ピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造
【課題】車体1の表面に生じる間隙の黒映りの抑制を確実に実施可能なピラーガーニッシュ2とフェンダーパネル6の取付け車体構造を提供する。
【解決手段】車体1のピラーの表面側に設けられる樹脂製のピラーガーニッシュ2と、ピラーガーニッシュ2の端部側に、端部が設けられる鋼製のフェンダーパネル6と、ピラーガーニッシュ2とフェンダーパネル6との端部同士間の間隙を塞ぐためのシール部材3とを有し、ピラーガーニッシュ2には、ピラーガーニッシュ2の端部からフェンダーパネル6の端部の方向へ延長された延長部2b、2cが設けられ、フェンダーパネル6には、フェンダーパネル6の端部からピラーガーニッシュ2の端部の方向へ延長されたフランジ部6aが設けられ、シール部材3は、延長部2b、2cとフランジ部6aに載置されている。
【解決手段】車体1のピラーの表面側に設けられる樹脂製のピラーガーニッシュ2と、ピラーガーニッシュ2の端部側に、端部が設けられる鋼製のフェンダーパネル6と、ピラーガーニッシュ2とフェンダーパネル6との端部同士間の間隙を塞ぐためのシール部材3とを有し、ピラーガーニッシュ2には、ピラーガーニッシュ2の端部からフェンダーパネル6の端部の方向へ延長された延長部2b、2cが設けられ、フェンダーパネル6には、フェンダーパネル6の端部からピラーガーニッシュ2の端部の方向へ延長されたフランジ部6aが設けられ、シール部材3は、延長部2b、2cとフランジ部6aに載置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピラーガーニッシュとフェンダーパネルを車体に取り付けたピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車体構造では、ピラーガーニッシュ(Aピラーガーニッシュ)は、それ自体の両側方において、一方ではウィンドウパネルに滑らかに合わせられ、もう一方でもドアのウィンドウガラスに滑らかに合わせられている。さらに、Aピラーガーニッシュは、下端部において、フェンダーパネルに滑らかに合わせられている。これにより、車体の流れるようなフォルムを実現している。そして、Aピラーガーニッシュとフェンダーパネルとの合わせに関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、Aピラーガーニッシュに沿って配置されるドアのウィンドウガラスにも、流れるようなフォルムを与えるために、ウィンドウガラスの車体の進行方向のフェンダーパネル上に、ウィンドウガラスの縁に連続して流線型となる外部ガーニッシュが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−177506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピラーガーニッシュが、それ自体の側方において、ウィンドウパネルに滑らかに合わせられているのと同様に、フェンダーパネルは、それ自体の側方において、ボンネットに滑らかに合わせられている。このため、フェンダーパネルとボンネットの合わせを優先させるデザインにおいては、フェンダーパネルとAピラーガーニッシュの下端部の間に間隙が生じる場合があった。間隙は、人の目に黒く映り人の注意が集中しやすいので、流れるようなフォルムの車体にあっては望ましくない。間隙は、シール部材で塞ぐことで、黒映りを抑制ができるが、シール部材がその間隙の中に脱落しないように確実に保持する必要がある。
【0005】
また、外部ガーニッシュは、ウィンドウガラスの縁の形状に合うような流線型とするデザインを優先させると、外部ガーニッシュとピラーガーニッシュの間に間隙が生じる場合があった。この間隙も前記と同様に、人の目に黒く映り人の注意が集中しやすいので、流れるようなフォルムの車体にあっては望ましくない。間隙が黒映りするのは、間隙から入射した光が間隙から出てこないことによっているので、間隙の直下に入射した光を反射するシェードを設ければ、シェードからの反射光で間隙の黒映りを抑制できる。ただし、前記シール部材と同様に、シェードが間隙の中に脱落しないように確実に保持する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、車体の表面に生じる間隙の黒映りの抑制を確実に実施可能なピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車体のピラーの表面側に設けられる樹脂製のピラーガーニッシュと、
前記ピラーガーニッシュの端部側に、端部が設けられる鋼製のフェンダーパネルと、
前記ピラーガーニッシュと前記フェンダーパネルとの前記端部同士間の間隙を塞ぐためのシール部材とを有し、
前記ピラーガーニッシュには、前記ピラーガーニッシュの端部から前記フェンダーパネルの端部の方向へ延長された延長部が設けられ、
前記フェンダーパネルには、前記フェンダーパネルの端部から前記ピラーガーニッシュの端部の方向へ延長されたフランジ部が設けられ、
前記シール部材は、前記延長部と前記フランジ部に載置されるピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造であることを特徴としている。
【0008】
これによれば、ピラーガーニッシュとフェンダーパネルの間に生じる間隙を、シール部材によって塞ぐことができるので、間隙が隠れ黒映りするのを抑制することができる。また、シール部材は、フェンダーパネルから延長されたフランジ部と、ピラーガーニッシュから延長された延長部に載置されるので、間隙の両側から支持され、シール部材の保持強度を高めることができる。すなわち、間隙の間隔が大きくなっても、シール部材を間隙の両側から支持しているので、安定・確実に保持することができ、間隙の形状にもよらずシール部材を保持することができる。
【0009】
また、本発明では、前記延長部が設けられる前記間隙の間隔は、前記フランジ部が設けられる前記間隙の間隔より広いことが好ましい。これによれば、幅が位置によって変化する形状の間隙であっても、幅広部に成形性の高い樹脂製のピラーガーニッシュの延長部を、その幅に応じて大きくして設けることによって、幅広部であってもシール部材を載置するに相応な面積を確保することができる。
【0010】
また、本発明では、前記延長部は、中空構造を有することが好ましい。これによれば、延長部の強度を高めることができ、シール部材を確実に保持することができる。また、ピラーガーニッシュは、樹脂製であるので、そのピラーガーニッシュの延長部には、容易に中空形状を形成することができる。
【0011】
また、本発明では、ボンネットを開閉可能に支持するヒンジを覆うヒンジカバーを有し、
前記シール部材は、前記ヒンジカバーの延在方向に前記ヒンジカバーに連続するように載置されることが好ましい。
【0012】
これによれば、間隙を塞ぐためのシール部材がヒンジカバーと一体化して見えるので、シール部材が目立つことなく、デザイン性を向上できる。
【0013】
また、本発明では、前記フェンダーパネルおよび前記ピラーガーニッシュに並んで設けられる樹脂製の外部ガーニッシュを有し、
前記外部ガーニッシュには、前記ピラーガーニッシュに対向する合わせ部に、外表面の裏面側から前記車体の内方に延び、射出成形で形成されるシェードが設けられることが好ましい。
【0014】
これによれば、鋼製のフェンダーパネルに形状を合わせるために、樹脂製の外部ガーニッシュとピラーガーニッシュの間に生じる間隙(合わせ部)が大きくなる場合があるが、この間隙の黒映りを、外部ガーニッシュの外表面の裏面側から前記車体の内方に延びるシェードによって抑制することができる。これは、間隙から覗ける位置にシェードが配置されることになるので、間隙から入った光がシェードを照らし、シェードからの反射光により、間隙の黒映りを抑制するからである。また、シェードは射出成形で形成されているので、確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車体の表面に生じる間隙の黒映りの抑制を確実に実施可能なピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造を備えた車体の一部の斜視図である。
【図2】図1の外部ガーニッシュ周りの拡大図である。
【図3】図2の外部ガーニッシュに近接するシール部材周りの拡大図である。
【図4】図3のA−A方向の矢視断面図である。
【図5】図3のB−B方向の矢視断面図である。
【図6】図3のC−C方向の矢視断面図である。
【図7】Aピラーガーニッシュにシール部材を取り付ける様子を表す図である。
【図8】シール部材が取り付けられたAピラーガーニッシュの斜視図である。
【図9】図3のD−D方向の矢視断面図である。
【図10】図3のE−E方向の矢視断面図である。
【図11】外部ガーニッシュの上面図である。
【図12】外部ガーニッシュの上部の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0018】
図1に、本発明の実施形態に係るピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造を備えた車体1を示す。車体1では、ウィンドウパネル7からボンネット4にかけて、流れるようなフォルムが実現されている。ヒンジカバー5は、車体の両サイドに設けられ、ボンネット4を開閉自在に支持するヒンジ(図示省略)をカバーしている。ウィンドウパネル7の両サイドには、鋼製のAピラー(図示省略)を保護するために、その表面側に樹脂製のAピラーガーニッシュ2が設けられている。Aピラーガーニッシュ2は、それ自体の両側方において、一方ではウィンドウパネル7に外表面が滑らかに合わせられ、もう一方でもドア11のウィンドウガラス12が設けられたドアサッシュ部に滑らかに外表面が合わせられている。また、Aピラーガーニッシュ2の下端部とフェンダーパネル6の間には、シール部材3が設けられ、Aピラーガーニッシュ2は、下端部において、シール部材3を介して鋼製のフェンダーパネル6に滑らかに外表面が合わせられている。シール部材3は、ヒンジカバー5の延在方向にヒンジカバー5に連続するように載置されている。これらにより、Aピラーガーニッシュ2からフェンダーパネル6にかけて、流れるようなフォルムが実現されている。フェンダーパネル6は、ボンネット4の両サイドに設けられ、フェンダーパネル6とボンネット4とは滑らかに外表面が合わせられている。
【0019】
また、Aピラーガーニッシュ2に沿って配置されるウィンドウガラス12にも、流れるようなフォルムを与えるために、ウィンドウガラス12の車体1の進行方向に、バックミラー10が取り付けられるドアガーニッシュ9と、外部ガーニッシュ8とが設けられている。ウィンドウガラス12が設けられるドアサッシュ部とドアガーニッシュ9と外部ガーニッシュ8との縁を連続させて流線形状を生み出している。ドアガーニッシュ9はドア11に固定され、外部ガーニッシュ8は車体1のアウタパネルに固定されている。
【0020】
図2に、図1の外部ガーニッシュ8周りの拡大図を示す。外部ガーニッシュ8の外表面S1と、ドアガーニッシュ9の外表面S2と、ウィンドウガラス12の外表面とは、互いに平行で、略同一平面状に配置されているので、外部ガーニッシュ8とドアガーニッシュ9の外表面S1、S2がウィンドウガラス12の延在方向に沿うように設けられる。そして、外部ガーニッシュ8と、ドアガーニッシュ9と、ウィンドウガラス12が設けられるドアサッシュ部とが、一体として見られるので、これらによる流線形状を明確に印象付けることができる。外部ガーニッシュ8は、樹脂製であり、外表面S1を備える基部8aと、端部の上側一部でフェンダーパネル6に密着するリップ8bを備えている。リップ8bは、上部において、Aピラーガーニッシュ2の側部の一部と対向して配置されている。このリップ8bの上部と、Aピラーガーニッシュ2の側部の間に生じる間隙を、本実施形態では、黒映りしないようにしている。
【0021】
また、本実施形態では、Aピラーガーニッシュ2の下端部と、フェンダーパネル6の間に生じる間隙を、シール部材3で塞ぎ、黒映りしないようにしている。後記では、まず、シール部材3について詳細に説明し、次に、リップ8bの上部と、Aピラーガーニッシュ2の側部の間に生じる間隙の黒映りの抑制について説明する。
【0022】
図3に、図2のシール部材3周りの拡大図を示す。シール部材3は、ヒンジカバー5の延在方向にヒンジカバー5に連続するように載置されている。ヒンジカバー5の延在部5aは、ヒンジカバー5の延在部5aでない箇所に比べて細くなり、その細くなった延在部5aの上側(外側)にシール部材3を重ねるように載置することで、シール部材3を支えている。また、細くなった延在部5aの上側(外側)にシール部材3を載置することで、シール部材3の太さを、ヒンジカバー5の延在部5aでない箇所の太さと略等しくしている。これらによれば、シール部材3がヒンジカバー5と一体化して見えるので、シール部材3が目立つことなく、デザイン性を向上できる。
【0023】
Aピラーガーニッシュ2の下端部側に、フェンダーパネル6の上端部が設けられている。Aピラーガーニッシュ2とフェンダーパネル6との端部同士間の間隙を塞ぐためにシール部材3が設けられている。
【0024】
Aピラーガーニッシュ2には、Aピラーガーニッシュ2の下端部からフェンダーパネル6の上端部の方向へ延長された第1延長部2bと第2延長部2cが設けられている。フェンダーパネル6には、フェンダーパネル6の上端部からAピラーガーニッシュ2の下端部の方向へ延長されたフランジ部6aが設けられている。シール部材3は、第1延長部2bと第2延長部2cとフランジ部6aとヒンジカバー5の延在部5aの上に載置されて、支持されている。
【0025】
シール部材3は、Aピラーガーニッシュ2とフェンダーパネル6の間に生じる間隙を塞ぎ、間隙の黒映りを抑制するだけでなく、シール部材3の露出面Sは、Aピラーガーニッシュ2からフェンダーパネル6へ、外表面を滑らかに連続させている。シール部材3は、フェンダーパネル6から延長されたフランジ部6aと、Aピラーガーニッシュ2から延長された第1延長部2bと第2延長部2cに載置されるので、シール部材3の両側から支持されている。シール部材3は、フェンダーパネル6から延長されたフランジ部6aと、ヒンジカバー5の延在部5aに載置されるので、シール部材3の両端から支持されている。また、シール部材3からAピラーガーニッシュ2の裏面に支持部3aが延びている。支持部3aは、シール部材3の本体と一体となっており、Aピラーガーニッシュ2の裏面に固定されている。支持部3aは、シール部材3の本体を脱落しないように吊っている。これらにより、シール部材3の保持強度は高められている。
【0026】
また、第1延長部2bと第2延長部2cが設けられる箇所のシール部材3の幅は、フランジ部6aが設けられる箇所のシール部材3の幅より広くなっている。これは、Aピラーガーニッシュ2は樹脂性であるので、それが延長された第1延長部2bと第2延長部2cも樹脂製であり、フェンダーパネル6は鋼製であるので、それが延長されたフランジ部6aも鋼製であるところ、鋼材より樹脂材の方が成形性が高く、大きな延長部が形成しやすいからである。
【0027】
なお、詳細は後記するが、Aピラーガーニッシュ2の側部と、外部ガーニッシュ8のリップ8bとが、対向するように合わせられ、合わせ部21を構成している。合わせ部21のリップ8bとAピラーガーニッシュ2の側部の間に生じる間隙からは、外部ガーニッシュ8の外表面の裏面側から車体1の内方に延びる第1シェード8cが覗いて見えている。これにより、間隙が黒映りしないようになっている。
【0028】
図4に、図3のA−A方向の矢視断面図を示す。ウィンドウパネル7は、ピラー13に対して、モールディング16を介して支持され、接着剤17によって固定されている。Aピラーガーニッシュ2は、ピラー13に対して、クリップなどの支持部材14を介して支持されている。Aピラーガーニッシュ2のウィンドウパネル7側には、ピラー13およびピラー13上に伸びるモールディング16のリップとの間に、シール部材15が設けられている。Aピラーガーニッシュ2には、上下方向(長手方向)に沿って上端から下端まで貫通する中空構造2aが設けられ、Aピラーガーニッシュ2の強度を高めている。
【0029】
Aピラーガーニッシュ2の下端の外表面の裏面には、両面テープ18によって、シール部材3の支持部3aが貼り付けられて固定されている。シール部材3は、Aピラーガーニッシュ2の裏側の支持部3aから、フェンダーパネル6のフランジ部6aの表側に乗り上げているリップ3bへ一体に形成されている。リップ3bの外表面が、図3の露出面Sの一部に相当する。シール部材3のリップ3bは、フランジ部6aによって下支えされると共に、支持部3aによって吊られているので、確実に支持することができる。なお、フェンダーパネル6には、外部ガーニッシュ8のリップ8bが密着している。
【0030】
図5に、図3のB−B方向の矢視断面図を示す。Aピラーガーニッシュ2の第1延長部2bの上に、両面テープ19によって、シール部材3が貼り付けられて固定されている。第1延長部2bには、前記中空構造2aが延在している。中空構造2aは、第1延長部2bの強度と、第1延長部2bとAピラーガーニッシュ2本体の接続強度を高めることができ、シール部材3を確実に保持することができる。また、Aピラーガーニッシュ2は、樹脂製であるので、そのAピラーガーニッシュ2と一体成形される樹脂製の第1延長部2bにも、容易に中空形状を形成することができる。
【0031】
図6に、図3のC−C方向の矢視断面図を示す。Aピラーガーニッシュ2の第2延長部2cには、両面テープ20によって、シール部材3が貼り付けられて固定されている。また、シール部材3は、ヒンジカバー5の延在部5aによって下支えされている。これらによって、シール部材3を確実に保持することができる。
【0032】
次に、図7を用いて、Aピラーガーニッシュ2にシール部材3を取り付ける様子を説明する。中空構造2aが、Aピラーガーニッシュ2の本体から第1延長部2bまで延在している。両面テープ18、19、20は、Aピラーガーニッシュ2とシール部材3のどちらに最初につけてもよいのであるが、図7では、シール部材3側に最初に貼り付けている。そして、両面テープ18、19、20を、それぞれの矢印の先のAピラーガーニッシュ2に貼り付けている。両面テープ18は、支持部3aの露出面Sの側に貼り付けられると共に、Aピラーガーニッシュ2の第1延長部2bと第2延長部2c以外の本体の裏面に貼り付けられる。両面テープ19は、シール部材3の露出面Sの裏面側に貼り付けられると共に、Aピラーガーニッシュ2の第1延長部2bの表面に貼り付けられる。両面テープ20は、シール部材3の露出面Sに連なる側面側に貼り付けられると共に、Aピラーガーニッシュ2の第2延長部2cの側面(起立面)に貼り付けられる。
図8に、シール部材3が取り付けられたAピラーガーニッシュ2を示す。図8では、露出面Sの正面から見ている。これより、シール部材3は、第1延長部2bと第2延長部2cの上に載置され、支持部3aによって吊られていることがわかる。
【0033】
次に、図3で説明した外部ガーニッシュ8のリップ8bの上部と、Aピラーガーニッシュ2の側部の間に生じる間隙の黒映りの抑制について説明する。
【0034】
図9に、図3のD−D方向の矢視断面図を示す。Aピラーガーニッシュ2の側部2dと、外部ガーニッシュ8のリップ8bとが、対向するように合わせられ、合わせ部21を構成している。合わせ部21のリップ8bとAピラーガーニッシュ2の側部2dの間に生じる間隙からは、外部ガーニッシュ8の外表面の裏面側から車体1の内方に延びる第1シェード8cが覗いて見えている。また、リップ8b(合わせ部21)に対して、第1シェード8cの奥側に、第2シェード8dが設けられている。第2シェード8dも、外部ガーニッシュ8の外表面の裏面側から車体1の内方に延びているが、第1シェード8cより車体1の内方に長く伸びている。これにより、合わせ部21の間隙からは、第1シェード8cの奥に、第2シェード8dが覗いて見えることになる。第1シェード8cと第2シェード8dが、合わせ部21(間隙)から見えることにより、間隙が黒映りしないようになっている。
【0035】
リップ8bと、第1シェード8cと、第2シェード8dは、リップ基部8eによって支持されている。リップ8bと、第1シェード8cと、第2シェード8dと、リップ基部8eは、樹脂製であり、一体的に射出成形されている。そして、リップ基部8eが、外部ガーニッシュ8の基部8aに固定されている。なお、この基部8aに、図2で説明した外表面S1が形成され、基部8aのドア対向側面8fは、ドア11と対向している。また、リップ8bは、合わせ部21でない箇所では、図10に示すように、フェンダーパネル6に密着している。リップ8bは、リップ基部8eに支持され、リップ基部8eは外部ガーニッシュ8の基部8aに固定されている。リップ基部8eは、フェンダーパネル6の外表面に沿って形成されている。
【0036】
図11に、外部ガーニッシュ8の上面図を示す。外部ガーニッシュ8の上部において、基部8aの奥側(裏側)に、リップ8bが設けられ、リップ8bの奥側に、第1シェード8cが設けられ、第1シェード8cの奥側に、第2シェード8dが設けられていることがわかる。第2シェード8dは、ドア対向側面8fに接続している。
【0037】
図12に、外部ガーニッシュ8の上部の背面図を示す。ドア対向側面8fは、基部8aと、リップ基部8eとで構成され、第2シェード8dの近傍で、互いに重なり接着されている。ドア対向側面8fを構成するリップ基部8eと、第2シェード8dとは、第2シェード8dの一辺において接続している。リップ基部8eは、ドア対向側面8fから、第2シェード8dの他の一辺と、第1シェード8cと、リップ8bとに沿って設けられている。そして、リップ基部8eと、第2シェード8dと、第1シェード8cと、リップ8bとは、射出成形により一体成形されている。
なお、第1シェード8cをAピラーガーニッシュ2の側部2dに当接させるように車体1の内方に延びて延長させる、または、第2シェード8dをピラー13に当接させるように車体1の内方に延びて延長させることによって、更に合わせ部21の間隙の黒映りを抑制することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 車体
2 Aピラーガーニッシュ
2a 中空構造
2b 第1延長部
2c 第2延長部
2d 側部
3 シール部材
3a 支持部
3b リップ
4 ボンネット
5 ヒンジカバー
5a 延在部
6 フェンダーパネル
6a フランジ部
7 ウィンドウパネル
8 外部ガーニッシュ
8a 基部
8b リップ
8c 第1シェード
8d 第2シェード
8e リップ基部
8f ドア対向側面
9 ドアガーニッシュ
10 バックミラー
11 ドア
12 ドアのウィンドウガラス
13 ピラー
14 支持部材
15 シール部材
16 モールディング
17 接着剤
18、19、20 両面テープ
21 合わせ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピラーガーニッシュとフェンダーパネルを車体に取り付けたピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車体構造では、ピラーガーニッシュ(Aピラーガーニッシュ)は、それ自体の両側方において、一方ではウィンドウパネルに滑らかに合わせられ、もう一方でもドアのウィンドウガラスに滑らかに合わせられている。さらに、Aピラーガーニッシュは、下端部において、フェンダーパネルに滑らかに合わせられている。これにより、車体の流れるようなフォルムを実現している。そして、Aピラーガーニッシュとフェンダーパネルとの合わせに関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、Aピラーガーニッシュに沿って配置されるドアのウィンドウガラスにも、流れるようなフォルムを与えるために、ウィンドウガラスの車体の進行方向のフェンダーパネル上に、ウィンドウガラスの縁に連続して流線型となる外部ガーニッシュが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−177506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピラーガーニッシュが、それ自体の側方において、ウィンドウパネルに滑らかに合わせられているのと同様に、フェンダーパネルは、それ自体の側方において、ボンネットに滑らかに合わせられている。このため、フェンダーパネルとボンネットの合わせを優先させるデザインにおいては、フェンダーパネルとAピラーガーニッシュの下端部の間に間隙が生じる場合があった。間隙は、人の目に黒く映り人の注意が集中しやすいので、流れるようなフォルムの車体にあっては望ましくない。間隙は、シール部材で塞ぐことで、黒映りを抑制ができるが、シール部材がその間隙の中に脱落しないように確実に保持する必要がある。
【0005】
また、外部ガーニッシュは、ウィンドウガラスの縁の形状に合うような流線型とするデザインを優先させると、外部ガーニッシュとピラーガーニッシュの間に間隙が生じる場合があった。この間隙も前記と同様に、人の目に黒く映り人の注意が集中しやすいので、流れるようなフォルムの車体にあっては望ましくない。間隙が黒映りするのは、間隙から入射した光が間隙から出てこないことによっているので、間隙の直下に入射した光を反射するシェードを設ければ、シェードからの反射光で間隙の黒映りを抑制できる。ただし、前記シール部材と同様に、シェードが間隙の中に脱落しないように確実に保持する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、車体の表面に生じる間隙の黒映りの抑制を確実に実施可能なピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車体のピラーの表面側に設けられる樹脂製のピラーガーニッシュと、
前記ピラーガーニッシュの端部側に、端部が設けられる鋼製のフェンダーパネルと、
前記ピラーガーニッシュと前記フェンダーパネルとの前記端部同士間の間隙を塞ぐためのシール部材とを有し、
前記ピラーガーニッシュには、前記ピラーガーニッシュの端部から前記フェンダーパネルの端部の方向へ延長された延長部が設けられ、
前記フェンダーパネルには、前記フェンダーパネルの端部から前記ピラーガーニッシュの端部の方向へ延長されたフランジ部が設けられ、
前記シール部材は、前記延長部と前記フランジ部に載置されるピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造であることを特徴としている。
【0008】
これによれば、ピラーガーニッシュとフェンダーパネルの間に生じる間隙を、シール部材によって塞ぐことができるので、間隙が隠れ黒映りするのを抑制することができる。また、シール部材は、フェンダーパネルから延長されたフランジ部と、ピラーガーニッシュから延長された延長部に載置されるので、間隙の両側から支持され、シール部材の保持強度を高めることができる。すなわち、間隙の間隔が大きくなっても、シール部材を間隙の両側から支持しているので、安定・確実に保持することができ、間隙の形状にもよらずシール部材を保持することができる。
【0009】
また、本発明では、前記延長部が設けられる前記間隙の間隔は、前記フランジ部が設けられる前記間隙の間隔より広いことが好ましい。これによれば、幅が位置によって変化する形状の間隙であっても、幅広部に成形性の高い樹脂製のピラーガーニッシュの延長部を、その幅に応じて大きくして設けることによって、幅広部であってもシール部材を載置するに相応な面積を確保することができる。
【0010】
また、本発明では、前記延長部は、中空構造を有することが好ましい。これによれば、延長部の強度を高めることができ、シール部材を確実に保持することができる。また、ピラーガーニッシュは、樹脂製であるので、そのピラーガーニッシュの延長部には、容易に中空形状を形成することができる。
【0011】
また、本発明では、ボンネットを開閉可能に支持するヒンジを覆うヒンジカバーを有し、
前記シール部材は、前記ヒンジカバーの延在方向に前記ヒンジカバーに連続するように載置されることが好ましい。
【0012】
これによれば、間隙を塞ぐためのシール部材がヒンジカバーと一体化して見えるので、シール部材が目立つことなく、デザイン性を向上できる。
【0013】
また、本発明では、前記フェンダーパネルおよび前記ピラーガーニッシュに並んで設けられる樹脂製の外部ガーニッシュを有し、
前記外部ガーニッシュには、前記ピラーガーニッシュに対向する合わせ部に、外表面の裏面側から前記車体の内方に延び、射出成形で形成されるシェードが設けられることが好ましい。
【0014】
これによれば、鋼製のフェンダーパネルに形状を合わせるために、樹脂製の外部ガーニッシュとピラーガーニッシュの間に生じる間隙(合わせ部)が大きくなる場合があるが、この間隙の黒映りを、外部ガーニッシュの外表面の裏面側から前記車体の内方に延びるシェードによって抑制することができる。これは、間隙から覗ける位置にシェードが配置されることになるので、間隙から入った光がシェードを照らし、シェードからの反射光により、間隙の黒映りを抑制するからである。また、シェードは射出成形で形成されているので、確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車体の表面に生じる間隙の黒映りの抑制を確実に実施可能なピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造を備えた車体の一部の斜視図である。
【図2】図1の外部ガーニッシュ周りの拡大図である。
【図3】図2の外部ガーニッシュに近接するシール部材周りの拡大図である。
【図4】図3のA−A方向の矢視断面図である。
【図5】図3のB−B方向の矢視断面図である。
【図6】図3のC−C方向の矢視断面図である。
【図7】Aピラーガーニッシュにシール部材を取り付ける様子を表す図である。
【図8】シール部材が取り付けられたAピラーガーニッシュの斜視図である。
【図9】図3のD−D方向の矢視断面図である。
【図10】図3のE−E方向の矢視断面図である。
【図11】外部ガーニッシュの上面図である。
【図12】外部ガーニッシュの上部の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0018】
図1に、本発明の実施形態に係るピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造を備えた車体1を示す。車体1では、ウィンドウパネル7からボンネット4にかけて、流れるようなフォルムが実現されている。ヒンジカバー5は、車体の両サイドに設けられ、ボンネット4を開閉自在に支持するヒンジ(図示省略)をカバーしている。ウィンドウパネル7の両サイドには、鋼製のAピラー(図示省略)を保護するために、その表面側に樹脂製のAピラーガーニッシュ2が設けられている。Aピラーガーニッシュ2は、それ自体の両側方において、一方ではウィンドウパネル7に外表面が滑らかに合わせられ、もう一方でもドア11のウィンドウガラス12が設けられたドアサッシュ部に滑らかに外表面が合わせられている。また、Aピラーガーニッシュ2の下端部とフェンダーパネル6の間には、シール部材3が設けられ、Aピラーガーニッシュ2は、下端部において、シール部材3を介して鋼製のフェンダーパネル6に滑らかに外表面が合わせられている。シール部材3は、ヒンジカバー5の延在方向にヒンジカバー5に連続するように載置されている。これらにより、Aピラーガーニッシュ2からフェンダーパネル6にかけて、流れるようなフォルムが実現されている。フェンダーパネル6は、ボンネット4の両サイドに設けられ、フェンダーパネル6とボンネット4とは滑らかに外表面が合わせられている。
【0019】
また、Aピラーガーニッシュ2に沿って配置されるウィンドウガラス12にも、流れるようなフォルムを与えるために、ウィンドウガラス12の車体1の進行方向に、バックミラー10が取り付けられるドアガーニッシュ9と、外部ガーニッシュ8とが設けられている。ウィンドウガラス12が設けられるドアサッシュ部とドアガーニッシュ9と外部ガーニッシュ8との縁を連続させて流線形状を生み出している。ドアガーニッシュ9はドア11に固定され、外部ガーニッシュ8は車体1のアウタパネルに固定されている。
【0020】
図2に、図1の外部ガーニッシュ8周りの拡大図を示す。外部ガーニッシュ8の外表面S1と、ドアガーニッシュ9の外表面S2と、ウィンドウガラス12の外表面とは、互いに平行で、略同一平面状に配置されているので、外部ガーニッシュ8とドアガーニッシュ9の外表面S1、S2がウィンドウガラス12の延在方向に沿うように設けられる。そして、外部ガーニッシュ8と、ドアガーニッシュ9と、ウィンドウガラス12が設けられるドアサッシュ部とが、一体として見られるので、これらによる流線形状を明確に印象付けることができる。外部ガーニッシュ8は、樹脂製であり、外表面S1を備える基部8aと、端部の上側一部でフェンダーパネル6に密着するリップ8bを備えている。リップ8bは、上部において、Aピラーガーニッシュ2の側部の一部と対向して配置されている。このリップ8bの上部と、Aピラーガーニッシュ2の側部の間に生じる間隙を、本実施形態では、黒映りしないようにしている。
【0021】
また、本実施形態では、Aピラーガーニッシュ2の下端部と、フェンダーパネル6の間に生じる間隙を、シール部材3で塞ぎ、黒映りしないようにしている。後記では、まず、シール部材3について詳細に説明し、次に、リップ8bの上部と、Aピラーガーニッシュ2の側部の間に生じる間隙の黒映りの抑制について説明する。
【0022】
図3に、図2のシール部材3周りの拡大図を示す。シール部材3は、ヒンジカバー5の延在方向にヒンジカバー5に連続するように載置されている。ヒンジカバー5の延在部5aは、ヒンジカバー5の延在部5aでない箇所に比べて細くなり、その細くなった延在部5aの上側(外側)にシール部材3を重ねるように載置することで、シール部材3を支えている。また、細くなった延在部5aの上側(外側)にシール部材3を載置することで、シール部材3の太さを、ヒンジカバー5の延在部5aでない箇所の太さと略等しくしている。これらによれば、シール部材3がヒンジカバー5と一体化して見えるので、シール部材3が目立つことなく、デザイン性を向上できる。
【0023】
Aピラーガーニッシュ2の下端部側に、フェンダーパネル6の上端部が設けられている。Aピラーガーニッシュ2とフェンダーパネル6との端部同士間の間隙を塞ぐためにシール部材3が設けられている。
【0024】
Aピラーガーニッシュ2には、Aピラーガーニッシュ2の下端部からフェンダーパネル6の上端部の方向へ延長された第1延長部2bと第2延長部2cが設けられている。フェンダーパネル6には、フェンダーパネル6の上端部からAピラーガーニッシュ2の下端部の方向へ延長されたフランジ部6aが設けられている。シール部材3は、第1延長部2bと第2延長部2cとフランジ部6aとヒンジカバー5の延在部5aの上に載置されて、支持されている。
【0025】
シール部材3は、Aピラーガーニッシュ2とフェンダーパネル6の間に生じる間隙を塞ぎ、間隙の黒映りを抑制するだけでなく、シール部材3の露出面Sは、Aピラーガーニッシュ2からフェンダーパネル6へ、外表面を滑らかに連続させている。シール部材3は、フェンダーパネル6から延長されたフランジ部6aと、Aピラーガーニッシュ2から延長された第1延長部2bと第2延長部2cに載置されるので、シール部材3の両側から支持されている。シール部材3は、フェンダーパネル6から延長されたフランジ部6aと、ヒンジカバー5の延在部5aに載置されるので、シール部材3の両端から支持されている。また、シール部材3からAピラーガーニッシュ2の裏面に支持部3aが延びている。支持部3aは、シール部材3の本体と一体となっており、Aピラーガーニッシュ2の裏面に固定されている。支持部3aは、シール部材3の本体を脱落しないように吊っている。これらにより、シール部材3の保持強度は高められている。
【0026】
また、第1延長部2bと第2延長部2cが設けられる箇所のシール部材3の幅は、フランジ部6aが設けられる箇所のシール部材3の幅より広くなっている。これは、Aピラーガーニッシュ2は樹脂性であるので、それが延長された第1延長部2bと第2延長部2cも樹脂製であり、フェンダーパネル6は鋼製であるので、それが延長されたフランジ部6aも鋼製であるところ、鋼材より樹脂材の方が成形性が高く、大きな延長部が形成しやすいからである。
【0027】
なお、詳細は後記するが、Aピラーガーニッシュ2の側部と、外部ガーニッシュ8のリップ8bとが、対向するように合わせられ、合わせ部21を構成している。合わせ部21のリップ8bとAピラーガーニッシュ2の側部の間に生じる間隙からは、外部ガーニッシュ8の外表面の裏面側から車体1の内方に延びる第1シェード8cが覗いて見えている。これにより、間隙が黒映りしないようになっている。
【0028】
図4に、図3のA−A方向の矢視断面図を示す。ウィンドウパネル7は、ピラー13に対して、モールディング16を介して支持され、接着剤17によって固定されている。Aピラーガーニッシュ2は、ピラー13に対して、クリップなどの支持部材14を介して支持されている。Aピラーガーニッシュ2のウィンドウパネル7側には、ピラー13およびピラー13上に伸びるモールディング16のリップとの間に、シール部材15が設けられている。Aピラーガーニッシュ2には、上下方向(長手方向)に沿って上端から下端まで貫通する中空構造2aが設けられ、Aピラーガーニッシュ2の強度を高めている。
【0029】
Aピラーガーニッシュ2の下端の外表面の裏面には、両面テープ18によって、シール部材3の支持部3aが貼り付けられて固定されている。シール部材3は、Aピラーガーニッシュ2の裏側の支持部3aから、フェンダーパネル6のフランジ部6aの表側に乗り上げているリップ3bへ一体に形成されている。リップ3bの外表面が、図3の露出面Sの一部に相当する。シール部材3のリップ3bは、フランジ部6aによって下支えされると共に、支持部3aによって吊られているので、確実に支持することができる。なお、フェンダーパネル6には、外部ガーニッシュ8のリップ8bが密着している。
【0030】
図5に、図3のB−B方向の矢視断面図を示す。Aピラーガーニッシュ2の第1延長部2bの上に、両面テープ19によって、シール部材3が貼り付けられて固定されている。第1延長部2bには、前記中空構造2aが延在している。中空構造2aは、第1延長部2bの強度と、第1延長部2bとAピラーガーニッシュ2本体の接続強度を高めることができ、シール部材3を確実に保持することができる。また、Aピラーガーニッシュ2は、樹脂製であるので、そのAピラーガーニッシュ2と一体成形される樹脂製の第1延長部2bにも、容易に中空形状を形成することができる。
【0031】
図6に、図3のC−C方向の矢視断面図を示す。Aピラーガーニッシュ2の第2延長部2cには、両面テープ20によって、シール部材3が貼り付けられて固定されている。また、シール部材3は、ヒンジカバー5の延在部5aによって下支えされている。これらによって、シール部材3を確実に保持することができる。
【0032】
次に、図7を用いて、Aピラーガーニッシュ2にシール部材3を取り付ける様子を説明する。中空構造2aが、Aピラーガーニッシュ2の本体から第1延長部2bまで延在している。両面テープ18、19、20は、Aピラーガーニッシュ2とシール部材3のどちらに最初につけてもよいのであるが、図7では、シール部材3側に最初に貼り付けている。そして、両面テープ18、19、20を、それぞれの矢印の先のAピラーガーニッシュ2に貼り付けている。両面テープ18は、支持部3aの露出面Sの側に貼り付けられると共に、Aピラーガーニッシュ2の第1延長部2bと第2延長部2c以外の本体の裏面に貼り付けられる。両面テープ19は、シール部材3の露出面Sの裏面側に貼り付けられると共に、Aピラーガーニッシュ2の第1延長部2bの表面に貼り付けられる。両面テープ20は、シール部材3の露出面Sに連なる側面側に貼り付けられると共に、Aピラーガーニッシュ2の第2延長部2cの側面(起立面)に貼り付けられる。
図8に、シール部材3が取り付けられたAピラーガーニッシュ2を示す。図8では、露出面Sの正面から見ている。これより、シール部材3は、第1延長部2bと第2延長部2cの上に載置され、支持部3aによって吊られていることがわかる。
【0033】
次に、図3で説明した外部ガーニッシュ8のリップ8bの上部と、Aピラーガーニッシュ2の側部の間に生じる間隙の黒映りの抑制について説明する。
【0034】
図9に、図3のD−D方向の矢視断面図を示す。Aピラーガーニッシュ2の側部2dと、外部ガーニッシュ8のリップ8bとが、対向するように合わせられ、合わせ部21を構成している。合わせ部21のリップ8bとAピラーガーニッシュ2の側部2dの間に生じる間隙からは、外部ガーニッシュ8の外表面の裏面側から車体1の内方に延びる第1シェード8cが覗いて見えている。また、リップ8b(合わせ部21)に対して、第1シェード8cの奥側に、第2シェード8dが設けられている。第2シェード8dも、外部ガーニッシュ8の外表面の裏面側から車体1の内方に延びているが、第1シェード8cより車体1の内方に長く伸びている。これにより、合わせ部21の間隙からは、第1シェード8cの奥に、第2シェード8dが覗いて見えることになる。第1シェード8cと第2シェード8dが、合わせ部21(間隙)から見えることにより、間隙が黒映りしないようになっている。
【0035】
リップ8bと、第1シェード8cと、第2シェード8dは、リップ基部8eによって支持されている。リップ8bと、第1シェード8cと、第2シェード8dと、リップ基部8eは、樹脂製であり、一体的に射出成形されている。そして、リップ基部8eが、外部ガーニッシュ8の基部8aに固定されている。なお、この基部8aに、図2で説明した外表面S1が形成され、基部8aのドア対向側面8fは、ドア11と対向している。また、リップ8bは、合わせ部21でない箇所では、図10に示すように、フェンダーパネル6に密着している。リップ8bは、リップ基部8eに支持され、リップ基部8eは外部ガーニッシュ8の基部8aに固定されている。リップ基部8eは、フェンダーパネル6の外表面に沿って形成されている。
【0036】
図11に、外部ガーニッシュ8の上面図を示す。外部ガーニッシュ8の上部において、基部8aの奥側(裏側)に、リップ8bが設けられ、リップ8bの奥側に、第1シェード8cが設けられ、第1シェード8cの奥側に、第2シェード8dが設けられていることがわかる。第2シェード8dは、ドア対向側面8fに接続している。
【0037】
図12に、外部ガーニッシュ8の上部の背面図を示す。ドア対向側面8fは、基部8aと、リップ基部8eとで構成され、第2シェード8dの近傍で、互いに重なり接着されている。ドア対向側面8fを構成するリップ基部8eと、第2シェード8dとは、第2シェード8dの一辺において接続している。リップ基部8eは、ドア対向側面8fから、第2シェード8dの他の一辺と、第1シェード8cと、リップ8bとに沿って設けられている。そして、リップ基部8eと、第2シェード8dと、第1シェード8cと、リップ8bとは、射出成形により一体成形されている。
なお、第1シェード8cをAピラーガーニッシュ2の側部2dに当接させるように車体1の内方に延びて延長させる、または、第2シェード8dをピラー13に当接させるように車体1の内方に延びて延長させることによって、更に合わせ部21の間隙の黒映りを抑制することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 車体
2 Aピラーガーニッシュ
2a 中空構造
2b 第1延長部
2c 第2延長部
2d 側部
3 シール部材
3a 支持部
3b リップ
4 ボンネット
5 ヒンジカバー
5a 延在部
6 フェンダーパネル
6a フランジ部
7 ウィンドウパネル
8 外部ガーニッシュ
8a 基部
8b リップ
8c 第1シェード
8d 第2シェード
8e リップ基部
8f ドア対向側面
9 ドアガーニッシュ
10 バックミラー
11 ドア
12 ドアのウィンドウガラス
13 ピラー
14 支持部材
15 シール部材
16 モールディング
17 接着剤
18、19、20 両面テープ
21 合わせ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のピラーの表面側に設けられる樹脂製のピラーガーニッシュと、
前記ピラーガーニッシュの端部側に、端部が設けられる鋼製のフェンダーパネルと、
前記ピラーガーニッシュと前記フェンダーパネルとの前記端部同士間の間隙を塞ぐためのシール部材とを有し、
前記ピラーガーニッシュには、前記ピラーガーニッシュの端部から前記フェンダーパネルの端部の方向へ延長された延長部が設けられ、
前記フェンダーパネルには、前記フェンダーパネルの端部から前記ピラーガーニッシュの端部の方向へ延長されたフランジ部が設けられ、
前記シール部材は、前記延長部と前記フランジ部に載置されることを特徴とするピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造。
【請求項2】
前記延長部が設けられる前記間隙の間隔は、前記フランジ部が設けられる前記間隙の間隔より広いことを特徴とする請求項1に記載のピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造。
【請求項3】
前記延長部は、中空構造を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造。
【請求項4】
ボンネットを開閉可能に支持するヒンジを覆うヒンジカバーを有し、
前記シール部材は、前記ヒンジカバーの延在方向に前記ヒンジカバーに連続するように載置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造。
【請求項5】
前記フェンダーパネルおよび前記ピラーガーニッシュに並んで設けられる樹脂製の外部ガーニッシュを有し、
前記外部ガーニッシュには、前記ピラーガーニッシュに対向する合わせ部に、外表面の裏面側から前記車体の内方に延び、射出成形で形成されるシェードが設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造。
【請求項1】
車体のピラーの表面側に設けられる樹脂製のピラーガーニッシュと、
前記ピラーガーニッシュの端部側に、端部が設けられる鋼製のフェンダーパネルと、
前記ピラーガーニッシュと前記フェンダーパネルとの前記端部同士間の間隙を塞ぐためのシール部材とを有し、
前記ピラーガーニッシュには、前記ピラーガーニッシュの端部から前記フェンダーパネルの端部の方向へ延長された延長部が設けられ、
前記フェンダーパネルには、前記フェンダーパネルの端部から前記ピラーガーニッシュの端部の方向へ延長されたフランジ部が設けられ、
前記シール部材は、前記延長部と前記フランジ部に載置されることを特徴とするピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造。
【請求項2】
前記延長部が設けられる前記間隙の間隔は、前記フランジ部が設けられる前記間隙の間隔より広いことを特徴とする請求項1に記載のピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造。
【請求項3】
前記延長部は、中空構造を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造。
【請求項4】
ボンネットを開閉可能に支持するヒンジを覆うヒンジカバーを有し、
前記シール部材は、前記ヒンジカバーの延在方向に前記ヒンジカバーに連続するように載置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造。
【請求項5】
前記フェンダーパネルおよび前記ピラーガーニッシュに並んで設けられる樹脂製の外部ガーニッシュを有し、
前記外部ガーニッシュには、前記ピラーガーニッシュに対向する合わせ部に、外表面の裏面側から前記車体の内方に延び、射出成形で形成されるシェードが設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のピラーガーニッシュとフェンダーパネルの取付け車体構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−84226(P2011−84226A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239954(P2009−239954)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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