つの抵抗を使用して算出される、請求項49記載の方法。
【請求項55】
力を算出する段階をさらに含む、請求項49記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【公表番号】特表2011−523047(P2011−523047A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509676(P2011−509676)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/043865
【国際公開番号】WO2009/140441
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(508311352)ナノインク インコーポレーティッド (16)