説明

ピペラジノ系の光開始剤

【課題】光開始剤として有用である新規なピペラジノ化合物の提供。
【解決手段】下式の化合物及びそのエステル


[式中、置換基RはC−C10アルキル基及び任意に置換されるベンジル基から独立して選択され、置換基Rはアルキル基から独立して選択されるか又は結合する窒素原子と共に窒素含有複素環基、ZはC−C10アリーレン基、及び式−(CHR−の基から選択され、Rは水素、水酸基又はC−Cアルキル基、nは0〜6、Yはカルボニル又は−CH−、Qはモノ−又はポリ−ヒドロキシ化合物の残基、xは1〜6の数。]は、放射エネルギー硬化性の被覆組成物における多官能性開始剤として有用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射エネルギー、例えば紫外線照射によって硬化される被覆組成物において使用するための光開始剤として有用である新規なピペラジノ化合物、好ましくは、多官能性開始剤に関する。また、本発明は、ワニス、ラッカー、印刷インク等を含む放射線硬化性表層被覆組成物であって、光開始剤として少なくとも1つの本発明の化合物を含む放射線硬化性表層被覆組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
本発明の化合物は、ベンゼン環に結合されるピペラジノ環を含む1以上、好ましくは2以上の基に化学結合されるポリヒドロキシ化合物をベースとしたポリマーコアを含む。エネルギー硬化性表面塗料において使用される光開始剤は、良好な硬化速度、特に、良好な表面硬化活性、低臭気性、及び良好な溶解性を必要とする。更に、消費者が食料品中の外来性化合物に対してますます慎重になるにつれ、将来考えられる立法の対応するためにも、化合物が移行したり、抽出されたりする傾向を低くする必要がある。更に、実際に有用な化合物であるために、工業規模において、好ましくは簡便的及び経済的である必要がある。これらの要件の全てを満たすことは、ますます困難になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、発明者らは、硬化印刷からの光分解生成物の低量移行及び低臭気性を達成すると考えられるアミノアルキルフェノン光開始剤クラスの一連のピペラジノ化合物を発見した。UVB領域におけるそれらの化合物の強いUV発色団によって、アミノアルキルフェノンは、特に色素性の印刷インクにおいて有用となる。
【0004】
ピペラジノ基を含む他の化合物は、米国特許第4321118号明細書、米国特許第4582862号明細書、及び欧州特許第1357117号明細書の光開始剤として使用するために示唆されている。しかしながら、これらの化合物において、ピペラジン環は、芳香環に直接結合されず、得られる化合物は商業上の硬化系において使用される波長の紫外線をほとんど効率的に吸収しない。
【0005】
独国特許第2320027号明細書もまた、本発明の化合物に類似の化合物を開示するが、ピペラジン環が芳香環に直接結合される化合物を開示していない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、式(I)の化合物及びそのエステルからなる。
【化1】


[式中、
置換基Rは、C−C10アルキル基及び任意に置換されるベンジル基から独立して選択され、
置換基Rは、アルキル基から、又は結合する窒素原子と共に独立して選択され、窒素含有複素環基を表し、
Zは、C−C10アリーレン基、及び式−(CHR−の基から選択され、Rは水素原子、水酸基、又はC−Cアルキル基であり、nは0〜6の数であり、
Yは、カルボニル基、及び−CH−基から選択され、
Qは、1〜6個の水酸基を有するモノ−又はポリ−ヒドロキシ化合物の残基から選択され、
xは、1〜6の数である。]
【0007】
また、本発明も、エネルギー線硬化性組成物であって、(a)重合可能なモノマー、プレポリマー、又はオリゴマーと、(b)光開始剤として式(I)の化合物又はそのエステルと、(c)任意に顔料と、を含むエネルギー線硬化性組成物を提供する。
【0008】
更に、本発明は、エネルギー線硬化性組成物を放射エネルギー、特に紫外線照射に曝すことによってエネルギー硬化性高分子組成物を調製する方法もまた提供する。本発明の化合物において、Rがアルキル基を表し、1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキル基であってよい。そのような基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、1−エチルプロピル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル基が含まれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及びヘキシルが好ましく、メチル基及びエチル基が最も好ましい。
【0009】
は、ベンジル基を表し、置換又は非置換であってよく、非置換が好ましい。前記基が置換される場合、置換基の数は限定されないが、置換位置の数によって、位置的な制約によって制限されるような場合を除くが、1〜3個まで置換基が一般的である。このような置換基の例には、アルキル基、例えば、1〜6個の炭素原子を有する基であり、それらには、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、1−エチルプロピル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘキシル、並びにイソヘキシル基、及びアルコキシ基、例えば、1〜6個の炭素原子を有する基であり、それらには、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシ基が含まれる。しかしながら、ベンジル基は非置換であるのが好ましい。Rがアルキル基を表し、直鎖状又は分岐状のアルキル基であってよく、好ましくは1〜6個の炭素原子を有し、ベンジル基における置換基に関して上記で例証される基である。
【0010】
或いは、2個の置換基Rは、アルキル基から独立して選択されるか、又は結合する窒素原子と共に窒素含有複素環基を表してもよい。このような基は、好ましくは、3〜7個の環を有し、そのうち少なくとも1個、好ましくは3個以下が窒素原子である。残りの環原子のうち、好ましくは少なくとも2個が炭素原子であり、1個以上、好ましくは1個以下が酸素原子である。このような複素環基の例には、モルホリノ、ピペリジノ、1−ピロリジニル、3−アルキル−1−イミダゾリジニル、2−アルキル−1−ピラゾリジニル、4−アルキル−1−ピペラジニル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、及び1−ピリジル基が含まれ、ピペリジノ、モルホリノ、及び4−メチル−1−ピペラジニル基が好ましい。
【0011】
Zは、アリーレン基を表し、ベンゼン環あってよく、1,2−位、1,3−位、又は1,4−位で結合され、即ち、1,2−位、1,3−位、1,4−位、1,5−位、1,6−位、1,7−位、又は1,8−位で結合されるフェニレン基又はナフタレン環、好ましくは、1,4−位で結合されるベンゼン環である。
【0012】
Zは式−(CHR−の基を表す場合、RはC−Cアルキル基を表し、前記アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、又はt−ブチル基であってよく、好ましくは、メチル又はエチル基である。最も好ましくは、Rは、水素原子、又はメチル若しくはエチル基を表す。
【0013】
式−(CHR−の基におけるnが0である場合、Zは直接結合を表す。しかしながら、nは、より好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜3、更に好ましくは1又は2、最も好ましくは2の数である。
【0014】
本発明の化合物の他の好ましいクラスは、Zが式−(CHR−の基であり、nが2〜6の数であり、Rのうち1個が水素原子又はC−Cアルキル基を表し、その他のRが水素原子を表す式(I)の化合物である。
【0015】
Yは、カルボニル基又は−CH−基であってよく、好ましくはカルボニル基である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態において、Qは、式−A−Q’の基を表し、Aが式−[O(CHRCHR−,−[O(CHCO]−、又は−[O(CHCO](y−1)−[O(CHRCHR]−の基であり、R及びRは、同一又は異なり、水素原子又はC−Cアルキル基を各々表し、aは1〜2の数であり、bは4〜5の数であり、yは1〜10の数であり、xは1〜6の数であり、Q’は1〜6個の水酸基を有するモノ−又はポリ−ヒドロキシ化合物の残基を表す。
【0017】
本発明のこの実施形態の化合物において、Aが−[O(CHRCHR−の基を表すべきであるのが好ましく、aは1〜2の整数であり、yは上記で定義されるとおりであり、R及びRは、同一又は異なり、水素原子又はC−Cアルキル基を各々表す。より好ましくは、Aは、式−[OCHCH−、−[OCHCHCHCH−、又は−[OCH(CH)CH−を表し、yが上記で定義されるとおり、又は−[O(CHCO]−、又は−[O(CHCO](y−1)−[O(CHRCHR]−であり、bが4〜5の数であり、R、R及びyが上記で定義されるとおりであり、好ましくは1〜6の数である。
【0018】
一般に、本発明の化合物で、yは、好ましくは1〜10の数であり、より好ましくは1〜6の数である。また、xが2であり、yが1〜10の数であるこの実施形態の化合物が好ましい。
【0019】
本発明のこの実施形態の化合物は、一般的な高分子性を有するのが好ましい。Q’で表される基、若しくはAで表される基、又はその両方によって高分子性を得てもよい。
【0020】
本発明の化合物のコアを形成する式−A−Q’のポリマー性の多水酸基は、化合物の性質に大きな影響を及ぼす。本発明によれば、得られる化合物は、液体又は低い融点である傾向があり、被覆組成物の分散を促進することから、それが高分子性を有するべきであることが好ましい。同様な構造を有しても、高分子性でない化合物は、固体、及び/又はこれらの被覆組成物に不溶である傾向がある。しかしながら、式−A−Q’のコア残基があまり高い分子量を有するべきでないのが好ましく、式−A−Q’の残基の分子量2000以下、好ましくは1200以下、更に好ましくは1000以下、最も好ましくは800以下を有するべきであるのが好ましい。
【0021】
Q’は、C−Cアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールの残基であり、アルキレン部分が2〜6個の炭素原子を有するのが特に好ましい。より好ましくは、Q’は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、2,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、又はジ−ペンタエリスリトールの残基である。
【0022】
本発明の化合物が分析される場合、上記式の数a、b、及びyは、上記の式のb及びyは整数である必要がないのは言うまでもなく、本発明の化合物が、数a、b、及びyが異なるいくつかの化合物の混合物でもよいことから、それらの数は整数にはなりにくい。本発明によれば、これらの数の各々の平均値は上記で定義されるとおりであるが、十分に要件を満たす。当然ながら、本発明の化合物の個々の分子においては、a、b、及びyは整数であり、そのような個々の化合物に分離することができるが、実際には、これらの化合物の混合物が使用される。
【0023】
他の本発明の好ましい実施形態において、xは1である。この場合、Qは、好ましくは化合物の式R−OHの基であり、RがC−C10アルキル基又は任意に置換されるベンジル基を表し、Rとの関係は上記に例示するとおりである。より好ましくは、Qは、C−Cアルコキシ基又はフェノキシ基である。本実施形態において、Zがフェニレン基であるのが特に好ましい。
【0024】
しかしながら、本発明の化合物は好ましくは多官能性開始剤であることから、xは好ましくは1より大きく、すなわち、好ましくは2〜6である。
【0025】
従って、他の好ましい本発明の実施形態において、Qは、C−Cポリアルキレングリコールの残基であり、アルキレン部分が2〜6個の炭素原子を有する。或いは、Qはビス(C−Cヒドロキシアルキル)エーテルであってよく、2個のヒドロキシアルキル部分は、互いに同一か異なってよいが、好ましくは同一であり、各々は1以上の水酸基を有してもよい。本実施形態において、Qは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、2,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、又はジ−ペンタエリスリトールの残基である。
【0026】
本発明の化合物を、単に、例えば式(II)(R及びRは上記で定義されるとおりである)の化合物を式−(Z−Y)−Qの基に対応する活性化合物(Z、Y、x、及びQは上記で定義されるとおりである)とマイケル付加させて、調製してもよい。
【化2】


この活性化合物は、例えば、以降の実施例においてより詳細に説明されるように、炭素−炭素二重結合又はエポキシ基を含む化合物でもよく、好ましくはアクリレート又はメタクリレートである。
【0027】
本発明の組成物を、紫外線又は電子ビームの照射によって硬化することが意図される印刷インク、ワニス、接着剤又は他のいかなる被覆組成物として調製してもよい。通常、このような組成物は、少なくとも重合可能なモノマー、プレポリマー、又はオリゴマー、本発明の光開始剤、アミン共力剤、及び任意に増感剤を含むが、当業者に周知の他の成分、例えばワックス、流動補助剤(印刷インクの場合は顔料)も含んでもよい。
【0028】
多種多様なモノマー及びプレポリマーは、本発明の光開始剤によって光開始重合されやすくなると考えられ、モノマー及びプレポリマーの性質は、本発明にとって重要とならない。
【0029】
放射硬化性モノマー又はオリゴマーは、好ましくはエチレン不飽和化合物、例えばアクリレート又はメタクリレートである。好適なアクリレートオリゴマーの例には、脂肪族又は芳香族ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、及びビスフェノールAエポキシアクリレート等のエポキシアクリレートが含まれる。好適なアクリレートモノマーの例には、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジ−ペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のポリエーテルアクリレート、ジアノールジアクリレート(=2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのジアクリレート、UCBからのEbecryl150)等のエポキシアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、並びにアルキルアクリレート等のグリコールジアクリレート、及びメタクリル樹脂(ヘキサンジオールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリールアクリレート、並びにイソデシルアクリレート、及び対応するメタクリレート等)が含まれる。
【0030】
また、周知のように、本発明の組成物は、好ましくはアミノアクリレート又はジメチルアミノ安息香酸エステル等の共力剤を含有する。好ましくは、共力剤は、印刷インクの場合はジメチルアミノ安息香酸エステル、又はワニスの場合はアミノアクリレートである。フレキソ印刷の用途において使用される等のいくつかのインクは、両方のアミン型を含有することができる。
【0031】
必要に応じて、本発明の光開始剤化合物に加えて、当該技術において周知のように付加的な光開始剤を使用してもよい。本発明の組成物において使用することができるそのような付加的な開始剤の例には、チオキサントン(及びその誘導体)、ベンゾフェノン(及びその誘導体)、ヒドロキシアルキルフェノン、キサントン、及びアントラキノンが含まれる。
【0032】
放射硬化性モノマー又はオリゴマー、光開始剤、共力剤、増感剤及び任意の着色剤の量は、ワニス又はインクの種類、塗布するのに用いられる特定の機器、及び用途において様々である。しかしながら、光開始剤及びアミン共力剤の量は、通常、組成物全体の1から15〜20重量%である。
【0033】
式(I)の化合物は、ワニス及びインク、特にリソグラフィインクを含む印刷インクにおける使用に特に適している。これらは通常、例えばPrinting Ink Manual, fourth edition, Leach R. H.ら(編), Van Nostrand Reinhold, Wokingham,(1988)に記載されているような上記の付加的な組成物、1以上の顔料、ワックス、安定剤、及び流動補助剤を含み、その開示は、本願明細書に引用したものとする。特に、化合物はインク組成物を印刷する際の光開始剤として有用であることから、これらの組成物が少なくとも1つの顔料を含むのが最も好ましい。
【0034】
本発明の塗料製剤の主成分と共に用いられる添加剤は、安定剤、顔料、ワックスを含む、滑性剤、均染剤、定着剤、表面活性剤、及び充填剤が含まれる。また、必要に応じて、他の光開始剤、例えばチオキサントン(及びその誘導体)、ベンゾフェノン(及びその誘導体)、ヒドロキシアルキルフェノン、アミノアルキルフェノン、及びアントラキノン(及びその誘導体)を含んでもよい。
【0035】
本発明の化合物は、当該技術において周知であるように光開始剤として塗料製剤に含まれてもよく、このような製剤の的確な組成物は、周知のとおり、他の成分及び使用目的において様々である。しかしながら、フレキソ印刷によって塗布可能なインク用の代表的な製剤は、
顔料8−20%
光開始剤+共力剤4−10%
モノマー/プレポリマー/オリゴマー30−90%
添加剤0−10%
であると考えられるが、インクは、当該技術において周知のように、これらの範囲外の組成物を含んでもよい。
【0036】
本発明について、以下の非限定的な実施例用いて更に説明する。
【実施例】
【0037】
実施例1
【化3】


2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−[4−ピペラジノフェニル]−1−ブタノンの調製
5.0gの2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−[4−フルオロフェニル]−1−ブタノン(0.0167モル)、5.75gのピペラジン(0.0669モル)、0.063gのヨウ化銅(I)、及び15mlのトルエンを、撹拌機、窒素導入管、コンデンサー、窒素導入管、及び温度プローブを備えた三口フラスコに加えた。窒素ガスの一定流量の下において、混合物を合計24時間加熱還流した。次いで、混合物を室温に冷却し、その後、50mlのジクロロメタンに溶解した。混合物を、100mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で抽出し、次いで100mlの水で2回抽出した。次いで、無水の硫酸マグネシウムを使用し、ジクロロメタン層を乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ過して除去し、次いで有機溶媒を回転乾燥機で除去して生成物を得た。
【0038】
5.50g(90.23%)の黄色固体の生成物を得た。
生成物を、FTIR及びLCMSで分析した。
IR: アリール C−N 1340cm−1
MS: m/z [M+1]=366 (Mw=365)
【0039】
実施例2
【化4】


2−メチル−1−[4−ピペラジノフェニル−2−モルホリノプロパン−1−オンの調製
4.2gの2−メチル−1−[4−フルオロフェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(0.0167モル)、5.75gのピペラジン(0.0669モル)、0.063gのヨウ化銅(I)、及び15mlのトルエンを、撹拌機、窒素導入管、コンデンサー、窒素導入管、及び温度プローブを備えた三口フラスコに加えた。窒素ガスの一定流量の下において、混合物を合計24時間加熱還流した。次いで、混合物を室温に冷却し、その後、75mlのジクロロメタンに溶解した。混合物は、100mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で抽出し、次いで100mlの水で2回抽出した。次いで、無水の硫酸マグネシウムを使用し、ジクロロメタン層を乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ過して除去し、次いで有機溶媒を回転乾燥機で除去して生成物を得た。
【0040】
4.52g(85.4%)の黄色固体の生成物を得た。
生成物を、FTIR及びLCMSで分析した。
IR: アリール C−N 1359cm−1
MS: m/z [M+1]=318 (Mw=317)
【0041】
実施例3
【化5】


0.53g PEG200ジアクリレート(mol.wt.約258, n=3平均)(0.00205モル)、1.5gの実施例1の生成物(0.00411モル)、10mlのトルエン、及び0.059gの1,8−ジアザビシクロ−(5.4.0)ウンデス−7−エン (DBU)(触媒)を、撹拌機、コンデンサー、及び温度プローブを備えた丸底フラスコに加えた。混合物を合計6時間加熱還流した。混合物を冷却して濾過し、次いで、溶媒を回転乾燥機で除去して生成物を得た。
【0042】
2.1gの粘性のある黄色/オレンジペーストの生成物を得た。
生成物を、FTIR及びLCMSで分析した。
IR:アクリレートC=Cを示す810cm−1において現れず、示唆する生成物が生成された。
MS: m/z [M+1]=989 (Mw=988 二官能性生成物); m/z [M+1]= 624 (Mw=623一官能性フラグメント)
【0043】
実施例4
【化6】


0.4055gのトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、mol. wt.296)(0.00137モル)、1.5gの実施例1の生成物(0.00411モル)、10mlのトルエン、及び0.05gの1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデス−7−エン(DBU)(触媒)を、撹拌機、コンデンサー、及び温度プローブを備えた丸底フラスコに加えた。混合物を合計6時間加熱還流した。混合物を冷却して濾過し、次いで、溶媒を回転乾燥機で除去して生成物を得た。
【0044】
2.00gの粘性のある黄色/オレンジペーストの生成物を得た。
IR:アクリレートC=Cを示す810cm−1において現れず、示唆する生成物が生成された。
MS: m/z [M+1]=1027 (Mw=1027 二官能性フラグメント); m/z [M+1]= 662 (Mw=661一官能性フラグメント)
【0045】
実施例5
【化7】


0.3616gのペンタエリスリトールテトラアクリレート(mol.wt.352)(0.00103モル)、1.5gの実施例1の生成物(0.00411モル)(0.00411モル)、10mlのトルエン、及び0.05gの1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデス−7−エン(DBU)(触媒)を、撹拌機、コンデンサー、及び温度プローブを備えた丸底フラスコに加えた。混合物を合計6時間加熱還流した。混合物を冷却して濾過し、次いで、溶媒を回転乾燥機で除去して生成物を得た。
【0046】
1.80gの粘性のある黄色/オレンジ色のペースト状の生成物を得た。
IR:アクリレートC=Cを示す810cm−1において現れず、示唆する生成物が生成された。
MS: m/z [M+1]=1083 (Mw=1082 二官能性フラグメント); m/z [M+1]= 718 (Mw=717一官能性フラグメント)
【0047】
実施例6
【化8】


0.41gのPEG200ジアクリレート(mol.wt.〜258,n=3 平均)(0.00159モル)、1.0gの実施例2の生成物(0.00315モル)、10mlのトルエン、及び0.04gの1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデス−7−エン(DBU)(触媒)を、撹拌機、コンデンサー、及び温度プローブを備えた丸底フラスコに加えた。混合物を合計6時間加熱還流した。混合物を冷却して濾過し、次いで、溶媒を回転乾燥機で除去して生成物を得た。
【0048】
1.2gの粘性のある黄色/オレンジペーストの生成物を得た。
IR:アクリレートC=Cを示す810cm−1において現れず、示唆する生成物が生成された。
MS: m/z [M+1]=893 (Mw=892二官能性フラグメント); m/z [M+1]= 576 (Mw=575一官能性フラグメント)
【0049】
実施例7
【化9】


0.3112gのトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、mol. wt.296)(0.00105モル)、1.0gの実施例1の生成物(0.00315モル)、10mlのトルエン、及び0.04gの1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデス−7−エン(DBU)(触媒)を、撹拌機、コンデンサー、及び温度プローブを備えた丸底フラスコに加えた。混合物を合計6時間加熱還流した。混合物を冷却して濾過し、次いで、溶媒を回転乾燥機で除去して生成物を得た。
【0050】
1.15gの粘性のある黄色/オレンジペーストの生成物を得た。
IR:アクリレートC=Cを示す810cm−1において現れず、示唆する生成物が生成された。
MS: m/z [M+1]=931 (Mw=930 二官能性フラグメント); m/z [M+1]= 614 (Mw=613一官能性フラグメント)
【0051】
実施例8
【化10】


0.28gのペンタエリスリトールテトラアクリレート(mol.wt.352)(0.0008モル)、l.0gの実施例1の生成物(0.00315モル)、10mlのトルエン、及び0.04gの1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデス−7−エン(DBU)(触媒)を、撹拌機、コンデンサー、及び温度プローブを備えた丸底フラスコに加えた。混合物を合計6時間加熱還流した。混合物を冷却して濾過し、次いで、溶媒を回転乾燥機で除去して生成物を得た。
【0052】
1.2gの粘性のある黄色/オレンジペーストの生成物を得た。
IR:アクリレートC=Cを示す810cm−1において現れず、示唆する生成物が生成された。
MS: m/z [M+1]=987 (Mw=986 二官能性フラグメント); m/z [M+1]= 670 (Mw=669一官能性フラグメント)
【0053】
実施例9
オフセットインクの性能評価
三官能性のウレタンアクリレートオリゴマー系の黒色のオフセットインク製剤において、新規な材料の性能を評価した。光開始剤成分を、製剤全体の8%で添加した。上記の実施例の1例において調製されるように、光開始剤成分は、ベンゾイル安息香酸メチル(MBB)、イソプロピルチオキサントン(ITX)、2−エチルヘキシルp−ジメチル−アミノ安息香酸(EHA)、及び多官能性開始剤(MFPI)を含めた。光開始剤成分の13.5重量%でMFPIを使用した。
【0054】
対照製剤において、実施例3、4、及び5の生成物と比較する場合、新規なMFPIの代わりに通常の市販製剤として一般的であるIrgacure 369を使用し、実施例6、7及び8の生成物と比較する場合、新規なMFPIの代わりにIrgacure 907を使用した。
【0055】
また、メチルo−ベンゾイル安息香酸塩(MBB)、イソプロピルチオキサントン(ITX)、及び2−エチルヘキシルp−ジメチル−アミノ安息香酸(EHA)を含むのみの比較製剤を調製した。
【0056】
IGT C1印刷用プルーファーを用い、密度ほぼ1.8において、インクをカートン用板紙の基板(Incada Silk 260 gsm,Iggesund社)に印刷した。単一の300W/インチの中圧水銀ランプを備えたPrimarc Maxicure UVリグを用い、結果を好適に比較させるように全出力で作動させながら、100m/minで硬化された。各パスで5秒間の10トン圧で遮断試験を実施させるSpecacを使用して硬化を評価した。白紙の基板の各々に、部分的に硬化されるインクが裏移りしないパス数を記録し、表1に示す。
【0057】
インクの硬化速度
【表1】


【0058】
表1の結果によりは、新規なMFPI材が良好な硬化速度が得られることを示す。実施例6の場合、硬化速度は、標準配合物と同じくらい良好である。実施例3、4、5、7及び8の場合、硬化速度は、標準配合物とほぼ同じくらい良好である。全実施例において、硬化速度は、比較製剤より良好である。
【0059】
上記に概説した結果は、標準光開始剤を製剤中の新規材料で直接的に置き換えた重量%から得た点に留意する必要がある。
【0060】
全体的に、結果は、これらの新規な材料が良好な光開始剤活性を有することを示す。また、これらの化合物は、硬化印刷からの光分解生成物の低量移行及び低臭気性を達成することもできる。これらの2つの要因が同時に得られる場合、これらの新規な材料は既存の技術を超えるかなりの効果ある。
【0061】
実施例10
【化11】


3.5gのヘキサンジオールジアクリレート(0.0155モル)、11.08gの実施例2の生成物(0.0349モル)、30mlのトルエン、及び0.35gの1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデス−7−エン(DBU)(触媒)を、撹拌機、コンデンサー、及び温度プローブを備えた丸底フラスコに加えた。混合物を合計10時間加熱還流した。混合物を冷却して濾過し、次いで、溶媒を回転乾燥機で除去して生成物を得た。
【0062】
14.10gの粘性のある黄色/オレンジペーストの生成物を得た。
IR:アクリレートC=Cを示す810cm−1において現れず、示唆する生成物が生成された。
MS: m/z [M+1]=862 (Mw=861二官能性フラグメント); m/z [M+1]= 544 (Mw=543一官能性フラグメント)
【0063】
実施例11
【化12】


3.5gのヘキサンジオールジグリシジルエーテル(0.0152モル)、9.663gの実施例2の生成物(0.0304モル)、及び30mlのトルエンを、撹拌機、コンデンサー、及び温度プローブを備えた丸底フラスコに加えた。混合物を合計10時間加熱還流した。混合物を冷却して濾過し、次いで、溶媒を回転乾燥機で除去して生成物を得た。
【0064】
12.61gの粘性のある黄色/オレンジペーストの生成物を得た。
IR:グリシジルを示す生成物によるピークが形成されなかった。
MS: m/z [M+1]=866 (Mw=865二官能性フラグメント); m/z [M+1]= 548 (Mw=547一官能性フラグメント)
【0065】
実施例12
【化13】


10.0gの実施例2の生成物(0.0317モル)、3.18gのトリエチルアミン(0.0316モル)、及び50mlのトルエンを、撹拌機、コンデンサー及び温度プローブを備えた二口フラスコに加えた。次いで、発熱量を維持することを確実にしながら(添加中の最高温度が33°Cであった)、20mlのトルエン中の3.39gのジエチレングリコールビスクロロホルメート(0.01575モル)をゆっくり添加した。添加完了後、混合物を2時間撹拌し、混合物を室温に冷却した。次いで、混合物を濾過し、反応中に生成された不溶性の塩酸トリエチルアミンを除去した。次いで、トルエンを回転乾燥機で除去して生成物を得た。
【0066】
12.5gの粘性のある黄色の生成物を得た。
生成物を、IR及びLCMSで分析した。
IR:生成物による1704cm−1のピーク。
MS:m/z[M+1]=794(Mw=793二官能性生成物)。
【0067】
実施例13
【化14】


触媒として0.33gのp−トルエンスルホン酸、及び安定剤として0.07gブチルオキシトルエンを使用し、22.78g2−ブロモ酢酸(0.164モル)及び10.0gジプロピレングリコール(0.7453モル)を、60mlトルエン中で5時間共沸しながら還流した。次いで、共沸乾燥する前に、溶液を冷却し、100mlの10%炭酸カリウ水溶液で2回、100mlの脱イオン水で2回洗浄し、回転乾燥機において溶媒を全て除去して無色の低粘性の液体を得た。
【0068】
生成物収量=27.0g
生成物を、IRで分析した。
IR:1736cm−1におけるエステルによる強いピーク
【0069】
実施例14
【化15】


10.0gの実施例2の生成物(0.317モル)、3.18gのトリエチルアミン(0.315モル)、及び50mlのトルエンを、撹拌機、コンデンサー及び温度プローブを備えた丸底フラスコに加えた。発熱量の維持を確実にしながら、5.64gの実施例13の生成物をゆっくり添加した。次いで、混合物を合計10時間加熱還流した。混合物を濾過して不溶性の残渣を除去し、次いで、溶媒を回転乾燥機で除去して生成物を得た。
【0070】
生成物収率=12.6g
生成物を、IR及びLCMSで分析した。
IR:エステルによる1747cm−1の強いピーク
【0071】
MS:m/z[M+1]=850(Mw=849二官能性生成物)。
【0072】
実施例15
オフセットインクの性能評価
三官能性のウレタンアクリレートオリゴマー系の黒色のオフセットインク製剤において、新規な材料の性能を評価した。光開始剤成分を、製剤全体の8%で添加した。光開始剤成分には、ベンゾイル安息香酸メチル(MBB)、イソプロピルチオキサントン(ITX)、2−エチルヘキシルp−ジメチル−アミノ安息香酸(EHA)、及び多官能性開始剤(MFPI)を含めた。光開始剤成分の15重量%でMFPIを使用した。
【0073】
対照製剤において、新規なMFPIの代わりに通常の市販製剤として一般的であるIrgacure 369を使用する。
【0074】
また、アミノアルキルフェノンを存在させずに、メチルo−ベンゾイル安息香酸塩(MBB)、イソプロピルチオキサントン(ITX)、及び2−エチルヘキシルp−ジメチル−アミノ安息香酸(EHA)を含むのみの比較製剤を調製した。この場合、これら3種類の成分比率は、試験製剤において使われるものと、更に同様である。
【0075】
IGT C1印刷用プルーファーを用い、密度ほぼ1.8において、インクをカートン用板紙の基板(Incada Silk 260 gsm、Iggesund社)に印刷した。単一の300W/インチの中圧水銀ランプを備えたPrimarc Maxicure UVリグを用い、結果を好適に比較させるように半出力で作動させながら、100m/minで硬化した。各パスで5秒間の10トン圧で遮断試験を実施させるSpecacを使用して硬化を評価する。結果を表2に示す。
【0076】
新規なMFPI誘導体を含有するインクの硬化速度
【表2】

【0077】
表2の結果は、周知の反応性の高いアミノアルキルフェノンIrgacure 369硬化速度と比較して、新規なMFPI材は硬化速度を増大させることを示す。全実施例において、硬化速度は、アミノアルキルフェノンを含有しない比較製剤より良好である。
【0078】
上記に概説した結果は、標準光開始剤を製剤中の新規材料で直接的に置き換えた重量%から得た点に留意する必要がある。
【0079】
全体的に、結果は、これらの新規的な物質が良好な光開始剤活性を有することを示す。また、新規な技術は、高分子量コアに結合される開始剤部分のため、硬化印刷からの光分解生成物の低量移行及び低臭気性を達成することができる。これらの2つの要因が合わせられる場合、これらの新規な材料は既存の技術を超えるかなりの効果がある。
【0080】
本発明は以下の態様を含む。
第1項:
式(I)の化合物、及びそのエステル。
【化16】


[式中、
置換基Rは、C−C10アルキル基及び任意に置換されるベンジル基から独立して選択され、
置換基Rは、アルキル基から独立して選択されるか、又は結合する窒素原子と共に窒素含有複素環基を表し、
Zは、C−C10アリーレン基、及び式−(CHR−の基から選択され、Rは水素原子、水酸基又はC−Cアルキル基であり、nは0〜6の数であり、
Yは、カルボニル基、及び−CH−基から選択され、
Qは、1〜6個の水酸基を有するモノ−又はポリ−ヒドロキシ化合物の残基から選択され、
xは、1〜6の数である。]
第2項:
置換基の少なくとも1個がC−Cアルキル基である、前記第1項に記載の化合物。
第3項:
置換基の少なくとも1個がメチル又はエチル基である、前記第2項に記載の化合物。
第4項:
置換基の少なくとも1個がベンジル基である、前記第2又は第3項に記載の化合物。
第5項:
置換基RがC−Cアルキル基から独立して選択される、前記第1〜4項のいずれか1項に記載の化合物。
第6項:
置換基がメチル又はエチル基を表す、前記第5項に記載の化合物。
第7項:
置換基が、結合する窒素原子と共に5〜7員窒素含有複素環を表す、前記第1〜6項のいずれか1項に記載の化合物。
第8項:
前記窒素含有複素環が、モルホリノ、ピペリジノ、1−ピロリジニル、3−アルキル−1−イミダゾリジニル、2−アルキル−1−ピラゾリジニル、4−アルキル−1−ピペラジニル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、及び1−ピリジル基から選択される、前記第7項に記載の化合物。
第9項:
前記複素環が、ピペリジノ、モルホリノ、及び4−メチル−1−ピペラジニル基から選択される、前記第8項に記載の化合物。
第10項:
Zが式−(CHR−の基であり、nが1又は2である、前記第1〜9項のいずれか1項に記載の化合物。
第11項:
Zが式−(CHR−の基であり、nが2である、前記第1〜10項のいずれか1項に記載の化合物。
第12項:
が水素原子、メチル基、及びエチル基から選択される前記第10又は第11項に記載の化合物。
第13項:
が水素原子である、前記第項12に記載の化合物。
第14項:
Zが式−(CHR−の基であり、nが2〜6の数であり、Rのうち1個が水素原子又はC−Cアルキル基を表し、その他のRが水素原子を表す、前記第1〜9項のいずれか1項に記載の化合物。
第15項:
Zがフェニレン基である、前記第1〜9項のいずれか1項に記載の化合物。
第16項:
Qが式−A−Q’の基であり、
Aが、式−[O(CHRCHR−、−[O(CHCO]−、及び−[O(CHCO](y−1)−[O(CHRCHR]の基から選択され、
及びRは、水素原子及びC−Cアルキル基から独立して選択され、
aは、1〜2の数であり、
bは、4〜5の数であり、
yは、1〜10の数であり、
xは、1〜6の数であり、
Q’は、1〜6個の水酸基を有するモノ−又はポリ−ヒドロキシ化合物の残基から選択される、前記第1〜15項のいずれか1項に記載の化合物。
第17項:
yが3〜10の数である、前記第16項に記載の化合物。
第18項:
Aが式−[O(CHRCHR−の基であり、aが1〜2の整数であり、yが1〜10の数である、前記第17項に記載の化合物。
第19項:
Aが、式の−[OCHCH−、−[OCHCHCHCH−、及び−[OCH(CH)CH−の基から選択され、yが1〜10の数である、前記第17項に記載の化合物。
第20項:
Aが式−[O(CHCO]−の基であり、bが4〜5の数であり、yが1〜10の数である、前記第17項に記載の化合物。
第21項:
Aが式−[O(CHCO](y−1)−[O(CHRCHR]−の基であり、aが1〜2の数であり、bが4〜5の数であり、yが1〜10の数である、前記第17項に記載の化合物。
第22項:
xが2である、前記第16〜21項のいずれか1項に記載の化合物。
第23項:
yが1〜6の数である、前記第16〜22項のいずれか1項に記載の化合物。
第24項:
残基−A−Q’の分子量が2000以下である、前記第16〜23項のいずれか1項に記載の化合物
第25項:
残基−A−Q’の分子量が1200以下である、前記第24項に記載の化合物
第26項:
残基−A−Q’の分子量が1000以下である、前記第25項に記載の化合物
第27項:
残基−A−Q’の分子量が800以下である、前記第26項に記載の化合物
第28項:
Q’が、ポリ(C−Cアルキレン)グリコールの残基である、前記第16〜27項のいずれか1項に記載の化合物。
第29項:
Q’が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、2,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、又はジ−ペンタエリスリトールの残基である、前記第項16〜27のいずれか1項に記載の化合物。
第30項:
xが1である、前記第1〜15項のいずれか1項に記載の化合物。
第31項:
Qが式R−OHの化合物の残基であり、RがC−C10アルキル基及び任意に置換されるベンジル基から選択される、前記第30項に記載の化合物。
第32項:
Qは、C−Cアルコキシ基又はフェノキシ基である、前記第30項に記載の化合物。
第33項:
Zがフェニレン基である、前記第項31又は前記第32項に記載の化合物。
第34項:
Qが、ポリ(C−Cアルキレン)グリコールの残基である、前記第1〜15項のいずれか1項に記載の化合物。
第35項:
Qが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、2,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、又はジ−ペンタエリスリトールの残基である、前記第34項に記載の化合物
第36項:
(a)重合可能なモノマー、プレポリマー、又はオリゴマーと、(b)光開始剤としての前記第1〜35項のいずれか1項に記載の化合物と、を含む、エネルギー線硬化性組成物。
第37項:
前記第36項に記載の組成物を放射エネルギーに曝すことによって、エネルギー線硬化性組成物を調製する方法。
第38項:
前記放射エネルギーが紫外線照射である、前記第37項に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、及びそのエステル。
【化1】


[式中、
置換基Rは、C−C10アルキル基及び任意に置換されるベンジル基から独立して選択され、
置換基Rは、アルキル基から独立して選択されるか、又は結合する窒素原子と共に窒素含有複素環基を表し、
Zは、C−C10アリーレン基、及び式−(CHR−の基から選択され、Rは水素原子、水酸基又はC−Cアルキル基であり、nは0〜6の数であり、
Yは、カルボニル基、及び−CH−基から選択され、
Qは、1〜6個の水酸基を有するモノ−又はポリ−ヒドロキシ化合物の残基から選択され、
xは、1〜6の数である。]

【公開番号】特開2013−60453(P2013−60453A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−250792(P2012−250792)
【出願日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【分割の表示】特願2007−539660(P2007−539660)の分割
【原出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(507148168)サン ケミカル リミテッド (3)