説明

ピペリジングリシン輸送体阻害剤

本発明は、グリシン輸送体GlyT1を阻害し、グリシン作動性またはグルタミン酸作動性神経伝達機能不全を伴う神経及び精神障害及びグリシン輸送体GlyT1が関与する疾患の治療において有用なピペリジン化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
統合失調症は、ネガティブ症状(鈍麻な感情、引きこもり、無快感)、ポジティブ症状(偏執、幻覚、妄想)及び著しい認知欠陥の組合せを特徴とする衰弱する精神障害である。統合失調症の病因は現在未知であるが、この病気は生物学的、環境的及び遺伝的要因の複雑な相互作用により発症するようである。40年以上前に、フェンシクリジン(PCP)は統合失調症患者で観察されるものに非常に似た精神異常状態をヒトにおいて引き起こすことが判明した。PCPの作用の主たるモードは向イオン性グルタメート受容体のN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)サブタイプの非競合的アンタゴニストの作用であるとの所見から一連の研究が刺激され、統合失調症のNMDA受容体機能不全モデルが開発された(Jentsch JD and Roth RH,1999,Neuropsychopharmacology,20:201)。
【0002】
哺乳動物中枢神経系における迅速グルタミン酸作動性伝達は主に向イオン性グルタメート受容体(iGluR)に作用する興奮性アミノ酸グルタメートにより媒介される。iGluRは3つの主要サブクラスから構成され、これらのサブクラスにはα−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)、カイネート及びNMDA受容体サブタイプが含まれる(Hollmann M and Heinemann S,1994,Annu.Rev.Neurosci.,17:31)。これらの3つのサブクラスは、グルタメート結合に応答して開いて脱分極性興奮性シナプス後電流を誘導するマルチマーのリガンドゲートカチオンチャネルである。分子クローニングから、NMDA受容体ファミリーは2つの主要サブユニット、すなわちNR1及びNR2から構成されていることが判明した。加えて、NR3と称される発生的に調節される新規な抑制サブユニットが最近発見された。高度の分子多様度がサブユニットの各組内に存在する。今までに、1つのNR1サブユニット遺伝子しかクローン化されていなかった。しかしながら、NR1遺伝子の選択的スプライシングにより8つの異なるサブユニットが生じ得る。対照的に、NR2サブユニットに対して4つの遺伝子(NR2A、NR2B、NR2C及びNR2D)がクローン化され、そのうちの幾つかは選択的スプライシングを示した(Hollmann M and Heinemann S,1994,Annu.Rev.Neurosci.,17:31)。これらの複数のサブユニットがヘテロマーのグルタメートゲートイオンチャネルを形成している。天然に存在する受容体の正確なサブユニット化学量論は未知のままであるが、NR1及びNR2の両サブユニットが哺乳動物発現系において機能的に活性な受容体−チャネル複合体を発現させるために必要である。NMDA受容体の活性化にはグルタメート及びグリシンの両方の結合が必要である(Johnson JW and Ascher P,1987,Nature,325:529))。興味深いことに、部位特異的突然変異誘発研究から分かるように(Laube B,Hirai H,Sturgess M,Betz H and Kuhse J,1997,Neuron,18:493)、これらの2つのコアゴニストに対する結合部位は別々のサブユニット上に存在する。NR2A及びNR2Bサブユニット上に、受容体のN末端と細胞外ループ間の相互作用によりグルタメートに対する結合ポケットが形成される。類似実験で、NR1サブユニットの相同領域中にグリシン結合部位が突き止められた(Kuryatov A,Laube B,Betz H and Kuhse J,1994,Neuron,12:1291)。実際のサブユニット組成に応じて、グルタメート及びグリシンは高ナノモル〜低マイクロモル範囲のEC50値でNMDA受容体を活性化する。加えて、NMDA受容体の孔はマグネシウムを透過させない。正常な休息状態では、細胞外マグネシウムは孔内の部位に結合し、チャネルのマグネシウムブロックを生じ得る。このマグネシウムブロックはチャネルに対して強い電圧依存性を付与し、NMDA受容体は電流を通す前にグルタメート、グリシンの結合及びシナプス後脱分極の発生を必要とするコインシデンスデテクタとして作用する。精神異常発現薬MK−801、PCP及びケタミンはすべてマグネシウム結合部位と重複する部位に結合することによりNMDA受容体−チャネルのオープンチャネルブロッカーとして作用するという所見は特に興味深い。NMDA受容体サブユニット及び調節部位の多様性が大きいと生理学的及び薬理学的に異なるヘテロマー受容体が複雑に分類され、NMDA受容体は新規な治療用化合物を設計するための理想的標的となる。
【0003】
NMDA受容体は各種神経生理学的現象において重要な役割を発揮し、前記現象にはシナプス可撓性、認知、注意及び記憶が含まれるが、これらに限定されない(Bliss T and Collingridge W,1993,Nature,361:31;Morris RGMら,1986,Nature,319:774)。精神異常発現薬は、精神運動刺激薬(コカイン、アンフェタミン)、幻覚薬(LSD)及びNMDA受容体アンタゴニスト(PCP、ケタミン)を含めた広範囲の薬物を構成している。これらの中で、NMDA受容体アンタゴニストのみが統合失調症のポジティブ、ネガティブ及び認知症状のロバストな誘導を引き出すようである。ヒト被験者におけるケタミン誘導精神病のコントロール研究及び元気回復薬としてPCPを乱用している患者の症状の観察から、NMDA受容体アンタゴニスト誘導の精神病と統合失調症の間の類似性に説得あるリストが得られた(Jentsch JD and Roth RH,1999,Neuropsychopharmacology,20:201)。NMDA受容体アンタゴニストは統合失調症の症状を臨床上2つを区別することが困難な程度にかなり擬態している。加えて、NMDA受容体アンタゴニストは統合失調症の症状を憎悪させる恐れがあり、安定している患者において症状の再発を誘発する恐れもある。最後に、グリシン、D−シクロセリン及びD−セリンのようなNMDA受容体コアゴニストが統合失調症患者において効果を示すという所見から、この障害におけるNMDA受容体の機能低下が暗示され、NMDA受容体活性化を高めると治療効果を与え得ることが示されている(Leiderman Eら,1996,Biol.Psychiatry,39:213;Javitt DCら,1994,Am.J.Psychiatry,151:1234;Heresco−Levy U,2000,Int.J.Neuropsychopharmacol.,3:243;Tsai Gら,1998,Biol.Psychiatry,44:1081)。動物モデルを用いた多数の研究から、統合失調症のNMDA機能低下仮説が裏付けられた。NMDA NR1サブユニットの正常レベルの5%しか発現しない突然変異マウスの最近の発生から、機能的NMDA受容体が減少すると統合失調症の他の動物モデルで観察された状態に非常に類似している状態が誘発されることが判明した(Mohn ARら,1999,Cell,98:427)。グルタミン酸作動性経路の機能不全は、統合失調症の他にヒト中枢神経系(CNS)における多数の病的状態に関与していた。これらの状態には認知欠陥、認知症、パーキンソン病、アルツハイマー病及び双極性障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0004】
NMDA受容体機能は、コアゴニストのグリシンのアベイラビリティーを変化させることにより調節され得る。このアプローチは、グリシンのシナプス濃度を増加させてもグルタメートの非存在下ではNMDA受容体が活性化されないのでNMDA受容体の活性依存活性化を維持するという重要な作用効果を有する。シナプスグルタメートレベルは高アフィニティー輸送機構によりしっかり維持されるので、グリシン部位の活性化を高めると活性化シナプスのNMDA成分のみが強化される。標準神経遮断治療に対する追加治療として高用量のグリシンを経口投与した臨床トライアルから、統合失調症患者の症状を改善させることが判明した(Javittら,Int.J.Neuropsychopharmacol.(2001)4:385−391)。外因性グリシンを投与することなくシナプスグリシンレベルを上昇させるための1つの方法はシナプスからのグリシンの除去を抑制することである。このアプローチが統合失調症の治療に有用であろうという証拠は、統合失調症を患っているが抗精神病薬に対して余り応答しなかった患者にサルコシンを投与した二重盲検のプラセボコントロール研究から引き出される。有利な効果はポジティブ、ネガティブ及び認知症状で観察され、これからグリシンの再取り込みの抑制が統合失調症の治療に対する合理的なアプローチであることが示される。
【0005】
2つの特異的グリシン輸送体のGlyT1及びGlyT2が同定され、タウリン、γ−アミノ酪酸(GABA)、プロリン、モノアミン及びオーファン輸送体を含めた神経伝達物質輸送体のNa/Cl依存性ファミリーに属することが判明した(Smith KEら,1992,Neuron,8:927;Borowsky B.ら,1993,Neuron,10:851;Liu QRら,1993,J.Biol.Chem.,268:22802;Kim KMら,1994,Mol.Pharmacol.,45:608;Morrow JAら,1998,FEBS Lett.,439:334;Nelson N.,1998,J.Neurochem.,71:1785)。GlyT1及びGlyT2は異なる種から単離され、アミノ酸レベルでの同一性はたった50%であることが判明した。これらは哺乳動物中枢神経系において異なる発現パターンを有し、GlyT2は脊髄、脳幹及び小脳で発現され、GlyT1はこれらの領域の他皮質、海馬、隔壁や視床のような前脳領域中に存在する(Smith KEら,1992,Neuron,8:927;Borowsky Bら,1993,Neuron,10:851;Liu QRら,1993,J.Biol.Chem.,268:22802)。細胞レベルで、GlyT2はラット脊髄中のグリシン作動性神経終末により発現されると報告されており、GlyT1はグリア細胞により優先的に発現されるようである(Zafra Fら,1995,J.Neurosci.,15:3952)。これらの発現研究から、GlyT2は主にグリシン作動性シナプスでのグリシン摂取に関与し、GlyT1はNMDA受容体発現シナプスの近傍におけるグリシン濃度の監視に関与するとの結論が得られた。最近のラットを用いた機能研究から、ラットにおいてGlyT1を強力な阻害剤(N−[3−(4’−フルオロフェニル)−3−(4’−フェニルフェノキシ)プロピル])サルコシン(NFPS)で阻止するとNMDA受容体活性及びNMDA受容体依存性長期間増強が増強されることが判明した(Bergeron Rら,1998,PNAS USA,95:15730;Kinney Gら,2003,J.Neurosci.,23:7586)。更に、NFPSは統合失調症患者では不足していることが公知の知覚ゲーティングの尺度であるマウスにおけるプレパルス抑制を強化することが報告されている(Kinney Gら,2003,J.Neurosci.,23:7586)。前脳領域におけるGlyT1の生理学的影響と共に統合失調症患者における症状の改善の点でのGlyT1阻害剤サルコシンの有利な効果を示している臨床報告(Tsai and Coyle,WO 99/52519号)から、選択的GlyT1摂取阻害剤が新規なクラスの抗精神病薬であることが分かる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の要旨
本発明は、グリシン輸送体GlyT1を阻害し、グルタミン酸作動性神経伝達機能不全を伴う神経及び精神障害及びグリシン輸送体GlyT1が関与する疾患の治療において有用である化合物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の詳細な説明
本発明は、式I:
【0008】
【化4】

[式中、
は−(CH−R1a{ここで、nは独立して0〜6であり、R1a
(1)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、フェニル(このフェニルはR2a、R2b及びR2cで置換されている。)またはヘテロ環(このヘテロ環はR2a、R2b及びR2cで置換されている。)で置換されているC1−6アルキル、
(2)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル、
(3)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキルまたは−NR1011で置換されているピペリジニル、
(4)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキルまたは−NR1011で置換されているピペラジニル、
(5)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキルまたは−NR1011で置換されているテトラヒドロピラニルまたはテトラヒドロフラニル、
(6)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキルまたは−NR1011で置換されているモルホリニル、
(7)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−O−C1−6アルキル、
(8)−CO(ここで、Rは独立して(a)水素、(b)置換されていないまたは1〜6個のフルオロで置換されている−C1−6アルキル、(c)ベンジル及び(d)フェニルから選択される。)、
(9)−NR1011(ここで、R10及びR11は独立して(a)水素、(b)置換されていないまたはヒドロキシ、1〜6個のフルオロまたは−NR1213(ここで、R12及びR13は独立して水素及び−C1−6アルキルから選択される。)で置換されている−C1−6アルキル、(c)置換されていないまたはヒドロキシ、1〜6個のフルオロまたは−NR1213で置換されている−C3−6シクロアルキル、(d)ベンジル、(e)フェニルから選択される。)、及び
(10)−CONR1011
からなる群から選択される。}
であり;

(1)R2a、R2b及びR2cで置換されているフェニル、
(2)R2a、R2b及びR2cで置換されているヘテロ環、
(3)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−NR1011、フェニルまたはヘテロ環(前記フェニルまたはヘテロ環はR2a、R2b及びR2cで置換されている。)で置換されているC1−8アルキル、
(4)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル、及び
(5)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)
からなる群から選択され;
2a、R2b及びR2cは独立して
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)置換されていないまたは(a)1〜6個のハロゲン、(b)フェニル、(c)C3−6シクロアルキルまたは(d)−NR1011で置換されている−C1−6アルキル、
(4)置換されていないまたは1〜6個のハロゲンで置換されている−O−C1−6アルキル、
(5)−O−フェニル、
(6)ヒドロキシ、
(7)−SCF
(8)−SCHF
(9)−SCH
(10)−CO
(11)−CN、
(12)−SO
(13)−SO−NR1011
(14)−NR1011
(15)−CONR1011、及び
(16)−NO
からなる群から選択され;

(1)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC1−6アルキル、
(2)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル、
(3)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)、及び
(4)−NR1011
からなる群から選択され、ただしRが−CH−シクロプロピルならばRは−NR1011、或いは置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)であり;
及びRは独立して
(1)水素、及び
(2)置換されていないまたはハロゲンまたはヒドロキシで置換されているC1−6アルキル
からなる群から選択され、或いはRとRは一緒になってC3−6シクロアルキル環を形成し;
Aは
(1)−O−、及び
(2)−NR10
からなる群から選択され;
mは0または1であり、mが0のときにはRはカルボニルに直接結合している。]
を有する化合物及びその医薬的に許容され得る塩に関する。
【0009】
1つの実施態様において、本発明は、Rが−(CH−R1a(ここで、nは独立して0〜6であり、R1a
(1)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲンまたはヒドロキシで置換されているC3−6シクロアルキル、
(2)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−O−C1−6アルキルで置換されているピペリジニル、
(3)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−O−C1−6アルキルで置換されているピペラジニル、
(4)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−O−C1−6アルキルで置換されているテトラヒドロピラニル、及び
(5)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−O−C1−6アルキルで置換されているモルホリニル
からなる群から選択される。)
である化合物を含む。
【0010】
更に、この実施態様の範囲内で、本発明は、R
(1)−CH−シクロプロピル、
(2)ピペリジニル、
(3)N−メチル−ピペリジニル、
(4)N−メチル−ピペラジニル、及び
(5)モルホリニル
からなる群から選択される化合物を含む。
【0011】
本発明の1つの実施態様は、式Ia:
【0012】
【化5】

[式中、
Rは
(1)水素、及び
(2)C1−6アルキル
からなる群から選択され;
1b
(1)水素、
(2)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたはフェニルで置換されているC1−6アルキル、
(3)ヒドロキシ、
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)ハロゲン、及び
(6)−NR1011
からなる群から選択され;
、R、R、R、A及びmは本明細書中に定義されている。]
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0013】
本発明の1つの実施態様は、式Ia’:
【0014】
【化6】

(式中、
1b
(1)水素、
(2)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたはフェニルで置換されているC1−6アルキル、
(3)ヒドロキシ、
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)ハロゲン、及び
(6)−NR1011
からなる群から選択され、
、R、R、R、A及びmは本明細書中に定義されている。)
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0015】
本発明の1つの実施態様は、式Ib:
【0016】
【化7】

(式中、RはC1−6アルキルであり、R、R、R、A及びmは本明細書中に定義されている。)
を有する化合物、或いはその医薬的に許容され得る塩またはその個々のエナンチオマー及びジアステレオマーを含む。
【0017】
本発明の1つの実施態様は、RがC1−3アルキルであり、Rが水素またはC1−3アルキルである化合物を含む。
【0018】
この実施態様の範囲内で、本発明は、Rが(S)配置のC1−3アルキルであり、Rが水素である化合物を含む。
【0019】
この実施態様の範囲内で、本発明は、Rが(S)配置のメチルであり、Rが水素である化合物をも含む。
【0020】
この実施態様の範囲内で、本発明は、Rがメチルであり、Rがメチルである化合物をも含む。
【0021】
この実施態様の範囲内で、本発明は、Rが水素であり、Rが水素である化合物を含む。
【0022】
本発明の1つの実施態様は、mが0である化合物を含む。
【0023】
この実施態様の範囲内で、本発明は、式Ic:
【0024】
【化8】

(式中、R、R、R、R及びRは本明細書中に定義されている。)
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0025】
更に、この実施態様の範囲内で、本発明は、R
(1)R2a、R2b及びR2cで置換されているフェニル、
(2)R2a、R2b及びR2cで置換されているチエニル、
(3)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、フェニル(前記フェニルはR2a、R2b及びR2cで置換されている。)または−NR1011で置換されているC1−8アルキル、
(4)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル
からなる群から選択され、
2a、R2b及びR2cが独立して
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)−CF
(6)−OCF
(7)−OCHF
(8)−SCF
(9)−SCHF、及び
(10)−NH
からなる群から選択される化合物を含む。
【0026】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rがフェニルまたはチエニルであり、R2a、R2b及びR2cが独立して
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)−CF
(6)−OCF
(7)−OCHF
(8)−SCF
(9)−SCHF、及び
(10)−NH
からなる群から選択される化合物を含む。
【0027】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rがフェニルであり、R2a、R2b及びR2cが独立して
(1)水素、
(2)フルオロ、
(3)クロロ、
(4)ブロモ、
(5)−OCH
(6)−CF、及び
(7)−NH
からなる群から選択される化合物を含む。
【0028】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rがフェニルであり、R2a、R2b及びR2cが独立して
(1)水素、
(2)フルオロ、
(3)クロロ、及び
(4)ブロモ
からなる群から選択される化合物に関する。
【0029】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rが2,4−ジクロロフェニルである化合物に関する。
【0030】
この実施態様の範囲内で、本発明は、式Id:
【0031】
【化9】

(式中、R、R2a、R2b、R2c、R、R及びRは本明細書中に定義されている。)
を有する化合物及びその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0032】
この実施態様の範囲内で、本発明は、式Id’:
【0033】
【化10】

(式中、R、R2a、R2b、R2c及びRは本明細書中に定義されている。)
を有する化合物及びその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0034】
この実施態様の範囲内で、本発明は、式Id”:
【0035】
【化11】

(式中、R、R2a、R2b、R2c、R及びRは本明細書中に定義されている。)
を有する化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマーを含む。
【0036】
本発明の1つの実施態様は、Aが−NR10−である化合物を含む。
【0037】
本発明の1つの実施態様は、式If:
【0038】
【化12】

(式中、R、R、R、R、R10及びR11は本明細書中に定義されている。)
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0039】
この実施態様の範囲内で、本発明は、式If’:
【0040】
【化13】

(式中、R、R、R10及びR11は本明細書中に定義されている。)
を有する化合物及びその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0041】
本発明の1つの実施態様は、Aが−NR10−である化合物を含む。
【0042】
この実施態様の範囲内で、本発明は、式Ig:
【0043】
【化14】

(式中、R、R、R、R、R及びR10は本明細書中に定義されている。)
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0044】
本発明の1つの実施態様は、式Ig’:
【0045】
【化15】

(式中、R、R、R及びR10は本明細書中に定義されている。)
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0046】
本発明の1つの実施態様は、Aが−O−である化合物を含む。
【0047】
この実施態様の範囲内で、本発明は式Ih:
【0048】
【化16】

(式中、R、R、R、R及びRは本明細書中に定義されている。)
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0049】
本発明の1つの実施態様は、Rが−NH(C1−6アルキル)または−N(C1−6アルキル)である化合物を含む。この実施態様の範囲内で、本発明は、Rが−NHCHCHまたは−N(CH−である化合物を含む。
【0050】
本発明の1つの実施態様は、Rが置換されていないまたはフルオロ、C3−6シクロアルキル、C1−6アルキル−シクロプロピル、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)またはアゼジニル(このアゼジニルは置換されていないまたはフルオロで置換されている。)で置換されているC1−6アルキルである化合物を含む。
【0051】
この実施態様の範囲内で、本発明は、Rが−CHCHである化合物を含む。この実施態様の範囲内で、本発明は、Rが−CHCHFである化合物を含む。この実施態様の範囲内で、本発明は、Rが−(CHCHである化合物を含む。この実施態様の範囲内で、本発明は、Rがシクロプロピルである化合物を含む。この実施態様の範囲内で、本発明は、Rが−CHシクロプロピルである化合物を含む。
【0052】
本発明の1つの実施態様は、式Ij:
【0053】
【化17】

[式中、
は−(CH−R1a{ここで、nは独立して0〜6であり、R1a
(1)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−O−C1−6アルキルで置換されている−C1−6アルキル、
(2)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−O−C1−6アルキルで置換されているテトラヒドロピラニル、及び
(3)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−O−C1−6アルキルで置換されているテトラヒドロフラニル
からなる群から選択される。}
であり;

(1)R2a、R2b及びR2cで置換されているフェニル、
(2)R2a、R2b及びR2cで置換されているチエニル、
(3)置換されていないまたは1〜6個のハロゲンまたはフェニル(前記フェニルはR2a、R2b及びR2cで置換されている。)で置換されているC1−8アルキル、及び
(4)置換されていないまたは1〜6個のハロゲンまたはヒドロキシで置換されているC3−6シクロアルキル
からなる群から選択され;
2a、R2b及びR2cは独立して
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)−O−フェニル、
(6)−CF
(7)−OCF
(8)−OCHF
(9)−CN、
(10)−SCF
(11)−SCHF、及び
(12)−NH
からなる群から選択され;

(1)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011
{ここで、R10及びR11は独立して
(a)水素、
(b)置換されていないまたはヒドロキシ、1〜6個のフルオロまたは−NR1213
(ここで、R12及びR13は独立して水素及び−C1−6アルキルから選択される。)で置換されている−C1−6アルキル、
(c)置換されていないまたはヒドロキシ、1〜6個のフルオロまたは−NR1213で置換されている−C3−6シクロアルキル、
(d)ベンジル、
(e)フェニル
から選択される。}
で置換されているC1−6アルキル、
(2)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル、
(3)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)、及び
(4)−NR1011
からなる群から選択され;
及びRは独立して
(1)水素、及び
(2)置換されていないまたはハロゲンまたはヒドロキシで置換されているC1−6アルキル
からなる群から選択され、或いはRとRは一緒になってC3−6シクロアルキル環を形成する。]
を有する化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマーを含む。
【0054】
本発明の1つの実施態様は、Rがテトラヒドロピラニル以外である化合物を含む。
【0055】
本発明の1つの実施態様は、RがR1bで置換されている2−テトラヒドロピラニル以外である化合物を含む。
【0056】
本発明の1つの実施態様は、Rがテトラヒドロフラニル以外である化合物を含む。
【0057】
本発明の1つの実施態様は、Rが−(CH−R1a(ここで、nは独立して0〜6であり、R1aは置換されていないまたは1〜6個のハロゲンまたはヒドロキシで置換されているC1−6アルキルである。)である化合物を含む。
【0058】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rが置換されていないC1−6アルキルである化合物を含む。
【0059】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、R
(1)メチル、
(2)エチル、
(3)n−プロピル、
(4)イソプロピル、
(5)n−ブチル、
(6)イソブチル、
(7)sec−ブチル、
(8)tert−ブチル、
(9)n−ペンチル、
(10)イソペンチル、
(11)ネオペンチル、
(12)tert−ペンチル、及び
(13)イソヘキシル
からなる群から選択される化合物を含む。
【0060】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、R
(1)イソプロピル、
(2)イソブチル、及び
(3)イソペンチル
からなる群から選択される化合物を含む。
【0061】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rがイソブチルである化合物を含む。
【0062】
本発明の1つの実施態様は、Rが−(CH−R1a(ここで、nは独立して1〜5であり、R1a
(1)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−O−C1−6アルキルで置換されているテトラヒドロピラニル、及び
(2)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−O−C1−6アルキルで置換されているテトラヒドロフラニル
からなる群から選択される。)である化合物を含む。
【0063】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rが−(CH−R1a(ここで、R1a
(1)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲンまたはヒドロキシで置換されているテトラヒドロピラニル、及び
(2)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲンまたはヒドロキシで置換されているテトラヒドロフラニル
からなる群から選択される。)である化合物を含む。
【0064】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rが−(CH−R1a(ここで、R1a
(1)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲンまたはヒドロキシで置換されている4−テトラヒドロピラニル、及び
(2)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲンまたはヒドロキシで置換されている2−テトラヒドロフラニル
からなる群から選択される。)である化合物を含む。
【0065】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rが−(CH)−4−テトラヒドロピラニルである化合物を含む。
【0066】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rが−(CH)−2−テトラヒドロフラニルである化合物を含む。
【0067】
本発明の1つの実施態様は、

(1)R2a、R2b及びR2cで置換されているフェニル、
(2)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、フェニル(前記フェニルはR2a、R2b及びR2cで置換されている。)または−NR1011で置換されているC1−8アルキル、
(3)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル
からなる群から選択され;
2a、R2b及びR2cが独立して
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)−O−フェニル、
(6)−CF
(7)−OCF
(8)−OCHF
(9)−CN、
(10)−SCF
(11)−SCHF、及び
(12)−NH
からなる群から選択される化合物を含む。
【0068】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rがフェニルであり、R2a、R2b及びR2cが独立して
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)−O−フェニル、
(6)−CF
(7)−OCF
(8)−OCHF
(9)−CN、
(10)−SCF
(11)−SCHF、及び
(12)−NH
からなる群から選択される化合物を含む。
【0069】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rがフェニルであり、R2a、R2b及びR2cが独立して
(1)水素、
(2)フルオロ、
(3)クロロ、
(4)ブロモ、
(5)−OCH
(6)−O−フェニル、
(7)−CF
(8)−CH
(9)−CN、及び
(10)−NH
からなる群から選択される化合物を含む。
【0070】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rがフェニルであり、R2a、R2b及びR2cが独立して
(1)水素、
(2)フルオロ、
(3)クロロ、
(4)ブロモ、
(5)−CF
(6)−CN、及び
(7)−CH
からなる群から選択される化合物を含む。
【0071】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rが独立して
(1)2−ブロモフェニル、
(2)2−ブロモ−4−メチルフェニル、
(3)2−ブロモ−5−メチルフェニル、
(4)2−ブロモ−6−メチルフェニル、
(5)2−クロロフェニル、
(6)2−クロロ−3,6−ジフルオロフェニル、
(7)2−クロロ−(4−トリフルオロメチル)フェニル、
(8)4−クロロ−(2−トリフルオロメチルフェニル)、
(9)2,3−ジクロロフェニル、
(10)2,4−ジクロロフェニル、
(11)2,4−ジフルオロフェニル、
(12)2,4−ジクロロ−3−フルオロフェニル、
(13)2,4−ジメチルフェニル、
(14)2−フルオロ−(4−トリフルオロメチル)フェニル、
(15)2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、
(16)2−メチルフェニル、及び
(17)(4−トリフルオロメチル)フェニル
からなる群から選択される化合物に関する。
【0072】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rが独立して
(1)2−クロロ−3,6−ジフルオロフェニル、
(2)2−クロロ−(4−トリフルオロメチル)フェニル、
(3)4−クロロ−(2−トリフルオロメチル)フェニル、
(4)2,3−ジクロロフェニル、
(5)2,4−ジクロロフェニル、
(6)2,4−ジフルオロフェニル、
(7)2,4−ジクロロ−3−フルオロフェニル、
(8)2−フルオロ−(4−トリフルオロメチル)フェニル、及び
(9)2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル
からなる群から選択される化合物に関する。
【0073】
更にこの実施態様の範囲内で、本発明は、Rが独立して
(1)2−クロロ−(4−トリフルオロメチル)フェニル、及び
(2)2,4−ジクロロフェニル
からなる群から選択される化合物に関する。
【0074】
本発明の1つの実施態様は、Rが置換されていないまたはフルオロ、C3−6シクロアルキル、C1−6アルキル−シクロプロピル、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)またはアゼジニル(このアゼジニルは置換されていないまたはフルオロで置換されている。)で置換されているC1−6アルキルである化合物を含む。
【0075】
この実施態様の範囲内で、本発明は、Rが−CHCHである化合物を含む。この実施態様の範囲内で、本発明は、Rが−CHCHFである化合物を含む。この実施態様の範囲内で、本発明は、Rが−(CHCHである化合物を含む。この実施態様の範囲内で、本発明は、Rがシクロプロピルである化合物を含む。この実施態様の範囲内で、本発明は、Rが−CHシクロプロピルである化合物を含む。
【0076】
本発明の1つの実施態様は、Rが水素であり、Rが水素である化合物を含む。
【0077】
本発明の1つの実施態様は、RがC1−3アルキルであり、Rが水素またはC1−3アルキルである化合物を含む。
【0078】
この実施態様の範囲内で、本発明は、Rが(S)配置のC1−3アルキルであり、Rが水素である化合物を含む。
【0079】
この実施態様の範囲内で、本発明は、Rが(S)配置のメチルであり、Rが水素である化合物をも含む。
【0080】
この実施態様の範囲内で、本発明は、Rがメチルであり、Rがメチルである化合物をも含む。
【0081】
本発明の1つの実施態様は、nが0、1または2である化合物を含む。この実施態様の範囲内で、本発明は、nが0または1である化合物を含む。
【0082】
本発明の1つの実施態様は、式Ik:
【0083】
【化18】

(式中、R、R2a、R2b、R2c、R、R及びRは本明細書中に定義されている。)
を有する化合物及びその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0084】
本発明の1つの実施態様は、式Im:
【0085】
【化19】

(式中、R、R2a、R2b、R2c及びRは本明細書中に定義されている。)
を有する化合物及びその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0086】
本発明の特定実施態様は、本明細書中の実施例の具体的化合物からなる群から選択される化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマーを含む。
【0087】
本発明化合物は1つ以上のキラル中心を含み得、よってラセミ化合物及びラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在し得る。分子上の各種置換基の種類に応じて追加の不斉中心が存在することがある。各不斉中心により独立して2つの光学異性体が生じ、混合物の形態及び純粋もくは部分的に精製された化合物としての考えられる光学異性体及びジアステレオマーのすべてが本発明の範囲に含まれると意図される。本発明はこれらの化合物の異性体すべてを包含すると意味する。式Iは好ましい立体化学を示すことなく化合物類の構造を示す。
【0088】
ジアステレオマーの独立合成またはそのクロマトグラフ分離は本明細書中に開示されている方法を適当に修飾することにより当業界で公知のように実施され得る。絶対立体化学は結晶性生成物または所要により公知の絶対配置を有する不斉中心を含む試薬を用いて誘導体化される結晶性中間体のX線結晶学により調べられ得る。
【0089】
所望により、化合物のラセミ混合物は、各エナンチオマーが単離されるように分離され得る。この分離は当業界で公知の方法により実施され得、例えば化合物のラセミ混合物をエナンチオマー的に純粋な化合物にカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成した後、標準的方法(例えば、分別結晶化またはクロマトグラフィー)により各ジアステレオマーに分離し得る。カップリング反応はしばしばエナンチオマー的に純粋な酸または塩基を用いる塩の形成である。その後、ジアステレオマー誘導体は付加されたキラル残基を切断することにより純粋なエナンチオマーに変換され得る。また、化合物のラセミ混合物はキラル固定相を用いるクロマトグラフ方法によっても直接分離され得、この方法は当業界で公知の方法である。
【0090】
或いは、化合物のエナンチオマーは、当業界で公知の方法により公知の立体配置を有する光学的に純粋な出発物質または試薬を用いて立体選択的合成により得られ得る。
【0091】
当業者には自明のように、本明細書中で使用されているハロまたはハロゲンはフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを含むと意図される。同様に、C1−6アルキルの場合のようなC1−6は基を直鎖状または分岐状に1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するものを特定すると定義され、C1−8アルキルは具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチルを含む。独立して置換基で置換されているとする基は独立して複数個の置換基で置換されていてもよい。本明細書中で使用されている用語「ヘテロ環」は不飽和及び飽和ヘテロ環式部分の両方を含み、不飽和ヘテロ環式部分(すなわち、ヘテロアリール)にはベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、並びにそのN−オキシドが含まれ、不飽和ヘテロ環式部分にはアゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル及びテトラヒドロチエニル、並びにそのN−オキシドが含まれる。
【0092】
用語「医薬的に許容され得る塩」は、無機または有機塩基及び無機または有機酸を含めた医薬的に許容され得る非毒性塩基または酸から製造される塩を指す。無機塩基から誘導される塩にはアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第1鉄、第2鉄、リチウム、マグネシウム、第1マンガン、第2マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が含まれる。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩が特に好ましい。固体形態の塩は2つ以上の結晶構造で存在し得、水和物の形態でも存在し得る。医薬的に許容され得る有機非毒性塩基から誘導される塩には第1級、第2級及び第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含めた置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)の塩が含まれる。本発明の化合物が塩基性の場合、塩は無機及び有機酸を含めた医薬的に許容され得る非毒性酸から製造され得る。前記酸には酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が含まれる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸及び酒石酸が特に好ましい。本明細書中で使用する場合、本発明化合物の言及は医薬的に許容され得る塩をも含むことを意味すると理解される。
【0093】
本発明の具体化は実施例及び本明細書中に開示されている化合物の使用である。本発明内の特定化合物には下記実施例に開示されている化合物からなる群から選択される化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のジアステレオマーが含まれる。
【0094】
本発明化合物は、有効量の該化合物を投与することを含むグリシン輸送体GlyT1活性の阻害を要する患者(例えば、哺乳動物)における前記活性の阻害方法において有用である。本発明は、本明細書中に開示されている化合物のグリシン輸送体GlyT1活性の阻害剤としての使用に関する。霊長類、特にヒトに加えて、各種の他の哺乳動物が本発明の方法に従って治療され得る。
【0095】
本発明は更に、本発明化合物を医薬用担体または希釈剤と組み合わせることを含むヒト及び動物においてグリシン輸送体GlyT1活性を阻害するための薬剤の製造方法に関する。
【0096】
本発明の方法において治療される被験者は通常グリシン輸送体GlyT1活性を阻害したい哺乳動物、好ましくは男性または女性のヒトである。用語「治療有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家が求めている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出す本発明化合物の量を意味する。当業者は有効量の本発明化合物を用いて現在神経及び精神障害に罹患している患者を治療するかまたは前記障害に罹患している患者を予防的に治療することにより前記障害に影響を及ぼし得る得ることを認識している。本明細書中で使用されている用語「治療」及び「治療する」は、本明細書中に記載されている神経及び精神障害の進行を遅らす、中断する、停滞させる、制御するまたは停止させることができるが、必ずしもすべての病的症状の完全緩解を示さないすべてのプロセス、並びに上記状態、特にその疾患または障害に罹りやすい患者において上記状態の進行を遅らしたり、上記状態のリスクを減らすための予防的治療を指す。
【0097】
本明細書中で使用されている用語「組成物」は、特定成分を特定量含む製品及び特定量の特定成分の組合せから直接または間接的に生ずる製品を包含すると意図される。医薬組成物に関連してこの用語は、活性成分及び担体を構成する不活性成分を含む製品;及び2つ以上の成分の組合せ、複合体化または集合から、1つ以上の成分の解離から、または1つ以上の成分の他のタイプの反応または相互作用から直接または間接的に生ずる製品を包含すると意図される。従って、本発明の医薬組成物は本発明化合物を医薬的に許容され得る担体と混合することにより製造される組成物を包含する。「医薬的に許容され得る」とは、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と相容性でなければならず、そのレシピエントに対して有害であってはならないことを意味する。
【0098】
用語「化合物の投与」及び「化合物を投与する」は、本発明化合物または本発明化合物のプロドラッグを治療を要する個人に対して与えることを意味すると理解されるべきである。
【0099】
本発明化合物のグリシン輸送体活性、特にGlyT1活性の阻害剤としての有用性は当業界で公知の方法により立証され得る。GlyT1を内因発現するヒト胎盤絨毛癌細胞(JAR細胞(ATCC番号HTB−144))を96ウェルCytostarシンチレーションマイクロプレート(Amersham Biosciences)を用い、10% ウシ胎児血清を含有するRPMI 1640培地中でペニシリン(100μg/mL)及びストレプトマイシン(100μg/mL)の存在下で培養した。アッセイ前、細胞を37℃、5% COの湿潤雰囲気中で40〜48時間増殖させた。培地をCytostarプレートから除去し、JAR細胞を本発明化合物の存在下または非存在下で30μlのTB1A緩衝液(120mM NaCl、2mM KCl、1mM CaCl、1mM MgCl、10mM HEPES、5mM L−アラニン,pHをトリス塩基を用いて7.5に調節)と1分間温置した。その後、TB1Aで希釈した[14C]−グリシン(30μl)を各ウェルに添加して10マイクロモルの最終濃度とした。室温で3時間インキュベートした後、Cytostarシンチレーションマイクロプレートを密封し、Top Countシンチレーションカウンター(Packard)を用いて計数した。[14C]−グリシンの非特異的摂取を10mM 非標識グリシンの存在下で測定した。[14C]タウリン摂取実験は非特異的摂取を測定するために10mM 非標識タウリンを使用した以外は同一のプロトコルに従って実施した。力価を測定するために、異なる濃度の本発明化合物を細胞に添加した後、一定濃度の[14C]グリシンを添加した。[14C]グリシンの特異的摂取を半分阻害した本発明化合物の濃度(IC50値)を非線形カーブフィッティングによりアッセイデータから求めた。
【0100】
特に、下記実施例の化合物は上記アッセイにおいて[14C]グリシンの特異的摂取を阻害する活性を有し、通常IC50値は約10マイクロモル未満であった。本発明の範囲内の好ましい化合物は上記アッセイにおいて約1マイクロモル未満のIC50値で[14C]グリシンの特異的摂取を阻害する活性を有した。これらの化合物は(JAR細胞におけるタウリン輸送体TauTによる)[14C]タウリン摂取に比して(JAR細胞におけるGlyT1による)[14C]グリシン摂取に対して選択的であった。この結果は、GlyT1輸送体活性の阻害剤としての使用における化合物の固有活性を示している。
【0101】
NMDA受容体は広範囲のCNSプロセスの中心であり、ヒトまたは他の種における各種病的状態において役割を発揮する。GlyT1輸送体の作用により、NMDA受容体の周りのグリシンの局所濃度が影響される。選択的GlyT1阻害剤はシナプスからのグリシンの除去を遅らせ、シナプスグリシンのレベルを上昇させる。これにより、NMDA受容体上のグリシン結合部位の占有率が高まり、シナプス前終末からグルタメートが放出した後NMDA受容体の活性化が高まる。NMDA受容体を効率的に機能させるためにある量のグリシンが必要であるので、局所濃度への変化はNMDA媒介神経伝達に影響を及ぼす恐れがある。NMDA媒介神経伝達の変化は特定の神経精神障害、例えば認知症、うつ病及び精神病(例えば、統合失調症);学習及び記憶障害、例えば注意欠陥障害及び自閉症に関与している。
【0102】
本発明化合物は、グルタミン酸作動性神経伝達機能不全を伴う各種神経及び精神障害の治療において有用であり、前記障害には以下の状態または疾患の1つ以上が含まれる。
統合失調症または精神病、例えば(妄想性、解体型、緊張型または未分化型)統合失調症、分裂病様障害、分裂情動性障害、妄想障害、短期精神障害、共同精神障害、一般的医学状態による精神障害、物質誘因または薬物(フェニシクリジン、ケタミン及び他の解離麻酔薬、アンフェタミン、他の精神刺激薬及びコカイン)誘因精神障害、情動障害を伴う精神病、短期反応性精神病、分裂情動性精神病、“精神分裂病−スペクトル”障害、例えば分裂病質または分裂性人格障害、または統合失調症のポジティブ及びネガティブ症状及び他の精神病を含めた精神病(例えば、主要うつ病、躁うつ性(双極性)障害、アルツハイマー病及び外傷後ストレス症候群)に関連する病気;認知障害、例えば(アルツハイマー病、虚血、多梗塞性認知症、外傷、脈管の問題または卒中、HIV病、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト・ヤコブ病、周産期低酸素症、他の一般的医学状態または物質乱用に関連する)認知症;せん妄、健忘障害または年齢関連認知低下;不安障害、例えば急性ストレス障害、広場恐怖症、全身性不安障害、強迫性障害、パニック発作、パニック障害、外傷後ストレス障害、分離不安障害、社会恐怖症、特殊恐怖症、物質誘因不安障害、及び一般的医学的状態による不安症;物質関連障害及び耽溺挙動(例えば、物質誘因せん妄、持続性認知症、持続性健忘障害、精神障害または不安障害;物質(例えば、アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚薬、吸入薬、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静薬、睡眠薬または不安寛解剤)の耐性、依存性または退薬;肥満、神経性過食症及び強迫性摂食障害;双極性障害、抑うつ性障害を含めた気分障害;単極性うつ病、季節性うつ病や分娩後うつ病を含めたうつ病、月経前症候群(PMS)及び月経前不快障害(PDD)、全身医学状態による気分障害、及び物質起因の気分障害;学習障害、自閉障害を含めた広汎性発達障害、注意欠陥−多動障害(ADHD)を含めた注意障害、及び行為障害;NMDA受容体関連障害、例えば自閉症、うつ病、良性健忘症、小児学習障害及び閉鎖性頭部外傷;運動障害、例えば無動及び無動−硬直症候群(例えば、パーキンソン病、薬物誘因パーキンソン症、脳炎後パーキンソン症、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、皮質基底変性、パーキンソン症−ALS認知症複合症候群及び基底核石灰化)、薬剤誘因パーキンソン症(例えば、神経遮断薬誘因パーキンソン症、神経遮断薬悪性症候群、神経遮断薬誘因急性ジストニー、神経遮断薬誘因急性アカシジア、神経遮断薬誘因晩発性ジスキネジー及び薬剤誘因姿勢時振せん)、ジル・デ・ラ・トゥレット症候群、てんかん、筋痙攣、及び振せんのような筋痙直または衰弱を伴う障害;[振せん(例えば、静止時振せん、姿勢時振せん及び企画振せん)、舞踏病(例えば、シデナム舞踏病、ハンチントン病、良性遺伝性舞踏病、神経有棘赤血球増加症、症候性舞踏病、薬物誘因舞踏病及び片側バリスム)、ミオクローヌス症(例えば、全身性ミオクローヌス症及び限局性ミオクローヌス症)、チック(例えば、単純チック、複合チック及び症候性チック)、及びジストニー(例えば、特発性ジストニー、薬物誘因ジストニー、症候性ジストニーや発作性ジストニーのような全身性ジストニー、及び眼瞼痙攣、口下顎ジストニー、痙攣性発生困難、痙攣傾斜痙、軸性ジストニー、ジストニー性書痙及び片麻痺性ジストニーのような限局性ジストニー)を含めた]ジスキネジー;尿失禁;眼損傷、網膜症または眼の黄斑変性を含めたニューロン損傷、耳鳴り、聴覚障害及び損失、及び脳浮腫;嘔吐;及び不眠症やナルコレプシーを含めた睡眠障害。
【0103】
上記障害の中で、統合失調症、双極型障害、半極性うつ病、季節性うつ病や分娩後うつ病を含めたうつ病、月経前症候群(PMS)及び月経前不快障害(PDD)、学習障害、自閉障害を含めた広汎性発達障害、注意欠陥/多動障害を含めた注意障害、自閉症、トゥレット病を含めたチック障害、恐怖症や外傷後ストレス障害を含めた不安障害、認知症に関連する認知障害、AIDS認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、痙直、ミオクローヌス、筋痙攣、耳鳴り、聴覚障害及び損失の治療が特に重要である。
【0104】
具体的実施態様で、本発明は、認知障害の治療を要する患者に対して有効量の本発明化合物を投与することを含む認知障害の治療方法を提供する。特定の認知障害は認知症、せん妄、健忘障害及び老人性認知低下である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第4版の改訂版(DSM−IV−TR)(2000年,ワシントンDCに所在の米国精神医学会)が認知症、せん妄、健忘障害及び老人性認知低下を含めた認知障害を含む診断ツールを提供している。本明細書中で使用されている用語「認知障害」はDSM−IV−TRに記載されている精神障害の治療を含む。当業者は、精神障害には別の命名法、疾病分類及び分類システムがあること及びこれらのシステムが医学及び科学の進歩とともに進化することを認識している。よって、用語「認知障害」は他の診断ソースに記載されている類似障害を含むと意図される。
【0105】
別の具体的実施態様で、本発明は、不安障害の治療を要する患者に対して有効量の本発明化合物を投与することを含む不安障害の治療方法を提供する。具体的不安障害は全般性不安障害、強迫性障害及びパニック発作である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第4版の改訂版(DSM−IV−TR)(2000年,ワシントンDCに所在の米国精神医学会)が全般性不安障害、強迫性障害及びパニック発作の不安障害を含む診断ツールを提供している。本明細書中で使用されている用語「不安障害」はDSM−IV−TRに記載されている精神障害の治療を含む。当業者は、精神障害には別の命名法、疾病分類及び分類システムがあること及びこれらのシステムが医学及び科学の進歩とともに進化することを認識している。よって、用語「不安障害」は他の診断ソースに記載されている類似障害を含むと意図される。
【0106】
別の具体的実施態様で、本発明は、統合失調症または精神病の治療を要する患者に対して有効量の本発明化合物を投与することを含む統合失調症または精神病の治療方法を提供する。具体的統合失調症または精神病は妄想性、解体型、緊張型または未分化型統合失調症及び物質誘因精神障害である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第4版の改訂版(DSM−IV−TR)(2000年,ワシントンDCに所在の米国精神医学会)が妄想性、解体型、緊張型または未分化型統合失調症及び物質誘因精神障害を含む診断ツールを提供している。本明細書中で使用されている用語「統合失調症または精神病」はDSM−IV−TRに記載されている精神障害の治療を含む。当業者は、精神障害には別の命名法、疾病分類及び分類システムがあること及びこれらのシステムが医学及び科学の進歩とともに進化することを認識している。よって、用語「統合失調症または精神病」は他の診断ソースに記載されている類似障害を含むと意図される。
【0107】
別の具体的実施態様で、本発明は、物質関連障害及び嗜癖行動の治療を要する患者に対して有効量の本発明化合物を投与することを含む物質関連障害及び嗜癖行動の治療方法を提供する。具体的な物質関連障害及び嗜癖行動は、物質乱用に起因する持続性認知症、持続性健忘障害、精神障害または不安障害;及び乱用物質の耐性、依存性または禁断である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第4版の改訂版(DSM−IV−TR)(2000年,ワシントンDCに所在の米国精神医学会)は、物質乱用に起因する持続性認知症、持続性健忘障害、精神障害または不安障害;及び乱用物質の耐性、依存性または禁断を含む診断ツールを提供している。本明細書中で使用されている用語「物質関連障害及び嗜癖行動」はDSM−IV−TRに記載されている精神障害の治療を含む。当業者は、精神障害に関して別の命名、疾病分類及び分類システムがあること及びこれらのシステムは医学及び科学の進歩とともに進化することを認識している。よって、用語「物質関連障害及び嗜癖行動」は他の診断ソースに記載されている類似障害も含まれると意図される。
【0108】
別の具体的実施態様で、本発明は、疼痛の治療を要する患者に対して有効量の本発明化合物を投与することを含む疼痛の治療方法を提供する。疼痛の具体例は骨及び関節痛(変形性関節症)、反復運動痛、歯痛、癌痛、筋膜痛(筋肉損傷、線維筋痛)、周術期疼痛(一般外科、婦人科)、慢性疼痛及び神経障害痛である。
【0109】
別の具体的実施態様で、本発明は、過剰飲食に関連する肥満または摂食障害及びそれに関連する合併症の治療を要する患者に対して有効量の本発明化合物を投与することを含む過剰飲食に関連する肥満または摂食障害及びそれに関連する合併症の治療方法を提供する。現在、肥満は、世界保健機構(1992年)出版のInternational Classification of Diseases and Related Health Problemsの第10版(ICD−10)に全身医学的状態として挙げられている。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第4版の改訂版(DSM−IV−TR)(2000年,ワシントンDCに所在の米国精神医学会)は、医学的状態に影響を及ぼす心理学的因子の存在下での肥満を含む診断ツールを提供している。本明細書中で使用される用語「過剰飲食に関連する肥満または摂食障害」はICD−10及びDSM−IV−TRに記載されている医学的状態及び障害の治療を含む。当業者は、全身医学的状態に関して別の命名、疾病分類及び分類システムがあること及びこれらのシステムは医学及び科学の進歩とともに発展することを認識している。よって、用語「過剰飲食に関連する肥満または摂食障害」は他の診断ソースに記載されている類似の状態及び障害も含まれると意図される。
【0110】
更に、本発明化合物は本明細書中に挙げられている疾患、障害及び状態の予防、治療、制御、回復、またはそのリスクの軽減方法において有用である。
【0111】
更に、本発明化合物はグリシン輸送体GlyT1活性の阻害剤を含めた他の物質と組み合わせた上記疾患、障害及び状態の予防、治療、制御、回復、またはそのリスクの軽減方法において有用である。
【0112】
本発明化合物は、本発明化合物または他の薬物が有用であり得る疾患または状態の治療、予防、制御、回復、またはそのリスクの軽減において1つ以上の他の薬物と組み合わせて使用され得、薬物の組合せはいずれかの薬物単独の場合に比してより安全であるかまたはより有効である。前記した他の薬物は通常使用されているルート及び量で本発明化合物と同時または順次投与され得る。本発明化合物を1つ以上の他の薬物と同時に使用する場合、他の薬物及び本発明化合物を含有する単位投与形態の医薬組成物が好ましい。しかしながら、併用治療には本発明化合物及び1つ以上の他の薬物を異なる重複スケジーュールで投与する治療も含まれ得る。1つ以上の他の活性成分と組み合わせて使用する場合、本発明化合物及び他の活性成分は各々を単独で使用したときよりも少ない用量で使用され得るとも考えられる。従って、本発明の医薬組成物には本発明化合物に加えて1つ以上の他の活性成分を含有するものが含まれる。
【0113】
上記した組合せには本発明化合物と1つの他の活性化合物の組合せ及び本発明化合物と2つ以上の他の活性化合物の組合せが含まれる。また、本発明化合物を、本発明化合物が有用である疾患または状態の予防、治療、制御、回復、またはそのリスクの軽減において使用される他の薬物と組み合わせて使用してもよい。前記した他の薬物は通常使用されているルート及び量で本発明化合物と同時または順次投与され得る。本発明化合物を1つ以上の他の薬物と同時に使用する場合、本発明化合物に加えて他の薬物を含有する医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物には本発明化合物に加えて1つ以上の他の薬物をも含有するものが含まれる。
【0114】
本発明化合物:第2活性成分の重量比は変更可能であり、各成分の有効用量に依存する。通常、各成分の有効用量が使用される。よって、例えば、本発明化合物を他の物質と組み合わせるとき、本発明化合物:他の物質の重量比は通常約1000:1〜約1:1000、好ましくは約200:1〜約1:200の範囲である。本発明化合物と他の活性成分の組合せも通常上記範囲内であるが、いずれの場合も各活性成分の有効用量を使用すべきである。
【0115】
上記組合せにおいて、本発明化合物と他の活性物質を別々に投与しても、一緒に投与してもよい。また、1つの成分を他の物質の投与前、投与と同時または投与後に投与してもよい。
【0116】
従って、本発明化合物は単独で使用しても、前記適応症において有効であることが公知の他の物質、或いは本発明化合物の効力、安全性または便利さを高めるかまたは本発明化合物の望ましくない副作用または毒性を低下させる受容体または酵素に影響を及ぼす他の薬物と組み合わせて使用してもよい。本発明化合物及び他の物質は併用治療または固定組合せで同時投与され得る。
【0117】
1つの実施態様で、本発明化合物は抗アルツハイマー病剤、β−セクレターゼ阻害剤、γ−セクレターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、イブプロフェンを含めたNSAID、ビタミンE及び抗アミロイド抗体と一緒に使用され得る。
【0118】
別の実施態様では、本発明化合物は鎮静剤、催眠薬、不安除去剤、抗精神病薬、抗不安薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、マイナートランキライザー、メラトニンアゴニスト及びアンタゴニスト、メラトニン作動性物質、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、5HT−2アンダコニスト等、例えばアジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミスルプリド、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アリピラゾール、ベンタゼパン、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブスプリオン、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプリド、カルボクローラル、クロラールベタイン、クロラール水和物、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼペート、クロロジアゼポキシド、クロレテート、クロロプロマジン、クロザピン、シプラゼパム、デシプラミン、デキクラモル、ジアゼパム、ジクロロアルフェナゾン、ジバルプロエクス、ジフェンヒドラミン、ドクセピン、エスタゾラム、エスクロルビノール、エトミデート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、ホサゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロペリドール、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロクアロン、メラトニン、メフォバルビタール、メプロバメート、メタクアロン、ミダフルル、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバメート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オランザピン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポホール、プロトリプチリン、クアゼパム、クエチアピン、レクラゼパム、リスペリドン、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクロン、テマゼパム、チオリダジン、チオチキセン、トラカゾレート、トラニルシプロマイン、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロホス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ジプラシドン、ゾラゼパム、ゾルピデム及びその塩、並びにその組合せ等と一緒に使用され得る。または、本発明化合物を物理的方法、例えば光治療または電気刺激と併用して投与してもよい。
【0119】
別の実施態様では、本発明化合物はレボドーパ(場合により、カルビドーパまたはベンセラジドのような選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤と一緒に);ビペリデン(場合により、その塩酸塩または乳酸塩として)及びトリヘキシルフェニジル(ベンズヘキソール)塩酸塩のような抗コリン作動薬;エンタカポンのようなCOMT阻害剤;MOA−B阻害剤;酸化防止剤;A2aアデノシン受容体アンタゴニスト;コリン作動性アゴニスト;NMDA受容体アンタゴニスト;セロトニン受容体アンタゴニスト;アレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリド及びプラミペキソールのようなドパーミン受容体アゴニストと一緒に使用され得る。ドパーミンアゴニストは医薬的に許容され得る塩、例えばアレンテモール臭化水素酸塩、ブロモクリプチンメシル酸塩、フェノルドパムメシル酸塩、ナキサゴリド塩酸塩及びペルゴリドメシル酸塩の形態をとり得る。リスリド及びプラミペキソールは通常遊離形態で使用される。
【0120】
別の実施態様では、本発明化合物は神経遮断薬のフェノチアジン、チオキサンテン、ヘテロ環式ジベンザゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジン及びインドロンクラスの化合物と一緒に使用され得る。フェノチアジンの適当な例にはクロロプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジン及びトリフルオペラジンが含まれる。チオキサンテンの適当な例はクロロプロチキセン及びチオチキセンである。ジベンザゼピンの例はクロザピンである。ブチロフェノンの例はハロペリドールである。ジフェニルブチルピペリジンの例はピモジドである。インドロンの例はモリンドロンである。他の神経遮断薬にはロキサピン、スルピリド及びリスペリドンが含まれる。本発明化合物と併用したとき、神経遮断薬は医薬的に許容され得る塩、例えばクロプロマジン塩酸塩、メソリダジンベシル酸塩、チオリダジン塩酸塩、アセトフェナジンマレイン酸塩、フルフェナジン塩酸塩、フルフェナジンエナント酸塩、フルフェナジンデカン酸塩、トリフルオロペラジン塩酸塩、チオチキセン塩酸塩、ハロペリドールデカン酸塩、ロキサピンコハク酸塩及びモリンドン塩酸塩の形態をとり得ると認められる。ペルフェナジン、クロロプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジド及びリスペリドンは通常遊離形態で使用される。よって、本発明化合物はアセトフェナジン、アレンテモール、アリピラゾール、アミスルプリド、ベンゾヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロロプロマジン、クロロプロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドーパ、レボドーパ+ベンセラジド、レボドーパ+カルビドーパ、リスリド、ロキサピン、メソリダジン、モリンドロン、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキソール、クエチアピン、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、トリヘキシルフェニジル、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジンまたはジプラシドンと併用され得る。
【0121】
別の実施態様では、本発明化合物は抗うつ剤または抗不安薬と併用され得、この抗うつ剤または抗不安薬にはノルエピネフリン再取り込み阻害剤(第3級アミン三環式化合物及び第2級アミン三環式化合物が含まれる)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA)、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、ニューロキニン1受容体アンタゴニスト、異型抗うつ剤、ベンゾジアゼピン、5−HT1Aアゴニストまたはアンタゴニスト、特に5−HT1部分アゴニスト、及びコルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニストが含まれる。具体的には、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン及びトリミプラミン;アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン及びプロトリプチリン;フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン及びセルトラリン;イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン及びセレギリン;モクロベミド;ベンラファキシン;ジュロキセチン;アプレピタント;ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドン及びビロキサジン;アルプラゾラム、クロロジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼパテ、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム及びプラゼパム;ブスピロン、フレシノキサン、ゲピロン及びイプサピロン、及びその医薬的に許容され得る塩が挙げられる。
【0122】
本発明化合物は経口により、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、槽内注射または注入、皮下注射またはインプラント)により、吸入スプレー、経鼻、経膣、直腸内、舌下または局所投与ルートにより投与され得、単独でまたは組み合わせて各投与ルートに適した慣用の非毒性で医薬的に許容され得る担体、佐剤及びビヒクルを含む適当な投与単位製剤に製剤化され得る。温血動物(例えば、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル等)の治療に加えて、本発明化合物はヒトに使用するのに効果的である。
【0123】
本明細書中で使用されている用語「組成物」は、所定量または比率で特定成分を含む製品及び特定量の特定成分の組合せから直接または間接的に生ずる製品を包含すると意図される。医薬組成物に関連してこの用語は1つ以上の活性成分及び不活性成分からなる任意の担体を含む製品;及び2つ以上の成分の組合せ、複合体化または集合から、1つ以上の成分の解離から、または1つ以上の成分の他のタイプの反応または相互作用から直接または間接的に生ずる製品を包含すると意図される。通常、医薬組成物は、活性成分を液体担体及び/または微細固体担体と均一且つ均密に混合し、その後所要により製品を所望製剤に成形することにより製造される。医薬組成物中に活性成分は疾患のプロセスまたは状態に応じて所望効果を得るのに十分な量で含まれている。従って、本発明の医薬組成物は本発明化合物及び医薬的に許容され得る担体を混合することにより作成される組成物を包含する。
【0124】
経口用に意図された医薬組成物は医薬組成物の製造のための当業界で公知の方法に従って製造され得、前記組成物は医薬として上品で口に合う製剤を提供するために甘味料、着香料、着色料及び保存料からなる群から選択される1つ以上の物質を含み得る。錠剤は、活性成分を錠剤を製造するのに適した非毒性の医薬的に許容され得る賦形剤と混合して含む。錠剤はコーティングされていなくても、胃腸管での崩壊及び吸収を遅らせて長時間にわたり持続作用を与えるように公知技術によりコーティングされていてもよい。経口用組成物は、活性成分が不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合されている硬ゼラチンカプセル剤、または活性成分が水または油性媒体(例えば、落花生油、流動パラフィンまたはオリーブ油)と混合されている軟ゼラチンカプセル剤としても提供され得る。水性懸濁液剤、油性懸濁液剤、分散性散剤または顆粒剤、水中油型エマルジョン剤及び滅菌の注射用水性または油性懸濁液剤は当業界で公知の標準方法に従って製造され得る。
【0125】
グリシン輸送体GlyT1活性の阻害を必要とする状態の治療において適当な1日用量レベルは、通常患者の体重1kgあたり約0.01〜500mgであり、この量が1回または複数回に分けて投与され得る。1日用量レベルは、好ましくは約0.1〜約250mg/kg、より好ましくは約0.5〜約100mg/kgである。適当な1日用量レベルは約0.01〜250mg/kg、約0.05〜100mg/kg、または約0.1〜50mg/kgであり得る。この範囲で、1日用量は0.05〜0.5、0.5〜5または5〜50mg/kgであり得る。経口投与の場合、組成物を1.0〜1000mgの活性成分、特に治療対象の患者に対する用量を症状にてらして調節するために1.0、5.0、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900及び10000mgの活性成分を含有する錠剤の形態で提供することが好ましい。本発明化合物は1日1〜4回、好ましくは1日1〜2回のレジメンで投与され得る。この投与レジメンは最適の治療応答を与えるように調節され得る。しかしながら、特定患者に対する具体的な用量レベル及び投与頻度は使用する特定化合物の活性、前記化合物の代謝安定性及び作用時間、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与モード及び投与時間、排泄率、併用薬物、特定状態の重症度及び治療を受ける宿主を含めた各種要因に依存することを理解されたい。
【0126】
以下の化学及び実施例の説明において略号は、CHCl ジクロロメタン;DIEA ジイソプロピルエチルアミン;PS−DIEA ポリスチレンジイソプロピルエチルアミン;PS−DMAP ポリスチレン4−N,N−ジメチルアミノピリジン;DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド;Ra−Ni ラネーニッケル;HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール;THF テトラヒドロフラン;TFA トリフルオロ酢酸;MeOH メタノールである。
【0127】
本発明化合物を製造するための幾つかの方法を以下のスキーム及び実施例で例示する。出発物質及び必要な中間体は場合により市販されており、または文献記載の方法に従ってまたは本明細書中に例示されているように製造され得る。
【0128】
本発明化合物は下記スキームに示す反応に加えて文献から公知であるかまたは実験手順に例示されている他の標準操作を用いて製造され得る。スキームに示す置換基のナンバリングは請求の範囲で使用されているものと必ずしも相関せず、明確とするために複数の置換基が上記した定義で許容される化合物に結合して1つの置換基しか示されていないことが多い。本明細書中のスキーム及び実施例に示すような反応に加えて文献から公知であるか実験手順に例示されているような他の標準操作(例えば、エステル加水分解、保護基の開裂等)を用いることにより本発明化合物を製造するために使用される反応を用いて製造される。
【0129】
場合により、最終生成物は、例えば置換基を操作するなどして更に修飾され得る。これらの操作には当業者に通常公知の還元、酸化、アルキル化、アシル化及び加水分解反応が含まれるが、これらに限定されない。場合により、反応を促進させたり望ましくない反応生成物を避けるために上記反応スキームの実施順序を変更してもよい。本発明を更に深く理解するために下記実施例を提示する。これらの実施例は単なる例示であって、決して本発明を限定するものとして解釈されるべきでない。
【実施例】
【0130】
実施例1
【0131】
【化20】

【0132】
4−シアノ−4−シクロプロピルメチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(I−2)
THF(20mL)中のジイソプロピルアミン(2.5mL,17.8ミリモル)を氷浴において冷却し、ここにヘキサン中n−ブチルリチウム(1.6M,11.2mL,17.9ミリモル)を1滴ずつ添加した。0.5時間攪拌した後、溶液をドライアイス浴において冷却し、4−シアノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(I−1)(2,50g,11.9ミリモル)をTHF(20mL)中に含む溶液を1滴ずつ添加した。溶液をドライアイス浴において1時間攪拌した後、シクロプロピルメチルブロミド(1.27mL,13.1ミリモル)を添加した。反応混合物を2時間かけて室温まで加温した後、水でクエンチした。混合物をDCM(3×)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。Biotageクロマトグラフィー(5〜10% 酢酸エチル−ヘキサン)にかけて、4−シアノ−4−シクロプロピルメチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(I−2)を無色油状物として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 4.12(br s,2H),3.05(br s,2H),2.02(m,2H),1.52(d,J=7.0,2H),1.46(s,9H),0.89(m,1H),0.58(m,2H),0.19(m,2H)。
【0133】
4−アミノメチル−4−シクロプロピルメチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(I−3)
95% エタノール−水(75mL)中の1M 水酸化ナトリウムに4−シアノ−4−シクロプロピルメチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(I−2)(1.00g,3.78ミリモル)をエタノール(5mL)中に含む溶液を添加し、溶液を窒素で脱ガスした。ラネーニッケル(水中50% スラリー)(2.6g)を添加し、黒色懸濁液を水素圧(40psi)下室温で12時間振とうした。触媒を濾別し、95% エタノール−水で洗浄した。濾液を真空中で蒸発させた後、水とDCMに分配した。有機相を分離し、水性相をDCMで2回再抽出した。合わせた有機相を乾燥し(MgSO)、溶媒を真空中で除去して、4−アミノメチル−4−シクロプロピルメチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(I−3)を得た。これを更に精製することなく次ステップで使用した。H NMR(500MHz,CDCl):δ 3.44(m,2H),3.32(m,2H),2.71(s,2H),1.41(s,9H),1.46−1.38(m,4H),1.28(d,J=6.7,2H),1.46(s,9H),0.60(m,1H),0.46(m,2H),0.05(m,2H)。
【0134】
2−クロロ−6−フルオロ−N−{[4−シクロプロピルメチルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド(I−4)
4−アミノメチル−4−シクロプロピルメチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(I−3)(1.04g,3.87ミリモル)をDCM(5mL)中に含む溶液を窒素下で氷浴において冷却し、ここにトリエチルアミン(0.65mL,4.64ミリモル)、次いで2−クロロ−6−フルオロベンゾイルクロリド(896mg,4.64ミリモル)を添加した。白色懸濁液を室温まで加温した後、12時間攪拌した。水を添加し、有機相を分離した。水性相をDCMで再抽出した。合わせた有機相を飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。Biotageクロマトグラフィー(20% 酢酸エチル−ヘキサン)にかけると、BOC保護生成物(1.52g)が生じた。これを直接脱保護した。BOC保護生成物をTFA(50mL)及びDCM(75mL)中に含む溶液を室温で0.5時間攪拌した後、揮発性成分を真空中で除去した。残渣を飽和炭酸水素ナトリウム溶液とDCMに分配した。有機相を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を真空中で除去して、2−クロロ−6−フルオロ−N−{[4−シクロプロピルメチルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド(I−4)を白色泡状物として得た。MS 325(M+H)。
【0135】
1−{[4−{[2−(クロロ−6−フルオロベンゾイル)アミノ]メチル}−4−(シクロプロピルメチル)ピペリジン−1−イル]スルホニル}−2,3−ジメチル−1H−イミダゾル−3−イウムトリフルオロメタンスルホネート(I−5)
2,3−ジメチル−1−[(2−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)スルホニル]−1H−イミダゾル−3−イウムフルオロメタンスルホネート(合成に関して、J.Org.Chem.,2003,68,115参照)(361mg,0.925ミリモル)をアセトニトリル(2mL)中に含む溶液に2−クロロ−6−フルオロ−N−{[4−シクロプロピルメチルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド(I−4)をアセトニトリル(2.5mL)中に含む溶液を添加した。黄色溶液を室温で12時間攪拌した後、溶媒を真空中で除去した。Biotageクロマトグラフィー(2% メタノール−DCM)にかけると、2−クロロ−N−{[4−シクロプロピルメチル)−1−[(2−メチル−1−イミダゾル−1−イルスルホニル)]−ピペリジン−4−イル]メチル}−6−フルオロベンズアミド(144mg)が生じた。これを直接メチル化した。2−クロロ−N−{[4−シクロプロピルメチル)−1−[(2−メチル−1H−イミダゾル−1−イルスルホニル)]−ピペリジン−4−イル]メチル}−6−フルオロベンズアミド(118mg)をDCM(2mL)中に含む溶液を氷浴において冷却し、攪拌し、ここにメチルトリフレート(0.031mL,0.27ミリモル)をDCM(1mL)中に含む溶液を1滴ずつ添加した。溶液を氷浴において1.5時間攪拌した後、揮発性成分を真空中で除去して、1−{[4−{[2−(クロロ−6−フルオロベンゾイル)アミノ]メチル}−4−(シクロプロピルメチル)ピペリジン−1−イル]スルホニル}−2,3−ジメチル−1H−イミダゾル−3−イウムトリフルオロメタンスルホネート(I−5)を得た。これを更に精製することなく次ステップで使用した。MS 483(M+)。
【0136】
2−クロロ−N−{[4−シクロプロピルメチル)−1−[(エチルアミノスルホニル)]−ピペリジン−4−イル]メチル}−6−フルオロベンズアミド(I−6)
1−{[4−{[2−(クロロ−6−フルオロベンゾイル)アミノ]メチル}−4−(シクロプロピルメチル)ピペリジン−1−イル]スルホニル}−2,3−ジメチル−1H−イミダゾル−3−イウムトリフルオロメタンスルホネート(I−5)(0.084ミリモル)をアセトニトリル中に含む溶液に窒素下室温でエチルアミンをTHF中に含む溶液(2.0M,0.084mL,0.17ミリモル)を添加した。溶液を80℃で18時間加熱した。室温まで冷却した後、揮発性成分を真空中で除去し、残渣を水と酢酸エチルに分配した。有機相を分離し、1N 塩酸溶液、1N 水酸化ナトリウム溶液、水、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。分取TLC(40% 酢酸エチル−ヘキサン)にかけて、2−クロロ−N−{[4−シクロプロピルメチル)−1−[(エチルアミノスルホニル)]−ピペリジン−4−イル]メチル}−6−フルオロベンズアミド(I−6)をガラス状物として得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 7.42(m,1H),7.30(d,J=7.8Hz,1H),7.16(t,J=8.4Hz,1H),3.52(s,2H),3.26(m,4H),3.21(m,2H), 3.03(m,2H),1.69(s,4H),1.37(d,J=6.2Hz,2H),1.16(t,J=7.0Hz,3H),0.77(s,1H),0.49(d,J=6.6Hz,2H),0.08(s,2H);MS 432(M+H)。
【0137】
実施例2
【0138】
【化21】

【0139】
2−クロロ−N−{[4−シクロプロピルメチル)−1−[(ジメチルアミノスルホニル)]−ピペリジン−4−イル]メチル}−6−フルオロベンズアミド(I−7)
2−クロロ−6−フルオロ−N−{[4−シクロプロピルメチルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド(I−4)(50mg,0.154ミリモル)をDCM(2mL)中に含む溶液に室温でトリエチルアミン(0.026mL,0.19ミリモル)、次いでジメチルスルファモイルクロリド(0.020mL,0.19ミリモル)を添加した。溶液を室温で48時間攪拌した後、揮発性成分を真空中で除去した。分取TLCにかけて、2−クロロ−N−{[4−シクロプロピルメチル)−1−[(ジメチルアミノスルホニル)]−ピペリジン−4−イル]メチル}−6−フルオロベンズアミド(I−7)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.35−7.29(m,1H),7.22(m,1H),7.06(t,J=8.3Hz,1H),5.88(s,1H),3.62(d,J=6.5Hz,2H),3.38−3.30(m,4H),2.82(s,6H),1.67(m,4H),1.33(d,J=6.6Hz,2H),0.67(m,1H),0.52(q,J=5.9Hz,2H),0.06(q,J=4.9Hz,2H)。
【0140】
実施例3
【0141】
【化22】

【0142】
4−シアノ−4−シクロプロピルメチルピペリジン(I−8)
4−シアノ−4−シクロプロピルメチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(I−2)(1.00g,3.78ミリモル)をTFA(50mL)及びDCM(75mL)中に含む溶液を室温で0.5時間攪拌した後、揮発性成分を真空中で除去した。残渣を飽和炭酸水素ナトリウム溶液とDCMに分配した。有機相を分離し、水性相をDCMで2回再抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を真空中で除去して、4−シアノ−4−シクロプロピルメチルピペリジン(I−8)をガラス状物として得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 3.03(d,J=13.1Hz,2H),2.88−2.82(m,2H),2.00(d,J=11.7Hz,2H),1.55−1.49(m,4H),0.92−0.84(m,1H),0.57−0.55(m,2H),0.20(q,J=5.0Hz,2H)。
【0143】
N−エチル−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホンアミド
トリエチルアミン(0.65g,0.89ml,6.35ミリモル)及びエチルアミン(THF中2M 溶液,3.17ml,6.35ミリモル)の溶液を0℃で激しくしながら、ここに硫酸カテコール(911mg,5.29ミリモル)をDCM(2ml)中に含む溶液を添加した。混合物を0℃で2.5時間攪拌した後、0.3M HCl溶液(100ml)に注ぎ、ジエチルエーテル(3×25ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(6×50ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、蒸発させると、黄色油状物が生じた。粗な生成物を5% メタノール/DCMを溶離液とするシリカクロマトグラフィーにかけて、標記生成物を橙色油状物として得た。H NMR(ppm)(CDCl):δ 7.23−7.17(2H,m),7.08−7.04(1H,m),6.96−6.90(1H,m),6.28(1H,bs),4.84(1H,bs),3.33(2H,q,J=7.2Hz),1.24(3H,t,J=7.3Hz)。
【0144】
4−シアノ−4−(シクロプロピルメチル)−N−エチルピペリジン−1−スルホンアミド(I−9)
4−シアノ−4−シクロプロピルメチルピペリジン(I−8)(400mg,2.43ミリモル)及びN−エチル−2−ヒドロキシ−ベンゼンスルホンアミド(529mg,2.43ミリモル)をジオキサン(15mL)中に含む溶液を5時間還流加熱した。室温まで冷却した後、反応混合物を1N 塩酸溶液に注ぎ、ジエチルエーテルで2回抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。Biotageクロマトグラフィー(0.5〜1% メタノール−DCM)にかけると、無色油状物(448mg)が生じた。この油状物をDCM中に溶解し、2N 水酸化ナトリウム溶液で2回、水、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を真空中で除去して、4−シアノ−4−(シクロプロピルメチル)−N−エチルピペリジン−1−スルホンアミド(I−9)を無色油状物として得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 3.68(d,J=12.8Hz,2H),3.06−2.96(m,4H),2.10(d,J=11.6Hz,2H),1.69−1.63(m,2H),1.57(d,J=6.9Hz,2H),1.16(t,J=7.2Hz,3H),0.93−0.85(m,1H),0.59−0.55(m,2H),0.21(q,J=5.0Hz,2H)。
【0145】
4−アミノメチル−4−(シクロプロピルメチル)−N−エチルピペリジン−1−スルホンアミド(I−10)
95% エタノール−水(15mL)中の1M 水酸化ナトリウムに4−シアノ−4−(シクロプロピルメチル)−N−エチルピペリジン−1−スルホンアミド(I−9)(83mg,0.306ミリモル)をエタノール(1mL)中に含む溶液を添加し、溶液を窒素で脱ガスした。ラネーニッケル(水中50% スラリー)(220mg)を添加し、黒色懸濁液を水素圧(40psi)下室温で12時間振とうした。触媒を濾別し、95% エタノール−水で洗浄した。濾液を真空中で蒸発させた後、水とDCMに分配した。有機相を分離し、水性相をDCMで2回再抽出した。合わせた有機相を乾燥し(MgSO)、溶媒を真空中で除去して、4−アミノメチル−4−(シクロプロピルメチル)−N−エチルピペリジン−1−スルホンアミド(I−10)を得た。これを更に精製することなく次ステップで使用した。H NMR(500MHz,CDOD):δ 3.21−3.11(m,4H),3.02(q,J=7.2Hz,2H),2.69(s,2H),1.63−1.53(m,4H),1.31(m,2H),1.15(t,J=7.2Hz,3H),0.65(m,1H),0.48(t,J=6.4Hz,2H),0.07(m,2H)。
【0146】
2,4−ジクロロ−N−{[4−シクロプロピルメチル)−1−[(エチルアミノスルホニル)]−ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド(I−11)
4−アミノメチル−4−(シクロプロピルメチル)−N−エチルピペリジン−1−スルホンアミド(I−10)(35mg,0.127ミリモル)をDCM(1mL)中に含む溶液を窒素下氷浴において冷却し、ここにトリエチルアミン(0.027mL,0.19ミリモル)、次いで2,4−ジクロロベンゾイルクロリド(0.027mL,0.19ミリモル)を添加した。反応混合物を室温まで加温した後、12時間攪拌した。水を添加し、有機相を分離した。水性相をDCMで再抽出した。合わせた有機相を飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。分取TLC(40% 酢酸エチル−ヘキサン)にかけて、2,4−ジクロロ−N−{[4−シクロプロピルメチル)−1−[(エチルアミノスルホニル)]−ピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド(I−11)をガラス状物として得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 7.54(d,J=1.4Hz,1H),7.43−7.39(m,2H),3.49(s,2H),3.26(m,2H),3.21−3.15(m,2H),3.03(q,J=7.2Hz,2H),1,68(t,J=5.7Hz,4H),1.38(d,J=6.7Hz,2H),1.15(t,J=7.2Hz,3H),0.81−0.73(m,1H),0.50−0.48(m,2H),0.08(q,J=4.9Hz,2H);MS 448(M+H)。
【0147】
実施例4
【0148】
【化23】

【0149】
2−クロロ−N−{[4−シクロプロピルメチル)−1−[(エチルアミノスルホニル)]−ピペリジン−4−イル]メチル}−3,6−ジフルオロベンズアミド(I−12)
4−アミノメチル−4−(シクロプロピルメチル)−N−エチルピペリジン−1−スルホンアミド(I−10)を上に概説した手順に従って2−クロロ−3,6−ジフルオロベンゾイルクロリドで処理して、2−クロロ−N−{[4−シクロプロピルメチル)−1−[(エチルアミノスルホニル)]−ピペリジン−4−イル]メチル}−3,6−ジフルオロベンズアミド(I−12)を得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 7.37−7.31(m,1H),7.24−7.18(m,1H),3.53(s,2H),3.26−3.18(m,4H),3.04(q,J=7.2Hz,2H),1.69(t,J=5.7Hz,4H),1.37(d,J=6.7Hz,2H),1.16(t,J=7.2Hz,3H),0.81−0.73(m,1H),0.50(q,J=5.9Hz,2H),0.08(q,J=4.8Hz,2H);MS 450(M+H)。
【0150】
実施例5
【0151】
【化24】

【0152】
1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−オン
4−ピペリジンエチレンケタール(20.0g,140ミリモル)及びトリエチルアミン(23.4mL,168ミリモル)をジクロロメタン(300mL)中に含む溶液を冷却(0℃)し、ここにプロパンスルホニルクロリド(16.5mL,147ミリモル)を20分間かけて1滴ずつ添加した。添加が完了したら、混合物を周囲温度まで加温し、2時間攪拌した。混合物を蒸発させ、残渣をテトラヒドロフラン(200mL)及び5N 塩酸(150mL)中に溶解し、生じた溶液を18時間攪拌した。テトラヒドロフランを減圧下で除去し、水性相をジエチルエーテル(2×200mL)で抽出した。所望生成物の一部が水性相中に残留していたので、4N 水酸化ナトリウムを添加することによりpHを7に調節し、水性相をジエチルエーテル(2×200mL)、酢酸エチル(200mL)及びジクロロメタン(200mL)で抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−オンをオフホワイト色固体として得た。これを更に精製することなく次ステップで使用した。H NMR(360MHz,CDCl):δ 3.56(t,J=6.1Hz,4H),2.94−2.90(m,2H),2.50(t,J=6.1Hz,4H),1.85−1.70(m,2H),1.04−0.96(m,3H)。
【0153】
1’−(プロピルスルホニル)−1,4’−ビペリジン−4’−カルボニトリル
ピペリジン(1.98mL,20.0ミリモル)を1N 塩酸(20mL)中に含む溶液にシアン化ナトリウム(0.98g,20.0ミリモル)を添加した。混合物に1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−オン(4.11g,20.0ミリモル)をメタノール(40mL)中に含む溶液を30分間かけて1滴ずつ添加した。添加が完了したら、混合物を周囲温度まで加温し、18時間攪拌した。沈殿を濾過し、水(10mL)で洗浄し、高真空下60℃で乾燥すると、白色固体が生じた。濾液の容量を約20mLに減らし、水性残渣のpHを4N 水酸化ナトリウム溶液を添加することにより7に調節した。水性相を酢酸エチル(2×100mL)及びジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。合わせた有機物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、1’−(プロピルスルホニル)−1,4’−ビペリジン−4’−カルボニトリルを無色油状物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 3.70−3.64(m,2H),3.09−3.03(m,2H),2.85−2.81(m,2H),2.51(t,J=5.0Hz,4H),2.15(d,J=13.6Hz,2H),1.83−1.75(m,4H),1.58−1.54(m,4H),1.45−1.39(m,2H),1.00(t,J=7.5Hz,3H)。
【0154】
{[1’−(プロピルスルホニル)−1,4’−ビピペリジン−4’−イル]メチル}アミン
水素化アルミニウムリチウムをジエチルエーテル中に含む溶液(1M,1.6mL)に−78℃で1’−(プロピルスルホニル)−1,4’−ビピペリジン−4’−カルボニトリル(0.40g,1.34ミリモル)をジエチルエーテル(10mL)中に含む溶液を30分間かけて添加した。混合物を1時間低温で攪拌した後、室温まで加温し、2時間攪拌した。生じた混合物を氷浴において冷却し、混合物に水(0.17mL)、15% NaOH溶液(0.17mL)、次いで水(0.17mL)を添加した。生じた白色顆粒状固体を濾別し、濾過ケーキをジエチルエーテルで2回濯いだ。濾液を蒸発させて、{[1’−(プロピルスルホニル)−1,4’−ビピペリジン−4’−イル]メチル}アミンを透明油状物として得た。これを更に精製することなく次ステップで使用した。m/z(ES) 304(M+H)。
【0155】
2,4−ジクロロ−N−{[1’−(プロピルスルホニル)−1,4’−ビピペリジン−4’−イル]メチル}ベンズアミド
ジクロロメタン(6mL)及びトリエチルアミン(0.37ml,2.64ミリモル)中の{[1’−(プロピルスルホニル)−1,4’−ビピペリジン−4’−イル]メチル}アミン(0.40g,1.32ミリモル)を0℃で2,4−ジクロロベンゾイルクロリドで処理した。反応物を0℃で30分間攪拌した後、30分間で室温まで加温した。生じた混合物をジクロロメタンと水に分配した。有機層を水及びブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発乾固した。ジクロロメタン(1% 0.880 アンモニア含有)/メタノールを勾配溶離液とするシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、2,4−ジクロロ−N−{[1’−(プロピルスルホニル)−1,4’−ビピペリジン−4’−イル]メチル}ベンズアミド(190mg)が白色泡状物として生じた。この泡状物をジエチルエーテル/イソヘキサン(1:1)と磨砕し、生じた固体を熱エタノール(最小量)中に溶解させた。シュウ酸(最小量のエタノール中2当量)を添加し、混合物を放冷した。2,4−ジクロロ−N−{[1’−(プロピルスルホニル)−1,4’−ビピペリジン−4’−イル]メチル}ベンズアミド(シュウ酸塩)を結晶化させ、濾過して、白色固体を得た。H NMR(遊離塩基)(400MHz,CDCl):δ 7.72(d,J=8.4Hz,1H),7.44(d,J=2,0Hz,1H),7.37−7.33(m,1H),7.03(s,1H),3.59(dd,J=0.0,5.2Hz,4H),3.15−3.09(m,2H),2.91−2.87(m,2H),2.58(s,4H),2.00−1.94(m,2H),1.90−1.80(m,2H),1.60−1.40(m,8H),1.07(t,J=7.4Hz,3H)。
【0156】
実施例6
【0157】
【化25】

【0158】
4−[4−シアノ−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル
氷浴中のフラスコに1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−オン(5.0g,24.4ミリモル)、トリメチルシリルシアニド(3.25mL,24.2ミリモル)及びジエチルエーテル(3mL)を添加し、次いでヨウ化亜鉛(0.005g)を添加した。こうすると黄色懸濁液が生じ、室温で20分間攪拌すると橙色溶液に変わった。この溶液にピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(4.54g,24.4ミリモル)をメタノール(35mL)中に含む溶液を添加した。次いで、溶液を一晩還流した。反応物を冷却し、更にトリメチルシリルシアニド(0.5当量)及びヨウ化亜鉛(0.005g)を添加した。反応物を一晩還流加熱し、TLCによれば出発物質は残存していなかった。反応混合物を蒸発乾固し、生成物を酢酸エチル/イソヘキサンから結晶化させて、4−[4−シアノ−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルをオフホワイト色結晶性固体として得た。H NMR(360MHz,CDCl):δ 3.80(d,J=13.5Hz,2H),3.48(t,J=4.9Hz,4H),3.15−3.09(m,2H),2.93−2.89(m,2H),2.60(t,J=4.9Hz,4H),2.22(d,J=13.4Hz,2H),1.91−1.81(m,4H),1.47(s,9H),1.07(t,J=7.4Hz,3H)。
【0159】
{[4−(4−メチルピペリジン−1−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}アミン
4−[4−シアノ−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルをスキーム5におけるように水素化アルミニウムリチウムと反応させて、{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1−(プロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル]メチル}アミンを透明油状物として得た。m/z(M+H) 319。
【0160】
一般スキーム7
【0161】
【化26】

【0162】
市販されている出発物質の4−シアノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルをアルキルハライド及び塩基を用いてアルキル化すると、4,4−ジ置換ピペリジンが生じた。当業界で公知の方法により保護基を除去した。次いで、塩基の存在下でスルホニルハライドを添加すると、スルホンアミドが生じた。ニトリルを水素化または水素化物均等物を含めた各種手段により還元した。次いで、第1級アミンを塩基の存在下で酸または酸ハライドにカップリングさせると、最終生成物が得られた。
【0163】
一般スキーム8
【0164】
【化27】

【0165】
市販されている出発物質の4−シアノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを通常通り脱保護した。ここに塩基の存在下でスルホニハライドを添加すると、スルホンアミドが形成された。スルホンアミドを脱プロトン化し、アルキル化すると、4,4−ジ置換ピペリジンが生じた。ニトリルを水素化または水素化物均等物を含めた各種手段により還元した。次いで、第1級アミンを塩基の存在下で酸または酸ハライドにカップリングさせると、最終生成物が得られた。
【0166】
実施例9
【0167】
【化28】


【0168】
4−シアノ−4−イソブチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(2)
乾いている丸底フラスコに4−シアノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1)(20g,95ミリモル)及び無水トルエン(200ml)を入れた。ここに1−ブロモ−2−メチルプロパン(12.41ml,114ミリモル)を添加した。1−ブロモ−2−メチルプロパンを添加した直後、固体KHMDS(28.5g,143ミリモル)を室温で添加し、発熱が観察された。TLC(30% EtOAc/ヘキサン)によりモニターしながら溶液を12時間攪拌した。この時点で、飽和水性NHCl溶液(100mL)でクエンチした。混合物にEtOAc(50ml)を添加した後、溶液を水(250ml)で希釈し、EtOAc(3×75ml)で洗浄することにより抽出した。有機層をブライン(200ml)で洗浄し、MgSOで乾燥した。有機溶媒を真空中で除去して、4−シアノ−4−イソブチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(2)を黄色固体として得た。MS 267(M+1)。
【0169】
4−シアノ−4−イソブチルピペリジニウムクロリド(3)
丸底フラスコに4−シアノ−4−イソブチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(2.17g,63.8ミリモル)及びジエチルエーテル(200mL)を入れた。フラスコにジオキサン中HCl(4M,2.327g,63.8ミリモル)を添加し、溶液を一晩攪拌した。細かい白色固体が懸濁液中に形成し、この固体を中間フリットを用いて濾過し、ジエチルエーテル(3×50ml)で洗浄した後、4−シアノ−4−イソブチルピペリジニウムクロリド(3)をHCl塩として定量収率で得た。MS 167(M+1)。
【0170】
1−(エチルスルホニル)−4−イソブチルピペリジン−4−カルボニトリル(4)
乾いている丸底フラスコに4−シアノ−4−イソブチルピペリジニウムクロリド(3,4.49g,44.4ミリモル)、ジクロロメタン(150ml)及びトリエチルアミン(6.1ml,44.4ミリモル)を入れた。ここにエタンスルホニルクロリド(2.1ml,22.2ミリモル)を1滴ずつ添加した。これを1時間攪拌し、水(100ml)でクエンチした。混合物をジクロロメタン(3×50ml)で抽出し、合わせた有機物フラクションを乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をEtOAc/ヘキサンを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1−(エチルスルホニル)−4−イソブチルピペリジン−4−カルボニトリル(4)を白色固体として得た。MS 259(M+1)。
【0171】
1−[1−(エチルスルホニル)−4−イソブチルピペリジン−4−イル]メタンアミン(5)
厚壁フラスコに1−(エチルスルホニル)−4−イソブチルピペリジン−4−カルボニトリル(4,1.4g,5.42ミリモル)、メタノール中2N アンモニア(50ml)を入れた。ここに市販されている水中ラネーニッケルスラリー(1.393g,16.26ミリモル)を添加した。次いで、これを水素雰囲気(45psi)下室温で12時間攪拌した。触媒をセライトを用いて濾別し、MeOH(200ml)で洗浄した。有機物を真空中で濃縮して、1−[1−(エチルスルホニル)−4−イソブチルピペリジン−4−イル]メタンアミン(5)を透明油状物として得た。MS 263(M+1)。
【0172】
2,4−ジクロロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−イソブチルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド(6)
乾いている丸底フラスコに1−[1−(エチルスルホニル)−4−イソブチルピペリジン−4−イル]メタンアミン(5.1g,3.81ミリモル)、ジクロロメタン(150ml)及びトリエチルアミン(1.59ml,11.43ミリモル)を入れた。ここに2,4−ジクロロベンゾイルクロリド(0.760ml,4.57)を1滴ずつ添加し、反応物を1時間攪拌し、水(100ml)でクエンチした。混合物をジクロロメタン(3×50ml)で抽出し、合わせた有機物フラクションを乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をEtOAc/ヘキサンを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2,4−ジクロロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−イソブチルピペリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド(6)を白色固体として得た。HRMS 計算値:435.1271、実測値:435.1267。H NMR(300MHz,DDMSO):δ 8.39(t,J=5.4Hz,1H),7.69(d,J=1.8Hz,1H),7.49(dd,J=8.4Hz,1H),7.42(dd,J=8.4Hz,1H),3.31(t,J=5.1Hz,2H),3.21(m,4H),3.05(q,J=7.2Hz,2H),1.76(m,1H),1.5(m,4H),1.1.28(d,J=5.1Hz,2H),1.21(t,J=7.5Hz,3H),0.93(s,3H),0.91(s,3H)。
【0173】
実施例10
【0174】
【化29】

【0175】
2−クロロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−イソブチルピペリジン−4−イル]メチル}−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(7)
テフロン(登録商標)蓋を有する大きなガラス容器に1−[1−(エチルスルホニル)−4−イソブチルピペリジン−4−イル]メタンアミン(5)(670mg,2.55ミリモル)を入れた。これをジクロロメタン(50ml)中に溶解させた後、PS−カルボジイミド樹脂(5.11ミリモル)を2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)安息香酸(688mg,3.06ミリモル)と一緒に添加した。蓋をシールし、ボトルを5時間振とうした。樹脂を濾別し、EtOAc(3×25ml)で洗浄した。有機物を真空中で濃縮すると、オフホワイト色固体が生じた。残渣をEtOAc/ヘキサンを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2−クロロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−イソブチルピペリジン−4−イル]メチル}−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(7)を白色固体として得た。HRMS 計算値:469.1534、実測値:469.15333。H NMR(300MHz,DDMSO):δ 8.85(s,1H),7.95(s,1H),7.79(d,J=7.8Hz,1H),7.60(d,J=8.1Hz,1H),3.34(s,2H),3.21(s,4H),3.05(q,J=7.2Hz,2H),1.75(m,1H),1.51(m,4H),1.29(d,J=4.8Hz,2H),1.21(t,J=7.5Hz,3H),0.94(s,3H),0.91(s,3H)。
【0176】
実施例11
【0177】
【化30】

【0178】
4−シアノ−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(8)
乾いている丸底フラスコに4−シアノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1)(20g,95ミリモル)及び無水トルエン(200ml)を入れた。ここに4−(ブロモメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン(20.44g,114ミリモル)を添加した。固体KHMDS(28.5g,143ミリモル)を一度に添加し、発熱が観察された。溶液を室温で12時間攪拌し、TLC(30% EtOAc/ヘキサン)によりモニターし、飽和水性NHCl溶液(100ml)でクエンチした。混合物にEtOAc(50ml)を添加した後、溶液を水(250ml)で希釈し、EtOAc(3×75ml)で洗浄することにより抽出した。有機層をブライン(200ml)で洗浄し、MgSOで乾燥した。有機溶媒を真空中で除去して、4−シアノ−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(8)を黄色固体として得た。MS 309(M+1)。
【0179】
4−シアノ−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)ピペリジニウムクロリド(9)
丸底フラスコに4−シアノ−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(8)(5g,16.21ミリモル)、ジエチルエーテル(200ml)及びメタノール(1ml)を入れた。ここにジオキサン中市販されているHC1(4M,0.985ml,32.4ミリモル)を添加した。溶液を一晩攪拌した。細かい白色固体が懸濁液中に形成し、この固体を中間フリットを用いて濾過し、ジエチルエーテル(3×50ml)で洗浄した後、4−シアノ−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)ピペリジニウムクロリド(9)をHCl塩として定量収率で得た。MS 209(M+1)。
【0180】
1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)ピペリジン−4−カルボニトリル(10)
乾いている丸底フラスコに4−シアノ−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)ピペリジニウムクロリド(9.1g,3.1ミリモル)、ジクロロメタン(50ml)及びトリエチルアミン(2.162ml,15.51ミリモル)を入れた。ここにエタンスルホニルクロリド(0.317ml,3.1ミリモル)を1滴ずつ添加した。反応物を1時間攪拌し、水(100ml)でクエンチした。混合物をジクロロメタン(3×50ml)で抽出し、合わせた有機物フラクションを乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をEtOAc/ヘキサンを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)ピペリジン−4−カルボニトリル(10)を白色固体として得た。MS 301(M+1)。
【0181】
1−[1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)ピペリジン−4−イル]メタンアミン(11)
厚壁フラスコに1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)ピペリジン−4−カルボニトリル(10)(1.25g,4.17ミリモル)及びメタノール中2N アンモニア(50ml)を入れた。ここに、水中ラネーニッケルスラリー(1.073g,12.52ミリモル)を添加し、反応物を水素雰囲気(45psi)下室温で12時間攪拌した。触媒をセライトを用いて濾別し、MeOH(200ml)で洗浄し、有機物を真空中で濃縮して、1−[1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)ピペリジン−4−イル]メタンアミン(11)を透明な半固体として得た。MS 304(M+1)。
【0182】
2−クロロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)ピペリジン−4−イル]メチル}−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(12)
シール可能な蓋を有する大きなガラス容器に1−[1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)ピペリジン−4−イル]メタンアミン(11,350mg,1.15ミリモル)を入れた。ジクロロメタン(50ml)及びPS−カルボジイミド樹脂(474mg,2.299ミリモル)を2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)安息香酸(336mg,1.495ミリモル)と一緒に添加した。蓋をシールし、ボトルを5時間振とうした。樹脂を濾別し、EtOAc(3×25ml)で洗浄し、有機物を真空中で濃縮すると、オフホワイト色固体が生じた。残渣をEtOAc/ヘキサンを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2−クロロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)ピペリジン−4−イル]メチル}−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(12)を白色固体として得た。HRMS 計算値:511.164、実測値:511.1649。H NMR(300MHz,DDMSO):δ 8.51(s,1H),),7.96(s,1H),7.80(d,J=8.1Hz,1H),7.61(d,J=7.8Hz,1H),3.77(d,J=9.3Hz,2H),3.41(s,2H),3.32(m,2H),3.29(s,2H),3.21(s,4H),3,45(q,J=9Hz,2H),1.66(m,1H),1.61(m,2H),1.564(s,2H),1.47(m,2H),1.30(d,J=4.5Hz,2H),1.21(t,J=7.5Hz,3H)。
【0183】
実施例12
【0184】
【化31】


【0185】
4−シアノピペリジニウムクロリド(13)
丸底フラスコに4−シアノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1)(15g,71.3ミリモル)及びジエチルエーテル(500ml)を入れた。ここにジオキサン中HCl(4M,35.7ml,143ミリモル)を添加し、溶液を一晩攪拌した。懸濁液中に細かい白色固体が形成され、この固体を中間フリットを用いて濾過し、ジエチルエーテル(3×50ml)で洗浄した後、4−シアノピペリジニウムクロリド(13)をHC1塩として定量収率で得た。MS 111(M+1)。
【0186】
1−(エチルスルホニル)ピペリジン−4−カルボニトリル(14)
乾いている丸底フラスコに4−シアノピペリジニウムクロリド(13,5g,45.4ミリモル)、ジクロロメタン(150ml)及びトリエチルアミン(18.98ml,136ミリモル)を入れた。反応物にエタンスルホニルクロリド(4.56ml,45.4ミリモル)を1滴ずつ添加し、溶液を1時間攪拌し、水(100ml)でクエンチした。混合物をジクロロメタン(3×50ml)で抽出し、合わせた有機フラクションを乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をEtOAc/ヘキサンを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1−(エチルスルホニル)ピペリジン−4−カルボニトリル(14)を白色固体として得た。MS 203(M+1)。
【0187】
1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)ピペリジン−4−カルボニトリル(15)
乾いている丸底フラスコに1−(エチルスルホニル)−4−エチニルピペリジン(14)(6.7g,33.1ミリモル)及び無水トルエン(200ml)を入れた。ここに2−(ブロモメチル)テトラヒドロフラン(6.51ml,49.7ミリモル)を添加した。固体KHMDS(1.2当量,7.93g,39.7ミリモル)を室温で一度に添加し、発熱が観察された。溶液を12時間攪拌した。この時点で飽和水性NHC1溶液(100ml)でクエンチした。混合物にEtOAc(50ml)を添加した後、溶液を水(250ml)で希釈し、EtOAc(3×75ml)で洗浄することにより抽出した。有機層をブライン(200ml)で洗浄し、MgSOで乾燥した。有機溶媒を真空中で除去すると、固体が生じた。残渣をEtOAc/ヘキサンを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)ピペリジン−4−カルボニトリル(15)をオフホワイト色固体として得た。MS 287(M+1)。
【0188】
1−[1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]メタンアミン(16)
厚壁フラスコに1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)ピペリジン−4−カルボニトリル(15,2g,6.98ミリモル)及びメタノール中2N アンモニア(50ml)を入れた。ここに市販されている水中ラネーニッケルスラリー(1.8g,20.94ミリモル)を添加し、溶液を水素雰囲気(45psi)下室温で12時間攪拌した。触媒をセライトを用いて濾別し、MeOH(200ml)で洗浄し、合わせた有機物を真空中で濃縮して、1−[1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]メタンアミン(16)を透明半固体として得た。MS 291(M+1)。
【0189】
2−クロロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]メチル}−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(17)
シール可能な蓋を有する大きなガラス容器に1−[1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]メタンアミン(16,3.4g,11.71ミリモル)、ジクロロメタン(50ml)及びPS−カルボジイミド樹脂(35.1ミリモル)を2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)安息香酸(3.41g,14.05ミリモル)と一緒に入れた。蓋をシールし、ボトルを5時間振とうさせた。樹脂を濾別し、EtOAc(3×25ml)で洗浄し、有機物を真空中で濃縮すると、オフホワイト色固体が生じた。残渣をEtOAc/ヘキサンを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2−クロロ−N−{[1−(エチルスルホニル)−4−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]メチル}−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(17)を白色固体として得た。HRMS 計算値:497.1483、実測値:497.1513。H NMR(300MHz,CDCl):δ 7.70(m,2H),7.59(d,J=7.8Hz,1H),3.86(m,3H),3.68(q,J=5.7Hz,1H),3.57(m,2H),3.38(m,2H),3.16(dt,J=10.2Hz,1H),2.99(q,J=7.5Hz,2H),2.00(m,1H),1.85(m,2H),1.57(m,7H),1.38(t,7.8Hz,3H)。
【0190】
表1中の化合物は上記したように合成したが、スキーム及び上記実施例に記載されているように適当に置換されているスルホニルクロリド及び/または酸クロリド/カルボン酸に代えた。必要な出発物質は市販されているか、文献に記載されているか、または有機合成業界の当業者により容易に合成された。
【0191】
【表1】



【0192】
表2中の化合物は上記したように合成したが、スキーム及び上記実施例に記載されているように適当に置換されているスルホニルクロリド及び/または酸クロリド/カルボン酸に代えた。必要な出発物質は市販されているか、文献に記載されているか、または有機合成業界の当業者により容易に合成された。
【0193】
【表2】











【0194】
本発明を特定の具体的実施態様を参照して記載し、説明してきたが、当業者は本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく手順及びプロトコルに各種の改変、変化、修飾、置換、削除または付加を加え得ることを認識している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
は−(CH−R1a{ここで、nは独立して0〜6であり、R1a
(1)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、フェニル(このフェニルはR2a、R2b及びR2cで置換されている。)またはヘテロ環(このヘテロ環はR2a、R2b及びR2cで置換されている。)で置換されているC1−6アルキル、
(2)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル、
(3)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキルまたは−NR1011で置換されているピペリジニル、
(4)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキルまたは−NR1011で置換されているピペラジニル、
(5)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキルまたは−NR1011で置換されているテトラヒドロピラニルまたはテトラヒドロフラニル、
(6)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキルまたは−NR1011で置換されているモルホリニル、
(7)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−O−C1−6アルキル、
(8)−CO(ここで、Rは独立して(a)水素、(b)置換されていないまたは1〜6個のフルオロで置換されている−C1−6アルキル、(c)ベンジル及び(d)フェニルから選択される。)、
(9)−NR1011(ここで、R10及びR11は独立して(a)水素、(b)置換されていないまたはヒドロキシ、1〜6個のフルオロまたは−NR1213(ここで、R12及びR13は独立して水素及び−C1−6アルキルから選択される。)で置換されている−C1−6アルキル、(c)置換されていないまたはヒドロキシ、1〜6個のフルオロまたは−NR1213で置換されている−C3−6シクロアルキル、(d)ベンジル、(e)フェニルから選択される。)、及び
(10)−CONR1011
からなる群から選択される。}
であり;

(1)R2a、R2b及びR2cで置換されているフェニル、
(2)R2a、R2b及びR2cで置換されているヘテロ環、
(3)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−NR1011、フェニルまたはヘテロ環(前記フェニルまたはヘテロ環はR2a、R2b及びR2cで置換されている。)で置換されているC1−8アルキル、
(4)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル、及び
(5)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)
からなる群から選択され;
2a、R2b及びR2cは独立して
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)置換されていないまたは(a)1〜6個のハロゲン、(b)フェニル、(c)C3−6シクロアルキル、または(d)−NR1011で置換されている−C1−6アルキル、
(4)置換されていないまたは1〜6個のハロゲンで置換されている−O−C1−6アルキル、
(5)−O−フェニル、
(6)ヒドロキシ、
(7)−SCF
(8)−SCHF
(9)−SCH
(10)−CO
(11)−CN、
(12)−SO
(13)−SO−NR1011
(14)−NR1011
(15)−CONR1011、及び
(16)−NO
からなる群から選択され;

(1)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC1−6アルキル、
(2)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル、
(3)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)、及び
(4)−NR1011
からなる群から選択され、ただしRが−CH−シクロプロピルならばRは−NR1011、或いは置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)であり;
及びRは独立して
(1)水素、及び
(2)置換されていないまたはハロゲンまたはヒドロキシで置換されているC1−6アルキル
からなる群から選択され、或いはRとRは一緒になってC3−6シクロアルキル環を形成し;
Aは
(1)−O−、及び
(2)−NR10
からなる群から選択され;
mは0または1であり、mが0のときにはRはカルボニルに直接結合している。]
を有する化合物並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項2】
式:
【化2】

を有する請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項3】
が−(CH−R1a(ここで、nは独立して0〜6であり、R1a
(1)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲンまたはヒドロキシで置換されているC3−6シクロアルキル、
(2)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−O−C1−6アルキルで置換されているピペリジニル、
(3)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−O−C1−6アルキルで置換されているピペラジニル、
(4)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−O−C1−6アルキルで置換されているテトラヒドロピラニル、及び
(5)置換されていないまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−O−C1−6アルキルで置換されているモルホリニル
からなる群から選択される。)
である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】

(1)−CH−シクロプロピル、
(2)ピペリジニル、
(3)N−メチル−ピペリジニル、
(4)N−メチル−ピペラジニル、及び
(5)モルホリニル
からなる群から選択される請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
がC1−3アルキルであり、Rは水素またはC1−3アルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が(S)配置のC1−3アルキルであり、Rが水素である請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
が水素であり、Rが水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】

(1)R2a、R2b及びR2cで置換されているフェニル、
(2)R2a、R2b及びR2cで置換されているチエニル、
(3)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、フェニル(前記フェニルはR2a、R2b及びR2cで置換されている。)または−NR1011で置換されているC1−8アルキル、
(4)置換されていないまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル
からなる群から選択され、
2a、R2b及びR2cが独立して
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)−CF
(6)−OCF
(7)−OCHF
(8)−SCF
(9)−SCHF、及び
(10)−NH
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がフェニルまたはチエニルであり、R2a、R2b及びR2cが独立して
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)−CF
(6)−OCF
(7)−OCHF
(8)−SCF
(9)−SCHF、及び
(10)−NH
からなる群から選択される請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
がフェニルであり、R2a、R2b及びR2cが独立して
(1)水素、
(2)フルオロ、
(3)クロロ、
(4)ブロモ、
(5)−OCH
(6)−CF、及び
(7)−NH
からなる群から選択される請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
がフェニルであり、R2a、R2b及びR2cが独立して
(1)水素、
(2)フルオロ、
(3)クロロ、及び
(4)ブロモ
からなる群から選択される請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が2,4−ジクロロフェニルである請求項11に記載の化合物。
【請求項13】

(1)−NH(C1−6アルキル)、
(2)−N(C1−6アルキル)
(3)置換されていないまたはフルオロ、C3−6シクロアルキル、C1−6アルキル−シクロプロピル、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)またはアゼジニル(このアゼジニルは置換されていないまたはフルオロで置換されている。)で置換されているC1−6アルキル
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
が−NHCHCH、−N(CH、−CHCH、−CHCHF、−(CHCH、シクロプロピル及び−CHシクロプロピルからなる群から選択される請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
【化3】








からなる群から選択される化合物またはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項16】
医薬的に許容され得る担体及び請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む医薬組成物。
【請求項17】
有効量の請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含むグリシン輸送体GlyT1の阻害を要する哺乳動物におけるグリシン輸送体GlyT1の阻害方法。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を医薬用担体または希釈剤と組み合わせることを含むグリシン輸送体GlyT1の阻害を要する哺乳動物におけるグリシン輸送体GlyT1を阻害するための薬剤の製造方法。
【請求項19】
グリシン作動性またはグルタミン酸作動性神経伝達機能不全を伴う神経及び精神障害の治療を要する哺乳動物患者に対して治療有効量の請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む前記患者における前記神経及び精神障害の治療方法。
【請求項20】
統合失調症の治療を要する哺乳動物患者に対して治療有効量の請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む前記患者における統合失調症の治療方法。

【公表番号】特表2009−513653(P2009−513653A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537924(P2008−537924)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/041699
【国際公開番号】WO2007/053400
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】