説明

ピリジニウムおよびキノリニウム誘導体

【課題】腫瘍細胞または寄生虫感染によって罹患した細胞においてコリンキナーゼ酵素の選択的遮断によってホスホリルコリンの生合成を遮断し、その結果、ヒトをはじめとする動物における、腫瘍および寄生虫疾患またはウイルスおよび真菌によってもたらされる疾病の処置に使用できる化合物、およびその製造方法の提供。
【解決手段】下記一般式Iで表される化合物。


(式I中のAは、ベンゼン−1,3−ジイルメチレン基、ビフェニル−1,3−ジイルメチレン基などのスペーサーを表す。)

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は一般に、腫瘍細胞または寄生虫の感染によって罹患した細胞においてコリンキナーゼ酵素の選択的遮断の手段によってホスホリルコリン生合成を遮断する化合物、従って、ヒトをはじめとする動物における、腫瘍および寄生虫疾患またはウイルス、細菌および真菌によってもたらされる疾病の処置に適用できる化合物、ならびに本発明の化合物の製造方法および該方法のある種の中間体に関する。
【発明の背景】
【0002】
コリンキナーゼは、Kennedyまたはホスファチジルコリン(PC)合成経路の最初の酵素であり、リン酸基供与体としてアデノシン5’三リン酸(ATP)を用いてコリンをリン酸化してホスホリルコリン(PCho)とする[Kent, C. Prog. Lipid Res., 29, 87-105 (1990); Kennedy, E. P. Fed. Proc., 20, 934-940 (1961)]。Ras遺伝子は癌遺伝子と呼ばれる1つのファミリーを形成し、全ヒト腫瘍の25〜30%で、さらにいくつかのものでは90%で活性化されていることから広く研究されている[Bos, JL. Cancer Res 49, 4682-4689 (1989); Kiaris, H., Spandidos, D. A. Int. J. Oncol., 413-421 (1995)]。Rasタンパク質は、細胞の増殖、最終分化および老化の調節におけるそれらの関わりから細胞内シグナル伝達に重要な役割を果たしている[Abdellatif, M., MacLellan, W. R.; Schneider, M. D. J. Biol. Chem., 269, 15423-15426 (1994); Wiesmuller, L., Wittinghofer, F. Cell Signal., 6, 247-267 (1994); Barbacid, M. Eur. J. Clin. Invest., 20, 225-235 (1990); Hahn & Weinberg Nat. Rev. Cancer, 2: 331 (2002); Wright & Shay Nat. Biotech, 20: 682 (2002); Drayton & Peters Curr. Op. Gen. Dev, 12:98 (2002)]。種々の癌遺伝子、中でも突出してras癌遺伝子により媒介される悪性転換は、高レベルのコリンキナーゼ活性を誘導し、その結果、その生成物PChoの細胞内レベルに異常な上昇をもたらす[Lacal et al., Nature 330, 269-272 (1987); Lacal J.C. Mol. Cell. Biol. 10, 333-340 (1990); Teegarden, D., Taparowsky, E. J., Kent, C. J. Biol. Chem. 265, 6042-6047 (1990); Ratnam, S.; Kent, C. Arch. Biochem. Biophys. 323, 313-322 (1995); Ramirez de Molina, A., Rodriguez-Gonzalez, A., Penalva, V., Lucas, L., Lacal, J. C. Biochem. Biophys. Res. Commun. 285, 873-879 (2001); Ramirez de Molina, A., Penalva, V.; Lucas, L., Lacal, J. C. Oncogene 21, 937-946 (2002)]。核磁気共鳴(NMR)技術を用いた研究では、正常組織に対して、中でも、乳癌、結腸癌、肺癌および前立腺癌をはじめとするヒト腫瘍組織において高レベルのPChoが示されたことから、補足的事実もヒト腫瘍の形成におけるChoKの役割を裏付ける[Ruiz-Cabello, J., Cohen, J. S. NMR Biomed. 5, 226-233 (1992); de Certaines, J. D., Larsen, V. A., Podo, F., Carpinelli, G., Briot, 0., Henriksen, 0. NMR Biomed. 6, 345-365 (1993); Smith, T. A. D., Bush, C., Jameson, C., Titley, J. C., Leach, M. O., Wilman, D. E. V., McCready, V. R. NMR Biomed. 6, 318-323 (1993)]。rasはヒト発癌において最も深く研究されている癌遺伝子の1つであること、およびChoK阻害は、癌遺伝子によって悪性転換された細胞において新規かつ効率的な抗腫瘍戦略であることが示されていることは一般的な知識である[Cuadrado, A., Carnero, A., Dolfi, F., Jimenez, B., Lacal, J. C. Oncogene, 8, 2959-2968 (1993); Jimenez, B., del Peso, L., Montaner, S., Esteve, P. Lacal, J. C. J. Cell Biochem., 57, 141-149 (1995); Hernandez-Alcoceba, R., Saniger, L., Campos, J., Nunez, M. C., Khaless, F., Gallo, M. A., Espinosa, A., Lacal, J. C. Oncogene, 15, 2289-2301 (1997)]。これらの第一の所見は、その後、ヌードマウスにおいてin vivoで推定された[Hernandez-Alcoceba, R., Fernandez, F., Lacal, J. C. Cancer Res. 59, 3112-3118 (1999)]。ChoK阻害剤に対する研究は、ヘミコリニウム−3(HC−3)を比較的強力かつ選択的な遮断薬として確認した[Cuadrado A., Carnero A., Dolfi F., Jimenez B. and Lacal J.C. Oncogene 8, 2959-2968 (1993); Jimenez B., del Peso L., Montaner S., Esteve P. and Lacal J.C. J. cell Biochem. 57, 141-149 (1995); Hernandez-Alcoceba, R., Saniger, L., Campos, J., Nunez, M. C., Khaless, F., Gallo, M. A., Espinosa, A., Lacal, J. C. Oncogene, 15, 2289-2301 (1997)]。ビフェニル構造を有するこのコリンホモログは、新しい抗腫瘍薬をデザインするために用いられている。HC−3は強力な呼吸器系麻痺薬であるので、臨床使用に良い候補とは言えない。いくつかの誘導体の合成は、ChoK阻害活性を改良し、その有毒作用を押さえるHC−3の構造修飾に基づくものである。増殖時にビス四級化対称化合物によって生じる阻害作用は、細胞全体のPCho生産を誘導する能力に関連づけられている[Hernandez-Alcoceba, R., Saniger, L., Campos, J., Nunez, M. C., Khaless, F., Gallo, M. A., Espinosa, A., Lacal, J. C. Oncogene, 15, 2289-2301 (1997)およびES 2 117 950]。1,2−エチレン−p−(ビベンジルジメチル−ジイル)残基を、4位において置換された2つの陽イオンピリジニウムヘッドの間のスペーサーとして用いた場合[Campos, J., Nunez, M. C., Rodriguez, V., Gallo, M. A., Espinosa, A. Bioorg. & Med. Chem. Lett. 10, 767-770 (2000)]、それらの構造が、単離されたChoKを阻害するそれらの能力により評価された(ex vivo条件)[Lacal J.C. IDrugs 4: 419 426 (2001)]。この4−NR基は顕著な寄与をもたらし、正電荷の非局在化により、この基の役割が電気的なものであることが提案された[Campos, J., Nunez, M. C., Rodriguez, V., Gallo, M. A., Espinosa, A. Bioorg. & Med. Chem. Lett. 10, 767-770 (2000)]。種々のヒト乳癌におけるChoK活性の上昇が公開されている[Ramirez de Molina, A., Gutierrez, R., Ramos, M. A., Silva, J. M., Silva, J., Sanchez, J. J., Bonilla, F., Lacal, J. C. Oncogen 21, 4317-4322 (2002)]。最近、肺癌、結腸直腸癌および前立腺癌などのいくつかのヒト腫瘍においてChoKの変化が頻繁に起こっていることが報告された[Ramirez de Molina, A., Rodriguez-Gonzalez, A., Gutierrez, R., Martinez-Pinero, L., Sanchez, J. J., Bonilla, F., Resell, R., Lacal, J. C. Biochem. Biophys. Res. Commun. 296, 580-583 (2002)]。
【0003】
しかしながら、当技術分野の現状、特に特許ES 2 117 950に記載されているビス四級化ピリジニウム誘導体は高レベルの毒性を示し、それらの治療適用の範囲は限定される。
【0004】
よって、当技術分野の現状において、腫瘍細胞において、または寄生虫、ウイルス、細菌または真菌感染によって生じるプロセスにおいてホスホリルコリン生合成を遮断する活性を有し、同時に毒性が低レベルである化合物を開発する必要がある。
【0005】
本発明の著者らは、鋭意研究の後、当技術分野の現状、特に特許ES 2 117 950に記載されている化合物の構造におけるある特定の修飾が予期しないことに、従って驚くべきことに、当技術分野の現状の前記化合物の毒性のレベルを著しく引き下げることを見出した。
【発明の簡単な説明】
【0006】
よって、本発明は、その第一の目的として、式I:
【化1】

を有する一系列の化合物を提供し、この構造は、スペーサーにより連結された2つのN−アリールアミノピリジニウム基を有することを特徴とする。腫瘍細胞において、または可能性としては寄生虫、ウイルス、細菌または真菌感染によってもたらされるプロセスにおいてコリンキナーゼ酵素を選択的に遮断する手段により、ホスホリルコリン生合成の遮断薬として作用することに加え、この系列の化合物は低い毒性を有する。
第二の目的では、本発明は、薬剤における式Iの化合物の使用を提供する。
【0007】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1つの式Iの化合物を含んでなる医薬処方物を提供することからなる。
本発明は、もう1つの目的において、式Iの化合物を製造する方法を提供する。
【0008】
最後に、本発明は、式Iの化合物の製造方法において出発化合物として関与する式VII:
【化2】

の化合物を提供する。
【発明の詳細な説明】
【0009】
その第一の目的において、本発明は、一般式I:
【化3】

[式中、
は、医薬上好適な有機酸または無機酸の共役塩基を表し;
およびR’は、互いに独立に、H、および場合によってトリフルオロメチル、ヒドロキシルまたはアルコキシルにより置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される基を表し;
およびR’は、互いに独立に、場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1−6アルキル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよいアリール基を表し;
およびR’は、互いに独立に、H、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシル、および場合によってトリフルオロメチル、ヒドロキシル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される基か、あるいはそれぞれRおよびR’とともに、互いに独立に、場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1−6アルキル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよい−CH=CH−CH=CH−基のいずれかを表し;
およびR’は、互いに独立に、H、および場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される基か、あるいはそれぞれRおよびR’とともに、互いに独立に、場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1−6アルキル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよい−CH=CH−CH=CH−基のいずれかを表し;かつ、
Aは、スペーサー基を表す]
に対応する一系列の化合物を提供する。
【0010】
腫瘍細胞において、または寄生虫感染によって罹患した細胞においてコリンキナーゼ酵素を選択的に遮断する手段により、ホスホリルコリン生合成の遮断薬として作用することに加え、この系列に属する化合物は、当技術分野の現状で公知の類似構造化合物のものよるも低い毒性レベルを有することを特徴とする。本発明の化合物のこの特徴は以下に挙げられている実施例で示される。
【0011】
本発明において、スペーサー基「A」は、式Iで定義される構造に存在する2つのピリジニウム基の間で連結部として働く任意の二価有機構造として理解される。本発明の特定の実施形態では、スペーサーAは、式II、III、IV、VおよびVIの1つに従う構造を有する。これらの式は基を示し、そこでは、末端の直線−は結合を示し、メチル基ではない。
【化4】

式中、m、nおよびpは次の値:m=0、1;n=0、1〜10;p=0、1を持ち得る整数を表す(ただし、m、nおよびpは同時に0の値をとることはない)。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【0012】
本発明によれば、基RおよびR’、RおよびR’、ならびにRとR、R’とR’は異なる基を表しても同じ基を表してもよく、非対称または対称化合物となる。
【0013】
本発明の特定の実施形態では、基RおよびR’は、互いに独立に、場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1−6アルキル、アミノおよびアルコキシルにより置換されていてもよいフェニル基を表す。本発明のもう1つの特定の実施形態では、基RおよびR’はメチル基を表し、一方、基RおよびR’は、互いに独立に、場合によって1以上のハロゲン置換基により置換されていてもよいフェニル基を表す。第三の特定の実施形態では、基RとRおよび基R’とR’が、互いに独立にではあるが、両者が一緒になって、場合によって1以上のハロゲン置換基により置換されていてもよい−CH=CH−CH=CH−基を表す。
【0014】
本発明の好ましい化合物は下表Iで示される。
【化9】

【0015】
【表1】

【0016】
最後に、本発明の好ましい実施形態では、医薬上好適な有機酸または無機酸の共役塩基Qは、Br(ブロミド)またはFP(ヘキサフルオロホスフェート)を表す。
本発明の化合物は、ある特定の癌遺伝子を悪性転換するのに必要なシグナル伝達経路に選択的作用を有し、それは正常細胞には同じ強度では作用せず、従って、抗腫瘍処置における大きな効力に十分な余地を残す。
【0017】
他方、本発明の筆者らが行った生物学的アッセイでは、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)またはクルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)などのいくつかの寄生虫、アデノウイルスなどのいくつかのウイルス、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)などの細菌、およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)などの真菌は、ヒトおよび動物内でそれらの感染サイクルをまっとうするために、コリンキナーゼを介するホスファチジルコリン合成の代謝経路を必要とすることが知られていることから、この種の活性を抗ウイルス、抗寄生虫、または抗真菌活性に拡張させる。この点で、文献における背景は、Hep−G2細胞の特定のヌクレオシドにおける細胞内代謝におけるChoKの役割[Martin, L. T.; Faraj, A.; Schinazi, R. F.; Gosselin, G.; Mathe, C.; Imbach, J.-L.; Sommadossi, J.-P. Biochemical Pharmacology, 53, 75-87 (1997)]、寄生性疾患における酵素マーカーとしてのChoKの使用[Wunderlich, F.; Helwig, M.; Schillinger, G.; Vial, H.; Philippot, J.; Speth, V. Molecular and Biochemical Parasitology, 23, 103-115 (1987); Ancelin, M.L.; Vial, H. J. Biochimica et Biophysica Acta (BBA)- Lipids and Lipid Metabolism, 875, 52-58 (1986)]、およびウイルス[Balakivera L., Schoen G., Thouvenin E., Chroboczek J. J. Virol. 77:4858-4866 (2003)]、細菌[Whiting GC, Gillespie SH. FEMS Microbiol Lett. 138:141-145 (1996)]および真菌[Mago N, Khuller GK. J Med Vet Mycol. 28:355-362 (1990)]); Mago N, Khuller GK. J Med Vet Mycol. 28:355-362 (1990)]において重要なリン脂質の生合成におけるChoKの関与を裏付けている。これらの研究は総て、ChoK阻害は、以上に記載した疾病の治癒において重要な治療結果を持ち得ることを裏付けている。
【0018】
よって、第二の目的では、本発明は、薬剤における式Iの化合物の使用を提供する。具体的には、式Iの化合物は、薬剤におけるそれらの使用に関して請求される。特定の実施形態では、本発明は、癌、好ましくは、乳癌、肺癌、結腸直腸癌および膵臓癌の処置のための式Iの化合物を提供する。もう1つの特定の実施形態では、本発明は、ウイルス疾患、特にアデノウイルスにより引き起こされるものの処置のため;ならびに抗寄生虫処置、好ましくはプラスモジウムまたはトリパノソーマによって引き起こされる疾病の処置;抗菌処置、好ましくは連鎖球菌によって引き起こされる疾病;および抗真菌処置、好ましくはカンジダによって引き起こされる疾病の処置のための式Iの化合物を提供する。
【0019】
他方、薬剤の製造における式Iの化合物の使用が請求される。特定の実施形態では、式Iの化合物は癌、好ましくは、乳癌、肺癌、結腸直腸癌または膵臓癌の薬剤の製造に用いられる。もう1つの特定の実施形態では、式Iの化合物は、ウイルス疾患の処置、好ましくは、アデノウイルスにより引き起こされる疾病のための薬剤の製造に;ならびに抗寄生虫処置、好ましくはプラスモジウムまたはトリパノソーマによって引き起こされる疾病の処置のための薬剤の製造に;細菌疾患の処置のため、好ましくは連鎖球菌によって引き起こされる疾病のための薬剤の製造に;および真菌疾患の処置のため、好ましくはカンジダによって引き起こされる疾病のための薬剤の製造に用いられる。
【0020】
その第三の目的では、本発明は、有効成分として少なくとも1つの式Iの化合物を含んでなる医薬処方物を提供する。該医薬処方物は1以上の賦形剤および/または担体物質を含み得る。さらに、該処方物は、コリンキナーゼ酵素の機能を阻害する他のいずれの有効成分を含んでもよい。
【0021】
これらの賦形剤、担体物質および補助物質は、それらがその処方物または製剤の他の成分と合わせることができ、かつ、処置される生物に有害な作用を持たないよう、医薬上、薬理学上許容されるものでなければならない。これらの医薬組成物または処方物としては、経口投与または非経口投与(皮下、皮内、筋肉内および静脈内投与を含む)に好適なものが挙げられるが、最良の投与経路は患者の症状によって異なる。これらの処方物は単回用量の形態であってもよい。これらの処方物は製薬分野で公知の方法に従って製造することができる。投与する有効物質の量は治療の詳細に従って可変である。
【0022】
本発明はまた、式Iの化合物の製造方法も提供する。本発明のこの目的には、式Iの化合物が同じアミノピリジニウム基を持っているか、異なるアミノピリジニウム基を持っているかによって2つの異なる実施形態がある。
【0023】
a)アミノピリジニウム基が同じ式Iの化合物を得る方法:この方法は、式VIIの対応する複素環式誘導体と二ハロゲン化誘導体AX(ここで、Xはハロゲン原子:Cl、BrまたはIを表す)を有機溶媒中、2:1のモル量で反応させることを含む。この反応は好ましくは、密閉試験管内のブタノン中、90〜110℃の温度で行う。
b)アミノピリジニウム基が異なる式Iの化合物を得る方法:この方法は、式VIIの対応する複素環式誘導体と二ハロゲン化誘導体AX(ここで、Xはハロゲン原子:Cl、BrまたはIを表す)を有機溶媒中、1:1のモル量で反応させてモノ四級化生成物を得て、これを、予め形成した該モノ第四級化塩が溶解可能なように最初の有機溶媒よりも極性の高い別の有機溶媒を用いて、別の異なる複素環式誘導体分子と1:1のモル比で再び反応させることを含む。この反応の第一工程は、好ましくは、密閉試験管内のブタノン中、90〜110℃の温度で行い、第二工程は、好ましくは、密閉試験管内のエタノール中、90〜110℃の温度で行う。
【0024】
最後に、その最後の目的では、本発明は、式Iの化合物の製造方法において出発化合物として関与する式VII:
【化10】

[式中、
は、H、および場合によってトリフルオロメチル、ヒドロキシルまたはアルコキシルにより置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される基を表し;
は、場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1−6アルキル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよいアリール基を表し;
は、H、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシル、および場合によってトリフルオロメチル、ヒドロキシル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される基か、あるいはRとともに、場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1−6アルキル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよい−CH=CH−CH=CH−基のいずれかを表し;
は、H、および場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される基か、あるいはRとともに、場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1−6アルキル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよい−CH=CH−CH=CH−基のいずれかを表す]
の化合物を提供する。
【0025】
式VIIの化合物の中でも好ましくは、化合物は、式VIII:
【化11】

【表2】

の化合物である。
以下の実施例は本発明の例として示すものである。
【実施例】
【0026】
製造例
化合物1(コードACG560B):1,1’−(ベンゼン−1,3−ジイルメチレン)ビス[4−( 4−クロロ−N−メチルアニリノ)ピリジニウム]ジブロミド
乾燥ブタノン(40ml)中、4−(4−クロロ−N−メチルアニリン)ピリジン(125mg,0.57mmol)および1,3−ビス(ブロモメチル)ベンゼン(75mg,0.28mmol)の混合物を密閉試験管にて100℃で144時間加熱した。濾過し、ブタノン、EtOAcおよびEtOで十分洗浄した後、化合物1を純粋な白色固体として得た(125.2mg,62.7%);融点:197〜198℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.48 (d, 4H, H-2,6pyr, J = 6.6); 7.64 (d, 4H, H-3,5anil, J = 8.6); 7.57 (s, 1H, H-2ph); 7.45 (d, 5H, H-2,6anil and H-5ph; J = 8.6); 7.37 (d, 2H, H-4,6ph, J = 7.7); 6.95 (bs, 4H, H-3,5pyr); 5.49 (s, 4H, CH2N+); 3.46 (s, 6H, Me). 13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 156.20 (C-4pyr); 142.75 (C-2,6pyr); 141.96 (C-1anil); 136.18 (C- 1.3ph); 132.78 (C-4anil); 130.50 (C-3,5anil); 129.73 (C-5ph); 128.37 (C-2,6anil); 128.18 (C-4,6ph); 127.89 (C-2ph); 109.15 (C-3,5pyr); 59.16 (CH2N+); 41.42 (Me). HRMS (m/z) : C32H30N4Cl2Br(M - Br)+としての計算値:619.1031; 実測値: 619.1031. C32H30N4Cl2Br2・1H2O.としての分析:計算値: C 53.43; H 4.56; N 7.63%. 実測値: C 53.14; H 4.48; N 7.79%.
【0027】
化合物2(コードACG416B):1,1’−(ビフェニル−3,3’−ジイルメチレン)ビス[4−(N−メチルアニリノ)ピリジニウム]ジブロミド
乾燥ブタノン(40ml)中、4−(N−メチルアニリン)ピリジン(216mg,1.17mmol)および3,3’−ビス(ブロモメチル)ビフェニル(200mg,0.58mmol)の混合物を密閉試験管にて100℃で24時間加熱した。濾過し、ブタノンで十分洗浄した後、固体生成物をMeOHからの再結晶により精製し、残渣を、EtOを用いて摩砕した。化合物2を白色固体として得た(294mg,71.5%);融点:124〜125℃。1H-NMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.35 (bs, 4H, H-2,6pyr); 7.84 (s, 2H, H-2ph); 7.67 (d, 2H, H-6ph, J = 7.7); 7.56 (t, 4H, A-3,5anil, J = 7.6); 7.50-7.44 (m, 4H, H-5ph and H-4anil); 7.39 (d, 2H, H-4ph, J = 7.7); 7.33 (d, 4H, H-2,6anil, J = 7.5); 6.95 (bs, 4H, H-3,5pyr); 5.47 (s, 4H, CH2N+); 3.51 (s, 6H, Me). 13C-NMR (75 MHz, CD3OD) δ 158.48 (C-4pyr); 144.82 (C-1anil); 143.80 (C-2.6pyr); 142.60 (C-1ph); 136.82 (C-3ph); 132.01 (C-3,5anil); 131.14 (C-5ph); 130.12 (C-4anil); 128.99 (C- 4ph); 128.82 (C-6ph); 128.58 (C-2ph); 127.52 (C-2,6anil); 110.29 (C- 3,5pyr); 61.97 (CH2N+); 41.42 (Me). HRMS (m/z): C38H36N4Br (M - Br)+ としての計算値:627.2123; 実測値: 627.2122. C38H36N4Br2・2.5H2O.としての分析:計算値: C 60.56; H 5.48; N 7.43%. 実測値: C 60.70; H 5.83; N 7.20%.
【0028】
化合物3(コードACG548B):1,1’−(ビフェニル−3,3’−ジイルメチレン)ビス[4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)ピリジニウム]ジブロミド
乾燥ブタノン(40ml)中、4−(4−クロロ−N−メチルアニリン)ピリジン(235mg,1.07mmol)および3,3’−ビス(ブロモメチル)ビフェニル(183mg,0.53mmol)の混合物を密閉試験管にて100℃で24時間加熱した。濾過し、CHClで十分洗浄した後、固体生成物を、濁りが出るまでEtOを加えた後、MeOHからの再結晶により精製した。化合物3を白色固体として得た(205mg,49.7%);融点:279〜280℃。1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.57 (d, 4H, H-2,6pyr, J = 6.5); 7.88 (s, 2H, H- 2ph); 7.67 (d, 2H, H-6ph, J = 7.7); 7.61 (d, 4H, H-3,5anil, J = 8.6); 7.51 (t, 2H, H-5ph, J = 7.7); 7.42 (d, 6H, H-4ph and H- 2,6anil, J = 8.6); 6.99 (bs, 4H, H-3,5pyr); 5.51 (s, 4H, CH2N+); 3.43 (s, 6H, Me). 13C-NMR (75 MHz, DMSO-d6) δ 156.20 (C-4pyr); 142.72 (C-2,6pyr); 142.05 (C-1anil); 140.01 (C-1ph); 136.20 (C-3ph); 132.79 (C-4anil); 130.53 (C-3,5anil); 129.73 (C-5ph); 128.47 (C- 2,6anil); 127.51 (C-4ph); 127.14 (C-6ph); 127.04 (C-2ph); 109.20 (C- 3,5pyr); 59.55 (CH2N+); 40.73 (Me). HRMS (m/z): C38H34N4Cl2Br (M - Br)+ としての計算値:695.1344; 実測値: 695.1344. C38H34N4Cl2Br2・1.2H2Oとしての分析:計算値: C 57.12; H 4.59; N 7.01%. 実測値: C 57.55; H 4.99; N 6.97%.
【0029】
化合物4(コードACG604A):1,1’−(ビフェニル−3,3’−ジイルメチレン)ビス[4−(3,5−ジクロロ−N−メチルアニリノ)ピリジニウム]ジブロミド
乾燥ブタノン(40ml)中、4−(3,5−ジクロロ−N−メチルアニリン)ピリジン(200mg,0.80mmol)および3,3’−ビス(ブロモメチル)ビフェニル(136mg,0.40mmol)の混合物を密閉試験管にて100℃で72時間加熱した。濾過し、ブタノンEtOで十分洗浄した後、化合物4を純粋な白色固体として得た(270mg,79.7%);融点:312〜313℃。1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.63 (d, 4H, H-2,6pyr, J = 7.1); 7.92 (s, 2H, H-2ph); 7.75 (s, 2H, H-4anil); 7.70 (d, 2H, H-6ph, J = 7.6); 7.62 (d, 4H, H-2,6anil, J = 1.8); 7.53 (t, 2H, H-5ph, J = 7.6); 7.45 (d, 2H, H-4ph, J = 7.6); 7.04 (d, 4H, H-3,5pyr, J = 7.1); 5.56 (s, 4H, CH2N+); 3.44 (s, 6H, Me). 13C-NMR (75 MHz, DMSO-d6) δ 156.20 (C-4pyr); 145.27 (C-1anil); 142.86 (C-2,6pyr); 140.08 (C-1ph); 136.11 (C-3ph); 135.34 (C-3,5anil); 129.70 (C-5ph); 128.33 (C-4anil); 127.55 (C-4ph); 127.14 (C-6ph); 127.07 (C-2ph); 125.97 (C-2,6anil); 109.53 (C- 3,5pyr); 59.65 (CH2N+); 40.59 (Me). HRMS (m/z): C38H32N4Cl4Br (M - Br)+ としての計算値:763.0564; 実測値: 763.0563. C38H32N4Cl4Br2・0.1H2Oとしての分析: 計算値: C 53.81; H 3.81; N 6.60%. 実測値: C 53.41; H 4.19; N 6.25%.
【0030】
化合物5(コードRSM964A):1,1’−(ビフェニル−3,3’−ジイルメチレン)ビス[4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)キノリニウム]ジブロミド
乾燥ブタノン(40ml)中、4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)キノリン(212mg,0.78mmol)および3,3’−ビス(ブロモメチル)ベンゼン(134mg,0.39mmol)の混合物を密閉試験管にて100℃で72時間加熱した。濾過し、ブタノン、EtOAcおよびEtOで十分洗浄した後、化合物5を純粋な黄色がかった固体として得た(134mg,40%);融点:217〜218℃。1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.24 (d, J = 7.4, 2H, H-2quin); 8.18 (d, J = 8.9, 2H, H-8quin); 7.84 (s, 2H, H-2ph); 7.63 (d, J = 7.5, 2H, H-5quin); 7.56-7.43 (m, 18H, H-5,6ph, H-2,3,5,6anil, H-3,6,7quin); 7.23 (d, J = 7.4, 2H, H-4ph); 6.08 (s, 4H, N+-CH2); 3.74(s, 6H, Me). 13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 157.87 (C-4quin); 147.46 (C-2quin); 146.42 (C-1anil); 140.03 (C-1ph); 138.83 (C-8aquin); 135.61 (C-3ph); 133.50 (C-7quin); 131.69 (C-4anil); 130.27 (C-3,5anil); 129.62 (C-5ph); 127.35 (C-6ph); 127.18 (C-2,6anil); 126.73 (C-6quin); 126.09 (C- 4ph); 125.87(C-5quin); 125.67 (C-2ph); 119.65 (C-4aquin); 119.14 (C- 8quin); 107.10 (C-3quin); 57.28 (N+-CH2); 44.94 (Me). HRMS (m/z): C46H38N4Cl2Br2 [(M - Br)]+としての計算値:795.1657. 実測値: 795.1656. C46H38N4Cl2Br2・3H2Oとしての分析:計算値: C 59.31; H 4.76; N 6.01%. 実測値: C 59.24
; H 4.70; N 5.65%.
【0031】
化合物6(コードRSM820C):1,1’−(ビフェニル−3,3’−ジイルメチレン)ビス[4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)−7−クロロキノリニウム]ジブロミド
乾燥ブタノン(40ml)中、7−クロロ−4−(4−クロロ−N− メチルアニリノ)キノリン(300mg,0.98mmol)および3,3’−ビス(ブロモメチル)ビフェニル(168mg,0.49mmol)の混合物を密閉試験管にて100℃で72時間加熱した。濾過し、ブタノンおよびCHClで十分洗浄した後、固体生成物を、濁りが出るまでEtOを加えた後、EtOHまたはEtOH/MeOHからの再結晶により精製した。化合物6を黄色がかった固体として得た(154mg,45%);融点:220〜221℃。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.19 (d, J = 7.5, 2H, H-2quin); 8.29 (d, J = 1.7, 2H, H-8quin); 7.85 (s, 2H, H-2ph); 7.64 (d, J = 7.2, 2H, H-5quin); 7.57-7.45 (m, 16H, H-5,6ph, H-2,3,5,6anil, H-3,6quin); 7.25 (d, J = 7.7, 2H; H-4ph); 6.08 (s, 4H, N+-CH2); 3.73 (s, 6H, Me). 13C-NMR (75 MHz, DMSO-d6): δ 157.68 (C-4quin); 148.01 (C- 2quin); 146.14 (C-1anil); 140.14 (C-1ph); 139.85 (C-8aquin); 138.48 (C-7quin); 135.51 (C-3ph); 132.11 (C-4anil); 130.50 (C-3,5anil); 129.80 (C-5ph); 129.45. (C-6ph); 127.32 (C-2,6anil); 126.89 (C- 6quin); 126.12 (C-4ph); 125.91 (C-5quin); 125.82 (C-2ph); 118.48 (C- 8quin); 118.35 (C-4aquin); 107.38 (C-3quin); 57.14 (N+-CH2); 45.18 (Me). HRMS (m/z): C46H36N4Cl4Br2 [(M - HBr - Br)]+としての計算値: 783.1616. 実測値: 783.1616. C46H36N4Cl4Br2・1.5H2Oとしての分析:計算値: C 56.76; H 4.04; N 5.76%. 実測値: C 56.72; H 4.18; N 5.71%.
【0032】
化合物7(コードRSM932A):1,1’−(ビフェニル−4,4’−ジイルメチレン)ビス[4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)キノリニウム]ジブロミド
乾燥ブタノン(40ml)中、4−(4−クロロ−N−メチルアニリン)キノリン(240mg,0.89mmol)および4,4’−ビス(ブロモメチル)ビフェニル(152mg,0.44mmol)の混合物を密閉試験管にて100℃で72時間加熱した。濾過し、ブタノンで十分洗浄した後、化合物7を純粋な黄色がかった固体として得た(121mg,30%);融点:255〜257℃。1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.19 (d, J = 7.4, 2H, H-2quin); 8.12 (d, J = 8.9, 2H, H-8quin); 7.83 (pst, J = 7.5, 2H, H-7quin); 7.66 (d, J = 8.2, 2H, H-5quin); 7.55 (d, J = 8.8, 4H, H-3,5anil); 7.44 (d, J = 8.9, 4H, H-2,6anil); 7.56-7.39 (m, 12H, H-2,3,5,6ph, H-3quin , H-6quin); 6.05 (s, 4H, N+-CH2); 3.73 (s, 6H, Me). 13C-NMR (75 MHz, DMSO-d6): δ 157.86 (C-4quin); 147.41 (C-2quin); 146.40 (C-1anil); 139.11 (C-1ph); 138.78 (C-8aquin); 134.30 (C-4ph); 133.47 (C-7quin); 131.69 (C-4anil); 130.26 (C- 3,5anil); 127.34 (C-3,5ph); 127.18 (C-2,6anil), (C-2,6ph); 127.08 (C-6quin); 126.08 (C-5quin); 119.65 (C-4aquin); 119.12 (C-8quin); 107.06 (C-3quin); 56.94 (N+- CH2); 44.94 (Me). HRMS (m/z): C46H38N4Cl2Br2 [(M - Br)]+としての計算値: 795.1657. 実測値: 795.1658. C46H38N4Cl2Br2・2H2Oとしての分析:計算値: C 60.48; H 4.63; N 6.13%. 実測値: C 60.0
6; H 4.48; N 5.87%.
【0033】
化合物8(コードRSM824B):1,1’−(ビフェニル−4,4’−ジイルメチレン)ビス[4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)−7−クロロキノリニウム]ジブロミド
乾燥ブタノン(100ml)中、7−クロロ−4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)キノリン(300mg,0.98mmol)および4,4’−ビス(ブロモメチル)ビフェニル(168mg,0.49mmol)の混合物を密閉試験管にて100℃で72時間加熱した。濾過し、ブタノンで十分洗浄した後、化合物8を純粋な黄色がかった固体として得た(195mg,48%);融点:276〜277℃。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.14 (d, J = 7.4, 2H, H- 2quin); 8.23 (d, J = 1.6, 2H, H-8quin); 7.73 (d, J = 8.3, 2H, H- 5quin); 7.69 (d, J = 8.4, 4H, H-2,6ph); 7.56 (d, J = 8.8, 4H, H- 3,5anil); 7.46 (d, J = 8.9, 4H, H-2,6anil); 7.50-7.46 (m, 6H, H- 6quin, H-3quin); 7.41 (d, J = 8.4, 4H, H-3,5ph); 6.04 (s, 4H, N+- CH2); 3.73(s, 6H, Me). 13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 157.69 (C- 4quin); 147.98 (C-2quin); 146.13 (C-1anil); 139.82 (C-8aquin); 139.21 (C-1ph); 138.51 (C-7quin); 134.22 (C-4ph); 132.14 (C-4anil); 130.50 (C-3,5anil); 129.45 (C-2,6anil); 127.54 (C-3,5ph); 127.33 (C-6quin); 127.23 (C-2,6ph); 126.52 (C-5quin); 118.47 (C-8quin); 118.35 (C- 4aquin); 107.33 (C-3quin); 56.83 (N+-CH2); 45.19 (Me): HRMS (m/e): C46H36N4Cl4Br2 [(M-HBr-Br)]+としての計算値:783.1616. 実測値: 783.1614. C46H36N4Cl4Br2・としての分析:計算値: C 58.3
8; H 3.83; N 5.92%. 実測値: C 58.73; H 3.96; N 5.74%.
【0034】
化合物9(コードRSM936A):1,1’−[エチレンビス(ベンゼン−1,4−ジイルメチレン)]ビス[4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)キノリニウム]ジブロミド
乾燥ブタノン(40ml)中、4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)キノリン(204mg,0.76mmol)および4,4’−ビス(ブロモメチル)ビベンジル(140mg,0.37mmol)の混合物を密閉試験管にて100℃で72時間加熱した。濾過し、ブタノンおよびCHClで十分洗浄した後、化合物9を純粋な黄色がかった固体として得た(70mg,20%);融点:212〜214℃。1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.19 (d, J = 7.4, 2H, H-2quin); 8.10 (d, J = 8.9, 2H, H-8quin); 7.82 (pst, J = 7,5, 2H, H-7quin); 7.54 (d, J = 8.8, 4H, H-3,5anil); 7.44 (d, J = 8.9, 4H, H-2,6anil); 7.52-7.39 (m, 6H, H-3quin, H-5quin, H-6quin); 7.24 (s, 8H, H-2,3,5,6ph); 5.98 (s, 4H, N+-CH2); 3.73 (s, 6H, Me); 2.80 (s, 4H, CH2-Ph). 13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 157.80 (C-4quin); 147.34 (C-2quin); 146.44 (C-1anil); 141.55 (C-1ph); 138.74 (C-8aquin); 133.36 (C-quin7); 132.32 (C.4ph); 131.63 (C- 4anil); 130.25 (C-3,5anil); 128.79 (C-3,5ph); 127.26 (C-6quin); 127.17 (C-2,6anil); 126.74 (C-2,6ph); 126.04 (C-5quin); 119.66 (C- 4aquin); 119.19 (C-8quin); 107.06 (C-3quin); 57.10 (N+- CH2); 44.93 (Me); 36.22 (CH2-Ph). HRMS (m/z) : C48H42N4Cl2Br2 [(M - Br)]+としての計算値:823.1970. 実測値: 823.1970. C48H42N4Cl2Br2・1H2O.としての
分析:計算値: C 62.42; H 4.80; N 6.07%. 実測値: C 62.29; H 4.59; N 6.09%.
【0035】
化合物10(コードRSM828B):1,1’−[エチレンビス(ベンゼン−1,4−ジイルメチレン)]ビス[4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)−7−クロロキノリニウム]ジブロミド
乾燥ブタノン(40ml)中、7−クロロ−4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)キノリン(300mg,0.98mmol)および4,4’−ビス(ブロモメチル)ビベンジル(182mg,0.49mmol)の混合物を密閉試験管にて100℃で72時間加熱した。濾過し、ブタノンで十分洗浄した後、化合物10を純粋な黄色がかった固体として得た(229mg,48%);融点:256〜257℃。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.11 (d, J = 7.4, 2H, H- 2quin); 8.18 (d, J = 1.5, 2H, H-8quin); 7.55 (d, J = 8.8, 4H, H- 3,5anil); 7.46 (d, J = 8.8, 4H, H-2,6anil); 7.56-7.44 (m, 6H, H-3quin, H-5quin, H-6quin); 7.24 (s, 8H, H-2,3,5,6ph); 5.97 (s, 4H, N+-CH2); 3.72 (s, 6H, Me); 2.82 (s, 4H, CH2-Ph). 13C-NMR (100 MHz, DMSO- d6): δ 157.63 (C-4quin); 147.91 (C-2quin); 146.16 (C-1anil); 141.74, 139.75 and 138.88 (C-7quin, C-8aquin and C-4ph); 132.20 (C-4anil); 132.08 (C-1ph); 130.50 (C-3,5anil); 129.39 (C-6quin); 128.99 (C- 3,5ph); 127.32 (C-2,6anil); 126.90 (C-2,6ph); 126.48 (C-5quin); 118.55 (C-8quin); 118.35 (C-4aquin); 107.32 (C-3quin); 57.02 (N+- CH2); 45.17 (Me); 36.33 (CH2-Ph). HRMS (m/z): C48H40N4Cl4Br2 [(M-HBr-Br)]+としての計算値:811.1927. 実測値: 811.1926. C48H40N4Cl4Br2・2H2Oとしての分析: 計算値: C 57.05; H 4.39; N 5
.54%. 実測値: C 57.14; H 4.07; N 5.46%.
【0036】
試薬の準備
化合物α,α’−ジブロモ−m−キシレンは、Sigma-Aldrich Quimica S. A.(所在:Avenida Valdelaparra No. 51-53, 28100 Alcobendas (Madrid))が提供する市販品である。
【化12】

以下の出発材料は個々の参照文献に記載されている方法によって作製した。
【0037】
1.− 3,3’−ビス(ブロモメチル)ビフェニル
【化13】

Werner, W. J. Org. Chem. 17, 523-528 (1952)
2.− 4,4’−ビス(ブロモメチル)ビフェニル
【化14】

Szendey, G. L., Munnes, S. Chem. Ber. 94, 38-42 (1961); Staab, H. A., Haenel, M. Chem. Ber. 106, 2190-2202 (1973)
3.− ビス−p−(ブロモメチル)ビベンジル
【化15】

Cram, D. J., Steinberg, J. J. Am. Chem. Soc. 73, 5691-5704 (1951)
4.− 4−(N−メチルアニリノ)ピリジン
【化16】

Campos, J., Nunez, M. C., Sanchez, R., Gomez-Vidal, J. A., Rodriguez-Gonzalez, A., Banez, M., Gallo, M. A., Lacal, J. C., Espinosa, A. Bioorg. & Med. Chem. 10, 2215-2231 (2002)
5.− 4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)ピリジン
【化17】

Conejo-Garcia, A., Campos, J., Sanchez, R., Rodriguez-Gonzalez, A., Lacal, J. C., Gallo, M. A., Espinosa, A. Eur. J. Med. Chem. 38, 109-116 (2003)
6.−4−(3,5−ジクロロ−N−メチルアニリノ)ピリジン
【化18】

【0038】
この化合物は、これまでにConejo-Garcia, A., Campos, J., Sanchez, R., Rodriguez-Gonzalez, A., Lacal, J. C., Gallo, M. A., Espinosa, A. Eur. J. Med. Chem. 38, 109-116 (2003)に記載の方法に従い、4−クロロピリジン塩酸塩および4−(3,5−ジクロロ−N−メチルアニリノ)ピリジンから作製した。他方、3,5−ジクロロ−N−メチルアニリノは以下の研究:Leeson, P. D., Baker, R., Carling, R. W., Curtis, N. R., Moore, K. W., Williams, B. J., Foster, A. C., Donald, A. E., Kemp, J. A., Marshall, G. R. J. Med. Chem. 34, 1243-1252 (1991)に記載の方法に従って得た。
【0039】
7.− 4,4’−ビス(クロロメチル)−[2,2’]ビチアゾリル
【化19】

参照:Chi, AND. F.; Chu, T. I. Record (Peking), 1, 45 (1957); Chem. Abstract, 52, 6321 a,b (1957)
8.− ジエチル−4,4’−ビス(ブロモメチル)−[2,2’]ビチアゾリル−5,5’−二カルボン酸塩
【化20】

参照:Lehn, J.-M.; Regnouf de Vains, J.-B. Tetrahedron Lett., 30, 2209-2212 (1989)
9.− 6,6’−ビス(ブロモメチル)−[2,2’]ビピリジン
【化21】

参照:Rodriguez-Ubis, J.-C.; Alpha, B.; Plancherel, D.; Lehn, J.-M. Helv. Chim. Acta, 67, 2264 (1984)
10.− 6,6’−ビス(ブロモメチル)−4,4’−ジメチル−[2,2’]ビピリミジニル
【化22】

参照:Lehn, J.-M.; Regnouf de Vains, J.-B. Tetrahedron Lett., 30, 2209-2212 (1989)
【0040】
新規出発材料の作製
式VII:
【化23】

の化合物は、氷酢酸中、還流下で、4−アニリンまたはキノリン誘導体を対応する4−クロロ−アニリンと反応させることで作製できる。冷却後、この溶液を水酸化ナトリウム溶液で塩基性とし、その後、得られた懸濁液を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製する。
【0041】
式VIII:
【化24】

【0042】
【表3】

の化合物を得る例を以下に示す。
【0043】
化合物VIIIA
4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)キノリン
氷酢酸(15ml)中、4−クロロキノリン(5mmol)および4−クロロ−N−メチルアニリン(10mmol)の溶液をアルゴン気流下で3時間、加熱還流した。冷却後、この溶液を10%NaOH溶液でpH=10まで塩基性化し、得られた懸濁液をロータリーエバポレーターで濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(9:1,CHCl:MeOH)により精製し、目的分子を黄色がかったシロップとして得た(97%)。1H-NMR (400MHz, CDCl3): δ 8.10 (d, J = 8.5, 1H, H- 2quin); 7.70 (d, J = 8.5, 1H, H-5quin); 7.65 (t, J = 7.9, 1H, H- 7quin); 7.38 (t, J = 8.5, 1H, H-6quin); 7.35 (d, J = 7.9, 1H, H- 8quin); 7.17 (d, J = 8.9, 2H, H-3,5anil); 7.14 (d, J = 8.5, 1H, H- 3quin); 6.76 (d, J = 8.9, 2H, H-2,6anil); 3.45 (s, 6H, Me). 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ 153.37 (C-4quin); 151.16 (C-2quin ); 150.01 (C- 1anil); 148.17 (C-8aquin); 135.02 (C-4anil); 130.07 (C-7quin); 129.52 (C-6quin); 129.29 (C-3,5anil); 126.26(C-4aquin); 126.07 (C-5quin); 124.40 (C-8quin); 119.79 (C-2,6anil); 115.08 (C-3quin); 41.75 (Me). HRMS (m/z): C16H13N2Cl [(M + H)]+としての計算値:269.0845. 実測値: 269.0845. C16H13N2Clとしての分析: 計算値: C 71.51; H 4.88; N 10.42%. 実測値: C 71.60; H 4.71; N 10.33%.
【0044】
化合物VIIIB
7−クロロ−4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)キノリン
氷酢酸(15ml)中、4,7−ジクロロキノリン(5mmol)および4−クロロ−N−メチルアニリン(10mmol)の溶液をアルゴン気流下で3時間、加熱還流した。冷却後、この溶液を10%NaOH溶液でpH=10まで塩基性化し、得られた懸濁液をロータリーエバポレーターで濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(9:1,CHCl:MeOH)により精製し、中間体IIを黄色がかったシロップとして得た(59%)。
1H-NMR (300 MHz, CH3OD): δ 8.66 (d, J = 7.1, 1H, H- 2quin); 7.94 (d, J = 2.0, 1H, H-8quin); 7.53 (d, J = 8.8, 2H, H- 3,5anil); 7.41-7.37 (m, 2H, H-5,6quin); 7.47 (d, J = 8.8, 2H, H- 2,6anil); 7.32 (d, J = 7.1, 2H, H-3quin); 3.76 (s, 3H, Me). 13C-NMR (75 MHz, CH3OD): δ 159.86 (C-4quin); 147.63 (C-7quin); 143.86 (C- 2quin); 141.46 (C-1anil); 140.56 (C-8aquin); 135.02 (C-4anil); 132.01 (C-3,5anil); 129.92 (C-6quin); 128.58 (C-2,6anil); 127.98 (C-5quin); 120.56 (C-8quin); 118.71 (C-4aquin); 107.38 (C-3quin); 45.74 (Me). HRMS (m/z): C16H12N2Cl2 [(M + H)]+としての計算値:303.0456. 実測値: 303.0456. C16H12N2Cl2.としての分析:計算値: C 63.38; H 3.99; N 9.24%. 実測値: C 63.46; H 3.71; N 9.17%.
【0045】
ヒトChoK活性のex vivoアッセイ
バッファーアッセイ(メチル[14C]−コリンクロリド(50〜60μCi/mmol)の存在下における100mM Tris−HCl pH8.0、100mM MgCl、10mM ATPおよび200μMのコリン)において大腸菌(E. coli)で発現させた組換えコリンキナーゼをex vivoアッセイに用いた。反応は37℃で30分間行い、氷冷したトリクロロ酢酸を終濃度16%まで加えることで停止させた。これらのサンプルを、水で飽和したジエチルエーテルで洗浄し、凍結乾燥した。これらの親水性コリン誘導体を、記載の方法[Ramirez, A., Penalva, V., Lucas, L., Lacal, J.C. Oncogene 21, 937-946 (2002)]に従い、薄層クロマトグラフィープレートにて分離した。
【0046】
これらのアッセイを、本発明の化合物1〜10、ならびに当技術分野の現状、特にES 2 117 950で知られている化合物EC1〜EC6を用いて行った。これらの結果を表IIにまとめる。
【0047】
細胞増殖アッセイ
HT−29細胞を24ウェルプレートに播種し(35×10細胞/ウェル)、24時間インキュベートした。次に、これらの細胞を、通常の培養培地中、種々の濃度のChoK阻害剤で処理した。3日後、これらのウェルを吸引し、新鮮培地と追加量の薬剤の双方を加え、さらに3日間細胞を維持した。クリスタルバイオレット法[Gillies, R. J., Didier, N., Denton, M. Anal. Biochem. 159, 109-113 (1986)]に、若干の改良を施し[Hernandez-Alcoceba, R., Saniger, L., Campos, J., Nunez, M. C., Khaless, F., Gallo, M. A., Espinosa, A., Lacal, J. C. Oncogene, 15, 2289-2301 (1997)]、各ウェル内に残った細胞の定量を行った。要するに、細胞をTDバッファーで洗浄し、1%グルタルアルデヒドで15分間固定した。再びTDで洗浄した後、細胞核を0.1%クリスタルバイオレットで少なくとも30分間染色し、蒸留水で3回洗浄した。吸収された色素を10%酢酸に再懸濁し、分光光度計で595nmの吸光度を測定した。得られた結果をIC50値、すなわち、50%阻害をもたらすのに必要な化合物の濃度、の形でまとめる。この値は、反復曲線調整により求める。曲線の各点について2つの値を求め、実験を2回または3回繰り返し、平均値を見積もった。2つの値に50%を超える違いがある場合には、3回目の実験を行って本当の値を求めた。効力の測定値としてIC50値を用い、化合物の生物活性とそれらの化学構造を関連づけた。
【0048】
これらのアッセイを、本発明の化合物1〜10、ならびに当技術分野の現状、特にES 2 117 950で知られている化合物EC1〜EC6を用いて行った。これらの結果を表IIにまとめる。
【0049】
毒性アッセイ
実験の開始時に体重約25〜30グラムの1ヶ月齢のBalb Cマウスを用いて毒性アッセイを行った。連続5日間、一日量0.1mg/kgから25mg/kgまでの種々の量の各化合物をマウスに接種した。5回の投与の後、マウスを9日間休ませ、特に、それらの体毛、挙動、食餌習性および体重に注意して、生存と一般的健康状態の両方を調べた。50%致死量を対応する毒性IC50として記録した。新規化合物で得られた結果は、それらの対応するIC50で測定したところ、活性の明らかな向上、その場合の毒性は軽減されていることを示す。
【0050】
これらのアッセイを、本発明の化合物1〜10、ならびに当技術分野の現状、特にES 2 117 950で知られている化合物EC1〜EC6を用いて行った。これらの結果を表IIにまとめる。
下表IIは、行ったアッセイで得られた結果をまとめたものである。
【0051】
【表4】


表IIのデータから、本発明の化合物は特許ES 2 117 950の化合物よりも著しく低い毒性を有する一方で、培養腫瘍由来の細胞に対する抗増殖活性および免疫抑制マウスに接種したヒト腫瘍に対するin vivo抗腫瘍活性に同等以上の値を維持することが見て取れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

[式中、
は、医薬上好適な有機酸または無機酸の共役塩基を表し;
およびR’は、互いに独立に、H、および場合によってトリフルオロメチル、ヒドロキシルまたはアルコキシルにより置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される基を表し;
およびR’は、互いに独立に、場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1−6アルキル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよいアリール基を表し;
およびR’は、互いに独立に、H、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシル、および場合によってトリフルオロメチル、ヒドロキシル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される基か、あるいはそれぞれRおよびR’とともに、互いに独立に、場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1−6アルキル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよい−CH=CH−CH=CH−基のいずれかを表し;
およびR’は、互いに独立に、H、および場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される基か、あるいはそれぞれRおよびR’とともに、互いに独立に、場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1−6アルキル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよい−CH=CH−CH=CH−基のいずれかを表し;かつ、
Aは、スペーサー基を表す]
を有する化合物。
【請求項2】
スペーサーAが、
【化2】

[式中、m、nおよびpは次の値:m=0、1;n=0、1〜10;p=0、1を持ち得る整数を表す(ただし、m、nおよびpは同時に0の値をとることはない)]
【化3】

から選択される式を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびR’が、互いに独立に、場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1−6アルキル、アミノおよびアルコキシルにより置換されていてもよいフェニル基である、請求項1〜2に記載の化合物。
【請求項4】
およびR’がメチル基を表し、かつ、RおよびR’が、互いに独立に、場合によって1以上のハロゲン置換基により置換されていてもよいフェニル基を表す、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
とRおよびR’とR’が、互いに独立にではあるが、両者が一緒になって、場合によって1以上のハロゲン置換基により置換されていてもよい−CH=CH−CH=CH−基を表す、請求項1〜4に記載の化合物。
【請求項6】
以下の置換基:
【化4】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
QがBr(ブロミド)またはFP(ヘキサフルオロホスフェート)を表す、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
有効成分として請求項1〜7で定義される少なくとも1つの化合物を含んでなる、医薬処方物。
【請求項9】
抗ウイルス処置、抗寄生虫処置および抗真菌処置を目的とした薬剤における使用、特に癌の処置に使用のための、請求項1〜7に記載の化合物。
【請求項10】
乳癌、肺癌、結腸直腸癌および膵臓癌の処置を目的とした、請求項1〜7に記載の化合物。
【請求項11】
抗ウイルス処置、抗寄生虫処置および抗真菌処置を目的とした、特に癌の処置を目的とした薬剤の製造における、請求項1〜7に記載の化合物の使用。
【請求項12】
乳癌、肺癌、結腸直腸癌および膵臓癌の処置を目的とした薬剤の製造における、請求項1〜7に記載の化合物の使用。
【請求項13】
a)式VIIの対応する複素環式誘導体と二ハロゲン化誘導体AX(ここで、Xはハロゲン原子:Cl、BrまたはIを表す)を有機溶媒中、2:1のモル量で反応させること、または
b)最初のものよりも極性の高い有機溶媒を用い、この場合も別の異なる複素環式誘導体分子と1:1のモル比で反応させるモノ四級化生成物を得るために、式VIIの対応する複素環式誘導体と二ハロゲン化誘導体AX(ここで、Xはハロゲン原子:Cl、BrまたはIを表す)を有機溶媒中、1:1のモル比で反応させること
を含む、請求項1に記載の化合物の製造方法。
【請求項14】
一般式VII:
【化5】

[式中、
は、H、および場合によってトリフルオロメチル、ヒドロキシルまたはアルコキシルにより置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される基を表し;
は、場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1−6アルキル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよいアリール基を表し;
は、H、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシル、および場合によってトリフルオロメチル、ヒドロキシル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される基か、あるいはRとともに、場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1−6アルキル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよい−CH=CH−CH=CH−基のいずれかを表し;
は、H、および場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよいC1−6アルキルからなる群から選択される基か、あるいはRとともに、場合によってハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1−6アルキル、アミノまたはアルコキシルにより置換されていてもよい−CH=CH−CH=CH−基のいずれかを表す]
を有する化合物。
【請求項15】
式:4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)キノリン
【化6】

および7−クロロ−4−(4−クロロ−N−メチルアニリノ)キノリン
【化7】

を有する、請求項14に記載の化合物。

【公開番号】特開2012−149077(P2012−149077A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−62569(P2012−62569)
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【分割の表示】特願2006−548321(P2006−548321)の分割
【原出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(593005895)コンセホ・スペリオール・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカス (67)
【氏名又は名称原語表記】CONSEJO SUPERIOR DE INVESTIGACIONES CIENTIFICAS
【出願人】(506243448)ウニベルシダッド、デ、グラナダ (2)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDAD DE GRANADA
【Fターム(参考)】