説明

ピペリジン誘導体の立体選択的合成

本発明は、ピペリジン、ピロリジン、およびアゼパン誘導体の立体選択的合成に有用なジアルデヒドまたはジニトリル化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年12月15日に出願された、米国仮特許出願第61/122、461号の優先権を主張するものである。その先願の全体の内容が本明細書に参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
(背景)
ピペリジンは、5つの炭素原子およびひとつの窒素原子を含む6員環化合物である。その誘導体は、薬剤および他の用途のためのピペリジン含有有機化合物の合成の基礎的要素(building blocks)として広く用いられている。ピペリジンの環原子における立体化学配置(stereochemical configurations)は、ピペリジン含有有機化合物の薬剤活性(pharmaceutical activity)に重要である。そのため、効果的に、および立体選択的にピペリジン誘導体を合成することは非常に重要である。
【発明の概要】
【0003】
(要約)
本発明の一態様は、立体化学的に純度の高いピペリジン誘導体を合成するのに有効なジアルデヒドまたはジニトリル化合物に関する。本発明の化合物は、化学式I:
【0004】
【化1】

【0005】
式中、Rはアミノ保護基(an amino-protecting group)であり;RはH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;XはC(O)HまたはCNであり;およびnは0、1、または2である、
で表される。前記化合物は、RはC(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、またはC(O)O−Phであり;またはRはC−Cアルキル(たとえば、メチル)でありうる。
【0006】
上記式に関して、化合物のいくつかは、
【0007】
【化2】

【0008】
の立体化学を有する。
【0009】
本発明の2つの化合物の例としては下記に示される:
【0010】
【化3】

【0011】
式中、Bocはt−ブトキシカルボニルを表す。
【0012】
本発明の他の態様は、化学式Iのジアルデヒドまたはジニトリル化合物を、化学式II:
【0013】
【化4】

【0014】
式中、RはH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである、
で表される化合物と接触させ、下記化学式III:
【0015】
【化5】

【0016】
式中、R、R、R、およびnは、上記と同じである、
で表されるピペリジン化合物を合成することを含む。ひとつの実施形態において、RはC(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、またはC(O)O−Phであり;RはHまたはC−Cアルキル(たとえば、CH)であり;RはHまたはCHPhであり;およびnは0、1、または2である。
【0017】
この方法は、化学式IIIの化合物(この際、nは1である)からRを除去し、その反応生成物とキノリノン化合物とをカップリングして、下記式:
【0018】
【化6】

【0019】
式中、RはH、C(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、またはC(O)O−Phであり;RはHまたはC−Cアルキルであり;RはHまたはCHPhであり;RはHまたはカルボキシル保護基であり;およびRはH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである、
で表される化合物を得ることをさらに含む。得られた化合物は、下記の立体化学:
【0020】
【化7】

【0021】
または好ましくは、
【0022】
【化8】

【0023】
を有する。
【0024】
化学式(III)で表される化合物を得るために用いられるジアルデヒド化合物は、下記式:
【0025】
【化9】

【0026】
で表されるジエステル化合物の還元反応により、またはジエステル化合物をジアルコール化合物に還元して、ジアルコール化合物を酸化することにより、得ることができる。
【0027】
上記方法において、化学式Iのジアルデヒド化合物が、
【0028】
【化10】

【0029】
の場合、得られる化学式IIIの化合物は、
【0030】
【化11】

【0031】
である。ジアルデヒド化合物は、
【0032】
【化12】

【0033】
の還元により得ることができる。
【0034】
さらに、上記方法において、化学式Iのジアルデヒド化合物が、
【0035】
【化13】

【0036】
である場合、得られる化学式IIIの化合物は、
【0037】
【化14】

【0038】
である。ジアルデヒド化合物は、
【0039】
【化15】

【0040】
の還元により得ることができる。
【0041】
上記方法において用いられるジニトリル化合物は、下記化学式
【0042】
【化16】

【0043】
式中、Rはアミノ保護基であり;およびRはH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである、
で表されるジアミド化合物を脱水剤で処理することで得られる。ジアミド化合物は、上記式で表されるジエステル化合物とアンモニアの直接アミド化、またはジエステルを二酸(diacid)へ加水分解し、続いて二酸のアミド化により得られる。
【0044】
上記方法において、化学式Iのジニトリル化合物が
【0045】
【化17】

【0046】
の場合、得られる化学式IIIの化合物が、
【0047】
【化18】

【0048】
である。ジニトリル化合物は
【0049】
【化19】

【0050】
の加水分解により合成することができ、また、該化合物は、
【0051】
【化20】

【0052】
のアミド化により得られる。
【0053】
さらに、上記方法において、化学式Iのジニトリル化合物が
【0054】
【化21】

【0055】
である場合、得られる化学式IIIの化合物は、
【0056】
【化22】

【0057】
である。ジニトリル化合物は、
【0058】
【化23】

【0059】
の加水分解により合成することができ、また、該化合物は、
【0060】
【化24】

【0061】
のアミド化により得られる。この方法は、また、下記式:
【0062】
【化25】

【0063】
で表される化合物を、塩基存在下、たとえば、ヘキサメチルジシルアジドリチウム(liithium hexamethyldisilazide)(LiHDMS)存在下で、RL(式中、Rはアルキルであり(たとえば、メチル)、およびLはI、Br、MeSOである)で処理して、化学式Iの化合物を立体化学的に合成することを含む。さらに、上記方法には、化学式IIIの化合物(この際、RはHである)が酸(たとえば、シュウ酸またはキラル酸)と反応して、塩を形成し、その塩を立体選択的に生成することを含む。
【0064】
「アルキル」という語は、炭素数1〜6の直鎖または分岐の炭化水素を意味する。アルキル基の例としては、これに制限されないが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、およびt−ブチルが挙げられる。「アルコキシ」という語は、O−アルキルラジカル(O-alkyl radical)を意味する。アルコキシ基の例としては、これに制限されないが、メトキシ、エトキシ、およびブトキシが挙げられる。「アルキレン」という語は、アルキルジラジカル基(alkyl diradical group)を意味する。アルキレン基の例としては、これに制限されないが、メチレンおよびエチレンが挙げられる。
【0065】
「アルケニル」という語は、1以上のC=C二重結合を有する直鎖または分岐の炭化水素を意味する。アルケニル基の例としては、これに制限されないが、エテニル(ethenyl)、1−ブテニル(1-butenyl)、および2−ブテニル(2-butenyl)が挙げられる。
【0066】
「アルキニル」という語は、1以上のC≡C三重結合を含むC2−10の直鎖または分岐の炭化水素を意味する。アルキニル基の例としては、これに制限されないが、エチニル(ethynyl)、2−プロピニル(2-propynyl)、および2−ブチニル(2-butynyl)が挙げられる。
【0067】
「アリール」という語は、それぞれの環が、1〜4の置換基を有してもよい、炭素数6の単環式、炭素数10の二環式、炭素数14の三環式の芳香環系を意味する。アリール基の例としては、これに制限されないが、フェニル、ナフチル、およびアントラセニル(anthracenyl)が挙げられる。「シクロアルキル」という語は、炭素数3〜12の飽和および部分的に不飽和の環状炭化水素基を意味する。シクロアルキル基の例としては、これに制限されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル(cyclopentenyl)、シクロヘキシル(cyclohexyl)、シクロヘキセニル(cyclohexenyl)、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。
【0068】
「ヘテロアリール」という語は、1以上のヘテロ原子(たとえば、O、N、またはSなど)を有する芳香族系の5〜8員の単環式、8〜12員の二環式、または11〜14員の三環式の芳香環系を意味する。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリル、イミダゾリル(imidazolyl)、インドリル(indolyl)、インダゾリル(indazolyl)、ベンズイミダゾリル(benzimidazolyl)、ピリミジニル(pyrimidinyl)、チエニル(thienyl)、キノリニル(quinolinyl)、およびチアゾリル(thiazolyl)が挙げられる。「ヘテロアラルキル」という語は、ヘテロアリール基で置換されたアルキル基を意味する。
【0069】
「ヘテロシクロアルキル」という語は、1以上のヘテロ原子(たとえば、O、N、またはSなど)を有する非芳香族系の3〜8員の単環式、8〜12員の二環式、または11〜14員の三環式の環系を意味する。ヘテロシクロアルキル基の例としては、これに制限されないが、ピペラジニル(piperazinyl)、ピロリジニル(pyrrolidinyl)、ジオキサニル(dioxanyl)、モルホリニル(morpholinyl)、およびテトラヒドロフラニル(tetrahydrofuranyl)が挙げられる。ヘテロシクロアルキルとしては、グルコシル(glucosyl)などの単糖類の環もありうる。
【0070】
本明細書に記載されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールは、置換および非置換部も含む。置換基としては、これに制限されないが、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、アルコキシカルボニル、アミド、カルボキシ、アルカンスルホニル(alkanesulfonyl)、アルキルカルボニル、カルボアミド(carbamido)、カルバミル(carbamyl)、カルボキシル、チオウレイド(thioureido)、チオシアナト(thiocyanato)、スルホアミド(sulfonamido)、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクシル(cyclyl)、およびヘテロシクシル(heterocyclyl)が挙げられ、これらは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクシル(cyclyl)、およびヘテロシクシル(heterocyclyl)でさらに置換されていてもよい。
【0071】
「アミノ保護基(amino protecting group)」という語は、アミノ基に結合して、アミノ基が干渉されるのを防ぐ官能基を意味する。当該保護基は、公知の方法で除去されうる。アミノ保護基の例としては、これに制限されないが、アルキル、アシル、およびシリルが挙げられる。一般的に用いられるアミノ保護基としては、C(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、およびC(O)O−Phが挙げられる。アミノ保護基については、T.W.GreeneおよびP.G.M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、2d.Ed.、John WileyおよびSons(1991)に述べられている。
【0072】
「脱水剤(dehydrating agent)」という語は、他の化学物質と接触した際に、その物質から水を除去する化学薬品(chemical agent)を意味する。脱水剤の例としては、これに制限されないが、塩化ベンゼンスルホニル(benzenesulfonyl chloride)、塩化シアヌル(cyanuric chloride)、エチルジクロロホスフェート(ethyl dichlorophosphate)、オキシ塩化リン(phosphorus oxychloride)、または五酸化リン(phosphorus pentoxide)が挙げられる。
【0073】
本発明の他の特徴、目的、および効果は、詳細な説明および請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0074】
(詳細な説明)
本発明のジアルデヒド化合物は、公知の方法で調製されうる。たとえば、スキーム1に示すように、ジアルデヒド化合物を、市販のL−グルタミン酸から調製することができる。特に、二酸1のアミノ基およびカルボキシル基を保護して、化合物2を得て、その後、MeI、MeBr、およびMeSOのようなアルキル化剤を用いて化合物2のアルキル化を行い、化合物3を生成する。化合物2のC−4位におけるアルキル化の立体選択性は、C−2の立体化学にコントロールされていることに留意されたい。そのため、化合物3の4S異性体が優先的に生成する。Hanessian et al.、Tetrahedron Lett.、1998、39、5887;およびGerwick et al.、Tetrahedron Lett.、2003、44、285を参照。立体選択的なアルキル化の後に、化合物3を還元し、C−2およびC−4位の立体化学が維持された所望のジアルデヒド化合物4を得る。
【0075】
【化26】

【0076】
本明細書中、ジアルデヒド化合物を、還元剤が必要とする還元的アミノ化(reductive amination)条件下で、第1級アミンまたはアンモニアと反応させて、ピペリジン化合物を得る。還元的アミノ化で用いられる還元剤は当業者には公知のものである。例としては、NaBH、NaCNBH、およびNaBH(OAc)が挙げられる。下記スキーム2に示されるように、ジアルデヒド化合物4は、ベンジルアミンおよびNaBHと反応して、N−ベンジルピペリジン化合物5を生成し、アンモニアおよびNaBHと反応して、N−フリーの環化N−含有化合物6(N-free cyclic N-containing compound)を生成する。
【0077】
【化27】

【0078】
ジアルテヒド化合物は、不安定であり、単離または精製することなく、さらなる反応のために用いられる。下記スキーム3には、保護されたL−グルタミン酸2bをピペリジン化合物6bに変換し、該ピペリジン化合物6bは、シュウ酸と反応して、ピペリジンシュウ酸塩(piperidine oxalate)化合物7bを形成するワンポット工程が記載されている。当該工程において、中間体ジアルデヒド化合物4bは、反応から単離されない。
【0079】
【化28】

【0080】
ジアルデヒド化合物から得られるいくつかの他のピペリジン化合物およびエナンチオマーを下記に記載する。
【0081】
【化29】

【0082】
ピペリジン化合物は、他の有機化合物を合成するための基礎的要素(building block)として用いられうる。
【0083】
上述のジアルデヒド化合物は、また、ジエステルの連続還元−酸化(reduction-oxidation sequence)により調製されうる。たとえば、下記スキーム4に例示されているように、ジエステル化合物3は、LiAlHの存在下で還元され、ジアルコール化合物22を形成し、当該化合物がスワーン酸化(Swern oxidation)を受けて、ジアルデヒド化合物4を生成する。
【0084】
【化30】

【0085】
ジアルデヒド化合物のように、ジニトリル化合物は、相当するジアミンを脱水することで入手可能であり、環化N−含有化合物を調製するために用いられる。たとえば、下記スキーム5に示すように、ジエステル化合物は、アミノ化されて、ジアミン化合物23を生成し、当該化合物を、脱水剤(dehydrating agent)で処理してジニトリル化合物24が生成する。ジニトリル化合物24はその後、接触水素化(catalytic hydrogenation)条件下、ワンポット内でアンモニアまたはベンジルアミンと反応して、化合物6を与える。
【0086】
【化31】

【0087】
化合物6の光学分割(Resolution)は、酸(たとえば、シュウ酸)との反応により、その塩の形態を得て、続いて、適当な溶剤系での結晶化または粉砕することにより達成しうる。場合によっては、キラル酸(chiral acid)が用いられる。そのような精製した化合物6のジアステレオマー過剰率(de)の値(diastereomeric excess (de) value)は、99.9%を超えうる。
【0088】
下記スキーム6は、スキーム5で示されたピペリジン化合物を調製するために用いられるジアミン23を合成するための別のワンポット工程である。ジエステル化合物3は、加水分解され、二酸化合物26が得られ、当該化合物が穏和な条件下でアミノ化され、ジアミド23が得られる。Pozdnev、V.F.Tetrahedron Letters、1995、36、7115を参照。この方法は、穏和な条件を要するため、ラセミ化の可能性を最小化する。
【0089】
【化32】

【0090】
二酸26bはまた、リチウムジイソプロピルアミドの存在下で、γ−メチル−N−Boc−L−グルタミン酸塩のアルキル化、続いて、下記スキーム7に示される中間体(26b’、26b’’)の加水分解によって得られる。アルキル化生成物26bのジアステレオマー過剰率(de)の値は、26bから得られたジアミド23のHPLC分析により同定されるが、非常に高い。
【0091】
【化33】

【0092】
ジアミド23は、脱水剤として塩化シアヌル(cyanuric chloride)を用いて、低温でジニトリル24に変換されうる。下記スキーム8参照。この脱水方法は、Aureggi、V.et.al.Org.Synth.2008、85、72に記載されている。
【0093】
【化34】

【0094】
代わりに、ジニトリル24は、下記スキーム9に示されるように、ワンポット方法(one-pot fashion)で、二酸(diacid)26から合成されうる。
【0095】
【化35】

【0096】
下記スキーム10には、市販のL−グルタミン酸からピペリジン6bへの合成アプローチが示されている。
【0097】
【化36】

【0098】
下記スキーム11には、ピペリジン6bの他の合成アプローチが示されている。
【0099】
【化37】

【0100】
上記方法は、穏和な条件下でピロリジンおよびアゼパン(azepane)を合成するために用いられうる。下記スキーム12は、5−7員の環化N−含有化合物(5-7 membered cyclic N-containing compounds)の一般的な合成経路である。
【0101】
【化38】

【0102】
環化N−含有化合物は、他の有機化合物を合成するための有用な基礎的要素である。(3S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−ピロリジン((3S)-3-(tert-butoxycarbonylamino)-pyrrolidine)(化合物29a)は、Rho−キナーゼ阻害剤(Rho-kinase inhibitors)を合成するために用いられうる。PCT公報 WO2008105442およびWO2008105058を参照。(3S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−ピペリジン((3S)-3-(tert-butoxycarbonylamino)-piperidine)(化合物29b)は、Tie−2−キナーゼ阻害剤(Tie-2-kinase inhibitors)を合成するために用いられる。J.Med.Chem.、50、2007、627−640を参照。化合物29bの正反対の(3R)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−ピペリジン((3R)-3-(tert-butoxycarbonylamino)-piperidine)は、アログリプチン(Alogliptin)などのようなジペプチジルペプチダーゼ(dipeptidyl peptidase)IV(DPP−4)阻害剤を製造するために広く用いられてきた。PCT公報 WO2007112368を参照。3−tert−ブトキシカルボニルアミノヘキサヒドロ−2−アゼピン(3-tert-Butoxycarbonylaminohexahydro-2-azepine)(化合物29c)はCHK1阻害剤およびDPP−4阻害剤を合成するために用いられうる。PCT公報 WO2005066163およびWO2002068420を参照。
【0103】
下記スキーム13は、ピペリジン化合物6bがキノリノン30とカップリングして、中間体31を形成し、脱保護および酸性化の後、化合物34、候補抗菌薬(antibacterial drug candidate)を得た(US特許6,329,391参照)。
【0104】
【化39】

【0105】
上記に示されたスキーム1〜13は単に例示である。発明の化合物を調製および使用するために変更されうる。本発明を実行するのに有効な化学的な変換(Chemical transformations)、たとえば、R.Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers(1989);T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、3rd Ed.、John WileyおよびSons(1999);L.FieserおよびM.Fieser、FieserおよびFieser’s Reagents for Organic Synthesis、John WileyおよびSons(1994);ならびにL.Paquette、ed.、Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis、John WileyおよびSons(1995)ならびにこれらの続編(subsequent editions thereof)に記載されているような変換がありうる。
【0106】
以下の具体的な実施例は、単に例示のためのものであり、本願の開示の残りの部分をいかようにも限定するものではないと解釈されるべきである。また、本技術分野の当業者であれば、本明細書中の記載に基づき、さらなる労力を費やすことなく、本発明を完全な範囲で実施可能であると解される。本明細書中の引用文献は全て、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【実施例】
【0107】
実施例1:(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンタン二酸ジメチルエステル((S)-2-tert-butoxycarbonylamino-pentanedioic acid dimethyl ester)(化合物2b)の合成
L−グルタミン酸(200g)およびメタノール(800mL)を3Lの4口フラスコに添加し、その後−10℃に冷却した。SOCl(324g)を、<10℃で滴下しながら添加して、混合物を18時間、室温で撹拌した。反応はLC/MSで追跡した。酢酸エチル(800mL)、NaCO(200g)、HO(200g)およびジ−tert−ブチルジカルボン酸エステル(di-tert-butyldicarbonate)(280g)を連続して添加した。室温で18時間の撹拌した後、その得られた混合物(the resulting mixture)を水で洗浄し(400mL×2)、その後トルエン(400mL)で希釈した。有機層を分離して、真空化で濃縮し、化合物2b(314g、粗収率84%)を得た。
【0108】
実施例2:(2S、4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−メチル−ペンタンニ酸ジメチルエステル((2S、4S)-2-tert-butoxycarbonylamino-4-methyl-pentanedioic acid dimethyl ester)(化合物3b)の合成
5Lの4口フラスコに窒素下、−78℃で、1M LiHMDSのTHF(1500mL)を添加した。これに、粗化合物2bを含む溶液(210g、1000mLの乾燥THF中)を<−60℃で滴下し、その後、−78℃で1.5時間撹拌した。この得られた溶液に、MeI(175g、100mLの乾燥THF中)を<−60℃で添加した。反応は、−78℃で4時間撹拌し、その後、−60℃でMeOH(35g)および−10℃で2N HCl(1500mL)でクエンチした。得られた溶液に、トルエン(1000mL)を添加し0.5時間撹拌した。有機層を分離し、Na溶液(100mL水中175g)で処理して30分間撹拌し、その間、溶液の色が暗褐色(dark brown)から薄黄色(pale yellow)に変化した。有機層を真空下で濃縮し、化合物3bを得た(212g、粗収率96%)。H NMR(CDCl、300MHz):δ1.22(d、J=6.9Hz、3H)、1.43(s、9H)、1.45(m、1H)、1.86(ddd、1H)、2.00(dd、2H)、2.58(dd、1H)、3.67(s、3H)、3.73(s、3H)、4.35(br s、3H)、4.97(d、J=6.0Hz、1H);MS:m/e 312.0(M+23)。
【0109】
実施例3:(3S、5S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−メチル−N−ベンジル−ピペリジン((3S、5S)-3-(tert-butoxycarbonylamino)-5-methyl-N-benzyl-piperidine)(化合物5b)のワンポット合成
粗化合物3b(50.0g)のトルエン(750mL)溶液を窒素下で撹拌しながら−78℃に冷却した。この溶液に、冷却したDIBALH(500mL、トルエン中1M、−78℃)を、<−60℃で滴下し、(2S、4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−メチル−ペンタンジアルデヒド((2S、4S)-2-tert-butoxycarbonylamino-4-methyl-pentanedialdehyde)(すなわち、化合物4b)を得た。−78℃で30分間撹拌した後、ベンジルアミン(25mLのトルエン中、22.5g)とメタノール(12.5mL)の混合物を添加した。氷バスを除去して、溶液温度を−10℃まで昇温した。その後、NaBH(6.5g)および酢酸(10.0g)を添加した。反応混合物を室温で18時間混合した後、−10℃で2N HCl(3000mL)を用いて処理した。水層をジクロロメタン(500mL×3)で抽出した。ひとつにまとめた有機層を濃縮して茶色の油を得て、これを酢酸エチル、1/4(v/v)メタノール/酢酸エチル、および4/16/80(v/v/v)アンモニア水/メタノール/酢酸エチルを溶離液とする短パッド(short pad)のシリカゲルにより精製し、化合物5b(15.6g、30%)を得た。H NMR(CDCl、300MHz):δ 0.83(d、J=7.0Hz、3H)、1.04(ddd、1H)、1.45(s、9H)、1.55(ddd、1H)、1.79−1.81(m、2H)、2.12(dd、1H)、2.67−2.71(m、2H)、3.43(d、1H)、3.46(d、1H)、3.85(m、1H)、5.33(d、1H)、7.22−7.42(m、5H);MS:m/e 305.0(M+1)。
【0110】
もうひとつの方法として、化合物5bは、以下の方法でも合成される。
【0111】
粗3b(38.0g)のトルエン(650mL)溶液を窒素下で撹拌しながら−78℃に冷却した。この溶液に、冷却したDIBALH(700mL、トルエン中1M、78℃)を<60℃で滴下して添加した。−78℃で30分間撹拌して、ベンジルアミン(メタノール45mL中15.0g)の溶液を添加した。その後、冷却バスを除去し、−10℃まで溶液温度を昇温した。次に、NaCNBH(15.0g)および酢酸エチル(300mL)を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌した後、−10℃で2N HCl(700mL)を用いて処理した。水層をジクロロメタン(200mL×2)で抽出した。ひとつにまとめた有機層を濃縮して茶色の油を得て、これを酢酸エチル、メタノール/酢酸エチル1/4(v/v)、およびアンモニア水(28−30%)/メタノール/酢酸エチル4/16/80(v/v/v)を溶離液とする短パッド(short pad)のシリカゲルにより精製し、化合物5b(10.0g、25.0%)を得た。
【0112】
化合物5bを、下記の処理をして化合物5b・HClに変換した:
化合物5bのトルエンの懸濁液をHClのエーテル溶液(1M)で、0−5℃の当量点(equivalent point)まで滴定した。得られた溶液は、そのままで(on standing)結晶を生成した。結晶をろ過により回収し、tert−BuOMeで洗浄、乾燥して、化合物5b・HCl(9.8g、100%)の白色粉末を得た。Mp:173C(トルエン)。
【0113】
実施例4:(3S、5S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−メチルピペリジン塩酸塩((3S、5S)-3-(tert-butoxycarbonylamino)-5-methylpiperidine hydrogen chloride)(化合物6b・HCl)の合成
化合物5b・HCl(3.3g)をメタノール(100mL)に溶解させた。これに、10%Pd−C触媒(0.74g)を添加した。この溶液を、Parr水素化フラスコ(Parr hydrogenation flask)中で、24時間75psiの圧力で、H下で撹拌した。触媒をろ過で除去した後、揮発物を減圧下で除去して、黄色油を得て、それをジエチルエーテルで粉末にした。得られた溶液は、そのままで(on standing)沈殿物を生じた。沈殿物をろ過で回収し、tert−BuOMeで洗浄、乾燥して、化合物6b・HCl(2.5g、96.6%純度)の白色粉末を得た。Mp:168°C(ジエチルエーテル)。
【0114】
実施例5:(3S、5S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−メチルピペリジン((3S、5S)-3-(tert-butoxycarbonylamino)-5-methylpiperidine)(化合物6b)のワンポット合成
粗化合物2b(16.0g)のトルエン(240mL)の溶液を、窒素下で撹拌して−78℃まで冷却した。この溶液に、冷却したDIBALH(160mL、トルエン中1M)を、溶液温度が<60℃で維持される速度で滴下して添加した。−78℃で1時間混合して、アンモニア水溶液(50mL、30%)および酢酸(1.7g)を添加した。冷却バスを、氷バス(ice bath)に置き換えて、反応混合物を0−5℃で1.5時間撹拌した。NaBH(1.1g)を添加し、反応をLC/MCで観察した。1時間後、さらにNaBH(0.5g)を加えた。氷バスを除去し、反応を室温で18時間撹拌した。セライト(Celite)(45g)を撹拌しながら加えた。混合物を50℃まで加熱し、アンモニアを除去し、焼結ガラス漏斗(sintered glass funnel)中のセライト−アルミナゲル(Celite-alumina gel)を通して、吸引ろ過した。ろ液を10%KHSO水溶液(80mL×2)で抽出した。セライト−アルミナゲルを185mLの1/10(v/v)メタノール/酢酸エチルで、10分以上、3回洗浄し、その後吸引ろ過した。ひとつにまとめたろ液を10%KHSO水溶液(100mL×2)で抽出した。すべてのKHSO抽出物をひとつにまとめ、トルエンで洗浄し(50mL×2)、アンモニアで中和し、酢酸エチルで抽出した(200mL×3)。ひとつにまとめた有機層を、真空下で濃縮し、粗化合物6bを得た(7.3g、61%)。分析用サンプルとして、1/10/0.05(v/v/v)メタノール/酢酸エチル/アンモニア水を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製し、続いてヘキサンから結晶化し、淡黄色の粒状結晶の化合物6bを得た。Mp:63−64°C(ヘキサン);H NMR(CDCl、300MHz):δ0.80(d、J=6.6Hz、3H)、1.14(ddd、1H)、1.40(s、9H)、1.58(ddd、1H)、1.95(dd、1H)、2.16(m、1H)、2.65(dd、1H)、2.82(dd、1H)、2.90(dd、1H)、3.70(m、1H)、5.41(m、1H);MS:m/e 215.2(M+1)。
【0115】
また、化合物6bを、50グラムおよび100グラムのスケールでも上記と同様にして合成した。
【0116】
化合物6bを塩の形態に変換し、続いて、適当な溶媒系を用いて結晶化または粉末化することで、化合物6bの光学分割を行った。下記表1は、種々の酸での光学分割および種々の溶剤での再結晶/粉末化により得られた高いジアステレオマー過剰率(de)の値を示している。
【0117】
【表1】

【0118】
実施例6:(3S、5S)−3−(tert−ブトキシカルボキニルアミノ)−5−メチルピペリジンシュウ酸塩((3S、5S)-3-(tert-butoxycarbonylamino)-5-methylpiperidine oxalate)(化合物6b・0.5H)の合成
粗化合物6b(7.3g)および飽和シュウ酸(1.5g)メタノール溶液をtert−BuOMe(100 mL)中で40°Cで懸濁した。混合物を室温まで冷却し、48時間撹拌した。撹拌をして沈殿物が生成した。沈殿物をろ過で回収し、tert−BuOMeで洗浄・乾燥して、白色粉末の化合物6b・0.5H(7.3g、83%回収(recovery)、>97.0%純度)を得た。
【0119】
Mp:203°C(tert−BuOMe)。粗シュウ酸塩の1/4(v/v)メタノール/tert−BuOMeからの再結晶により、回収率(recovery rate)82%で精製化合物6b・0.5Hが得られた。
【0120】
化合物6b・0.5Hを塩基で処理することにより、化合物6が白色粉末として得られ、Mp:63−64°C(ヘキサン)。そのNMRデータは、前に合成された化合物6bと同じでった。
【0121】
実施例7:(3S、5S)−3−(tert−ブトキシカルボキニルアミノ)−5−メチルピペリジンシュウ酸塩((3S、5S)-3-(tert-butoxycarbonylamino)-5-methylpiperidine oxalate)(化合物6b・0.5H)のワンポット合成
LiHMDS溶液(THF中1Mの520mL)を、1L4つ口フラスコに窒素下、−78℃でチャージした。この溶液に、粗化合物2bを含む溶液(60.0g、300mLの乾燥THF中)を<−60℃で滴下した。反応混合物を−78℃で1.5時間撹拌した。MeI(44.4g、20mLの乾燥THF中)を添加した。−70℃で2時間撹拌した後、ジイソプロピルアミン(30.0g)を添加して、未反応のMeIをクエンチした。この混合物を、−70℃で2.5時間撹拌した。
【0122】
この溶液に、冷却したDIBALH(600mL、トルエン中1M)を、溶液温度が<60℃で維持される速度(〜1時間(one hour period))で滴下して添加した。−70℃で0.5時間撹拌した後、この混合物に、アンモニア水溶液(360mL、30%)を5分以内に添加した。反応温度を−40℃まで昇温し、アンモニアガス(〜70−80g)を導入し、続いてNaBH(12.0g)を加えた。−10℃で10時間撹拌した後、LC/MSで観察しながら、反応温度を6時間かけてさらに室温まで昇温した。放出されるアンモニアは氷水でトラップした。20%NaOH水溶液(400mL)を撹拌しながら添加した。混合物を、焼結ガラス漏斗(sintered glass funnel)中のアルミナゲル(alumina gel)を通して、吸引ろ過した。ろ液の有機層を水(300mL×2)で洗浄し、真空下で濃縮して、粗化合物6b(16.4g)を得た。アルミナゲルを徹底的にメタノールで洗浄し、吸引ろ過した。ろ液を真空下で濃縮した。残ったものをその後セライトを通してろ過し、酢酸エチルで洗浄した。ろ液を真空下で濃縮し、粗化合物6b(5.g)を得た。ひとつにまとめた粗生成物を、酢酸エチルから1/10/0.1(v/v/v)メタノール−酢酸エチル−トリエチルアミンの溶離液を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製し、精製化合物6b(10.8g、粗化合物2b基準で、23%)を得た。
【0123】
化合物6bの光学純度を決定するために、その光学対掌体(optical antipode)をL−グルタミン酸の代わりにD−グルタミン酸を用いた以外は上記実施例1−7で述べた方法と同様にして合成した。化合物6bおよびその光学対掌体の両方を、(S)−(+)−1−(1−ナフチル)エチルイソシアネート((S)-(+)-1-(1-naphthyl)ethyl isocyanate)を用いて誘導体化し、得られたキラル尿素にHPLC分析を行った。結果は、化合物6bは98%よりも大きい光学純度を有していた。
【0124】
実施例8:ピペリジン化合物8−21の合成
化合物8−10を、それぞれ、ジ−tert−ブチルジカルボン酸エステル(di-tert-butyldicarbonate)とは異なるアミノ保護試薬(amino protecting agents)を用いること以外は実施例1−3に記載した同様の方法で合成した。
【0125】
化合物8、H NMR(CDCl、300MHz):δ 0.81(d、J=6.3Hz、3H)、1.04(ddd、1H)、1.58(ddd、1H)、1.84−1.88(m、2H)、2.16(dd、1H)、2.68−2.78(m、2H)、3.43−3.48(m、2H)、3.90(m、1H)、5.05(s、2H)、5.75(br s、1H)、7.22−7.42(m、10H);MS:m/e 339.2(M+1)、化合物8・HCl、白色粉末:Mp:215°C(tert−BuOMe)。
【0126】
化合物11−13を、ジ−tert−ブチルジカルボン酸エステル(di-tert-butyldicarbonate)とは異なるアミノ保護試薬(amino protecting agents)を用いること以外は実施例1および5に記載した同様の方法で合成した。
【0127】
化合物11、H NMR(CDCl、300MHz):δ 0.83(d、J=6.6Hz、3H)、1.19(ddd、1H)、1.70(m、1H)、1.82(ddd、1H)、2.20(m、1H)、2.71(dd、1H)、2.88(dd、1H)、2.95(dd、1H)、3.83(m、1H)、5.10(s、2H)、5.62(m、1H)、7.25−7.40(m、5H);MS:m/e 249.2(M+1)。
【0128】
化合物11・0.5Hは、白色粉末として得られた。Mp:155°C(tert−BuOMe)。
【0129】
化合物14―21を、アルキル化を行わなかったこと、または異なるアルキル化剤を用いてアルキル化を行ったこと以外は実施例1および5に記載した同様の方法で合成した。
【0130】
化合物14:Mp:120−122°C(ヘキサン);H NMR(CDCl、300MHz):δ 4.80−4.87(m、1H)、3.45−3.55(m、1H)、2.98、3.02(ABq、J=3.0Hz、1H)、2.73−2.79(m、1H)、2.57−2.63(m、1H)、2.44−2.50(m、1H)、1.75−1.79(m、1H)、1.60−1.70(m、1H)、1.46−1.55(m、1H)、1.44(s、9H);MS:m/e 201.2(M+1)。
【0131】
化合物15:H NMR(CDCl、300MHz):δ 0.78(t、3H)、1.29(m、2H)、1.35(s、9H)、1.40(ddd、1H)、1.73−1.76(m、2H)、2.08−2.15(t、1H)、2.65(dd、1H)、2.82(dd、1H)、2.90(dd、1H)、3.70(m、1H);MS:m/e 229.2(M+1)。
【0132】
化合物16:H NMR(CDCl、300MHz):δ 1.40(s、9H)、1.62(dd、1H)、2.20−2.40(m、2H)、2.50(dd、2H)、2.82(dd、1H)、2.90(dd、1H)、3.75(m、1H)、7.13−7.32(m、5H);MS:m/e 277.2(M+1)。
【0133】
化合物17:H NMR(CDCl、300MHz):δ 1.40(s、9H)、1.58(ddd、2H)、2.20−2.40(m、3H)、2.50(m、2H)、2.65(dd、2H)、3.75(m、1H)、7.13−7.32(m、5H);MS:m/e 291.4(M+1)。
【0134】
化合物18:H NMR(CDCl、300MHz):δ 1.40(s、9H)、1.81(s、1H)、1.91−1.95(m、1H)、2.03−2.22(t、2H)、2.68−2.72(d、2H)、2.84−3.01(dd、2H)、3.76(m、1H)、4.96(dd、1H)、4.99−5.01(m、1H)、5.68−5.77(m、1H);MS:m/e 241.2(M+1)。
【0135】
化合物19:H NMR(CDCl、300MHz):δ 1.40(s、9H)、1.65(s、3H)、1.81(m、2H)、1.96(m、2H)、2.03−2.22(m、1H)、2.68−2.72(d、2H)、2.84−3.01(m、2H)、3.76(m、1H)、4.58(s、1H)、4.68(s、1H);MS:m/e 255.2(M+1)。
【0136】
化合物20:H NMR(CDCl、300MHz):δ 1.40(s、9H)、1.54(s、3H)、1.76(s、3H)、2.16(m、1H)、2.65(dd、1H)、2.82(dd、1H)、2.68−2.73(dd、2H)、2.84−2.88(d、2H)、3.00−3.04(dd、2H)、3.74(m、1H)、5.02−5.07(m、1H);MS:m/e 269.2(M+1)。
【0137】
化合物21:H NMR(CDCl、300MHz):δ 1.40(s、9H)、1.58(ddd、1H)、1.95(dd、1H)、2.16(m、1H)、2.68−2.73(dd、2H)、2.84−2.88(d、2H)、3.00−3.04(dd、2H)、3.78(s、1H)、6.08−6.32(m、1H)、6.32−6.37(d、1H)、7.15−7.33(m、5H);MS:m/e 317.2(M+1)。
【0138】
実施例9:連続酸化−還元アミノ化(oxidation-reductive amination sequence)による(3S、5S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−メチル−N−ベンジル−ピペリジン((3S、5S)-3-(tert-butoxycarbonylamino)-5-methyl-N-benzyl-piperidine)(化合物5b)の合成
化合物3b(10.2g)のTHF(50mL)溶液を、氷冷したTHF(150mL)中のLiAlH(3.8g)に撹拌しながら添加した。室温で1時間撹拌した後、反応を0℃まで再冷却し、35mLの10%KOHで処理した。得られた混合物をセライトでろ過し、濃縮した。残った油を溶離液として酢酸エチルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィで精製し、ジオール22b(6.9g、84%)が得られた。H NMR(CDCl、300MHz):δ 0.94(d、J=7.0Hz、3H)、1.43(s、9H)、1.56−1.65(m、1H)、1.66−1.83(m、2H)、3.38−3.42(m、1H)、3.43−3.60(m、2H)、3.60−3.70(m、1H)、3.71−3.80(m、1H)、4.86(br s、1H);MS:256.0(M+23)。
【0139】
冷却したジクロロメタン(149mL、−70℃)に、塩化オキサリル(oxalyl chloride)を撹拌しながら添加した。5分後、乾燥DMSO(11.2g)を−65℃から−70℃で、滴下して添加した。その後、これに、(2S、4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−メチル−ペンタン−1、5−ジオール22b(6.9g)のジクロロメタン(35.5mL)溶液を添加した。−65℃から−70℃で15分撹拌した後、冷却しておいたトリエチルアミン(26.5g、−70℃)を添加し、撹拌を15分間続けた。その後、撹拌しながら、混合物をオキソン(Oxone)(6.0g)の水(113mL)溶液で処理した。分離した有機層をフラスコに移し、−50℃まで冷却し、続いて無水MgSO(3.1g)および冷却してあるベンジルアミン(3.5g、−50℃)のTHF(20mL)溶液で処理した。15分後、トリアセトキシボロヒドリドナトリウム(sodium triacetoxyborohydride)(18.8g)を添加し、−15℃から0℃で、終夜撹拌した。得られた混合物を食塩水で洗浄し、分離した有機層を濃縮した。残ったものを、1/20〜1/10(v/v)酢酸エチル−ヘキサンを用いた短パッドのシリカゲルで精製することにより、化合物5b(4.8g、53.3%)を得た。
【0140】
実施例10:(2S、4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−メチル−ペンタン二酸ジアミド((2S、4S)-2-tert-butoxycarbonylamino-4-methyl-pentanedioic acid diamide)(化合物23b)の合成
方法A:化合物3b(33.0g、114.0mmol)のアンモニア水(28−32%、300mL)の水溶液を室温で撹拌した。混合物が、3〜4時間以内に徐々に、粒状黄色粉末懸濁液から白色固体懸濁液に変化した。室温で12時間撹拌した後、固体をろ過し、真空で凍結乾燥を行った。乾燥固体は、10〜12部の温水(hot water)で再結晶化し、白色針状結晶の化合物23b(17.9g、61%)を得た。Mp:204−206°C(HO);H NMR(d−MeOH、300MHz):δ 1.16(d、J=6.6Hz、3H)、1.44(s、9H)、1.81−1.90(m、2H)、2.46−2.48(m、1H)、4.06(dd、1H);MS:m/e 282.1(M+23)。
【0141】
方法B:化合物3b(11.6g、40.1mmol)のTHF(60mL)の溶液に、撹拌しながら、1N NaOH(90mL)を−10℃から−5℃で滴下した。撹拌を0〜5℃で1時間継続し、LC/MSで確認した。反応の終結(〜1時間)に、反応を3N HCl(35〜40mL)で、色がコンゴレッドに変わるまで処理した。水溶液を酢酸エチル(160mL×2)で抽出した。ひとつにまとめた抽出液を、減圧下で濃縮して、粘性油(viscous oil)の(2S、4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−メチル−ペンタン二酸(化合物26b)(12.5g、〜100%粗収率、真空乾燥)を得た。H NMR(CDCl、300MHz):δ 1.22(d、J=7.0Hz、3H)、1.43(s、9H)、2.02−2.07(m、1H)、2.28(ddd、1H)、2.62−2.68(m、1H)、4.50(m、1H)、5.26(d、J=6.6Hz、1H);MS:m/e 284.0(M+23)。
【0142】
化合物26b(12.5g)のTHF(116mL)溶液を、ピリジン(3.9g、49.3mmol)、BocO(23.5g、107.7mmol)および炭酸アンモニウム(ammonium bicarbonate)(8.1g、102.5mmol)に連続して、撹拌しながら添加した。反応は次第に透明から白色粉末懸濁液に変化した。室温で12時間撹拌した後、沈殿物をろ過し、真空で乾燥して化合物23b(10.3g、99%)を得た。HPLC分析により、化合物23bの純度が95.2%であり、化合物23bのde値が99.4%であることが分かった。
【0143】
実施例11:γ−メチル(2R)−N−Boc−L−グルタミン酸塩(γ-methyl (2R)-N-Boc-L-glutamate)からの(2S、4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−メチル−ペンタン二酸(化合物26b)の合成および26bからのジアミド(化合物23b)変換
方法A:ジイソプロピルアミン(5.3g、52.4mmol)の40mL THFの溶液を−70℃まで冷却し、n−ブチルリチウム(21mL、ヘキサン中2.5M)をカニューレを通して<−60℃で添加した。黄色の透明な溶液を−70℃で0.5時間、0℃で15分撹拌した。γ−メチル(2R)−N−Boc−L−グルタミン酸塩の乾燥リチウム塩(5.5g、20.6mmol、5.4gのフリーの酸でpH8.0に滴定することにより調製)のTHF(27mL)を、40分間かけて、−60℃から−70℃で添加し、得られた濁った混合物を激しく撹拌しながら5−10mLのTHFで希釈した。MeI(4.6g、32.4mmol)のTHF(10mL)溶液を、−60℃から−70℃の温度で、15分かけて注射した。1時間撹拌した後、さらにMeI(1.0g)を中に注射した。反応は、−70℃から−30℃で1時間撹拌し、LC/MSがラクタム26b’’の大きなシグナルを示すまで、−30℃で維持した。得られた混合物を<−10℃で6N HClでpH1〜2に酸性化し、撹拌しながらトルエン(50mL)で希釈した。有機層を、Na溶液(20mL水中1.5g)および水(50mL)で連続して洗浄した。それを濃縮して、ラクタム26b’’(4.4g、88 %)を得た。MS:m/e 266.0(M+23)。ジクロロヘキシルアミン(DCHA)塩(26b’’・DCHA):MP 162−164C(t−BuOMe)。26b’’(4.4g)のTHF(25mL)氷冷溶液に、水素化リチウム一水和物(lithium hydroxide monohydrate)(2.0g)の水(18mL)の氷冷溶液を添加した。0℃で3時間撹拌した後、得られた混合物を<−10℃で6N HClでpH1〜2に酸性化し、撹拌しながら酢酸エチル(30mL)で希釈した。有機層を水(30mL)で洗浄し、濃縮して、26b(4.1g、γ−メチル−N−Boc−L−グルタミン酸塩基準で、76%)を得た。26b(4.1g、15.7mmol)を用いて、実施例10で述べた方法Bと同様にして、ジアミド23b(2.6g、γ−メチル−N−Boc−L−グルタミン酸塩基準で、49%)を調製した。HPLC分析により、23bのde値は95%であった。
【0144】
方法B(γ−メチル(2R)−N−Boc−L−グルタミン酸塩からのワンポット):ジイソプロピルアミン(9.2g、90.9mmol)の80mLのTHFの溶液を−70℃まで冷却し、n−ブチルリチウム(36.4mL、ヘキサン中2.5M)を<−60℃の温度でカニューレを通して添加した。黄色の透明溶液を−70℃で0.5時間撹拌し、0℃で15分間撹拌した。γ−メチル(2R)−N−Boc−L−グルタミン酸エステルの乾燥リチウム塩(dried lithium salt of γ-methyl (2R)-N-Boc-glutamate ester)(11.0g、41.2mmol)(10.8gのフリーの酸を滴定することで調製)のTHF(60mL)溶液を、−60℃から−70℃で40分間かけて添加し、得られた懸濁混合物を激しく撹拌しながら、5−10mLのTHFで希釈した。THF(15mL)中のMeI(10.2g、71.9mmol)を−60℃から−70℃で15分間かけて注射した。反応を、その後−70℃で3.5時間撹拌した。続いて、水酸化ナトリウム溶液(1N、42mL)を−30℃で添加し、その後0℃で3時間撹拌した。得られた混合物を<−10℃で、6N HClによりpH1〜2に酸性化し、撹拌しながら酢酸エチル(100mL)で希釈した。有機層を水(50mL)で洗浄し、濃縮して、二酸26b(10.7g、99%)を得た。実施例10に記載の方法Bと同様にして、26b(10.7g)を用いてジアミド23b(5.2g、γ−メチル(2R)−N−Boc−L−グルタミン酸エステル基準で49%)を調製した。HPLC分析により、化合物23bのde値は94%であることが示された。
【0145】
実施例12:(2S、4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミド−4−メチル−オエンタンジニトリル((2S、4S)-2-tert-butoxycarbonylamino-4-methyl-pentanedinitrile)(化合物24b)の合成
方法A:化合物23b(12.3g、47.4mmol)のピリジン(23.5g、297.1mmol)を含むジクロロメタン(70mL)の氷冷した懸濁液に、ベンゼンスルホニルクロリド(benzenesulfonyl chloride)(31.1g、176.1mmol)を滴下した。添加後、氷バスを除去し、反応を室温で30分間撹拌した。混合物を、その後、ジクロロメタン(70mL)で希釈し、水(70mL×2)で洗浄した。分離した有機層を濃縮して、残ったものを、2/3(v/v)の酢酸エチル−ヘキサンを溶離液としたシリカゲル5部へのプラグ(plug)を通して、ろ過した。回収した溶液を濃縮した。残った固体を、加温した1/1(v/v)のt−BuOMe−ヘキサン(118mL)で再結晶化して、白色結晶の化合物24b(9.7g、92%)を得た。もうひとつの方法として、粗残渣物を、4−5部の加温した1/1(v/v)のt−BuOMe−ヘキサン(118mL)で再結晶化して、86%の単離収率(isolated yield)で精製した。GC分析により、化合物24bの純度は93%であり、化合物24bのde値は99%より高いことがわかった。Mp:108−110°C(1/1 t−BuOMe−ヘキサン);H NMR(CDCl、300MHz):δ 1.40(d、J=7.2Hz、3H)、1.45(s、9H)、2.05−2.17(m、2H)、2.79−2.82(m、1H)、4.70(br s、1H)、5.00(br d、J=8.7Hz、1H);MS:m/e 246.0(M+23)。
【0146】
方法B:化合物23b(181.0g、698.8mmol)のDMF(905mL)の氷冷溶液に、塩化シアヌル(cyanuric chloride)(128.8g、698.4mmol)を0−10℃で一度に(in one-portion)添加した。0−10℃で1.5h撹拌した後、氷バスは除去し、撹拌を大気温度で2.5時間継続した。その後、混合物を、撹拌しながら5分かけて氷水(2.5L)に注いだ;その後、10分間撹拌し、針状の白い固体が沈殿した。スラリーをろ過し、固体を水(500mL)で洗浄し、乾燥後、化合物24b(160.0g、>99%)を得た。粗化合物を800mL(〜5部)の熱した酢酸エチル(50−60℃)に溶解し、セライトを通してろ過し、不溶固体を除去した。ろ液を真空下で濃縮し、化合物24b(125.0g、80%)を得た。GC分析より、24bの純度は93%で、24bのde値は99%より高いことがわかった。
【0147】
方法C(化合物26bからのワンポット):化合物26b(21g)のDMF(147mL)溶液に、連続して、BocO(45.0g、206.2mmol)、炭酸アンモニウム(ammonium bicarbonate)(15.7g、198.6mmol)およびピリジン(7.6g、96.1mmol)を撹拌しながら添加した。反応は次第に透明から白色粉末懸濁液に変化した。室温で4時間撹拌した後、混合物を45℃より低い温度で回転蒸発し、揮発物を除去した。得られた溶液を氷バスで冷却し、その後、塩化シアヌル(14.8g、80.3mmol)で、0−10℃で一度に処理した。2.0時間の氷バス温度での撹拌後、さらに塩化シアヌル(7.4g)およびDMF(40mL)を添加し、撹拌を1.5時間大気温度で継続した。混合物を氷水(560mL)中へ5分かけて撹拌しながら注いだ;その後、10分間撹拌し、針状の白色固体が沈殿した。スラリーをろ過し、続いて固体を水(500mL)で洗浄し、乾燥後、粗化合物24b(23.0g、>99%)を得た。粗24bは115mL(〜5部)の熱した酢酸エチル(50−60℃)に溶解し、短パッドのシリカゲルを通してろ過し、不溶固体を除去した。ろ液を真空下で濃縮し、化合物24b(11.5g、化合物26b基準で64%)を得た。GC分析より、24bの純度は93%で、de値は99%より高いことがわかった。
【0148】
実施例13:接触水素化(catalytic hydrogenation)による(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンタンジニトリル(化合物24b)の還元アミノ化(reductive amination)による化合物6bの合成
方法A:化合物24b(3.6g、16.1mmol)のラネーニッケル(Raney Nickel)(〜3g、湿重量(wet weight))を含むMeOH(120mL)の溶液に、アンモニア水(24mL、28−32%)を添加した。その後、混合物を、パール・シェイカー(Parr shaker)上で80psiの圧力下で水素化し、LC/MSで観察した。反応の終了の際、混合物をセライトでろ過し、濃縮した。残った油を、0.1%のトリエチルアミンを含む酢酸エチルを用いたシリカゲル(5〜10部)のプラグによりろ過し、その後濃縮して、化合物6b(2.4g、69%)を得た。
【0149】
化合物6bを、また、塩の形態から単離した。水素化された溶液をクレイ(Clay)(活性化、100メッシュ)でろ過し、濃縮し、残ったものを10部の熱したi−PrOHに溶解させた。得られた溶液を、加熱して透明化しながら、0.5〜0.6モル当量のシュウ酸で処理し、その後室温で終夜そのままにした。ろ過ならびにt−BuOMeおよびTHFによる滴定を連続して行い、白色粉末として化合物6b・0.5H(2.3g、55%)を単離した。GC分析により、この化合物のde値は94%であることがわかった。
【0150】
化合物6bを、1/20−1/5(v/v)アンモニア水−メタノールおよび/もしくはアンモニア塩付加体(ammonium salt additive)を用いて、または触媒として10%Pd−Cを用いて、上述と同じ方法で調製した。
【0151】
方法B:化合物24b(8.4g、37.6mmol)およびベンジルアミン(6.0g、56.1mmol、1.5モル当量)の10%Pd−C(4.2g)を含むメタノール溶液を、パール・シェイカー(Parr shaker)上で80psiの圧力下で水素化し、LC/MSで観察した。反応の終了の際、混合物を、短パッドのクレイ(Clay)(活性化、100メッシュ)でろ過し、濃縮して、化合物6b(8.0g、99%)を得た。1.5モル当量より少ない量のベンジルアミン(すなわち、1.0〜1.5モル当量)を用いて、だいたい同様の収率で、化合物6bを得た。化合物6bのH−NMRは、基準試料のものと同じであり、0.8ppmに現れたはっきりとしたダブレットにより、立体異性体の副生成物の存在がなく、所望の立体化学が確認できる。−5℃での4−5部のn−ヘプタンからの粗6bの結晶化により、無色の粒状結晶として精製化合物6bを得た。GC分析により、この化合物のde値は94%であることがわかった。
【0152】
化合物6bは、実施例7に記載されたキラル尿素法で測定したところ、98%よりも高い光学純度を有していた。
【0153】
方法C:化合物24b(5.0g、22.4mmol)およびベンジルアミン(2.5g、23.3mmol、1.04モル当量)の10%Pd−C(1.5g、50wt%水含有、Aldrich Degussa type)および活性炭(activated charcoal)(0.5g)を含む7N メタノールアンモニア(methanolic ammonia)(50mL、15.6モル当量)溶液を、パール・シェイカー(Parr shaker)上で80psiの圧力下で水素化した。水素化反応は、LC/MSで観察した。反応の終了の際、混合物を、セライトを通してろ過し、濃縮して、化合物6b(5.1g、>99%粗収率)を得た。GC分析により、化合物が、0.85%のジアステレオ異性体不純物を含むことがわかった。ジアステレオ異性体不純物を除去するために、化合物6bを以下の方法で精製した。
【0154】
シュウ酸(1.06g、約0.5モル当量)のアセトン(53mL)および水(5.1mL)の懸濁液に、粗化合物6b(5.1g)のアセトン(53mL)を5分かけて激しく撹拌しながら40℃で添加した。混合物を激しく撹拌しながら9時間、還流下で加熱した。再冷却した混合物をろ過し、冷却アセトンで洗浄し、化合物6bのシュウ酸塩を得た。シュウ酸塩(4.8g)の水(20.7mL)の懸濁液に、10%NaCO(27.0g、6.0部)および酢酸エチル(45mL)を連続して撹拌しながら添加した。15分の撹拌後、得られたものを焼結ガラス漏斗を通してろ過して、懸濁したシュウ酸ナトリウムを除去した。有機層を回収し、水層を酢酸エチル(45mL)で抽出した。ひとつにまとめた有機抽出層(〜90mL)を、水(18mL)で洗浄し、濃縮して、白色粉末として精製化合物6b(3.6g、75%)を得た。Mp:63−64°C(ヘキサン)。GC分析により、6bの純度は99%より高く、化合物6b中のジアステレオマー不純物は存在していないことがわかった。
【0155】
7N メタノールアンモニアの添加量(すなわち、5、10、または20mL)が少ない場合、同程度の収率と純度の化合物6bが得られた。それぞれ、溶剤の総容積を50mLとした。化合物6bは、実施例7で記載した方法により測定したところ、99%より高い光学純度を示した。
【0156】
実施例14:化合物6bの光学分割
立体異性体を除去するために、粗化合物6bを、0.5モル当量のD−(−)−酒石酸の熱アセトン−水(18/1(v/v)〜36/1(v/v))による再結晶により精製した。精製化合物6b(73%回収(recovery))は、GC分析により測定した結果、所望の異性体純度が99.5%よりも高かった。他のキラル酸、たとえば、(+)−ジベンゾイル−D−酒石酸および(+)−ジ−1、4−トルオイル−D−酒石酸においても、十分な回収(acceptable recovery)ができ、異性体純度も改善された。
【0157】
化合物6bは、実施例7で記載したキラル尿素法により測定した結果、99.5%より高い光学純度を示した。
【0158】
実施例15:(2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンタン二酸ジアミド(化合物27b)の合成
N−Boc−L−グルタミン酸(38.7g、156.5mmol)のTHF(450mL)の溶液を、撹拌しながら、ピリジン(15.1g、190.9mmol)、BocO(91.2g、417.9mmol)、および炭酸アンモニウム(31.4g、397.2mmol)に連続して添加した。室温で12時間撹拌した後、反応混合物を濃縮した。残ったものをt−BuOMe(500mL)で粉末化し、沈殿物をろ過により回収し、真空下で乾燥して、化合物27b(37.3g、97%)を得た。MP:130−132C(MeOH);H NMR(d−MeOH、300MHz):δ1.45 (s、9H)、1.85−1.90(m、1H)、2.04−2.07(m、1H)、2.31(t、J=7.7Hz、2H)、4.02−4.05(m、1H);MS:m/e 268.1(M+23)。
【0159】
実施例16:(2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンタンジニトリル(化合物28b)の合成
27b(37.0g、150.9mmol)のDMF(185mL)の氷冷溶液に、塩化シアヌルを0−10℃で一度に(in one-portion)添加した。1.5時間、同じ温度で撹拌した後、氷バスを除去し、撹拌を1.5時間大気温度で継続した。その後、混合物を、5分間かけて、撹拌しながら、氷水(555mL)に注いだ;その後、10分間撹拌し、スラリーを得た。スラリーをろ過し、固体を水(200mL)で洗浄し、乾燥した。ろ液を、酢酸エチル(200mL)で抽出した。抽出物中の固体を溶解し、短パッドのシリカゲルを通してろ過した。ろ液を濃縮して、得られた固体を110mLの熱したt−BuOMe(60℃)に溶解し、その後ヘキサン(200mL)で希釈した。室温で3時間後、混合物をろ過し、50mLのヘキサンで洗浄し、白色粉末結晶の28b(26.0g、82%)を得た。MP:94−96C(ヘキサン);H NMR(CDCl、300MHz):δ 1.45(s、9H)、2.10−2.20(m、2H)、2.40−2.60(m、2H)、4.60−4.70(m、1H)、5.00−5.20(m、1H);MS:m/e 232.1(M+23)。
【0160】
また、実施例12に記載の方法Aと同様にして、27b(37.0g、0.15mol)を用いて、表題化合物28b(25.5g、81%)を調製した。
【0161】
実施例17:(2S、4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−メチル−ペンタンジニトリル(化合物24b)の合成および化合物6bへの変換
THF(110mL)中1M LiHMDSを、窒素下、−78℃で500mLフラスコに注いだ。この溶液に、化合物28b(10.5g、50.0mmol、80mL乾燥THF中)を含む溶液を−65℃より低い温度で滴下し、その後、−78℃で3時間撹拌した。得られた溶液に、MeI(4.7mL)を−65℃より低い温度で添加した。反応を−65〜−78℃で撹拌し、LC/MSで追跡した。3時間後、反応を、−60℃で、MeOH(2.4mL)、−10℃で、2N HCl(167mL)でクエンチした。トルエン(70mL)を添加し、混合物を0.5時間撹拌した。有機層を分離し、30分間撹拌しながらNa溶液(96mL水中、11g)で処理した。有機層を真空下で濃縮し、粗生成物(crude product)を得て、1/5(v/v)tert−BuOMe−ヘキサンを用いた再結晶により精製し、化合物24b(9.3g、83%)を得た。GC分析により、化合物24bとそのジアステレオマーとの比は2:1であることがわかった。化合物24bの接触水素化およびシュウ酸塩粉末化精製(oxalate triturating purification)(表1)の後、96%のde値を有する化合物6b(3.3g、28b基準で31%)が得られた。
【0162】
実施例18:(3S、5S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−メチルピペリジン((3S、5S)-3-(tert-butoxycarbonylamino)-5-methylpiperidine)(化合物6b)の合成
実施例13に記載の方法Cと同様にして、24b(13.6g、60.9mmol)を用いて、表題化合物6b(9.5g、73%)を調製した。GC分析により、化合物6bは94%のde値を有することが分かった。
【0163】
実施例19:(2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ブタン二酸ジアミド((2S)-2-tert-butoxycarbonylamino-butanedioic acid diamide)(化合物29b)の合成
N−Boc−L−アスパラギン酸(29.5g、126.5mmol)のTHF(348mL)の溶液に、撹拌しながら、ピリジン(11.7g、147.9mmol)、BocO(70.5g、323.0mmol)、および炭酸アンモニウム(24.3g、307.4mmol)を添加した。反応混合物を12時間室温で撹拌し、その後濃縮した。残ったものを酢酸エチル(250mL)で希釈し、撹拌しながら、水(50mL)で洗浄した。有機層を濃縮して、化合物29b(20.1g、69%)を得た。
【0164】
MP:190−192°C(MeOH);H NMR(d−MeOH、300MHz):δ 1.44(s、9H)、2.64、2.59(ABq、J=5.4Hz、2H)、4.37−4.45(m、1H);MS:m/e 254.1(M+23)。
【0165】
実施例20:(2S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ブタンジニトリル((2S)-2-tert-butoxycarbonylamino-butanedinitrile)(化合物28a)の合成
実施例12に記載の方法Aと同様にして、化合物27a(19.8g、85.6mmol)、ピリジン(45.0g、6.65eq)、および塩化ベンゼンスルホニル(59.6g、3.9eq)を用いて、化合物28a(9.0g、54%)を調製した。
【0166】
MP:134−136°C(ヘキサン);H NMR(CDCl、300MHz):δ 1.46(s、9H)、2.95(dd、J=6.6、3.4Hz、2H)、4.80−4.96(m、1H)、5.32(d、J=8.7Hz、1H)、;MS:m/e 218.0(M+23)。
【0167】
実施例21:(3S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−ピロリジン((3S)-3-(tert-butoxycarbonylamino)-pyrrolidine)(化合物29a)の合成
実施例13に記載の方法Cと同様にして、28a(10.3g、52.8mmol)を用いて、化合物29a(7.0g、71%)を調製した。
【0168】
化合物29a・0.5H、MP:170°C(dec.)(t−BuOMe);H NMR(d−MeOH、300MHz):δ 1.44(s、9H)、1.90−2.10(m、1H)、2.20−2.30(m、1H)、3.17−3.37(m、2H)、3.38−3.45(m、2H)、4.20−4.24(m、1H);MS:m/e 187.1(M+1)。
【0169】
実施例22:(3S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−ピペリジン((3S)-3-(tert-butoxycarbonylamino)-piperidine)(化合物29b)の合成
実施例13に記載の方法Cと同様にして、28b(10.1g、48.3mmol)を用いて、化合物29b(7.0g、72%)を調製した。実施例7で記載の方法により測定したところ、化合物29bの光学純度は99%より高かった。
【0170】
実施例23:2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサン二酸ジアミド(2-tert-butoxycarbonylamino-hexanedioic acid diamide)(化合物27c)の合成
実施例10に記載の方法Bと同様にして、2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンタン二酸(3.2g、12.3mmol)を用いて、化合物27c(2.4g、76%)を調製した。
【0171】
MP:135−137°C(MeOH);H NMR(d−MeOH、300MHz):δ 1.43(s、9H)、1.60−1.66(m、2H)、1.70−1.77(m、2H)、2.25(t、J=5.4Hz、2H)、3.98−4.02(m、1H);MS:m/e 282.0(M+23)。
【0172】
実施例24:2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサンジニトリル(2-tert-butoxycarbonylamino-hexanedinitrile)(化合物28c)の合成
実施例12に記載の方法Bと同様にして、27c(2.4g、9.3mmol)を用いて、化合物28c(1.5g、73%)を調製した。
【0173】
MP:61−63°C(ヘキサン);H NMR(CDCl、300MHz):δ 1.44(s、9H)、1.80−1.87(m、2H)、1.90−2.00(m、2H)、2.43(t、J=6.6Hz、2H)、4.50−4.60(m、1H)、5.00−5.20(m、1H);MS:m/e 246.0(M+23)。
【0174】
実施例25:3−tert−ブトキシカルボニルアミノヘキサハイドロ−2−アゼピン(3-tert-butoxycarbonylaminohexahydro-2-azepine)(化合物29c)の合成
実施例13に記載の方法Cと同様にして、28c(5.0g、22.4mmol)を用いて、黄色油状の化合物29c(3.4g、71%)を調製した。
【0175】
H NMR(CDCl、300MHz):δ 1.41(s、9H)、1.55−1.62(m、4H)、1.65−1.80(m、2H)、2.73、2.78(ABq、J=4.8Hz、2H)、2.87、2.91(ABq、J=3.6Hz、2H)、3.60−3.70(m、1H)、5.00−5.10(m、1H);MS:m/e 215.1(M+1)。化合物29c・シュウ酸塩:MP:207C(dec.)(t−BuOMe)。
【0176】
他の実施形態
本明細書に開示された全ての特徴は、任意の組み合わせで組み合わせられうる。本明細書に開示のそれぞれの特徴は、同一の、均等な、または類似の目的を達成する他の特徴により置換されうる。よって、特記しない限り、開示されたそれぞれの特徴は、広範な一連の均等なまたは類似の特徴の一例に過ぎない。
【0177】
当業者であれば、上述した記載から本発明の本質的な特徴を容易に認識することができ、本発明の思想および範囲から逸脱することがなく、発明に種々の変更および修飾を施し、種々の用途および条件に適合させることができる。よって、他の実施形態もまた、特許請求の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式I:
【化1】

式中、Rはアミノ保護基であり;Rは、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;XはC(O)HまたはCNであり;およびnは0、1、または2である、
で表される化合物。
【請求項2】
がC−Cアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がC(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、またはC(O)O−Phである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
XがC(O)Hである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、
【化2】

である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
がC(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、またはC(O)O−Phであり;RがC−Cアルキルであり;およびnが0、1、または2である請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が、
【化3】

である、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
がC(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、またはC(O)O−Phであり、およびRがC−Cアルキルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
XがCNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
化合物が、
【化4】

である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
がC(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、またはC(O)O−Phであり;RがHまたはC−Cアルキルであり;およびnが0、1、または2である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が、
【化5】

である、請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
がC(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、またはC(O)O−Phであり、およびRがC−Cアルキルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が、
【化6】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
化学式I:
【化7】

式中、Rはアミノ保護基であり;RはH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;XはC(O)HまたはCNであり;およびnは0、1、または2である;
で表される化合物と、化学式II:
【化8】

式中、RはH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールである、
で表される化合物とを接触させることにより環化反応を行い、化学式III:
【化9】

式中、R、R、Rおよびnは上記と同じである、
で表される化合物を得ることを含む合成方法。
【請求項16】
はC(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、またはC(O)O−Phであり;RはHまたはC−Cアルキルであり;RはHまたはCHPhであり;およびnは1である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
化学式IIIの化合物からRを除去し、その反応生成物とキノリノン化合物とをカップリングして、下記式:
【化10】

式中、RはH、C(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、またはC(O)O−Phであり;RはHまたはC−Cアルキルであり;RはHまたはカルボキシル保護基であり;およびRはH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである、
で表される化合物を得ることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
化学式Iの化合物が、
【化11】

であり、化学式IIIの化合物が、
【化12】

である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
はC(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、またはC(O)O−Phであり;RがHまたはC−Cアルキルであり;RがHまたはCHPhであり;およびnは1である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
化学式IIIの化合物からRを除去し、その反応生成物とキノリノン化合物とをカップリングして、下記式:
【化13】

式中、RはH、C(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、またはC(O)O−Phであり;RはHまたはC−Cアルキルであり;RはHまたはCHPhであり;RはHまたはカルボキシル保護基であり;およびRはH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである、
で表される化合物を得る、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
化学式Iの化合物が、
【化14】

であり、化学式IIIの化合物が、
【化15】

である、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
がC(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、またはC(O)O−Phであり;RはC−Cアルキルであり;RはHまたはCHPhであり;およびnは1である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
化学式IIIの化合物からRを除去し、その反応生成物とキノリノン化合物とをカップリングして、下記式:
【化16】

式中、RはH、C(O)Ot−Bu、C(O)OCHPh、C(O)CH、C(O)CF、CHPh、またはC(O)O−Phであり;RはHまたはC−Cアルキルであり;RはHまたはCHPhであり;RはHまたはカルボキシル保護基であり;およびRはH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである、
で表される化合物を得ることをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
はHであり、RはCHであり、RはHであり、およびRはCHである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
化学式Iの化合物が、下記式:
【化17】

で表されるジアルデヒドである、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記環化反応の前に、前記ジアルデヒド化合物を、化学式IV:
【化18】

式中、Rはアミノ保護基であり;RはH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;ならびにRおよびRは、それぞれ独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである、
で表される化合物の還元反応により得ることをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記アルデヒド化合物が、
【化19】

であり、化学式IVの化合物が、
【化20】

であり、および化学式IIIの化合物が、
【化21】

である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記アルデヒド化合物が、
【化22】

であり、化学式IVの化合物が、
【化23】

であり、および化学式IIIの化合物が、
【化24】

である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記還元反応および前記環化反応を、ワンポット方法で(in a one-pot fashion)行う、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記環化反応の前に、化学式IV:
【化25】

式中、Rはアミノ保護基であり;RはH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;およびRおよびRは、それぞれ独立して、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである;
で表される化合物を還元して、下記式:
【化26】

で表されるジアルコール化合物を得て、および
前記ジアルコール化合物を酸化して、前記ジアルデヒド化合物を得ることをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
X基が、それぞれCNである、請求項15に記載の方法。
【請求項32】
前記環化反応の前に、化学式V:
【化27】

式中、Rはアミノ保護基であり;RはH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;およびnは0、1、または2である;
で表される化合物を脱水剤で処理して、ジニトリル化合物を得ることをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ジニトリル化合物が、
【化28】

であり、化学式Vの化合物が、
【化29】

であり、および化学式IIIの化合物が、
【化30】

である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ジニトリル化合物が、
【化31】

であり、化学式Vの化合物が、
【化32】

であり、および化学式IIIの化合物が、
【化33】

である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
化学式Iの化合物が、
【化34】

式中、nは0、1、または2であり、Rはアミノ保護基であり、Rはアルキルであり、およびXはそれぞれCNである、
である、請求項15に記載の方法。
【請求項36】
塩基存在下、下記化合物:
【化35】

式中、nは0、1、または2であり、Rはアミノ保護基であり、およびXはそれぞれCNである、
を、
【化36】

式中、Rはアルキルであり、およびLはI、Br、またはMeSOである、
で処理して、化学式Iの化合物を立体選択的に合成することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
はメチルであり、および前記塩基はLiHMDSである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
化学式IIIの化合物を、この際、RはHである、酸と反応させて、塩を形成し、その塩を立体選択的に精製することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記酸が、シュウ酸またはキラル酸である、請求項38に記載の方法。

【公表番号】特表2012−512172(P2012−512172A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540946(P2011−540946)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/067817
【国際公開番号】WO2010/077798
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(505367785)タイゲン バイオテクノロジー カンパニー,リミテッド (10)
【Fターム(参考)】