ピペット装置
【課題】採取量の調整を短時間で行なえるピペット装置を提供する。
【解決手段】プッシュロッド5を回転させることによりプランジャ3を軸方向に移動させてシリンダ部aの容積を調節するピペット装置1であって、入力された回転を増速させて前記プッシュロッド5に伝達する増速機構35をピペット本体2と前記プッシュロッド5との間に設けた。
【解決手段】プッシュロッド5を回転させることによりプランジャ3を軸方向に移動させてシリンダ部aの容積を調節するピペット装置1であって、入力された回転を増速させて前記プッシュロッド5に伝達する増速機構35をピペット本体2と前記プッシュロッド5との間に設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査や分析あるいは実験等に使用にされる試料(液体)を所定量採取するためのピペット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のピペット装置では、採取する液体量を微調整できるようにした採取量調整機構を設けている。例えば、特許文献1では、ピペット本体のシリンダ部内に、シリンダ容積を変化させるプランジャを進退自在に配設し、該プランジャを進退させるプッシュロッドをピペット本体内に回転可能かつ軸方向移動可能に挿入配置し、該プッシュロッドに噛合するナット部材をピペット本体に回転不能に支持している。そして、前記プッシュロッドに固定された調整ノブを回転させることによりプッシュロッドが軸方向に移動してプランジャのストローク量を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−210188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来のピペット装置では、調整ノブの1回転あたりのストローク量が微小であるため、プッシュロッドを相当数回転させなければ所望の採取量に調整することができず、それだけ調整に時間がかかるという問題がある。特に、採取量が頻繁に変わる場合には、調整に手間がかかり、作業性が低下することから、この点での改善が要請されている。
【0005】
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、採取量の調整を短時間で行なえるピペット装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、シリンダ部を有するピペット本体と、該シリンダ部内に軸方向に移動可能に挿入配置され、シリンダ容積を変化させるプランジャと、前記ピペット本体内に回転可能、かつ軸方向移動可能に挿入され、前記プランジャが接続されたプッシュロッドと、前記ピペット本体内に回転不能かつ軸方向移動可能に支持され、前記プッシュロッドの回転を該プッシュロッドの軸方向移動に変換するナットとを備え、前記プッシュロッドを回転させることにより前記プランジャを軸方向に移動させて前記シリンダ容積を調整するピペット装置であって、
入力回転を増速させて前記プッシュロッドに伝達する増速機構を前記ピペット本体と前記プッシュロッドとの間に設けたことを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のピペット装置において、
前記増速機構は、前記プッシュロッドに同軸をなすよう設けられた太陽歯車と、該太陽歯車の外周を公転しつつ自転する遊星歯車と、前記ピペット本体に回転自在に支持され、前記遊星歯車を回転自在に支持するキャリアと、前記ピペット本体に回転不能に支持され、内周面に前記遊星歯車に噛合する内歯車が形成されたアウタリングとを有する遊星歯車式のものであり、前記キャリアに入力された回転を増速させて前記プッシュロッドに伝達することを特徴としている。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のピペット装置において、
前記増速機構は、前記プッシュロッドに入力された回転をそのままプッシュロッドから出力することを特徴としている。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2に記載のピペット装置において、
前記キャリアは、前記遊星歯車を回転自在に支持する有底筒状の保持部と、該保持部の開口に装着された軸受板とを有し、前記保持部に形成された開口部に前記遊星歯車が配置され、該遊星歯車の両端の軸部は前記保持部の底壁,前記軸受板により回転自在に支持されていることを特徴としている。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載のピペット装置において、
前記キャリアは、前記保持部に一体形成され、前記ピペット本体から軸方向外方に突出する突出部を有し、該突出部に入力部材が装着されていることを特徴としている。
【0011】
請求項6の発明は、請求項2に記載のピペット装置において、
前記キャリアは、前記アウタリングにより回転自在に支持されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、入力回転を増速してプッシュロッドに伝達する増速機構を設けたので、採取量の調整を短時間で行なうことができ、作業性を向上できる。
【0013】
請求項2の発明では、増速機構を遊星歯車機構により構成したので、コンパクトな構造で大きな増速比を得ることができ、ピペット本体を大型化することなくピペット本体とプッシュロッドとの間に増速機構を配置できる。
【0014】
請求項3の発明では、前記増速機構を、前記プッシュロッドに入力された回転をそのままプッシュロッドから出力する構成としたので、採取量を調整するにあたり、増速機構により短時間で大まかに調整でき、続いてプッシュロッドを回転させることで微調整することができ、採取量調整の精度を高めることができる。
【0015】
請求項4の発明では、前記キャリアを、有底筒状の保持部に形成された開口部に前記遊星歯車が配置し、該遊星歯車の両端の軸部を前記保持部の底壁,前記軸受板により回転自在に支持したので、遊星歯車部分を小型化でき、ピペット本体を大きくすることなく増速機構を配置できる。
【0016】
請求項5の発明では、前記キャリアの保持に一体形成され、前記ピペット本体から軸方向外方に突出する突出部に入力部材を装着したので、この入力部材を回転させることでキャリアを容易に回転させることができる。
【0017】
請求項6の発明では、前記キャリアを、前記ピペット本体に固定されたアウタリングにより回転自在に支持したので、キャリアをピペット本体で回転自在に支持する構造を構造の複雑化,部品点数の増加を来すことなく実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1によるピペット装置の断面側面図である。
【図2】前記ピペット装置の増速機構の断面平面図(図3のII-II線断面図)である。
【図3】前記増速機構の断面側面図(図4(a)のIII-III 線断面図) である。
【図4】前記増速機構のキャリアの正面図,側面図,背面図である。
【図5】前記増速機構の太陽歯車が形成されたプッシュロッドの側面図である。
【図6】前記増速機構のアウタリングの正面図,側面図である。
【図7】前記増速機構の遊星歯車の正面図,側面図である。
【図8】前記ピペット装置の目盛リングの側面図である。
【図9】前記ピペット装置のアウタハウジングの平面図である。
【図10】前記アウタハウジングの断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0020】
図1ないし図10は、本発明の実施例1によるピペット装置を説明するための図である。
【0021】
図において、1は検査や分析あるいは実験等に使用される試料(液体)を所定量採取するためのピペット装置を示している。
【0022】
前記ピペット装置1は、シリンダ部aを有するピペット本体2と、該シリンダ部a内に軸方向移動可能に配置され、前記シリンダ部aのシリンダ容積を変化させるプランジャ3と、前記ピペット本体2内に回転可能に、かつ軸方向移動可能に挿入され、前記プランジャ3を軸方向に移動させるプッシュロッド5と、前記ピペット本体2に回転不能に支持され、前記プッシュロッド5の回転を該プッシュロッド5の軸方向移動に変換するナット6とを備えている。なお、前記シリンダ容積とは、前記プランジャ3の軸方向移動可能距離(ストローク)を意味する。
【0023】
前記ピペット本体2は、把持部9aが形成された筒状のアウタハウジング9と、該アウタハウジング9内に配設されたインナハウジング10と、該インナハウジング10から下方に延びるノズルコーン11とを有する。
【0024】
前記ノズルコーン11は、大径部11aと、該大径部11aに続いて形成され、前記シリンダ部aを構成する小径部11bと、該小径部11bの先端部にテーパ状に形成されたノズル部11cとを有する。該ノズル部11cにピペットチップ12が着脱可能に装着される。
【0025】
前記プランジャ3は、前記ノズルコーン11から前記インナハウジング10の下部内に渡るように配置され、前記プッシュロッド5は、その大部分が前記インナハウジング10内に位置するように配置されている。前記プッシュロッド5の下端部に前記プランジャ3の上端部が嵌合接続されている。また前記プッシュロッド5の上部は前記ピペット本体2の上方に突出しており、その上端部にはプッシュボタン7が固定されている。
【0026】
前記ノズルコーン11の大径部11aと小径部11bの境界部に配置固定されたばね受け座金13と、前記ノズルコーン11の上部に配設されたばね受け座金14aとの間にばね4が配置されている。また前記境界部には、小径部11bとプランジャ3との間を気密にシールするOリング15が配置されている。このOリング15は前記ばね4の付勢力により上記ばね受け座金13で押圧され、前記シールが確実なものとなっている。
【0027】
前記ナット6は、前記プッシュロッド5の下端部に形成されたねじ部5aに相対回転可能に螺装され、また前記インナハウジング10の内面に、軸方向に移動可能かつ回転不能にスプライン嵌合されている。さらにまた、前記ノズルコーン11の上部に形成された段部11dにはばね受け座金14bが配置され、該ばね受け座金14bと前記プッシュロッド5の下部に螺装された前記ナット6との間には、ばね部材17が配設されている。前記ばね受け座金14aは前記ばね受け座金14bにより上方移動が阻止されている。
【0028】
前記ピペット装置1は、使用済みのピペットチップ12をノズルコーン11から取り外すピペット取り外し機構20を備えている。
【0029】
この取り外し機構20は、前記ノズルコーン11の外周部を囲むように装着されたエジェクトコーン23と、該エジェクトコーン23に連結されたエジェクトロッド21と、該エジェクトロッド21を復帰方向(図1の上方)に付勢する復帰ばね22とを有する。前記エジェクトコーン23の上端部は前記アウタハウジングの下端部に挿入されている。また前記エジェクトロッド21の上端部にはエジェクトボタン21aが取り付けられており、前記エジェクトコーン23の下端は前記ピペットチップ12に対向して当接している。
【0030】
前記エジェクトボタン21aを指で押し下げると、エジェクトロッド21が前記エジェクトコーン23を下降させ、これにより使用済のピペットチップ12が押し下げられてノズルコーン11から落下する。エジェクトボタン21aから指を離すと、復帰ばね22によりエジェクトロッド21ひいてはエジェクトコーン23が元の位置に戻る。
【0031】
前記プッシュロッド5には、第1〜第3目盛ダイヤル25〜27が装着されている。この第1目盛ダイヤル25は、プッシュロッド5に共に回転し、かつ軸方向に相対移動可能に結合されており、第2,第3目盛ダイヤル26,27はプッシュロッド5に相対回転可能に装着されている。また第1〜第3目盛ダイヤル25〜27は歯車シャフト28により連結されている。
【0032】
前記プッシュロッド5が回転すると第1目盛ダイヤル25が回転して目盛が増加し、該第1目盛ダイヤル25が10目盛増加すると第2目盛ダイヤル26が1目盛増加し、さらに第2目盛ダイヤル26が10目盛増加すると第3目盛ダイヤル27が1目盛増加する。このようにしてプッシュロッド5の回転数に応じて目盛ダイヤル25〜27の目盛が変化し、該目盛に応じた採取量となるようにシリンダ容量が調整されたことが確認される。
【0033】
なお、前記プッシュロッド5の回転数と目盛ダイヤル25〜27の目盛の変化については、前記の例に限定されないのは勿論である。例えば第1目盛ダイヤル25の5目盛あるいは2目盛増加により第2目盛26が1目盛増加するようにしても良い。
【0034】
前記インナハウジング10内には前記プッシュロッド5が不用意に回転するのを規制する節度機構30が配設されている。この節度機構30は、インナハウジング10に回転不能に固定された固定板31aと、プッシュロッド5に、これと共に回転するように装着された可動板31bと、該可動板31bに保持された複数のボール33と、該各ボール33を前記固定板31aとで挟持するばね座金32aと、該ばね座金32aを固定板31a側に押圧付勢する付勢ばね34とを有する。前記固定板31aには前記ボール33が係止する凹部が形成されている。
【0035】
前記インナハウジング10と前記プッシュロッド5との間には、入力回転を増速させて、又はそのまま前記プッシュロッド5に伝達する遊星歯車式の増速機構35が配設されている。
【0036】
前記増速機構35は、前記プッシュロッド5の上部に同軸をなすよう一体に形成され太陽歯車5bと、該太陽歯車5bの外周を公転しつつ自転する3つの遊星歯車36と、各遊星歯車36を回転自在に支持するキャリア37と、前記各遊星歯車36に噛合する内歯車38bを有し、前記ピペット本体2のアウタハウジング9に回転不能に支持されたアウタリング38とを有する。
【0037】
前記アウタリング38は、円筒状をなしており、その外周面には前記アウタハウジング9に嵌合する嵌合部38aが形成され、内周面の軸方向上半部に前記内歯車38bが形成されている。また前記内周面の下半部にはばね座金32bが配置され、該ばね座金32bに前記ばね34が圧接している。
【0038】
前記キャリア37は、底壁37a′を有する筒状の保持部37aと、該保持部37aの軸方向下端部に装着された軸受板37bとを有する。前記底壁37a′には前記プッシュロッド5が貫通する貫通孔37gが形成されている。また前記軸受板37bは前記保持部37aに一体形成されたボス部37fにより圧入等により固定されている。また前記保持部37aの軸方向上端部には増速ダイヤル39が嵌合装着される六角形状の突出部37cが前記ピペット本体2から突出するように一体形成されている。
【0039】
また前記保持部37aには前記各遊星歯車36を収容する開口部37dがスリット状に形成されている。該開口部37d内に前記遊星歯車36が配設されている。
【0040】
前記保持部37aの底壁37a′及び軸受板37bには、遊星歯車36の軸部36aを回転自在に支持する軸孔37eが形成されている。前記遊星歯車36は前記開口部37dに配置され、前記内歯車38b及び太陽歯車5bに噛合している。
【0041】
本実施例の増速機構35は、前記増速ダイヤル39を1回転させるとプッシュロッド5が約3.5回転するように各歯車の歯数や入力部材,出力部材が設定されている。具体的には例えば、太陽歯車5bの歯数は12,各遊星歯車36の歯数は9、内歯車38bの歯数は30に設定され、増速ダイヤル39ひいてはキャリア37が入力部材となり、プッシュロッド5が出力部材となっている。
【0042】
なお、前記増速比については、前記の例に限定されないのは勿論である。
【0043】
本実施例のピペット装置1により試料を採取するには、指で前記増速ダイヤル39を、前記第1〜第3目盛ダイヤル25〜27が必要な採取量に近くなるまで回転させ、続いてプッシュロッド5を回転させて微調整する。この場合、上述のように、増速ダイヤル39の回転は3倍に増速されてプッシュロッド5に伝達され、プッシュロッド5を回転させた場合はそのままプッシュロッド5が回転し、プランジャ3を軸方向に移動させ、該プランジャ3のストローク量ひいてはシリンダ部aの容量が設定される。
【0044】
ノズルコーン11のノズル部11cにピペットチップ12装着し、指でプッシュボタン7を押してプランジャ3をシリンダ容積縮小方向の下端位置まで移動させる。この状態でピペットチップ12を試料に浸漬させ、前記プッシュボタン7から指を離す。するとプランジャ3がばね17の付勢力により容積拡大方向に上昇し、ピペットチップ12内が負圧となり、前記表示された量の試料が採取される。この採取した試料を検査,分析装置等に注入には、プッシュボタン7を再度押し下げれば良く、これにより、プランジャ3が下降してピペットチップ12から試料が吐出される。この後、エジェクトボタン21aを押し下げて使用済みのピペットチップ12を排出する。
【0045】
本実施例によれば、増速ダイヤル39への入力回転を増速してプッシュロッド5に伝達する増速機構35を設けたので、試料の採取量の調整を短時間で行なうことができる。これにより、採取量の設定を頻繁に変更する場合であっても採取作業性を向上でき、採取作業を迅速に行なうことができる。
【0046】
本実施例では、前記増速機構35を、プッシュロッド5に一体に形成され太陽歯車5bと、該太陽歯車5bの外周を公転しつつ自転する3つの遊星歯車36と、各遊星歯車36を回転自在に支持するキャリア37と、前記各遊星歯車36に噛合する内歯車38bとを有する遊星歯車機構により構成したので、コンパクトな構造で大きな増速比を得ることができる。
【0047】
また、増速機構35を遊星歯車式の機構により構成したので、コンパクトな構造で大きな増速比を得ることができ、ピペット本体2を大型化することなくピペット本体2とプッシュロッド5との間に増速機構35を配置できる。
【0048】
また、前記増速機構35を、前記プッシュロッド5に入力された回転をそのままプッシュロッド5から出力する構成としたので、採取量を調整するにあたり、増速機構35により短時間で大まかに調整でき、続いてプッシュロッド5を回転させることで微調整することができ、採取量調整の精度を高めることができる。
【0049】
また、前記キャリア37を、有底筒状の保持部37aに形成された開口部37dに前記遊星歯車36を配置し、該遊星歯車36の両端の軸部36aを前記保持部37aの底壁37a′,前記軸受板37bにより回転自在に支持したので、遊星歯車36部分を小型化でき、ピペット本体2を大きくすることなく増速機構35を配置できる。
【0050】
また、前記キャリア37の保持部37aに一体形成され、前記ピペット本体2から軸方向外方に突出する突出部37cに増速ダイヤル(入力部材)39を装着したので、この増速ダイヤル39を回転させることでキャリア37を容易に回転させることができる。
【0051】
さらにまた、前記キャリア37を、前記ピペット本体2に固定されたアウタリング38により回転自在に支持したので、キャリア37をピペット本体2で回転自在に支持する構造を構造の複雑化,部品点数の増加を来すことなく実現できる。
【0052】
なお、前記実施例では、増速機構35を遊星歯車式のものとした場合を説明したが、本発明の増速機構は、これに限られることはない。例えば、平歯車の組合せにより、あるいはハーモニックギヤにより増速機構を構成することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 ピペット装置
2 ピペット本体
3 プランジャ
5 プッシュロッド
5b 太陽歯車
6 ナット
35 増速機構
36 遊星歯車
36a 軸部
37 キャリア
37a 保持部
37a′底壁
37b 軸受板
37c 突出部
37d 開口部
38 アウタリング
38b 内歯車
39 増速ダイヤル(入力部材)
a シリンダ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査や分析あるいは実験等に使用にされる試料(液体)を所定量採取するためのピペット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のピペット装置では、採取する液体量を微調整できるようにした採取量調整機構を設けている。例えば、特許文献1では、ピペット本体のシリンダ部内に、シリンダ容積を変化させるプランジャを進退自在に配設し、該プランジャを進退させるプッシュロッドをピペット本体内に回転可能かつ軸方向移動可能に挿入配置し、該プッシュロッドに噛合するナット部材をピペット本体に回転不能に支持している。そして、前記プッシュロッドに固定された調整ノブを回転させることによりプッシュロッドが軸方向に移動してプランジャのストローク量を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−210188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来のピペット装置では、調整ノブの1回転あたりのストローク量が微小であるため、プッシュロッドを相当数回転させなければ所望の採取量に調整することができず、それだけ調整に時間がかかるという問題がある。特に、採取量が頻繁に変わる場合には、調整に手間がかかり、作業性が低下することから、この点での改善が要請されている。
【0005】
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、採取量の調整を短時間で行なえるピペット装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、シリンダ部を有するピペット本体と、該シリンダ部内に軸方向に移動可能に挿入配置され、シリンダ容積を変化させるプランジャと、前記ピペット本体内に回転可能、かつ軸方向移動可能に挿入され、前記プランジャが接続されたプッシュロッドと、前記ピペット本体内に回転不能かつ軸方向移動可能に支持され、前記プッシュロッドの回転を該プッシュロッドの軸方向移動に変換するナットとを備え、前記プッシュロッドを回転させることにより前記プランジャを軸方向に移動させて前記シリンダ容積を調整するピペット装置であって、
入力回転を増速させて前記プッシュロッドに伝達する増速機構を前記ピペット本体と前記プッシュロッドとの間に設けたことを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のピペット装置において、
前記増速機構は、前記プッシュロッドに同軸をなすよう設けられた太陽歯車と、該太陽歯車の外周を公転しつつ自転する遊星歯車と、前記ピペット本体に回転自在に支持され、前記遊星歯車を回転自在に支持するキャリアと、前記ピペット本体に回転不能に支持され、内周面に前記遊星歯車に噛合する内歯車が形成されたアウタリングとを有する遊星歯車式のものであり、前記キャリアに入力された回転を増速させて前記プッシュロッドに伝達することを特徴としている。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のピペット装置において、
前記増速機構は、前記プッシュロッドに入力された回転をそのままプッシュロッドから出力することを特徴としている。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2に記載のピペット装置において、
前記キャリアは、前記遊星歯車を回転自在に支持する有底筒状の保持部と、該保持部の開口に装着された軸受板とを有し、前記保持部に形成された開口部に前記遊星歯車が配置され、該遊星歯車の両端の軸部は前記保持部の底壁,前記軸受板により回転自在に支持されていることを特徴としている。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載のピペット装置において、
前記キャリアは、前記保持部に一体形成され、前記ピペット本体から軸方向外方に突出する突出部を有し、該突出部に入力部材が装着されていることを特徴としている。
【0011】
請求項6の発明は、請求項2に記載のピペット装置において、
前記キャリアは、前記アウタリングにより回転自在に支持されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、入力回転を増速してプッシュロッドに伝達する増速機構を設けたので、採取量の調整を短時間で行なうことができ、作業性を向上できる。
【0013】
請求項2の発明では、増速機構を遊星歯車機構により構成したので、コンパクトな構造で大きな増速比を得ることができ、ピペット本体を大型化することなくピペット本体とプッシュロッドとの間に増速機構を配置できる。
【0014】
請求項3の発明では、前記増速機構を、前記プッシュロッドに入力された回転をそのままプッシュロッドから出力する構成としたので、採取量を調整するにあたり、増速機構により短時間で大まかに調整でき、続いてプッシュロッドを回転させることで微調整することができ、採取量調整の精度を高めることができる。
【0015】
請求項4の発明では、前記キャリアを、有底筒状の保持部に形成された開口部に前記遊星歯車が配置し、該遊星歯車の両端の軸部を前記保持部の底壁,前記軸受板により回転自在に支持したので、遊星歯車部分を小型化でき、ピペット本体を大きくすることなく増速機構を配置できる。
【0016】
請求項5の発明では、前記キャリアの保持に一体形成され、前記ピペット本体から軸方向外方に突出する突出部に入力部材を装着したので、この入力部材を回転させることでキャリアを容易に回転させることができる。
【0017】
請求項6の発明では、前記キャリアを、前記ピペット本体に固定されたアウタリングにより回転自在に支持したので、キャリアをピペット本体で回転自在に支持する構造を構造の複雑化,部品点数の増加を来すことなく実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1によるピペット装置の断面側面図である。
【図2】前記ピペット装置の増速機構の断面平面図(図3のII-II線断面図)である。
【図3】前記増速機構の断面側面図(図4(a)のIII-III 線断面図) である。
【図4】前記増速機構のキャリアの正面図,側面図,背面図である。
【図5】前記増速機構の太陽歯車が形成されたプッシュロッドの側面図である。
【図6】前記増速機構のアウタリングの正面図,側面図である。
【図7】前記増速機構の遊星歯車の正面図,側面図である。
【図8】前記ピペット装置の目盛リングの側面図である。
【図9】前記ピペット装置のアウタハウジングの平面図である。
【図10】前記アウタハウジングの断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0020】
図1ないし図10は、本発明の実施例1によるピペット装置を説明するための図である。
【0021】
図において、1は検査や分析あるいは実験等に使用される試料(液体)を所定量採取するためのピペット装置を示している。
【0022】
前記ピペット装置1は、シリンダ部aを有するピペット本体2と、該シリンダ部a内に軸方向移動可能に配置され、前記シリンダ部aのシリンダ容積を変化させるプランジャ3と、前記ピペット本体2内に回転可能に、かつ軸方向移動可能に挿入され、前記プランジャ3を軸方向に移動させるプッシュロッド5と、前記ピペット本体2に回転不能に支持され、前記プッシュロッド5の回転を該プッシュロッド5の軸方向移動に変換するナット6とを備えている。なお、前記シリンダ容積とは、前記プランジャ3の軸方向移動可能距離(ストローク)を意味する。
【0023】
前記ピペット本体2は、把持部9aが形成された筒状のアウタハウジング9と、該アウタハウジング9内に配設されたインナハウジング10と、該インナハウジング10から下方に延びるノズルコーン11とを有する。
【0024】
前記ノズルコーン11は、大径部11aと、該大径部11aに続いて形成され、前記シリンダ部aを構成する小径部11bと、該小径部11bの先端部にテーパ状に形成されたノズル部11cとを有する。該ノズル部11cにピペットチップ12が着脱可能に装着される。
【0025】
前記プランジャ3は、前記ノズルコーン11から前記インナハウジング10の下部内に渡るように配置され、前記プッシュロッド5は、その大部分が前記インナハウジング10内に位置するように配置されている。前記プッシュロッド5の下端部に前記プランジャ3の上端部が嵌合接続されている。また前記プッシュロッド5の上部は前記ピペット本体2の上方に突出しており、その上端部にはプッシュボタン7が固定されている。
【0026】
前記ノズルコーン11の大径部11aと小径部11bの境界部に配置固定されたばね受け座金13と、前記ノズルコーン11の上部に配設されたばね受け座金14aとの間にばね4が配置されている。また前記境界部には、小径部11bとプランジャ3との間を気密にシールするOリング15が配置されている。このOリング15は前記ばね4の付勢力により上記ばね受け座金13で押圧され、前記シールが確実なものとなっている。
【0027】
前記ナット6は、前記プッシュロッド5の下端部に形成されたねじ部5aに相対回転可能に螺装され、また前記インナハウジング10の内面に、軸方向に移動可能かつ回転不能にスプライン嵌合されている。さらにまた、前記ノズルコーン11の上部に形成された段部11dにはばね受け座金14bが配置され、該ばね受け座金14bと前記プッシュロッド5の下部に螺装された前記ナット6との間には、ばね部材17が配設されている。前記ばね受け座金14aは前記ばね受け座金14bにより上方移動が阻止されている。
【0028】
前記ピペット装置1は、使用済みのピペットチップ12をノズルコーン11から取り外すピペット取り外し機構20を備えている。
【0029】
この取り外し機構20は、前記ノズルコーン11の外周部を囲むように装着されたエジェクトコーン23と、該エジェクトコーン23に連結されたエジェクトロッド21と、該エジェクトロッド21を復帰方向(図1の上方)に付勢する復帰ばね22とを有する。前記エジェクトコーン23の上端部は前記アウタハウジングの下端部に挿入されている。また前記エジェクトロッド21の上端部にはエジェクトボタン21aが取り付けられており、前記エジェクトコーン23の下端は前記ピペットチップ12に対向して当接している。
【0030】
前記エジェクトボタン21aを指で押し下げると、エジェクトロッド21が前記エジェクトコーン23を下降させ、これにより使用済のピペットチップ12が押し下げられてノズルコーン11から落下する。エジェクトボタン21aから指を離すと、復帰ばね22によりエジェクトロッド21ひいてはエジェクトコーン23が元の位置に戻る。
【0031】
前記プッシュロッド5には、第1〜第3目盛ダイヤル25〜27が装着されている。この第1目盛ダイヤル25は、プッシュロッド5に共に回転し、かつ軸方向に相対移動可能に結合されており、第2,第3目盛ダイヤル26,27はプッシュロッド5に相対回転可能に装着されている。また第1〜第3目盛ダイヤル25〜27は歯車シャフト28により連結されている。
【0032】
前記プッシュロッド5が回転すると第1目盛ダイヤル25が回転して目盛が増加し、該第1目盛ダイヤル25が10目盛増加すると第2目盛ダイヤル26が1目盛増加し、さらに第2目盛ダイヤル26が10目盛増加すると第3目盛ダイヤル27が1目盛増加する。このようにしてプッシュロッド5の回転数に応じて目盛ダイヤル25〜27の目盛が変化し、該目盛に応じた採取量となるようにシリンダ容量が調整されたことが確認される。
【0033】
なお、前記プッシュロッド5の回転数と目盛ダイヤル25〜27の目盛の変化については、前記の例に限定されないのは勿論である。例えば第1目盛ダイヤル25の5目盛あるいは2目盛増加により第2目盛26が1目盛増加するようにしても良い。
【0034】
前記インナハウジング10内には前記プッシュロッド5が不用意に回転するのを規制する節度機構30が配設されている。この節度機構30は、インナハウジング10に回転不能に固定された固定板31aと、プッシュロッド5に、これと共に回転するように装着された可動板31bと、該可動板31bに保持された複数のボール33と、該各ボール33を前記固定板31aとで挟持するばね座金32aと、該ばね座金32aを固定板31a側に押圧付勢する付勢ばね34とを有する。前記固定板31aには前記ボール33が係止する凹部が形成されている。
【0035】
前記インナハウジング10と前記プッシュロッド5との間には、入力回転を増速させて、又はそのまま前記プッシュロッド5に伝達する遊星歯車式の増速機構35が配設されている。
【0036】
前記増速機構35は、前記プッシュロッド5の上部に同軸をなすよう一体に形成され太陽歯車5bと、該太陽歯車5bの外周を公転しつつ自転する3つの遊星歯車36と、各遊星歯車36を回転自在に支持するキャリア37と、前記各遊星歯車36に噛合する内歯車38bを有し、前記ピペット本体2のアウタハウジング9に回転不能に支持されたアウタリング38とを有する。
【0037】
前記アウタリング38は、円筒状をなしており、その外周面には前記アウタハウジング9に嵌合する嵌合部38aが形成され、内周面の軸方向上半部に前記内歯車38bが形成されている。また前記内周面の下半部にはばね座金32bが配置され、該ばね座金32bに前記ばね34が圧接している。
【0038】
前記キャリア37は、底壁37a′を有する筒状の保持部37aと、該保持部37aの軸方向下端部に装着された軸受板37bとを有する。前記底壁37a′には前記プッシュロッド5が貫通する貫通孔37gが形成されている。また前記軸受板37bは前記保持部37aに一体形成されたボス部37fにより圧入等により固定されている。また前記保持部37aの軸方向上端部には増速ダイヤル39が嵌合装着される六角形状の突出部37cが前記ピペット本体2から突出するように一体形成されている。
【0039】
また前記保持部37aには前記各遊星歯車36を収容する開口部37dがスリット状に形成されている。該開口部37d内に前記遊星歯車36が配設されている。
【0040】
前記保持部37aの底壁37a′及び軸受板37bには、遊星歯車36の軸部36aを回転自在に支持する軸孔37eが形成されている。前記遊星歯車36は前記開口部37dに配置され、前記内歯車38b及び太陽歯車5bに噛合している。
【0041】
本実施例の増速機構35は、前記増速ダイヤル39を1回転させるとプッシュロッド5が約3.5回転するように各歯車の歯数や入力部材,出力部材が設定されている。具体的には例えば、太陽歯車5bの歯数は12,各遊星歯車36の歯数は9、内歯車38bの歯数は30に設定され、増速ダイヤル39ひいてはキャリア37が入力部材となり、プッシュロッド5が出力部材となっている。
【0042】
なお、前記増速比については、前記の例に限定されないのは勿論である。
【0043】
本実施例のピペット装置1により試料を採取するには、指で前記増速ダイヤル39を、前記第1〜第3目盛ダイヤル25〜27が必要な採取量に近くなるまで回転させ、続いてプッシュロッド5を回転させて微調整する。この場合、上述のように、増速ダイヤル39の回転は3倍に増速されてプッシュロッド5に伝達され、プッシュロッド5を回転させた場合はそのままプッシュロッド5が回転し、プランジャ3を軸方向に移動させ、該プランジャ3のストローク量ひいてはシリンダ部aの容量が設定される。
【0044】
ノズルコーン11のノズル部11cにピペットチップ12装着し、指でプッシュボタン7を押してプランジャ3をシリンダ容積縮小方向の下端位置まで移動させる。この状態でピペットチップ12を試料に浸漬させ、前記プッシュボタン7から指を離す。するとプランジャ3がばね17の付勢力により容積拡大方向に上昇し、ピペットチップ12内が負圧となり、前記表示された量の試料が採取される。この採取した試料を検査,分析装置等に注入には、プッシュボタン7を再度押し下げれば良く、これにより、プランジャ3が下降してピペットチップ12から試料が吐出される。この後、エジェクトボタン21aを押し下げて使用済みのピペットチップ12を排出する。
【0045】
本実施例によれば、増速ダイヤル39への入力回転を増速してプッシュロッド5に伝達する増速機構35を設けたので、試料の採取量の調整を短時間で行なうことができる。これにより、採取量の設定を頻繁に変更する場合であっても採取作業性を向上でき、採取作業を迅速に行なうことができる。
【0046】
本実施例では、前記増速機構35を、プッシュロッド5に一体に形成され太陽歯車5bと、該太陽歯車5bの外周を公転しつつ自転する3つの遊星歯車36と、各遊星歯車36を回転自在に支持するキャリア37と、前記各遊星歯車36に噛合する内歯車38bとを有する遊星歯車機構により構成したので、コンパクトな構造で大きな増速比を得ることができる。
【0047】
また、増速機構35を遊星歯車式の機構により構成したので、コンパクトな構造で大きな増速比を得ることができ、ピペット本体2を大型化することなくピペット本体2とプッシュロッド5との間に増速機構35を配置できる。
【0048】
また、前記増速機構35を、前記プッシュロッド5に入力された回転をそのままプッシュロッド5から出力する構成としたので、採取量を調整するにあたり、増速機構35により短時間で大まかに調整でき、続いてプッシュロッド5を回転させることで微調整することができ、採取量調整の精度を高めることができる。
【0049】
また、前記キャリア37を、有底筒状の保持部37aに形成された開口部37dに前記遊星歯車36を配置し、該遊星歯車36の両端の軸部36aを前記保持部37aの底壁37a′,前記軸受板37bにより回転自在に支持したので、遊星歯車36部分を小型化でき、ピペット本体2を大きくすることなく増速機構35を配置できる。
【0050】
また、前記キャリア37の保持部37aに一体形成され、前記ピペット本体2から軸方向外方に突出する突出部37cに増速ダイヤル(入力部材)39を装着したので、この増速ダイヤル39を回転させることでキャリア37を容易に回転させることができる。
【0051】
さらにまた、前記キャリア37を、前記ピペット本体2に固定されたアウタリング38により回転自在に支持したので、キャリア37をピペット本体2で回転自在に支持する構造を構造の複雑化,部品点数の増加を来すことなく実現できる。
【0052】
なお、前記実施例では、増速機構35を遊星歯車式のものとした場合を説明したが、本発明の増速機構は、これに限られることはない。例えば、平歯車の組合せにより、あるいはハーモニックギヤにより増速機構を構成することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 ピペット装置
2 ピペット本体
3 プランジャ
5 プッシュロッド
5b 太陽歯車
6 ナット
35 増速機構
36 遊星歯車
36a 軸部
37 キャリア
37a 保持部
37a′底壁
37b 軸受板
37c 突出部
37d 開口部
38 アウタリング
38b 内歯車
39 増速ダイヤル(入力部材)
a シリンダ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ部を有するピペット本体と、該シリンダ部内に軸方向に移動可能に挿入配置され、シリンダ容積を変化させるプランジャと、前記ピペット本体内に回転可能、かつ軸方向移動可能に挿入され、前記プランジャが接続されたプッシュロッドと、前記ピペット本体内に回転不能かつ軸方向移動可能に支持され、前記プッシュロッドの回転を該プッシュロッドの軸方向移動に変換するナットとを備え、前記プッシュロッドを回転させることにより前記プランジャを軸方向に移動させて前記シリンダ容積を調節するピペット装置であって、
入力回転を増速させて前記プッシュロッドに伝達する増速機構を前記ピペット本体と前記プッシュロッドとの間に設けた
ことを特徴とするピペット装置。
【請求項2】
請求項1に記載のピペット装置において、
前記増速機構は、前記プッシュロッドに同軸をなすよう設けられた太陽歯車と、該太陽歯車の外周を公転しつつ自転する遊星歯車と、前記ピペット本体に回転自在に支持され、前記遊星歯車を回転自在に支持するキャリアと、前記ピペット本体に回転不能に支持され、内周面に前記遊星歯車に噛合する内歯車が形成されたアウタリングとを有する遊星歯車式のものであり、前記キャリアに入力された回転を増速させて前記プッシュロッドに伝達する
ことを特徴とするピペット装置。
【請求項3】
請求項2に記載のピペット装置において、
前記増速機構は、前記プッシュロッドに入力された回転をそのままプッシュロッドから出力する
ことを特徴とするピペット装置。
【請求項4】
請求項2に記載のピペット装置において、
前記キャリアは、前記遊星歯車を回転自在に支持する有底筒状の保持部と、該保持部の開口部に装着された軸受板とを有し、前記保持部に形成された開口部に前記遊星歯車が配置され、該遊星歯車の両端の軸部は前記保持部の底壁,前記軸受板により回転自在に支持されている
ことを特徴とするピペット装置。
【請求項5】
請求項4に記載のピペット装置において、
前記キャリアは、前記保持に一体形成され、前記ピペット本体から軸方向外方に突出する突出部を有し、該突出部に入力部材が装着されている
ことを特徴とするピペット装置。
【請求項6】
請求項2に記載のピペット装置において、
前記キャリアは、前記アウタリングにより回転自在に支持されている
ことを特徴とするピペット装置。
【請求項1】
シリンダ部を有するピペット本体と、該シリンダ部内に軸方向に移動可能に挿入配置され、シリンダ容積を変化させるプランジャと、前記ピペット本体内に回転可能、かつ軸方向移動可能に挿入され、前記プランジャが接続されたプッシュロッドと、前記ピペット本体内に回転不能かつ軸方向移動可能に支持され、前記プッシュロッドの回転を該プッシュロッドの軸方向移動に変換するナットとを備え、前記プッシュロッドを回転させることにより前記プランジャを軸方向に移動させて前記シリンダ容積を調節するピペット装置であって、
入力回転を増速させて前記プッシュロッドに伝達する増速機構を前記ピペット本体と前記プッシュロッドとの間に設けた
ことを特徴とするピペット装置。
【請求項2】
請求項1に記載のピペット装置において、
前記増速機構は、前記プッシュロッドに同軸をなすよう設けられた太陽歯車と、該太陽歯車の外周を公転しつつ自転する遊星歯車と、前記ピペット本体に回転自在に支持され、前記遊星歯車を回転自在に支持するキャリアと、前記ピペット本体に回転不能に支持され、内周面に前記遊星歯車に噛合する内歯車が形成されたアウタリングとを有する遊星歯車式のものであり、前記キャリアに入力された回転を増速させて前記プッシュロッドに伝達する
ことを特徴とするピペット装置。
【請求項3】
請求項2に記載のピペット装置において、
前記増速機構は、前記プッシュロッドに入力された回転をそのままプッシュロッドから出力する
ことを特徴とするピペット装置。
【請求項4】
請求項2に記載のピペット装置において、
前記キャリアは、前記遊星歯車を回転自在に支持する有底筒状の保持部と、該保持部の開口部に装着された軸受板とを有し、前記保持部に形成された開口部に前記遊星歯車が配置され、該遊星歯車の両端の軸部は前記保持部の底壁,前記軸受板により回転自在に支持されている
ことを特徴とするピペット装置。
【請求項5】
請求項4に記載のピペット装置において、
前記キャリアは、前記保持に一体形成され、前記ピペット本体から軸方向外方に突出する突出部を有し、該突出部に入力部材が装着されている
ことを特徴とするピペット装置。
【請求項6】
請求項2に記載のピペット装置において、
前記キャリアは、前記アウタリングにより回転自在に支持されている
ことを特徴とするピペット装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−115759(P2011−115759A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277750(P2009−277750)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(390026413)深江化成株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(390026413)深江化成株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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