説明

ピッキングシステム

【課題】商品の誤投入を防止すると共に、作業効率の向上を図ることのできる新規なピッキングシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明によるピッキングシステム10は、商品を入れるための集品箱14を搬送する集品コンベヤ16と、集品コンベヤ16の所定の商品投入位置Pにて商品を投入するアキュムレーションコンベヤ型の自動投入装置22と、集品コンベヤ16及び自動投入装置22を制御する制御装置18とを備えものであり、自動投入装置22における最上流側のコンベヤ26が、集品箱14に投入される商品の仮置き台として機能し、当該最上流側のコンベヤ26から商品が順次、下流側のコンベヤ26〜26に移動し、最下流側のコンベヤ26から集品コンベヤ16上の所定の集品箱14に商品が投入されるようになっていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管ラック上の商品のうち指定された商品をピッキングし、集品コンベヤにより搬送されてくる集品箱に投入するためのピッキングシステムに関し、特に、集品箱に商品を自動投入するための自動投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多品種の商品をオーダ(注文)単位に荷揃えするには、一般的に、ライン型のデジタル表示式ピッキングシステムが用いられている。この種のピッキングシステムは、集品箱を搬送する集品コンベヤと、この集品コンベヤに沿って配置された、商品種毎に商品を保管する保管ラックとを備えている。保管ラックの各商品取出口又は集品コンベヤの側部には、デジタル式のオーダ表示器が取り付けられており、作業者はオーダ表示器に表示される指示に従って商品をラックから取り出して、集品コンベヤに沿って搬送されてきた所定の集品箱にその商品を入れるという作業を行う。
【0003】
しかし、上述した従来のピッキングシステムでは、作業者が商品を所定の集品箱に投入するため、人為的な投入ミスを起こすおそれがあった。
【0004】
このため、従来においては、例えば下記の特許文献1に示すような自動投入装置を備えたピッキングシステムが開発されている。特許文献1に示されるピッキングシステムは、集品コンベヤに沿って複数のベルトコンベヤ型の自動投入装置を備えており、作業者は、オーダ表示器に表示される指示に従って商品をラックから取り出し、その商品を指定された自動投入装置のエンドレスベルト上に仮置きするようになっている。自動投入装置は、その商品送出し口の直下に所定の集品箱が到達したならば、ベルトを駆動することにより、その上の商品を商品送出し口から集品箱に自動的に投入することができるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−222330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されているようなピッキングシステムにおいては、複数の自動投入装置があるため、作業者が誤った自動投入装置に商品を置くおそれがある。かかる場合には、商品は、本来投入されるべき集品箱には投入されないこととなる。
【0007】
また、複数の自動投入装置に商品を振り分けて仮置きすることも、作業者には煩わしく、作業効率の悪化の原因となる。
【0008】
そこで、本発明は、このような従来における問題点に鑑みてなされたものであり、商品の誤投入を防止すると共に、作業効率の向上を図ることのできる新規なピッキングシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明によるピッキングシステム(10)は、商品を入れるための集品箱(14)を搬送する集品コンベヤ(16)と、集品コンベヤ(16)の所定の商品投入位置(P)にて商品を投入する自動投入装置(22)であり、独立して駆動可能である複数のコンベヤ(26)を直線状に並設してなり、複数のコンベヤ(26)のそれぞれに商品を載置し待機させることのできる自動投入装置(22)と、集品コンベヤ(16)及び自動投入装置(22)を制御する制御装置(18)とを備えたものであり、自動投入装置(22)における最上流側のコンベヤ(26)が、集品箱(14)に投入される商品の仮置き台として機能し、当該最上流側のコンベヤ(26)から商品が順次、下流側のコンベヤ(26〜26)に移動し、最下流側のコンベヤ(26)から集品コンベヤ(16)上の所定の集品箱(14)に商品が投入されるようになっていることを特徴としている。
【0010】
このように自動投入装置(22)をアキュムレーションコンベヤ型とすることで、ピッキングした商品を1カ所に仮置きすれば、集品コンベヤ(16)により搬送されてきた集品箱(14)にその商品が順次、自動的に投入される。
【0011】
また、自動投入装置(22)における複数のコンベヤ(26)の並設方向を集品コンベヤ(16)の搬送方向と実質的に平行とすることが好ましい。自動投入装置(22)の投入方向と集品コンベヤ上の集品箱(14)の移動方向が一致するため、集品コンベヤを停止させずとも商品投入を容易に行うことができ、また、位置制御も容易となる。
【0012】
更に、自動投入装置(22)における最上流側のコンベヤ(26)には重量計を内蔵し、制御装置(18)が、重量計からの計測結果に基づいて、最上流側のコンベヤ(26)上の商品の適否を判断できるようにするとよい。
【0013】
また、1個の集品箱(14)に投入すべき商品が多数あり、1度に全ての商品が最上流側のコンベヤ(26)に仮置きできない場合、その場合には分割して仮置きを行うことになる。その際、制御装置(18)は、最初に仮置きされた商品から最後に仮置きされた商品までを対応の集品箱(14)に一括して投入すべく、これらの複数の商品を自動投入装置(22)にて待機させるよう自動投入装置(22)を制御するようにすることが好ましい。
【0014】
更にまた、複数の商品を分割して仮置きする場合、制御装置(18)は、当該制御装置(18)に予め記憶された商品のデータに基づいて、最上流側のコンベヤ(26)への仮置き毎の商品の個数を定めて表示器(20)に表示させることが好適である。作業者が分割個数を考える煩わしさを解消し、効率化を計ることができるからである。
【発明の効果】
【0015】
上述したように、本発明のピッキングシステムにおいては、自動投入装置としてアキュムレーションコンベヤ型のものを用いているため、商品を1カ所に仮置きすればよく、商品を複数箇所に振り分ける等の手間が不要となり、効率的に作業を進めることができ、また、誤投入も低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるピッキングシステムの側面図である。
【図2】本発明によるピッキングシステムの一部を示す概略斜視図である。
【図3】(a)〜(c)は本発明によるピッキングシステムの動作の一例を示す概略斜視図である。
【図4】(a)〜(c)は本発明によるピッキングシステムの動作の別の例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に沿って本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明に従ったピッキングシステム10を示す側面図であり、図2はその斜視図である。図1に示すように、このピッキングシステム10は、従来一般のものと同様であり、複数のゾーンに区分けされており、各ゾーンに商品を保管する保管ラック12を複数備えている。保管ラック12は、例えばフローラックから構成されるもので、複数種の商品が保管されている。また、この保管ラック12に対向して、商品が投入される集品箱14を搬送する集品コンベヤ16が、保管ラック12から所定の間隔を置いて配設されている。各ゾーンにおいて、集品コンベヤ16と保管ラック12との間のスペースには1人の作業者が配置され、作業者は、ピッキングシステム10全体を制御する制御装置18からの指令によって動作するオーダ表示器20の指示に従って、保管ラック12から商品を取り出し、その商品を、以下で説明する自動投入装置22に置くこととなる。
【0019】
集品コンベヤ16としては、ローラコンベヤやベルトコンベヤ等の一般的なものを使用することができる。この集品コンベヤ16の上流側端部には、集品箱14を集品コンベヤ16に供給する集品箱供給部が接続されている。また、集品箱14には識別手段として、好ましくRFIDチップが埋め込まれており、このRFIDチップに対する識別情報の書換えと読出しを行うためのRFIDのライタ及びリーダ(図示しない)が、集品コンベヤ16の上流側端部に接続されている。集品箱供給部は、制御装置18からの指令とRFIDライタで書き換えられ、これをRFIDリーダで読み取った情報に従って、複数の集品箱14を一定の間隔で送り出す。
【0020】
自動投入装置22の手前には、RFIDリーダ24が設置されている。集品箱供給部から送り出された集品箱14は、RFIDリーダ24で識別情報が読み取られ、制御装置18はその識別情報から、どの集品箱14がいつ商品投入位置Pに到達するか移動距離を計算する。
【0021】
なお、集品箱14の識別手段としてはバーコードを用いることもできる。その場合には、RFIDライタに代えてバーコード識別ラベルを自動的に貼り付けるラベル貼付け装置が設けられ、RFIDリーダに代えてバーコードリーダが設けられることとなる。
【0022】
集品コンベヤ16の、RFIDリーダ24と商品投入位置Pとの間には、集品コンベヤ16の上方に、集品コンベヤ16と平行な状態で自動投入装置22が設けられている。自動投入装置22は、いわゆるアキュムレーションコンベヤ型となっている。すなわち、図示実施形態の自動投入装置22は、独立して駆動される複数台(図示実施形態では5台)のベルトコンベヤ26を直線状に配設して構成されている。なお、これらのベルトコンベヤ26を、以下の説明においては、上流側から第1コンベヤ26、第2コンベヤ26、第3コンベヤ26、第4コンベヤ26、第5コンベヤ26と称することとする。
【0023】
最も上流側の第1コンベヤ26は、保管ラック12から取り出された商品を最初に置く、いわゆる仮置き台として用いられるものであり、好ましくは重量計(図示しない)が内蔵されている。この重量計は制御装置18に接続され、制御装置が重量計からの計測結果に基づいて、仮置きされた商品が適正なものであるかどうかを判断することができるようになっている。
【0024】
また、第1コンベヤ26の側部(自動投入装置22の上流側端部)には、スイッチボックス28が設けられており、そこには商品仮置きの完了を確認するための仮置き確認スイッチ30が設けられている。更に、第1コンベヤ26の奥側(保管ラック12とは反対側)のフレーム32には、第1コンベヤ26を強制スタートするための強制スタートスイッチ34、及び、多数の商品を継続して1個の集品箱14に投入するための継続投入スイッチ36が取り付けられている。これらのスイッチ30,34,36は制御装置18に接続されている。また、スイッチ30,34,36はプッシュ式スイッチ等、どのような型式のスイッチでもよいが、仮置き確認スイッチ30については使用頻度が高いため、触れずにスイッチングを行うことのできる光電センサであることが好ましい。すなわち、スイッチボックス28の内部に光電センサ30を、スイッチボックス28の上面中央の貫通孔38に対向して設け、貫通孔38の上に手をかざすと、光電センサ30からの光線が遮断されることによってスイッチングが行われるようにするとよい。なお、各スイッチ30,34,36の使用方法については以下で詳細に説明する。
【0025】
最も下流側の第5コンベヤ26の下流側端部は集品コンベヤ16の商品投入位置Pの上方に配置されており、商品投入位置Pに集品箱14が達したら、第5コンベヤ26から送り出された商品がその集品箱14に投入されるようになっている。
【0026】
なお、符号40は、第1〜第5コンベヤ26〜26に沿って設けられたランプであり、各コンベヤ26〜26の状態や、特に第1コンベヤ26に沿うランプにあっては重量異常を知らせるためのものである。また、自動投入装置22の上流側端部のスイッチボックス28の上面には、手前側(保管ラック12に近い側)と奥側にそれぞれランプ41,42が取り付けられているが、これらは商品の仮置き位置を誘導するためのものである。
【0027】
更に、図示実施形態では、自動投入装置22は集品コンベヤ16から退避した位置に移動可能となっている。すなわち、図1に示すように、保管ラック12とは反対側の、集品コンベヤ16の側部には、集品コンベヤ16の搬送面よりも高い基台44が設けられており、この基台44の上部から水平方向に伸縮可能となっている一対の支持アーム46によって、自動投入装置22は集品コンベヤ16の上方位置と基台44との間で出し入れすることが可能となっている。これによって自動投入装置22が不要な作業にも迅速に対応することができ、また、集品コンベヤ16の故障等の際にも便利である。
【0028】
次に、本発明によるピッキングシステム10の動作の一例について説明する。
【0029】
まず、注文データ及び商品マスタデータが制御装置18に予め入力されているものとしてピッキングシステム10が運転を開始し、集品箱14が集品コンベヤ16の最上流部に設けられたRFIDライタの位置を通過すると、集品箱14のRFIDチップ内の識別情報等が書き換えられる。この書き換えられた情報をRFIDリーダで読み取り、制御装置18がこの情報を踏まえて集品箱14を1個ずつ送り出すよう指令を発する。
【0030】
RFIDチップの情報が書き換えられた集品箱14は、距離情報をベルト等の移動距離で追跡して自動投入装置22の手前に到着するとRFIDリーダ24により集品箱14の情報から当該集品箱14に入れるべき商品を認識すると共に、その集品箱14が商品投入位置Pに達するタイミングをベルト等の移動距離の追跡で認識する。
【0031】
続いて、制御装置18は、情報が読み取られたRFIDチップの付いた集品箱14に入れるべき商品をピッキングするよう、保管ラック12に取り付けられたオーダ表示器20に指令を発して、ピッキングすべき商品とその個数を表示させる。作業者は、オーダ表示器20の表示に従い商品を保管ラック12から取り出して、その商品を自動投入装置22の第1コンベヤ26上に仮置きする。この作業において、作業者は、ピッキングした商品を自動投入装置22の第1コンベヤ26上にだけに置けばよいので、作業は極めて単純なものとなり、複数箇所に商品を振り分ける必要があった従来のピッキングシステムに比して作業効率が格段に向上すると共に、誤投入の低減にも寄与することとなる。
【0032】
ここで、商品を1個だけ集品箱14に投入する場合について説明する。この場合、作業者は図3の(a)の如く商品を第1コンベヤ26に仮置きしたならば、第1コンベヤ26の横のスイッチボックス28の貫通孔38に手をかざすことで、仮置きが完了したことを示す。制御装置18は、スイッチボックス28内の仮置き確認スイッチ(光電センサ)30からの信号によって仮置き完了を認識し、仮置きされた商品の重量を第1コンベヤ26内の重量計からの計測信号によって検知する。
【0033】
重量が、制御装置18に入力されている注文データから得られる所定の範囲内であれば、制御装置18は、適正な商品が仮置きされたと判断し、第1〜第5コンベヤ26〜26を駆動して商品を第5コンベヤ26まで移動させる(図3の(b))。商品移動中、制御装置18は、商品の移動のタイミングに合わせて第1〜第5コンベヤ26〜26に沿ってランプ40を順次点灯させるが、点灯したランプ40の位置と商品の位置がずれている場合は何らかの異常があるとして、ピッキングシステム10を停止することとなろう。
【0034】
一方、仮置きした商品の重量が所定の範囲を越えていると判断された場合、或いはそれ未満であると判断された場合には、制御装置18は、警報ランプ40を点灯すると共に、警報音を発し、作業者に注意を促す。作業者は、その警報によって異常を知り、仮置きされた商品が正しいか否かを確認する。そして、作業者は、重量の計測値が誤差の範囲で、正しい商品と判断すれば、強制スタートスイッチ34を押し、商品を第5コンベヤ26へと移動させる。また、商品が誤っていれば、正しい商品と交換した上で、重量が再計測されて正しい商品と判断すればそのまま発進し、商品を第5コンベヤ26へと移動させる。
【0035】
商品が第5コンベヤ26に到達したならば、第5コンベヤ26の駆動を停止し、該当の集品箱14が商品投入位置Pに到達するまで待機させる。制御装置18は、該当の集品箱14が商品投入位置Pに到達したと判断したならば、集品コンベヤ16上で移動中の該当の集品箱14と同期するように第5コンベヤ26を駆動して、第5コンベヤ26から集品箱14内に商品を投入する。このように、本実施形態では、自動投入装置がアキュムレーションコンベヤ型であり、集品コンベヤ16と平行に配置されていることにより、集品コンベヤ16を停止させることなく、移動中の集品箱14に商品を確実に投入することができ、この点においても作業効率を向上させることができる。
【0036】
続けて商品を投入する場合には、その商品を第1コンベヤ26上に仮置きすれば、図3の(c)に示すように第4コンベヤ26にて待機状態となり、第5コンベヤ26上の商品が投入された後に第5コンベヤ26に移動することになる。このようにして、図示実施形態の自動投入装置22では、最大5個(5群)の商品を待機させておくことができる。
【0037】
なお、図2において符号48は第5コンベヤ26の下流側端部に設けられた垂れ布であるが、このような垂れ布48は商品に対するクッション或いはシュータ的な役割を果たし、衝撃を加えることなく商品を集品箱14に投入することを可能とする。かかる構成も、自動投入装置22と集品コンベヤ16とを平行に配置したことによって得られるものである。
【0038】
また、図3の(c)から分かるように、先頭の商品が奥側にあり、後続の商品が手前側にあるが、これは集品箱14内の商品の配置を考慮したものである。集品箱14内には、図示の自動投入装置22のみで商品が投入されるとは限らず、上流又は下流の自動投入装置からも商品が投入されることが一般的である。そのため、常に集品箱14内の同じ箇所に商品が投入されると、商品が集品箱14から溢れ出るおそれがある。そこで、本実施形態では、集品箱14を集品コンベヤ16の搬送方向に平行に2列に分割し、制御装置18は、集品箱14内の最終の商品配置を考慮して、各自動投入装置22における商品の投入位置、すなわち仮置き位置を決定することとしている。このために、第1コンベヤ26の横のスイッチボックス28には手前と奥に2つのランプ41,42が取り付けられており、作業者はこのランプ41,42の点灯に従って商品を手前か奥に仮置きするのである。かかる構成及び作用効果は、集品箱14の搬送方向に対して直角に商品を投入する従来のピッキングシステム(特開2008−222330号公報)では得られないものである。
【0039】
また、集品箱14内を、搬送方向に沿って例えば前部、中間部、後部と複数に区切って、第5コンベヤ26からの投入タイミングを調整することで、集品箱14内の商品の配置を更に細かくコントロールすることも可能である。これも、自動投入装置22を集品コンベヤ16と平行に配置した効果である。
【0040】
上記説明は、1個の商品を自動投入する場合についてであるが、複数個(複数書)の商品を1群として第1コンベヤ26に仮置きし、それらを一度に集品箱14に投入できることは容易に理解されよう。しかしながら、複数個の商品を第1コンベヤ26に載せることができない場合もある。そのような場合には、以下で説明する継続投入という手法が用いられるとよい。
【0041】
説明を簡単にするために、1個の商品の荷姿が大きく第1コンベヤ26に2個載せられない場合を想定する。その場合、第1コンベヤ26の横にあるスイッチボックス28のランプ41,42を確認し、その指示に従って第1コンベヤ26上に最初の商品を仮置きする(図4の(a))。そして、作業者は、同じ集品箱14に投入すべき商品を続けて自動投入装置22に置く意思を示すために、継続投入スイッチ36を押す。その結果、制御装置18は、第1コンベヤ26と第2コンベヤ26を駆動して、第1コンベヤ26上の商品を第2コンベヤ26に移載する。
【0042】
続いて、作業者は、第1コンベヤ26上にランプ41,42の指示に従って2個目の商品を仮置きし、今度はこの商品が最後の商品であることを示すべく、仮置き確認スイッチ30を入れる(図4の(b))。これによって、制御装置18は、1個目と2個目の商品の合計重量を求め、それが注文データに従った所定の範囲内であると判断した場合には、最初の商品と2個目の商品とを連なった状態で、図4の(c)に示すように第5コンベヤ26及び第4コンベヤ26へと移動し、そこで待機させる。勿論、合計重量が所定範囲外であれば、適正な商品に交換する等の処理を行う。
【0043】
図4の(c)の待機状態から、該当の集品箱14が商品投入位置Pに到達したならば、制御装置18は、集品コンベヤ16との同期をとって第5と第4のコンベヤ26,26上の商品を送り出し、一括して集品箱14に投入する。このように一台のコンベヤ26上に載せられない商品も分割して載せていくことで、最終的には継続的な投入が可能となり、無駄な待ち時間を無くす、或いは、待ち時間を短縮化することができる。
【0044】
なお、上記方法により、本実施形態では例えば最大9個(9群)の商品を継続投入することが可能であるが、その場合には、集品コンベヤ16の搬送を続けていると、その搬送速度が速すぎて、商品投入が間に合わないことも考えられる。その場合には、集品コンベヤ16を一旦停止し、全商品の投入後に運転を再開すればよい。
【0045】
また、容積の小さな商品を多数扱う場合にも継続投入を行うことが好適であるが、作業員によって同じ条件でも分割する回数が異なる場合がある。例えば、誤って想定以上の数の商品を載せることが考えられるが、かかる場合には装置が停止するおそれがある。また、逆に1回に仮置きする商品の個数を少なくした場合には、仮置き回数が増えるという問題がある。そもそも1回の仮置きに何個の商品を載せればよいかを作業者が判断することは煩わしく、作業効率の低下につながるという問題がある。そこで、制御装置18によって、継続投入すべき複数の商品を適当な個数に自動的に分割し、その個数を表示器20で分割表示させ、各々1回の集品と同じように取り扱うとよい。
【0046】
自動分割の方法としては種々考えられるが、その1つとして、第1コンベヤ26上に仮置きすることができる商品の個数を容積ないしは体積の面から計算して求める方法がある。また、ピッキング作業中に制御装置18が順次、商品の個数を割り出していくことも考えられるが、注文データは予め制御装置18に入力されていることから、作業開始前に注文データを自動分割がされた新たな注文データに書き替えて、その新たな注文データに従って作業を進めるという方法が、エラー発生を低減する上で好ましい。以下、ピッキング作業前に容積ないしは体積の面から自動分割を行い、注文データを書き換える方法の一例について説明する。
【0047】
まず、前提として自動投入装置22の第1コンベヤ26の容積の設定値(PD)入数を例えば「4」と定めておく。ここで、PD入数とは、仮想容器の中に或る商品が何個入るかを設定した数値で、例えば仮想容器の容積が18リットルで、そこに4個の商品が入るとすると、PD入数は「4」(1個あたりの容積は、4.5リットルであるが、安全を考慮して小数点以下は切り捨てる)となる。第1コンベヤ26に載せることが可能な容積が「4」ということから、1つの集品箱14に複数の商品を投入するという注文があった場合、その商品の体積の合計が「4」を越えた場合、自動分割の対象となる。
【0048】
また、事前に制御装置18には、上記の第1コンベヤ26のPD入数と、注文データと、商品マスタデータとが入力されていることを前提とする。注文データは、各注文毎にどこにある保管ラック(ゾーン番号及びラック番号)の商品を何個集品するかというデータであり、ここでは注文順かつゾーン番号の上流側から並べたデータであるとする。また、商品マスタデータとは、どこの保管ラック12に何という商品が入っているかを示すデータと、商品毎のPD入数と、商品毎の重量とを備えたデータをいう。
【0049】
以上の前提の下、制御装置18は、ピッキング作業が開始される前に、自動分割処理を行い、新たな注文データを作成する。まず、制御装置18は、注文データに基づき注文順に検証を開始する。各注文においては、1つの集品箱に入れるべき商品がどのゾーン番号の所にあり、何個ピッキングすべきかが示されているため、制御装置18はピッキングすべき商品があるゾーンに関して、ゾーン上流側から順に検証していく。
【0050】
注文データを読み込んだら各オーダについて、その商品のPD入数を商品マスタデータから読み込む。そして、そのPD入数の逆数の合計と第1コンベヤ26のPD入数の逆数(すなわち1/4)とを比較し、前者が1/4以下である場合には、その商品の全数を第1コンベヤ26上に1回で載せることができるので、その部分の注文データは書き換えることなく、次の検証に入る。
【0051】
一方、ピッキングすべき商品のPD入数の逆数の合計が1/4よりも大きい場合には、商品を分割して載置する必要があることから、制御装置18は分割回数を決定する。すなわち、ピッキングすべき商品のPD入数の逆数の合計を1/4で割り、これを整数に切り上げて分割回数を決定する。
【0052】
次に、制御装置18は、決定した分割回数分の商品の組み合わせを決定する。この決定方法も種々考えられるが、例えば各回にピッキングする商品を適宜選択(複数種の商品がある場合には、好ましくは同種の商品を選択)し、その選択された商品のPD入数の逆数の合計が1/4以下であるか否かを判断し、以下である場合には、その回として選択した商品の数は適正として、残りの商品の検討に入る。また、1/4を越えている場合には、その回に選択した商品の数は不適であるとして、他の商品との組み合わせを改めて選択し、同様な判断を行う。そして、残りの商品についても同様な判断処理を繰り返すことで、分割回数分の商品の組み合わせが決定される。
【0053】
このようにして、1つの注文における1つのゾーン内のピッキングすべき商品に対して、分割回数と、各回のピッキングすべき商品とが決定されたならば、元の注文データを書き替え、新たな注文データを生成する。
【0054】
1つの注文における1つのゾーンに関して分割処理が行われた後は、同注文における他のゾーンについても同様な分割処理が行われ、また、1つの注文における全てのゾーンに関する分割処理が完了したならば、次の注文に対する分割処理が同様に行われ、最終的には注文データ全体が書き換えられる。
【0055】
新たな注文データによれば、ピッキング作業が開始されると、継続投入の場合であっても、そのゾーンを担当している作業者には、通常の集品なのか継続投入なのかは知らされず、作業者は通常の集品作業と区別することなく作業を行うことになる。すなわち、制御装置18は、新たな注文データに基づき、1つの集品箱に複数(例えば5個)の商品を継続投入する場合、表示器20に最初の個数(例えば新たな注文データに定められた「3」)と表示させ、作業者はその数字を見て、3個の商品を第1コンベヤ26上に置くことになる。ここで、前述したように、作業者が継続投入スイッチ36を押して次の仮置きを行うこととしてもよいが、実際には作業者は継続投入か否かは分からない。このため、制御装置18は、第1コンベヤ26内の重量計からの計測信号によって、仮置きされた3個の商品の重量を認識し、その計測重量が制御装置18に入力されている注文データ及び商品マスタデータから得られる所定の範囲内であれば、適正な商品が仮置きされたと判断し、継続投入スイッチ36が押されなくとも、自動的に第1コンベヤ26上の3個の商品を第2コンベヤ26に移動させることになる。最初の商品が第2コンベヤ26に移動したならば、制御装置18は、次に仮置きすべき商品の個数(前記の例によれば「2」)を表示器20に表示させる。そして、残りの2個の商品を第1コンベヤ26に載せたならば、計測重量に基づいて適正な商品が仮置きされたことを制御装置18が判断し、自動的に第1及び第2コンベヤ26,26上の商品を下流に自動的に送り出す。なお、継続投入する商品の個数が増え、3回以上に分割する場合も上記と同様であることは、当業者であれば容易に理解されよう。
【0056】
なお、自動分割を行うためには、上述したようなPD入数(体積)ではなく、重量によっても同様な考え方で自動分割を行えることは容易に理解されよう。例えば、第1コンベヤ26上には最大3kgの商品を置くことができる場合においては、1個600gの商品は5個まで載せることができ、12個の商品を継続投入するには、5個、5個、2個と自動分割され表示器20に表示されることになる。
【0057】
このように、複数の商品を継続投入する際、商品の体積や重量等のデータに基づいて第1コンベヤ26上に載せることのできる商品個数を表示することができるため、作業者はその表示に従って作業を進めればよく、作業者が分割個数を考える必要がなくなり、作業効率が格段に向上する。また、上記の方法では、継続投入スイッチ36や仮置き確認スイッチ30を操作しなくとも、計測重量に基づいて商品の仮置きが完了したかどうかの判断を自動的に行うとしているので、スイッチを操作する手間がなく、この点でも作業効率が向上し、また装置の寿命を延ばすこともできる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0059】
例えば、上記実施形態とは異なり、自動投入装置を集品コンベヤと平行とせず、集品コンベヤに対して角度をもって配置してもよい。
【0060】
また、自動投入装置の各コンベヤはベルトコンベヤに限られず、他の型式、例えばローラコンベヤとしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…ピッキングシステム、12…保管ラック、14…集品箱、16…集品コンベヤ、18…制御装置、20…オーダ表示器、22…自動投入装置、26…コンベヤ、28…スイッチボックス、30…仮置き確認スイッチ、34…強制スタートスイッチ、36…継続投入スイッチ、40,41,42…ランプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を入れるための集品箱(14)を搬送する集品コンベヤ(16)と、
前記集品コンベヤ(16)の所定の商品投入位置(P)にて商品を投入する自動投入装置(22)であり、独立して駆動可能である複数のコンベヤ(26)を直線状に配設してなり、前記複数のコンベヤ(26)のそれぞれに商品を載置し待機させることのできる自動投入装置(22)と、
前記集品コンベヤ(16)及び前記自動投入装置(22)を制御する制御装置(18)と
を備えるピッキングシステム(10)であって、
前記自動投入装置(22)における最上流側のコンベヤ(26)が、集品箱(14)に投入される商品の仮置き台として機能し、当該最上流側のコンベヤ(26)から商品が順次、下流側のコンベヤ(26〜26)に移動し、最下流側のコンベヤ(26)から前記集品コンベヤ(16)上の所定の集品箱(14)に商品が投入されるようになっている、ピッキングシステム。
【請求項2】
前記自動投入装置(22)における前記複数のコンベヤ(26)の配設方向が前記集品コンベヤ(16)の搬送方向と実質的に平行である、請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
前記自動投入装置(22)における前記最上流側のコンベヤ(26)には重量計が内蔵されており、前記制御装置(18)は、前記重量計からの計測結果に基づいて、前記最上流側のコンベヤ(26)上の商品の適否を判断するようになっている、請求項1又は2に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
1個の集品箱(14)に投入すべき複数の商品を分割して前記自動投入装置(22)における前記最上流側のコンベヤ(26)に仮置きする場合、前記制御装置(18)は、最初に仮置きされた商品から最後に仮置きされた商品までを対応の集品箱(14)に一括して投入すべく、前記複数の商品を前記自動投入装置(22)にて待機させるよう前記自動投入装置(22)を制御する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のピッキングシステム。
【請求項5】
1個の集品箱(14)に投入すべき複数の商品を分割して前記自動投入装置(22)における前記最上流側のコンベヤ(26)に仮置きする場合、前記制御装置(18)は、当該制御装置(18)に予め記憶された各商品のデータに基づいて、前記最上流側のコンベヤ(26)への仮置き毎の商品の個数を定めて表示器(20)に表示させる、請求項4に記載のピッキングシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−213482(P2011−213482A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86166(P2010−86166)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(502380361)トーヨーカネツソリューションズ株式会社 (50)
【Fターム(参考)】