説明

ピラゾロピリジン

本発明は、プロテインキナーゼのインヒビターとして有用な化合物に関する。本発明はまた、上記化合物を含む薬学的に受容可能な組成物、および種々の疾患、状態、もしくは障害の処置において上記組成物を使用するための方法を提供する。本発明はまた、本発明の化合物を調製するためのプロセスを提供する。一実施形態において、本発明は、被験体におけるプロテインキナーゼ媒介性状態を処置もしくは予防するための方法であり、上記方法は、上記被験体に、有効量の本発明の化合物もしくは組成物を投与する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願との相互参照)
本願は、2009年5月6日に出願され、「PYRAZOLOPYRIDINES」と題された米国仮特許出願第61/175,897号に対する、米国特許法§119に基づく、優先権を主張する。この仮特許出願の全内容は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
プロテインキナーゼは、細胞内の種々のシグナル伝達プロセスの制御を担う構造的に関連した酵素の大きなファミリーを構成する(Hardie,G and Hanks,S.The Protein Kinase Facts Book, I and II,Academic Press,San Diego,CA:1995を参照のこと)。
【0003】
一般に、プロテインキナーゼは、ヌクレオシド三リン酸から、シグナル伝達に関与するタンパク質アクセプターへのホスホリル転移に影響を与えることによって、細胞内シグナル伝達を媒介する。これらリン酸化事象は、標的タンパク質の生物学的機能を調節もしくは制御し得る分子オン/オフスイッチとして作用する。これらリン酸化事象は、最終的には、種々の細胞外刺激もしくは他の刺激に応答して誘発される。このような刺激の例としては、環境的ストレスシグナルおよび化学的ストレスシグナル(例えば、ショック、熱ショック、紫外線照射、細菌エンドトキシン、およびH)、サイトカイン(例えば、インターロイキン−1(IL−1)および腫瘍壊死因子α(TNF−a)、および増殖因子(例えば、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)、および線維芽細胞増殖因子(FGF))が挙げられる。細胞外刺激は、細胞増殖、移動、分化、ホルモン分泌、転写因子の活性化、筋収縮、グルコース代謝、タンパク質合成の制御、生存および細胞周期の制御に関連する1種以上の細胞応答に影響を及ぼし得る。
【0004】
キナーゼは、これらがリン酸化する基質(例えば、プロテイン−チロシン、プロテイン−セリン/スレオニン、脂質など)によってファミリーに分類され得る。配列モチーフは同定されており、これらキナーゼファミリーの各々に一般に対応する(例えば、Hanks,S.K.,Hunter,T.,FASEB J.1995,9,576−596;Knightonら,Science 1991,253,407−414;Hilesら,Cell 1992,70,419−429;Kunzら,Cell 1993,73,585−596;Garcia−Bustosら,EMBO J 1994,13,2352−2361を参照のこと)。
【0005】
セリン/スレオニンキナーゼ、プロテインキナーゼC−θ(PKC−θ)は、T細胞および骨格筋において選択的に発現される新規なカルシウム非依存性PKCサブファミリーのメンバーである。いくつかの証拠の系統から、PKC−θは、T細胞活性化において必須の役割を有することが示されている。T細胞の抗原刺激の際に、PKC−θは(θであって、他のPKCアイソフォームではない)は、細胞質から、T細胞と抗原提示細胞(APC)との間の細胞接触部位へと迅速に位置を変える。そこで、PKC−θは、中央超分子活性化クラスタ(central supramolecular activation cluster)(cSMAC)といわれる領域にT細胞レセプター(TCR)とともに位置する(Monksら,1997,Nature,385:83−86;Monksら,1998,Nature,395:82−86)。
【0006】
PKC−θは、転写因子AP−1およびNF−κBを選択的に活性化し、TCRおよびCD28共刺激性シグナルを統合し、このことは、IL−2プロモーターにおけるCD28応答エレメント(CD28RE)の活性化をもたらすことが報告された(Baier−Bitterlichら,1996,Mol.Cell.Biol.,16:1842−1850;Coudronniereら,2000,PNAS,97:3394−3399)。T細胞のCD3/CD28共刺激におけるPKC−θの特異的役割は、キナーゼが機能しないPKC−θ変異体の発現、もしくはアンチセンスPKC−θが、CD3/CD28同時刺激されたNF−κB活性化を用量依存的に阻害したが、TNF−α刺激されたNF−κB活性化を阻害しなかった研究において強調される。このことは、他のPKCアイソフォームで認められなかった(Linら,2000,Mol.Cell.Biol.,20:2933−2940)。上記SMACへのPKC−θの補充は、そのN末端調節ドメインによって媒介されると報告され、T細胞活性化に必須である。なぜなら過剰発現されるPKC−θ触媒性フラグメントは、転移せず、NF−κBを活性化できなかったのに対して、PKC−θ触媒性ドメイン−Lck膜結合ドメインキメラは、シグナル伝達を再構築できたからである(Biら,2001,Nat.Immunol.,2:556−563)。
【0007】
上記SMACへのPKC−θの転移は、主に、VavおよびPI3−キナーゼを含むPLC−γ/DAG非依存性機構によって媒介されるようである(Villalbaら,2002,JCB 157:253−263)。その一方で、PKC−θの活性化は、Lck、ZAP−70、SLP−76、PLC−γ、VavおよびPI3−キナーゼを含むいくつかのシグナル伝達成分からの入力を必要とする(Liuら,2000,JBC,275:3606−3609;Herndonら,2001,J.Immunol.,166:5654−5664;Dienzら,2002,J.Immunol.,169:365−372;Bauerら,2001 JBC.,276:31627−31634)。ヒトT細胞におけるこれら生化学的研究は、T細胞機能におけるこの酵素の非常に重大な役割を確認したPKC−θノックアウトマウスにおける研究から信憑性を得た。PKC−θ−/−マウスは、健康でありかつ繁殖能があり、正常に発生した免疫系を有するが、成熟T細胞活性化において顕著な障害を示す(Sunら,200,Nature,404:402−407)。TCRおよびTCR/CD28同時刺激に対する増殖応答は、抗原に対するインビボ応答においてあったように阻害された(>90%)。ヒトT細胞での研究と一致して、転写因子AP−1およびNF−κBの活性化は、除去され、IL−2生成およびIL−2 Rアップレギュレーションにおいて重篤な欠損を生じた(Baier−Bitterlichら,1996,MBC,16,1842;Linら,2000,MCB,20,2933;Courdonniere,2000,97,3394)。より最近になって、PKC−θ欠損マウスにおける研究から、自己免疫疾患(多発性硬化症(MS)、関節リウマチ(RA)および過敏性腸疾患(IBD)が挙げられる)のマウスモデルの発生におけるPKC−θの役割が示された(Salek−Ardakaniら,2006;Tanら,2006;Healyら,2006;Andersonら,2006)。これらモデルにおいて、PKC−θ欠損マウスは、発生および自己反応性T細胞のエフェクター機能における顕著な欠陥と関連した、疾患重篤度における顕著な低下を示した。
【0008】
T細胞活性化におけるその役割に加えて、PKC−θは、T細胞をFas誘導性およびUV誘導性のアポトーシスから防御するホルボールエステル誘発性生存シグナルを媒介すると報告されている(Villalbaら,2001,J.Immunol.166:5955−5963;Berttolottoら,2000,275:37246−37250)。この生存促進の役割(pro−survival role)は、興味深い。なぜなら、上記ヒトPKC−θ遺伝子は、T細胞白血病およびリンパ腫をもたらす変異と関連する領域である第10染色体(10p15)にマッピングされたからである(Erdelら,1995,Genomics 25:295−297;Vermaら,1987,J.Cancer Res.Clin.Oncol.,113:192−196)。
【0009】
インビボでは、感染に対する免疫応答におけるPKC−θの役割は、遭遇した病原体のタイプに依存する。PKC−θ欠損マウスは、いくつかのウイルス感染および原虫寄生生物(Leishmania major)に対する正常なTh1および細胞傷害性T細胞媒介性応答を誘発し、これら感染を効率的に一掃する(Marslandら,2004;Berg−Brownら,2004;Marslandら,2005;Giannoniら,2005)。しかし、PKC−θ欠損マウスは、寄生生物であるNippostrongylus brasiliensisおよび特定のアレルゲンに対する正常なTh2 T細胞応答を遂行できず(Marslandら,2004;Salek−Ardakaniら,2004)、Listeria monocytogenes感染を一掃できない(Sakowicz−Burkiewiczら,2008)。明らかに、いくつかの状況では、T細胞活性化においてPKC−θが必要であることは回避され得、このことは、先天的免疫系の細胞から、もしくは病原体関連分子パターン(PAMP)の形態で病原体から直接のいずれかで、T細胞へのさらなるシグナルの提供を必然的に伴うようである(Marslandら,2007)。
【0010】
より最近になって、PKC−θ欠損マウスにおける研究から、自己免疫疾患(多発性硬化症、関節リウマチおよび炎症性腸疾患が挙げられる)のマウスモデルの発生におけるPKC−θの役割が示された。試験された全ての場合において、PKC−θ欠損マウスは、新たに発見されたT細胞クラスであるTh17細胞の発生の顕著な欠損と関連した疾患重篤度の顕著な低下を示した(Salek−Ardakaniら,2006;Tanら,2006;Healyら,2006;Andersonら,2006;Nagahamaら,2008)。従って、PKC−θは、自己免疫の状況において病原性の自己反応性Th17細胞の発生に必須であるようである。これらの観察は、PKC−θを標的とすることが、自己免疫T細胞応答を標的とする方法を提供し、多くのT細胞応答(例えば、ウイルス感染に対する)を損なわないようにしておくという観念を裏付ける。
【0011】
T細胞活性化におけるその役割に加えて、PKC−θは、Fas誘導性およびUV誘導性のアポトーシスからT細胞を防御するホルボールエステル誘発性生存シグナルを媒介する(Villalbaら,非特許文献1;Berttolottoら,非特許文献2)。この生存促進役割は、興味深い。なぜなら、上記ヒトPKC−θ遺伝子は、T細胞白血病およびリンパ腫をもたらす変異と関連する領域である第10染色体(10p15)にマッピングされたからである(Erdelら,非特許文献3;Vermaら,非特許文献4)。
【0012】
まとめると、これらデータは、PKC−θが、炎症性障害、免疫障害、リンパ腫およびT細胞白血病における治療的介入の魅力的な標的であることを示す。
【0013】
よって、プロテインキナーゼのインヒビターとして有用な化合物を開発することが大いに必要である。特に、PKC−θのようなキナーゼのインヒビターとして有用である化合物を開発することは、特に、それらの活性化に関与する障害の大部分について現在利用可能な不適切な処置を仮定すると、望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】J.Immunol.2001,166:5955−5963
【非特許文献2】J.Immunol.2000,275:37246−37250
【非特許文献3】Genomics 1995,25:295−297
【非特許文献4】J.Cancer Res.Clin.Oncol.1987,113:192−196
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
本発明は、一般に、キナーゼインヒビターとして有用な化合物を提供する。
【0016】
一実施形態において、本発明の化合物は、構造式Iもしくは構造式IA:
【0017】
【化1】

もしくはその薬学的に受容可能な塩によって表される。
【0018】
各環Aは、独立して、1個以上のRで必要に応じて置換された5員のヘテロ芳香族環である。
【0019】
環Bは、5員もしくは6員の飽和炭素環式もしくは複素環式環である。
【0020】
各Rは、−H、ハロゲン、−CN、−NO、もしくは−T1−Q1である。
【0021】
T1は、存在しないかもしくはC1−10脂肪族であり、ここでT1の1個以上のメチレンユニットは、必要に応じてかつ独立してGで置き換えられ、ここでGは、−O−、−S(O)−、−N(R’)−、もしくは−C(O)−であり;そしてT1は、1個以上のJT1で必要に応じてかつ独立して置き換えられる。
【0022】
Q1は、存在しないか、またはO、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分飽和、もしくは完全に不飽和の単環式環、またはO、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和、もしくは完全に不飽和の二環式環であり、ここでQ1は、1個以上のJQ1で必要に応じてかつ独立して置換され;ここでRがT1−Q1である場合、TIおよびQ1は、ともに不在ではない。
【0023】
は、−H、−(CR++CN、−(CR++C(O)N(R*)、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、−(CR++N(R*)C(O)R*、または1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−10脂肪族、またはフェニルである。
【0024】
各RおよびRは、独立して、−H、ハロゲン、C1−10脂肪族、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、もしくはアラルキルであり、ここでRおよびRは、C1−10アルキル、ハロゲン、−CN、−NO、−N(R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)N(R、−NRC(O)、−OC(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R*)C(O)N(Rおよび−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されているか;あるいはRおよびRは、これらが結合される炭素と一緒になって、C=O、またはO、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分飽和、もしくは完全に不飽和の単環式環を形成し、ここで上記環は、=O、=S、=N−R、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−NO、−N(R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)N(R、−NRC(O)、−OC(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R*)C(O)N(Rおよび−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されている。
【0025】
各RおよびRは、独立して、−H、ハロゲン、C1−10ハロ脂肪族、もしくはC1−10脂肪族である。
【0026】
各Rは、独立して、C1−10ハロ脂肪族、C1−10脂肪族、ハロゲン、−NO、−(CR++CN、−(CR++N(R**、−(CR++OR**、もしくは−(CR++C(O)N(R**であるか、または2個のR基は、これらが結合される炭素と一緒になって、C=Oを形成する。
【0027】
各JT1は、独立して、ハロゲン、−OR、−N(R、もしくは−CNである。
【0028】
各JQ1は、独立して、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、−OR’’、−N(R’’)、−CN、−NO、−S(O)’’、−S(O)NR’’、−C(O)N(R’’)、−N(R”)C(O)R”、アシル、カルボアルコキシアルキル、もしくはアセトキシアルキルである。
【0029】
各R++は、独立して、−Hもしくはハロゲンである。
【0030】
各R’は、独立して、−Hもしくは最大5個までのハロゲン基で必要に応じてかつ独立して置換されたC1−10アルキルである。
【0031】
各Rは、独立して、−H、C1−10アルキル、もしくはアラルキルであり、ここで各Rは、最大5個までのハロゲン基で必要に応じてかつ独立して置換される。
【0032】
各R’’は、独立して、−Hもしくは最大5個までのハロゲン基で必要に応じてかつ独立して置換されたC1−10アルキルである。
【0033】
各Rは、独立して、−Hまたは最大5個までのハロゲン基で必要に応じてかつ独立して置換されたC1−10アルキルもしくはアラルキルである。
【0034】
各R**は、独立して、−Hもしくは最大5個までのハロゲン基で必要に応じてかつ独立して置換されたC1−10アルキルである。
【0035】
yは、0、1もしくは2である。
【0036】
各nは、独立して、0、もしくは1〜10である。
【0037】
pは、独立して、0、1、もしくは2である。
【0038】
一実施形態において、本発明は、被験体におけるプロテインキナーゼ媒介性状態を処置もしくは予防するための方法であり、上記方法は、上記被験体に、有効量の本発明の化合物もしくは組成物を投与する工程を包含する。
【0039】
一実施形態において、本発明は、被験体におけるプロテインキナーゼ媒介性状態を処置もしくは予防することにおいて使用するための本発明の化合物もしくは組成物の製造である。
【0040】
別の実施形態において、本発明の化合物および組成物はまた、生物学的現象および病理学的現象におけるキナーゼの研究;このようなキナーゼによって媒介される細胞内シグナル伝達の研究;および新たなキナーゼインヒビターの比較評価に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(発明の詳細な説明)
本発明は、プロテインキナーゼインヒビターとして有用な化合物および組成物(例えば、薬学的組成物)に関する。
【0042】
一実施形態において、本発明の化合物および組成物は、PKCθのインヒビターとして有効である。
【0043】
本発明の化合物は、本明細書で一般的に記載されるものを含み、本明細書中で開示されるクラス、サブクラス、および種によってさらに示される。本明細書で使用される場合、以下の定義は、別段示されなければ、適用されるものとする。本発明の目的のために、化学元素は、元素周期表(CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed)に従って同定される。さらに、有機化学の一般原則は、「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、および「March’s Advanced Organic Chemistry」,5th Ed.,Ed.:Smith,M.B. and March,J.,John Wiley & Sons,New York:2001(これらの内容全体が、本明細書に参考として援用される)に記載されている。
【0044】
第1の実施形態において、本発明の化合物は、構造式Iによって表され、変数の残りは、上記に記載されるとおりである。代替の実施形態において、本発明の化合物は、構造式IAによって表され、変数の残りは、上記に記載されるとおりである。
【0045】
式Iおよび式IAによって表される化合物の第2の実施形態において、各Rは、独立して、−H、ハロゲン、もしくは−T1−Q1であり、上記変数の残りは、第1の実施形態に記載されるとおりである。
【0046】
式Iおよび式IAによって表される化合物の第3の実施形態において、T1は、存在しないか、またはC1−10脂肪族であり、ここでT1の最大3個までのメチレンユニットが、Gで必要に応じてかつ独立して置換され、ここでGは、−O−、−N(R’)−、もしくは−C(O)−であり;そしてT1は、1個以上のJT1で必要に応じてかつ独立して置き換えられる。Q1は、存在しないか、またはO、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分飽和、もしくは完全に不飽和の単環式環であり、ここでQ1は、1個以上のJQ1で必要に応じてかつ独立して置換され、上記変数の残りは、第2の実施形態に記載されるとおりである。
【0047】
式Iおよび式IAによって表される化合物の第4の実施形態において、各JT1は、独立して、−OR、−N(R、もしくは−CNである。各JQ1は、独立して、C1−10アルキル、−OR’’、−N(R’’)、もしくはアシルであり、上記変数の残りは、第3の実施形態に記載されるとおりである。
【0048】
式Iによって表される化合物の第5の実施形態において、Rは、−H、−(CR++CN、−(CR++C(O)N(R*)、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−3脂肪族である。各RおよびRは、独立して、−H、C1−10脂肪族、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、もしくはアラルキルであり、ここでRおよびRは、ハロゲン、−CN、−NO、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されるか;あるいはRおよびRは、これらが結合される炭素と一緒になって、C=O、またはO、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分飽和、もしくは完全に不飽和の単環式環を形成し、ここで上記環は、=O、=S、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換され、上記変数の残りは、第4の実施形態に記載されるとおりである。
【0049】
式Iによって表される化合物の第6の実施形態において、各RおよびRは、独立して、−H、C1−10脂肪族、シクロアルキルアルキルであり、ここでRおよびRは、ハロゲン、−CN、−NO、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されるか;あるいはRおよびRは、これらが結合される炭素と一緒になって、C=O、またはO、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分飽和、もしくは完全に不飽和の単環式環を形成し、ここで上記環は、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して選択され、上記変数の残りは、第1の実施形態に記載されるとおりである。
【0050】
式Iおよび式IAによって表される化合物の第7の実施形態において、JT1は、−ORであり、上記変数の残りは、第6の実施形態に記載されるとおりである。
【0051】
式Iによって表される化合物の第8の実施形態において、Rは、−H、−(CR++CN、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−3脂肪族であり、上記変数野のことは、第7の実施形態に記載されるとおりである。
【0052】
式Iおよび式IAによって表される化合物の第9の実施形態において、Rは、−H、−(CR++CN、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−3脂肪族である。RおよびRは、これらが結合される炭素と一緒になって、O、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、もしくは部分飽和の単環式環を形成し、ここで上記環は、=O、=S、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換され、上記変数の残りは、第8の実施形態に記載されるとおりである。
【0053】
式Iによって表される化合物の第10の実施形態において、Rは、−H、−(CR++CN、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−3脂肪族である。RおよびRは、これらが結合される炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、オキセタニル、イミダゾリニル、チアゾリジニル、もしくはオキサゾリジニルからなる群より選択される単環式環を形成し、ここで上記環は、=O、=S、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換され、上記変数の残りは、第9の実施形態に記載されるとおりである。
【0054】
式Iによって表される化合物の第11の実施形態において、Rは、−H、−(CR++CN、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−3脂肪族である。RおよびRは、これらが結合される炭素と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、オキセタニル、イミダゾリニル、チアゾリジニル、もしくはオキサゾリジニルからなる群より選択される単環式環を形成し、ここで上記環は、=O、=S、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換され、上記変数の残りは、第10の実施形態に記載されるとおりである。
【0055】
式Iおよび式IAによって表される化合物の第12の実施形態において、Rは、−H、−(CR++CN、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−3脂肪族である。RおよびRは、これらが結合される炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、もしくはシクロペンチルからなる群より選択される単環式環を形成し、ここで上記環は、=O、=S、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換され、上記変数の残りは、第11の実施形態に記載されるとおりである。
【0056】
式Iによって表される化合物の第13の実施形態において、Rは、−H、−(CR++CN、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−3脂肪族である。各RおよびRは、独立して、−H、C1−10脂肪族、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、もしくはアラルキルであり、ここでRおよびRは、ハロゲン、−CN、−NO、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換され、上記変数の残りは、第8の実施形態に記載されるとおりである。
【0057】
式Iおよび式IAによって表される化合物の第14の実施形態において、Rは、−H、Cl、C1−4ハロアルキル、もしくはC1−4アルキルである。Rは、−HもしくはC1−4アルキルであり、上記変数の残りは、第12および第13の実施形態に記載されるとおりである。
【0058】
式Iおよび式IAによって表される化合物の第15の実施形態において、Rは、−H、Cl、トリフルオロメチル、メチル、エチル、もしくはシクロプロピルである。Rは、−Hであり、上記変数の残りは、第14の実施形態に記載されるとおりである。
【0059】
式Iおよび式IAによって表される化合物の第16の実施形態において、Rは、トリフルオロメチルである。Rは、−Hであり、上記変数の残りは、第15の実施形態に記載されるとおりである。
【0060】
式IAによって表される化合物の第17の実施形態において、環Bは、5員もしくは6員の飽和炭素環式環であり、上記変数の残りは、第4の実施形態に記載されるとおりである。
【0061】
式IAによって表される化合物の第18の実施形態において、各Rは、独立して、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−N(R**、もしくは−OR**であるか;または2個のR基は、これらが結合される炭素と一緒になってC=Oを形成し、上記変数の残りは、第17の実施形態に記載されるとおりである。
【0062】
式IAによって表される化合物の第19の実施形態において、Aは、−C(R)−であり、上記変数の残りは、第18の実施形態に記載されるとおりである。
【0063】
式IAによって表される化合物の第20の実施形態において、JT1は、−ORであり、上記変数の残りは、第19の実施形態に記載されるとおりである。
【0064】
式IAによって表される化合物の第21の実施形態において、各JQ1は、独立して、C1−10アルキル、−OR’’、−N(R’’)、もしくはアシルであり、上記変数の残りは、第20の実施形態に記載されるとおりである。
【0065】
式IAによって表される化合物の第22の実施形態において、環Bは、5員の飽和炭素環式環であり、上記変数の残りは、第21の実施形態に記載されるとおりである。
【0066】
本明細書で使用される場合、「1以上」とは、例えば、全ての置換可能な炭素原子が、置換可能であり得る(例えば、最大6個までの炭素原子、最大5個までの炭素原子、最大3個までの炭素原子、最大2個までの炭素原子、もしくは1個の炭素原子が置換可能であり得る)ことを意味する。
【0067】
本明細書で記載される場合、原子の特定の数範囲は、その中の任意の整数を含む。例えば、1〜4個の原子を有する群は、1個、2個、3個、もしくは4個の原子を有し得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「存在しない」および「結合」とは、上記変数がその実施形態において存在しないこと、すなわち、上記変数が、原子もしくは原子の群を表さないことを意味するために交換可能に使用され得る。
【0069】
用語「安定な」とは、本明細書で使用される場合、本明細書で開示される目的のうちの1つ以上のための化合物の生成、検出、回収、貯蔵、精製、および使用を可能にする条件に供される場合に、実質的に変化しない化合物に言及する。いくつかの実施形態において、安定な化合物もしくは化学的に実現可能な化合物は、40℃以下の温度において、水分の非存在下、もしくは他の化学的に反応性の条件下で、少なくとも1週間にわたって維持された場合に、実質的に変化しないものである。
【0070】
用語「脂肪族」もしくは「脂肪族基」とは、本明細書で使用される場合、完全に飽和しているか、または不飽和の単位を1個以上含むが、芳香族ではない、直鎖状(すなわち、非分枝状)、分枝状、もしくは環式の炭化水素鎖を意味する。別段特定されなければ、脂肪族基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態において、脂肪族基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含み、なお他の実施形態において、脂肪族基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。特定の実施形態において、脂肪族基は、直鎖状であってもよいし、分枝状であってもよい。示されなければ、脂肪族基としては、アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基が挙げられるが、これらに限定されない。具体例としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、sec−ブチル、ビニル、メテニル(=CH)、エテニル、n−ブテニル、エチニル、およびtert−ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。具体的には、例としては、例えば、C1−6アルキルで置換されたC1−10脂肪族(シクロヘキシルで置換されたn−ブチレンが挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
用語「アルキル」とは、本明細書で使用される場合、飽和の直鎖状、分枝状、もしくは環式の炭化水素を意味する。用語「アルケニル」とは、本明細書で使用される場合、1個以上の二重結合を含む直鎖状もしくは分枝鎖の炭化水素を意味する。用語「アルキニル」とは、本明細書で使用される場合、1個以上の三重結合を含む直鎖状もしくは分枝鎖の炭化水素を意味する。別段特定されなければ、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜20個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜10個の炭素原子を含む。他の実施形態において、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜8個の炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜6個の炭素原子を含み、なお他の実施形態において、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜4個の炭素原子を含む。
【0072】
用語「シクロ脂肪族」(もしくは「炭素環」もしくは「カルボシクリル」もしくは「炭素環式の」)とは、3〜14個の環炭素原子を有する、飽和であり得るか、もしくは1個以上の不飽和単位を含み得る、非芳香族の単環式もしくは多環式の炭素含有環をいう。上記用語は、多環式の縮合炭素環式環系、スピロ炭素環式環系もしくは架橋された炭素環式環系を含み、ここでラジカルもしくは結合点は、上記炭素環式環上にある。上記用語はまた、上記炭素環式環が1個以上の非芳香族炭素環式環もしくは複素環式環、または1個以上の芳香族環あるいはこれらの組み合わせに結合され得る多環式環系を含み、ここでラジカルもしくは結合点は、上記炭素環式環上にある。縮合二環式環系は、2個の隣接する環原子を共有する2個の環を含み、架橋した二環式基は、3個もしくは4個の隣接する環原子を共有する2個の環を含み、スピロ二環式環系は、1個の環原子を共有する。シクロ脂肪族基の例としては、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基が挙げられるが、これらに限定されない。具体例としては、シクロヘキシル、シクロプロペンチル、およびシクロブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
用語「複素環」(もしくは「ヘテロシクリル」もしくは「複素環式の」)とは、本明細書で使用される場合、3〜14個の環原子(ここで1個以上の環炭素は、ヘテロ原子(例えば、N、S、もしくはO)で置き換えられている)を有する、飽和であり得るかもしくは1個以上の不飽和単位を含み得る非芳香族の単環式もしくは多環式の環をいう。上記用語は、多環式の縮合した複素環式環、スピロ複素環式環もしくは架橋した複素環式環を含み、ここでラジカルもしくは結合点は、上記複素環式環上にある。上記用語はまた、上記複素環式環が、1個以上の非芳香族炭素環式環もしくは複素環式環または1個以上の芳香族環あるいはこれらの組み合わせに結合され得る多環式環系を含み、ここでラジカルもしくは結合点は、上記複素環式環上にある。複素環の例としては、ピペリジニル、ピペラジニル(piperizynyl)、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、トリアゼパニル、アゼチジニルアゾカニル、ジアゾカニル、トリアゾカニル、オキサゾリジニル、オキセテニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリニル、イソチアゾリジニル、オキサゾカニル、オキソアゼパニル、チアゼパニル、チアゾカニル、ベンゾイミダゾリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、モルホリノ(例えば、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノが挙げられる、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−テトラヒドロピペラジニル、2−テトラヒドロピペラジニル、3−テトラヒドロピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、1−ピラゾリニル、3−ピラゾリニル、4−ピラゾリニル、5−ピラゾリニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、2−チアゾリジニル、3−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、5−イミダゾリジニル、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラニル、ベンゾジチアニル、3−(1−アルキル)−ベンゾイミダゾール−2−オンイル、および1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−オンイル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
用語「ヘテロ原子」とは、酸素、硫黄、窒素、リン、もしくはケイ素(窒素、硫黄、リンもしくはケイ素の任意の酸化形態を含む);任意の塩基性窒素の四級化形態または;複素環式環の置換可能な窒素(例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにおけるような)、NH(ピロリジニルにおけるような)もしくはNR(N−置換されたピロリジニルにおけるような))のうちの1つ以上を意味する。
【0075】
用語「不飽和の」とは、本明細書で使用される場合、ある部分が、1個以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0076】
用語「アルコキシ」もしくは「チオアルキル」とは、本明細書で使用される場合、本明細書で定義される場合、酸素原子を介して分子へ結合されるアルキル基(「アルコキシ」、例えば、−O−アルキル)もしくは硫黄原子を介して分子へ結合されるアルキル基(「チオアルキル」、例えば、−S−アルキル)をいう。
【0077】
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロ脂肪族」、および「ハロアルコキシ」(もしくは「アミノアルキル」、「ヒドロキシアルキル」など)は、場合により、1個以上のハロゲン原子(またはアミノもしくはヒドロキシ)で置換されたアルキル、アルケニル、脂肪族、もしくはアルコキシを意味する。用語、ハロアルキルなどとしては、モノ−ハロ置換、ジ−ハロ置換、およびトリ−ハロ置換された基が挙げられる。特に、これら用語は、ペルフルオロ化アルキル基(例えば、−CFおよび−CFCF)を含む。
【0078】
用語「ハロゲン」、「ハロ」、および「hal」とは、F、Cl、Br、もしくはIを意味する。
【0079】
用語「アシル基」とは、−C(O)Rであって、ここでRは、本明細書で定義される、脂肪族基、もしくは本明細書で定義される、アリール基であるものである。
【0080】
単独で、または「ヘテロアリール」、「アラルキル」、「アラルコキシ」、もしくは「アリールオキシアルキル」におけるようなより大きな部分の一部として使用される用語「アリール」は、炭素環式および/もしくは複素環式の芳香族環系の両方をいう。用語「アリール」は、用語「アリール環」と交換可能に使用され得る。
【0081】
炭素環式芳香族環基は、炭素環原子のみ(代表的には、6〜14個)を有し、単環式芳香族環(例えば、フェニル)および縮合した多環式芳香族環系(ここで1個の単環式芳香族環が、1個以上の芳香族環に縮合されている)を含み、ここでラジカルもしくは結合点は、上記炭素環式芳香族環上にある。例としては、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシル、および2−アントラシルが挙げられる。本明細書で使用される場合、用語「単環式芳香族環」の範囲内に含まれるのは、芳香族環が1個以上の非芳香族環(炭素環式もしくは複素環式)(例えば、インダニル、フタルイミジル、ナフトイミジル、フェナントリジニル、もしくはテトラヒドロナフチルにおいて)に縮合される基であり、ここでラジカルもしくは結合点は、上記炭素環式芳香族環上にある。
【0082】
単独で、または「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアリールアルコキシ」におけるようにより大きな部分の一部として使用される用語「ヘテロアリール」、「ヘテロ芳香族」、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」および「ヘテロ芳香族基」とは、単環式ヘテロ芳香族環および多環式芳香族環(ここで単環式ヘテロアリール環は、1個以上の他の芳香族環に縮合されている)を含む5〜14員を有するヘテロ芳香族環基をいい、ここでラジカルもしくは結合点は、上記ヘテロアリール環上にある。ヘテロアリール基は、1個以上の環ヘテロ原子を有する。また、本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリール」の範囲内に含まれるのは、芳香族環が1個以上の非芳香族環(炭素環式もしくは複素環式)に縮合されている基であり、ここでラジカルもしくは結合点は、上記ヘテロアリール環上にある。二環式の6,5 ヘテロ芳香族環は、本明細書で使用される場合、例えば、第2の5員環に縮合された6員のヘテロ芳香族環であり、ここでラジカルもしくは結合点は、上記6員環上にある。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルもしくはチアジアゾリル(例えば、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、3−ピリダジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−チアゾリル、5−トリアゾリル、テトラゾリル、2−チエニル、3−チエニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、アクリジニル、ベンゾイソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、プリニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、キノリニル(例えば、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル)、およびイソキノリニル(例えば、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、もしくは4−イソキノリニル)が挙げられる)が挙げられる。
【0083】
用語「アラルキル」、「ヘテロアラルキル」、「シクロ脂肪族アルキル」および「ヘテロシクリルアルキル」とは、それぞれ、アリール、ヘテロアリール、シクロ脂肪族、もしくは複素環式基で置換された、本明細書で定義されるアルキル基をいう。
【0084】
用語「保護基(protecting group)」および「保護基(protective group)」とは、本明細書で使用される場合、交換可能であり、複数の反応部位を有する化合物において、1個以上の所望の官能基を一時的にブロックするために使用される試剤をいう。特定の実施形態において、保護基は、以下の特徴のうちの1個以上、もしくは好ましくは全てを有する:a)保護された基質を与えるために、良好な収率で官能基に選択的に付加されること、すなわち、b)他の反応部位のうちの1つ以上で生じる反応に対して安定であること;およびc)再生され、脱保護される官能基を攻撃しない試薬によって、良好な収率で選択的に除去可能であること。当業者によって理解されるように、いくつかの場合において、上記試薬は、上記化合物中で他の反応性基を攻撃しない。他の場合において、上記試薬は、上記化合物における他の反応性基と反応し得る。保護基の例としては、Greene,T.W.,Wuts,P.G、「Protective Groups in Organic Synthesis」,Third Edition,John Wiley & Sons,New York:1999(および上記書籍の他の版)(その内容全体が、本明細書に参考として援用される)に詳述されている。用語「窒素保護基」とは、本明細書で使用される場合、多官能性化合物における1個以上の所望の窒素反応部位を一時的にブロックするために使用される試剤をいう。好ましい窒素保護基はまた、上記の保護基について例示される特徴を有し、特定の例示的な窒素保護基はまた、Greene,T.W.,Wuts,P.G、「Protective Groups in Organic Synthesis」,Third Edition,John Wiley & Sons,New York:1999の第7章(その内容全体が、本明細書に参考として援用される)に詳述されている。
【0085】
いくつかの実施形態において、示される場合、脂肪族基もしくはアルキル基のメチレンユニットは、別の原子もしくは基で必要に応じて置き換えられる。このような原子もしくは基の例としては、−N(R’)−、−O−、−C(O)−、−C(=N−CN)−、−C(=NR’)−、−C(=NOR’)−、−S−、−S(O)−、および−S(O)−が挙げられるが、これらに限定されない。これら原子もしくは基は、より大きな基を形成するために化合され得る。このようなより大きな基の例としては、−OC(O)−、−C(O)CO−、−CO−、−C(O)NR’−、−C(=N−CN)、−N(R’)C(O)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)SO−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−OC(O)N(R’)−、および−N(R’)SON(R’)−(ここでR’は、本明細書で定義される)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
安定な構造を生じる基の他の置き換えおよび組み合わせが、企図される。選択肢的な置換は、鎖の中および/もしくは鎖のいずれかの末端の両方で;すなわち、結合点および/もしくは同様に末端において起こり得る。2個の選択肢的な置換はまた、化学的に安定な化合物を生じる限りにおいて、鎖内部で互いに隣接し得る。上記選択肢的な置き換えはまた、鎖中の上記炭素原子のうちの全てを完全に置き換え得る。例えば、C脂肪族は、−N(R’)−、−C(O)−、および−N(R’)−によって必要に応じて置き換えられて、−N(R’)C(O)N(R’)−(尿素)を形成し得る。
【0087】
別段示されなければ、上記置き換えが末端において起こる場合、上記置き換え原子は、末端のHに結合される。例えば、−CHCHCH中のメチレンユニットが−O−で必要に応じて置き換えられる場合、得られる化合物は、−OCHCH、−CHOCH、もしくは−CHCHOHであり得る。
【0088】
別段示されなければ、本明細書に示される構造はまた、上記構造の全ての異性形態(例えば、鏡像異性形態、ジアステレオマ−形態、幾何形態、コンホメーション形態、および回転形態)を含むことが意味される。例えば、各不斉中心に関するR配置およびS配置、(Z)二重結合異性体および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)配座異性体および(E)配座異性体は、本発明において含まれる。当業者に理解されるとおり、置換基は、任意の回転可能な結合の周りに自由に回転し得る。例えば、
【0089】
【化2】


【0090】
従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体、ならびに鏡像異性混合物、ジアステレオマ−混合物、幾何混合物、配座混合物、および回転混合物は、本発明の範囲内である。
【0091】
別段示されなければ、本発明の化合物の全ての互変異性形態は、本発明の範囲内である。
【0092】
さらに、別段示されなければ、本明細書に示される構造はまた、1個以上の同位体富化された原子の存在のみが異なる化合物を含むことが意味される。例えば、水素が重水素もしくはトリチウムで置き換えられたこと、または炭素が13C富化炭素もしくは14C富化炭素で置き換えられたことを除いて、本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールもしくはプローブとして有用である。
【0093】
本明細書で記載される場合、示される場合、本発明の化合物および基は、1個以上の置換基(例えば、本明細書で一般的に図示されるか、もしくは本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種によって例示されるとおり)で必要に応じて置換され得る。語句「必要に応じて置換された」とは、語句「置換されているかもしくは置換されていない」と交換可能に使用されることが認識される。一般に、用語「置換された」とは、用語「必要に応じて」が前に付随していようがしていまいが、所定の構造における水素ラジカルを、特定の置換基のラジカルで置き換えることに言及する。別段示されなければ、必要に応じて置換された基は、上記基の各置換可能な位置において置換基を有し得、任意の所定の構造において1個より多い位置が特定の基から選択される1個より多い置換基で置換され得る場合、上記置換基は、あらゆる位置で同じであってもよいし、異なっていてもよい。従って、化合物もしくは基が置換されることが示されない場合、上記基は置換されていないことが理解される。すなわち、用語「必要に応じて置換された」もしくは「置換された」が、化合物もしくは基の定義の実例に存在しない場合、上記化合物もしくは基が、その実例において置換されていないことが理解される。例えば、Riは、アルキルであり、Riiは、必要に応じて置換されたアルキルであり、Riiiは、ハロで必要に応じて置換されたアルキルであり、このことは、Rii、およびRiiiが、必要に応じて置換されており、Riは、この実例においては置換されていないことを意味する。
【0094】
安定な構造を生じる置換基のそれらの選択および組み合わせのみが、企図される。このような選択および組み合わせは、当業者に明らかであり、過度な実験なくして決定され得る。
【0095】
用語「環原子」は、芳香族基、シクロアルキル基もしくは非芳香族複素環式基の環中にある原子(例えば、C、N、OもしくはS)である。
【0096】
芳香族基における「置換可能な環原子」とは、水素原子に結合される環炭素原子もしくは環窒素原子である。上記水素は、適切な置換基で必要に応じて置き換えられ得る。従って、用語「置換可能な環原子」は、2個の環が縮合される場合に共有される環窒素原子もしくは環炭素原子を含まない。さらに、「置換可能な環原子」は、上記構造が、それらが水素以外の部分に既に結合されていることを示す場合、または上記構造が、それらが水素によって既に結合されていることを示す場合、環炭素原子もしくは環窒素原子を含まない。
【0097】
必要に応じて置換されたアリール基は、本明細書で定義される場合、1個以上の適切な置換基に必要に応じて結合され得る1個以上の置換可能な環原子を含む。アリール基の置換可能な環炭素原子上の適切な置換基の例としては、Rkが挙げられ、Rkは、−Ra、−Br、−Cl、−I、−F、−ORa、−SRa、−O−CORa、−CORa、−CSRa、−CN、−NO、−NCS、−SOH、−N(RaRb)、−COORa、−NRcNRcCORa、−NRcNRcCORa、−CHO、−CON(RaRb)、−OC(O)N(RaRb)、−CSN(RaRb)、−NRcCORa、−NRcCOORa、−NRcCSRa、−NRcCON(RaRb)、−NRcNRcC(O)N(RaRb)、−NRcCSN(RaRb)、−C(=NRc)−N(RaRb)、−C(=S)N(RaRb)、−NRd−C(=NRc)−N(RaRb)、−NRcNRaRb、−S(O)NRaRb、−NRcSON(RaRb)、−NRcS(O)Ra、−S(O)Ra、−OS(O)NRaRbもしくは−OS(O)Raであり;ここでpは、1もしくは2である。
【0098】
Ra−Rdは、各々独立して、−H、脂肪族基、芳香族基、非芳香族炭素環式基もしくは非芳香族複素環式基または−N(RaRb)であり、一緒になって、非芳香族の複素環式基を形成する。Ra−Rdによって表される上記脂肪族、芳香族および非芳香族の複素環式基、および−N(RaRb)によって表される非芳香族複素環式基は、Rlによって表される1個以上の基で各々必要に応じてかつ独立して置換されている。好ましくは、Ra−Rdは、置換されていない。
【0099】
Rlは、ハロゲン、R、−OR、−SR、−NO、−CN、−N(R、−COR、−COOR、−NHCO、−NHC(O)R、−NHNHC(O)R、−NHC(O)N(R、−NHNHC(O)N(R、−NHNHCO、−C(O)N(R、−OC(O)R、−OC(O)N(R、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NHSON(R、−NHSO、−C(=S)N(Rm、もしくは−C(=NH)−N(Rである。
【0100】
は、−H、C1−C4アルキル基、単環式アリール基、非芳香族の炭素環式基もしくは複素環式基であり、各々、置換されていないアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、−CN、−NO、アミン、アルキルアミン、もしくはジアルキルアミンで必要に応じて置換されている。好ましくは、Rは、置換されていない。
【0101】
必要に応じて置換された脂肪族もしくは非芳香族の複素環式基もしくは炭素環式基は、本明細書で定義される場合、1個以上の適切な置換基に必要に応じて結合され得る1個以上の置換可能な原子を含む。脂肪族基、もしくは非芳香族複素環式基の環炭素についての適切な置換基の例としては、Rnである。Rnは、Rkについて上記に列挙された置換基、および=O、=S、=NNHRo、=NN(Ro)2、=NNHC(O)Ro、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)、=NRo、スピロシクロアルキル基もしくは縮合されたシクロアルキル基を含む。各Roは、独立して、水素、置換されていないアルキル基、もしくは置換されたアルキル基から選択される。Roによって表される上記アルキル基上の置換基の例としては、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、ハロゲン、アルキル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルオキシ、ジアルキルアミノカルボニルオキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ハロアルコキシ、もしくはハロアルキルが挙げられる。好ましくは、Roは、置換されていない。
【0102】
ヘテロシクリル、ヘテロアリール、もしくはヘテロアラルキル基が、窒素原子を含む場合、それは、本明細書で示されるように、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。ヘテロアリール基の芳香族環における窒素原子が置換基を有する場合、上記窒素は、四級窒素であり得る。
【0103】
特定の実施形態において、非芳香族窒素含有複素環式基もしくはヘテロアリール基は、上記窒素環原子において必要に応じて置換される。非芳香族複素環式基もしくはヘテロアリール基の窒素上の適切な置換基としては、−Rq、−N(Rq)、−C(O)Rq、CORq、−C(O)C(O)Rq、−SORq、SON(Rq)、−C(=S)N(Rq)、−C(=NH)−N(Rq)、および−NRqSORqが挙げられ;ここでRqは、水素、脂肪族基、置換された脂肪族基、アリール、置換されたアリール、複素環式環もしくは炭素環式環、または置換された複素環式環もしくは炭素環式環である。R^によって表される基上の置換基の例としては、アルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、アルコキシアルキル、スルホニル、アルキルスルホニル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アリール、炭素環式環もしくは複素環式環、オキソ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニルオキシ、アルコキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、もしくはアルキルカルボニルが挙げられる。好ましくは、R^は、置換されていない。
【0104】
環窒素上で置換されかつ環炭素原子において分子の残りに結合される非芳香族窒素含有複素環式環およびヘテロアリールは、N置換されていると言われる。例えば、Nアルキルピペリジニル基は、上記ピペリジニル環の2位、3位もしくは4位において分子の残りに結合され、上記環窒素において、アルキル基で置換される。環窒素上で置換されかつ第2の環窒素原子において分子の残りに結合される非芳香族窒素含有複素環式環(例えば、ピペラジニル)は、N’置換された−N−複素環であるといわれる。例えば、N’アシルN−ピペラジニル基は、1個の環窒素原子において分子の残りに結合され、第2の環窒素原子においてアシル基で置換される。
【0105】
本明細書で使用される場合、必要に応じて置換されたアラルキルは、上記アルキル部分上および上記アリール部分上の両方で置換され得る。特定の実施形態において、必要に応じて置換されたアラルキルは、上記アリール部分上で必要に応じて置換される。
【0106】
本発明の化合物は、それらの化学的構造および/もしくは化学名によって本明細書で定義される。ある化合物が、化学構造および化学名の両方によって言及されかつ上記化学構造と化学名とが矛盾する場合、上記化学構造が、上記化合物の正体の決定因子である。
【0107】
本発明の化合物は、処置のために遊離形態で、または適切な場合、薬学的に受容可能な塩として存在し得る。
【0108】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩」とは、確実な医療的判断の範囲内で、過度な副作用(例えば、毒性、刺激、アレルギー応答など)なしで、ヒトおよび下等動物の組織と接触した状態での使用に適切であり、かつ妥当な利益/リスク比で釣り合った化合物の塩をいう。
【0109】
薬学的に受容可能な塩は、当該分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19(本明細書で参考として援用される)において薬学的に受容可能な塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩としては、適切な無機および有機の酸および塩基から誘導されるものが挙げられる。これら塩は、上記化合物の最終的な単離および精製の間に、その場で調製され得る。酸付加塩は、1)上記精製されたその遊離塩基形態にある化合物を、適切な有機もしくは無機の酸と反応させる工程、および2)このように形成された塩を単離する工程、によって調製され得る。
【0110】
薬学的に受容可能な、非毒性の酸付加塩の例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸)で、または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸)で形成された、あるいはイオン交換のような当該分野で使用される他の方法を使用することによって形成されたアミノ基の塩である。他の薬学的に受容可能な塩としては、アジペート、アルギネート、アスコルベート、アスパルテート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエート、ビスルフェート、ボレート、ブチレート、カンフォレート、カンファースルホネート、シトレート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、ホルメート、フマレート、グルコヘプトネート、グリセロホスフェート、グリコレート、グルコネート、グリコレート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロヨージド、2−ヒドロキシ−エタンスルホネート、ラクトビオネート、ラクテート、ラウレート、ラウリルスルフェート、マレート、マレエート、マロネート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、ニトレート、オレエート、オキサレート、パルミテート、パルモエート、ペクチネート、ペルスルフェート、3−フェニルプロピオネート、ホスフェート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、サリチレート、ステアレート、スクシネート、スルフェート、タータレート、チオシアネート、p−トルエンスルホネート、ウンデカノエート、バレレートの塩などが挙げられる。
【0111】
塩基付加塩は、1)上記精製したその酸形態にある化合物を、適切な有機塩基もしくは無機塩基と反応させる工程、および2)そのように形成された塩基を単離する工程によって、調製され得る。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、リチウム、およびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウムおよびカルシウム)、アンモニウムおよびN(C1−4アルキル)の塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書で開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定する。水溶性もしくは油溶性または分散可能な生成物は、このような四級化によって得られ得る。
【0112】
さらに薬学的に受容可能な塩としては、適切な場合、ハライド、ヒドロキシド、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、低級アルキルスルホネートおよびアリールスルホネートのような対イオンを使用して形成された非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられる。他の酸および塩基は、それ自体が薬学的に受容可能ではないが、本発明の化合物ならびにそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩および塩基付加塩を得るにあたって、中間体として有用な塩の調製において使用され得る。
【0113】
本発明は、種々の薬学的に受容可能な塩の混合物/組み合わせ、ならびに遊離形態および薬学的に受容可能な塩における化合物の混合物/組み合わせもまた含むことが理解されるべきである。
【0114】
本発明の化合物に加えて、本発明の化合物の薬学的に受容可能な溶媒和物(例えば、水和物)および包接化合物はまた、本明細書で同定される障害を処置もしくは予防するための組成物中で使用され得る。
【0115】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な溶媒和物」は、本発明の化合物のうちの1つへの、1種以上の薬学的に受容可能な溶媒分子の会合から形成される溶媒和物である。用語溶媒和物は、水和物(例えば、半水和物、一水和物、二水和物、酸水和物、四水和物など)を含む。
【0116】
本明細書で使用される場合、用語「水和物」とは、非共有結合的分子間力によって結合された化学量論的量もしくは非化学量論的量の水をさらに含む、本発明の化合物もしくはその塩を意味する。
【0117】
本明細書で使用される場合、用語「包接化合物」とは、内部に捕捉されたゲスト分子(例えば、溶媒もしくは水)を有する空間(例えば、チャネル)を含む結晶格子の形態にある本発明の化合物もしくはその塩を意味する。
【0118】
本発明の化合物に加えて、本発明の化合物の薬学的に受容可能な誘導体もしくはプロドラッグはまた、本明細書で同定される障害を処置もしくは予防するために組成物中で使用され得る。
【0119】
本明細書で使用される場合、および別段示されなければ、用語「プロドラッグ」は、本発明の化合物を提供するために生物学的条件(インビトロもしくはインビボ)下で加水分解、酸化、もしくは別の方法で反応し得る化合物の誘導体を意味する。プロドラッグは、生物学的条件下でこのような反応の際に活性になり得るか、またはそれらは、それらの未反応形態において活性を有し得る。本発明において企図されるプロドラッグの例としては、生体加水分解可能な部分(例えば、生体加水分解可能なアミド、生体加水分解可能なエステル、生体加水分解可能なカルバメート、生体加水分解可能なカーボネート、生体加水分解可能なウレイド、および生体加水分解可能なホスフェートアナログ)を含む、本発明の化合物のアナログもしくは誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。プロドラッグの他の例としては、−NO、−NO、−ONO、もしくは−ONO部分を含む、本発明の化合物の誘導体が挙げられる。プロドラッグは、代表的には、周知の方法(例えば、BURGER’S MEDICINAL CHEMISTRY AND DRUG DISCOVERY(1995)172−178,949−982(Manfred E.Wolff ed.,5th ed).によって記載されるもの)を使用して調製され得る。
【0120】
「薬学的に受容可能な誘導体」は、必要とする患者への投与の際に、直接的にもしくは間接的に、本明細書で別途記載される化合物、またはその代謝産物もしくは残基を提供し得る付加物もしくは誘導体である。薬学的に受容可能な誘導体の例としては、エステルおよびこのようなエステルの塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
「薬学的に受容可能な誘導体もしくはプロドラッグ」は、レシピエントへの投与の際に、直接的にもしくは間接的に、いずれかで本発明の化合物もしくはその阻害的に活性な代謝産物もしくは残基を提供し得る、本発明の化合物の任意の薬学的に受容可能なエステル、エステルの塩または他の誘導体もしくはその塩を含む。特に都合のよい誘導体もしくはプロドラッグは、このような化合物を患者に(例えば、血液へとより容易に吸収されるように化合物を経口投与させることによって)投与する場合に、本発明の化合物のバイオアベイラビリティーを増大させるか、または親種と比較して、生物学的区画(例えば、脳もしくはリンパ系)への親化合物の送達を増強するものである。
【0122】
本発明の化合物の薬学的に受容可能なプロドラッグとしては、エステル、アミノ酸エステル、リン酸エステル、金属塩およびスルホン酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
本明細書で使用される場合、語句「副作用」とは、治療(例えば、予防剤もしくは治療剤)の望ましくないかつ有害な効果を包含する。副作用は、常に望まれないが、望ましくない効果は、かならずしも有害ではない。治療(例えば、予防剤もしくは治療剤)の有害な効果は、有害もしくは不快もしくは危険であり得る。副作用としては、発熱、悪寒、嗜眠、胃腸毒性(胃および腸の潰瘍化およびびらんが挙げられる)、悪心、嘔吐、神経毒性、腎毒性(nephrotoxicities)、腎毒性(renal toxicities)(乳頭壊死および慢性間質性腎炎のような状態が挙げられる)、肝毒性(上昇した血清肝酵素レベルが挙げられる)、骨髄毒性(白血球減少、骨髄抑制、血小板減少および貧血が挙げられる)、ドライマウス、金属の味、妊娠の長期化、虚弱、傾眠、疼痛(筋肉痛、骨痛、および頭痛が挙げられる)、脱毛、無気力、眩暈、錐体外路症状、アカシジア、心血管障害、および性的機能不全が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
一実施形態において、本発明は、本発明の化合物および薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、アジュバントもしくはビヒクルを含む薬学的組成物である。一実施形態において、本発明は、有効量の本発明の化合物および薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、アジュバントもしくはビヒクルを含む薬学的組成物である。薬学的に受容可能なキャリアとしては、例えば、意図された投与形態に関して適切に選択されかつ従来の薬学実務と矛盾がない薬学的希釈剤、賦形剤もしくはキャリアが挙げられる。
【0125】
薬学的に受容可能なキャリアは、上記化合物の生物学的活性を過度に阻害しない不活性成分を含み得る。上記薬学的に受容可能なキャリアは、生体適合性(例えば、非毒性、非炎症性、非免疫原性、もしくは被験体への投与の際に望ましくない反応もしくは副作用がない)であるべきである。標準的な薬学的処方技術が、使用され得る。
【0126】
上記薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、もしくはビヒクルは、本明細書で使用される場合、所望される特定の投与形態に合うように、任意のおよび全ての溶媒、希釈剤もしくは他の液体ビヒクル、分散補助物質もしくは懸濁補助物質、界面活性剤、等張剤、濃化剤もしくは乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤などを含む。Remington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的に受容可能な組成物を処方することにおいて使用される種々のキャリアおよびその調製のための公知の技術を開示している。任意の従来のキャリア媒体が本発明の化合物と(例えば、任意の望ましくない生物学的効果を生じるか、または別の方法で上記薬学的に受容可能な組成物の任意の他の成分と有害な様式で相互作用することによって)不適合である範囲を除いて、その使用は、本発明の範囲内であることが企図される。
【0127】
薬学的に受容可能なキャリアとして働き得る物質のいくつかの例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸もしくはソルビン酸カリウム)、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩もしくは電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド性シリカ、三ケイ酸マグネシウム)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース);デンプン(例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプン);セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース);粉末化トラガカントガム;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオ脂および坐剤用ワックスのような賦形剤;油(例えば、ラッカセイ油、綿実油;サフラワー油;ごま油;オリーブ油;コーン油および大豆油);グリコール(例えば、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);寒天;緩衝化剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびに他の非毒性の適合性滑沢剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)が挙げられるがこれらに限定されず、同様に、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、矯味矯臭剤および芳香剤、保存剤および抗酸化物質もまた、処方者の判断によって、上記組成物中に存在し得る。
【0128】
上記プロテインキナーゼインヒビターもしくはその薬学的塩は、本明細書で定義されるように、被験体への投与のための薬学的組成物へと処方され得る。これら薬学的組成物(これは、プロテインキナーゼ媒介性状態を処置もしくは予防するために有効な量の上記プロテインインヒビターおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む)は、本発明の別の実施形態である。
【0129】
一実施形態において、本発明は、プロテインキナーゼ媒介性障害の処置もしくは予防が必要な被験体においてプロテインキナーゼ媒介性障害を処置もしくは予防するための方法であり、上記方法は、本明細書に記載されるように、上記被験体に、有効量の本発明の化合物組成物もしくは薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載される疾患もしくは障害の処置もしくは予防が必要な被験体における、本明細書に記載される疾患もしくは障害を処置もしくは予防するための、有効量の本明細書に記載される化合物、組成物、もしくは薬学的に受容可能な塩の使用である。別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載される疾患もしくは障害の処置が必要な被験体における、本明細書に記載される疾患もしくは障害を処置するための、有効量の本明細書に記載される化合物、組成物もしくは薬学的に受容可能な塩の使用である。さらに別の実施形態において、本発明は、必要な被験体における、本明細書に記載される疾患もしくは障害を処置もしくは予防するための医薬(medicament method)をつくるための、有効量の本明細書に記載される化合物、組成物もしくは薬学的に受容可能な塩の使用である。さらに別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載される疾患もしくは障害の処置が必要な被験体における、本明細書に記載される疾患もしくは障害の処置のための医薬をつくるための、有効量の本明細書に記載される化合物、組成物もしくは薬学的に受容可能な塩の使用である。一実施形態において、上記プロテインキナーゼ媒介性疾患は、プロテインキナーゼC(PKC)媒介性疾患である。別の実施形態において、上記プロテインキナーゼ媒介性疾患は、プロテインキナーゼCθ(PKCθ)媒介性疾患である。
【0130】
本明細書で使用される場合、用語「被験体」、「患者」および「哺乳動物」は、交換可能に使用される。用語「被験体」および「患者」とは、動物(例えば、トリ(例えば、ニワトリ、ウズラもしくはシチメンチョウ)もしくは哺乳動物)、好ましくは、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、モルモット、ラット、ネコ、イヌ、およびマウス)および霊長類(例えば、サル、チンパンジーおよびヒト)を含む哺乳動物、ならびにより好ましくは、ヒトをいう。一実施形態において、上記被験体は、非ヒト動物(例えば、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ブタもしくはヒツジ)、もしくはペット(例えば、イヌ、ネコ、モルモットもしくはウサギ))である。好ましい実施形態において、上記被験体は、ヒトである。
【0131】
本明細書で使用される場合、「有効量」とは、所望の生物学的応答を誘起するために十分な量をいう。本発明において、上記所望の生物学的応答は、プロテインキナーゼ媒介性状態の重篤度、期間、進行、もしくは始まりを低下もしくは改善すること、プロテインキナーゼ媒介性状態の進行を予防すること、プロテインキナーゼ媒介性状態の退縮を引き起こすこと、プロテインキナーゼ媒介性状態と関連する症状の再発、発症、始まりもしくは進行を予防すること、または別の治療の予防効果もしくは治療効果を増強もしくは改善することである。被験体に投与される化合物の正確な量は、投与様式、上記疾患もしくは状態のタイプおよび重篤度、ならびに上記被験体の特徴(例えば、全身的な健康状態、年齢、性別、体重および薬物への耐性)に依存する。それはまた、プロテインキナーゼ媒介性状態の程度、重篤度およびタイプ、ならびに投与様式に依存する。当業者は、これらおよび他の要因に依存して、適切な投与量を決定し得る。他の薬剤と同時投与される場合、例えば、プロテインキナーゼ媒介性状態の薬剤と同時投与される場合、上記第2の薬剤の「有効量」は、使用される薬物のタイプに依存する。適切な投与量は、承認された薬剤については公知であり、上記被験体の状態、処置される状態のタイプおよび使用される本発明の化合物の量に従って、当業者によって調節され得る。量が明らかに示されていない場合には、有効量は、仮定されるはずである。
【0132】
本明細書で使用される場合、用語「処置する(treat)」、「処置(treatment)」および「処置する(treating)」とは、プロテインキナーゼ媒介性状態の進行、重篤度および/もしくは期間の低下もしくは改善、または1種以上の治療(例えば、1種以上の治療剤(例えば、本発明の化合物))の投与から生じるプロテインキナーゼ媒介性状態の1つ以上の症状(好ましくは、1つ以上の識別可能な症状)の改善をいう。具体的実施形態において、用語「処置する(treat)」、「処置(treatment)」および「処置する(treating)」とは、プロテインキナーゼ媒介性状態の少なくとも1つの測定可能な理学的パラメーターの改善をいう。他の実施形態において、用語「処置する(treat)」、「処置(treatment)」および「処置する(treating)」とは、例えば、理学的に、識別可能な症状の安定化によるか、例えば、生理学的に、理学的パラメーターの安定化によるかのいずれかであるか、またはその両方による、プロテインキナーゼ媒介性状態の進行の阻害をいう。他の実施形態において、用語「処置する(treat)」、「処置(treatment)」および「処置する(treating)」とは、プロテインキナーゼ媒介性状態の減少もしくは安定化をいう。
【0133】
本明細書で使用される場合、用語「予防する(prevent)」、「予防(prevention)」および「予防する(preventing)」とは、所定のプロテインキナーゼ媒介性状態を獲得もしくは発症するリスクの低下、またはプロテインキナーゼ媒介性状態の再発の低下もしくは阻害をいう。一実施形態において、本発明の化合物は、本明細書で記載される状態、疾患もしくは障害のうちのいずれかに対する遺伝的素因を有する患者(好ましくは、ヒト)に対する予防的手段として投与される。
【0134】
本明細書で使用される場合、用語「疾患」、「障害」および「状態」とは、ここでプロテインキナーゼ媒介性状態をいうために交換可能に使用され得る。
【0135】
一局面において、本発明は、疾患、状態もしくは障害(ここでプロテインキナーゼが上記疾患状態に関わる)を処置するかもしくはその重篤度を低下させるための方法を提供する。別の局面において、本発明は、キナーゼ疾患、状態、もしくは障害(ここで酵素活性の阻害は、上記疾患の処置に関わる)を処置するかもしくはその重篤度を低下させるための方法を提供する。別の局面において、本発明は、疾患、状態、もしくは障害を、上記プロテインキナーゼに結合することによって酵素活性を阻害する化合物で処置するかもしくはその重篤度を低下させるための方法を提供する。別の局面は、キナーゼの酵素活性を、プロテインキナーゼインヒビターで阻害することによって、キナーゼ疾患、状態、もしくは障害を処置するかもしくはその重篤度を低下させるための方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記プロテインキナーゼインヒビターは、PKCθインヒビターである。
【0136】
用語「プロテインキナーゼ媒介性状態」は、本明細書で使用される場合、プロテインキナーゼが役割を果たす任意の疾患もしくは他の有害な状態を意味する。このような状態としては、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性および過剰増殖性疾患、免疫媒介性の疾患、免疫不全障害、免疫調節性もしくは免疫抑制性障害、骨疾患、代謝疾患、神経学的および神経変性疾患、心血管疾患、ホルモン関連疾患、糖尿病、アレルギー、喘息、およびアルツハイマー病が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、上記プロテインキナーゼ媒介性状態は、PKC媒介性状態である。
【0137】
用語「PKC媒介性状態」とは、本明細書で使用される場合、PKCが役割を果たす任意の疾患もしくは他の有害な状態を意味する。このような状態としては、上記に列挙されたもの、および特に、T細胞媒介性疾患(自己免疫疾患、慢性もしくは急性の炎症性疾患、ならびに増殖性および過剰増殖性疾患が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、上記PKC媒介性状態は、PKCθ媒介性状態である。
【0138】
用語「PKCθ媒介性状態」とは、本明細書で使用される場合、PKCθが役割を果たす任意の疾患もしくは他の有害な状態を意味する。このような状態としては、上記に列挙されるもの、および特に、自己免疫疾患、慢性もしくは急性の炎症性疾患、ならびに増殖性および過剰増殖性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
本明細書で使用される場合、用語「炎症性疾患」もしくは「炎症性障害」とは、炎症を生じる、代表的には、白血球浸潤によって引き起こされる病的状態に言及する。このような障害の例としては、炎症性皮膚疾患(乾癬およびアトピー性皮膚炎が挙げられるが、これらに限定されない);全身性強皮症および硬化症;炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)と関連する応答;虚血性再灌流傷害(手術組織再灌流傷害、心筋虚血状態(例えば、心筋梗塞、心停止、心臓手術後の再灌流および経皮経管的冠動脈形成術後の狭窄が挙げられる)、卒中、および腹部大動脈瘤;卒中に二次的な脳浮腫;頭蓋外傷、血液量減少性ショック;窒息;成人呼吸窮迫症候群;急性肺傷害;ベーチェット病;皮膚筋炎;多発性筋炎;多発性硬化症(MS);皮膚炎;髄膜炎;脳炎;ぶどう膜炎;変形性関節症;ループス腎炎;自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ(RA)、シェーグレン症候群、脈管炎);白血球血管外遊出を伴う疾患;中枢神経系(CNS)炎症性障害、敗血症もしくは外傷に二次的な多臓器傷害症候群;アルコール性肝炎;細菌性肺炎;抗原−抗体複合体媒介性疾患(糸球体腎炎を含む);敗血症;サルコイドーシス;組織もしくは器官の移植に対する免疫病理応答;肺の炎症(胸膜炎、肺胞隔炎、脈管炎、肺炎、慢性気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、過敏症性肺炎、特発性肺線維症(IPF)、および嚢胞性線維症などが挙げられる)が挙げられる。
【0140】
増殖性もしくは過剰増殖性疾患は、過剰なもしくは異常な細胞増殖によって特徴付けられる。このような疾患としては、癌および骨髄増殖性障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
用語「癌」としては、以下の癌が挙げられるが、これらに限定されない:類表皮 口腔:心臓:肺:胃腸:尿生殖路:肝臓:骨:神経系:婦人科:血液:甲状腺:および副腎。血液の癌としては、以下が挙げられる:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫]ヘアリーセル;リンパ障害;皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌種、扁平上皮細胞癌、カポージ肉腫、ケラトアカントーマ、異型母斑(moles dysplastic nevi)、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、および乾癬。従って、用語「癌細胞」とは、本明細書で提供される場合、上記で同定される状態のうちのいずれか1つによってもたらされる細胞を含む。
【0142】
用語「骨髄増殖性障害」とは、真性多血症、血小板血症、骨髄線維症を伴う骨髄化生、好酸球増加症候群、若年性骨髄単球性白血病、全身性肥満細胞病、および造血性障害(特に、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、および急性リンパ球性白血病(ALL))のような障害を含む。
【0143】
神経変性疾患の例としては、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、AIDS関連痴呆、および双極性障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
一実施形態において、上記PKCθ媒介性疾患としては、慢性炎症、自己免疫糖尿病、関節リウマチ(RA)、リウマチ性脊髄炎、痛風性関節炎および他の関節状態、多発性硬化症(MS)、喘息、全身性エリテマトーデス、成人呼吸窮迫症候群、ベーチェット病、乾癬、慢性肺炎症性疾患、移植片対宿主反応、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(IBD)(これは、セリアック病および過敏性腸症候群を含む);アルツハイマー病、T細胞白血病、リンパ腫、移植拒絶、癌および発熱(pyresis)と、炎症および関連障害に関する任意の疾患もしくは障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
一実施形態において、上記PKCθ媒介性疾患は、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、関節炎症、狼瘡、多発性硬化症、喘息、乾癬、癌、T細胞リンパ腫、白血病、糖尿病I型もしくはII型、ならびに炎症性腸疾患、移植拒絶、クローン病および大腸炎が挙げられるが、これらに限定されない疾患を含む。
【0146】
自己免疫疾患の例としては、多発性硬化症、関節リウマチおよび過敏性腸疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0147】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、処置されている感染の重篤度に依存して、ヒトおよび他の動物に、経口的に、直腸に、非経口的に、槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(粉末、軟膏剤もしくは液滴によるように)、口内に、口内スプレーもしくは鼻スプレーとして、などで投与され得る。
【0148】
経口投与のための液体投与形態としては、薬学的に受容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。上記活性化合物に加えて、上記液体投与形態は、当該分野で一般に使用される不活性希釈剤(例えば、水もしくは他の溶媒)、可溶化剤、および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤の他に、上記経口用組成物はまた、アジュバント(例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、および芳香剤)が挙げられ得る。
【0149】
注射用調製物(例えば、滅菌注射用水性もしくは油性懸濁剤)は、適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤を使用して、公知の技術に従って処方され得る。上記滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤もしくは溶媒中の滅菌注射用液剤、懸濁剤もしくはエマルジョン(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液(米国薬局方)および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の不揮発性油は、溶媒もしくは懸濁媒体として従来通りに使用される。この目的のために、任意の刺激の強くない不揮発性油(合成のモノグリセリドもしくはジグリセリドが挙げられる)が、使用され得る。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)は、注射用物の調製において使用される。
【0150】
上記注射用処方物は、例えば、細菌保持フィルタを介した濾過によって、または使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体中で溶解もしくは分散され得る滅菌固体組成物の形態で、滅菌している薬剤を組み込むことによって、滅菌され得る。
【0151】
本発明の化合物の効果を長期化するために、皮下注射もしくは筋肉内注射から上記化合物の吸収を遅らせることは、しばしば望ましい。これは、不十分な水溶性を有する結晶性物質もしくは非晶質物質の液体懸濁物の使用によって、達成され得る。次いで、上記化合物の吸収の速度は、その溶解の速度に依存し、続いて、これは、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口的に投与した化合物形態の遅延した吸収は、油ビヒクル中に上記化合物を溶解もしくは懸濁することによって達成される。注射用デポー形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド)中で上記化合物のマイクロカプセル化マトリクス(microencapsule matrices)を形成することによって作製される。化合物 対 ポリマーの比および使用される特定のポリマーの性質に依存して、化合物放出の速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用処方物はまた、身体組織と適合性であるリポソームもしくはマイクロエマルジョン中に上記化合物を捕捉することによって、調製される。
【0152】
直腸投与もしくは膣投与のための組成物は、好ましくは、本発明の化合物と、適切な非刺激性賦形剤もしくはキャリア(例えば、周囲温度で固体であるが、身体温度では液体であり、よって、直腸もしくは腟腔中では融解し、上記活性化合物を放出するカカオ脂、ポリエチレングリコールもしくは坐剤用ワックス)とを混合することによって調製され得る坐剤である。
【0153】
経口投与のための固体投与形態としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が挙げられる。このような固体投与形態において、上記活性化合物は、少なくとも1種の不活性な薬学的に受容可能な賦形剤もしくはキャリア(例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム)、および/または、a)充填剤もしくは増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸)、b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアガム)、c)湿潤剤(humectant)(例えば、グリセロール)、d)崩壊剤(例えば、アガー−−アガー、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウム)、e)溶解遅延剤(例えば、パラフィン)、f)吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物)、g)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート)、h)吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイトクレイ)、ならびにi)滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物)と混合され得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、上記投与形態はまた、緩衝化剤を含み得る。
【0154】
類似のタイプの固体組成物はまた、ラクトースもしくは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質充填ゼラチンカプセル剤および硬質充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用され得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤という上記固体投与形態は、コーティングおよび殻(例えば、製薬分野において周知の腸溶性コーティングおよび他のコーティング)とともに調製され得る。それらは、不透明化剤を必要に応じて含み得、また、腸管内の特定の部分において、必要に応じて、遅延した様式で、上記活性成分のみを、もしくは優先的に放出する組成物であり得る。使用され得る包埋(embedding)組成物の例は、ポリマー物質およびワックスを含む。類似のタイプの固体組成物はまた、ラクトースもしくは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質充填ゼラチンカプセル剤および硬質充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用され得る。
【0155】
上記活性化合物はまた、上記される、1種以上の賦形剤とともにマイクロカプセル化形態で存在し得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤という上記固体投与形態は、コーティングおよび殻(例えば、製薬分野において周知の腸溶性コーティング、放出制御コーティングおよび他のコーティング)とともに調製され得る。このような固体投与形態において、上記活性化合物は、少なくとも1種の不活性希釈剤(例えば、スクロース、ラクトースもしくはデンプン)と混合され得る。このような固体形態はまた、通常の実務どおり、不活性希釈剤以外のさらなる物質(例えば、錠剤化滑沢剤および他の錠剤化補助物質(ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロース)を含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、上記投与形態はまた、緩衝化剤を含み得る。それらは、不透明化剤を必要に応じて含み得、また、腸管内の特定の部分において、必要に応じて、遅延した様式で、上記活性成分のみを、もしくは優先的に放出する組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例は、ポリマー物質およびワックスを含む。
【0156】
本発明の化合物の局所投与もしくは経皮投与のための投与形態としては、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー、吸入物もしくはパッチが挙げられる。上記活性成分は、薬学的に受容可能なキャリア、必要とされ得る場合、任意の必要とされる保存剤もしくは緩衝剤と滅菌条件下で混合される。眼用処方物、点耳剤、および点眼剤はまた、本発明の範囲内であると企図される。さらに、本発明は、身体への化合物の制御された送達を提供し得るという利点が付加された経皮パッチの使用を企図する。このような投与形態は、適切な媒体中に上記化合物を溶解もしくは分散することによって、作製され得る。吸収増強剤はまた、皮膚を横断する上記化合物のフラックスを増大させるために使用され得る。上記速度は、速度制御膜を提供するか、またはポリマーマトリクスもしくはゲル中に上記化合物を分散させるかのいずれかによって、制御され得る。
【0157】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸に、鼻に、口内に、膣に、もしくは移植されたレザバを介して、投与され得る。用語「非経口的」とは、本明細書で使用される場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病変内および頭蓋内の注射もしくは注入の技術が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、上記組成物は、経口的に、腹腔内にもしくは静脈内に投与される。
【0158】
本発明の組成物の滅菌注射用形態は、水性もしくは油性の懸濁剤であり得る。これら懸濁剤は、適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当該分野で公知の技術に従って処方され得る。上記滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤もしくは溶媒中の滅菌注射用液剤もしくは懸濁剤(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)であり得る。使用され得る上記受容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の不揮発性油は、溶媒もしくは懸濁媒体として、従来通り使用される。この目的のために、任意の刺激の強くない不揮発性油(合成のモノグリセリドもしくはジグリセリドが挙げられる)が、使用され得る。脂肪酸(例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体)は、天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油もしくはひまし油)のように、特に、それらのポリオキシエチル化バージョンにおいて、注射用物の調製において有用である。これらの油性液剤もしくは懸濁剤は、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロースもしくは薬学的に受容可能な投与形態(エマルジョンおよび懸濁剤が挙げられる)の処方において一般的に使用される類似の分散剤)を含み得る。他の一般に使用される界面活性剤(例えば、Tween、Spanおよび他の乳化剤)、または薬学的に受容可能な固体、液体、もしくは他の投与形態の製造において一般的に使用されるバイオアベイラビリティー増強剤もまた、処方目的で使用され得る。
【0159】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口的に受容可能な投与形態(カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤もしくは液剤が挙げられるが、これらに限定されない)において経口投与され得る。経口使用のための錠剤の場合、一般に使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられるが、これらに限定されない。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、代表的には、添加される。カプセル剤形態での経口投与については、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁剤が経口使用に必要とされる場合、上記活性成分は、乳化剤および懸濁化剤と合わされる。望ましい場合、特定の甘味剤、矯味矯臭剤、もしくは着色剤もまた、添加され得る。
【0160】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらは、上記薬剤と、室温で固体であるが、直腸温で液体であり、従って、直腸で融解して、薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって、調製され得る。このような材料としては、カカオ脂、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
本発明の薬学的組成物はまた、局所的に、特に、上記処置標的が、局所適用によって容易に接近可能な領域もしくは器官(眼、皮膚、もしくは下部腸管の疾患が挙げられる)を含む場合に、投与され得る。適切な局所処方物は、これら領域もしくは器官の各々のために容易に調製される。
【0162】
上記下部腸管のための局所適用は、直腸坐剤処方物(上記を参照のこと)において、もしくは適切な浣腸処方物において、実施され得る。局所的経皮パッチもまた、使用され得る。
【0163】
局所適用については、上記薬学的組成物は、1種以上のキャリア中で懸濁もしくは溶解される活性成分を含む適切な軟膏剤に処方され得る。本発明の化合物の局所投与のためのキャリアとしては、ミネラルオイル、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、上記薬学的組成物は、1種以上の薬学的に受容可能なキャリア中に懸濁もしくは溶解される上記活性成分を含む適切なローション剤もしくはクリーム剤に処方され得る。適切なキャリアとしては、ミネラルオイル、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2 オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
眼用用途のために、上記薬学的組成物は、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)ありもしくはなしのいずれかで、等張性のpH調節した滅菌生理食塩水中の微細な懸濁物として、または好ましくは、等張性のpH調節した滅菌生理食塩水中の液剤として、処方され得る。あるいは、眼用用途のために、上記薬学的組成物は、ワセリンのような軟膏剤中で処方され得る。
【0165】
本発明の薬学的組成物はまた、鼻のエアロゾルもしくは吸入によって投与され得る。このような組成物は、薬学的処方物の分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の液剤として調製され得る。
【0166】
構造式I、および構造式IAの化合物を利用する投与レジメンは、種々の要因(処置される障害および上記障害の重篤度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;上記患者の年齢、体重、全身的な健康状態、性別、および食事;投与の時間、投与経路、および使用される特定の化合物の排出速度;上記被験体の腎機能および肝機能;ならびに使用される特定の化合物もしくはその塩、上記処置の期間;使用される特定の化合物と組み合わせてもしくは同時に使用される薬物、および医療分野において周知の類似の要因が挙げられる)に従って選択され得る。当業者は、処置するために、例えば、上記疾患の進行を予防するか、阻害するか(完全にもしくは部分的に)または停止するために必要とされる構造式Iおよび構造式IAの化合物の有効量を容易に決定し、処方し得る。
【0167】
構造式Iおよび構造式IAの化合物の投与量は、約0.01〜約100mg/kg体重/日、約0.01〜約50mg/kg体重/日、約0.1〜約50mg/kg体重/日、もしくは約1〜約25mg/kg体重/日の間の範囲であり得る。1日あたりの総量が、単一用量で投与され得るか、または1日あたり2回、3回もしくは4回のような複数の投与で投与され得ることは、理解される。
【0168】
本発明の方法における使用のための化合物は、単位投与形態において処方され得る。用語「単位投与形態」とは、処置を受けている被験体の単位投与として適切な物理的に別個の単位に言及し、各単位は、望ましい治療効果を、必要に応じて、適切な薬学的キャリアと関連して生じるように計算された活性物質の所定の量を含む。上記単位投与形態は、単一の1日用量もしくは複数の一日用量(例えば、約1〜4回以上/日)のうちの1つに関し得る。複数の一日用量が使用される場合、上記単位投与形態は、各用量に関して同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0169】
有効量は、構造式Iおよび構造式IAの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物(例えば、水和物)を単独で、またはさらなる適切な治療剤(例えば、癌治療剤)とともに使用して、本発明の方法もしくは薬学的組成物において達成され得る。組み合わせ治療が使用される場合、有効量は、第1の量の構造式Iおよび構造式IAの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物(例えば、水和物)、ならびに第2の量のさらなる適切な治療剤を使用して、達成され得る。
【0170】
一実施形態において、構造式Iおよび構造式IAの化合物、ならびに上記さらなる治療剤は、有効量において(すなわち、単独で投与される場合、各々治療的に有効である量において)各々投与される。別の実施形態において、構造式Iおよび構造式IAの化合物ならびに上記さらなる治療剤は、単独では治療効果を提供しない量(治療用量未満)で各々投与される。さらに別の実施形態において、構造式Iおよび構造式IAの化合物は、有効量で投与され得る一方で、上記さらなる治療剤は、治療用量未満で投与される。さらに別の実施形態において、構造式Iおよび構造式IAの化合物は、治療用量未満で投与され得る一方で、上記さらなる治療剤(例えば、適切な癌治療剤)は、有効量で投与される。
【0171】
本明細書で使用される場合、用語「組み合わせて」もしくは「同時投与」とは、1種より多くの治療(例えば、1種以上の予防剤および/もしくは治療剤)の使用をいうために、交換可能に使用され得る。上記用語の使用は、治療(例えば、予防剤および/もしくは治療剤)が被験体に投与される順序を制限しない。
【0172】
同時投与は、本質的に同時の様式で(例えば、単一の薬学的組成物において(例えば、第1の量および第2の量の固定した比率を有するカプセル剤もしくは錠剤、または各々について複数の別個のカプセル剤もしくは錠剤において))上記同時投与の化合物の第1の量および第2の量の投与を包含する。さらに、このような同時投与はまた、いずれの順序においても一連の様式において各化合物の使用を含む。
【0173】
同時投与が、上記第1の量の構造式Iおよび構造式IAの化合物、ならびに第2の量のさらなる治療剤の別個の投与を含む場合、上記化合物は、上記望ましい治療効果を有するように、ちょうどよいときに十分近接して投与される。例えば、上記望ましい治療効果を生じる各投与の間の期間は、数分から数時間の範囲に及び得、各化合物の特性(例えば、効力、溶解度、バイオアベイラビリティー、血漿半減期および動態プロフィール)を考慮に入れて決定され得る。例えば、構造式Iおよび構造式IAの化合物ならびに上記第2の治療剤は、互いに約24時間以内、互いに約16時間以内、互いに約8時間以内、互いに約4時間以内、互いに約1時間以内もしくは互いに約30分間以内に任意の順序で投与され得る。
【0174】
より具体的には、第1の治療(例えば、本発明の化合物のような治療剤もしくは治療剤)は、被験体への第2の治療剤(例えば、抗癌剤のような予防剤もしくは治療剤)の投与の前(例えば、5分前、15分前、30分前、45分前、1時間前、2時間前、4時間前、6時間前、12時間前、24時間前、48時間前、72時間前、96時間前、1週間前、2週間前、3週間前、4週間前、5週間前、6週間前、8週間前、もしくは12週間前)、上記投与と同時に、または上記投与の後(例えば、5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、8週間後、もしくは12週間後)に投与され得る。
【0175】
第1の量の構造式Iおよび構造式IAの化合物、ならびに第2の量のさらなる治療剤の同時投与の方法が、増強されたもしくは相乗的な治療効果を生じ得、ここで上記組み合わせの効果は、上記第1の量の構造式Iおよび構造式IAの化合物および上記第2の量の上記さらなる治療剤の別個の投与から生じる相加的な効果より大きいことが理解される。
【0176】
本明細書で使用される場合、用語「相乗的」とは、治療の相加的効果より有効である、本発明の化合物および別の治療(例えば、予防剤もしくは治療剤)の組み合わせをいう。治療の組み合わせ(例えば、予防剤もしくは治療剤の組み合わせ)の相乗効果は、被験体への上記治療のうちの1種以上のより低い投与量および/もしくはより低い投与頻度の使用を可能にする。治療(例えば、予防剤もしくは治療剤)のより低い投与量を利用できることおよび/もしくは上記治療の投与の頻度をより低くできることは、障害の予防、管理もしくは治療において上記治療の効力を低下させることなく、被験体への上記治療の投与と関連した毒性を低下させる。さらに、相乗効果は、障害の予防、管理もしくは処置において薬剤の改善された効力を生じ得る。最後に、治療の組み合わせ(例えば、予防剤もしくは治療剤の組み合わせ)の相乗効果は、いずれかの治療単独の使用と関連した有害なもしくは望ましくない副作用を回避するかもしくは低下させ得る。
【0177】
相乗効果の存在は、薬物相互作用を評価するために適した方法を使用して決定され得る。適した方法としては、例えば、シグモイド−Emax式(Holford,N.H.G. and Scheiner,L.B.,Clin.Pharmacokinet.6:429−453(1981))、Loewe相加の式(Loewe,S. and Muischnek,H.,Arch.Exp.Pathol Pharmacol.114:313−326(1926))およびメジアン効果式(Chou,T.C. and Talalay,P.,Adv.Enzyme Regul.22:27−55(1984))が挙げられる。上記に言及される各式は、上記薬物組み合わせの効果の評価を補助するために、対応するグラフを生成するための実験データとともに適用され得る。上記に言及される式と関連した対応するグラフは、それぞれ、濃度−効果曲線、アイソボログラム曲線および組み合わせ指数曲線である。
【0178】
いくつかの実施形態において、上記さらなる治療剤は、癌治療剤(例えば、抗癌剤、抗増殖因子、もしくは化学療法剤)から選択される。
【0179】
いくつかの実施形態において、上記さらなる治療剤は、カンプトテシン、MEKインヒビター:U0126、KSP(キネシンスピンドルタンパク質)インヒビター、アドリアマイシン、インターフェロン、および白金誘導体(例えば、シスプラチン)から選択される。
【0180】
他の実施形態において、上記さらなる治療剤は、タキサン;bcr−ablのインヒビター(例えば、グリベック、ダサチニブおよびニロチニブ);EGFRのインヒビター(例えば、タルセバおよびイレッサ);DNA損傷剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、トポイソメラーゼインヒビター、およびアントラサイクリン);ならびに代謝拮抗物質(例えば、AraCおよび5−FU)から選択される。
【0181】
なお他の実施形態において、上記さらなる治療剤は、カンプトテシン、ドキソルビシン、イダルビシン、シスプラチン、タキソール、タキソテール、ビンクリスチン、タルセバ、MEKインヒビター、U0126、KSPインヒビター、ボリノスタット、グリベック、ダサチニブ、およびニロチニブから選択される。
【0182】
別の実施形態において、上記さらなる治療剤は、Her−2インヒビター(例えば、Herceptin);HDACインヒビター(例えば、ボリノスタット)、VEGFRインヒビター(例えば、アバスチン)、c−KITおよびFLT−3のインヒビター(例えば、スニチニブ)、BRAFインヒビター(例えば、BayerのBAY 43−9006)、MEKインヒビター(例えば、PfizerのPD0325901);ならびに紡錘体阻害剤(spindle poison)(例えば、エポチロンおよびパクリタキセルタンパク質結合粒子(例えば、Abraxane(登録商標)から選択される。
【0183】
本発明の薬剤と組み合わせて使用され得る他の治療もしくは抗癌剤としては、外科手術、放射線療法(ほんの数例ではあるが、名前を挙げると、ガンマ線照射、中性子線による放射線療法、電子線による放射線療法、陽子線治療、近接照射療法、および全身性の放射性同位体)、内分泌療法、生物学的応答改変因子(例えば、数個名前を挙げると、インターフェロン、インターロイキン、および腫瘍壊死因子(TNF))、加温療法および低温療法、任意の有害な効果を和らげるための因子(例えば、制吐剤)、および他の承認された化学療法薬(アルキル化薬物(メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド)、代謝拮抗物質(メトトレキサート)、プリンアンタゴニストおよびピリミジンアンタゴニスト(6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シタラビン(Cytarabile)、ゲムシタビン)、紡錘体阻害剤(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソウレア(カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)、およびホルモン(タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、およびメゲストロール)、グリベックTM、アドリアマイシン、デキサメタゾンおよびシクロホスファミドが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。
【0184】
本発明の化合物はまた、以下の治療剤のうちのいずれかと組み合わせて、癌を処置するために有用であり得る:アバレリックス(Plenaxis depot(登録商標)); アルデスロイキン(Prokine(登録商標));アルデスロイキン(Proleukin(登録商標));アレムツズマブ(Campath(登録商標));アリトレチノイン(Panretin(登録商標));アロプリノール(Zyloprim(登録商標));アルトレタミン(Hexalen(登録商標));アミホスチン(Ethyol(登録商標));アナストロゾール(Arimidex(登録商標));三酸化ヒ素(Trisenox(登録商標));アスパラギナーゼ(Elspar(登録商標));アザシチジン(Vidaza(登録商標));ベバシズマブ(bevacuzimab)(Avastin(登録商標));ベキサロテンカプセル(Targretin(登録商標));ベキサロテンゲル(Targretin(登録商標));ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標));ボルテゾミブ(Velcade(登録商標));ブスルファン静脈内(Busulfex(登録商標));ブスルファン経口(Myleran(登録商標));カルステロン(Methosarb(登録商標));カペシタビン(Xeloda(登録商標));カルボプラチン(Paraplatin(登録商標));カルムスチン(BCNU(登録商標)、BiCNU(登録商標));カルムスチン(Gliadel(登録商標));カルムスチンとポリフェプロザン20インプラント(Gliadel Wafer(登録商標));セレコキシブ(Celebrex(登録商標));セツキシマブ(Erbitux(登録商標));クロラムブシル(Leukeran(登録商標));シスプラチン(Platinol(登録商標));クラドリビン(Leustatin(登録商標)、2−CdA(登録商標));クロファラビン(Clolar(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan Injection(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan Tablet(登録商標));シタラビン(Cytosar−U(登録商標));シタラビンリポソーム(DepoCyt(登録商標));ダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標));ダクチノマイシン、アクチノマイシンD(Cosmegen(登録商標));ダルベポエチンアルファ(Aranesp(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(DanuoXome(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(Daunorubicin(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(Cerubidine(登録商標));デニロイキンディフチトクス(Ontak(登録商標));デクスラゾキサン(Zinecard(登録商標));ドセタキセル(タキソテール(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標)、Rubex(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS注射(登録商標));ドキソルビシンリポソーム(Doxil(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(ドロモスタノロン(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(masterone injection(登録商標));Elliott’s B溶液(Elliott’s B Solution(登録商標));エピルビシン(Ellence(登録商標));エポエチンアルファ(epogen(登録商標));エルロチニブ(タルセバ(登録商標));エストラムスチン(Emcyt(登録商標));エトポシドホスフェート(Etopophos(登録商標));エトポシド、VP−16(Vepesid(登録商標));エキセスメタン(Aromasin(登録商標));フィルグラスチム(Neupogen(登録商標));フロクスウリジン(動脈内)(FUDR(登録商標));フルダラビン(Fludara(登録商標));フルオロウラシル、5−FU(Adrucil(登録商標));フルベストラント(Faslodex(登録商標));ゲフィチニブ(イレッサ(登録商標));ゲムシタビン(Gemzar(登録商標));ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg(登録商標));ゴセレリンアセテート(Zoladex Implant(登録商標));ゴセレリンアセテート(Zoladex(登録商標));ヒストレリンアセテート(Histrelin implant(登録商標));ヒドロキシウレア(Hydrea(登録商標));イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標));イダルビシン(Idamycin(登録商標));イホスファミド(IFEX(登録商標));イマチニブメシレート(グリベック(登録商標));インターフェロンα2a(Roferon A(登録商標));インターフェロンα−2b(Intron A(登録商標));イリノテカン(Camptosar(登録商標));レナリドミド(Revlimid(登録商標));レトロゾール(Femara(登録商標));ロイコボリン(Wellcovorin(登録商標)、ロイコボリン(登録商標));ロイプロリドアセテート(Eligard(登録商標));レバミゾール(Ergamisol(登録商標));ロムスチン、CCNU(CeeBU(登録商標));メクロレタミン、ナイトロジェンマスタード(Mustargen(登録商標));メゲストロールアセテート(Megace(登録商標));メルファラン、L−PAM(Alkeran(登録商標));メルカプトプリン、6−MP(Purinethol(登録商標));メスナ(Mesnex(登録商標));メスナ(Mesnex tabs(登録商標));メトトレキサート(メトトレキサート(登録商標));メトキサレン(Uvadex(登録商標));マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ミトタン(Lysodren(登録商標));ミトキサントロン(Novantrone(登録商標));ナンドロロンフェンプロピオネート(Durabolin−50(登録商標));ネララビン(Arranon(登録商標));ノフェツモマブ(Verluma(登録商標));オプレルベキン(Neumega(登録商標));オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標));パクリタキセル(Paxene(登録商標));パクリタキセル(タキソール(登録商標));パクリタキセルタンパク質結合粒子(Abraxane(登録商標));パリフェルミン(Kepivance(登録商標));パミドロネート(Aredia(登録商標));ペガデマーゼ(Adagen(Pegademase Bovine)(登録商標));ペグアスパルガーゼ(pegaspargase)(Oncaspar(登録商標));ペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標));ペメトレキセド・二ナトリウム(Alimta(登録商標));ペントスタチン(Nipent(登録商標));ピポブロマン(Vercyte(登録商標));プリカマイシン、ミトラマイシン(Mithracin(登録商標));ポルフィマーナトリウム(Photofrin(登録商標));プロカルバジン(Matulane(登録商標));キナクリン(Atabrine(登録商標));ラスブリカーゼ(Elitek(登録商標));リツキシマブ(リツキサン(登録商標));サルグラモスチム(Leukine(登録商標));サルグラモスチム(Prokine(登録商標));ソラフェニブ(Nexavar(登録商標));ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標));スニチニブマレエート(Sutent(登録商標));タルク(Sclerosol(登録商標));タモキシフェン(Nolvadex(登録商標));テモゾロミド(Temodar(登録商標));テニポシド、VM−26(Vumon(登録商標));テストラクトン(Teslac(登録商標));チオグアニン、6−TG(チオグアニン(登録商標));チオテパ(Thioplex(登録商標));トポテカン(Hycamtin(登録商標));トレミフェン(Fareston(登録商標));トシツモマブ(Bexxar(登録商標));トシツモマブ/I−131トシツモマブ(Bexxar(登録商標));トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標));トレチノイン、ATRA(Vesanoid(登録商標));ウラシルマスタード(ウラシルマスタードカプセル(登録商標));バルルビシン(Valstar(登録商標));ビンブラスチン(Velban(登録商標));ビンクリスチン(Oncovin(登録商標));ビノレルビン(Navelbine(登録商標));ゾレドロネート(Zometa(登録商標))およびボリノスタット(Zolinza(登録商標))。
【0185】
更新された癌治療の包括的な考察については、http://www.fda.gov/cder/cancer/druglistframe.htmにおけるhttp://www.nci.nih.gov/(FDA承認腫瘍学薬物のリスト)、およびThe Merck Manual,Seventeenth Ed.1999(これらの内容全体は、本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0186】
薬剤の他の例および本発明の化合物はまた、組み合わされ得、これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アルツハイマー病のための処置(例えば、アリセプト(登録商標)およびExcelon(登録商標));パーキンソン病の処置(例えば、L−ドパ/カルビドパ、エンタカポン、ロピニロール(ropinrole)、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ペルゴリド、トリヘキシフェニジル(trihexephendyl)、およびアマンタジン);多発性硬化症(MS)を処置するための薬剤(例えば、βインターフェロン(例えば、Avonex(登録商標)およびRebif(登録商標))、Copaxone(登録商標)、およびミトキサントロン;喘息のための処置(例えば、アルブテロールおよびSingulair(登録商標));精神分裂病を処置するための薬剤(例えば、ジプレキサ、リスパダール、セロクエル、およびハロペリドール);抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド、TNFブロッカー、IL−1 RA、アザチオプリン、シクロホスファミド、およびスルファサラジン);免疫調節剤および免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノレートモフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、およびスルファサラジン);神経栄養因子(例えば、アセチルコリンエステラーゼインヒビター、MAOインヒビター、インターフェロン、抗痙攣剤、イオンチャネルブロッカー、リルゾール、および抗パーキンソン剤);心血管疾患を処置するための薬剤(例えば、β遮断薬、ACEインヒビター、利尿剤、ニトレート、カルシウムチャネルブロッカー、およびスタチン);肝臓疾患を処置するための薬剤(例えば、コルチコステロイド、コレスチラミン、インターフェロン、および抗ウイルス剤);血液障害を処置するための薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗白血病薬剤、および増殖因子);ならびに免疫不全障害を処置するための薬剤(例えば、γ−グロブリン)。
【0187】
プロテインキナーゼのインヒビターとして、本発明の化合物および組成物はまた、生物学的サンプルにおいて有用である。本発明の一局面は、生物学的サンプル中のプロテインキナーゼ活性を阻害することに関し、上記方法は、上記生物学的サンプルと、式Iおよび式IAの化合物もしくは上記化合物を含む組成物とを接触させる工程を包含する。用語「生物学的サンプル」とは、本明細書で使用される場合、インビトロもしくはエキソビボのサンプルを意味し、これらとしては、細胞培養物もしくはその抽出物;哺乳動物から得られた生検材料もしくはその抽出物;ならびに血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、もしくは他の体液またはこれらの抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0188】
生物学的サンプルにおけるプロテインキナーゼ活性の阻害は、当業者に公知の種々の目的のために有用である。このような目的の例としては、輸血、臓器移植、および生物学的標本の貯蔵が挙げられるが、これらに限定されない。
【0189】
本発明の別の局面は、生物学的現象および病理的現象におけるプロテインキナーゼの研究;このようなプロテインキナーゼによって媒介される細胞内シグナル伝達経路の研究;ならびに新たなプロテインキナーゼインヒビターの比較評価に関する。このような用途の例としては、生物学的アッセイ(例えば、酵素アッセイおよび細胞ベースのアッセイ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0190】
プロテインキナーゼインヒビターとしての上記化合物の活性は、インビトロ、インビボ、もしくは細胞株においてアッセイされ得る。インビトロアッセイとしては、キナーゼ活性もしくは活性化されたキナーゼのATPase活性いずれかの阻害を決定するアッセイが挙げられる。代替のインビトロアッセイは、上記インヒビターが上記プロテインキナーゼに結合する能力を定量し、結合する前に上記インヒビターを放射性標識し、上記インヒビター/キナーゼ複合体を単離し、そして結合した放射性標識の量を決定するか、または新たなインヒビターが既知の放射性リガンドに結合した上記キナーゼとインキュベートされる競合実験を実施するかのいずれかによって、測定され得る。本発明において利用される化合物をアッセイするための詳細な条件は、以下の実施例に示される。
【0191】
本発明の別の局面は、式Iおよび式IAの化合物と、プロテインキナーゼとを接触させることによって、酵素活性を調節するための方法を提供する。
【0192】
(略語)
以下の略語が使用される:
DMSO ジメチルスルホキシド
TCA トリクロロ酢酸
ATP アデノシン三リン酸
BSA ウシ血清アルブミン
DTT ジチオスレイトール
MOPS 4−モルホリンプロパンスルホン酸
NMR 核磁気共鳴
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LCMS 液体クロマトグラフィー−質量分析
TLC 薄層クロマトグラフィー
Rt 保持時間。
【0193】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、表1に表される。
表1
【0194】
【表1−1】

【0195】
【表1−2】

いくつかの実施形態において、本明細書で使用される上記変数(例えば、y、A、R、R、R、R、R、R、R、およびB)は、表1において定義されるとおりである。
【0196】
(一般的合成方法論)
本発明の化合物は、当業者に概して公知の工程を使用して、本明細書に鑑みて、調製され得る。それら化合物は、公知の方法(LCMS(液体クロマトグラフィー質量分析)、HPLCおよびNMR(核磁気共鳴)が挙げられるが、これらに限定されない)によって分析され得る。以下に示される具体的条件は、単なる例に過ぎず、本発明の化合物を作製するために使用され得る条件の範囲を限定することを意味しないことが理解されるべきである。代わりに、本発明はまた、本発明の化合物を作製するために、本明細書に鑑みて当業者に明らかである条件を含む。別段示されなければ、以下のスキームにおける全ての変数は、本明細書で定義されるとおりである。一般的スキーム:
スキーム1:
【0197】
【化3】

試薬および条件:a)N、THF、90℃;b)NaH、PgCl、DMF;c)KCO、[B(OR、Pd(dppf)Cl.DCM、ジオキサン、120℃;d)NaCO、Pd[P(Bu)]ジオキサン;e)脱保護条件。
【0198】
上記のスキーム1は、本発明の式Iおよび式IAの化合物(ここでR、R、R、RおよびRは、本明細書で記載されるとおりである(上記A、A’を有する5員の環は、本明細書中で環Aとして定義され、(Rで置換された環Bは、上記CR基で置き換えられ得ることが理解される)を調製するための一般的合成経路を記載する。ヒドラジンの存在下での1の環化は、中間体2を与える。適切な保護基(例えば、トシル、トリチル、Sem)の導入、続いて、ヨード誘導体3のホウ素化から、4を得る。中間体4とブロモ誘導体5との鈴木カップリングから、6がもたらされ、これは、当該分野で周知の条件を使用する脱保護の後に、本発明の化合物7を与える。
スキーム2:
【0199】
【化4】

試薬および条件:a)KCO、[B(OR、Pd(dppf)Cl.DCM、DME、100℃;b)NaCO、Pd(PPh、DME、m波照射、150℃。
【0200】
上記のスキーム2は、本発明の式Iおよび式IAの化合物(ここでR、R、R、RおよびRは、本明細書で記載されるとおりである(上記A、A’を有する5員環は、本明細書で環Aとして定義され、(Rで置換された環Bは、上記CR基で置換され得ることが理解される))を調製するための別の一般的合成経路を記載する。8のための出発物質は、市販されているかまたは当該分野で周知の反応によって調製され得るかのいずれかである(例えば、Knochel,Buchwald)。誘導体8のホウ素化、続いて、中間体10との鈴木−宮浦クロスカップリング反応から、本発明の化合物11がもたらされる。
スキーム3:
【0201】
【化5】

試薬および条件:a)LiAlH、THFもしくはAlane:ジメチルアミン、THF。
【0202】
上記のスキーム3は、本発明の式Iおよび式IAの化合物(ここでR、R、R、RおよびRは、本明細書に記載されるとおりである(上記、A、A’を有する5員環は、本明細書で環Aとして定義され、Rは、CHNHである))を調製するための一般的合成経路を示す。本発明の化合物13は、当該分野で周知の条件を使用するシアノ官能基の還元によって、調製されうる。
スキーム4:
【0203】
【化6】

試薬および条件:a)Pd(AcO)、CuI、Pd(o−tol)、KCO、THF、還流;b)脱保護条件。
【0204】
上記のスキーム4は、本発明の式Iおよび式IAの化合物(ここでR、R、R、RおよびRは、本明細書で記載されるとおりである(上記A、A’を有する5員環は、本明細書で環Aとして定義され、(Rで置換された環Bは、上記CR基で置換され得ることが理解される))を調製するための別の一般的合成経路を示す。中間体15とブロモ誘導体14との鈴木カップリングから、化合物16がもたらされる。本発明の化合物17は、中間体16の脱保護の後に最終的に得られた。
スキーム5:
【0205】
【化7】

試薬および条件:a)i. iPrMgCl−LiCl、THF、CO、−20°C;ii. NHCl、EtN、TBTU、DMF;b)Lawesson試薬、THF、80℃;c)BrCH2C(O)R、EtOH、還流;d)脱保護条件。
【0206】
上記のスキーム5は、本発明の式Iおよび式IAの化合物(ここでA、A’、R、R、R、RおよびRは、本明細書に記載されるとおりである(上記Aを有する5員環は、本明細書で環Aとして定義されるとおりであり、(Rで置換された環Bは、上記CR基で置き換えれ得ることが理解される))を調製するための別の一般的合成経路を示す。中間体18を、グリニャール中間体をCOでクエンチすることによって、対応するカルボキシレート誘導体中で変換した。次いで、上記カルボキシレートは、一級アミド19へと変換される。上記化合物19をLawsson試薬で処理して、チオアミド20を得た。式20の化合物を、都合よく置換したαブロモケトンで還流することによって、対応するチアゾール中で変換(conerted)した。本発明の化合物22を、脱保護後に最終的に得た。
【実施例】
【0207】
(HPLC法)
質量分析サンプルを、エレクトロスプレーイオン化付きのシングルMSモードで操作したMicroMass Quattro Micro質量分析計で分析した。サンプルを、クロマトグラフィーを使用して、上記質量分析計に導入した。全ての質量分析のための移動相は、10mM pH7 酢酸アンモニウムおよび1:1 アセトニトリル−メタノール混合物からなった。カラム勾配条件は、ACE5C8 3.0×75mmカラム上で3.5分の勾配時間にわたる5%〜100% アセトニトリル−メタノールおよび4.8分の運転時間であった。流速は、1.2ml/分であった。
【0208】
本明細書で使用される場合、用語「Rt(分)」とは、上記化合物と関連したLCMS保持時間(分単位)に言及する。別段示されなければ、報告される保持時間を得るために利用される上記LCMS法は、上記で詳述されるとおりである。
【0209】
1H−NMRスペクトルを、Bruker DPX 400機器を使用して、400MHzにおいて記録した。
【0210】
式Iおよび式IAの以下の化合物を以下のように調製および分析した。
【0211】
(実施例)
(実施例1:2−(2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)エタンニトリル(化合物1)
【0212】
【化8】

方法A:
工程1:4−ヨード−1−トリチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン
4−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(15g,61.22mmol)を、DMF(300mL)中に溶解し、上記溶液を、アイスバス中で5℃へと冷却した。水素化ナトリウム(60%,2.938g,73.46mmol)を少しずつ添加し、2時間にわたってこの温度で攪拌したままにした。この期間の後、DMF(150mL)中のトリチルクロリド(18.77g,67.34mmol)の溶液を、30分間にわたって滴下した。さらに2時間攪拌した後、上記溶媒を、エバポレーションによって除去し、その残渣を、酢酸エチルと飽和重炭酸塩との間で分配した(2×100ml)。上記有機層を、ブラインでさらに洗浄し(100ml)、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮して、褐色油状物を得た。この残渣を、シリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記標題化合物を白色固体として得た(13.71g,46%収率)。H NMR(DMSO−d, 400MHz) δ 7.16−7.31(15H, m), 7.59(1H, d), 7.89(1H, d), 8.10(1H, s); MS(ES) 488。
【0213】
工程2:4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1−トリチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン
4−ヨード−1−トリチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(9.61g,19.72mmol)、酢酸カリウム(5.806g,59.16mmol)およびビス(ピナコール)ジボロン(6.008g,23.66mmol)の混合物を、ジオキサン(100mL)中で溶解した。窒素を、20分間にわたって上記反応混合物にバブリングし、次いで、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(805.2mg,0.99mmol)を、一度に添加し、上記反応混合物を密封し、24時間にわたってブラストシールド(blast shield)の後ろで120℃へと加熱した。上記反応混合物を室温へと冷却し、セライトのパスを通して濾過し、EtOAcで洗浄した。その濾液を真空で濃縮し、その残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィーによってシリカゲル上で精製して、上記標題化合物をベージュ色の固体として得た(7.08g,74%収率)。H NMR(DMSO−d, 400MHz) δ 1.35(12H, s), 7.19−7.32(16H, m), 8.25−8.29(2H, m); MS(ES) 488。
【0214】
工程3:(2−ブロモチアゾール−4−イル)メタノール
THF(100mL)中のエチル2−ブロモチアゾール−4−カルボキシレート(7.821g,33.13mmol)の溶液を、アイスバス中で冷却し、水素化ホウ素リチウム(1.083g,49.70mmol)で少しずつ処理した。1時間後、MeOH(1.614g,2.040mL,50.36mmol)を、30分間の期間にわたって添加した。上記反応物を、3時間にわたって攪拌し、次いで、上記溶媒を真空中で濃縮し、得られた残渣を、EtOAc中に溶解し、HCl(2×)、飽和炭酸水素ナトリウム、続いて、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(EtOAc/石油エーテル 1:1)によって精製して、無色油状物として必要とされる生成物を得た(4.30g,67%収率)。H NMR(CDCl, 400MHz) δ 2.51(1H, m), 4.75(2H, m), 7.19(1H, s); MS(ES) 195.96。
【0215】
工程4:2−ブロモ−4−(ヨードメチル)チアゾール
窒素下で、THF(20mL)中の2−ブロモチアゾール−4−イル)メタノール(1.488g,7.668mmol)、トリフェニルホスフィン(3.016g,2.664mL,11.50mmol)および4H−イミダゾール(1.044g,15.34mmol)の冷却した溶液を、分子状ヨウ素(2.919g,592.1μL,11.50mmol)で一度に処理し、上記反応をこの温度で維持した。1時間後、上記反応混合物を、水で希釈し、EtOAcで抽出した。その有機層を、1% メタ重亜硫酸ナトリウム溶液、続いて、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させた。上記混合物を真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(3:1 石油エーテル/EtOAc)を使用して精製して、白色固体として純粋生成物を得た(2.12g,91%収率)。H NMR(CDCl, 400MHz) δ 4.49(2H, s), 7.22(1H, s); MS(ES) 305.74。
【0216】
工程5:2−(2−ブロモチアゾール−4−イル)エタンニトリル
窒素下で、DMSO(15mL)中の2−ブロモ−4−(ヨードメチル)チアゾール(2.11g,6.942mmol)の溶液を、シアン化ナトリウム(345.0mg,7.039mmol)で処理し、40分間にわたって攪拌した。上記反応系をジエチルエーテル/水で希釈し、層を分離し、水層をエーテルでさらに抽出し(2×)、合わせた有機物を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(3:1 石油エーテル/EtOAc)によって精製して、白色固体として生成物を得た(1.20g,86%収率)。H NMR(CDCl, 400MHz) δ 3.91(2H, s), 7.31(1H, s); MS(ES) 204.95。
【0217】
工程6:2−(2−(1−トリチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)エタンニトリル
2−(2−ブロモチアゾール−4−イル)アセトニトリル(575mg,2.832mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1−トリチル−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(1.840g,3.398mmol)、NaCO(2Mの4.248mL,8.496mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(130.9mg,0.1133mmol)の混合物を、150℃において20分間にわたってマイクロ波で加熱した。上記反応混合物を、水/EtOAcで処理し、2回抽出した。その有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、精製した(1:1 石油エーテル/EtOAc,)。上記混合物を再度カラムに供して(石油エーテル)、所望の純粋な生成物を得た(827mg,60%収率)。H NMR(CDCl, 400MHz) δ 4.04(2H, s), 7.47(2H, m), 8.34(1H, m), 8.75(1H, m); MS(ES) 484.12。
【0218】
(工程7:2−(2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)エタンニトリル)
DCM(3ml)中の2−[2−(1−トリチルピラゾロ[5,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル]アセトニトリル(83mg,0.1716mmol)の溶液を、トリエチルシラン(0.5ml)、続いて、TFA(0.5mL)で処理した。15分後に、上記混合物を、真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(70:9:1 DCM/MeOH/NHOH)によって精製して、淡褐色固体として上記生成物を得た(6.5mg,16%収率)。H NMR(DMSO, 400MHz) δ 4.37(2H, s), 7.72(1H, d), 7.94(1H, s), 8.63(1H, s), 8.66(1H, d), 13.98(1H, br s); MS(ES) 242.00。
【0219】
(実施例2:2−(2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)−2−メチルプロパンニトリル(化合物2)
【0220】
【化9】

化合物2を、方法A、工程1〜6、続いて、方法B、工程1〜2を使用して調製した。
【0221】
方法B:
工程1:2−メチル−2−(2−(1−トリチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)プロパンニトリル
窒素下で、THF(2mL)中の2−[2−(1−トリチルピラゾロ[5,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル]アセトニトリル(253mg,0.5232mmol)の冷却溶液を、LHMDS(1.024g,THF中、1Mの1.151mL,1.151mmol)を滴下して処理した。上記反応混合物を、周囲温度で1.5時間にわたって攪拌し、次いで、MeI(185.7mg,81.45μL,1.308mmol)で処理した。上記反応混合物を、一晩攪拌し、次いで、MeOHでクエンチし、濃縮した。その残渣を、EtOAc/ブラインで処理し、2回抽出した。合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(2:1 石油エーテル/EtOAc)によって精製して、白色泡沫物として生成物を得た:(239mg,89%収率)。MS(ES) 512.20。
【0222】
工程2:2−(2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)−2−メチルプロパンニトリル
DCM(6mL)中の2−メチル−2−[2−(1−トリチルピラゾロ[5,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル]プロパンニトリル(239mg,0.4671mmol)の溶液を、トリエチルシラン(727.8mg,999.7μL, 6.259mmol)で処理し、続いて、TFA(296.0mg,200.0μL,2.596mmol)を滴下した。上記混合物を、1時間にわたって攪拌し、次いで、真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(EtOAc)によって精製して、所望の生成物を黄色固体として得た(97.5mg,78%収率)。H NMR(DMSO, 400MHz) δ 1.84(6H, s), 7.73(1H, d), 8.04(1H, s), 8.64(1H, s), 8.67(1H, d), 13.98(1H, br s); MS(ES) 270.03。
【0223】
以下の化合物を、実施例2に記載されるものに類似の経路によって、一般的に調製した。
化合物5
化合物6
化合物7。
【0224】
(実施例3:2−(2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)−2−メチルプロパン−1−アミン(化合物3))
【0225】
【化10】

化合物3を、方法A、工程1〜6、続いて、方法B、工程1〜2、続いて、方法C、工程1を使用して調製した。
【0226】
方法C:
工程1:2−(2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)−2−メチルプロパン−1−アミン
Alumane;N,N−ジメチルエタンアミン(0.5Mが1.842mL,0.9208mmol)を、10分間にわたって、THF(7.5mL)中の2−メチル−2−[2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル]プロパンニトリル(62mg,0.2302mmol)の溶液にアイスバスで冷却しながら滴下した。上記混合物を、一晩、室温へと加温した。反応は不完全であったので、これをアイスバス中で再び冷却し、さらなるAlumane;N,N−ジメチルエタンアミン(0.5Mの1.842mL,0.9208mmol)で3分間にわたって処理した。上記反応混合物を、6時間にわたって攪拌したままにし、次いで、冷却し(アイスバスで補助して)、水を滴下して処理した。上記水性物を、飽和NaClで処理し、EtOAcで抽出し(3×)、乾燥させ(MgSO)、濾過し、乾燥するまでエバポレートした。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(70:9:1 DCM/MeOH/NHOH)によって精製して、上記標題化合物を得た。これを、凍結乾燥して、灰白色固体を得た(63mg,19%収率)。H NMR(DMSO, 400MHz) δ 1.35(6H, s), 2.83(2H, s), 7.64(1H, s), 7.66(1H, d), 8.62(1H, s), 8.63(1H, d); MS(ES) 274.04。
【0227】
以下の化合物を、実施例3に記載されるものと類似の経路によって、一般的に調製した。
化合物9
化合物10
化合物119。
【0228】
(実施例4:2−(2−(3−クロロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)−2−メチルプロパンニトリル(化合物8))
【0229】
【化11】

化合物8を、方法A、工程1〜6、続いて、方法B、工程1〜2、続いて、方法D、工程1を使用して調製した。
【0230】
方法D:
工程1:2−(2−(3−クロロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)−2−メチルプロパンニトリル
2−メチル−2−[2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル]ブタンニトリル(82mg,0.2894mmol)を、水(5.000mL)中のNaOH(46.32mg,1.158mmol)の溶液の中で懸濁した。上記混合物を超音波処理して、より小さな粒径を得、アイスバス中で冷却した。次亜塩素酸ナトリウム(8%w/vの282.8μL,0.3039mmol)を2分にわたってゆっくりと添加し、得られた混合物を、周囲温度で3時間にわたって攪拌した。上記反応物を、飽和水性NaCOで希釈し、次いで、EtOAcで2回抽出した。上記合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(1:1,石油エーテル/EtOAc)によって精製して、純粋化合物を白色固体として得た(3.9mg,4%収率)。H NMR(DMSO, 400MHz) δ 0.93(3H, t), 1.76(3H, s), 1.99−2.21(2H, m), 7.54(1H, s), 8.00(1H, s), 8.71(1H, s), 14.29(1H, br s); MS(ES) 318.08。
【0231】
(実施例5:2−メチル−2−(5−メチル−2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)プロパン−1−アミン(化合物4))
【0232】
【化12】

化合物4を、方法A、工程1、続いて、方法E、工程1〜5を使用して、調製した。
【0233】
方法E:
工程1:1−トリチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−カルボン酸
THF(2.5mL)中のイソプロピル塩化マグネシウム−塩化リチウム錯体(14%w/vの21.99mL,21.20mmol)の溶液を、−20℃未満へと冷却した。これを、窒素下で、4−ヨード−1−トリチル−ピラゾロ[5,4−b]ピリジン(9.84g,20.19mmol)で処理し、30分間にわたって攪拌した。次いで、上記反応物を、3ペレットのCOで処理し、加温した。さらに1時間後、上記混合物をEtOAcで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液で酸性化した。上記層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。上記混合物を、カラムクロマトグラフィー(1:1 石油エーテル/EtOAc、10% MeOH/EtOAcまで移動する)によって精製して、灰白色油状物として生成物を得た(7.0g,86%収率)。H NMR(DMSO, 400MHz) δ 7.17−7.26(15H, m), 7.47−7.49(1H, m), 8.18(1H, d), 8.56−8.58(1H, m)。
【0234】
工程2:1−トリチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−カルボキサミド
DMF(70.01mL)中の1−トリチルピラゾロ[5,4−b]ピリジン−4−カルボン酸(3.996g,9.856mmol)の懸濁物を、トリエチルアミン(2.194g,3.022mL,21.68mmol)、塩化アンモニウム(2.636g,1.723mL,49.28mmol)およびTBTU(4.746g,14.78mmol)で、室温において窒素下で順に処理した。上記反応物を4時間攪拌し、次いで、DCMおよび飽和水性NHClで処理した。上記水性物をDCMで2回抽出し、その有機層を、水性NHCl、続いて、0.5M NaOHで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。その残渣を、カラムクロマトグラフィー(70:9:1 DCM/MeOH/NHOH)によって精製して、生成物を白色固体として得た(3.08g,77%収率)。H NMR(DMSO, 400MHz) δ 7.18−7.29(15H, m), 7.44(1H, m), 7.83(1H, br s), 8.27(1H, br s), 8.37(1H, m), 8.46(1H, m); MS(ES) 405.12。
【0235】
工程3:1−トリチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−カルボチオアミド
THF(50mL)中の1−トリチルピラゾロ[5,4−b]ピリジン−4−カルボキサミド(2.843g,7.029mmol)の溶液を、室温において窒素下で、Lawesson試薬(2.843g,7.029mmol)で処理した。得られた黄色溶液を、80℃において4時間加熱し、次いで、ブラインで処理し、EtOAcで抽出した(2×)。上記有機物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(2% MeOH/DCM)によって精製して、生成物を黄色泡沫物として得た(定量的収率)。H NMR(DMSO, 400MHz) δ 7.18−7.30(16H, m), 8.28(1H, m), 8.40(1H, s), 10.34(1H, br s); MS(ES) 421.16。
【0236】
工程4:N−(2−メチル−2−(5−メチル−2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)プロピル)ベンズアミド
EtOH(6.999mL)中の1−トリチルピラゾロ[5,4−b]ピリジン−4−カルボチオアミド(274mg,0.6516mmol) N−(4−ブロモ−2,2−ジメチル−3−オキソ−ペンチル)ベンズアミド(203.4mg,0.6516mmol)の溶液を、90℃において16時間にわたって加熱した。上記混合物を、飽和水性NaCOおよびEtOAcで処理し、その2層を分離した。その有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(70:9:1 DCM/MeOH/NHOH)によって精製して、必要とされる生成物を得た(103mg,40%収率)。H NMR(CDCl, 400MHz) δ 0.38−0.73(6H, s), 1.79(3H, s), 3.07(2H, s), 6.36(3H, m), 6.78(3H, m), 7.80(2H, m), 10.81(1H, br s); MS(ES) 392.03。
【0237】
工程5:2−メチル−2−(5−メチル−2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル)プロパン−1−アミン
N−[2−メチル−2−[5−メチル−2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チアゾール−4−イル]プロピル]ベンズアミド(55mg,0.1405mmol)を、EtOH(1mL)中に溶解し、5M NaOH(2.5mL)で処理した。上記反応物を、170℃において、マイクロ波で500分にわたって加熱した。上記混合物を、EtOAc、続いて、DCMで抽出し、その合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。その残渣を、カラムクロマトグラフィー(70:9:1, DCM/MeOH/NHOH)によって精製して、必要とされる生成物を、淡黄色固体として得た(18.9mg,47%収率)。H NMR(DMSO, 400MHz) δ 1.40(6H, s), 2.61(3H, s), 2.88(2H, s), 7.51(1H, s), 8.56(2H, m); MS(ES) 288.00。
【0238】
(実施例6:(4−メチル−2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール−4−イル)メタンアミン(化合物12))
【0239】
【化13】

化合物12を、方法A、工程1、続いて、方法E、工程1〜3、続いて、方法F、工程1〜2を使用して調製した。
【0240】
方法F:
工程1:4−メチル−2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール−4−カルボニトリル
EtOH(10mL)/THF(1.5mL)中の1−トリチルピラゾロ[5,4−b]ピリジン−4−カルボチオアミド(220mg,0.5232mmol)および3−ブロモ−1−メチル−2−オキソ−シクロヘキサン−1−カルボニトリル(125.0mg,0.5785mmol)の溶液を、90℃において一晩、窒素下で加熱した。上記反応混合物を真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(70:9:1 DCM/MeOH/NHOH)によって精製して、沈殿させた後に白色固体を得た(67mg,39%収率)。MS(ES) 296.08。
【0241】
工程2:(4−メチル−2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール−4−イル)メタンアミン
THF(7mL)中の4−メチル−2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−1,3−ベンゾチアゾール−4−カルボニトリル(67mg,0.2268mmol)の溶液を、アイスバス中で冷却し、THF中のLiAlH(2Mが453.6μL,0.9072mmol)を滴下して処理した。上記混合物を、室温へと加温し、3時間にわたって攪拌し、次いで、冷却しながら水でクエンチした。その水層をEtOAcで抽出し(2×)、その合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮した。その残渣を、逆相分取用HPLC[Waters Sunfire C18,10mM,100Åカラム,16分間にわたって25mL/分において勾配10%〜95% B(溶媒A:水中0.05% TFA;溶媒B:CHCN)]によって精製した。画分を集め、炭酸水素ナトリウムカートリッジを通過させ、凍結乾燥して、上記標題化合物を白色固体として得た(2.7mg,4%収率)。H NMR(DMSO, 400MHz) δ 1.29(3H, s), 1.50−1.55(1H, m), 1.85−1.98(3H, m), 2.77−2.93(4H, m), 7.58(1H, d), 8.58(1H, s), 8.60(1H, d); MS(ES) 300.05。
【0242】
(実施例7:2−(4−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ブタンニトリル(化合物15))
【0243】
【化14】

化合物15を、方法A、工程1、続いて、方法G、工程1〜3を使用して調製した。
【0244】
方法G:
工程1:4−(1H−ピラゾール−4−イル)−1−トリチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン
DME(20mL)中の4−ヨード−1−トリチル−ピラゾロ[5,4−b]ピリジン(1.404g,2.880mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3H−ピラゾール(950mg,4.896mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(166.4mg,0.1440mmol)の混合物を、NaCO(5.559g,2Mの5.040mL,10.08mmol)で処理し、マイクロ波で60分間にわたって150℃において加熱した。上記反応混合物を、EtOAcおよび水で希釈し、層分離した。その有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(1:1 石油エーテル/EtOAc、EtOAcに移動)によって精製して、純粋化合物を白色固体として得た(597mg,49%収率)。H NMR(DMSO, 400MHz) δ 6.25(1H, m), 7.20−7.25(15H, m), 7.33(1H, m), 7.65(2H, m), 8.19(1H, m), 8.71(1H, s), 8.60(1H, br s); MS(ES) 428.18。
【0245】
工程2:2−(4−(1−トリチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)エタンニトリル
乾燥THF(100.0mL)中の4−(1H−ピラゾール−4−イル)−1−トリチル−ピラゾロ[5,4−b]ピリジン(3.824g,8.945mmol)および炭酸カリウム(9.890g,71.56mmol)の混合物を、2−ブロモアセトニトリル(8.583g,4.984mL,71.56mmol)で処理し、90℃において5時間にわたって加熱した。上記反応物を冷却し、ブライン/EtOAcで処理し、その2層を分離した。その合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(1:1 石油エーテル/EtOAc)によって精製して、濃縮すると同時に白色固体を得た。上記物質を次の工程のために採取した。H NMR(CDCl, 400MHz) δ 5.21(2H, s), 7.06(1H, s), 7.27−7.28(15H, m), 8.04(2H, m), 8.25(2H, m); MS(ES) 467.19。
【0246】
工程3:2−(4−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ブタンニトリル
0℃のTHF(10mL)中のジイソプロピルアミン(229.8mg,318.3μL,2.271mmol)の溶液を、ブチルリチウム(2.5Mが698.8μL,1.747mmol)で処理し、次いで、−78℃へと冷却した。次いで、これを、2−[4−(1−トリチルピラゾロ[5,4−b]ピリジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]アセトニトリル(815mg,1.747mmol)の溶液に20分間の期間にわたって滴下した。さらに30分後、上記反応物を、ヨードエタン(544.9mg,279.4μL,3.494mmol)で、−78℃において処理し、上記アイスバスを外した。上記反応物を、1.5時間にわたって攪拌し、次いで、ブライン/EtOAcで処理し、その2層を分離した。その有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をDCM(12mL)中にとり、トリエチルシラン(4mL)およびTFA(0.5mL)で処理し、室温において2時間にわたって攪拌した。上記反応系を真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(10% MeOH/DCM)によって精製して、生成物を純粋な白色固体として得た(252mg,57%収率)。H NMR(DMSO, 400MHz) δ 0.95(3H, t), 2.23−2.28(2H, m), 5.79(1H, t), 7.46(1H, d), 8.46(1H, s), 8.48(1H, d), 8.52(1H, d), 8.83(1H, s), 13.73(1H, br s); MS(ES) 253.09。
【0247】
(実施例8:2−(4−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ブタン−1−アミン(化合物17))
【0248】
【化15】

化合物17を、方法A、工程1、続いて、方法G、工程1〜3、続いて、方法H、工程1を使用して調製した。
【0249】
方法H:
工程1:2−(4−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ブタン−1−アミン
アイスバス中で冷却したTHF(10mL)中の2−[4−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]ブタンニトリル(252mg,0.9989mmol)の攪拌溶液に、LiAlH(2Mの1.998mL,3.996mmol)を10分間にわたって滴下した。上記反応物を1.5時間にわたって室温で攪拌し、次いで、MeOHを滴下してクエンチし、真空中で濃縮した。その残渣を、MeOHの助けを借りながらセライトパッドを通して濾過し、次いで、逆相分取用HPLC[Waters Sunfire C18,10mM,100Åカラム,16分間にわたって25mL/分において勾配10%〜95% B(溶媒A:水中0.05% TFA;溶媒B:CHCN)]によって精製した。上記画分を集め、炭酸水素ナトリウムカートリッジを通過させ、凍結乾燥して、上記標題化合物を白色固体として得た(26.2mg,10%収率)。H NMR(DMSO, 400MHz) δ 0.72(3H, t), 1.41(2H, br s), 1.80−1.86(2H, m), 2.88−2.94(2H, m), 4.09−4.13(1H, m), 7.41(1H, d), 8.31(1H, s), 8.45(1H, d), 8.57(1H, s), 8.65(1H, s), 13.62(1H, br s); MS(ES) 257.03。
【0250】
以下の化合物を、実施例8に記載されるものと類似の経路によって、一般的に調製した。
化合物16
(実施例9:2−(5−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チオフェン−3−イル)−2−メチルブタン−1−アミン(化合物13))
【0251】
【化16】

化合物13を、方法I、工程1〜5を使用して調製した。
【0252】
方法I:
工程1:2−(チオフェン−3−イル)ブタンニトリル
窒素下で、THF(30mL)中の2−(3−チエニル)アセトニトリル(3.144g,25.52mmol)の冷却溶液を、THF中のLHMDS(22.70g,1Mの25.51mL,25.50mmol)を20分間にわたって滴下して処理した。上記混合物を30分間にわたって攪拌し、次いで、ヨードエタン(4.180g,2.144mL,26.80mmol)を滴下して処理した。上記反応物を室温でさらに1時間にわたって攪拌し、次いで、MeOHを添加してクエンチし、真空中で濃縮した。その残渣を水で希釈し、EtOAcで抽出した(2×)。その合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(6:1 石油エーテル/EtOAc)によって精製して、生成物を油状物として得た(708mg,18%収率)。H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 1.08(3H, t), 1.93−2.00(2H, q), 3.86(1H, m), 7.03(1H, m), 7.25(1H, m), 7.37(1H, m)。
【0253】
工程2:2−メチル−2−(チオフェン−3−イル)ブタンニトリル
窒素下で、THF(15mL)中の2−(チオフェン−3−イル)ブタンニトリル(708mg,4.682mmol)の冷却溶液を、THF中のLHMDS(4.375g,1Mの4.916mL,4.916mmol)を滴下して処理した。1時間後、上記反応物を、ヨードメタン(731.0mg,320.6μL,5.150mmol)で処理し、次いで、室温へと加温した。2.5時間後、上記反応物を、MeOHでクエンチし、次いで、真空中で濃縮した。上記混合物を、EtOAc/水で希釈し、その2層を分離した。その合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(5:1 石油エーテル/EtOAc)によって精製して、生成物を無色油状物として得た(693mg,90%収率)。
【0254】
工程3:2−(5−ブロモチオフェン−3−イル)−2−メチルブタンニトリル
室温の酢酸(5mL)中の2−メチル−2−(3−チエニル)ブタンニトリル(695mg,4.206mmol)の溶液を、酢酸(1.5mL)中の分子臭素(672.2mg,216.7μL,4.206mmol)を滴下して処理し、3.5時間にわたって攪拌した。上記混合物を、水性チオ硫酸ナトリウムおよび石油エーテルで処理し、その2層を分離した。その有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(10:1 石油エーテル/EtOAc)によって精製して、必要とされる生成物を得た(911mg,47%収率)。H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 1.06(3H, m), 1.70(3H, s), 1.94(2H, m), 7.00(1H, m), 7.20(1H, m)。
【0255】
工程4:2−(5−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チオフェン−3−イル)−2−メチルブタンニトリル
DME(12mL)中の2−(5−ブロモ−3−チエニル)−2−メチル−ブタンニトリル(789mg,3.232mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1−トリチル−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(1.750g,3.232mmol)、NaCO(2Mが4.848mL,9.696mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(112.0mg,0.09696mmol)の混合物を、150℃において10分間にわたってマイクロ波で加熱した。上記混合物を水/EtOAcで処理し、その2層を分離した。その有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、得られた残渣を、DCM(8mL)中に溶解し、室温においてトリエチルシラン(5mL)およびTFA(1.5mL)で処理した。上記反応系を2時間にわたって攪拌し、真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(1:1〜2:1 石油エーテル/EtOAc)によって精製して、必要とされる生成物を得た(236mg,26%収率)。H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 1.06(3H, m), 1.78(3H, s), 2.05(2H, m), 7.49(1H, m), 7.53(1H, m), 7.63(1H, m), 8.42(1H, m), 8.60(1H, m); MS(ES) 283.09。
【0256】
工程5:2−(5−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)チオフェン−3−イル)−2−メチルブタン−1−アミン
THF(10.00mL)中の2−メチル−2−[5−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イル)−3−チエニル]ブタンニトリル(234mg,0.8287mmol)の冷却溶液を、THF中のLiAlH4(2Mの1.658mL,3.315mmol)を3分間にわたって滴下して処理した。上記反応物を、室温において一晩攪拌し、次いで、冷却しながら、水でクエンチした。上記混合物をEtOAcで抽出し(2×)、その有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(70:9:1 DCM/MeOH/NHOH)によって精製して、生成物を白色固体として得た(19.0mg,8%収率)。H NMR(DMSO, 400MHz) δ 0.71(3H, t), 1.25(3H, s), 1.50−1.64(1H, m), 1.70−1.84(1H, m), 2.67(1H, d), 2.79(1H, d), 7.46−7.48(2H, m), 7.89(1H, s), 8.48(1H, s), 8.50(1H, d); MS(ES) 287.09。
【0257】
以下の化合物を、実施例9に記載されるものと類似の経路によって、一般的に調製した。
化合物14
以下の表2は、上記の実施例で概説されるものに類似の経路によって一般的に作製した特定の例示的化合物のデータを示す。
表2
【0258】
【表2−1】

【0259】
【表2−2】

(実施例10:)
PKCθ
アッセイ緩衝溶液を調製した。これは、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、25mM NaCl、0.1mM EDTAおよび0.01% Brijからなった。酵素緩衝液(最終アッセイ濃度0.00001% Triton X−100、200μg/mL ホスファチジルセリン、20μg/mL ジアシルグリセロール、360μM NADH、3mM ホスホエノールピルビン酸、70μg/mL ピルビン酸キナーゼ、24μg/mL 乳酸デヒドロゲナーゼ、2mM DTT、100μM 基質ペプチド(ERMRPRKRQGSVRRRV 配列番号1)および18nM PKCθキナーゼまでの試薬を含む)を、アッセイ緩衝液中に調製した。384セルプレートにおいて、この酵素緩衝液60μLに、DMSO中の2μLのVRTストック溶液を添加した。上記混合物を30℃において10分間にわたって平衡化させた。上記酵素反応を、最終アッセイ濃度240μMへとアッセイ緩衝液中に調製した5μL ストックATP溶液の添加によって開始した。初期速度データを、30℃において15分間にわたってMolecular Devices Spectramaxプレートリーダー(Sunnyvale,CA)を使用して、340nMの吸光度の変化割合(NADHの化学量論的消費に対応する)から決定した。各Ki決定のために、VRT濃度範囲0〜20μMを網羅する12個のデータ点を、2連で得た(DMSOストックを、初期の10mM VRTストックから、その後1:2連続希釈で調製した)。Ki値を、Prismソフトウェアパッケージ(Prism 4.0a,Graphpad Software,San Diego,CA)を使用する非線形回帰によって、初期速度データから計算した。Ki値は、A<0.05μM、B<0.5μM、C<2.8μM、C**>1.25μM、D*>2.0μM、D>2.8μMとして表される。
A 化合物は:2、3、5、6、7、8、9、10、11、および13である。
B 化合物は:1、4、12、14、15、および16である。
C 化合物は:17である。
【0260】
PKCδ
アッセイ緩衝溶液を調製した。これは、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、25mM NaCl、0.1mM EDTAおよび0.01% Brijからなった。酵素緩衝液(最終アッセイ濃度0.002% Triton X−100、200μg/mL ホスファチジルセリン、20μg/mL ジアシルグリセロール、360μM NADH、3mM ホスホエノールピルビン酸、70μg/mL ピルビン酸キナーゼ、24μg/mL 乳酸デヒドロゲナーゼ、2mM DTT、150μM 基質ペプチド(ERMRPRKRQGSVRRRV 配列番号2)および46nM PKCδキナーゼまでの試薬を含む)を、アッセイ緩衝液中に調製した。384ウェルプレートにおいて16μLのこの酵素緩衝液に、DMSO中の1μLのVRTストック溶液を添加した。上記混合物を30℃で10分間にわたって平衡化させた。上記酵素反応を、アッセイ緩衝液中に最終アッセイ濃度150μMへと調製した16μL ストックATP溶液を添加することによって開始した。初期速度データを、30℃において15分間にわたって、Molecular Devices Spectramaxプレートリーダー(Sunnyvale,CA)を使用して、340nMの吸光度の変化割合(NADHの化学量論的消費に対応する)から計算した。各Ki決定のために、VRT濃度範囲0〜20μMを網羅する12個のデータ点を、2連で得た(DMSOストックを、初期の10mM VRTストックから、その後1:2連続希釈で調製した)。Ki値を、Prismソフトウェアパッケージ(Prism 4.0a,Graphpad Software,San Diego,CA)を使用する非線形回帰によって、初期速度データから計算した。
A 化合物は:11である。
B 化合物は:2、3、4、5、6、7、8、9、10、および13である。
C 化合物は:1、12、15、16、および17である。
D* 化合物は、14である。
【0261】
PKCα
アッセイ緩衝溶液を調製した。これは、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、25mM NaCl、0.1mM EDTA、100μM CaClおよび0.01% Brijからなった。酵素緩衝液(最終アッセイ濃度0.002% Triton X−100、100μg/mL ホスファチジルセリン、20μg/mL ジアシルグリセロール、360μM NADH、3mM ホスホエノールピルビン酸、70μg/mL ピルビン酸キナーゼ、24μg/mL 乳酸デヒドロゲナーゼ、2mM DTT、150μM 基質ペプチド(RRRRRKGSFKRKA 配列番号3)および4.5nM PKCαキナーゼまでの試薬を含む)を、アッセイ緩衝液中に調製した。384ウェルプレートにおいて16μLのこの酵素緩衝液に、DMSO中の1μLのVRTストック溶液を添加した。上記混合物を、30℃において10分間にわたって平衡化させた。この酵素反応を、アッセイ緩衝液中に最終アッセイ濃度130μMへと調製した16μL ストックATP溶液を添加することによって開始した。初期速度データを、30℃において15分間にわたって、Molecular Devices Spectramaxプレートリーダー(Sunnyvale,CA)を使用して、340nMの吸光度の変化割合(NADHの化学量論的消費に対応する)から計算した。各Ki決定のために、VRT濃度範囲0〜20μMを網羅する12個のデータ点を、2連で得た(DMSOストックを、初期の10mM VRTストックから、その後1:2連続希釈で調製した)。Ki値を、Prismソフトウェアパッケージ(Prism 4.0a,Graphpad Software,San Diego,CA)を使用する非線形回帰によって、初期速度データから計算した。
B 化合物は:5、7、11、および13である。
C 化合物は:2、3、4、6、8、および10である。
C** 化合物は:1、9、12、14、15、16、および17である。
【0262】
本発明者らは、本発明の多くの実施形態を記載してきたが、本発明者らの基本的な実施例は、本発明の化合物、方法およびプロセスを利用する他の実施形態を提供するように改変され得ることは明らかである。従って、本発明の範囲は、本明細書に記載される実施例によって表された具体的実施形態によるのではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されるべきであることが、認識される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Iもしくは構造式IA:
【化17】

によって表される化合物またはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで
各環Aは、独立して、1個以上のRで必要に応じて置換された5員のヘテロ芳香族環であり;
環Bは、5員もしくは6員の飽和炭素環式環もしくは複素環式環であり;
各Rは、−H、ハロゲン、−CN、−NO、もしくは−T1−Q1であり;
T1は、存在しないか、またはC1−10脂肪族であり、ここでT1の1個以上のメチレンユニットは、Gによって必要に応じてかつ独立して置き換えられており、ここでGは、−O−、−S(O)−、−N(R’)−、もしくは−C(O)−であり;そしてT1は、1個以上のJT1で必要に応じてかつ独立して置換され;
Q1は、存在しないか、あるいはO、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分飽和、もしくは完全に不飽和の単環式環、またはO、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和、もしくは完全に不飽和の二環式環であり、ここでQ1は、1個以上のJQ1で必要に応じてかつ独立して置換されており;ここでRがT1−Q1である場合、TIおよびQ1は、ともに不在ではなく;
は、−H、−(CR++CN、−(CR++C(O)N(R*)、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、−(CR++N(R*)C(O)R*、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−10脂肪族、もしくはフェニルであり;
各RおよびRは、独立して、−H、ハロゲン、C1−10脂肪族、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、もしくはアラルキルであり、ここでRおよびRは、C1−10アルキル、ハロゲン、−CN、−NO、−N(R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)N(R、−NRC(O)、−OC(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R*)C(O)N(Rおよび−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されているか;あるいは
およびRは、これらが結合される炭素と一緒になって、C=O、またはO、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和、もしくは完全に不飽和の単環式環を形成し、ここで該環は、=O、=S、=N−R、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−NO、−N(R、−S(O)、−S(O)NR、−C(O)N(R、−NRC(O)、−OC(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R*)C(O)N(Rおよび−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されており;
各RおよびRは、独立して、−H、ハロゲン、C1−10ハロ脂肪族、もしくはC1−10脂肪族であり;
各Rは、独立して、C1−10ハロ脂肪族、C1−10脂肪族、ハロゲン、−NO、−(CR++CN、−(CR++N(R**、−(CR++OR**、もしくは−(CR++C(O)N(R**であるか、または2個のR基が、これらが結合される炭素と一緒になって、C=Oを形成し;
各JT1は、独立して、ハロゲン、−OR、−N(R、もしくは−CNであり;
各JQ1は、独立して、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、−OR’’、−N(R’’)、−CN、−NO、−S(O)’’、−S(O)NR’’、−C(O) N(R’’)、−N(R”)C(O)R”、アシル、カルボアルコキシアルキル、もしくはアセトキシアルキルであり;
各R++は、独立して、−Hもしくはハロゲンであり;
各R’は、独立して、−Hもしくは最大5個までのハロゲン基で必要に応じてかつ独立して置換されたC1−10アルキルであり;
各Rは、独立して、−H、C1−10アルキル、もしくはアラルキルであり、ここで各Rは、最大5個までのハロゲン基で必要に応じてかつ独立して置換されており;
各R’’は、独立して、−Hもしくは最大5個までのハロゲン基で必要に応じてかつ独立して置換されたC1−10アルキルであり;
各Rは、独立して、−Hまたは最大5個までのハロゲン基で必要に応じてかつ独立して置換されたC1−10アルキルもしくはアラルキルであり;
各R**は、独立して、−Hもしくは最大5個までのハロゲン基で必要に応じてかつ独立して置換されたC1−10アルキルであり;
yは、0、1もしくは2であり;
各nは、独立して、0、もしくは1〜10であり;そして
各pは、独立して、0、1、もしくは2である、
化合物。
【請求項2】
前記構造式は、式Iによって表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
各Rは、独立して、−H、ハロゲン、もしくは−T1−Q1である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項4】
T1は、存在しないか、またはC1−10脂肪族であり、ここでT1の最大3個までのメチレンユニットは、必要に応じてかつ独立してGによって置き換えられ、ここでGは、−O−、−N(R’)−、もしくは−C(O)−であり;そしてT1は、1個以上のJT1で必要に応じてかつ独立して置換されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
Q1は存在しないか、またはO、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分飽和、もしくは完全に不飽和の単環式環であり、ここでQ1は、1個以上のJQ1で必要に応じてかつ独立して置換されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
各JT1は、独立して、−OR、−N(R、もしくは−CNである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
各JQ1は、独立して、C1−10アルキル、−OR’’、−N(R’’)、もしくはアシルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
は、−H、−(CR++CN、−(CR++C(O)N(R*)、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−3脂肪族である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
各RおよびRは、独立して、−H、C1−10脂肪族、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、もしくはアラルキルであり、ここでRおよびRは、ハロゲン、−CN、−NO、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されているか;あるいは
およびRは、これらが結合される炭素と一緒になって、C=O、またはO、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分飽和、もしくは完全に不飽和の単環式環を形成し、ここで該環は、=O、=S、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されている、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
各RおよびRは、独立して、−H、C1−10脂肪族、シクロアルキルアルキルであり、ここでRおよびRは、ハロゲン、−CN、−NO、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されているか;あるいは
およびRは、これらが結合される炭素と一緒になって、C=O、またはO、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分飽和、もしくは完全に不飽和の単環式環を形成し、ここで該環は、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されている、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
T1は、−ORである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
は、−H、−(CR++CN、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−3脂肪族である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
は、−H、−(CR++CN、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−3脂肪族であり;そして
およびRは、これらが結合される炭素と一緒になって、O、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式環を形成し、ここで該環は、=O、=S、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されている、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
は、−H、−(CR++CN、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−3脂肪族であり;そして
およびRは、これらが結合される炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、オキセタニル、イミダゾリニル、チアゾリジニル、もしくはオキサゾリジニルからなる群より選択される単環式環を形成し、ここで該環は、=O、=S、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されている、
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
は、−H、−(CR++CN、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−3脂肪族であり;そして
およびRは、これらが結合される炭素と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、オキセタニル、イミダゾリニル、チアゾリジニル、もしくはオキサゾリジニルからなる群より選択される単環式環を形成し、ここで該環は、=O、=S、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されている、
請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
は、−H、−(CR++CN、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−3脂肪族であり;そして
およびRは、これらが結合される炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、もしくはシクロペンチルからなる群より選択される単環式環を形成し、ここで該環は、=O、=S、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されている、
請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
は、−H、−(CR++CN、−(CR++OR*、−(CR++N(R*)、もしくは1個以上のハロゲンで必要に応じて置換されたC1−3脂肪族であり;そして
各RおよびRは、独立して、−H、C1−10脂肪族、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、もしくはアラルキルであり、ここでRおよびRは、ハロゲン、−CN、−NO、−N(R、および−ORからなる群より選択される1個以上で必要に応じてかつ独立して置換されている、
請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
は、−H、Cl、C1−4ハロアルキル、もしくはC1−4アルキルであり;そして
は、−HもしくはC1−4アルキルである、
請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
は、−H、Cl、トリフルオロメチル、メチル、エチル、もしくはシクロプロピルであり;そして
は、−Hである、
請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
は、トリフルオロメチルであり;そして
は、−Hである、
請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
前記構造式は、式IAによって表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
各Rは、独立して、−H、ハロゲン、もしくは−T1−Q1である、請求項1または21のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
T1は、存在しないか、またはC1−10脂肪族であり、ここでT1の最大3個までのメチレンユニットは、Gで必要に応じてかつ独立して置き換えられ、ここでGは、−O−、−N(R’)−、もしくは−C(O)−であり;そしてT1は、1個以上のJT1で必要に応じてかつ独立して置換されている、請求項1または21〜22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
Q1は、存在しないか、またはO、N、およびSからなる群より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分飽和、もしくは完全に不飽和の単環式環であり、ここでQ1は、1個以上のJQ1で必要に応じてかつ独立して置換されている、請求項1または21〜23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
各JT1は、独立して、−OR、−N(R、もしくは−CNである、請求項1または21〜24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
各JQ1は、独立して、C1−10アルキル、−OR’’、−N(R’’)、もしくはアシルである、請求項1または21〜25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
は、−H、Cl、C1−4ハロアルキル、もしくはC1−4アルキルであり;そして
は、−HもしくはC1−4アルキルである、
請求項1または21〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
は、−H、Cl、トリフルオロメチル、メチル、エチル、もしくはシクロプロピルであり;そして
は、−Hである、
請求項1または21〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
は、トリフルオロメチルであり;そして
は、−Hである、
請求項1または21〜28のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項30】
環Bは、5員もしくは6員の飽和炭素環式環である、請求項1または21〜29のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項31】
各Rは、独立して、C1−10脂肪族、C1−10ハロ脂肪族、ハロゲン、−CN、−N(R**、もしくは−OR**であるか;または2個のR基は、これらが結合される炭素と一緒になって、C=Oを形成する、
請求項1または21〜30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
Aは、−C(R)−である、請求項1または21〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
T1は、−ORである、請求項1または21〜32のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
各JQ1は、独立して、C1−10アルキル、−OR’’、−N(R’’)、もしくはアシルである、請求項1または21〜33のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
環Bは、5員の飽和炭素環式環である、請求項1または21〜24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
表1から選択される構造式によって表される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項37】
請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、もしくはビヒクルを含む、組成物。
【請求項38】
プロテインキナーゼ媒介性状態の処置もしくは予防が必要な被験体におけるプロテインキナーゼ媒介性状態を処置もしくは予防するための方法であって、該方法は、該被験体に、有効量の、請求項1〜37のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩または組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項39】
前記プロテインキナーゼ媒介性状態は、PKC媒介性状態である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記PKC媒介性状態は、PKCθ媒介性状態である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記PKCθ媒介性状態は、自己免疫疾患、炎症性疾患または増殖性もしくは過増殖性疾患である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記PKCθ媒介性状態は、喘息、乾癬、関節炎、関節リウマチ、関節炎症、多発性硬化症、糖尿病、炎症性腸疾患、移植拒絶、T細胞白血病、リンパ腫、および狼瘡からなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記PKCθ媒介性状態は、自己免疫疾患である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記自己免疫疾患は、多発性硬化症、関節リウマチ、過敏性腸疾患からなる群より選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記自己免疫疾患は、多発性硬化症である、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記自己免疫疾患は、関節リウマチである、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記自己免疫疾患は、過敏性腸疾患である、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記PKCθ媒介性状態は、T細胞白血病およびリンパ腫からなる群より選択される、請求項40に記載の方法。

【公表番号】特表2012−526131(P2012−526131A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509947(P2012−509947)
【出願日】平成22年5月5日(2010.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/033720
【国際公開番号】WO2010/129668
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】