説明

ピペラジン誘導体およびそのレプチン受容体モジュレータとしての使用

本発明は、式(I)の新規化合物、これらの化合物を含んでなる医薬組成物、それらの製造の方法、そして体重増加、2型糖尿病、及び脂質異常症に関連した状態に対する医薬品の製造におけるレプチン受容体モジュレーター模倣体としてのこれらの化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ピペラジン誘導体に、これらの化合物を含んでなる医薬組成物に、それらの製造の方法に、そして体重増加、2型糖尿病、及び脂質異常症に関連した状態に対する医薬品の製造における、レプチン受容体モジュレータ模倣体としてのこれら化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満の罹患率は、先進世界において増加している。典型的には、治療の第一選択法は、患者の食事の脂肪含量を抑えることやその身体活動を高めることといった、食事や生活様式の助言を彼らに提供することである。しかしながら、上記の食事及び生活様式の変更を採用することより得られる有益な結果を維持するために、薬物療法を受けることが必要となり得る患者もいる。
【0003】
レプチンは、視床下部において食物摂取及び体重を抑えるように作用すると考えられている、脂肪細胞中で合成されるホルモンである(例えば、Bryson, J. M. (2000) Diabetes, Obesity and Metabolism 2: 83-89 を参照のこと)。
【0004】
肥満のヒトでは、脳脊髄液中のレプチンの循環レプチンに対する比が減少していることが示されている(Koistinen et al., (1998) Eur. J. Clin. Invest. 28: 894-897)。このことは、肥満状態では、脳へのレプチン輸送の能力が不足していることを示唆する。実際、肥満の動物モデル(NZOマウスと Koletsky ラット)では、レプチン輸送の欠損が脳レプチン含量の低下をもたらすことが示されている(Kastin, A. J. (1999) Peptides 20: 1449-1453; Banks, W. A. et al., (2002) Brain Res. 950: 130-136)。食餌誘発性の肥満した齧歯動物(ヒトの肥満により近似していると考えられる齧歯動物モデル、例えば、Van Heek et al. (1997) J. Clin. Invest. 99: 385-390 を参照のこと)に関する研究では、末梢投与した過剰のレプチンが食物摂取及び体重を抑えるのに無効であるのに対して、脳へ直接注射されたレプチンは食物摂取及び体重を抑えるのに有効であることが示された。また、過剰の循環レプチンがある肥満のヒトでは、レプチン受容体の連続刺激に対してシグナル伝達系が脱感作されていることも示されている(Mantzoros, C. S. (1999) Ann. Intern. Med. 130: 671-680)。
【0005】
アムジェン社(Amgen)は、組換えメチオニルヒトレプチンで臨床試験を実施した。これらの治験からの結果は、高い血漿濃度のレプチンの存在下でも体重損失が様々であり、試験した患者のコホートにおける平均体重減少が比較的小さかったので、混成的であった(Obesity Strategic Perspective, Datamonitor, 2001)。
【0006】
レプチン遺伝子コーディング配列の発見以来、活性断片を見出そうとするいくつかの試みが報告されてきた。1例は、N末端(22〜56)の活性断片について記載する、Samson et al. (1996) Endocrinol. 137: 5182-5185 によるものである。この配列は、C末端で取った配列が何の効果も及ぼさないことを示すのに対して、ICV注射されるときに食物摂取を抑えることが示された。レプチン断片については、国際特許出願:WO97/46585にも開示されている。
【0007】
この配列のC末端部分に注目した他の報告は、116〜130断片によって、黄体形成ホルモン産生が刺激される可能性(Gonzalez et al., (1999) Neuroendocrinology 70:213-220)と、GHRH投与後のGH産生に対する効果(断片126〜140)(Hanew (2003) Eur. J. Endocrin. 149: 407-412)を報告している。
【0008】
最近、レプチンは、炎症と関連付けられている。細菌感染の間と炎症時に循環レプチンレベルが上昇することが報告されている(Otero, M et al. (2005) FEBS Lett. 579: 295-301 とその参考文献を参照のこと)。レプチンはまた、炎症誘導性サイトカインのTNF及びIL−6の炎症細胞からの放出を高めることによって炎症を増加させるようにも作用し得る(Zarkesh-Esfahani, H. et al. (2001) J. Immunol. 167: 4593-4599)。次いで、これらの作用体は、インスリン受容体シグナル伝達の効力を抑えることによって、肥満患者に通常見られるインスリン抵抗性へ寄与する可能性がある(Lyon, C. J. et al. (2003) Endocrinol. 44: 2195-2200)。継続的な低グレード炎症は、肥満(インスリン抵抗性とII型糖尿病の存在及び非存在時の)と関連があると考えられている(Browning et al. (2004) Metabolism 53: 899-903,「Inflammatory markers elevated in blood of obese women(肥満女性の血中で上昇している炎症マーカー)」; Mangge et al. (2004) Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes 112: 378-382,「Juvenile obesity correlates with serum inflammatory marker C-reactive protein(若年性の肥満は、血清炎症マーカー、C反応性タンパク質と相関する)」; Maachi et al. (2004) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 28: 993-997,「Systemic low grade inflammation in obese people(肥満者における全身性の低グレード炎症)」)。レプチンは、マクロファージ中への脂質取込みと内皮機能不全を促進してアテローム性動脈硬化斑の形成を促進することによって、じゅく腫形成のプロセスに関与する可能性も示唆されてきた(Lyon, C. J. et al. (2003) Endocrinol. 144: 2195-2200 を参照のこと)。
【0009】
レプチンはまた、新しい血管の形成(血管新生)(脂肪組織の成長との関連が示唆されるプロセス)を促進することが示された(Bouloumie A, et al. (1998) Circ. Res. 83: 1059-1066)。血管新生は、糖尿病性網膜障害との関連も示唆されている(Suganami, E. et al. (2004) Diabetes. 53: 2443-2448)。
【0010】
血管新生はまた、異常な腫瘍細胞を飼養する新血管の成長に関与すると考えられている。上昇したレプチンレベルは、いくつかの癌、特に、ヒトの乳癌、前立腺癌、及び胃腸系癌と関連付けられてきた(Somasundar P. et al. (2004) J. Surg. Res. 116: 337-349)。
【0011】
レプチン受容体アゴニストは、創傷治癒を促進する医薬品の製造に使用される可能性もある(Gorden, P. and Gavrilova, O. (2003) Current Opinion in Pharmacology 3: 655-659)。
【0012】
さらに、脳中のレプチンシグナル伝達を高めることが抑うつ障害の治療へのアプローチとなり得ることが示されている(Lu, Xin-Yun et al. (2006) PNAS 103: 1593-1598)。
【発明の概要】
【0013】
驚くべきことに、齧歯動物において体重と食餌摂取を抑えるのに式(I)の化合物が有効であることが見出された。理論によって束縛されることを望まないが、式Iの化合物は、レプチン受容体シグナル伝達の経路を調整すると提起される。
【0014】
いくつかの態様において、レプチン受容体アゴニスト様の特性がある化合物は、レプチンシグナル伝達に関連する障害、並びに、体重増加に関連した、肥満のような状態の治療に有用であり得る。本発明者は、低分子のCNS浸透レプチン模倣体ならば、脳中への制限的な取込み系を迂回することができると仮定した。さらに、この状況がヒトの肥満状態を反映すると仮定して、本発明者は、作用期間が比較的長いCNS活性レプチノイドならば、肥満状態とその付随の合併症、特に(限定されないが)糖尿病に有効な両方になり得ると考えている。
【0015】
他の態様において、レプチン受容体アンタゴニスト様の特性がある化合物は、炎症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性網膜障害、及び腎障害の治療に有用であり得る。
第一の側面において、本発明は、式(I):
【0016】
【化1】

【0017】
[式中:
とXは、それぞれ独立して、N及びCHより選択され;
は、水素、C1−6−アルキル(未置換であるか又は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、及びC1−6−アルコキシより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい)、及びC1−6−アシル(未置換であるか又は、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−6−アルコキシより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい)より選択され;
とRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6−アルキル(未置換であるか又は、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−6−アルコキシより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい)、及びC1−6−アルコキシ(未置換であるか又は、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−6−アルコキシより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい)より選択され;
は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF、C1−6−アルキル、及びC1−6−アルコキシより選択され;
Yは、O、C(R5A)(R5B)、又はN(R)であり;
5AとR5Bは、それぞれ独立してC1−4−アルキルであるか、又は、それらが付く炭素原子と一緒に、3〜6員のシクロアルキル環を形成し;
は、水素又はC1−4−アルキルであり;
a、b、及びcは、それぞれ独立して、1、2又は3であり;
dとeは、それぞれ独立して、0、1又は2であり;
fは、0、1、2又は3であり;そして
gは、0、1又は2である]の化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物、幾何異性体、互変異性体、光学異性体、又はN−オキシドに関する[但し、該化合物は:
・4−(2,4−ジメチルフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンカルボキサミド;
・4−ベンジル−N−[2−(4−メチル−1−ピペラジニル)エチル]−1−ピペリジンカルボキサミド;
・4−(3−メチルフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・4−(4−クロロフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・N−[2−(4−メチル−1−ピペラジニル)エチル]−4−フェニル−1−ピペラジンカルボキサミド;
・4−(3,4−ジメチルフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・4−(2−メトキシフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・4−(2−クロロフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・N−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−4−フェニル−1−ピペラジンカルボキサミド;
・4−(2−ヒドロキシフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−4−(4−ニトロフェニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−ピペリジニル)エチル;及び
・3−メチル−4−(3−メチルフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミドからなる群より選択されない]。
【0018】
Yは、好ましくは、O又はC(R5A)(R5B)である。
は、好ましくは、Nである。
は、好ましくは、水素、C1−4−アルキル、及びC1−4−アルコキシ−C1−4−アルキルより選択される。
【0019】
最も好ましい態様において、Rは、水素、メチル、エチル、又はメトキシエチルである。
とRは、好ましくは、独立して、水素及びC1−4−アルキルより選択される。
【0020】
最も好ましい態様において、RとRは、水素である。
は、好ましくは、独立して、水素、ハロゲン、CF、C1−2−アルキル、及びC1−2−アルコキシより選択される。
【0021】
最も好ましい態様において、Rは、独立して、水素、フルオロ、クロロ、CF、メチル、及びメトキシより選択される。
5AとR5Bは、好ましくは、ともにメチルであるか、又はそれらが付く炭素原子と一緒に、シクロペンチル環を形成する。
【0022】
dとeは、好ましくは、1である。
fは、好ましくは、1又は2である。
gは、好ましくは、0又は1である。
【0023】
式(I)の特に好ましい化合物は、式(I’):
【0024】
【化2】

【0025】
[式中:X、R、R、c、f、及びgは、式(I)に定義される通りである]の化合物である。
式(I)の特に好ましい化合物は:
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル;
・4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸ピペリジン−4−イルメチル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル;
・4−(3−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル;
・4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル;
・4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル;
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル;
・4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル;
・4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル;
・4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(1−メチルピペリジン−4−イル)エチル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸1−メチルピペリジン−4−イル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[(3S)−1−メチルピロリジン−3−イル];
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(3−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(2−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(2,5−ジメチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・3−メチル−4−(3−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−ベンジルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−フェニルピペリジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・3−フェニルピロリジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−ピペラジン−1−イルエチル;
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−(2−メトキシエチル)ピペラジン−1−イル)エチル;
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−エチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)エチル;
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル;
・1−[2,2−ジメチル−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパノイル]−4−フェニルピペラジン;
・1−{2,2−ジメチル−3−[4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロピル}−4−メチルピペラジン;
・1−{2,2−ジメチル−3−[4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロピル}−4−メチルピペラジン;
・1−{2,2−ジメチル−3−[4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロピル}−4−エチルピペラジン;
・1−[2,2−ジメチル−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパノイル]−4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン;
・1−メチル−4−[(1−{[4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}シクロペンチル)メチル]ピペラジン;
・4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(4−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(4−クロロベンジル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;及び
・4−[2−(4−クロロフェニル)エチル]ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチルからなる群より選択される化合物である。
【0026】
本発明の別の側面は、療法に使用の式(I)の化合物である。
さらなる側面において、本発明は、本明細書に記載の障害又は状態のいずれもの治療又は予防に使用の式(I)の化合物に関する。
【0027】
なおさらなる側面において、本発明は、本明細書に記載の障害又は状態のいずれもの治療又は予防用医薬品の製造における、式(I)の化合物の使用に関する。
いくつかの態様では、前記化合物を、レプチン受容体に対する選択的な作用によって予防、治療、又は改善される状態の治療又は予防用医薬品の製造に使用することができる。
【0028】
いくつかの態様では、前記化合物を、体重増加に関連した状態(特に、代謝状態)の治療又は予防用医薬品の製造に使用し得る。体重増加に関連した状態には、肥満又は体重過多の被検者において発症率が増加する疾患、障害、又は他の状態が含まれる。例には、リポジストロフィー、HIVリポジストロフィー、糖尿病(2型)、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、高血糖症、高インスリン血症、脂質異常症、肝脂肪症、過食症、高血圧、高トリグリセリド血症、不妊、体重増加に関連した皮膚障害、黄斑変性が含まれる。いくつかの態様において、該化合物は、被検者の減量を維持するための医薬品の製造にも使用することができる。
【0029】
いくつかの態様では、レプチン受容体アゴニスト模倣体である式(I)の化合物を、創傷治癒を促進する医薬品の製造にも使用することができる。
いくつかの態様では、レプチン受容体アゴニスト模倣体である式(I)の化合物を、循環レプチン濃度の減少と、それ故の免疫及び生殖系の機能不全を引き起こす状態の治療又は予防用医薬品の製造にも使用することができる。そのような状態及び機能不全の例には、重症体重損失、月経困難症、無月経、女性不妊症、免疫不全、及び低いテストステロンレベルに関連した状態が含まれる。
【0030】
いくつかの態様では、レプチン受容体アゴニスト模倣体である式(I)の化合物を、レプチン欠乏、又はレプチン若しくはレプチン受容体の突然変異の結果として引き起こされる状態の治療又は予防用医薬品の製造にも使用することができる。
【0031】
いくつかの他の態様では、レプチン受容体アンタゴニスト模倣体である式(I)の化合物を、炎症性の状態又は疾患、肥満及び過剰血漿レプチンに関連した低レベル炎症の治療又は予防に、そしてアテローム性動脈硬化症が含まれる、肥満に関連した他の合併症を抑えることに、そしてメタボリックシンドロームと糖尿病において見られるインスリン抵抗性の是正に使用することができる。
【0032】
いくつかの態様において、レプチン受容体アンタゴニスト模倣体である式(I)の化合物は、癌(白血病、リンパ腫、癌腫、結腸癌、乳癌、肺癌、膵臓癌、肝細胞癌、腎癌、メラノーマ、肝臓、肺、乳房、及び前立腺の転移癌、等のような);自己免疫疾患(臓器移植拒絶、紅斑性狼瘡、移植片対宿主拒絶、同種移植片拒絶、多発性硬化症、慢性関節リウマチ、糖尿病をもたらす膵臓島の破壊が含まれるI型糖尿病、及び糖尿病の炎症発症のような);自己免疫傷害(多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症が含まれる);乏しい組織灌流と炎症に関連した心臓血管状態(アテローマ、アテローム性動脈硬化症、卒中、虚血−再灌流損傷、跛行、脊髄損傷、鬱血性心不全、脈管炎、出血性ショック、くも膜下出血に続く血管攣縮、脳血管系の偶発症候に続く血管攣縮、胸膜炎、心膜炎、糖尿病の心臓血管合併症のような);虚血−再灌流損傷、虚血と関連炎症、血管形成術後の再狭窄、及び炎症性動脈瘤;てんかん、神経変性(アルツハイマー病が含まれる)、関節炎(慢性関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎のような)、線維症(例えば、肺、皮膚、及び肝臓の)、多発性硬化症、敗血症、敗血症ショック、脳炎、感染性関節炎、ヤーリッシュ−ヘルクスマイヤー反応、帯状ヘルペス、中毒ショック、脳性マラリア、ライム病、内毒素ショック、グラム陰性菌ショック、出血性ショック、肝炎(組織傷害又はウイルス感染よりともに生じる)、深在性静脈血栓症、痛風;呼吸困難に関連した状態(例、慢性閉塞性肺疾患、気道の妨害及び閉塞、気管支収縮、肺血管収縮、呼吸妨害、慢性肺炎症疾患、珪肺症、肺肉腫化、嚢胞性線維症、肺性高血圧、肺血管収縮、肺気腫、気管支アレルギー及び/又は炎症、喘息、枯草熱、鼻炎、春季カタル、及び成人呼吸窮迫症候群);皮膚の炎症に関連した状態(乾癬、湿疹、潰瘍、接触皮膚炎が含まれる);腸の炎症に関連した状態(クローン病、潰瘍性大腸炎及び発熱、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患が含まれる);HIV(特に、HIV感染症)、脳性マラリア、細菌性髄膜炎、骨粗鬆症、及び他の骨吸収疾患、骨関節炎、子宮内膜症からの不妊、感染による発熱及び筋肉痛、並びに、過度の抗炎症細胞(好中球、好酸球、マクロファージ、及びT細胞が含まれる)活性によって媒介される他の状態によって引き起こされるか又はこれらに関連する炎症の治療又は予防のために使用することができる。
【0033】
いくつかの態様において、レプチン受容体アンタゴニスト模倣体である式(I)の化合物は、1型又は2型糖尿病の大血管又は微小血管合併症、網膜障害、腎障害、自律神経障害、又は虚血又はアテローム性動脈硬化症によって引き起こされる血管傷害の治療又は予防に使用することができる。
【0034】
いくつかの態様において、レプチン受容体アンタゴニスト模倣体である式(I)の化合物は、血管新生を阻害するために使用することができる。血管新生を阻害する本発明の化合物は、肥満又は肥満に関連した合併症の治療又は予防のために使用することができる。血管新生を阻害する本発明の化合物は、炎症に関連した合併症、糖尿病性網膜障害、又は腫瘍増殖(特に、乳癌、前立腺癌、又は胃腸系の癌における)の治療又は予防に使用することができる。
【0035】
さらなる側面において、本発明は、式Iの化合物の有効量を被検者(例、それを必要とする被検者、例えば、哺乳動物)へ投与することが含まれる、本明細書に記載の障害又は状態のいずれもの治療又は予防の方法に関する。
【0036】
本明細書に詳述する方法には、特に述べられる治療を必要とするものとして被検者を同定する方法が含まれる。そのような治療を必要とする被検者を同定することは、被検者又は医療専門家の判断であり得て、主観的(例、見解)又は客観的(例、検査又は診断法によって測定可能な)であり得る。
【0037】
他の側面において、本明細書に記載の方法には、治療薬投与への被検者の応答を監視することをさらに含んでなる方法が含まれる。そのようなモニタリングには、被検者の組織、体液、標本、細胞、タンパク質、化学マーカー、遺伝物質、等を治療レジメンのマーカー又は指標として定期的に採取することを含めてよい。他の方法では、そのような治療の適格性に関連するマーカー又は指標の評価によって、そのような治療を必要とするものとして被検者を予め選別するか又は同定する。
【0038】
1つの態様において、本発明は、治療の進展を監視する方法を提供する。この方法には、診断マーカー(「マーカー」)(例、本発明の化合物によって調整される、本明細書に詳述するあらゆる標的又は細胞種)又は診断測定(例、スクリーニング、アッセイ)のレベルを、本明細書に詳述する障害又はその症状に罹患しているか又は罹患しやすい被検者において定量する工程が含まれ、ここで被検者には、その疾患又はその症状を治療するのに十分な本発明の化合物の治療量が投与されている。本方法において定量する「マーカー」のレベルを、健常な正常対照又は他の罹患患者のいずれかの「マーカー」の既知レベルと比較して、被検者の疾患状況を確認することができる。好ましい態様では、この第一レベルの定量の後の時点で被検者の「マーカー」の第二レベルを定量して、この2つのレベルを比較して、疾患の経過や療法の効力を監視する。ある好ましい態様では、本発明による治療を開始するのに先立って、被検者の治療前「マーカー」レベルを定量してから、この治療前の「マーカー」レベルを、治療開始後の被検者の「マーカー」のレベルと比較して、治療の効力を判定することができる。
【0039】
ある方法の態様では、被検者における「マーカー」又は「マーカー」活性のレベルを少なくとも1回定量する。「マーカー」レベルを、例えば、同じ患者、別の患者、又は正常被検者より以前又は以後に入手した「マーカー」レベルの別の測定値と比較することは、本発明による療法が所望の効果を有しているかどうかを判定して、それにより投与量レベルを適宜調節することを可能にするのに有用であり得る。「マーカー」レベルの定量は、当該技術分野で知られているか又は本明細書に記載される好適なサンプリング/表現アッセイ法を使用して実施してよい。好ましくは、最初に、被検者より組織又は体液の試料を取り出す。好適な試料の例には、血液、尿、組織、口腔又は頬の細胞、及び毛根が含まれる毛髪試料が含まれる。当業者には、他の好適な試料も知られていよう。試料中のタンパク質レベル及び/又はmRNAレベル(例、「マーカー」レベル)の定量は、限定されないが、酵素イムノアッセイ、ELISA、放射標識/アッセイ技術、ブロッティング/化学発光法、リアルタイムPCR、等が含まれる、当該技術分野で知られたどの好適な技術を使用しても実施することができる。
【0040】
いくつかの態様では、式(I)の化合物が中枢神経系に浸透することができるならば、有利であり得る。他の態様では、式(I)の化合物がCNSに浸透することができなければ、有利であり得る。一般に、レプチン受容体アゴニスト模倣体である化合物は、これらの化合物がCNSに浸透することができるならば、肥満、インスリン抵抗性、又は糖尿病(特に、グルコース不耐性)の治療又は予防に特に有用であり得る。当業者は、ある化合物がCNSに浸透することができるかどうかを容易に判定することができる。使用し得る好適な方法を「生物学的方法」のセクションに記載する。
【0041】
レプチン受容体の応答は、どの好適な方法でも測定してよい。in vitro では、レプチン受容体シグナル伝達を測定することによってこれをなし得る。例えば、レプチン又は本発明の化合物のレプチン受容体への結合に応答した、Akt、STAT3、STAT5、MAPK、shp2、又はレプチン受容体のリン酸化を測定してよい。Akt、STAT3、STAT5、MAPK、shp2、又はレプチン受容体のリン酸化の程度は、例えば、ウェスタンブロットによるか又はELISAによって定量することができる。あるいは、STATレポーターアッセイ、例えばSTAT推進ルシフェラーゼ発現を使用してよい。このようなアッセイには、レプチン受容体を発現する細胞系を使用してよい。in vivoでは、レプチン又は本発明の化合物の投与後に食物摂取及び体重の抑制を定量することによって、レプチン受容体応答を測定することができる。
【0042】
下記の「生物学的方法」は、本発明の化合物がレプチン受容体アゴニスト模倣体又はレプチン受容体アンタゴニスト模倣体のいずれであるかを判定するために使用し得るアッセイ及び方法について記載する。
【0043】
式(I)の化合物は、他の治療薬剤を伴って投与しても、伴わずに投与してもよい。例えば、炎症を抑えることが所望される場合、本化合物は、抗炎症剤(例えば、メトトレキセート、スルファサラジン、及びサイトカイン不活性化剤のような疾患改善抗リウマチ薬、ステロイド、NSAID、カンナビノイド、タキキニンモジュレーター、又はブラジキニンモジュレーター)とともに投与してよい。抗腫瘍効果をもたらすことが所望される場合、式(I)の化合物は、細胞傷害剤(例えば、メトトレキセート、シクロホスファミド)又は別の抗腫瘍薬とともに投与してよい。
【0044】
式(I)の化合物は、受容体置換試験又は受容体イメージングのような in vitro 又は in vivo 応用のために放射標識(例えば、トリチウム又は放射活性ヨウ素で)することができる。
【0045】
本発明のさらなる側面は、上記に定義される式(I)の化合物の製造の方法に関する。1つの態様において、該方法は:
(a)式(II):
【0046】
【化3】

【0047】
[式中、X、R、R、a、d、及びfは、式(I)に定義される通りである]の化合物をクロロギ酸4−ニトロフェニル又は炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)と好適な塩基(DIPEA又はNMMのような)の存在下に、好適な溶媒(DCMのような)において−10〜40℃で反応させて、式(III):
【0048】
【化4】

【0049】
の化合物を生成する工程:
(b)式(III)の化合物を式(IV):
【0050】
【化5】

【0051】
[式中、X、R、R、b、c、e、及びgは、式(I)に定義される通りである]の化合物と好適な塩基(DIPEAのような)の存在下に、好適な溶媒(DMFのような)において−10〜40℃で反応させて式(I)の化合物を入手する工程;及び
(c)任意選択的に、1回又は数回の工程において、式(I)のある化合物を式(I)の別の化合物へ変換する工程を含む。
【0052】
別の態様において、本方法は:
(a)式(IV):
【0053】
【化6】

【0054】
[式中、X、R、R、b、c、e、及びgは、式(I)に定義される通りである]の化合物を式(V):
【0055】
【化7】

【0056】
[式中、R5A、R5B、及びfは、式(I)に定義される通りである]の化合物と好適な塩基(DIPEAのような)の存在下に、好適な溶媒(DCMのような)において−10〜40℃で反応させて、式(VI):
【0057】
【化8】

【0058】
の化合物を入手する工程:
(b)式(VI)の化合物を式(VII):
【0059】
【化9】

【0060】
[式中、R、R、a、及びdは、式(I)に定義される通りである]の化合物と好適な溶媒(N−メチルピロリジノンのような)において上昇温度で反応させて式(I)の化合物を入手する工程;及び
(c)任意選択的に、1回又は数回の工程において、式(I)のある化合物を式(I)の別の化合物へ変換する工程を含む。
【0061】
定義
以下の定義は、本明細書と付帯の特許請求項の全体を通して適用される。
他に述べるか又は示さなければ、「C1−6−アルキル」という用語は、1〜6の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味する。前記C1−6−アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、並びに直鎖及び分岐鎖のペンチル及びヘキシルが含まれる。「C1−6−アルキル」という範囲の部分には、C1−5−アルキル、C1−4−アルキル、C1−3−アルキル、C1−2−アルキル、C2−6−アルキル、C2−5−アルキル、C2−4−アルキル、C2−3−アルキル、C3−6−アルキル、C4−5−アルキル、等のような、そのすべての亜群が考慮される。
【0062】
他に述べるか又は示さなければ、「C1−6−アシル」という用語は、その炭素原子を介して、水素原子(即ち、ホルミル基)又は直鎖又は分岐鎖のC1−5−アルキル基(ここでアルキルは、上記のように定義される)へ付いたカルボニル基を意味する。前記C1−6−アシルの例には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、n−ブチリル、2−メチルプロピオニル、及びn−ペントイルが含まれる。「C1−6−アシル」という範囲の部分には、C1−5−アシル、C1−4−アシル、C1−3−アシル、C1−2−アシル、C2−6−アシル、C2−5−アシル、C2−4−アシル、C2−3−アシル、C3−6−アシル、C4−5−アシル、等のような、そのすべての亜群が考慮される。C1−6−アシル基が、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−6−アルコキシより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい場合、前記置換基は、カルボニル炭素原子へ付くことができない。
【0063】
他に述べるか又は示さなければ、「C1−6−アルコキシ」という用語は、1〜6の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基を意味する。前記C1−6−アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、並びに直鎖及び分岐鎖のペントキシ及びヘキソキシが含まれる。「C1−6−アルコキシ」という範囲の部分には、C1−5−アルコキシ、C1−4−アルコキシ、C1−3−アルコキシ、C1−2−アルコキシ、C2−6−アルコキシ、C2−5−アルコキシ、C2−4−アルコキシ、C2−3−アルコキシ、C3−6−アルコキシ、C4−5−アルコキシ、等のような、そのすべての亜群が考慮される。
【0064】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を意味する。
「ヒドロキシ」は、−OH残基を意味する。
「ニトロ」は、−NO残基を意味する。
【0065】
「シアノ」は、−CN残基を意味する。
「任意選択の」又は「任意選択的に」は、後続に記載する事象又は状況が起こり得るが起こる必要はないこと、そしてその記載には、その事象又は状況が起こる事例とそれが起こらない事例が含まれることを意味する。
【0066】
「哺乳動物」という用語には、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、ヤギ、及びウマ、サル、イヌ、ネコ、及び好ましくはヒトが含まれる、生物が含まれる。被検者は、ヒト被検者又は非ヒト動物、特にイヌのような飼育化動物であってよい。
【0067】
「医薬的に許容される」は、一般に安全、無毒で、生物学的にも他の点でも望ましくなくはない医薬組成物を製造するのに有用であることを意味し、ヒトの医薬使用だけでなく、獣医学への使用にも有用であることが含まれる。
【0068】
本明細書に使用される「治療」には、収載される障害又は状態の予防、又はすでに確定されたならば、その障害の改善又は消失が含まれる。
「有効量」は、治療される被検者へ治療効果を与える(例えば、疾患、障害、又はその状態若しくは症状を治療する、制御する、改善する、予防する、又はその発症を遅らせる、又はその発症するリスクを抑える)化合物の量を意味する。治療効果は、客観的(即ち、ある検査又はマーカーによって測定可能な)又は主観的(即ち、被検者がある効果の徴候を示すか又はそれを感じる)であってよい。
【0069】
「プロドラッグ」は、生理学的条件下で、又は加溶媒分解によって、生物学的に活性な式(I)の化合物へ変換し得る化合物を意味する。プロドラッグは、それを必要とする被検者へ投与される時には不活性であってもよいが、in vivo で式(I)の活性化合物へ変換される。プロドラッグは、典型的には、in vivo で迅速に変換されて、例えば血中での加水分解によって、親化合物を生じる。プロドラッグ化合物は、通常、哺乳動物の生体における溶解性、組織適合性、又は遅延放出の利点を提供する(Silverman, R. B.「The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action(医薬設計及び医薬作用の有機化学)」、第2版、エルセヴィエ・アカデミック・プレス(2004)、498-549頁を参照のこと)。プロドラッグは、式(I)の化合物に存在する、ヒドロキシ、アミノ、又はメルカプト基のような官能基を、その修飾が定型的な操作において、又は in vivo のいずれかで親化合物へ切断されるように修飾することによって製造することができる。プロドラッグの例には、限定されないが、ヒドロキシ官能基のアセテート、ホルメート、及びスクシネート誘導体、又はアミノ官能基のフェニルカルバメート誘導体が含まれる。
【0070】
本明細書と付帯の特許請求項の全体を通して、所与の化学式又は化学名には、そのすべての塩、水和物、溶媒和物、N−オキシド、及びプロドラッグの形態が含まれる。さらに、所与の化学式又は化学名には、そのすべての互変異性又は立体異性の形態が含まれる。立体異性体には、鏡像異性体とジアステレオマーが含まれる。鏡像異性体は、その純粋な形態で、又は2つの鏡像異性体のラセミ(等しい)又は不等分の混合物として存在し得る。ジアステレオマーは、その純粋な形態で、又はジアステレオマーの混合物として存在し得る。ジアステレオマーには、その純粋なシス若しくはトランス形態において、又はそれらの混合物として存在し得る幾何異性体も含まれる。
【0071】
式(I)の化合物は、それ自体として使用しても、適宜、その薬理学的に許容される塩(酸又は塩基付加塩)として使用してもよい。下記に言及する薬理学的に許容される付加塩は、本化合物が生成することができる、療法的に活性な無毒の酸及び塩基付加塩の形態を含むことを意味する。塩基の性質を有する化合物は、その塩基型を適正な酸で処理することによって、その医薬的に許容される酸付加塩へ変換することができる。例示の酸には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸のような無機酸;並びに、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸、安息香酸、アスコルビン酸、等のような有機酸が含まれる。例示の塩基付加塩の形態は、ナトリウム、カリウム、カルシウムの塩、並びに、例えば、アンモニア、アルキルアミン、ベンザチンのような医薬的に許容されるアミンと、例えば、アルギニン及びリジンのようなアミノ酸との塩である。本明細書に使用する付加塩という用語はまた、化合物とその塩が生成することができる、例えば、水和物、アルコール和物、等のような溶媒和物を含む。
【0072】
組成物
臨床使用のために、本発明の化合物は、様々な投与形式用の医薬製剤へ製剤化される。該化合物は、生理学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤と一緒に投与し得ると理解されよう。医薬組成物は、どの好適な経路によっても、好ましくは、経口、直腸、経鼻、局所(頬内及び舌下が含まれる)、舌下、経皮、鞘内、経粘膜、又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内が含まれる)の投与によって投与してよい。
【0073】
他の製剤は、簡便には、単位剤形(例えば、錠剤と持続放出カプセル剤)において、そしてリポソーム剤において提示してよく、製剤の技術分野でよく知られたどの方法によっても製造してよい。医薬製剤は、通常、活性化合物又はその医薬的に許容される塩を慣用の医薬的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と混合することによって製造する。賦形剤の例は、水、ゼラチン、アラビアゴム、乳糖、微結晶性セルロース、デンプン、ナトリウムデンプングリコラート、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルカム(tulcum)、コロイド状二酸化シリコン、等である。このような製剤は、他の薬理活性剤と、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、香味剤、緩衝剤、等のような慣用の添加剤も含有してよい。通常、活性化合物の量は、その調製物の0.1〜95重量%の間であり、好ましくは、非経口使用の調製物で0.2〜20重量%の間、そしてより好ましくは、経口投与用の調製物で1〜50重量%の間である。
【0074】
本製剤は、造粒、圧縮、マイクロカプセル化、スプレーコーティング、等のような既知の方法によってさらに調製することができる。本製剤は、慣用の方法によって、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁液剤、坐剤、又は注射剤の剤形で調製してよい。活性物質を水や他の好適な担体に溶かすか又は懸濁させることによって、液体製剤を調製してよい。錠剤と顆粒剤は、慣用のやり方でコートしてよい。療法的に有効な血漿濃度を延長された時間帯の間維持するために、本発明の化合物を徐放性製剤へ取り込んでよい。
【0075】
特定化合物の用量レベルと投与頻度は、利用する特定化合物の効力、該化合物の代謝安定性及び作用時間、患者の年齢、体重、健康状態、性別、食事、投与の形式及び時間、排出速度、薬物の組合せ、治療される状態の重症度、及び患者が受けている療法が含まれる、多様な要因に依存して変動するものである。1日投与量は、例えば、約0.001mg〜約100mg/kg(体重)の範囲に及んでよく、それぞれ例えば約0.01mg〜約25mgの用量で単回又は多数回投与される。通常、そのような投与量は、経口で与えられるが、非経口投与が選択される場合もある。
【0076】
本発明の化合物の製造
上記の式(I)の化合物は、慣用の方法によって、又はそれに類似して製造することができる。中央のウレタンリンカーの形成が、式(I)のカルバメート化合物を製造するときの重要な合成工程である。ウレタンリンカーの形成には、多数の活性化試薬を使用することができる(例えば、アルコールのクロロホルメートを生成するホスゲン、又はイミダゾールカルボキシレートを生成するカルボニルジイミダゾール(CDI))。典型的には、式(I)の化合物へ取り込むウレタンリンカーは、クロロギ酸4−ニトロフェニル又は炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)を活性化剤として利用して合成した。本発明の実施例に記載の中間体及び化合物の製造については、以下のスキーム1及び2によって特に図解することができる。本明細書のスキーム中の構造における可変基の定義は、本明細書に詳述する式中の対応位置の定義と同等である。
【0077】
典型的には、式(I)のカルバメート化合物の合成は、アルコール部分の活性化によって実施する。アルコール(II)を塩基(DIPEA又はNMMのような)の存在下にクロロギ酸4−ニトロフェニル又は炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)で処理して、対応する炭酸4−ニトロフェニル誘導体(III)を得る。後続の工程において、活性化した炭酸エステル(III)を塩基(DIPEAのような)の存在下に適正なピペリジン又はピペラジン誘導体(IV)で処理すると、所望される式(I)の化合物の生成を生じる。この合成を以下のスキーム1に概して図示する。
【0078】
あるいは、ピペリジン又はピペラジン誘導体(IV)を塩基の存在下にクロロギ酸4−ニトロフェニル又は炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)での処理によって活性化して、対応するカルバメート誘導体を生成することができる。次いで、このカルバメート中間体を塩基の存在下に適正なアルコール部分(II)で処理して、式(I)の化合物を得る。
【0079】
ウレタンの形成は、典型的には2工程法であるが、これは、その活性化中間体のその場での(in situ)形成によるワンポット反応で実施してもよい。
スキーム1.式(I)のカルバメート誘導体の一般的な製法
【0080】
【化10】

【0081】
[ここで、X、X、R〜R、及びa〜gは、式1に定義される通りである]。
式(I)のアミド化合物の合成は、典型的には、式(IV)のピペリジン又はピペラジン誘導体を塩基(DIPEAのような)の存在下に式(V)の適正なω−ハロアルカン酸クロリドでアシル化することによって実施して、式(VI)のアミドを得る。続いて、(VI)を好適な溶媒(N−メチルピロリジノンのような)中の適正なピペラジン誘導体(VII)で処理して、所望される式(I)の化合物を得る。この合成を以下のスキーム2に概して図示する。
【0082】
必要ならば、1つ又はいくつかの追加の工程において、式(I)の化合物を式(I)の別の化合物へ変換することができる。
スキーム2.式(I)のアミド誘導体の一般的な製法
【0083】
【化11】

【0084】
[ここで、X、R〜R、及びa〜gは、式1に定義される通りである]。
式(I)の化合物を製造するのに必要な出発材料は、市販されているか又は当該技術分野で知られた方法によって製造してよい。
【0085】
以下の実験セクションに記載の方法を行って、化合物を遊離塩基の形態で、又は酸付加塩として得ることができる。医薬的に許容される酸付加塩は、塩基性の化合物より酸付加塩を製造するための慣用の手順に従って、遊離塩基を好適な有機溶媒に溶かして、その溶液を酸で処理することによって入手することができる。酸付加塩を生成する酸の例は、上記に言及されている。
【0086】
式(I)の化合物は、1以上のキラル炭素原子を保有する場合があり、それ故にそれらは、光学異性体の形態で、例えば、純粋な鏡像異性体として、又は鏡像異性体の混合物(ラセミ体)として、又はジアステレオマーを含有する混合物として入手することができる。純粋な鏡像異性体を入手するために光学異性体の混合物を分離することは、当該技術分野でよく知られていて、例えば、光学活性(キラル)酸を用いた塩の分別結晶化によって、又はキラルカラムでのクロマトグラフィー分離によって達成することができる。
【0087】
本明細書に詳述する合成経路において使用する化学品には、例えば、溶媒、試薬、触媒、並びに保護基及び脱保護基の試薬を含めてよい。保護基の例は、t−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジル、及びトリチル(トリフェニルメチル)である。上記に記載の方法には、本明細書に具体的に記載する工程の前又は後のいずれかで、本化合物の合成を最終的に可能にするのに適した保護基を付けるか又は外すための工程も追加的に含めてよい。加えるに、所望の化合物を得るには、様々な合成工程を代わりの系列又は順序で実施してよい。適用可能な化合物を合成するのに有用な合成化学の諸変換と保護基の方法論(保護と脱保護)は当該技術分野で知られていて、例えば、R. Larock,「Comprehensive Organic Transformations(有機変換総論)」VCH パブリッシャーズ (1989); T.W. Greene and P.G.M. Wuts,「Protective Groups in Organic Synthesis(有機合成の保護基)」第3版、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ (1999); L. Fieser and M. Fieser,「Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis(フィーザー夫妻の有機合成試薬)」ジョン・ウィリー・アンド・サンズ (1994); 及び L. Paquette, 監修、「Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis(有機合成試薬事典)」ジョン・ウィリー・アンド・サンズ (1995) とこれらの続編に記載のものが含まれる。
【0088】
以下の略語を使用した:
Boc tert−ブトキシカルボニル
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP N,N−ジメチルアミノピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
ES エレクトロスプレー
EtO ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
HIV ヒト免疫不全ウイルス
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
ICV 脳室内
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析法
M モル濃度
[MH] プロトン化分子イオン
NEt トリエチルアミン
NMM N−メチルモルホリン
RP 逆相
tert 三級
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
本発明の態様について、付帯の図面を参照して、以下の実施例で記載する:
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、高炭水化物食で飼育した動物間の体重分離の例を示す。誤差のバーは、平均+/−SEMを表す。
【図2】図2は、実施例6について、DIOラットでの4日間試験で観測された累積体重変化(%)を示す。
【図3】図3は、実施例16について、DIOラットでの3日間試験で観測された累積体重変化(%)を示す。
【図4】図4は、実施例18について、DIOラットでの4日間試験で観測された累積体重変化(%)を示す。
【図5】図5は、実施例36について、DIOラットでの3日間試験で観測された累積体重変化(%)を示す。
【図6】図6は、レプチンについてのJEG−3細胞による[H]−チミジン取込みの濃度依存性の増加を示す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
本明細書の可変基の定義において化学基のリストを列挙することには、単一の基又は収載基の組合せとしてのその可変基の諸定義が含まれる。本明細書の態様を列挙することには、単一の態様として、又は他のあらゆる態様又はその部分と組み合わされる態様が含まれる。
【0091】
これから本発明を以下の非限定的な実施例によってさらに例解する。以下の特定の実施例は、単に例示として解釈されるべきであって、本開示の残り部分を決して限定するものではない。さらに詳しい説明(elaboration)がなくても、当業者は、本明細書の記載に基づいて、本発明をその最大限まで利用することができると考えられる。本明細書に引用するすべての参考文献及び刊行物は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0092】
実施例と中間化合物
実験法
すべての試薬は市販グレードであり、他に特定しなければ、受け取ったままさらに精製せずに使用した。不活性気体下に実施する反応では、市販の無水溶媒を使用した。他に特定しなければ、他のすべての事例において試薬グレードの溶媒を使用した。メチルイソシアネート樹脂は、NovaBiochem(カタログ番号:01−64−0169)より供給された。分析用LCMSは、Agilent 1100 HPLCシステムへ連結したWaters ZQ質量分析計で実施した。分析用HPLCは、Agilent 1100システムで実施した。高解像質量スペクトル(HRMS)は、Agilent 1100 HPLCシステムへ連結したAgilent MSD−TOFで入手した。分析の間、2つの質量によって較正を確認して、必要とされるときは、自動的に調整した。スペクトルは、陽イオンエレクトロスプレーモードで獲得する。獲得した質量範囲は、m/z 100〜1100である。質量ピークのプロファイル検出を使用した。フラッシュクロマトグラフィーは、Strata SI−1シリカ gigatube を取り付けたFlash Master Personalシステムで実施した。逆相クロマトグラフィーは、Merck LiChoprep(登録商標)RP−18(40〜63μm)460x26mmカラム(30mL/分、メタノール/水の勾配)を取り付けたGilsonシステムで実施した。分取用HPLCは、Phenomenex Hydro RP 15 0x20mm(20mL/分、アセトニトリル/水の勾配)を取り付けたGilsonシステムで実施した。化合物は、ACD6.0又は8.0を使用して自動的に命名した。
【0093】
分析用HPLC及びLCMSのデータは、以下で入手した:
システムA:Phenomenex Synergi Hydro RP(150x4.6mm,4μm),勾配:HO(+0.1% TFA)中5〜100% CHCN(+0.085% TFA),1.5mL/分、7分の勾配時間を伴う、200〜300nm,30℃。
【0094】
分析用LCMSデータは、以下でも入手した:
システムB:Phenomenex Synergi Hydro RP(150x4.6mm,4μm),勾配:HO(+0.1% HCOH)中0〜20% CHCN(+0.1% HCOH),1mL/分、勾配時間:8分、25℃;
システムC:Phenomenex Synergi Hydro RP(30x4.6mm,4μm),勾配:HO(+0.1% TFA)中5〜100% CHCN(+0.085% TFA),1.5mL/分、勾配時間:1.75分、30℃;又は
システムD:Phenomenex Synergi Hydro RP(30x4.6mm,4μm),勾配:HO(+0.1% HCOH)中5〜100% CHCN(0.1% HCOH),1.5mL/分、勾配時間:1.75分、30℃。
【0095】
中間体1
炭酸4−ニトロフェニル(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル
【0096】
【化12】

【0097】
4−ピペリジンメタノール(10.0g,86.8ミリモル)をDCM(200mL)に溶かした。DIPEA(15.0mL,86.6ミリモル)を加えた後で、二炭酸ジtert−ブチル(18.95g,86.8ミリモル)を少量ずつ加えた。この反応混合物を室温で19時間撹拌した。この反応混合物を2M HCl水溶液(150mL)と1M NaCO水溶液(150mL)で洗浄してから、乾燥(MgSO)させた。得られる有機相を真空で濃縮して、4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(16.1g,87%)を白い固形物として得た。
【0098】
分析用LCMS:(システムD,R=1.8分),ES+: 216.3 [MH]+
LiAlHの1M THF溶液(13.5mL,13.5ミリモル)へ4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1.94g,9.0ミリモル)のTHF(15.0mL)溶液をアルゴン下に滴下した。この反応混合物を室温で17時間撹拌してから、0℃へ冷やした。THF及び水の混合物(1:1比、1.5mL)を滴下した。ゼラチン様の白い固形物が生成した。4M NaOH水溶液(0.6mL)を滴下した。水(2mL)を加えて、得られる混合物を室温で2時間撹拌した。白い固形物を濾過によって除去した。濾液をIsolute HM−N液体−液体抽出カラム上へロードしてから、EtOAc(200mL)で溶出させた。得られる有機相を真空で濃縮して、(1−メチルピペリジン−4−イル)メタノール(1.02g,88%)を黄色いオイルとして得た。
【0099】
分析用LCMS:純度約90%(システムB,R=1.88分),ES+: 129.8 [MH]+
炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)(7.06g,23.2ミリモル)のDCM(100mL)溶液へDCM(50mL)中の(1−メチルピペリジン−4−イル)メタノール(2.50g,19.3ミリモル)に続いてNMM(1.70mL,15.5ミリモル)を加えた。この反応混合物を90時間撹拌してから、1M NaCO水溶液のアリコートで、水層が無色になるまで連続的に洗浄した。有機層を乾燥(MgSO)させ、真空で濃縮して、炭酸4−ニトロフェニル(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル(4.18g,73%)を黄色い固形物として得た。
【0100】
分析用LCMS:(システムD,R=1.59分),ES+: 295.1 [MH]+
中間体2
炭酸4−ニトロフェニル(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル)メチル
【0101】
【化13】

【0102】
4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(36.1g,168ミリモル)及びNMM(20mL,182ミリモル)のDCM(500mL)溶液へ0℃でクロロギ酸p−ニトロフェニル(33.9g,168ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌してから、1M HCl水溶液(500mL)、飽和NaHCO水溶液(3x500mL)で連続的に洗浄し、乾燥(MgSO)させ、真空で濃縮して、炭酸4−ニトロフェニル(1−(tert−ブトキシ-カルボニル)ピペリジン−4−イル)メチル(61.2g,96%)を黄色い固形物として得た。
【0103】
分析用LCMS:(システムC,R=2.46分),ES+: 307.4 [M-OtBu]+, 281.4 [M+H-Boc]+
中間体3
炭酸4−ニトロフェニル(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)メチル
【0104】
【化14】

【0105】
ピペリジン−4−イル−メタノール(3.13g,27.2ミリモル)、DMAP(50mg)、及びNEt(7.0mL,50.6ミリモル)のDCM溶液へ0℃で塩化メトキシ−アセチル(5.0mL,54.8ミリモル)を0.5mLのアリコートで加えた。この反応混合物を2時間撹拌してから、DCM(70mL)で希釈して、1M HCl水溶液(100mL)と1M NaCO水溶液(100mL)で連続的に洗浄した。有機相を乾燥(MgSO)させ、濾過し、真空で濃縮して、2−メトキシ酢酸(1−(2−メトキシアセチル)ピペリジン−4−イル)メチル(6.5g,92%)を黄色いオイルとして得た。
【0106】
分析用LCMS:(システムD,R=1.53分),ES+: 260.3 [MH]+
先の工程からの2−メトキシ酢酸(1−(2−メトキシアセチル)ピペリジン−4−イル)メチル(6.5g,25.1ミリモル)のTHF(10mL)溶液をLiAlHの1M THF溶液(55.0mL,55.0ミリモル)へアルゴン下に滴下した。この反応混合物を室温で2日間撹拌してから、0℃へ冷やした。水(2.0mL)を滴下した。ゼラチン様の白い固形物が生成した。0.2M NaOH水溶液(2.0mL)を滴下した。水(5.0mL)を加えて、得られる混合物を室温で3時間撹拌した。白い固形物を濾過によって除去した。濾液を真空で濃縮して、Isolute HM−Nカートリッジ(EtOAcで溶出させる)上で乾燥させた。得られる有機溶液を真空で乾燥させて、(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)メタノール(3.65mg,84%)を黄色いオイルとして得た。
【0107】
分析用LCMS:(システムD,R=0.35分),ES+: 174.2 [MH]+
(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)メタノール(3.65g,21.1ミリモル)及びNMM(2.5mL,22.8ミリモル)のDCM(100mL)溶液へクロロギ酸p−ニトロフェニルを0℃で加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌してから、飽和NaHCO水溶液(5x100mL)で連続的に洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。得られる橙色のオイルをEtOAcとヘプタンより再結晶させて、炭酸4−ニトロフェニル(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)メチル(3.65g,51%)を橙色の固形物として得た。
【0108】
分析用LCMS:(システムD,R=1.59分),ES+: 339.2 [MH]+
中間体4
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル
【0109】
【化15】

【0110】
1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(26.0g,0.2モル)のDMF(200mL)撹拌溶液へギ酸(752mL,0.2モル)とホルムアルデヒド(16.2g,0.2モル,37%水溶液)を加えた。この反応混合物を100℃で2時間慎重に加熱してから、室温で一晩撹拌した。溶媒を真空で除去した。この手順をさらに3回繰り返して、約100gの生成物を得た。この粗生成物を合わせて、真空下に約74℃で蒸留して、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタノール(51g,44%)を無色の液体として得た。分析用LCMS:(システムC,R=0.70分),ES+: 145.1 [MH]+
【0111】
クロロギ酸4−ニトロフェニル(9.85g,49ミリモル)をDCM(200mL)に溶かして、0℃へ冷やした。2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタノール(7.2g,50ミリモル)とNMM(6mL)を加えて、この反応混合物をそのまま16時間にわたり徐々に室温へ温めた。この反応混合物を、水層へ抽出される黄色が消失するまで、1M NaCO水溶液で洗浄した。有機相を乾燥(MgSO)させ、濾過し、真空で濃縮して、炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(10.7g,71%)を、静置時に固化する黄色いオイルとして得た。
【0112】
分析用LCMS:純度約80%(システムC,R=1.70分),ES+: 310.4 [MH]+
実施例1
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル・ギ酸塩
【0113】
【化16】

【0114】
炭酸4−ニトロフェニル(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル(中間体1;5.70g,19.4ミリモル)をDMF(40mL)に溶かした。DIPEA(6.75mL,38.7ミリモル)と1−フェニルピペラジン(2.96mL,19.4ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で6時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(300mL)に溶かして、飽和NaHCO水溶液(6x200mL)、塩水(50mL)で連続的に洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いて、DCM:MeOH:DIPEAの98:1:1混合物で溶出させる)に続いて逆相クロマトグラフィー(水中0〜80% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製して、4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル・ギ酸塩(0.63g,10.3%)を粘稠な黄色いオイルとして得た。
【0115】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=3.64分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=4.55分),ES+: 318.5 [MH]+;C1827のHRMS計算値:317.2103,実測値:317.2109。
【0116】
実施例2
4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル
【0117】
【化17】

【0118】
炭酸4−ニトロフェニル(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル)メチル(中間体2;10.0g,26.3ミリモル)をDMF(50mL)に溶かした。DIPEA(16.0mL,92.0ミリモル)と4−(4−クロロフェニル)ピペラジン二塩酸塩(7.09g,26.3ミリモル)を加えて、この反応混合物を室温で24時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。得られる残渣をEtOAc(300mL)に溶かして、1M NaCO水溶液(6x200mL)、10%クエン酸溶液(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣をDCM(100mL)及びTFA(20mL)の混合物に溶かし、4時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣を1M NaCO水溶液(220mL)に溶かして、DCM(3x200mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣をEtOAcより再結晶させて、4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−ピペリジン−4−イル)メチル(4.07g,45.7%)をクリーム色の固形物として得た。
【0119】
分析用LCMS:純度100%(システムC,R=1.94分),ES+: 338.4 [MH]+
4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−ピペリジン−4−イル)メチル(4.07g,12.0ミリモル)をギ酸(20mL)と35%ホルムアルデヒド水溶液(20mL)に溶かした。この反応混合物を95℃で90分間加熱してから、室温へ冷やした。この反応混合物を1M NaCO水溶液(200mL)上へゆっくり注ぐことによって冷まし、1M KOH水溶液(30mL)でpH10へ塩基性にして、DCM(3x100mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いて、DCM:MeOH:DIPEAの97:2:1混合物で溶出させる)に続いて逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜80% MeOHで勾配溶出)によって精製して、4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル(1.30g,30.7%)を白い固形物として得た。
【0120】
分析用HPLC:純度99.8%(システムA,R=4.75分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=6.43分),ES+: 352.4 [MH]+;C1826ClNのHRMS計算値:351.1714,実測値:351.1729。
【0121】
実施例3
4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸ピペリジン−4−イルメチル
【0122】
【化18】

【0123】
炭酸4−ニトロフェニル(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イルメチル(中間体2;3.80g,10.0ミリモル)をDMF(100mL)に溶かした。DIPEA(6.10mL,35.0ミリモル)と4−(4−メチルフェニル)ピペラジン二塩酸塩(2.49g,10.0ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で4時間撹拌してから、真空で濃縮した。得られる残渣をEtOAc(300mL)に溶かし、1M NaCO水溶液(6x200mL)、10%クエン酸溶液(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣をDCM(100mL)及びTFA(25mL)の混合物に溶かし、48時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣を逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(70mL)に溶かし、固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過して、真空で濃縮して、4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸ピペリジン−4−イルメチル(1.60g,44.6%)を薄黄色い固形物として得た。
【0124】
分析用HPLC:純度99.8%(システムA,R=3.71分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=4.32分),ES+: 318.2 [MH]+;C1827のHRMS計算値:317.2103,実測値:317.2106。
【0125】
実施例4
4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル
【0126】
【化19】

【0127】
4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−ピペリジン−4−イル)メチル(実施例3;9.75g,30.7ミリモル)をギ酸(3mL)、35%ホルムアルデヒド水溶液(3mL)、及び水(20mL)に溶かした。この反応混合物を95℃で45分間加熱してから、室温へ冷やした。この反応混合物を1M NaCO水溶液(400mL)上へゆっくり注ぐことによって冷まして、EtOAc(4x150mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水(75mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣をヘプタンより再結晶させてから、逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(70mL)に溶かし、固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過して、真空で濃縮した。残渣をヘプタンより再結晶させて、4−(4−メチルフェニル)-ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル(4.38g,43.0%)を白い固形物として得た。
【0128】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=3.67分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=5.37分),ES+: 332.5 [MH]+;C1929のHRMS計算値:331.2260,実測値:331.2274。
【0129】
実施例5
4−(3−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル
【0130】
【化20】

【0131】
炭酸4−ニトロフェニル(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル(中間体1;4.30g,14.6ミリモル)をDMF(50mL)に溶かした。DIPEA(8.91mL,51.1ミリモル)と4−(3−メチルフェニル)ピペラジン二塩酸塩(3.64g,14.6ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で4時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(500mL)に溶かしてから、1M NaOH水溶液(6x200mL)、塩水(50mL)で連続的に洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣をDCM(150mL)に溶かし、イソシアン酸メチル樹脂(1.0g)を加えて、この反応混合物を14時間振り混ぜ、濾過してから、真空で濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(70mL)に溶かし、固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過し、真空で濃縮して、4−(3−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル(0.65g,13.3%)を薄黄色いオイルとして得た。
【0132】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=3.84分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=5.63分),ES+: 332.4 [MH]+;C1929のHRMS計算値:331.2260,実測値:331.2272。
【0133】
実施例6
4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル
【0134】
【化21】

【0135】
炭酸4−ニトロフェニル(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル(中間体1;4.99g,16.9ミリモル)をDMF(40mL)に溶かした。DIPEA(5.90mL,33.9ミリモル)と4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン(3.21g,17.8ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で3時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(400mL)に溶かしてから、1M NaOH水溶液(6x150mL)、塩水(50mL)で連続的に洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣をDCM(100mL)に溶かして、イソシアン酸メチル樹脂(1.0g)を加えた。この反応混合物を14時間振り混ぜ、濾過してから、真空で濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(70mL)に溶かして、固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過し、真空で濃縮して、4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル(0.67g,11.8%)を薄黄色いオイルとして得た。
【0136】
分析用HPLC:純度98.9%(システムA,R=4.09分);分析用LCMS:純度97.0%(システムA,R=4.65分),ES+: 336.1 [MH]+;C1826FNのHRMS計算値:335.2009,実測値:335.2022。
【0137】
実施例7
4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル
【0138】
【化22】

【0139】
(1−メチルピペリジン−4−イル)メタノール(1.00g,7.74ミリモル)をDCM(20mL)に溶かして、0℃へ冷やした。NMM(0.94mL,8.51ミリモル)とクロロギ酸4−ニトロフェニル(1.56g,7.74ミリモル)を加えた。この反応混合物を0℃で20分間撹拌してから、4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン(1.64g,8.51ミリモル)及びDIPEA(2.02mL,11.01ミリモル)のDMF(30mL)溶液へ加えた。この反応混合物を室温で4時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(200mL)に溶かして、1M NaOH水溶液(5x100mL)、塩水(100mL)で連続的に洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(70mL)に溶かして、固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過し、真空で濃縮して、4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル(0.277g,10.3%)をオフホワイトの固形物として得た。
【0140】
分析用HPLC:純度99.2%(システムA,R=3.51分);分析用LCMS:純度97.3%(システムA,R=4.09分),ES+: 348.5 [MH]+;C1929のHRMS計算値:347.2209,実測値:347.2222。
【0141】
実施例8
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル
【0142】
【化23】

【0143】
炭酸4−ニトロフェニル(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル)メチル(中間体2;5.0g,13.1ミリモル)をDMF(30mL)に溶かした。DIPEA(4.58mL,26.3ミリモル)と1−フェニルピペラジン(2.01mL,13.1ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で18時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(300mL)に溶かしてから、飽和NaHCO水溶液(6x200mL)、10%クエン酸溶液(50mL)、及び塩水(50mL)で連続的に洗浄した。この溶液を乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣をDCM(20mL)に溶かして、TFA(10mL)を加えた。この反応混合物を室温で3時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣を水(20mL)に溶かして、飽和NaHCO水溶液(100mL)を加えて、水層をDCM(3x200mL)で抽出した。次いで、合わせた有機層を塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、この溶液を真空で濃縮して、4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸(ピペリジン−4−イル)メチル(3.825g,収率95.9%)を黄色い固形物として得た。
【0144】
分析用LCMS:(システムC,R=1.64分),ES+: 304.4 [MH]+
先の工程からの4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸(ピペリジン−4−イル)メチル(2.15g,7.10ミリモル)、2−ブロモエチルメチルエーテル(0.67mL,7.10ミリモル)、及びDIPEA(1.36mL,7.81ミリモル)をDMF(30mL)に溶かして、70℃で一晩撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をDCM(300mL)に溶かしてから、飽和NaHCO水溶液(2x100mL)、塩水(50mL)で連続的に洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:MeOH:DIPEAの98:1:1混合物で溶出させる)に続いて逆相クロマトグラフィー(水中0〜100% MeOHで勾配溶出)によって精製して、表題化合物:4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル(0.798g,収率31.1%)を粘稠な黄色いオイルとして得た。
【0145】
分析用HPLC:純度99.9%(システムA,R=3.83分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=4.59分),ES+: 362.5 [MH]+;C2031のHRMS計算値:361.2365,実測値:361.2382。
【0146】
実施例9
4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル二塩酸塩
【0147】
【化24】

【0148】
炭酸4−ニトロフェニル(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)メチル(中間体3;1.01g,3.0ミリモル)をDMF(10mL)に溶かした。DIPEA(0.87mL,5.0ミリモル)と4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン(541mg,3.0ミリモル)を加えて、この反応混合物を室温で14時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。得られる残渣をEtOAc(50mL)に溶かして、1M NaCO水溶液(5x30mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:MeOHの96:4混合物で溶出させる)に続いて逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜100% MeOHで勾配溶出)によって精製した。残渣をDCM(10mL)に溶かして、EtO中2M HCl(3mL)を加えた。次いで、この反応混合物を真空で濃縮して、4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル二塩酸塩(90mg,7.9%)を白い固形物として得た。
【0149】
分析用HPLC:純度99.3%(システムA,R=4.25分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=5.80分),ES+: 380.5 [MH]+;C2030FNのHRMS計算値:379.2271,実測値:379.2281。
【0150】
実施例10
4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル二塩酸塩
【0151】
【化25】

【0152】
炭酸4−ニトロフェニル(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)メチル(中間体3;1.01g,3.0ミリモル)をDMF(10mL)に溶かした。DIPEA(1.74mL,5.0ミリモル)と4−(4−クロロフェニル)ピペラジン二塩酸塩(808mg,3.0ミリモル)を加えて、この反応混合物を室温で14時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。得られる残渣をEtOAc(50mL)に溶かして1M NaCO水溶液(5x30mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:MeOHの96:4混合物で溶出させる)に続いて逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜100% MeOHで勾配溶出)によって精製した。残渣をDCM(10mL)に溶かして、EtO中2M HCl(3mL)を加えた。次いで、この反応混合物を真空で濃縮して、4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル二塩酸塩(468mg,39.5%)を白い固形物として得た。
【0153】
分析用HPLC:純度99.6%(システムA,R=5.04分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=6.73分),ES+: 396.5 [MH]+;C2030ClNのHRMS計算値:395.1976,実測値:395.1994。
【0154】
実施例11
4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル
【0155】
【化26】

【0156】
(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)メタノール(中間体3,工程2;1.73g,10.0ミリモル)をDCM(50mL)に溶かして、0℃へ冷やした。NMM(1.21mL,11.0ミリモル)とクロロギ酸4−ニトロフェニル(2.02g,10.0ミリモル)を加えた。この反応混合物を0℃で15分間撹拌してから、4−(4−メチルフェニル)ピペラジン二塩酸塩(2.62g,10.5ミリモル)及びDIPEA(6.10mL,35.0ミリモル)のDMF(75mL)溶液へ加えた。この反応混合物を室温で4時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(300mL)に溶かしてから、1M NaOH水溶液(6x100mL)、塩水(100mL)で連続的に洗浄して、次いで乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(70mL)に溶かして、固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過し、真空で濃縮して、4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル(0.95g,25.4%)を薄黄色いオイルとして得た。
【0157】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=4.08分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=4.70分),ES+: 376.5 [MH]+;C2133のHRMS計算値:375.2522,実測値:375.2534。
【0158】
実施例12
4−(4−メトキシフェニル)-ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル
【0159】
【化27】

【0160】
(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)メタノール(中間体3,工程2;1.34g,7.74ミリモル)をDCM(20mL)に溶かして、0℃へ冷やした。NMM(0.94mL,8.51ミリモル)とクロロギ酸4−ニトロフェニル(1.56g,7.74ミリモル)を加えた。この反応混合物を0℃で20分間撹拌してから、4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン(1.64g,8.51ミリモル)及びDIPEA(6.10mL,35.0ミリモル)のDMF(30mL)溶液へ加えた。この反応混合物を室温で4時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(300mL)に溶かしてから、1M NaOH水溶液(5x125mL)、塩水(100mL)で連続的に洗浄して、次いで乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(70mL)に溶かして、固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過し、真空で濃縮して、表題化合物:4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル(0.637g,21.6%)を薄黄色いオイルとして得た。
【0161】
分析用HPLC:純度99.9%(システムA,R=4.87分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=4.18分),ES+: 392.1 [MH]+;C2133のHRMS計算値:391.2471,実測値:391.2471。
【0162】
実施例13
4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(1−メチルピペリジン−4−イル)エチル
【0163】
【化28】

【0164】
2−ピペリジン−4−イル−エタノール(2.37g,18.3ミリモル)をギ酸(2.1mL,55.7ミリモル)、35%ホルムアルデヒド水溶液(4.5mL,55.4ミリモル)、及び水(20mL)に溶かした。この反応混合物を95℃で2時間加熱してから、室温へ冷やした。この反応混合物を飽和NaHCO溶液(200mL)上へゆっくり注ぐことによって冷まして、真空で濃縮した。残渣をMeOH(100mL)に懸濁させて、2時間撹拌し、濾過し、濾液を真空で濃縮して、2−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−エタノール(3.38g,129%)を無色のオイルとして得て、これをさらに精製せずに使用した。
【0165】
分析用LCMS:(システムC,R=0.50分),ES+: 144.1 [MH]+
NaH(鉱油中60%分散液、0.81g,42.2ミリモル)をアルゴン雰囲気下でヘプタン(10mL)に懸濁させた。このヘプタンをデカントして除いて、フラスコにTHF(20mL)を入れて、0℃へ冷やした。2−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−エタノール(1.01g,7.03ミリモル)のTHF(20mL)溶液に続いて、4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニル(2.89g,8.46ミリモル)のTHF(20mL)溶液を滴下した。この反応混合物をそのまま室温へ温めて、48時間撹拌した。次いで、この反応混合物を0℃へ冷やして、飽和NaHCO水溶液の滴下で冷まして、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(200mL)に溶かし、NaHCO溶液(4x50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:MeOHの90:10混合物で溶出させる)に続いて逆相クロマトグラフィー(水中0〜20% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(50mL)に溶かし、固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過し、真空で濃縮して、表題化合物:4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(1−メチルピペリジン−4−イル)エチル(0.21g,7%)をクリーム色の固形物として得た。
【0166】
分析用HPLC:純度99.6%(システムA,R=4.02分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=4.48分),ES+: 346.5 [MH]+;C2031のHRMS計算値:345.2416,実測値:345.2427。
【0167】
実施例14
4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸1−メチルピペリジン−4−イル
【0168】
【化29】

【0169】
4−ヒドロキシ−1−メチルピペリジン(3.00g,26.1ミリモル)及びNMM(3.0mL,27.3ミリモル)のDCM(50mL)溶液へ0℃でクロロギ酸p−ニトロフェニル(5.51g,27.4ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で4時間撹拌すると、クリーム色の沈殿が徐々に生成した。この反応混合物を濾過し、残渣をDCM(50mL)で洗浄して、炭酸4−ニトロフェニル1−メチルピペリジン−4−イル(7.24g,99%)をクリーム色の固形物として得た。
【0170】
分析用LCMS:(システムC,R=2.02分),ES+: 281.4 [MH]+
炭酸4−ニトロフェニル1−メチルピペリジン−4−イル(1.81g,6.44ミリモル)及びDIPEA(0.76mL,4.4ミリモル)のDMF(20mL)溶液へ4−(4−メチルフェニル)ピペラジン(1.53g,6.14ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で3時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。得られる残渣をEtOAc(250mL)に溶かして1M NaCO水溶液(5x150mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:MeOHの90:10混合物で溶出させる)によって精製して、4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸1−メチルピペリジン−4−イル(1.54g,79%)をクリーム色の固形物として得た。
【0171】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=3.73分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=4.90分),ES+: 318.5 [MH]+;C1827のHRMS計算値:317.2103,実測値:317.2117。
【0172】
実施例15
4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[(3S)−1−メチルピロリジン−3−イル]
【0173】
【化30】

【0174】
(S)−(+)−3−ヒドロキシ−N−メチルピロリジン(1.51g,14.9ミリモル)をDCM(20mL)に溶かして、0℃へ冷やした。NMM(1.70mL,15.5ミリモル)とクロロギ酸4−ニトロフェニル(3.16g,15.7ミリモル)を加えた。この反応混合物を0℃で30分間撹拌してから、4−(4−メチルフェニル)ピペラジン二塩酸塩(3.71g,14.9ミリモル)及びDIPEA(7.40mL,44.7ミリモル)のDMF(20mL)溶液を加えた。この反応混合物を室温で3時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(300mL)に溶かしてから、1M NaCO水溶液(5x200mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣をDCM(100mL)に溶かしてイソシアン酸メチル樹脂(2.0g)を加えて、この反応混合物を14時間振り混ぜ、濾過してから、真空で濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(70mL)に溶かして固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過して、真空で濃縮した。得られる残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:MeOHの90:10混合物で溶出させる)によって精製して、4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[(3S)−1−メチルピロリジン−3−イル](606mg,13.0%)を黄色いオイルとして得た。
【0175】
分析用HPLC:純度99.1%(システムA,R=3.71分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=4.42分),ES+: 304.1 [MH]+;C1725のHRMS計算値:303.1947,実測値:303.1957。
【0176】
実施例16
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル・ギ酸塩
【0177】
【化31】

【0178】
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(中間体4;1.58g,5.1ミリモル)をDMF(25mL)に溶かした。DIPEA(0.87mL,5.0ミリモル)と4−フェニルピペラジン(807mg,0.76mL,5.0ミリモル)を加えて、この反応混合物を室温で14時間撹拌した。次いで、この反応混合物を真空で濃縮した。残渣を逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜100% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製して、4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル・ギ酸塩(113mg,6.7%)を黄色いオイルとして得た。
【0179】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=3.40分);分析用LCMS:純度99.2%(システムA,R=5.08分),ES+: 333.5 [MH]+;C1828のHRMS計算値:332.2212,実測値:332.2225。
【0180】
実施例17
4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル
【0181】
【化32】

【0182】
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(中間体4;740mg,2.4ミリモル)をDMF(20mL)に溶かした。NEt(1.2mL,8.6ミリモル)と4−(4−クロロフェニル)ピペラジン二塩酸塩(691mg,2.6ミリモル)を加えてこの反応混合物を室温で24時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。得られる残渣をEtOAc(50mL)に溶かして1M NaCO水溶液(5x50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:EtOH:NHの100:8:1混合物で溶出させる)によって精製して、4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(696mg,79%)を、静置時に結晶して白い固形物となる無色のオイルとして得た。
【0183】
分析用HPLC:純度99.8%(システムA,R=4.16分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=5.89分),ES+: 367.5 [MH]+;C1927ClNのHRMS計算値:366.1823,実測値:366.1836。
【0184】
実施例18
4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル
【0185】
【化33】

【0186】
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(中間体4;761mg,2.5ミリモル)をDMF(20mL)に溶かした。NEt(0.4mL,2.9ミリモル)と4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン(583mg,2.5ミリモル)を加えてこの反応混合物を室温で24時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。得られる残渣をEtOAc(50mL)に溶かして1M NaCO水溶液(5x50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:EtOH:NHの100:8:1混合物で溶出させる)によって精製して、4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(631mg,64%)を無色のオイルとして得た。
【0187】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=4.55分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=6.19分),ES+: 401.5 [MH]+;C1927のHRMS計算値:400.2086,実測値:400.2100。
【0188】
実施例19
4−(3−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル三塩酸塩
【0189】
【化34】

【0190】
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(中間体4;2.3g,6.0ミリモル)をDMF(20mL)に溶かした。DIPEA(0.76mL,4.4ミリモル)と4−(3−フルオロフェニル)-ピペラジン(790mg,4.4ミリモル)を加えてこの反応混合物を室温で24時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:MeOHの95:5混合物で溶出させる)に続いて逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜50% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をEtOAc(70mL)に溶かして1M NaCO水溶液(8x20mL)で洗浄して、真空で濃縮した。残渣をDCM(10mL)に溶かして、EtO中2M HCl(3mL)を加えた。次いで、この反応混合物を真空で濃縮して、4−(3−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル三塩酸塩(106mg,6%)をオフホワイトの固形物として得た。
【0191】
分析用HPLC:純度99.4%(システムA,R=4.08分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=5.65分),ES+: 351.5 [MH]+;C1827FNのHRMS計算値:350.2118,実測値:350.2128。
【0192】
実施例20
4−(2−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル
【0193】
【化35】

【0194】
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(中間体4;866mg,2.8ミリモル)をDMF(20mL)に溶かした。NEt(1.5mL,10.8ミリモル)と4−(2−メチルフェニル)ピペラジン二塩酸塩(704mg,2.8ミリモル)を加えてこの反応混合物を室温で24時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。得られる残渣をEtOAc(50mL)に溶かして1M NaCO水溶液(5x50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:EtOH:NHの200:8:1混合物で溶出させる)によって精製して、4−(2−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(308mg,32%)を黄色いオイルとして得た。
【0195】
分析用HPLC:純度99.7%(システムA,R=4.01分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=5.72分),ES+: 347.5 [MH]+;C1930のHRMS計算値:346.2369,実測値:346.2380。
【0196】
実施例21
4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル
【0197】
【化36】

【0198】
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(中間体4;866mg,2.8ミリモル)をDMF(25mL)に溶かした。NEt(1.5mL,10.8ミリモル)と4−(4−メチルフェニル)ピペラジン二塩酸塩(724mg,2.9ミリモル)を加えてこの反応混合物を室温で24時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。得られる残渣をEtOAc(50mL)に溶かして1M NaCO水溶液(5x50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:EtOH:NHの200:8:1混合物で溶出させる)によって精製して、4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(293mg,30%)を黄色いオイルとして得た。
【0199】
分析用HPLC:純度99.8%(システムA,R=3.46分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=5.15分),ES+: 347.6 [MH]+;C1930のHRMS計算値:346.2369実測値:346.2381。
【0200】
実施例22
4−(2,5−ジメチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル
【0201】
【化37】

【0202】
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(中間体4;866mg,2.8ミリモル)をDMF(25mL)に溶かした。NEt(0.5mL,3.6ミリモル)と4−(2,5−ジメチルフェニル)ピペラジン(580mg,3.1ミリモル)を加えてこの反応混合物を室温で24時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。得られる残渣をEtOAc(50mL)に溶かして1M NaCO水溶液(5x50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:EtOH:NHの200:8:1混合物で溶出させる)によって精製して、4−(2,5−ジメチル-フェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(274mg,27%)を黄色いオイルとして得た。
【0203】
分析用HPLC:純度99.4%(システムA,R=4.19分);分析用LCMS:純度99.5%(システムA,R=5.89分),ES+: 361.6 [MH]+;C2032のHRMS計算値:360.2525,実測値:360.2543。
【0204】
実施例23
4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル三塩酸塩
【0205】
【化38】

【0206】
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(中間体4;680mg,2.2ミリモル)をDMF(20mL)に溶かした。DIPEA(0.76mL,4.4ミリモル)と4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペラジン(508mg,2.2ミリモル)を加えてこの反応混合物を室温で24時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:EtOH:NHの400:8:1混合物、続いてDCM:EtOH:NHの200:8:1混合物で溶出させる)に続いて逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜100% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。残渣をDCM(10mL)に溶かして、EtO中2M HCl(3mL)を加えた。次いで、この反応混合物を真空で濃縮して、4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル三塩酸塩(182mg,17%)を白い固形物として得た。
【0207】
分析用HPLC:純度99.6%(システムA,R=4.66分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=6.34分),ES+: 401.5 [MH]+;C1826ClのHRMS計算値:400.1433,実測値:400.1449。
【0208】
実施例24
4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル三塩酸塩
【0209】
【化39】

【0210】
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(中間体4;680mg,2.2ミリモル)をDMF(20mL)に溶かした。DIPEA(0.76mL,4.4ミリモル)と4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン(508mg,2.2ミリモル)を加えてこの反応混合物を室温で24時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:EtOH:NHの200:8:1混合物で溶出させる)に続いて逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜100% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。残渣をDCM(10mL)に溶かして、EtO中2M HCl(3mL)を加えた。次いで、この反応混合物を真空で濃縮して、表題化合物:4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル三塩酸塩(630mg,65%)を白い固形物として得た。
【0211】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=4.02分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=5.76分),ES+: 369.5 [MH]+;C1826のHRMS計算値:368.2024,実測値:368.2038。
【0212】
実施例25
4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル
【0213】
【化40】

【0214】
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(中間体4;680mg,2.2ミリモル)をDMF(20mL)に溶かした。DIPEA(0.76mL,4.4ミリモル)と4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン(422mg,2.2ミリモル)を加えてこの反応混合物を室温で24時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:EtOH:NHの500:8:1混合物、続いてDCM:EtOH:NHの50:8:1混合物で溶出させる)によって精製した。残渣をEtOAcより再結晶させて、4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(137mg,17%)を白い固形物として得た。
【0215】
分析用HPLC:純度99.2%(システムA,R=3.20分);分析用LCMS:純度99.1%(システムA,R=4.87分),ES+: 363.6 [MH]+;C1930のHRMS計算値:362.2318,実測値:362.2330。
【0216】
実施例26
3−メチル−4−(3−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル
【0217】
【化41】

【0218】
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(中間体4;2.56g,8.28ミリモル)をDMF(20mL)に溶かした。DIPEA(1.40mL,8.45ミリモル)と2−メチル−4−(3−メチルフェニル)ピペラジン(1.50g,7.87ミリモル)を加えてこの反応混合物を室温で24時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。得られる残渣をEtOAc(200mL)に溶かして1M NaCO水溶液(6x100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(50mL)に溶かして、固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過し、真空で濃縮して、3−メチル−4−(3−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(1.97g,69%)を薄黄色いオイルとして得た。
【0219】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=3.29分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=4.91分),ES+: 361.6 [MH]+;C2032のHRMS計算値:360.2525,実測値:360.2543。
【0220】
実施例27
4−ベンジルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル
【0221】
【化42】

【0222】
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(中間体4;567mg,1.8ミリモル)をDMF(15mL)に溶かした。DIPEA(0.52mL,3,0ミリモル)と4−ベンジルピペラジン(0.296mL,1.7ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で24時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(40mL)に溶かして1M NaCO水溶液(6x50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。この粗生成物を逆相クロマトグラフィー(水中0〜100% MeOHで勾配溶出)によって精製して、4−ベンジルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(352mg,収率60%)を無色のオイルとして得た。
【0223】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=2.92/3.00分、分離ピーク);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=4.61分),ES+: 347.6 [MH]+;C1930のHRMS計算値:346.2369,実測値:346.2383。
【0224】
実施例28
4−フェニルピペリジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル・ギ酸塩
【0225】
【化43】

【0226】
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(中間体4;680mg,2.2ミリモル)をDMF(20mL)に溶かした。DIPEA(0.52mL,3.0ミリモル)と4−フェニルピペリジン(322mg,2.0ミリモル)を加えてこの反応混合物を室温で65時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(40mL)に溶かして1M NaCO水溶液(6x50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。この粗生成物を逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製して、4−フェニルピペリジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル・ギ酸塩(330mg,42%)を黄色いオイルとして得た。
【0227】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=4.18分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=5.87分),ES+: 332.5 [MH]+;C1929のHRMS計算値:331.2260,実測値:331.2271。
【0228】
実施例29
3−フェニルピロリジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル
【0229】
【化44】

【0230】
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(中間体4;2.10g,6.79ミリモル)をDMF(30mL)に溶かした。DIPEA(2.37mL,13.59ミリモル)と3−フェニルピロリジン(1.00g,6.79ミリモル)を加えてこの反応混合物を室温で4時間撹拌してから、この反応混合物を真空で濃縮した。得られる残渣をEtOAc(300mL)に溶かして1M NaCO水溶液(6x200mL)、塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣をDCM(100mL)に溶かしてイソシアン酸メチル樹脂(2.0g)を加えて、この反応混合物を14時間振り混ぜ、濾過してから、真空で濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(60mL)に溶かして固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過し、真空で濃縮して、3−フェニルピロリジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(1.03g,48.0%)を薄黄色いオイルとして得た。
【0231】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=3.85分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=5.04分),ES+: 318.5 [MH]+;C1827のHRMS計算値:317.2103,実測値:317.2114。
【0232】
実施例30
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−ピペラジン−1−イルエチル三塩酸塩
【0233】
【化45】

【0234】
1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(51.7g,398ミリモル)のDCM(500mL)溶液へNEt(70.0mL,526ミリモル)と二炭酸ジtert−ブチル(80.0g,367ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌してから1M NaCO水溶液(2x300mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、真空で濃縮して、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(66.0g,72%)を無色のオイルとして得た。
【0235】
分析用LCMS:(システムD,R=1.54分),ES+: 231.4 [MH]+
炭酸ビス(p−ニトロフェニル)(1.52g,5.0ミリモル)をDCM(20mL)に溶かした。先の工程からの4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1.15g,5.0ミリモル)とNMM(0.55mL,5.0ミリモル)を加えて、この反応混合物を室温で16時間撹拌した。この反応混合物をDCM(40mL)で希釈して飽和NaHCO水溶液(5x50mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、真空で濃縮して、黄色いオイルを得た。このオイルをEtOAc及びヘプタンからの再結晶によって精製して、炭酸4−ニトロフェニル2−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)エチル(1.208g,61%)を橙色の固形物として得た。
【0236】
分析用LCMS:(システムC,R=1.90分),ES+: 396.5 [MH]+
炭酸4−ニトロフェニル2−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)エチル(7.01g,17.7ミリモル)をDMF(150mL)に溶かした。フェニルピペラジン(2.8mL,18.3ミリモル)とNEt(3.0mL,21.5ミリモル)を加えて、この反応混合物を室温で18時間撹拌した。この反応混合物を真空で濃縮し、EtOAc(250mL)に溶かし、1M NaCO水溶液(5x250mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(水中0〜100% MeOHで勾配溶出)によって精製して、4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)エチル(5.68g,77%)を黄色いオイルとして得た。4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)エチル(0.45g,1.07ミリモル)をDCM(30mL)とEtO中2M HCl(4mL,8ミリモル)の混合物に溶かして、一晩撹拌した。上清を捨てた。残渣をDCM(3x15mL)で洗浄し、真空で乾燥させて、4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(ピペラジン−1−イル)エチル三塩酸塩(0.42g,98%)を薄褐色のガラスとして得た。
【0237】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=3.42分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=3.92分),ES+: 319.1 [MH]+
実施例31
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−(2−メトキシエチル)ピペラジン−1−イル)エチル
【0238】
【化46】

【0239】
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(ピペラジン−1−イル)エチル(実施例30の無HCl塩;311mg,0.98ミリモル)をDMF(2mL)に溶かした。2−ブロモエチルメチルエーテル(92μl,0.98ミリモル)とDIPEA(0.3mL,1.72ミリモル)を加えて、この反応混合物を高吸収でのBiotage Initiatorマイクロ波において170℃で15分間加熱した。この反応混合物を真空で濃縮し、1M NaCO水溶液(25mL)に溶かしてDCM(3x25mL)で抽出し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:EtOH:NHの200:8:1混合物で溶出させる)によって精製して、4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−(2−メトキシエチル)ピペラジン−1−イル)エチル(163mg,44%)を黄色いオイルとして得た。
【0240】
分析用HPLC:純度98.6%(システムA,R=3.48分);分析用LCMS:純度98.1%(システムA,R=5.20分),ES+: 377.6 [MH]+;C2032のHRMS計算値:376.2474,実測値:376.2493。
【0241】
実施例32
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−エチルピペラジン−1−イル)エチル三塩酸塩
【0242】
【化47】

【0243】
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(ピペラジン−1−イル)エチル(実施例30の無HCl塩;291mg,0.91ミリモル)をDMF(2mL)に溶かした。ヨードエタン(74μl,2.31ミリモル)とDIPEA(0.3mL,1.72ミリモル)を加えて、この反応混合物を高吸収でのBiotage Initiatorマイクロ波において170℃で15分間加熱してから、真空で濃縮した。残渣を1M NaCO水溶液(25mL)に溶かしてDCM(3x25mL)で抽出し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。この粗生成物を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:EtOH:NHの200:8:1混合物で溶出させる)に続いて逆相クロマトグラフィー(水中0〜100% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製して、無色のオイルを得た。このオイルをDCMに溶かし、過剰のEtO中2M HClで処理し、真空で濃縮して、4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−エチルピペラジン−1−イル)エチル三塩酸塩(197mg,52%)を白い固形物として得た。
【0244】
分析用HPLC:純度99.8%(システムA,R=3.41分);分析用LCMS:純度98.9%(システムA,R=5.28分),ES+: 347.6 [MH]+;C1930のHRMS計算値:346.2369,実測値:346.2379。
【0245】
実施例33
4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)エチル
【0246】
【化48】

【0247】
1−メチルホモピペラジン(2.00g,17.5ミリモル)とDIPEA(3.0mL,18.4ミリモル)をDMF(25mL)に溶かした。2−ブロムエタノール(1.3mL,18.4ミリモル)を5分にわたりゆっくり加えた。この反応混合物を100℃で2時間、次いで室温で48時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(300mL)に溶かしてから、1M NaCO水溶液(5x200mL)で連続的に洗浄し、乾燥(MgSO)させ、真空で濃縮して、2−(4−メチルホモピペラジン−1−イル)エタノール(2.77g,100%)を茶褐色のオイルとして得て、これをさらに精製せずに使用した。
【0248】
分析用LCMS:(システムC,R=0.33分),ES+: 159.2 [MH]+
先の工程からの2−(4−メチルホモピペラジン−1−イル)エタノール(2.77g,17.5ミリモル)をDCM(25mL)に溶かして、0℃へ冷やした。NMM(2.00mL,18.4ミリモル)とクロロギ酸p−ニトロフェニル(3.71g,18.4ミリモル)を加えた。この反応混合物を0℃で30分間、次いで室温で2時間撹拌した。次いで、4−(4−メチルフェニル)ピペラジン二塩酸塩(2.84g,11.4ミリモル)及びDIPEA(5.50mL,33.3ミリモル)のDMF(40mL)溶液を加えた。この反応混合物を室温で3時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(300mL)に溶かしてから、1M NaCO水溶液(5x200mL)で連続的に洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:MeOHの85:15混合物で溶出させる)に続いて逆相HPLC(Advanced Chromatography Technologies ACE−122−1030 RPシリカ100x30mmカラム、Ace 5 C8(5μm)で充填、孔径100A(オングストローム)、30mL/分、水中8〜38%アセトニトリルの勾配、各溶媒に0.1%トリフルオロ酢酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(50mL)に溶かして固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過し、真空で濃縮して、4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)エチル(184mg,3.0%)を薄黄色いオイルとして得た。
【0249】
分析用HPLC:純度98.1%(システムA,R=3.50分);分析用LCMS:純度95.8%(システムA,R=3.96分),ES+: 361.2 [MH]+;C2032のHRMS計算値:360.2525,実測値:360.2542。
【0250】
実施例34
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル
【0251】
【化49】

【0252】
1−(3−ヒドロキシプロピル)−4−ピペラジン(0.63g,4.0ミリモル)をDCM(30mL)に溶かして、0℃へ冷やした。DIPEA(1.39mL,8.0ミリモル)とクロロギ酸p−ニトロフェニル(0.80g,4.0ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で2時間撹拌してから、フェニルピペラジン(0.61mL,4.0ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で16時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(100mL)に溶かして1M NaCO水溶液(4x100mL)で連続的に洗浄して、真空で濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(30mL)に溶かして固体のNaCOとともに20分間撹拌し、濾過して、真空で濃縮した。得られる残渣を逆相HPLC(水中5〜45%アセトニトリルで勾配溶出)によって精製して、4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル(148mg,11%)を無色のオイルとして得た。
【0253】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=3.51分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=3.99分),ES+: 347.2 [MH]+;C1930のHRMS計算値:346.2369,実測値:346.2386。
【0254】
実施例35
1−[2,2−ジメチル−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパノイル]−4−フェニルピペラジン
【0255】
【化50】

【0256】
3−ブロモ−2,2−ジメチルプロピオン酸(2.07g,11.4ミリモル)をDCM(12mL)に溶かした。塩化オキサリル(1.50mL,17.2ミリモル)を10分にわたりゆっくり加えた。この反応混合物を室温で3.5時間撹拌してから、真空で濃縮した.残渣をDCM(10mL)に溶かして、フェニルピペラジン(1.74mL,11.4ミリモル)及びDIPEA(3.0mL,17.2ミリモル)のDCM(20mL)溶液へ0℃で加えた。この反応混合物をそのまま室温へ1時間にわたり温めてから、室温で16時間撹拌した。この反応混合物を10%クエン酸溶液(2x50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。得られる残渣を、順相カラムクロマトグラフィー(ヘプタンに続いてEtOAc:ヘプタンの1:1混合物で溶出させる)を使用して精製して、3−ブロモ−1−(4−フェニル)ピペラジン−2,2−ジメチルプロパン−1−オン(1.36g,37%)を黄色いオイルとして得た。
【0257】
分析用LCMS:純度約80%(システムC,R=2.14分),ES+: 326.2 [MH]+
3−ブロモ−1−(4−フェニル)ピペラジン−2,2−ジメチルプロパン−1−オン(1.36g,4.2ミリモル)をN−メチルピロリジノン(3mL)に溶かした。N−メチルピペラジン(0.93mL,8.36ミリモル)を加えて、この反応混合物を通常吸収でのBiotage Initiatorマイクロ波において200℃で15分間加熱した。この反応混合物を逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(100mL)に溶かして固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過し、真空で濃縮して、1−[2,2−ジメチル−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパノイル]−4−フェニルピペラジン(547mg,38%)を黄色いオイルとして得た。
【0258】
分析用HPLC:純度99.9%(システムA,R=3.46分);分析用LCMS:純度99.3%(システムA,R=4.64分),ES+: 345.6 [MH]+;C2032OのHRMS計算値:344.2576,実測値:344.2588。
【0259】
実施例36
1−{2,2−ジメチル−3−[4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロピル}−4−メチルピペラジン
【0260】
【化51】

【0261】
3−ブロモ−2,2−ジメチルプロピオン酸(1.50g,8.29ミリモル)を塩化チオニル(10mL)とDMF(0.1mL)に溶かした。この反応混合物を還流で1.5時間加熱してから、真空で濃縮した。残渣をDCM(10mL)に溶かして、4−クロロフェニルピペラジン二塩酸塩(2.35g,8.70ミリモル)及びDIPEA(5.05mL,29.0ミリモル)のDCM(20mL)溶液へ0℃で加えた。この反応混合物を0℃で2時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をDCM(100mL)に溶かして、10%クエン酸溶液(50mL)、飽和NaHCO水溶液(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。得られる残渣を、順相カラムクロマトグラフィー(ヘプタンに続いてEtOAc:ヘプタンの1:1混合物で溶出させる)を使用して精製して、3−ブロモ−1−(4−クロロフェニル)ピペラジン−2,2−ジメチルプロパン−1−オン(0.87g,29.3%)を黄色い固形物として得た。
【0262】
分析用LCMS:純度約75%(システムC,R=2.40分),ES+: 361.3 [MH]+
3−ブロモ−1−(4−クロロフェニル)ピペラジン−2,2−ジメチルプロパン−1−オン(0.87g,2.43ミリモル)をN−メチルピロリジノン(3mL)に溶かした。N−メチルピペラジン(0.54mL,4.85ミリモル)を加えて、この反応混合物を通常吸収でのBiotage Initiatorマイクロ波において200℃で15分間加熱した。この反応混合物を逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(100mL)に溶かして固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過し、真空で濃縮して薄褐色のオイルを得て、これをヘプタンより再結晶させて、1−{2,2−ジメチル−3−[4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロピル}−4−メチルピペラジン(335mg,36.4%)を白い固形物として得た。
【0263】
分析用HPLC:純度99.8%(システムA,R=4.36分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=6.34分),ES+: 379.4 [MH]+;C2031ClNOのHRMS計算値:378.2186,実測値:378.2196。
【0264】
実施例37
1−{2,2−ジメチル−3−[4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロピル}−4−メチルピペラジン
【0265】
【化52】

【0266】
3−ブロモ−2,2−ジメチルプロピオン酸(10.0g,55.3ミリモル)をDCM(60mL)に溶かした。塩化オキサリル(7.20mL,82.9ミリモル)を10分にわたりゆっくり加えた。この反応混合物を室温で18時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をDCM(40mL)に溶かして、4−メチルフェニルピペラジン二塩酸塩(13.76g,55.3ミリモル)及びDIPEA(33.0mL,193.4ミリモル)のDCM(100mL)溶液へ0℃で加えた。この反応混合物をそのまま室温へ1時間にわたり温めてから、室温で16時間撹拌した。この反応混合物を10%クエン酸溶液(2x100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、真空で濃縮して、3−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)ピペラジン−2,2−ジメチルプロパン−1−オン(9.62g,52%)を白い固形物として得て、これをさらに精製せずに使用した。
【0267】
分析用LCMS:純度約70%(システムC,R=2.34分),ES+: 339.3 [MH]+
3−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)ピペラジン−2,2−ジメチルプロパン−1−オン(6.00g,17.68ミリモル)をN−メチルピロリジノン(12mL)に溶かした。N−メチルピペラジン(4.12mL,37.94ミリモル)を加えた。この反応混合物を4つのバッチへ分けて、それぞれを高吸収でのBiotage Initiatorマイクロ波において200℃で15分間加熱した。この反応混合物を合わせてDCM(300mL)に溶かし、0.5M KOH水溶液(100mL)、水(100mL)、塩水(100mL)で洗浄してから乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣をDCM(100mL)に溶かしてイソシアン酸メチル樹脂(2.0g)を加えて、この反応混合物を48時間振り混ぜ、濾過してから、真空で濃縮した。得られる残渣を逆相クロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(100mL)に溶かして固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過し、真空で濃縮して薄褐色のオイルを得て、これをヘプタンより再結晶させて、1−{2,2−ジメチル−3−[4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロピル}−4−メチルピペラジン(1.47g,23.2%)を白い固形物として得た。
【0268】
分析用HPLC:純度99.7%(システムA,R=3.54分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=4.81分),ES+: 359.5 [MH]+
実施例38
1−{2,2−ジメチル−3−[4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロピル}−4−エチルピペラジン
【0269】
【化53】

【0270】
3−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)ピペラジン−2,2−ジメチルプロパン−1−オン(実施例37,工程1;2.00g,5.92ミリモル)をN−メチルピロリジノン(10mL)に溶かした。N−エチルピペラジン(1.50mL,11.8ミリモル)を加えた。この反応混合物を4つのバッチへ分けて、それぞれを高吸収でのBiotage Initiatorマイクロ波において200℃で15分間加熱した。この反応混合物を合わせてDCM(300mL)に溶かし、水(2x80mL)、塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させてから、真空で濃縮した。残渣を逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(100mL)に溶かして固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過し、真空で濃縮して無色のオイルを得て、これをヘプタンより再結晶させて、1−{2,2−ジメチル−3−[4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロピル}−4−エチルピペラジン(1.19g,48%)を白い固形物として得た。
【0271】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=3.59分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=5.52分),ES+: 373.6 [MH]+;C2236OのHRMS計算値:372.2889,実測値:372.2904。
【0272】
実施例39
1−[2,2−ジメチル−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパノイル]−4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン
【0273】
【化54】

【0274】
3−ブロモ−2,2−ジメチルプロピオン酸(5.03g,27.8ミリモル)をDCM(60mL)に溶かした。塩化オキサリル(3.64mL,41.67ミリモル)を10分にわたりゆっくり加えた。この反応混合物を室温で18時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をDCM(40mL)に溶かして、4−フルオロフェニルピペラジン(5.00g,27.8ミリモル)及びDIPEA(7.24mL,41.67ミリモル)のDCM(30mL)溶液へ0℃で加えた。この反応混合物をそのまま室温へ1時間にわたり温めてから、室温で16時間撹拌した。この反応混合物を10%クエン酸溶液(2x100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、真空で濃縮して、3−ブロモ−1−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−2,2−ジメチルプロパン−1−オン(8.04g,84%)を黄色い固形物として得て、これをさらに精製せずに使用した。
【0275】
分析用LCMS:純度約90%(システムC,R=2.54分),ES+: 343.3 [MH]+
3−ブロモ−1−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−2,2−ジメチルプロパン−1−オン(2.00g,5.83ミリモル)をN−メチルピロリジノン(10mL)に溶かした。N−メチルピペラジン(1.30mL,11.7ミリモル)を加えた。この反応混合物を4つのバッチへ分けて、それぞれを高吸収でのBiotage Initiatorマイクロ波において200℃で15分間加熱した。この反応混合物を合わせてDCM(100mL)に溶かし、水(2x80mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。得られる残渣を逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜30% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。得られる残渣をDCM(100mL)に溶かして固体のKCOとともに20分間撹拌し、濾過し、真空で濃縮して、1−[2,2−ジメチル−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパノイル]−4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン(451mg,21%)を黄色いオイルとして得た。
【0276】
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=3.68分);分析用LCMS:純度98.2%(システムA,R=5.52分),ES+: 363.5 [MH];C2031FNOのHRMS計算値:362.2482,実測値:362.2499。
【0277】
実施例40
1−メチル−4−[(1−{[4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}シクロペンチル)−メチル]ピペラジン
【0278】
【化55】

【0279】
4−メチルフェニルピペラジン二塩酸塩(4.20g,16.9ミリモル)とNEt(7.0mL,50.2ミリモル)をDCM(125mL)に0℃で溶かした。塩化シクロペンタンカルボニル(2.0mL,16.5ミリモル)を加えて、この反応混合物をそのまま室温へ16時間にわたり温めた。この反応混合物を1M NaCO水溶液(3x100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、真空で濃縮して、シクロペンタンカルボニル4−(メチル)フェニルピペラジン(4.42g,98%)を薄褐色のオイルとして得て、これをさらに精製せずに使用した。
【0280】
分析用LCMS:純度100%(システムC,R=2.10分),ES+: 273.4 [MH]+
ジイソプロピルアミン(4.0mL,28.6ミリモル)のTHF(100mL)溶液へTHF中1.6M n−ブチルリチウム溶液(15mL,24ミリモル)をアルゴン下に0℃で滴下した。この反応混合物を0℃で30分間撹拌してから−78℃へ冷やして、シクロペンタンカルボニル4−(メチル)フェニルピペラジン(2.97g,10.9ミリモル)のTHF(10mL)溶液を10分にわたり加えた。この反応混合物を−78℃で5時間撹拌してから、パラホルムアルデヒド(0.90g,30ミリモル)のTHF(10mL)懸濁液を加えた。この反応混合物をそのまま室温へ1時間にわたり温めてから、室温で16時間撹拌した。この反応混合物を飽和NHCl水溶液(10mL)で冷ましてから、1M NaCO水溶液(500mL)上へ注いで、EtOAc(2x500mL)で抽出した。この有機層を合わせ、乾燥(MgSO)させ、真空で濃縮して黄色いオイルを得て、これをヘプタン/EtOAcより再結晶させて、(1−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−(4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル)−メタノン(2.11g,64%)を薄黄色い固形物として得た。
【0281】
分析用LCMS:純度約90%(システムC,R=1.77分),ES+: 303.5 [MH]+
先の工程からの(1−ヒドロキシメチル−シクロペンチル)−(4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル)−メタノン(1.57g,5.22ミリモル)をDCM(40mL)に溶かした。デス・マーチン(Dess-Martin)・ペルヨージナン(3.06g,7.22ミリモル)を加えて、この反応混合物を室温で3.5時間撹拌した。この反応混合物をEtO(100mL)で希釈して、1M NaOH水溶液(50mL)を加えた。この反応混合物を20分間撹拌してから、有機層を分離させ、1M NaOH水溶液(50mL)、水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、真空で濃縮して、1−(4−(4−メチルフェニル)−ピペラジン−1−カルボニル)−シクロペンタンカルバルデヒド(1.64g,105%)を茶褐色のオイルとして得て、これをさらに精製せずに使用した。
【0282】
分析用LCMS:純度約80%(システムC,R=2.02分),ES+: 301.5 [MH]+
1−(4−(4−メチルフェニル)−ピペラジン−1−カルボニル)−シクロペンタンカルバルデヒド(1.64g,5.73ミリモル)をDCM(50mL)に溶かした。粉末化分子篩い(2.0g)と酢酸(0.1mL)を加えて、この反応混合物を室温で1.5時間撹拌してから、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(2.44g,11.51ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で16時間撹拌してから、1M NaCO水溶液(50mL)で冷ました。この反応混合物を15分間撹拌してから、水層を分離させてDCM(50mL)で抽出し、有機層を合わせ、乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮した。残渣を順相カラムクロマトグラフィー(DCMに続いてDCM:EtOH:NHの95:4:1混合物で溶出させる)に続いて逆相カラムクロマトグラフィー(水中0〜100% MeOHで勾配溶出、各溶媒に1%ギ酸を含む)によって精製した。残渣をMeOH(5mL)に溶かして1M NaCO水溶液(50mL)へ加えて、水層をDCM(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥(MgSO)させて、真空で濃縮して、1−メチル−4−[(1−{[4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}シクロペンチル)メチル]ピペラジン(520mg,26%)を薄黄色い固形物として得た。
【0283】
分析用HPLC:純度99.7%(システムA,R=4.25分);分析用LCMS:純度99.3%(システムA,R=4.77分),ES+: 385.6 [MH]+;C2336OのHRMS計算値:384.2889,実測値:384.2908。
【0284】
実施例41
4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル
【0285】
【化56】

【0286】
2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エタノール(1.44g,10ミリモル)を無水THF(50mL)に溶かして、この反応混合物を0℃へ冷やした。NaH(オイル中60%分散液;0.40g,10ミリモル)を加えて10分間撹拌してから、4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(3.45g,10ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌した、この反応混合物を水(1mL)/THF(10mL)混合物の滴下によって慎重に冷ました。THFを真空で除去して、残渣を飽和NaCO水溶液(50mL)とEtOAc(200mL)の間に懸濁させた。有機層を飽和NaCO水溶液(5x50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、溶媒を真空で除去した。
【0287】
残渣を、初めは、逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分、勾配:水中0%〜60%(60分にわたる)MeOH)によって精製した。2つのバッチでの逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分,勾配:1%ギ酸を含む水中0%〜20%(70分にわたる)〜100%(5分にわたる)MeOH)によるさらなる精製によって、純粋な4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル・ギ酸塩を得た。
【0288】
DCM中のKCOを使用してギ酸を除去してから、真空オーブンで一晩乾燥させて、4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(0.60g,17%)を無色のゴムとして得た。
【0289】
分析用HPLC:純度99.5%(システムA,R=3.70分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=4.08分),ES+: 351.1 [MH]+;C1827FNのHRMS計算値:350.2118,実測値:350.2133。
【0290】
実施例42
4−(4−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル
【0291】
【化57】

【0292】
2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エタノール(0.86g,6ミリモル)とNMM(0.58mL,6ミリモル)をDCM(8mL)に溶かして、この反応混合物を0℃へ冷やした。クロロギ酸4−ニトロフェニル(1.29g,6ミリモル)を加えて、この反応混合物を1時間撹拌した。この反応混合物へ1−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン(0.97g,5ミリモル)及びDIPEA(6.0mL,過剰)のDMF(20mL)溶液を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(150mL)に溶かし、飽和NaCO水溶液(6x100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、溶媒を真空で除去した。
【0293】
残渣を、初めは、カラムクロマトグラフィー(順相、20g,Strata SI−1,シリカ gigatube,20mL/分、勾配:DCM中0%〜15% MeOH)によって精製してから、逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分,勾配:1%ギ酸を含む水中0%〜30%(40分にわたる)MeOH)によってさらに精製した。
【0294】
残渣をKCO(約0.20g)とともにDCM(10mL)中で2時間撹拌し、濾過してから真空オーブンで一晩乾燥させて、4−(4−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(0.39g,21%)を薄黄色いオイルとして得た。
【0295】
分析用HPLC:純度99.7%(システムA,R=3.09分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=3.55分),ES+: 365.6 [MH]+;C1929FNのHRMS計算値:364.2275,実測値:364.2292。
【0296】
実施例43
4−(4−クロロベンジル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル
【0297】
【化58】

【0298】
2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エタノール(0.86g,6ミリモル)とNMM(0.58mL,6ミリモル)をDCM(8mL)に溶かして、この反応混合物を0℃へ冷やした。クロロギ酸4−ニトロフェニル(1.29g,6ミリモル)を加えて、1時間撹拌した。この反応混合物へ1−(4−クロロ−ベンジル)−ピペラジン(1.05g,5ミリモル)及びDIPEA(6.0mL,過剰)のDMF(20mL)溶液を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(150mL)に溶かし、飽和NaCO水溶液(6x100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、真空で乾燥させた。
【0299】
残渣を、初めは、カラムクロマトグラフィー(順相、20g,Strata SI−1,シリカ gigatube,20mL/分、勾配:DCM中0%〜15% MeOH)によって精製してから、逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分,勾配:1%ギ酸を含む水中0%〜30%(40分にわたる)MeOH)によってさらに精製した。
【0300】
残渣をKCO(約0.20g)とともにDCM(10mL)中で2時間撹拌し、濾過してから真空オーブンで一晩乾燥させて、4−(4−クロロベンジル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(0.51g,28%)を薄黄色いオイルとして得た。
【0301】
分析用HPLC:純度99.7%(システムA,R=3.39分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=3.83分),ES+: 381.5 [MH]+;C1929ClNのHRMS計算値:380.1979,実測値:380.1996。
【0302】
実施例44
4−[2−(4−クロロフェニル)エチル]ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル
【0303】
【化59】

【0304】
ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.0g,5.4ミリモル)とDIPEA(1.9mL,10.8ミリモル)をDMF(20mL)に溶かしてから、1−(2−ブロモ−エチル)−4−クロロ−ベンゼン(1.0g,4.6ミリモル)を加えた。この反応混合物を周囲温度で0.5時間撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(50mL)に溶かし、塩水(2x50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、溶媒を真空で除去した。残渣をDCM(10mL)とTFA(3mL)に一晩溶かしてから、真空で濃縮した。この粗製の1−[2−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−ピペラジン・ジトリフルオロ酢酸をさらに精製せずに次の工程に使用した。
【0305】
2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エタノール(663mg,4.6ミリモル)とNMM(0.48mL,4.6ミリモル)をDCM(7mL)に溶かして、この反応混合物を0℃へ冷やした。クロロギ酸4−ニトロフェニル(927mg,4.6ミリモル)を加えて、この反応混合物を1時間撹拌した。この反応混合物へ1−[2−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−ピペラジン・ジトリフルオロ酢酸(工程1;4.6ミリモル)及びDIPEA(6.0mL,過剰)のDMF(20mL)溶液を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌してから、真空で濃縮した。残渣をEtOAc(150mL)に溶かし、飽和NaCO水溶液(6x100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させて、溶媒を真空で除去した。
【0306】
残渣を、初めは、カラムクロマトグラフィー(順相、20g,Strata SI−1,シリカ gigatube,20mL/分、勾配:DCM中0%〜20% MeOH)によって精製してから、逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分,勾配:1%ギ酸を含む水中0%〜30%(40分にわたる)MeOH)によってさらに精製した。
【0307】
残渣をKCO(約0.20g)とともにDCM(10mL)中で2時間撹拌し、濾過してから真空オーブンで一晩乾燥させて、4−[2−(4−クロロフェニル)エチル]ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル(116mg,6.4%)を薄黄色いオイルとして得た。
【0308】
分析用HPLC:純度97.1%(システムA,R=3.64分);分析用LCMS:純度100%(システムA,R=5.15分),ES+: 395.5 [MH]+;C2031ClNのHRMS計算値:394.2136,実測値:394.2147。
【0309】
生物学的試験
ヒト肥満の動物モデル(食餌誘発肥満ラット)
肥満の齧歯動物モデルは、ヒトにおける肥満状態の開始及び維持に寄与する根本要因を研究するのに貴重なツールである。食餌誘発肥満(DIO)の齧歯動物モデルがこの課題に特に適しているのは、DIOラットがヒトの肥満といくつかの形質を共有するためである。
【0310】
これらには、多遺伝子の遺伝、インスリン抵抗性、高レプチン血症、成長ホルモン分泌低下、脂肪より炭水化物を選好的に酸化する傾向、及びカロリー制限時に代謝速度を減少させて、制限後に体重回復をもたらす能力が含まれる。高エネルギー食を給餌した異系交配ラットでは、約半数がDIOを発症する一方で、残りは肥満に抵抗して、チャウ食を給餌した対照と同じように体重が増えない(食餌抵抗性、DR)。食餌誘発肥満(DIO)のモデルは、エネルギーホメオスタシスの調節に関して特に興味深い。脂肪、ショ糖、及びエネルギー含量が適度に高い食餌(HE食)で給餌されるとき、このラットの約半数は他のものより実質的により多く体重が増す(DIO対DR)。
【0311】
DIOを発症する素因があるラットは、低エネルギー(チャウ)食を給餌したラットに匹敵する速度で体重を増して、HE食を給餌されなければ、肥満にならない。しかしながら、HE食でDIO及びDRの表現型が確立されたならば、それより生じる体重増加と体組成変化は、動物を通常のチャウ食へ戻したときでも、存続する。DIO及びDRの表現型の発症及び存続の間に生じる体重及び体組成の変化は、これらの調整の根底にあり得る脳機能のいくつかの変化に関連している。
【0312】
DIOプロトコール
肥満傾向動物の選択には、Widdowson, P. S. et al. (Diabetes (1997) 46:1782-1785) により記載される食餌誘発肥満プロトコールに従った。
【0313】
ウィスター雄性ラット(変更した食餌介入の開始時に約200〜250g)に高炭水化物(HE)食を8〜10週の間給餌する。この食餌の組成は、33%(w/v)粉末チャウ(RM1)、33%(w/v)コンデンスミルク(ネッスル)、7%(w/v)精製糖(Tate & Lyle)、及び27%(w/v)水である。体重を記録して、8週後に、その体重に従って動物を2つの群へ分ける。動物(齧歯動物、霊長類)のあらゆる異系交配系統と同じように、集団は、当然ながら、2つの群:肥満傾向のある個体(より多く体重が増す)又は肥満抵抗性の個体(体重がさほど増えない)に分かれる。肥満動物は、6週後に60g以上まで肥る。肥満傾向動物について、体重及び食物摂取に対する式(I)の化合物の影響に関する試験を実施し続ける。図1は、きわめて美味しい食餌(高炭水化物)を給餌した動物間の体重分離の例を示す。
【0314】
体重に対する化合物の効果に関する in vivo 実験
肥満傾向動物を式(I)の化合物で処理して、その体重に対する効果を測定する。化合物は、1mL/kgの用量−容量で1日2回、10mg/kg(経口)で投薬するか、又は等しい担体用量(生理食塩水)を比較のために投薬する。この用量は、AM(09:00)とPM(16:00)に投与して、体重は、午前中の投薬前に測定する。典型的には、各群に8匹の動物がいる。図2〜5は、それぞれ実施例6、16、18、及び36について、DIOラットでの4日試験で観測した累積体重変化(%)を示す。
【0315】
非組換え系でのレプチンアッセイ
レプチンがSTAT3リン酸化のきわめて顕著な増加を誘発する組換え系(例、ObRb−トランスフェクトされたHEK293細胞)は、十分に特性決定されているものの、これらの系では、しばしば、レプチン受容体に対する試験化合物の活性の正確な測定値を提供することができない。この受容体の過剰発現(並びに、レプチンのその受容体との結合が引き金になるシグナル伝達経路の異なる部分に異なる薬物が作用する可能性)により、ほとんどの事例で試験薬物の活性の非存在を生じるのである。
【0316】
非組換え系におけるレプチン受容体の発現は、しばしば変動して、実験内でシグナル安定性が存続する系を同定するには注意を払わなければならない。そのような系を使用すれば、レプチン受容体アンタゴニスト模倣体を、レプチンに対するその作用を評価することによって同定することができる(以下参照)。
【0317】
レプチンは、主に脂肪細胞において産生されるが、ヒトでは、レプチンをコードするmRNAが胎盤にも存在する。ここでは、レプチンが微小血管系において重要な増殖性の役割を担っている可能性がある。この仮説をネイティブな細胞系において適用する可能性について評価した。
【0318】
JEG−3プロトコール
JEG−3細胞(絨毛癌細胞系)において、レプチンは、増殖を3倍まで刺激することが可能である(Biol. Reprod. (2007) 76: 203-10)。レプチンはまた、JEG−3細胞において[H]−チミジン取込みの濃度依存的な増加を引き起こす(図6,100nMで最大効果(EC50=2.1nM))。この細胞によって取り込まれる放射活性は、その増殖活性の指標であり、液体シンチレーションβカウンターで、1分あたりのカウント(CPM)で測定される。
【0319】
この知見を適用して、ある化合物が細胞増殖に対するレプチンの効果を再現する(レプチン受容体アゴニスト模倣体)(即ち、所与の化合物がその細胞による[H]−チミジン取込みの増加を引き起こす)か又は[H]−チミジン取込みにおけるレプチン媒介性の増加を妨げることによってレプチンの効果を阻害する(アンタゴニスト効果)かのいずれをなし得るかを検証することができる。
【0320】
このアプローチには、非組換え系を使用する利点があり、妥当な再現性と確実性(robustness)がある。
脳浸透の測定
試験種(齧歯動物)に試験基質のボーラス用量を通常は静脈内(IV)又は経口(PO)の経路で与える。適正な時点で血液試料を採取して、得られる血漿を抽出して、基質濃度と、適宜、代謝物濃度を分析する。同様の時点で別の群からの動物を犠牲にして、脳を単離して、脳表面を清浄する。次いで、脳試料をホモジェナイズし、抽出して、基質濃度と、適宜、代謝物濃度を分析する。あるいは、試験種の1以上の脳領域中へ微小透析プローブを埋め込み、適正な時点で後続の分析用に試料を採取する。この方法には、細胞外の基質濃度だけを測定するという利点がある。次いで、個々の時点での平均濃度の比較によるか、又は濃度−時間プロットの曲線下面積(AUC)の計算のいずれかによって、血漿濃度と脳濃度を比較して、比を計算する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
とXは、それぞれ独立して、N及びCHより選択され;
は、水素、C1−6−アルキル(未置換であるか又は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、及びC1−6−アルコキシより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい)、及びC1−6−アシル(未置換であるか又は、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−6−アルコキシより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい)より選択され;
とRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6−アルキル(未置換であるか又は、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−6−アルコキシより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい)、及びC1−6−アルコキシ(未置換であるか又は、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−6−アルコキシより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい)より選択され;
は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF、C1−6−アルキル、及びC1−6−アルコキシより選択され;
Yは、O、C(R5A)(R5B)、又はN(R)であり;
5AとR5Bは、それぞれ独立してC1−4−アルキルであるか、又は、それらが付く炭素原子と一緒に、3〜6員のシクロアルキル環を形成し;
は、水素又はC1−4−アルキルであり;
a、b、及びcは、それぞれ独立して、1、2又は3であり;
dとeは、それぞれ独立して、0、1又は2であり;
fは、0、1、2又は3であり;そして
gは、0、1又は2である]の化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物、幾何異性体、互変異性体、光学異性体、又はN−オキシド[但し、該化合物は:
・4−(2,4−ジメチルフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンカルボキサミド;
・4−ベンジル−N−[2−(4−メチル−1−ピペラジニル)エチル]−1−ピペリジンカルボキサミド;
・4−(3−メチルフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・4−(4−クロロフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・N−[2−(4−メチル−1−ピペラジニル)エチル]−4−フェニル−1−ピペラジンカルボキサミド;
・4−(3,4−ジメチルフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・4−(2−メトキシフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・4−(2−クロロフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・N−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−4−フェニル−1−ピペラジンカルボキサミド;
・4−(2−ヒドロキシフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−4−(4−ニトロフェニル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−ピペリジニル)エチル;及び
・3−メチル−4−(3−メチルフェニル)−N−(1−メチル−4−ピペリジニル)−1−ピペラジンカルボキサミドからなる群より選択されない]。
【請求項2】
YがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
YがC(R5A)(R5B)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がNである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
が、水素、C1−2−アルキル、及びC1−2−アルコキシ−C1−2−アルキルより選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
とRが、独立して、水素、メチル、及びエチルより選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
が、独立して、水素、ハロゲン、CF、C1−2−アルキル、及びC1−2−アルコキシより選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
dとeがともに1である、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
式(I’):
【化2】

[式中:X、R、R、c、f、及びgは、請求項1に定義される通りである]の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル;
・4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸ピペリジン−4−イルメチル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル;
・4−(3−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル;
・4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル;
・4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル;
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル;
・4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル;
・4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル;
・4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル]メチル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(1−メチルピペリジン−4−イル)エチル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸1−メチルピペリジン−4−イル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸[(3S)−1−メチルピロリジン−3−イル];
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(3−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(2−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(2,5−ジメチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・3−メチル−4−(3−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−ベンジルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−フェニルピペリジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・3−フェニルピロリジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−ピペラジン−1−イルエチル;
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−(2−メトキシエチル)ピペラジン−1−イル)エチル;
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(4−エチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)エチル;
・4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル;
・1−[2,2−ジメチル−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパノイル]−4−フェニルピペラジン;
・1−{2,2−ジメチル−3−[4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロピル}−4−メチルピペラジン;
・1−{2,2−ジメチル−3−[4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロピル}−4−メチルピペラジン;
・1−{2,2−ジメチル−3−[4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロピル}−4−エチルピペラジン;
・1−[2,2−ジメチル−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパノイル]−4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン;
・1−メチル−4−[(1−{[4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}シクロペンチル)メチル]ピペラジン;
・4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(4−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;
・4−(4−クロロベンジル)ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;及び
・4−[2−(4−クロロフェニル)エチル]ピペラジン−1−カルボン酸2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチルより選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
活性成分としての請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物を医薬的に許容される希釈剤又は担体と組み合わせて含んでなる、医薬製剤。
【請求項12】
療法に使用の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
体重増加に関連した状態又は疾患の治療又は予防に使用の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
状態又は疾患が、肥満、2型糖尿病、リポジストロフィー、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、高血糖症、高インスリン血症、脂質異常症、肝脂肪症、過食症、高血圧、高トリグリセリド血症、不妊、体重増加に関連した皮膚障害、又は黄斑変性である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
重症体重損失、月経困難症、無月経、女性不妊症、又は免疫不全の治療又は予防に、又は創傷治癒の治療に使用の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
炎症性の状態又は疾患、肥満及び過剰血漿レプチンに関連した低レベル炎症、アテローム性動脈硬化症、1型又は2型糖尿病の大血管又は微小血管合併症、網膜障害、腎障害、自律神経障害、又は虚血又はアテローム性動脈硬化症によって引き起こされる血管傷害の治療又は予防に使用の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
血管新生の阻害に使用の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物の、体重増加に関連した状態又は疾患の治療又は予防用医薬品の製造への使用。
【請求項19】
状態又は疾患が、肥満、2型糖尿病、リポジストロフィー、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、高血糖症、高インスリン血症、脂質異常症、肝脂肪症、過食症、高血圧、高トリグリセリド血症、不妊、体重増加に関連した皮膚障害、又は黄斑変性である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物の、重症体重損失、月経困難症、無月経、女性不妊症、又は免疫不全の治療又は予防、又は創傷治癒の治療のための医薬品の製造への使用。
【請求項21】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物の、炎症性の状態又は疾患、肥満及び過剰血漿レプチンに関連した低レベル炎症、アテローム性動脈硬化症、1型又は2型糖尿病の大血管又は微小血管合併症、網膜障害、腎障害、自律神経障害、又は虚血又はアテローム性動脈硬化症によって引き起こされる血管傷害の治療又は予防用医薬品の製造への使用。
【請求項22】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物の、血管新生の阻害に使用の医薬品の製造への使用。
【請求項23】
体重増加に関連した状態又は疾患の治療又は予防への方法であって、そのような治療を必要とする、ヒトが含まれる哺乳動物へ請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項24】
状態又は疾患が、肥満、2型糖尿病、リポジストロフィー、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、高血糖症、高インスリン血症、脂質異常症、肝脂肪症、過食症、高血圧、高トリグリセリド血症、不妊、体重増加に関連した皮膚障害、又は黄斑変性である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
重症体重損失、月経困難症、無月経、女性不妊症、又は免疫不全の治療又は予防、又は創傷治癒の治療の方法であって、そのような治療を必要とする、ヒトが含まれる哺乳動物へ請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項26】
炎症性の状態又は疾患、肥満及び過剰血漿レプチンに関連した低レベル炎症、アテローム性動脈硬化症、1型又は2型糖尿病の大血管又は微小血管合併症、網膜障害、腎障害、自律神経障害、又は虚血又はアテローム性動脈硬化症によって引き起こされる血管傷害の治療又は予防の方法であって、そのような治療を必要とする、ヒトが含まれる哺乳動物へ請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項27】
血管新生の阻害の方法であって、そのような治療を必要とする、ヒトが含まれる哺乳動物へ請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項28】
請求項1の化合物の製造の方法であって:
(a)式(II):
【化3】

[式中、X、R、R、a、d、及びfは、請求項1に定義される通りである]の化合物をクロロギ酸4−ニトロフェニル又は炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)と好適な塩基(DIPEA又はNMMのような)の存在下に、好適な溶媒(DCMのような)において−10〜40℃で反応させて、式(III):
【化4】

の化合物を生成する工程:
(b)式(III)の化合物を式(IV):
【化5】

[式中、X、R、R、b、c、e、及びgは、請求項1に定義される通りである]の化合物と好適な塩基(DIPEAのような)の存在下に、好適な溶媒(DMFのような)において−10〜40℃で反応させて式(I)の化合物を入手する工程;及び
(c)任意選択的に、1回又は数回の工程において、式(I)のある化合物を式(I)の別の化合物へ変換する工程を含んでなる、前記方法。
【請求項29】
請求項1の化合物の製造の方法であって:
(a)式(IV):
【化6】

[式中、X、R、R、b、c、e、及びgは、請求項1に定義される通りである]の化合物を式(V):
【化7】

[式中、R5A、R5B、及びfは、請求項1に定義される通りである]の化合物と好適な塩基(DIPEAのような)の存在下に、好適な溶媒(DCMのような)において−10〜40℃で反応させて、式(VI):
【化8】

の化合物を入手する工程:
(b)式(VI)の化合物を式(VII):
【化9】

[式中、R、R、a、及びdは、請求項1に定義される通りである]の化合物と好適な溶媒(N−メチルピロリジノンのような)において上昇温度で反応させて式(I)の化合物を入手する工程;及び
(c)任意選択的に、1回又は数回の工程において、式(I)のある化合物を式(I)の別の化合物へ変換する工程を含んでなる、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−506295(P2011−506295A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536474(P2010−536474)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066899
【国際公開番号】WO2009/071668
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】