説明

ピラゾール化合物の製造方法

本発明は、式I:
【化1】


で表されるピラゾール化合物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造式Iで表される化合物の製造方法を提供する。
【化1】

本発明の製造方法は、式IIIで表される未置換もしくは置換されたフェニルヒドラジン塩、または未置換もしくは置換されたピリジンヒドラジン塩(塩酸塩IIIAのような)を、塩基を用いて、遊離のフェニルヒドラジンIII’または遊離のピリジルヒドラジンIIIに変換することを含む。別途製造法としては、遊離のフェニルヒドラジンIII’または遊離のピリジルヒドラジンIIIを出発原料に用いてもよい。次いで、この遊離のフェニルヒドラジンIII’または遊離のピリジルヒドラジンIIIは、アクリロニトリルと反応させて、式Iで表される未置換もしくは置換されたフェニルピラゾール、または未置換もしくは置換されたピリジルピラゾールとすることができる。式Iのピラゾールは酸処理して、一般式IC(式中、X はCH、CR、CRまたは窒素である)のピラゾール塩とすることができる。
【0002】
反応式Aは、式Iで表されるピラゾールの製造、および式ICで示される塩の製造を説明している。式IC中、X はCH、CR、CRまたは窒素原子である。
【化2】

ピラゾールIまたはピラゾール塩ICを、式IVで表されるスピロラクトンと反応させることにより、一般式IIのスピロラクトンアミド類が得られる。
【化3】

【背景技術】
【0003】
本発明は、一般式Iのピラゾールの製造方法に関する。
【化4】

式Iの化合物は、式IIのスピロラクトン化合物の製造に有用な中間体である。
【化5】

【0004】
式IIの化合物は、過食症、肥満もしくは糖尿病を治療するためのNPY5拮抗薬としての用途とともに、米国特許No.6,335,345(引用することにより、その内容はそっくりそのまま本願明細書に包含される)およびWO01/14376(3/02/01に公開)に開示されている。式IIの化合物は、また、NPYに関連した様々な疾病を治療するための医薬としても有用である。そのような疾患としては、以下の疾患に限定されるものではないが、高血圧、腎臓病、心臓病、血管れん縮、動脈硬化などの循環器系疾患;過食症、うつ病、不安、発作、てんかん、痴呆、痛み、アルコール依存症、薬物の断薬に伴う禁断症状などの中枢神経系疾患;肥満症、糖尿病、ホルモン分泌異常、高コレステロール血症、高脂血症などの代謝性疾患;性および生殖機能不全、消化管系疾患、呼吸器系疾患、炎症性疾患および緑内障などが含まれる。
【0005】
米国特許No.6,335,345(引用することにより、その内容はそっくりそのまま本願明細書に包含される)およびWO01/14376は、式IIの化合物を製造する方法を記載している。
フェニルヒドラジンと2−クロロ−アクリロニトリル、3−クロロアクリロニトリル、2,3−ジクロロ−プロパンニトリルまたは2,3−ジブロモプロパンニトリルとを反応させることによる1−フェニルピラゾール−3−アミンの製造方法が、ジャーナル オブ ヘテロサイクリック ケミストリィ(Journal of Heterocyclic Chemistry),19巻,1265および1267頁(1982)に記載されている。しかしながら、2−クロロ−アクリロニトリル、2,3−ジクロロ−プロパンニトリルおよび2,3−ジブロ−モプロパンニトリルを用いる反応では、1−フェニルピラゾール−3−アミンの収率は非常に低い。さらに、3−クロロ−アクリロニトリルの出発原料は、製造するのが非常に困難である。
【発明の開示】
【0006】
本発明によれば、以下の工程:
(a)ヒドラジン溶液を製造する工程;
(b)工程(a)のヒドラジン溶液に
式V:
【化6】

[式中、Rは、
(1)低級アルキル基、
(2)アリール基、および
(3)−CH−アリール基、
からなる群より選択される]
の化合物を加えて混合物を得る工程;および
(c)工程(b)の混合物を約50℃から約100℃に加熱する工程;
からなることを特徴とする、
式I’
【化7】

[式中、RおよびRは、ともに独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)ニトロ基、
(4)低級アルキル基、
(5)ハロ(低級)アルキル基、
(6)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(7)シクロ(低級)アルキル基、
(8)低級アルケニル基、
(9)低級アルコキシ基、
(10)ハロ(低級)アルコキシ基、
(11)低級アルキルチオ基、
(12)カルボキシル基、
(13)低級アルカノイル基、
(14)低級アルコキシカルボニル基、
(15)オキソ基で任意に置換される低級アルキレン基、および
(16)−Q−Ar(式中、Qは単結合およびカルボニルから成る群から選択され、そして、Ar
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基、
からなる群から選択され、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基;
からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい)からなる群より選択される]で表される化合物、またはその塩、水和物もしくは結晶多形を製造する方法が提供される。
【0007】
本発明の1つの実施態様において、工程(a)のヒドラジン溶液は、式III’
【化8】

で表される化合物を溶媒に溶かすことによって製造される。
この実施態様の具体例として、溶媒は、
(a)C1−4 アルコール;
(b)トルエン;
(c)テトラヒドロフラン;および
(d)ジメチルホルムアミド、
からなる群、またはそれらの混合物から選択される。
この具体例の一例として、溶媒はエタノールである。別の一例として、溶媒はトルエン−エタノールである。
【0008】
本発明の別の実施態様では、工程(a)のヒドラジン溶液は、式III’
【化9】

で表される化合物の塩を溶媒中、塩基で処理することによって製造される。
この実施態様のひとつの具体例として、溶媒は、
(a)C1−4アルコール;
(b)トルエン;
(c)テトラヒドロフラン;および
(d)ジメチルホルムアミド、
からなる群、またはそれらの混合物から選択される。
この具体例の一例として、溶媒はエタノールである。この具体例の別の一例では、溶媒はトルエン−エタノールまたはtert−ブタノールである。
この実施態様の別の具体例としては、式III’の化合物の塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、二臭化水素酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩および硫酸塩からなる群より選択される。この具体例の一例として、式III’の化合物の塩は、塩酸塩である。
【0009】
この実施態様の別の具体例では、塩基は、
(a)ナトリウムエトキシド、
(b)ナトリウムメトキシド、
(c)低級アルキルアミン、
(d)1,8−ジアザビシクロ
[5.4.0]ウンデカ−7−エン、
(e)カリウムt−ブトキシド、および
(f)水酸化ナトリウム
からなる群より選択される。
この具体例の一例として、塩基はナトリウムエトキシドである。
【0010】
別の実施態様においては、Rは低級アルキル基からなる群より選択される。この実施態様のひとつの具体例として、Rは、−CH、−CHCH、−(CHCH、−CH(CH、−(CHCH、および−C(CH)からなる群から選ばれる。この具体例の一例として、Rは−CHCHである。
本発明の別の実施態様では、工程(b)において、ヒドラジンの量に対する式Vの化合物の量は、好ましくは、モル比で約0.8ないし1.8である。
【0011】
本発明の別の実施態様では、工程(c)は約2ないし48時間、好ましくは約4ないし48時間熟成される。この実施態様のひとつの具体例として、工程(c)は約2ないし30時間、好ましくは10ないし30時間の間、熟成される。
本発明の別の実施態様では、方法は、式I’の化合物を単離する工程(d)をさらに含む。
【0012】
本発明の別の実施態様では、RおよびRは、独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)低級アルキル基、
(4)ハロ(低級)アルキル基、
(5)低級アルケニル基、
(6)低級アルカノイル基
(7)オキソ基で任意に置換される低級アルキレン基、および
(8)−Q−Ar(式中、Qは単結合およびカルボニル基からなる群から選択され、そして
Arは、
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基、
からなる群より選択され、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基
からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい)からなる群より選択される。
【0013】
この実施態様の具体例としては、Rは水素原子であり、Rは、
(1)水素原子、
(2)2−フルオロ基、
(3)3−フルオロ基、
(4)4−フルオロ基、
(5)5−フルオロ基、
(6)2−クロロ基、
(7)3−クロロ基、
(8)4−クロロ基、
(9)2−ジフルオロメトキシ基、
(10)3−ジフルオロメトキシ基、
(11)2−メチル基、
(12)2−ピリジル基、
(13)2−キノリル基、および
(14)3−キノリル基
からなる群より選択される。
この実施態様の具体例としては、Rは水素原子であり、R
(1)水素原子、
(2)2−フルオロ基、
(3)3−フルオロ基、および
(4)4−フルオロ基
からなる群より選択される。
【0014】
この実施態様の具体例としては、RおよびRはともに、水素原子である。
この実施態様の一例では、Rは水素原子で、Rは2−フルオロ基である。
さらに、この実施態様の一例では、Rは水素原子で、Rは4−フルオロ基である。
【0015】
本発明の別の実施態様では、該製造方法はさらに式I’
【化10】


で表される化合物を酸で処理して塩を得る工程(e)を含む。
この実施態様の具体例としては、工程(e)の酸としては、酢酸、シュウ酸、臭化水素酸、塩酸、無水p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸水和物、p−トルエンスルホン酸1水和物、ベンゼンスルホン酸、およびメタンスルホン酸、もしくはそれらの混合物から選択される。
この具体例の一例としては、工程(e)の酸は、酢酸、シュウ酸、塩酸、無水p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸水和物、p−トルエンスルホン酸1水和物、およびベンゼンスルホン酸、もしくはそれらの混合物から選択される。
この具体例の別の例として、工程(e)の酸は、塩酸である。
さらに、この具体例の別の例として、工程(e)の酸は、p−トルエンスルホン酸1水和物である。
【0016】
この実施態様の別の具体例として、製造される塩は、式IA’
【化11】

[式中、RおよびRは、ともに独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)ニトロ基、
(4)低級アルキル基、
(5)ハロ(低級)アルキル基、
(6)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(7)シクロ(低級)アルキル基、
(8)低級アルケニル基、
(9)低級アルコキシ基、
(10)ハロ(低級)アルコキシ基、
(11)低級アルキルチオ基、
(12)カルボキシル基、
(13)低級アルカノイル基、
(14)低級アルコキシカルボニル基、
(15)オキソ基で任意に置換される低級アルキレン基、および
(16)−Q−Ar(式中、Qは単結合およびカルボニル基からなる群より選択され、
Arは、
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基、
からなる基より選択され、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基
からなる群から選択された置換基で置換されていてもよい)からなる群より選択される]で表されるp−トルエンスルホン酸塩、またはその水和物もしくは結晶多形である。
【0017】
さらに、この実施態様の別の具体例として、製造される塩は、式IB’
【化12】

[式中、RおよびRは、ともに独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)ニトロ基、
(4)低級アルキル基、
(5)ハロ(低級)アルキル基、
(6)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(7)シクロ(低級)アルキル基、
(8)低級アルケニル基、
(9)低級アルコキシ基、
(10)ハロ(低級)アルコキシ基、
(11)低級アルキルチオ基、
(12)カルボキシル基、
(13)低級アルカノイル基、
(14)低級アルコキシカルボニル基、
(15)オキソ基で任意に置換される低級アルキレン基、および
(16)−Q−Ar(式中、Qは単結合およびカルボニル基からなる群より選択され、
Arは、
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基、
からなる基から選択され、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基
からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい)からなる群より選択される]で表される塩酸塩、またはその水和物もしくは結晶多形である。
【0018】
また、本発明によれば、式IA’
【化13】

[式中、RおよびRは、ともに独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)ニトロ基、
(4)低級アルキル基、
(5)ハロ(低級)アルキル基、
(6)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(7)シクロ(低級)アルキル基、
(8)低級アルケニル基、
(9)低級アルコキシ基、
(10)ハロ(低級)アルコキシ基、
(11)低級アルキルチオ基、
(12)カルボキシル基、
(13)低級アルカノイル基、
(14)低級アルコキシカルボニル基、
(15)オキソ基で置換されていても良い低級アルキレン基、および
(16)−Q−Ar(式中、Qは単結合およびカルボニル基からなる群より選択され、
Arは、
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基、
からなる基より選択され、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基、
からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい)からなる群より選択される]で表される化合物、またはその水和物もしくは結晶多形を製造することができる。
【0019】
また、本発明によれば、式IB’
【化14】

[式中、RおよびRは、ともに独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)ニトロ基、
(4)低級アルキル基、
(5)ハロ(低級)アルキル基、
(6)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(7)シクロ(低級)アルキル基、
(8)低級アルケニル基、
(9)低級アルコキシ基、
(10)ハロ(低級)アルコキシ基、
(11)低級アルキルチオ基、
(12)カルボキシル基、
(13)低級アルカノイル基、
(14)低級アルコキシカルボニル基、
(15)オキソ基で置換されていても良い低級アルキレン基、および
(16)−Q−Ar(式中、Qは単結合およびカルボニル基からなる群から選択され、
Arは、
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基、
からなる群より選択され、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基
からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい)からなる群より選択される]で表される化合物、またはその水和物もしくは結晶多形を製造することができる。
【0020】
また、本発明によれば、以下の工程:
(a)ヒドラジン溶液を製造する工程;
(b)工程(a)のヒドラジン溶液に式V
【化15】

[式中、R
(1)低級アルキル基、
(2)アリール基、および
(3)−CH−アリール基、
からなる群から選択される]で表される化合物を加え、混合物を得る工程;および
(c)工程(b)の混合物を約50℃ないし約100℃の温度に加熱する工程;
からなることを特徴とする、
式I
【化16】

[式中、XはCH、CR、CRまたは窒素原子である;
およびRは、ともに独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)ニトロ基、
(4)低級アルキル基、
(5)ハロ(低級)アルキル基、
(6)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(7)シクロ(低級)アルキル基、
(8)低級アルケニル基、
(9)低級アルコキシ基、
(10)ハロ(低級)アルコキシ基、
(11)低級アルキルチオ基、
(12)カルボキシル基、
(13)低級アルカノイル基、
(14)低級アルコキシカルボニル基、
(15)オキソ基で任意に置換される低級アルキレン基、および
(16)−Q−Ar(式中、Qは単結合およびカルボニル基からなる群より選択され、
Arは、
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基、
からなる群から選択され、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基;
からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される]で表される化合物、またはその塩、水和物もしくは結晶多形の製造方法が提供される。
【0021】
本発明のある実施態様において、工程(a)のヒドラジン溶液は式III
【化17】

で表される化合物を溶媒に溶かすことによって製造される。
この実施態様のひとつの具体例として、溶媒は、
(a)C1−4アルコール;
(b)トルエン;
(c)テトラヒドロフラン;および
(d)ジメチルホルムアミド、
からなる群、もしくはそれらの混合物から選択される。
この具体例の一例として、溶媒はエタノールである。別の一例としては、溶媒はtert−ブタノールまたはトルエン−エタノールである。
【0022】
本発明の別の実施態様では、工程(a)のヒドラジン溶液は、式III
【化18】

の化合物の塩を、溶媒中、塩基で処理することによって製造される。
この実施態様のひとつの具体例としては、溶媒は、
(a)C1−4アルコール;
(b)トルエン;
(c)テトラヒドロフラン;および
(d)ジメチルホルムアミド
からなる群、もしくはそれらの混合物から選ばれる。
【0023】
この具体例の一例として、溶媒はエタノールである。この具体例の別の一例では、溶媒はtert−ブタノールである。
この実施態様の別の具体例では、塩基は、
(a)ナトリウムエトキシド、
(b)ナトリウムメトキシド、
(c)低級アルキルアミン、
(d)1,8−ジアザビシクロ
[5.4.0]ウンデカ−7−エン、
(e)カリウムt−ブトキシド、および
(f)水酸化ナトリウム
からなる群から選択される。
【0024】
この具体例の一例としては、塩基はカリウムt−ブトキシドである。
この実施態様の別の具体例としては、式IIIの化合物の塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、二臭化水素酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、および硫酸塩からなる群から選択される。この具体例の一例として、式IIIの化合物の塩は、塩酸塩である。
【0025】
別の実施態様では、Rは低級アルキル基から成る群から選ばれる。この実施態様のある具体例では、Rは、−CH、−CHCH、−(CH)CH、−CH(CH)、−(CH)CH、および
−C(CH)からなる群から選択される。この具体例の一例として、Rは−CHCHである。
本発明の別の実施態様では、工程(b)における、ヒドラジンの量に対する式Vの化合物の量は、好ましくはモル比で約0.8ないし1.8である。
【0026】
本発明の別の実施態様では、工程(c)は約2時間ないし48時間の間、熟成される。この実施態様の具体例として、工程(c)は約2時間ないし5時間、熟成される。
本発明の別の実施態様では、製造方法はさらに式Iの化合物を単離する工程(d)を含む。
【0027】
本発明の別の実施態様では、RおよびRは、独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)低級アルキル基、
(4)ハロ(低級)アルキル基、
(5)低級アルケニル基、
(6)低級アルカノイル基、
(7)オキソ基で任意に置換される低級アルキレン基、および
(8)−Q−Ar(式中、Qは単結合およびカルボニル基から成る群から選ばれ、
Arは、
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基、
から成る群より選択され、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基
から成る群から選択される置換基で置換されていてもよい)
からなる群より選択される。
【0028】
この実施態様の一つの具体例として、Rは水素原子であり、Rは、
(1)水素原子、
(2)2−フルオロ基、
(3)3−フルオロ基、
(4)4−フルオロ基、
(5)5−フルオロ基、
(6)2−クロロ基、
(7) 3−クロロ基、
(8)4−クロロ基、
(9)2−ジフルオロメトキシ基、
(10)3−ジフルオロメトキシ基、
(11)2−メチル基、
(12)2−ピリジル基、
(13)2−キノリル基、および
(14)3−キノリル基
からなる群より選択される。
【0029】
この具体例の一例として、Rは水素原子であり、Rは、
(1) 水素原子、
(2) 2−フルオロ基、
(3) 3−フルオロ基、および
(4) 4−フルオロ基
から成る群より選択される。
この具体例の一例として、RおよびRは、ともに、水素原子である。
この具体例の別の一例として、Rは水素原子であり、Rは2−フルオロ基である。
さらに、この具体例の別の一例として、Rは水素原子であり、Rは4−フルオロ基である。
【0030】
本発明の別の実施態様として、製造方法は、式I
【化19】

で表される化合物を酸で処理して、塩を得る工程(e)をさらに含む。
この実施態様のひとつの具体例として、工程(e)の酸は、酢酸、シュウ酸、臭化水素酸、塩酸、無水p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸水和物、p−トルエンスルホン酸1水和物、ベンゼンスルホン酸、およびメタンスルホン酸からなる群、もしくはそれらの混合物から選択される。
この具体例の一例として、工程(e)の酸は、酢酸、シュウ酸、塩酸、無水p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸水和物、p−トルエンスルホン酸1水和物、およびベンゼンスルホン酸からなる群、もしくはそれらの混合物から選ばれる。
この具体例の一例として、工程(e)の酸は、塩酸である。
さらに、この具体例の別の一例では、工程(e)の酸は、p−トルエンスルホン酸1水和物である。
【0031】
この実施態様の別の具体例では、製造される塩は、式IA
【化20】

[式中、

CH、CR、CRまたは窒素原子であり;
およびRは、ともに独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)ニトロ基、
(4)低級アルキル基、
(5)ハロ(低級)アルキル基、
(6)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(7)シクロ(低級)アルキル基、
(8)低級アルケニル基、
(9)低級アルコキシ基、
(10)ハロ(低級)アルコキシ基、
(11)低級アルキルチオ基、
(12)カルボキシル基、
(13)低級アルカノイル基、
(14)低級アルコキシカルボニル基、
(15)オキソ基で任意に置換される低級アルキレン基、および
(16)−Q−Ar
(式中、Qは単結合およびカルボニル基からなる群から選択され、
Arは、
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基、
からなる群から選択され、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基
からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい)からなる群より選択される]のp−トルエンスルホン酸塩、またはその水和物もしくは結晶多形である。
【0032】
さらに別の、この実施態様の具体例として、製造される塩は、式IB
【化21】

[式中、

CH、CR、CRまたは窒素原子であり;
およびRは、ともに独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)ニトロ基、
(4)低級アルキル基、
(5)ハロ(低級)アルキル基、
(6)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(7)シクロ(低級)アルキル基、
(8)低級アルケニル基、
(9)低級アルコキシ基、
(10)ハロ(低級)アルコキシ基、
(11)低級アルキルチオ基、
(12)カルボキシル基、
(13)低級アルカノイル基、
(14)低級アルコキシカルボニル基、
(15)オキソ基で任意に置換される低級アルキレン基、および
(16)−Q−Ar
(式中、Qは単結合およびカルボニル基からなる群から選ばれ、そして、
Arは、
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基
からなる群より選択され、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基
からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい)からなる群より選択される]で表される塩酸塩、またはその水和物もしくは結晶多形である。
【0033】
本発明によれば、式IA
【化22】

[式中、
はCH、CR、CRもしくは窒素であり;
およびRは、ともに独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)ニトロ基、
(4)低級アルキル基、
(5)ハロ(低級)アルキル基、
(6)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(7)シクロ(低級)アルキル基、
(8)低級アルケニル基、
(9)低級アルコキシ基、
(10)ハロ(低級)アルコキシ基、
(11)低級アルキルチオ基、
(12)カルボキシル基、
(13)低級アルカノイル基、
(14)低級アルコキシカルボニル基、
(15)オキソ基で任意に置換される低級アルキレン基、および
(16)−Q−Ar(式中、Qは単結合およびカルボニルからなる群から選択され、
Ar
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基
からなる群より選択され、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基
からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい)からなる群より選択される]で表される化合物、またはその水和物もしくは結晶多形もまた製造することができる。
【0034】
また、本発明によれば、式IB
【化23】

[式中、
はCH、CR、CRまたは窒素原子であり;
およびRは、ともに独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)ニトロ基、
(4)低級アルキル基、
(5)ハロ(低級)アルキル基、
(6)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(7)シクロ(低級)アルキル基、
(8)低級アルケニル基、
(9)低級アルコキシ基、
(10)ハロ(低級)アルコキシ基、
(11)低級アルキルチオ基、
(12)カルボキシル基、
(13)低級アルカノイル基、
(14)低級アルコキシカルボニル基、
(15)オキソ基で任意に置換される低級アルキレン基、および
(16)−Q−Ar(式中、Qは単結合およびカルボニル基からなる群より選択され、
Arは、
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基、
からなる群より選択され、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基
から成る群から選択される置換基で置換されていてもよい)からなる群より選択される]で表される化合物または、その水和物もしくは結晶多形も提供される。
【0035】
また、本発明によれば、式1−3
【化24】

で表される化合物、またはその水和物もしくは結晶多形も提供される。
【0036】
また、本発明によれば、式1−4
【化25】

で表される化合物、またはその水和物もしくは結晶多形も提供される。
【0037】
また、本発明によれば、式1−4
【化26】

で表されるp−トルエンスルホン酸塩の結晶も提供される。
【0038】
また、本発明によれば、2−1の化合物、
【化27】

またはその水和物もしくは結晶多形が提供される。
【0039】
また、本発明によれば、化合物2−1
【化28】

で表される塩酸塩の結晶である化合物も提供される。
【0040】
本発明の製造方法における化合物は、光学異性体、ジアステレオマー、幾何異性体のような立体異性体や、置換様式に依存する互変異性体を含む。本発明は、組成物中に、化合物のそのような異性体やそれらの混合物の全てを包合することができる。上記化合物の水和物、溶媒和物および結晶多形、およびそれらの使用(本発明の製造方法の中での使用を含む)のすべては本発明の範囲内に包含される。
【0041】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を意味する。
「C1−4アルコール」は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノールおよびtert−ブタノールなどを意味する。
「低級アルキル基」とは、炭素数1ないし6の直鎖または分枝鎖のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基などが挙げられる。
【0042】
「ハロ(低級)アルキル基」とは、置換可能な、任意の位置で1もしくは2個以上、好ましくは1ないし3個の前記ハロゲン原子で、同一もしくは異なって置換された前記低級アルキル基を意味し、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、1,2−ジクロロエチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基などが挙げられる。
「ヒドロキシ(低級)アルキル基」とは、置換可能な、任意の位置で、1もしくは2個以上、好ましくは1もしくは2個のヒドロキシ基で、同一もしくは異なって置換された前記低級アルキル基を意味し、例えば、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。
【0043】
「シクロ(低級)アルキル基」とは、炭素数3ないし6のシクロアルキル基を意味し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
「低級アルケニル基」とは、炭素数2ないし6の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基を意味し、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−エチル−1−エテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、3−メチル−2−ブテニル基、4−ペンテニル基などが挙げられる。
「低級アルコキシ基」とは、炭素数1ないし6の直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−
ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基などが挙げられる。
【0044】
「ハロ(低級)アルコキシ基」とは、置換可能な、任意の位置で1もしくは2個以上、好ましくは1ないし3個の前記ハロゲン原子で、同一もしくは異なって置換された前記低級アルコキシ基を意味し、例えば、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−フルオロエトキシ基、1,2−ジフルオロエトキシ基、クロロメトキシ基、2−クロロエトキシ基、1,2−ジクロロエトキシ基、ブロモメトキシ基、ヨードメトキシ基などが挙げられる。
「低級アルキルチオ基」とは、炭素数1ないし6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキルチオ基を意味し、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基などが挙げられる。
「低級アルキルアミン基」とは、炭素数1ないし4の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基で、モノ置換、ジ置換またはトリ置換されたアミンを意味し、例えば、 メチルアミン基、エチルアミン基、プロピルアミン基、イソプロピルアミン基、ブチルアミン基、sec−ブチルアミン基、イソブチルアミン基、tert−ブチルアミン基、ジメチルアミン基、トリメチルアミン基、ジエチルアミン基、トリエチルアミン基、ジイソプロピルエチルアミン基などが挙げられる。
【0045】
「低級アルカノイル基」とは、前記低級アルキル基を含むアルカノイル基、すなわち、炭素数2ないし7のアルカノイル基を意味し、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基などが挙げられる。
「低級アルコキシカルボニル基」とは、前記低級アルコキシ基を含むアルコキシカルボニル基、すなわち、炭素数2ないし7のアルコキシカルボニル基を意味し、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基などが挙げられる。
「オキソ基と任意に置換される低級アルキレン基」とは、置換可能な、任意の位置で1もしくは2個以上、好ましくは1個のオキソ基で置換されてもよい、炭素数2ないし6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン基を意味し、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1−オキソエチレン基、1−オキソトリメチレン基、2−オキソトリメチレン基、1−オキソテトラメチレン基、2−オキソテトラメチレン基などが挙げられる。上記アルキレン基は、RおよびRが互いに結合して形成される。
【0046】
「アリール基」は、フェニル基、ナフチル基などを包含する。
「ヘテロアリール基」とは、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる同一もしくは異なり、1もしくは2個以上の、好ましくは1ないし3個のヘテロ原子を含む、5員もしくは6員の単環式芳香族複素環基を;または前記単環式芳香族複素環が前記アリール基と縮合した縮合芳香族複素環を;あるいは前記単環式芳香族複素環が、同一もしくは異なる前記単環式芳香族複素環基と互いに縮合した縮合芳香族複素環を意味し、例えば、ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、1,2,3−チアジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、1,2,4−トリアジニル基、1,3,5−トリアジニル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、ピリド[3,2−b]ピリジル基などが挙げられる。
【0047】
「低級アルキルアミノ基」とは、前記低級アルキル基でモノ置換されたアミノ基を意味し、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基などが挙げられる。
「ジ低級アルキルアミノ基」とは、同一もしくは異なる前記低級アルキルでジ置換されたアミノ基を意味し、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基などが挙げられる。
【0048】
一般式Iの前記化合物をさらに詳細に開示するために、式Iで使用されている様々の記号が、好ましい具体例を用いてさらに詳細に説明される。
「ハロゲン原子、ニトロ基、低級アルキル基、ハロ(低級)アルキル基、ヒドロキシ(低級)アルキル基、シクロ(低級)アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、ハロ(低級)アルコキシ基、低級アルキルチオ基、カルボキシル基、低級アルカノイル基、低級アルコキシカルボニル基、オキソ基で任意に置換されてもよい低級アルキレン基および式−Q−Arで表される基からなる群から選ばれる置換基で置換されてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基」とは、未置換の前記アリール基もしくは前記ヘテロアリール基を、または置換可能な任意の位置に置換基を有する前記アリール基もしくは前記へテロアリール基を意味する。前記置換基は、同一または異なり、ハロゲン原子、ニトロ基、低級アルキル基、ハロ(低級)アルキル基、ヒドロキシ(低級)アルキル基、シクロ(低級)アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、ハロ(低級)アルコキシ基、低級アルキルチオ基、カルボキシル基、低級アルカノイル基、低級アルコキシカルボニル基、オキソ基で任意に置換される低級アルキレン基、および式:−Q−Arで表される基からなる群から選択される、1もしくは2個以上の、好ましくは1もしくは2個の置換基である。
【0049】
前記置換基としてのハロゲン原子は、好ましくは、フッ素原子、塩素原子などを含む。
前記置換基としての低級アルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などを含む。
前記置換基としてのハロ(低級)アルキル基は、好ましくは、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基などを含む。
前記置換基としてのヒドロキシ(低級)アルキル基は、好ましくは、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基などを含む。
前記置換基としてのシクロ(低級)アルキル基は、好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基などを含む。
前記置換基としての低級アルケニル基は、好ましくは、ビニル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基などを含む。
前記置換基としての低級アルコキシ基は、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基などを含む。
前記置換基としてのハロ(低級)アルコキシ基は、好ましくは、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基などを含む。
【0050】
前記置換基としての低級アルキルチオ基は、好ましくは、メチルチオ基、エチルチオ基などを含む。
前記置換基としての低級アルカノイル基は、好ましくは、アセチル基、プロピオニル基などを含む。
前記置換基としてのアルコキシカルボニル基は、好ましくは、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などを含む。
前記置換基としての、オキソ基で任意に置換される低級アルキレン基は、好ましくは、1−オキソテトラメチレンなどを含む。
前記置換基としての−Q−Arの式で表される基において、Arは置換されてもよいアリール基または置換されてもよいヘテロアリール基を表し、その置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ(低級)アルキル基、ヒドロキシ(低級)アルキル基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、ハロ(低級)アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、低級アルカノイル基、およびアリール基からなる群より選択され、Qは単結合もしくはカルボニル基を表す。
【0051】
「ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ(低級)アルキル基、ヒドロキシ(低級)アルキル基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、ハロ(低級)アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、低級アルカノイル基、およびアリール基から成る群から選ばれる置換基で置換されてもよい、アリール基もしくはヘテロアリール基」とは、未置換の前記アリール基または前記ヘテロアリール基を、または置換可能な任意の位置で置換基を有する前記アリール基または前記へテロアリール基を意味する。前記置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ(低級)アルキル基、ヒドロキシ(低級)アルキル基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、ハロ(低級)アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、低級アルカノイル基、およびアリール基からなる群から選ばれる、同一もしくは異なる、1または2個以上の、好ましくは1または2個の置換基である。
前記置換基としてのハロゲン原子は、好ましくは、フッ素原子、塩素原子などを含む。
前記置換基としての低級アルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などを含む。
【0052】
前記置換基としてのハロ(低級)アルキル基は、好ましくは、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基などを含む。
前記置換基としてのヒドロキシ(低級)アルキル基は、好ましくは、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基などを含む。
前記置換基としての低級アルコキシ基は、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基などを含む。
前記置換基としてのハロ(低級)アルコキシ基は、好ましくは、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基などを含む。
前記置換基としての低級アルキルアミノ基は、好ましくは、メチルアミノ基、エチルアミノ基などを含む。
前記置換基としてのジ低級アルキルアミノ基は、好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などを含む。
前記置換基としての低級アルカノイル基は、好ましくは、アセチル基、プロピオニル基などを含む。
前記置換基としてのアリール基は、好ましくは、フェニル基などを含む。
【0053】
Arの置換基は、好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ(低級)アルキル基、ヒドロキシ(低級)アルキル基、ヒドロキシ基、ハロ(低級)アルコキシ基などを含む。
Ar中のアリール基は、好ましくは、フェニル基などを含み、ヘテロアリール基は、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンゾフラニル基、キノリル基などを含む。
したがって、式:−Q−Arの基は、例えば、フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−フルオロ−5−メチルフェニル基、3−フルオロメチルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−フルオロ−5−メトキシフェニル基、3−フルオロメトキシフェニル基、3−ジフルオロメトキシフェニル基、3−(2−ヒドロキシエチル)フェニル基、3−ヒドロキシメチルフェニル基、3−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−イミダゾリル基、1−エチル−2−イミダゾリル基、1,2,4−チアジアゾール−5−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−エチル−4−ピリジル基、4−ピリミジニル基、5−ピリミジニル基、4−ベンゾ[b]フラニル基、5−ベンゾ[b]フラニル基、7−ベンゾ[b]フラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、8−キノリル基、ベンゾイル基、2−ピリジルカルボニル基などが挙げられ、好ましくは、フェニル基、 2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−シアノフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、3−ジフルオロメトキシフェニル基、3−(2−ヒドロキシエチル)フェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、1−エチル−2−イミダゾリル基、2−ピリジル基、7−ベンゾ[b]フラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、ベンゾイル基、2−ピリジルカルボニル基などを含む。
【0054】
式Iで表される化合物の塩は、式IA、IBおよびICの化合物に限定はされず、薬学的に許容される通常の塩を意味し、例えば、化合物がカルボキシル基を有する時はカルボキシル基に付加した塩基付加塩であり、または化合物がアミノ基または塩基性の複素環基を有する時は、アミノ基もしくは塩基性の複素環に付加した酸付加塩などである。
塩基付加塩は、アルカリ金属(限定はされないが、ナトリウム、カリウムを含む);アルカリ土類金属(限定はされないが、カルシウム、マグネシウムを含む);アンモニウムもしくは有機アミン類(限定はされないが、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロカイン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンを含む)などとの塩を含む。
酸付加塩は、無機酸類(限定はされないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸を含む)、有機酸類(限定はされないが、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビル酸、トリフルオロ酢酸、酢酸を含む)、スルホン酸類(限定はされないが、メタンスルホン酸、イセチオン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸1水和物、p−トルエンスルホン酸水和物、カンファースルホン酸など)などとの塩を含む。
結晶多形とは、同じ化学物質が異なった結晶構造で存在する能力として定義することができる。その異なった構造は、多形、多形変態もしく多形相と呼ばれる、ピラゾール p−トルエンスルホン酸塩(1−4)は少なくとも2つの、溶媒和していない結晶多形、すなわちA型およびB型で存在することが見出されており、それらは、結晶条件を注意深く制御することによって製造することができる。
【0055】
以下の反応式および実施例において、様々な試薬の記号および略語は次に示す意味を有する:
AcOEtもしくはEtOAc:酢酸エチル
tBuOH:tert−ブタノール
tert−BuOH:tert−ブタノール
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
EtOH:エタノール
g:グラム
IPAC:酢酸イソプロピル
HCl:塩酸
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
KOtBu:カリウムt−ブトキシド
NaCl:塩化ナトリウム
NaHCO:重炭酸ナトリウム
NaOEt:ナトリウムエトキシド
NaOH:水酸化ナトリウム
mL:ミリリットル
mmol:ミリモル
mol:モル/リットル
MTBE:メチルt−ブチルエーテル
THF:テトラヒドロフラン
TsOH:p−トルエンスルホン酸
TsOH.HO:p−トルエンスルホン酸1水和物
【0056】
本発明の化合物は、以下の一般反応式で表される製法によって製造され、その一般反応式で表される製法は、本発明のひとつの実施態様を示しており、化合物IIIの2−フルオロフェニル−ヒドラジン塩を化合物Vのアクリロニトリルと反応させる。式Iのピラゾール化合物、その塩および結晶多形は、実施例1および2に示したように、2−フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩(1−1)およびエトキシアクリロニトリル(1−2)のような、商業的に利用可能な出発原料から製造される。
【0057】
〔実施例〕
実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【化29】

【実施例1】
【0058】
1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン p−トルエンスルホン酸塩(1−4)の製造
【化30】

工程A: 1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン(1−3)の製造
2−フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩(1−1)(50g;JEMCO社)の エタノール懸濁液(300mL)に、20重量%ナトリウムエトキシド(292.97g;日本曹達)のエタノール溶液を加えた。それから、室温にて、エトキシアクリロニトリル(1−2)(53.76 g;Degussa)を加えた。反応混合物を約82℃ まで加熱し、20〜28時間放置した。反応混合液は室温まで冷却して、そのバッチに、水250mL(5容量部)および6N塩酸を加え、混合物のpHを約2.9から3.1の間に調整した。得られたエタノール水溶液を、20℃から25℃の間で、1〜2時間攪拌した。5N水酸化ナトリウムで溶液により処理し、溶液のpHを約6.5から8.0の間に調整した後に、反応混合液をおよそ600mL(12容量部)まで濃縮し、酢酸イソプロピル750mLを加えた。分液し、有機層を10%塩化ナトリウム水溶液200mLで洗浄した。得られた溶液に、活性炭1.75g(白鷺P、2−フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩に対して3.5重量%)を室温にて加えた。1〜20時間、活性炭処理した後、そのケーキを酢酸イソプロピル200mL(2−フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩の重量%に対して4容量部)で洗浄した。合わせた有機層を、約410〜510mL(ピラゾール(1−3)の分析したグラム数に対して、10〜12.5容量部)まで濃縮して1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン(1−3)を得た。
【0059】
選択シグナル H NMR(300MHz、DMSO−d6):δ 7.84(d,J=2.6 Hz,1H)、7.72(dd,J=8.2,1.8Hz,1H),7.34(ddd,J=11.1,7.9,1.7Hz,1H),7.28−7.14(m,2H),5.77(d,J=2.6 Hz,1H),5.10(brs,2H).
【0060】
化合物(1−3)は、示差走査熱量分析装置(DSC)によっても評価された。化合物(1−3)に対するDSC曲線は、ピーク温度46.98℃+2℃における吸熱により特性づけられた。測定条件は次のとおりである:
装置: DSC 2920(ティー・エー・インスツルメント社(TA Instruments))
試料セル:60 マイクロリットル ハステロイB閉鎖セル(カセン・エンジニアリング社(KASEN Engineering Co., Ltd))
昇温速度:10℃/分(常温から300℃)
雰囲気:
内側セル:大気圧
外側セル:大気圧
【0061】
工程B: p−トルエンスルホン酸塩(1−4)の製造
【化31】

反応混合液に種晶としてピラゾール p−トルエンスルホン酸塩105mg(ピラゾールの分析したグラム数に対して0.5重量%、II型)を加えた。エタノール(67.2mL)中のp−トルエンスルホン酸・1水和物27.07g(142.32mmol、ピラゾール(1−3)の分析%に対して1.2当量)を、3時間かけて、工程Aで得られる化合物(1−3)の溶液に加えた。続いて、1時間かけて酢酸イソプロピル52.5mL(ピラゾールの分析したグラム数に対して2.5容量部)を室温で加えた。混合物を約14ないし17時間攪拌し、そのバッチを0℃まで冷却し、2時間放置してから濾過した。残渣をエタノール−酢酸イソプロピル84mL(1:9)で洗浄し、次いで酢酸イソプロピル84mLで洗浄し、30℃で減圧乾燥し、ピラゾール p−トルエンスルホン酸塩(1−4)(II型結晶)を得た。
【0062】
選択シグナル:1H NMR(500 MHz,DMSO−d6):δ 9.68(brs,3H),8.24(dd,J=2.0,2.0Hz,1H),7.72(dd,J=8.0,8.0Hz,1H),7.51−7.42(m,4H),7.37(dd,J=7.6, 7.6 Hz,1H),7.12(d,J=7.9Hz,2H),6.44(d,J=2.3 Hz,1H),2.28(s,3H)
【0063】
II型種結晶の代わりに、I型種結晶を用い、上記の処理を行うことによりピラゾールp−トルエンスルホン酸塩のI型結晶を得た。
I型結晶
得られた1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン p−トルエンスルホン酸塩(1−4)(II型結晶、1g)をエタノール/メチルt−ブチルエーテル20.1mL(1:4.5混合物)中で、室温にて23時間攪拌した。結晶を濾過し、メチルt−ブチルエーテルで洗浄し、1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン p−トルエンスルホン酸塩(1−4)(I型結晶、95%)を得た。
【0064】
II型結晶
粗1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン(1−3)3.42 g(18.29mmoL)のエタノール溶液13.7mLに、エタノール(11mL)に、p−トルエンスルホン酸4.41g(23.2mmoL)を含む溶液を加え、さらに、メチルt−ブチルエーテル8.6mLを0.5時間かけて、室温にて滴下した。その後、種晶(ピラゾール p−トルエンスルホン酸塩、I型結晶、ピラゾールの分析したグラム数に対して0.25重量%)を加え、この温度で0.5時間熟成した。このスラリーに、さらにメチルt−ブチルエーテル103mLを3時間かけて加え、室温にて13時間攪拌した。結晶を濾過し、メチルt−ブチルエーテル/エタノール27.4 mL(9:1)で洗浄して1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン p−トルエンスルホン酸塩(1−4)(II型結晶、58%)を得た。
【0065】
以下の表1、2および3に示す粉末X線回折分析データは、RINT1100(理学インターナショナル社製)によって測定された。分析方法は次の通りである:
X線の放射源: Cu、
管電圧: 40KV、
管電流: 30mA、
単色光分光器: 自動単色分光器、
単受光スリット: 0.60mm、
測角器: 広範囲測角器、
走査幅: 0.02度、
走査速度: 2.00度/分、
発散スリット(DS): 1度、
回折スリット: 1度、
受光スリット(RS): 0.15ミリメーター、
測定温度: 室温。
【0066】
【表1】

【0067】
1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン p−トルエンスルホン酸塩(1−4)のI型は、表1に示された回折角2θ値の完全なグループによって特性付けられるが、そのような同定には、すべての値は必要ではない。1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン p−トルエンスルホン酸塩(1−4)のI型は、14.2〜14.3°の範囲の回折角シータ値から、同定される。1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン p−トルエンスルホン酸塩(1−4)のI型は、次に示す回折角シータ値のいずれかにより、あるいは回折角シータ値のグループのどれか一つから、同定することができる:
a)14.24°;
b)14.2−14.3°および21.6−21.7°;
c)14.2−14.3°,20.0−20.1°,および21.6−21.7°;
d)14.2−14.3°,20.0−20.1°,21.6−21.7°,および
31.2−31.3°;
e)14.24°,14.6 −14.7°,15.9°, 16.0−16.1°,19.4 −19.5°,20.0−20.1°,21.6−21.7°,22.8−22.9°,23°, 25.6−25.7°,25.7°,28.2°および 31.2−31.3°。 さらに、表1の回折角2θ値のそれぞれは、次のように小数点2桁で表される:14.24°,14.66°,15.90°,16.02°,19.46°,20.02°,21.68°,22.84°,23.00°,25.62°,25.70°,28.20° および 31.24°。
【0068】
【表2】

【0069】
1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミンp−トルエンスルホン酸塩(1−4)のII型は、表2に示された回折角2θ値の完全なグループによって特性付けられるが、そのような同定には、すべての値は必要ではない。1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン p−トルエンスルホン酸塩(1−4)のII型は、8.6〜8.7°の範囲の回折角シータ値から、同定することができる。1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミンp−トルエンスルホン酸塩(1−4)のII型は、次に示す回折角シータ値のいずれかにより、または回折角シータ値のグループのどれか一つにより、同定することができる:
a)8.68°;
b)8.6−8.7°および11.9−12.0°;
c)8.6−8.7°,11.9−12.0°,および20.5−20.6°;
d)8.6−8.7°,11.9−12.0°,20.5−20.6°,および20.6−20.7°;および
e)8.6−8.7°,11.9−12.0°,15.3−15.4°,18.8−18.9°,20.5−20.6°,20.6−20.7°,および
22.5°。 さらに、表2の回折角2θ値のそれぞれは、次のように小数点2桁で表される:8.68°,11.98°, 15.34°,18.82°,20.52°,20.66°,22.50°,および28.24°.
【0070】
化合物(1−4)もまた示差走査熱量分析(DSC)によって、特性付けられる。化合物(1−4)のDSC曲線は、ピーク温度140.29℃ +2℃ における吸熱によって特性づけられる。この際、この曲線は実施例1、工程Aの化合物(1−3)で行ったのと同じ測定条件の下で得られた。
【実施例2】
【0071】
1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン塩酸塩(2−1)の製造
工程A: 1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン(1−3)の製造
【化32】

2−フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩(1−1)12.5g(76.9mmol,JEMCO社)のエタノール75mL(6容量部)懸濁液に、温度を30℃未満に保ったまま、20重量%ナトリウムエトキシド72.9gのエタノール溶液を加えた。その後、エトキシアクリロニトリル13.4g(1−2)(Degussa)を25℃にて加えた。反応混合液を30分かけて約82℃まで温め、それから20〜28時間熟成した。反応混合液を室温まで冷却し、水62.5mL(5容量部)および6N塩酸を30℃以下に温度を保ったままゆっくりと加え、pHを2.9から3.1の間に調整した。得られた含水エタノール溶液を約20℃から25℃の温度で、1〜2時間攪拌し、5N水酸化ナトリウムで処理し、pHを6.5から8.0の間に調整した。得られた溶液を40℃で150mL(12容量部)まで減圧濃縮し、トルエン125mLで2回抽出した。
【0072】
得られた有機層を10%塩化ナトリウム水溶液62.5mL(5容量部)で洗浄した。得られた溶液に室温で活性炭473.5mg (白鷺P、2−フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩に対して、3.5重量%)を加え、約15〜20時間攪拌した。そのケーキ(活性炭)をトルエン40.9mL(ピラゾールの分析したグラム数に対して4容量部)にて洗浄した。洗浄液と濾液を合わせて、1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン (1−3)を得た。
選択シグナル:H NMR(300MHz,DMSO−d):δ 7.84(d,J=2.6Hz,1H),7.72(dd,J=8.2,1.8 Hz,1H),7.34(ddd,J=11.1,7.9,1.7Hz,1H),7.28−7.14(m,2H),5.77(d,J=2.6Hz,1H),5.10(brs,2H).
【0073】
工程B塩酸塩 (2−1)の製造
【化33】

1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン(1−3)115mL (51.0mg/mL,分析値5.87g(33.13mmol))を含む上記有機層の一部について、溶媒をトルエンからエタノール29.4mL(ピラゾール分析に対して5容量部)に変更した。その溶液に、酢酸エチル5.9mL(ピラゾールの分析で得られたグラム数に対して1容量部)を加え、続いて酢酸エチル中に、4N塩酸9.11mL(36.4mmol、1.1当量)を含む溶液を室温で加えた。その後、1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン塩酸塩29.4mg(ピラゾールの分析で得られたグラム数に対して0.5重量%)を種晶として加えた。
【0074】
得られたスラリーは、室温で1時間熟成し、ついで酢酸エチル88mL(ピラゾール分析値に対して15容量部)を2時間以上かけて室温で滴下して加えた。得られた懸濁液は、室温で15〜20時間、熟成した。そのバッチをろ過し、エタノール/酢酸エチル23.5mL(1:10)および酢酸エチル(11.7mL)で洗浄し、室温で15時間、真空乾燥して1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン塩酸塩(2−1)を得た。
選択シグナル H NMR(500MHz,DMSO−d):δ 9.18(brs,3H),8.20(dd,J=2.4,2.4・Hz,1H),7.73・(ddd,J=8.0, 8.0,1.6・Hz,1H),7.50−7.42・(m,2H),7.36・ddd,J=8.0,8.0,1.5Hz,1H),6.40・(d,J=2.5Hz,1H)
【0075】
【表3】

【0076】
上記粉末X線回折分析データは、実施例1(工程B)と同じ条件で測定された。
1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン塩酸塩(2−1)は、表3に記載された回折角2θ値の完全なグループによって特性付けられるが、そのような同定には、すべての値は必要ではない。1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン塩酸塩(2−1)は、19.9〜20.0°の範囲の回折角シータ値で同定することができる。1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン塩酸塩(2−1)は、次に示す回折角シータ値のいずれかにより、あるいは回折角シータ値のいずれかのグループにより、同定することができる:
(a)19.94°;
(b)10.9−11.0°,19.9−20.0°,および24.6−24.7°;および
(c)10.9−11.0°,19.4°,19.9−20.0°,22.0−22.1°,23.6−23.7°,24.6−24.7°および27.6°。 さらに、表3の2θ角値は、それぞれ次のように小数点2桁で表される: 10.92°、19.40°、19.94°、22.08°、23.68°、24.68°および
27.60°。
【0077】
化合物(2−1)もまた示差走査熱量分析(DSC)によって、特性付けられる。化合物(2−1)のDSC曲線は、ピーク温度145.65℃ +2℃における吸熱によって特性づけられる。ここで、この曲線は、実施例1の工程Aの化合物(1−3)に対してと同じ測定条件の下で得られた。
【実施例3】
【0078】
1−(2−フェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン(3−2)の製造
【化34】

フェニルヒドラジン塩酸塩(3−1)1.0g(TCI社製)のエタノール懸濁液5mLに、温度を30℃未満に保ったまま、ナトリウムエトキシドの21重量%エタノール溶液7.23mLを加え、その後25℃でエトキシアクリロニトリル(1−2)1.33mL(Acros社製)を加えた。反応混合液を30分かけて約82℃まで加温し、20時間熟成した後、室温まで冷却した。温度を30℃以下に保ったまま、水10mLをゆっくりと反応混合液に加えた。得られた水溶性エタノール溶液をメチルt−ブチルエーテル20mLで抽出し、有機層を10%塩化ナトリウム水溶液5mLで洗浄した。得られらた溶液に室温で活性炭5mg(白鷺P)を加え、1時間攪拌した。濾液を濃縮し、得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/エチルアセテート=2:1)で精製することにより、1−(2−フェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン(3−2)を得た。
HNMR(500MHz,DMSO−d):δ 8.12(d,J=2.5Hz,1H),7.63(d,J=8.3Hz,2H),7.38(dd,J=7.9,7.9Hz,2H),7.11(dd,J=7.3,7.3Hz,1H),5.73(d,J=2.5Hz,1H),5.06(brs,2H)。
【0079】
別途製法として、1−フェニル−1H−ピラゾール−3−アミン(3−2)は、実施例4で示される合成方法によっても製造することができる。
【実施例4】
【0080】
1−フェニル−1H−ピラゾール−3−アミンの製造(3−2)
【化35】

カリウムtert−ブトキシド(東京化成社製)100gの熱tert−ブチルアルコール溶液(650 mL)に、フェニルヒドラジン(3−3)(東京化成社製)39.36mLを加えた。室温まで冷却した後、メトキシアクリロニトリル(3−4)(東京化成社製)33.57mLを滴下して加え、混合液を15時間還流した。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を蒸発させて除去した。残渣に水200mLおよび酢酸エチル500mLを加え、分液した。有機層を食塩水(200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。残渣に5N塩酸200mLおよび酢酸エチル500mLを加え、析出した固体を濾過して除去した。濾液を分液し、有機層を5N塩酸100mLで抽出した。水層を合わせて、5N水酸化ナトリウムで処理し、溶液のpHを約9に調整し、水溶液を酢酸エチル(400mL + 200mL)で抽出した。有機層を合わせ、食塩水100mLで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(和光ゲルC−300、和光純薬工業、酢酸エチル/ヘキサン=1:9→1:1)で精製し、化合物(3−2)を得た。
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ 8.11(d,J=2.6Hz,1H),7.62(dd,J=8.7,1.1Hz,2H),7.37(dd,J=8.7,7.4Hz,2H),7.10(dt,J=7.4,1.1Hz,1H),5.72(d,J=2.6Hz,1H),5.01(brs,2H).
【実施例5】
【0081】
1−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−アミン(5−3)の製造
【化36】

カリウムtert−ブトキシド(東京化成社製)2.7gの熱tert−ブチルアルコール溶液60mLに、2−ヒドラジノピリジン(5−1)(Aldrich社製)2.18 gを加えた。室温まで冷却した後、メトキシアクリロニトリル(3−4)(東京化成社製)1.68mLのtert−ブチルアルコール溶液10mLを加え、反応混合物を3時間還流した。反応混合液を室温まで冷却し、溶媒を蒸発させて取り除いた。その残渣に水および酢酸エチルを加えた。分液し、有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(和光ゲルC−300、和光純薬工業、酢酸エチル/ヘキサン=1:2→1:1)で精製し、化合物(5−3)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl):δ 8.35−8.29(m,2H),7.75−7.68(m,2H),7.09−7.01(m,1H),5.88−5.83(m,1H),3.89(brs,2H)。
【0082】
次に示す1H−ピラゾール−3−アミン類は、相当するヒドラジンまたはその塩酸塩(東京化成工業、和光純薬工業、関東化学、Aldrich Chemical CompanyもしくはLancaster Synthesisより供給)を用いて、同様の方法で製造された。
1−(3,4−ジクロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ 8.22(s,1H),7.90(s,1H),7.70−7.55(m,2H),5.80(s,1H),5.22(brs,2H)
【0083】
1−(2−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ 7.90−7.80(m,1H),7.70−7.60(m,1H),7.50−6.80(m,3H),5.85−5.70(m,1H),3.98(s,3H)
【0084】
1−(2−メチルフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン
H NMR(200MHz,CDCl):δ 7.35(d,J=2.4Hz,1H),7.22−7.19(m,4H),5.81(d,J=2.4Hz,1H),3.9(brs,2H),2.29(s,3H)
【0085】
1−(3−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン
H NMR(200MHz,CDCl):δ 7.68(d,J=2.6Hz,1H),7.39−7.28(m,3H),6.91−6.79(m,1H),5.86(d,J=2.6Hz,1H),3.82(brs,2H)
【0086】
1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ 8.28(d,J=2.7Hz,1H),7.85−7.75(m,4H),5.84(d,J=2.7Hz,1H),5.31(brs,2H)
【0087】
1−(4−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン
H NMR(300MHz,CDCl):δ 7.64(d,J=2.7Hz,1H),7.55−7.42(m,2H),7.40−7.29(m,2H),5.85(d,J=2.7Hz,1H),3.82(brs,2H)
【0088】
1−(3−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン
H NMR(300MHz,CDCl):δ 7.67(d,J=2.6Hz,1H),7.65−7.50(m,1H),7.46−7.39(m,1H),7.33−7.24(m,1H),7.17−7.11(m,1H),5.84(d,J=2.6Hz,1H),3.82(brs,2H)
【0089】
1−(2,4−ジフルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン
H NMR(200MHz,CDCl):δ7.84−7.69(m,2H),7.00−6.87(m,2H),5.87(d,J=2.6Hz,1H),3.85(brs,2H)
【0090】
1−(3,5−ジフルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン
H NMR(300MHz,CDCl):δ 7.64(d,J=2.6Hz,1H), 7.17−7.06(m,2H),6.63−6.55(m,1H),5.88(d,J=2.6Hz,1H),3.86(brs,2H)
【0091】
1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン
H NMR(200MHz,CDCl):δ 7.64−7.43(m,3H),7.16−7.00(m,2H),5.83(d,J=2.5Hz,1H),3.84(brs,2H)。
【0092】
実施例1、2、3、4または5に記載された方法を実質的に用いて、しかしこれらの実施例で用いられた出発原料である3−フルオロフェニルヒドラジンやフェニルヒドラジンを適当なアミン類に置き換えることにより、式Iで示される他の置換ピラゾール化合物を製造することができる。
本発明は、ある特定の具体例に関して記述され、説明されてきたが、当業者は様々な変更、修正および置換が、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、なし得ることを理解するであろう。したがって、本発明は次に記載する特許請求の範囲によって定義され、このような特許請求の範囲は合理的な範囲で広く解釈されるべきものである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、式Iのピラゾールの製造方法に関する。
【化37】

式Iの化合物は、式IIのスピロラクトン化合物の製造に有用な中間体である。
【化38】

【0094】
また、式IIの化合物は、NPYに関連した様々な疾病を治療するための医薬としても有用である。そのような疾患としては、以下の疾患に限定されるものではないが、高血圧、腎臓病、心臓病、血管れん縮、動脈硬化などの循環器系疾患;過食症、うつ病、不安、発作、てんかん、痴呆、痛み、アルコール依存症、薬物の断薬に伴う禁断症状などの中枢神経系疾患;肥満症、糖尿病、ホルモン分泌異常、高コレステロール血症、高脂血症などの代謝性疾患;性および生殖機能不全、消化管系疾患、呼吸器系疾患、炎症性疾患および緑内障などが挙げられる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
(a)ヒドラジン溶液を製造する工程;
(b)工程(a)のヒドラジン溶液に
式V:
【化1】

(式中、R
(1)低級アルキル基、
(2)アリール基、および
(3)−CH−アリール基からなる群から選択される)、
で表される化合物を加えて混合物を得る工程;および
(c)工程(b)の混合物を約50℃から約100℃に加熱する工程;
からなることを特徴とする、式I’:
【化2】

[式中、RおよびRは、ともに独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)ニトロ基、
(4)低級アルキル基、
(5)ハロ(低級)アルキル基、
(6)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(7)シクロ(低級)アルキル基、
(8)低級アルケニル基、
(9)低級アルコキシ基、
(10)ハロ(低級)アルコキシ基、
(11)低級アルキルチオ基、
(12)カルボキシル基、
(13)低級アルカノイル基、
(14)低級アルコキシカルボニル基、
(15)オキソ基で置換されていても良い低級アルキレン基、および
(16)−Q−Ar(式中、Qは単結合およびカルボニル基からなる群から選ばれ、そして、
Ar
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基、
からなる群より選ばれ、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基
からなる群より選ばれた置換基で置換されていてもよい)
からなる群より選択される]で表される化合物、またはその塩、水和物もしくは結晶多形を製造する方法。
【請求項2】
式III’:
【化3】

で表される化合物を溶媒に溶かすことによって、工程(a)のヒドラジン溶液を製造することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
溶媒が、
(a)C1−4アルコール;
(b)トルエン;
(c)テトラヒドロフラン;および
(d)ジメチルホルムアミド;
からなる群、またはその混合物から選択されることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
溶媒がエタノールであることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
式III’:
【化4】

で表される化合物の塩を、溶媒中、塩基で処理することにより、工程(a)のヒドラジン溶液を製造することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
溶媒が、
(a)C1−4アルコール;
(b)トルエン;
(c)テトラヒドロフラン;および
(d)ジメチルホルムアミド;
からなる群、またはその混合物から選択されることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
溶媒がエタノールであることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
式III’で表される化合物の塩が、酢酸塩、シュウ酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、二臭化水素酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩および硫酸塩からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項9】
式III’で表される化合物の塩が塩酸塩であることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
塩基が、
(a)ナトリウムエトキシド
(b)ナトリウムメトキシド
(c)低級アルキルアミン
(d)1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
(e)カリウムt−ブトキシド;および
(f)水酸化ナトリウム
からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項11】
塩基がナトリウムエトキシドであることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
およびRは、ともに独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)低級アルキル基、
(4)ハロ(低級)アルキル基、
(5)低級アルケニル基、
(6)低級アルカノイル基、
(7)オキソ基で置換されていても良い低級アルキレン基、および
(8)−Q−Ar(式中、Qは単結合およびカルボニル基からなる群から選ばれ、そして、
Ar
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基、
からなる群より選ばれ、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基
からなる群より選ばれた置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
が水素原子であり、Rが、
(1)水素原子、
(2)2−フルオロ基、
(3)3−フルオロ基、
(4)4−フルオロ基、
(5)5−フルオロ基、
(6)2−クロロ基、
(7)3−クロロ基、
(8)4−クロロ基、
(9)2−ジフルオロメトキシ基、
(10)3−ジフルオロメトキシ基、
(11)2−メチル基、
(12)2−ピリジル基、
(13)2−キノリル基、および
(14)3−キノリル基
からなる群から選択されることを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
が水素原子であり、Rが、
(1)水素原子、
(2)2−フルオロ基、
(3)3−フルオロ基、および
(4)4−フルオロ基
からなる群より選択されることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
およびRが、ともに水素原子であることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
が水素原子で、Rが2−フルオロ基であることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項17】
が水素原子で、Rが4−フルオロ基であることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項18】
3が低級アルキル基からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項19】
が、−CH、−CHCH、−(CHCH、−CH(CH、−(CHCHおよび−C(CHからなる群から選択されることを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
3が、−CHCHであることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
化合物I’を単離する工程(d)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項22】
化合物I’を酸で処理して塩を形成する工程(e)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項23】
工程(e)の酸が、酢酸、シュウ酸、臭化水素酸、塩酸、無水p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸水和物、p−トルエンスルホン酸1水和物、ベンゼンスルホン酸およびメタンスルホン酸、もしくはそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
工程(e)の酸が、酢酸、シュウ酸、塩酸、無水p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸水和物、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸1水和物、もしくはそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
工程(e)の酸が、p−トルエンスルホン酸1水和物であることを特徴とする請求項24に記載の製造方法。
【請求項26】
工程(e)の酸が、塩酸であることを特徴とする請求項24に記載の製造方法。
【請求項27】
1−4
【化5】

で表される化合物、またはその水和物もしくは結晶多形。
【請求項28】
1−4
【化6】

で表されるトルエンスルホン酸塩の結晶であることを特徴とする化合物。
【請求項29】
Cu放射線により得られた粉末X線回折パターンが、14.2〜14.3度の回折角2θ値を含むことを特徴とする請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
Cu放射線により得られた粉末X線回折パターンが、14.24度の回折角2θ値を含むことを特徴とする請求項28に記載の化合物。
【請求項31】
Cu放射線により得られた粉末X線回折パターンが、14.2〜14.3度、および21.6〜21.7度の回折角2θ値を含むことを特徴とする請求項28に記載の化合物。
【請求項32】
Cu放射線により得られた粉末X線回折パターンが、14.2〜14.3度、20.0〜20.1度、および21.6〜21.7度の回折角2θ値を含むことを特徴とする請求項28に記載の化合物。
【請求項33】
Cu放射線により得られた粉末X線回折パターンが、8.6〜8.7度の回折角2θ値を含むことを特徴とする請求項28に記載の化合物。
【請求項34】
Cu放射線により得られた粉末X線回折パターンが、8.68度の回折角2θ値を含むことを特徴とする請求項28に記載の化合物。
【請求項35】
Cu放射線により得られた粉末X線回折パターンが、8.6〜8.7度、および11.9〜12.0度の回折角2θ値を含むことを特徴とする請求項28に記載の化合物。
【請求項36】
Cu放射線により得られた粉末X線回折パターンが、8.6〜8.7度、11.9〜12.0度、および20.5〜20.6度の回折角2θ値を含むことを特徴とする請求項28に記載の化合物。
【請求項37】
2−1
【化7】

で表される化合物、またはその水和物もしくは結晶多形。
【請求項38】
2−1
【化8】

で表される塩酸塩の結晶である化合物。
【請求項39】
Cu放射線により得られた粉末X線回折パターンが、19.9〜20.0度の回折角2θ値を含むことを特徴とする請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
Cu放射線により得られた粉末X線回折パターンが、19.94度の回折角2θ値を含むことを特徴とする請求項38に記載の化合物。
【請求項41】
Cu放射線により得られた粉末X線回折パターンが、10.9〜11.0度、19.9〜20.0度、および24.6〜24.7度の回折角2θ値を含むことを特徴とする請求項38に記載の化合物。
【請求項42】
以下の工程:
(a)ヒドラジン溶液を製造する工程;
(b)工程(a)のヒドラジン溶液に
式V:
【化9】

(式中、R
(1)低級アルキル基、
(2)アリール基、および
(3)−CH−アリール基からなる群より選択される)
で表される化合物を加えて混合物を得る工程;および
(c)工程(b)の混合物を約50℃から約100℃に加熱する工程;
からなることを特徴とする、
式I:
【化10】

[式中、Xは、CH、CR、CR、または窒素原子であり;
およびRは、ともに独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)ニトロ基、
(4)低級アルキル基、
(5)ハロ(低級)アルキル基、
(6)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(7)シクロ(低級)アルキル基、
(8)低級アルケニル基、
(9)低級アルコキシ基、
(10)ハロ(低級)アルコキシ基、
(11)低級アルキルチオ基、
(12)カルボキシル基、
(13)低級アルカノイル基、
(14)低級アルコキシカルボニル基、
(15)オキソ基で置換されていても良い低級アルキレン基、および
(16)−Q−Ar(式中、Qは単結合およびカルボニル基からなる群から選ばれ、そして、Ar
(1)アリール基、および
(2)ヘテロアリール基、
からなる群から選ばれ、Arは、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)低級アルキル基、
(d)ハロ(低級)アルキル基、
(e)ヒドロキシ(低級)アルキル基、
(f)ヒドロキシ基、
(g)低級アルコキシ基、
(h)ハロ(低級)アルコキシ基、
(i)低級アルキルアミノ基、
(j)ジ低級アルキルアミノ基、
(k)低級アルカノイル基、および
(l)アリール基
からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい)
からなる群から選択される]で表される化合物、またはその塩、水和物もしくは結晶多形の製造方法。
【請求項43】
式III:
【化11】

で表される塩の化合物を、溶媒中、塩基で処理することにより、工程(a)のヒドラジン溶液を製造することを特徴とする請求項42に記載の製造方法。
【請求項44】
塩基がカリウムtert−ブトキシドであり、溶媒がtert−ブタノールであることを特徴とする請求項43に記載の製造方法。
【請求項45】
式I:
【化12】

で表される化合物を酸で処理して塩を形成する工程(e)をさらに含むことを特徴とする請求項42に記載の製造方法。

【公表番号】特表2006−505584(P2006−505584A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546450(P2004−546450)
【出願日】平成15年10月22日(2003.10.22)
【国際出願番号】PCT/JP2003/013507
【国際公開番号】WO2004/037794
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(000005072)萬有製薬株式会社 (51)
【Fターム(参考)】