説明

ピペリジニルアルキルカーバメートの誘導体、これらの製造方法及びFAAH酵素インヒビターとしての使用

塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の形態の一般式(I):


[式中、m=1−4;n=1、2または3;o=1または2;Aは1つまたは複数の基X、Y及び/またはZから選択される;X=置換または未置換のメチレン;Y=置換または未置換のC−アルケニレン;Z=C3−7−シクロアルキル;B=共有結合またはC1−6−アルキレン;G=共有結合、O、S、−CH(OH)−、CO、SOまたはSO;Rはアリールまたはヘテロアリール型の基を表す;R=水素またはC1−6−アルキル;R=水素、C1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキル、C3−7−シクロアルキル−C1−3−アルキレン]の化合物。これらの化合物はFAAH酵素のインヒビターとして有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペリジニルアルキルカーバメート誘導体、これらの製造及び治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フェニルアルキルカーバメート誘導体、ジオキサン−2−アルキルカーバメート誘導体、並びに、ピペリジニル−及びピペラジニル−アルキルカーバメート誘導体はそれぞれ国際特許WO2004/067498A、WO2004/020430A及びWO2004/099176に記載されており、FAAH酵素(脂肪酸アミドヒドロラーゼ)のインヒビターとして公知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
FAAH酵素を阻害する物質を発見し開発することが依然として要望されている。本発明の化合物はこの要望に応えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の化合物は、一般式(I):
【0005】
【化8】

を有しており、式中の、
mは1−4の整数を表し、
nは1、2または3に等しい整数を表し、
oは1または2に等しい整数を表し、
Aは1つまたは複数の基X、Y及び/またはZから選択され、
Xは、1または2個のC1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキルまたはC3−7−シクロアルキル−C1−3−アルキレン基で置換されているまたは置換されていないメチレン基を表し、
Yは、1または2個のC1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキルまたはC3−7−シクロアルキル−C1−3−アルキレン基で置換されているまたは置換されていないC−アルケニレン基を表しまたはC−アルキニレン基を表し、
Zは式:
【0006】
【化9】

の基を表し、ここに、
pは1−5の整数を表し、
q及びrは、r+qが1−5の数となるように定義された整数を表し、
Bは共有結合またはC1−6−アルキレン基を表し、
Gは、共有結合、酸素もしくはイオウ原子または−CH(OH)−、CO、SOもしくはSO基を表し、
は1つまたは複数の基R及び/またはRで置換されているまたは置換されていない基Rを表し、
は、フラニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアジアゾリル、イソチアジアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ナフタレニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾレル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、ジヒドロフロピリジニル、チエノピリジニル、ジヒドロチエノピリジニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、イソキサゾロピリジニル、チアゾロヒリジニルから選択された基を表し、
は、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6チオアルキル、C1−6フルオロアルキル、C1−6フルオロアルコキシ、C1−6フルオロチオアルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキル−C1−3アルキレン、NR、NRCOR、NRCO、NRSO、COR、CO、CONR、SO、SONRまたは−O−(C1−3−アルキレン)−O−から選択された基を表し、
は、フェニル、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニルまたはピリミジニルオキシ基を表し、1つまたは複数の基Rは、互いに同じかまたは異なる1つまたは複数の基Rで置換されていてもよく、
及びRは、互いに独立に水素原子もしくはC1−6−アルキルを表しまたはこれらが結合している1つまたは複数の原子と共にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、アゼピンまたはピペラジン環から選択された環を形成しており、この環は場合によってはC1−6−アルキルもしくはベンジル基で置換されており、
は水素原子またはC1−6−アルキル基を表し、
は、水素原子を表しまたはC1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキルもしくはC3−7−シクロアルキル−C1−3−アルキレン基を表す。
【0007】
従って本発明の範囲内で一般式(I)の化合物は互いに等しいかまたは異なる複数の基Aを含み得る。
【0008】
一般式(I)の化合物のうちで、化合物の第一サブグループは、
mが1−4の整数を表し、
nが1または2に等しい整数を表し、
oが1または2に等しい整数を表し、
Aは1つまたは複数の基X及び/またはYから選択され、
Xは、1または2個のC1−6−アルキル基、より特定的にはメチル基で置換されているまたは置換されていないメチレン基を表し、
YはC−アルキニレン基を表し、
Bは共有結合を表すかまたはC1−6−アルキレン基、より特定的にはメチレンもしくはエチレンを表し、
Gは、共有結合または酸素原子を表し、
は、1つまたは複数の基R及び/またはR、より特定的には1または2個の基R及び/またはRで置換されているまたは置換されていない基Rを表し、
は、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、フェニル、ピリジニル、ナフタレニル、キノリニル、イソキノリニルから選択された基を表し、
は、ハロゲン原子、より特定的には塩素、臭素もしくはフッ素、シアノ基、基NR、C1−6アルキル基、より特定的にはメチルもしくはイソプロピル、C1−6−アルコキシ基、より特定的にはメトキシもしくはエトキシ、C1−6−フルオロアルキル基、より特定的にはトリフルオロメチル、または、C1−6−フルオロアルコキシ基、より特定的にはトリフルオロメトキシを表し、
は、フェニル、フェニルオキシまたはピリミジニルオキシ基を表し、1つまたは複数の基Rは、互いに同じかまたは異なる1つまたは複数の基Rで置換されていてもよく、
及びRは、互いに独立にC1−6−アルキル、より特定的にはメチルを表し、
は水素原子またはC1−6−アルキル基を表し、
は、水素原子を表しまたはC1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキルもしくはC3−7−シクロアルキル−C1−3−アルキレン基を表す、
化合物から構成される。
【0009】
一般式(I)及び第一サブグループの化合物のうちで、化合物の第二サブグループは、
n、o、A、B、G、R、R及びRが式(I)または上記サブグループの定義と同義であり、
mが1または2に等しい整数、より特定的には1を表す化合物から構成される。
【0010】
一般式(I)及び上記サブグループの化合物のうちで、化合物の第三サブグループは、m、A、B、G、R、R及びRが式(I)または上記サブグループの定義と同義であり、nが2に等しく、oが2に等しい化合物から構成される。
【0011】
一般式(I)及び上記サブグループの化合物のうちで、化合物の第四サブグループは、
m、n、o、A、B、G、R及びRが式(I)または上記サブグループの定義と同義であり、
は1つまたは複数の基R及び/またはR、より特定的には1または2個の基R及び/またはRで置換されているまたは置換されていない基Rを表し、
は、オキサゾリル、イソキサゾリル、フェニルまたはナフタレニルから選択された基を表し、
は、ハロゲン原子、より特定的には塩素、臭素もしくはフッ素を表すか、シアノ、NR、C1−6−アルキル、より特定的にはメチルもしくはイソプロピル、C1−6−アルコキシ、より特定的にはメトキシもしくはエトキシ、C1−6−フルオロアルキル、より特定的にはトリフルオロメチル、または、C1−6−フルオロアルコキシ、より特定的にはトリフルオロメトキシから選択された基を表し、
は、フェニル、フェニルオキシまたはピリミジニルオキシ基を表し、1つまたは複数の基Rは、互いに同じかまたは異なる1つまたは複数の基Rで置換されていてもよく、
及びRは、互いに独立にC1−6アルキル、より特定的にはメチルを表す、
化合物から構成される。
【0012】
一般式(I)の化合物のうちで、化合物の第五サブグループは、
m、n、o、A、B、G及びRが式(I)または上記サブグループの定義と同義であり、
は水素原子を表し、
は、水素原子またはC1−6−アルキル基、より特定的はにメチルを表す、
化合物から構成される。
【0013】
一般式(I)の化合物として以下の化合物を挙げることができる:
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[(3,4’−ジフルオロビフェニル−4−イル)メチル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[(3−クロロ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[3−(4−フルオロフェノキシ)ベンジル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[4−(4−クロロ−3−フルオロフェノキシ)ベンジル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−{1−[3−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]ピペリジン−4−イル}エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−{1−[4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]ピペリジン−4−イル}エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(3−tert−ブトキシベンジル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(3−tert−ブトキシベンジル)ピペリジン−4−イル]メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(2,4−ジクロロベンジル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(2,5−ジクロロベンジル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(3,5−ジクロロベンジル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(2−クロロ−5−フルオロベンジル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(3−クロロ−5−メチルベンジル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−{1−[(3,4’−ジフルオロビフェニル−4−イル)メチル]ピペリジン−4−イル}エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−{1−[(3−クロロ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]ピペリジン−4−イル}エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−{1−[4−(4−クロロ−3−フルオロフェノキシ)ベンジル]ピペリジン−4−イル}エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[3−(4−フルオロフェノキシ)ベンジル]ピペリジン−4−イル}カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[3−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[3−(ピリミジン−2−イルオキシ)ベンジル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(2−クロロ−4−フルオロベンジル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(3−クロロ−4−フルオロベンジル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(3−シアノ−5−フルオロベンジル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−{1−[3−(4−フルオロフェノキシ)ベンジル]ピペリジン−4−イル}エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{[3−(4−クロロフェニル)−イソキサゾール−5−イル]メチル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{[5−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]メチル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル[1−({4−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾール−2−イル}メチル)ピペリジン−4−イル]メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−(1−{[3−(4−クロロフェニル)イソキサゾール−5−イル]メチル}ピペリジン−4−イル)エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−(1−{[5−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]メチル}ピペリジン−4−イル)エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−({4−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾール−2−イル}メチル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{2−[5−(4−クロロフェニル)イソキサゾール−3−イル]エチル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−(1−{2−[3−(4−クロロフェニル)イソキサゾール−5−イル]エチル}ピペリジン−4−イル)エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{2−[3−(4−クロロフェニル)イソキサゾール−5−イル]エチル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{3−[3−(4−クロロフェニル)イソキサゾール−5−イル]プロピル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{3−[5−(4−クロロフェニル)イソキサゾール−3−イル]プロピル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[1−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{1−[3−(4−クロロフェノキシ)フェニル]エチル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{1−[2−クロロ−3−(4−クロロフェノキシ)フェニル]エチル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−(1−{1−[3−(トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル}ピペリジン−4−イル)エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−{1−[1−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[4−(4−クロロフェニル)ブト−3−イン−1−イル]ピペリジン−4−イル}カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[5−(4−クロロフェニル)ペント−4−イン−1−イル]ピペリジン−4−イル}カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[5−(2,5−ジクロロフェニル)ペント−4−イン−1−イル]ピペリジン−4−イル}カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[4−(4−クロロフェニル)ブト−3−イン−1−イル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)ブト−3−イン−1−イル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[4−(2,5−ジクロロフェニル)ブト−3−イン−1−イル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート。
【0014】
一般式(I)の化合物のうちで、化合物の1つのサブファミリーは、一般式(I’):
【0015】
【化10】

の化合物から構成され、式中の、
mは1−4の整数を表し、
nは1、2または3に等しい整数を表し、
oは1または2に等しい整数を表し、
Aは1つまたは複数の基X、Y及び/またはZから選択され、
Xは、1または2個のC1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキルまたはC3−7−シクロアルキル−C1−3−アルキレン基で置換されているまたは置換されていないメチレン基を表し、
Yは、1または2個のC1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキルまたはC3−7−シクロアルキル−C1−3−アルキレン基で置換されているまたは置換されていないC−アルケニレン基を表しまたはC−アルキニレン基を表し、
Zは式:
【0016】
【化11】

の基を表し、ここに、
pは1−5の整数を表し、
q及びrは、r+qが1−5の数となるように定義された整数を表し、
Bは共有結合またはC1−6−アルキレン基を表し、
Gは、共有結合、酸素もしくはイオウ原子または−CH(OH)−、CO、SOもしくはSO基を表し、
は1つまたは複数の基R及び/またはRで置換されているまたは置換されていない基Rを表し、
は、フラニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアジアゾリル、イソチアジアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ナフタレニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、ジヒドロフロピリジニル、チエノピリジニル、ジヒドロチエノピリジニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、イソキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニルから選択された基を表し、
は、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−チオアルキル、C1−6−フルオロアルキル、C1−6−フルオロアルコキシ、C1−6−フルオロチオアルキル、C1−6−シクロアルキル、C1−6−シクロアルキル−C1−3−アルキレン、NR、NRCOR、NRCO、NRSO、COR、CO、CONR、SO、SONRまたは−O−(C1−3−アルキレン)−O−から選択された基を表し、
は、フェニル、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニルまたはピリミジニルを表し、1つまたは複数の基Rは、互いに同じかまたは異なる1つまたは複数の基Rで置換されていてもよく、
及びRは、互いに独立に水素原子もしくはC1−6−アルキルを表しまたはこれらが結合した1つまたは複数の原子と共にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、アゼピンまたはピペラジン環から選択された環を形成しており、この環は場合によってはC1−6−アルキルもしくはベンジル基で置換されており、
は水素原子またはC1−6−アルキル基を表し、
は、水素原子を表すか、または、C1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキルもしくはC3−7−シクロアルキル−C1−3−アルキレン基を表す。
【0017】
一般式(I’)の化合物のうちで、化合物の第一サブグループは、
mが1−3の整数を表し、
nが1または2に等しい整数を表し、
oが2に等しい整数を表し、
Aはメチレン基を表し、
Bは共有結合またはC1−6−アルキレン、より特定的にはメチレンもしくはエチレンを表し、
Gは、共有結合または酸素原子を表し、
は1つまたは複数の基R及び/またはR、より特定的には1または2個の基R及び/またはR置換されているまたは置換されていない基Rを表し、
は、フェニル、ピリジニル、ナフタレニル、イソキノリニルから選択された基を表し、
は、ハロゲン原子、より特定的には塩素、臭素もしくはフッ素、シアノ基、N,N−ジメチルアミノ基、C1−6−アルキル基、より特定的にはイソプロピル、C1−6−アルコキシ基、より特定的にはメトキシもしくはエトキシ、C1−6−フルオロアルキル基、より特定的にはトリフルオロメチルを表し、
及びRは、互いに独立にC1−6アルキルを表し、
は水素原子またはC1−6−アルキル基を表し、
は、水素原子を表しまたはC1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキルもしくはC3−7−シクロアルキル−C1−3−アルキレン基を表す、
化合物から構成される。
【0018】
一般式(I’)の化合物のうちで、化合物の第二サブグループは、
m、n、o、A、B、G及びRがサブグループ1の定義と同義であり、
は水素原子を表し、
は、水素原子またはC1−6−アルキル基、より特定的にはメチルを表す、
化合物から構成される。
【0019】
一般式(I’)の化合物として以下の化合物を挙げることができる:
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[(2−クロロフェニル)メチル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[(4−クロロフェニル)メチル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[(4−クロロフェニル)メチル]ピペリジン−4−イル}カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−[4−(1−メチルエチル)フェニル]メチルピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル[1−(ビフェニル−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イル]カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル[1−(ビフェニル−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イル]メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(ビフェニル−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル[1−(2−ビフェニル−4−イルエチル)−ピペリジン−4−イル]カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル[1−(ナフタレン−2−イル−メチル)ピペリジン−4−イル]メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−{1−[(4−ブロモフェニル)メチル]−ピペリジン−4−イル}エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−ピペリジン−4−イル)エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−(1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−ピペリジン−4−イル)エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−{1−[(2,3−ジクロロフェニル)メチル]ピペリジン−4−イル}エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−{1−[(3,4−ジクロロフェニル)メチル]ピペリジン−4−イル}エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(ナフタレン−1−イルメチル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(ナフタレン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(ピリジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{2−[4−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]エチル}ピペリジン−4−イル]メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{2−[(4−フルオロフェニル)オキシ]エチル}ピペリジン−4−イル)カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{2−[(4−クロロフェニル)オキシ]エチル}ピペリジン−4−イル)カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{2−[(2,4−ジクロロフェニル)オキシ]エチル}ピペリジン−4−イル)カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{2−[(4−クロロフェニル)オキシ]エチル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{2−[(2,4−ジクロロフェニル)オキシ]エチル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−(1−{2−[(4−フルオロフェニル)オキシ]エチル}ピペリジン−4−イル)エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−(1−{2−[(4−クロロフェニル)オキシ]エチル}ピペリジン−4−イル)エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{2−[(4−フルオロフェニル)オキシ]エチル}ピロリジン−3−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{2−[(4−クロロフェニル)オキシ]エチル}ピロリジン−3−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{2−[3−(トリフルオロ−メチル)フェニル]エチル}ピペリジン−4−イル)カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[2−(4−クロロフェニル)−エチル]ピペリジン−4−イル}カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[2−(4−シアノフェニル)−エチル]ピペリジン−4−イル}カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{2−[(イソキノリン−5−イル)オキシ]エチル}ピペリジン−4−イル)カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル[1−(2−ナフタレン−1−イルエチル}ピペリジン−4−イル)カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル[1−(2−ナフタレン−2−イルエチル}ピペリジン−4−イル)カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[3−(4−クロロフェニル)プロピル]ピペリジン−4−イル}カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{3−[4−(メチルオキシ)フェニル]プロピル}ピペリジン−4−イル)カーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[2−(3−クロロフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{2−[4−(エチルオキシ)フェニル]エチル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エチル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル[1−(2−ナフタレン−1−イルエチル]ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル[1−(2−ナフタレン−2−イルエチル]ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(1−{3−[4−(メチルオキシ)フェニル]プロピル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−{1−[2−(2−クロロフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−{1−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−(1−{2−[4−(エチルオキシ)フェニル]エチル}ピペリジン−4−イル)エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−{1−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}エチルカーバメート;
−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−(1−{3−[4−(メチルオキシ)フェニル]プロピル}ピペリジン−4−イル)エチルカーバメート。
【0020】
一般式(I)の化合物は、1つまたは複数の非対称炭素を含むことができる。これらは鏡像異性体またはジアステレオ異性体の形態で存在できる。これらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体と、ラセミ混合物のようなそれらの混合物は本発明の一部を形成する。
【0021】
式(I)の化合物は、塩基または酸付加塩の形態で存在し得る。このような付加塩は本発明の一部を形成する。
【0022】
これらの塩は医薬的に許容される酸と共に製造するのが有利であるが、例えば、式(I)の化合物の精製または単離に有用な他の酸の塩もまた本発明の一部を形成する。
【0023】
一般式(I)の化合物は、水和物または溶媒和物、即ち、1つまたは複数の水分子または溶媒に会合または結合した形態で存在できる。このような水和物及び溶媒和物も本発明の一部を形成する。
【0024】
本文中に使用した用語は本発明の範囲内で以下の定義を有していると理解されたい:
−t及びzが1から7までの数値を表すCt−zは、t−z個の炭素原子を有し得る炭素鎖を意味する。例えば、C1−3は、1−3個の炭素原子を有し得る炭素鎖を意味する;
−アルキルは、線状または分枝状の飽和脂肪族基を意味する。例えば、C1−6−アルキル基は、炭素原子数1−6の線状または分枝状炭素鎖を表す。具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはヘキシルを表す;
−アルキレンは、線状または分枝状の飽和した二価のアルキル基を意味する。例えば、C1−3−アルキレン基は、炭素原子数1−3の線状または分枝状の二価の炭素鎖、具体的には、メチレン、エチレン、1−メチルエチレンまたはプロピレンを表す;
−シクロアルキルは環状アルキル基を意味する。例えば、C3−7−シクロアルキル基は炭素原子数3−7の環状炭素含有基、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを表す;
−アルケニレンは、2個の炭素を含む不飽和の二価の脂肪族基、具体的にはエチレンを意味する;
−C−アルキニレンは−C≡C−基を意味する;
−アルコキシは、線状または分枝状の飽和脂肪鎖を含む−O−アルキル基を意味する;
−チオアルキルは、線状または分枝状の飽和脂肪族鎖を含む−S−アルキル基を意味する;
−フルオロアルキルは、1つまたは複数の水素原子がフッ素原子によって置換されたアルキル基を意味する;
−フルオロアルコキシは、1つまたは複数の水素原子がフッ素原子によって置換されたアルコキシ基を意味する;
−フルオロチオアルキルは、1つまたは複数の水素原子がフッ素原子によって置換されたチオアルキル基を意味する;
−ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0025】
以下の本文中、保護基Pgは、一方でヒドロキシルまたはアミンのような反応性官能基を合成中に保護することができ、他方で合成終了後に元通りの反応性官能基を再生できる基を意味すると理解されたい。保護基の例と保護及び脱保護の方法は、“Protective Groups in Organic Synthesis”,Greenら,2nd Edition(John Wiley & Sons,Inc.,New York)に与えられている。
【0026】
本発明の化合物は以下のスキーム1によって示す種々の方法に従って製造し得る。
【0027】
例えば、第一の方法(スキーム1)では、B、R、n及びoが一般式(I)の定義と同義の一般式(II)の化合物と、Wがメシラートもしくはトシラート基または塩素、臭素もしくはヨウ素原子を表し、m、G、A及びRが一般式(I)の定義と同義である一般式(III)の誘導体とを、トリエチルアミン、水素化ナトリウム、ナトリウムtert−ブトキシドまたは炭酸ナトリウムのような塩基の存在下、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドのような溶媒中で0℃から溶媒の還流温度までの間の温度で反応させる。
【0028】
【化12】

【0029】
このようにして得られた一般式(IIa)のオキサゾリジン−ジオンを次に、Rが一般式(I)の定義と同義である一般式RNHのアミンを用いたアミノリシスによって一般式(I)の化合物に変換する。アミノリシス反応は、メタノール、エタノールのような溶媒、または、メタノールとテトラヒドロフラン、メタノールとジオキサンのような溶媒混合物中で行わせる。
【0030】
一般式(I)の化合物を得るための変形方法(スキーム1)では、上記に定義の一般式(II)の化合物を、上記に記載の条件下で上記に定義の一般式RNHのアミンを用いたアミノリシスによって変換し、一般式(Ia)のカーバメート−アミドとする。一般式(Ia)中のB、R、R、n及びoは一般式(I)の定義と同義である。次いで、化合物(Ia)を上記に定義の一般式(III)の誘導体と上記に記載の条件下で反応させることによって一般式(I)の化合物を得る。
【0031】
上記に定義の一般式(Ia)のカーバメート−アミド誘導体はまた、B、R、n及びoが一般式(I)の定義と同義であり、PGがBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)のような保護基を表し、Rがメチルまたはエチル基を表す一般式(Ib)のカーバメート−エステルを出発材料とし、上記に定義の一般式RNHのアミンを用いて上記に記載の条件下でアミノリシスを生じさせ、次いで例えば塩酸(5N)のイソプロパノール溶液の存在下で脱保護することによって製造できる。
【0032】
カーバメート−エステル(Ib)は以下のスキーム2に示す方法に従って製造し得る。
【0033】
【化13】

【0034】
スキーム2によれば、一般式(Ib)のカーバメート−エステルは、B、n及びoが一般式(I)の定義と同義でありPGがBocのような保護基を表す一般式(IV)のアミンと、Vが水素原子またはニトロ基を表し、Rが一般式(I)の定義と同義であり、Rがメチルまたはエチル基を表す一般式(V)のカーボネートとを反応させることによって得られる。
【0035】
一般式(II)の化合物は、それらの製造方法が記載されていない場合には、文献に記載された方法または記載された方法と同様の方法もしくは当業者に公知の方法で製造できる。
【0036】
一般式(V)のカーボネートは、文献に記載の方法、例えば、Rがメチルまたはエチル基を表す一般式HOCHRCOORのアルコールとフェニルクロロホーメートまたは4−ニトロフェニルクロロホーメートとを、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下で反応させることによって製造し得る。
【0037】
一般式(III)及び(IV)の化合物と一般式RNHのアミンは市販品でもよくまたは文献に記載の方法もしくは当業者に公知の方法で製造してもよい。
【0038】
B、R、R、n及びoが一般式(I)の定義と同義である一般式(Ia)の化合物は新規であり、これらも本発明の一部を形成する。これらは一般式(I)の化合物を製造するため合成中間体として有用である。
【0039】
m、G、A、R、B、R、n及びoが一般式(I)の定義と同義である一般式(IIa)の化合物は、化合物3−[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−2,4−オキサゾリジンジオンを除いて新規であり、これらも本発明の一部を形成する。これらは一般式(I)の化合物を製造するための合成中間体として有用である。
【0040】
以下の実施例は本発明のいくつかの化合物の製造を示す。これらの実施例は限定性がなく、本発明の代表例にすぎない。微量分析、IR及びNMRスペクトル及び/またはLC−MS(マススペクトロスコピーに結合した液体クロマトグラフィー)は、得られた化合物の構造及び純度を確認する。M.p.(℃)は融点を摂氏で表す。実施例の標題中の括弧内の数字は後出の表の第一欄の数字に対応する。
【実施例1】
【0041】
(化合物25)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(ビフェニル−4−イルメチル)ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート
【0042】
【化14】

【0043】
1.1 3−(2−ピペリジン−4−イルメチル)−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン塩酸塩
約−10℃に冷却した150mlのテトラヒドロフラン中の10g(77.40mmol)の2−ピペリジン−4−イルエタノール、22.33g(85.14mmol)のトリフェニルホスフィン及び9.39g(92.88mmol)の1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン(J.Med.Chem.1991,34,1538−44)の溶液に、25mlのテトラヒドロフラン中の15.65g(77.40mmol)のジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)の溶液を不活性雰囲気下で滴下する。滴下中は反応混合物の温度を−10℃から0℃の範囲に維持する。撹拌を0℃で1時間継続し、次いで22℃で2時間継続する。形成された固体を濾過によって収集し、テトラヒドロフランで数回洗浄し、次いで真空下、約70℃で乾燥する。次にこの固体を塩酸(5N)のイソプロパノール溶液に入れる。形成された固体を濾過によって収集し、次いで酢酸エチル及びエーテルで洗浄する。
【0044】
真空下、約70℃で乾燥すると、6.45gの塩酸塩が白色固体の形態で得られる。M.p.(℃):178℃
【0045】
1.2 3−{2−[1−(ビフェニル−4−イルメチル)ピペリジン−4−イル]エチル}−1,3−オキサゾリジン2,4−ジオン
3mlのアセトニトリル中の0.40g(1.61mmol)の段階1.1で得られた3−(2−ピペリジン−4−イルメチル)−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン塩酸塩、0.326g(1.61mmol)の4−(クロロメチル)ビフェニル及び0.51g(4.82mmol)の炭酸ナトリウムの溶液を還流下、17時間加熱する。周囲温度に放冷し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮する。残渣をジクロロメタン及び水に入れ、水相を分離し、ジクロロメタンで2回抽出する。集めた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒の蒸発後、得られた残渣を97/3次いで95/5のジクロロメタンとメタノールとの混合物で溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0046】
この結果、0.46gの生成物が薄茶色固体の形態で得られる。
【0047】
1.3 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル2−[1−(ビフェニル−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イル]エチルカーバメート
5mlのメタノール中の0.45g(1.19mmol)の段階1.2で得られた3−{2−[1−(ビフェニル−4−イルメチル)ピペリジン−4−イル]エチル}−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオンの溶液に、3ml(5.97mmol)のメチルアミン(2M)のテトラヒドロフラン溶液を添加する。周囲温度で撹拌を17時間継続する。減圧下で濃縮後、得られた残渣を95/5次いで90/10のジクロロメタンとメタノールとの混合物で溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。黄色ペーストが得られるので、ジイソプロピルエーテルから再結晶させる。
【0048】
この結果、0.40gの生成物が黄色固体の形態で得られる。
【0049】
LC−MS:M+H=410
M.p.(℃):106−110℃
H NMR(CDCl)δ(ppm):1.2−1.50(未分解複合体,5H);1.70(m,2H);2.0(brrad t,2H);2.90(d,3H);3.0(m,2H);3.30(q,2H);3.55(s,2H);4.60(s,2H);4.80(broad s,1H);6.15(broad s,1H);7.40(m,5H);7.60(m,4H)。
【実施例2】
【0050】
(化合物52)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル1−{2−[4−フルオロ−2−(メトキシ)−フェニル]エチル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート
【0051】
【化15】

【0052】
2.1 1,1−ジメチルエチル4−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシレート
約0℃に冷却した100mlのジクロロメタン中の10.08g(46.81mmol)の1,1−ジメチルエチル4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボキシレート及び9.90ml(70.21mmol)のトリエチルアミンの溶液に、10mlのジクロロメタン中の4ml(51.49mmol)のメシルクロリドの溶液を不活性雰囲気下で滴下する。浴を除去し、撹拌を周囲温度で30分間継続する。反応混合物に水を添加し、水相を分離し、ジクロロメタンで1回抽出し、集めた有機相を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾液を減圧下で濃縮する。
【0053】
この結果、13.7gの生成物が橙色油の形態で得られる。これをそのまま次段階で使用する。
【0054】
2.2 1,1−ジメチルエチル4−[(2,4−ジオキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)メチル]ピペリジン−1−カルボキシレート
180mlのテトラヒドロフランと30mlのジメチルホルムアミドとの混合物中の13.60g(46.36mmol)の段階2.1で製造した1,1−ジメチルエチル4−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシレート、9.37g(92.72mmol)の1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン及び16.02g(139.08mmol)の1,1,3,3−テトラメチルグアニジンの懸濁液を還流下、24時間加熱する。周囲温度に放冷し、減圧下で濃縮する。残渣をジクロロメタン及び水に入れ、水相を分離し、ジクロロメタンで2回抽出する。集めた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒の蒸発後、得られた残渣を98/2次いで95/5のジクロロメタンとメタノールとの混合物で溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0055】
この結果、12.53gの生成物が茶橙色固体の形態で得られる。
【0056】
2.3 3−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,3−オキサゾリジン2,4−ジオン塩酸塩
65mlのジオキサン中の12.51g(41.95mmol)の段階2.2.で得られた1,1−ジメチルエチル4−[(2,4−ジオキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)メチル]ピペリジン−1−カルボキシレートの懸濁液に、38.10ml(209.75mmol)の塩酸(5N)のイソプロパノール溶液を混合する。約60℃で撹拌を17時間継続する。周囲温度に放冷する。形成された固体を濾過によって収集し、次いでエーテルで数回洗浄し、真空下、約70℃で乾燥する。
【0057】
この結果、8.41gの生成物が白色固体の形態で得られる。M.p.(℃):195−200℃
【0058】
2.4 3−[(1−{2−[4−フルオロ−2−(メトキシ)フェニル]エチル}ピペリジン−4−イル)メチル]−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン
実施例1(段階1.2.)に記載の方法を使用する。0.40g(1.70mmol)の段階2.3.で製造した3−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,3−オキサゾリジン2,4−ジオン塩酸塩、0.423g(1.70mmol)の2−[4−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]エチルメタンスルホネート(EP1340761)及び0.54g(5.11mmol)の炭酸ナトリウムを出発材料とし、処理後に0.590gの生成物が黄色粘性油の形態で得られる。これをそのまま次段階で使用する。
【0059】
2.5 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル1−{2−[4−フルオロ−2−(メトキシ)−フェニル]エチル}ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート
実施例1(段階1.3.)に記載の手順で処理する。0.58g(1.66mmol)の段階2.4.で製造した3−[(1−{2−[4−フルオロ−2−(メトキシ)フェニル]エチル}ピペリジン−4−イル)メチル]−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン及び8.28ml(16.55mmol)のメチルアミン(2M)のテトラヒドロフラン溶液を出発材料とし、残渣を95/5/0.5のジクロロメタンとメタノールと28%アンモニア水との混合物で溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、ジイソプロピルエーテルで洗浄した後に、0.315gの生成物が白色固体の形態で得られる。
【0060】
LC−MS:M+H=382
M.p.(℃):126−128℃
H NMR(DMSO)δ(ppm):1.10(m,2H);1.35(broadb s,1H);1.60(broad d,2H);1.85(broad t,2H);2.40(m,2H);2.60(m,5H);2.90(m,4H);3.80(s,3H);4.30(s,2H);6.65(td,1H);6.80(dd,1H);7.15(m,2H);7.70(broad s,1H)。
【実施例3】
【0061】
(化合物68)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル1−{2−[(2,4−ジクロロフェニル)オキシ]エチル}ピペリジン−4−イル)カーバメート
【0062】
【化16】

【0063】
3.1 1,1−ジメチルエチル4−[({[2−(エチルオキシ)−2−オキソエチル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート
300mlのトルエン中の5.09g(25.42mmol)の1,1−ジメチルエチル4−アミノピペリジン−1−カルボキシレートと13.45g(59.99mmol)のエチル[(フェニルオキシカルボニル)オキシ]アセテート(J.Med.Chem.,1999,42,277−90)との懸濁液を還流下で30時間加熱する。
【0064】
懸濁液を周囲温度に放冷し、不溶物を濾過によって分離し、濾液を減圧下で濃縮する。このようにして得られた残渣を、酢酸エチルとシクロヘキサンとの30/70混合物で溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0065】
この結果、6.62gの生成物が淡黄色油の形態で得られる。
【0066】
3.2 1,1−ジメチルエチル4−[({[2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例1(段階1.3.)と同様に処理する。6.33g(19.16mmol)の段階3.1.で製造した1,1−ジメチルエチル4−[({[2−(エチルオキシ)−2−オキソエチル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート、及び、47.90ml(95.81mmol)のメチルアミン(2M)のテトラヒドロフラン溶液を出発材料として5.90gの生成物が黄色粘性ペーストの形態で得られる。
【0067】
3.3 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチルピペリジン−4−イルカーバメート塩酸塩
実施例2(段階2.3.)に記載の方法を使用する。5.90g(18.71mmol)の段階3.2.で製造した1,1−ジメチルエチル4−[({[2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート及び17ml(93.53mmol)の塩酸(5N)のイソプロパノール溶液を出発材料とし、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、真空下に約70℃で乾燥した後に、3.83gの塩酸塩が白色固体の形態で得られる。M.p.(℃)153℃。
【0068】
3.4 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル1−{2−[(2,4−ジクロロフェニル)オキシ]エチル}ピペリジン−4−イル)カーバメート
実施例1(段階1.2.)に記載の方法を使用する。0.51g(1.89mmol)の段階3.3.で製造した2−(メチルアミノ)−2−オキソエチルピペリジン−4−イルカーバメート塩酸塩、0.50g(1.99mmol)の1−[(2−ブロモエチル)オキシ]−2,4−ジクロロベンゼン、及び、0.60g(5.68mmol)の炭酸ナトリウムを出発材料とし、94/6/0.6次いで95/5/0.5のジクロロメタン、メタノール及び28%アンモニア水の混合物で溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、ジイソプロピルエーテルで洗浄すると、0.44gの生成物が白色固体の形態で得られる。
【0069】
LC−MS:M+H=404
M.p.(℃):115−119℃
H NMR(CDCl)δ(ppm):1.50(m,2H);2.0(broad d,2H);2.35(broad t,2H);2.90(d,3H);3.0(m,4H);3.60(m,1H);4.15(t,2H);4.60(s,2H);4.75(broad d,1H);6.15(broad s,1H);6.85(d,1H);7.20(dd,1H);7.40(d,1H)。
【実施例4】
【0070】
(化合物4)
2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[(4−クロロフェニル)メチル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート塩酸塩
【0071】
【化17】

【0072】
4.1 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート塩酸塩
10mlのメタノール中の0.50g(2.13mmol)の段階2.3.で得られた3−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン塩酸塩及び5.30ml(10.65mmol)のメチルアミン(2M)のテトラヒドロフラン溶液を周囲温度で15時間撹拌する。減圧下で濃縮後、得られた残渣を塩酸(5N)のイソプロパノール溶液で処理する。得られた塩酸塩を濾過によって収集し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、真空下に約70℃で乾燥する。この結果、4.1gの白色粉末が得られる。
【0073】
4.2 2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル{1−[(4−クロロフェニル)メチル]ピペリジン−4−イル}メチルカーバメート塩酸塩
5mlの1%酢酸のN,N’−ジメチルホルムアミド溶液中の0.118g(0.44mmol)の2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル(ピペリジン−4−イル)メチルカーバメート塩酸塩、0.283g(1.33mmol)のトリアセトキシホウ水素化ナトリウム及び0.626g(4.45mmol)の4−クロロベンズアルデヒドの混合物を周囲温度で撹拌する。24時間の撹拌後、2gの酸性樹脂DOWEX 50WX2(Fluka)を添加し、撹拌を周囲温度で1時間継続する。混合物を濾過し、樹脂を、5mlのN,N’−ジメチルホルムアミドで3回、5mlのジクロロメタンで3回、5mlのメタノールで3回洗浄する。引き続いて樹脂を8mlのアンモニア(2M)のメタノール溶液によって周囲温度で1時間処理する。混合物を濾過し、真空下で濾液を濃縮する。28%アンモニア水溶液を2%含有している94/6のジクロロメタンとメタノールとの混合物で溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーによって生成物を精製する。得られた油状残渣を5mlの塩酸(0.1N)のイソプロパノール溶液で処理する。濃縮すると0.067gの白色粉末が得られる。
【0074】
M.p.(℃):220−222℃
LC−MS:M+H=354
H NMR(DMSO−d/DO)δ(ppm):1.20(m,2H);1.40(m,1H);1.60(m,2H);1.90(t,2H);2.70(s,3H);2.75(d,2H);2.90(d,2H);3.40(s,2H);4.30(s,2H);7.95(m,4H)。
【0075】
以下の表1は、本発明のいくつかの化合物の化学構造及び物理特性を示す。
【0076】
この表において、
−“塩基または塩”の欄の“塩基”は化合物が遊離塩基の形態であることを意味しており、“HCl”は塩酸形態の化合物を表している。また括弧にいれた比は(酸:塩基)比である。
−t−BuO、Me、Et及びi−Prはそれぞれ、tert−ブトキシ、メチル、エチル及びイソプロピル基を表す。
−Phはフェニル基を表す。
【0077】
【表1】





【0078】
FAAH(脂肪酸アミドヒドロラーゼ)酵素に対する阻害効果を定量するために本発明化合物の薬理学的試験を行った。
【0079】
アナンダミド[1−Hエタノールアミン]のFAAH加水分解生成物[1−H]エタノールアミンの測定に基づくラジオエンザイムアッセイで阻害活性を証明した(Life Sciences(1995),56,1999−2005及びJournal of Pharmacology and Experimental Therapeutics(1997),283,729−734)。マウス脳(小脳含まず)を摘出し、−80℃で保存する。150mMのNaClと1mMのEDTAとを含んでいる10mMのトリス−HCl(pH8.0)バッファ中、Polytronで組織をホモジナイズすることによって膜ホモジェネートを用時調製する。次いで、脂肪酸を含まないウシ血清アルブミン(1mg/ml)を含んでいる70μLのバッファ中で酵素反応させる。種々の濃度の試験化合物、低温アナンダミドで10μMに希釈したアナンダミド[1−Hエタノールアミン](比活性:15−20Ci/mmol)及び膜調製物(アッセイあたり400μgの凍結組織)を順次に添加する。25℃で15分間維持した後、140μLのクロロホルム/メタノール(2:1)を加えて酵素反応を停止させる。混合物を10分間撹拌し、次いで3500gで15分間遠心する。エタノールアミン[1−H]を含んでいる水相のアリコート(30μL)を液体シンチレーションによってカウントする。
【0080】
これらの条件下で、最も活性の本発明の化合物は0.001−1μMの範囲のIC50値(FAAHの対照酵素活性を50%阻害する濃度)を有している。
【0081】
以下の表2は、いくつかの本発明の化合物のIC50の値を示す。
【0082】
【表2】

【0083】
従って、本発明の化合物がFAAH酵素に対して阻害活性を有していることが明らかである。
【0084】
本発明の化合物のインビボ活性を鎮痛試験で評価した。
【0085】
体重25−30gの雄のOF1マウスにPBQ(フェニルベンゾキノン、5%エタノール含有の0.9%塩化ナトリウム溶液中で2mg/kg)を腹腔内(i.p.)投与すると、注射後5−15分の期間、平均30回の捻転または攣縮のような腹部伸長が誘発される。PBQ投与の60分または120分前に、試験化合物をトゥイーン80中の0.5%懸濁液として経口(p.o.)または腹腔内(i.p.)投与する。これらの条件下で最も有効な本発明の化合物は、1−30mg/kgの投与量範囲で、PBQによって誘発される伸長の回数を35%−70%減少させる。
【0086】
例えば、表の化合物No.26は、10mg/kgのPBQの経口投与によって誘発された120分間の伸長の回数を56%減少させる。
【0087】
FAAH酵素(Chemistry and Physics of Lipids,(2000),108,107−121)は、N−アラキドノイルエタノールアミン(アナンダミド)、N−パルミトイルエタノールアミン、N−オレオイルエタノールアミン、オレアミドまたは2−アラキドノイルグリセロールのような種々の脂肪酸のアミド及びエステルの内因性誘導体の加水分解を触媒する。これらの誘導体は、特にカンナビノイド受容体及びバニロイド受容体と相互作用することによって種々の薬理学的活性を発揮する。
【0088】
本発明の化合物はこの分解経路を遮断し、組織内でこれらの内因性物質のレベルを上昇させる。この点でこれらの化合物は、内因性カンナビノイド及び/またはFAAHによって代謝される他のすべての基質が関与する病気の予防及び治療に使用できる。
【0089】
例えば、以下の疾患や症状を挙げることができる:
疼痛、特に急性または慢性の神経性疼痛:偏頭痛、ヘルペスウイルス及び糖尿病に付随するタイプの神経障害的疼痛;炎症性疾患に付随する急性または慢性の疼痛:関節炎、リウマトイド関節炎、骨関節炎、脊椎炎、痛風、脈管炎、クローン病、炎症性腸疾患;
急性または慢性の末梢神経痛;
眩暈、吐き気、嘔吐、特に化学療法後のこれらの症状;
摂食障害、特に様々な食欲不振及びカヘキシー;
神経性及び精神性の病気:振戦、ジスキネジー、ジストニー、痙直、強迫観念的行動、トゥレット症候群、あるゆる種類及び原因のあらゆるタイプの抑鬱及び不安、気分障害、精神病;
急性及び慢性の神経変性疾患:
パーキンソン病、アルツハイマー病、老人性痴呆、ハンチントン舞踏病、脳虚血や頭蓋及び延髄の外傷に付随する病変;
癲癇;
睡眠時無呼吸を含む睡眠障害;
心血管疾患、特に、高血圧、心不整脈、動脈硬化症、心臓発作、心虚血;
腎虚血;
癌:良性皮膚腫瘍、乳頭腫及び脳腫瘍、前立腺腫瘍、脳腫瘍(グリア芽細胞腫、髄上皮腫、髄芽細胞腫、神経芽細胞腫、胚起原の腫瘍、星状細胞腫、星状芽細胞腫、脳室上衣腫、寡突起膠腫、叢腫瘍、神経上皮腫、骨端腫瘍、上衣芽細胞腫、悪性髄膜腫、肉腫症、悪性メラノーマ、シュワン細胞腫);
免疫系の障害、特に自己免疫疾患:骨粗鬆症、ループスエリテマトーデス、結合組織疾患または膠原病、シェーングレン症候群、強直性脊椎関節炎、未分化脊椎関節炎、ベーチェット病、自己免疫溶血性貧血、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、穀粉症、移植拒絶、形質細胞系疾患;
アレルギー疾患:即時または遅延過敏症、アレルギー性鼻炎または結膜炎、接触皮膚炎;
寄生虫、ウイルスまたは細菌の感染性疾患:エイズ、髄膜炎;
炎症性疾患、特に関節の疾患:関節炎、リウマトイド関節炎、骨関節炎、脊椎炎、痛風、脈管炎、クローン病、炎症性腸症候群;骨粗鬆症;
眼の症状:眼圧亢進、緑内障;
肺の症状:気管疾患、気管支痙攣、せき、喘息、慢性気管支炎、慢性気道閉鎖、肺気腫;
胃腸疾患:炎症性腸症候群、炎症性腸障害、潰瘍、下痢;
尿失禁及び膀胱炎症。
【0090】
上記のような病気を治療する医薬を製造するために医薬的に許容される塩基、塩、水和物または溶媒和物の形態の式(I)の化合物を使用することも本発明の不可欠な構成要素である。
【0091】
本発明はまた、式(I)の化合物または式(I)の化合物の医薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物を含む医薬を提供する。これらの医薬は治療目的、特に上記に挙げた病気の治療目的で使用される。
【0092】
別の特徴によれば本発明は、少なくとも1種類の本発明の化合物を有効成分として含む医薬組成物を提供する。これらの医薬組成物は、有効量の本発明の化合物または該化合物の医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物と、場合によっては1種または複数の医薬的に許容される賦形剤とを含む。
【0093】
このような賦形剤は、医薬の形態、所望の投与モードに従って、当業者に公知の慣用の賦形剤から選択される。
【0094】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、外用、局所、鞘内、鼻腔内、経皮、肺内、眼内または直腸内投与で使用される本発明の医薬組成物は、上記の式(I)の有効成分または場合によってはその塩、水和物もしくは溶媒和物が慣用の医薬賦形剤と混合された単一投与形態で上記のような障害または疾患を予防または治療するために動物またはヒトに投与され得る。
【0095】
適当な単一投与形態は、錠剤、軟質または硬質のゼラチンカプセル、粉末、顆粒、チューインガム、経口溶液または懸濁液のような経口形態、舌下、頬側、鞘内、眼内及び鼻腔内、吸入のような投与形態、皮下、筋肉内または静脈内の投与形態、直腸内または膣内の投与形態を含む。外用投与のためには本発明の化合物をクリーム、軟膏またはローションとして使用し得る。
【0096】
例えば、錠剤形態の本発明の化合物の単一投与形態は以下の成分を含む:
本発明の化合物 50.0mg
マンニトール 223.75mg
クロスカラメローズナトリウム 6.0mg
トウモロコシデンプン 15.0mg
ヒドロキシプロピル−メチルセルロース 2.25mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg。
【0097】
上記のような単一投与形態は、剤形次第で、1日に体重1kgあたり0.01−20mgの有効成分を投与できる薬用量を含む。
【0098】
特殊な場合にはもっと多い薬用量またはもっと少ない薬用量が適当であろう。そのような薬用量も本発明に包含される。各患者の適正薬用量は投与モード、患者の体重及びレスポンスに応じて医師が決定するのが慣例である。
【0099】
本発明の別の目的はまた、上記のような病気の治療方法を提供することである。方法は、有効量の本発明の化合物、該化合物の医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物の1つを投与する段階を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の形態の式(I):
【化1】

[式中、
mは1−4の整数を表し、
nは1、2または3に等しい整数を表し、
oは1または2に等しい整数を表し、
Aは1つまたは複数の基X、Y及び/またはZから選択され、
Xは、1または2個のC1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキルまたはC3−7−シクロアルキル−C1−3−アルキレン基で置換されているまたは置換されていないメチレン基を表し、
Yは、1または2個のC1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキルまたはC3−7−シクロアルキル−C1−3−アルキレン基で置換されているまたは置換されていないC−アルケニレン基を表しまたはC−アルキニレン基を表し、
Zは式:
【化2】

の基を表し、ここに、
pは1−5の整数を表し、
q及びrは、r+qが1−5の数となるように定義された整数を表し、
Bは共有結合またはC1−6−アルキレン基を表し、
Gは、共有結合、酸素もしくはイオウ原子または−CH(OH)−、CO、SOもしくはSO基を表し、
は1つまたは複数の基R及び/またはRで置換されているまたは置換されていない基Rを表し、
は、フラニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアジアゾリル、イソチアジアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ナフタレニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、ジヒドロフロピリジニル、チエノピリジニル、ジヒドロチエノピリジニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、イソキサゾロピリジニル、チアゾロヒリジニルから選択された基を表し、
は、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−チオアルキル、C1−6−フルオロアルキル、C1−6−フルオロアルコキシ、C1−6−フルオロチオアルキル、C3−7−シクロアルキル、C3−7−シクロアルキル−C1−3−アルキレン、NR、NRCOR、NRCO、NRSO、COR、CO、CONR、SO、SONRまたは−O−(C1−3−アルキレン)−O−から選択された基を表し、
は、フェニル、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニルまたはピリミジニルオキシ基を表し、1つまたは複数の基Rは、互いに同じかまたは異なる1つまたは複数の基Rで置換されていてもよく、
及びRは、互いに独立に水素原子もしくはC1−6−アルキルを表しまたはこれらが結合している1つまたは複数の原子と共にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、アゼピンまたはピペラジン環から選択された環を形成しており、前記環は場合によってはC1−6−アルキルもしくはベンジル基で置換されており、
は水素原子またはC1−6−アルキル基を表し、
は、水素原子を表しまたはC1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキルもしくはC3−7−シクロアルキル−C1−3−アルキレン基を表す。]
の化合物。
【請求項2】
mは1−4の整数を表し、
nは1または2に等しい整数を表し、
oは1または2に等しい整数を表し、
Aは1つまたは複数の基X及び/またはYから選択され、
Xは、1または2個のC1−6−アルキル基で置換されているまたは置換されていないメチレン基を表し、
YはC−アルキニレン基を表し、
Bは共有結合またはC1−6−アルキレン基を表し、
Gは、共有結合または酸素原子を表し、
は1つまたは複数の基R及び/またはRで置換されているまたは置換されていない基Rを表し、
は、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、フェニル、ピリジニル、ナフタレニル、キノリニル、イソキノリニルから選択された基を表し、
は、ハロゲン原子、シアノ基、基NR、C1−6−アルキル基、C1−6−アルコキシ基、C1−6−フルオロアルキル基またはC1−6−フルオロアルコキシ基を表し、
は、フェニル、フェニルオキシまたはピリミジニルオキシ基を表し、1つまたは複数の基Rは、互いに同じかまたは異なる1つまたは複数の基Rで置換されていてもよく、
及びRは、互いに独立にC1−6−アルキル基を表し、
は水素原子またはC1−6アルキル基を表し、
は、水素原子を表しまたはC1−6−アルキル、C3−7−シクロアルキルもしくはC3−7−シクロアルキル−C1−3−アルキレン基を表す。]ことを特徴とする塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の形態の請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
mが1または2に等しい整数を表すことを特徴とする塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の形態の請求項1または2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
nが2に等しく、oが2に等しいことを特徴とする塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の形態の請求項1から3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
は1つまたは複数の基R及び/またはRで置換されているまたは置換されていない基Rを表し、
R4は、オキサゾリル、イソキサゾリル、フェニルまたはナフタレニルから選択された基を表し、
は、ハロゲン原子、シアノ基、基NR、C1−6−アルキル基、C1−6−アルコキシ基、C1−6−フルオロアルキル基またはC1−6−フルオロアルコキシ基を表し、
は、フェニル、フェニルオキシまたはピリミジニルオキシ基を表し、1つまたは複数の基Rは、互いに同じかまたは異なる1つまたは複数の基Rで置換されていてもよく、
及びRは互いに独立にC1−6−アルキルを表す、
ことを特徴とする塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の形態の請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
は水素原子を表し、
は水素原子またはC1−6−アルキル基を表す、
ことを特徴とする塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の形態の請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
一般式(IIa):
【化3】

[式中、A、B、G、R、R、m、n及びoは請求項1に記載の式(I)の定義と同義]のオキサゾリジン−ジオンを、一般式RNH[式
中、Rは請求項1に記載の式(I)の定義と同義]のアミンを用いたアミノリシスによって変換させる段階を含む請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項8】
一般式(Ia):
【化4】

[式中、B、R、R、n及びoは請求項1に記載の式(I)の定義と同義]のカーバメート−アミド誘導体を、一般式(III):
【化5】

[式中、Wはメシラート、トシラート基または塩素、臭素、ヨウ素原子を表し、m、G、A及びRは請求項1に記載の式(I)の定義と同義]の誘導体と反応させることによって変換させる段階を含む請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項9】
3−[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−2,4−オキサゾリジンジオンを除外した、一般式(IIa):
【化6】

[式中、A、B、G、R、R、m、n及びoは請求項1に記載の式(I)の定義と同義]の化合物。
【請求項10】
一般式(Ia):
【化7】

[式中、B、R、R、n及びoは請求項1に記載の式(I)の定義と同義]の化合物。
【請求項11】
医薬的に許容される塩基、塩、水和物または溶媒和物の形態の少なくとも1種類の請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物と場合によっては1種または複数の医薬的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項12】
医薬として使用するための、医薬的に許容される塩基、塩、水和物または溶媒和物の形態の請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
内因性カンナビノイド及び/またはFAAH酵素によって代謝される他のすべての基質が関与する病気の予防または治療用医薬を製造するための、医薬的に許容される塩基、塩、水和物または溶媒和物の形態の請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項14】
急性または慢性の疼痛、めまい、吐き気、嘔吐、摂食障害、神経性及び精神性の病気、急性または慢性の神経変性疾患、癲癇、睡眠障害、心血管疾患、腎虚血、癌、免疫系の障害、アレルギー性疾患、寄生虫、ウイルスもしくは細菌の感染症、炎症性疾患、骨粗鬆症、眼の異常、肺の異常、胃腸疾患または尿失禁の予防用または治療用医薬を製造するための、医薬的に許容される塩基、塩、水和物または溶媒和物の形態の請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−524706(P2007−524706A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500261(P2007−500261)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000452
【国際公開番号】WO2005/089759
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】