説明

ピラゾール誘導体を有効成分とする殺虫・殺ダニ剤及びそれらの製造方法

【課題】 農園芸栽培場面における有害な昆虫やダニ類に対して極めて優れた防除効果を有する殺虫・殺ダニ剤を提供することにある。
【解決手段】 一般式(1)
【化1】


で表されるピラゾール誘導体を有効成分として含有する殺虫・殺ダニ剤を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピラゾール誘導体を有効成分として含有する殺虫・殺ダニ剤及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農園芸分野では、各種害虫の防除を目的とした殺虫・殺ダニ剤が開発され実用に供されている。しかしながら、従来汎用されている殺虫・殺ダニ剤は、効果、スペクトラム、あるいは残効性等の点において必ずしも満足すべきものではない。また、施用回数や施用薬量の低減等の社会的要請を充分満足しているとは言えない。
また、従来汎用されてきた殺虫・殺ダニ剤に対して抵抗性を獲得した害虫の出現も問題となっている。例えば、野菜、果樹、花卉、茶、ムギ類及びイネ等の栽培において、様々な系統の殺虫・殺ダニ剤、例えば、有機リン剤(フェニトロチオン、マラチオン、プロチオフォス、DDVP等)、ピレスロイド系(ペルメトリン、シペルメリン、フェンバレレート、サイハロスリン等)、ベンゾイルウレア系(ジフルベンズロン、テフルベンズロン、クロルフルアズロン等)、ネライストキシン系(カルタップ、ベンスルタップ等)殺虫・殺ダニ剤に抵抗性を獲得した害虫の防除が年々困難になっている。
さらに、害虫が未だ抵抗性を獲得していない殺虫・殺ダニ剤(例えば、DDTやBHC等の有機ハロゲン系農薬、アルドリン、ディルドリン、エンドリン、ヘプタクロル、ベンゾエピン等の塩素化環状ジエン系農薬等)もあるが、毒性及び環境汚染等の観点から好ましいものではない。従って、従来汎用の農園芸用殺虫・殺ダニ剤に抵抗性を獲得した各種害虫に対しても低薬量で十分な防除効果を示し、しかも有用生物に対して安全性が高く、環境への悪影響が少ない新規な殺虫・殺ダニ剤の開発が切望されている。
本発明に関するピラゾール誘導体は除草剤として有用であることは既に報告されている(特許文献1参照)。しかし、上記公報にはこれらの化合物の除草剤としての作用以外の生理活性、例えば殺虫及び殺ダニ活性に関する記載は一切なされていない。
【特許文献1】国際公開第01/23358パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、従来の農園芸用殺虫・殺ダニ剤に抵抗性を示す各種病害虫に対しても高い防除効果を示し、かつ、有用生物に対して安全性が高く、環境への悪影響が少ない新規殺虫・殺ダニ剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、一般式(1)で示されるピラゾール誘導体が、上記課題を解決し得る化合物であることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、一般式(1)
【0005】
【化10】

(式中、R1は置換していてもよいC1〜C12のアルキル基を表し、R2は置換していてもよいC1〜C6のアルキル基又は置換していてもよいフェニル基を表す。R3及びR4は同一もしくは異なっており、水素原子、置換していてもよいC1〜C12のアルキル基又は置換していてもよいC3〜C8のシクロアルキル基を表すか、あるいはR3及びR4が結合している炭素原子と一体となってC3〜C8のシクロアルキル基を形成してもよい。nは0〜5の整数を表す。R5は水素原子、C1〜C6のアルキル基又はハロゲン原子を表す。)で示されるピラゾール誘導体を有効成分として含有する殺虫・殺ダニ剤に関するものである。
本発明の一般式(1)で示されるピラゾール誘導体は、一般式(2)
【0006】
【化11】

(式中、R1及びR5は前記と同じ意味を表し、R6はC1〜C6のアルキル基、ベンジル基又はアリル基を表す。)で示されるピラゾール誘導体と、一般式(3)
【0007】
【化12】

(式中、R3、R4及びnは前記と同じ意味を表す。)で示されるアミン類とを場合によっては塩基の存在下に反応させ、一般式(4)
【0008】
【化13】

(式中、R1、R3、R4、R5及びnは前記と同じ意味を表す。)で示される3-ヒドロキシ
ピラゾール-4-カルボキサミド誘導体とし、場合によっては単離・精製し、次いでこのものと、一般式(5)
【0009】
【化14】

(式中、R2は前記と同じ意味を表し、Xは脱離基を表す。)で示されるスルホニル化剤とを塩基の存在下に反応させることにより製造することができる。以下、本発明を詳細に説明する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のピラゾール誘導体を有効成分とする殺虫・殺ダニ剤は農園芸栽培場面における有害な昆虫やダニ類に対して極めて優れた防除効果を有し、農園芸用の殺虫・殺ダニ剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のピラゾール誘導体において、R1で表される置換していてもよいC1〜C12のアルキル基としては、直鎖状もしくは分枝状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等を例示することができる。また、これらのアルキル基はハロゲン原子、C3〜C8のシクロアルキル基、C1〜C6のアルキルチオ基、C1〜C6のアルコキシ基等で一個以上置換されていてもよく、さらに具体的には2-クロロエチル基、3-クロロプロピル基、ジフルオロメチル基、3-フルオロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、2-メチルチオエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、2-メトキシエチル基等を例示することができ、中でもC1〜C4の低級アルキル基が高活性を与える点で好ましい。
【0012】
2で表される置換していてもよいC1〜C6のアルキル基としては、直鎖状もしくは分枝状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等を例示することができ、中でもC1〜C4の低級アルキル基が高活性を与える点で好ましい。
【0013】
2で表される置換していてもよいフェニル基としては、フェニル基、p-トリル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、4-アセチルフェニル基、4-トリフルオロメチルオキシフェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、2-トリフルオロメチルフェニル基、4-クロロフェニル基、4-クロロ-3-ニトロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2-ブロモフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4-ブロモフェニル基、4-アセチルアミノフェニル基、2,4,6-トリイソプロピルフェニル基、2,5-ジクロロフェニル基、3,4-ジクロロフェニル基、2-ニトロフェニル基、4-ニトロフェニル基、3-ニトロフェニル基、2-ニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル基、3,5-ビストリフルオロメチル基、3,4-ジメトキシフェニル基、4-ビフェニルイル基等を例示することができる。
【0014】
3及びR4で表される置換していてもよいC1〜C12のアルキル基としては、直鎖状、分枝状あるいは環状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-メチルブチル基、tert-ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、2-エチルブチル基、4-メチルペンチル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、2-ヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等を例示することができる。また、これらのアルキル基はハロゲン原子、C3〜C8のシクロアルキル基、C1〜C6のアルキルチオ基、C1〜C6のアルキルスルフィニル基、C1〜C6のアルキルスルホニル基、C1〜C6のアルコキシ基、アリールオキシ基等で一個以上置換されていてもよく、さらに具体的には2-クロロエチル基、3-クロロプロピル基、ジフルオロメチル基、3-フルオロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、メチルチオメチル基、2-メチルチオエチル基、メチルスルフィニルメチル基、2-メチルスルフィニルエチル基、メチルスルホニルメチル基、2-メチルスルホニルエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、2-メトキシエチル基、2-クロロエトキシメチル基、フェノキシメチル基、2-クロロフェノキシメチル基、2-ブロモフェノキシメチル基、2-トリフルオロメチルフェノキシメチル基、3-フルオロフェノキシメチル基、3-メチルチオフェノキシメチル基、3-トリフルオロメチルフェノキシメチル基、4-クロロフェノキシメチル基、4-ブロモフェノキシメチル基、4-トリフルオロメチルフェノキシメチル基等を例示することができる。
【0015】
3及びR4で表される置換していてもよいC3〜C8のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等を例示することができる。また、これらのシクロアルキル基はハロゲン原子あるいはC1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基等で置換されていてもよく、さらに具体的には、1-メチルシクロプロピル基、2,2-ジメチルシクロプロピル基、2-クロロシクロプロピル基、2,2-ジクロロシクロプロピル基、2-メトキシシクロプロピル基、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基等を例示することができる。
【0016】
3及びR4が結合している炭素原子と一体となって形成するC3〜C8のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を例示することができる。また、これらのシクロアルキル基はハロゲン原子あるいはC1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基等で置換されていてもよく、さらに具体的には、1-メチルシクロプロピル基、2,2-ジメチルシクロプロピル基、2-クロロシクロプロピル基、2,2-ジクロロシクロプロピル基、2-メトキシシクロプロピル基、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基等を例示することができる。
【0017】
5及びR6で表されるC1〜C6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を例示することができる。
【0018】
5で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等を例示することができる。
【0019】
次に本発明のピラゾール誘導体の製造方法について詳細に説明する。本発明のピラゾール誘導体は特許文献1記載の方法により製造することもできるが、下記製造方法に例示した製造方法は反応工程が短く、高価な反応試剤を使用する必要がない点で工業的製法として有利である。
【0020】
【化15】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、n及びXは前記と同じ意味を表し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基等のC1〜C4の低級アルキル基を表す。)
【0021】
工程−1は、3-ヒドロキシピラゾール-4-カルボン酸エステル誘導体(6)のエステルを加水分解して、3-ヒドロキシピラゾール-4-カルボン酸誘導体(7)を製造する工程である。
反応は塩基の存在下に実施する。塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の水溶液を用いることができる。塩基は基質に対して0.5当量〜大過剰量用いて反応させることにより、収率よく目的物を得ることができる。反応は有機溶媒の共存下に実施することもできる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。
【0022】
工程−2は、3-ヒドロキシピラゾール-4-カルボン酸誘導体(7)とクロロギ酸エステル類(8)を反応させ、ピラゾール誘導体(2)を製造する工程である。
反応は塩基の存在下に実施する。塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、4-tert-ブチル-N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、ピコリン、ルチジン等の有機塩基、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム-tert-ブトキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミド、ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、トリメチルシリルリチウム、リチウムヘキサメチルジシラジド等のアルカリ金属塩基等を用いることができる。これらの塩基の中では、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩が収率が良い点で好ましい。塩基は基質に対して1〜5当量用いて反応させることにより、収率よく目的物を得ることができる。
本反応は溶媒中で実施することが好ましい。溶媒としては、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、THF、DME、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶媒、DMF、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、DMSO、水、あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。反応は、使用する塩基や反応条件によっても異なるが、-78℃から溶媒還流温度までの範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。
【0023】
工程−3は、ピラゾール誘導体(2)をアミン類(3)と場合によっては塩基の存在下に反応させ、3-ヒドロキシピラゾール-4-カルボキサミド誘導体(4)を製造する工程である。工程−3で使用するアミン類(3)の一部は市販されているがジャーナル・オブ・ザ・ケミカルソサエティー〔Journal of the Chemical Society, Abstracts; 1961, p4372〜4379、1962, p3977〜3980〕等に記載の方法により製造することができる。
本反応は溶媒中で実施することもできる。溶媒としては、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、THF、DME、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶媒、DMF、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、DMSO、水、あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。
反応は塩基の存在下に行うこともできる。塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム-tert-ブトキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミド、ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、トリメチルシリルリチウム、リチウムヘキサメチルジシラジド等のアルカリ金属塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、4-tert-ブチル-N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、イミダゾール等の有機塩基等を用いることができる。塩基は基質に対していわゆる触媒量で充分であるが、過剰に用いても何ら問題はなく、収率よく目的物を得ることができる。
反応は、使用する塩基や反応条件によっても異なるが、-78℃から溶媒還流温度までの範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。
【0024】
工程−3の反応において、目的とする3-ヒドロキシピラゾール-4-カルボキサミド誘導体(4)は、前駆体である3-(アルコキシカルボニルオキシ)ピラゾール-4-カルボキサミド誘導体(4')を経由して生成することから、場合によってはピラゾール-4-カルボキサミド誘導体(4')が副生成物として得られることがある。しかし前駆体(4')は加水分解によって容易に目的物(4)へと変換することができる。
【0025】
【化16】

(式中、R1、R3、R4、R5、R6及びnは前記と同じ意味を表す。)
工程−4は、3-ヒドロキシピラゾール-4-カルボキサミド誘導体(4)とスルホニル化剤(5)を塩基の存在下に反応させ、本発明のピラゾール誘導体(1)を製造する工程であり、例えば、前記特許文献1記載の方法に従って実施することができる。
【0026】
また、上記工程−3および工程−4はバッチ式反応によりそれぞれの製造中間体を得ることができるが、工程−3と工程−4は連続的に実施することもできる。
本発明のピラゾール誘導体(1)は、農園芸用の殺虫・殺ダニ剤として有用である。防除対象の害虫としては、ハスモンヨトウ、コナガ、チャノコカクモンハマキ、コブノメイガ、ニカメイチュウ等の鱗翅目;トビイロウンカ、ヒメトビウンカ、セジロウンカ、ツマグロヨコバイ、チャノミドリヒメヨコバイ、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、オンシツコナジラミ、チャバネアオカメムシ、ホソハリカメムシ、アカヒゲホソミドリカスミカメ等の半翅目;キスジノミハムシ、ウリハムシ、アズキゾウムシ等の甲虫目;イエバエ、アカイエカ等の双翅目;ワモンゴキブリ等の直翅目の幼虫及び成虫;ならびに、ナミハダニ、ミカンハダニ、ミカンサビダニ、チャノホコリダニ等のダニ目の卵、若虫、幼虫及び成ダニを挙げることができる。もっとも防除対象となる昆虫、ダニ類はこれらに限定されるものではない。
【0027】
本発明のピラゾール誘導体(1)を農園芸用の殺虫・殺ダニ剤として使用する場合には、単独で用いてもよいが、好ましくは汎用の農薬補助剤を用いて製造した組成物の形態で使用する。本発明の殺虫・殺ダニ剤の形態は特に限定されないが、例えば乳剤、水和剤、粉剤、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、細粒剤、粒剤、錠剤、油剤、噴霧剤、煙霧剤等の形態とすることが好適である。また、本発明のピラゾール誘導体(1)の1種又は2種以上を有効成分として配合することができる。
【0028】
本発明のピラゾール誘導体(1)を有効成分として含有する殺虫・殺ダニ剤を製造するために用いられる農薬補助剤は、例えば、殺虫・殺ダニ剤の効果の向上、安定化、分散性の向上等の目的で使用することができる。農薬補助剤としては、例えば、担体(希釈剤)、展着剤、乳化剤、湿展剤、分散剤、崩壊剤等を用いることができる。
液体担体としては、水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、ブチルアルコール、グリコール等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メチルナフタレン、シクロヘキサン、動植物油、脂肪酸等を挙げることができる。また、固体担体としてはクレー、カオリン、タルク、珪藻土、シリカ、炭酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、長石、石英、アルミナ、鋸屑、ニトロセルロース、デンプン、アラビアゴム等を用いることができる。
乳化剤、分散剤としては通常の界面活性剤を使用することができ、例えば、高級アルコール硫酸ナトリウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ラウリルベタイン等の陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤等を用いることができる。また、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル等の展着剤;ジアルキルスルホサクシネート等の湿展剤;カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の固着剤;リグニンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の崩壊剤を用いることができる。
【0029】
本発明の殺虫・殺ダニ剤における有効成分の含有量は0.01〜99.5%の範囲から選ばれ、製剤形態、施用方法等の種々の条件により適宜決定すればよいが、例えば、粉剤では約0.5〜20重量%程度、好ましくは1〜10重量%、水和剤では約1〜90重量%程度、好ましくは10〜80重量%、乳剤では約1〜90重量%程度、好ましくは10〜40重量%の有効成分を含有するように製造することが好適である。
例えば、乳剤の場合、有効成分である本発明のピラゾール誘導体(1)に対して溶剤及び界面活性剤等を混合して原液の乳剤を製造することができ、さらにこの原液を使用に際して所定濃度に水で希釈して施用することができる。水和剤の場合、有効成分のピラゾール誘導体(1)、固形担体及び界面活性剤等を混合して原液を製造し、さらにこの原液を使用に際して所定濃度に水で希釈して施用することができる。粉剤の場合、有効成分のピラゾール誘導体(1)と固形担体等を混合してそのまま施用することができ、粒剤の場合には、有効成分のピラゾール誘導体(1)、固形担体及び界面活性剤等を混合して造粒することにより製造し、そのまま施用することができる。もっとも、これらの製剤形態の製造方法はこれらに限定されることはなく、有効成分の種類や施用目的等に応じて当業者が適宜選択することができるものである。
【0030】
本発明の農園芸用殺虫・殺ダニ剤には、有効成分である本発明のピラゾール誘導体(1)以外に、他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、昆虫生育調整剤、肥料、土壌改良剤等の任意の有効成分を配合してもよい。
本発明の農園芸用殺虫・殺ダニ剤の施用方法は特に限定されるものではなく、茎葉散布、水面施用、土壌処理、種子処理等のいずれの方法でも施用することができる。例えば、茎葉散布又は土壌処理の場合、0.001〜1000ppm、好ましくは0.01〜500ppmの濃度範囲の溶液を10アール当たり0.1〜5000L好ましくは10〜2000L程度の施用量で用いることができる。水面施用の場合の施用量は、通常、有効成分が0.01〜15%の粒剤では10アール当たり0.1〜10kgである。土壌処理の場合、5〜1000ppmの濃度範囲の溶液を1m2当たり1〜10L程度の施用量で用いることができる。種子処理の場合、種子重量1kg当たり10〜1000ppmの濃度範囲の溶液を10〜100mL程度施用処理することができる。
【0031】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の実施例に限定されることはない。
【実施例】
【0032】
実施例−1
【化17】

3-エトキシカルボニルオキシ-1-メチルピラゾール-4-イルカルボニル(エチル)カーボネート(1.50g, 5.24mmol)のアセトニトリル(15mL)溶液に2-アミノ-2-エチルブタンニトリル(5.88g, 52.4mmol)を0℃にて加えた後、そのまま30分間撹拌した。反応終了後、反応混合物を濃縮し、N-(1-シアノ-1-エチルプロピル)-3-ヒドロキシ-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミドの粗生成物を得た。このものにアセトニトリル(30mL)、炭酸カリウム(3.62g, 26.2mmol)、メチルスルホニルクロリド(2.0mL, 26.2mmol)を順次加え、室温で6時間、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に酢酸エチル(30mL)と水(30mL)を加え、酢酸エチル(30mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過により乾燥剤を取り除き、瀘液から溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(酢酸エチル/ヘキサン=1/2)を用いて精製することにより、N-(1-シアノ-1-エチルプロピル)-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミドの白色固体(0.62g, 収率:37.8%)を得た。Mp:96〜97℃;H−NMR(CDCl3, TMS, ppm):δ7.87(s, 1H), 6.41(br s, 1H), 3.87(s, 3H), 3.48(s, 3H), 1.91-2.20(m, 4H), 1.09(t, J=7.5Hz, 6H).
【0033】
実施例−2
【化18】

アミノアセトニトリル硫酸塩(3.26g, 21.1mmol)と炭酸カリウム(3.51g, 25.4mmol)のアセトニトリル(50mL)溶液に3-エトキシカルボニルオキシ-1-プロピルピラゾール-4-イルカルボニル(エチル)カーボネート(1.50g, 8.74mmol)を0℃にて加え、そのままの温度で30分間、室温で16時間撹拌した。次いで、このものにアセトニトリル(30mL)、炭酸カリウム(3.50g, 265.4mmol)、メチルスルホニルクロリド(2.0mL, 25.4mmol)を順次加え、室温で16時間、60℃で8時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に酢酸エチル(80mL)と水(80mL)を加え、酢酸エチル(50mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水(80mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過により乾燥剤を取り除き、瀘液から溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(酢酸エチル/ヘキサン=2/5)を用いて精製することにより、N-シアノメチル-3-メチルスルホニルオキシ-1-プロピルピラゾール-4-カルボキサミドの白色固体(1.10g, 収率:45.4%)を得た。mp:96〜98℃;1H-NMR(CDCl3, TMS, ppm):δ7.91(s, 1H), 6.59-6.83(m, 1H), 4.31(d, J=5.9Hz, 2H), 4.02(t, J=7.0Hz, 2H), 3.50(s, 3H), 1.89(dt, J=7.0 and 7.4Hz, 2H), 0.94(t, J=7.4Hz, 3H).
【0034】
実施例−3〜20は、実施例−1あるいは2と同様にしてピラゾール誘導体を得た。
【0035】
実施例−3
化合物名:N-シアノメチル-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:12.0%、白色固体、111〜113℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.89(s, 1H), 6.69(br t, J=5.9Hz, 1H), 4.31(d, J=5.9Hz, 2H), 3.88(s, 3H), 3.51(s, 3H).
【0036】
実施例−4
化合物名:N-(2-シアノエチル)-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:30.8%、白色固体、121〜125℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.84(s, 1H), 6.60-6.83(m, 1H), 3.86(s, 3H), 3.67(dt, J=6.5 and 6.6Hz, 2H), 3.49(s, 3H), 2.70(t, J=6.6Hz, 2H).
【0037】
実施例−5
化合物名:N-(1-シアノ-2-メチルプロピル)-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:21.9%、白色固体、100〜102℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.88(s, 1H), 6.70(br d, J=8.3Hz, 1H), 4.88(dd, J=5.9 and 8.3Hz, 1H), 3.87(s, 3H), 3.50(s, 3H), 2.15(d septet, J=5.9 and 6.8Hz, 1H), 1.15 and 1.16(each d, J=6.8Hz, total 6H).
【0038】
実施例−6
化合物名:N-(1-シアノプロピル)-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:8.7%、無色油状物
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.88(s, 1H), 6.69(br d, J=8.0Hz, 1H), 4.89(dt, J=7.0 and 8.0Hz, 1H), 3.87(s, 3H), 3.49(s, 3H), 1.94(dq, J=7.0 and 7.4Hz, 2H), 1.16(t, J=7.4Hz, 3H).
【0039】
実施例−7
化合物名:N-(1-シアノ-2-メチルブチル)-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:4.9%、無色油状物
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.88(s, 1H), 6.70 and 6.74(each d, J=9.2Hz, total 1H), 4.97(dd, J=5.6 and 8.6Hz, 1H), 3.87(s, 3H), 3.50(s, 3H), 1.77-2.02(m, 1H), 1.51-1.75(m, 1H), 1.30-1.50(m, 1H), 1.15 and 1.16(each d, J=6.8Hz, total 3H), 0.98 and 0.99(each t, J=7.4Hz, total 3H).
【0040】
実施例−8
化合物名:N-(1-シアノ-1-メチルプロピル)-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:28.6%、白色固体、109〜112℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.87(s, 1H), 6.49(br s, 1H), 3.86(s, 3H), 3.48(s, 3H), 1.89-2.18(m, 2H), 1.74(s, 3H), 1.15(t, J=7.5Hz, 3H).
【0041】
実施例−9
化合物名:N-(1-シアノ-1-メチルブチル)-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:23.3%、白色固体、109〜112℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.87(s, 1H), 6.51(br s, 1H), 3.86(s, 3H), 3.48(s, 3H), 1.81-2.07(m, 2H), 1.74(s, 3H), 1.55-1.68(m, 2H), 1.02(t, J=7.3Hz, 3H).
【0042】
実施例−10
化合物名:N-(1-シアノ-1-エチルブチル)-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:23.5%、白色個体、108〜111℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.87(s, 1H), 6.44(br s, 1H), 3.86(s, 3H), 3.48(s, 3H), 1.85-2.20(m, 4H), 1.41-1.64(m, 2H), 1.09(t, J=7.5Hz, 3H), 1.00(t, J=7.3Hz, 3H).
【0043】
実施例−11
化合物名:N-(1-シアノ-1-シクロプロピルエチル)-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:25.2%、白色固体、129〜131℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.87 (s, 1H), 6.73(br s, 1H), 3.87(s, 3H), 3.48(s, 3H), 1.84(s, 3H), 1.22-1.40(m, 1H), 0.60-0.81 (m, 4H).
【0044】
実施例−12
化合物名:N-(1-シアノ-1,2-ジメチルプロピル)-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:37.4%、白色固体、80〜82℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.87(s, 1H), 6.49(br s, 1H), 3.86(s, 3H), 3.49(s, 3H), 2.34(septet, J=6.8Hz, 1H), 1.70(s, 3H), 1.19(d, J=6.8Hz, 3H), 1.12(d, J=6.8Hz, 3H).
【0045】
実施例−13
化合物名:N-(1-シアノ-1-エチル-2-メチルプロピル)-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:15.1%、白色固体、100〜103℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.87(s, 1H), 6.41(br s, 1H), 3.87(s, 3H), 3.49(s, 3H), 2.46(septet, J=6.8Hz, 1H), 1.91-2.25(m, 2H), 1.16(d, J=6.8Hz, 3H), 1.10(d, J=6.8Hz, 3H), 1.07(t, J=7.4Hz, 3H).
【0046】
実施例−14
化合物名:N-(1-シアノシクロヘキシル)-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点: 31.1%、白色固体、120〜121℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.87(s, 1H), 6.48(s, 1H), 3.86(s, 3H), 3.48(s, 3H), 2.27-2.48(m, 2H), 1.77-1.92(m, 2H), 1.69-1.77(m, 4H), 1.57-1.69(m, 1H), 1.30-1.46 (m, 1H).
【0047】
実施例−15
化合物名:N-(1-シアノ-1-エチルプロピル)-1-エチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:18.3%、白色固体、100〜101℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.91(s, 1H), 6.42(br s, 1H), 4.11(q, J=7.3Hz, 2H), 3.48 (s, 3H), 1.92-2.20(m, 4H), 1.50(t, J=7.3Hz, 3H), 1.09(t, J=7.4Hz, 6H).
【0048】
実施例−16
化合物名:N-(1-シアノ-1-メチルブチル)-1-エチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:13.0%、白色固体、100〜103℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.92(s, 1H), 6.52(br s, 1H), 4.11(q, J=7.3Hz, 2H), 3.48(s, 3H), 1.82-2.08(m, 2H), 1.75(s, 3H), 1.55-1.69(m, 2H), 1.49(t, J=7.3Hz, 3H), 1.02(t, J=7.3Hz, 3H).
【0049】
実施例−17
化合物名:N-(1-シアノシクロヘキシル)-1-エチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:23.9%、白色固体、97〜101℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.92(s, 1H), 6.49(br s, 1H), 4.11(q, J=7.3Hz, 2H), 3.48(s, 3H), 2.30-2.47(m, 2H), 1.55-1.90(m, 8H), 1.49(t, J=7.3Hz, 3H).
【0050】
実施例−18
化合物名:N-(1-シアノ-1-エチルプロピル)-3-メチルスルホニルオキシ-1-プロピルピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:17.9%、白色固体、98〜99℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.89(s, 1H), 6.43(br s, 1H), 4.01(t, J=7.0Hz, 2H), 3.48(s, 3H), 1.97-2.20(m, 4H), 1.88(tq, J=7.0 and 7.4Hz, 2H), 1.09(t, J=7.4Hz, 6H), 0.93(t, J=7.4Hz, 3H).
【0051】
実施例−19
化合物名:N-(1-シアノ-1-メチルブチル)-3-メチルスルホニルオキシ-1-プロピルピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:9.2%、白色固体、89〜90℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.89(s, 1H), 6.52(br s, 1H), 4.01(t, J=7.0Hz, 2H), 3.47(s, 3H), 1.80-2.05(m, 4H), 1.75(s, 3H), 1.47-1.68(m, 2H), 1.02(t, J=7.3Hz, 3H), 0.93(t, J=7.4Hz, 3H).
【0052】
実施例−20
化合物名:N-(1-シアノシクロヘキシル)-3-メチルスルホニルオキシ-1-プロピルピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:28.3%、白色固体、125〜126℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.90(s, 1H), 6.49(br s, 1H), 4.01(t, J=7.0Hz, 2H), 3.74(s, 3H), 2.27-2.47(m, 2H), 1.64-1.89(m, 7H), 1.88(tq, J=7.0 and 7.4Hz, 2H), 1.25-1.51(m, 1H), 0.93(t, J=7.4Hz, 3H).
【0053】
実施例−21
【化19】

アミノアセトニトリル硫酸塩(13.7g, 89mmol)のアセトニトリル(50mL)溶液に3-エトキシカルボニルオキシ-1-エチルピラゾール-4-イルカルボニル(エチル)カーボネート(2.0g, 6.67mmol)とトリエチルアミン(10mL)を室温にて加え、2日間撹拌した。反応終了後、反応溶液に酢酸エチル(100mL)と1M塩酸(100mL)を加え抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過により乾燥剤を取り除き、瀘液から溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(酢酸エチル=100%)を用いて精製することにより、N-シアノメチル-3-ヒドロキシ-1-エチルピラゾール-4-カルボキサミドの白色固体(70mg, 収率:5.4%)を得た。mp:233〜240℃;1H-NMR(DMSO, ppm):δ7.97(s, 1H), 7.83(t, J=5.8Hz, 1H), 4.23(d, J=5.8Hz, 2H), 3.95(q, J=7.2Hz, 2H), 1.32(t, J=7.2Hz, 3H).(水酸基のプロトンは帰属できなかった。)
【0054】
実施例−22
【化20】

3-エトキシカルボニルオキシ-1-プロピルピラゾール-4-イルカルボニル(エチル)カーボネート(1.45g, 4.61mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液に2-アミノ-2-エチルブタンニトリル(3.10g, 27.7mmol)を0℃にて加えた後、そのまま30分間、次いで1日間撹拌した。反応終了後、反応混合物を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラム(酢酸エチル=100%)を用いて精製することにより、N-(1-シアノ-1-エチルプロピル)-3-ヒドロキシ-1-プロピルピラゾール-4-カルボキサミドの白色固体(82mg, 収率:6.7%)を得た。mp:196〜198℃;1H-NMR(CDCl3, ppm):δ7.75(s, 1H), 6.96(s, 1H), 3.91(t, J=7.0Hz, 2H), 2.11(q, J=7.4Hz, 2H), 2.10(q, J=7.4Hz, 2H), 1.87(tq, J=7.0 and 7.4Hz, 2H), 1.10(t, J=7.4Hz, 6H), 0.94(t, J=7.4Hz, 3H).(水酸基のプロトンは帰属できなかった。)
【0055】
参考例−1
【化21】

N-(1-シアノ-1-エチルプロピル)-3-ベンジルオキシ-1-tert-ブチルピラゾール-4-カルボキサミド(1.50g, 4.07mmol)のエタノール(120mL)溶液をステンレス製オートクレーブに入れ、10%パラジウム/カーボン(100mg)を加えた。水素ガスでオートクレーブ内を充分置換した後、5気圧の水素ガス圧下で混合液を室温で12時間撹拌した。反応終了後、触媒をセライトを用いて濾別し、濾液を減圧留去することにより、N-(1-シアノ-1-エチルプロピル)-1-tert-ブチル-3-ヒドロキシピラゾール-4-カルボキサミドの白色固体(1.10g, 収率:97.3%)を得た。mp:186℃;1H-NMR(CDCl3, TMS, ppm):δ7.47(s, 1H), 1.95-2.19(m, 4H), 1.61(s, 9H), 1.08(t, J=7.5Hz, 6H).(NHとOHのプロトンは帰属できなかった。)
参考例−2〜4は、参考例−1と同様にしてピラゾール誘導体を得た。
【0056】
参考例−2
化合物名:N-[1-シアノ-1-メチル-2-(フェノキシ)エチル]-3-ヒドロキシ-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:95.1%、白色固体、217〜219℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.97(s, 1H), 7.74(br s, 1H), 7.23-7.41(m, 2H), 6.92-7.11(m, 3H), 4.42(d, J=9.5Hz, 1H), 4.31(d, J=9.5Hz, 1H), 3.67(s, 3H), 1.79(s, 3H). (OHプロトンは帰属できなかった。)
【0057】
参考例−3
化合物名:N-[1-シアノ-1-メチル-2-(4-フルオロフェノキシ)エチル]-3-ヒドロキシ-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:96.7%、白色固体、198〜199℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.71(s, 1H), 7.23-7.35(m, 1H), 6.84-7.05(m, 4H), 4.35(d, J=9.1Hz, 1H), 4.27(d, J=9.1Hz, 1H), 3.66(s, 3H), 1.92(s, 3H).(OHプロトンは帰属できなかった。)
【0058】
参考例−4
化合物名:N-[1-シアノ-1-メチル-2-(4-トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]-3-ヒドロキシ-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:定量的、白色固体、196〜198℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.73(s, 1H), 7.56(d, J=8.6Hz, 2H), 7.04(d, J=8.6Hz, 2H), 4.49(d, J=9.1Hz, 1H), 4.36(d, J=9.1Hz, 1H), 3.66(s, 3H), 1.94(s, 3H).(OHプロトンとNHプロトンは帰属できなかった。)
【0059】
参考例−5
【化22】

N-(1-シアノ-1-エチルプロピル)-1-tert-ブチル-3-ヒドロキシピラゾール-4-カルボキサミド(0.50g, 1.79mmol)と炭酸カリウム(0.37g, 2.69mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液にメチルスルホニルクロリド(0.20mL, 2.69mmol)を0℃にて加え、徐々に室温まで昇温させ、そのまま16時間、60℃で4時間撹拌した。反応終了後、反応混合物に酢酸エチル(30mL)と水(30mL)を加え、酢酸エチル(30mL×2)で抽出した。有機層を飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過により乾燥剤を取り除き、瀘液から溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(酢酸エチル/ヘキサン=1/5)を用いて精製することにより、N-(1-シアノ-1-エチルプロピル)-1-tert-ブチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミドの白色固体(0.46g, 収率:71.8%)を得た。mp:119〜122℃;1H-NMR(CDCl3, TMS, ppm):δ7.53(s, 1H), 5.64(brs, 1H), 3.65(s, 3H), 1.96-2.17(m, 4H), 1.68(s, 9H), 1.09(t, J=7.5Hz, 6H).
参考例−6〜8は、参考例−5と同様にしてピラゾール誘導体を得た。
【0060】
参考例−6
化合物名:N-[1-シアノ-1-メチル-2-(フェノキシ)エチル]-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:31.7%、白色固体、98〜100℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.87(s, 1H), 7.27-7.36(m, 2H), 6.93-7.07(m, 3H), 6.87(br s, 1H), 4.34(d, J=9.1Hz, 1H), 4.30(d, J=9.1Hz, 1H), 3.87(s, 3H), 3.43(s, 3H), 1.91(s, 3H).
【0061】
参考例−7
化合物名:N-[1-シアノ-1-メチル-2-(4-フルオロフェノキシ)エチル]-1-メチル-3-メチ
ルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:53.1%、白色固体、91〜96℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.87(s, 1H), 6.89-7.05(m, 4H), 6.85(br s, 1H), 4.31(d, J=9.1Hz, 1H), 4.25(d, J=9.1Hz, 1H), 3.87(s, 3H), 3.45(s, 3H), 1.90(s, 3H).
【0062】
参考例−8
化合物名:N-[1-シアノ-1-メチル-2-(4-トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]-1-メチル-3-メチルスルホニルオキシピラゾール-4-カルボキサミド
収率・形状・融点:49.8%、白色固体、152〜153℃
1H-NMRスペクトル(CDCl3, TMS, ppm):δ7.87(s, 1H), 7.56(d, J=8.6Hz, 2H), 7.05(d, J=8.6Hz, 2H), 6.84(br s, 1H), 4.41(d, J=9.1Hz, 1H), 4.35(d, J=9.1Hz, 1H), 3.87(s, 1H), 3.45(s, 1H), 1.92(s, 3H).
【0063】
上記に例示した方法によって合成することができる本発明に係わるピラゾール誘導体を下記表−1にまとめて例示した。
【0064】
表−1.ピラゾール誘導体
【化23】

――――――――――――――――――――――――――――――
No. R1 R2 R3 R4 R5 n
――――――――――――――――――――――――――――――
1 Methyl Methyl H H H 0
2 Methyl Methyl H H H 1
3 Methyl Methyl Methyl H H 2
4 Methyl Methyl Methyl H H 3
5 Methyl Methyl Methyl H H 4
6 Methyl Methyl Methyl H H 5
7 Methyl Methyl Methyl H H 6
8 Methyl Methyl Methyl Methyl H 0
9 Methyl Methyl Methyl Ethyl H 0
10 Methyl Ethyl Methyl Ethyl H 0
11 Methyl Propyl Methyl Ethyl H 0
12 Methyl Hexyl Methyl Ethyl H 0
13 Methyl 4-Me-C6H4 Methyl Ethyl H 0
14 Methyl C6H5 Methyl Ethyl H 0
15 Methyl CF3 Methyl Ethyl H 0
16 Methyl Methyl Methyl Propyl H 0
17 Methyl Methyl Methyl Isopropyl H 0
18 Methyl Methyl Methyl Cyclopropyl H 0
19 Methyl Methyl Methyl Butyl H 0
20 Methyl Methyl Methyl Pentyl H 0
21 Methyl Methyl Methyl Dodecyl H 0
22 Methyl Methyl Ethyl H H 0
23 Methyl Methyl Ethyl Ethyl H 0
24 Methyl Methyl Ethyl Ethyl Cl 0
――――――――――――――――――――――――――――――
【0065】
表−1.ピラゾール誘導体(続き)
――――――――――――――――――――――――――――――
No. R1 R2 R3 R4 R5 n
――――――――――――――――――――――――――――――
25 Methyl Methyl Ethyl Ethyl Br 0
26 Methyl Methyl Ethyl Ethyl Me 0
27 Methyl Methyl Ethyl Propyl H 0
28 Methyl Methyl Ethyl Isopropyl H 0
29 Methyl Methyl Ethyl Cyclopropyl H 0
30 Methyl Methyl Ethyl Butyl H 0
31 Methyl Methyl Propyl H H 0
32 Methyl Methyl Propyl Propyl H 0
33 Methyl Methyl Propyl Isopropyl H 0
34 Methyl Methyl Isopropyl H H 0
35 Methyl Methyl Butyl H H 0
36 Methyl Methyl Butyl Propyl H 0
37 Methyl Methyl Butyl Isopropyl H 0
38 Methyl Methyl Butyl Cyclopropyl H 0
39 Methyl Methyl Butyl Butyl H 0
40 Methyl Methyl sec-Butyl H H 0
41 Methyl Methyl Pentyl Dodecyl H 0
42 Methyl Methyl -(CH2)2- H 0
43 Methyl Methyl -(CH2)3- H 0
44 Methyl Methyl -(CH2)4- H 0
45 Methyl Methyl -(CH2)5- H 0
46 Methyl Methyl Methyl MeOCH2 H 0
47 Methyl Methyl Methyl EtOCH2 H 0
48 Methyl Methyl Methyl PrOCH2 H 0
49 Methyl Methyl Methyl PhOCH2 H 0
50 Methyl Methyl Methyl 4-F-C6H4OCH2 H 0
51 Methyl Methyl Methyl 4-CF3-C6H4OCH2 H 0
52 Methyl Methyl Methyl MeSCH2 H 0
53 Methyl Methyl Methyl EtSCH2 H 0
54 Methyl Methyl Methyl PhSCH2 H 0
55 Methyl Methyl Methyl MeSOCH2 H 0
56 Methyl Methyl Methyl EtSOCH2 H 0
57 Methyl Methyl Methyl PhSOCH2 H 0
58 Methyl Methyl Methyl MeSO2CH2 H 0
59 Methyl Methyl Methyl EtSO2CH2 H 0
60 Methyl Methyl Methyl PhSO2CH2 H 0
61 Ethyl Methyl Methyl H H 0
62 Ethyl Methyl Methyl Methyl H 0
63 Ethyl Methyl Methyl Ethyl H 0
64 Ethyl Methyl Methyl Propyl H 0
65 Ethyl Methyl Methyl Isopropyl H 0
66 Ethyl Methyl Methyl Cyclopropyl H 0
67 Ethyl Methyl Methyl Butyl H 0
68 Ethyl Methyl Ethyl Ethyl H 0
――――――――――――――――――――――――――――――
【0066】
表−1.ピラゾール誘導体(続き)
――――――――――――――――――――――――――――――
No. R1 R2 R3 R4 R5 n
――――――――――――――――――――――――――――――
69 Ethyl Methyl Ethyl Propyl H 0
70 Ethyl Methyl Ethyl Isopropyl H 0
71 Ethyl Methyl Ethyl Cyclopropyl H 0
72 Ethyl Methyl Propyl H H 0
73 Ethyl Methyl Propyl Propyl H 0
74 Ethyl Methyl Propyl Isopropyl H 0
75 Ethyl Methyl sec-Butyl H H 0
76 Ethyl Methyl -(CH2)5- H 0
77 Propyl Methyl H H H 0
78 Propyl Methyl Methyl Methyl H 0
79 Propyl Methyl Methyl Ethyl H 0
80 Propyl Methyl Methyl Propyl H 0
81 Propyl Methyl Methyl Isopropyl H 0
82 Propyl Methyl Methyl Cyclopropyl H 0
83 Propyl Methyl Methyl Butyl H 0
84 Propyl Methyl Ethyl Ethyl H 0
85 Propyl Methyl Ethyl Propyl H 0
86 Propyl Methyl Ethyl Isopropyl H 0
87 Propyl Methyl Ethyl Cyclopropyl H 0
88 Propyl Methyl Propyl H H 0
89 Propyl Methyl Propyl Propyl H 0
90 Propyl Methyl Propyl Isopropyl H 0
91 Propyl Methyl sec-Butyl H H 0
92 Propyl Methyl -(CH2)5- H 0
93 Isopropyl Methyl Methyl H H 0
94 Isopropyl Methyl Methyl Methyl H 0
95 Isopropyl Methyl Methyl Ethyl H 0
96 Isopropyl Methyl Methyl Propyl H 0
97 Isopropyl Methyl Methyl Isopropyl H 0
98 Isopropyl Methyl Methyl Cyclopropyl H 0
99 Isopropyl Methyl Methyl Butyl H 0
100 Isopropyl Methyl Ethyl Ethyl H 0
101 Isopropyl Methyl Ethyl Propyl H 0
102 Isopropyl Methyl Ethyl Isopropyl H 0
103 Isopropyl Methyl Ethyl Cyclopropyl H 0
104 Isopropyl Methyl Propyl H H 0
105 Isopropyl Methyl Propyl Propyl H 0
106 Isopropyl Methyl Propyl Isopropyl H 0
107 Isopropyl Methyl sec-Butyl H H 0
108 Isopropyl Methyl -(CH2)5- H 0
109 Butyl Methyl Ethyl Ethyl H 0
110 t-Butyl Methyl Ethyl Ethyl H 0
111 Hexyl Methyl Ethyl Ethyl H 0
112 FCH2CH2 Methyl Methyl Ethyl H 0
――――――――――――――――――――――――――――――
【0067】
表−1.ピラゾール誘導体(続き)
――――――――――――――――――――――――――――
No. R1 R2 R3 R4 R5 n
――――――――――――――――――――――――――――
113 FCH2CH2 Methyl Ethyl Ethyl H 0
114 ClCH2CH2 Methyl Methyl Ethyl H 0
115 ClCH2CH2 Methyl Ethyl Ethyl H 0
116 CHF2 Methyl Methyl Ethyl H 0
117 CHF2 Methyl Ethyl Ethyl H 0
118 CH3SCH2 Methyl Methyl Ethyl H 0
119 CH3SCH2 Methyl Ethyl Ethyl H 0
120 CH3OCH2 Methyl Methyl Ethyl H 0
121 CH3OCH2 Methyl Ethyl Ethyl H 0
―――――――――――――――――――――――――――――
【0068】
以下、本発明の農園芸用殺虫・殺ダニ剤の製剤例及び試験例を示す。なお、各試験に供試した化合物「No.」は上記表の化合物「No.」に対応する。
【0069】
製剤例−1:水和剤
本発明化合物を20重量部、カープレックス#80(ホワイトカーボン、塩野義製薬株式会社、商品名)20重量部、STカオリンクレー(カオリナイト、土屋カオリン社、商品名)52重量部、ソルポール9047K(アニオン性界面活性剤、東邦化学株式会社、商品名)5重量部、ルノックスP65L(アニオン性界面活性剤、東邦化学株式会社、商品名)3重量部を配合し、均一に混合粉砕して、有効成分20重量%の水和剤を得た。
【0070】
製剤例−2:粉剤
本発明化合物を2重量部、クレー(日本タルク社製)93重量部、カープレックス#80(ホワイトカーボン、塩野義製薬株式会社、商品名)5重量部を均一に混合粉砕して、有効成分2重量%の粉剤を製造した。
【0071】
製剤例−3:乳剤
本発明化合物を20重量部に、キシレン35重量部及びジメチルホルムアミド30重量部からなる混合溶媒に添加溶解し、これにソルポール3005X(非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の混合物、東邦化学株式会社、商品名)15重量部を加えて、有効成分20重量%の乳剤を得た。
【0072】
製剤例−4:フロアブル剤
本発明化合物を30重量部とソルポール9047K(同上)5重量部、ソルボンT-20(非イオン性界面活性剤、東邦化学株式会社、商品名)3重量部、エチレングリコール8重量部及び水44重量部をダイノミル(シンマルエンタープライゼス社製)で湿式粉砕し、このスラリー状混合物に1重量%キサンタンガム(天然高分子)水溶液10重量部を加え、良く混合粉砕して、有効成分30重量%のフロアブル剤を得た。
【0073】
試験例−1:ツマグロヨコバイの幼虫に対する殺虫効果
プラスチック製円筒容器(内径6cm×長さ9cm)に稲の芽だし苗をセットし、製剤例−3の処方に従って製造した本発明の殺虫剤(乳剤)の水希釈液(3.5mL)を上記のプラスチック製円筒容器に散布塔(みずほ理化製)を用いて散布した(1濃度、2反復)。風乾後、ツマグロヨコバイ3令幼虫を5頭放虫した。処理3日後に、幼虫の生死及び苦悶を調査し、苦悶虫は死虫として殺虫率(%)を求めた。結果を表−2に示す。
【0074】
表−2.ツマグロヨコバイの幼虫に対する殺虫効果
――――――――――――――――――
化合物No. 濃度(ppm) 殺虫率(%)
――――――――――――――――――
9 125 100
16 125 100
18 125 100
22 125 100
27 125 100
28 125 100
51 125 100
64 125 100
68 125 100
80 125 100
84 125 100
――――――――――――――――――
【0075】
試験例−2:コナガの幼虫に対する殺虫効果
製剤例−1の処方に従って製造した本発明の殺虫剤(水和剤)の水希釈液中に、キャベツ切葉(4cm×4cm)を1分間浸漬した。浸漬後風乾しプラスチックカップ(内径7cm) にいれ、このカップ内にコナガの3令幼虫を5頭放虫した(1濃度、2反復)。放虫2日後に幼虫の生死及び苦悶を調査し、苦悶虫は死虫として殺虫率(%)を求めた。結果を表−3に示す。
【0076】
表−3.コナガの幼虫に対する殺虫効果
―――――――――――――――――――
化合物No. 濃度(ppm) 殺虫率(%)
―――――――――――――――――――
16 500 80
51 500 100
64 500 100
―――――――――――――――――――
【0077】
試験例−3:ナミハダニの成虫に対する殺ダニ効果
直径9cmのシャーレに水で湿らせたスポンジを入れ、その上に濾紙を置き、さらにその上にインゲン葉切片(3cm×3cm)を置いた。そのインゲン葉に10頭のナミハダニ雌成虫を放虫した。製剤例−1の処方に従って製剤した本発明の殺ダニ剤(水和剤)を水で所定濃度に希釈した液(3.5mL)を、上記のインゲン葉上に回転式散布搭(みずほ理化製)を用いて散布した(1濃度、2反復)。処理24時間後に成虫の生死を調査し殺ダニ率(%)を求めた。結果を表−4に示す。
【0078】
試験例−4:ナミハダニの卵に対する殺卵効果
直径9cmのシャーレに水で湿らせたスポンジを入れ、その上に濾紙を置き、さらにその上にインゲン葉切片(3cm×3cm)を置いた。そのインゲン葉に5頭のナミハダニ雌成虫を放虫した。放虫後24時間インゲン葉に産卵させ、その後、雌成虫を除去した。製剤例−1の処方に従って製剤した本発明の殺ダニ剤(水和剤)を水で所定濃度に希釈した液(3.5mL)を、上記のインゲン葉に回転式散布搭(みずほ理化製)を用いて散布した(1濃度、2反復)。処理7日後に未孵化卵数と孵化幼虫数を調査し殺卵率(%)を求めた。結果を表−4に示す。
【0079】
表−4.ナミハダニの成虫及び卵に対する殺ダニ殺卵効果
―――――――――――――――――――――――
化合物No. 濃度(ppm) 殺ダニ率(%) 殺卵率(%)
―――――――――――――――――――――――
1 125 100 100
2 125 71.4 94.8
9 125 100 100
16 125 100 67.1
17 125 100 100
18 125 100 100
22 125 100 94.3
28 125 100 100
34 125 100 100
51 125 100 95.5
68 125 100 98.6
84 125 100 87.6
―――――――――――――――――――――――

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、R1は置換していてもよいC1〜C12のアルキル基を表し、R2は置換していてもよいC1〜C6のアルキル基又は置換していてもよいフェニル基を表す。R3及びR4は同一もしくは異なっており、水素原子、置換していてもよいC1〜C12のアルキル基又は置換していてもよいC3〜C8のシクロアルキル基を表すか、あるいはR3及びR4が結合している炭素原子と一体となってC3〜C8のシクロアルキル基を形成してもよい。nは0〜5の整数を表す。R5は水素原子、C1〜C6のアルキル基又はハロゲン原子を表す。)で示されるピラゾール誘導体を有効成分として含有する殺虫・殺ダニ剤。
【請求項2】
2がC1〜C4のアルキル基で、nが0あるいは1で、R5が水素原子である請求項1に記載のピラゾール誘導体を有効成分として含有する殺虫・殺ダニ剤。
【請求項3】
一般式(2)
【化2】

(式中、R1及びR5は前記と同じ意味を表し、R6はC1〜C6のアルキル基、ベンジル基又はアリル基を表す。)で示されるピラゾール誘導体と、一般式(3)
【化3】

(式中、R3、R4及びnは前記と同じ意味を表す。)で示されるアミン類とを場合によっては塩基の存在下に反応させ、一般式(4)
【化4】

(式中、R1、R3、R4、R5及びnは前記と同じ意味を表す。)で示される3-ヒドロキシ
ピラゾール-4-カルボキサミド誘導体を得、次いで一般式(5)

【化5】

(式中、R2は前記と同じ意味を表し、Xは脱離基を表す。)で示されるスルホニル化剤とを塩基の存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化6】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びnは前記と同じ意味を表す。)で示されるピラゾール誘導体の製造方法。
【請求項4】
一般式(2)
【化7】

(式中、R1、R5及びR6は前記と同じ意味を表す。)で示されるピラゾール誘導体と、一般式(3)
【化8】

(式中、R3、R4及びnは前記と同じ意味を表す。)で示されるアミン類とを場合によっては塩基の存在下に反応させ、一般式(4)
【化9】

(式中、R1、R3、R4、R5及びnは前記と同じ意味を表す。)で示される3-ヒドロキシピラゾール-4-カルボキサミド誘導体の製造方法。

【公開番号】特開2006−199637(P2006−199637A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−13968(P2005−13968)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000124269)科研製薬株式会社 (18)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【Fターム(参考)】