説明

ピザ生地

【課題】おからをピザ生地に配合して有効利用すると共に、おから特有の臭いを消したピザ生地を提供する。
【解決手段】小麦粉を主体とする穀粉からなるピザ生地において、おから及びひじきを穀粉100重量部当たり、それぞれ、5〜15重量部及び1〜10重量部混入することによって、おからの臭いを消すことができる。
【代表図面】なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はおからの臭いや食感をひじきの併用によって消した、健康増進に役立つピザ生地に関する。
【背景技術】
【0002】
ピザの調理には、一般に、小麦粉を主体とする穀粉にイースト、調味料、水を加えて混練した後、発酵させて円板状に成形したピザ生地を使用している。そして、ピザ生地の表面にピザソースを塗り、その上にモッツァレッラやパルメザン等のチーズや好みの具を載せてオーブン等で焼成している。
【0003】
特開2002−17237公報には、強力粉にゴボウ、人参、ひじき及びおからを混合して発酵させたパンの製造方法が開示されている。
【特許文献】特開2002−17237
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した一般的なピザ調理法で使用されるピザ生地は小麦粉を主体とする穀粉からなるため、栄養バランスの点で問題がある。さらに、ピザ生地を焼く際に油を必要とし、カロリー過剰になる問題もある。
【0005】
豆腐の製造工程で副生するおからはその高い栄養価にもかかわらず、パサパサ感があると共に特有の臭いを有しており、その用途が著しく限定されており、新たな用途の開発が望まれている。
【0006】
前述の特開2002−17237にはおからをひじき他と共に使用することについての記載があるが、ピザ生地についてはまったく記載がない。また、この公報には、ひじきをおからと併用することによっておから特有の臭いをなくすことについてはまったく開示がない。
【0007】
この発明は、ピザの調理原料として穀粉と共に、おから及びひじきを使用することにより、少量の摂取でも満腹感が得られるためにダイエット効果を有しており、ピザ生地を焼くときに油を使用する必要がないためにさらなるダイエット効果を有し、かつおから特有の臭いも、併用するヒジキの臭いもないピザ生地を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、小麦粉を主体とする穀粉からなるピザ生地において、おから及びひじきを穀粉100重量部当たり、それぞれ、5〜15重量部及び2〜10重量部混入したことを特徴とするピザ生地である。この明細書において、穀粉、おから及びひじきの配合量はすべて乾燥物基準である。
【発明の効果】
【0009】
この発明のピザ生地は、材料の一つとして植物性蛋白質及び食物繊維を多く含むおからを採用しているので栄養バランスがよく、ダイエットや便通を整えるのに役立ち、さらに、おから特有の臭いがひじきによって消されるので商品価値を低下させることがない。また、ひじきも食物繊維を多く含有しているため、この発明のピザ生地は満腹感が持続し、ダイエット効果をさらに高めることができる。
【0010】
さらに、前述したように、この発明のピザ生地は油を使用することなく焼きあがるので、通常のピザに比較して、カロリーが低く、さらなるダイエット効果がもたらされる。加えて、この発明のピザ生地は、おから及びひじきの配合によって保湿性が改善され、冷えても硬くなりにくく、冷めた後に再加熱しても美味しく食べることができ、冷凍保存食材としても使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明は、ピザ生地の原料として、小麦粉を主体とする穀粉と共におから及びひじきの所定量を使用することを特徴とする。小麦粉としては、強力粉を主に、これに薄力粉を配合したものが好ましく使用される。薄力粉の配合割合は一般には全体の小麦粉に対して10〜30重量%である。
【0012】
おからの混入量は穀粉100重量部当たり5〜15重量部であり、ひじきの混入量は穀粉100重量部当たり、ぞれぞれ、5〜15重量部及び2〜10重量部、好ましくは4〜10重量部である。おからの配合量が上記下限より少ないとおからの有効利用が図られず、満腹感、ダイエット効果が低下し、配合量が上限を超えると食感、即ちピザ生地が本来有しているもちもち感が減少してしまう。また、ヒジキの配合量が上記下限より小さいと、おから特有の臭いをなくすことが困難になる。ひじきの配合量が上記上限を超えても、ピザの風味に格段の影響を与えることはないが、ピザの色調が低下する。また、ひじきは他の原料に比較して高価であるので、上記上限を超えて配合する利点はない。
【0013】
ひじきはおから特有の臭いを特異的に解消すると共にひじき自体の臭いまたは味をピザ生地にもたらさない。この発明者はおからと併用する食品について幅広い食材を検討したが、おからとひじきの組合せのみが互いの臭い及び味を消し合うことを究明した。検討した食材はごま、胡椒、バジル、紫蘇、干ししいたけ、鰹節粉、高野豆腐、かんぴょう、昆布、番茶、糠及び麦茶であり、こられの中で紫蘇、バジル、番茶及び麦茶はおからの臭いを軽減するが、それら自体の臭い又は味をピザに付与してしまう。なお、前述した特開2002−17237では、穀粉100重量部に対して水で戻した湿潤状態のひじきが12〜15重量部配合されている。乾燥ひじきを水に戻すと、体積が8倍程度に膨張するので、乾燥状態に換算すると、約1.5〜1.9重量部になる。前述したように、おからの臭いを消すためには、この量では不十分である。
【0014】
おからおよびひじきは穀粉100重量部当たり、合計で7〜20重量部であることが好ましい。合計使用割合がこの範囲より少ないと、得られるピザ生地によるダイエット効果が小さくなり、合計使用割合がこの範囲より多いと、ピザの食感が低下するようになる。
【0015】
穀粉に混入するおからに対するひじきの重量割合は40〜100%、特に50〜80%であることが好ましい。ひじきの重量割合が20%より小さいと、ピザ生地に混入した、おから特有の臭いを減ずることが困難になり、ひじきの重量割合が100%を超えると、前述した不具合が生ずるようになる。
【0016】
この発明のピザ生地は、穀粉に乾燥状態のおから及びひじき粉末を配合し、配合物にイースト、調味料及び水を加えて混合した後、発酵させて例えば円板状に成形することによって、作成することができる。こうして得られるピザ生地は、通常のピザ生地と同様にして、焼成し、食用に供することができる。
【実施例】
【0017】
実施例1
強力粉190g及び薄力粉40gを混合した穀粉230gに、乾燥おから20g及び乾燥したひじき粉末5gを配合した配合物に、ドライイースト5g、塩小さじ1/3杯、砂糖一つまみ及び水200mlを加えて混合した。混合物を約25℃で約30分間発酵させて円板状に成形してピザ生地を作成した。このピザ生地を、油を使用することなく、180〜200℃で約5分間焼成してピザを得た。
【0018】
このピザを100人が試食し、食感及びおからの臭いの有無を判定した。食感はさくさく感及びもちもち感の2つの観点から判定し、その基準は、×(悪い)、△(普通)、○(良い)及び◎(さらに良い)でとした。また、おからの臭いの判定基準は、×(臭いあり)、○(僅かに臭いあり)及び◎(まったく臭いなし)とした。結果を表1に示す。
【0019】
実施例2、3
ひじき粉末の配合量を10g(実施例2)又は15g(実施例3)に変えた以外は実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。
【0020】
比較例1
ひじき粉末を配合しなかった以外は実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。
【0021】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦粉を主体とする穀粉からなるピザ生地において、おから及びひじきを穀粉100重量部当たり、それぞれ、5〜15重量部及び2〜10重量部混入したことを特徴とするピザ生地。
【請求項2】
おから及びひじきを、穀粉100重量部当たり、合計で7〜20重量部混入することを特徴とする請求項1記載のピザ生地。
【請求項3】
おからに対するひじきの重量割合を40〜100%とすることを特徴とする請求項1又は2記載のピザ生地。

【公開番号】特開2009−60884(P2009−60884A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262717(P2007−262717)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【特許番号】特許第4114816号(P4114816)
【特許公報発行日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(507009744)
【Fターム(参考)】