説明

ピッキング設備および集品容器への袋掛け方法

【課題】集品容器に設けた投入表示器の損傷を防止でき、投入表示器を設けた集品容器への袋体の袋掛けをスムーズに行うことができるピッキング設備を提供する。
【解決手段】ピッキング設備において、各集品容器10に、袋27を上方より挿入可能な隙間41を設けることができる治具40の一端を引っ掛け、前記治具40の他端に物品11を投入する投入対象の集品容器10であることを示す投入指示を表示する投入表示器26を取り付ける。上記構成により、集品容器10へ袋27の袋掛けを行う際に、前記隙間41に袋27を上方より挿入することが可能となり、袋27を上方より隙間41へ容易に挿入可能とされ、集品容器10への袋27の袋掛けを支障なく行うことができ、袋27が引っ掛かることにより投入表示器26が損傷することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品のピッキング作業を行うピッキング設備および集品容器への袋掛け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の配送センターや倉庫等におけるピッキング設備では、顧客から注文された物品をピッキングして、コンテナ等の集品容器へ投入する、いわゆるピッキング作業が行われる。
このようなピッキング設備において行われるピッキング作業の基本的形態は、例えば、集品容器を搬送するコンベヤ等の搬送手段を配置し、この搬送手段の移動方向に沿って、複数の作業ゾーンを区画して設定し、各作業ゾーンに、それぞれ他の作業ゾーンとは異なる物品を収納した収納棚を配設するとともに、作業ゾーン専属の作業者を配置し、各作業者がピッキング指示に基づいて、自己の作業ゾーンの収納棚からピッキング指示のあった物品を取り出し、前記搬送手段により搬送されてくる集品容器へ投入する作業を行うというものである。
しかし、前述したような基本的なピッキング作業では、集品容器や物品を間違えたりする等のトラブルが発生することがある。そこで、集品容器に対する物品の投入間違い等の不都合を解消すべく、これまでに各種のピッキング設備が提案され用いられてきている。
【0003】
特許文献1に開示されたピッキング設備について簡単に説明する。
特許文献1に開示されたピッキング設備は、集品容器をトレイに載せて搬送するようにしており、このトレイを搬送するローラーコンベヤを配置し、このローラーコンベヤに沿って、赤ゾーンと緑ゾーンの2種類の作業ゾーンが交互に設定されている。これら各作業ゾーンには、種類ごとの物品を収納した収納棚が配設されるとともに、物品を仕分けする作業者が配置されている。また前記トレイには、集品容器の側面側に、赤ゾーンの作業者に投入表示を行う赤ランプと、緑ゾーンの作業者に投入表示を行う緑ランプとからなる投入表示器とを設けている。
前記赤ゾーンの作業者は、前記赤ランプの表示に従い、自己の作業ゾーンの収納棚からピッキング指示のあった物品を取り出し、ローラーコンベヤにより搬送されてくる集品容器へ投入し、前記緑ゾーンの作業者は、前記緑ランプの表示に従い、自己の作業ゾーンの収納棚からピッキング指示のあった物品を取り出し、ローラーコンベヤにより搬送されてくる集品容器へ投入を行う。
このように、赤ゾーンと緑ゾーンの2種類の作業ゾーンを交互に設定し、投入対象の集品容器を指示する赤ランプと緑ランプとが集品容器を搭載するトレイに設けられることにより、投入対象の集品容器の誤認識が減少され、物品の仕分け作業の正確性を向上できる。
また、ピッキング設備においては、集品容器に袋(袋体)の袋掛けを行い、この集品容器内の袋へ物品の投入作業が行われるという運用が頻繁になされる(例えば、特許文献2)。
そして、このような場合、集品容器への袋の袋掛けは、袋掛機により自動で行われることが多い(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4074222号公報
【特許文献2】特許第3994687号公報
【特許文献3】特公平05−076904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のピッキング設備では、投入表示器が集品容器に近接して設けられているため、袋掛機により自動で袋掛けを行う際に、袋が投入表示器に引っ掛かる等のトラブルが発生する恐れがあり、このようなトラブルが原因で投入表示器が損傷する恐れがあった。
また、投入表示器が集品容器に近接して設けられていると、投入表示器を設けた集品容器への袋の袋掛けをスムーズに行うことは困難であり、仮に、集品容器に対する袋の袋掛けが行えたとしても、投入表示器の表示部が袋で覆われて、認識し辛い状態となる可能性が高く、作業効率が低下する原因となる可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、集品容器に設けた投入表示器の損傷を防止でき、投入表示器を設けた集品容器への袋体の袋掛けをスムーズに行うことができるピッキング設備を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る発明は、物品をそれぞれ収納する複数の物品収納部を有し、所定数の物品収納部毎に、ピッキング作業を実行するゾーンが形成された物品保管手段を備え、前記物品保管手段に沿って、それぞれ仕分け先、または仕分け先の物品要求情報が割り付けられた複数の集品容器を搬送する搬送手段を備え、前記仕分け先の物品要求情報に応じて、前記物品保管手段の物品収納部から取り出した物品を、袋体が袋掛けされた前記集品容器へ投入するピッキング設備であって、
前記各集品容器を、上方が開放された箱体により形成し、前記各集品容器を形成する箱体の側面側に、前記物品収納部より取り出した物品の投入対象の集品容器であることを表示する投入表示器を設け、前記箱体の側面と投入表示器との間を、前記袋体を上方より挿入可能に構成したことを特徴とするものである。
【0008】
上記構成によれば、上方が開放された箱体の側面と投入表示器との間に、袋体を上方より容易に挿入可能とされ、箱体への袋体の袋掛けを支障なく行うことが可能とされる。また、投入表示器の表示が、誤って袋体に覆われる可能性を低減できることから、作業者が投入表示器の表示を認識し辛くなることが防止可能とされる。さらに、箱体の側面と投入表示器との間に、袋体が上方より挿入されるため、投入表示器に袋体が引っ掛かることがなく、袋体が引っ掛かることにより投入表示器が損傷することが防止可能とされる。
【0009】
また請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、前記箱体の側面と投入表示器との間に、前記袋体を上方より挿入するための隙間を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
上記構成によれば、箱体の側面と投入表示器との間に、袋体を上方より挿入するための隙間を設けることにより、袋体を上方より隙間へ容易に挿入可能とされ、箱体への袋体の袋掛けを支障なく行うことが可能とされる。
【0011】
また請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明であって、前記投入表示器を、前記集品容器の搬送方向と平行な箱体の側面側に設けたことを特徴とするものである。
【0012】
上記構成によれば、投入表示器の表示を作業者が認識しやすくなり、集品容器への物品の投入ミスを防ぐことが可能とされ、ピッキング設備の信頼性を向上できる。
【0013】
また請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明であって、前記袋体の開口部の側面を把持して広げ、上方から、前記集品容器の前記搬送手段による搬送方向と平行となった前記箱体の側面に接近し、袋体を前記箱体に被せる袋掛装置を備え、前記搬送手段の前記ゾーンの上流側に、上流側から順に、前記箱体を、前記袋掛装置と前記投入表示器との接触を回避するために、水平方向に90度回転する第1反転装置と、前記袋掛装置と、前記箱体を、前記第1反転装置による回転とは逆方向に90度回転して元の姿勢に戻す第2反転装置とを設けたことを特徴とするものである。
【0014】
上記構成によれば、搬送手段のゾーンの上流側において、箱体は、第1反転装置により水平方向に90度回転されて袋掛装置へ搬入され、袋掛装置により袋体の袋掛けを実行され、第2反転装置により、前記第1反転装置による回転とは逆方向に90度回転され、元の姿勢に戻され、ゾーンへ搬入される。これにより、集品容器の搬送手段による搬送方向と平行な箱体の側面側に設けられる投入表示器が、袋掛装置との接触が原因で損傷することを防止可能とされ、また、第2反転装置により、箱体に設けられた投入表示器が前記搬送方向に対して同じ向きとなるように、箱体の向きが調整されるため、何ら支障を生じることなく、効率良くピッキング作業を行うことが可能とされる。
【0015】
また請求項5に係る発明は、物品をそれぞれ収納する複数の物品収納部を有し、所定数の物品収納部毎に、ピッキング作業を実行するゾーンが形成された物品保管手段を備え、
前記物品保管手段に沿って、それぞれ仕分け先、または仕分け先の物品要求情報が割り付けられた複数の集品容器を搬送する搬送手段を備え、前記各集品容器を、上方が開放された箱体により形成し、前記各集品容器を形成する箱体の側面側に、前記物品収納部より取り出した物品の投入対象の集品容器であることを表示する投入表示器を設け、前記仕分け先の物品要求情報に応じて、前記物品保管手段の物品収納部から取り出した物品を、前記投入表示器により表示された集品容器へ投入するピッキング設備において、前記物品の投入前に前記集品容器へ袋掛けを行う集品容器への袋掛け方法であって、
前記箱体の側面と投入表示器との間に、前記袋体を上方より挿入するための隙間を設け、前記袋体の開口部の側面を把持して広げ、上方から、前記箱体の側面に接近し、前記隙間まで降ろして袋体を前記箱体に被せ、箱体へ被せられた袋体に対して、上方から前記箱体の内方に向けて風を吹きつけ袋体の一部を前記箱体の内部に収納することを特徴とするものである。
【0016】
上記方法によれば、袋掛用の一対のアームにより、袋体が、箱体の側面と投入表示器との間に設けられる隙間を用いて、前記箱体に被せられ、ブロワにより箱体の内方に向けて、風が吹き付けられ、袋体の一部が箱体の内部に収納される。これにより、箱体により形成される集品容器への袋体の袋掛けを、前記投入表示器に接触することなく、スムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のピッキング設備は、集品容器に設けた投入表示器の損傷を防止でき、投入表示器を設けた集品容器への袋体の袋掛けをスムーズに行うことができる、という効果を有している。
本発明の集品容器への袋掛け方法は、集品容器の側面と投入表示器との間に設けられる、袋体を上方より挿入するための隙間にスムーズに袋体を挿入できることから、投入表示器を設けた集品容器への袋体の袋掛けを、投入表示器に接触することなく、スムーズに行うことができる、という効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態におけるピッキング設備に用いられる投入表示器の図であり、(a)は集品容器に取り付けた投入表示器の斜視図、(b)は、図1(a)におけるA−A’断面図である。
【図2】同ピッキング設備の概略構成図である。
【図3】同ピッキング設備の袋掛けエリアの要部平面図であり、(a)は、第1反転装置の要部平面図、(b)は、第2反転装置の要部平面図である。
【図4】同ピッキング設備の袋掛けエリアの袋掛装置の動作説明図である。
【図5】同ピッキング設備のストレージラインの要部斜視図である。
【図6】同ピッキング設備のストレージラインの側面図である。
【図7】同ピッキング設備のストレージラインの要部平面図である。
【図8】同ピッキング設備の投入表示器の図であり、(a)は斜視図、(b)は制御構成図である。
【図9】同ピッキング設備の封印エリアと詰め替えエリアの斜視図である。
【図10】同ピッキング設備の封印エリアの制御構成図である。
【図11】同ピッキング設備の詰め替えエリアの制御構成図である。
【図12】同ピッキング設備の全体制御構成図である。
【図13】同ピッキング設備の投入表示器に対する通信制御構成図である。
【図14】同ピッキング設備の投入表示器の表示切換に関する図であり、(a)は制御構成図、(b)は、表示切換を具体的に示す説明図である。
【図15】同ピッキング設備の全体ピッキングデータを示す図である。
【図16】同ピッキング設備の各ゾーンにおける制御構成図である。
【図17】同ピッキング設備のゾーンコントローラにおける制御ブロック図である。
【図18】同ピッキング設備の各ゾーンにおける集品容器の移動の説明図である。
【図19】(a)は同ピッキング設備のストレージラインの作業者の作業範囲を説明する図であり、(b)は投入ゾーンを集品容器2個分下流側へずらしたときの説明図である。
【図20】本発明の他の実施の形態におけるピッキング設備の集品容器が搭載されるトレイに関する図であり、(a)は集品容器を載せたトレイの斜視図、(b)は、トレイに対して集品容器を搭載するエリアの斜視図である。
【図21】本発明の他の実施の形態におけるピッキング設備の投入表示器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。このピッキング設備は、個別の予め登録されたユーザー(仕分け先の一例)からオーダー(注文)を受けた物品を、ユーザーのオーダーが割り付けられた集品容器に集めて配送するピッキング設備である。
図2に本発明の実施の形態におけるピッキング設備の概略構成図を示す。
このピッキング設備は、
集品される物品11(図5)が収納される収納箱12(図5)が保管されるストレージラインAと、
ピッキングされた物品11を収納する集品容器10を循環搬送する搬送ラインB(搬送手段の一例)と、
ストレージラインAにおいて、ピッキング作業が終了して搬送ラインBにより搬送されてきた集品容器10内の物品11を封印する封印エリアDと、
封印エリアDより下流に配置され、搬送ラインBにより搬送されてきた集品容器10の封印済み物品11(集品済み物品11)を寄せ箱(出荷箱)13へ詰め替える詰め替えエリアEと、
詰め替えエリアEより搬送ラインBにより搬送されてきた集品容器10(物品11の詰め替えが終了して空となった集品容器10)に袋掛けを行う袋掛けエリアFと
から構成されている。
【0020】
『ストレージラインA』;ストレージラインAは、図2、図5、図6、および図7に示すように、フローラック(物品保管手段の一例)15から構成され、フローラック15は、1種類(1品目)の物品11が収納された収納箱12が載置される(収納される)間口16(物品収納部の一例)を複数列有する棚17を、上下に複数段(本実施の形態では3段;3段以上が好ましい)配置して構成され、複数の間口16(本実施の形態では、棚が3段で、間口が8列の計24個)毎に、集品容器10へ集品する物品11の取り出し作業を実行するピッキングゾーンP(ゾーンの一例)が設定(形成)されている。そして、ピッキングゾーンP毎にそれぞれ、ピッキング作業を行う作業者(ピッキング作業者)Hが1人ずつ配置され、ゾーンコントローラ24(図16)が備えられている。またこれら作業者Hを挟んで、ストレージラインA(フローラック15)と搬送ラインB(後述する、第1直進搬送ライン21A)は反対側に配置されている。
【0021】
またフローラック15の各棚17の先端(搬送ラインBに面する作業者Hの端部)で、各間口16の前面にはそれぞれ、取り出す物品11の数量を表示する数量表示器19Aと、ランプ部を有する完了押釦スイッチ19Bから構成された間口表示器19が設けられ、最下段の棚17より上の棚17の間口16に設けられた間口表示器19の表示の向きは、正面(作業者H側の面)の向きとされ、最下段の棚17の間口16に設けられた間口表示器19の表示の向きは、斜め上方(搬送ラインB側)の向きとされ、それぞれ異なる表示の向きとされている。また完了押釦スイッチ19Bのランプ部の色(ランプの色)は、ピッキングゾーンP毎に交互に異なる色(本実施の形態では、奇数ゾーンは赤色、偶数ゾーンは緑色)としている。また前記収納箱12は、上面が開放され、物品11を上方から取り出すことができる箱(ボックス)にて構成されている。
【0022】
またフローラック15には、ピッキングゾーンP毎に、上流位置に、ピッキング対象の物品11(収納箱12)が収納された間口16が存在する棚17の段数をそれぞれ表示する複数個(本実施の形態では、棚が3段なので3個)のランプ20Aを縦方向に並べてなるベイ表示器20が設けられている。
作業者Hは、ベイ表示器20の表示により、ピッキング対象の物品11(収納箱12)が収納された間口16が存在する棚17の段数を特定し、各間口表示器19の表示に従って、間口16(収納箱12)から物品11をピッキングして集品容器10に投入する。
【0023】
『搬送ラインB』;搬送ラインBは、図2に示すように、集品容器10を循環する循環ラインを構成しており、フローラック15に沿って集品容器10を搬送する第1直進搬送ライン21Aと、第1直進搬送ライン21Aと平行で搬送方向を逆としている第2直進搬送ライン21Bと、第1直進搬送ライン21Aの下流端と第2直進搬送ライン21Bの上流端を連結する第1カーブ搬送ライン21Cと、第2直進搬送ライン21Bの下流端と第1直進搬送ライン21Aの上流端を連結する第2カーブ搬送ライン21Dとから構成されている。
第1直進搬送ライン21A、および袋掛けエリアFの袋掛機60(袋掛装置の一例;後述する)の周囲を除く第2直進搬送ライン21Bは、アキュムレーションコンベヤ(集品容器1個毎に蓄積・移動可能で、集品容器10が互いにぶつからないで集積するように設計されたコンベヤ)から構成され、1個の集品容器10毎に、集品容器10を蓄積・順送り可能なアキュムレーション部22を備えており、各アキュムレーション部22はそれぞれ、公知のように、前に空き(集品容器10が存在しない)のアキュムレーション部22があるとき、集品容器10を前送りする機能を有している。
【0024】
また2本のカーブ搬送ライン21C,21D、および袋掛けエリアFの袋掛機60の周囲の第2直進搬送ライン21Bは、駆動ローラーコンベヤから構成されている。
また第1直進搬送ライン21Aに、図2、図5、および図7に示すように、各ピッキングゾーンPに対応して、ピッキングゾーンPにおいて取り出した物品11の投入対象となる複数の集品容器10を区分する投入ゾーンZを設定(形成)しており、投入ゾーンZ毎に、上記アキュムレーション部22は、複数個(実施の形態では6個)設けられ、すなわち各投入ゾーンZは、最大6個(複数の一例)の集品容器10を蓄積・順送り可能とされている。また投入ゾーンZ毎にそれぞれ、テープスイッチ23が備えられている。
【0025】
また上述したように、アキュムレーション部22は、集品容器10を前送りする機能を有しているが、各投入ゾーンZの最下流に位置するアキュムレーション部22には、前送りに許可条件が付されており、前に空きのアキュムレーション部22があり、且つ、位置している投入ゾーンZに対応するピッキングゾーンPに設けられたゾーンコントローラ24より前送り許可信号(詳細は後述する)を受け取ったとき、集品容器10を前送りするように構成されている。
【0026】
なお、本実施の形態では、ストレージラインAの各ピッキングゾーンPと搬送ラインBの各投入ゾーンZは、集品容器10の搬送方向に並べた同じ区画に位置するように配置されており、互いに正対して配置されているピッキングゾーンPと投入ゾーンZとは、搬送方向にずれがなく配置されている。そして、基本的に、各投入ゾーンZに、搬送ラインBにより搬送されてくる各集品容器10に対して、投入ゾーンZに正対して配置されている(前記同じ区画に位置する)ストレージラインAのピッキングゾーンPに保管された物品11が投入され集品されるよう構成されている。
【0027】
「集品容器10」;集品容器10は、上方が開放された箱体(コンテナ)から形成される。図1および図5に示すように、集品容器10の短軸方向の側面で且つストレージラインAの作業者H向きとなる短軸側の側面には、ピッキングゾーンPにおいて取り出した物品11を投入する投入対象の集品容器10であることを表示する投入表示器26が取り付けられており、袋掛けエリアFにおいて袋(袋体の一例)27が掛けられた状態で第1直進搬送ライン21AによりストレージラインAへ搬送されてくる(図5)。なお、図5に示すように、各集品容器10は、第1直進搬送ライン21Aにより、集品容器10の長軸側の側面が搬送方向正面となり、投入表示器26が作業者H側に位置するように搬送され、上述したように、投入ゾーンZ毎に複数個(実施の形態では最大6個)の集品容器10が、蓄積・順送り可能とされている。
【0028】
「投入表示器26」;投入表示器26は、図8(a)に示すように、縦長の箱状の表示器本体30と、表示器本体30の表面に、長軸方向に順に配置された、第1ランプ部(第1の表示手段の一例)31、バーコードと3桁の数字を表示可能な電子ペーパーからなるディジタル表示器(表示画面の一例)32、および第2ランプ部(第2の表示手段の一例)33と、表示器本体30に内蔵されたRFID(Radio Frequency Identification;データを書き込み・消去可能なRFタグ)34、表示器コントローラ35、アンテナ内蔵の無線機(データ受信器の一例)36、およびバッテリ37から構成されており、第1直進搬送ライン21Aによる集品容器10の搬送方向(以下、容器搬送方向と略す)に、ディジタル表示器32が第1ランプ部31と第2ランプ部33の中央に位置されるように、すなわち容器搬送方向に、上流側から順に第1ランプ部31、ディジタル表示器32、および第2ランプ部33が並ぶように、集品容器10に取り付けられ、投入表示器26は、図8(a)に示すように、容器搬送方向と一致する対称軸に対称な構造(上下に対称な構造)とされている。前記RFID34に、オーダー・ナンバー(独自の符号の一例)が書き込まれ、記憶される(詳細は後述する)。また投入表示器26にディジタル表示器32を設けることにより、集品容器10を特定できる前記オーダー・ナンバー等を表示でき、集品容器10を特定することが可能となる。
【0029】
第1ランプ部31と第2ランプ部33は、表示器本体30の表面から突出した、2色で点灯・点滅が可能なランプ38と、各ランプ38をカバーするカバー39A(第1の遮蔽手段の一例),39B(第2の遮蔽手段の一例)から構成され、第1ランプ部31と第2ランプ部33の表示手段であるランプ38は同一のランプ(ランプの取付金具を含む)を使用しており、相互に付け替え可能な構造となっている。このように、ランプ38(ランプの取付金具を含む)を同一の構造とすることにより、投入表示器26の部品点数を削減でき、低コストによる製作を可能としている。
【0030】
カバー39Aは、正面からランプ38の点灯・点滅状態を認識でき、且つ容器搬送方向の下流側から認識できないように、正面が開放されているカバーであり、またカバー39Bは逆に、容器搬送方向の下流側からランプ38の点灯状態を認識でき、且つ正面から認識できないように、容器搬送方向のみが開放されているカバーである。これにより、第1ランプ部31のランプ38の点灯状態は、取り付けた集品容器10が位置する投入ゾーンZからのみ認識でき、また、第2ランプ部33のランプ38の点灯状態は、取り付けた集品容器10が位置する投入ゾーンZの(容器搬送方向)下流側の投入ゾーンZからのみ認識できる。
また、カバー39A、カバー39Bは、遮光性のある柔らかい材料(例えば、遮光性樹脂など)から構成され、カバー39A、カバー39Bの両端から挟みこんで、変形させることにより、投入表示器26から簡単に取り外しを行うことができ、また取り外したカバー39A,39Bは、投入表示器26にはめ込み、両端からの挟み込みを解除すると、元の形状に復元することにより、投入表示器26へ簡単に取り付けを行うことができる構造となっている。よって、カバー39A,39Bを、ネジ等を用いて、投入表示器26に固定する場合と比較して、部品点数を少なくできるので、設備コストの向上を抑えることができる。さらに、カバー39A,39Bの取り付け、取り外し作業に要する時間も節約できる。
また、カバー39Aのはめ込み部分の形状と、カバー39Bのはめ込み部分の形状は、同一とされており、カバー39A,39Bは、投入表示器26に対して、相互に付け替え可能な構造となっている。
【0031】
またこれらランプ部31,33のランプ38と、ディジタル表示器32と、RFID34と、アンテナ内蔵の無線機36は、表示器コントローラ35に接続され{図8(b)}、表示器コントローラ35は、RFID34に書き込まれたオーダー・ナンバー(後述する)と、無線機36により受信した指令・データ(詳細は後述する)に基づいて、ランプ部31,33のランプ38の点灯・点滅・消灯(点灯なし)、およびディジタル表示器32の表示を制御している。ディジタル表示器32には、第1直進搬送ライン21AによりストレージラインAを投入表示器26、すなわち集品容器10が移動中には、RFID34に書き込まれた「オーダー・ナンバー」、または無線機36により受信したデータによる「END」が表示され、また第2直進搬送ライン21Bにより封印エリアD、詰め替えエリアEを移動中には、無線機36により受信したデータによる、集品容器10に集品されている「物品11の総数」(検数;検品数量)が表示される(詳細は後述する)。
またバッテリ37により、ランプ部31,33のランプ38と、ディジタル表示器32と、無線機36と、表示器コントローラ35に給電されている。
【0032】
また図1(a)および図1(b)に示すように、投入表示器26は、集品容器10の短軸側の側面に設けられており、この側面と投入表示器26との間に、袋27を上方より挿入するための隙間41を設けている(空けている)。この隙間41は、側面視コ字状の部分を有する治具40により形成される。投入表示器26は、投入表示器26の表示器本体30に設けられる差込口30Aに、治具40の一端を差し込み、この治具40の他端を集品容器10の短軸側の側面の開口端部10Bに引っ掛けることにより、集品容器10の搬送方向に平行な側面側に設けられている。
これにより、袋27を上方より隙間41へ容易に挿入可能とされ、集品容器10への袋27の袋掛けを支障なく行うことが可能とされる。また、投入表示器26の表示が、誤って袋27に覆われる可能性を低減できることから、作業者Hが投入表示器26の表示を認識し辛くなることが防止可能とされる。さらに、隙間41に袋27が挿入されるため、投入表示器26に袋27が引っ掛かることがなく、袋27が引っ掛かることにより投入表示器26が損傷することを防止可能とされる。
さらに、投入表示器26は、第1ランプ部31、電子ペーパーからなるディジタル表示器32、および第2ランプ部33が上向きとなる姿勢(あるいは斜め上向きとなる姿勢)となるようにして、集品容器10に設けられている。
また投入表示器26は、上下に対称な構造とされていることにより、治具40に、上下反転して付け替えることができ、すなわち、集品容器10に対して、上下反転して付け替えることができるように構成されている。なお、集品容器10に対して、投入表示器26を上下反転して付け替えた際には、ディジタル表示器32の表示も反転して表示される。
【0033】
「RFIDリーダ/ライタ」;表示器コントローラ35に内蔵されたRFID34に書き込まれたIDを読み取るRFIDリーダ(符号読み出し手段の一例)42Aが、第1直進搬送ライン21Aに沿って、前記投入ゾーンZの上流端(投入ゾーンZの境目)毎に移動可能に設けられ、また第2直進搬送ライン21Bに沿って、詰め替えエリアEの上流端に設けられている。
またRFID34に、集品容器10に割り付けられたオーダー・ナンバー(後述する)を書き込む、または書き込まれたオーダー・ナンバーを消去するRFIDライタ42Bが、第2直進搬送ライン21Bに沿って、詰め替えエリアEより下流側で袋掛けエリアFの上流側に設けられ、さらに第2直進搬送ライン21Bの下流端から第2カーブ搬送ライン21Dへかかる箇所に設けられている。
【0034】
投入表示器26に内蔵されたRFID34には、第2カーブ搬送ライン21Dへかかる箇所に設けたRFIDライタ42Bにより、ピッキング開始時点で(ストレージラインAへ入る前に)前記オーダー・ナンバーが書き込まれ、この時点で、表示器コントローラ35によりRFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーがディジタル表示器32に表示される。またこのオーダー・ナンバーは、詰め替えエリアEより下流側で袋掛けエリアFの上流側に設けられたRFIDライタ42Bにより、消去される。
また、RFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーは、各RFIDリーダ42Aにより読み取られることにより、RFID34の位置、すなわちRFID34が組み込まれた投入表示器26の位置、すなわち投入表示器26を取り付けた集品容器10の位置が特定される。
「アンテナ」;第1直進搬送ライン21Aおよび第2直進搬送ライン21Bの上方には、投入表示器26の無線機36との間で、データの送受信を行うためのアンテナ43(図13)が敷設されている。
【0035】
『封印エリアD』;封印エリアDには、図2、図9、および図10に示すように、ストレージラインAの下流端に設けたRFIDリーダ42Aに接続された、コンピュータからなる封印コントローラ49と、封印コントローラ49より出力されるラベルデータによりユーザーを特定するラベルを発行するラベルプリンタ50が設けられ、さらに前記ラベルプリンタ50の下流にRFIDリーダ42Aが設けられ、このRFIDリーダ42Aの下流にバーコードリーダ51が設けられている。また封印エリアDには、第2直進搬送ライン21Bに沿って、2人の作業者Hが、第1直進搬送ライン21Aに沿ってストレージラインAに配置された作業者Hとは、逆のサイドに配置されている。
【0036】
第1の作業者Hは、ラベルプリンタ50の設置位置より上流に配置されており、投入表示器26のディジタル表示器32に表示された、集品容器10に集品されている物品11の総数(詳細は後述する)と、集品容器10内の物品11の数量が一致するかどうかを確認し(検品し)、検品良好のとき、集品容器10に掛けられていた袋27を折り畳み、集品された物品11を包む作業を実行する。また検品不良のときは袋27の折り畳みを実行せずに開放したまま下流へ流す。
また第2の作業者Hは、ラベルプリンタ50により発行されたラベルを袋27に貼り付ける作業を実行する。検品良好のとき、袋27はラベルにより封印され、また検品不良のときは袋27に単に貼り付けられる。
前記封印コントローラ49には、図10に示すように、ストレージラインAの下流端のRFIDリーダ42Aと、ラベルプリンタ50と、ラベルプリンタ50の下流に配置されたRFIDリーダ42Aと、バーコードリーダ51が接続されている。
【0037】
また封印コントローラ49には、予め、投入表示器26に内蔵されたRFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーに割り付けられた(紐付けされた)ユーザーと、ユーザー毎に割り付けられたバーコードを含むラベルデータが記憶されており、封印コントローラ49は、ストレージラインAの下流端に設けたRFIDリーダ42Aにより、搬送されてきた集品容器10に取り付けられた投入表示器26に内蔵のRFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーが読み取られると、オーダー・ナンバーに紐付けされたユーザーを検索し、検索したユーザーにより、このユーザーに設定されたラベルデータを検索し、ラベルデータをラベルプリンタ50へ出力して、バーコード付きラベルを発行させる。
【0038】
また封印コントローラ49は、ラベルプリンタ50の下流に配置されたRFIDリーダ42AよりRFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーを入力し、バーコードリーダ51により読み取られたバーコードを入力すると、オーダー・ナンバーとバーコードにそれぞれ割り付けられたユーザーが一致するかどうかを確認し、ラベルが間違いなく、対応する集品容器10の袋27に貼り付けられているかどうかを確認する。間違いであると確認すると、後述する詰替コントローラ57へオーダー・ナンバーを含む間違いデータを出力する。また検品不良のとき、開放された袋27にラベルが取り付けられ、バーコードを読み取ることができないときも、同様に、詰替コントローラ57へオーダー・ナンバーを含む間違いデータを出力する。
【0039】
このように、第1の作業者Hは、検品し、検品が良好なとき、集品容器10に掛けられていた袋27を折り畳み、集品された物品11を包み、第2の作業者Hは、第2直進搬送ライン21Bにより順に搬送されてくる集品容器10に、発行されたラベルを貼り付ける。またラベルにより封印されて下流へ搬送されているとき、ラベルが間違いなく袋27に貼り付けられているかどうかが確認される。
【0040】
『詰め替えエリアE』;詰め替えエリアEには、図2、図7、および図9に示すように、空の寄せ箱13が積まれた第1フリーコンベヤ53と、搬送ラインBにより搬送されてきた集品容器10の封印済み物品11(集品済み物品11)を詰め替えた寄せ箱13を送りだす第2フリーコンベヤ54と、集品容器10内の物品11を包んだ袋27に貼り付けられたラベルのバーコードを読み取るバーコードリーダ55と、第2フリーコンベヤ54の下流位置に配置されて出荷ラベルを発行するラベルプリンタ56と、コンピュータからなる詰替コントローラ57と、詰替コントローラ57より出力されるデータ等を表示する表示器(表示画面)58が設けられている。また詰め替えエリアEには、2人の作業者Hが配置されている。
【0041】
第1の作業者Hは、第2フリーコンベヤ54の上流位置に配置されており、第1フリーコンベヤ53より空の寄せ箱13を第2フリーコンベヤ54上に引き込み、この寄せ箱13に、配送方面別に集品容器10の封印済み物品11(集品済み物品11)を詰め替え、詰め替える最終の物品11を包んだ袋27に貼り付けられたラベルのバーコードをバーコードリーダ55により読み取り、下流側へ押し出す作業を実行する。配送方面別への寄せ箱13の取り替えは、集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第1ランプ部31のランプ38の点灯および色により、判断できる。すなわち、第1ランプ部31のランプ38は配送方面先端(先頭)のとき緑色、配送方面終端のとき赤色に点灯され、それ以外では消灯されることにより、配送方面の切れ目が表示され(詳細は後述する)、それによって判断できる。
また第2の作業者Hは、詰め替えが終了して下流側へ押し出されてきた寄せ箱13に、ラベルプリンタ56より発行された出荷ラベルを貼り付け、出荷する作業を実行する。出荷作業としては、例えば、出荷用の台車等に積み付ける。
【0042】
前記詰替コントローラ57には、図11に示すように、バーコードリーダ55と、ラベルプリンタ56と、表示器(表示画面)58が接続され、予め、ユーザーに割り当てられたバーコードにより設定された出荷ラベルのデータが記憶され、バーコードリーダ55によりラベルのバーコードが読み取られると、このバーコードに設定された出荷ラベルデータを検索し、出荷ラベルデータをラベルプリンタ56へ出力して、出荷ラベルを発行させる。また封印コントローラ49より、オーダー・ナンバーを含む間違いデータを入力すると、表示器(表示画面)58へ、オーダー・ナンバーを含む検品不良またはラベル貼り付けミス発生の警報を表示させ、寄せ箱13への詰め替えを中止させる。
このように、詰め替えエリアEにおいて封印済み物品11は寄せ箱13へ詰め替えられ、出荷される。
【0043】
『袋掛けエリアF』;図2に示すように、袋掛けエリアFは、ピッキングゾーンPの上流側に配置され、袋掛けエリアFには、詰め替えエリアEより搬送ラインBにより搬送されてきた集品容器10(物品11の詰め替えが終了して空となった集品容器10)が搬送されてくる。袋掛けエリアFには、搬送方向の上流側から順に、集品容器10を水平方向に時計周りで90度回転する第1反転装置59と、集品容器10への袋27の袋掛けを実行する袋掛機(袋掛装置の一例)60と、集品容器10を、第1反転装置59による回転とは逆方向に(反時計周りに)90度回転して元の姿勢に戻す第2反転装置61とが、上流側から順(搬送方向順)に備えられている。
【0044】
集品容器10は、図5に示すように、集品容器10の搬送方向に平行な側面を、短軸側の側面とし、搬送方向正面(搬送方向とは直角な側面)を長軸側の側面とする姿勢(搬送姿勢;向き)で、搬送ラインBにより搬送されている。このような搬送姿勢として、短軸側の側面を搬送ラインBに沿って並べると、所定の距離の搬送ラインBで搬送できる集品容器10の数を増すことができ、多くのユーザー、オーダーに対応でき、ピッキング設備として効率が上がる。また投入表示器26の構成から、図5に示すように、集品容器10の短軸側の側面に設ける必要がある。
また上記袋掛機60は、袋27の開口部の側面を把持して広げ、上方から、集品容器10(箱体)の容器搬送方向と平行な側面に接近し、袋27を集品容器10(箱体)に被せる袋掛用の一対のアーム94と、これら袋掛用の一対のアーム94により集品容器10(箱体)へ被せられた袋27に対して、上方から集品容器10(箱体)の内方に向けて風を吹きつけ袋27の一部を集品容器10(箱体)の内部に収納するブロワ95とを備えている。袋掛用の一対のアーム94を、仮に、搬送方向とは直角な側面に接近させて袋27の袋掛けをすると、アーム94が降りるために、前後の集品容器10間にスペースが必要となり、袋掛機60の上流に、集品容器10間にスペースを空けるための装置が必要となる。このような装置を不要とするために、袋掛機60は、一般に、袋掛用の一対のアーム94を、集品容器10の搬送方向と平行な側面に接近させて袋27の袋掛けをするように構成される。
このような、一般的な袋掛機60の構成と、ピッキング設備としての集品容器10の搬送姿勢と投入表示器26の配置から判るように、集品容器10の姿勢を90度反転(回転)しないと、投入表示器26に袋掛機60の袋掛用の一対のアーム94が接触して、投入表示器26と袋掛機60の袋掛用の一対のアーム94に損傷が発生し、袋掛けを行うことができない状態となる。
このような事態を回避するために、集品容器10の姿勢を90度反転する第1反転装置59を設け、また、元の姿勢に戻す第2反転装置61を設けている。
【0045】
第1反転装置59は、図3(a)に示すように、水平方向に約45度傾いた回転軸を有する、複数の駆動ローラーからなる第1駆動ローラーコンベヤ91と、第1駆動ローラーコンベヤ91の中央端部に位置し、駆動ローラーの間に垂直方向に軸止され、水平方向に回動自在な、集品容器10の向きを変更する第1係止ローラー92と、第1係止ローラー92の下流に第1駆動ローラーコンベヤ91の側部に固着して設けられ、袋掛機60への搬送方向と平行に集品容器10を案内する第1ガイド体93とを備えている。
第1反転装置59による集品容器10の回転動作を説明する。
集品容器10が、第1反転装置59に搬入されると、第1駆動ローラーコンベヤ91により、集品容器10は、第1係止ローラー92へ寄せられる。集品容器10が第1係止ローラー92に接触すると、集品容器10は、第1係止ローラー92に接触する部分を中心として、第1駆動ローラーコンベヤ91により水平方向に時計回りに回転される。集品容器10は、第1ガイド体93により、水平方向に時計回りに90度回転した状態で回転が停止され、第1駆動ローラーコンベヤ91により袋掛機60へと搬入される。
このようにして、集品容器10は、第1反転装置59により、水平方向に時計周りで90度回転され、向きが変更されて、長軸側の側面が搬送方向と平行となり、袋掛機60へ搬入される。
袋掛機60は、公知の袋掛機が用いられ(例えば、特公平05−076904号公報に記載の袋掛機)、図4に示すように、袋27の開口部の側面を把持して広げ、上方から集品容器10の搬送方向と平行となった長軸側の側面に接近し、袋27を被せる袋掛用の一対のアーム94を、集品容器10の長軸側の側面側に接近させて、集品容器10に袋27を被せ、ブロワ95により上方より風を吹きつけることにより、集品容器10に対して、袋27の袋掛けを行う。
【0046】
図4を用いて、集品容器10への袋掛けの動作を、詳しく説明する。
前述したように、集品容器(箱体)10の側面と投入表示器26との間に、袋27を上方より挿入するための隙間41を設けている。まず、集品容器10が、搬送方向から水平方向に90度回転した状態(投入表示器26が集品容器10の上流側の側面に位置する状態)で袋掛機60に搬入され、袋掛機60の袋掛用の一対のアーム94は、袋27の開口部の側面を把持して、搬送方向に対する直角方向に拡げる{図4(a)}。次に、集品容器10が袋27を拡げた袋掛用の一対のアーム94の下方に搬送され停止され、集品容器10の上方から、集品容器10の長軸側の側面に接近し、隙間41まで降ろして袋27を集品容器10に被せる。この際、集品容器10と投入表示器26との間に設けられた隙間41に袋27がスムーズに挿入され、袋27は何ら支障なく集品容器10に掛けられる{図4(b)}。次に、集品容器10の上方よりブロワ95が降下し(ブロワ95と袋掛用の一対のアーム94とは、互いに干渉しないように移動される)、このブロワ95により集品容器10へ被せられた袋27に対して、上方から集品容器10の内方に向けて風を吹きつけ袋27の一部を集品容器10の内部に収納する。これにより、袋27の一部が集品容器10の外部側面に掛かり、袋27の残余の部分が、集品容器10の内部に収納される{図4(c)}。次に、袋掛用の一対のアーム94による袋27の開口端の把持が解除され、袋27の袋掛けが完了した集品容器10は、第2反転装置61へと搬送される{図4(d)}。
このように、第1反転装置59により集品容器10の向きが変更され、集品容器10が袋掛機60に搬入されることにより、集品容器10の短軸側の側面側に設けられる投入表示器26が、集品容器10の搬送方向と平行となっている長軸側の側面に接近する袋掛用の一対のアーム94との接触が原因で損傷することを防止できる。
また、この際、集品容器10と投入表示器26との間に、隙間41を設けているため、袋掛け時に、袋27が前記隙間41に挿入され、スムーズに集品容器10に袋27の袋掛けを行うことができ、袋27が引っ掛かることによる投入表示器26の損傷が防止される。
【0047】
第2反転装置61は、図3(b)に示すように、第1駆動ローラーコンベヤ91の駆動ローラーと逆方向に約45度傾いた回転軸を有する、複数の駆動ローラーからなる第2駆動ローラーコンベヤ96と、第2駆動ローラーコンベヤ96の中央端部に位置し、駆動ローラーの間に垂直方向に軸止され、水平方向に回動自在な、集品容器10の向きを変更する第2係止ローラー97と、第2係止ローラー97の下流に第2駆動ローラーコンベヤ96の側部に固着して設けられ、集品容器10を案内する第2ガイド体98とを備えている。
第2反転装置61による集品容器10の回転動作を説明する。
集品容器10が、第2反転装置61に搬入されると、第2駆動ローラーコンベヤ96により、集品容器10は、第2係止ローラー97へ寄せられる。集品容器10が第2係止ローラー97に接触すると、集品容器10は、第2係止ローラー97に接触する部分を中心として、第2駆動ローラーコンベヤ96により水平方向に反時計回りに回転される。集品容器10は、第2ガイド体98により、水平方向に反時計回りに90度回転した状態で回転が停止され、短軸側の側面が搬送方向と平行になり、第2駆動ローラーコンベヤ97によりピッキングゾーンPに向けて搬送される。
このように、第2反転装置61により、第1反転装置59において水平方向に時計回りに90度回転されて向きが変更された集品容器10が、第1反転装置59による回転とは逆方向に90度回転され、集品容器10が元の姿勢に戻されて、ピッキングゾーンPに向けて搬送されることにより、集品容器10に設けられた投入表示器26が搬送方向に対して同じ向きとなるように、集品容器10の向きが調整されるため、何ら支障を生じることなく、効率良くピッキング作業を行うことが可能とされる。
【0048】
また袋掛けエリアFでは、第1反転装置59の上流に設けられたRFIDライタ42Bにより、RFID34よりオーダー・ナンバーが消去され、第2反転装置61の下流に設けられたRFIDライタ42Bにより、RFID34へ新たなオーダー・ナンバーが書き込まれる。
【0049】
上記ピッキング設備の全体構成により、集品容器10は、搬送ラインB(循環ライン)により循環し、集品容器10自体が出荷されることはなく、空の集品容器10に袋掛けエリアFにおいて、袋27が掛けられ、RFID34に、新たなオーダー・ナンバーが書き込まれ、このオーダー・ナンバーに基づいて、ストレージラインAに保管された物品11の集品が実行され、集品が終了すると、封印エリアDにおいて検品が実行され、袋27が折り畳まれて封印され、ユーザーを特定するラベルが貼り付けられ、さらに詰め替えエリアEにおいて、封印済み物品11は、配送方面別に寄せ箱13に詰め替えられ、出荷される。封印済み物品11が取り出されて空となった集品容器10は、袋掛けエリアFにおいて、袋27が掛けられ、RFID34に、新たなオーダー・ナンバーが書き込まれ集品が実行される。
【0050】
このように、全ての集品容器10は搬送ラインB(循環ライン)を循環して、1日に何度も再利用され、循環する毎に、新たなオーダー・ナンバーが割り付けられる。このように、循環するために、投入表示器26にRFID34を設けて、オーダー・ナンバーの自動的に書き換える意味がある。
【0051】
『制御構成』;図12にピッキング設備の制御構成を示す。
ピッキング設備の制御手段として、上記ピッキングゾーンP毎のゾーンコントローラ24と、封印コントローラ49と、詰替コントローラ57に加えて、統括コントローラ62と、通信コントローラ63と、表示切換コントローラ64が備えられている。
【0052】
「通信コントローラ63」;通信コントローラ63には、図13に示すように、アンテナ43が接続された送受信装置65が接続され、通信コントローラ63は、前記アンテナ43、送受信装置65を介して、各投入表示器26の無線機36とデータの送受信を実行する。
【0053】
「統括コントローラ62」;統括コントローラ62には、ピッキングゾーンP毎のゾーンコントローラ24と、封印コントローラ49と、詰替コントローラ57と、通信コントローラ63と、表示切換コントローラ64が接続され、さらに第1直進搬送ライン21Aと、第2直進搬送ライン21Bと、第1カーブ搬送ライン21Cと、第2カーブ搬送ライン21Dと、袋掛機60と、袋掛機60の下流に設けられた(第2カーブ搬送ライン21Dへかかる箇所に設けられた)RFIDライタ42Bと、詰め替えエリアEより下流側で袋掛けエリアFの上流側に設けられたRFIDライタ42Bと、第1駆動ローラーコンベヤ91と、第2駆動ローラーコンベヤ96とが接続されている。
【0054】
そして、統括コントローラ62には、予め次のデータが設定されている。
・配送方面別に、登録された各ユーザーに割り付けられた、独自のバーコード。
・注文対象の物品11がそれぞれ格納されているピッキングゾーンPの間口16の配列データ(各物品11に対応するピッキングゾーンPの間口16のデータ)。
【0055】
統括コントローラ62は次の機能を有している。
(イ).ピッキングゾーンP毎のゾーンコントローラ24と、封印コントローラ49と、詰替コントローラ57と、通信コントローラ63へ作業の開始指令と終了指令を出力する。
(ロ).第1直進搬送ライン21Aと、第2直進搬送ライン21Bと、第1カーブ搬送ライン21Cと、第2カーブ搬送ライン21Dと、袋掛機60と、第1駆動ローラーコンベヤ91と、第2駆動ローラーコンベヤ96とを起動し、停止する。
(ハ).予め登録された各個別のユーザーからオーダー{注文:各仕分け先からの物品要求情報の一例;物品を特定する情報(例えば、物品の品種、物品名、物品コード等)と数量(個数)からなる単数または複数のデータ}を受け付けると、図15に示すように、オーダーを受けた予め登録されたユーザーの順に、ユーザーのオーダーに(あるいはユーザーに)、連続したオーダー・ナンバー(独自の符号の一例)を割り付け、各ピッキングゾーンPの各間口16にオーダーの数量(ピッキング数量)を書き込み、ストレージラインAのピッキングデータを形成する。このとき、ストレージラインAにおいて、各ユーザー・オーダーにおけるピッキングが終了する場合には、ピッキングが終了するゾーン・ナンバーを求めて記憶する。
【0056】
(ニ).各ユーザーに割り付けたオーダー・ナンバーと、形成したストレージラインAのピッキングデータ(ピッキングが終了するゾーン・ナンバーを含む)を、各ピッキングゾーンPのゾーンコントローラ24へ出力する。
(ホ).ユーザーに割り付けられたオーダー・ナンバー毎に、注文データからピッキングされる物品11の総数を求め、各オーダー・ナンバーの物品11の総数を、ユーザーに割り付けられたオーダー・ナンバーとユーザーの配送方面のデータとともに表示切換コントローラ64へ出力する。
(ヘ).ユーザーに割り付けられたオーダー・ナンバーおよびバーコードを、封印コントローラ49、および詰替コントローラ57へ出力する。
(ト).袋掛機60の下流に設けられた(第2カーブ搬送ライン21Dへかかる箇所に設けられた)RFIDライタ42Bにより、RFID34が検出されると、予め登録されたユーザーの順に、ユーザーのオーダーに割り当てられたオーダー・ナンバーをRFIDライタ42Bへ出力してRFID34にオーダー・ナンバーを書き込ませる。これにより、投入表示器26を取り付けた集品容器10に、オーダー・ナンバーが割り付けられる。
【0057】
このように、統括コントローラ62において、ライン21A,21B,21C,21Dと、第1駆動ローラーコンベヤ91と、第2駆動ローラーコンベヤ96と、袋掛機60の起動・停止が実行され、さらに各ユーザーからの注文(オーダー)が入力されると、ストレージラインAのピッキングデータ(ピッキングゾーンP毎のピッキングデータ)が形成され、オーダー・ナンバー等のデータが各コントローラへ出力される。
【0058】
「表示切換コントローラ64」;表示切換コントローラ64には、図14(a)に示すように、ストレージラインAの下流端に設けたRFIDリーダ42Aと、通信コントローラ63が接続され、予め、各オーダー・ナンバー毎の物品11の総数とユーザーに割り付けられたオーダー・ナンバーとユーザーの配送方面のデータが、統括コントローラ62より入力される。
表示切換コントローラ64は、RFIDリーダ42AによりRFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーによりユーザーを求め、また物品11の総数を求め、さらにこのユーザーが、配送方面の先端(先頭)かどうか、終端かどうかを求める。
【0059】
そして、下記データを通信コントローラ63へ出力し、送受信装置65およびアンテナ43を介して、発信させる。なお、ストレージラインAの下流の封印エリアDにおいて、ストレージラインAの作業者Hと搬送ラインBに対して逆のサイドに第1の作業者Hが位置するために、投入表示器26のディジタル器(表示画面)32の表示を見やすい向きとするように、表示を逆向きに表示させるデータ(表示逆向き指令)を出力する。
・ユーザーが配送方面の先端のとき…オーダー・ナンバーとともに、カバー39A付きの第1ランプ部31のランプ38を「緑色」に点灯させ、且つ第2ランプ部33のランプ38を消灯させるデータ、およびディジタル表示器32へ物品11の総数を逆向きに表示させるデータ(表示逆向き指令の一例)。
・配送方面が先端でも終端でもないとき…オーダー・ナンバーとともに、第1ランプ部31および第2ランプ部33のランプ38は消灯させるデータ、およびディジタル表示器32へ物品11の総数を逆向きに表示させるデータ(表示逆向き指令の一例)。
・配送方面の終端のとき…オーダー・ナンバーとともに、カバー39A付きの第1ランプ部31のランプ38を「赤色」に点灯させ、且つ第2ランプ部33のランプ38を消灯させるデータ、およびディジタル表示器32へ物品11の総数を逆向きに表示させるデータ(表示逆向き指令の一例)。
【0060】
このデータが、投入表示器26の無線機36により受信されると、表示器コントローラ35は、受信したデータのオーダー・ナンバーにより、受信データが自分宛かどうかを確認し、確認すると、受信データに従って、第1ランプ部31および第2ランプ部33のランプ38を点灯/消灯し、ディジタル表示器32へ物品11の総数を逆向きに表示させる。
受信したデータのオーダー・ナンバーは、ストレージラインAの下流端を通過した投入表示器26のものであるから、下流端を通過した投入表示器26において、第1ランプ部31のランプ38は先端(先頭)のとき緑色、終端のとき赤色に点灯され、それ以外では消灯され、第2ランプ部33のランプ38は消灯される。またディジタル表示器32には、表示していた「オーダー・ナンバー」(あるいは「END」)に代えて、「総数」(物品11の総数)が逆向きに表示される。
【0061】
そして、図14(b)に示すように、配送方面の切れ目が、第1ランプ部31のランプ38の色により表示され、また検品用として、集品容器10に集品されている物品11の総数が逆向きに、すなわちストレージラインAに配置された作業者Hとは、搬送ラインBの異なるサイドに位置する封印エリアDの第1の作業者Hが見やすい向きに、ディジタル表示器32により示され、作業者Hの位置によって、ディジタル表示器32の表示が、見づらく、判別しづらくなるという問題が回避される。
【0062】
「ゾーンコントローラ24」;各ゾーンコントローラ24には、図16に示すように、担当するピッキングゾーン(以下、自ピッキングゾーンと称す)Pの間口表示器19、ベイ表示器20、自ピッキングゾーンPに正対して配置された(対応された)投入ゾーン(対応投入ゾーン、以下、自投入ゾーンと称す)Zのテープスイッチ23、この自投入ゾーンZの上流に隣接する上流投入ゾーンZのテープスイッチ23、さらに自投入ゾーンZの最下流のアキュムレーション部22、前記上流投入ゾーンZの上流端に設けられたRFIDリーダ(上流ゾーンRFIDリーダと略す)42A、自投入ゾーンZの上流端に設けられたRFIDリーダ(自ゾーンRFIDリーダと略す)42A、自投入ゾーンZに下流に隣接する下流投入ゾーンZの上流端に設けられたRFIDリーダ(下流ゾーンRFIDリーダと略す)42A、および統括コントローラ62が接続されている。
【0063】
また各ゾーンコントローラ24には、予め、自ピッキングゾーンPと自投入ゾーンZを特定するナンバーが設定され、さらに自ピッキングゾーンPの間口16の配列、および各間口16に収納されている物品11のデータ(配列データ)が設定され、また統括コントローラ62より、ユーザーに割り付けられたオーダー・ナンバー、および各オーダー・ナンバーにより特定される自ピッキングゾーンPの各間口16から取り出す物品11のデータ(ピッキングデータ)が入力される。
【0064】
「ゾーンコントローラ24の制御構成」;ゾーンコントローラ24は、第1直進搬送ライン21Aにより搬送されている集品容器10に対して、自ピッキングゾーンPの間口16から物品11を取り出して投入するピッキング作業を制御する。ゾーンコントローラ24の制御構成図を図17に示す。
ゾーンコントローラ24は、上記配列データ、各ユーザーに割り当てられたオーダー・ナンバー、ピッキングデータ(ピッキングが終了するゾーン・ナンバーを含む)、およびピッキングデータによるピッキング作業が終了しているか否かが記憶されるピッキングメモリ71と、上流投入ゾーンZに上流から下流に向けて位置する(移動してきている)最大6個の各集品容器10に取り付けられた投入表示器26のRFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーが記憶される上流ゾーンメモリ72と、自投入ゾーンZに上流から下流に向けて位置する最大6個の各集品容器10の同様のオーダー・ナンバーが記憶される自ゾーンメモリ73と、前記ピッキングメモリ71へ、統括コントローラ62から入力された上記各ユーザーに割り当てられたオーダー・ナンバー、およびピッキングデータを記憶するデータ処理部74と、上流ゾーン容器検出部75と、自ゾーン容器検出部76と、上流ゾーン先行表示制御部77と、自ゾーン先行表示制御部78と、ピッキング制御部79と、前送り許可制御部80から構成されている。
【0065】
「上流ゾーン容器検出部75」;上流ゾーン容器検出部75は、上流ゾーンRFIDリーダ42Aよりオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーを最も上流の集品容器10のオーダー・ナンバーとして上流ゾーンメモリ72に記憶し、以前に記憶しているオーダー・ナンバーを順に下流側へ移動する。また自ゾーンRFIDリーダ42Aよりオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーを上流ゾーンメモリ72より消去して、以前に記憶しているオーダー・ナンバーを順に下流側へ移動する。
【0066】
「自ゾーン容器検出部76」;自ゾーン容器検出部76は、自ゾーンRFIDリーダ42Aよりオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーを最も上流の集品容器10のオーダー・ナンバーとして自ゾーンメモリ73に記憶し、以前に記憶しているオーダー・ナンバーを順に下流側へ移動する。また下流ゾーンRFIDリーダ42Aよりオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーを自ゾーンメモリ73より消去して、以前に記憶しているオーダー・ナンバーを順に下流側へ移動する。
【0067】
このように、上流ゾーンメモリ72と自ゾーンメモリ73には、上流より下流に向けて、上流投入ゾーンZと自投入ゾーンZに位置する集電容器10のオーダー・ナンバーが記憶され、更新される。またRFIDリーダ42Aよりのオーダー・ナンバーの入力により、各投入ゾーンZに位置する集品容器10のオーダー・ナンバーを記憶していることから、RFIDリーダ42Aの取付位置を上流側、あるいは下流側に移動することにより、例えば図19(b)に示すように、RFIDリーダ42Aの取付位置を下流側へ集品容器2個分移動し、投入ゾーンZの範囲を可変することができる。
【0068】
「自ゾーン先行表示制御部78」;自ゾーン先行表示制御部78は、自ゾーンメモリ73に記憶されているオーダー・ナンバーを確認し、各オーダー・ナンバーにより、ピッキングメモリ71を検索して、ピッキングデータの有無(自ピッキングゾーンPの間口16よりピッキングして自投入ゾーンZに位置する集品容器10へ投入する物品11が有るか否か;ピッキング作業が終了している場合はピッキングデータ無し、と見なされる)を求める。
【0069】
ピッキングデータが有るとき、そのオーダー・ナンバーを記憶し、さらに最も下流のオーダー・ナンバー(集品容器10)をピッキング作業対象のオーダー・ナンバー(集品容器)として決定し、そのオーダー・ナンバーに、自投入ゾーンZのナンバーを加えてピッキング制御部79へ出力する。またこのピッキング作業対象の集品容器10のオーダー・ナンバーを除いた他のオーダー・ナンバーに、自投入ゾーンZのナンバー、および点灯信号であることを加えた自ゾーン点灯データを通信コントローラ63へ出力する。
また検索してピッキングデータが無かったオーダー・ナンバーに、自投入ゾーンZのナンバー、および消灯信号であることを加えた自ゾーン消灯データを通信コントローラ63へ出力する。またピッキングデータが全く無いとき、ピッキングデータ無し信号を上流ゾーン先行表示制御部77へ出力する。
【0070】
「上流ゾーン先行表示制御部77」;上流ゾーン先行表示制御部77は、上流ゾーンメモリ72に記憶されているオーダー・ナンバーを確認し、各オーダー・ナンバーにより、ピッキングメモリ71を検索して、ピッキングデータの有無(自ピッキングゾーンPの間口16よりピッキングして上流投入ゾーンZに位置する集品容器10へ投入する物品11が有るか否か;ピッキング作業が終了している場合はピッキングデータ無しと見なされる)を求める。
【0071】
ピッキングデータが有るとき、オーダー・ナンバーを記憶し、続いて自ゾーン先行表示制御部78より前記ピッキングデータ無し信号を入力しているかどうかを確認する。ピッキングデータ無し信号を確認すると、最も下流のオーダー・ナンバー(集品容器10)をピッキング作業対象のオーダー・ナンバー(集品容器)として決定し、そのオーダー・ナンバーに、上流投入ゾーンZのナンバー(自投入ゾーンZのナンバーより1を減算)を加えてピッキング制御部79へ出力する。
またこのピッキング作業対象の集品容器10のオーダー・ナンバーを除いた他のオーダー・ナンバーに、上流投入ゾーンZのナンバー、および点灯信号であることを加えた上流ゾーン点灯データを通信コントローラ63へ出力する。またピッキングデータが無かったオーダー・ナンバーに、上流投入ゾーンZのナンバー、および消灯信号であることを加えた上流ゾーン消灯データを通信コントローラ63へ出力する。
【0072】
「ピッキング制御部79」;ピッキング制御部79は、自ゾーン先行表示制御部78または上流ゾーン先行表示制御部77より、ピッキング作業対象の集品容器10のオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーによりピッキングメモリ71のピッキングデータを検索する。また入力したオーダー・ナンバーに、自投入ゾーンZのナンバーまたは上流投入ゾーンZのナンバー、および点滅信号であることを加えた自ゾーン点滅データ、または上流ゾーン点滅データを通信コントローラ63へ出力する。
【0073】
続いて検索したピッキング作業対象の集品容器10のピッキングデータにしたがって、間口表示器19により、物品11を取り出す間口16と取り出す物品11の数量を表示し、さらにベイ表示器20により物品11を取り出す間口16が有る棚17の段数を知らせる。そして、間口表示器19の完了押釦スイッチ19Bの操作により、間口16からの物品11の取り出しを確認し、自投入ゾーンZのテープスイッチ23(自投入ゾーンZの集品容器10へ物品11を投入したとき)、または上流投入ゾーンZのテープスイッチ23(上流投入ゾーンZの集品容器10へ物品11を投入したとき)の操作により、集品容器10へのピッキング作業終了を確認する。確認すると、実行したピッキングメモリ71のピッキングデータをピッキング作業終了とし、ピッキング作業が終了したオーダー・ナンバーを、前送り許可制御部80へ出力し、続いてピッキングデータにおいて、自ピッキングゾーンPがピッキング終了ゾーンに設定されているかどうかを確認する。
また自ピッキングゾーンPがピッキング終了ゾーンに設定されている場合、オーダー・ナンバーに、「END」(“物品の投入終了”の表示の一例)表示指令、および消灯信号であることを加えたゾーン終了消灯データを通信コントローラ63へ出力する。
【0074】
「前送り許可制御部80」;前送り許可制御部80は、自ゾーンメモリ73の最下流のオーダー・ナンバーにより、ピッキングメモリ71のピッキングデータを検索して、ピッキング作業の有無を確認しており、ピッキング作業無しのとき、最下流のアキュムレーション部22へ上記前送り許可信号を出力する。またピッキング作業有りのとき、ピッキング制御部79より、ピッキング作業が終了したオーダー・ナンバーを入力するまで待ち、自投入ゾーンZから、ピッキング作業が終了していない集品容器10が下流投入ゾーンZへ移動することを阻止し、オーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーが自ゾーンメモリ73の最下流のオーダー・ナンバーと一致するかどうかを確認し、一致すると、最下流のアキュムレーション部22へ上記前送り許可信号を出力する。
【0075】
前記通信コントローラ63は、上記「オーダー・ナンバーに、自投入ゾーンZのナンバー、および点灯信号であることを加えた自ゾーン点灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、自投入ゾーンZのナンバー、および消灯信号であることを加えた自ゾーン消灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、“END”表示指令、および消灯信号であることを加えたゾーン終了消灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、上流投入ゾーンZのナンバー、および点灯信号であることを加えた上流ゾーン点灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、上流投入ゾーンZのナンバー、および消灯信号であることを加えた上流ゾーン消灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、自投入ゾーンZのナンバー、および点滅信号であることを加えた自ゾーン点滅データ」、または「オーダー・ナンバーに、上流投入ゾーンZのナンバー、および点滅信号であることを加えた上流ゾーン点滅データ」を入力すると、送受信装置65およびアンテナ43を介して、発信する。
【0076】
このデータが、投入表示器26の無線機36により受信されると、表示器コントローラ35は、受信したデータのオーダー・ナンバーにより、受信データが自分宛かどうかを確認し、確認すると、受信データにしたがって、“オーダー・ナンバー”をディジタル表示器32へ表示させ、あるいはゾーン終了消灯データのときには“END”をディジタル表示器32へ表示させ、下記のように第1ランプ部31および第2ランプ部33のランプ38を点灯/点滅/消灯する。なお、投入ゾーンZのナンバーが奇数のとき赤色、偶数のとき緑色を点灯・点滅しているものとする。
・自ゾーン点灯データ…第1ランプ部31のランプ38を点灯。
・自ゾーン消灯データまたはゾーン終了消灯データ…第1ランプ部31のランプ38を消灯。
・自ゾーン点滅データ…第1ランプ部31のランプ38を点滅。
・上流ゾーン点灯データ…第2ランプ部33のランプ38を点灯。
・上流ゾーン消灯データ…第2ランプ部33のランプ38を消灯。
・上流ゾーン点滅データ…第2ランプ部33のランプ38を点滅。
【0077】
このように、自投入ゾーンZに位置する集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第1ランプ部31のランプ38は、点灯/点滅/消灯され、点灯で、ピッキング作業予定の集品容器10であることが表示され、点滅で、今、ピッキング作業実行対象の集品容器10であることが表示され、消灯で、ピッキング作業の対象でない集品容器10であることが表示され、第1ランプ部31により、投入表示器26を取り付けた、自投入ゾーンZに位置する集品容器10が、自ピッキングゾーンPにおいて取り出された物品11の投入対象の集品容器であるか否かが示される。
【0078】
また上流投入ゾーンZに位置する集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第2ランプ部33のランプ38は、点灯/点滅/消灯され、点灯で、ピッキング作業予定の集品容器10であることが表示され、点滅で、今、ピッキング作業実行対象の集品容器10であることが表示され、消灯で、ピッキング作業の対象でない集品容器10であることが表示され、第2ランプ部33により、投入表示器26を取り付けた、上流投入ゾーンZに位置する集品容器10が、自ピッキングゾーンPにおいて取り出された物品11の投入対象の集品容器であるか否かが示される。
【0079】
「ストレージラインAにおける集品容器10の移動動作」;上記第1直進搬送ライン21Aの構成と、ゾーンコントローラ24の構成による投入ゾーンZ毎の集品容器10の移動動作は、次のようになる。
a.投入ゾーンZ内では、空きのアキュムレーション部22があると、前詰めされる。
b.投入ゾーンZに渡る移動は、ピッキング作業対象ではない集品容器10のとき、無条件で、自投入ゾーンZに対向する対応する自ピッキングゾーンPのゾーンコントローラ24より前送り許可信号が出力され、下流投入ゾーンZの上流に空きのアキュムレーション部22が発生すると移動する。
c.投入ゾーンZに渡る移動は、ピッキング作業対象の集品容器10Aのとき、投入ゾーンZのゾーンコントローラ24より前送り許可信号が出力されるまで、すなわちピッキング作業が終了するまで、下流の投入ゾーンZの上流に空きのアキュムレーション部22が発生したとしても移動することはなく停止し、ピッキング作業が終了していない最下流の集品容器10が下流の投入ゾーンZへ移動してしまうことが阻止され、前送り許可信号の出力により、はじめて下流の投入ゾーンZへ移動する(下流の投入ゾーンZの上流に空きのアキュムレーション部22が発生していることが条件)。
【0080】
このように、投入ゾーンZを渡ることが可能な(許可されている)集品容器10は、投入ゾーンZに渡って移動するとき、下流の投入ゾーンZが詰まっている場合(空きのアキュムレーション部22が無い場合)には待機し、下流の投入ゾーンZの上流に空きのアキュムレーション部22が発生した状態になれば移動する。
またピッキング作業が終了していない集品容器10(自投入ゾーンZの最下流の集品容器10)が下流投入ゾーンZへ移動することが阻止されることにより、オーダーされた物品11が不足した集品容器10の発生を阻止される。またこのとき、下流投入ゾーンZおよびこの下流投入ゾーンZの下流に位置する投入ゾーンZでは、通常通り、続けて複数の集品容器10の蓄積・移動が実行され、集品容器10の移動が効率的に行われ、作業者の能力が最大に生かされる。
【0081】
図18を参照しながら、具体例を説明する。
各投入ゾーンZに6個のアキュムレーション部22が設けられており、図18(a)に示すように、ゾーン2における下流側の2つの集品容器10がピッキング作業対象ではなく、隣接する下流のゾーン3の上流に2つ分の空き(集品容器10無し)のアキュムレーション部22があると、図18(b)に示すように、アキュムレーションコンベヤの機能により、ゾーン2における下流側の2つの集品容器10は、隣接する下流のゾーン3へ移送され、前詰めされる。このとき、ゾーン2のピッキング作業対象の集品容器10Aは、ゾーンの下流端まで移送されるが、ピッキングゾーンPのゾーンコントローラ24よりピッキング作業が終了して前送り許可信号が出力されるまで、ゾーン3へ移送されることはない。
また図18(a)に示すように、ゾーン1において空き(集品容器10無し)のアキュムレーション部22があると、図18(b)に示すように、上流の集品容器10は前詰めされ、また図18(b)に示すように、ゾーン2における集品容器10の移送により空きのアキュムレーション部22が発生すると、ゾーン1の下流端のピッキング作業対象ではない集品容器10は、ゾーン2へ移送され、前詰めされる。このとき、ゾーン1のピッキング作業対象の集品容器10Aは、ゾーンの下流端まで移送されるが、ピッキングゾーンPのゾーンコントローラ24よりピッキング作業が終了して前送り許可信号が出力されるまで、ゾーン2へ移送されることはない。
【0082】
このように、集品容器10は、部分的に下流へ投入ゾーンZを渡って移動できることにより、ピッキング作業対象の集品容器10Aに対して、作業者Hは自投入ゾーンZの移動範囲でピッキング作業を行う機会が増加し、作業の効率を改善することができる。(先行して上流の投入ゾーンZにおいてピッキング作業を行うことができるが、ピッキング作業対象の集品容器10Aが自投入ゾーンZに移送されてきたほうが、作業効率は改善できる。)
また投入ゾーンZ内で、ピッキング作業が実行される集品容器10は、投入ゾーンZでのピッキング作業が終了するまで、下流投入ゾーンZに移送されることを回避でき、欠品の発生を防止できる。
【0083】
「ピッキング作業」;ゾーンコントローラ24の構成による作用を、ピッキングゾーンPに配置された作業者Hのピッキング作業動作とともに説明する。
図7に示すように、自投入ゾーンZに位置する集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第1ランプ部31のランプ38は、点灯または点滅または消灯し、点灯によりピッキング作業あり、点滅によりピッキング作業実行、消灯によりピッキング作業無しが表示され、このとき、自ピッキングゾーンPのベイ表示器20と、各間口表示器19が表示される。
【0084】
自ピッキングゾーンPに配置された作業者Hは、ベイ表示器20の表示と、各間口表示器19の表示に基づいて、集品容器10へ投入する物品11を収納箱12より取り出して、取り出す毎に、間口表示器19の完了押釦スイッチ19Bを押し、間口表示器19の表示の消灯を確認して、物品11を取り出し、振り返って、自投入ゾーンZに搬送されてきており、且つ第1ランプ部31のランプ38が点滅している投入表示器26が取り付けられた集品容器10へ投入する(ピッキング作業を実行する)。そして、全ての物品11の投入が終了すると、自投入ゾーンZのテープスイッチ23を押し、対象の集品容器10に対するピッキング作業を終了する。このように、第1ランプ部31のランプ38は、投入表示器26が取り付けられた集品容器10が自投入ゾーンZに位置するとき、自ピッキングゾーンPからのみ見ることが可能で、ピッキング作業を可能とする自ゾーンランプを形成している。
また上流投入ゾーンZに位置する集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第2ランプ部33のランプ38(自ピッキングゾーンPからのみ見ることが可能)は、点灯または点滅または消灯し、点灯によりピッキング作業あり、点滅によりピッキング作業実行、消灯によりピッキング作業無しが表示される。
【0085】
第2ランプ部33のランプ38の点滅しているとき、自ピッキングゾーンPに配置された作業者Hは、自ピッキングゾーンPのベイ表示器20の表示と、各間口表示器19の表示に基づいて、隣接する上流投入ゾーンZに位置し、第2ランプ部33のランプ38が点滅している投入表示器26が取り付けられた集品容器10に対して、自ピッキングゾーンPの間口16から取り出した物品11を投入する(上流ゾーンにおける先行ピッキング作業を実行する)。そして、全ての物品11の投入が終了すると、上流投入ゾーンZのテープスイッチ23を押し、対象の集品容器10に対するピッキング作業を終了する。このように、第2ランプ部33のランプ38は、投入表示器26が取り付けられた集品容器10が上流投入ゾーンZに位置するとき、自ピッキングゾーンPからのみ見ることが可能で、先行ピッキング作業を可能とする先行ゾーンランプを形成している。
【0086】
上記のように、作業者Hは、自ピッキングゾーンPから取り出した物品11を、自投入ゾーンZおよび上流投入ゾーンZにおいて搬送されている集品容器10に投入することができ、図7に示すように、作業者H毎に、連続した2つの投入ゾーンZに渡って投入作業を行うことができる範囲が形成される。またこれより、図19(a)に示すように、最下流の投入ゾーンZを除いて、最上流の投入ゾーンZから、2人で集品容器10への投入作業を行う投入ゾーンZが続き、最下流の投入ゾーンZのみ作業者Hが1人で集品容器10への投入作業を行う投入ゾーンZとなる。また上述したように、ピッキングゾーンPに対して投入ゾーンZを下流側にずらした場合においても、同様に、最下流の投入ゾーンZを除いて、最上流の投入ゾーンZから、2人で集品容器10への投入作業を行う投入ゾーンZが続き、最下流の投入ゾーンZのみ作業者が1人で集品容器10への投入作業を行う投入ゾーンZとなる。
【0087】
またピッキング作業の実行終了により、この集品容器10へのピッキング作業が終了した場合、ディジタル表示器32に、“END”が表示される。
また投入表示器26のディジタル器(表示画面)32は、第1ランプ部31のランプ(自ゾーンランプ)38と第2のランプ部33のランプ(先行ゾーンランプ)38の中央に取り付けられることにより、投入表示器26が取り付けられた集品容器10に物品11を投入する作業者より最も、見やすくされている。
【0088】
以上のように、本実施の形態によれば、投入表示器26は、投入表示器26の表示器本体30に設けられる差込口30Aに、投入表示器26と集品容器10との間に袋27を上方より挿入するための隙間41を形成できる側面視コ字状の部分を有する治具40の一端を差し込み、この治具40の他端を集品容器10の搬送方向に平行な側面側の開口端部10Bに引っ掛けることにより集品容器10の側面側に設けられ、集品容器10の側面と投入表示器26との間には袋27を上方より挿入するための隙間41が形成されるため、袋27を上方より隙間41へ容易に挿入でき、集品容器10への袋27の袋掛けを支障なく行うことができ、また、投入表示器26の表示が、誤って袋27に覆われる可能性を低減可能となることから、作業者Hが投入表示器26の表示を認識し辛くなることが防止でき、さらに、隙間41に袋27が挿入されるため、投入表示器26に袋27が引っ掛かることがなく、袋27が引っ掛かることにより投入表示器26が損傷することを防止できる。
【0089】
また本実施の形態によれば、投入表示器26を、集品容器10の搬送方向と平行な集品容器10(箱体)の側面側に設けたことにより、投入表示器26の第1ランプ部31および第2ランプ部33の表示を作業者Hが認識しやすくなり、集品容器10への物品11の投入ミスを防ぐことが可能とされ、ピッキング設備の信頼性を向上できる。
【0090】
また本実施の形態によれば、集品容器10の搬送方向に平行な短軸側の側面側に投入表示器26を設けた集品容器10は、第1反転装置59により、水平方向に時計回りに90度回転されて、袋掛機60へ搬入され、集品容器10の搬送方向に平行となった集品容器10の長軸側の側面に接近される袋掛用の一対のアーム94により袋27の袋掛けが行われ、第2反転装置61により、第1反転装置59による回転とは逆方向に90度回転され、元の姿勢に戻され、ピッキングゾーンPに向けて、搬送されるため、集品容器10の短軸側の側面側に設けられた投入表示器26が、袋掛用の一対のアーム94との接触が原因で損傷することを防止でき、また、第2反転装置61により、集品容器10に設けられた投入表示器26が搬送方向に対して同じ向きとなるように、集品容器10の向きが調整されるため、何ら支障を生じることなく、効率良くピッキング作業を行うことができる。
【0091】
また本実施の形態によれば、集品容器(箱体)10の側面と投入表示器26との間に、袋27を上方より挿入するための隙間41を設け、袋掛機60の袋掛用の一対のアーム94が、袋27の開口部の側面を把持して、集品容器10の上方から、集品容器10の長軸側の側面に接近し、隙間41まで降ろして袋27を集品容器10に被せ、集品容器10へ被せられた袋27に対して、上方から集品容器10の内方に向けて風を吹きつけ袋27の一部を集品容器10の内部に収納することにより、集品容器10(箱体)への袋27の袋掛けを、投入表示器26に接触することなく、スムーズに行うことができる。
【0092】
なお、本実施の形態では、投入表示器26の表示器本体30の差込口30Aに、断面視コ字状の部分を有する治具40の一端を差し込み、この治具40の他端を、集品容器10の搬送方向に平行な短軸側の側面の開口端部10Bの一部に引っ掛けることにより、集品容器10に投入表示器26が固定されて設けられているが、集品容器10と投入表示器26との間に、袋27を掛ける隙間41があれば、治具40の形状はどのようなものであってもよく、例えば、断面視U字状の部分を有する治具等を用いてもよい。
【0093】
また本実施の形態では、投入表示器26の表示器本体30の差込口30Aに、治具40の一端を差し込み、この治具40の他端を、集品容器10の搬送方向に平行な短軸側の側面の開口端部10Bの一部に引っ掛けることにより、集品容器10に投入表示器26が固定されて設けられているが、投入表示器26を治具40に対して固定する方法はどのようなものでもよく、例えば、投入表示器26のランプ部31,33を有する面に対する反対側の面(底面)に孔部を設け、さらに、治具40を、投入表示器26の前記底面を支持し、孔部を有する形状に変更し、ボルト等を用いて、変更した治具に対して投入表示器26を取り付ける方法を用いてもよい。
【0094】
また本実施の形態では、投入表示器26の第1ランプ部31と第2ランプ部33の表示手段であるランプ38として同じランプ(ランプの取付金具を含む)を使用して、相互に付け替え可能な構造としているが、同じ前記取付金具が使用できるのであれば、第1ランプ部31と第2ランプ部33のランプ38に、形状や点灯する色が異なるランプを使用してもよいことは勿論である。ランプが異なっても、投入表示器26の表示手段は、相互に付け替え可能な構造となる。
また本実施の形態では、投入表示器26を集品容器10に治具40によって固定して設けているが、図20に示すように、投入表示器26を、集品容器10を載せるトレイ85に設けて、トレイ85を介して集品容器10に投入表示器26を設けるように(対応するように)ようにしてもよい。このとき、投入表示器26は、図20に示すように、表示器本体30の長軸方向が搬送方向と同じになるようにして、トレイ85に設けられる。またこのような投入表示器26付きトレイ85を複数、搬送ラインBにより循環し、循環しているトレイ85に対して集品容器10を自動で投入し、自動で払い出す構成とすることもできる。この際、集品容器10がトレイ85に載せられた状態で、袋掛機60により集品容器10に袋27の袋掛けを行う場合であっても、第1反転装置59および第2反転装置61により集品容器10を載せたトレイ85の向きを回転させることにより、トレイ85の投入表示器26が、袋掛用の一対のアーム94との接触が原因で損傷することが防止可能とされる。このとき、投入表示器26は、トレイ85に対して、上下反転して付け替えることができるように構成されている。なお、トレイ85に対して、投入表示器26を上下反転して付け替えた際には、ディジタル表示器32の表示も反転して表示される。
【0095】
また本実施の形態では、集品容器10としてコンテナを用いているが、この集品容器10は、投入表示器26を治具40により取り付け可能で、物品11を一時収納することができればどのような容器であってもよく、例えば、段ボール等を用いることができる。
また本実施の形態では、ユーザーのオーダーを特定する独自の符号として数字(オーダー・ナンバー)を使用しているが、アルファベットなどの文字や絵文字等を使用することもできる。このとき、文字や絵文字に順を決めて、その順にユーザーのオーダーに割り付けて、RFIDライタ42Bにより、RFID34へ書き込む。
また本実施の形態では、各ピッキングゾーンPに、1人の作業者Hを配置する構成としているが、各ピッキングゾーンPに複数(例えば、2人)の作業者Hを配置する構成とすることもできる。これにより、投入ゾーンZ内にピッキング対象の集品容器10が間を置くことなく搬入される状況にあっても、投入ゾーンZ内の作業速度が向上するため、各投入ゾーンZに集品容器10が滞留する恐れを低減でき、ピッキング作業の効率を向上できる。またピッキングゾーンPの作業者Hは、ピッキングした物品11を直接、集品容器10へ投入しているが(手動投入しているが)、ピッキングゾーンP毎に、第1直進搬送ライン21A上に、物品11の集品容器10への自動投入を行う自動投入装置を配置して物品11を自動投入するようにすることもできる。
【0096】
また本実施の形態では、ピッキングゾーンPおよび投入ゾーンZ毎に点灯するランプの色(間口表示器19の完了押釦スイッチ19Bのランプ、および投入表示器26の第1ランプ部31と第2ランプ部33のランプ38の色)を変えることにより、作業者Hが、自ピッキングゾーンPから取り出した物品11を投入する集品容器10を間違えることがないようにしているが、作業者Hが集品容器10を間違えることがないような方式であればどのような方式でもよく、例えば、ランプの光の強さを変えたりする方式としてもよい。またランプの色は2色(赤と緑)としているが、さらに色を増して3色とし、3つのピッキングゾーンPおよび投入ゾーンZ毎にそれぞれ色を指定して交互に色が変化するようにすることもできる。
また本実施の形態では、投入表示器26には、図1に示すように、長軸方向の表示器本体30の表面に、ディジタル表示器32と第1ランプ部31とを配置し、第1ランプ部31にはカバー39Aを設けているが、図21に示すように、前記ディジタル表示器32に代えて、5桁の数字を表示可能なディジタル表示器(表示画面の一例)32’を設け、また前記カバー39Aに代えて、正面が開放され正面からはランプ38の点灯・点滅状態を認識でき、且つ容器搬送方向とは直角な一方の方向(側方)と容器搬送方向の下流側および上流側の略半分が遮蔽され、一方の側方からランプ38の点灯・点滅状態を認識できず、さらに容器搬送方向の下流側および上流側からランプ38の点灯・点滅状態を認識できにくくしたカバー39A’を設けるようにしてもよい。
このように、5桁の数字を表示可能なディジタル表示器(表示画面の一例)32’とすることにより、集品容器10を特定するオーダー・ナンバーを、3桁から5桁の数字に増やして表示することが可能となる。またカバー39A’により、容器搬送方向の下流側および上流側に位置する作業者Hから、ランプ38の点灯・点滅状態を判りにくくできるとともに、ピッキング作業等を実行する作業者Hとは、直進搬送ライン21A,21Bを挟んで反対側にいる作業者Hからランプ38の点灯・点滅状態を認識できないようにすることができる。
また本実施の形態では、搬送ラインBを、アキュムレーションコンベヤと駆動ローラーコンベヤから構成しているが、フリーコンベヤにより構成することも可能である。
また本実施の形態では、作業者Hを挟んで、フローラック15と第1直進搬送ライン21Aを反対側に配置しているが、作業者Hに対して、ストレージラインA(フローラック15)と搬送ラインB(第1直進搬送ライン21A)を同じ側に配設するようにしてもよい。これにより、間口16より取り出した物品11を、取り出した(ピッキングした)手の軌道でそのまま投入ゾーンZに搬送されてきている集品容器10へ投入する(ピッキング作業を実行する)ことができ、作業性を向上させることができる。
【0097】
また本実施の形態では、フローラック15を第1直進搬送ライン21Aに沿って配置しているが、間口(物品収納部)16がピッキングゾーンP毎に配置されていればよく、ピッキングゾーンP毎に第1直進搬送ライン21Aとは、直角な向きに配置してもよい。
また本実施の形態では、搬送ラインBを、1本の循環ラインにより構成しているが、複数、例えば2本の循環ラインにより構成することも可能であり、さらにこれら循環ラインの集品容器10の搬送面の高さを変えることも可能である。
また本実施の形態では、物品保管手段としてフローラック15を使用しているが、物品11または収納箱12が移動しない一般棚を使用することもできる。また、物品保管手段として、物品11を単なる床置き、すなわち、床面を区画し、区画した領域内に各種物品11を収納するフロアを使用することができる。
また本実施の形態では、フローラック15の各棚17に載置されている物品11は収納箱12に収納されているが、ピース単位とすることもでき、棚17の段数を増加させることが可能である。
【0098】
また本実施の形態では、フローラック15の各棚17は固定されているが、任意に前後(第1直進搬送ライン21Aの方向)に移動・調整できる構成とすることもできる。
また本実施の形態では、集品容器10への物品11の完了を入力手段として、テープスイッチ23を使用しているが、単に完了を入力するスイッチであればよく、単なる押釦スイッチでもよい。
また本実施の形態では、仕分け先をユーザー別としているが、ユーザーに限ることはなく、店舗別、商品などのカテゴリー別あるいは区分別、地域別、搬送トラック別などとすることもできる。
【符号の説明】
【0099】
A ストレージライン
B 搬送ライン
F 袋掛けエリア
P ピッキングゾーン
H 作業者
Z 投入ゾーン
10 集品容器
10B 開口端部
11 物品
15 フローラック
16 間口
26 投入表示器
27 袋
40 治具
41 隙間
59 第1反転装置
60 袋掛機
61 第2反転装置
85 トレイ
91 第1駆動ローラーコンベヤ
92 第1係止ローラー
93 第1ガイド体
94 袋掛用の一対のアーム
95 ブロワ
96 第2駆動ローラーコンベヤ
97 第2係止ローラー
98 第2ガイド体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品をそれぞれ収納する複数の物品収納部を有し、所定数の物品収納部毎に、ピッキング作業を実行するゾーンが形成された物品保管手段を備え、
前記物品保管手段に沿って、それぞれ仕分け先、または仕分け先の物品要求情報が割り付けられた複数の集品容器を搬送する搬送手段を備え、
前記仕分け先の物品要求情報に応じて、前記物品保管手段の物品収納部から取り出した物品を、袋体が袋掛けされた前記集品容器へ投入するピッキング設備であって、
前記各集品容器を、上方が開放された箱体により形成し、
前記各集品容器を形成する箱体の側面側に、前記物品収納部より取り出した物品の投入対象の集品容器であることを表示する投入表示器を設け、
前記箱体の側面と投入表示器との間を、前記袋体を上方より挿入可能に構成したこと
を特徴とするピッキング設備。
【請求項2】
前記箱体の側面と投入表示器との間に、前記袋体を上方より挿入するための隙間を設けたこと
を特徴とする請求項1に記載のピッキング設備。
【請求項3】
前記投入表示器を、前記集品容器の搬送方向と平行な箱体の側面側に設けたこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のピッキング設備。
【請求項4】
前記袋体の開口部の側面を把持して広げ、上方から、前記集品容器の前記搬送手段による搬送方向と平行な前記箱体の側面に接近し、袋体を前記箱体に被せる袋掛装置を備え、
前記搬送手段の前記ゾーンの上流側に、上流側から順に、
前記箱体を、前記袋掛装置と前記投入表示器との接触を回避するために、水平方向に90度回転する第1反転装置と、
前記袋掛装置と、
前記箱体を、前記第1反転装置による回転とは逆方向に90度回転して元の姿勢に戻す第2反転装置と
を設けたこと
を特徴とする請求項3に記載のピッキング設備。
【請求項5】
物品をそれぞれ収納する複数の物品収納部を有し、所定数の物品収納部毎に、ピッキング作業を実行するゾーンが形成された物品保管手段を備え、
前記物品保管手段に沿って、それぞれ仕分け先、または仕分け先の物品要求情報が割り付けられた複数の集品容器を搬送する搬送手段を備え、
前記各集品容器を、上方が開放された箱体により形成し、
前記各集品容器を形成する箱体の側面側に、前記物品収納部より取り出した物品の投入対象の集品容器であることを表示する投入表示器を設け、
前記仕分け先の物品要求情報に応じて、前記物品保管手段の物品収納部から取り出した物品を、前記投入表示器により表示された集品容器へ投入するピッキング設備において、前記物品の投入前に前記集品容器へ袋掛けを行う集品容器への袋掛け方法であって、
前記箱体の側面と投入表示器との間に、前記袋体を上方より挿入するための隙間を設け、
前記袋体の開口部の側面を把持して拡げ、上方から、前記箱体の側面に接近し、前記隙間まで降ろして袋体を前記箱体に被せ、
箱体へ被せられた袋体に対して、上方から前記箱体の内方に向けて風を吹きつけ袋体の一部を前記箱体の内部に収納すること
を特徴とする集品容器への袋掛け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−41125(P2012−41125A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183525(P2010−183525)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】