説明

ピペッター接続具及びピペッターの使用方法

【課題】通常化学分析においてゴム製のピペッタ−を用いて液体を吸引するに際して、ピペッタ−にガラス製ピペットのような吸引具を装着するが、装着がより容易でかつ安全にでき、種々の太さの吸引具を装着できる接続具を提供することにある。
【解決手段】ゴム製のピペッタ−の液体吸引口に硬質管を装着し、さらに硬質管に適当な長さのゴム管を装着して液体を吸引する接続具を用いるものである。このゴム管の吸引具を挿入する側の口の直径を種々変更したものを用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴム製又はシリコンゴム製のピペッタ−を用いて液体を吸引する際、容易にかつ安全に、吸引することができる接続具及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりゴム製のピペッタ−は簡便、安価なことから化学分析等、主にピペット作業に用いられてきた。ピペッタ−はピペットの吸入口に装着して使用するが、ピペッタ−のゴムが比較的硬く、摩擦係数が高いため装着する際に強い力が必要となり、その際に力を入れすぎたり、力の入れる方向が間違ったりしてガラス製のピペットを破損するという事態が頻繁に発生している。
【0003】
これに対し、例えば登録実用新案第3026625号公報(特許文献1)においては上下分離可能な安全ピペッターが開示されているが、ピペッターの構造が複雑となり操作も難しくなり、また製造コストも上がるというデメリットがあった。
【0004】
また、ピペッタ−の吸入口の内径は変えることができないので1つのピペッタ−に対してはそれに対応するピペットしか使えないため、直径の異なるピペットを用いるには吸入口の内径の異なるピペッタ−を備えなければならなかった。
【特許文献1】登録実用新案第3026625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は従来市場に出回っているゴム製ピペッタ−を使用し、ガラス製ピペットを装着する際に、力を加えすぎてピペットが切損するおそれを感じ、より安全にかつ容易にピペットに装着する方法を見出す必要にせまられた。また少し直径の異なるピペットを1個のピペッタ−で使おうすると、空気が洩れて吸引できず、逆に太いものであると装着ができないという問題につきあたった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、液体を吸引する際に、容易で安全、かつ種々のピペットを一つのピペッタ−を使用するための接続具を見出した。すなわち、本発明の要旨は、「ゴム製ピペッタ−の接続口に装着する接続具であって、該ピペッターの接続口に装着し得る硬質管、及び該硬質管に装着した適切な厚みを有するゴム管からなることを特徴とするピペッター接続具。」及び「ゴム製ピペッタ−の接続口に硬質管を装着し、さらに該硬質管に適切な厚みを有するゴム管を装着して、該ゴム管にピペットを装着して液体を吸引するピペッターの使用方法。」である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ガラス性のピペットの折損の危険性がなく、安全に装着できる。さらに柔軟性の高いゴム管を使用するため、多少ピペットの直径が合わない場合でも装着が容易にできる。 そのため、化学分析の初心者でも容易に安全に作業ができるという効果が得られる。
【0008】
また、従来1個のピペッタ−に対して使用できるピペットはピペッタ−の吸引口の直径に合った直径をもつ吸引具しか使用できなかったが、本発明で使用する両端の内径が異なるゴム管を使用することによって、どんな直径を有するピペットも1個のピペッタ−で使用できるという大きな効果を得ることが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
通常の化学分析ではゴム製ピペッターをピペットに装着して使用するが、従来のゴム製ピペッターの接続口(吸引具装着口)はゴム製であるため、摩擦係数が高く、またゴムの伸縮性が乏しいため、強い力でピペットを押し込む必要があり、ピペットがガラス製であると切損することがあった。そこで本発明においては、ピペッタ−接続口に硬質管を装着し、さらに硬質管に柔軟性のあるゴム管を装着し、その先にピペットを装着するものである。 このゴム管は柔軟性があるため、ピペットを容易に装着することができ、また密着性が高いため、吸引性も直接ピペッタ−に装着した場合と変わらない性能が得られる。また、このゴム管の硬質管を挿入する反対側の口の内径を異なったものにすることによってどのような直径を有するピペットでも使用できるという大きな効果が得られる。
【0010】
なお、本発明において、ピペットとはホールピペット、メスピペット等の他、駒込ピペットやその他、液体を吸引する測定器具等も含まれる概念である。
【0011】
本発明のピペッター接続具及びピペッターの使用方法方法を添付した図を参照して具体的に説明する。
【0012】
図1は市場で購入できるゴム製のピペッタ−の側面図を示す。本発明において、ピペッターは公知のゴム製のピペッターである。すなわち、ゴム球、排気・吸入・排出バルブ及び排気・吸入・排出口を有する、俗に安全ピペッターとも呼ばれるものである。最大容量(ゴム球容量)は問わない。なお、本発明においてゴム製とは、通常のゴム製の他、シリコンゴム製をも含む概念である。
【0013】
通常、化学分析では図2のようにピペッタ−の接続口にガラス製のピペットのようなものを力を加えて装着するが、それによってガラスが破損する危険が存在する。
【0014】
そこで本発明においては、図3に示すようにピペッタ−の接続口に硬質管を装着する。ここで、硬質管の素材としては硬質プラスチックス(ナイロン、フッ素樹脂、ポチエチレン、ポリプロチレン、塩化ビニルなど)や金属(ステンレスなど)など、ピペッターを構成するゴムよりも硬質であればよく、ピペットに吸引する液体に犯されない素材であることがより好ましい。なお、硬質感の直径(外径)はピペッターの接続口の内径よりもやや大きめが好ましい。また、硬質管の長さは、あまり長すぎると操作性が阻害されるので、ピペッターの大きさにもよるが数cm程度までに留めることが好ましい。より具体的には2〜4cmである。2cm以上であればゴム管が抜けやすくなることもなく、4cm以下であればピペッターが操作しにくくなることもない。
【0015】
さらに、図4に示すように硬質管に肉厚ゴム管を装着し、この肉厚ゴム管にピペットを装着する。肉厚ゴム管としては、吸引される際に圧力低下でゴム管がつぶれないような適切な厚みを有するゴム管であれば特に限定されない。また、ピペットを装着する際の容易性や、液体を吸引する際のピペットとの密着性を考慮すると、適度な柔軟性のある素材、例えばゴムを使用したものであることがより好ましい。また、ピペットに吸引する液体に犯されにくいゴムであることがより好ましい。肉厚ゴム管としては、具体的には市販の耐圧ゴム管、真空ゴム管、肉厚のシリコーン管等が挙げられる。なお、肉厚ゴム管の長さは、あまり長すぎると操作性が阻害されるので、数cm〜10cm程度とすることが好ましい。より好ましくは2〜5cmである。2cm以上であれば硬質管及びピペットが抜けやすくなることもなく、5cm以下であればピペッターが操作しにくくなることもない。
【0016】
図5は両端の内径が異なる肉厚ゴム管(径違いゴム管)を使用して種々な直径のピペットが使用できるようにしたものである。肉厚ゴム管の内径が一定であると、硬質管と同径程度のピペットにしか対応できないが、このように両端で内径の異なるゴム管を使用することにより、容易に安全に吸引作業ができるようにしたものである。図5はピペッターの接続口内径(もしくは硬質管直径)よりも大きな直径のピペットを挿入するための態様であるが、その逆、すなわち、ピペッターの接続口内径(もしくは硬質管直径)よりも小さい直径のピペットを挿入するための態様も本発明に含まれる。
【0017】
なお、本発明のピペッター接続具は、ピペッター及びピペットに接続すれば、これまで通りのピペッターの使用方法でピペッターを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ゴム製ピペッタ−側面図である(破線は内部の様子を示す。)。
【図2】ゴム製ピペッタ−にガラス製ピペットを装着する際に力を加えすぎて、破損する状況を示す側面図である。
【図3】ピペッタ−に硬質管を装着した本状態を示す側面図である。
【図4】ピペッタ−に硬質管を装着し、さらに肉厚ゴム管を装着した側面図である。
【図5】ピペッタ−に両端の口の内径が異なる肉厚ゴム管を装着した側面図である
【符号の説明】
【0019】
1:排気バルブ
2:ゴム球
3:吸入バルブ
4:排出バルブ
5:ピペッターの接続口
6:ピペット
7:硬質管
8:肉厚ゴム管
9:径違い肉厚ゴム管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム製ピペッタ−の接続口に装着する接続具であって、該ピペッターの接続口に装着し得る硬質管、及び該硬質管に装着した肉厚ゴム管からなることを特徴とするピペッター接続具。
【請求項2】
前記ゴム管のピペットを挿入する側の口の内径が硬質管を挿入した側の内径と異なることを特徴とする請求項1に記載の接続具。
【請求項3】
ゴム製ピペッタ−の接続口に硬質管を装着し、さらに該硬質管に肉厚ゴム管を装着して、該ゴム管にピペットを装着して液体を吸引するピペッターの使用方法。
【請求項4】
前記ゴム管の吸引具を挿入する側の口の内径を硬質管を挿入した側の内径と異なることを特徴とする請求項3に記載のピペッターの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−185582(P2007−185582A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4462(P2006−4462)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】