説明

ピッカリングエマルション(pickeringemulsion)製剤

本発明は、少なくとも1のコロイド固体、及び少なくとも1の実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を含んでなる分散エマルション相を含んでなり、かかる活性成分は、自身も油相を含む油性液体であるか、固体だが油相に存在する油性液体に溶解されるか、固体でかつ油相中に分散されるか、又は連続水性相と油分散相との間の液−液界面に吸着するコロイド固体として存在するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性殺有害生物エマルション及び当該エマルションを有害生物の駆除又は植物生育調節剤として使用する方法に関するものである。特に、本発明は連続水相を含んでなる固体安定化油中水(oil−in−water)エマルション、コロイド固体、及び少なくとも1の殺有害生物活性成分を含んでなる油分散相に関するものであり、ここで少なくとも1の殺有害生物活性成分はコロイド固体であってもよい。
【背景技術】
【0002】
作物保護剤はしばしば水性系の形態で施用される。水ベースの製剤は水中で殺有害生物専門物質を溶解し、乳化し、及び/又は懸濁することで得られる。しかし、ある作物保護剤の水性系における効果的な使用は、水溶解性不良のために制限されることもある。液体の実質的に水不溶性の殺有害生物専門物質を含む水性系は、低分子量又は高分子の界面活性剤を単独あるいは混合物のいずれかの状態で含んでなる、エマルション又はサスポエマルション製剤として製剤化されてもよい。但し、これらの剤型は種々の問題に悩まされる可能性がある。例えば、液滴凝集(coalescence)とそれに続く相分離は、気温変動の影響を受けて、又は製剤中もしくはスプレー施用前に製剤を希釈するために使う溶媒中のいずれかにおける、高電解質濃縮物の存在が原因となるものである。油中水エマルションは本質的に不安定性であるため、乳化された油相の存在は、製剤失敗のリスクを高める。作物保護剤の供給連鎖は比較的複雑であるため、製剤は長期間にわたって貯蔵される可能性があり、また貯蔵や配送の間に、極端な気温変動、高せん断的及び反復的振動パターンに曝されることもあり、これは失敗のリスクを高める可能性がある。
【0003】
異なる農薬を組み合わせることにより、各農薬個別の添加特性を活用すると共に、任意により最適な生物機能を提供する補助剤又は補助剤の組み合わせを含む、単一の製剤を提供することがしばしば所望される。運搬及び貯蔵のコストを最小化することが商慣行上しばしば望まれ、これは、製剤中の(1又は複数の)活性農薬の濃度が実用可能な限度まで高い製剤、及び任意の所望の補助剤を、別々にタンク混合するのではなく、製剤中に「組み込む」製剤を用いることで行われる。しかしながら、(1又は複数の)活性農薬の濃度を高くすればするほど、製剤の安定性が乱れ、1又は複数の成分が析出する可能性は増大する。
【0004】
一般的に、農薬製剤からの成分の析出は極めて望ましくなく、製剤がバルク容器で市販される場合は殊更である。このような環境においては、製剤の再均一化、並びに希釈時及び噴霧時に成分分配を達成することすら困難である。さらに製剤は、高温及び寒冷の両気候において長期間の貯蔵という観点においても安定でなければならない。これらの要因は製剤設計者にとって厄介な問題を提示する。製剤が水可溶性の農薬電解質と、実質的に水不溶性の第二の農薬系を含む場合、問題はさらに悪化し得る。
【0005】
ある液体を他の液体中に安定に分散させるために、従来の意味のエマルションには、界面活性化物質(乳化剤)の添加を必要とする。乳化剤は両親媒性の分子構造を有し、極性(親水性)と非極性(疎水性)分子部分から構成され、これらは互いに空間的に離れている。単純な乳化剤においては、第一の相の微小分散液滴が乳化剤の殻で囲まれ、第二相に存在する(W/Oエマルション中の水液滴又はO/Wエマルション中の脂質ベシクル)。乳化剤は、それ自身が2つの液体間の界面に位置することにより相間の界面張力を低下させる。それは相の境界で油/水界面フィルムを形成し、液滴の不可逆な凝集を防止する。エマルションは多くの場合乳化剤混合物を用いることで安定化される。
【0006】
1900年代初頭、ピッカリング(Pickering)は、様々なコロイド固体、例えば塩基性硫酸銅、塩基性硫酸鉄、又の硫酸の金属塩を単に添加するだけで安定化させたパラフィン/水エマルションを調製した。従ってこのエマルションタイプは、ピッカリングエマルションと言われる。本エマルションタイプについて、ピッカリングは以下の条件を主張した。
(1)固体粒子が内部相の液滴より有意に小さく、凝集塊形成の傾向がない場合にのみ、固体粒子は安定化に適したものとなる。
(2)エマルション安定化コロイド固体の重要な特性はその湿潤性にもある。O/Wエマルションを安定化するためには、コロイド固体は例えば油よりも水でより容易に湿潤化されるものでもない。
【0007】
ピッカリングエマルションの原形は、当初工業プロセスの多様な場面、例えば石油の二次回収、タールサンドからのビチューメン抽出、並びに2の非混合性液体及び微小分散固体粒子を含む他の分離工程において、不所望の副次的影響として表面化したものである。ゆえに、対応するシステム、例えば、油/水/すす(soot)又は油/水/スレート(slate)ゴミシステムの調査が当初の研究活動の焦点であった。
【0008】
ピッカリングエマルションの特色は、固体粒子が液滴凝集に対して言わば機械的なバリアを形成する2の液体相間の界面に配列されることである、と基本的実験により示された。
【0009】
ピッカリングエマルションは多様な天然及び工業的工程、例えば原油回収、油分離、化粧品、及び廃水処理において見られる。
【0010】
殺有害生物組成物をピッカリングエマルションとして製剤化することの利点としては以下が挙げられる。
1.広範囲にわたる貯蔵温度(例えば凝固点から少なくとも50℃、通常は80℃以上まで)での凝集に対するエマルション安定性。
2.1000以上の商業的に利用可能な界面活性剤から選択される2以上の乳化剤の混合物の代わりに、ピッカリングエマルションは、数に限りのある商業的に実用的な選択肢から選択される、通常1のみ(ただし場合によっては2の)コロイド固体から形成されるという容易さ。
3.広範囲にわたるpH及び電解質条件下での凝集に対するエマルション安定性、例えば高電解質濃縮物が活性成分の1つである場合、ピッカリングエマルションは、窒素単独又は複合体(例えば硫黄との混合物)肥料に希釈して入れても、通常は凝集せず又はいかなる油分離も表れない。
4.ピッカリングエマルションは他の多数の製剤と同様に、希釈で沈殿物をゆっくり形成するが、それらは極めて容易に再懸濁し、それゆえ例えばスプレータンク中に攪拌なしで一昼夜置いた場合により便利である点。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
殺有害生物及び/又は植物生育調節組成物であって、水性殺有害生物エマルション及び当該エマルションを有害生物の駆除又は植物生育調整剤として使用する方法を含んでなる組成物を提供する。具体的には、本発明はコロイド固体安定化油中水エマルションであって、コロイド固体及び少なくとも1の殺有害生物活性成分を含んでなる分散エマルション相を含んでなるエマルションに関するものである。かかる殺有害生物活性成分は、自身も油相を含む油性液体であるか、固体だが油相に存在する油性液体に溶解されるか、固体でかつ油相中に分散されるか、又は連続水相と油分散相との間の液−液界面に吸着するコロイド固体として存在する。
【0012】
本発明の組成物を使用する方法は、殺有害生物効果(例えば除草効果)を引き出すため、植物において必要ならば適切な量の水でエマルションを希釈することにより、また殺有害生物有効量の組成物を、例えば土壌又は茎葉に対して施用することにより(例えばスプレーにより)提供される。あるいは、原材料(例えば建築資材、又は例えば皮なめし工程における処理する皮革)に組み込むこと又はこれをコーティングすることにより提供される。
【0013】
これら及び他の利益は以下の詳細な説明から明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の液体殺有害生物エマルション組成物であって、
(a)水性連続相;
(b)少なくとも1のコロイド固体;及び
(c)少なくとも1の実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を含んでなる油分散エマルション相を含んでなり、
前記殺有害生物活性成分は、自身も油相を含む油性液体であるか、固体だが油相に存在する油性液体に溶解されるか、固体でかつ油相中に分散されるか、又は連続水相と油分散相との間の液−液界面に吸着するコロイド固体として存在する、組成物である。
【0015】
本発明の組成物中に2以上の水不溶性殺有害生物活性成分が存在する場合は、各々の水不溶性殺有害生物活性成分は、独立に、それ自身が油相を含む油性液体であるか、固体だが油相に存在する油性液体に溶解されるか、固体でかつ油相中に分散されるか、又は連続水相と油分散相との間の液−液界面に吸着するコロイド固体として存在するものと理解される。
【0016】
殺有害生物活性化合物は当業界において既知のものであってもよい。「殺有害生物活性」なる用語は、化学物質又は生物学的組成物のことを言う。例えば本明細書中の記載では、これらは不所望の有害生物、例えば植物、虫、マウス、微生物、藻類、真菌、細菌等を死滅させ、又はそれらの生育を阻止又は制御する点で効果がある。かかる用語は、所望の種における植物の生育を制御する化合物(例えば生育調節剤)、植物種に見出される天然浸透性の活性化抵抗応答を模倣する化合物(例えば植物活性化剤)、又は除草剤に対する植物毒性応答を低減する化合物(例えば薬害軽減剤(safener))に対して適用してもよい。殺有害生物活性成分は、組成物が必要ならば適量の液体キャリア(例えば水)に希釈される場合、独立に生物的有効量で存在し、意図する標的(例えば植物の茎葉もしくは生育場所)に施用される。あるいは、原材料(例えば建築資材)に組み込まれもしくはコーティングされ、又は例えば皮なめし工程における皮革の処理のために使用される。
【0017】
実質的に水不溶性の殺有害生物剤又は植物生育調節剤を含む有機エマルションが、水相に分散される場合、水中における溶解性が測定可能であっても、本明細書中では略して「水不溶性」活性成分と言うこともある。当該活性成分は、殺有害生物組成物の水相のpHで測定した場合、20℃の水中で約5000mg/L以下の溶解性であることが好ましい。活性成分が滴定可能な酸又は塩基官能性を有する場合、活性成分の水中における溶解性がpHに依存することは当業者にとっては明らかである;具体的には、酸はそのpKaより上で溶解性が増加し、塩基はそのpKbより下で溶解性が増加する。従って、たとえ活性成分が高pHで、溶解性が約5000mg/Lより良好であっても、水相のpHをpKa付近又はpKa未満に維持すれば、本議論の目的のために、酸を水中で不溶な状態にしておくことも可能である。本発明において有用な特に好ましい水不溶性活性成分は、20℃での水相における溶解性が2000mg/L以下である。後述の特定の環境において、水不溶性活性成分がそれ自身をコロイド固体として提供できる場合、当該活性成分の溶解性は水相及び分散相のいずれにおいても約100mg/L未満であるべきである。
【0018】
実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分又は殺有害生物活性成分の混合物とは、室温で液体もしくは加温することで液化され、又は適切な溶媒に溶解され、又は適切な非混合性液体に固体として分散され、又はコロイド固体として液−液界面に吸着され得るものであり、また水中において実質的に不溶性のものである。
【0019】
本発明の実施態様によれば、油相は中間的な疎水性を有する液体を含んでなる。すなわち、かかる液体は水に対して実質的に溶解又は混和せず、かつコロイド固体が油相及び水相の双方に効果的に接触できて、その界面を維持できる程度に疎水性でないものである。好ましくは、油相のオクタノール・水分配係数(又はlogP)は、1より大又は7未満、好ましくは3未満である。
【0020】
ある一の実施態様によれば、油滴は動的光散乱で測定した体積加重(volume−weighted)中位径が100ミクロン以下である。
【0021】
実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分が高粘性液体又は固体である場合は、溶媒を用いて実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を溶解させる、低粘性液体を形成してもよい。
【0022】
溶媒は、実質的に水と非混合性であるべきで、また油分散相に存在する殺有害生物活性成分に対する溶媒の親和性は、殺有害生物活性成分の実質的には全てが油相に分配され、水相には実質的に何も分配されない程度であることが必要である。具体的にいずれの有機溶媒が、問題の殺有害生物活性成分に対する前記第二の基準を満たすかを、水と有機溶媒の間における、化合物(本事例においては、油溶解性又は油混合性又は油分散性の殺有害生物活性成分)の分配決定用の任意の標準試験手法に従って決定することは、当業者にとっては容易である。
【0023】
例えば一の前記試験方法は、以下のステップを含んでなるものである。
1.油溶解性又は油混合性の殺有害生物活性成分を、有機溶媒中、可能な限り高濃度に調製する;
2.ガラス瓶中の90gの水に対して、この溶液のうちの一定量10gを添加し、機械的振とう器を用い室温で4時間振とうする;
3.ガラス瓶の内容物を4日間で相分離させる;
4.得られる油相及び水相の副サンプルを採取し、油相及び水相それぞれにおけるCO及びCWの濃度決定のためのHPLC分析を行う。水相の副サンプルは、微量の有機溶媒のを除去するため、分析前に遠心分離を行うのが好ましい;及び
5.オクタノール・水分配係数Pと同様に、分配係数をCO/CWとして計算する。分配係数は、対数で表現すると便利である。
【0024】
いくつかの場合においては、水相における殺有害生物活性成分の濃度がHPLC法の検出限界を下回るであろう。他の場合においては、遠心分離後ですら微量の有機溶媒が水相で見られ、水相中に観察される油溶解性又は油混合性又は油分散性の殺有害生物活性成分の見かけ上の濃度が、誤解を招くほどに高いこともある。そのような場合には、問題の油溶解性又は油混合性又は油分散性の殺有害生物活性成分の、水中における溶解性の文献値を、分配係数計算用のCWに置き換えて使用することもできる。
【0025】
有機溶媒は、殺有害生物活性成分の分配係数のlog(CO/CW)が約2以上、好ましくは約3以上を示すようなものを選択する。好ましくは殺有害生物活性成分は、有機溶媒に少なくとも約5質量%溶解し、より好ましくは10質量%、最も好ましくは15質量%溶解する。ここで通常は、殺有害生物活性成分に対し高溶解性を有する有機溶媒がより好ましく、かかる有機溶媒は実質的に水と非混合である。即ち(1又は複数の)有機溶媒は、約1:100から100:1までの間の比率で(水相と)混合した場合、20℃において水相から分離した液相状態を維持する。
【0026】
本発明の組成物において有用な有機溶媒の引火点は、好ましくは約35℃より上であり、より好ましくは90℃より上である。また当該有機溶媒は、好ましくは組成物の殺有害生物活性成分のいずれの生物的効果に拮抗するものでない。本発明の使用における適切な溶媒の例としては、石油系溶媒、例えば鉱物油、芳香族溶媒及びパラフィンが挙げられる。ナフタレン芳香族溶媒としては、例えばAromatic 100、Aromatic 150又はAromatic 200があり、エクソンモービル・ケミカル(テキサス州ヒューストン)から商業的に入手可能であり、又はSure Sol225はKoch Specialty Chemical社(テキサス州ヒューストン)から商業的に入手可能である;及び高溶解性を有するアルキルアセテート、例えばExxate(商標)1000もエクソンモービル・ケミカルから入手可能である。有用な芳香族溶媒は、例えばベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン(mesitylene)、ナフタレン、ビス−(α−メチルベンジル)キシレン、フェニルキシレン及びこれらの組み合わせが挙げられる。他の有用な溶媒は、置換された芳香族溶媒、例えばクロロベンセン又はオルト−ジクロロベンゼンがある。さらに、油相の調製に適した溶媒としては、アルキルケトン、脂肪や油由来の脂肪酸のメチルエステル(例えばオレイン酸メチル)、n−オクタノール、アルキルホスフェート(例えばトリ−n−ブチルホスフェート又はトリ−2−エチルヘキシルフホスフェート)、脂肪酸アルキルアミド(例えばCognis of Cincinnati社(オハイオ州)から入手可能なAgnique KE3658、又はStepan Chemical(イリノイ州ノースフィールド)から入手可能なHallcomid M−8−10)がある。
【0027】
水不溶性の殺有害生物活性成分は、それ自身が油相を含んでなるものでもよく、油相を形成させるための疎水性溶媒に溶解されていてもよく、コロイド固体を形成してもよく、及び/又は油相中に分散されていてもよい。活性成分は、選択される溶媒によって油相中に溶解されもしくは分散され、又は本発明の油相と水相間の界面に吸着されてもよい。
【0028】
20℃での水相における溶解性が約5000mg/L以下であり、より好ましくは2000mg/L以下であり、及び植物生育調節剤、除草剤、除草薬害軽減剤、殺虫剤及び殺菌剤を含む、実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分であって、本発明における使用に適したものとしては以下が挙げられる。
【0029】
A.約20℃より下で液体もしくは少なくとも数日は液体として安定状態を維持する殺有害生物活性成分で、且つ自身が油相を含んでなるもの。又は水相と実質的に非混合性の有機溶媒との組み合わせで使用されるもの。このタイプの殺有害生物活性成分としては、これに限定されるものではないが、メトラクロル(metolachlor)、S−メトラクロル(S−metolachlor)、パーメトリン(permethrin)及びプロピコナゾール(propiconazole)がある。
【0030】
B.融点が約20℃から80℃の間であり、溶解されその後エマルションを形成できる、殺有害生物活性成分。このタイプの有害生物活性成分の例として、これに限定されるものではないが、シプロジニル(cyprodinil)、ラムダシハロトリン(cyhalothrin)及びミクロブタニル(myclobutanil)がある。
【0031】
C.実質的に水相と非混合である有機溶媒において20℃で少なくとも約50,000mg/L、より好ましくは少なくとも約150,000mg/Lの濃度まで溶解する、固体の殺有害生物活性成分。このタイプの殺有害生物活性成分の例としては、これに限定されるものではないが、アバメクチン(abamectin)、クロジナホップ(clodinafop)及びラムダシハロトリン(lambda cyhalothrin)がある。
【0032】
D.融点が約50℃より高い、任意の殺有害生物活性成分を含む油相中に分散及び維持され得て、且つ油相中における20℃での溶解性が約5000mg/L未満、より好ましくは2000mg/L未満である、固体の殺有害生物活性成分。代表的な固体殺有害生物活性成分としては、クロロタロニル(chlorothalonil)、イソキサフルトール(isoxaflutole)、メソトリオン(mesotrione)、これらの塩及びキレート、PPO阻害剤、例えばブタフェナシル(butafenacil)、プロジアミン(prodiamine)、トリアジン類(triazine)、例えばアトラジン(atrazine)、シマジン(simazine)及びテルブチラジン(terbuthylazine)、スルホニルウレア除草剤、例えばプリミスルフロン(primisulfuron)、プロスルフロン(prosulfuron)、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、フルジオキソニル(fludioxonil)、チアベンダゾール(thiabendazole)及び米国特許第6,537,948号記載の式(I)の化合物が挙げられる。
【化1】

本実施態様の目的において、固体の殺有害生物活性成分は、油相中に実質的に固体の形態で分散されたまま維持される活性成分を含む。かかる固体の殺有害生物活性成分は、油相中に存在する溶媒において限定された溶解性を示してもよいが、商業的に有用な溶媒において商業的に有用なレベルの溶解性は示さない。又は、ある特定の溶媒には容易に溶解してもよいが、この場合溶媒は油相に存在しないか、活性成分の大部分を溶解させるための十分量として存在しないかのいずれかである。
【0033】
E.連続水相と油分散相との間の液−液界面に吸着され得て、コロイド固体としてピッカリングエマルションを形成する、固体の殺有害生物活性成分。固体活性成分は、製剤の油相及び水相の双方において、20℃で約100mg/L未満の溶解性を有する。
【0034】
本発明で使用に適した水不溶性の殺有害生物活性成分は、当業者により容易に決定できる。本発明における活性成分の適合を決定するために必要な、殺有害生物活性成分の物理的特性(例えば水溶解性及び融点)は周知であり、当業者が、入手可能な文献(例えば英国作物保護会議(the British Crop Protection Council)から入手可能なThe Pesticide Manual−14th Edition)から理解又は容易に決定することが可能である。
【0035】
本発明における使用に適した、実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分は、これらに限定されるものではないが、以下のものがある。例えば殺菌剤、例えばアゾキシストロビン(azoystrobin)、クロロタロニル(chlorothalonil)、シプロジニル(cyprodinil)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、フルジオキソニル(fludioxonil)、マンジプロパミド(mandipropamid)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、プロピコナゾール(propiconazole)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、テブコナゾール(tebuconazole)、チアベンダゾール(thiabendazole)、及びトリフロキシストロビン(trifloxystrobin);除草剤、例えばアセトクロル(acetochlor)、アラクロル(alachlor)、アメトリン(ametryn)、アメドスルフロン(amidosulfuron)、アニロホス(anilofos)、アトラジン(atrazine)、アザフェニジン(azafenidin)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、ベンフルラリン(benfluralin)、ベンフレセート(benfuresate)、ベンスルフロンメチル(bensulfuron−methyl)、ベンスライド(bensulide)、ベンズフェンジオン(benzfendizone)、ベンゾフェナップ(benzofenap)、ブロモブチド(bromobutide)、ブロモフェノキシン(bromofenoxim)、ブロモキシニル(bromoxynil)、ブタクロル(butachlor)、ブタフェナシル(butafenacil)、ブタミフォス(butamifos)、ブトラリン(butralin)、ブチレート(butylate)、カフェンストロール(cafenstrole)、カルベタミド(carbetamide)、クロルブロムロン(chlorbromuron)、クロリダゾン(chloridazon)、クロリムロン−エチル(chlorimuron−ethyl)、クロロトルロン(chlorotoluron)、クロロプロファム(chlorpropham)、クロルタル−ジメチル(chlorthal-dimethyl)、クロルチアミド(chlorthiamid)、シニドン−エチル(cinidon−ethyl)、シンメチリン(cinmethylin)、シノスルフロン(cinosulfuron)、クロジナホップ−プロパギル(clodinafop−propargyl)、クロマゾン(clomazone)、クロメプロップ(clomeprop)、クロランスラム−メチル(cloransulam−methyl)、シアナジン(cyanazine)、シクロエート(cycloate)、シクロスルファムロン(cyclosulfamuron)、ダイムロン(daimuron)、デスメジファム(desmedipham)、デスメトリン(desmetryn)、ジクロベニル(dichlobenil)、ジフルフェニカン(diflufenican)、ジメフロン(dimefuron)、ジメピペレート(dimepiperate)、ジメタクロル(dimethachlor)、ジメタメトリン(dimethametryn)、ジメテナミド(dimethenamid)、ジメテナミド−P(dimethenamid−P)、ジニトラミン(dinitramine)、ジノターブ(dinoterb)、ジフェナミド(diphenamid)、ジチオピル(dithiopyr)、ジウロン(diuron)、EPTC、エスプロカルブ(esprocarb)、エタルフラリン(ethalfluralin)、エタメツルフロン−メチル(ethametsulfuron−methyl)、エトフメセート(ethofumesate)、エトベンザニド(etobenzanid)、フェノキサプロップ−エチル(fenoxaprop−ethyl)、フェノキサプロップ−P−エチル(fenoxaprop−P−ethyl)、フェントラザミド(fentrazamide)、フェヌロン(fenuron)、フランプロップ−メチル(flamprop−methyl)、フランプロップ−M−イソプロピル(flamprop−M−isopropyl)、フラザスルフロン(flazasulfuron)、フルアゾレート(fluazolate)、フルクロラリン(fluchloralin)、フルフェナセット(flufenacet)、フルミクロラック−ペンチル(flumiclorac−pentyl)、フルミオキサジム(flumioxazin)、フルオメツロン(fluometuron)、フルオロクロリドン(fluorochloridone)、フルポキサム(flupoxam)、フルレノール(flurenol)、フルリドン(fluridone)、フラータモン(flurtamone)、フルチアセット−メチル(fluthiacet−methyl)、ハロスルフロン−メチル(halosulfuron−methyl)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、インダノファン(indanofan)、イソプロツロン(isoproturon)、イソウロン(isouron)、イソキサベン(isoxaben)、イソキサフルトール(isoxaflutole)、レナシル(lenacil)、リヌロン(linuron)、メフェナセット(mefenacet)、メソトリオン(mesotrione)、メタミトロン(metamitron)、メタザクロル(metazachlor)、メタベンズチアズロン(methabenzthiazuron)、メチルディムロン(methyldymron)、メトベンズロン(metobenzuron)、メトブロムロン(metobromuron)、メトラクロル(metolachlor)、メトスラム(metosulam)、メトクスロン(metoxuron)、メトリブジン(metribuzin)、メツルフロン−メチル(metsulfuron−methyl)、モリネート(molinate)、モノリヌロン(monolinuron)、ナプロアニリド(naproanilide)、ナプロパミド(napropamide)、ネブロン(neburon)、ノルフルラゾン(norflurazon)、オルベンファルブ(orbencarb)、オリザリン(oryzalin)、オキサジアルギル(oxadiargyl)、オキサジアゾン(oxadiazon)、オキサルスフロン(oxasulfuron)、オキシフルオルフェン(oxyfluorfen)、ペブレート(pebulate)、ペンジメタリン(pendimethalin)、ペンタノクロル(pentanochlor)、ペトキサミド(pethoxamid)、ペントキサゾン(pentoxazone)、フェンメジファム(phenmedipham)、ピノキサデン(pinoxaden)、ピペロフォス(piperophos)、プレチラクロル(pretilachlor)、プリミスルフロン(primisulfuron)、プロジアミン(prodiamine)、プロフルアゾール(profluazol)、プロメトン(prometon)、プロメトリン(prometryn)、プロパクロル(propachlor)、プロパニル(propanil)、プロパジン(propazine)、プロファン(propham)、プロピソクロル(propisochlor)、プロピザミド(propyzamide)、プロスルフォカルブ(prosulfocarb)、プロスルフロン(prosulfuron)、ピラフルフェン−エチル(pyraflufen−ethyl)、ピラゾギル(pyrazogyl)、ピラゾリネート(pyrazolynate)、ピラゾスルフロン−エチル(pyrazosulfuron−ethyl)、ピラゾキシフェン(pyrazoxyfen)、ピリブチカルブ(pyributicarb)、ピリデート(pyridate)、ピリミノバック−メチル(pyriminobac−methyl)、キンクロラック(quinclorac)、シデュロン(siduron)、シマジン(simazine)、シメトリン(simetryn)、S−メトラクロル(S−metolachlor)、スルコトリオン(sulcotrione)、スルフェントラゾン(sulfentrazone)、スルフォメツロン−メチル(sulfometuron−methyl)、スルホスルフロン(sulfosulfuron)、テブタム(tebutam)、テブチウロン(tebuthiuron)、ターバシル(terbacil)、テルブメトン(terbumeton)、テルブチラジン(terbuthylazine)、テルブトリン(terbutryn)、テニルクロル(thenylchlor)、チアゾピル(thiazopyr)、チジアジミン(thidiazimin)、チフェンスルフロン−メチル(thifensulfuron−methyl)、チオベンカルブ(thiobencarb)、チオカルベジル(tiocarbazil)、トリアレート(triallate)、トリアスルフロン(triasulfuron)、トリベヌロン−メチル(tribenuron−methyl)、トリエタジン(trietazine)、トリフルラリン(trifluralin)、トリフルスルフロン−メチル(triflusulfuron−methyl)、及びバーノレート(vernolate)、及び;除草薬害軽減剤、例えば、ベノキサコル(benoxacor)、クロキントセット(cloquintocet)、クロキントセット−メチル(cloquintocet−mexyl)、ジクロルミド(dichlormid)、フェンクロラゾール−エチル(fenchlorazole−ethyl)、フェンクロリム(fenclorim)、フルラゾール(flurazole)、フルキソフェニム(fluxofenim)、フリラゾール(furilazole)、イソキサジフェン−エチル(isoxadifen−ethyl)、メフェンピル(mefenpyr);メフェンピルのアルカリ金属、アルカリ土類金属、スルホニウム、又はアンモニウムカチオン;メフェンピル−ジエチル及びオキサベトリニル(oxabetrinil);殺虫剤、例えばアバメクチン(abamectin)、クロチアニジン(clothianidin)、エマメクチン(emamectin)、ベンゾエート(benzoate)、ガンマシハロトリン(gamma cyhalothrin)、イミダクロピリド(imidacloprid)、ラムダシハロトリン(lambda cyhalothrin)、パーメトリン(permethrin)、レスメトリン(resmethrin)及びチアメトキサム(thiamethoxam)が挙げられる。
【0036】
好ましい実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分は、アセトアミド除草剤及び薬害軽減剤を含む。代表的なアセトアミド除草剤は、ジフェンアミド、ナプロパミド、ナプロアニリド、アセトクロル、アラクロル、ブタクロル、ジメタクロル、ジメテンアミド、ジメテンアミド−P、フェントラザミド、メタザクロル、メトラクロル、ペトキサミド、プレチラクロル、プロパクロル、プロピソクロル、S−メトラクロル、テニルクロル、フルフェナセット及びメフェナセットがある。アセトアミド除草剤が室温で液体、即ち約0℃より下の融点を有するものである場合、油相は、基本的に又は実質的に、アセトアミド除草剤を含むことができる。言い換えると、有機溶媒は不要であるが、随意に含むものであってもよい。室温で液体であり、且つ有機溶媒を必要としない本発明の組成物製剤(formulated)が可能である、アセトアミド除草剤の例としては、アセトクロル、ブタクロル、ジメテンアミド、ジメテンアミド−P、メトラクロル、S−メトラクロル及びペチラクロルがある。有機溶媒が所望又は必要とされる場合、農薬製剤技術においては既知の、アセトアミド除草剤が十分に溶解する任意の適切な有機溶媒を使用してもよい。好ましい有機溶媒は、アセトアミド除草剤が高溶解性であり、そのために可能な限り高濃度アセトアミド除草剤が油相及びその組成物全体に適合できるようなものである。
【0037】
本明細書で使用する場合、アセトアミドなる語は2以上のアセトアミド混合物及びアセトアミドの光学異性体の混合物を含む。例えば、メトラクロルの(R)及び(S)異性体の混合物には、(S)−2−クロロ−N−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−(2−メトキシ−1−メチルエチル)アセトアミドの、(R) −2−クロロ−N−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−(2−メトキシ−1−メチルエチル)アセトアミドに対する比率が、50〜100%から50〜0%、好ましくは70〜100%から30〜0%、さらに好ましくは80〜100%から20〜0%の範囲で含まれる。
【0038】
好ましいアセトアミドは、メトラクロル(S)及び(R)異性体の混合物を、(S)−2−クロロ−N−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−(2−メトキシ−1−メチルエチル)アセトアミドの、(R) −2−クロロ−N−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−(2−メトキシ−1−メチルエチル)アセトアミドに対する比率が、50〜100%から50〜0%、好ましくは70〜100%から30〜0%、さらに好ましくは80〜100%から20〜0%の範囲で含まれるものである。
【0039】
本発明での使用に適した薬害軽減剤としては、ベノキサコル;クロキントセット;クロキントセット−メチル;ジクロルミド;フェンクロラゾール−エチル;フェンクロリム;フルラゾール;フルキソフェニム;フリラゾール;イソキサジフェン−エチル;メフェンピル;メフェンピルのアルカリ金属、アルカリ土類金属、スルホニウム、又はアンモニウムカチオン;メフェンピル−ジエチル及びオキサベトリニルがある。好ましい薬害軽減剤としては、ベノキサコル及びジクロルミドがある。液体アセトアミドが使用される場合、薬害軽減剤は通常アセトアミド相に溶解されるが、有機溶媒を使用することも可能である。有機溶媒が所望又は必要とされる場合、農薬製剤技術においては既知の、アセトアミド除草剤又は薬害軽減剤が十分に溶解する任意の適切な有機溶媒を使用してもよい。好ましい有機溶媒は、アセトアミド除草剤及び薬害軽減剤が高溶解性であり、そのため可能な限り高濃度アセトアミド除草剤が油相及びその組成物全体中に適合できるようなものである。
【0040】
固体(例えばシリカやクレイ)は、連続相全体にわたるネットワークもしくはゲル形成、その結果生じる低せん断粘度の増大、及び小粒子、界面活性剤ミセル又はエマルション液滴の運動速度低下による、重力沈降又はクリーム分離を阻害するため、農薬製剤において粘度調整剤としての使用法が文献において示されてきた。本発明のコロイド固体は、代わりに、液−液界面に吸着し、その結果液滴の周囲にバリアを形成し、接触又は隣接する液滴の凝集を不能にすることにより、油分散エマルション相のエマルション液滴を安定化する。これはエマルション液滴が沈殿物又はクリーム層に収集されるか否かは問題とならない。以下に述べる機能試験により、2の異なる機能、レオロジー変更又はエマルション安定化を識別することができる。エマルション安定化におけるコロイド固体の有効性は、粒子径、粒子形状、粒子濃度、粒子湿潤性及び粒子間の相互作用に依存する。コロイド固体は、油滴表面をコートし得るよう十分に微小であるべきで、使用のために希釈する場合、十分に微小であることは沈降に対抗する良好な分散安定性を提供する。またコロイド固体は、標的部位において産物(product)の分配を提供するほど十分微小であるべきである。コロイド固体は、分散相及び連続相を形成する液体の両方に対して十分な親和性を有するべきであり、液−液界面に吸着できるためにエマルションを安定化できる。この湿潤特性、粒子形状及びピッカリングエマルション安定化のための適合性は、ほとんどの液体産物(product)において有用である程十分に低粘度(約2000センチポイズ(centipose)未満)の製剤において、2の非混合性液体相とコロイド固体を組み合わせ、エマルション形成のための十分な機械的攪拌を与えることにより、容易に評価できる。2時間を過ぎても、得られるエマルションに液滴凝集が実質的に無い場合(これは初期に分散相に存在した液体だけを含む液体層の成長により決定される)、コロイド固体は凝集に対するピッカリングエマルションを安定化する液−液界面への十分な親和性を有する。いくつかの場合においては、1又は複数の水可溶性電解質又は非電解質を連続水相に添加することにより、液−液界面に対するコロイド固体の親和性が増強され、エマルション安定性が高められる。当業者は従来の実験手法を用いて、この結果に到達するために適切な電解質又は非電解質を容易に決定し、適切な使用濃度を最適化することができる。前記組成物も本発明の一部である。優先的に分散相にぶんされる共溶媒の添加により、コロイド固体の液−液界面に対する親和性を向上させることも同様に可能である。共溶媒はlogPが約1より大であり、同様な実験手法で適切な共溶媒及び使用濃度を容易に決定できる。前記組成物はまた本発明の一部である。
【0041】
ある一の実施態様においては、コロイド固体は、走査電子顕微鏡で測定した場合、0.5ミクロン以下、好ましくは0.1ミクロン以下、さらに好ましくは0.05以下の数加重(number−weighted)粒子中位径を有するものである。
【0042】
多種多様な固体原料(material)が、本発明のピッカリングエマルションのためのコロイド安定化剤として使用されてもよく、例えばカーボンブラック、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、製剤中に存在する任意の成分に不溶性である重合体(ポリマー)、シリカ及びクレイが挙げられる。殺有害生物活性薬剤が、連続相及び分散液体相の双方に対して適切な低溶解性を有し(室温で100ppm未満)、且つ適切な粒子径で調製可能で、上記の液−液界面に対して適切な湿潤特性を有する場合は、活性成分がコロイド安定化剤として機能を発揮することもできる。コロイド固体の具体的な例としては、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、二酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、沈降シリカ及びヒュームドシリカ、並びにこれらの混合物が挙げられる。固体は表面修飾されていてもよく、例えば、ジメチルジクロロシラン、ヘキサデシルシラン、酸化アルミニウムの存在により、又はアルカン装飾(alkane decoration)により修飾されたヒュームドシリカ又は沈降シリカがある。本発明のコロイド安定化剤としての使用に適する重合体としては、繊維上に表面活性化特性を付与するような修飾を施されたポリマー繊維を含む重合体があり、国際公開第2007/068344号に示されている。
【0043】
コロイド固体のタイプ及び量は、組成物の許容可能な物理的安定性を提供するよう選択する。これは、異なる量の成分を有する様々な組成物の定型的な評価により、当業者は容易に決定可能である。典型的には、0℃から約50℃の温度幅にわたって少なくとも7日間の保存後、有意な凝集を確認しない場合には組成物の物理的安定性は許容できる。本発明のスコープ内で安定な組成物は、わずかな攪拌のみで容易に再懸濁又は再分散し得る組成物も含むものとする。
【0044】
ある一の実施態様によれば、液体殺有害生物エマルション組成物の連続相は、少なくとも1の水可溶性農薬を含んでなるものである。好ましくは、水可溶性農薬は農薬電解質である。
【0045】
一般的に、農薬製剤からの成分の析出は極めて望ましくなく、製剤がバルク容器で市販される場合は殊更である。これらの環境においては、製剤の再均一化、並びに希釈時及び噴霧時に成分分配を達成することすら困難である。さらに、製剤は、高温及び寒冷の両気候において長期間の貯蔵という観点においても安定でなければならない。これらの要因は製剤設計者にとって厄介な問題を提示する。製剤が水可溶性な農薬電解質と、実質的に水不溶性な第二の農薬系を含む場合、問題はさらに悪化し得る。本発明の製剤は、水相に農薬電解質を含む場合でも、安定な油中水エマルションを提供するものである。
【0046】
水可溶性の農薬電解質は活性農薬又は農薬エンハンサー、例えば硫酸アンモニウム又は任意の他のイオン種は、化学製剤に添加されてもよい。「農薬」なる語は生物活性を有する化合物を含むものであり、例えば除草剤、植物生育調節剤、殺藻剤、殺真菌剤、殺細菌剤、殺ウイルス剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺軟体動物剤がある。好ましい水可溶性の農薬活性剤としては、アシフルオフェン(acifluorfen)、アクロレイン(acrolein)、アミノピラリド(aminopyralid)、アミトロール(amitrole)、アシュラム(asulam)、ベナゾリン(benazolin)、ベンタゾン(bentazone)、ビアラフォス(bialaphos)、ブロマシル(bromacil)、ブロモキシニルカリウム(bromoxynil potassium)、クロラムベン(chloramben)、クロロ酢酸、クロピラリド(clopyralid)、2,4−D、2,4−DB、ダラポン(dalapon)、ジカンバ(dicamba)、ジクロルプロップ(dichlorprop)、ジフェンゾクワット(difenzoquat)、ジクワット(diquat)、エンドタール(endothall)、フェナック(fenac)、フェノキサプロップ(fenoxaprop)、フランプロップ(flamprop)、フルミクロラック(flumiclorac)、フルオログリコフェン(fluoroglycofen)、フルプロパネート(flupropanate)、フォメサフェン(fomesafen)、フォサミン(fosamine)、グルホシネート(glufosinate)、グリホセート(glyphosate)、イミダゾリノン(imidazolinone類)例えばイマザメス(imazameth)、イマザメタベンズ(imazamethabenz)、イマザモックス(imazamox)、イマザピック(imazapic)、イマザピル(imazapyr)、イマザキン(imazaquin)及びイマザエタピル(imazethapyr)、イオキシニル(ioxynil)、MCPA、MCPB、メコプロップ(mecoprop)、メチルアルソン酸(methylarsonic acid)、ナプタラム(naptalam)、ノナン酸(nonanoic acid)、パラクワット(paraquat)、ピクロラム(picloram)、キンクロラック(quinclorac)、スルファミン酸(sulfamic acid)、2,3,6−TBA、トリクロピル(triclopyr)及びこれらの水可溶性の塩がある。好ましい農薬としては、例えば水可溶性のカリウム、トリメチルスルホニウム、イソプロピルアミン、ナトリウム等の塩の形態で従来から使われている、グリホセート(N−ホスホノメチルグリシン)、又はアンモニウム塩、ジクワットの塩(例えばジクワット二臭化物)、フォメサフェン(fomesafen)(水可溶性ナトリウム塩の形態で従来から使用されている)、グルホシネート(glufosinate)(水可溶性アンモニウム塩の形態で従来から使用されている)、パラクワットジクロリド(paraquat dichloride)、ジカンバ(水可溶性ナトリウム及びカリウム及びジメチルアンモニウム塩の形態で従来から使用されている)、ベンタゾン(水可溶性ナトリウム塩の形態で従来から使用されている)がある。代表的な農薬エンハンサーとしては、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム及び酢酸ナトリウムがある。これらの成分は単独では殺有害生物活性が無い可能性もあるが、腐食電位(corrosion potential)を減少させ、凝固点を低減させ、及び/又は組成物の物理的安定性を向上させることで、殺有害生物の生物的有効性を向上させてもよい。従って例えばグリホセート塩を製剤化し、もしくは活性エンハンサーとして硫酸アンモニウムと共にタンクに混合してもよく、一方パラクワットに浄化剤(purgative)として硫酸マグネシウムを添加してもよい。水可溶性農薬電解質の混合物を使用してもよい。好ましい混合物としては、ジカンバ、ジクワット、グルホシネート及びパラクワットからなる群から選択される少なくとも1つと、グリホセート塩の混合物が挙げられる。
【0047】
殺有害生物剤又は植物生育調節剤又はそれらの塩に関連して、本明細書において使用される「水可溶性」なる語は、水可溶性農薬電解質を、本発明の組成物の水相において、所望の濃度で完全に溶解させることが十分にできる、20℃の脱イオン化した水における溶解性を有することを意味する。本発明において有用な好ましい水可溶性活性成分は、20℃の脱イオン化した水において、50,000mg/L以上の、より好ましくは100,000mg/L以上の溶解性を有するものである。但し、本明細書中で活性成分化合物が水可溶性であると言及するにもかかわらず、化合物自身は直接上記の定義に従うと水可溶性でないものとして知られる場合は、その言及はその化合物の水可溶性誘導体、より具体的には水可溶性塩等を指すものと理解されるものであろう。
【0048】
水可溶性農薬電解質(例えば除草剤)は、存在する場合には、組成物全体で殺有害生物的(例えば除草的)有効量として十分な濃度で、必要に応じて適量の水で組成物を希釈し、標的の場所に噴霧により施用される。濃縮組成物においては、可能な限り且つ便利な範囲で、高濃度の(又は高「充填」の)水可溶性活性成分を提供することが所望される。注目の活性成分及び組成物の意図された使用に依存して、約50,000から約560,000mg/L又はそれ以上の充填が好ましい。
【0049】
好ましくは、水可溶性農薬電解質は、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、ジカンバ、ジクワット、グルホシネート、グリホセート、パラクワット及び農業的に許容可能なその塩からなる群から選択される少なくとも1の要素を含んでなるものである。具体的な実施態様によれば、水可溶性農薬電解質は、除草剤グリホセートの農業的に許容可能なその塩を含んでなる。
【0050】
グリホセートは3つの酸性部位を有するため、三塩基塩を形成することができ、好ましい組成物は水相のpHが約8より大ではなく、かかるpH値では、三塩基塩として存在しているグリホセート画分が無視できるほど小さい。従って、pH8で十分に脱プロトン化され、2つの酸性部位しかないものは本明細書で考慮される。これらの1つがホスホン酸部位で、その他がカルボン酸部位のグリホセート分子である。グリホセートの二塩基塩、特にジアンモニウム塩は、本発明の組成物において有用であるが、単(モノ)塩基塩もまた好ましい。特に好ましい実施例としては、モノナトリウム、モノカリウム、モノ(ジメチルアンモニウム)、モノ(エタノールアンモニウム)、モノ(イソプロピルアンモニウム)及びモノ(トリメチルスルホニウム)塩が挙げられる。約110から約560g/L(約110,000から約560,000mg a.e./L)のグリホセートa.e.充填は、達成可能であり;約180から約500g a.e./L(約180,000から約500,000mg a.e./L)の範囲での充填は、特に有用であると理解する。
【0051】
本発明のさらなる態様としては、植物種又は動物の有害生物による感染を予防又は駆除し、適切な液体キャリアでエマルション組成物を希釈することにより植物の生育を調節し、及び植物、樹木、動物又は所望される場所に施用する方法を含むものである。
【0052】
エマルションは、都合良く容器に貯蔵することが可能であり、その容器から注がれ、もしくはポンプでくみ上げられ、又は液体キャリアが施用前にその容器に添加されるものである。
【0053】
本発明のエマルションの利点としては:長期間(例えば2ヶ月以上室温)の保存安定性;施用混合物の調製のために水又は液体キャリアで希釈が可能であり、使用者にとって簡単な取り扱いが可能;貯蔵期間や希釈段階においてエマルション液滴サイズの変化がほとんどないこと;組成物はわずかな攪拌を行うだけで容易に再懸濁又は再分散可能であり、及び/又は、エマルションは施用混合物の調製のための肥料溶液での希釈の際に凝集しにくいことが挙げられる。
【0054】
本発明は実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分の組み込みにおいて優れた柔軟性を提供する。所望される農薬効果の組み合わせ次第で、様々な比率での含入が一般に可能になるであろう。従って、典型的な比率としては、(1又は複数の)実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分1質量部に対して農薬電解質150質量部から、(1又は複数の)実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分4質量部に対して農薬電解質1質量部があり得る。(1又は複数の)水不溶性の殺有害生物活性成分の上限は、効果的に分散し得る比率のみによって決定される。
【0055】
従って、農薬電解質が除草剤である本発明のさらなる態様によれば、本発明組成物の除草有効量を植物に対して施用することを含む、不所望植物に深刻な損傷又は死滅を与える方法を提供するものである。
【0056】
本発明組成物の施用比率は多数の要因に依存する。かかる要因としては、例えば使用のために選択される活性成分、生育が阻害されるべき植物の属性及び使用のために選択される剤型、及び組成物が茎葉又は根のいずれからの摂取のために施用されるか、等が挙げられる。但し、一般的な手引きに従うと、1ヘクタール当たり0.001から20キログラムの施用比率が適切であり、さらに1ヘクタール当たり0.025から10キログラムの施用が好ましい。
【0057】
本発明の一の実施態様によれば、組成物はさらに、分散状態の固体相に水不溶性の殺有害生物活性成分を含んでなり、かかる固体相はそれ自身が水相に分散される水非混合性溶液に分散されており、よって固体中油(solid−in−oil)エマルションを形成し、油エマルションそれ自身が上述のコロイド固体により安定化される。
【0058】
水不溶性の固体殺有害生物活性物質が存在する場合、固体活性成分は所望の粒子径に粉砕(milling)してもよい。所望の粒子径を得るために水、消泡剤、及び必要ならば水可溶性界面活性剤と共に活性物質のスラリー粉砕を使用してもよい。粒子径としては、平均粒径で約0.2から20ミクロン、好ましくは約0.2から15ミクロン、さらに好ましくは0.2から10ミクロンがあり得る。
【0059】
固体の水不溶性活性成分は典型的に50℃以上の、好ましくは75℃以上の融点を有するであろう。本発明において有用な特に好ましい水不溶性活性成分は100℃以上、さらにより好ましくは150℃以上の融点を有するものである。
【0060】
本明細書で使用される「殺有害生物有効量」なる用語は、有害生物を抑制的に制御又は変更する殺有害生物化合物の量を意味する。例えば除草剤の場合「除草有効量」とは、植物の生育を制御又は変更するために十分な除草剤の量である。制御又は変更の効果は、自然な成り行きからのあらゆる逸脱を含むものであり、例えば枯死、生育遅延、葉枯れ、白化、矮性化等がある。植物なる語は植物のあらゆる物理的部分を言い、例えば種子、苗、若木、根、塊茎、茎(stem)、茎(stalk)、葉及び果実がある。殺細菌剤の場合「殺細菌剤」なる語は、細菌を死滅させる物質、又は細菌の増殖、阻害、分裂、繁殖、又は拡散を実質的に阻害する物質を言う。本明細書で使用される場合、殺細菌化合物との関連での「殺細菌有効量」又は「細菌制御又は低減のための有効量」なる用語は、極めて多数の細菌を死滅させる量、又はその増殖、阻害、分裂、繁殖、又は拡散を実質的に阻害する量を言う。本明細書で使用される場合、「殺虫剤」「殺線虫剤」又は「殺ダニ剤」は、それぞれ虫、線虫又はダニを死滅させる物質、又はその増殖、阻害、分裂、繁殖、又は拡散を実質的に阻害する物質を言う。殺虫剤、殺線虫剤又は殺ダニ剤の「有効量」なる用語は、極めて多数の虫、線虫又はダニを死滅させる量、又はその増殖、阻害、分裂、繁殖、又は拡散を実質的に阻害する量を言う。
【0061】
本発明組成物用に殺有害生物活性の所望レベルを提供することに関する、施用比率の選択は、当業者にとっては定型作業である。施用比率は植物の状態、天候及び生育状態並びに殺有害生物活性成分の活性、及び任意の施用可能な表示の比率制限に依存するであろう。
【0062】
本発明の組成物においては、低分子量又は高分子の界面活性剤の形態における、従来の乳化剤の存在は典型的には不要である。使用する場合、乳化剤は最大でも0.5質量%である。本発明によれば、調製物が、確実に0.5質量%未満の1又は複数の乳化剤、又は乳化剤が全く無い状態を含んでなる場合が特に有利である。但し、界面活性剤が殺有害生物剤の生物活性を最大化する補助剤として必要である場合、より高レベルで界面活性剤が存在してもよい。この場合において、コロイド固体のエマルション安定化能力は、後述の2つのテストのうちの1つを実施することにより簡単に検証できる。
【0063】
一方のテストサンプルは、コロイド固体存在かつ補助剤不存在条件で調製し、エマルションは安定で凝集が発生しないことが確認できる。
もう一方のテストサンプルは、補助剤存在かつコロイド固体不存在条件で調製し、エマルションは不安定で約1時間以内に油相が凝集することが確認できる。凝集は、目視で見える大きな油滴の形成により、最終的には製剤中における油層の形成により、明らかである。凝集の定量的な試験は、伝道性の測定に基づきKato等による記載(J.Food Sci., 50(1), 56 (1985))がある。0℃から約50℃の温度範囲にわたって少なくとも7日間の保存後、有意な凝集を確認しない場合には組成物の物理的安定性は許容できる。本発明のスコープにおける安定な組成物は、わずかな攪拌を行うだけで容易に再懸濁又は再分散可能な組成物も含む。この場合、製剤はT.F.TadrosによるSurfactants in Agrochemicals, Marcel Dekker, New York (1995)記載の通り、クリーム状又は沈殿状態を呈している。
【0064】
油相の高容量画分において、少量のポリマー分散剤は、物質が時間とともに粘度及び降伏応力の増加を示す傾向を除去することができる。本発明のある実施態様によれば、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸の誘導体が0.01から0.5%、好ましくは0.05から0.2%(質量/質量(wt/wt))エマルション中に存在する。またビニルピロリドンのポリマー及びコポリマー、又はアルキル化ピロリドンのポリマーも好適である。
【0065】
本発明はまた、
(a)水性連続相;
(b)少なくとも1のコロイド固体;及び
(c)少なくとも1の実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を含んでなる油分散エマルション相を含んでなり、
前記殺有害生物活性成分は、自身も油相を含む油性液体であるか、固体だが油相に存在する油性液体に溶解されるか、固体でかつ油相中に分散されるか、又は連続水相と油分散相との間の液−液界面に吸着するコロイド固体として存在する、液体殺有害生物エマルション組成物に関するものである。
【0066】
本発明はまた、
(a)水性連続相;
(b)少なくとも1のコロイド固体;及び
(c)少なくとも1の実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を含んでなる油分散エマルション相を含んでなり、
前記殺有害生物活性成分は、自身も油相を含む油性液体であるか、固体だが油相に存在する油性液体に溶解されるか、固体でかつ油相中に分散されるか、又は連続水相と油分散相との間の液−液界面に吸着するコロイド固体として存在する、液体殺有害生物エマルション組成物を、例えば水又は液体肥料等の適切なキャリア中において、各活性成分の所望の終濃度を得るための十分量、例えば(1又は複数の)殺有害生物剤の終濃度が活性成分(a.i.)の約0.01%から約10%の間の量で、希釈することにより得られる殺有害生物組成物に関するものである。
【0067】
本発明はまた、有用植物の作物における有害生物を駆除又は抑制するための方法であって、前記方法は液体殺有害生物エマルション組成物であって
(a)水性連続相;
(b)少なくとも1のコロイド固体;及び
(c)少なくとも1の実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を含んでなる油分散エマルション相を含んでなり、
前記殺有害生物活性成分は、自身も油相を含む油性液体であるか、固体だが油相に存在する油性液体に溶解されるか、固体でかつ油相中に分散されるか、又は連続水相と油分散相との間の液−液界面に吸着するコロイド固体として存在する、液体殺有害生物エマルション組成物の形成段階、必要ならば、前記各活性成分(a.i.)の所望の終濃度を得るための十分量の水又は液体肥料等の適切なキャリア中における、活性成分エマルション組成物を希釈する段階、及び例えば植物、植物部分又はその場所等の所望の領域を当該組成物で処置する段階を含んでなる方法に関するものである。
【0068】
植物なる語は植物のあらゆる物理的部分を言い、例えば種子、苗、若木、根、塊茎、茎(stem)、茎(stalk)、葉及び果実がある。
【0069】
本発明に従う組成物は、農業において従来から使用されるあらゆる施用方法に適しており、例えば、発芽前施用、発芽後施用及び種子紛衣がある。本発明に従う組成物は、作物領域に対して発芽前又は発芽後施用するために使用されることが好ましい。
【0070】
本発明に従う組成物は、有用植物における有害生物の駆除及び/又は抑制用として特に適している。有用植物の作物としてはナタネ、穀類(例えばオオムギ)、オートムギ、ライ麦及びコムギ、綿、トウモロコシ、ダイズ、サトウダイコン、果実類、液果類、ナッツ類、野菜類、花類、木、低木及び芝がある。本発明の組成物に使用される成分は、当業者に既知の多様な方法、多様な濃度で施用することができる。組成物が施用される比率は、制御すべき有害生物の具体的なタイプ、必要な制御の度合い、及び施用のタイミングと方法に依存するであろう。
【0071】
作物は、従来の繁殖手法又は遺伝子設計により、除草剤又は除草剤種(class)(例えばALSase、GSase、EPSPSase、PROase、ACCase又はHPPD阻害剤)耐性状態となった作物を含むものと理解する。従来の繁殖方法によりイミダゾリノン類(例えばイマザモックス)に対し耐性状態となった作物の例としては、Clearfoeld(登録商標)夏ナタネ(summer rape)(canola)がある。遺伝子設計手法により除草剤に対し耐性状態となった作物の例としては、商品名ラウンドアップ・レディ(RoundupReady(登録商標))及びリバティリンク(LibertyLink(登録商標))で市販される、グリホセート耐性及びグルホシネート耐性トウモロコシ変異体がある。
【0072】
作物は、遺伝子設計手法により有害虫耐性となった作物、例えばBtトウモロコシ(ヨーロッパアワノメイガ(European corn borer)耐性)、Btコットン(ワタミハナゾウムシ(cotton boll weevil)耐性)及びBtポテト(コロラドハムシ(Colorado beetle)耐性)を含む。Btトウモロコシの例としては、Bt176トウモロコシNK交配種(Bt 176 maize hybrids of NK)(登録商標、シンジェンタシード)がある。Bt毒はバチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)土壌細菌により天然で形成されるタンパク質である。毒、又は前記毒を合成できる遺伝子組み換え植物の例としては、欧州公開特許第451 878号(EP−A−451 878)、欧州公開特許第374 753号、国際公開第93/07278号、国際公開第95/34656号、国際公開第03/052073号及び欧州公開特許第427 529号に記載されている。殺虫耐性のためにコードされ1又は複数の毒を発現する、1又は複数の遺伝子を含む遺伝子組み換え植物の例としては、KnockOut(登録商標)(トウモロコシ)、Yield Gard(登録商標)(トウモロコシ)、NuCOTIN33B(登録商標)(コットン)、Bollgard(登録商標)(コットン)、NewLeaf(登録商標)(ポテト)、NatureGard(登録商標)及びProtexcta(登録商標)がある。これらの植物の作物又は種子原料は、除草剤に耐性があると同時に虫摂食にも耐性がある(遺伝子組み換え事象の「積み重ね(stack)」)例えば種子は殺有害生物Cry3タンパク質を発現する能力を持ち得、他方で同時にグリホセートに対して耐性でもある。
【0073】
作物はまた従来の繁殖手法又は遺伝子設計により得られ、いわゆる出力形質(output trait)(例えば向上した貯蔵安定性、より高い栄養価及び増強された香味)を含むものであると理解されるべきである。
【0074】
他の有用植物としては芝草(例えばゴルフコース、芝地、公園及び沿道、又は芝のための商業的生育)、又は観賞用植物(例えば花又は低木)が含まれる。
【0075】
作物領域は、栽培された植物が既に生育している、又は栽培された植物の種子が播種された土地の領域であり、また栽培された植物が生育する予定である土地の領域である。
【0076】
他の活性成分、例えば除草剤、植物生育調節剤、殺藻剤、殺真菌剤、殺細菌剤、殺ウイルス剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺軟体動物剤は本発明のエマルション製剤中に存在してもよく、又はエマルション製剤と共にタンク混合パートナーとして添加されてもよい。
【0077】
本発明の組成物は、さらに他の不活性添加剤を含んでもよい。添加剤は濃縮剤、流動性向上剤、湿潤剤、消泡剤、殺生物剤、緩衝剤、潤滑剤、充填剤、ドリフトコントロール剤、沈殿促進剤、補助剤、蒸発遅延剤、凍結保護剤、虫攻撃性香剤(insect attracting odor agent)、安定化金属塩又は水酸化物、UV保護剤、香料等がある。濃縮剤は可溶性又は水中で膨潤できる化合物であってもよく、例えばキサンタンのポリサッカライド(例えばアニオン性へテロポリサッカライド)、アルギネート、グアー又はセルロース(例えばRHODOPOL(登録商標)23(キサンタンガム)(ローディア、クランバリー、ニュージャージー州));合成高分子(例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリカルボキシレート、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトナイト、又はアタパルジャイト)がある。凍結保護剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、サッカロース、水可溶性塩、例えば塩化ナトリウム、ソルビトール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ウレア又はこれらの混合物がある。代表的な消泡剤としては、シリカ、ポリジアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサン、フルオロ脂肪族エステル又はパーフルオロアキルホスホニック/パーフルオロアルキルホスホニック酸又はそれらの塩及びこれらの混合物がある。好ましくはポリジメチルシロキサン、例えばダウ・コーニング(登録商標)Antifoam A又はAntifoam Bがある。代表的な殺生物剤としては、1,2‐ベンズイソチアゾリン−3−オン、入手可能なものとしてPROXEL(登録商標)GXL(Arch Chemicals)がある。
【0078】
使用してもよい適切な安定化金属塩及び水酸化物の例として、カルシウム、ベリリウム、バリウム、チタニウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル及び銅の塩及び水酸化物がある;最も好ましいのは、マグネシウム、マンガン、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル及び銅の塩及び水酸化物である;特に好ましいのは、銅水酸化物又は銅の塩、例えば酢酸銅である。
【0079】
本発明の組成物は、肥料と混合しさらにその安定性を維持してもよい。例えば、本発明の組成物と肥料を混合する場合、約1時間後不可逆な綿状凝集の存在は全く無く、凝集の傾向も示さない。肥料としては、例えば硫黄、窒素、リン含有、及び/又はカリウムを含んでもよい。一の実施態様によれば、肥料は10−34−0肥料(fertilizer)でもよい。
【0080】
本発明の組成物は、従来の農業手法で使用してもよい。例えば、本発明の組成物は水及び/又は肥料と混合してもよく、また所望の場所に、任意の手段(例えば飛行機スプレータンク、ナップザックスプレータンク、家畜ディッピング槽(cattle dipping vat)、地上スプレーに使用される農機具(例えばブーム噴霧器(boom sprayer)、手動噴霧器)等で、発芽前及び/又は発芽後施用を行ってもよい。所望の場所は、土壌、植物等があり得る。
【0081】
本発明の一の実施態様は、建築資材又は(例えば皮なめし工程において)皮革を処理する方法を指示するものであり、前記方法は、液体の殺有害生物エマルション組成物で、建築資材をコーティング又は含浸すること、又は皮革を処理することを含んでなる方法であって、ここで前記殺有害生物エマルション組成物は、
(a)水性連続相;
(b)少なくとも1のコロイド固体;及び
(c)少なくとも1の実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を含んでなる油分散エマルション相を含んでなり、
前記殺有害生物活性成分は、自身も油相を含む油性液体であるか、固体だが油相に存在する油性液体に溶解されるか、固体でかつ油相中に分散されるか、又は連続水相と油分散相との間の液−液界面に吸着するコロイド固体として存在する、組成物である。
【0082】
本発明のエマルション組成物は、建築資材のコーティングもしくは含浸又は皮革の処理の前に、必要に応じて適切なキャリアで希釈されてもよい。
【0083】
本明細書における「建築資材」は、建築等のために使用される資材を意味する。具体的には、建築資材は、壁板、構造木材、ドア、戸棚、貯蔵設備、カーペットがあり、特に天然樹脂カーペット(例えばウール及びヘシアン)、ソファ、壁紙又は天井紙、及び他の表面(例えば塗装された壁、床又は天井、塗装、プラスティック、木材(加工木材を含む)及び木材プラスティック複合材が挙げられる。これに加えて、建築資材は接着剤(adhesive)、シーリング剤(材)、接着剤(joining material)及びジョイント及び絶縁材を含むものである。具体的なある実施態様においては、建築資材は構造木材を意味する。さらなる実施態様においては、建築資材は加工木材を意味する。さらなる実施態様においては、建築資材はプラスティックを意味する。プラスティックはプラスティックポリマー及びコポリマーがあり、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン、ブチルゴム、エポキシ、フッ素重合体、イソプレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリビニル、クロリド、ポリスチレン、ポリカルボネート、ポリビニリデン、フルオライド、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド(polyphenyllenoxide)、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタットアミド(polyphtatamide)、ポリスルフェン、ポリエステル、シリコン、スチレンブタジエンゴム及び重合体(polymer)の組み合わせがある。さらなる実施態様において、建築資材はポリビニルクロリド(PVC)を意味する。さらなる実施態様において、建築資材はポリウレタン(PU)である。さらなる実施態様において、建築資材は塗装を意味する。さらなる実施態様において建築資材は木材プラスティック複合材(WPC)を意味する。木材プラスティック複合材は、当業者に周知の資材である。WPCの概説は、以下の文献で見ることができる(Craig demons, Forrest Products Journal, June 2002 VoI 52. No. 6. pp 10-18)。
【0084】
「木材」は木材及び木材製品、例えば:木工製品(timber product)、材木(lumber)、合板(plywood)、チップボード(chipboard)、フレイクボード(flakeboard)、積層梁(laminated beam)、配行性スタンドボード(oriented strandboard)、ハードボード(hardboard)、及びパーテイクルボード(particleboard)由来のもの;紙製食品ラップ、熱帯木材、構造木材、木製梁(wooden beam)、鉄道枕木、橋構成材(components of bridge)、jetties、木製車両、箱、荷台(pallet)、コンテナ、(container)、電柱、木製フェンス、木製断熱材、木製の窓及びドア、合板(plywood)、チップボード(chipboard)、建具(joinery)、又はかなり一般的に家やデッキ(deck)の建築のために、一般的に家屋建築に使用される建具(joinery)又は木材製品、例えば設計された木材、構造物及び木工品(carpentry)を建築する際に使用される木材製品、を意味すると理解されるべきである。
【0085】
一の実施態様によれば、不連続油相における殺有害生物活性成分は、殺藻剤、殺真菌剤、殺細菌剤、殺ウイルス剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺軟体動物剤からなる群から選択され、エマルション組成物は随意に希釈形態で、建築資材を被覆及び含浸するために用いてもよい。
【0086】
以下の実施例は、本発明のいくつかのさらなる態様を説明するものであり、その範囲に限定する意図はない。特にことわりが無い場合、本明細書及び特許請求の範囲を通してパーセンテージは質量によるものである。
【実施例】
【0087】
種々の製剤を下記の表1に示す。試験に用いた1又は複数の殺有害生物活性成分は、S−メトラクロル、ベノキサコル及びプロピコナゾールである。
【0088】
試験に用いたコロイド固体は、デグサ社から商業的に入手可能なヒュームドシリカ製品のアエロジル(Aerosil、登録商標)系列を用いた。
【0089】
いくつかの製剤に存在する他の成分は:ローディアから入手可能なRhodopol 23キサンタン粘度調整剤、及びアベシア(Avecia)から入手可能なProxel(登録商標) GXL biostatであり、バランスとして水を用いた。
【表1】

【0090】
実施例1
上記表1に示したピッカリングエマルション組成物Aを以下の通りに調製した:ベノキサコルをS−メトラクロルに攪拌しながら約60℃で溶解させ、アエロジル(登録商標)200親水ヒュームドシリカを、ローター−ステーターTurrax(登録商標)ミキサーを用い、高せん断力を加えた条件で水道水中に分散させた。その後油相を水相に添加し、目的の液滴サイズが得られるまで再び高せん断力を加えて混合した。上記表1に示したピッカリングエマルション組成物Bを以下の通りに調製した:アエロジル(登録商標)300親水ヒュームドシリカを、穏やかな攪拌条件で水道水中に分散させた。その後油相を水相に添加し、組成物をローター−ステーターTurrax(登録商標)ミキサーを用い、高せん断力を加えて1から2分間混合し、その間にアエロジル(登録商標)R974疎水ヒュームドシリカを添加し、目的の液滴サイズが得られるまでせん断力を加え続けた。初期の組成物Aの液滴中位径((D(V,0.5)))は6.5ミクロンであった。38℃で4週間保存後、組成物Aの中位径は8.5ミクロンであった。初期の組成物Bの液滴95パーセンタイル系(D(V,0.95))は43ミクロンであった。50℃で3週間保存後、組成物Bの95パーセンタイル径は97ミクロンであった。これらの結果は、液体除草剤(例えばS−メトラクロル)は有用な安定製品中においてピッカリングエマルションとして製剤化可能であることを示している。
【0091】
実施例2
上記表1に示したピッカリングエマルション組成物Cを以下の通りに調製した:アエロジル(登録商標)COK84親水ヒュームドオキサイド混合物を、ローター−ステーターTurrax(登録商標)を用い、高せん断力を加えた条件で水道水中に分散させた。プロピコナゾールを水相に添加し、この混合物を、油相の粘性を低下させるため、およそ50℃まで加温し、目的の液滴サイズが得られるまで高せん断力を加えて混合し、Rhodopol 23とProxel GXLを添加し均一になるまで混合した。30−0−0窒素肥料微粒エマルション分散に希釈した場合、一昼夜の保存後にエマルションの凝集は観察されなかった。これらの結果は、ピッカリングエマルションは、高濃度電解質に希釈した際、凝集に対して優れた安定性を有することを示すものであり、多くの場合スプレー施用のための希釈媒体を肥料溶液が形成する農業において、当該エマルションはその使用に非常に適したものとなっている。組成物Cの製剤を38℃で26日間保存後、体積中位径は43ミクロンであり、初期値の24ミクロンよりわずかに大きくなっただけであった。これらの結果は、液体殺有害生物剤(例えばプロピコナゾール)が有用な安定製品中においてピッカリングエマルションとして製剤化可能であることを示している。
【0092】
数例の本発明の典型的実施態様が上記に詳述されただけであるが、前記典型的実施態様において、本発明の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することのない範囲での多数の変更が可能であることは、当業者は容易に理解できることであろう。従って、これら全ての変更は、以下の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲の範囲内に含まれるべきであることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体殺有害生物エマルション組成物であって、
(a)水性連続相;
(b)少なくとも1のコロイド固体;及び
(c)少なくとも1の実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を含んでなる油分散エマルション相を含んでなり、
前記殺有害生物活性成分は、自身も油相を含む油性液体であるか、固体だが油相に存在する油性液体に溶解されるか、固体でかつ油相中に分散されるか、又は連続水相と油分散相との間の液−液界面に吸着するコロイド固体として存在する、組成物。
【請求項2】
前記実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分が、液体の実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を含んでなる、請求項1記載の液体殺有害生物組成物。
【請求項3】
前記液体の実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分が、溶媒中に溶解して低粘度液体を形成している、請求項2記載の液体殺有害生物組成物。
【請求項4】
前記水不溶性の殺有害生物活性成分が、固体の実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を溶媒中に溶解し、低粘度液体を形成することで調製される、請求項1記載の水性殺有害生物組成物。
【請求項5】
前記実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分が、油相中に分散される、固体の実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を含んでなる、請求項1記載の水性殺有害生物組成物。
【請求項6】
前記実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分が、連続水相及び油分散相の間の液−液界面に吸着するコロイド固体として存在する、実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を含んでなる、請求項1記載の水性殺有害生物組成物。
【請求項7】
前記水相に少なくとも1の水可溶性農薬を含む、請求項1記載の水性殺有害生物組成物。
【請求項8】
前記水可溶性農薬が、少なくとも1の水可溶性農薬電解質を含んでなる、請求項7記載の水性殺有害生物組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1の水可溶性農薬電解質が、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、ジカンバ(dicamba)、ジクワット(diquat)、グリホセート(glyphosate)、グルホシネート(glufosinate)、パラクワット(paraquat)又はこれらの混合物及び農業的に許容可能なこれらの塩からなる群から選択される、少なくとも1の構成要素を含んでなる、請求項8記載の水性殺有害生物組成物。
【請求項10】
前記水可溶性農薬電解質が、モノナトリウム、モノカリウム、ジアンモニウム、モノ(ジメチルアンモニウム)、モノ(エタノールアンモニウム)、モノ(イソプロピルアンモニウム)及びモノ(トリメチルスルホニウム)塩からなる群から選択される、少なくとも1のグリホセート塩を含んでなる、請求項9記載の水性殺有害生物組成物。
【請求項11】
前記実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分が、アセトアミド除草剤を含んでなる、請求項1記載の水性殺有害生物組成物。
【請求項12】
前記アセトアミド除草剤が、アセトクロル(acetochlor)、ブタクロル(butachlor)、メトラクロル(metolachlor)、S−メトラクロル及びプレチラクロル(pretilachlor)、ジメテンアミド(dimethenamid)又はジメテンアミド−Pからなる群から選択される、少なくとも1の構成要素を含んでなる、請求項11記載の水性殺有害生物組成物。
【請求項13】
前記アセトアミドが、メトラクロル(S)及び(R)異性体の混合物であって、(S)−2−クロロ−N−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−(2−メトキシ−1−メチルエチル)アセトアミドの、(R) −2−クロロ−N−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−(2−メトキシ−1−メチルエチル)アセトアミドに対する比率が、50〜100%から50〜0%の範囲である、請求項12記載の水性殺有害生物組成物。
【請求項14】
前記固体分散相が、クロロタロニル(chlorothalonil)、イソキサフルトール(isoxaflutole)、メソトリオン(mesotrione)、これらの塩及びキレート、ブタフェナシル(butafenacil)、プロジアミン(prodiamine)、トリアジン類(triazine)、スルホニルウレア除草剤、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、フルジオキソニル(fludioxonil)、テブコナゾール(tebuconazole)及び式(I)の化合物:
【化1】

からなる群から選択される、少なくとも1の固体の実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を含んでなる、請求項5記載の水性殺有害生物組成物。
【請求項15】
前記固体分散相が、メソトリオン(mesotrione)、アトラジン(atrazine)、シマジン(simazine)、テルブチラジン(terbuthylazine)、プロジアミン(prodiamine)、イソキサフルトール(isoxaflutole)、プリミスルフロン(primisulfuron)、プロスルフロン(prosulfuron)からなる群から選択される、少なくとも1の固体の水不溶性殺有害生物活性成分を含んでなる、請求項14記載の水性殺有害生物組成物。
【請求項16】
前記組成物中の、低分子量又は高分子の界面活性剤から形成される乳化剤の割合が、0.5質量%未満である、請求項1記載の水性殺有害生物組成物。
【請求項17】
前記組成物が、低分子量又は高分子の界面活性剤から形成される乳化剤を全く含まない、請求項16記載の水性殺有害生物組成物。
【請求項18】
請求項1の殺有害生物組成物を、各活性成分について所望の終濃度を得るために十分な量の適切なキャリアで希釈することにより得られる、殺有害生物組成物。
【請求項19】
前記キャリアが、水、液体肥料又はこれらの混合物から選択される、請求項18記載の殺有害生物組成物。
【請求項20】
有用植物の作物における有害生物を駆除又は抑制するための方法であって、
(a)水性連続相;
(b)少なくとも1のコロイド固体;及び
(c)少なくとも1の実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を含んでなる油分散エマルション相を含んでなり、
前記殺有害生物活性成分は、自身も油相を含む油性液体であるか、固体だが油相に存在する油性液体に溶解されるか、固体でかつ油相中に分散されるか、又は連続水相と油分散相との間の液−液界面に吸着するコロイド固体として存在する、液体殺有害生物エマルション組成物を形成する段階、必要ならば、前記各活性成分の所望の終濃度を得るための十分量の適切なキャリア中における、活性成分エマルション組成物を希釈する段階、及び例えば植物、植物部分又はその場所等の所望の領域を当該組成物で処置する段階を含んでなる方法。
【請求項21】
前記作物が、従来の繁殖手法又は遺伝子設計の結果として、少なくとも1の殺有害生物活性成分に対して耐性状態となった、請求項20記載の有用植物の作物における有害生物を駆除又は抑制するための方法。
【請求項22】
前記作物が、ALSase、GSase、EPSPSase、PROase、ACCase及び/又はHPPD阻害剤に耐性であり、ここで前記作物は殺有害生物組成物で発芽前処理されるものである、請求項21の方法。
【請求項23】
前記作物が、グリホセートに耐性であり、且つナタネ(canola)、穀類(cereals)、綿(cotton)、トウモロコシ(maize)、イネ(rice)、ダイズ類(soybeans)、サトウダイコン類(sugar beets)からなる群から選択されるものである、請求項22の方法。
【請求項24】
建築資材又は皮革を処理する方法であって、前記方法は、液体の殺有害生物エマルション組成物で、建築資材をコーティング又は含浸すること、又は皮革を処理することを含んでなる方法であって、ここで前記殺有害生物エマルション組成物は、
(a)水性連続相;
(b)少なくとも1のコロイド固体;及び
(c)少なくとも1の実質的に水不溶性の殺有害生物活性成分を含んでなる油分散エマルション相を含んでなり、
前記殺有害生物活性成分は、自身も油相を含む油性液体であるか、固体だが油相に存在する油性液体に溶解されるか、固体でかつ油相中に分散されるか、又は連続水相と油分散相との間の液−液界面に吸着するコロイド固体として存在する、方法。
【請求項25】
前記組成物が、建築資材又は皮革をコーティング又は含浸する前に、適切な液体キャリアで希釈される、請求項24の方法。

【公表番号】特表2010−502725(P2010−502725A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527499(P2009−527499)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/077209
【国際公開番号】WO2008/030753
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】