ピッチ変更コンベヤ
【課題】搬入及び搬出両側での折り返し部の径が小さく、搬入及び搬出の乗り移りが安定し、更に搬入時とピッチ変更搬出時の姿勢が変化しないピッチ変更コンベヤを提供する。
【解決手段】機長方向両側に配置した折り返し部材に亘って搬送用ベルトを掛け回し、ワーク支持部材を幅方向に沿って並列配置すると共に、回動方向と交差する方向にスライド可能に取り付け、更に、往路側の前記ワーク支持部材相互の間隔を、始端部側の幅方向の原点位置から終端部側の幅方向のピッチ変更位置に向けて拡開又は縮閉する拡縮案内手段と、ワーク支持部材を始端部の原点位置に案内復帰させる原点復帰案内手段を配置し、搬送用ベルトの回動によりワーク支持部材を始端部から終端部に移動させながら前記拡縮案内手段によってピッチ変更位置に向けて移動させ、ワークをピッチ変更して排出後はワーク支持部材を始端部に移動しながら原点位置に復帰させる。
【解決手段】機長方向両側に配置した折り返し部材に亘って搬送用ベルトを掛け回し、ワーク支持部材を幅方向に沿って並列配置すると共に、回動方向と交差する方向にスライド可能に取り付け、更に、往路側の前記ワーク支持部材相互の間隔を、始端部側の幅方向の原点位置から終端部側の幅方向のピッチ変更位置に向けて拡開又は縮閉する拡縮案内手段と、ワーク支持部材を始端部の原点位置に案内復帰させる原点復帰案内手段を配置し、搬送用ベルトの回動によりワーク支持部材を始端部から終端部に移動させながら前記拡縮案内手段によってピッチ変更位置に向けて移動させ、ワークをピッチ変更して排出後はワーク支持部材を始端部に移動しながら原点位置に復帰させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤの搬送方向始端側に該コンベヤの幅方向に沿って並列搬入された複数列のワークをコンベヤの終端側に向けて搬送しながら、横一列のワーク相互間のピッチを広げる、或いはピッチを狭めるピッチ変更コンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
商品の製造、或いは加工ラインでは、商品を複数列横に並べて搬送(同時多列搬送)することが一般的に行われている。そして、横一列に並べられた複数列の商品は、次の工程の作業内容などにより横一列の商品の間隔を広げたり、或いは狭めたりして搬出される。このように商品相互の横ピッチが、搬入時と搬出時で変わるようにしたコンベヤが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1のコンベヤは、所定間隔をおいて平行に架設した駆動軸と従動軸に異なる間隔を保って夫々一対のスプロケットホイールを固定し、前記各軸の対応するスプロケットホイールにチェーンを装着し、そのチェーンに伸縮材よりなるベルトの両縁を夫々固定した間開きコンベヤである。
このコンベヤは、伸縮材よりなるベルトの幅を搬入側から搬出側に向かって拡張することで、搬入時の商品間隔がベルトの拡張に伴って拡張されるようになっている。
【0004】
しかしながら、特許文献1のコンベヤはベルトと商品が接している為、ベルトの伸縮により、(1)商品の姿勢が不安定になる(搬入時の姿勢に対し搬出時の姿勢が変化する)、(2)商品の底面がベルトと擦れることにより、商品底面が損傷する、(3)ピッチを調整変更することが不可能、などの問題点がある。
【0005】
特許文献1の姿勢が変化する問題点を改善するものとして特許文献2が存在する。この特許文献2のコンベヤ装置(搬送システム)は、複数列のバケットを備えた振り分けコンベヤで、1列以上のバケットを搬送方向と直交する方向に移動可能な複数のバケット部で構成し、前記複数のバケット部を分離して隣接する他のバケットと一体に搬送可能にしたものである。
そして、上記振り分けコンベヤはバケットの下面にガイドローラを設け、そのガイドローラに符合するガイドレールを設け、前記ガイドレールの一部を前記直交方向に移動させることで振り分け搬送する。
【0006】
しかし、特許文献2のコンベヤ装置はバケットがエンドレスチェーンの無端回動によって搬送する為、機枠の前後方向両側に軸受を介して支持された回転軸にスプロケットが固着され、この両スプロケットに亘ってエンドレスチェーンが掛け渡されている。その為に、コンベヤの始端部(搬入側)と終端部(搬出側)におけるエンドレスチェーンが折り返す径は大きくなり、その結果該コンベヤ上流側又は下流側に連設配置するコンベヤや装置等との間隔(乗り移り間隔)が広くなるという問題点を有する。乗り移り間隔が広くなれば、小さいサイズのワークは前記間隔(隙間)に落下するという危険も生じ、その為に落下を防止する棒等を前記間隔内に配置するなどの補助設備が必要となる、或いは該コンベヤで搬送できるワークのサイズが限定される等の不具合が生じる。更に、ワークを収容するバケットはスプロケットとチェーンの噛み合いによって移動するため、特許文献1同様、スプロケットとチェーンの摩擦による騒音が発生し、作業環境の改善が求められる等の問題点を有する。
更に、バケットを振り分ける機構(ガイドローラ、ガイドレール)が必要となり、装置が大型、複雑化するという問題点を有する。
【0007】
【特許文献1】実開昭59−100707号公報
【特許文献2】特開2003−63635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、コンベヤの搬入及び搬出両側での折り返し部の径が小さく、ワークの搬入及びピッチが変更された搬出の乗り移りが安定し、更に搬入時の姿勢とピッチ変更搬出時の姿勢が変化しないピッチ変更コンベヤを提供する。又、騒音の発生を軽減するピッチ変更コンベヤを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する為に本発明のピッチ変更コンベヤは、ワークを搬送するコンベヤをベルトコンベヤとし、更にそのベルトコンベヤの搬送面上に、ワークを載承して該ベルトの幅方向にスライドするワーク支持部材を横一列に複数個配置すると共に、前記ワーク支持部材を単一部材で構成し、ベルトコンベヤの回動によりワーク支持部材を搬入側から搬出側に向かって移動させながら該ワーク支持部材をベルトの幅方向にスライドさせて、搬入時における横一列のワーク支持部材相互のピッチ(間隔)を、変更して搬出することを特徴とする。
本発明でいう「ピッチ変更」とは、コンベヤの始端側にワークが横一列で複数列搬入され、そのワークを終端側に向かって搬送しながら終端部で横一列のワーク相互のピッチを搬入時におけるワーク相互のピッチより広げる、又は搬入時におけるワーク相互のピッチより狭くする、の両方を含むものとする。
【0010】
即ち、フレームの機長方向両側に配置した折り返し部材に亘って無端状の搬送用ベルトを掛け回し、その搬送用ベルトの外表面に、ワークを載承支持するワーク支持部材を前記搬送用ベルトの幅方向に沿って横一列に複数個を並列配置すると共に、該ベルトの回動方向と交差する方向にスライド可能に取り付け、更に、前記搬送用ベルトの往路側において前記ワーク支持部材相互の間隔を、搬送路の始端部側における幅方向の原点位置から終端部側の幅方向のピッチ変更位置に向けて拡開又は縮閉案内する拡縮案内手段と、搬送用ベルトの復路側において該ベルトの幅方向に拡開又は縮閉されたワーク支持部材を始端部の原点位置に案内復帰させる原点復帰案内手段を配置し、搬送用ベルトの回動によりワーク支持部材を回動方向始端部から終端部に移動させながら前記拡縮案内手段によってピッチ変更位置に向けて移動させ、ワークをピッチ変更して排出後はワーク支持部材を始端部に移動しながら原点位置に復帰させることを特徴とする(請求項1)。
前記フレームに架設する折り返し部材としては、ベルトコンベヤにおいて一般的に用いられているローラ(テールローラ)、平板(ナイフエッジ)等が挙げられる。但し、ローラの場合は目的の関係から小径のローラを使用する。
前記折り返し部材に亘って掛け回す搬送用ベルトとしては、今日一般的に使用されている樹脂製ベルト、ゴム製ベルト、或いはプラスチックモジュールベルト等が挙げられる。
又、搬送用ベルトの外表面に並列配置するワーク支持部材の列数は2列以上で、基本的には搬入されるワークの列数に合わせて同数並列配置し、それに合わせて拡縮案内手段、原点復帰案内手段を配置する。但し、搬入されるワークの列数が奇数列(3列、5列等)で等ピッチに変更する場合、真中の列はピッチ変更の基準位置(中心)となる為、搬送用ベルトの幅方向に移動させる必要がなく直進する為、例えばワークの搬入列数が3列の場合ワーク支持部材は両側の2列のみ、5列の場合は左右2列の合計4列としてもよい。ワークの搬入列数が偶数列で等ピッチに変更する場合は、ワーク支持部材の設置列数は同数とする。尚、ワークの搬入列数が奇数列、偶数列に関係なく、直進搬送するワーク列についてはワーク支持部材を配置しなくてもよく、搬送用ベルトにおける直進するワークの列に相当する箇所に無端状ベルトを重ねて掛け回し、搬送用ベルトと一体となって回転し、ワークを直進搬送するようにしてもよい。
【0011】
前記ワーク支持部材は、搬送用ベルトの回動と一緒に回動し得るよう屈曲可撓性を有した部材、例えば、合成樹脂製シート、布地、網地、プラスチックモジュールベルト等で構成され、その形態は一枚もの、或いは複数の片を連結して一枚もの様に形成したもの等、何れでもよい。
そして、前記ワーク支持部材は、屈曲可能なシート片で、そのシート片の少なくとも搬送方向前側を前記搬送用ベルトにスライド手段を介してスライド可能に支持する(請求項2)。
前記スライド手段は、搬送用ベルトの外表面に回動方向と直交状に固着したガイドと、そのガイドに対してスライド可能に係合するワーク支持部材に固着したスライダーで構成されている(請求項3)。
前記ガイドとスライダーの形態は、スライダーがガイドに沿ってスライドする構成であればよく、例えば、スライドファスナーの形態、雄部材(凸部材)と雌部材(凹部材)の噛み合い形態等が挙げられ、スライダーはガイドに対して着脱可能になっている。
【0012】
上記手段によれば、コンベヤの始端部側の原点位置においてワーク支持部材にワークが載ると、該ワーク支持部材はワークを載せたまま搬送用ベルトの回動によって終端部側に向けて一緒に移動する。そして、ワーク支持部材は搬送用ベルトに対して該ベルトの回動方向と交差する方向(ベルト幅方向)にスライド可能に取り付けられ、且つ、原点位置から終端部側の幅方向のピッチ変更位置に向けて拡開又は縮閉案内する拡縮案内手段との作用により、前記ワーク支持部材は終端部に向けて移動しながら前記案内手段によって横移動(幅方向に移動)され、ピッチ変更位置に移動される。しかも、前記ワーク支持部材の横移動は、一体化したワーク支持部材全体が水平移動する為、ワーク支持部材に載承されたワークの姿勢は、ワーク支持部材に載った時の姿勢のままでピッチ変更位置に搬送され、そのまま搬出される。即ち、ワークの搬入時と搬出時の姿勢を変化させずにワーク相互のピッチを変更して搬送することができる。そして、ワーク支持部材を取り付けたスライダーはガイドに対して着脱可能であるため、ワーク支持部材を含めたスライダーのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0013】
前記拡縮案内手段および原点復帰案内手段としては、例えば、磁石の吸着作用を用いた方式、機械的なガイド方式等が挙げられる。
磁石を用いた吸着方式の具体例は、前記ワーク支持部材のスライダーに固着した磁石若しくは磁性体と、前記搬送用ベルトの往路側と復路側の間に配置したトラフに固着配設した磁石若しくは磁性体とからなり、磁石の吸着作用によりワーク支持部材が搬送用ベルトの回動により該ベルトの幅方向のピッチ変更位置に横移動、及び原点位置に横移動するようにする(請求項4)。
前記トラフは、搬送用ベルトの往路側、復路側と接近対応させて上下に配置される。
スライダー及びトラフに固着する磁石若しくは磁性体は、両者が吸着作用を生じるものであればよく、例えば、一方の吸着面をN極、他方の吸着面をS極とする。或いは、一方を磁石、他方を磁石と吸着する磁性体とする。
【0014】
上記拡縮案内手段は、搬送用ベルトの往路側と対向するトラフの表面側に、前記搬送用ベルトの回動方向始端側から終端側に向かって磁石を配設した拡開又は縮閉の拡縮軌条で構成する。又、原点復帰案内手段は、搬送用ベルトの復路側と対向するトラフの表面側に、前記搬送用ベルトの回動方向終端側から始端側に向かって磁石を配設した原点復帰軌条で構成する。(請求項5)。
上記拡縮軌条の配設本数は、原則はワークの搬入列数(奇数列、偶数列)と同数設けるが、直進搬送するワーク列がある場合は、その直進するワークの列について軌条を配置する、配置しないは自由である。例えば、ワークの搬入列数が奇数本で等ピッチに変更する場合、真中の列はピッチ変更の基準となって幅方向に移動しないため、ワーク搬入が例えば3列の場合は2本、ワーク搬入が5列の場合は4本とする。そして、ピッチを拡開変更する場合、軌条は始端側から終端側に向かって末広がり状に配置し、ピッチを縮閉変更する場合、軌条は前記拡開変更の場合と逆の形態に配置する。又、ワークの搬入列数が偶数本で等ピッチに変更する場合はワーク搬入列の列数と同数の軌条を配置する。勿論、ワークの搬入列が奇数本である場合、拡縮軌条を同数配置してもよい。但し、その場合、搬送用ベルトの幅方向の中央に配置する真中の軌条は該ベルトの搬送方向と平行に配置する。
原点復帰案内手段は、終端側でピッチ変更したワーク支持部材を始端側の原点位置に戻すもので、原点復帰軌条は平面視で前記拡縮案内手段の拡縮軌条と略重なり合うように配置する。
【0015】
そして、上記拡縮軌条および原点復帰軌条を、N極を吸着面として一列に配置して構成した場合は、ワーク支持部材のスライダーに固着する磁石の吸着面をS極とする。勿論、その逆の形態でもよい。或いは、トラフに磁石を配列し、スライダーには前記磁石と吸着作用を生じる磁性体を固着してもよい。
【0016】
機械的なガイド方式の具体例としては、例えば、前記ワーク支持部材のスライダーに固着した案内ピンと、前記搬送用ベルトの往路側上方と復路側下方に平面視略ハ字型に配設した案内桟とからなり、前記案内ピンが前記案内桟の内側縁又は外側縁に当接係合することでワーク支持部材が搬送用ベルトの回動により該ベルトの幅方向のピッチ変更方向、及び原点位置に横移動するように構成する(請求項6)。
前記案内ピンは、スライダーの上面に、長手方向中央位置から左右対称の位置に1本ずつ起立固定する形態、或いは長手方向の一方端部又は略中央位置に1本を起立固定する形態等、何れでもよい。
前記案内桟は、前記ワーク支持部材の案内ピンを搬送用ベルトの幅方向に案内するもので、「拡開変更」の場合の往路側は始端側から終端側に向かって末広がり状に配置し、その案内桟の外側面に前記案内ピンを当接させ、復路側は終端側から始端側に向かって先細り状に配置し、その案内桟の内側面に前記案内ピンを当接させる。
又、「縮閉変更」の場合は前記「拡開変更」の場合の逆、即ち、拡開変更タイプの復路側の形態を往路側に、往路側の形態を復路側に配置する。更に、前記案内ピンの取付形態(本数と位置)に応じて案内桟を設置する位置を適宜変更する。
【0017】
前記拡縮案内手段は、搬送用ベルトの往路側表面と離間して該搬送用ベルトの回動方向始端側から終端側に向かって配設した拡開又は縮閉の拡縮案内桟で構成し、原点復帰案内手段は、前記搬送用ベルトの復路側表面と離間して該搬送用ベルトの回動方向終端側から始端側に向かって配設した原点復帰用案内桟で構成する(請求項7)。
【0018】
上記手段によれば、ワーク支持部材のスライダーに固着した案内ピンが、搬送用ベルトの往路側上方及び復路側下方に配置した案内桟に係合してベルトの幅方向(外側方向、内側方向)に案内移動され、それによってワークを載承した横一列のワーク支持部材相互の間隔を拡開、又は縮閉する。
【0019】
前記搬送用ベルトは、一般的なベルトコンベヤの摩擦駆動方式であるヘッドドライブ方式で駆動してもよいが、搬送用ベルトの幅方向の両側部、即ち、搬送用ベルトの表面側に配設するスライド手段より外側のベルト部分を利用し、該部分をベルトの上下に配置した駆動回転体で挟持して搬送する駆動方式としてもよい(請求項8)。その場合、機長方向両側の折り返し部材は、小径のローラ又はナイフエッジとする。本発明で言う小径とは、搬送用ベルトを折り返すために必要な最小プーリ径である。
搬送用ベルトを挟持搬送する駆動回転体の設置位置は、該搬送用ベルトの往路側、復路側の何れでもよいが、搬送用ベルトの着脱や幅方向全幅をピッチ変更に使用することを考慮した場合は、搬送用ベルトの復路側に設置する方が有効である。
【0020】
上記手段によれば、機長方向の両側部に配置する折り返し部材を小径のローラや平板部材(ナイフエッジ)で構成することができる。それにより、搬送用ベルトの折り返し部の半径を小さくでき、ピッチ変更コンベヤの搬入部・搬出部に配置されるコンベヤや装置等相互の乗り移りを安定して行うことができる。
【0021】
又、前記搬送用ベルトの復路側表面と微小間隔をおいて、ワーク支持部材が復路側において下方に垂れるのを防止する垂れ防止部材を架設する(請求項9)。
その垂れ防止部材の形態は、パイプ材を適宜組み合わせる形態、或いは平板を架設する形態等、何れでもよい。
そして、上記手段によれば、復路側においてワーク支持部材が下方に垂れ下がらないため、搬送用ベルトの復路側下方の空間部を有効利用することができる。
【0022】
更に、前記搬送用ベルトの折り返し部において、該ベルトの外表面に取り付けられるワーク支持部材が往路側から復路側に、復路側から往路側に夫々折り返す時、ワーク支持部材が跳ね返るのを防止する跳ね返り防止手段を配置する(請求項10)。
跳ね返り防止手段の形態としては、搬送用ベルトの回動方向始端側と終端側の外側に、跳ね返り防止杆を配置して跳ね返るのを防止する形態、或いは搬送用ベルトの折り返し部(テールローラを含む前後部)に磁石又は磁性体を配置し、他方ワーク支持部材に前記磁石に対して吸着作用を生じる磁石又は磁性体を取り付け、磁石の吸着作用で跳ね返るのを防止する形態等、が挙げられる。
又、前記跳ね返り防止手段を配置する箇所は、搬送用ベルトの回動方向始端側と終端側の両方の折り返し部、或いは何れか一方の折り返し部等任意であるが、一方にのみ配置する場合は、確実に跳ね返りや自重により落下が起きる終端側の折り返し部に配置するのが有効である。
【0023】
上記手段によれば、搬送用ベルトの折り返し部に跳ね返り防止手段が配置されることで、搬送用ベルトの外表面上に取り付けられたワーク支持部材は、該搬送用ベルトが往路側から復路側、復路側から往路側に折り返す時、該搬送用ベルトの外表面から離れることなく、略密着した状態で移動する。特に、往路側から復路側に折り返す時、ワーク支持部材が搬送用ベルトの外表面から離れることなく、搬送用ベルトの外表面と略平行な状態を保持したまま折り返す為、搬送物の乗り移りに悪戯をしたりするのを防止し、安定した搬出、乗り移りを可能とする。又、ワーク支持部材は、装置、部材に接触しないで折り返し部に沿ってスムーズに回動することにより、騒音が発生するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のピッチ変更コンベヤは、該コンベヤの始端側に搬入された横一列に並んだ複数列のワークの姿勢を変化させることなく、搬入時の姿勢のままワーク相互の横ピッチを拡開又は縮閉変更して搬出することができる。
又、搬送用コンベヤをベルトコンベヤで構成したので、ベルトの折り返し部の半径を、従来のチェーンとスプロケットを用いた折り返し部の半径に比べて小さくでき、それによりピッチ変更コンベヤの搬入側及び搬出側に連設するコンベヤや装置等との間隙を小さくでき、乗り移りを安定よく行うことができ、且つ作動時の騒音が小さく静かなピッチ変更コンベヤを提供できる。
又、請求項4乃至5記載の構成により、トラフとワーク支持部材に吸着作用を生じる磁石同士若しくは磁石と磁性体を配置する簡単な構成で形成することができる。しかも、トラフ側に配置する軌条の角度を変更することで拡縮変更するピッチ幅の変更ができる。
更に、請求項6乃至7記載の構成により、機械的に確実にピッチ変更を行うことができる。そして、拡縮案内桟の角度を変更することで拡縮変更するピッチ幅の変更ができる。
また、請求項8記載の構成により、搬送用ベルトに必要最小限の張力を掛けることで、確実に駆動することができる。しかも、上下挟持による駆動により、搬送用ベルトの着脱、及びメンテナンスを容易に行うことができる。
更に、請求項9記載の構成により、ピッチ変更終了後、ワーク支持部材が終端側から始端側に移動する際搬送用ベルトから下方に垂れ下がらず、ワーク支持部材が他物に当たって損傷するのを防止できると共に、コンベヤ下側の空間を有効利用することができる。
また、請求項10記載の構成により、搬送用ベルトが往路側から復路側に、復路側から往路側に折り返す時、該搬送用ベルトの外表面に取り付けられているワーク支持部材が跳ね返るのを防止し、搬送用ベルトと略平行ならしめて一緒に移動させることができる。それにより、ワークの乗り移りに悪戯をしたりするのを防止し、安定した搬入・搬出、乗り移りを可能とする。又、折り返し部においてワーク支持部材が跳ね返らない為、上下流に接続配置するコンベヤや、ピッチ変更コンベヤに装備された部材と衝突、接触するのを回避できる。それにより、ワーク支持部材の損傷を低減することができる。更に、ワーク支持部材は、装置、部材に接触しないで折り返し部に沿ってスムーズに回動することにより、騒音が発生するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係るピッチ変更コンベヤの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0026】
図1乃至図8は、ワーク支持部材を、搬送用ベルトの幅方向(搬送用ベルトの回動方向に対し直交する方向)にスライドさせる手段が、磁石の吸着作用を利用して行うように構成した実施例で、且つピッチを拡開変更するタイプのピッチ変更コンベヤである。
図1はピッチ変更コンベヤの平面図で、図中、1はコンベヤフレーム、2は前記コンベヤフレーム1に無端回動可能に掛け回した搬送用ベルト、3,3’,3”は前記搬送用ベルト2の外表面に該ベルトの幅方向にスライド可能に配置したワーク支持部材、4は前記ワーク支持部材3,3’,3”を前記搬送用ベルト2に対してスライド可能に支持するスライド手段、5は前記ワーク支持部材3,3”を、搬送用ベルト2の始端側所定位置(ベルト幅方向の略中央位置)から終端側の幅方向におけるピッチ変更(拡開)位置に向けて拡開案内する拡縮案内手段、6は前記ピッチ変更(拡開)方向に案内されたワーク支持部材3,3’,3”を始端側の原点位置に案内復帰させる原点復帰案内手段、7は前記搬送用ベルト2を回動させる駆動手段である。
【0027】
前記コンベヤフレーム1は、所定の間隔をおいて対向配置した側枠1a,1a’の上端間に、搬送用ベルト2の搬送面(往路面)を下側から支える上トラフ1bが一体に構成されており、その上トラフ1bの表面側(搬送用ベルト2の往路側と対向する面)に拡縮案内手段5が配置され、側枠1a,1a’の機長方向(長手方向)の両側部にはテールブラケット8を介してテールローラ(折り返し部材)9,9’が上下方向に段差を付けて回転可能に横架され、その両側のテールローラ9,9’、9,9’に亘って搬送用ベルト2が掛け回されている。
上記テールブラケット8の一方(図面では搬出側)はコンベヤフレーム1に対して起伏回動可能に取り付けられ、搬送用ベルト2をコンベヤフレーム1から取り外す時は該テールブラケット8を上方に回動して搬送用ベルト2に弛みを作り、ベルトの着脱を容易に行うことができるようにしてある。
又、機長方向両側のテールブラケット8,8に亘って下トラフ1b’が水平に架設され、その下トラフ1b’の下面(搬送用ベルト2の復路面と対向する面)に原点復帰案内手段6が配置されている。
更に、前記側枠1a,1a’には脚部材10が垂下固定されて、コンベヤフレーム1が所定の高さに支持されるように構成されている。
尚、上トラフ1bは、側枠1a,1a’と一体構造に限らず、側枠1a,1a’と別体で両者をボルト・ナット等で連結固定する構成としてもよい。
【0028】
前記下トラフ1b’は、上トラフ1bに比較して機長方向と直交する方向の寸法が幅狭く構成され、その下トラフ1b’が幅方向の中央位置に配置固定されている。それにより、前記下トラフ1b’の幅方向外側位置に、下トラフ1b’の下面側を走行する搬送用ベルト2の復路側の側部を挟持して回動する駆動手段7が配置されている。
【0029】
搬送用ベルト2は、周方向及び周方向と直交する幅方向の伸びを抑制し、且つベルトの上下に配置される磁石同士の吸着作用を妨げない素材、例えば内部に芯材を埋設した合成樹脂製のベルトで、このベルトの外表面に、スライド手段4が周方向に一定の間隔をおいて平行に固着されている。そして、その各スライド手段4にワーク支持部材3がスライド可能に取り付けられている。尚、搬送用ベルト2は一般的な一枚もののベルトに限らず、プラスチックモジュールベルト等でもよい。
【0030】
前記スライド手段4は、スライド可能に噛み合うガイド4aとスライダー4bとからなり、前記ガイド4aは合成樹脂材によって扁平棒状に構成されると共に、該ガイド4aの長手方向に沿って前記搬送用ベルト2への取付片11が一体に形成されている。尚、取付片11は、ガイド4aと別体の構造とし、縫着或いは接着等によって一体化してもよい。その場合、取付片11の素材としては、合成樹脂製シート、或いは布地等、何れでもよい。
又、前記ガイド4aにおける長手方向と直交する方向の幅は極力幅狭く形成し、フレーム両側のテールローラの外周面に沿って移動する時、搬送用ベルト2の搬送面から立ち上がらず、ワークWがスムーズに乗り移るようにする。更に、ガイド4aの長さは、搬送用ベルト2を駆動する駆動手段7が挟持する側部を除いた範囲とし、幅方向両側に配置されたワーク支持部材3,3”が拡開動作中にスライド手段から外れたりすることがないようにしてある。
【0031】
上記ガイド4aを備えた取付片11は、搬送用ベルト2の外表面に該ベルトの周方向(回動方向)と直交させて略中央位置に配置固定されている。搬送用ベルト2に対する取付片11の固定は、縫着或いは接着、熱溶着等何れでもよい。尚、ガイド4aを搬送用ベルト2に固着する為の取付片11は、図示するように搬送用ベルト2の回動方向に沿った前側のみが固着され、後側が開放された片支持構造に限らず、ガイド4aの前後縁に取付片を取り付け、その前後の取付片を搬送用ベルト2に固定する両支持構造としてもよいものである。
【0032】
前記ガイド4aと係合するスライダー4bは、ガイド4aと同様、合成樹脂材或いは金属材によって短尺の扁平棒状に構成され、ガイド4aの長手方向の端部より嵌合装着し、ガイド4aの長手方向に沿ってスライド可能に構成されている。尚、スライダー4bをガイド4aに対してスライド可能に装着する方法は、上記したガイド4aの端部から嵌着する方法に限らず、ガイド4aの長さの範囲内のどの位置からでも嵌着し得るように構成してもよい。
又、スライダー4bは、上面の一側部にワーク支持部材3を取り付け、且つ下面には凹部12が切欠され、その凹部12に拡縮案内手段5及び原点復帰案内手段6の構成部材の一方である磁石(磁性体)13が該スライダー4bの下面と略面一に収容固着されている。
更に、スライダー4bは、相対するガイド4aに合わせて極力幅狭く形成し、フレーム両側のテールローラの外周面に沿って搬送用ベルト2が移動する時、該搬送用ベルト2の搬送面から立ち上がらず、ワークWがスムーズに乗り移るようにする。
【0033】
ワーク支持部材3,3’,3”は、ワークWを載承し得る大きさのシートで、スライド手段4の一方の構成部材であるスライダー4bと、磁石13が固着されている。
前記シートは、搬送用ベルト2と同様、フレーム両側のテールローラの外周面に沿って折り返す時、搬送用ベルトに追従して折り返すことができる屈曲性、可撓性を有した部材、例えば、合成樹脂製シート、布地、網地、プラスチックモジュールベルト等の一枚物、或いは前記部材からなる小片を連結して一枚物としたもの等、何れでもよい。そして、これら部材によって形成されるワーク支持部材3,3’,3”の平面視形状は、長方形、正方形、円形、楕円形等、何れでもよい。
【0034】
前記ワーク支持部材3,3’,3”の一側部は、前記スライダー4bの上面に載置され、その上に押え材14が載置され、止ネジ15で固定されている。従って、仮にワーク支持部材3〜3”の何れかが損傷した場合は、止ネジ15を緩めて押え材14を外せば損傷したワーク支持部材をスライダー4bから分離でき、新しいワーク支持部材に交換することができる。
【0035】
搬送用ベルト2の外表面に前記スライド手段4で該ベルトの幅方向にスライド可能に支持されたワーク支持部材3,3’,3”を、搬送用ベルト2の始端側における幅方向の中央位置(原点位置)から終端側における幅方向複数のピッチ変更位置(図面では左側、中央、右側の3方向)に案内する拡縮案内手段5は、前記上トラフ1bの表面に、搬送用ベルト2の回動方向始端側から終端側に向かって平面視略逆ハ字型に配設した拡開軌条16で構成されている。即ち、拡開軌条16は、本ピッチ変更コンベヤのワーク搬入側に搬入されるワークの列数に対応して配置され、ワークの列が奇数本である場合、真中に位置する列は幅方向に移動させる必要がないため、真中の列を除いた列分の軌条を配置し、ワークの列が偶数本である場合は、列と同じ数分の軌条を配置する。そして、拡開軌条16は、磁石を直線状に配置して形成されている。
【0036】
前記拡開軌条16は、図2に示すようにトラフ1bの始端寄りの幅方向における略中央位置(原点位置)から終端側に向かって左側軌条16a,右側軌条16bが配設され、その左側軌条16a,右側軌条16bは磁石を直線状に並べて構成されている。図示の実施例では、左側軌条16aと右側軌条16bは中心線Lに対しそれぞれ等角度の開き角で傾斜配置されている。
上記左側軌条16aと右側軌条16bの始端位置(図面では右側)は、本ピッチ変更コンベヤに連設配置される搬入コンベヤ26によって供給されるワーク列(図示は3列)の線上で、終端位置は前記搬入されるワーク列相互間のピッチに対して拡開する量だけ幅方向外側に移動させた位置である。尚、真中の列のワークを載承するワーク支持部材3’は始端位置に対し幅方向に位置を変えることなく直進移動すればよいため軌条は必要ないが、始端位置から終端側に向かって軌条を搬送用ベルトの搬送方向と平行に配置してもよい。
【0037】
前記左側軌条16a,右側軌条16bは、前記上トラフ1bが磁石に対して吸着作用を生じる金属平板で構成されている場合、該上トラフ1bの軌条線上に開設した溝に非磁性体からなる台枠17を嵌着固定し、その台枠17にブロック状をした磁石18を密着させて一直線状に並べて構成されている。尚、一直線状に並べる磁石18相互の間隔は、磁石の吸着作用が寸断されず、搬送用ベルト2の回動により軌条に沿って案内動作が連続的に行われる間隔とする。
又、トラフ1bが非磁性体の平板で構成されている場合も前記台枠17を使用することで磁石18の配列固定を容易に行うことができる。勿論、上トラフ1bに直接磁石18を並べ固定してもよい。そして、前記磁石18の表面は上トラフ1bの表面と面一に仕上げられている。
前記磁石18はブロック状に限らず、軌条の長さを有した長尺一本ものであってもよい。
【0038】
原点復帰案内手段6は、搬送用ベルト2の回動と前記拡縮案内手段5の働きで該搬送用ベルト2の終端側における幅方向複数のピッチ変更位置に拡開移動させたワーク支持部材3,3’,3”、搬送用ベルト2の始端側の原点位置(幅方向の略中央位置)に戻すもので、図4に示すように、搬送用ベルト2の復路側より上方に架設配置した下トラフ1b’の裏面(搬送用ベルトの復路側と対向する面)に、前記搬送用ベルト2の回動方向終端側の中央位置を除いた左側と右側の二方向から始端側の原点位置の手前位置に向かって原点復帰軌条19a,19bが配設され、その原点復帰軌条19a,19bは磁石21を一直線状に並べて構成されている。
【0039】
前記原点復帰軌条19a,19bを構成する磁石21の配置は、前記拡開軌条16と同様、前記トラフ1b’の軌条線上に開設した溝に非磁性体からなる台枠20を嵌着固定し、その台枠20に、磁石21を一直線状に並べて構成されている。
【0040】
又、上記原点復帰軌条19a,19bは、前記上トラフ1bに配設した拡開軌条16の左側軌条16aと右側軌条16bを下トラフ1b’に略投影した状態で形成されている。
【0041】
搬送用ベルト2を駆動回動する駆動手段7は、搬送用ベルト2の外表面に配設したガイド手段4のガイド4aの幅方向端部より幅方向外方に延びる該ベルトの側部を上下より挟持する上下一対の駆動回転帯22,22’で構成され、その上下一対の駆動回転帯22,22’は、搬送用ベルト2の復路側の中程位置に位置させて該ベルトの幅方向両側に配置されている。
【0042】
上下一対の駆動回転帯22,22’は図3(b)に示すように、機長方向に所定の間隔をおいて回転可能に軸支した歯付きプーリ22aとプーリ22a’、プーリ22a’とプーリ22a’に亘って歯付きベルト22bが巻回され、その歯付きベルト22bの平滑な外周面に磁石22cが該ベルトの周方向に一定ピッチで取り付けられている。
歯付きベルト22bに対する磁石22cの取付は、矩形平板状の磁石22cを樹脂製の磁石ホルダ22dに内蔵し、その磁石ホルダ22dは固定ブラケットを用いて歯付きベルト22bに定着固定する。
又、上下の駆動回転帯22,22’に装備する磁石22cは、搬送用ベルト2を挟んで対向した時、両方の磁石22cが吸着し合うように配置されている。その配置は、例えば、上側の駆動回転帯22の磁石22cの磁極をS極とした場合、下側の駆動回転帯22’の磁石22cの磁極はN極とする。又、上下の駆動回転帯22,22’の磁石22cを、S極とN極が交互となるように配列するなど、何れでもよい。
【0043】
そして、上記した上下一対の駆動回転帯22,22’は、搬送用ベルト2の復路側の上側に配置した駆動回転帯22をモータ23で駆動回転し、搬送用ベルト2の復路側の下側に配置した駆動回転帯22’は前記上側の駆動回転帯22との吸着により従動回転するように構成されている。又、モータ23の回転力は、搬送用ベルト2の幅方向両側に配置した駆動手段7の何れか一方(図面では搬送用ベルトの左側)に伝達し、両駆動手段7の歯付きプーリ22aを軸24で連結し、両方の駆動手段の歯付きプーリ22aが駆動回転するように構成されている。
尚、駆動手段7を構成する上下一対の駆動回転帯22,22’のうち、搬送用ベルト2の下側に配置する駆動回転帯22’は、搬送用ベルトに対して接離切替可能に構成することで、該搬送用ベルト2の交換を容易に行うことが可能となる。
【0044】
また、搬送用ベルト2の復路側の下方には、該搬送用ベルト2の外表面にスライド手段4を介して取り付けたワーク支持部材3が、復路側を移動するとき垂直下方に垂れ下がるのを防止する垂れ防止部材25が搬送用ベルト2の復路側と僅少間隔をおいて略平行に架設されている。
その垂れ防止部材25は図5に示すように、ピッチ変更(拡開)タイプの場合、復路側の始端部においてベルト幅の略全域を通過移動するワーク支持部材3,3’,3”を支え、復路側の終端部(原点位置)に向かってベルト幅方向の略中央位置に移動するワーク支持部材を支えるよう、パイプ材(図面では角パイ)25aを組んで構成されている。尚、垂れ防止部材25の枠組みの形態は、図示の形態に限定されず、要はワーク支持部材3,3’,3”が復路側を移動する時、シート部分が下方に垂れ下がるのを防止できればよく、従って、平板を水平に架設してもよいものである。
【0045】
次に、上記磁石の吸着作用を利用したピッチ変更(拡開)タイプのピッチ変更動作を図1に基づいて説明する。
ピッチ変更コンベヤの始端側に配置した搬入コンベヤ26から該ピッチ変更コンベヤへのワークWの乗り移りは図8(a)〜図8(d)に示すように、搬送用ベルト2の外表面にスライド手段4を介して取り付けられた3個ワーク支持部材3,3’,3”が、搬送用ベルト2の回動によって復路側から往路側に戻り、ワーク支持部材3,3’,3”が始端部の原点位置に現れたときに搬入コンベヤ26から供給される3列のワークWが夫々同列の線上に位置するワーク支持部材3,3’,3”に乗り移り、ピッチ変更コンベヤの終端方向に向けて搬送される。
【0046】
そして、ワークWを載せた各列(3列)のワーク支持部材3,3’,3”は図1に示すように、スライド手段4に係着保持されたまま該搬送用ベルト2の回動と一緒に移動し、ワーク支持部材3,3’,3”を連結するスライダー4bが拡縮案内手段5の拡開軌条16の左側軌条16a、右側軌条16bの始端直上に位置する。それにより、左側列のワーク支持部材3のスライダー4bに固着した磁石13と、前記左側軌条16aの磁石18が吸着し合い、右側列のワーク支持部材3”のスライダー4bに固着した磁石13と前記右側軌条16bの磁石18が吸着し合い、ワーク支持部材3,3”は拡開軌条16の方向に案内される。この時、真中列のワーク支持部材3’は対応する拡縮案内手段が存在しない為、始端部の原点位置(搬送ベルトの幅方向略中央位置)を維持したまま終端部に向けて搬送される。その結果、図1に示すように、左側列のワーク支持部材3と右側列のワーク支持部材3”はそれぞれ搬送用ベルト2の幅方向外側に移動され、真中列のワーク支持部材3’は原点位置での位置を維持している為、ワーク支持部材3とワーク支持部材3’の間隔、およびワーク支持部材3’とワーク支持部材3”の間隔が夫々原点位置での間隔より広がり、ワーク支持部材3,3’,3”に載承されたワークW相互のピッチ(横間隔)が拡大される。ピッチを拡大変更されたワークWは、ワーク支持部材3,3’,3”から連設配置された搬出コンベヤ42上に搬出される。
【0047】
ワークWのピッチを変更し搬出したワーク支持部材3,3’,3”は、ピッチ変更終了時の位置に保持されたまま搬送用ベルト2の回動によって復路側に移動する。そして、搬送用ベルト2の回動により始端側に向かって移動するが、その移動途中に搬送用ベルト2の復路側の内側(上方)に位置する下トラフ1b’に配設した原点復帰案内手段6の原点復帰軌条19a,19bとワーク支持部材3,3”を固着したスライダー4bとが交差し、該スライダー4bに固着した磁石13が前記原点復帰軌条19a,19bに固着した磁石21と吸着し合う。それにより、ワーク支持部材3、3”のスライダー4bは、原点復帰軌条19a,19bと吸着状態を維持するよう該軌条に沿って案内される。真中列のワーク支持部材3’は往路と同様対応する磁石を備えた軌条がないため、往路と同様、幅方向に位置を変えずに始端側に向かって搬送される、その結果、ワーク支持部材3,3’3”は搬送用ベルト2の復路側の終端部では該ベルトの幅方向略中央位置に移動し、原点位置に復帰し、次のワークを載承する体制が整う。
【実施例2】
【0048】
図9は、ワーク支持部材を、搬送用ベルトの幅方向(搬送用ベルトの回動方向に対し直交する方向)にスライドさせピッチを変更する方式が、ピン案内方式とした実施例で、且つ拡開タイプのピッチ変更コンベヤである。尚、本実施例において、搬送用ベルト2の駆動機構及び該搬送用ベルト2に対するワーク支持部材3の取付構造(スライド手段4)は前示実施例1と同じである為、同じ部材は同一符号を付し説明を省略する。
以下、ピン案内方式による拡縮案内手段および原点復帰案内手段について説明する。
拡縮案内手段27は、搬送用ベルト2にスライド可能に支持されるワーク支持部材3,3’,3”のうち、左側列のワーク支持部材3と右側列のワーク支持部材3”のスライダー4bの長手方向の略中央部上面に起立固定した案内ピン28と、前記搬送用ベルト2の往路側上方に平面視略ハ字型に配設した拡開用案内桟29,29’とで構成されている。
【0049】
前記案内ピン28は、ワーク支持部材3,3”の搬送方向前側に固着したスライダー4bに支軸28aを起立固着し、その支軸28aにローラ28bを回転可能に嵌着して構成されている。このローラ28bを取り付けることで案内桟との接触時に該ローラ28bが回転し、摩擦抵抗が少なくスムーズに案内される。
【0050】
前記案内ピン28を案内する拡開用案内桟29,29’は、直線状の金属製棒材或いは金属製帯板等を、搬送用ベルト2の往路側上方に、始端側が狭く終端側が拡開する平面視略ハ字型に配置して構成され、その拡開用案内桟29,29’はコンベヤフレーム1に支柱やブラケット等30を介して搬送用ベルト2及びワーク支持部材3,3’,3”の上空に宙吊りされている。
又、案内ピン28を案内する拡開用案内桟29,29’の架設(高さ)位置は、ワーク支持部材3,3”に載承したワークWが該拡開用案内桟29,29’と接触しない位置とする。
尚、図示の3列の横ピッチを拡開変更する場合、拡開用案内桟29と拡開用案内桟29’の始端側の間隔は原点位置に並ぶワーク支持部材3と3”のスライダー4bに固着された案内ピン28相互の間隔より僅か狭い間隔とし、原点位置から終端側に向かって搬送されるワーク支持部材3と3”のスライダー4bに固着された案内ピン28が確実に拡開用案内桟29,29’の外側に接触するように構成されている。
【0051】
又、原点復帰案内手段31は、搬送用ベルト2の終端側で該ベルトの幅方向複数個所(3箇所)にピッチ変更したワーク支持部材3,3’,3”(幅方向への移動はワーク支持部材3,3”のみ)を始端側の原点位置(ベルト幅方向の略中央位置)に戻すもので、真中列のワーク支持部材3’はそのまま変化させずに戻すことで原点位置に戻る為、左側と右側のワーク支持部材3,3”を原点位置に案内するように構成されている。
その構成は、搬送用ベルト2の復路側及びワーク支持部材3,3’,3”の下方位置に、拡開用案内桟の構成部材と同様の部材からなる原点復帰用案内桟32,32’を、前記拡縮案内手段27の拡開用案内桟29,29’を投影した位置より僅か外側に移動させて配置する。
何故ならば、搬送用ベルト2の幅方向外側に位置するワーク支持部材3,3”を幅方向略中央の原点位置に移動させる場合、スライダー4bに固着した案内ピン28はピッチ変更(拡開)時とは逆に、搬送用ベルト2の回動方向に向かって幅狭くなるように配置した原点復帰用案内桟32,32’の内側に当接させて案内しなければならない。そして、原点復帰用案内桟32,32’を拡開用案内桟29,29’より外側に位置させることで、多少のずれが生じても案内ピン28は間違いなく原点復帰用案内桟32,32’の内側に当接させることができる。そして、上記原点復帰用案内桟32,32’は拡開用案内桟29,29’の取り付けと同様、コンベヤフレーム1に支柱やブラケット等を介して支持されている。
【0052】
又、図10〜12に示すように、搬送用ベルト2の折り返し部に、該ベルトの外表面に取り付けられたワーク支持部材3,3’,3”が往路側から復路側に、復路側から往路側に折り返す時、ワーク支持部材が跳ね返るのを防止する跳ね返り防止手段Xが配置されている。以下、その具体的な構成を図面に基づいて説明する。
搬送用ベルト2の回動方向始端側と終端側の外側には、該ベルト2の外表面に取り付けられるワーク支持部材3,3’,3”が往路側から復路側に、復路側から往路側にそれぞれ折り返す時、ワーク支持部材3,3’,3”が跳ね返るのを防止する跳ね返り防止杆33が取り付けられている。
前記跳ね返り防止杆33は、図10に示すようにパイプ又は棒杆を略L字型に屈曲し、これを始端側と終端側のワーク支持部材3,3’,3”が通過する位置に、ワーク支持部材3の横幅より僅か幅狭い間隔をおき、且つ搬送用ベルト2の外表面と所定の間隔(ワーク支持部材が通過し得る間隔)をおいて平行に配置されている。
この跳ね返り防止杆33の存在により、搬送用ベルト2の回動と共にワーク支持部材3,3’,3”が往路側から復路側へ、又復路側から往路側に折り返す時、搬送用ベルト2の外表面に重なった状態で移動される。それにより、終端側においてはピッチ変更コンベヤから搬出コンベヤに搬出したワークWがワーク支持部材の跳ね返りで姿勢(方向)を変え、始端側においては搬入コンベヤからワーク支持部材に乗り移る動作に支障をきたすといった問題を解消できる。
【0053】
前記跳ね返り防止杆33は、テールブラケット8の起伏動に対応できるよう上下方向に移動調節可能に支持されている。
尚、この跳ね返り防止杆33は、前示実施例1において図示を省略したが、実施例1においても有効に作用するものである。又、前示実施例1に示した復路側の垂れ防止部材は本実施例2において図示を省略したが、実施例1と同様に設置して同様の効果を期待することができる。
【0054】
又、跳ね返り防止手段Xは図11、12に示すように磁石の吸着作用を利用して構成することができる。
その構成を簡単に説明すると、コンベヤの始端側及び終端側におけるワーク支持部材3,3’,3”が通過する位置(折り返し部材)、即ち、図示のピッチ変更(拡開)タイプの場合、始端側は搬送用ベルトの幅方向略中央位置に、終端側はピッチ変更される各列の幅方向略中央位置に、磁石を配置し、他方、ワーク支持部材3,3’,3”の搬送方向に沿った後半部の幅方向略中央線上に前記磁石と吸着作用を生じる磁性体(例えば、鉄板)が直線状に取り付けられて構成されている。
【0055】
例えば、折り返し部材を構成する上側のテールローラ9を、短尺のローラを搬送用ベルトの幅方向に所定間隔をおいて並列配置して構成し、その短尺の各ローラはそれぞれホルダに軸受を介して回転可能に支持し、テールローラ間には、前記テールローラの外径と略同径で、外周にマグネットリング34がブラケット35を介して回転可能に取り付けられている。そして、前記マグネットリング34はテールローラ9と略同芯上に配置されている。
更に、始端側には前記マグネットリング34の手前側位置、即ち、マグネットリング34と下側のテールローラ9’との間に磁石を内蔵したマグネットプレート36が配置され、終端側にはマグネットリング34の手前側に位置する上トラフ1b上に磁石を内蔵したマグネットプレート37及びマグネットリング34と下側のテールローラ9’との間には磁石を内蔵したマグネットプレート36’が配置されている。
【0056】
他方、ワーク支持部材3,3’,3”における幅方向の略中央線上には、前記マグネットリング34、マグネットプレート36,36’、マグネットプレート37の各磁石と吸着作用を生じる磁性体(例えば、鉄板)38が、該ワーク支持部材3の後端側(搬送用ベルトに係着された側と反対側)から前端側に向かって所定範囲(少なくとも、ワーク支持部材の全長の略1/3〜1/2)に取り付けられている。
又、ワーク支持部材3,3’,3”に取り付ける磁性体38の形態は、該ワーク支持部材がプラスチックモジュールベルトである場合、その構成部材(モジュール)を連結する樹脂製軸39に嵌着し得る金属製短尺パイプで構成する。尚、ワーク支持部材3,3’,3”が一枚もののシートである場合、磁性体38は矩形平板状とし、ワーク支持部材3の長手方向に沿い間隔をおいて直線状に固着する。固着の方法は、磁性体を直接、接着剤を用いて固着する方法、或いは磁性体38に取付片を取り付け、その取付片を介して間接的に固着する等、何れでもよい。磁性体38を間隔をおいて取り付けたのは、ワーク支持部材3,3’,3”が折り返し部材を通過する時、搬送用ベルト2の屈曲に追従して屈曲が確保されるようにするもので、ワーク支持部材の屈曲性が確保されるのであれば短冊状の金属製薄板でもよい。
【0057】
磁石の吸着作用を利用した跳ね返り防止手段Xは上記構成により、ワーク支持部材3,3’,3”がピッチ変更(拡開)されて終端側の折り返し部を往路側から復路側に通過する時、ワーク支持部材3,3’,3”に取り付けた磁性体38は搬送用ベルト2に載った状態でマグネットプレート37上→マグネットリング34上→マグネットプレート36’上を、搬送用ベルト2の回動と一緒に移動する。この時、ワーク支持部材3,3’,3”の磁性体38は、マグネットプレート37、マグネットリング34、及びマグネットプレート36’の磁石との吸着作用によって搬送用ベルト2の外表面側に引き寄せられ、搬送用ベルト2の外表面に密着積層した状態で折り返し部を通過する。それにより、ワーク支持部材3,3’,3”が往路側から復路側に移動する時、該ワーク支持部材3は搬送用ベルト2の外表面に密着積層した状態で通過し、該ワーク支持部材が反転し跳ね返るのを確実に防止できる。
【0058】
同様に、始端側の折り返し部を復路側から往路側に通過する場合においても、ワーク支持部材3,3’,3”は磁石の吸着作用によって搬送用ベルト2の外表面に密着積層した状態で通過し、該ワーク支持部材が反転し跳ね返るのを確実に防止できる。
尚、終端側の折り返し部におけるワーク支持部材の跳ね返り防止は、前記した磁石の吸着作用によって殆ど問題ないが、補助として支えプレート43を配置してもよい。その支えプレート43は、ワーク支持部材3が折り返し部を通過する位置より僅か外側位置に、搬送用ベルト2表面と略平行なるようにコンベヤフレーム1に取り付け、終端側の折り返し部を通過するワーク支持部材3の膨らみを抑えるようにする。
【0059】
跳ね返り防止手段を磁石の吸着作用を利用した上記構成とした場合、ワーク支持部材は装置、部材に接触しないで折り返し部に沿ってスムーズに回動することにより、騒音が発生するのを防止することができる。
【0060】
図13は、ピン案内方式によるピッチ変更(収縮)タイプのピッチ変更コンベヤを示し、収縮変更の場合は始端側の複数個所(図面では3箇所)にピッチ(横間隔)大で供給されるワークWを終端側に向かって搬送しながら、終端部において搬送用ベルト2の幅方向中央部(図面では略中央位置)に集め、ワークのピッチ(横間隔)を狭めて搬出する。
従って、収縮変更の場合は前記した拡開変更と逆の形態になり、ワーク支持部材3,3’,3”のスライダー4bに固着した案内ピン28を誘導する縮閉用案内桟40,40’は、始端側が広く、終端側に向かって狭くなるように配置され、案内桟の内側で案内ピンを案内する。
又、復路側に配置する原点復帰用案内桟41,41’に対する案内ピン28の当接は、拡開変更のときとは逆に原点復帰用案内桟41,41’の外側に当接させて誘導する。
【0061】
本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更可能である。
(1)前記実施例2の案内ピン方式において、ワーク支持部材3,3’,3”のスライダー4bに固着する案内ピンは図示するように、スライダー4bの長手方向の略中央部に1個起立固定する形態に限定されず、スライダー4bの長手方向の何れの位置でもよい。
(2)搬送用ベルトの駆動は、図示の挟持搬送方式に限定されず、一般的な駆動ローラを用いたヘッドドライブ方式でもよい。
(3)跳ね返り防止手段Xの実施例は、案内ピン方式のピッチ変更(拡開)コンベヤに装備した例であるが、磁石の吸着作用を利用したピッチ変更コンベヤにも同様に装備しうるものである。
(4)磁石の吸着作用を利用した跳ね返り防止手段は、実施例と逆の形態、即ち、折り返し部に磁性体を、ワーク支持部材に磁石を取り付けてもよい。又、両方を磁石としてもよい。
(5)折り返し部の吸着構造は、図示の実施例(マグネットプレートとマグネットリングの組合せ)に限定されず、例えば、マグネットプレートの形状を、折り返し部の全体(上面、先端、下面)に亘る連続したマグネットレール状としてもよい。
(6)図示の実施例はワークの搬入列が3列(奇数列)で、搬送用ベルト上に配置するワーク支持部材も同数配置したが、真中の列は幅方向に移動せず直進する為、ワーク支持部材は左右両側の2列のみとしてもよい。
(7)ワーク支持部材を搬送用ベルトの幅方向に移動させる拡縮案内手段及び原点復帰案内手段は固定した形態について示したが、拡縮案内手段及び原点復帰案内手段の取り付け位置(角度)を変更可能とし、それにより並列搬送するワーク相互のピッチ幅を目的に合わせて変更し得るようにしてもよい。
(8)直進搬送するワーク列については、ワーク支持部材を設置しなくてもよいため、搬送用ベルトの表面に配置するガイドはピッチ変更に関与するワーク支持部材を案内する範囲内にのみ配置してしてもよい。
(9)ワーク支持部材を搬送用ベルトの幅方向に案内する軌条、桟の取付角度は変更するピッチに応じて適宜設定される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施例1のピッチ変更(拡開)コンベヤを示す平面図。
【図2】搬送用ベルトを切欠して上トラフに配設した拡開案内手段を示す平面図。
【図3】(a)は図1の縦断正面図、(b)は搬送用ベルトの駆動手段を示す拡大断面図。
【図4】搬送用ベルトを外し、下トラフに配設した原点復帰案内手段を示す底面図。
【図5】搬送ベルトの復路側下方に配置した垂れ下がり防止部材の概略を示す底面図。
【図6】搬送用ベルトとワーク支持部材との取り付け状態を示す斜視図。
【図7】図6の(7)−(7)線に沿える拡大断面図。
【図8】(a)〜(d)は搬入コンベヤからピッチ変更コンベヤのワーク支持部材にワークが乗り移る状態を示す説明図。
【図9】実施例2のピッチ変更(拡開)コンベヤを示す平面図及び案内ピン詳細図。
【図10】跳ね返り防止杆の取付状態を示す部分拡大正面図。
【図11】跳ね返り防止手段の他の実施形態を示す終端側の平面図。
【図12】(a)は終端側の拡大縦断面図、(b)は始端側の拡大縦断面図。
【図13】案内ピン方式による縮閉タイプのピッチ変更コンベヤの概略を示す平面図。
【符号の説明】
【0063】
1…コンベヤフレーム 1b…上トラフ
1b’…下トラフ 2…搬送用ベルト
3,3’,3”…ワーク支持部材 4…スライド手段
4a…ガイド 4b…スライダー
5,27…拡縮案内手段 6,31…原点復帰案内手段
7…駆動手段 9,9’…折り返し部材
13…スライダーに固着した磁石(磁性体)
16…拡開軌条 18…拡開軌条の磁石(磁性体)
19a,19b…原点復帰軌条 21…原点復帰軌条の磁石
22,22’…駆動回転帯 25…垂れ防止部材
28…案内ピン 29,29’…拡開用案内桟
32,32’…原点復帰用案内桟 W…ワーク
X…跳ね返り防止手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤの搬送方向始端側に該コンベヤの幅方向に沿って並列搬入された複数列のワークをコンベヤの終端側に向けて搬送しながら、横一列のワーク相互間のピッチを広げる、或いはピッチを狭めるピッチ変更コンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
商品の製造、或いは加工ラインでは、商品を複数列横に並べて搬送(同時多列搬送)することが一般的に行われている。そして、横一列に並べられた複数列の商品は、次の工程の作業内容などにより横一列の商品の間隔を広げたり、或いは狭めたりして搬出される。このように商品相互の横ピッチが、搬入時と搬出時で変わるようにしたコンベヤが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1のコンベヤは、所定間隔をおいて平行に架設した駆動軸と従動軸に異なる間隔を保って夫々一対のスプロケットホイールを固定し、前記各軸の対応するスプロケットホイールにチェーンを装着し、そのチェーンに伸縮材よりなるベルトの両縁を夫々固定した間開きコンベヤである。
このコンベヤは、伸縮材よりなるベルトの幅を搬入側から搬出側に向かって拡張することで、搬入時の商品間隔がベルトの拡張に伴って拡張されるようになっている。
【0004】
しかしながら、特許文献1のコンベヤはベルトと商品が接している為、ベルトの伸縮により、(1)商品の姿勢が不安定になる(搬入時の姿勢に対し搬出時の姿勢が変化する)、(2)商品の底面がベルトと擦れることにより、商品底面が損傷する、(3)ピッチを調整変更することが不可能、などの問題点がある。
【0005】
特許文献1の姿勢が変化する問題点を改善するものとして特許文献2が存在する。この特許文献2のコンベヤ装置(搬送システム)は、複数列のバケットを備えた振り分けコンベヤで、1列以上のバケットを搬送方向と直交する方向に移動可能な複数のバケット部で構成し、前記複数のバケット部を分離して隣接する他のバケットと一体に搬送可能にしたものである。
そして、上記振り分けコンベヤはバケットの下面にガイドローラを設け、そのガイドローラに符合するガイドレールを設け、前記ガイドレールの一部を前記直交方向に移動させることで振り分け搬送する。
【0006】
しかし、特許文献2のコンベヤ装置はバケットがエンドレスチェーンの無端回動によって搬送する為、機枠の前後方向両側に軸受を介して支持された回転軸にスプロケットが固着され、この両スプロケットに亘ってエンドレスチェーンが掛け渡されている。その為に、コンベヤの始端部(搬入側)と終端部(搬出側)におけるエンドレスチェーンが折り返す径は大きくなり、その結果該コンベヤ上流側又は下流側に連設配置するコンベヤや装置等との間隔(乗り移り間隔)が広くなるという問題点を有する。乗り移り間隔が広くなれば、小さいサイズのワークは前記間隔(隙間)に落下するという危険も生じ、その為に落下を防止する棒等を前記間隔内に配置するなどの補助設備が必要となる、或いは該コンベヤで搬送できるワークのサイズが限定される等の不具合が生じる。更に、ワークを収容するバケットはスプロケットとチェーンの噛み合いによって移動するため、特許文献1同様、スプロケットとチェーンの摩擦による騒音が発生し、作業環境の改善が求められる等の問題点を有する。
更に、バケットを振り分ける機構(ガイドローラ、ガイドレール)が必要となり、装置が大型、複雑化するという問題点を有する。
【0007】
【特許文献1】実開昭59−100707号公報
【特許文献2】特開2003−63635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、コンベヤの搬入及び搬出両側での折り返し部の径が小さく、ワークの搬入及びピッチが変更された搬出の乗り移りが安定し、更に搬入時の姿勢とピッチ変更搬出時の姿勢が変化しないピッチ変更コンベヤを提供する。又、騒音の発生を軽減するピッチ変更コンベヤを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する為に本発明のピッチ変更コンベヤは、ワークを搬送するコンベヤをベルトコンベヤとし、更にそのベルトコンベヤの搬送面上に、ワークを載承して該ベルトの幅方向にスライドするワーク支持部材を横一列に複数個配置すると共に、前記ワーク支持部材を単一部材で構成し、ベルトコンベヤの回動によりワーク支持部材を搬入側から搬出側に向かって移動させながら該ワーク支持部材をベルトの幅方向にスライドさせて、搬入時における横一列のワーク支持部材相互のピッチ(間隔)を、変更して搬出することを特徴とする。
本発明でいう「ピッチ変更」とは、コンベヤの始端側にワークが横一列で複数列搬入され、そのワークを終端側に向かって搬送しながら終端部で横一列のワーク相互のピッチを搬入時におけるワーク相互のピッチより広げる、又は搬入時におけるワーク相互のピッチより狭くする、の両方を含むものとする。
【0010】
即ち、フレームの機長方向両側に配置した折り返し部材に亘って無端状の搬送用ベルトを掛け回し、その搬送用ベルトの外表面に、ワークを載承支持するワーク支持部材を前記搬送用ベルトの幅方向に沿って横一列に複数個を並列配置すると共に、該ベルトの回動方向と交差する方向にスライド可能に取り付け、更に、前記搬送用ベルトの往路側において前記ワーク支持部材相互の間隔を、搬送路の始端部側における幅方向の原点位置から終端部側の幅方向のピッチ変更位置に向けて拡開又は縮閉案内する拡縮案内手段と、搬送用ベルトの復路側において該ベルトの幅方向に拡開又は縮閉されたワーク支持部材を始端部の原点位置に案内復帰させる原点復帰案内手段を配置し、搬送用ベルトの回動によりワーク支持部材を回動方向始端部から終端部に移動させながら前記拡縮案内手段によってピッチ変更位置に向けて移動させ、ワークをピッチ変更して排出後はワーク支持部材を始端部に移動しながら原点位置に復帰させることを特徴とする(請求項1)。
前記フレームに架設する折り返し部材としては、ベルトコンベヤにおいて一般的に用いられているローラ(テールローラ)、平板(ナイフエッジ)等が挙げられる。但し、ローラの場合は目的の関係から小径のローラを使用する。
前記折り返し部材に亘って掛け回す搬送用ベルトとしては、今日一般的に使用されている樹脂製ベルト、ゴム製ベルト、或いはプラスチックモジュールベルト等が挙げられる。
又、搬送用ベルトの外表面に並列配置するワーク支持部材の列数は2列以上で、基本的には搬入されるワークの列数に合わせて同数並列配置し、それに合わせて拡縮案内手段、原点復帰案内手段を配置する。但し、搬入されるワークの列数が奇数列(3列、5列等)で等ピッチに変更する場合、真中の列はピッチ変更の基準位置(中心)となる為、搬送用ベルトの幅方向に移動させる必要がなく直進する為、例えばワークの搬入列数が3列の場合ワーク支持部材は両側の2列のみ、5列の場合は左右2列の合計4列としてもよい。ワークの搬入列数が偶数列で等ピッチに変更する場合は、ワーク支持部材の設置列数は同数とする。尚、ワークの搬入列数が奇数列、偶数列に関係なく、直進搬送するワーク列についてはワーク支持部材を配置しなくてもよく、搬送用ベルトにおける直進するワークの列に相当する箇所に無端状ベルトを重ねて掛け回し、搬送用ベルトと一体となって回転し、ワークを直進搬送するようにしてもよい。
【0011】
前記ワーク支持部材は、搬送用ベルトの回動と一緒に回動し得るよう屈曲可撓性を有した部材、例えば、合成樹脂製シート、布地、網地、プラスチックモジュールベルト等で構成され、その形態は一枚もの、或いは複数の片を連結して一枚もの様に形成したもの等、何れでもよい。
そして、前記ワーク支持部材は、屈曲可能なシート片で、そのシート片の少なくとも搬送方向前側を前記搬送用ベルトにスライド手段を介してスライド可能に支持する(請求項2)。
前記スライド手段は、搬送用ベルトの外表面に回動方向と直交状に固着したガイドと、そのガイドに対してスライド可能に係合するワーク支持部材に固着したスライダーで構成されている(請求項3)。
前記ガイドとスライダーの形態は、スライダーがガイドに沿ってスライドする構成であればよく、例えば、スライドファスナーの形態、雄部材(凸部材)と雌部材(凹部材)の噛み合い形態等が挙げられ、スライダーはガイドに対して着脱可能になっている。
【0012】
上記手段によれば、コンベヤの始端部側の原点位置においてワーク支持部材にワークが載ると、該ワーク支持部材はワークを載せたまま搬送用ベルトの回動によって終端部側に向けて一緒に移動する。そして、ワーク支持部材は搬送用ベルトに対して該ベルトの回動方向と交差する方向(ベルト幅方向)にスライド可能に取り付けられ、且つ、原点位置から終端部側の幅方向のピッチ変更位置に向けて拡開又は縮閉案内する拡縮案内手段との作用により、前記ワーク支持部材は終端部に向けて移動しながら前記案内手段によって横移動(幅方向に移動)され、ピッチ変更位置に移動される。しかも、前記ワーク支持部材の横移動は、一体化したワーク支持部材全体が水平移動する為、ワーク支持部材に載承されたワークの姿勢は、ワーク支持部材に載った時の姿勢のままでピッチ変更位置に搬送され、そのまま搬出される。即ち、ワークの搬入時と搬出時の姿勢を変化させずにワーク相互のピッチを変更して搬送することができる。そして、ワーク支持部材を取り付けたスライダーはガイドに対して着脱可能であるため、ワーク支持部材を含めたスライダーのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0013】
前記拡縮案内手段および原点復帰案内手段としては、例えば、磁石の吸着作用を用いた方式、機械的なガイド方式等が挙げられる。
磁石を用いた吸着方式の具体例は、前記ワーク支持部材のスライダーに固着した磁石若しくは磁性体と、前記搬送用ベルトの往路側と復路側の間に配置したトラフに固着配設した磁石若しくは磁性体とからなり、磁石の吸着作用によりワーク支持部材が搬送用ベルトの回動により該ベルトの幅方向のピッチ変更位置に横移動、及び原点位置に横移動するようにする(請求項4)。
前記トラフは、搬送用ベルトの往路側、復路側と接近対応させて上下に配置される。
スライダー及びトラフに固着する磁石若しくは磁性体は、両者が吸着作用を生じるものであればよく、例えば、一方の吸着面をN極、他方の吸着面をS極とする。或いは、一方を磁石、他方を磁石と吸着する磁性体とする。
【0014】
上記拡縮案内手段は、搬送用ベルトの往路側と対向するトラフの表面側に、前記搬送用ベルトの回動方向始端側から終端側に向かって磁石を配設した拡開又は縮閉の拡縮軌条で構成する。又、原点復帰案内手段は、搬送用ベルトの復路側と対向するトラフの表面側に、前記搬送用ベルトの回動方向終端側から始端側に向かって磁石を配設した原点復帰軌条で構成する。(請求項5)。
上記拡縮軌条の配設本数は、原則はワークの搬入列数(奇数列、偶数列)と同数設けるが、直進搬送するワーク列がある場合は、その直進するワークの列について軌条を配置する、配置しないは自由である。例えば、ワークの搬入列数が奇数本で等ピッチに変更する場合、真中の列はピッチ変更の基準となって幅方向に移動しないため、ワーク搬入が例えば3列の場合は2本、ワーク搬入が5列の場合は4本とする。そして、ピッチを拡開変更する場合、軌条は始端側から終端側に向かって末広がり状に配置し、ピッチを縮閉変更する場合、軌条は前記拡開変更の場合と逆の形態に配置する。又、ワークの搬入列数が偶数本で等ピッチに変更する場合はワーク搬入列の列数と同数の軌条を配置する。勿論、ワークの搬入列が奇数本である場合、拡縮軌条を同数配置してもよい。但し、その場合、搬送用ベルトの幅方向の中央に配置する真中の軌条は該ベルトの搬送方向と平行に配置する。
原点復帰案内手段は、終端側でピッチ変更したワーク支持部材を始端側の原点位置に戻すもので、原点復帰軌条は平面視で前記拡縮案内手段の拡縮軌条と略重なり合うように配置する。
【0015】
そして、上記拡縮軌条および原点復帰軌条を、N極を吸着面として一列に配置して構成した場合は、ワーク支持部材のスライダーに固着する磁石の吸着面をS極とする。勿論、その逆の形態でもよい。或いは、トラフに磁石を配列し、スライダーには前記磁石と吸着作用を生じる磁性体を固着してもよい。
【0016】
機械的なガイド方式の具体例としては、例えば、前記ワーク支持部材のスライダーに固着した案内ピンと、前記搬送用ベルトの往路側上方と復路側下方に平面視略ハ字型に配設した案内桟とからなり、前記案内ピンが前記案内桟の内側縁又は外側縁に当接係合することでワーク支持部材が搬送用ベルトの回動により該ベルトの幅方向のピッチ変更方向、及び原点位置に横移動するように構成する(請求項6)。
前記案内ピンは、スライダーの上面に、長手方向中央位置から左右対称の位置に1本ずつ起立固定する形態、或いは長手方向の一方端部又は略中央位置に1本を起立固定する形態等、何れでもよい。
前記案内桟は、前記ワーク支持部材の案内ピンを搬送用ベルトの幅方向に案内するもので、「拡開変更」の場合の往路側は始端側から終端側に向かって末広がり状に配置し、その案内桟の外側面に前記案内ピンを当接させ、復路側は終端側から始端側に向かって先細り状に配置し、その案内桟の内側面に前記案内ピンを当接させる。
又、「縮閉変更」の場合は前記「拡開変更」の場合の逆、即ち、拡開変更タイプの復路側の形態を往路側に、往路側の形態を復路側に配置する。更に、前記案内ピンの取付形態(本数と位置)に応じて案内桟を設置する位置を適宜変更する。
【0017】
前記拡縮案内手段は、搬送用ベルトの往路側表面と離間して該搬送用ベルトの回動方向始端側から終端側に向かって配設した拡開又は縮閉の拡縮案内桟で構成し、原点復帰案内手段は、前記搬送用ベルトの復路側表面と離間して該搬送用ベルトの回動方向終端側から始端側に向かって配設した原点復帰用案内桟で構成する(請求項7)。
【0018】
上記手段によれば、ワーク支持部材のスライダーに固着した案内ピンが、搬送用ベルトの往路側上方及び復路側下方に配置した案内桟に係合してベルトの幅方向(外側方向、内側方向)に案内移動され、それによってワークを載承した横一列のワーク支持部材相互の間隔を拡開、又は縮閉する。
【0019】
前記搬送用ベルトは、一般的なベルトコンベヤの摩擦駆動方式であるヘッドドライブ方式で駆動してもよいが、搬送用ベルトの幅方向の両側部、即ち、搬送用ベルトの表面側に配設するスライド手段より外側のベルト部分を利用し、該部分をベルトの上下に配置した駆動回転体で挟持して搬送する駆動方式としてもよい(請求項8)。その場合、機長方向両側の折り返し部材は、小径のローラ又はナイフエッジとする。本発明で言う小径とは、搬送用ベルトを折り返すために必要な最小プーリ径である。
搬送用ベルトを挟持搬送する駆動回転体の設置位置は、該搬送用ベルトの往路側、復路側の何れでもよいが、搬送用ベルトの着脱や幅方向全幅をピッチ変更に使用することを考慮した場合は、搬送用ベルトの復路側に設置する方が有効である。
【0020】
上記手段によれば、機長方向の両側部に配置する折り返し部材を小径のローラや平板部材(ナイフエッジ)で構成することができる。それにより、搬送用ベルトの折り返し部の半径を小さくでき、ピッチ変更コンベヤの搬入部・搬出部に配置されるコンベヤや装置等相互の乗り移りを安定して行うことができる。
【0021】
又、前記搬送用ベルトの復路側表面と微小間隔をおいて、ワーク支持部材が復路側において下方に垂れるのを防止する垂れ防止部材を架設する(請求項9)。
その垂れ防止部材の形態は、パイプ材を適宜組み合わせる形態、或いは平板を架設する形態等、何れでもよい。
そして、上記手段によれば、復路側においてワーク支持部材が下方に垂れ下がらないため、搬送用ベルトの復路側下方の空間部を有効利用することができる。
【0022】
更に、前記搬送用ベルトの折り返し部において、該ベルトの外表面に取り付けられるワーク支持部材が往路側から復路側に、復路側から往路側に夫々折り返す時、ワーク支持部材が跳ね返るのを防止する跳ね返り防止手段を配置する(請求項10)。
跳ね返り防止手段の形態としては、搬送用ベルトの回動方向始端側と終端側の外側に、跳ね返り防止杆を配置して跳ね返るのを防止する形態、或いは搬送用ベルトの折り返し部(テールローラを含む前後部)に磁石又は磁性体を配置し、他方ワーク支持部材に前記磁石に対して吸着作用を生じる磁石又は磁性体を取り付け、磁石の吸着作用で跳ね返るのを防止する形態等、が挙げられる。
又、前記跳ね返り防止手段を配置する箇所は、搬送用ベルトの回動方向始端側と終端側の両方の折り返し部、或いは何れか一方の折り返し部等任意であるが、一方にのみ配置する場合は、確実に跳ね返りや自重により落下が起きる終端側の折り返し部に配置するのが有効である。
【0023】
上記手段によれば、搬送用ベルトの折り返し部に跳ね返り防止手段が配置されることで、搬送用ベルトの外表面上に取り付けられたワーク支持部材は、該搬送用ベルトが往路側から復路側、復路側から往路側に折り返す時、該搬送用ベルトの外表面から離れることなく、略密着した状態で移動する。特に、往路側から復路側に折り返す時、ワーク支持部材が搬送用ベルトの外表面から離れることなく、搬送用ベルトの外表面と略平行な状態を保持したまま折り返す為、搬送物の乗り移りに悪戯をしたりするのを防止し、安定した搬出、乗り移りを可能とする。又、ワーク支持部材は、装置、部材に接触しないで折り返し部に沿ってスムーズに回動することにより、騒音が発生するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のピッチ変更コンベヤは、該コンベヤの始端側に搬入された横一列に並んだ複数列のワークの姿勢を変化させることなく、搬入時の姿勢のままワーク相互の横ピッチを拡開又は縮閉変更して搬出することができる。
又、搬送用コンベヤをベルトコンベヤで構成したので、ベルトの折り返し部の半径を、従来のチェーンとスプロケットを用いた折り返し部の半径に比べて小さくでき、それによりピッチ変更コンベヤの搬入側及び搬出側に連設するコンベヤや装置等との間隙を小さくでき、乗り移りを安定よく行うことができ、且つ作動時の騒音が小さく静かなピッチ変更コンベヤを提供できる。
又、請求項4乃至5記載の構成により、トラフとワーク支持部材に吸着作用を生じる磁石同士若しくは磁石と磁性体を配置する簡単な構成で形成することができる。しかも、トラフ側に配置する軌条の角度を変更することで拡縮変更するピッチ幅の変更ができる。
更に、請求項6乃至7記載の構成により、機械的に確実にピッチ変更を行うことができる。そして、拡縮案内桟の角度を変更することで拡縮変更するピッチ幅の変更ができる。
また、請求項8記載の構成により、搬送用ベルトに必要最小限の張力を掛けることで、確実に駆動することができる。しかも、上下挟持による駆動により、搬送用ベルトの着脱、及びメンテナンスを容易に行うことができる。
更に、請求項9記載の構成により、ピッチ変更終了後、ワーク支持部材が終端側から始端側に移動する際搬送用ベルトから下方に垂れ下がらず、ワーク支持部材が他物に当たって損傷するのを防止できると共に、コンベヤ下側の空間を有効利用することができる。
また、請求項10記載の構成により、搬送用ベルトが往路側から復路側に、復路側から往路側に折り返す時、該搬送用ベルトの外表面に取り付けられているワーク支持部材が跳ね返るのを防止し、搬送用ベルトと略平行ならしめて一緒に移動させることができる。それにより、ワークの乗り移りに悪戯をしたりするのを防止し、安定した搬入・搬出、乗り移りを可能とする。又、折り返し部においてワーク支持部材が跳ね返らない為、上下流に接続配置するコンベヤや、ピッチ変更コンベヤに装備された部材と衝突、接触するのを回避できる。それにより、ワーク支持部材の損傷を低減することができる。更に、ワーク支持部材は、装置、部材に接触しないで折り返し部に沿ってスムーズに回動することにより、騒音が発生するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係るピッチ変更コンベヤの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0026】
図1乃至図8は、ワーク支持部材を、搬送用ベルトの幅方向(搬送用ベルトの回動方向に対し直交する方向)にスライドさせる手段が、磁石の吸着作用を利用して行うように構成した実施例で、且つピッチを拡開変更するタイプのピッチ変更コンベヤである。
図1はピッチ変更コンベヤの平面図で、図中、1はコンベヤフレーム、2は前記コンベヤフレーム1に無端回動可能に掛け回した搬送用ベルト、3,3’,3”は前記搬送用ベルト2の外表面に該ベルトの幅方向にスライド可能に配置したワーク支持部材、4は前記ワーク支持部材3,3’,3”を前記搬送用ベルト2に対してスライド可能に支持するスライド手段、5は前記ワーク支持部材3,3”を、搬送用ベルト2の始端側所定位置(ベルト幅方向の略中央位置)から終端側の幅方向におけるピッチ変更(拡開)位置に向けて拡開案内する拡縮案内手段、6は前記ピッチ変更(拡開)方向に案内されたワーク支持部材3,3’,3”を始端側の原点位置に案内復帰させる原点復帰案内手段、7は前記搬送用ベルト2を回動させる駆動手段である。
【0027】
前記コンベヤフレーム1は、所定の間隔をおいて対向配置した側枠1a,1a’の上端間に、搬送用ベルト2の搬送面(往路面)を下側から支える上トラフ1bが一体に構成されており、その上トラフ1bの表面側(搬送用ベルト2の往路側と対向する面)に拡縮案内手段5が配置され、側枠1a,1a’の機長方向(長手方向)の両側部にはテールブラケット8を介してテールローラ(折り返し部材)9,9’が上下方向に段差を付けて回転可能に横架され、その両側のテールローラ9,9’、9,9’に亘って搬送用ベルト2が掛け回されている。
上記テールブラケット8の一方(図面では搬出側)はコンベヤフレーム1に対して起伏回動可能に取り付けられ、搬送用ベルト2をコンベヤフレーム1から取り外す時は該テールブラケット8を上方に回動して搬送用ベルト2に弛みを作り、ベルトの着脱を容易に行うことができるようにしてある。
又、機長方向両側のテールブラケット8,8に亘って下トラフ1b’が水平に架設され、その下トラフ1b’の下面(搬送用ベルト2の復路面と対向する面)に原点復帰案内手段6が配置されている。
更に、前記側枠1a,1a’には脚部材10が垂下固定されて、コンベヤフレーム1が所定の高さに支持されるように構成されている。
尚、上トラフ1bは、側枠1a,1a’と一体構造に限らず、側枠1a,1a’と別体で両者をボルト・ナット等で連結固定する構成としてもよい。
【0028】
前記下トラフ1b’は、上トラフ1bに比較して機長方向と直交する方向の寸法が幅狭く構成され、その下トラフ1b’が幅方向の中央位置に配置固定されている。それにより、前記下トラフ1b’の幅方向外側位置に、下トラフ1b’の下面側を走行する搬送用ベルト2の復路側の側部を挟持して回動する駆動手段7が配置されている。
【0029】
搬送用ベルト2は、周方向及び周方向と直交する幅方向の伸びを抑制し、且つベルトの上下に配置される磁石同士の吸着作用を妨げない素材、例えば内部に芯材を埋設した合成樹脂製のベルトで、このベルトの外表面に、スライド手段4が周方向に一定の間隔をおいて平行に固着されている。そして、その各スライド手段4にワーク支持部材3がスライド可能に取り付けられている。尚、搬送用ベルト2は一般的な一枚もののベルトに限らず、プラスチックモジュールベルト等でもよい。
【0030】
前記スライド手段4は、スライド可能に噛み合うガイド4aとスライダー4bとからなり、前記ガイド4aは合成樹脂材によって扁平棒状に構成されると共に、該ガイド4aの長手方向に沿って前記搬送用ベルト2への取付片11が一体に形成されている。尚、取付片11は、ガイド4aと別体の構造とし、縫着或いは接着等によって一体化してもよい。その場合、取付片11の素材としては、合成樹脂製シート、或いは布地等、何れでもよい。
又、前記ガイド4aにおける長手方向と直交する方向の幅は極力幅狭く形成し、フレーム両側のテールローラの外周面に沿って移動する時、搬送用ベルト2の搬送面から立ち上がらず、ワークWがスムーズに乗り移るようにする。更に、ガイド4aの長さは、搬送用ベルト2を駆動する駆動手段7が挟持する側部を除いた範囲とし、幅方向両側に配置されたワーク支持部材3,3”が拡開動作中にスライド手段から外れたりすることがないようにしてある。
【0031】
上記ガイド4aを備えた取付片11は、搬送用ベルト2の外表面に該ベルトの周方向(回動方向)と直交させて略中央位置に配置固定されている。搬送用ベルト2に対する取付片11の固定は、縫着或いは接着、熱溶着等何れでもよい。尚、ガイド4aを搬送用ベルト2に固着する為の取付片11は、図示するように搬送用ベルト2の回動方向に沿った前側のみが固着され、後側が開放された片支持構造に限らず、ガイド4aの前後縁に取付片を取り付け、その前後の取付片を搬送用ベルト2に固定する両支持構造としてもよいものである。
【0032】
前記ガイド4aと係合するスライダー4bは、ガイド4aと同様、合成樹脂材或いは金属材によって短尺の扁平棒状に構成され、ガイド4aの長手方向の端部より嵌合装着し、ガイド4aの長手方向に沿ってスライド可能に構成されている。尚、スライダー4bをガイド4aに対してスライド可能に装着する方法は、上記したガイド4aの端部から嵌着する方法に限らず、ガイド4aの長さの範囲内のどの位置からでも嵌着し得るように構成してもよい。
又、スライダー4bは、上面の一側部にワーク支持部材3を取り付け、且つ下面には凹部12が切欠され、その凹部12に拡縮案内手段5及び原点復帰案内手段6の構成部材の一方である磁石(磁性体)13が該スライダー4bの下面と略面一に収容固着されている。
更に、スライダー4bは、相対するガイド4aに合わせて極力幅狭く形成し、フレーム両側のテールローラの外周面に沿って搬送用ベルト2が移動する時、該搬送用ベルト2の搬送面から立ち上がらず、ワークWがスムーズに乗り移るようにする。
【0033】
ワーク支持部材3,3’,3”は、ワークWを載承し得る大きさのシートで、スライド手段4の一方の構成部材であるスライダー4bと、磁石13が固着されている。
前記シートは、搬送用ベルト2と同様、フレーム両側のテールローラの外周面に沿って折り返す時、搬送用ベルトに追従して折り返すことができる屈曲性、可撓性を有した部材、例えば、合成樹脂製シート、布地、網地、プラスチックモジュールベルト等の一枚物、或いは前記部材からなる小片を連結して一枚物としたもの等、何れでもよい。そして、これら部材によって形成されるワーク支持部材3,3’,3”の平面視形状は、長方形、正方形、円形、楕円形等、何れでもよい。
【0034】
前記ワーク支持部材3,3’,3”の一側部は、前記スライダー4bの上面に載置され、その上に押え材14が載置され、止ネジ15で固定されている。従って、仮にワーク支持部材3〜3”の何れかが損傷した場合は、止ネジ15を緩めて押え材14を外せば損傷したワーク支持部材をスライダー4bから分離でき、新しいワーク支持部材に交換することができる。
【0035】
搬送用ベルト2の外表面に前記スライド手段4で該ベルトの幅方向にスライド可能に支持されたワーク支持部材3,3’,3”を、搬送用ベルト2の始端側における幅方向の中央位置(原点位置)から終端側における幅方向複数のピッチ変更位置(図面では左側、中央、右側の3方向)に案内する拡縮案内手段5は、前記上トラフ1bの表面に、搬送用ベルト2の回動方向始端側から終端側に向かって平面視略逆ハ字型に配設した拡開軌条16で構成されている。即ち、拡開軌条16は、本ピッチ変更コンベヤのワーク搬入側に搬入されるワークの列数に対応して配置され、ワークの列が奇数本である場合、真中に位置する列は幅方向に移動させる必要がないため、真中の列を除いた列分の軌条を配置し、ワークの列が偶数本である場合は、列と同じ数分の軌条を配置する。そして、拡開軌条16は、磁石を直線状に配置して形成されている。
【0036】
前記拡開軌条16は、図2に示すようにトラフ1bの始端寄りの幅方向における略中央位置(原点位置)から終端側に向かって左側軌条16a,右側軌条16bが配設され、その左側軌条16a,右側軌条16bは磁石を直線状に並べて構成されている。図示の実施例では、左側軌条16aと右側軌条16bは中心線Lに対しそれぞれ等角度の開き角で傾斜配置されている。
上記左側軌条16aと右側軌条16bの始端位置(図面では右側)は、本ピッチ変更コンベヤに連設配置される搬入コンベヤ26によって供給されるワーク列(図示は3列)の線上で、終端位置は前記搬入されるワーク列相互間のピッチに対して拡開する量だけ幅方向外側に移動させた位置である。尚、真中の列のワークを載承するワーク支持部材3’は始端位置に対し幅方向に位置を変えることなく直進移動すればよいため軌条は必要ないが、始端位置から終端側に向かって軌条を搬送用ベルトの搬送方向と平行に配置してもよい。
【0037】
前記左側軌条16a,右側軌条16bは、前記上トラフ1bが磁石に対して吸着作用を生じる金属平板で構成されている場合、該上トラフ1bの軌条線上に開設した溝に非磁性体からなる台枠17を嵌着固定し、その台枠17にブロック状をした磁石18を密着させて一直線状に並べて構成されている。尚、一直線状に並べる磁石18相互の間隔は、磁石の吸着作用が寸断されず、搬送用ベルト2の回動により軌条に沿って案内動作が連続的に行われる間隔とする。
又、トラフ1bが非磁性体の平板で構成されている場合も前記台枠17を使用することで磁石18の配列固定を容易に行うことができる。勿論、上トラフ1bに直接磁石18を並べ固定してもよい。そして、前記磁石18の表面は上トラフ1bの表面と面一に仕上げられている。
前記磁石18はブロック状に限らず、軌条の長さを有した長尺一本ものであってもよい。
【0038】
原点復帰案内手段6は、搬送用ベルト2の回動と前記拡縮案内手段5の働きで該搬送用ベルト2の終端側における幅方向複数のピッチ変更位置に拡開移動させたワーク支持部材3,3’,3”、搬送用ベルト2の始端側の原点位置(幅方向の略中央位置)に戻すもので、図4に示すように、搬送用ベルト2の復路側より上方に架設配置した下トラフ1b’の裏面(搬送用ベルトの復路側と対向する面)に、前記搬送用ベルト2の回動方向終端側の中央位置を除いた左側と右側の二方向から始端側の原点位置の手前位置に向かって原点復帰軌条19a,19bが配設され、その原点復帰軌条19a,19bは磁石21を一直線状に並べて構成されている。
【0039】
前記原点復帰軌条19a,19bを構成する磁石21の配置は、前記拡開軌条16と同様、前記トラフ1b’の軌条線上に開設した溝に非磁性体からなる台枠20を嵌着固定し、その台枠20に、磁石21を一直線状に並べて構成されている。
【0040】
又、上記原点復帰軌条19a,19bは、前記上トラフ1bに配設した拡開軌条16の左側軌条16aと右側軌条16bを下トラフ1b’に略投影した状態で形成されている。
【0041】
搬送用ベルト2を駆動回動する駆動手段7は、搬送用ベルト2の外表面に配設したガイド手段4のガイド4aの幅方向端部より幅方向外方に延びる該ベルトの側部を上下より挟持する上下一対の駆動回転帯22,22’で構成され、その上下一対の駆動回転帯22,22’は、搬送用ベルト2の復路側の中程位置に位置させて該ベルトの幅方向両側に配置されている。
【0042】
上下一対の駆動回転帯22,22’は図3(b)に示すように、機長方向に所定の間隔をおいて回転可能に軸支した歯付きプーリ22aとプーリ22a’、プーリ22a’とプーリ22a’に亘って歯付きベルト22bが巻回され、その歯付きベルト22bの平滑な外周面に磁石22cが該ベルトの周方向に一定ピッチで取り付けられている。
歯付きベルト22bに対する磁石22cの取付は、矩形平板状の磁石22cを樹脂製の磁石ホルダ22dに内蔵し、その磁石ホルダ22dは固定ブラケットを用いて歯付きベルト22bに定着固定する。
又、上下の駆動回転帯22,22’に装備する磁石22cは、搬送用ベルト2を挟んで対向した時、両方の磁石22cが吸着し合うように配置されている。その配置は、例えば、上側の駆動回転帯22の磁石22cの磁極をS極とした場合、下側の駆動回転帯22’の磁石22cの磁極はN極とする。又、上下の駆動回転帯22,22’の磁石22cを、S極とN極が交互となるように配列するなど、何れでもよい。
【0043】
そして、上記した上下一対の駆動回転帯22,22’は、搬送用ベルト2の復路側の上側に配置した駆動回転帯22をモータ23で駆動回転し、搬送用ベルト2の復路側の下側に配置した駆動回転帯22’は前記上側の駆動回転帯22との吸着により従動回転するように構成されている。又、モータ23の回転力は、搬送用ベルト2の幅方向両側に配置した駆動手段7の何れか一方(図面では搬送用ベルトの左側)に伝達し、両駆動手段7の歯付きプーリ22aを軸24で連結し、両方の駆動手段の歯付きプーリ22aが駆動回転するように構成されている。
尚、駆動手段7を構成する上下一対の駆動回転帯22,22’のうち、搬送用ベルト2の下側に配置する駆動回転帯22’は、搬送用ベルトに対して接離切替可能に構成することで、該搬送用ベルト2の交換を容易に行うことが可能となる。
【0044】
また、搬送用ベルト2の復路側の下方には、該搬送用ベルト2の外表面にスライド手段4を介して取り付けたワーク支持部材3が、復路側を移動するとき垂直下方に垂れ下がるのを防止する垂れ防止部材25が搬送用ベルト2の復路側と僅少間隔をおいて略平行に架設されている。
その垂れ防止部材25は図5に示すように、ピッチ変更(拡開)タイプの場合、復路側の始端部においてベルト幅の略全域を通過移動するワーク支持部材3,3’,3”を支え、復路側の終端部(原点位置)に向かってベルト幅方向の略中央位置に移動するワーク支持部材を支えるよう、パイプ材(図面では角パイ)25aを組んで構成されている。尚、垂れ防止部材25の枠組みの形態は、図示の形態に限定されず、要はワーク支持部材3,3’,3”が復路側を移動する時、シート部分が下方に垂れ下がるのを防止できればよく、従って、平板を水平に架設してもよいものである。
【0045】
次に、上記磁石の吸着作用を利用したピッチ変更(拡開)タイプのピッチ変更動作を図1に基づいて説明する。
ピッチ変更コンベヤの始端側に配置した搬入コンベヤ26から該ピッチ変更コンベヤへのワークWの乗り移りは図8(a)〜図8(d)に示すように、搬送用ベルト2の外表面にスライド手段4を介して取り付けられた3個ワーク支持部材3,3’,3”が、搬送用ベルト2の回動によって復路側から往路側に戻り、ワーク支持部材3,3’,3”が始端部の原点位置に現れたときに搬入コンベヤ26から供給される3列のワークWが夫々同列の線上に位置するワーク支持部材3,3’,3”に乗り移り、ピッチ変更コンベヤの終端方向に向けて搬送される。
【0046】
そして、ワークWを載せた各列(3列)のワーク支持部材3,3’,3”は図1に示すように、スライド手段4に係着保持されたまま該搬送用ベルト2の回動と一緒に移動し、ワーク支持部材3,3’,3”を連結するスライダー4bが拡縮案内手段5の拡開軌条16の左側軌条16a、右側軌条16bの始端直上に位置する。それにより、左側列のワーク支持部材3のスライダー4bに固着した磁石13と、前記左側軌条16aの磁石18が吸着し合い、右側列のワーク支持部材3”のスライダー4bに固着した磁石13と前記右側軌条16bの磁石18が吸着し合い、ワーク支持部材3,3”は拡開軌条16の方向に案内される。この時、真中列のワーク支持部材3’は対応する拡縮案内手段が存在しない為、始端部の原点位置(搬送ベルトの幅方向略中央位置)を維持したまま終端部に向けて搬送される。その結果、図1に示すように、左側列のワーク支持部材3と右側列のワーク支持部材3”はそれぞれ搬送用ベルト2の幅方向外側に移動され、真中列のワーク支持部材3’は原点位置での位置を維持している為、ワーク支持部材3とワーク支持部材3’の間隔、およびワーク支持部材3’とワーク支持部材3”の間隔が夫々原点位置での間隔より広がり、ワーク支持部材3,3’,3”に載承されたワークW相互のピッチ(横間隔)が拡大される。ピッチを拡大変更されたワークWは、ワーク支持部材3,3’,3”から連設配置された搬出コンベヤ42上に搬出される。
【0047】
ワークWのピッチを変更し搬出したワーク支持部材3,3’,3”は、ピッチ変更終了時の位置に保持されたまま搬送用ベルト2の回動によって復路側に移動する。そして、搬送用ベルト2の回動により始端側に向かって移動するが、その移動途中に搬送用ベルト2の復路側の内側(上方)に位置する下トラフ1b’に配設した原点復帰案内手段6の原点復帰軌条19a,19bとワーク支持部材3,3”を固着したスライダー4bとが交差し、該スライダー4bに固着した磁石13が前記原点復帰軌条19a,19bに固着した磁石21と吸着し合う。それにより、ワーク支持部材3、3”のスライダー4bは、原点復帰軌条19a,19bと吸着状態を維持するよう該軌条に沿って案内される。真中列のワーク支持部材3’は往路と同様対応する磁石を備えた軌条がないため、往路と同様、幅方向に位置を変えずに始端側に向かって搬送される、その結果、ワーク支持部材3,3’3”は搬送用ベルト2の復路側の終端部では該ベルトの幅方向略中央位置に移動し、原点位置に復帰し、次のワークを載承する体制が整う。
【実施例2】
【0048】
図9は、ワーク支持部材を、搬送用ベルトの幅方向(搬送用ベルトの回動方向に対し直交する方向)にスライドさせピッチを変更する方式が、ピン案内方式とした実施例で、且つ拡開タイプのピッチ変更コンベヤである。尚、本実施例において、搬送用ベルト2の駆動機構及び該搬送用ベルト2に対するワーク支持部材3の取付構造(スライド手段4)は前示実施例1と同じである為、同じ部材は同一符号を付し説明を省略する。
以下、ピン案内方式による拡縮案内手段および原点復帰案内手段について説明する。
拡縮案内手段27は、搬送用ベルト2にスライド可能に支持されるワーク支持部材3,3’,3”のうち、左側列のワーク支持部材3と右側列のワーク支持部材3”のスライダー4bの長手方向の略中央部上面に起立固定した案内ピン28と、前記搬送用ベルト2の往路側上方に平面視略ハ字型に配設した拡開用案内桟29,29’とで構成されている。
【0049】
前記案内ピン28は、ワーク支持部材3,3”の搬送方向前側に固着したスライダー4bに支軸28aを起立固着し、その支軸28aにローラ28bを回転可能に嵌着して構成されている。このローラ28bを取り付けることで案内桟との接触時に該ローラ28bが回転し、摩擦抵抗が少なくスムーズに案内される。
【0050】
前記案内ピン28を案内する拡開用案内桟29,29’は、直線状の金属製棒材或いは金属製帯板等を、搬送用ベルト2の往路側上方に、始端側が狭く終端側が拡開する平面視略ハ字型に配置して構成され、その拡開用案内桟29,29’はコンベヤフレーム1に支柱やブラケット等30を介して搬送用ベルト2及びワーク支持部材3,3’,3”の上空に宙吊りされている。
又、案内ピン28を案内する拡開用案内桟29,29’の架設(高さ)位置は、ワーク支持部材3,3”に載承したワークWが該拡開用案内桟29,29’と接触しない位置とする。
尚、図示の3列の横ピッチを拡開変更する場合、拡開用案内桟29と拡開用案内桟29’の始端側の間隔は原点位置に並ぶワーク支持部材3と3”のスライダー4bに固着された案内ピン28相互の間隔より僅か狭い間隔とし、原点位置から終端側に向かって搬送されるワーク支持部材3と3”のスライダー4bに固着された案内ピン28が確実に拡開用案内桟29,29’の外側に接触するように構成されている。
【0051】
又、原点復帰案内手段31は、搬送用ベルト2の終端側で該ベルトの幅方向複数個所(3箇所)にピッチ変更したワーク支持部材3,3’,3”(幅方向への移動はワーク支持部材3,3”のみ)を始端側の原点位置(ベルト幅方向の略中央位置)に戻すもので、真中列のワーク支持部材3’はそのまま変化させずに戻すことで原点位置に戻る為、左側と右側のワーク支持部材3,3”を原点位置に案内するように構成されている。
その構成は、搬送用ベルト2の復路側及びワーク支持部材3,3’,3”の下方位置に、拡開用案内桟の構成部材と同様の部材からなる原点復帰用案内桟32,32’を、前記拡縮案内手段27の拡開用案内桟29,29’を投影した位置より僅か外側に移動させて配置する。
何故ならば、搬送用ベルト2の幅方向外側に位置するワーク支持部材3,3”を幅方向略中央の原点位置に移動させる場合、スライダー4bに固着した案内ピン28はピッチ変更(拡開)時とは逆に、搬送用ベルト2の回動方向に向かって幅狭くなるように配置した原点復帰用案内桟32,32’の内側に当接させて案内しなければならない。そして、原点復帰用案内桟32,32’を拡開用案内桟29,29’より外側に位置させることで、多少のずれが生じても案内ピン28は間違いなく原点復帰用案内桟32,32’の内側に当接させることができる。そして、上記原点復帰用案内桟32,32’は拡開用案内桟29,29’の取り付けと同様、コンベヤフレーム1に支柱やブラケット等を介して支持されている。
【0052】
又、図10〜12に示すように、搬送用ベルト2の折り返し部に、該ベルトの外表面に取り付けられたワーク支持部材3,3’,3”が往路側から復路側に、復路側から往路側に折り返す時、ワーク支持部材が跳ね返るのを防止する跳ね返り防止手段Xが配置されている。以下、その具体的な構成を図面に基づいて説明する。
搬送用ベルト2の回動方向始端側と終端側の外側には、該ベルト2の外表面に取り付けられるワーク支持部材3,3’,3”が往路側から復路側に、復路側から往路側にそれぞれ折り返す時、ワーク支持部材3,3’,3”が跳ね返るのを防止する跳ね返り防止杆33が取り付けられている。
前記跳ね返り防止杆33は、図10に示すようにパイプ又は棒杆を略L字型に屈曲し、これを始端側と終端側のワーク支持部材3,3’,3”が通過する位置に、ワーク支持部材3の横幅より僅か幅狭い間隔をおき、且つ搬送用ベルト2の外表面と所定の間隔(ワーク支持部材が通過し得る間隔)をおいて平行に配置されている。
この跳ね返り防止杆33の存在により、搬送用ベルト2の回動と共にワーク支持部材3,3’,3”が往路側から復路側へ、又復路側から往路側に折り返す時、搬送用ベルト2の外表面に重なった状態で移動される。それにより、終端側においてはピッチ変更コンベヤから搬出コンベヤに搬出したワークWがワーク支持部材の跳ね返りで姿勢(方向)を変え、始端側においては搬入コンベヤからワーク支持部材に乗り移る動作に支障をきたすといった問題を解消できる。
【0053】
前記跳ね返り防止杆33は、テールブラケット8の起伏動に対応できるよう上下方向に移動調節可能に支持されている。
尚、この跳ね返り防止杆33は、前示実施例1において図示を省略したが、実施例1においても有効に作用するものである。又、前示実施例1に示した復路側の垂れ防止部材は本実施例2において図示を省略したが、実施例1と同様に設置して同様の効果を期待することができる。
【0054】
又、跳ね返り防止手段Xは図11、12に示すように磁石の吸着作用を利用して構成することができる。
その構成を簡単に説明すると、コンベヤの始端側及び終端側におけるワーク支持部材3,3’,3”が通過する位置(折り返し部材)、即ち、図示のピッチ変更(拡開)タイプの場合、始端側は搬送用ベルトの幅方向略中央位置に、終端側はピッチ変更される各列の幅方向略中央位置に、磁石を配置し、他方、ワーク支持部材3,3’,3”の搬送方向に沿った後半部の幅方向略中央線上に前記磁石と吸着作用を生じる磁性体(例えば、鉄板)が直線状に取り付けられて構成されている。
【0055】
例えば、折り返し部材を構成する上側のテールローラ9を、短尺のローラを搬送用ベルトの幅方向に所定間隔をおいて並列配置して構成し、その短尺の各ローラはそれぞれホルダに軸受を介して回転可能に支持し、テールローラ間には、前記テールローラの外径と略同径で、外周にマグネットリング34がブラケット35を介して回転可能に取り付けられている。そして、前記マグネットリング34はテールローラ9と略同芯上に配置されている。
更に、始端側には前記マグネットリング34の手前側位置、即ち、マグネットリング34と下側のテールローラ9’との間に磁石を内蔵したマグネットプレート36が配置され、終端側にはマグネットリング34の手前側に位置する上トラフ1b上に磁石を内蔵したマグネットプレート37及びマグネットリング34と下側のテールローラ9’との間には磁石を内蔵したマグネットプレート36’が配置されている。
【0056】
他方、ワーク支持部材3,3’,3”における幅方向の略中央線上には、前記マグネットリング34、マグネットプレート36,36’、マグネットプレート37の各磁石と吸着作用を生じる磁性体(例えば、鉄板)38が、該ワーク支持部材3の後端側(搬送用ベルトに係着された側と反対側)から前端側に向かって所定範囲(少なくとも、ワーク支持部材の全長の略1/3〜1/2)に取り付けられている。
又、ワーク支持部材3,3’,3”に取り付ける磁性体38の形態は、該ワーク支持部材がプラスチックモジュールベルトである場合、その構成部材(モジュール)を連結する樹脂製軸39に嵌着し得る金属製短尺パイプで構成する。尚、ワーク支持部材3,3’,3”が一枚もののシートである場合、磁性体38は矩形平板状とし、ワーク支持部材3の長手方向に沿い間隔をおいて直線状に固着する。固着の方法は、磁性体を直接、接着剤を用いて固着する方法、或いは磁性体38に取付片を取り付け、その取付片を介して間接的に固着する等、何れでもよい。磁性体38を間隔をおいて取り付けたのは、ワーク支持部材3,3’,3”が折り返し部材を通過する時、搬送用ベルト2の屈曲に追従して屈曲が確保されるようにするもので、ワーク支持部材の屈曲性が確保されるのであれば短冊状の金属製薄板でもよい。
【0057】
磁石の吸着作用を利用した跳ね返り防止手段Xは上記構成により、ワーク支持部材3,3’,3”がピッチ変更(拡開)されて終端側の折り返し部を往路側から復路側に通過する時、ワーク支持部材3,3’,3”に取り付けた磁性体38は搬送用ベルト2に載った状態でマグネットプレート37上→マグネットリング34上→マグネットプレート36’上を、搬送用ベルト2の回動と一緒に移動する。この時、ワーク支持部材3,3’,3”の磁性体38は、マグネットプレート37、マグネットリング34、及びマグネットプレート36’の磁石との吸着作用によって搬送用ベルト2の外表面側に引き寄せられ、搬送用ベルト2の外表面に密着積層した状態で折り返し部を通過する。それにより、ワーク支持部材3,3’,3”が往路側から復路側に移動する時、該ワーク支持部材3は搬送用ベルト2の外表面に密着積層した状態で通過し、該ワーク支持部材が反転し跳ね返るのを確実に防止できる。
【0058】
同様に、始端側の折り返し部を復路側から往路側に通過する場合においても、ワーク支持部材3,3’,3”は磁石の吸着作用によって搬送用ベルト2の外表面に密着積層した状態で通過し、該ワーク支持部材が反転し跳ね返るのを確実に防止できる。
尚、終端側の折り返し部におけるワーク支持部材の跳ね返り防止は、前記した磁石の吸着作用によって殆ど問題ないが、補助として支えプレート43を配置してもよい。その支えプレート43は、ワーク支持部材3が折り返し部を通過する位置より僅か外側位置に、搬送用ベルト2表面と略平行なるようにコンベヤフレーム1に取り付け、終端側の折り返し部を通過するワーク支持部材3の膨らみを抑えるようにする。
【0059】
跳ね返り防止手段を磁石の吸着作用を利用した上記構成とした場合、ワーク支持部材は装置、部材に接触しないで折り返し部に沿ってスムーズに回動することにより、騒音が発生するのを防止することができる。
【0060】
図13は、ピン案内方式によるピッチ変更(収縮)タイプのピッチ変更コンベヤを示し、収縮変更の場合は始端側の複数個所(図面では3箇所)にピッチ(横間隔)大で供給されるワークWを終端側に向かって搬送しながら、終端部において搬送用ベルト2の幅方向中央部(図面では略中央位置)に集め、ワークのピッチ(横間隔)を狭めて搬出する。
従って、収縮変更の場合は前記した拡開変更と逆の形態になり、ワーク支持部材3,3’,3”のスライダー4bに固着した案内ピン28を誘導する縮閉用案内桟40,40’は、始端側が広く、終端側に向かって狭くなるように配置され、案内桟の内側で案内ピンを案内する。
又、復路側に配置する原点復帰用案内桟41,41’に対する案内ピン28の当接は、拡開変更のときとは逆に原点復帰用案内桟41,41’の外側に当接させて誘導する。
【0061】
本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更可能である。
(1)前記実施例2の案内ピン方式において、ワーク支持部材3,3’,3”のスライダー4bに固着する案内ピンは図示するように、スライダー4bの長手方向の略中央部に1個起立固定する形態に限定されず、スライダー4bの長手方向の何れの位置でもよい。
(2)搬送用ベルトの駆動は、図示の挟持搬送方式に限定されず、一般的な駆動ローラを用いたヘッドドライブ方式でもよい。
(3)跳ね返り防止手段Xの実施例は、案内ピン方式のピッチ変更(拡開)コンベヤに装備した例であるが、磁石の吸着作用を利用したピッチ変更コンベヤにも同様に装備しうるものである。
(4)磁石の吸着作用を利用した跳ね返り防止手段は、実施例と逆の形態、即ち、折り返し部に磁性体を、ワーク支持部材に磁石を取り付けてもよい。又、両方を磁石としてもよい。
(5)折り返し部の吸着構造は、図示の実施例(マグネットプレートとマグネットリングの組合せ)に限定されず、例えば、マグネットプレートの形状を、折り返し部の全体(上面、先端、下面)に亘る連続したマグネットレール状としてもよい。
(6)図示の実施例はワークの搬入列が3列(奇数列)で、搬送用ベルト上に配置するワーク支持部材も同数配置したが、真中の列は幅方向に移動せず直進する為、ワーク支持部材は左右両側の2列のみとしてもよい。
(7)ワーク支持部材を搬送用ベルトの幅方向に移動させる拡縮案内手段及び原点復帰案内手段は固定した形態について示したが、拡縮案内手段及び原点復帰案内手段の取り付け位置(角度)を変更可能とし、それにより並列搬送するワーク相互のピッチ幅を目的に合わせて変更し得るようにしてもよい。
(8)直進搬送するワーク列については、ワーク支持部材を設置しなくてもよいため、搬送用ベルトの表面に配置するガイドはピッチ変更に関与するワーク支持部材を案内する範囲内にのみ配置してしてもよい。
(9)ワーク支持部材を搬送用ベルトの幅方向に案内する軌条、桟の取付角度は変更するピッチに応じて適宜設定される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施例1のピッチ変更(拡開)コンベヤを示す平面図。
【図2】搬送用ベルトを切欠して上トラフに配設した拡開案内手段を示す平面図。
【図3】(a)は図1の縦断正面図、(b)は搬送用ベルトの駆動手段を示す拡大断面図。
【図4】搬送用ベルトを外し、下トラフに配設した原点復帰案内手段を示す底面図。
【図5】搬送ベルトの復路側下方に配置した垂れ下がり防止部材の概略を示す底面図。
【図6】搬送用ベルトとワーク支持部材との取り付け状態を示す斜視図。
【図7】図6の(7)−(7)線に沿える拡大断面図。
【図8】(a)〜(d)は搬入コンベヤからピッチ変更コンベヤのワーク支持部材にワークが乗り移る状態を示す説明図。
【図9】実施例2のピッチ変更(拡開)コンベヤを示す平面図及び案内ピン詳細図。
【図10】跳ね返り防止杆の取付状態を示す部分拡大正面図。
【図11】跳ね返り防止手段の他の実施形態を示す終端側の平面図。
【図12】(a)は終端側の拡大縦断面図、(b)は始端側の拡大縦断面図。
【図13】案内ピン方式による縮閉タイプのピッチ変更コンベヤの概略を示す平面図。
【符号の説明】
【0063】
1…コンベヤフレーム 1b…上トラフ
1b’…下トラフ 2…搬送用ベルト
3,3’,3”…ワーク支持部材 4…スライド手段
4a…ガイド 4b…スライダー
5,27…拡縮案内手段 6,31…原点復帰案内手段
7…駆動手段 9,9’…折り返し部材
13…スライダーに固着した磁石(磁性体)
16…拡開軌条 18…拡開軌条の磁石(磁性体)
19a,19b…原点復帰軌条 21…原点復帰軌条の磁石
22,22’…駆動回転帯 25…垂れ防止部材
28…案内ピン 29,29’…拡開用案内桟
32,32’…原点復帰用案内桟 W…ワーク
X…跳ね返り防止手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームの機長方向両側に配置した折り返し部材に亘って無端状の搬送用ベルトを掛け回し、その搬送用ベルトの外表面に、ワークを載承支持するワーク支持部材を前記搬送用ベルトの幅方向に沿って複数個を並列配置すると共に、該ベルトの回動方向と交差する方向にスライド可能に取り付け、更に、前記搬送用ベルトの往路側において前記ワーク支持部材相互の間隔を、搬送路の始端部側における幅方向の原点位置から終端部側の幅方向のピッチ変更位置に向けて拡開又は縮閉案内する拡縮案内手段と、搬送用ベルトの復路側において該ベルトの幅方向に拡開又は縮閉されたワーク支持部材を始端部の原点位置に案内復帰させる原点復帰案内手段を配置し、搬送用ベルトの回動によりワーク支持部材を回動方向始端部から終端部に移動させながら前記拡縮案内手段によってピッチ変更位置に向けて移動させ、ワークをピッチ変更して排出後はワーク支持部材を始端部に移動しながら原点位置に復帰させることを特徴とするピッチ変更コンベヤ。
【請求項2】
前記ワーク支持部材は、屈曲可能なシート片で、そのシート片の少なくとも搬送方向前側が前記搬送用ベルトにスライド手段を介してスライド可能に支持されていることを特徴とする請求項1記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項3】
前記スライド手段は、搬送用ベルトの外表面に回動方向と直交状に固着したガイドと、そのガイドに対してスライド可能に係合するワーク支持部材に固着したスライダーで構成されていることを特徴とする請求項2記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項4】
前記拡縮案内手段及び原点復帰案内手段は、前記ワーク支持部材のスライダーに固着した磁石若しくは磁性体と、前記搬送用ベルトの往路側と復路側の間に配置したトラフに固着配設した磁石若しくは磁性体とから成り、搬送用ベルトを挟んで対峙するスライダーとトラフの磁石同士若しくは磁石と磁性体の吸着作用を保持したままワーク支持部材が搬送用ベルトの回動により該ベルトの幅方向のピッチ変更方向、及び原点位置に横移動させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項5】
前記拡縮案内手段は、搬送用ベルトの往路側と対向するトラフの表面側に、前記搬送用ベルトの回動方向始端側から終端側に向かって磁石を配設した拡開又は縮閉の拡縮軌条で構成され、原点復帰案内手段は、搬送用ベルトの復路側と対向するトラフの表面側に、前記搬送用ベルトの回動方向終端側から始端側に向かって磁石を配設した原点復帰軌条で構成されていることを特徴とする請求項4記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項6】
前記拡縮案内手段及び原点復帰案内手段は、前記ワーク支持部材のスライダーに固着した案内ピンと、前記搬送用ベルトの往路側上方と復路側下方に平面視略ハ字型に配設した案内桟とからなり、前記案内ピンが前記案内桟の内側縁又は外側縁に当接係合することでワーク支持部材が搬送用ベルトの回動により該ベルトの幅方向のピッチ変更方向、及び原点位置に横移動することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項7】
前記拡縮案内手段は、搬送用ベルトの往路側表面と離間して該搬送用ベルトの回動方向始端側から終端側に向かって配設した拡開又は縮閉の拡縮案内桟で構成され、原点復帰案内手段は、前記搬送用ベルトの復路側表面と離間して該搬送用ベルトの回動方向終端側から始端側に向かって配設した原点復帰用案内桟で構成されていることを特徴とする請求項6記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項8】
前記搬送用ベルトは、該ベルトの外表面に配設したガイドの幅方向端部より幅方向外方の側縁の上下に配置した駆動回転帯で挟持搬送し、且つ機長方向両側の折り返し部材は小径のローラ又はナイフエッジとしたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項9】
前記搬送用ベルトの復路側表面と微小間隔をおいて、ワーク支持部材が復路側において下方に垂れるのを防止する垂れ防止部材を架設したことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項10】
前記搬送用ベルトの折り返し部において、該ベルトの外表面に取り付けられるワーク支持部材が往路側から復路側に、復路側から往路側に夫々折り返す時、ワーク支持部材が跳ね返るのを防止する跳ね返り防止手段を配置したことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項1】
フレームの機長方向両側に配置した折り返し部材に亘って無端状の搬送用ベルトを掛け回し、その搬送用ベルトの外表面に、ワークを載承支持するワーク支持部材を前記搬送用ベルトの幅方向に沿って複数個を並列配置すると共に、該ベルトの回動方向と交差する方向にスライド可能に取り付け、更に、前記搬送用ベルトの往路側において前記ワーク支持部材相互の間隔を、搬送路の始端部側における幅方向の原点位置から終端部側の幅方向のピッチ変更位置に向けて拡開又は縮閉案内する拡縮案内手段と、搬送用ベルトの復路側において該ベルトの幅方向に拡開又は縮閉されたワーク支持部材を始端部の原点位置に案内復帰させる原点復帰案内手段を配置し、搬送用ベルトの回動によりワーク支持部材を回動方向始端部から終端部に移動させながら前記拡縮案内手段によってピッチ変更位置に向けて移動させ、ワークをピッチ変更して排出後はワーク支持部材を始端部に移動しながら原点位置に復帰させることを特徴とするピッチ変更コンベヤ。
【請求項2】
前記ワーク支持部材は、屈曲可能なシート片で、そのシート片の少なくとも搬送方向前側が前記搬送用ベルトにスライド手段を介してスライド可能に支持されていることを特徴とする請求項1記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項3】
前記スライド手段は、搬送用ベルトの外表面に回動方向と直交状に固着したガイドと、そのガイドに対してスライド可能に係合するワーク支持部材に固着したスライダーで構成されていることを特徴とする請求項2記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項4】
前記拡縮案内手段及び原点復帰案内手段は、前記ワーク支持部材のスライダーに固着した磁石若しくは磁性体と、前記搬送用ベルトの往路側と復路側の間に配置したトラフに固着配設した磁石若しくは磁性体とから成り、搬送用ベルトを挟んで対峙するスライダーとトラフの磁石同士若しくは磁石と磁性体の吸着作用を保持したままワーク支持部材が搬送用ベルトの回動により該ベルトの幅方向のピッチ変更方向、及び原点位置に横移動させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項5】
前記拡縮案内手段は、搬送用ベルトの往路側と対向するトラフの表面側に、前記搬送用ベルトの回動方向始端側から終端側に向かって磁石を配設した拡開又は縮閉の拡縮軌条で構成され、原点復帰案内手段は、搬送用ベルトの復路側と対向するトラフの表面側に、前記搬送用ベルトの回動方向終端側から始端側に向かって磁石を配設した原点復帰軌条で構成されていることを特徴とする請求項4記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項6】
前記拡縮案内手段及び原点復帰案内手段は、前記ワーク支持部材のスライダーに固着した案内ピンと、前記搬送用ベルトの往路側上方と復路側下方に平面視略ハ字型に配設した案内桟とからなり、前記案内ピンが前記案内桟の内側縁又は外側縁に当接係合することでワーク支持部材が搬送用ベルトの回動により該ベルトの幅方向のピッチ変更方向、及び原点位置に横移動することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項7】
前記拡縮案内手段は、搬送用ベルトの往路側表面と離間して該搬送用ベルトの回動方向始端側から終端側に向かって配設した拡開又は縮閉の拡縮案内桟で構成され、原点復帰案内手段は、前記搬送用ベルトの復路側表面と離間して該搬送用ベルトの回動方向終端側から始端側に向かって配設した原点復帰用案内桟で構成されていることを特徴とする請求項6記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項8】
前記搬送用ベルトは、該ベルトの外表面に配設したガイドの幅方向端部より幅方向外方の側縁の上下に配置した駆動回転帯で挟持搬送し、且つ機長方向両側の折り返し部材は小径のローラ又はナイフエッジとしたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項9】
前記搬送用ベルトの復路側表面と微小間隔をおいて、ワーク支持部材が復路側において下方に垂れるのを防止する垂れ防止部材を架設したことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載のピッチ変更コンベヤ。
【請求項10】
前記搬送用ベルトの折り返し部において、該ベルトの外表面に取り付けられるワーク支持部材が往路側から復路側に、復路側から往路側に夫々折り返す時、ワーク支持部材が跳ね返るのを防止する跳ね返り防止手段を配置したことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項記載のピッチ変更コンベヤ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−203023(P2009−203023A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47801(P2008−47801)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(391019289)マルヤス機械株式会社 (32)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(391019289)マルヤス機械株式会社 (32)
【Fターム(参考)】
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