説明

ピラノ−キノリン、ピラノ−キノリノン、これらの組み合わせ、光互変組成物、および光互変物品

ピラノ[3,2−c]キノリン構造、ピラノ[3,2−c]キノリノン構造またはそれらの混合物によって表される、少なくとも一つの物質からなる組成物が記載される。このピラノ[3,2−c]キノリン構造は、6位環原子において窒素原子を有し、そして5位環原子においてオキシ置換体を有することによって特徴付けられる。このピラノ[3,2−c]キノリノン構造は、6位環原子において置換された窒素原子を有し、そして5位環原子においてオキシ置換基を有することによって特徴付けられる。この窒素原子置換基は、水素、脂肪族置換基、脂環式置換基、芳香族置換基、ヘテロ芳香族置換基、またはそれらの組み合わせである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、窒素ヘテロ原子を有する新規のクロメン物質に関する。より詳細には、本発明は、ピラノ[3,2−c]キノリン構造および/またはピラノ[3,2−c]キノリノン構造の物質、ならびにこれらの構造の光互変物質を含む組成物および光互変物品に関する。UV光線を含む光放射(例えば、日光もしくは水銀灯の光の中のUV放射)に曝露される場合、多くの光互変物質は、可逆的な色の変化を示す。UV放射が中断される場合、このような光互変物質は、その元の色に戻るか、または元の無色の状態に戻る。
【0002】
種々のクラスの光互変物質が合成されており、そしてこれらは、日光誘導性の可逆的な色の変化が所望される適用における使用について示唆されている。窒素ヘテロ原子を有する多環式芳香族物質は公知であるが、ある範囲の光互変性能特性を示し得るこのような物質に対する必要性が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の説明)
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形、「1つの」(「a」、「an」)および「その」(「the」)は、特別かつ明確に一対象に対して限定されない限り、複数形への参照を包含する。
【0004】
本明細書の目的に関して、他に記載されない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される構成要素の量、反応条件、および他のパラメータを表現するあらゆる数は、全ての例において、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。したがって、これに反対する記載がない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に依存して変動し得る近似である。最低限、そして本特許請求の範囲の等価物の原理の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を考慮して、および通常の丸め技術を適用することによって、解釈されるべきである。
【0005】
本発明の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメータが近似であるにもかかわらず、具体的実施形態を示す数値は、可能な限り正確に報告される。しかし任意の数値は、そのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差の結果必然的に生じる誤差を固有に含む。
【0006】
本発明の1つの非限定的実施形態において、ピラノ[3,2−c]キノリン構造、ピラノ[3,2−c]キノリノン構造によってかまたはこれらの混合物(これらの構造の両方によって表される物質を含む)によって表される、少なくとも1種の物質を含む組成物が提供される。別の非限定的な実施形態において、ピラノ[3,2−c]キノリン構造は、6位環原子において窒素原子を含み、そして5位環原子においてオキシ置換基を含み;そして、ピラノ[3,2−c]キノリノン構造は、6位環原子において置換窒素原子を含み、そして5位環原子においてオキソ置換基を含む。この窒素置換基は、水素、脂肪族置換基、脂環式置換基、芳香族置換基、ヘテロ芳香族置換基またはそれらの組み合わせから選択される。さらなる非限定的な実施形態において、ピラノ[3,2−c]キノリンおよびピラノ[3,2−c]キノリノン構造の各々の2位環原子は、2つの置換基を含み、各々は、脂肪族置換基、脂環式置換基、芳香族置換基、ヘテロ芳香族置換基またはそれらの組み合わせから独立に選択される(ただし、2位環原子における両置換基が脂肪族であることはない)。代替的な非限定的実施形態において、上記2位環原子における2つの置換基は、組み合わさって、スピロ環式基を形成する(ただし、上記スピロ環式基は、ノルボルニリデンでもビシクロ[3.3.1]9−ノニリデンでもない)。上述の環原子は、国際純正および応用化学連合の命名規則に従って番号付けされており、ピラン環の酸素原子である1位環原子から開始し、そしてそこから反時計回りに番号を付けられている。
【0007】
さらなる非限定的な実施形態において、本発明は、少なくとも部分的に硬化されたポリマー有機ホストと、ピラノ[3,2−c]キノリン構造、ピラノ[3,2−c]キノリノン構造によってかまたはこれらの混合物によって表される少なくとも一種の物質を含む、光互変量の、少なくとも1種の組成物とを含有する、光互変物品を包含する。語句「少なくとも部分的に硬化された有機ポリマーホスト」とは、硬化可能な成分もしくは架橋可能な成分が少なくとも部分的に硬化、架橋および/もしくは反応しているポリマー物質をいう。代替的な非限定的実施形態において、反応成分の程度は、広範に(例えば、全ての可能性のある、硬化可能成分、架橋可能成分および/もしくは反応性成分の5%〜100%)変動し得る。語「光互変量」とは、活性の際に裸眼で識別可能な光互変効果を生じるために使用される量をいう。
【0008】
別の非限定的な実施形態において、本発明は、基材と、光互変ポリマーコーティングの少なくとも部分的なコーティングとを備える、光互変物品を包含する。上記光互変ポリマーコーティングは、フィルム形成ポリマーと、ピラノ[3,2−c]キノリン構造、ピラノ[3,2−c]キノリノン構造によってかまたはこれらの混合物によって表される少なくとも一種の物質を含む、光互変量の、少なくとも1種の組成物とを含む。語句「少なくとも部分的なコーティング」とは、基材の一部から全表面までを網羅する量のコーティングを意味する。
【0009】
非限定的な実施形態において、本発明の物質は、以下の構造式Iおよび/またはI’によって表され得る。ここで、aからnまでの文字は、この物質の環側面を表し、そして1〜10の数は、この物質の環原子の番号を表す。
【0010】
【化29】

さらなる非限定的実施形態において、本発明は、以下の構造式の少なくとも1つまたはそれらの混合物(構造式IおよびI’の両方によって表される物質を含む)によって表される、少なくとも1種の物質を含む組成物を包含する。
【0011】
一つの非限定的な実施形態において、構造式IのR11は、以下から選択される:
(i)水素、C〜C12アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルおよびドデシルを含む置換基)、C〜C12アシル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ベンゾイル、一置換ベンゾイル、ナフトイルまたは一置換ナフトイル;ベンゾイル置換基およびナフトイル置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される;
(ii)−CH(R)Qであって、ここで、Rは、水素またはC〜C12アルキルから選択され、そしてQは、−CN、−CF、または−COORから選択され、そしてRは、水素またはC〜C12アルキルから選択される、−CH(R)Q;あるいは
(iii)−C(O)Vであって、ここでVは、水素、C〜C12アルコキシ、フェノキシ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェノキシもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェノキシ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェノキシもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェノキシ、非置換アリール基、一置換アリール基もしくは二置換アリール基、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノ、またはモノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノから選択され、;上記アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−C(O)V。
【0012】
別の非限定的な実施形態において、構造式IおよびI’の各Rは、独立に以下から選択される:
(i)水素、ヒドロキシ、C〜C12アルキル、C〜C12アルキリデン、C〜C12アルキリジン、ビニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ベンジル、一置換ベンジル、ハロゲン、または−C(O)W基(ここでWは、ヒドロキシ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フェニル、一置換フェニル、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノである);上記アミノ置換基は、C〜C12アルキル、フェニル、ベンジルまたはナフチルであり;上記ベンジル置換基およびフェニル置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシである;
(ii)フェニル、ナフチル、フェナントリル、ピレニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリルまたはインドリルからなる群より選択される、非置換、一置換、二置換または三置換の基;(ii)における置換基の各々は、各出現について、ハロゲン、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される;
(iii)一置換フェニルであって、このフェニルが、−(CH−または−O−(CH−である、パラ位に位置する置換基を有し、ここでtは、1、2、3、4、5または6から選択される整数である、一置換フェニル;上記置換基は、別の光互変物質上でアリール基に結合されている;
(iv)−ORであって、Rは、R11、トリ(C〜C12)アルキルシリル、トリ(C〜C12)アルコキシシリル、ジ(C〜C12)アルキル(C〜C12)アルコキシ)シリルまたはジ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12アルキル)シリルから選択される、−OR
(v)−CH(Q’)であって、Q’は−CNまたは−COORから選択され、そしてRは、水素、C〜C12アルキル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され;該アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−CH(Q’)
(vi)−CH(R)Gであって、Rは、水素、C〜C12アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され、そしてGは、−COOR、−CORまたは−CHORから選択され;ここで、Rは、水素、C〜C12アルキル、非置換、一置換もしくは二置換のアリール基、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換ジフェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換ジフェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換ジフェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換ジフェニルアミノ、モルホリノまたはピペリジノから選択され、Rは、水素、−C(O)R、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され、該アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−CH(R)G;
(vii)以下の式:
−Z[(OC(OC(OC]Z’または
−[(OC(OC(OC]Z’
で表される、T基であって、
ここで、−Zは、−C(O)−または−CH−から選択され、Z’は、C〜C12アルコキシまたは重合可能な基から選択され、x、yおよびzは、各々、0と50との間の数であり、そしてx、yおよびzの合計は、2と50との間である、T基。
【0013】
上述のT基の式の代替的な非限定的実施形態において、−(OC−基は、ポリ(エチレンオキシド)を表し得;−(OC−基は、ポリ(プロピレンオキシド)を表し得;そして、−(OC−基は、ポリ(ブチレンオキシド)を表され得る。組み合わせて使用される場合、Tのポリ(エチレンオキシド)基、ポリ(プロピレンオキシド)基およびポリ(ブチレンオキシド)基は、T部分内でランダムな順序またはブロック状の順序で存在し得る。文字x、yおよびzは、各々、0と50との間の数であり、そしてx、yおよびzの合計は、2と50との間である。x、yおよびzの合計は、2〜50の範囲内に入る任意の数(例えば、2、3、4...50)であり得る。この合計はまた、2〜50の範囲内の任意の低い数から任意の高い数までの範囲(例えば、6〜50、31〜50)に及び得る。x、y、およびzについての上記の数は平均値であり、部分数(例えば、9.5)であり得る。
【0014】
1つの非限定的実施形態において、重合可能な置換基(例えば、T基の式によって表される置換基)を有する物質の重合化は、Hawley’s Condensed Chemical Dictionary、第13版(1997)、John Wiley&Sons、901〜902頁中の「重合化(polymerization)」の定義において記載される機構によって起こり得る。この参考文献においては、「重合化反応は、天然においては自発的に起こる;工業的には、これは不飽和反応性物質もしくは他の反応性物質を、化合を引き起こす条件に供することによって行われる」と述べられている。記載される重合が生じる機構には、「付加」(ここでは、フリーラジカルが、モノマーの二重結合と、一方の側にそのラジカルを付加し、同時に他方の側に新しい遊離電子を生成させることによって反応する、開始剤(initiating agent)である);「縮合」(2つの反応性モノマーによる水分子の分裂を含む);および、いわゆる「酸化的結合」が含まれる。
【0015】
T基の式の重合可能な基の非限定的な例は、ヒドロキシ、(メト)アクリルオキシ、2−(メタクリルオキシ)エチルカルバミル、またはエポキシ(例えば、オキシラニルメチル)である。この物質上に2以上の重合可能な基が存在する場合、これらは、同じであっても異なっていてもよい。
【0016】
さらなる非限定的な実施形態において、構造式IおよびI’の各Rは、以下から独立に選択される:
(viii)−SR10であって、R10は、C〜C12アルキル、アリール、一置換アリールもしくは二置換アリールから選択され、そしてこのアリール置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはハロゲンから独立に選択される、−SR10
(ix)−N(R11)R12であって、ここでR12は、本明細書において以前に記載されたR11と等しい、−N(R11)R12
(x)以下の構造式IIA:
【0017】
【化30】

によって表される、窒素を含む環であって、
ここで、各Yは、各出現について、−CH−、−CH(R13)−、−C(R13)(R13)−、−CH(アリール)−、−C(アリール)−または−C(R13)(アリール)−から独立に選択され;Xは、−Y−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−NH−、−NR13−または−N−アリールであり;R13は、C〜C12アルキルであり;mは1、2または3から選択される整数であり、そしてpは、0、1、2または3から選択される整数であり;ただし、pが0である場合、XはYである、窒素を含む環;
(xi)以下の構造式IIBまたはIIC:
【0018】
【化31】

のうちの1つによって表される基であって、
ここで、R15、R16およびR17は、各々の式における各出現について、水素、C〜C12アルキル、フェニルもしくはナフチルから各々独立に選択されるか;またはR15基およびR16基は、一緒になって、5〜8個の炭素原子の環を形成し、R14は、各出現について、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシもしくはハロゲンから独立に選択され、そしてvは、0、1もしくは2から選択される整数である、基;
(xii)非置換、一置換もしくは二置換のC〜C18スピロ二環式アミン;
(xiii)非置換、一置換もしくは二置換のC〜C18スピロ三環式アミン;(xii)および(xiii)について上記置換基は、各出現について、アリール、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはフェニル(C〜C12)アルキルから独立に選択される。
【0019】
一置換二環式アミンもしくは二置換二環式アミンの非限定的な例としては、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル;3−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル;2−アザビシクロ[2.2.2]オクト−2−イル;6−アザビシクロ[3.2.2]ノナン−6−イルが挙げられ、そして三環式アミンとしては、2−アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン−2−イル;4−ベンジル−2−アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン−2−イル;4−メトキシ−6−メチル−2−アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン−2−イル;4−アザトリシクロ[4.3.1.1(3,8)]ウンデカン−4−イル;および7−メチル−4−アザトリシクロ[4.3.1.1(3,8)]ウンデカ−4−イルが挙げられる。
【0020】
代替的な非限定的実施形態において、(xiv)隣接するR置換基は、一緒になって、以下の構造式IID、IIE、またはIIF:
【0021】
【化32】

を形成し:
ここで、JおよびKは、各式における各出現について、酸素もしくは−NR11−から独立に選択され、R11、R14、R15およびR16は、各々、本明細書において以前に記載されたものと等しく、そしてnは、0、1、2、3または4から選択される整数である。
【0022】
さらなる非限定的な実施形態において、Rは、本明細書において以前に(iv)に記載されたものと等しい。
【0023】
別の非限定的な実施形態において、BおよびB’は、各々、以下から独立に選択される:
(i)モノ−T−置換フェニルであって、ここで、T基は、以下の式:
−Z[(OC(OC(OC]Z’または
−[(OC(OC(OC]Z’
で表され、ここで、−Zは、−C(O)−もしくは−CH−であり、Z’は、C〜C12アルコキシまたは重合可能な基であり、x、yおよびzは、各々、0と50との間の数であり、そしてx、yおよびzの合計は、2と50との間である、モノ−T−置換フェニル;
(ii)非置換、一置換、二置換もしくは三置換のアリール基;
(iii)9−ジュロリジニル、または、ピリジル フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾイル、ベンゾピリジル、インドリニルもしくはフルオレニルから選択される、非置換、一置換、もしくは二置換のヘテロ芳香族基であって、(ii)および(iii)における上記アリール置換基およびヘテロ芳香族置換基の各々は、ヒドロキシ、本明細書において以前に記載された基である−C(O)W、アリール、モノ(C〜C12)アルコキシアリール、ジ(C〜C12)アルコキシアリール、モノ(C〜C12)アルキルアリール、ジ(C〜C12)アルキルアリール、ハロアリール、C〜Cシクロアルキルアリール、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキルオキシ、C〜Cシクロアルキルオキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキルオキシ(C〜C12)アルコキシ、アリール(C〜C12)アルキル、アリール(C〜C12)アルコキシ、アリールオキシ、アリールオキシ(C〜C12)アルキル、アリールオキシ(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキルもしくはジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキルもしくはジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシもしくはジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシもしくはジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシ、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C〜C12)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、C〜C12アルキル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アルコキシ、モノ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12)アルキル、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、またはハロゲンから独立に選択される、非置換、一置換、もしくは二置換のヘテロ芳香族
(iv)ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニル、またはアクリジニルから選択される非置換もしくは一置換の基であって、この置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フェニル、またはハロゲンから独立に選択される、非置換もしくは一置換の基;
(v)一置換フェニルであって、このフェニルは、−(CH−または−O−(CH−である、パラ位に位置する置換基を有し、ここでtは、整数1、2、3、4、5または6から選択され、該置換基は、別の光互変物質上でアリール基に結合されている、一置換フェニル;
(vi)以下の構造式IIGまたはIIH:
【0024】
【化33】

のうちの1つによって表される基であって、
ここで、Aは、各式において、メチレンまたは酸素から独立して選択され、そしてDは、各式において、酸素または置換された窒素から独立して選択され、ただし、Dが置換された窒素である場合、Aはメチレンであり;この窒素置換基は、水素、C〜C12アルキル、またはC〜C12アシルから選択され;各R19は、各式における各出現について、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ヒドロキシ、またはハロゲンから独立に選択され;R17およびR18は、各々、各式において、水素またはC〜C12アルキルから独立して選択され;そしてqは、整数0、1または2から選択される、基;
(vii)C〜C12アルキル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ(C〜C)シクロアルキル、モノ(C〜C12)アルキル(C〜C)−シクロアルキル、ハロ(C〜C)シクロアルキル、またはC〜C12ビシクロアルキル、ただし、BおよびB’の両方が(vii)から選択されることはない;
(viii)以下の構造式IIJ:
【0025】
【化34】

によって表される基であって、
ここで、Lは、水素またはC〜C12アルキルから選択され、そしてMは、ナフチル、フェニル、フラニル、またはチエニルから選択される非置換、一置換または二置換の基から選択され;この基置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、またはハロゲンから独立に選択される、基。
【0026】
あるいは、BおよびB’は、一緒になって、フルオレン−9−イリデン、一置換フルオレン−9−イリデンもしくは二置換フルオレン−9−イリデン、または飽和C〜C12スピロ単環式炭化水素環、飽和C〜C12スピロ二環式炭化水素環もしくは飽和C〜C12スピロ三環式炭化水素環から選択されるスピロ環式基を形成し、ただし、該スピロ環式基は、ノルボルニリデンまたはビシクロ[3.3.1]9−ノニリデンではなく、上記フルオレン−9−イリデン置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはハロゲンから独立に選択される。
【0027】
〜C12スピロ単環式炭化水素環の非限定的な例としては、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデン、シクロノニリデン、シクロデシリデン シクロウンデシリデンまたはシクロドデシリデンが挙げられる。飽和C〜C12スピロ二環式炭化水素環の非限定的な例としては、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチリデン(すなわち、ボルニリデン)、ビシクロ[3.2.1]オクチリデンまたはビシクロ[4.3.2]ウンデカンが挙げられる。飽和C〜C12スピロ三環式炭化水素環の非限定的な例としては、トリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプチリデン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デシリデン(すなわち、アダマンチリデン)、およびトリシクロ[5.3.1.12,6]ドデシリデンが挙げられる。
【0028】
別の非限定的な実施形態において、本発明の組成物は、上記構造式の少なくとも1つによって表される少なくとも1種の物質またはこれらの混合物を含む:
(a)R11は、水素、C〜C12アルキル、C〜C12アシル、フェニル(C〜C12)アルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキルまたは−CH(R)Qから選択される(ここでRは、水素またはC〜C12アルキルから選択され、そしてQは、−COORであり、そしてRは、C〜C12アルキルである);
(b)Rが、各出現について、以下から独立して選択される:
(i)水素、ヒドロキシ、C〜C12アルキル、ビニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ベンジルまたは一置換ベンジル;このベンジル置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシである;
(ii)フェニルまたは一置換フェニル;(ii)におけるフェニル置換基の各々は、各出現について、クロロ、フルオロ、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される;
(iii)一置換フェニルであって、このフェニルは、−O−(CH−である、パラ位に位置する置換基を有し、ここでtは、1、2、3または4から選択され、該置換基は、別の光互変物質上でアリール基に結合されている、一置換フェニル;
(iv)−ORであって、RはR11から選択される、−OR
(v)−CH(Q’)であって、Q’は−COORであり、そしてRはC〜C12アルキルである、−CH(Q’)
(vi)−CH(R)Gであって、Rは水素またはC〜C12アルキルであり、そしてGは、−COORまたは−CHORであり、ここで、RはC〜C12アルキルであり、そしてRはC〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキルである、−CH(R)G;
(vii)以下の式:
−Z[(OC(OC(OC]Z’または
−[(OC(OC(OC]Z’
で表される、T基であって、
ここで、−Zは−CH−であり、Z’はC〜C12アルコキシまたは重合可能な基であり、x、yおよびzは、各々、0と20との間の数であり、そしてx、yおよびzの合計は、2と20との間である、T基;
(viii)−SR10であって、R10はC〜C12アルキルである、−SR10
(ix)−N(R11)R12であって、R12は本明細書において以前に記載されたR11と等しい、−N(R11)R12
(x)以下の構造式IIA:
【0029】
【化35】

によって表される、窒素を含む環であって、
ここで、各Yは、各出現について、−CH−または−CH(R13)−から独立して選択され;Xは、−Y−、−O−、−S−、−NH−、−NR13−または−N−アリールであり;R13は、C〜C12アルキルであり;mは、整数1、2または3であり、そしてpは、0、1、2または3から選択される整数であり;ただし、pが0である場合、XはYである、窒素を含む環;
(xi)以下の構造式IIBまたはIIC:
【0030】
【化36】

のうちの1つによって表される基であって、
ここで、R15、R16およびR17は、各々、各式における各出現について、水素またはC〜C12アルキルから独立に選択され、R14は、各出現について、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フルオロまたはクロロから独立して選択され、そしてvは、整数0、1または2から選択される、基;あるいは
(xii)隣接するR置換基であって、これらの置換基は、一緒になって、以下の構造式IIDまたはIIF
【0031】
【化37】

のうちの1つを形成し:
ここで、JおよびKは、各式における各出現について、酸素または−NR11−から独立に選択され、ここで、R11、R14、R15およびR16は、各々、本明細書において以前に記載されたものと等しい、R置換基;
(c)Rは、R11から選択される;そして
(d)BおよびB’は、各々、以下から選択される:
(i)フェニル、一置換フェニル、および二置換フェニル;
(ii)非置換、一置換、および二置換のヘテロ芳香族基のフラニル、ベンゾフラン−2−イル、チエニルおよびベンゾチエン−2−イル、(i)および(ii)における上記フェニルおよびヘテロ芳香族置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシおよびフルオロから選択される;あるいは
(iii)構造式IIGによって表される基であって、ここで、Aは炭素であり、そしてDは酸素であり、R19はC〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシであり、R17およびR18は、各々、水素またはC〜C12アルキルであり、そしてqは、整数0または1である、基。
【0032】
本明細書において上述される構造式IおよびI’によって表される物質は、当業者に公知の方法によって(例えば、以下の反応A〜Gの方法によって)調製される。
【0033】
構造式Iおよび/またはI’によって表される物質を生成するために以下の反応A〜Gを参照すると、反応Aにおける非限定的な例示において、構造式IIIおよびIVによって表される化合物は、無水エーテルおよびガス状の塩酸の存在下で反応して、構造式Vによって表されるエトキシカルボニルアセチミデートを形成する。S.A.Glickmanら、J.Am.Chem.Soc.(1945)、第65巻、p.1017を参照のこと。以下の反応AおよびBを参照すると、Rは、アルキルまたはアリルのような置換基であり、RおよびRは、本明細書において以前に記載されたものと等しい。
【0034】
(反応A)
【0035】
【化38】

さらに、反応Bにおける非限定的例示の方法として、構造式Vによって表されるエトキシカルボニルアセトイミデート酸錯体は、適切な溶媒(例えば、エタノール)中で構造式VIによって表されるアニリンと反応して、構造式VIIによって表されるエチルN−アリール−2−エトキシカルボニルアセトイミデートを形成する。構造式VIIによって表される化合物は、閉環反応において、ジフェニルエーテルおよびビフェニルの存在下で加熱されて、構造式VIIIによって表されるキノロンを形成する。N.D.Harris、Synthesis(1976)、p.826を参照のこと。
【0036】
(反応B)
【0037】
【化39】

反応Cにおいて構造式XIで、または反応Dにおいて構造式XIAで表された化合物は、どちらも、購入されるか、または当該分野で公知の方法(例えば、反応Cにおいて示される、適切に置換されているかまたは非置換の構造式IXのベンゾイルクロライドと市販の、置換されているかまたは非置換の構造式Xのベンゼン化合物とを用いた、フリーデル−クラフツ法)によって調製される。刊行物「Friedel−Crafts and Related Reactions」、George A.Olah、Interscience Publishers、1964、第3巻、第XXXI章(Aromatic Ketone Synthesis)、およびIshihara、Yugiらによる、「Regioselective Friedel−Crafts Acylation of 1,2,3,4−Tetrahydroquinoline and Related Nitrogen Heterocycles:Effect on NH Protective Groups and Ring Size(J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1、第3401〜3406頁、1992)を参照のこと。
【0038】
さらに、反応Cにおける非限定的例示の方法として、構造式IXおよびXによって表される化合物は、溶媒(例えば、二硫化炭素または塩化メチレン)中で溶解され、ルイス酸(例えば、塩化アルミニウムまたは四塩化スズ)の存在下で反応して、構造式XI(反応Dおよび反応EにおけるXIA)で表される、対応する置換ベンゾフェノンを形成する。R’およびR’’は、構造式IおよびI’のBおよびB’に関して本明細書において以前に記載されたような、考えられる置換基を表す。
【0039】
(反応C)
【0040】
【化40】

さらに、反応Dにおける非限定的例示の方法として、構造式XIAによって表される置換ケトンまたは非置換ケトン(ここでBおよびB’は、構造式XIにおいて示されるような置換フェニルまたは非置換フェニル以外の基によって表され得る)は、適切な溶媒(例えば、無水テトラヒドロフラン(THF))中でアセチリドナトリウムと反応して、対応する、置換フェニルおよび非置換フェニル以外のB基もしくはB’基を有する、構造式XIIによって表されるプロパギルアルコール形成する。置換フェニルおよび非置換フェニル以外のB基もしくはB’基を有するプロパギルアルコールは、例えば、市販のケトンから調製され得るか、またはアシルハライドと、置換もしくは非置換のベンゼン、ナフタレンもしくはヘテロ芳香族化合物(例えば、9−ジュロリジニル)との反応を介して調製されたケトンから調製され得る。構造式IIJによって表されるB基もしくはB’基を有するプロパギルアルコールは、例えば、米国特許第5,274,132号、第2列、第40行〜68行に記載される方法によって調製され得る。構造式XIIによって表される化合物は、適切な溶媒(例えば、エタノール)中で溶解され、そして酸(例えば、塩酸)が滴下されて、構造式XIIIのアルデヒドを形成する。
【0041】
(反応D)
【0042】
【化41】

構造式XIIIで表される無水物を生成するための経路の非限定的な別の例示は、反応Eに示される。反応Eの非限定的例示において、構造式XIVによって表されるオキサジンは、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF))中に溶解され、そこに、n−ブチルリチウムが添加される。適切な溶媒(例えば、THF)中に溶解された構造式XIAによって表されるケトンは、上記オキサジン混合物に添加されて、構造式XVによって表されるジヒドロオキサジンを生成する。構造式XVのジヒドロオキサジンの、水素化ホウ素ナトリウムを介した水素化は、構造式XVIによって表されるテトラヒドロオキサジンを生じる。構造式XVIのテトラヒドロオキサジンの加熱および酸(例えば、シュウ酸)の添加により、構造式XIIIのアルデヒドが形成される。A.I.Meyersら、J.Org.Chem.(1973)、第38巻、第36頁を参照のこと。
【0043】
(反応E)
【0044】
【化42】

さらに、反応Fにおける非限定的例示の方法として、構造式XIIIによって表されるアルデヒドは、適切な溶媒(例えば、ピペリジンを含むトルエン)中に溶解される。無水酢酸の添加により、イミニウム(imminium)溶液が生成される。構造式VIIIによって表されるキノロンがこのイミニウム溶液に添加されて、その成分と反応し、構造式I’Aによって表されるキノリノピランを形成する。
【0045】
(反応F)
【0046】
【化43】

さらに、反応Gにおける非限定的例示の方法として、構造式XIIIによって表されるアルデヒドは、適切な溶媒(例えば、ピペリジンを含むトルエン)中に溶解される。無水酢酸の添加により、イミニウム(imminium)溶液が生成される。構造式VIIIAによって表されるキノロンがこのイミニウム溶液に添加されて、その成分と反応し、構造式I’BおよびIAによってそれぞれ表される異性体、ピラノ[3,2−c]キノリン物質およびピラノ[3,2−c]キノリノン物質を形成する。構造式I’Bによって表されるこの物質のヒドロキシ置換基は、アルキルハライド(例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、臭化ベンジル)との反応によって、アルコキシ置換基へと変換されて、構造式I’Cによって表される物質を生成し得る。構造式IAによって表されるこの物質の窒素原子の水素置換基は、置換基R11によって置換されて、構造式IBによって表される物質を生じ得る。
【0047】
(反応G)
【0048】
【化44】

別の非限定的な実施形態において、本発明の組成物は、構造式I’BおよびIAによって表される物質の異性体混合物を含む。この異性体混合物は、以下を包含する:
(a)2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン−5−オール;および
(b)2,2−ジフェニル−5,6−ジヒドロ−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン−5−オン。
【0049】
本発明の範囲内の化合物の非限定的な例としては、以下から選択される少なくとも一つの化合物が挙げられる:
(a)5−メトキシ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(b)5−エトキシ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(c)5−エトキシ−9−メトキシ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(d)5−エトキシ−7−メトキシ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(e)12−エトキシ−3,3−ジフェニル−3H−ベンゾ[h]ピラノ[3,2−c]キノリン;
(f)5−エトキシ−7,9−ジメトキシ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(g)5−エトキシ−9−フルオロ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(h)2−(2,4−ジメトキシフェニル)−5−エトキシ−9−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(i)12−エトキシ−3−(2−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシ)−3H−ベンゾ[h]ピラノ[3,2−c]キノリン;
(j)5−エトキシ−2−(2−フルオロフェニル)−9−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(k)5−エトキシ−2−(2−フルオロフェニル)−7−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(l)5−エトキシ−3−(2−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシ)−2H−[1,3]−ジオキソロ[4,5−g]プラノ[3,2−c]キノリン;
(m)12−エトキシ−3−(2,4−ジメトキシフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−3H−ベンゾ[h]ピラノ[3,2−c]キノリン;
(n)2,2−ジフェニル−6−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン−5−オン:または
(o)これらの混合物。
【0050】
ピラノ[3,2−c]キノリンおよび/またはピラノ[3,2−c]キノリノンの各々は、本明細書において記載される他の光互変物質と一緒に、または他の光互変物質なしで、広範に変動し得る量(または割合)で、使用され得る。一般的に、量は、光互変物質が会合するホスト物質または基材が所望の結果として生じる色(例えば、フィルターなしで日光によって活性化された場合に実質的に中性な色)を示すように使用される。光互変物質は、広範な色(例えば、ピンク、青、オレンジなど)を有する物品を生成するように使用され得る。さらに、中性の色および色を説明する方法の考察は、米国特許第5,645,767号、第12列、第66行〜第13列第19行に見出され得る。
【0051】
1つの非限定的実施形態において、本発明の光互変物質が単独で使用され得るか、または本発明の他のこのような物質と組み合わせて使用され得るか、または1種以上の他の光互変物質(例えば、約400ナノメートルと700ナノメートルとの間の範囲内に少なくとも1つの活性化吸収極大値を有する光互変物質)と組み合わせて使用され得ることが、企図される。
【0052】
別の非限定的な実施形態において、他の光互変物質は、以下のクラスの物質を包含する:クロメン(例えば、ナフトピラン、ベンゾピラン、インデノナフトピラン、フェナントロピラン、もしくはそれらの混合物);スピロピラン(例えば、スピロ(ベンズインドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)ベンゾピラン、スピロ(インドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)キノピラン、およびスピロ(インドリン)ピラン);オキサジン(例えば、スピロ(インドリン)ナフトキサジン、スピロ(インドリン)ピリドベンゾキサジン、スピロ(ベンズインドリン)ピリドベンゾキサジン、スピロ(ベンズインドリン)ナフトキサジン、およびスピロ(インドリン)ベンゾキサジン);水銀ジチゾネート(mercury dithizonate)、フルギド、フルギミド、およびこのような光互変物質の混合物。
【0053】
このような光互変物質および相補的光互変物質は、以下に記載されている:米国特許第4,931,220号、第8列第52行〜第22列第40行;同第5,645,767号、第1列第10行〜第12列第57行;同第5,658,501号、第1列第64行〜第13列第17行;同第6,153,126号、第2列第18行〜第8列第60行;同第6,296,785号、第2列第47行〜第31列第5行;同第6,348,604号、第3列第26行〜第17列第15行;および同第6,353,102号、第1列第62行〜第11列第64行(上述の特許の開示は、本明細書において参考として援用される)。スピロ(インドリン)ピランはまた、教科書、Techniques in Chemistry、第III巻、「Photochromism」、第3章(Glenn H.Brown(編者)、John Wiley&Sons、Inc.,New York、1971)に記載されている。
【0054】
さらなる非限定的実施形態において,他の光互変物質は,重合可能な光互変物質であり得る(例えば,米国特許第5,166,345号、第3列第36行〜第14列第3行に開示される重合可能なナフトキサジン;米国特許第5,236,958号、第1列第45行〜第6列第65行に開示される重合可能なスピロベンゾピラン;米国特許第5,252,742号、第1列第45行〜第6列第65行に開示される重合可能なスピロベンゾピランおよびスピロベンゾチオピラン;米国特許第5,359,085号、第5列第25行〜第19列第55行に開示される重合可能なフルギド;米国特許第5,488,119号、第1列第29行〜第7列第65行に開示される重合可能なナフタセンジオン;米国特許第5,821,287号、第3列第5行〜第11列第39行に開示される重合可能なスピロオキサジン;米国特許第6,113,814号、第2列第23行〜第23列第29行に開示される重合可能なポリアルコキシル化ナフトピラン;ならびに、WO97/05213および特許査定された米国特許出願番号09/828,260(2001年4月6日出願)に開示された、重合可能な光互変物質)。重合可能な光互変物質に関する上述の特許の開示は、本明細書において参考として援用される。
【0055】
使用され得る光互変物質の他の非限定的な実施形態としては、以下が挙げられる:有機金属ジチオゾネート(例えば、(アリールアゾ)−チオ蟻酸アリールヒドラジデート、例えば、ジチオゾネート水銀):これらは例えば、米国特許第3,361,706号、第2列第27行〜第8列第43行に記載される;およびフルギドおよびフルギミド(例えば、3−フリルフルギドおよび3−チエニルフルギド、ならびに3−フリルフルギミドおよび3−チエニルフルギミド)、(これらは、米国特許第4,931,220号、第1列第39行〜第22列第41行に記載される)。これらの開示は、本明細書において参考として援用される。
【0056】
他の光互変物質のさらなる非限定的な実施形態は、本発明の光互変物品においても使用され得る重合開始剤の作用に実質的に抵抗性のある有機光互変物質の形態である。このような有機光互変物質としては、樹脂物質との混合物中で粒子形成されているかまたは金属酸化物中にカプセル化されている光互変異性化合物が挙げられる。これらは、米国特許第4,166,043号および同第4,367,170号、第1列第36行〜第7列第12行に記載されている(これらの開示は、本明細書において参考として援用される)。
【0057】
本明細書において記載される光互変物質(例えば、本発明の光互変組成物および他の光互変物質)は、種々の物質から選択され得る。非限定的な例としては以下が挙げられる:当然、単一の光互変化合物;光互変化合物の混合物;少なくとも1種の光互変化合物を含む物質(例えば、可塑性ポリマー樹脂または有機モノマー溶液もしくは有機オリゴマー溶液);少なくとも1種の光互変化合物が化学結合したモノマーまたはポリマーのような物質;少なくとも1種の光互変化合物による化学結合を含むおよび/または有する物質(この物質の外面は、例えば、光互変物質とこの光互変物質に対する悪影響を有する外部物質(例えば、酸素、水分および/もしくは化学物質)との接触を防ぐ、ポリマー樹脂または保護コーティング(例えば、金属酸化物)でカプセル化されており(カプセル化はコーティングの形態である)、このような物質は、米国特許第4,166,043号および同第4,367,170号に記載されるように、保護コーティングを適用される前に粒子へと形成され得る;光互変異性ポリマー(例えば、重合化された光互変異性モノマーを含む光互変異性ポリマー);あるいは、それらの混合物。
【0058】
1つの非限定的な実施形態において、ポリマーコーティング組成物中および/またはポリマーホスト物質中に組み込まれるべき光互変物質の量は、広範に変動し得る。一般的に、十分な量が使用されて、活性化の際に裸眼で識別可能な光互変効果を生ずる。一般的に、このような量は、光互変量として記載され得る。使用される特定の量は、多くの場合、それらの照射の際に所望される色強度、および光互変物質を組み込むために使用される方法に依存する。代表的に、非限定的な実施形態において、より多くの光互変物質が組み込まれる場合、色強度は、特定の限度まではより強くなる。所望される場合、より多くの物質が添加され得るが、これ以上物質を添加しても顕著な効果を有さない点が存在する。
【0059】
使用される上述の光互変物質の相対的な量は、変動し、そしてこのような物質の活性化種の相対的色強度、所望される最終的な色、およびホスト物質および/または基材に適用する方法に一部依存する。1つの非限定的な実施形態において、光互変光学ホスト物質に吸収によって組み込まれる、本発明の光互変物質、他の光互変物質または両方を含む全光互変物質の量は、広範に変動し得る。例えば、一般的に、これは、約0.01〜約2.0(例えば、0.05〜約1.0)(mg/光互変物質が組み込まれるかまたは適用される表面 1cm)の範囲であり得る。ホスト物質に組み込まれるかまたは適用される全光互変物質の量は、上記範囲を含め、これらの値の任意の組み合わせの間の範囲(例えば、0.015〜1.999mg/cm)であり得る。
【0060】
別の非限定的な実施形態において、コーティングを形成するためまたは重合のために重合可能な組成物中に組み込まれる光互変物質の全量は、広範囲変動し得る。例えばこれは、重合可能な組成物中の固体の重量に基づいて、0.01〜40重量%の範囲であり得る。代替的な非限定的実施形態において、光互変物質の濃度は、一般的に0.1〜30重量%、1〜20重量%、5〜15重量%、または7〜14重量%の範囲であり得る。コーティング中の光互変物質の量は、上記範囲を含め、これらの値の任意の組み合わせの間の範囲(例えば、0.011〜39.99重量%)であり得る。
【0061】
1つの非限定的な実施形態において、(化学的におよび色の点で)適合性の、固定された色彩の染料が、光互変物品を製造するために使用されるホスト物質(例えば、ポリマー基材、ポリマーコーティングおよび/またはポリマーフィルム)に添加されるか、または適用されて、医療上の理由またはファッションの理由のためのより審美的な結果を達成し得る。選択される特定の染料は、様々であり、上述の必要性および達成されるべき結果に依存する。1つの非限定的な実施形態において、この染料は、活性化された光互変物質から生じた色を補完するように(例えば、より自然な色を達成するか、または入射光の特定の波長を吸収するように)選択され得る。別の非限定的な実施形態において、この染料は、光互変物質が不活性状態にある場合にホスト物質に所望の色相を提供するように選択され得る。
【0062】
種々の非限定的実施形態において、アジュバント物質もまた、光互変物品を製造するために使用されるホスト物質に組み込まれ得る。このようなアジュバントは、光互変物質の適用または組み込みの前、これと同時、またはこれらの後に使用され得る。例えば、組成物への光互変物質添加の前に、紫外光吸収剤が光互変物質と混合され得るか、またはこのような吸収剤は、光互変物品と入射光との間にコーティングとして載せられる(superpose)か、または重ね合わされる(superimpose)。
【0063】
さらに、組成物への光互変物質添加の前に、安定剤がこの光互変物質と混合されて、光互変物質の光疲労抵抗性を改善させ得る(ただし、このような安定剤は、光互変物質の活性化を妨げない)。安定剤の非限定的な例としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、非対称ジアリールオキサルアミド(オキサニリド)化合物および一重項酸素失活剤(例えば、有機リガンドとのニッケルイオン錯体)、ポリフェノール抗酸化剤が挙げられ、またはこのような安定剤の混合物が企図される。1つの非限定的な実施形態において、これらは、単独で使用され得るか、または組合せて使用され得る。このような安定剤は、米国特許第4,720,356号、同第5,391,327号、および同第5,770,115号に記載されている。
【0064】
本発明の組成物、他の光互変物質、またはこれらの組み合わせは、当該分野における記載された種々の方法によって、ホスト材料と会合され得る。種々の非限定的実施形態において、光互変物質の全量が、種々の方法によって(例えば、ホスト物質を形成するために使用される物質の1種以上に光互変物質を添加することによって)、光互変物品を形成するために使用されるホスト物質に組み込まれ得る。1つの非限定的な実施形態において、ホスト物質がポリマーコーティングまたはポリマーフィルムである場合、光互変物質は、コーティングまたはフィルムを形成するために使用される組成物の成分の1種以上に組み込まれる前に、水性溶媒または有機溶媒に溶解され得、そして/または分散され得る。あるいは、光互変物質は、吸収、浸透または他の当業者に公知の移送法によって、少なくとも部分的に硬化されたコーティングに組み込まれ得る。
【0065】
少なくとも部分的に硬化されたポリマーまたは重合体が光互変物質のためのホスト物質として使用される場合、種々の非限定的実施形態は、光互変物質(重合可能な置換基を含むか、または含まない)を含む重合可能な組成物を型に注入して、それを、例えば、当該分野で一般的に現場成形(cast−in−place)プロセスと称されるプロセスによって重合させることによる、光互変物品の調製を包含する。別の非限定的な実施形態において、光互変物質は、押出しまたは当業者に公知の他の方法によってポリマーフィルムを製造するために使用される物質とともに添加され得る。光互変量の光互変物質の非存在下での成形重合(cast polymerization)によって調製される重合体(例えば、レンズ)は、当該分野で認識される方法によりこの重合体に光互変物質を適用または組み込むことによって光互変物品を調製するために使用され得る。
【0066】
このような非限定的な当該分野で認識される方法は、以下の工程を包含する:(a)重合可能な置換基を含むかまたは含まない光互変物質を、重合体を形成するために使用される物質に溶解、分散および/または反応させる工程(例えば、光互変物質の温かい溶液への重合体の浸漬によるかもしくは熱移送による、重合可能な組成物への光互変物質の添加または重合体への光互変物質の吸収);(b)隣接する重合体のコーティングの間に、別個のコーティングとして(例えば、ポリマーフィルムの一部として)光互変物質を提供する工程;ならびに、(c)重合体の表面に配置されるかもしくは積層されるコーティングまたはフィルムの一部として光互変物質を提供する工程。用語「吸収」または「吸収する」は、個別での、もしくは他の非光互変物質を伴う、光互変物質の重合体への浸透、光互変物質の重合体への溶媒補助移送吸収(solvent assisted transfer absorption)、気相移送(vapor phase transfer)、および他のこのような移送機序を意味または包含することを意図される。
【0067】
本発明の状況において、ホスト、基材、フィルムまたはコーティングとして使用されるポリマー有機材料の性質は、大きく異なり得る。一般的に、ポリマー有機物質は、本発明の光互変物質および他の光互変物質が、それらの「開」形態と「閉」形態との間で可逆的に変換することを可能にするような物質である。1つの非限定的な実施形態において、本発明の光互変物品を製造するために使用されるポリマー有機物質は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第4版、第6巻、第669〜760頁(この開示は、本明細書において参考として援用される)に記載される、熱可塑性有機ポリマー物質または熱硬化性有機ポリマー物質を提供するために適合された組成物を含む。このようなポリマー物質は、透明、半透明または不透明であり得る;しかし、透明(transparent)または光学的に澄んでいる(clear)ことが望ましい。別の非限定的な実施形態において、コーティングに使用されるフィルム形成ポリマーは、硬化の際に少なくとも部分的に硬化されたポリマーコーティングを形成するものであり、熱硬化性であり、そしてポリウレタン、アミノプラスと樹脂、ポリ(メト)アクリレート(例えば、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート)、ポリ無水物、ポリアクリルアミド、エポキシ樹脂、およびポリシラン。から選択される。語句「少なくとも部分的に硬化されたポリマーコーティング」とは、その中の硬化可能であるかまたは架橋可能である成分が、本明細書において「少なくとも部分的に硬化されたポリマーホスト」に関して上述した様式と同じ様式で、少なくとも部分的に硬化、架橋、および/または反応しているコーティングをいう。
【0068】
以下に記載される種々のコーティング組成物は、当業者に周知であり、そして当業者に十分理解されかつ認められている構成要素を用いて、当業者に十分理解されかつ認められている方法に従って作製される。本発明の組成物またはこの組成物と他の光互変物質との混合物を含む、コーティングの適用のために適切な基材は、任意の型の基材を包含する。非限定的な例としては、紙、ガラス、セラミック、木材、メーソンリー、織物、金属、またはポリマー有機ホスト物質が挙げられる。
【0069】
本発明の光互変異性被覆物品を調製するために使用され得る光互変ポリウレタンコーティングは、1つの非限定的な実施形態において、光互変物質と、有機ポリオール成分およびイソシアネート成分の触媒反応または非触媒反応とを組み合わせることによって製造され得る。ポリウレタンの調製のための材料および方法は、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版(1992)第A21巻、第665〜716頁に記載されている。方法および材料(例えば、有機ポリオール、イソシアネート、およびポリウレタンコーティングを調製するために使用され得る他の構成要素)の非限定的な例は、米国特許第4,889,413号および同第6,187,444号B1に記載されている。
【0070】
本発明の光互変異性被覆物品を調製するために使用され得る光互変アミノプラスト樹脂コーティング組成物は、1つの非限定的な実施形態において、光互変物質と、少なくとも2つの官能基(ヒドロキシル、カルバメート、尿素またはこれらの混合物から選択される)を有する官能性成分およびアミノプラスト樹脂の反応生成物(例えば、米国特許第4,756,973号、同第6,432,544号B1および同第6,506,488号に記載される架橋剤)とを合わせることによって調製され得る。
【0071】
本発明の光互変異性被覆物品を調製することにおける使用が企図される光互変ポリシランコーティング組成物は、1つの非限定的な実施形態において、米国特許第4,556,605号に記載されるように、少なくとも1種のシランモノマー(例えば、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランおよび/またはメチルトリメトキシシラン)を加水分解し、そしてその加水分解物を少なくとも1種の光互変物質と組み合わせることによって調製される。
【0072】
本発明の光互変異性被覆物品を調製することにおける使用が企図される光互変ポリ(メト)アクリレートコーティング組成物は、1つの非限定的な実施形態において、米国特許第6,025,026号および同第6,150,430号、ならびにWO公開番号01/02449 A2に記載されるように、光互変物質と、一官能性、二官能性もしくは多官能性の(メト)アクリレートとを合わせることによって調製され得る。
【0073】
本発明の光互変異性被覆物品を調製するために使用され得るポリ無水物光互変コーティング組成物は、1つの非限定的な実施形態において、米国特許第6,432,544号B1に記載されるように、少なくとも1種の有機光互変物質を含有する組成物中における、ヒドロキシル官能性成分とポリマー無水物官能成分との反応によって調製され得る。ポリ無水物光互変コーティングを調製するために使用され得るヒドロキシル官能性成分、無水物官能成分および他の構成要素の非限定的な例は、米国特許第4,798,745号、同第4,798,746号および同第5,239,012号に記載されている。
【0074】
本発明の光互変異性被覆物品を調製することにおける使用が企図される光互変ポリアクリルアミドコーティング組成物は、1つの非限定的な実施形態において、米国特許第6,060,001号に記載されるように、光互変物質と、N−アルコキシメチル(メト)アクリルアミドを含む重合可能なエチレン性不飽和組成物および少なくとも1種の他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマーのフリーラジカル開始反応生成物とを合わせることによって調製され得る。N−アルコキシメチル(メト)アクリルアミド官能性ポリマーを調製するための方法は、米国特許第5,618,586号に記載されている。
【0075】
本発明の光互変異性被覆物品を調製するために使用され得る光互変エポキシ樹脂コーティング組成物は、1つの非限定的な実施形態において、米国特許第4,756,973号および同第6,268,055号B1に記載されるように、光互変物質、エポキシ樹脂またはポリエポキシド、および硬化剤を合わせることによって調製され得る。
【0076】
別の非限定的な実施形態において、フィルム形成ポリマーおよび他の光互変物質を含むかまたは含まない本発明の組成物を含む光互変ポリマーコーティングの型としては、塗料(例えば、装飾、保護および/もしくは基材の識別のために使用される顔料の液体もしくはペースト);ならびにインク(例えば、信頼性の認証または照合が所望され得る機密書類(例えば、紙幣、パスポート、および運転免許証)上の照合記号の作製のような場合における、基材上への書き込みおよび印刷のために使用される顔料の液体もしくはペースト)が挙げられる。
【0077】
ポリマーコーティングの適用は、コーティング技術に使用される任意の方法によればよい。非限定的な実施形態において、この方法としては、以下が挙げられる:スプレーコーティング、スピンコーティング、スピンおよびスプレーコーティング、塗布(spread)コーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、成型(casting)またはロールコーティング、およびオーバーレイに使用される方法(例えば、米国特許第4,873,029号に記載される型の方法)。選択される適用方法はまた、所望されるコーティングの厚さに依存する。
【0078】
本発明の光互変物品上のコーティングの厚さは、非常に様々であり得る。代替的な非限定的実施形態において、このコーティングは、1〜10,000ミクロン、5〜1,000ミクロン、8〜400ミクロン、または10〜250ミクロンの厚さの範囲であり得る。ポリマーコーティングの厚さは、記載された範囲を含め、これらの値の任意の組み合わせの間の範囲(例えば、20〜200ミクロンの厚さ)であり得る。1〜50ミクロンの範囲の厚さを有するコーティングは、コーティング技術に使用される方法によって適用され得る。50ミクロンを超える厚さのコーティングは、オーバーレイのために代表的に使用される複数のコーティング方法または成型方法の適用を必要とし得る。
【0079】
基材の表面上へのポリマーコーティングの適用に続いて、1つの非限定的な実施形態において、コーティングは、少なくとも部分的に硬化される。別の非限定的な実施形態において、光互変ポリマーコーティングを硬化するために使用される方法としては、少なくとも部分的に硬化されたポリマーを形成するために使用される方法が挙げられる。このような方法としては、ラジカル重合、熱重合、光重合またはこれらの組み合わせが挙げられる。さらなる非限定的な方法は、被覆された基材または部分的に硬化されたポリマーを、赤外線、紫外線、ガンマ線、または電子線で照射して、触媒もしくは開始剤による、またはそれらなしで、重合可能な成分の重合反応を開始させる工程を包含する。これには、加熱工程が続き得る。
【0080】
1つの非限定的な実施形態において、必要とされる場合、および適当である場合、被覆されるべき基材の表面は、光互変ポリマーコーティングを適用して本発明の光互変物品を製造する前にクリーニングされる。これは、クリーニングおよび/またはコーティングの接着の促進を目的として行われ得る。プラスチックおよびガラスのための有効な処理技術は、当業者に公知である。
【0081】
いくつかの非限定的実施形態において、光互変ポリマーコーティングの適用前に基材表面へプライマーを適用することが役に立ち得る。プライマーは、コーティング成分と基材との(およびその逆の)相互作用を防ぐバリヤーコーティングとして、ならびに/または光互変ポリマーコーティングを基材へ接着させるための接着層として働き得る。プライマーの適用は、コーティング技術において使用される任意の方法(例えば、スプレーコーティング、スピンコーティング、スピンおよびスプレーコーティング、塗布コーティング、浸漬コーティング、成型(casting)またはロールコーティングなど)によればよい。
【0082】
保護コーティング(そのいくつかは、実質的に適用されたコーティングの接着を改善するためのプライマーとして、ポリマー形成有機シランを含有し得る)の使用は、米国特許第6,150,430号(この開示は、本明細書において参考として援用される)に記載されている。1つの非限定的な実施形態において、非着色性コーティングが使用される。市販のコーティング製品の非限定的な例としては、SILVUE(登録商標)124およびHI−GARD(登録商標)コーティング(それぞれ、SDC Coatings,Inc.およびPPG Industries,Inc.から入手可能)があげられる。さらに、被覆された物品の意図される用途に依存して、1つの非限定的な実施形態において、適切な保護コーティング(単数または複数)(例えば、コーティング組成物の露出表面上における、摩擦および磨耗からの引っかき傷と酸素と光互変物質との相互作用とをそれぞれを防ぐための磨耗抵抗性コーティングならびに/または酸素障壁として働き得るコーティング)の適用が必要とされ得る。
【0083】
いくつかの場合、プライマーおよび保護コーティング(例えば、ハードコート(hardcoat))は、交換可能である(例えば、同じコーティングがプライマーおよび保護コーティング(単数または複数)として使用され得る)。ハードコートの非限定的な例としては、無機物質(例えば、シリカ、チタン、および/もしくはジルコニア)、に基づくもの、ならびに紫外光硬化性の型の有機ハードコートが挙げられる。1つの非限定的な実施形態において、このような保護コーティングは、光互変物質を含有する少なくとも部分的に硬化されたポリマーを含む光互変物品の表面に適用され得る。
【0084】
別の非限定的な実施形態において、本発明の物品は、プライマーに続いて光互変ポリマーコーティングおよび保護ハードコートが適用された基材を含む。さらなる非限定的な実施形態において、保護ハードコートは、ポリシラン(例えば、有機シランハードコート)である。
【0085】
さらなる非限定的な実施形態において、他のコーティングまたは表面処理(例えば、着色性コーティング、少なくとも部分的に反射防止性のコーティングなど)がまた、本発明の光互変物品に適用され得る。反射防止性のコーティング(例えば、単層または多層の金属酸化物、金属フッ化物、または他のそのような物質)は、蒸着、スパッタリング(sputtering)またはいくつかの他の方法を介して、本発明の光互変物品(例えば、レンズ)上に沈着され得る、語句「少なくとも部分的に反射防止性のコーティング」とは、そのコーティングが適用された表面の反射防止性の性質が、パーセント透過率を上昇させることによって、被覆されていない表面と比較して少なくとも部分的に改善しているコーティングである。パーセント透過率の改善は、未処理表面を1〜9%上回る範囲であり得る。別の方法で表すと、処理表面のパーセント透過率は、未処理表面より大きいパーセントから99.9%までの範囲であり得る。
【0086】
さらなる非限定的実施形態において、少なくとも部分的に硬化されたポリマーと光互変量の、少なくとも1種の本発明の組成物(他の光互変物質を含むかもしくは含まない)とを含む光互変物品は、上層(superstrate)(例えば、少なくとも1種の有機ポリマー物質を含むフィルムまたはシート)をさらに含む。この光互変物質は、上記上層中、上記少なくとも部分的に硬化されたポリマー中、または両方に配置され得る。この上層の有機ポリマー物質は、基材またはホスト物質として本明細書中で以下に記載される有機ポリマー物質と同じものである。有機ポリマー物質の非限定的な例としては、熱硬化性物質または熱可塑性物質(例えば、熱可塑性ポリウレタン上層)が挙げられる。
【0087】
なおさらなる非限定的な実施形態において、上層は、ポリマー表面に直接的に結合され得る。本明細書において使用される場合、用語「結合される」とは、1つ以上の介在物質によって、一緒に連結されるか、または直接的にかもしくは間接的にかのいずれかの関係で配置されることを意味する。別の非限定的な実施形態において、上層は、基材の下面と熱融合されることによって基材に結合(例えば、接着性に結合)され得る。上層が基材に接着性に結合する一般的条件は、当業者に公知である。上層を基材に接着性に積層するための非限定的な実施形態としては、250〜350F(121〜177℃)の温度に加熱して、150〜400ポンド/平方インチ(psi)(1034〜2758kPa)の圧力を引加する工程が挙げられる。当業者に公知であるように、大気圧未満の圧力(例えば、真空)もまた、上層を引き下げて基材の形状に適合させるために適用され得る。非限定的な例としては、0.001mmHg〜20mmHg(0.13Pa〜2.7kPa)の範囲内の大気圧未満の圧力で引加する工程が挙げられる。
【0088】
少なくとも1つの基材表面に適用される上層を含む積層が形成された後、これは、上層上に保護コーティングまたは保護フィルムをさらに備え得る。このような保護コーティングまたは保護フィルムは、1つの非限定的な実施形態において、少なくとも部分的に磨耗抵抗性のコーティングまたはフィルムとして働く。語句「少なくとも部分的に磨耗抵抗性のコーティングまたはフィルム」とは、ASTM F−735 Standard Test Method for Abrasion Resistance of Transparent Plastics and Coatings Using the Oscillating Sand Methodにおいて少なくとも1.3〜10.0のBayer Abrasion Resistance Indexを示すコーティングまたはフィルムをいう。
【0089】
保護コーティングの非限定的な型としては、紫外線によって硬化可能である、および/または有機シランを含む、上記のハードコートが挙げられる。保護コーティングの厚さは、非常に様々であり得、そして光互変ポリマーコーティングについての上記範囲を含む。保護フィルムの非限定的な型としては、有機ポリマー物質から作製されたもの(例えば、熱硬化性物質および熱可塑性物質)が挙げられる。別の非限定的な実施形態において、この保護フィルムは、ポリカーボネートから作製された熱可塑性フィルムである。この保護フィルムまたはシートの厚さは、常に様々であり得る。代表的に、このようなフィルムは、1〜20ミル(0.025〜0.5mm)の厚さを有する。
【0090】
他の光互変物質を含むかまたは含まない、本発明の組成物のためのホスト物質は、通常透明であるが、半透明または不透明でさえあり得る。ホスト物質は、光互変物質を活性化させる電磁スペクトルの部分(例えば、光互変異性の開形態または着色形態を生成する紫外(UV)光の波長)、ならびに光互変物質の、そのUV活性化形態(例えば、開形態)での吸収最大波長を含む可視スペクトルの部分に対してのみ透過性である必要がある。1つの企図された非限定的な実施形態において、ホストの色は、それが光互変物質の活性化形態の色を遮断する色であるべきではない(例えば、従って、色の変化が観察者に対して容易に明らかである)。適合性の色彩は、米国特許第5,645,767号、第13列第59行〜第14列第3行に記載されるようにホスト物質に適用され得る。
【0091】
1つの企図される非限定的な実施形態において、ホストまたは基材として使用される有機ポリマー物質は、熱硬化性もしくは熱可塑性の有機ポリマー物質から選択される、固体の、透明または光学的澄んだ物質(例えば、少なくとも70%の視感透過率を有し、光学用途に適切な物質)であり得る。光学的構成要素の例は、プラノレンズ(plano lens)および眼科用レンズ、物理的に眼の中もしくは眼の上に置かれた眼用デバイス(例えば、眼科用デバイス)(例えば、コンタクトレンズおよび眼内レンズ)、から選択され、窓、自動車用透明部分(例えば、風防ガラス)、飛行機の透明部分、プラスチックシート、ポリマーフィルムなどから選択される。別の非限定的な実施形態において、基材またはホストは、レンズである光学的構成要素(例えば、眼科用レンズ)である。
【0092】
他の光互変物質を含むかまたは含まない本発明の組成物のためのホスト物質として、または光互変ポリマーコーティングのための基材として使用され得るポリマー有機物質の非限定的な例としては、以下が挙げられる:ポリ(メト)アクリレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリ(尿素−ウレタンs)、熱可塑性ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(アルファメチルスチレン)、コポリ(スチレン−メチルメタクリレート)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、ポリビニルブチラール、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、ポリスチレン、あるいは以下から選択される重合性モノマーによって調製されるホモポリマーおよびコポリマーのようなポリマー:ビス(アリルカーボネート)モノマー、スチレンモノマー、ジイソプロペニルベンゼンモノマー、ビニルベンゼンモノマー(例えば、米国特許第5,475,074号に記載されるもの)、ジアリリデンペンタエリスリトールモノマー、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー(例えば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート))、ビニルアセテートモノマー、アクリロニトリルモノマー、一官能性もしくは多官能性のもの(例えば、(C〜C12)アルキル(メト)アクリレート(例えば、メチル(メト)アクリレート、エチル(メト)アクリレート、ブチル(メト)アクリレートなど)のような二官能性もしくは多官能性の(メト)アクリレートモノマー、ポリ(オキシアルキレン)(メト)アクリレート、ポリ(アルコキシル化フェノール(メト)アクリレート)、ジエチレングリコール(メト)アクリレート、エトキシル化ビスフェノールA(メト)アクリレート、エチレングリコール(メト)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)(メト)アクリレート、エトキシル化フェノール(メト)アクリレート、アルコキシル化多価アルコール(メト)アクリレート(例えば、米国特許第5,373,033号に記載されたようなエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー、ウレタン(メト)アクリレートモノマー、もしくはそれらの混合物)。ポリマー有機ホスト物質のさらなる例は、米国特許第5,753,146号、第8列第62行第10列第34行に開示されている。
【0093】
別の非限定的な実施形態において、透明コポリマーおよび透明ポリマーのブレンドもまたポリマー物質として適切である。この物質は、以下から調製された、必要に応じて透明である、重合化された有機物質であり得る:熱可塑性ポリカーボネート樹脂(例えば、ビスフェノールAおよびホスゲンに由来するカーボネート連結樹脂、これは、LEXANの商品名で販売されている);ポリエステル(例えば、MYLARの商品名で販売されている);ポリ(メチルメタクリレート)(例えば、PLEXIGLASの商品名で販売されている);ポリオール(アリルカーボネート)モノマー(特に、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート))の重合体(例えば、このモノマーは、CR−39の商品名で販売されている)、ならびにポリオール(アリルカーボネート)(例えば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート))と、他の共重合可能なモノマー物質とのコポリマーの重合体、および末端ジアクリレート官能基を有するポリウレタンとのコポリマー(米国特許第4,360,653号および同第4,994,208号に記載されるようなもの);そして、米国特許第5,200,483号に記載されるような脂肪族ウレタンとのコポリマー、(その末端部分がアリルまたはアクリリル官能基を含む)。
【0094】
さらなる非限定的な実施形態は、光学的に澄んだコーティングおよび重合体(例えば、プラノレンズおよび眼科用レンズ(例えば、高屈折率レンズ)、窓、および自動車の透明部分のような光学的用途に適切な物質)を生成するために使用される光学的有機樹脂モノマーを有する、本発明の組成物および他の光互変物質の使用である。非限定的な実施形態の例としては、PPG Industries,Inc.によりTRIVEXモノマーとして、そしてCRの名前(例えば、CR−307、CR−407およびCR−607)で販売される光学樹脂の重合体、ならびにハードコンタクトレンズまたはソフトコンタクトレンズを調製するために使用される樹脂である。両タイプのコンタクトレンズを製造するための方法は、米国特許第5,166,345号、第11列第52行〜第12列題52行に開示されている。
【0095】
光学樹脂のさらなる非限定的な実施形態としては、米国特許第5,965、630号に記載される、高い水分含有を有するソフトコンタクトレンズ、および米国特許第5,965,631号に記載される長時間着用コンタクトレンズを形成するために使用される樹脂が挙げられる。
【0096】
本発明は、より詳細には、以下の実施例において記載される。これらの実施例は、多くのその改変および変更が当業者に明らかであることから、説明としてのみ意図される。
【実施例】
【0097】
(実施例1)
(工程1)
ベンゾフェノン(50g)を200mLのアセチレンで飽和させた無水テトラヒドロフラン(THF)を含む反応フラスコ中で溶解し、室温で攪拌した。キシレン/鉱油中のアセチリドナトリウムの18重量%懸濁液(0.3molのアセチリドナトリウム)をこの反応フラスコに添加し、そしてこの混合物を攪拌した。室温で、窒素雰囲気下で16時間攪拌した後、反応フラスコ混合物の内容物を、5重量%の塩酸水溶液と氷との混合物に添加した。得られた混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機層を分離し、洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒(ジエチルエーテルおよびTHF)を減圧下で除去し、1,l−ジフェニル−2−プロピン−1−オールを含有する油状生成物を得た。これをさらに精製せずに、直接次の工程に用いた。
【0098】
(工程2)
工程1からの1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オールを含む油(20g)を、反応フラスコ内で100mLエタノール中に溶解させた。濃塩酸をこの溶液に数滴添加した。この溶液を60℃で24時間加熱し、氷/水混合物に注ぎ、エーテルで抽出した。溶媒を減圧下で除去して赤色のガムを得、これをヘキサン/酢酸エチルを80:20体積比で有するアルミナ上でフラッシュカラム分離し、ジクロロメタン/ヘキサン(80:20体積比)から再結晶化して、16.5gの生成物を得た。NMR分析は、この生成物がβ−フェニルシンナムアルデヒドに一致する構造を有することを示した。
【0099】
(工程3)
工程2からのβ−フェニルシンナムアルデヒド(2.6g)を、反応フラスコ中、0℃で20mLのトルエンに溶解させた。ピペリジン(0.82g)をこの反応フラスコに添加し、10分間攪拌した。無水酢酸(0.91mL)を添加し、そしてこの反応混合物を、80℃で1時間攪拌した。2,4−キノリンジオール(Aldrichから購入)(2g)をこの反応フラスコに添加し、この反応混合物を24時間還流した。溶媒の蒸発に続いて、残渣をフラッシュカラム分離を介して精製した。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、この生成物が、2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン−5−オールおよび2,2−ジフェニル−5,6−ジヒドロ−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン−5−オン(平衡状態にあるケト異性体)に一致する構造を有することを示した。
【0100】
(実施例2)
2gの2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン−5−オールを実施例1に記載したように調製し、そして40mLの無水アセトンを含む反応フラスコに無水炭酸カリウム(2g)およびヨウ化メチル(2g)を添加した。この混合物を攪拌し、アルゴン雰囲気下で還流し、その後、このアセトンを減圧下で除去し、この反応混合物に水および塩化メチレン各25mLを添加した。この混合物を30分間攪拌し、有機層を分離し、洗浄し、そして乾燥させた。残った溶媒(塩化メチレン)を減圧下で除去した。得られた油状濃縮物は、1:1ヘキサン:塩化メチレン混合物から結晶化させた。得られた固体を吸引濾過し、ヘキサンで洗浄し、そして乾燥させた。NMRスペクトルは、この生成物が、5−メトキシ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリンに一致する構造を有することを示した。
【0101】
(実施例3)
(パートA)
(工程1)
1リットルのフラスコにエチルシアノアセテート(113g)、無水エチルアルコール(50g)および乾燥エーテル(50g)を添加し、氷浴で冷却した。乾燥塩酸を、重量が42gに増加するまでこの溶液に通過させた。このフラスコを、ゴム製の隔壁で栓をし、24時間冷蔵した。この反応混合物を濾過し、残渣をヘキサンで数回洗浄し、減圧下で乾燥させて、150gの塩酸生成物を得た。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、この生成物が、エチル−β−アミノ−β−エトキシアクリレートクロリドに一致する構造を有することを示した。
【0102】
(パートA)
(工程2)
工程1で生成された上記エチル−β−アミノ−β−エトキシアクリレート塩酸(64.6g)を、エタノール600(mL)中のアニリン(30.7g)溶液を含む反応フラスコに添加した。この混合物を24時間室温で攪拌し、濾過した。回収された固体をエタノールで洗浄した。合わせた濾液を蒸発させ、そして残渣をクロロホルム中でスラリーとし、そして濾過した。真空蒸留を介して溶媒を蒸発させることにより、45.6gの生成物が回収された。NMRスペクトルは、この生成物が、エチル−N−フェニル−2−エトキシカルボニルアセトイミデートに一致する構造を有することを示した。
【0103】
(パートA)
(工程3)
工程2のエチル−N−フェニル−2−エトキシカルボニルアセトイミデートを、100mLのDowtherm A(Dow Chemical Companyから入手可能なジフェニルエーテルと26.5%のビフェニルとの混合物)を含む反応容器に添加し、260℃で30分間還流した。得られた混合物を冷却し、そして500mLヘキサンで希釈した。この反応混合物を濾過し、残渣を数回ヘキサンで洗浄し、そして減圧下で乾燥させ、6.4gの生成物を得た。NMRスペクトルは、この生成物が、2−エトキシ−4−ヒドロキシキノリンに一致する構造を有することを示した。
【0104】
(パートB)
実施例1の工程2からのβ−フェニルシンナムアルデヒド(2g)を、反応フラスコ中、0℃で、20mLのトルエンに溶解した。ピペリジン(0.82g)をこの反応フラスコに添加し、10分間攪拌した。無水酢酸(0.91mL)を添加し、そしてこの反応混合物を80℃で1時間攪拌した。工程3のパート2Aからのキノリン(2g)をこの反応フラスコに添加し、この反応混合物を24時間還流した。溶媒の蒸発に続いて、残渣をフラッシュカラム分離を介して精製した。NMRスペクトルは、この生成物が、5−エトキシ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリンに一致する構造を有することを示した。
【0105】
(実施例4)
パートAの工程2におけるアニリンに置き換えて4−メトキシアニリン(40g)を使用した以外、実施例3の手順に従った。NMRスペクトルは、この生成物が、5−エトキシ−9−メトキシ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリンに一致する構造を有することを示した。
【0106】
(実施例5)
パートAの工程2におけるアニリンに置き換えて2−メトキシアニリン(40g)を使用した以外、実施例3の手順に従った。NMRスペクトルは、この生成物が、5−エトキシ−7−メトキシ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリンに一致する構造を有することを示した。
【0107】
(実施例6)
パートAの工程2におけるアニリンに置き換えて2−アミノナフタレン(47g)を使用した以外、実施例3の手順に従った。NMRスペクトルは、この生成物が、12−エトキシ−3,3−ジフェニル−3Hベンゾ[h]ピラノ[3,2−c]キノリンに一致する構造を有することを示した。
【0108】
(実施例7)
パートAの工程2におけるアニリンに置き換えて2,4−ジメトキシアニリン(51g)を使用した以外、実施例3の手順に従った。NMRスペクトルは、この生成物が、5−エトキシ−7,9−ジメトキシ−2,2ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリンに一致する構造を有することを示した。
【0109】
(実施例8)
パートAの工程2におけるアニリンに置き換えて4−フルオロアニリン(36g)を使用した以外、実施例3の手順に従った。NMRスペクトルは、この生成物が、5−エトキシ−9−フルオロ−2,2−ジフェニル−2Hピラノ[3,2−c]キノリンに一致する構造を有することを示した。
【0110】
(実施例9)
パートAの工程2におけるアニリンに置き換えて2−フルオロアニリン(36g)を使用した以外、実施例3の手順に従った。NMRスペクトルは、この生成物が、5−エトキシ−7−フルオロ−2,2−ジフェニル−2Hピラノ[3,2−c]キノリンに一致する構造を有することを示した。
【0111】
(実施例10)
(パートA)
アニリンに置き換えて 4−メトキシアニリン(41g)を使用した以外、実施例3、パートAの手順に従い、2−エトキシ−6−メトキシ−キノール−4−オールを生成した。
【0112】
(パートB)
(工程1)
1,3−ジメトキシベンゼン(13.8g)および塩化p−アニソイル(17g)を200mLの塩化メチレンを含む反応フラスコ中に溶解させ、室温で攪拌した。無水塩化アルミニウム(15g)をこの反応混合物に攪拌しながら15分かけてゆっくりと添加した。15分間攪拌した後、このフラスコの内容物を200mLの氷と希塩酸との混合物に慎重に注いだ。有機画分を分離し、水で洗浄した。溶媒をロータリーエバポレータで除去し、油状生成物を残し、静置して固形化させた。この固体を破壊し、50mLのペンタンで2回洗浄し、乾燥させて、(2,4−ジメトキシ−フェニル)−(4−メトキシ−フェニル)−メタノンを得た。
【0113】
(パートB)
(工程2)
2,4,4,6−テトラメチル−5,6−ジヒドロ−1,3−オキサジン(14.1g)を無水THF(l00mL)を含む反応フラスコに添加した。攪拌された溶液を−78℃に冷却し、ヘキサン中のn−ブチルリチウム(0.11モル)を添加した。2時間後、30mLの無水THF中27gの、本パートBの工程1で生成された(2,4−ジメトキシ−フェニル)−(4−メトキシ−フェニル)−メタノンを、30分間かけてこの混合物に添加した。この反応混合物を2時間かけてゆっくりと常温にした。次いで、この混合物を100mLの氷水に注ぎ、そして濃HClで酸性化させた。この酸性溶液をヘキサンで抽出し、40% NaOH溶液を添加することによって塩基性にした。得られた油状物をエーテルで抽出し、乾燥させ、そして蒸発させて、ジヒドロオキサジンを生成した。これを精製せずに次の工程に直接使用した。
【0114】
(パートB)
(工程3)
本パートBの工程2において得られたジヒドロオキサジン(15g)を100mLのTHFと100mLのエタノールとを含む反応フラスコに添加した。この混合物を−40℃に冷却し、約pH7が得られるまで濃HClを添加した。水素化ホウ素ナトリウム溶液および濃HClを攪拌溶液に交互に添加し、pH6〜8を維持した。この添加が完了した後、この溶液を室温で1時間攪拌した。この混合物を100mLの水に注ぎ、40% NaOH溶液の添加によって塩基性にした。得られた層を分離し、水溶液をエーテルで抽出し、そして無水炭酸カリウムで乾燥させた。蒸発後、テトラヒドロオキサジンを得、これを精製せずに次の工程で直接使用した。
【0115】
(パートB)
(工程4)
本パートBの工程3からのテトラヒドロオキサジン(0.1モル)およびシュウ酸(50.4g、0.4モル)を150mの水を含むフラスコに添加した。この混合物を2時間還流し、室温へと冷却した。この反応混合物を5% 炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させ、そしてジクロロメタン/ヘキサン(80:20体積比)から再結晶化させて、純粋な淡黄色の結晶を得た。NMRスペクトルは、この最終生成物が、1−(2,4−ジメトキシ−フェニル)−1−(4−メトキシ−フェニル)−プロプ−2−イン−1−オールに一致する構造を有することを示した。
【0116】
(パートC)
本パートBの工程3からの1−(2,4−ジメトキシ−フェニル)−1−(4−メトキシ−フェニル)−プロプ−2−イン−1−オール(2.6g)を、反応フラスコ中、0℃で20mLのトルエンに溶解させた。ピペリジン(0.82g)をこの反応フラスコに添加し、10分間攪拌させた。無水酢酸(0.91mL)を添加し、そしてこの反応混合物を80℃で1時間攪拌した。本実施例のパートAで生成された2−エトキシ−6−メトキシ−キノリン−4−オール(2g)をこの反応フラスコに添加し、この反応混合物を24時間還流した。溶媒の蒸発に続いて、残渣をフラッシュカラム分離を介して精製した。NMRスペクトルは、この生成物が、2−(2,4−ジメトキシ−フェニル)−5−エトキシ−9−メトキシ−2−(4−メトキシ−フェニル)−2H−ピラノ[3,2−c]キノリンに一致する構造を有することを示した。
【0117】
(実施例11)
以下を除いて実施例10の手順に従った。パートAにおいて、4−メトキシアニリンに置き換えて1−アミノナフタレン(47g)を使用した。パートBの工程1において、1,3−ジメトキシベンゼンおよび塩化p−アニソイルにそれぞれ置き換えて、2−フルオロベンゾイルクロリド(15.8g)およびアニソール(10.8g)を使用して、(2−フルオロ−フェニル)−(4−メトキシ−フェニル)−メタノンを生成した。NMRスペクトルは、この最終生成物が、12−エトキシ−3−(2−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシ)−3H−ベンゾ[h]ピラノ[3,2−c]キノリンに一致する構造を有することを示した。
【0118】
(実施例12)
1−アミノナフタレンに置き換えて4−メトキシアニリン(40g)を使用したこと以外、実施例11の手順に従った。NMRスペクトルは、この最終生成物が、5−エトキシ−2−(2−フルオロフェニル)−9−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−2H−ピラノ[3,2−c]キノリンに一致する構造を有することを示した。
【0119】
(実施例13)
1−アミノナフタレンに置き換えて3,4−メチレンジオキシアニリン(45g)を使用したこと以外、実施例11の手順に従った。NMRスペクトルは、この最終生成物が、5−エトキシ−3−(2−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシ)−2H−[1,3]−ジオキソロ[4.5−g]ピラノ[3,2−c]キノリンに一致する構造を有することを示した。
【0120】
(実施例14)
(工程1)
反応フラスコに、実施例10のパートB、工程1で調製された10gの(2,4−ジメトキシ−フェニル)−(4−メトキシ−フェニル)−メタノン、150mLのテトラヒドロフラン、および14.0gのヘキサン/鉱油中18重量%のアセチリドナトリウムのスラリーを充填した。この反応混合物を、室温において窒素雰囲気下で24時間攪拌した。このフラスコの内容物を氷水を含む500mLビーカーに注ぎ、100mLの塩化メチレンで3回抽出した。この抽出物を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。この生成物は、NMRによって1−(2,4−ジメトキシ−フェニル)−1−(4−メトキシ)−2−プロピン−1−オールと一致する構造を有することが示された。
【0121】
(工程2)
実施例6の手順の中間体である2−エトキシ−ベンゾ[h]キノリン−4−オール(2g)、および2.5gの工程1からの1−(2,4−ジメトキシ−フェニル)−1−(4−メトキシ−フェニル)−2−プロピン−l−オール(2.5g)を100m+のクロロホルムを含む反応フラスコに添加し、そして室温で窒素雰囲気下で攪拌した。この反応混合物にエーテル中の三フッ化ホウ素を数滴添加し、24時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、ジクロロメタン/ヘキサン(80:20体積比)から再結晶化させて、12−エトキシ−3−(2,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−3H−ベンゾ[h]ピラノ(3,2−c]キノリンの構造と一致するNMRスペクトルを有する生成物を得た。
【0122】
(実施例15)
β−フェニルシンナムアルデヒド(5.9g)、無水MgSO(l0g)および30mLのピリジンを反応フラスコに添加し、攪拌しながら沸騰するまで加熱した。30mLピリジン中の4−ヒドロキシ−1−メチル−2(1H)−キノロン(5.0g)の溶液をこの沸騰混合物に60分の時間間隔をかけて、攪拌しながら添加した。得られた混合物を攪拌し、そして別に15分間還流させてピリジンを蒸発させた。水およびエーテルを添加し、このエーテル溶液を希酸で抽出し、続いて希NaHCO溶液で抽出した。溶媒の蒸発に続いて、フラッシュカラム分離を介して残渣を精製した。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、この生成物が、2,2−ジフェニル−6−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン−5−オンに一致する構造を有することを示した。
【0123】
(実施例16)
光互変性能試験は、パートAにおける、本発明の実施例を用いた光互変ポリマー試験サンプルの調製、およびパートBに記載するような、光互変性能を試験する工程を包含する。
【0124】
(パートA)
実施例1〜15に記載される光互変化合物を用いて試験サンプルの調製を行った。実施例2〜14の試験正方形(test square)については、1.5×10−3モル溶液を得るために計算された光互変化合物の量を、4部のエトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート(BPA 2EO DMA)、1部のポリ(エチレングリコール)600ジメタクリレート、および0.033重量パーセントの2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)(AIBN)のモノマーブレンド50gを含むフラスコに添加した。実施例1および15の試験正方形については、使用された光互変化合物の量は、それぞれ、実施例2〜14で使用された量の25%および50%であった。各試験正方形について光互変化合物を、必要な場合攪拌および穏やかな加熱によって、モノマーブレンド中に溶解した。透明な溶液が得られた後、これを2.2mm×6インチ(15.24cm)×6インチ(15.24cm)の内寸を有する平らなシート状の型に注いだ。この型を密封し、水平な気流の、プログラム式オーブン(温度を5時間かけて40℃〜95℃に上昇させ、その温度を95℃で3時間保持し、2時間の間隔をかけて60℃まで下げ、次いで60℃で6時間まで保持するようにプログラムされた)の中に置いた。型を開けた後、このポリマーシートをダイヤモンド刃の鋸で2インチ(5.1センチメートル)の試験正方形に切断した。
【0125】
(パートB)
パートAで調製された光互変異性試験正方形を、以下に記載されるように、光学台AまたはB上で光互変反応について試験した。この光学台を72F(22℃)の温度で維持した。
【0126】
光学台上で試験する前に、光互変異性試験正方形をランプから約6インチ(15cm)の距離で365nmの紫外光に15分間暴露し、光互変化合物を活性化させた。次いで、サンプルをオーブン中に75℃で15分間置いて、サンプル中の光互変化合物を漂白または不活性化させた。次いで、試験正方形を、蛍光室内照明(約100ルクス)に少なくとも2時間暴露しながら室温に冷却し、次いで、光学台上で試験する前に、別に2時間室温で被覆した。
【0127】
実施例1〜7、13および15の試験正方形のために、光学台Aを使用した。これに250ワットのキセノンアークランプ、リモートコントロールシャッター、アークランプのための熱だめとして働く加熱硫化銅浴、短波長の放射を除去するSchott WG−320nmカットオフフィルター;濃度フィルター(neutral density filter)、および試験されるべき正方形が挿入されるサンプルホルダーを取付けた。光学ベンチの電力出力(すなわち、サンプルレンズが暴露される光量)を、参照標準として使用された光互変試験正方形を用いて較正した。これは、約1.4〜1.9ワット/平方メートル(W/m)の範囲の電力出力を生じた。電力出力の測定は、UV−A検出器(シリアル番号22411)もしくは同等の機器を備えるGRASEBY Optronics Model S−371ポータブル光度計(シリアル番号21536)を用いて行われた。UV−A検出器は、サンプルホルダー中に配置され、そして光出力が測定された。電力出力に対する調節を、ランプのワット数を上昇もしくは低下させることによってか、または濃度フィルターを光路に追加するかもしくは光路から除去することによって行った。
【0128】
モニター用の、タングステンランプからの光の平行ビームは、上記正方形の法線に対して浅い角度(約30°)でこの正方形を通過した。この正方形を通過した後、タングステンランプからの光を、測定されている光互変化合物の予め決定された可視λ(最大)で設定されたSpectral Energy Corp.のGM−200モノクロメーターを通して検出器のほうに向けた。実施例1および15の試験正方形については、可視λ(最大)を450ナノメートル(nm)に設定した。検出器からの出力信号を放射計で処理した。
【0129】
上記試験正方形をサンプルホルダー内に漂白した状態で挿入し、透過率スケールを100%に調節し、キセノンランプからのシャッターを開放してUV線を提供し、試験正方形を漂白状態から活性化(すなわち、暗化した)状態へと変化させ、15分後に活性化状態の透過率を測定し、そして以下の式に従って光学濃度の変化を計算することによって、光学濃度の変化(ΔOD)を決定した:ΔOD=log(100/%Ta)(ここで、%Taは、活性化状態でのパーセント透過率であり、対数は、底10に対する)。全ての計算には、LABTECH NOTEBOOKproソフトウェアを使用した。
【0130】
実施例1〜7、13および15の試験正方形中の光互変化合物の性能特性を表1に報告する。
【0131】
光学台Bを、実施例8〜12および14の試験正方形のために使用した。これは、300ワットキセノンアークランプが固定されたレール、リモートコントロールシャッター、短波長放射を除去するSchott 3mm KG−2バンドパスフィルター、濃度フィルター、サンプル温度を維持するための水晶水用セル/サンプルホルダー(この中に試験されるべき試験サンプルが挿入される)を備えていた。
【0132】
3.0ワット/mに調節された電力出力を有する光学台B上で測定を行った。電力出力の測定を、放射計検出器(モデル番号:SED 033;シリアル番号:5886)または同等の機器を備えたInternational Light Research Radiometer(モデル番号:IL1700;シリアル番号:1290)を用いて行った。この放射計を、レール上の光学的レールキャリアに正しい焦点長で配置し、そして光出力を測定した。電力出力に対する調節を、ランプのワット数を上昇または低下させることによってか、または濃度フィルターを光路に追加するかもしくは光路から除去することによって行った。
【0133】
実施例8〜12および14の試験正方形を、キセノンアークランプを用いて、試験正方形の表面の法線に対して30°でUV照射に暴露した。モニター用の、試験サンプルに対して垂直に維持されたタングステン/ハロゲンランプからの光の平行ビームは、これを通り、次いで分光光度計に取付けられた積分球に直接入る。この積分球は、試験サンプルを通るモニター用の光を全て集めて混合するためのデバイスである。試験条件の制御およびデータの取得を、Ocean Optics,Inc.によって提供されるOOI Base 32ソフトウェアと組み合わせた独自のプログラムによって操作した。
【0134】
光学台B上の試験正方形の光学濃度の変化(ΔOD)を、光学台A上で行った手順と同様の手順を用いて決定した。実施例8〜12および14の試験正方形における光互変性能試験の結果は、表1に含まれる。
【0135】
実施例の試験正方形を試験するために使用されたそれぞれの光学台において、退色半減期(Fade Half Life)(T1/2)を決定した。退色半減期は、試験正方形中の光互変化合物の活性化形態のΔODについての、活性光の光源の除去(例えば、シャッターの閉鎖による)の後に、72F(22℃)で15分の活性化の後に測定された最大ΔODの1/2に達する時間間隔(秒)である。
【0136】
λ(最大)値を決定するため、Varian Cary 3 UV−可視分光光度計または同等の装置を使用した。UV範囲におけるλ(最大)(Δ最大(UV))は、光互変化合物の吸収が起こる、可視スペクトルに最も近いUV範囲の波長である。可視光範囲におけるλ(最大)(Δ最大(可視))は、光互変化合物の活性化形態の最大吸収が起こる、可視スペクトルの波長である。実施例1〜15の試験正方形についてのλ(最大)値は、表1に含まれる。
【0137】
(表1)
【0138】
【表1】

*光学台Aのために使用された手順に従って試験された
**光学台Bのために使用された手順に従って試験された
表1の結果は、本発明の実施例の化合物1〜15から得られたλ(最大)(可視およびUV)、15分後の飽和状態のΔOD、退色半減期(T1/2)についての値の範囲を示す。これらは、2位、5位、6位、7位、8位、9位、および/または10位の炭素環原子における置換基の性質に依存する。実施例1についてのλ(最大)(可視およびUV)の結果は、サンプル中の互変異性体の存在に起因して等しいのであると考えられる。
【0139】
本発明は、それらの特定の実施形態の具体的な詳細を参照して記載された。このような詳細が、付随する特許請求の範囲に含まれる程度の範囲を除いて、本発明の範囲に対する限定としてはみなされないことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピラノ[3,2−c]キノリン構造、ピラノ[3,2−c]キノリノン構造によってか、またはそれらの混合物によって表される少なくとも一種の物質を含む組成物であって;該ピラノ[3,2−c]キノリン構造は、6位環原子において窒素原子を、そして5位環原子においてオキシ置換体を含み;該ピラノ[3,2−c]キノリノン構造は、6位環原子において置換された窒素原子を、そして5位環原子においてオキシ置換基を含み、該窒素置換基は、水素、脂肪族置換基、脂環式置換基、芳香族置換基、ヘテロ芳香族置換基またはそれらの組み合わせから選択され;そしてここで、該ピラノ[3,2−c]キノリン構造およびピラノ[3,2−c]キノリノン構造の各々の2位の環原子は、脂肪族置換基、脂環式置換基、芳香族置換基、ヘテロ芳香族置換基またはそれらの組み合わせから各々独立に選択される2つの置換基を含み、ただし、該2位環原子における置換基が両方とも脂肪族であることはなく;あるいは該2位環原子における2つの置換基は、組み合わさってスピロ環式基を形成し、ただし、該スピロ環式基は、ノルボルニリデンでもビシクロ[3.3.1]9−ノニリデンでもなく;該環原子は、国際純正および応用化学連合の命名規則に従って番号を付けられており、該ピラン環の酸素原子である1位環原子から開始し、そしてそこから反時計回りに番号を付けられている、組成物。
【請求項2】
少なくとも部分的に硬化されたポリマー有機ホスト、および少なくとも光互変量の請求項1に記載の組成物を含有する、光互変物品。
【請求項3】
基材と、光互変ポリマーコーティングの少なくとも部分的なコーティングとを備える光互変物品であって、該光互変ポリマーコーティングは、フィルム形成ポリマーと少なくとも光互変量の請求項1に記載の組成物とを含む、物品。
【請求項4】
以下の構造式:
【化1】

のうちの少なくとも1つまたはそれらの混合物によって表される、少なくとも1種の物質を含有する、組成物であって、
ここで、
(a)R11は、以下:
(i)水素、C〜C12アルキル、C〜C12アシル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ベンゾイル、一置換ベンゾイル、ナフトイルまたは一置換ナフトイル;該ベンゾイル置換基および該ナフトイル置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される;
(ii)−CH(R)Qであって、ここで、Rは、水素またはC〜C12アルキルから選択され、そしてQは、−CN、−CF、または−COORから選択され、そしてRは、水素またはC〜C12アルキルから選択される、−CH(R)Q;あるいは
(iii)−C(O)Vであって、ここでVは、水素、C〜C12アルコキシ、フェノキシ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェノキシもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェノキシ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェノキシもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェノキシ、非置換アリール基、一置換アリール基もしくは二置換アリール基、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノ、またはモノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノから選択され;該アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−C(O)V、
から選択され、
(b)各Rは、独立に、以下:
(i)水素、ヒドロキシ、C〜C12アルキル、C〜C12アルキリデン、C〜C12アルキリジン、ビニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ベンジル、一置換ベンジル、ハロゲン、または−C(O)W基、ここでWは、ヒドロキシ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フェニル、一置換フェニル、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノであり;該アミノ置換基は、C〜C12アルキル、フェニル、ベンジルまたはナフチルであり;該ベンジル置換基およびフェニル置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシである;
(ii)フェニル、ナフチル、フェナントリル、ピレニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリルまたはインドリルからなる群より選択される、非置換、一置換、二置換または三置換の基であって;(ii)における該置換基の各々は、各出現について、ハロゲン、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、非置換、一置換、二置換または三置換の基;
(iii)一置換フェニルであって、該フェニルは、−(CH−または−O−(CH−である、パラ位に位置する置換基を有し、ここでtは、1、2、3、4、5または6から選択される整数であり;該置換基は、別の光互変物質上でアリール基に結合されている、一置換フェニル;
(iv)−ORであって、Rは、R11、トリ(C〜C12)アルキルシリル、トリ(C〜C12)アルコキシシリル、ジ(C〜C12)アルキル(C〜C12アルコキシ)シリルまたはジ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12アルキル)シリルから選択される、−OR
(v)−CH(Q’)であって、Q’は−CNまたは−COORから選択され、そしてRは、水素、C〜C12アルキル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され;該アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−CH(Q’)
(vi)−CH(R)Gであって、Rは、水素、C〜C12アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され、そしてGは、−COOR、−CORまたは−CHORから選択され;ここで、Rは、水素、C〜C12アルキル、非置換、一置換もしくは二置換のアリール基、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換ジフェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換ジフェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換ジフェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換ジフェニルアミノ、モルホリノまたはピペリジノから選択され、Rは、水素、−C(O)R、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され、該アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−CH(R)G;
(vii)以下の式:
−Z[(OC(OC(OC]Z’または
−[(OC(OC(OC]Z’
によって表される、T基であって、
ここで、−Zは、−C(O)−または−CH−から選択され、Z’は、C〜C12アルコキシまたは重合可能な基から選択され、x、yおよびzは、各々、0と50との間の数であり、そしてx、yおよびzの合計は、2と50との間である、T基;
(viii)−SR10であって、R10は、C〜C12アルキル、アリール、一置換もしくは二置換アリールから選択され、そして該アリール置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはハロゲンから独立に選択される、−SR10
(ix)−N(R11)R12であって、ここでR12は、本請求項において以前に記載されたR11と等しい、−N(R11)R12
(x)以下の構造式IIA:
【化2】

によって表される、窒素を含む環であって、
ここで、各Yは、各出現について、−CH−、−CH(R13)−、−C(R13)(R13)−、−CH(アリール)−、−C(アリール)−または−C(R13)(アリール)−から独立に選択され;Xは、−Y−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−NH−、−NR13−または−N−アリールであり;R13は、C〜C12アルキルであり;該アリール基は、フェニルまたはナフチルであり、mは、1、2または3から選択される整数であり、そしてpは、0、1、2または3から選択される整数であり;ただし、pが0である場合、XはYである、窒素を含む環;
(xi)以下の構造式IIBまたはIIC:
【化3】

のうちの1つによって表される基であって、
ここで、R15、R16およびR17は、各々の式における各出現について、水素、C〜C12アルキル、フェニルもしくはナフチルから各々独立に選択されるか;またはR15基およびR16基は、一緒になって、5〜8個の炭素原子の環を形成し、R14は、各出現について、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシもしくはハロゲンから独立に選択され、そしてvは、0、1もしくは2から選択される整数である、基;
(xii)非置換、一置換もしくは二置換のC〜C18スピロ二環式アミン;
(xiii)非置換、一置換もしくは二置換のC〜C18スピロ三環式アミン;(xii)および(xiii)について該置換基は、各出現について、アリール、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはフェニル(C〜C12)アルキルから独立に選択される;あるいは
(xiv)隣接するR置換基であって、該置換基は、一緒になって、以下の構造式IID、IIE、またはIIF:
【化4】

の1つを形成し:
ここで、JおよびKは、各式における各出現について、酸素もしくは−NR11−から独立に選択され、R11、R14、R15およびR16は、各々、本請求項において以前に記載されたものと等しく、そしてnは、0、1、2、3または4から選択される整数である、R置換基;
から選択され、
(c)Rは、本請求項において以前に(b)(iv)に記載されたものと等しく;そして
(d)BおよびB’は、各々独立して、以下:
(i)モノ−T−置換フェニルであって、ここで、該T基は、以下の式:
−Z[(OC(OC(OC]Z’または
−[(OC(OC(OC]Z’
によって表され、ここで、−Zは、−C(O)−もしくは−CH−であり、Z’は、C〜C12アルコキシまたは重合可能な基であり、x、yおよびzは、各々、0と50との間の数であり、そしてx、yおよびzの合計は、2と50との間である、モノ−T−置換フェニル;
(ii)非置換、一置換、二置換もしくは三置換のアリール基;
(iii)9−ジュロリジニル、または、ピリジル フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾイル、ベンゾピリジル、インドリニルもしくはフルオレニルから選択される、非置換、一置換、もしくは二置換のヘテロ芳香族基であって、(ii)および(iii)における該アリール置換基およびヘテロ芳香族置換基の各々は、ヒドロキシ、本請求項において以前に定義された基である−C(O)W、アリール、モノ(C〜C12)アルコキシアリール、ジ(C〜C12)アルコキシアリール、モノ(C〜C12)アルキルアリール、ジ(C〜C12)アルキルアリール、ハロアリール、C〜Cシクロアルキルアリール、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキルオキシ、C〜Cシクロアルキルオキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキルオキシ(C〜C12)アルコキシ、アリール(C〜C12)アルキル、アリール(C〜C12)アルコキシ、アリールオキシ、アリールオキシ(C〜C12)アルキル、アリールオキシ(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキルもしくはジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキルもしくはジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシもしくはジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシもしくはジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシ、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C〜C12)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、C〜C12アルキル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アルキリデン、モノ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12)アルキル、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、またはハロゲンから独立に選択される、非置換、一置換、もしくは二置換のヘテロ芳香族基;
(iv)ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニル、またはアクリジニルから選択される非置換もしくは一置換の基であって、該置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フェニル、またはハロゲンから独立に選択される、非置換もしくは一置換の基;
(v)一置換フェニルであって、該フェニルは、(CH−または−O−(CH−である、パラ位に位置する置換基を有し、ここでtは、整数1、2、3、4、5または6から選択され、該置換基は、別の光互変物質上でアリール基に結合されている、一置換フェニル;
(vi)以下の構造式IIGまたはIIH:
【化5】

のうちの1つによって表される基であって、
ここで、Aは、各式において、メチレンまたは酸素から独立して選択され、そしてDは、各式において、酸素または置換された窒素から独立して選択され、ただし、Dが置換された窒素である場合、Aはメチレンであり;該窒素置換基は、水素、C〜C12アルキル、またはC〜C12アシルから選択され;各R19は、各式における各出現について、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ヒドロキシ、またはハロゲンから独立に選択され;R17およびR18は、各々、各式において、水素またはC〜C12アルキルから独立して選択され;そしてqは、整数0、1または2から選択される、基;
(vii)C〜C12アルキル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ(C〜C)シクロアルキル、モノ(C〜C12)アルキル(C〜C)−シクロアルキル、ハロ(C〜C)シクロアルキル、またはC〜C12ビシクロアルキル、ただし、BおよびB’の両方が(vii)から選択されることはない;
(viii)以下の構造式IIJ:
【化6】

によって表される基であって、
ここで、Lは、水素またはC〜C12アルキルから選択され、そしてMは、ナフチル、フェニル、フラニル、またはチエニルから選択される非置換、一置換または二置換の基から選択され;該基置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、またはハロゲンから独立に選択される、基;あるいは
(ix)BおよびB’であって、一緒になって、フルオレン−9−イリデン、一置換フルオレン−9−イリデンもしくは二置換フルオレン−9−イリデン、または飽和C〜C12スピロ単環式炭化水素環、飽和C〜C12スピロ二環式炭化水素環もしくは飽和C〜C12スピロ三環式炭化水素環から選択されるスピロ環式基を形成し、ただし、該スピロ環式基は、ノルボルニリデンまたはビシクロ[3.3.1]9−ノニリデンではなく、該フルオレン−9−イリデン置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはハロゲンから独立に選択される、BおよびB’
から選択される、
組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の組成物であって、以下:
(a)R11は、水素、C〜C12アルキル、C〜C12アシル、フェニル(C〜C12)アルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキルまたは−CH(R)Qから選択され、ここでRは、水素またはC〜C12アルキルから選択され、そしてQは、−COORであり、そしてRが、C〜C12アルキルであり;
(b)Rが、各出現について、以下:
(i)水素、ヒドロキシ、C〜C12アルキル、ビニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ベンジルまたは一置換ベンジル;該ベンジル置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシである;
(ii)フェニルまたは一置換フェニル;(ii)における該フェニル置換基の各々は、各出現について、クロロ、フルオロ、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される;
(iii)一置換フェニルであって、該フェニルは、−O−(CH−である、パラ位に位置する置換基を有し、ここでtは、整数1、2、3または4から選択され、該置換基は、別の光互変物質上でアリール基に結合されている、一置換フェニル;
(iv)−ORであって、RはR11から選択される、−OR
(v)−CH(Q’)であって、Q’は−COORであり、そしてRはC〜C12アルキルである、−CH(Q’)
(vi)−CH(R)Gであって、Rは水素またはC〜C12アルキルであり、そしてGは、−COORまたは−CHORであり、ここで、RはC〜C12アルキルであり、そしてRはC〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキルである、−CH(R)G;
(vii)以下の式:
−Z[(OC(OC(OC]Z’または
−[(OC(OC(OC]Z’
で表される、T基であって、
ここで、−Zは−CH−であり、Z’はC〜C12アルコキシまたは重合可能な基であり、x、yおよびzは、各々、0と20との間の数であり、そしてx、yおよびzの合計は、2と20との間である、T基;
(viii)−SR10であって、R10はC〜C12アルキルである、−SR10
(ix)−N(R11)R12であって、R12は本請求項において以前に記載されたR11と等しい、−N(R11)R12
(x)以下の構造式IIA:
【化7】

によって表される、窒素を含む環であって、
ここで、各Yは、各出現について、−CH−または−CH(R13)−から独立して選択され;Xは、−Y−、−O−、−S−、−NH−、−NR13−または−N−アリールであり;R13は、C〜C12アルキルであり;mは、整数1、2または3であり、そしてpは、0、1、2または3から選択される整数であり;ただし、pが0である場合、XはYである、窒素を含む環;
(xi)以下の構造式IIBまたはIIC:
【化8】

のうちの1つによって表される基であって、
ここで、R15、R16およびR17は、各々、各式における各出現について、水素またはC〜C12アルキルから独立に選択され、R14は、各出現について、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フルオロまたはクロロから独立して選択され、そしてvは、整数0、1または2から選択される、基;あるいは
(xii)隣接するR置換基であって、該置換基は、一緒になって、以下の構造式IIDまたはIIF
【化9】

のうちの1つを形成し:
ここで、JおよびKは、各式における各出現について、酸素または−NR11−から独立に選択され、ここで、R11、R14、R15およびR16は、各々、本請求項において以前に記載されたものと等しい、置換基;
から独立して選択され、
(c)Rは、R11から選択され;そして
(d)BおよびB’は、各々、以下:
(i)フェニル、一置換フェニル、および二置換フェニル;
(ii)非置換、一置換、および二置換のヘテロ芳香族基のフラニル、ベンゾフラン−2−イル、チエニルおよびベンゾチエン−2−イル、(i)および(ii)における該フェニルおよびヘテロ芳香族置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシおよびフルオロから選択される;あるいは
(iii)構造式IIGによって表される基であって、ここで、Aは炭素であり、そしてDは酸素であり、R19はC〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシであり、R17およびR18は、各々、水素またはC〜C12アルキルであり、そしてqは、整数0または1である、基、
から選択される、
組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の物質が、以下の構造式:
【化10】

によって表される物質の異性体混合物を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記物質の異性体混合物が、以下:
(a)2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン−5−オール;および
(b)2,2−ジフェニル−5,6−ジヒドロ−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン−5−オン
の混合物を含有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項4に記載の組成物であって、前記少なくとも1種の物質が、以下:
(a)単一の光互変化合物;
(b)光互変化合物の混合物;
(c)少なくとも1種の光互変化合物を含む物質;
(d)少なくとも1種の光互変化合物が化学的に結合されている物質;
(e)カプセル化するコーティングをさらに含有する、該物質(c)または(d);
(f)光互変ポリマー;または
(g)これらの混合物
から選択される光互変物質である、組成物。
【請求項9】
光互変組成物であって、以下:
(a)5−メトキシ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(b)5−エトキシ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(c)5−エトキシ−9−メトキシ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(d)5−エトキシ−7−メトキシ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(e)12−エトキシ−3,3−ジフェニル−3H−ベンゾ[h]ピラノ[3,2−c]キノリン;
(f)5−エトキシ−7,9−ジメトキシ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(g)5−エトキシ−9−フルオロ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(h)5−エトキシ−7−フルオロ−2,2−ジフェニル−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(i)2−(2,4−ジメトキシフェニル)−5−エトキシ−9−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(j)12−エトキシ−3−(2−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシ)−3H−ベンゾ[h]ピラノ[3,2−c]キノリン;
(k)5−エトキシ−2−(2−フルオロフェニル)−9−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン;
(1)5−エトキシ−3−(2−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシ)−2H−[1,3]−ジオキソロ[4,5−g]プラノ[3,2−c]キノリン;
(m)12−エトキシ−3−(2,4−ジメトキシフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−3H−ベンゾ[h]ピラノ[3,2−c]キノリン;
(n)2,2−ジフェニル−6−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン−5−オン;または
(p)それらの混合物、
から選択される少なくとも1つの化合物を含有する、光互変組成物。
【請求項10】
光互変物品であって、少なくとも部分的に硬化された有機ポリマーホスト、および以下の構造式:
【化11】

のうちの少なくとも1つによって表される少なくとも1種の物質またはそれらの混合物を含む、光互変量の組成物を含有し、ここで、
(a)R11は、以下:
(i)水素、C〜C12アルキル、C〜C12アシル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ベンゾイル、一置換ベンゾイル、ナフトイルまたは一置換ナフトイル;該ベンゾイル置換基および該ナフトイル置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される;
(ii)−CH(R)Qであって、ここで、Rは、水素またはC〜C12アルキルから選択され、そしてQは、−CN、−CF、または−COORから選択され、そしてRは、水素またはC〜C12アルキルから選択される、−CH(R)Q;あるいは
(iii)−C(O)Vであって、ここでVは、水素、C〜C12アルコキシ、フェノキシ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェノキシもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェノキシ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェノキシもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェノキシ、非置換アリール基、一置換アリール基もしくは二置換アリール基、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノ、またはモノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノから選択され;該アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−C(O)V、
から選択され、
(b)各Rは、独立に、以下:
(i)水素、ヒドロキシ、C〜C12アルキル、C〜C12アルキリデン、C〜C12アルキリジン、ビニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ベンジル、一置換ベンジル、ハロゲン、または−C(O)W基、ここでWは、ヒドロキシ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フェニル、一置換フェニル、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノであり;該アミノ置換基は、C〜C12アルキル、フェニル、ベンジルまたはナフチル;該ベンジル置換基およびフェニル置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシである;
(ii)フェニル、ナフチル、フェナントリル、ピレニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリルまたはインドリルから選択される、非置換、一置換、二置換または三置換の基であって;(ii)における該置換基の各々は、各出現について、ハロゲン、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、非置換、一置換、二置換または三置換の基;
(iii)一置換フェニルであって、該フェニルは、−(CH−または−O−(CH−である、パラ位に位置する置換基を有し、ここでtは、1、2、3、4、5または6から選択される整数であり;該置換基は、別の光互変物質上でアリール基に結合されている、一置換フェニル;
(iv)−ORであって、Rは、R11、トリ(C〜C12)アルキルシリル、トリ(C〜C12)アルコキシシリル、ジ(C〜C12)アルキル(C〜C12)アルコキシ)シリルまたはジ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12アルキル)シリルから選択される、−OR
(v)−CH(Q’)であって、Q’は−CNまたは−COORから選択され、そしてRは、水素、C〜C12アルキル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され;該アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−CH(Q’)
(vi)−CH(R)Gであって、Rは、水素、C〜C12アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され、そしてGは、−COOR、−CORまたは−CHORから選択され;ここで、Rは、水素、C〜C12アルキル、非置換、一置換もしくは二置換のアリール基、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換ジフェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換ジフェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換ジフェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換ジフェニルアミノ、モルホリノまたはピペリジノであり、Rは、水素、−C(O)R、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され、該アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−CH(R)G;
(vii)以下の式:
−Z[(OC(OC(OC]Z’または
−[(OC(OC(OC]Z’
によって表される、T基であって、
ここで、−Zは、−C(O)−または−CH−から選択され、Z’は、C〜C12アルコキシまたは重合可能な基から選択され、x、yおよびzは、各々、0と50との間の数であり、そしてx、yおよびzの合計は、2と50との間である、T基;
(viii)−SR10であって、R10は、C〜C12アルキル、アリール、一置換もしくは二置換のアリールから選択され、そして該アリール置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはハロゲンから独立に選択される、−SR10
(ix)−N(R11)R12であって、ここでR12は、本請求項において以前に記載されたR11と等しい、−N(R11)R12
(x)以下の構造式IIA:
【化12】

によって表される、窒素を含む環であって、
ここで、各Yは、各出現について、−CH−、−CH(R13)−、−C(R13)(R13)−、−CH(アリール)−、−C(アリール)−または−C(R13)(アリール)−から独立に選択され;Xは、−Y−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−NH−、−NR13−または−N−アリールであり;R13は、C〜C12アルキルであり;該アリール基は、フェニルまたはナフチルであり、mは、1、2または3から選択される整数であり、そしてpは、0、1、2または3から選択される整数であり;ただし、pが0である場合、XはYである、窒素を含む環;
(xi)以下の構造式IIBまたはIIC:
【化13】

のうちの1つによって表される基であって、
ここで、R15、R16およびR17は、各々の式における各出現について、水素、C〜C12アルキル、フェニルもしくはナフチルから各々独立に選択されるか;またはR15基およびR16基は、一緒になって、5〜8個の炭素原子の環を形成し、R14は、各出現について、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシもしくはハロゲンから独立に選択され、そしてvは、0、1もしくは2から選択される整数である、基;
(xii)非置換、一置換もしくは二置換のC〜C18スピロ二環式アミン;
(xiii)非置換、一置換もしくは二置換のC〜C18スピロ三環式アミン;(xii)および(xiii)について該置換基は、各出現について、アリール、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはフェニル(C〜C12)アルキルから独立に選択される;あるいは
(xiv)隣接するR置換基であって、該置換基は、一緒になって、以下の構造式IID、IIE、またはIIF:
【化14】

を形成し:
ここで、JおよびKは、各式における各出現について、酸素もしくは−NR11−から独立に選択され、R11、R14、R15およびR16は、各々、本請求項において以前に記載されたものと等しく、そしてnは、0、1、2、3または4から選択される整数である、R置換基;
から選択され、
(c)Rは、本請求項において以前に(b)(iv)に記載されたものと等しく;そして
(d)BおよびB’は、各々独立して、以下:
(i)モノ−T−置換フェニルであって、ここで、該T基は、以下の式:
−Z[(OC(OC(OC]Z’または
−[(OC(OC(OC]Z’
によって表され、ここで、−Zは、−C(O)−もしくは−CH−であり、Z’は、C〜C12アルコキシまたは重合可能な基であり、x、yおよびzは、各々、0と50との間の整数であり、そしてx、yおよびzの合計は、2と50との間である、モノ−T−置換フェニル;
(ii)非置換、一置換、二置換もしくは三置換のアリール基;
(iii)9−ジュロリジニル、または、ピリジル フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾイル、ベンゾピリジル、インドリニルもしくはフルオレニルから選択される、非置換、一置換、もしくは二置換のヘテロ芳香族基であって、(ii)および(iii)における該アリール置換基およびヘテロ芳香族置換基の各々は、ヒドロキシ、本請求項において以前に定義された基である−C(O)W、アリール、モノ(C〜C12)アルコキシアリール、ジ(C〜C12)アルコキシアリール、モノ(C〜C12)アルキルアリール、ジ(C〜C12)アルキルアリール、ハロアリール、C〜Cシクロアルキルアリール、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキルオキシ、C〜Cシクロアルキルオキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキルオキシ(C〜C12)アルコキシ、アリール(C〜C12)アルキル、アリール(C〜C12)アルコキシ、アリールオキシ、アリールオキシ(C〜C12)アルキル、アリールオキシ(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキルもしくはジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキルもしくはジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシもしくはジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシもしくはジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシ、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C〜C12)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、C〜C12アルキル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アルコキシ、モノ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12)アルキル、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、またはハロゲンから独立して選択される、非置換、一置換、もしくは二置換のヘテロ芳香族基;
(iv)ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニル、またはアクリジニルから選択される非置換もしくは一置換の基であって、該置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フェニル、またはハロゲンから独立に選択される、非置換もしくは一置換の基;
(v)一置換フェニルであって、該フェニルは、−(CH−または−O−(CH−である、パラ位に位置する置換基を有し、ここでtは、整数1、2、3、4、5または6から選択され、該置換基は、別の光互変物質上でアリール基に結合されている、一置換フェニル;
(vi)以下の構造式IIGまたはIIH:
【化15】

のうちの1つによって表される基であって、
ここで、Aは、各式において、メチレンまたは酸素から独立して選択され、そしてDは、各式において、酸素または置換された窒素から独立して選択され、ただし、Dが置換された窒素である場合、Aはメチレンであり;該窒素置換基は、水素、C〜C12アルキル、またはC〜C12アシルから選択され;各R19は、各式における各出現について、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ヒドロキシ、またはハロゲンから独立に選択され;R17およびR18は、各々、各式において、水素またはC〜C12アルキルから独立して選択され;そしてqは、整数0、1または2から選択される、基;
(vii)C〜C12アルキル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ(C〜C)シクロアルキル、モノ(C〜C12)アルキル(C〜C)−シクロアルキル、ハロ(C−C)シクロアルキル、またはC〜C12ビシクロアルキル、ただし、BおよびB’の両方が(vii)から選択されることはない;
(viii)以下の構造式IIJ:
【化16】

によって表される基であって、
ここで、Lは、水素またはC〜C12アルキルから選択され、そしてMは、ナフチル、フェニル、フラニル、またはチエニルから選択される非置換、一置換または二置換の基から選択され;該基置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、またはハロゲンから独立に選択される、基;あるいは
(ix)BおよびB’であって、一緒になって、フルオレン−9−イリデン、一置換フルオレン−9−イリデンもしくは二置換フルオレン−9−イリデン、または飽和C〜C12スピロ単環式炭化水素環、飽和C〜C12スピロ二環式炭化水素環もしくは飽和C〜C12スピロ三環式炭化水素環から選択されるスピロ環式基を形成し、ただし、該スピロ環式基は、ノルボルニリデンまたはビシクロ[3.3.1]9−ノニリデンではなく、該フルオレン−9−イリデン置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはハロゲンから独立に選択される、BおよびB’、
から選択される、
光互変物品。
【請求項11】
請求項10に記載の光互変物品であって、前記少なくとも1種の物質を含む組成物が、400ナノメートルと700ナノメートルとの間の範囲内に少なくとも1つの活性化吸収極大値を備える、少なくとも1種の他の異なる光互変物質をさらに含む、光互変物品。
【請求項12】
前記少なくとも1種の他の異なる光互変物質が、クロメン、スピロピラン、オキサジン、有機金属のジチゾネート、フルギド、フルギミドまたはこれらの混合物から選択される、請求項11に記載の光互変物品。
【請求項13】
前記少なくとも部分的に硬化された有機ポリマーホストが、熱硬化有機ポリマー物質または熱可塑性有機ポリマー物質から選択される、請求項10に記載の光互変物品。
【請求項14】
前記少なくとも部分的に硬化された有機ポリマーホストが、以下:
ポリ(メト)アクリレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリ(尿素−ウレタン)熱可塑性ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(αメチルスチレン)、コポリ(スチレン−メチルメタクリレート)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、ポリビニルブチラール、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、ポリスチレン、あるいは、以下:ビス(アリルカーボネート)モノマー、スチレンモノマー、ジイソプロペニルベンゼンモノマー、ビニルベンゼンモノマー、ジアリリデンペンタエリスリトールモノマー、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、ビニルアセテートモノマー、アクリロニトリルモノマー、一官能性もしくは多官能性(メト)アクリレートモノマー、またはこれらの混合物から選択されるモノマーのポリマー、
から選択される、請求項10に記載の光互変物品。
【請求項15】
前記少なくとも部分的に硬化された有機ポリマーホストが光学素子である、請求項10に記載の光互変物品。
【請求項16】
前記光学素子が眼科用レンズである、請求項15に記載の光互変物品。
【請求項17】
基材と、光互変ポリマーコーティングの少なくとも部分的なコーティングとを備える光互変物品であって、該光互変ポリマーコーティングは、フィルム形成ポリマーと少なくとも光互変量の組成物とを含み、該組成物は、以下の構造式:
【化17】

のうちの少なくとも1つによって表される少なくとも一つの物質またはそれらの混合物を含み、
ここで、
(a)R11は、以下:
(i)水素、C〜C12アルキル、C〜C12アシル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ベンゾイル、一置換ベンゾイル、ナフトイルまたは一置換ナフトイル;該ベンゾイル置換基および該ナフトイル置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される;
(ii)−CH(R)Qであって、ここで、Rは、水素またはC〜C12アルキルから選択され、そしてQは、−CN、−CF、または−COORから選択され、そしてRは、水素またはC〜C12アルキルから選択される、−CH(R)Q;あるいは
(iii)−C(O)Vであって、ここでVは、水素、C〜C12アルコキシ、フェノキシ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェノキシもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェノキシ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェノキシもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェノキシ、非置換アリール基、一置換アリール基もしくは二置換アリール基、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノ、またはモノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノから選択され;該アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−C(O)V、
から選択され、
(b)各Rは、独立に、以下:
(i)水素、ヒドロキシ、C〜C12アルキル、C〜C12アルキリデン、C〜C12アルキリジン、ビニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ベンジル、一置換ベンジル、ハロゲン、または−C(O)W基、ここでWは、ヒドロキシ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フェニル、一置換フェニル、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノであり;該アミノ置換基は、C〜C12アルキル、フェニル、ベンジルまたはナフチルであり;該ベンジル置換基およびフェニル置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシである;
(ii)フェニル、ナフチル、フェナントリル、ピレニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリルまたはインドリルから選択される、非置換、一置換、二置換または三置換の基であって;(ii)における該置換基の各々は、各出現について、ハロゲン、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、非置換、一置換、二置換または三置換の基;
(iii)一置換フェニルであって、該フェニルは、−(CH−または−O−(CH−である、パラ位に位置する置換基を有し、ここでtは、1、2、3、4、5または6から選択される整数であり;該置換基は、別の光互変物質上でアリール基に結合されている、一置換フェニル;
(iv)−ORであって、Rは、R11、トリ(C〜C12)アルキルシリル、トリ(C〜C12)アルコキシシリル、ジ(C〜C12)アルキル(C〜C12アルコキシ)シリルまたはジ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12アルキル)シリルから選択される、−OR
(v)−CH(Q’)であって、Q’は−CNまたは−COORから選択され、そしてRは、水素、C〜C12アルキル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され;該アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−CH(Q’)
(vi)−CH(R)Gであって、Rは、水素、C〜C12アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され、そしてGは、−COOR、−CORまたは−CHORから選択され;ここで、Rは、水素、C〜C12アルキル、非置換、一置換もしくは二置換のアリール基、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換ジフェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換ジフェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換ジフェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換ジフェニルアミノ、モルホリノまたはピペリジノから選択され、Rは、水素、−C(O)R、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され、該アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−CH(R)G;
(vii)以下の式:
−Z[(OC(OC(OC]Z’または
−[(OC(OC(OC]Z’
によって表される、T基であって、
ここで、−Zは、−C(O)−または−CH−から選択され、Z’は、C〜C12アルコキシまたは重合可能な基から選択され、x、yおよびzは、各々、0と50との間の数であり、そしてx、yおよびzの合計は、2と50との間である、T基;
(viii)−SR10であって、R10は、C〜C12アルキル、アリール、一置換もしくは二置換のアリールから選択され、そして該アリール置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはハロゲンから独立に選択される、−SR10
(ix)−N(R11)R12であって、ここでR12は、本請求項において以前に記載されたR11と等しい、−N(R11)R12
(x)以下の構造式IIA:
【化18】

によって表される、窒素を含む環であって、
ここで、各Yは、各出現について、−CH−、−CH(R13)−、−C(R13)(R13)−、−CH(アリール)−、−C(アリール)−または−C(R13)(アリール)−から独立に選択され;Xは、−Y−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−NH−、−NR13−または−N−アリールであり;R13は、C〜C12アルキルであり;該アリール基は、フェニルまたはナフチルであり、mは、1、2または3から選択される整数であり、そしてpは、0、1、2または3から選択される整数であり;ただし、pが0である場合、XはYである、窒素を含む環;
(xi)以下の構造式IIBまたはIIC:
【化19】

のうちの1つによって表される基であって、
ここで、R15、R16およびR17は、各々の式における各出現について、水素、C〜C12アルキル、フェニルもしくはナフチルから各々独立に選択されるか;またはR15基およびR16基は、一緒になって、5〜8個の炭素原子の環を形成し、R14は、各出現について、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシもしくはハロゲンから独立に選択され、そしてvは、0、1もしくは2から選択される整数である、基;
(xii)非置換、一置換もしくは二置換のC〜C18スピロ二環式アミン;
(xiii)非置換、一置換もしくは二置換のC〜C18スピロ三環式アミン;(xii)および(xiii)について該置換基は、各出現について、アリール、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはフェニル(C〜C12)アルキルから独立に選択される;あるいは
(xiv)隣接するR置換基であって、該置換基は、一緒になって、以下の構造式IID、IIE、またはIIF:
【化20】

のうちの1つを形成し:
ここで、JおよびKは、各式における各出現について、酸素もしくは−NR11−から独立に選択され、R11、R14、R15およびR16は、各々、本請求項において以前に記載されたものと等しく、そしてnは、0、1、2、3または4から選択される整数である、R置換基;
から選択され、
(c)Rは、本請求項において以前に(b)(iv)に記載されたものと等しく;そして
(d)BおよびB’は、各々独立して、以下:
(i)モノ−T−置換フェニルであって、ここで、該T基は、以下の式:
−Z[(OC(OC(OC]Z’または
−[(OC(OC(OC]Z’
によって表され、ここで、−Zは、−C(O)−もしくは−CH−であり、Z’は、C〜C12アルコキシまたは重合可能な基であり、x、yおよびzは、各々、0と50との間の数であり、そしてx、yおよびzの合計は、2と50との間である、モノ−T−置換フェニル;
(ii)非置換、一置換、二置換もしくは三置換のアリール基;
(iii)9−ジュロリジニル、または、ピリジル フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾイル、ベンゾピリジル、インドリニルもしくはフルオレニルから選択される、非置換、一置換、もしくは二置換のヘテロ芳香族基であって、(ii)および(iii)における該アリール置換基およびヘテロ芳香族置換基の各々は、ヒドロキシ、本請求項において以前に定義された基である−C(O)W、アリール、モノ(C〜C12)アルコキシアリール、ジ(C〜C12)アルコキシアリール、モノ(C〜C12)アルキルアリール、ジ(C〜C12)アルキルアリール、ハロアリール、C〜Cシクロアルキルアリール、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキルオキシ、C〜Cシクロアルキルオキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキルオキシ(C〜C12)アルコキシ、アリール(C〜C12)アルキル、アリール(C〜C12)アルコキシ、アリールオキシ、アリールオキシ(C〜C12)アルキル、アリールオキシ(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキルもしくはジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキルもしくはジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシもしくはジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシもしくはジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシ、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C〜C12)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、C〜C12アルキル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アルコキシ、モノ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12)アルキル、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、またはハロゲンから独立に選択される、非置換、一置換、もしくは二置換のヘテロ芳香族基;
(iv)ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニル、またはアクリジニルから選択される非置換もしくは一置換の基であって、該置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フェニル、またはハロゲンから独立に選択される、非置換もしくは一置換の基;
(v)一置換フェニルであって、該フェニルは、−(CH−または−O−(CH−である、パラ位に位置する置換基を有し、ここでtは、整数1、2、3、4、5または6から選択され、該置換基は、別の光互変物質上でアリール基に結合されている、一置換フェニル;
(vi)以下の構造式IIGまたはIIH:
【化21】

のうちの1つによって表される基であって、
ここで、Aは、各式において、メチレンまたは酸素から独立して選択され、そしてDは、各式において、酸素または置換された窒素から独立して選択され、ただし、Dが置換された窒素である場合、Aはメチレンであり;該窒素置換基は、水素、C〜C12アルキル、またはC〜C12アシルから選択され;各R19は、各式における各出現について、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ヒドロキシ、またはハロゲンから独立に選択され;R17およびR18は、各々、各式において、水素またはC〜C12アルキルから独立して選択され;そしてqは、整数0、1または2から選択される、基;
(vii)C〜C12アルキル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ(C〜C)シクロアルキル、モノ(C〜C12)アルキル(C〜C)−シクロアルキル、ハロ(C〜C)シクロアルキル、またはC〜C12ビシクロアルキル、ただし、BおよびB’の両方が(vii)から選択されることはない;
(viii)以下の構造式IIJ:
【化22】

によって表される基であって、
ここで、Lは、水素またはC〜C12アルキルから選択され、そしてMは、ナフチル、フェニル、フラニル、またはチエニルから選択される非置換、一置換または二置換の基から選択され;該基置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、またはハロゲンから独立に選択される、基;あるいは
(ix)BおよびB’であって、一緒になって、フルオレン−9−イリデン、一置換フルオレン−9−イリデンもしくは二置換フルオレン−9−イリデン、または飽和C〜C12スピロ単環式炭化水素環、飽和C〜C12スピロ二環式炭化水素環もしくは飽和C〜C12スピロ三環式炭化水素環から選択されるスピロ環式基を形成し、ただし、該スピロ環式基は、ノルボルニリデンまたはビシクロ[3.3.1]9−ノニリデンではなく、該フルオレン−9−イリデン置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはハロゲンから独立に選択される、BおよびB’
から選択される、
光互変物品。
【請求項18】
請求項17に記載の光互変物品であって、前記光互変ポリマーコーティングが、400ナノメートルと700ナノメートルとの間の範囲内に少なくとも1つの活性化吸収極大値を備える、少なくとも1種の他の光互変物質をさらに含む、光互変物品。
【請求項19】
前記少なくとも1種の他の光互変物質が、クロメン、スピロピラン、オキサジン、有機金属ジチオゾネート、フルギド、フルギミドまたはこれらの混合物から選択される、請求項18に記載の光互変物品。
【請求項20】
前記基材が、紙、ガラス、セラミック、木材、メーソンリー、織物、金属、またはポリマー有機物質から選択される、請求項17に記載の光互変物品。
【請求項21】
前記基材が、熱硬化有機ポリマー物質または熱可塑性有機ポリマー物質から選択される固体の透明ポリマーであるポリマー有機物質である、請求項20に記載の光互変物品。
【請求項22】
前記基材が光学素子である、請求項21に記載の光互変物品。
【請求項23】
前記光学素子がレンズである、請求項22に記載の光互変物品。
【請求項24】
前記フィルム形成ポリマーが、熱硬化有機ポリマー物質または熱可塑性有機ポリマー物質から選択される、請求項17に記載の光互変物品。
【請求項25】
前記フィルム形成ポリマーが、熱硬化有機ポリマー物質であり、そしてポリウレタン、ポリ(メト)アクリレート、アミノプラスト樹脂、ポリシラン、ポリ無水物、ポリアクリルアミドまたはエポキシ樹脂から選択される、請求項24に記載の光互変物品。
【請求項26】
前記基材と前記光互変ポリマーコーティングの少なくとも部分的なコーティングとの間に少なくとも部分的に挿入された、少なくとも部分的なプライマーコーティングをさらに備える、請求項17に記載の光互変物品。
【請求項27】
前記光互変ポリマーコーティングの少なくとも部分的なコーティングの表面の少なくとも一部に適用された、少なくとも部分的に磨耗抵抗性であるコーティングの少なくとも部分的なコーティングをさらに備える、請求項26に記載の光互変物品。
【請求項28】
前記少なくとも部分的に磨耗抵抗性であるコーティングに適用された、少なくとも部分的に反射防止するコーティングの少なくとも部分的なコーティングをさらに備える、請求項27に記載の光互変物品。
【請求項29】
光互変物品であって、基材と、該基材に結合された、ポリマーフィルムの少なくとも部分的な被覆とを備え、該ポリマーフィルムは、光互変量の、少なくとも1種の組成物を含み、該組成物は、以下の構造式:
【化23】

の少なくとも1つによって表される少なくとも一つの物質またはそれらの混合物を含み、
ここで、
(a)R11は、以下:
(i)水素、C〜C12アルキル、C〜C12アシル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ベンゾイル、一置換ベンゾイル、ナフトイルまたは一置換ナフトイル;該ベンゾイル置換基および該ナフトイル置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される;
(ii)−CH(R)Qであって、ここで、Rは、水素またはC〜C12アルキルから選択され、そしてQは、−CN、−CF、または−COORから選択され、そしてRは、水素またはC〜C12アルキルから選択される、−CH(R)Q;あるいは
(iii)−C(O)Vであって、ここでVは、水素、C〜C12アルコキシ、フェノキシ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェノキシもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェノキシ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェノキシもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェノキシ、非置換アリール基、一置換アリール基もしくは二置換アリール基、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノ、またはモノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノから選択され;該アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−C(O)V
から選択され、
(b)各Rは、独立に、以下:
(i)水素、ヒドロキシ、C〜C12アルキル、C〜C12アルキリデン、C〜C12アルキリジン、ビニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ベンジル、一置換ベンジル、ハロゲン、または−C(O)W基、ここでWは、ヒドロキシ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フェニル、一置換フェニル、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノであり;該アミノ置換基は、C〜C12アルキル、フェニル、ベンジルまたはナフチルであり;該ベンジル置換基およびフェニル置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシである;
(ii)フェニル、ナフチル、フェナントリル、ピレニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリルまたはインドリルから選択される、非置換、一置換、二置換または三置換の基;(ii)における該置換基の各々は、各出現について、ハロゲン、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される;
(iii)一置換フェニルであって、該フェニルは、−(CH−または−O−(CH−である、パラ位に位置する置換基を有し、ここでtは、1、2、3、4、5または6から選択される整数である、一置換フェニル;該置換基は、別の光互変物質上でアリール基に結合されている;
(iv)−ORであって、Rは、R11、トリ(C〜C12)アルキルシリル、トリ(C〜C12)アルコキシシリル、ジ(C〜C12)アルキル(C〜C12アルコキシ)シリルまたはジ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12アルキル)シリルから選択される、−OR
(v)−CH(Q’)であって、Q’は−CNまたは−COORから選択され、そしてRは、水素、C〜C12アルキル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され;該アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−CH(Q’)
(vi)−CH(R)Gであって、Rは、水素、C〜C12アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され、そしてGは、−COOR、−CORまたは−CHORから選択され;ここで、Rは、水素、C〜C12アルキル、非置換、一置換もしくは二置換のアリール基、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換フェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルキル置換ジフェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルキル置換ジフェニルアミノ、モノ(C〜C12)アルコキシ置換ジフェニルアミノもしくはジ(C〜C12)アルコキシ置換ジフェニルアミノ、モルホリノまたはピペリジノから選択され、Rは、水素、−C(O)R、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル、または非置換、一置換もしくは二置換のアリール基から選択され、該アリール基置換基の各々は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立に選択される、−CH(R)G;
(vii)以下の式:
−Z[(OC(OC(OC]Z’または
−[(OC(OC(OC]Z’
によって表される、T基であって、
ここで、−Zは、−C(O)−または−CH−から選択され、Z’は、C〜C12アルコキシまたは重合可能な基から選択され、x、yおよびzは、各々、0と50との間の数であり、そしてx、yおよびzの合計は、2と50との間である、T基;
(viii)−SR10であって、R10は、C〜C12アルキル、アリール、一置換もしくは二置換アリールから選択され、そして該アリール置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはハロゲンから独立に選択される、−SR10
(ix)−N(R11)R12であって、ここでR12は、本請求項において以前に記載されたR11と等しい、−N(R11)R12
(x)以下の構造式IIA:
【化24】

によって表される、窒素を含む環であって、
ここで、各Yは、各出現について、−CH−、−CH(R13)−、−C(R13)(R13)−、−CH(アリール)−、−C(アリール)−または−C(R13)(アリール)−から独立に選択され;Xは、−Y−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−NH−、−NR13−または−N−アリールであり;R13は、C〜C12アルキルであり;該アリール基は、フェニルまたはナフチルであり、mは、1、2または3から選択される整数であり、そしてpは、0、1、2または3から選択される整数であり;ただし、pが0である場合、XはYである、窒素を含む環;
(xi)以下の構造式IIBまたはIIC:
【化25】

のうちの1つによって表される基であって、
ここで、R15、R16およびR17は、各々の式における各出現について、水素、C〜C12アルキル、フェニルもしくはナフチルから各々独立に選択されるか;またはR15基およびR16基は、一緒になって、5〜8個の炭素原子の環を形成し、R14は、各出現について、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシもしくはハロゲンから独立に選択され、そしてvは、0、1もしくは2から選択される整数である、基;
(xii)非置換、一置換もしくは二置換のC〜C18スピロ二環式アミン;
(xiii)非置換、一置換もしくは二置換のC〜C18スピロ三環式アミン;(xii)および(xiii)について該置換基は、各出現について、アリール、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはフェニル(C〜C12)アルキルから独立に選択される;あるいは
(xiv)隣接するR置換基であって、該置換基は、一緒になって、以下の構造式IID、IIE、またはIIF:
【化26】

のうちの1つを形成し:
ここで、JおよびKは、各式における各出現について、酸素もしくは−NR11−から独立に選択され、R11、R14、R15およびR16は、各々、本請求項において以前に記載されたものと等しく、そしてnは、0、1、2、3または4から選択される整数である、R置換基;
から選択され、
(c)Rは、本請求項において以前に(b)(iv)に記載されたものと等しく;そして
(d)BおよびB’は、各々独立して、以下:
(i)モノ−T−置換フェニルであって、ここで、該T基は、以下の式:
−Z[(OC(OC(OC]Z’または
−[(OC(OC(OC]Z’
によって表され、ここで、−Zは、−C(O)−もしくは−CH−であり、Z’は、C〜C12アルコキシまたは重合可能な基であり、x、yおよびzは、各々、0と50との間の数であり、そしてx、yおよびzの合計は、2と50との間である、モノ−T−置換フェニル;
(ii)非置換、一置換、二置換もしくは三置換のアリール基;
(iii)9−ジュロリジニル、または、ピリジル フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾイル、ベンゾピリジル、インドリニルもしくはフルオレニルから選択される、非置換、一置換、もしくは二置換のヘテロ芳香族基であって、(ii)および(iii)における該アリール置換基およびヘテロ芳香族置換基の各々は、ヒドロキシ、本請求項において以前に定義された基である−C(O)W、アリール、モノ(C〜C12)アルコキシアリール、ジ(C〜C12)アルコキシアリール、モノ(C〜C12)アルキルアリール、ジ(C〜C12)アルキルアリール、ハロアリール、C〜Cシクロアルキルアリール、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキルオキシ、C〜Cシクロアルキルオキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキルオキシ(C〜C12)アルコキシ、アリール(C〜C12)アルキル、アリール(C〜C12)アルコキシ、アリールオキシ、アリールオキシ(C〜C12)アルキル、アリールオキシ(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキルもしくはジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキルもしくはジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシもしくはジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシもしくはジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシ、アミノ、モノ(C〜C12)アルキルアミノ、ジ(C〜C12)アルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C〜C12)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、C〜C12アルキル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アルコキシ、モノ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12)アルキル、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、またはハロゲンから独立に選択される、非置換、一置換、もしくは二置換のヘテロ芳香族基;
(iv)ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニル、またはアクリジニルから選択される非置換もしくは一置換の基であって、該置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フェニル、またはハロゲンから独立に選択される、非置換もしくは一置換の基;
(v)一置換フェニルであって、該フェニルは、−(CH−または−O−(CH−である、パラ位に位置する置換基を有し、ここでtは、整数1、2、3、4、5または6から選択され、該置換基は、別の光互変物質上でアリール基に結合されている、一置換フェニル;
(vi)以下の構造式IIGまたはIIH:
【化27】

のうちの1つによって表される基であって、
ここで、Aは、各式において、メチレンまたは酸素から独立して選択され、そしてDは、各式において、酸素または置換された窒素から独立して選択され、ただし、Dが置換された窒素である場合、Aはメチレンであり;該窒素置換基は、水素、C〜C12アルキル、またはC〜C12アシルから選択され;各R19は、各式における各出現について、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ヒドロキシ、またはハロゲンから独立に選択され;R17およびR18は、各々、各式において、水素またはC〜C12アルキルから独立して選択され;そしてqは、整数0、1または2から選択される、基;
(vii)C〜C12アルキル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ(C〜C)シクロアルキル、モノ(C〜C12)アルキル(C〜C)−シクロアルキル、ハロ(C〜C)シクロアルキル、またはC〜C12ビシクロアルキル、ただし、BおよびB’の両方が(vii)から選択されることはない;
(viii)以下の構造式IIJ:
【化28】

によって表される基であって、
ここで、Lは、水素またはC〜C12アルキルから選択され、そしてMは、ナフチル、フェニル、フラニル、またはチエニルから選択される非置換、一置換または二置換の基から選択され;該基置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、またはハロゲンから独立に選択される、基;あるいは
(ix)BおよびB’であって、一緒になって、フルオレン−9−イリデン、一置換フルオレン−9−イリデンもしくは二置換フルオレン−9−イリデン、または飽和C〜C12スピロ単環式炭化水素環、飽和C〜C12スピロ二環式炭化水素環もしくは飽和C〜C12スピロ三環式炭化水素環から選択されるスピロ環式基を形成し、ただし、該スピロ環式基は、ノルボルニリデンまたはビシクロ[3.3.1]9−ノニリデンではなく、該フルオレン−9−イリデン置換基の各々は、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはハロゲンから独立に選択される、BおよびB’
から選択される、
光互変物品。
【請求項30】
前記光互変ポリマーフィルムの少なくとも部分的な被覆が、光互変熱可塑性ポリウレタンフィルムと少なくとも部分的に磨耗抵抗性である熱可塑性ポリカーボネートフィルムとを含むラミネートを含む、請求項29に記載の光互変物品。
【請求項31】
前記ラミネートの前記光互変熱可塑性ポリウレタンフィルム側が、前記基材に結合されている、請求項30に記載の光互変物品。
【請求項32】
前記光互変熱可塑性ポリウレタンフィルムが、前記構造式の少なくとも1つによって表される少なくとも1種の物質またはそれらの混合物を含有する、光互変量の、少なくとも1種の組成物を含む、請求項31に記載の光互変物品。

【公表番号】特表2007−512417(P2007−512417A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541250(P2006−541250)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/037443
【国際公開番号】WO2005/061514
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(504175051)トランジションズ オプティカル, インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】