説明

ピュリファイヤー

【課題】多層型のピュリファイヤーにおいて、1つの層にメッシュの異なる複数枚の篩網を配設する場合であっても、シール機能を向上させて粉漏れを防止するとともに、篩網の取り付け、取り外し作業の簡便なピュリファイヤーを提供する。
【解決手段】篩固定手段30は、最下流側の篩4の後端を押圧する本体32と、篩ボックス10の開口部10bを封止する蓋部材31と、蓋部材31と本体32との間をネジ嵌合してその間隙を広狭調節可能とした一対のノブボルト33a,33bと、蓋部材31と本体32との間のネジ嵌合部に介装した弾性部材37とを備え、さらに、蓋部材31には、手動操作により開口部10bを封止又は解除することが可能な一対の封止手段42a,42bを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製粉工程で生じるセモリナ(種々の粒度の破砕片)又はミドリングス(ブレーキロールで破砕された胚乳粒のうち比較的粗いもの)から、篩の振動作用と篩の下方から上方に抜ける空気流の作用とを併用してふすま分(皮部)の多いオーバーテールを分離し、純粋なセモリナを得るためのピュリファイヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のピュリファイヤーとして、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。このものは、ベース上に弾性要素を介して少なくとも1つの箱のような筐体が強固に結合されており、該筐体はその中間部に3段に積み重ねられた篩が2列設けられ、筐体の上部に少なくとも1つのサクションフードが設けられ、筐体の下部に少なくとも1つの精品採取装置が設けられた構成である。
【0003】
一方、特許文献2に開示されたピュリファイヤーには、篩の押さえ体についての記載がある。すなわち、段落[0013]に「本実施例のピュリファイヤー1の篩分け装置2は、篩網6が3層の多層構造となっている。…中略…3層に形成した篩網6,6,6の後端は、それぞれ篩押さえ体12A,12B,12Cにより固定されており、押さえ体12Aには開口13Aが、押さえ体12Bには開口13Bが、押さえ体12Cには開口13Cがそれぞれ設けてある。開口13A,13B,13Cは、それぞれ排出樋8A,8B,8Cを介して取出し樋14に連絡する。」との記載があり、各段の押さえ体12に穿設した開口13A.13B,13Cがそれぞれの篩網6ごとにオーバーテールを排出樋8に誘導する分離機能を有するとともに、各段の押さえ体12が粉漏れを防止するためのシール機能を有していることが分かる。
【0004】
しかしながら、上記従来の篩網の押さえ体にあっては、篩網6を筐体に挿入した後、その筐体の開口部を閉鎖してクランプするだけであり、押圧力の調整ができない構造であった。例えば、1つの層にメッシュ(番手)の異なる複数の篩網を配設する場合(特許文献2では、ストックの進行方向に向かって4枚配設される。)、押圧力の調整ができないと篩網同士の圧接作用が不十分となって「がたつき」が生じ、篩選別時には激しい振動下におかれるため、粉漏れを防止するためのシール機能が不十分となる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0334180号明細書(EP0334180 A2)
【特許文献2】特開平8−39002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点にかんがみ、多層型のピュリファイヤーにおいて、各層にメッシュの異なる複数枚の篩網を配設する場合であっても、シール機能を向上させて粉漏れを防止するとともに、篩網の取り付け、取り外し作業の簡便なピュリファイヤーを提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、互いに重ね合わせた複数層の篩を篩ボックス内に傾架させて収納するとともに、該篩ボックスは少なくとも4本の脚部により非振動系要素となる支持台上に支承させ、かつ、前記篩ボックスは振動発生装置に連結して篩ボックスの長手方向に振動可能に形成する一方、前記篩ボックスの上流側には篩分け原料の供給部を、前記篩ボックスの下流側にはオーバー物の排出部をそれぞれ連絡し、前記篩ボックスの下方には篩から落下した粉粒体を捕集する捕集装置を設け、さらに、前記篩ボックスの上方には前記篩の下方から上方に貫通させた空気を吸い込む空気分配室を設けたピュリファイヤーにおいて、
前記篩ボックスは、該篩ボックスの後端面に各層ごとに開口部を形成して該開口部から篩を抜き差し可能な構成とするとともに、前記篩ボックス内の長手方向に形成したガイドレールに各層ごとに複数の篩を保持し、さらに、前記開口部には、該開口部から挿入した複数の篩のうち、最下流側の篩を押圧しながら前記開口部を封止する篩固定手段を設けたものであって、
前記篩固定手段は、前記最下流側の篩の後端を押圧する本体と、前記開口部を封止する蓋部材と、該蓋部材と前記本体との間をネジ嵌合してその間隙を広狭調節可能とした一対のノブボルトと、前記蓋部材と前記本体との間のネジ嵌合部に介装した弾性部材とを備え、さらに、前記蓋部材には、手動操作により前記開口部を封止又は解除することが可能な一対の封止手段を設ける、という技術的手段を講じた。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、上段、中段及び下段の各層の篩ごとにオーバー物を分離して落下排出させるべく、前記篩固定手段のうち、上段の篩層の篩固定手段は、前記本体と蓋部材との間隙にオーバー物の排出口を1箇所形成し、中段の篩層の篩固定手段は、前記1箇所の排出口に加えて前記本体の後部側を切欠いた排出口を並設してオーバー物の排出口を2箇所形成し、さらに、下段の篩層の篩固定手段は、前記2箇所の排出口に加えて前記本体の前部側を切欠いた排出口を並設してオーバー物の排出口を3箇所形成したことを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項3記載の発明は、篩ボックスの下流側にオーバー物を排出する分離物排出樋が取り付けられ、該分離物排出樋には、その内部に所定の隙間をおいて複数の隔壁が配設され、該複数の隔壁のさらに下方に、上段、中段及び下段のオーバー物を集約して1箇所の排出口から排出するか、又は上段、中段及び下段のオーバー物を二分して2箇所の排出口から排出するか、又は上段、中段及び下段の各層の篩ごとにオーバー物を分離して3箇所の排出口から排出するかを選択することが可能な複数の分岐弁を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、篩ボックス内に複数の篩を組み込んでいく際に、篩固定手段の蓋部材に取り付けた一対の封止手段のハンドルを引き起こして手で持ち、該ハンドルを回転させることにより、封止手段の止め金具と篩ボックスの開口部の縁との係着が外れ、蓋部材を開口部から取り外すことができる。そして、篩ボックスの開口部から篩を挿入して組み付け、その後、各層の篩の後端部に篩固定手段の本体を押し付けて押圧するとともに、蓋部材に取り付けた封止手段のハンドルを回転させることにより、止め金具が開口部の縁に係着され、さらに、ハンドルを押し倒すことで、止め金具が前記開口部の縁に付勢されて篩が固定されることになる。これにより、篩の篩ボックスへの固定が可能であり、その組み付け作業も容易かつ迅速に行なうことができる。
【0011】
そして、篩固定手段の蓋部材に取り付けられた一対のノブボルトを回動調節して、本体と蓋部材との間隔が広くなるように調節する。すなわち、本体が篩ボックスの前側方向に伸びて篩に対する奥行き方向への押し付け力が強く調整され、各篩間の隙間が実質的に零となる。これにより、篩相互の圧接が適切となって「がたつき」がなくなり、篩選別時の激しい振動下であっても、シール機能が十分に働き、粉漏れを防止することが可能となる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、上段の篩層からのオーバー物が、上段から下段の篩固定手段に形成した3つの排出口を通過して分離物排出口に誘導され、中段の篩層からのオーバー物が、中段及び下段の篩固定手段に形成した2つの排出口を通過して分離物排出口に誘導され、下段の篩層からのオーバー物は、1つの排出口を通過して分離物排出口に誘導されることになる。つまり、上段、中段及び下段の各層の篩ごとにオーバー物を誘導する分離機能を有するようになる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、上段の篩層、中段の篩層及び下段の篩層のオーバー物を集約して1箇所の排出口から排出するか、又は上段の篩層、中段の篩層及び下段の篩層のオーバー物を二分して2箇所の排出口から排出するか、又は上段の篩層、中段の篩層及び下段の篩層ごとにオーバー物を分離して3箇所の排出口から排出するかを選択することが可能な複数の分岐弁を設けているから、製粉工場の製粉工程図に応じて前記分岐弁の切り換えを設定することができ、機械の種類、台数及び仕様が工場ごとに異なった場合であっても適宜対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るピュリファイヤーの概略斜視図である。
【図2】同ピュリファイヤーの一部破断正面図である。
【図3】同ピュリファイヤーの右側面図である。
【図4】図2のA−A線を破断したときの縦断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るピュリファイヤーの篩ボックスにおいて、篩を収納するときの部品構成を示す斜視図である。
【図6】各段の篩層の篩固定手段に形成したオーバーテール排出口を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係るピュリファイヤーの篩ボックス後部と分離物排出樋を示す斜視図である。
【図8】篩固定手段の部品構成を示す斜視図である。
【図9】同篩固定手段の平面図である。
【図10】図9のB−B線を破断したときの断面図である。
【図11】分離物排出樋内に配設した分岐弁の切り換え方向を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係るピュリファイヤーの概略斜視図であり、図2は同ピュリファイヤーの一部破断正面図であり、図3は同ピュリファイヤーの右側面図であり、図4は図2のA−A線を破断したときの縦断面図である。
【0016】
<概要>
図1乃至図4において、本発明のピュリファイヤー1は、いわゆる篩ボックスが2列に並んでいて2種のストックを処理できる複式構造であって、中央の機枠17に対して左右に分離されて配設されるものである。
【0017】
図1及び図2に示すように、機体の左上方、すなわち、篩ボックス10の上流側には分級純化する前の原料となる粉粒体を供給するための供給口2を設け、機体の右下方、すわわち、篩ボックス10の下流側には篩の網目を通過することができなかった分離物(オーバーテール)用の分離物排出口3が設けられている。そして、篩ボックス10内には、3段に積み重ねられた篩4…が設けられ、該篩4…は篩ボックス10の長手方向、すなわち、上流側から下流側に向かって順次目幅が大きくなるように複数配設されている。これら篩4…の下方には、粉粒体の捕集装置となる内側トラフ5と外側トラフ6とが配置され(図4参照)、篩落とされた粉粒体がこれら内側トラフ5,外側トラフ6に集められ、さらに、内側トラフ5には中央落下口7と連絡して篩4…を通過した粉粒体を機外に取り出す構成であり、外側トラフ6にはメッシュの大きい篩4…を通過した上流側落下口8と、メッシュの小さい篩4…を通過した下流側落下口9とにそれぞれ連絡し、粒度の異なる粉粒体を機外に取り出すことができる構成となっている。符号50は落下口を切り替えるための製品誘導フラップであり、符号51は吸気口であり、符号52は原料供給フィーダである。
【0018】
<振動構成>
前記各篩4…は篩ボックス10内に収納され、該篩ボックス10は少なくとも4本の脚部11…により支持台12上に支承させるとともに、前記各脚部11…下端の座部24と支持台12の座部27との間に、振動部材としての中空ゴムばね13…及び横揺防振部材14…が介挿されている。これにより、消耗品である中空ゴムばね13…は、座部24,27を取り外すことで、簡単に機外に取り出すことができ、メンテナンスが容易で、交換時間も短縮することができる。そして、各々の脚部11を矩形状に接続する横桁部材49等が組み付けられており、前記脚部11と横桁部材49の供給口2側には、2個のアンバランス振動発生装置15が取り付けられ、矢印A方向(図1の矢印A参照)への直線的な一定方向の振動が発生させられる構成となっている。
前記横揺防振部材14は前後方向(図1の矢印y方向)及び上下方向(図1の矢印z方向)の動きを許容する一方、左右方向(図1の矢印x−x方向)の動きを規制する働きがあり、運転起動時及び運転停止時のアンバランス振動発生装置15による振動方向が安定しない時期にあっても、本来の直線的な振動方向(図1の矢印A方向)の方向づけを行い、篩ボックス10に対する左右方向の横揺れ発生を防止する効果がある。
【0019】
前記アンバランス振動発生装置15は(図2参照)、パイプ状継手15aで回動させることにより、取り付け角度が調節可能であり、さらに、アンバランスの強度もアンバランス錘15bを適宜調節することにより加減される。パイプ状継手15aには2つのアンバランス振動発生装置15が固定されており、逆向きに振動するように電気的に接続されることで、側方へのアンバランス成分は除去され、図1の矢印A方向への純粋な直線的な縦振動が生じる構成である。符号16はアンバランス振動発生装置のカバー体である。
【0020】
<非振動要素>
前記支持台12上の機枠17には、非振動系要素を担持し(図4参照)、機枠17の上端部は左右の篩ボックス10を越えるように概略T字状に形成される。この機枠17は、非振動系要素の一部である、上部の空気分配室18を形成する支持台頭部19を保持する。前記空気分配室18は、複数段の篩4…の下方から上方に空気を貫通させて篩い分けを行い、篩4…を通過した粉混じりの空気を上昇させて吸い込むためのものであり、空気分配室18の内部には、篩4…の長手方向に対し、垂直方向に複数の隔壁(図示せず)が設けられ、該隔壁によって複数室に区分されている。空気分配室18には、その上方を傾斜面18aに形成するとともに、該一対の傾斜面18aの狭まった箇所に篩4…上の風ムラを防止するための整流板20を設け、さらにその先には、集められた空気に渦流を形成するようサイクロン型の吸出し部21が接続される。該吸出し部21からは吸引排気管23を介して図示しない吸引排風機に接続される。符号22は空気の吸い込み量を調節するための開閉バルブである。
【0021】
<篩ボックス内の構成>
図5に示すように、篩ボックス10に収納される各層の篩4…は、篩ボックス10内に設けられたガイドレール10aによって保持されている。ガイドレール10aは篩ボックス10の前後方向に沿ってそれぞれ設けられており、各篩4…の短辺方向の両端縁を挟持してこれを保持している。そして、篩ボックス10の後端面には、各層の篩層4…ごとに開口部10bが形成されており、各篩層4…ごとに篩ボックス10の後端面側からガイドレール10aに沿って抜き差しすることができる構成となっている。
【0022】
<篩固定手段の構成>
また、図5及び図6に示すように、各篩層4…の後端部4kは、それぞれの篩固定手段30…により押し付けられており、該篩固定手段30の蓋部材31により前記篩ボックス10の開口部10bを封止することにより固定される。本実施形態の篩固定手段30にあっては、篩4…の奥行き方向への締め付け力が調整可能な構成となっている。すなわち、図8、図9及び図10に示すように、篩固定手段30は、前記篩ボックス10の後端面の開口部10bを塞ぐ蓋部材31と、篩4の後端4kを押圧するように矩形状に形成され、かつ、オーバーテールを移送するための滑面状のステンレス製板34及び開口部10bからの粉漏れを防止するためのシール35a,35bが上面に貼着された本体32と、該本体32と前記蓋部材31とを連結する一対のノブボルト33a,33bとから主要部が構成される。
【0023】
前記蓋部材31には前記ノブボルト33a,33bを螺合する一対のねじ孔が螺刻されており、前記蓋部材31から本体32に向けてノブボルト33a,33bが螺入される。このとき、ノブボルト33a,33bのボルト部36a,36bは、前記蓋部材31と前記本体32との間において弾性部材としてのコイルスプリング37a,37bを介装し、本体32においては枠部32aに穿設した取り付け孔32bに挿通した後、ダブルナット38で固定される(図10参照)。これにより、前記本体32と前記蓋部材31との間は、ノブボルト33a,33b及びコイルスプリング37a,37bによって弾性力を保持しながら連結することができる。なお、図8、図9及び図10において、符号39は、コイルスプリング37a,37bを固定するダブルナットであり、符号40は、ワッシャーであり、符号41は、前記ノブボルト33a,33bを固定するストッパーである。
【0024】
<篩固定手段の作用>
上記構成の篩固定手段30の作用を説明すると、ノブボルト33a,33bの回動調節により、前記本体32と前記蓋部材31との間隔が広狭調節可能となり、間隔を広げた場合は前記本体32が前側方向に伸びて篩4…に対する奥行き方向への押し付け力が強く調整され、間隔を狭めれば前記本体32が後側方向に縮むために篩4…に対する奥行き方向への押し付け力が弱く調整される。
【0025】
<封止手段>
また、前記蓋部材31には、篩ボックス10の開口部10bと前記蓋部材31とを手動で開閉操作が可能な封止手段42a,42bが取り付けられる。この封止手段42a,42bは、一対のハンドル43a,43bを引き起こすと止め金具44a,44bが後退して、ばね57による止め金具44a,44bと開口部10bの縁との付勢力が弱まり、さらに、ハンドル44a,44bを回転することにより、前記止め金具44a,44bと開口部10bの縁との係着が開放され、開閉操作が可能となるものである。この封止手段42a,42bとしては市販品を使用することが可能であり、例えば、株式会社栃木屋製の型式THA-164を使用することができる。
【0026】
<オーバーテール排出口>
一方、各段の篩4…を押圧する篩固定手段30…には、各段の篩層4…からのオーバーテールを分離物排出口3に誘導する排出口45…が形成される。すなわち、図6に示すように、上段(第1段目)の篩固定手段30aには、本体32aと蓋部材31aとの間の空間部に排出口45aが1箇所形成され、中段(第2段目)の篩固定手段30bには、前記同様の排出口45aに、上段のステンレス製板34の後部側半分を切欠いた排出口45bを並設して2箇所の排出口45a,45bが形成され、さらに、下段(第3段目)の篩固定手段30cには、前記同様の排出口45a,45bに、中段のステンレス製板34aを切り欠いた排出口36cを並設して3箇所の排出口45a,45b,45cが形成されている。
【0027】
以上の構成により、上段(第1段目)の篩層4aからのオーバーテールは、図6の実線の矢印で示すように、篩固定手段30aの本体32a上面のステンレス製板34を通過後、上段から下段に形成した3つの排出口45aを通過して分離物排出口3に誘導され、中段(第2段目)の篩層4bからのオーバーテールは、図6の破線の矢印で示すように、篩固定手段30bの本体32b上面のステンレス製板34aを通過後、中段から下段に形成した2つの排出口45bを通過して分離物排出口3に誘導され、下段(第3段目)の篩層4cからのオーバーテールは、図6の一点鎖線の矢印で示すように、篩固定手段30cに形成した排出口45cを通過して分離物排出口3に誘導されることになる。つまり、排出口45a,45b,45cが、篩層4a,4b,4cごとにオーバーテールを誘導する分離機能を有するのである。
【0028】
<分離物排出部>
また、図7に示すように、篩ボックス10の下流側には、篩ボックス10から流下するオーバーテールを分離物排出口3に導く分離物排出樋46が取り付けられている。この分離物排出樋46は、内部にそれぞれ所定の隙間をおいて隔壁47,48が配設され、該隔壁47,48のさらに下方には分岐弁53,54(図11参照)の切り換え操作つまみ55,56が設けられる。これにより、分岐弁53,54を中立の位置に設定したときは(図11の実線で示した分岐弁53,54を参照。)、上段(第1段目)の篩層4aからのオーバーテールを分離物排出口3aに、中段(第2段目)の篩層4bからのオーバーテールを分離物排出口3bに、下段(第3段目)の篩層4cからのオーバーテールを分離物排出口3cに、それぞれ分離して排出することができる。
【0029】
ここで、図11に示すように、分岐弁53,54をそれぞれ符号53a,54aのように切り換えて分離物排出口3a,3cを塞ぐように設定すると、上段(第1段目)の篩層4a、中段(第2段目)の篩層4b及び下段(第3段目)の篩層4cからの全てのオーバーテールを集約して分離物排出口3bから排出することができる。また、図12に示すように、分岐弁53,54をそれぞれ符号53b,54bのように切り換えて分離物排出口3bを塞ぐように設定すると、オーバーテールを分離物排出口3a,3cの二方向に分岐して排出することができる。
すなわち、製粉工場においては、ブレーキ(break)からリダクション(reduction)までの各工程に用いられる個々の機械の種類、台数及び仕様が、工場ごとに異なっているため、各製粉工場の製粉工程図に応じて前記分岐弁53,54の切り換えを設定することができる。
【0030】
<作用>
次に、上記構成における作用を説明する。まず、準備段階として、図5及び図6に示すように、篩ボックス10の各段のガイドレール10a(図5参照)に沿ってメッシュの異なる4枚の篩4…を組み込んでいくのであるが、篩ボックス10には篩目の細かいものから順次挿入していく。すなわち、最初の篩目の大きさは、そのストックが、前工程のシフターでオーバーした篩目より粗いものを用い、4枚目の篩には、そのストックが前のシフターでスルーした篩目より粗いか、少なくとも同じ番手を用いるのが好ましい。
そして、上段(第1段目)、中段(第2段目)及び下段(第3段目)からなる本実施形態のピュリファイヤー1にあっては、例えば、上段(第1段目)の篩層4aとして、24番手、22番手、20番手及び18番手の4枚の篩を組み込み、中段(第2段目)の篩層4bとして、26番手、24番手、22番手及び18番手の4枚の篩を組み込み、下段(第3段目)の篩層4cとして、32番手、28番手、26番手及び22番手の4枚の篩を組み込むとよい。
【0031】
上記のように篩ボックス10内に複数枚の篩4…を組み込んだ後は、図5及び図6に示すように、各篩層4…の後端部4kに篩固定手段30…を押し付けて押圧するとともに、蓋部材31により前記篩ボックス10の開口部10bを封止して固定する。すなわち、蓋部材31に取り付けたハンドル44a,44bを引き起こして手で持ち、該ハンドル44a,44bを回転させることにより、前記止め金具44a,44bが開口部10bの縁と係着され、さらに、ハンドル44a,44bを押し倒すことで、止め金具44a,44bが前記開口部10bの縁にばね57によって付勢されて固定される。
【0032】
次に、ストッパー41を緩めて、蓋部材31に取り付けられたノブボルト33a,33bを回動調節すると、篩固定手段30の本体32と蓋部材31との間隔Lが広狭調節可能となる。すなわち、各段に組み込んだ番手の異なる4枚の各篩4…間に若干の隙間が生じると、これが「がたつき」の原因となるが、本体32と蓋部材31との間隔Lを広げると、前記本体32が篩ボックス10の前側方向に伸びて篩4…に対する奥行き方向への押し付け力が強く調整され、実質的に隙間が零となり、押し付けが十分となる。これにより、篩4…相互の圧接が適切となって「がたつき」がなくなり、篩選別時の激しい振動下であっても、シール機能が十分に働き、粉漏れを防止することが可能となる。
【0033】
一方、各篩4…の組み替えを行うなどの押し付け力を弱めたい場合には、本体32と蓋部材31との間隔を狭めれば、前記本体32が後側方向に縮むために篩4…に対する奥行き方向への押し付け力が弱く調整される。上記調整が終了すると、ストッパー41を締め付けてノブボルト33a,33bを固定する。
【0034】
次に、ピュリファイヤー1を起動することになる。まず、2個のアンバランス振動発生装置15を作動させると、篩ボックス10及び内側トラフ5,外側トラフ6が振動を開始する。このとき、横揺防振部材14により左右方向(図1の矢印x方向)の動きが規制され、本来の直線的な振動方向(図1の矢印A方向)の方向づけを行い、篩ボックス10に対する左右方向の横揺れ発生が防止される。また、吸引排気管23に連絡した吸引排風機(図示せず)の作動により吸気口51から空気が吸引され、篩ボックス10の篩4…の下方から上方に向けて上昇気流が発生する。
【0035】
分級純化する前の原料となる粉粒体は供給口2から原料供給フィーダ52に供給され、原料供給フィーダ52で幅広に整流されてから篩4…上に供給される。前後にわずかに傾架した篩4…上の粉粒体は前後方向(図1のA方向)の振動によって下流側に流れ、粉粒体が篩4…上で揺動されることにより、重い粒子は下に沈み軽い粒子は上に浮かぶ。そして、篩4…を下方から上方に通過する上昇気流によって軽い皮部が浮き上がり、重い粒子はそのまま残り、セモリナ粒子は篩4…の網目を通り下段の篩4b,4c上に落下していく。篩4…は上流側から下流側に亘り順次網目が粗くなっているので、上流側の篩4…から落下するセモリナ粒子は粒度が細かく、下流側の篩4…から落下するセモリナ粒子は粒度が大きい。また、篩4…から落下しない皮部を含んだオーバーテールは、各段の篩4…を押圧する篩固定手段30…の排出口45…に至る。
【0036】
すなわち、図6に示すように、上段(第1段目)の篩層4aからは、上面のステンレス製板34を通過後、上段から下段に形成した3つの排出口45aを通過して分離物排出口3に誘導され、中段(第2段目)の篩層4bからのオーバーテールは、図6の破線の矢印で示すように、篩固定手段30bの本体32b上面のステンレス製板34aを通過後、中段から下段に形成した2つの排出口45bを通過して分離物排出口3に誘導され、下段(第3段目)の篩層4cからのオーバーテールは、図6の一点鎖線の矢印で示すように、篩固定手段30cに形成した排出口45cを通過して分離物排出樋46を介して分離物排出口3に誘導されることになる。
【0037】
また、図11に示すように、分離物排出樋46において、分岐弁53,54を中立の位置に設定したときは、上段(第1段目)の篩層4aからのオーバーテールを分離物排出口3aに、中段(第2段目)の篩層4bからのオーバーテールを分離物排出口3bに、下段(第3段目)の篩層4cからのオーバーテールを分離物排出口3cに、それぞれ分離して排出される。また、この分岐弁53,54は、各製粉工場の製粉工程図に応じて前記分岐弁53,54の切り換えを設定することができる。
【0038】
篩4…から落下したセモリナ粒子は、内側トラフ5,外側トラフ6により捕集されて分級される。つまり、篩落とされたセモリナ粒子がこれら内側トラフ5,外側トラフ6に集められ、さらに、内側トラフ5には1個の中央落下口7と連絡して篩を通過したセモリナ粒子を機外に取り出す構成であり、外側トラフ6には番手の大きい篩を通過した上流側落下口8と、番手の小さい篩を通過した下流側落下口9とにそれぞれ連絡して粒度の異なるセモリナ粒子が機外に取り出される。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、篩ボックス10内にメッシュの異なる篩4…を取り外す際には、蓋部材31に取り付けた封止手段42a,42bのハンドル44a,44bを引き起こして手で持ち、該ハンドル44a,44bを回転させることにより、止め金具44a,44bと開口部10bの縁との係着が外れ、蓋部材31を開口部10bから取り外すことができる。そして、篩4…を篩ボックス10のガイドレール10aに沿って引き抜くことで、篩4…を篩ボックス10から取り外すことができる。
【0040】
一方、篩4…を篩ボックス10に組み付ける際には、篩ボックス10内に複数枚の篩4…を組み込んだ後、各篩層4…の後端部4kに本体32を押圧するとともに、蓋部材31に取り付けた封止手段42a,42bのハンドル44a,44bを引き起こして手で持ち、該ハンドル44a,44bを回転させることにより、止め金具44a,44bが開口部10bの縁に係着され、さらに、ハンドル44a,44bを押し倒すことで、止め金具44a,44bが前記開口部10bの縁にばね57によって付勢されて固定される。これにより、篩4…の篩ボックス10への組み付け取り外し作業を容易かつ迅速に行なうことができる。
【0041】
そして、蓋部材31に取り付けられたノブボルト33a,33bを回動調節して、篩固定手段30の本体32と蓋部材31との間隔Lが広くなるように調節する。すなわち、本体32が篩ボックス10の前側方向に伸びて篩4…に対する奥行き方向への押し付け力が強く調整され、各篩4…間の隙間が実質的に零となり、押し付けが十分となる。これにより、篩4…相互の圧接が適切となって「がたつき」がなくなり、篩選別時の激しい振動下であっても、シール機能が十分に働き、粉漏れを防止することが可能となる。
【0042】
また、上段(第1段目)の篩固定手段30aには、本体32aと蓋部材31aとの間の空間部にオーバーテール用の排出口45aを1箇所形成し、中段(第2段目)の篩固定手段30bには、前記排出口45aに加えて本体32bの後部側半分を切欠いた排出口45bを並設してオーバーテール用の排出口を2箇所形成し、さらに、下段(第3段目)の篩固定手段30cには、前記2箇所の排出口45a,45bに加えて本体32cの前部側半分を切欠いた排出口45cを並設してオーバー物の排出口を3箇所形成しているから、上段(第1段目)の篩層4aからのオーバーテールは、図6の実線の矢印で示すように、上段から下段に形成した3つの排出口45aを通過して分離物排出口3に誘導され、中段(第2段目)の篩層4bからのオーバーテールは、図6の破線の矢印で示すように、中段及び下段に形成した2つの排出口45bを通過して分離物排出口3に誘導され、下段(第3段目)の篩層4cからのオーバーテールは、図6の一点鎖線の矢印で示すように、1つの排出口45cを通過して分離物排出口3に誘導されることになる。つまり、排出口45a,45b,45cが、篩層4a,4b,4cごとにオーバーテールを誘導する分離機能を有するようになる。
【0043】
さらに、篩ボックス10には、その下流側にオーバーテールを排出する分離物排出樋46が取り付けられ、該分離物排出樋46には、その内部にそれぞれ所定の隙間をおいて複数の隔壁47,48が配設され、該複数の隔壁47,48のさらに下方に、上段の篩層4a、中段の篩層4b及び下段の篩層4cのオーバーテールを集約して1箇所の排出口3bから排出するか、又は上段の篩層4a、中段の篩層4b及び下段の篩層4cのオーバーテールを二分して2箇所の排出口3a,3cから排出するか、又は上段の篩層4a、中段の篩層4b及び下段の篩層4cごとにオーバーテールを分離して3箇所の排出口3a,3b,3cから排出するかを選択することが可能な複数の分岐弁53,54を設けているから、製粉工場の製粉工程図に応じて前記分岐弁53,54の切り換えを設定することができ、機械の種類、台数及び仕様が工場ごとに異なった場合であっても適宜対応することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
篩の振動作用と篩の下方から上方に抜ける空気流の作用とを併用したピュリファイヤーや、振動系構成要素と非振動系構成要素とに分かれる篩装置などに適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ピュリファイヤー
2 供給口
3 分離物排出口
4 篩
5 内側トラフ
6 外側トラフ
7 中央落下口
8 上流側落下口
9 下流側落下口
10 篩ボックス
11 脚部
12 支持台
13 中空ゴムばね
14 横揺防振部材
15 アンバランス振動発生装置
16 カバー体
17 機枠
18 空気分配室
19 支持台頭部
20 整流板
21 吸出し部
22 開閉バルブ
23 吸引排気管
24 座部
27 座部
30 篩固定手段
31 蓋部材
32 本体
33 ノブボルト
34 ステンレス製板
35 シール
36 ボルト部
37 コイルスプリング
38 ダブルナット
39 ダブルナット
40 ワッシャー
41 ストッパー
42 封止手段
43 ハンドル
44 止め金具
45 排出口
46 分離物排出樋
47 隔壁
48 隔壁
49 横桁部材
50 製品誘導フラップ
51 吸気口
52 原料供給フィーダ
53 分岐弁
54 分岐弁
55 切り換え操作つまみ
56 切り換え操作つまみ
57 ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重ね合わせた複数層の篩を篩ボックス内に傾架させて収納するとともに、該篩ボックスは少なくとも4本の脚部により非振動系要素となる支持台上に支承させ、かつ、前記篩ボックスは振動発生装置に連結して篩ボックスの長手方向に振動可能に形成する一方、前記篩ボックスの上流側には篩分け原料の供給部を、前記篩ボックスの下流側にはオーバー物の排出部をそれぞれ連絡し、前記篩ボックスの下方には篩から落下した粉粒体を捕集する捕集装置を設け、さらに、前記篩ボックスの上方には前記篩の下方から上方に貫通させた空気を吸い込む空気分配室を設けたピュリファイヤーにおいて、
前記篩ボックスは、該篩ボックスの後端面に各層ごとに開口部を形成して該開口部から篩を抜き差し可能な構成とするとともに、前記篩ボックス内の長手方向に形成したガイドレールに各層ごとに複数の篩を保持し、さらに、前記開口部には、該開口部から挿入した複数の篩のうち、最下流側の篩を押圧しながら前記開口部を封止する篩固定手段を設けたものであって、
前記篩固定手段は、前記最下流側の篩の後端を押圧する本体と、前記開口部を封止する蓋部材と、該蓋部材と前記本体との間をネジ嵌合してその間隙を広狭調節可能とした一対のノブボルトと、前記蓋部材と前記本体との間のネジ嵌合部に介装した弾性部材とを備え、さらに、前記蓋部材には、手動操作により前記開口部を封止又は解除することが可能な一対の封止手段を設けたことを特徴とするピュリファイヤー。
【請求項2】
上段、中段及び下段の各層の篩ごとにオーバー物を分離して落下排出させるべく、前記篩固定手段のうち、上段の篩層の篩固定手段は、前記本体と蓋部材との間隙にオーバー物の排出口を1箇所形成し、中段の篩層の篩固定手段は、前記1箇所の排出口に加えて前記本体の後部側を切欠いた排出口を並設してオーバー物の排出口を2箇所形成し、さらに、下段の篩層の篩固定手段は、前記2箇所の排出口に加えて前記本体の前部側を切欠いた排出口を並設してオーバー物の排出口を3箇所形成してなる請求項1記載のピュリファイヤー。
【請求項3】
前記篩ボックスには、その下流側にオーバー物を排出する分離物排出樋が取り付けられ、該分離物排出樋には、内部に所定の隙間をおいて複数の隔壁が配設され、該複数の隔壁のさらに下方に、上段、中段及び下段のオーバー物を集約して1箇所の排出口から排出するか、又は上段、中段及び下段のオーバー物を二分して2箇所の排出口から排出するか、又は上段、中段及び下段の各層の篩ごとにオーバー物を分離して3箇所の排出口から排出するかを選択することが可能な複数の分岐弁を設けてなる請求項1又は2記載のピュリファイヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−240626(P2010−240626A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95620(P2009−95620)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】