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ピットバーレル型ポンプおよびその組込み方法
説明

ピットバーレル型ポンプおよびその組込み方法

【課題】
ピットバーレル型ポンプが、ピットの小型化と性能低下を生じない吸込み渦防止手段を有する。
【解決手段】
立軸ポンプ8は、作動流体を吸込むため下端部に設けたポンプ吸込口2と、吸込口に隣り合い回転軸5に取り付けた羽根車6と、羽根車の下流側に配置され羽根車で旋回成分を付与された作動流体を昇圧する案内羽根7とを備える。ポンプ吸込口の下側に、渦発生防止装置4を付設した。ポンプ吸込口および渦発生防止装置の外径φdを案内羽根の最大外径φdよりも小径とし、ピットから立軸ポンプとともに渦発生防止装置を取り出し可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密に構成したピット内に立軸ポンプを収容したピットバーレル型ポンプおよびその組込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のピットバーレル型ポンプの例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載のポンプでは、天井部が開放された有底円筒形状のピットバーレルの上部側面に、吸込口が形成されている。そしてピットバーレルの上部開口部から立軸ポンプが吊り下げられる。立軸ポンプの吐出管部にはフランジが設けられており、このフランジがピットバーレルの開口部を閉止することにより、ピットバーレル内部は気密に保たれる。
【0003】
このように構成されたピットバーレルポンプでは、ピットバーレルの吸込口から吸込まれた流体は、ピットの内壁面とピット内部に吊り下げられた立軸ポンプの外周面との間を下降し、ピット底部に位置するポンプ吸込口の外周部からポンプ内部に流れ込む。ポンプ吸込口でほぼ180度流れ方向が変えられた流体は、ポンプ羽根車の回転力により鉛直上方へ吸い込まれ、羽根車および案内羽根を経て、吐出しへ排出される。
【0004】
ところで、ピットバーレル型ポンプでも使用される立軸ポンプでは、水中渦による振動および騒音の発生を抑制することが重要な課題となっている。この課題を解決するために、特許文献2ないし特許文献4には、立軸ポンプの吸込口に旋回防止手段を設けることが記載されている。
【0005】
すなわち、特許文献2に記載の立軸ポンプでは吸込み渦を防止するために、ポンプの下端に位置する吸込み渦防止部材を装着している。吸込み渦防止部材は、環状の上枠部と、上枠部から鉛直下向きに延びる複数の支持部と、支持部の下端に設けた下枠部と、装着状態で吸込みベルの下部において所定の支持部から吸込みベルの軸心に向けて延びる邪魔板とを有している。
【0006】
また、特許文献3に記載の立軸ポンプでは、開水路に設置される吸込口を有する吸込部の外周に、吸込部の外周面との間に副流路を形成する副流路形成体をほぼ同心状に配置している。さらに、特許文献4の立軸ポンプでは、吸込ベルマウスの先端下方の吸込水槽底面に、吸込ベルマウスに流入する水を整流する整流板を具備する整流板装置を設け、この整流板装置に吸込みベルマウスを固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−324700号公報
【特許文献2】特開2010−190184号公報
【特許文献3】特開2002−155898号公報
【特許文献4】特開2002−147383号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】中野智樹、「海水淡水化装置用ブライン再循環ポンプ」、ターボ機会協会第91回セミナー ポンプの新技術動向 パンフレット、平成22年3月24日、ターボ機械協会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に記載のピットバーレル型ポンプにおいては、立軸ポンプと流入水との干渉や、主軸の回転数と立軸ポンプの固有振動数の一致による共振現象による振動・騒音の発生を防止するために、ピットバーレルの壁面に突起を、ポンプにこの突起に当接するアームを設け、アームのたわみ反力でポンプの揚水管の振動を抑制している。しかしながら、この特許文献1に記載のポンプでは、ピットバーレル内部を下降しポンプ吸込管から吸込まれる流れに発生する吸込み渦を防止することについては、考慮されていない。
【0010】
一方、特許文献2ないし特許文献4に記載の立軸ポンプの吸込み渦防止手段は、それぞれ吸込み渦の発生を防止するためには有効な手段であると考えられる。しかしながら、これらの公報に記載のポンプは、ピットバーレル型ポンプと異なり、すべて気密に構成されたピット内に立軸ポンプが収容されたものではなく、開水路や横方向に十分な貯液部が形成されるピット構造である。その結果、立軸ポンプへの流入方向が、ポンプ吸込み部でほぼ180度変化するものではなく、多くの場合、90度程度の流れの変化に過ぎない。
【0011】
したがって、ポンプ吸込み口に設ける渦防止手段の幅方向の大きさに制限は無く、十分な幅を有して形成することが可能になっている。すなわち、これら公報に記載の立軸ポンプでは、渦防止手段をピットのような限られた空間に収納することについては、十分には考慮されていない。ピットバーレル型ポンプでは、ピットの小型化も要望されており、ピットの小型化に伴う不安定または効率が低下する流れの発生を防止する必要もある。
【0012】
本発明は上記従来技術における不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、ピットバーレル型ポンプが、ピットバーレルの小型化と性能低下を生じない吸込み渦防止手段を有することにある。本発明の他の目的は、ピットバーレル型ポンプにおいて、ピットバーレルの小型化とメンテナンス性に富む吸込み渦防止手段を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する本発明の特徴は、バーレル型のピット内部に立軸ポンプを吊り下げ収容したピットバーレル型ポンプにおいて、前記立軸ポンプは作動流体を吸込むため下端部に設けたポンプ吸込口と、この吸込口に隣り合い回転軸に取り付けられた羽根車と、羽根車の下流側に配置され羽根車で旋回成分を付与された作動流体を昇圧する案内羽根とを備え、前記ポンプ吸込口の下側であってこのポンプ吸込口に渦発生防止装置を付設し、前記ポンプ吸込口および前記渦発生防止装置の外径を前記案内羽根の最大外径よりも小径として前記ピットから前記立軸ポンプとともに前記渦発生防止装置を取り出し可能にしたことにある。
【0014】
そしてこの特徴において、前記渦発生防止装置は、コーン状に形成したコーン状部材と、このコーン状部材の外周側に周方向に間隔を置いて配置した複数のリブとを有し、前記複数のリブを前記ポンプ吸込口に固定することにより前記渦発生防止装置と前記ポンプ吸込口を一体化してもよく、前記渦発生防止装置は、平板またはテーパ状に形成された平板を円板またはコーン状に形成した部材と組み合わせて形成されており、前記円板またはコーン状に形成した部材の外周部には周方向に間隔を置いて複数のリブが配置されており、前記複数のリブを前記ポンプ吸込口に固定することにより前記渦発生防止装置と前記ポンプ吸込口を一体化してもよい。
【0015】
また上記特徴において、前記ピットが、強化プラスティック製であってもよく、前記ピットを有底円筒状に形成し、前記渦発生防止装置のピットに接する底面を外周部が上に添った曲面で形成してもよい。
【0016】
上記目的を達成するための本発明の他の特徴は、上端部にフランジが形成されたバーレル型のピットを収納する凹部を地表面に形成した後バーレル型のピットをこの凹部に保持し、前記ピットのフランジに立軸ポンプに形成したフランジを当接させて立軸ポンプを前記ピット内に収容するとともに前記立軸ポンプを吊り下げ状態にし、前記ピット内部に収容する前記立軸ポンプ上記特徴のものとしたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ピットバーレル内部に立軸ポンプを吊り下げて使用されるピットバーレル型ポンプにおいて、ポンプ外径よりも小径の旋回防止手段をポンプ吸込口に固定して設けたので、ピットバーレルの小型化と性能低下を生じない吸込み渦防止手段が得られる。また、ピットバーレルの小型化とメンテナンス性に富む吸込み渦防止手段を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るピットバーレル型ポンプの一実施例の縦断面図。
【図2】図1に示したピットバーレル型ポンプのライン10部における横断面図。
【図3】本発明に係るピットバーレル型ポンプの他の実施例の縦断面図。
【図4】図3に示したピットバーレル型ポンプのライン10部における横断面図。
【図5】本発明に係るピットバーレル型ポンプのさらに他の実施例の縦断面図。
【図6】図5に示したピットバーレル型ポンプのライン10部における横断面図。
【図7】本発明に係るピットバーレル型ポンプのさらに他の実施例の縦断面図。
【図8】本発明に係るピットバーレル型ポンプのさらに他の実施例の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るピットバーレル型ポンプのいくつかの実施例を、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0020】
図1に、本発明に係るピットバーレル型ポンプ50の一実施例を、縦断面図で示す。本ピットバーレル型ポンプ50は、例えば多段フラッシュ型の海水淡水化プラントにおいて、ブライン循環用ポンプとして使用されるものである。バーレル型ピット1の内部は流体で充満されている。この海水淡水化用ポンプの例が、非特許文献1に記載されており、その大きさは、口径900mm、設計点流量137.2m3/min、揚程21.5m、必要動力670kWとなっている。
【0021】
本実施例に示したピットバーレル型ポンプ50では、有底円筒状に形成されたバーレル型のピット1の側面上部に、このピット1に作動液(水や海水)を供給するピット吸込口9がピット1の軸にほぼ直角に形成されている。ピット1は、海水淡水化用途等を考慮して、ステンレス鋼やその他の耐食性の高い金属、またはFRP、ガラス繊維を混入したGFRPに代表される強化プラスティック等で製作されており、耐食性と耐圧強度を確保している。
【0022】
すなわち、ピット1はポンプ50運転時に気密になるので、圧力容器に準じた形状である。そのため、ピット1の底部は、鏡板のように下方に膨らんだ形状となっている。また、ピット1の上端部は、地表面またはそれ以下の位置に設置される場合が多い。ピット1は地中に埋められた後、周囲をコンクリート等で埋設されている。
【0023】
ピット1内には、立軸ポンプ8が収容されている。立軸ポンプ8は、鉛直に延びた直線部12aの上部に曲がり管部12bが形成された吐出配管12を有しており、図示を省略したが曲がり管部12bには、水平方向に延びる配管が接続されている。吐出配管12の曲がり管部12bの下方には、フランジ12cが取り付けられており、ピット1の上端に設けたフランジ1aとボルト締結されている。これにより、立軸ポンプ8は、ピット1内に気密に吊り下げられる。
【0024】
立軸ポンプ8の下端部に位置するポンプ吸込口2は、縮小流路を形成するベルマウス形状となっている。吸込口の上方には、羽根車ケーシング6a、ディフューザケーシング7aが順に設けられており、ディフューザケーシング7aは吐出配管12の直線部12aに連接している。
【0025】
吐出配管12を貫通して、回転軸5が鉛直方向に延びており、回転軸5の上部は吐出配管12の曲がり管部12bの外側上方に付設した上部軸受14で回転自在に支持されている。曲がり管部12bと上部軸受14間には、軸封装置13が取り付けられている。軸封装置13aは、立軸ポンプ8の作動流体が外部に漏洩するのを封止している。回転軸5の上端部は、図示を省略した原動機に接続されている。
【0026】
回転軸5の下端部には、周方向に間隔を置いて複数枚の羽根が設けられた斜流羽根車6が取り付けられており、ナット5aで回転軸5に固定されている。羽根車6の背面側には、ディフューザ7が配置されており、ディフューザ6のボス側の内周部には下部軸受15が保持されている。下部軸受15は、上部軸受14とともに回転軸5を回転自在に支持する。
【0027】
ここで本発明の特徴として、ベルマウス形に形成した吸込口2に、渦発生防止装置4を設けている。図1に示した立軸ポンプ8の渦発生防止装置4は、断面ラッパ形状のコーン状部材4aと、このコーン状部材4aの外周部に複数個(図では8個)、周方向にほぼ等間隔で配置された角柱(リブ)3とを有している。リブ3は、吸込口2への流路を形成するため、およびコーン状部材4aを吸込口2に保持するために設けられている。リブ3と吸込口2、およびリブ3とコーン状部材4aとは、それぞれボルト締結されている。
【0028】
このように構成したピットバーレル型ポンプ50の動作等について、以下に説明する。ピットバーレル型ポンプ50において、バーレル型に形成されたピット1の上部に位置するピット1の吸込口9から流れFaとして吸込まれた流体は、立軸ポンプ8の直線部12aの周囲部に回りこんだ流れFbとともに、ピット1の内壁面と立軸ポンプ8の外周面との間をピット1の吸込口9からポンプ8の吸込口2へ向けての鉛直下方の流れFc、Fdとなる。
【0029】
そして、ピット1の下部に位置する立軸ポンプ8の吸込口2に導かれる流れFe、Ffを形成する。立軸ポンプ8の吸込口2に到達した流れは、羽根車6の回転により鉛直上方へ導かれ、羽根車6、次いで案内羽根7を経て、吐出し流路への流れFjとなって、ピットバーレル型ポンプ50外へ排出される。
【0030】
羽根車6は、主軸5に接続された図示しない原動機により駆動される。そして、立軸ポンプ8の吸込口2から吸い込まれた作動流体である水に、羽根車6の回転によりエネルギーを付与し、流体を昇圧する。案内羽根7は静止流路であり、羽根車6が流体に与えた流れの周方向旋回成分を軸方向に整流し、圧力回復させる。
【0031】
ポンプ8の吸込口2の下部に位置するピット1の最下部から、ポンプ8の吸込口2に向かって発生する水中渦の発生を抑制するために、ピット1の最下部に渦発生防止装置4を設ける。本実施例では、旋回防止板の代わりにコーン状の渦発生防止装置4を取り付けている。
【0032】
ところで、ブライン循環用ポンプの場合、ピット1の吸込口9での流体の圧力は、大気圧以下である。さらに、土木施工、ピット1製作のコスト低減のため、ピット深さが浅くなる傾向にある。そのため、ポンプ8の吸込口2近傍のポンプ押し込み圧力は低く、大気に接する自由表面を有する一般的なポンプと比べて、水中渦や羽根車に生じるキャビテーションが発生しやすい条件で使用される。そのため、ポンプ8の吸込口2に設置される渦発生防止装置4には、水中渦の発生を防止し、ピット1の上部から流下してくる流体の流れを妨げることなく、均一にポンプ8の羽根車に導かれることが求められる。
【0033】
また、バーレル型のピット1の材料には、ステンレス鋼やその他の金属、FRPやガラス繊維を混入したGFRPに代表される強化プラスティックが用いられる。本実施例では、強化プラスティックでピット1を製作している。この場合には、渦発生を防止するためのコーン状の渦発生防止装置4を吸込口2と一体鋳造等するのが困難になる。そこで立軸ポンプ8の吸込口2の下方に、渦発生防止装置4をリブ3を用いて締結することにより、吸込口2と渦発生防止装置4を一体化している。このようにすることにより、渦発生防止装置4付き立軸型ポンプ8をピット1の内部に上方から吊り下げ設置することが可能になる。
【0034】
従来は、吊り下げられたポンプ8の吸込口2の下方であってピット1側に、渦発生防止用旋回防止板やコーン状の渦発生防止装置を取り付けていた。本実施例によれば、ピット1の上部から吊り下げ設置したポンプ8の吸込口2の下側に、渦発生防止用のコーン状部材4aを、周方向に複数配置したリブ3で吸込口2と一体化している。立軸ポンプ8をこのような構成としているので、吸込口2の最外径φdは、ピット2の上方からの流体の流れを妨げることが無いように、案内羽根7の最外径φdよりも小さくすることが望ましい。
【0035】
図2に、立軸ポンプ8の吸込口2とリブ3で一体化した渦発生防止装置4を、横断面図で示す。図2は、図1の断面線10に沿う図である。コーン状の渦発生防止装置4は、ポンプ吸込口2と同心位置に配置されている。コーン状の渦発生装置4を、ポンプ8の吸込口2の下側に設置したので、ポンプ8の吸込口2で局所的に発生する急激な増速流れを抑制することができる。その結果、水中渦の発生を防止できる。なお、コーン状の渦発生防止装置4を用いたことにより、多段に構成された立軸ポンプ8の回転軸5のオーバーハング量が増大する場合には、ポンプ8の回転軸5を渦発生防止装置4のコーン状部材4aにまで延在させ、コーン状部材4aに保持した軸受で回転軸5の軸端を回転支持すれば、オーバーハング量を低減できる。
【0036】
本実施例によれば、バーレル型ピットの底部側に渦発生防止装置を取り付ける必要が無く、ピットの製作性を優先させた設計が可能になり、ピットの製作コストを低減できる。また、金属材料でピットを製作した場合には、渦発生防止装置を溶接でポンプの吸込口に取り付けることができるので、形状変更が比較的容易になる。さらに、ピットを強化プラスティック等で製作すると、ピット自体を追加工する等の形状変更は強度変化をもたらし困難であるとともに製作コストが高くなるが、本実施例ではピット自体には何等の変更を加えないので、製作性および経済性に富む。
【0037】
また、本実施例によれば、ピット1とポンプ8の吸込口2の間に渦発生防止装置4を配置したので、ポンプの部分流量域での運転時に発生するキャビテーションを伴う羽根車入口逆流が、ピット1に損傷を与えることを防止できる。仮に渦発生防止装置4に損傷が生じても、吊り下げ設置したポンプ8を引き上げれば、ポンプ8の引き上げと同時に渦発生防止装置4も取り出せるので、渦発生防止装置の損傷部のメンテナンスが容易になる。
【0038】
さらに、渦発生防止装置4の形状を変更する必要が生じても、渦発生防止装置4を簡単に取り出せるので、ピットの底面に渦発生防止装置が固定設置されている場合と比較して、ハンドリングが容易になる。さらにまた、本実施例によれば、ピット内に吊り下げ設置したポンプを更新する際に、ピットの底部の形状を考慮せずに渦発生防止装置を設計できるので、既存のピット1を流用でき、ポンプの更新に掛かる時間やコストを抑制できる。
【実施例2】
【0039】
本発明に係るピットバーレル型ポンプの他の実施例を、図3および図4を用いて説明する。図3は、ピットバーレル型ポンプ50の縦断面図であり、図4は図3の断面線10に沿う横断面図である。本実施例が上記実施例と異なるのは、コーン状の渦発生防止装置ではなく、十字に組み合わせた旋回防止板11を渦発生防止装置4bに用いたことにある。水中渦は、旋回流れの旋回中心で圧力が低下することに起因して発生するので、に示した旋回防止板11を設けると、ポンプ8の吸込口2付近での旋回流れが抑制される。これにより、水中渦の発生を防止する。旋回防止板11は、高さh、長さL/2の板4枚を十字型に組み合わせている。なお、流れがよりスムーズに羽根車6に吸込まれるよう、各旋回防止板11は高さ方向にテーパ状に形成されている。
【0040】
本実施例においても、上記実施例と同様に、ピットバーレル型ポンプにおいて、製作性を優先させたピット底部の設計が可能になる。また、ピット底部の損傷を防止でき、かつ渦発生防止装置のメンテナンスや形状変更が容易になる。さらに、ポンプの更新時に、既存のピットの流用が容易となる。
【実施例3】
【0041】
本発明に係るピットバーレル型ポンプのさらに他の実施例を、図5および図6を用いて説明する。図5は、ピットバーレル型ポンプ50の縦断面図であり、図6は図5の断面線10に沿う横断面図である。本実施例では、図1に示した実施例の渦発生防止装置4のコーン状部材4aに、さらに旋回流れを抑制する旋回防止板11bを付加した構造としている。その他は、図1に示した実施例と同一である。旋回防止板11bは、高さh、厚さt、コーン状部材4aと組み合わせたときに外径方向の長さがLとなっている。このような形状としたので、ポンプ吸込口で局所的に発生する急激な増速流れを抑制することができる。また、吸込口2の軸心部で発生しやすい旋回流れを抑制することが可能となり、より水中渦の発生を防止する効果が得られる。
【0042】
本実施例によれば、図1に示した実施例の場合と同様に、製作性を優先させたピット底部の設計が可能になる。また、ピット底部の損傷を防止でき、かつ渦発生防止装置のメンテナンスや形状変更が容易になる。さらに、ポンプの更新時に既存のピット1の流用が容易になる。
【実施例4】
【0043】
本発明に係るピットバーレル型ポンプ50のさらに他の実施例を、図7を用いて説明する。図7は、ピットバーレル型ポンプ50の縦断面図である。本実施例では図1に示した実施例と、ピット1aの形状が異なっている。従来、ピット1の耐圧性を考慮してピット1の底面1bは圧力容器の鏡板のように外側に膨らんだ形状となっていたが、他の手段で耐圧製が保障されるときは、平面1d状にすることも可能である。すなわち、ピット1の厚さが厚い、ピットに加わる応力が少ない等の場合である。このようにすれば、ピットの製作性およびピット周囲部の製作性が向上する。
【0044】
ピット1aが有底円筒状となったので、ピット1aの下隅に角部が形成され、流れの淀みが発生するおそれがある。これらは吸込み渦発生の要因となるので、本実施例では、渦発生防止装置4を構成するコーン状部材4fの底面側外周部4gを、上方に曲がった曲面形状としている。さらに、コーン状部材4fの外径φdvを、ポンプ8の吸込口2bの外径φdよりも大径にしている。その他は、図1に示した実施例と同様である。
【0045】
本実施例によれば、図1に示したコーン状部材4aの底部形状が曲率を持ち、ピット1aの上部から流下する流体をより滑らかにポンプ8の吸込口2bに導くことができる。さらに、ピット1aの上方からポンプ8の吸込口2bへ流入する流れがより滑らかになるように、ポンプ8の吸込口2bの最外径部も上方に曲がった曲面としている。ピットの底部の形状に関わらず、ポンプの吸込口へ流れが滑らかに導かれるように制御することが可能となり、水中渦の発生を防止できる。ひいては、ピット1aの上部から吸込口2bへ流入する流れを制御できるので、ポンプ8の吸込部で発生する損失を低減できる。
【実施例5】
【0046】
本発明に係るピットバーレル型ポンプ50のさらに他の実施例を、図8を用いて説明する。図8は、ピットバーレル型ポンプ50の縦断面図である。本実施例は、図7に示した実施例と立軸ポンプ8の吸込口2dの形状のみ相違している。図7の実施例では、吸込口2aの外周側を上方に反らせて流れFe、Ffを滑らかに吸込口2aに導いていた。本実施例では流れFe、Ffをさらに滑らかに吸込口2dへ導くために、吸込口2dの外周側に形成される凹み部2cを、部材2fで覆っている。これにより、吸込口2dの外周部は外径φdのほぼ円筒形状となり、くびれ部がなくなっている。
【0047】
ピット1aの上方からポンプ8の吸込口2dへ向かって流体が下方へ流れるときに、ピット1aの上方から流入した流体は案内羽根7の外周(外径φd部)を通過する際に、縮流となる。ポンプ8の外周部とピット1aの内周部との間に形成される空間は、案内羽根7の最大径部を経ると次第に増大し、ポンプの吸込口2の最小径φd部から再び縮小流路に転じる。そして、ポンプ8の吸込口2端部で極小流路面積となる。このような拡大および縮小を繰り返す流路を流体が流通すると、流れの損失が増加する。
【0048】
この不具合を解消するために、ピット1aの内部における流路断面積の変化を小さくして、ポンプ8の吸込口2dの最大径φd部を上方へ延長し、流路断面積の変化に伴う流路損失の低減を図っている。本実施例によれば、ピット1aの内部で発生する損失を低減しポンプ8の流体効率の低下を防止できる。さらに、渦の発生を防止することができる。
【0049】
なお、本実施例では、案内羽根7のフランジ面下部からポンプ8の吸込口2dの上部間での流路の拡大および縮小による損失を低減する構造としたが、ポンプ8の吸込口2の最大径を案内羽根7の最大径と同じかそれよりも小さくすれば、上記と同様の効果が得られる。
【0050】
上記各実施例に記載のように、ポンプの吸込口に旋回防止装置を一体的に設け、ポンプの最大径を案内羽根部の最大径としているので、ポンプ外径とピット内周間に形成される流れ空間はポンプの大きさで規定でき、ピットの内径を旋回防止装置に応じて変更する必要がない。すなわち、ポンプ仕様が決まれば、ピットの仕様決定できピットを小型化できる。
【0051】
なお、上記実施例ではピットを強化プラスティックで製作した例を説明したが、上述したとおり、ステンレス鋼やその他の金属、FRPやガラス繊維を混入したGFRP等、耐食性に優れるものであれば、どのような材料でできたピットにも本発明は適用できる。また、耐食性がそれほど無くとも表面処理等がきる場合、耐食性を要求されない環境で使用する場合は、もちろん他の材料でもかまわず、本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1、1a…ピット、1b、1d…底面、2、2a、2b、2d…(ポンプ)吸込口、2c…凹み部、2f…円筒部、3…リブ、4…渦発生防止装置、4a、4f…コーン状部材、4c…円板部材、4g…外周部、5…回転軸、6…羽根車、7…案内羽根、8…立軸ポンプ、9…(ピット)吸込口、10…断面位置、11、11b…旋回防止板、50…ピットバーレル型ポンプ、d…吸込口外径、d…案内羽外径、d…吸込み最小径、dv…渦発生防止装置外径、Fa〜Fj…流れ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーレル型のピット内部に立軸ポンプを吊り下げ収容したピットバーレル型ポンプにおいて、
前記立軸ポンプは作動流体を吸込むため下端部に設けたポンプ吸込口と、この吸込口に隣り合い回転軸に取り付けられた羽根車と、羽根車の下流側に配置され羽根車で旋回成分を付与された作動流体を昇圧する案内羽根とを備え、前記ポンプ吸込口の下側であってこのポンプ吸込口に渦発生防止装置を付設し、前記ポンプ吸込口および前記渦発生防止装置の外径を前記案内羽根の最大外径よりも小径として前記ピットから前記立軸ポンプとともに前記渦発生防止装置を取り出し可能にしたことを特徴とするピットバーレル型ポンプ。
【請求項2】
前記渦発生防止装置は、コーン状に形成したコーン状部材と、このコーン状部材の外周側に周方向に間隔を置いて配置した複数のリブとを有し、前記複数のリブを前記ポンプ吸込口に固定することにより前記渦発生防止装置と前記ポンプ吸込口を一体化したことを特徴とする請求項1に記載のピットバーレル型ポンプ。
【請求項3】
前記渦発生防止装置は、平板またはテーパ状に形成された平板を円板またはコーン状に形成した部材と組み合わせて形成されており、前記円板またはコーン状に形成した部材の外周部には周方向に間隔を置いて複数のリブが配置されており、前記複数のリブを前記ポンプ吸込口に固定することにより前記渦発生防止装置と前記ポンプ吸込口を一体化したことを特徴とする請求項1に記載のピットバーレル型ポンプ。
【請求項4】
前記ピットが、強化プラスティック製であることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載のピットバーレル型ポンプ。
【請求項5】
前記ピットを有底円筒状に形成し、前記渦発生防止装置のピットに接する底面を外周部が上に添った曲面で形成したことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載のピットバーレル型ポンプ。
【請求項6】
上端部にフランジが形成されたバーレル型のピットを収納する凹部を地表面に形成した後バーレル型のピットをこの凹部に保持し、前記ピットのフランジに立軸ポンプに形成したフランジを当接させて立軸ポンプを前記ピット内に収容するとともに前記立軸ポンプを吊り下げ状態で収容し、前記立軸ポンプを請求項1ないし5のいずれかに記載の立軸ポンプとしたことを特徴とするピットバーレル型ポンプの組込み方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−104308(P2013−104308A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246613(P2011−246613)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】