説明

ピエゾ駆動装置

【課題】ピエゾ素子が故障した場合でも、必要とされる振動を得やすいピエゾ駆動装置を提供する。
【解決手段】タッチパッド2に設けられる複数のピエゾ素子13を駆動するピエゾ駆動装置1において、マイクロコンピュータ3から出力されるPWM出力信号を、そのパルス幅に応じた駆動信号に変換するローパスフィルタ11と、駆動信号を複数のピエゾ素子13の静電容量の総量に対応したピエゾ駆動信号に変換し、これを複数のピエゾ素子13に印加するピエゾ駆動回路12と、ピエゾ駆動信号を監視信号に変換するAD変換器14とを備え、マイクロコンピュータ3は、AD変換器14から入力される監視信号を解析して複数のピエゾ素子13における故障の有無を検出し、故障が検出されるときには、タッチパッド2における振動態様が故障前に近づくようにPWM出力信号のデューティ比を変更するピエゾ駆動装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧を印加してピエゾ素子を振動させるピエゾ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平板状のタッチパッドを指でなぞることにより、液晶ディスプレイ等の表示装置(画面)に表示されたマウスポインタの操作を行うタッチ式入力装置が知られている。これは、画面に表示されたマウスポインタの動きが、タッチパッドをなぞる指の動きと対応する。このため、タッチパッドを使用したタッチ式入力装置は、操作が直感的で、多くのユーザにとって扱いやすいものである。また、このようなタッチ式入力装置としては、タッチパッドのような位置入力装置と、液晶ディスプレイ等の表示装置とを組み合わせたタッチパネルも知られている。
【0003】
このようなタッチ式入力装置は、触れることによって操作を行うものであるため、例えば押しスイッチを押し込んで操作するものと比較すると操作感を感じにくい。そこで、操作感を感じやすくするために、特許文献1には、タッチパネルに設けられた複数のピエゾ素子を駆動するピエゾ駆動装置が開示されている。例えば、タッチパネルがタッチ操作されたとき圧電素子に電圧が発生する。この電圧に基づきタッチ操作が検出される。タッチ操作が検出されるとピエゾ素子に駆動信号が印加される。ピエゾ素子は、駆動信号(駆動電圧)が与えられると振動する。この振動は、タッチパネルを指で操作するユーザへ伝播する。ユーザは、タッチパネルを介して伝播する振動を感じることにより、タッチパネルを操作したことの操作感を得ることができる。なお、ピエゾ素子の振動態様は、入力される駆動電圧の波形によって、決定される。従って、ユーザは、タッチパネルを介して伝播される振動によって、自身がタッチパネルのどの位置を操作したか等を認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−212725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、タッチパネルに4つのピエゾ素子が設けられている。これら各ピエゾ素子は、ピエゾ駆動装置に並列接続されている。このため、各ピエゾ素子に印加される駆動電圧は同じである。従って、タッチパネルが振動するとき、各ピエゾ素子の振動態様は同じになる。
【0006】
しかしながら、例えば、4つのうち1つが故障してしまった場合においては、ピエゾ素子全体の静電容量が低下する。静電容量が低下した場合、図3に示すように、低下前と比べて駆動電圧の立ち上がり時間が早くなることがわかっている。すなわち、駆動電圧が異なるのでピエゾ素子の振動態様も異なる。従って、タッチパネルを介してユーザに伝播される振動も異なる。このため、ユーザは、自身のタッチパネルにおける操作が好適に行えたか否かを判断できないおそれがある。
【0007】
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、ピエゾ素子が故障した場合でも、必要とされる振動を得やすいピエゾ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、振動対象に設けられる複数のピエゾ素子を駆動するピエゾ駆動装置において、制御手段から出力されるPWM出力を、そのパルス幅に応じた電圧レベルの駆動信号に変換する第1の変換器と、前記第1の変換器により生成された前記駆動信号を、複数のピエゾ素子の静電容量の総量に対応したピエゾ駆動信号に変換し、これを前記複数のピエゾ素子にそれぞれ印加するピエゾ駆動回路と、前記ピエゾ駆動信号を監視信号に変換する第2の変換器と、を備え、前記制御手段は、前記第2の変換器から入力される前記監視信号を解析して前記複数のピエゾ素子における故障の有無を検出し、故障が検出されるときには、前記振動対象における振動態様が故障前に近づくように前記PWM出力のデューティ比を変更することを要旨とする。
【0009】
ピエゾ素子の振動態様、すなわち振動対象物の振動態様は、ピエゾ駆動信号に依存する。ピエゾ駆動振動は、制御手段からのPWM出力に依存する。制御手段は、ピエゾ素子の故障の有無に応じてPWM出力のデューティ比を変更する。これにより、駆動信号、さらには、ピエゾ駆動信号の出力が変更される。従って、制御手段は、PWM出力のデューティ比の変更を通じて、振動対象物の振動態様を所望の振動態様とすることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のピエゾ駆動装置において、前記制御手段は、前記ピエゾ素子の故障を検出したとき、故障前と比較して前記PWM出力のデューティ比を高めることを要旨とする。
【0011】
ピエゾ素子が故障した場合、複数のピエゾ素子が協働で振動させる振動対象物における振動の強さが低下する。この点、同構成によれば、制御手段からのPWM出力の複数のデューティ比は、故障前と比べて高い。第1の変換器において変換される駆動信号の電圧値は、デューティ比の高さに比例する。また、ピエゾ駆動回路から各ピエゾ素子に印加されるピエゾ駆動信号の電圧値の高さは、駆動信号の電圧値の高さに比例する。従って、PWM出力のデューティ比が高まれば、各ピエゾ素子に供給されるピエゾ駆動信号の電圧値も高まる。ピエゾ素子の振動の強さは、印加されるピエゾ駆動信号の電圧値の大きさに比例する。このため、各ピエゾ素子の振動が故障前と比べて強くなるので、複数のピエゾ素子が協働で振動させる振動対象物の振動の強さを故障前と比べて維持することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のピエゾ駆動装置において、前記制御手段は、前記ピエゾ素子の故障を検出したとき、故障前の前記ピエゾ駆動信号と同じ波形を示すように前記PWM出力のデューティ比を低めることを要旨とする。
【0013】
ピエゾ素子が故障した場合、ピエゾ素子の静電容量の総量が低下するため、ピエゾ駆動回路が各ピエゾ素子に印加するピエゾ駆動信号の電圧の立ち上がりが早まる。各ピエゾ素子の振動の仕方は、ピエゾ駆動信号の波形に依存する。このため、ピエゾ駆動信号の電圧の立ち上がりが早まって波形が変化すると、ピエゾ素子の振動の仕方が変化する。この点、同構成によれば、PWM出力のデューティ比を低めることで、ピエゾ駆動回路に入力される駆動信号の電圧値が低くなる。ピエゾ駆動信号の電圧値の高さは、駆動信号の電圧値の高さに依存するので、駆動信号の電圧値が低くなれば、ピエゾ駆動信号の電圧値も低くなる。これにより、立ち上がりが早まった分の電圧の高さを抑えることができる。従って、ピエゾ素子の故障後でも、故障前と同じピエゾ駆動信号をピエゾ素子に供給することができる。このため、振動対象物の振動態様が同じとなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ピエゾ素子が故障した場合でも、必要とされる振動を得やすいピエゾ駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態におけるタッチ式入力装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】(a)はピエゾ素子が4つの場合、(b)はピエゾ素子が3つの場合、(c)はピエゾ素子が3つであるが、(a)(b)に比べて供給される電圧値が高い場合のピエゾ駆動信号の波形図。
【図3】静電容量の大小における駆動電圧の立ち上がり波形を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のピエゾ駆動装置を、タッチパッドを採用したタッチ式入力装置に具体化した一実施形態について図1〜2に従って説明する。
<タッチ式入力装置の構成>
図1に示すように、タッチ式入力装置1は、タッチパッド2、マイクロコンピュータ3、ディスプレイ4、及びピエゾ駆動装置5を備える。タッチパッド2は、表面にユーザの指が触れる等して、静電容量が変化した場合に、その触れた位置の位置情報を示す電気信号を出力する。タッチパッド2は、マイクロコンピュータ3と電気的に接続されている。マイクロコンピュータ3は、ディスプレイ4の表示を統括的に制御する。マイクロコンピュータ3は、タッチパッド2により生成される電気信号に基づきタッチパッド2においてユーザの指が触れた位置を特定すると、その位置に対応するようにディスプレイ4に表示させているマウスポインタを移動させる。また、マイクロコンピュータ3は、タッチパッド2により生成される電気信号に基づきピエゾ駆動装置5も制御する。
【0017】
ピエゾ駆動装置5は、ローパスフィルタ11、及びピエゾ駆動回路12を備える。ピエゾ駆動回路12は、ローパスフィルタ11を介してマイクロコンピュータ3に接続されている。4つのピエゾ素子13は、電圧が印加されると振動するものである。各ピエゾ素子13は、ピエゾ駆動回路12に対して並列接続されるとともに、タッチパッド2の裏面に取り付けられている。
【0018】
ユーザは、タッチパッド2を通じてディスプレイ4に表示されるマウスポインタを操作する。このとき、そのマウスポインタが同じくディスプレイ4に表示されているアイコン上に一定時間存在した場合に、マイクロコンピュータ3は、ユーザがアイコンを選択したと認識する。そして、マイクロコンピュータ3は、アイコンが選択されたことをユーザに報知するためにPWM出力信号を生成する。マイクロコンピュータ3には、メモリ3aが設けられており、このメモリ3aには、ピエゾ素子13の個数及びアイコンに応じた変調比が記憶されている。変調比とは、マイクロコンピュータ3が生成するPWM出力信号におけるパルス幅の変調割合のことである。マイクロコンピュータ3は、マウスポインタが選択するアイコンに応じてメモリ3aから変調比を読み込む。そして、その変調比を有するPWM出力信号を生成する。なお、メモリ3aに記憶されている変調比は、駆動するピエゾ素子13が少なくなる場合ほど、電圧を印加するパルス幅(デューティ比)がそれぞれ大きくなるように設定されている。これは、電圧を印加するパルス幅が大きいほど、ピエゾ素子13に印加する電圧レベルが高くなるためである。ピエゾ素子13における振動の強さは、ピエゾ素子13に印加される電圧値の高さに比例する。また、タッチパッド2における振動の強さは、ピエゾ素子13の振動の強さと数に比例する。すなわち、タッチパッド2における振動の強さは、ピエゾ素子13の数とピエゾ素子13に印加される電圧値の高さに比例しているからである。換言すれば、ピエゾ素子13の数が少ない場合には、各ピエゾ素子13に印加する電圧値を高くすることで、各ピエゾ素子13を強く振動させ、逆にピエゾ素子13の数が多い場合には、各ピエゾ素子13に印加する電圧値を低くすることで、各ピエゾ素子13を弱く振動させることで、タッチパッド2における振動の強さを維持することができる。
【0019】
ローパスフィルタ11は、PWM出力信号のパルス幅を電圧に変換した駆動信号を出力する。ローパスフィルタ11が変換する駆動信号の波形(電圧値)は、PWM出力信号の変調比、詳しくはデューティ比の高さに依存する。
【0020】
ピエゾ駆動回路12は、入力された駆動信号をピエゾ素子13の静電容量に応じて調整する。ピエゾ素子13は、静電容量を有することから、ピエゾ駆動回路12が出力するピエゾ駆動信号は、駆動信号に対して電圧の立ち上がりに時間がかかる。このため、ピエゾ駆動信号がピエゾ素子13に印加される時間は、駆動信号がピエゾ駆動回路12に印加される時間に比べて長くなる。
【0021】
4つのピエゾ素子13には、ピエゾ駆動回路12からのピエゾ駆動信号がそれぞれ印加される。ピエゾ素子13は、ピエゾ駆動信号の波形に応じて振動する。ピエゾ素子13は、タッチパッド2の裏面に取り付けられているので、ピエゾ素子13の振動は、タッチパッド2に伝播する。タッチパッド2は、ユーザの指で操作されているので、タッチパッド2に伝播した振動は、ユーザにも伝播する。ユーザは、タッチパッド2を介して伝わる振動を通じて、自身の操作したマウスポインタがどのアイコンを選択したのか認識することができる。
【0022】
このピエゾ駆動装置5には、アナログ信号をデジタル信号の変換するアナログデジタル変換器(以下、AD変換器)14が設けられている。AD変換器14は、ピエゾ駆動回路12とマイクロコンピュータ3との間に接続されている。AD変換器14は、ピエゾ駆動回路12から出力されたピエゾ駆動信号をデジタル信号である監視信号に変換する。マイクロコンピュータ3は、監視信号のデューティ比の認識を通じて、ピエゾ駆動信号の波形を監視する。
【0023】
<ピエゾ駆動装置の作用>
さて、例えば、4つあるピエゾ素子13の一つが故障した場合、タッチパッド2を振動させるピエゾ素子13の数が減るので、タッチパッド2の振動の強さが弱まる。このとき、各ピエゾ素子13の静電容量の総量が少なくなる。このため、ピエゾ駆動回路12から出力されるピエゾ駆動信号の波形は、図2(a)に示す波形から、同波形に比べて電圧値の立ち上がり時間の早い図2(b)に示す波形に変化する。このとき、ピエゾ駆動信号は、AD変換器14により監視信号に変換されてマイクロコンピュータ3に入力される。マイクロコンピュータ3は、監視信号の変調比が、ピエゾ素子13の故障前の変調比と比較して、デューティ比が高くなった部分が増加したことを通じて、ピエゾ素子13の一つが故障したことを認識する。ピエゾ素子13の故障を認識したマイクロコンピュータ3は、メモリ3aから、ピエゾ素子13が3つの場合の変調比を読み込む。ピエゾ素子13が3つの場合の変調比は、4つの場合と比べて各デューティ比が高く設定されている。そして、この変調比を有するPWM出力信号を出力する。これにより、ピエゾ駆動回路12に入力される駆動信号の波形が電圧値の高い波形に変化する。従って、ピエゾ駆動回路12から出力されるピエゾ駆動信号の波形も図2(b)に示す波形から、この波形に比べて電圧値の高い図2(c)に示す波形に変化する。3つのピエゾ素子13には、4つの場合に比べて高い電圧が印加される。従って、ピエゾ素子13が3つになった場合、各ピエゾ素子13の振動は、4つの場合に比べて強くなる。
【0024】
各ピエゾ素子13が同じ強さで振動する場合、タッチパッド2における振動の強さは、振動を伝達するピエゾ素子13の数に比例する。このため、駆動するピエゾ素子13が3つの場合には、ピエゾ素子13が4つの場合に比べて、タッチパッド2の振動が弱くなる。一方、本例では、駆動するピエゾ素子13が3つとなった場合には、4つの場合よりも高い電圧を印加するようにした。これにより、ピエゾ素子13が3つとなった場合、4つの場合のときよりも振動の強さが強くなる。従って、タッチパッド2を振動させるピエゾ素子13の数が減ったものの各ピエゾ素子13は強く振動するので、ピエゾ素子13の数が3つの場合でも、4つの場合と同等の強さでタッチパッド2を振動させることができる。
【0025】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器14をピエゾ駆動回路12とマイクロコンピュータ3との間に接続した。ピエゾ駆動回路12から出力される駆動信号は、AD変換器14を通じて監視信号に変換されてマイクロコンピュータ3に入力される。マイクロコンピュータ3は、監視信号の解析を通じて、ピエゾ素子13が故障したか否かを判断する。マイクロコンピュータ3は、ピエゾ素子13の故障の有無に応じて、PWM出力信号の変調比を設定する。変調比とは、マイクロコンピュータ3が生成するPWM出力信号におけるパルス幅の変調割合のことである。ピエゾ駆動回路12に入力される駆動信号の電圧値は、マイクロコンピュータ3からローパスフィルタ11に入力するPWM出力信号のデューティ比の高さに比例する。すなわち、PWM出力信号において、変調比を調整することで駆動信号の電圧値を調整することができる。このため、マイクロコンピュータ3は、ピエゾ素子13に故障が有る場合であれ、PWM出力信号の変調比を変更することで、ユーザのタッチパッド2の操作を通じて操作されるマウスポインタがどのアイコンを選択したのか好適にユーザへ報知することができる。
【0026】
(2)マイクロコンピュータ3は、ピエゾ素子13の故障を認識した場合、故障後におけるPWM出力信号のデューティ比を高くするようにした。従って、ピエゾ駆動回路12からピエゾ素子13に印加されるピエゾ駆動信号の電圧値も高くなる。これにより、ピエゾ素子13の振動の強さも強くなる。このため、タッチパッド2を振動させるピエゾ素子13の数が減った場合でも、タッチパッド2の振動の強さを維持することができる。これにより、マウスポインタは、ユーザの意図するアイコンを選択しているにもかかわらず、意図しないアイコン選択したと誤認することが抑制される。
【0027】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、マイクロコンピュータ3は、タッチパッド2における振動の強さを維持するために、ピエゾ素子13が故障した場合には、PWM出力信号の各デューティ比を高めた。これに対し、タッチパッド2の振動の仕方を維持するために、ピエゾ駆動信号の立ち上がりが早まった分だけ、PWM出力信号のデューティ比を低くするようにしてもよい。すなわち、ピエゾ駆動回路12から出力されるピエゾ駆動信号の波形が、図2(b)に示す波形から図2(a)に示す波形となるようにすればよい。このようにすれば、ピエゾ素子13の数が3つとなった場合でも、4つの場合と同じピエゾ駆動信号が各ピエゾ素子13に印加される。ピエゾ素子13の振動の仕方は、ピエゾ駆動信号の波形に依存する。タッチパッド2の振動の仕方は、ピエゾ素子13の振動の仕方に依存する。従って、ピエゾ素子13が故障した場合であれ、タッチパッド2における振動の仕方が維持できる。これにより、マウスポインタが、意図しないアイコン選択したと誤認することが抑制される。
【0028】
・上記実施形態において、上記別例を組み合わせても良い。このようにすれば、ピエゾ素子13が故障した場合であれ、タッチパッド2の振動の強さ、及び振動の仕方を維持することができる。従って、上記実施形態の効果(1)(2)及び上記別例の効果と同様の効果を得ることができる。
【0029】
・上記実施形態において、マイクロコンピュータ3から出力されたPWM出力信号は、ローパスフィルタ11を介してピエゾ駆動回路12に入力されたが、PWM出力信号のパルス幅を電圧に変換した信号を出力するもの、例えばフィルタ回路等であればよい。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0030】
・上記実施形態では、4つのピエゾ素子13がある場合について説明したが、4つに限らず、複数あればよい。
・上記実施形態において、タッチパッド2は、静電容量の変化によってユーザの接触を検出したが、この方式による検出に限定されるものではない。例えば、接触時の圧力の変化を検出するものであってもよい。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】
・上記実施形態では、ピエゾ素子13が振動させる対象は、タッチパッド2に限らず、例えば、ディスプレイと組み合わされたタッチパネルであってもよい。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0032】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)ユーザにタッチ操作される板状のタッチ操作部と、前記タッチ操作部においてタッチされた位置情報を出力する位置情報出力手段と、前記位置情報出力手段から供給される位置情報を基にディスプレイの表示を制御する画像制御手段と、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のピエゾ駆動装置を備え、前記振動対象物は、前記タッチ操作部であって、前記制御手段は、前記位置情報に基づき認識されるタッチ位置に応じて前記PWM出力を生成するタッチ式入力装置。
【0033】
板状のタッチ操作部へのタッチ操作は、例えば押しスイッチを押し込んで操作するものと比較すると操作感を感じにくい。その点、同構成によれば、タッチ操作部において、ユーザが特定の位置をタッチ操作すれば、タッチ操作部が振動する。これにより、ユーザは、特定の位置をタッチ操作した操作感を得やすい。
【0034】
(ロ)上記(イ)において、上記タッチ操作部は、ディスプレイが組み合わされたタッチパネルであるタッチ式入力装置。
同構成によれば、ユーザは、ディスプレイと操作する手元とを視野にいれることができる。このため、ユーザは、自身の操作を視覚と触覚との両方から確認しやすい。
【符号の説明】
【0035】
1…タッチ式入力装置、2…タッチ操作部としてのタッチパッド、3…制御手段としてのマイクロコンピュータ、3a…メモリ、4…ディスプレイ、5…ピエゾ駆動装置、6…位置情報出力手段としての静電センサ、11…第1の変換器としてのローパスフィルタ、12…ピエゾ駆動回路、13…ピエゾ素子、14…第2の変換器としてのAD変換器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動対象に設けられる複数のピエゾ素子を駆動するピエゾ駆動装置において、
制御手段から出力されるパルス幅を変調可能とされたPWM出力を、そのパルス幅に応じた電圧レベルの駆動信号に変換する第1の変換器と、
前記第1の変換器により生成された前記駆動信号を、複数のピエゾ素子の静電容量の総量に対応したピエゾ駆動信号に変換し、これを前記複数のピエゾ素子にそれぞれ印加するピエゾ駆動回路と、
前記ピエゾ駆動信号を監視信号に変換する第2の変換器と、を備え、
前記制御手段は、前記第2の変換器から入力される前記監視信号を解析して前記複数のピエゾ素子における故障の有無を検出し、故障が検出されるときには、前記振動対象における振動態様が故障前に近づくように前記PWM出力のデューティ比を変更するピエゾ駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のピエゾ駆動装置において、
前記制御手段は、前記ピエゾ素子の故障を検出したとき、故障前と比較して前記PWM出力のデューティ比を高めるピエゾ駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のピエゾ駆動装置において、
前記制御手段は、前記ピエゾ素子の故障を検出したとき、故障前の前記ピエゾ駆動信号と同じ波形を示すように前記PWM出力のデューティ比を低めるピエゾ駆動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate