説明

ピリジニウム塩、化合物および使用法

ピリジニウム塩の化合物、および医療、特に炎症性疾患、感染性疾患ならびに免疫性疾患の予防および治療におけるその使用法を開示する。本発明は、真菌および/または細菌を防除する方法にも関する。さらに、本発明は、工業および農業使用に関係した、真菌または細菌感染の防除にも関する。本発明は昆虫の防除にも使用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、下記の出願についての優先権を主張し、それらの開示は全て参照として本明細書に組み入れられる:
米国暫定特許出願第60/480,995号(2003年6月23日);
米国暫定特許出願第60/524,775号(2003年11月25日);
米国暫定特許出願第60/525,075号(2003年11月25日);
米国暫定特許出願第60/524,784号(2003年11月25日);
米国暫定特許出願第60/450,599号(2003年3月3日)。
【0002】
[技術分野]
本発明は一般に、ピリジニウム塩の化合物、および医療、特に、炎症性疾患、アレルギー性疾患、感染性疾患ならびに免疫性疾患の予防および治療における、その使用法に関する。本発明は、真菌および/または細菌を防除(control)する方法にも関する。本発明は特に、工業および農業使用に関係した真菌または細菌の蔓延を抑制することに関する。本発明は、昆虫の防除(control)にも使用し得る。
【背景技術】
【0003】
本発明は、ピリジニウム誘導体、その製造法、それを含む医薬配合物、および、医療、特に炎症性疾患、感染性疾患ならびに免疫性疾患の予防および治療における、その使用に関する。
【0004】
沃化スチルバジウムは、回虫、線虫および鞭虫に有効であることが報告されている既知の駆虫薬である。米国特許第3,075,975号および米国特許第3,085,935号は、腸管に生息している寄生線虫の蔓延を根絶する方法を開示している。
【0005】
血管内皮への循環白血球の付着は、炎症性反応の病原における重大事象である。炎症性、感染性および免疫性媒介物は、細胞表面における種々の接着分子の活性化、上方制御または誘導によって、白血球または内皮細胞の付着性を増加させることによって、付着過程を刺激し得る。
【0006】
現在入手可能な抗炎症薬は、限定された有効性を有し、副作用を有する場合が多い。付着防止療法に実験的に使用されているモノクローナル抗体は、慢性疾患の治療に理論的短所を有する。従って、白血球および内皮の接着相互作用を特異的に遮断するかまたは阻害する小分子の発見および開発は、治療的介入の魅力的分野である。
【0007】
さらに、新規化合物を使用して、真菌および/または細菌を処置することも必要とされている。真菌は、粘菌、キノコ、クロホ菌、サビ菌、白カビ、糸状菌、スッポンタケ、ホコリタケ、トリュフおよび酵母のような有機体を包含する。真菌は、それらの細胞壁から直接的に溶解状態の食物を吸収し、胞子によって生殖するので、それら自体の界(kingdom)において分類される。糸状菌は、アレルギーの一般的誘因であり、農作物、植物および食品に作用する真菌の大きい群である。糸状菌は、「カビ胞子」と呼ばれる小粒子として、室内および室外空気中に存在し得る。世界中に100,000種以上が存在する。糸状菌は、それらが水分源を見出すことができるどのような場所でも増殖し得る。一般的な糸状菌は、クラドスポリウム属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、アルテルナリア属、フザリウム属、アカパンカビ属、スタキボチルス(Stachybotyrs)およびムコール属を包含するがそれらに限定されない。
【0008】
植物の土壌伝染性および種子伝染性菌病原体は、世界的に、農業および園芸産業における重大な経済的損失の原因となっている。これらの病原体は、植物疾病、例えば、種子の腐敗、根/すそ腐れ、苗虫害およびしおれを生じる。そのような疾病は、出芽(emergence)、植物生育量および生産力を一般に減少させる。重度の疾病感染は、全植物集団の発芽苗を殺すことができ、その結果、収穫量の全損を生じ得る。
【0009】
繰り返し発生する植物病原体問題の解決法が、長年にわたって探求されている。特定の農作物がより豊富になり、農業に割り当てられる土地の面積が拡大すると共に、より効率的かつ有効な農業方法を採用することが必然的に必要とされている。作物生産に対する増大する要求の結果として、農家は、最適以下の土地に農作物を植えるか、または農作物を特定の場所に植える頻度を増加させることによって、彼らの栽培慣習において妥協しなければならない場合が多い。そうすることで、農作物の養分が減少し、特定の作物病原体、特に土壌感染性または種子感染性病原体がより広く蔓延する。従って、各農作物の健康および生産性を維持することが益々困難になる。
【0010】
さらに、農業以外の分野においても、微生物を制御する化合物が極めて必要とされている。このような分野は、以下の分野を包含する:カビおよび腐敗を予防するための織物の処理;細菌増殖の阻止および死滅;医学、工業、食品加工および家庭用に消毒状態を得るための表面および支持体の処理;敷板または建物用の木材の処理;カビの増殖および細菌分解を防止するインクおよび塗料の配合;ヒトおよび動物の疾患の予防および治療;および我々の日常生活に触れるほぼ無限の範囲の用途。
【0011】
新規抗細菌薬が現在も必要とされている。グラム陽性およびグラム陰性細菌感染ならびに他の微生物感染の治療に有用な多くの化合物が既知であるが、そのような化合物の広範囲の使用は、耐性微生物株(即ち、以前は有効であった、特定の抗生物質または抗生物質群および化学組成物が有効でなくなった微生物株)を生じる。さらに、既知の抗生物質および化学組成物は、特定の微生物株だけに有効であるか、またはグラム陽性またはグラム陰性、好気性または嫌気性生物に対して限定された活性を有するにすぎない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、スチルバジウムを含む方法および組成物に関する。本発明の1つの態様は、実質的にE,E配置である式(I)の化合物またはその溶媒化合物を含む組成物である。
【化1】

アミノ成分は、オルト、メタまたはパラ位であってよい。X-は陰イオン塩であり、R1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1およびR2またはR3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジノまたはピペリジノ環を形成し;R5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される。置換および非置換アリール成分および置換および非置換ベンジル成分は、低級アルキル、アリール、ベンジル、アシル、アミド、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、カルボキシエステル、アルコール、ニトロ、トリフルオロアルコキシ、トリフルオロアルキルおよびハロを包含するがそれらに限定されない。R5は、有機金属化合物、例えば、有機錫、有機珪素または有機ゲルマニウムであってもよい。さらに、R5は(CH2n−MR6であってもよい(ここで、nは1〜6の数値であり、Mは、錫、珪素またはゲルマニウムのような有機金属化合物であり、R6は、プロピル、ブチルおよび任意アルキル化合物からなる群から選択される)。
【0013】
本発明は、下記の式で示される任意の化合物またはその溶媒化合物を含む組成物を投与することを含む真菌および/または細菌を防除する方法にも関し、
【化2】

式中、X-は陰イオン塩であり、R1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル、直鎖または分岐鎖アルケンからなる群から独立に選択されるか、またはR1およびR2またはR3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になった場合にピロリジノまたはピペリジノ環を形成する。R5は、メチル、エチル、C110アルキル、直鎖または分岐鎖アルケン、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される。R5は、有機金属化合物、例えば、有機錫、有機珪素または有機ゲルマニウムであってもよい。その他に、R5は(CH2n−MR6であってもよい(ここで、nは1〜6の数値であり、Mは、錫、珪素またはゲルマニウムのような有機金属化合物であり、R6は、プロピル、ブチルおよび任意アルキル化合物からなる群から選択される)。本発明の化合物は、スチバジウムとして、より一般的に既知である。
【0014】
本発明は、前記の式で示される任意の化合物またはその溶媒化合物を含む組成物を投与することを含む昆虫の防除方法にも関する。
【0015】
さらに、本発明は、前記の式で示される任意の化合物またはその溶媒化合物を含む組成物を投与することを含む炎症性、アレルギー性、感染性および免疫性疾患の治療法にも関する。本発明は、前記の式で示される任意の化合物またはその溶媒化合物を含む組成物を投与することを含む真菌および/または細菌を防除する方法にも関する。
【0016】
さらに、本発明は、環境分解に対して安定化されたマイクロカプセル組成物にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の前記のおよび他の態様を、本明細書に記載する他の実施形態に関してさらに詳しく説明する。本発明は、種々の形態で具体化し得るものと理解すべきであり、本明細書に記載されている実施形態に限定されるものと解釈すべきでない。さらに、これらの実施形態は、本発明の開示を充分かつ完全にするものであり、本発明の範囲を当業者に充分に知らせるものである。
【0018】
本明細書において、本発明の説明に使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定するものではない。本発明の説明および請求の範囲に使用される単数形(「a」、「an」および「the」)は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り、複数形も包含するものとする。
【0019】
特に限定されなければ、本明細書に使用されている全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されているのと同じ意味を有する。
【0020】
本明細書に引用されている全ての発行物、特許出願、特許およびその他の参考文献は、参考文献が示されている文章および/または段落に関連した開示について、全体として本明細書に参照として組み入れられる。
【0021】
本発明は、ピリジニウム誘導体、その製造法、その使用法、およびそのような誘導体を含む組成物に関する。沃化スチルバジウムは、回虫、線虫および鞭虫に有効であることが報告されている既知の駆虫薬である。米国特許第3,075,975号および第3,085,935号は、腸管に生息する寄生線虫の蔓延を根絶する方法を開示している。この化合物は、工業用途において、真菌および/または細菌の防除に使用することができる。
【0022】
本発明の実施形態の1つは、式:
【化3】

で示される化合物またはその溶媒化合物を包含し、式中、X-は陰イオン塩であり、R1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1およびR2またはR3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノまたはピペリジノ環を形成する。X-は、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージドハロゲン化物、メシレート、トシレート、ナプチレート、ノシレート、パラ−アミノベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ベシレート、ラウリルスルフェート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、エチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートおよび5−ブチルフェニルサリチレートを包含する群から選択することができる。R5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される。R5は、有機金属化合物、例えば、有機錫、有機珪素または有機ゲルマニウムであってもよい。さらに、R5は(CH2n−MR6であってもよい(ここで、nは1〜6の数値であり、Mは、錫、珪素またはゲルマニウムのような有機金属化合物であり、R6は、プロピル、ブチルまたは任意アルキル化合物からなる群から選択される)。
【0023】
本発明の他の実施形態は、式(II):
【化4】

で示される化合物またはその溶媒化合物を包含し、式中、X-は陰イオン塩であり、R1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1およびR2またはR3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になった場合にピロリジノまたはピペリジノ環を形成する。R5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される。X-は、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージドハロゲン化物、メシレート、トシレート、ナプチレート、ノシレート、パラ−アミノベンゾエート、ラウリルスルフェート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ベンゼンスルホネート、ベシレート、エチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートおよび5−ブチルフェニルサリチレートを包含する群から選択することができる。R5は、有機金属化合物、例えば、有機錫、有機珪素または有機ゲルマニウムであってもよい。さらに、R5は(CH2n−MR6であってもよい(ここで、nは1〜6の数値であり、Mは、錫、珪素またはゲルマニウムのような有機金属化合物であり、R6は、プロピル、ブチルまたは任意アルキル化合物からなる群から選択される)。本発明の化合物は、スチバジウムとして、より一般的に既知である。式Iの実施形態の1つは2,6−ビス(p−ピロリジノスチリル)ピリジンメチオジドである。
【0024】
または、NR12およびNR34成分は、下記の化合物において示されるように種々の位置に存在し得る。
【0025】
他の実施形態は、1つのメタ位置におけるNR12成分を示す式IIIを包含する:
【化5】

【0026】
式IV:
【化6】

は、両メタ位置におけるNR12およびNR34成分を示し、式中、X-は陰イオン塩であり、R1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1およびR2またはR3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノまたはピペリジノ環を形成する。R5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される。さらに、R5は(CH2n−MR6であってもよい(ここで、nは1〜6の数値であり、Mは、錫、珪素またはゲルマニウムのような有機金属化合物であり、R6は、プロピル、ブチルおよび任意アルキル化合物からなる群から選択される)。
【0027】
本発明の化合物は、幾何異性体として存在することができる。全てのそのような異性体は、個々におよび混合物として、それらの工業的用途に関して本発明の範囲に含まれる。E,E異性体は、本発明の1つの立体配置であり、E,E−配置のシス状およびトランス状2,6−コンフォメーションの両方が可能である。さらに、前記のパラおよびメタ構造物に加えて、構造物のオルト、オルト配置を形成することもできる。オルト配置構造物は、前記および本明細書全体に開示されているのと同じ塩および成分を包含し得る。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態は、1−エチル−(E,−E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリド、1−エチル−(E,−E)−2,6−ビス[p−(1−ピロリジノスチリル]ピリジニウムクロリド、1−メチル−(E,−E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリド、および1−メチル−(E,−E)−2,6−ビス[p−(1−ピロリジノスチリル]ピリジニウムクロリドを包含する。
【0029】
さらに、本発明は、下記の一般式V:
【化7】

の化合物またはその溶媒化合物も包含し、式中、nは1〜5の数値であり、Zは、フェニル環上の多くの位置に存在することができ、C、N、O、Sおよびハロゲンからなる群から選択され、X-は陰イオン塩であり、R1、R2、R3またはR4は、非存在、水素、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、ニトリル、ベンゼン、ピリジン、ベンゾチオフェン、トリフルオロアルキル、ジフルオロアルキル、置換および非置換アリール成分および置換および非置換ベンジル成分からなる群から独立に選択されるか、またはR1およびR2またはR3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノまたはピペリジノ環を形成する。X-は、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージドハロゲン化物、メシレート、トシレート、ナプチレート、ノシレート、パラ−アミノベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ベシレート、ラウリルスルフェート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、エチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートおよび5−ブチルフェニルサリチレートを包含する群から選択することができる。R5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される。R5は、有機金属化合物、例えば、有機錫、有機珪素または有機ゲルマニウムであってもよい。さらに、R5は(CH2n−MR6(ここで、nは1〜6の数値であり、Mは、錫、珪素またはゲルマニウムのような有機金属化合物であり、R6は、プロピル、ブチルまたは任意アルキル化合物からなる群から選択される)であってもよく、但し、該化合物は、1−エチル−(Z,Z)、(Z,E)または(E,Z)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリドでないものとする。図1〜4は、本発明によって製造し得る化合物の種々の組合せを示す。これらの化合物は、E,E配置であることができ、本出願に開示されているいずれの用途にも使用することができる。
【0030】
本発明の化合物は、好適な有機化学方法によって製造することができる。特に、式Iの化合物は、米国特許第3,085,935号に概説されているように製造することができ、該特許の開示は全体として本明細書に組み入れられる。
【0031】
さらに、本発明の実施形態は、2当量の式VIのアルデヒド:
【化8】

と、2,6−ルチジンの第四アンモニウム塩:
【化9】

との縮合によって化合物を製造することを含む合成によって製造される化合物を包含し得る。
【0032】
縮合は、低級アルコール中で、第二アミン(例えば、ピペリジン)のような触媒を使用して行ない得る。上記の式におけるX-が沃化物イオン(ルチジンのアルキオダイド(alkiodide)に対応する)である場合、縮合生成物(式I)は相対的に不溶性であり、反応中に沈殿する。式Iの化合物の反応収量は、ほぼ定量的にすることができる。米国特許第3,085,935号に記載されている触媒量の3倍を使用することができる。他の方法を使用して化合物を生成してもよく、より多いかまたはより少ない触媒の両方を使用して式Iの化合物を生成し得る。
【0033】
前記の反応について、Rは、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択することができる。さらに、Rは(CH2n−MR2であってもよい(ここで、nは1〜6の数値であり、Mは、錫、珪素またはゲルマニウムのような有機金属化合物であり、R2は、プロピル、ブチルおよび任意アルキル化合物からなる群から選択される。
【0034】
さらに、沃化物塩を塩化物塩に変換することが望ましい場合もある。この変換は、サイズ排除(分子篩)クロマトグラフィーによって行なうことができ、溶離し、過剰の塩化アンモニウムを含有する好適な溶媒を使用して平衡させることができる。溶媒の蒸発によって、塩化物塩を含有するカラム溶出液を、沃化アンモニウム副生成物と共に得ることができる。得られた生成物は、沃化物塩を実質的に含有しない。または、2,6−ルチジンのアルキオクロリド(alkiochloride)塩を、第二アミン(例えばピペリジン)の存在下に、式VIのアルデヒドと反応させて、式Iの塩化物塩を直接的に得ることができる。
【0035】
または、該化合物は、2,6−ルチジンエチオダイド(ethiodide)をメタノールに溶解させ、次に、無水HCl(220g)を溶液中でゆっくり泡立たせることによって生成することもできる。氷/H2O浴を使用して、反応を30℃未満に維持することができる。全てのHClを添加した後、反応を室温で一晩攪拌する。攪拌した後、反応を濃縮してほぼ乾固させ、新しいメタノール1000mLで再希釈する。無水HClを混合物中で泡立たせることによって、エチオダイドを所望のエトクロリドに変換することができる。10分間攪拌した後、反応をロトバップ(rotovap)で濃縮乾固し、最終乾燥のために一晩高真空マニホルードに入れる。
【0036】
本発明は、沃化物塩と比較して、塩化物塩が高い安定性を有することを意外にも見出した。当分野で既知の他の方法を使用して、塩をUV遮断剤塩または界面活性剤塩に変換し得る。他の塩は以下の塩を包含し得る:
【0037】
式A:スチルバジウムp−アミノベンゾエート塩
【化10】

【0038】
式B:スチルバジウムドデシルスルフェート塩(スチルバジウムラウリルスルフェート塩)
【化11】

【0039】
さらに、「塩」は、置換ベンゾフェノン、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、置換ベンゾトリアゾール、例えば2−(2−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、置換アクリレート、例えばエチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、およびサリチレート、例えば5−ブチルフェニルサリチレートも包含し得る。
【0040】
塩は、紫外線遮断剤または界面活性剤を包含し得る。本明細書に使用される「紫外線遮断剤」は、全ての「感光性物質」を意味し、該物質は、紫外線を遮断および/または吸収するように設計された全ての組成物および物質を意味する。この用語は、全ての光防護剤および耐光剤も意味し得る。
【0041】
前記のように、本発明の化合物は、炎症、農産物および工業製品の処置に使用し得る。
【0042】
[炎症]
これらの化合物は、酵素5−リポキシゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ、およびリゾ−PAF:アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼの1つまたはそれ以上を阻害することが見出された。さらに、この系列のピリジニウム誘導体は、低濃度において、ヒト臍帯内皮細胞単層における接着分子の発現を阻害することが意外にも見出され、従って、炎症、感染および免疫性疾患を治療し得ることを示している。
【0043】
炎症性疾患、感染性疾患または免疫性疾患の例は、肺、喉、口腔、関節、眼、鼻、腸および皮膚の疾患であり;特に、炎症組織への白血球の浸潤に関連した疾患である。肺疾患は、喘息、成人呼吸促進症候群、気管支炎および嚢胞性線維症(付加的または選択的に、腸または他の組織を含み得る)を包含する。喉の疾患は、喉頭炎および口咽頭粘膜炎を包含する。口腔の疾患は、歯肉炎および歯周炎を包含する。関節の疾患は、慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、通風性関節炎およびその他の関節炎疾患を包含する。炎症性眼疾患は、ブドウ膜炎(虹彩炎を含む)および結膜炎を包含する。炎症性鼻疾患は、鼻炎および慢性鼻副鼻腔炎を包含する。炎症性腸疾患は、クローン病、潰瘍性大腸炎および遠位直腸炎を包含する。皮膚疾患は、細胞増殖に関連した疾患、例えば、乾癬、湿疹および皮膚炎(アレルギー起源かどうかにかかわらない)、およびアレルギー誘発そう痒、例えば痒疹を包含する。他の炎症性疾患および免疫性疾患は、慢性炎症における組織壊死を包含する。
【0044】
さらに、本発明は、ヒトのような哺乳動物における炎症性疾患または免疫性疾患の予防または治療法であって、治療有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される溶媒化合物を投与することを含む方法も提供する。
【0045】
本発明の他の実施形態において、医療、特に、ヒトのような哺乳動物における炎症性疾患、アレルギー性疾患または免疫性疾患の予防または治療に使用される式(I)の化合物またはその医薬的に許容される溶媒化合物も提供する。
【0046】
さらに、式Iの化合物は、特定の細菌、酵母および真菌に対して、抗感染活性を有することが見出された。そのような活性は、予期されなかったことであり、式Iの化合物を用いた局所的細菌、酵母および真菌感染の治療における有用性を示唆している。そのような感染体は、Staphylococcus aureusおよびStreptococcus菌株、例えばpyogenes、ならびに酵母菌株Candida albicans、Candida tropicalisおよびSaccharomyces cervisciaeを包含し、下記の真菌株も包含する:Cryptococcus neoformans、Aspergillus fumigatus、Aspergillus flavus、Rhizopus arrihizus、Fusarium solani、Microsporidium canis、Microsporidium gypseum、Trichophyton equinium、Trichophyton mentagrophyt、Trichophyton rubrumおよびEpidermophyton floccsum。
【0047】
所望の生物学的作用を得るのに必要とされる式(I)の化合物またはその医薬的に許容される溶媒化合物の量は、多くの要因、例えば、意図する用途、投与法およびレシピエントに依存する。敗血症性ショックの治療に一般的な1日量は、例えば、0.005mg/kg〜100mg/kg、好ましくは0.05〜50mg/kg、最も好ましくは0.5〜20mg/kgであると考えられる。この用量は、単一単位用量、またはいくつかの分離単位用量、または連続輸液として、投与し得る。静脈内投与量は、0.0025mg/kg〜50mg/kgであると考えられ、一般に輸液として投与される。同様の投与量を、他の疾患の治療に適用し得る。エーロゾルによって被験者または被験物(subject)の肺に投与する場合、被験者または被験物の気道表面液において、約2〜1000mu molの濃度を得るのに充分な化合物量を使用すべきである。
【0048】
このように、本発明の他の態様において、少なくとも1つの医薬担体または賦形剤と共に、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩または溶媒化合物を活性成分として含む医薬組成物を提供する。これらの医薬組成物は、炎症性疾患、アレルギー性疾患、感染性疾患および免疫性疾患の予防および治療に使用し得る。担体は、レシピエントに対して医薬的に許容されるものでなければならず、組成物中の他の成分と適合性でなければならず、即ち、該成分に有害作用を有してはならない。担体は、固体または液体であってよく、好ましくは、単位用量配合物、例えば、活性成分0.05〜95wt%を含有する錠剤として配合される。所望であれば、他の生理学的活性成分も本発明の医薬組成物に組み込んでよい。
【0049】
可能な配合物は、経口、口腔、直腸、局所(経皮を含む)、鼻腔内および吸入投与に好適な配合物を包含する。特定の患者に最も好適な投与法は、治療される疾患の種類および重症度、および活性化合物の種類に依存するが、可能であれば、例えば局所皮膚炎またはそう痒症の治療には、局所投与が好ましい。しかし、喘息のような疾患の治療には、吸入が好ましい投与経路であると考えられる。
【0050】
経口投与に好適な配合物は、それぞれ所定量の活性化合物を含有する個別単位、例えば、錠剤、カプセル剤、カシェ剤、ロゼンジ剤;散剤または顆粒剤;水性または非水性液体中の液剤または懸濁剤;または水中油型または油中水型乳剤として提供し得る。
【0051】
舌下または口腔内投与に好適な配合物は、活性化合物および一般に香味ベース、例えば砂糖およびアカシアまたはトラガカントを含むロゼンジ剤、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースアカシアのような不活性ベース中に活性化合物を含むパステル剤を包含する。
【0052】
直腸投与に好適な配合物は、坐薬ベースを形成する1つまたはそれ以上の固体担体、例えばカカオ脂中に、活性成分を含む単位用量坐薬として提供するのが好ましい。
【0053】
局所または鼻腔内投与に好適な配合物は、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エーロゾル剤および油剤を包含する。そのような配合物に好適な担体は、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、DMSOおよびそれらの組合せを包含する。活性成分は、そのような配合物中に0.1〜15%w/wの濃度で一般に存在する。
【0054】
本発明の配合物は、あらゆる好適な方法、一般に、活性化合物と液体または微粉固体またはそれらの両方とを、必要とされる比率で均一かつ緊密に混合し、次に、必要であれば、得られた混合物を所望の形に付形することによって製造し得る。
【0055】
例えば、錠剤は、活性成分の粉末または微粒、および1つまたはそれ以上の任意成分、例えば、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤または界面活性分散剤を含む均質混合物を圧縮するか、または粉末活性成分および不活性液体希釈剤の均質混合物を成形することによって製造し得る。
【0056】
水性液剤は、シクロデキストリンを添加した食塩水に、活性成分を溶解させることによって一般に製造される。
【0057】
吸入による投与に好適な配合物は、種々のタイプの計量加圧エーロゾル容器、噴霧器または吸入器よって発生し得る微粒子粉剤(dusts)またはミスト剤(mists)を包含する。
【0058】
口からの肺投与について、気管支樹への送達を確実にするために、粉末または液体粒子の粒度は一般に0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmである。鼻投与について、鼻腔における保留を確実にするために10〜500μmの粒度が好ましい。
【0059】
計量吸入器は、液化噴射剤中の活性成分の懸濁液または溶液配合物を一般に含有する加圧エーロゾルディスペンサーである。使用の際に、これらのデバイスは、計量した量、一般に10〜150μLを供給するように適合させた弁を経て配合物を吐出して、活性成分を含有する微粒子噴霧を生じる。好適な噴射剤は、特定のクロロフルオロカーボン化合物、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンおよびそれらの混合物を包含する。配合物は、1つまたはそれ以上の補助溶媒、例えばエタノール、ならびに脂肪酸界面活性剤、例えばオレイン酸または三オレイン酸ソルビタン、酸化防止剤および好適な風味剤をさらに含有し得る。
【0060】
噴霧器は、商業的に入手可能なデバイスであり、それは、狭いベンチュリオリフィスを通る圧縮ガス、一般に空気または酸素の加速によるか、または超音波攪拌によって、活性成分の溶液または懸濁液を治療エーロゾルミストに変換するデバイスである。噴霧器に使用するのに好適な配合物は、液体担体中の活性成分から成り、該活性成分は配合物の40%w/wまで、好ましくは20%w/w未満である。担体は、一般に、水または希釈水性アルコール溶液であり、好ましくは、例えば塩化ナトリウムの添加によって、体液と等張にされる。任意の添加剤は、配合物が滅菌されていない場合は防腐剤、例えばメチルヒドロキシ−ベンゾエート、酸化防止剤、香味剤、揮発油、緩衝剤および界面活性剤を包含する。
【0061】
吸入による投与に好適な配合物は、吸入器によって送達されるか、または鼻からの吸入によって鼻腔に取り入れられる微粉砕散剤を包含する。吸入器において、散剤を、一般にゼラチンまたはプラスチック製のカプセルまたはカートリッジに入れ、それらをインサイチューで突き刺すかまたは開けて、散剤が、吸入時にデバイスから引き出される空気によるかまたは手動ポンプによって送達される。注入器において使用される散剤は、活性成分だけからなるか、または活性成分、好適な粉末希釈剤、例えばラクトース、および任意の界面活性剤を含有する粉末ブレンドからなる。活性成分は、一般に、配合物の0.1〜100w/wである。
【0062】
従って、本発明の他の態様によれば、炎症性疾患または免疫性疾患の予防または治療用の薬剤の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される溶媒化合物の使用を提供する。
【0063】
さらに、本発明は、紫外線吸収剤および必要であれば有機溶媒をその中に封入したマイクロカプセルを提供することもでき、該カプセルは、合成樹脂のカプセル壁皮膜を有し、平均粒度は0.1〜3μmである。これらの吸収剤は、紫外線を遮断または阻止し得る。
【0064】
[農業]
本発明の化合物は、ウドンコ病菌および錆菌類、ピレノホーラ(pyrenophora)、リンコスポリウム、タペシア(tapesia)、フザリウムおよびレプトスフィリア(leptosphaeria)真菌、特に小麦および大麦を包含する穀物のような単子葉植物の病原菌に対しても、特に有効である。それらは、さらに、双子葉植物におけるベト病菌種、ウドンコ病菌、葉斑病および錆菌類に対しても特に有効である。
【0065】
適用される本発明の化合物の量は、種々の要因、例えば、使用する化合物、処置の対象(基体、植物、土壌、種子)、処置のタイプ(例えば、噴霧、散粉、種子粉衣)、処置の目的(予防または治療)、処置される真菌および/または細菌の種類、および適用時間に依存する。
【0066】
殺真菌剤および/または殺細菌剤の組合せは、種々の作物またはそれらの種子、特に、小麦、ライ麦、大麦、燕麦、イネ、トウモロコシ、芝、綿、大豆、コーヒー、サトウキビ、園芸およびブドウ栽培における果実および観賞植物、野菜、例えば、キュウリ、豆およびウリ科植物、および畑作物、例えば、ジャガイモ、落花生、タバコおよびテンサイにおける、多くの真菌および/または細菌の防除に関して、特に関心のもたれるものである。
【0067】
「防除する」という用語は、減少する、抑制する、小さくする、制限する、妨害するなどを意味する。
【0068】
該組合せは、真菌および/または細菌、または種子、植物または真菌攻撃におびやかされる物質、または土壌を、殺真菌的および/または殺細菌的有効量の活性成分で処置することによって適用される。
【0069】
真菌および/または細菌による物質、植物または種子の感染の前または後に、製剤を適用し得る。
【0070】
植物に適用する場合、20〜2000g/ha、一般に20〜1000g/haに関して、25〜250g/ha、一般に50〜150g/ha、例えば、75、100、125または150g/haの比率で、式Iの化合物を適用する。
【0071】
農業的実施において、組合せの適用比率は、所望される作用のタイプに依存し、1ヘクタール当たり活性成分0.02〜3kgである。
【0072】
活性成分を種子の処置に使用する場合、種子1kg当たり活性成分0.001〜50g、一般に0.01〜10gの比率が、一般に充分である。
【0073】
本発明の組成物は、あらゆる一般的形態、例えば、農業的に許容される補助剤と組み合わせた、ツインパック、瞬間粒質物(instant granulate)、流動性配合物、エマルジョン濃縮物、または湿潤性の粉末または界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウム塩)の形態で使用することができる。そのような組成物は、従来法、例えば、活性成分と適切な補助剤(希釈剤または溶媒および任意に他の配合成分、例えば界面活性剤)との混合、によって製造し得る。持続効果を意図する場合は、従来の徐放性配合物も使用し得る。
【0074】
特に、水分散性濃縮物または湿潤性粉末のような噴霧形態で適用される配合物は、湿潤剤および分散剤のような界面活性剤、例えば、ホルムアルデヒドとナフタレンスルホネートとの縮合生成物、アルキルアリールスルホネート、リグニンスルホネート、脂肪アルキルスルフェート、およびエトキシル化アルキルフェノールおよびエトキシル化脂肪アルコールを含有し得る。
【0075】
種子粉衣配合物は、本発明の組合せおよび希釈剤を、好適な種子粉衣配合物形態において(例えば、水性懸濁液として、または種子への高付着性を有する乾燥粉末形態において)使用して、それ自体既知の方法によって種子に適用される。そのような種子粉衣配合物は当分野で既知である。種子粉衣配合物は、単一活性成分または活性成分組合せを、カプセル封入形態において、例えば徐放性カプセルまたはマイクロカプセルとして、含有し得る。
【0076】
一般に、該配合物は、0.01〜90wt%の活性剤、0〜20%の農業的に許容される界面活性剤および10〜99.99%の固体または液体補助剤を含有し、該活性剤は、少なくとも式Iの化合物、および任意に他の活性剤、特に殺菌剤または防腐剤等からなる。組成物の濃縮形態は、一般に2〜80wt%、一般に5〜70wt%の活性剤を含有する。配合物の適用形態は、例えば、0.01〜20wt%、一般に0.01〜5wt%の活性剤を含有し得る。市販製剤は、一般に濃縮物として配合されるが、最終使用者は希釈配合物を一般に使用する。
【0077】
さらに、本発明の化合物の色は、一種の「脱色」によって除去し得る。当分野において、ペルオキシダーゼが種々のアミノおよびフェノール化合物に作用して、発色を生じることがよく認識されている(例えば、B.C.Saunders et al.,Peroxidase,London,1964,p.10 ff参照)。これを考慮すると、ペルオキシダーゼ(およびある種のオキシダーゼ)が、溶解状態の着色物質にも作用して、転染(dye transfer)を阻害し得ることは意外と考えられるに違いない。転染阻害をもたらすこれらの酵素の能力を支配するメカニズムはまだ解明されていないが、酵素が、過酸化水素または分子酸素を還元し、洗液に溶解または分散した着色物質(ドナー基質)を酸化することによって作用し、それによって、無色物質を生じるか、または織物または建材に吸着されない物質を与えると現在考えられている。
【0078】
さらに、本発明の液体組成物を形成し、賦形剤と混合し、そして/または賦形剤で希釈し得る。賦形剤が希釈剤としての役割をする場合、賦形剤は、本発明の組成物用のビヒクル、担体または媒質として作用する固体、半固体または液体物質であってよい。種々の好適な賦形剤は、当業者に理解され、National Formulary,19:2404−2406(2000)に見出され、p.2404〜2406に記載の内容は全体として本明細書に参照として組み入れられる。好ましい賦形剤はブタンジオールおよびEDTAを包含する。好適な賦形剤の例は、デンプン、アラビアゴム、珪酸カルシウム、微結晶性セルロース、メタクリレート、シェラック、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップおよびメチルセルロースであるが、それらに限定されない。水性媒質は、1つまたはそれ以上の活性成分、該活性成分を媒質中に均質に溶解または懸濁させるのに充分なある量の1つまたはそれ以上の界面活性剤、および当分野で既知の他の製造添加剤を含有し得る。該添加剤は、下記のものを包含する:造粒−結合剤、例えばゼラチン;天然ゴム、例えば、アカシア、トラガカント;デンプン、アルギン酸ナトリウム、糖類、ポリビニルピロリドン;セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルオキソアゾリドン;医薬充填剤、例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、燐酸二カルシウム、燐酸三カルシウム、硫酸カルシウム、デキストロース、マンニトール、スクロース;必要であればタブレット成形潤滑剤、例えば、ステアリン酸カルシウムおよびマグネシウム、ステアリン酸、タルク、ステロテックス(アルカリ性ステアレート)。本発明の1つの実施形態の1成分についての「水性媒質」という用語は、当分野の慣習の範囲で使用される。主として、該用語は、必要であればイソプロパノールまたはエタノールのような水混和性溶媒を添加された、活性成分を保持する水媒質を意味する。
【0079】
[工業]
本発明の化合物を使用して、糸状菌、真菌および細菌が増殖する全ての領域を処置し得る。その例は、木材、空気ダクト、製材、デッキ(decks)、パイプ、スタッコ、タイル、塗料、絶縁材、屋根、建材、金属、コンピューター部品、食品包装材料、基板等であるが、それらに限定されない。
【0080】
本発明の他の実施形態は、カプセル封入されたスチルバジウム化合物を包含し得る。本明細書において使用される「マイクロカプセル」という用語は、単一分子、カプセル封入個別粒状物質、多粒状物質、液体多コアおよび均質溶解活性成分を意味するものとする。マイクロ封入法は、水溶性または油溶性材料のシェルマトリックスに封入された水溶性または油溶性活性成分を提供し得る。マイクロカプセル封入された活性成分は、酸化および水和から保護され、そして、周囲シェルマトリックスを溶融、破裂、生分解または溶解させることによるか、またはマトリックスへの活性成分の緩慢な拡散によって、放出し得る。マイクロカプセルは、一般に1〜2000ミクロンのサイズであるが、より小さいおよびより大きいサイズが当分野で既知である。
【0081】
本発明の化合物は、マイクロカプセル、または分散に使用されるタイプの中空繊維に入れてもよい。それらは、高分子物質に分散させてもよく、液体として保持してもよい。
【0082】
活性成分を、本発明の化合物と共にマイクロカプセルに入れてもよい。忌避活性を有する活性成分の例は、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテルおよびN,N−ジエチル−m−トリアミドである。芳香活性を有する活性成分の例は、ゲラニオール、リモネン、ベンジルアルコール、C620炭化水素のエステル、エーテル、アルデヒドおよびアルコール化合物である。農薬活性を有する活性成分の例は、殺虫剤、例えば、サリチオン、ジアジノンおよびクロルピリホス、および殺菌剤、例えば、チオファネート−メチルおよびカプタンである。
【0083】
そのような成分は、相転移物質の場合に必要であれば、カプセル封入することができる。そのようなカプセル封入成分を、マイクロカプセルにさらに封入することができる。マイクロカプセルは、下記の物質を包含する種々の物質から製造することができる:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルクロリド、トリスターチアセテート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビニリデンクロリドまたはフルオリド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ウレタン、ポリカーボネートおよびポリラクトン。マイクロカプセル封入についてのさらに詳しい記載が、米国特許第5,589,194号および第5,433,953号に見出され、それらの開示は全体として本明細書に組み入れられる。本発明の基礎材料に使用するのに好適なマイクロカプセルは、約1.0〜2000ミクロンの直径を有する。
【0084】
活性成分を保持するための形について、特に制限はない。言い換えれば、混合物を保持することによって活性成分を保持する種々の形態が存在する。特定の例は、活性成分の表面が保持混合物で覆われたマイクロカプセル、および所望の形に加工された製剤であり、該製剤はそれぞれ下記のようにして得られる:保持混合物中で活性成分を混練するかまたは保持混合物と活性成分との均質溶液を形成し、溶媒等の除去によって保持混合物中に活性成分を分散させ、次に、分散物を所望の形、例えば、単一分子、液体、球体、シート、フィルム、ロッド、パイプ、糸、テープまたはチップに加工する。さらに、活性成分の放出を調節するためにバリヤー層で被覆された表面を有するこれらの加工製剤、および適用性を向上させるために接着剤で被覆した加工製剤も例として挙げられる。他の例は下記の加工製剤である:細管の形態に加工した保持混合物に活性成分を充填し、細管の両端をヒートシールし、それによって活性成分をその中に封入することによって得られる加工製剤;および、前記の細管を中央でカットして2つにし、それによって各一端に開口を有する加工製剤。
【0085】
保持混合物から形成した容器であって、活性成分を液相としてその中に含有して、長時間にわたる均一放出能力を確実にする容器。チューブ、ボトルまたはバッグ形の容器が一般に使用される。
【0086】
混合物を容器に形成する場合、持続放出層は、安定持続放出を得るために、少なくとも0.002mmの厚みを有するのが望ましい。持続放出層が0.002mm以上の厚みを有する場合でも特に問題は生じず、0.005mm〜5mmの厚みを使用することができる。5mmを超えると化合物の放出量が少なくなりすぎる傾向がある。
【0087】
固体については、そのような容器で形成された持続放出調製物の放出表面積は、0.001cm2またはそれ以上が望ましい。0.01cm2〜1cm2の放出表面積を使用し得る。
【0088】
持続放出調製物の容器であって、保持混合物で形成された容器に、活性成分を封入し保持する場合、活性成分を割当量ずつ封入し得る。封入量は0.5mg〜5mgにすることができ、1mg、2mg、3mgまたは4mgであってもよい。
【0089】
保持混合物で形成した容器の形について、チューブ、ボトルおよびバッグ形を使用することができる。チューブ形調製物の場合、内径0.4mm〜10mmのものを使用し得る。0.4mmより小さい内径は、活性成分を容器に充填するのを困難にし、10mmより大きい内径は、カプセル封入を行うのを困難にする。ボトル形調製物は、吹込成形または射出成形によって形成され、内容積0.1〜200mLを一般に有する。内容積0.1mL未満のボトルは、作るのが容易でなく、内容積200mLより大きいボトルは、その中に充填される活性成分の量と内容積との大きな差により経済的でない。バッグ形調製物の場合、バッグに充填される活性成分の量は1mg〜100gが望ましい。
【0090】
本発明の第一群の生分解性持続放出調製物は、適用の間にその本質的性能を維持すべきであり、従って、耐候性を向上させるために、顔料または染料、または種々の安定剤、例えば紫外線吸収剤/遮断剤または酸化防止剤を保持混合物に添加してよい。または、保持混合物で形成された容器に入った活性成分に、そのような添加剤を添加してもよい。
【0091】
本明細書において使用される「徐放」という用語は、予め選択した速度または所望の速度での生理活性物質の放出を意味するものとする。この速度は、用途に依存して変化し得る。望ましい速度は、高速または即時放出プロフィール、ならびに遅延、持続または逐次放出プロフィールを包含する。放出様式の組合せ、例えば、生理活性物質の初期の強化放出(spiked release)、それに続く低レベルの持続放出も本発明に含まれる。
【0092】
本発明において使用される「生理活性物質」という用語は、治療物質、例えば医薬的または薬学的に活性な物質、例えば薬品および医薬、ならびに予防薬、診断薬、および症状、感染および/または疾患の治療または予防に有用な他の化学薬品または物質を包含する。本発明の組成物は、植物および他の生物に特に有効である。
【0093】
本発明によれば、マイクロカプセル殺細菌および/または殺真菌組成物を提供し、該組成物はマイクロカプセルを構成し、該マイクロカプセルは、それぞれ、ポリウレアシェル(該シェルは、該シェルの一体部分として光安定性紫外線吸収化合物または遮断化合物を含有し、該化合物は、波長270〜350nmを有する輻射線に関して対数モル(log molar)吸光係数2〜5を有する)、および液体充填物質(該充填物質は、シェルにゆっくり浸透することができ、ピリジニウム塩およびそれのための生物学的相乗剤を含む)を含有する。
【0094】
本明細書において使用される「感光性物質」は、紫外線を遮断および/または吸収するように設計された全ての組成物および物質を意味する。この用語は、全ての光防護剤および耐光剤も意味する。
【0095】
本明細書において使用される「界面活性剤」という用語は、エマルジョン、ミクロエマルジョン、懸濁液等を形成することができる界面活性塩組成物を包含する全ての組成物を意味する。
【0096】
全マイクロカプセル組成物は、液体充填物質60〜90%およびシェル壁40〜10%を含有することができ;該液体充填物質は、ピリジニウム塩5〜40%、生物学的相乗剤25〜50%および水不混和性有機溶媒20〜40%を含んで成り;該シェルは、光安定性紫外線吸収化合物0.5〜20%を一体部分として含有する(全てのパーセントは全マイクロカプセル組成物の重量に基づく)。
【0097】
組成物が包装され保存されている間、即ち、マイクロカプセルの周囲のピリジニウム塩の分圧によって密閉容器中にある間、ピリジニウム塩はマイクロカプセル内に留まる。製剤を殺細菌剤および/または殺真菌剤として適用した際に、ピリジニウム塩がゆっくり放出される(実際の放出速度は、カプセル壁の厚みおよび多孔度に依存する)。ピリジニウム塩は、カプセル壁に浸透するまでは、保存の間および適用後において化学的に安定である。浸透した際に、殺細菌剤および/または殺真菌剤として、分解するまで有効である。充填物質がシェル壁にゆっくり浸透するので、マイクロカプセル製剤は、長期間の殺細菌剤および/または殺真菌剤実効寿命を有し、長期間保存し得る(例えば、6ヶ月またはそれ以上)。
【0098】
好適な充填物質安定剤は、270〜350nmの範囲の紫外線を吸収し、それを無害形態に変換する。それらは、スペクトルの近紫外線部分に高い吸光係数(例えば、約2〜5の対数モル吸光係数)を有するが、スペクトルの可視部分において最小の吸光しか有さない。それらは、マイクロカプセル封入工程の間に、シェル形成化合物のイソシアネート基および第一級アミン基とのどのような実質的化学反応も示さない。充填物質安定剤として使用し得る化合物の例は、以下の化合物である:置換ベンゾフェノン、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン等;ベンゾトリアゾール、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジアリル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等;置換アクリレート、例えば、エチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアセテート等;サリチレート、例えば、フェニルサリチレート、5−ブチルフェニルサリチレート等;およびニッケル有機化合物、例えば、ニッケルビス(オクチルフェノール)スルフィド等。これらの各種類の充填物質安定剤の付加的な例は、Kirt−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technologyに見出される。充填物質安定剤は、マイクロカプセル組成物の重量の5%までであり、一般に0.01〜2%である。
【0099】
本発明の実施形態は、前記のスチルバジウム化合物を含む組成物の有効量に、真菌および細菌を接触させることによって、真菌および細菌活性を抑制する方法も提供する。接触は、直接的に、例えば、組成物をスプレーの形態で空気中に噴霧することによって行ない得る。または、本発明の組成物を、種々の他の形態、例えば、真菌および細菌が増殖し得る領域に配置し得るマイクロカプセル保持シート材料(例えば、マイクロカプセルで被覆または含浸したテープ)の形態で提供してもよい。
【0100】
本発明の他の実施形態は、保存安定性、特に耐光性に優れた感熱材料、および、種々の分野に適用できる紫外線吸収剤を封入されたマイクロカプセルを包含する。基礎材料に存在し得る望ましい成分は、熱を吸収し、下にある材料を過熱から保護することができる物質を包含する。熱エネルギーは、これらの物質の温度を上げずに、そのような物質の相転移によって吸収される。好適な相転移物質は、パラフィン系炭化水素、即ち、式Cnn+2(式中、nは13〜28)で示される直鎖炭化水素を包含する。相転移物質に好適な他の化合物は、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(DMP)、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール(HMP)および同様の化合物である。パルミチン酸メチルのような脂肪酸エステルも有用である。使用し得る相転移物質は、パラフィン系炭化水素を包含する。
【0101】
感熱記録材料が周知であり、それらは、2つの発色物質を熱的に相互に接触させることによる、無色または淡色塩基性染料と有機または無機色受容体との色形成反応を利用して、記録画像を得ている。そのような感熱記録材料は、比較的安価であり、小型で保守が容易な記録デバイスと共に使用されるように適合され、従って、ファクシミリ装置、種々のコンピューター等の記録媒体として広い用途を有している。感熱記録材料の耐光性を向上させるために、微細紫外線吸収剤または遮断剤を、感熱記録層または保護層に添加することができる。
【0102】
本発明の他の実施形態は、優れた紫外線吸収剤保持性を有し、常圧で破断しにくく、紫外線吸収能力に優れたマイクロカプセルを提供する。
【0103】
本発明の実施形態は、感熱性記録材料を含有することができ、該材料は、支持体、支持体上に形成され、無色または淡色塩基性染料および色受容体を含有する記録層、および記録層上に形成された保護層を含んで成り、該記録材料は、紫外線吸収剤をその中に封入された、色形成能力を実質的に有さないマイクロカプセルが、保護層に組み込まれていることを特徴とする。
【0104】
さらに、本発明は、紫外線吸収剤および必要であれば有機溶媒をその中に封入しているマイクロカプセルであって、合成樹脂のカプセル壁皮膜を有し、平均粒度0.1〜3μmを有するマイクロカプセルも提供する。
【0105】
本発明に使用し得る紫外線吸収剤の例を以下に示す。
【0106】
フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートおよび同様のサリチル酸型紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンおよび同様のベンゾフェノン型紫線吸収剤;2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートおよび同様のシアノアクリレート型紫外線吸収剤;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネートおよび同様のヒンダードアミン型紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−tert−ブチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−tert−アミルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−sec−ブチル−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミル−5’−フェノキシフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−n−ドデシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−sec−オクチルオキシフェニル)−5−フェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミル−5’−フェニルフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、および常温で固体の同様のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ウンデシル−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−トリデシル−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−テトラデシル−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ペンタデシル−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ヘキサデシル−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−4’−(2’’−エチルヘキシル)オキシフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−4’−(2’’−エチルヘプチル)オキシフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−4’−(2’’−エチルオクチル)オキシフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−4’−(2’’−プロピルオクチル)オキシフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−4’−(2’’−プロピルヘプチル)オキシフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−4’−(2’’−プロピルヘキシル)オキシフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−4’−(1’’−エチルヘキシル)オキシフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−4’−(1’’−エチルヘプチル)オキシフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−4’−(1’’−エチルオクチル)オキシフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−4’−(1’’−プロピルオクチル)オキシフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−4’−(1’’−プロピルヘプチル)オキシフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−4’−(1’’−プロピルヘキシル)オキシフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−sec−ブチル−5’−tert−ブチルフェニル)−5−n−ブチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−sec−ブチル−5’−tert−ブチルフェニル)−5−tert−ペンチル−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−sec−ブチル−5’−tert−ブチルフェニル)−5−n−ペンチル−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−sec−ブチル−5’−tert−ペンチルフェニル)−5−tert−ブチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−sec−ブチル−5’−tert−ペンチルフェニル)−5−n−ブチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−sec−ブチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ペンチルフェニル)−5−sec−ブチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−tert−ペンチルフェニル)−5−sec−ブチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−sec−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−sec−ブチルフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−sec−ブチルフェニル)−5−tert−ブチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−sec−ブチルフェニル)−5−n−ブチルベンゾトリアゾール、オクチル5−tert−ブチル−3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゼン−プロピオネート、メチル3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量:約300)との縮合物、および常温で液体の同様のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤。紫外線吸収剤は、当然、前記のものに限定されず、必要であればそれらの少なくとも2つの混合物として使用することができる。
【0107】
使用される紫外線吸収剤の量は、特に限定されないが、その量は、活性成分に対して紫外線吸収剤100〜500重量部、一般に20〜250重量部になるように調節することができる。
【0108】
本発明に使用されるマイクロカプセルは、種々の既知の方法で製造することができる。それらは、紫外線吸収剤および必要であれば有機溶媒を含有するコア材料(油性液体)を、水性媒質に乳化および分散させ、得られる油性液体粒子のまわりに高分子量物質の壁皮膜を形成することによって一般に製造される。
【0109】
マイクロカプセルの壁皮膜の形成に有用な高分子量物質の例は、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレートコポリマー樹脂、スチレン−メタクリレートコポリマー樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等である。合成樹脂、特に、ポリウレア樹脂、ポリウレタン樹脂およびアミノアルデヒド樹脂の壁皮膜を有するマイクロカプセルは特に、優れた紫外線吸収剤保持性および高耐熱性を有し、それによって、感熱ヘッドへの粘着を防止する保護層に組み込まれる顔料の機能を果たす顕著な付加的作用を示す。さらに、ポリウレア樹脂またはポリウレタン樹脂の壁皮膜を有するマイクロカプセルは、他の材料および従来顔料の壁皮膜を有するマクロカプセルより屈折率が低く、形が球形であり、従って、保護層に多量に存在する場合でも、それらは光の乱反射によって記録画像の密度を減少(いわゆる白化)させる可能性が少ないので都合よく使用できる。さらに、ポリウレア樹脂およびポリウレタン樹脂は、アミノアルデヒド樹脂より弾性であり、従って、ポリウレア樹脂およびポリウレタン樹脂は、高圧条件下に使用されるマイクロカプセル用の壁皮膜として一般に使用される。一方、アミノアルデヒド樹脂で形成された壁皮膜を有するマイクロカプセルは、コア材料の乳化後に壁形成材料を添加することによってマイクロカプセルを製造できるので、エマルジョンの粒度に依存せずに壁皮膜の厚みを調節できるという長所を有する。
【0110】
本発明は、紫外線吸収剤と共に有機溶媒を含有し得る。有機溶媒は、特に限定されず、感圧複写用紙の分野で使用されている種々の疎水性溶媒を使用することができる。有機溶媒の例は、以下のものである:燐酸トリクレシル、燐酸オクチルジフェニルおよび同様の燐酸エステル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルおよび同様のフタル酸エステル、オレイン酸ブチルおよび同様のカルボン酸エステル、種々の脂肪酸アミド、ジエチレングリコールジベンゾエート、モノイソプロピルナフタレン、ジイソプロピルナフタレンおよび同様のアルキル化ナフタレン、1−メチル−1−フェニル−1−トリルメタン、1−メチル−1−フェニル−1−キシリルメタン、1−フェニル−1−トリルメタンおよび同様のアルキル化ベンゼン、イソプロピルビフェニルおよび同様のアルキル化ビフェニル、トリメチルプロパントリアクリレートおよび同様のアクリレート、ポリオールと不飽和カルボン酸とのエステル、塩素化パラフィンおよびケロシン。これらの溶媒は、個々に、またはそれらの少なくとも2つの混合物として使用できる。高沸点を有するこれらの疎水性媒質の中で、燐酸トリクレシルおよび1−フェニル−1−トリルメタンは、本発明に使用される紫外線吸収剤に関して高い溶解性を示すので望ましい。一般に、コア材料の粘度が低いほど、乳化によって生じる粒度はより小さくなり、粒度分布はより狭くなり、従って、コア材料の粘度を減少させるために低沸点を有する溶媒を共に使用し得る。低沸点を有するそのような溶媒の例は、酢酸エチル、酢酸ブチル、塩化メチレン等である。
【0111】
使用される有機溶媒の量は、使用される紫外線吸収剤の種類および量および有機溶媒の種類に応じて適切に調節すべきであり、特に限定されない。例えば、常温で液体の紫外線吸収剤を使用する場合、有機溶媒を必ずしも使用する必要はない。しかし、常温で固体の紫外線吸収剤を使用する場合、紫外線吸収剤がマイクロカプセル中で充分に溶解状態にあることが望ましいので、例えばポリウレア樹脂またはポリウレタン樹脂のマイクロカプセルの場合、有機溶媒の量を、有機溶媒、紫外線吸収剤および壁形成材料の合計量に基づいて、一般に10〜60wt%または20〜60wt%に調節する。さらに、アミノアルデヒド樹脂のマイクロカプセルの場合、有機溶媒の量は、紫外線吸収剤に対して、通常50〜2000wt%、一般に100〜1000wt%に調節される。
【0112】
使用されるカプセル壁形成材料の量も特に限定されないが、長期の保存は、マイクロカプセル中の有機溶媒を滲出させて、意図する作用を減少させるか、または感熱記録材料およびマイクロカプセルを使用した他の材料に不利な作用をする可能性があり、従って、感圧記録材料等に使用される一般的なマイクロカプセルの場合より多い量の壁形成材料を使用することが望ましい。従って、例えばポリウレア樹脂またはポリウレタン樹脂のマイクロカプセルを使用する場合、壁形成材料は、3つの成分(即ち、必要な場合に使用される有機溶媒、紫外線吸収剤および壁形成材料)の合計に基づいて、好ましくは20〜70wt%、より好ましくは25〜60wt%の量で使用される。アミノアルデヒド樹脂のマイクロカプセルを使用する場合、壁形成材料の使用量は、紫外線吸収剤を主成分として含有し、必要な場合に有機溶媒を含有するコア材料に対して、一般に30〜300wt%、好ましくは35〜200wt%である。
【0113】
さらに、吸収剤も使用し得る。以下のような吸収剤を選択すべきである:マイクロカプセルが露光することを意図した分光感度範囲の部分(活性範囲)においてマイクロカプセルの感度を過度に減少させずに、他の波長におけるマイクロカプセルの露光を妨げる分光感度範囲の部分(不活性範囲)においてマイクロカプセルの感度を減少させる吸収剤。ある場合には、最適露光特性を得るために、活性範囲および不活性範囲における吸収特性の平衡を保つことが必要なこともある。マイクロカプセルの不活性範囲において約100/M cmより以上、活性範囲において約100,000/M cm未満の吸光係数を有する吸収剤を一般に使用する。吸収剤を感光組成物に直接組み込む場合、理想的には、それはラジカル重合を阻害すべきでなく、露光時に遊離基を生じるべきでない。
【0114】
本発明に使用される吸収剤は、写真分野で既知の吸収剤の中から選択することができる。そのような化合物の例は、カラー写真においてハロゲン化銀増感染料として一般に使用されている染料(例えば、シアニン、メロシアニン、ヘミシアニンおよびスチリル染料)および紫外線吸収剤を包含する。マイクロカプセルの所望の感度範囲外を吸収し、その範囲内を重度に吸収しない多くの有色染料も、本発明における吸収剤として使用し得る。これらの中で、スーダンI、スーダンII、スーダンIII、スーダンオレンジG、オイルレッドO、オイルブルーNおよびファーストガーネットGBCは、潜在的に有用な化合物の例である。
【0115】
付加的な望ましい紫外線吸収剤は、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルベンゾ−トリアゾールおよびホルムアミジンから選択される紫外線吸収剤を包含する。吸収剤は、単独かまたは組み合わせて使用して、所望の分光感度特性が得られる。
【0116】
有用なヒドロキシベンゾフェノンの代表的な例は、以下のものである:2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(Witco Chem.Corp.Ferro Chemical DivisionからのUV−CHEK AM−300、Argus Chemical DivisionからのMark 1413、およびAmerican CyanamidからのCyasorb UV−531 Light Absorber)、4−ドデシル−2−ヒドロキシベンゾフェノン(Eastman KodakからのEastman Inhibitor DOBP)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(American CyanamidからのCyasorb UV−9 Light Absorber)、および2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(American CyanamidからのCyasorb UV−24 Light Absorber)。有用なヒドロキシベンゾフェニルベンゾトリアゾ−ルの代表的な例は以下のものである。2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(Ciba−Geigy Additives Dept.からのTinuvin P)、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(Ciba−GeigyからのTinuvin 327)、および2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(American CyanamidからのCyasorb UV−5411 Light Absorber)。有用なホルムアミジンの代表的な例は、米国特許第4,021,471号に記載されており、N−(p−エトキシ−カルボニルフェニル)ーN’−エチル−N’−フェニルホルムアミジン(Givaudan Corp.からのGivsorb UV−2)を包含する。特定適用用の最適吸収剤および吸収剤濃度は、吸収剤候補の吸収極大および吸光係数、ならびに関連した光開始剤の分光感度特性の両方に依存する。
【0117】
さらに、米国特許第4,399,209号および第4,440,846号(それらの内容は参照として本明細書に組み入れられる)に記載されているマイクロカプセル、感光組成物、画像形成剤、現像剤および現像法も本発明に使用し得る。
【0118】
本発明の化合物は、ウドンコ病菌および錆菌類、ピレノホーラ、リンコスポリウム、タペシア(tapesia)、フザリウムおよびレプトスフィリア(leptosphaeria)真菌、特に小麦および大麦を包含する穀物のような単子葉植物の病原菌に対しても、特に有効である。それらは、さらに、双子葉植物におけるベト病菌、ウドンコ病菌、葉斑病および錆菌類に対しても特に有効である。
【0119】
適用される本発明の化合物の量は、種々の要因、例えば、使用する化合物、処置の対象(基体)、処置のタイプ(例えば、噴霧、散粉、種子粉衣)、処置の目的(予防または治療)、処置される真菌および/または細菌の種類、および適用時間に依存する。
【0120】
真菌および/または細菌による前記のいずれかの物質の感染の前または後に、薬剤を適用し得る。
【0121】
植物に適用する場合、式Iの化合物は、20〜2000g/ha、一般に20〜1000g/haに関して、25〜250g/ha、一般に50〜150g/ha、例えば、75、100、125または150g/haの比率で適用される。
【0122】
工業的実施において、組合せの適用比率は、所望される作用のタイプに依存し、1ヘクタール当たり活性成分0.02〜3kgである。
【0123】
活性成分を種子の処置に使用する場合、種子1kg当たり活性成分0.001〜50g、一般に0.01〜10gの比率が、一般に充分である。
【0124】
本発明の組成物は、あらゆる一般的形態、例えば、工業的に許容される補助剤(ラウリル硫酸ナトリウムのような界面活性剤を含む)と組み合わせた、ツインパック、瞬間粒質物、流動性配合物、エマルジョン濃縮物または湿潤性の形態で使用することができる。そのような組成物は、従来法、例えば、活性成分と適切な補助剤(希釈剤または溶媒および任意に他の配合成分、例えば界面活性剤)との混合、によって製造し得る。持続効果を意図する場合は、従来の徐放性配合物も使用し得る。
【0125】
特に、水分散性濃縮物または湿潤性粉末のような噴霧形態で適用される配合物は、湿潤剤および分散剤のような界面活性剤、例えば、ホルムアルデヒドとナフタレンスルホネートとの縮合生成物、アルキルアリールスルホネート、リグニンスルホネート、脂肪アルキルスルフェート、およびエトキシル化アルキルフェノールおよびエトキシル化脂肪アルコールを含有し得る。
【0126】
種子粉衣配合物は、本発明の組合せおよび希釈剤を、好適な種子粉衣配合物形態において(例えば、水性懸濁液として、または種子への高付着性を有する乾燥粉末形態において)使用して、それ自体既知の方法によって種子に適用される。そのような種子粉衣配合物は当分野で既知である。種子粉衣配合物は、単一活性成分または活性成分組合せを、カプセル封入形態において、例えば徐放性カプセルまたはマイクロカプセルとして、含有し得る。
【0127】
一般に、該配合物は、0.01〜90wt%の活性剤、0〜20%の工業的に許容される界面活性剤および10〜99.99%の固体または液体補助剤を含有し、該活性剤は、少なくとも式Iの化合物、および任意に他の活性剤、特に殺菌剤または防腐剤等からなる。組成物の濃縮形態は、2〜80wt%、一般に5〜70wt%の活性剤を含有する。配合物の適用形態は、例えば、0.01〜20wt%、一般に0.01〜5wt%の活性剤を含有し得る。市販製剤は、一般に濃縮物として配合されるが、最終使用者は希釈配合物を一般に使用する。
【0128】
さらに、本発明の化合物の色は、一種の「脱色」によって除去し得る。さらに、無機または有機物質(着色物質を含む)の酸化用に過酸化水素または分子酸素を使用する酵素を洗液に添加した場合に、染色織物および建材中の本発明の化合物からかまたは着色剤で汚染された織物および建材から滲出した着色物質を、洗液の溶液中で脱色し、それによって、問題とする着色物質が洗液中の他の織物および建材に付着するのを防止し得ることが見出された。そのような酵素は、それぞれペルオキシダーゼおよびオキシダーゼと一般に称される。ペルオキシダーゼは、種々のアミノおよびフェノール化合物に作用して、色を発生させることが当分野において充分に認識されている(例えば、B.C.Saunders et al.,Peroxidase,London,1964,p.10 ff参照)。これを考慮すると、ペルオキシダーゼ(およびある種のオキシダーゼ)が、溶解状態の着色物質にも作用して、転染を阻害し得ることは意外と考えられるに違いない。転染阻害をもたらすこれらの酵素の能力を支配するメカニズムはまだ解明されていないが、酵素が、過酸化水素または分子酸素を還元し、洗液に溶解または分散した着色物質(ドナー基質)を酸化することによって作用し、それによって、無色物質を生じるか、または織物または建材に吸着されない物質を与えると現在考えられている。
【0129】
さらに、本発明の液体組成物を形成し、賦形剤と混合し、そして/または賦形剤で希釈し得る。賦形剤が希釈剤としての役割をする場合、賦形剤は、本発明の組成物用のビヒクル、担体または媒質として作用する固体、半固体または液体物質であってよい。種々の好適な賦形剤は、当業者に理解され、National Formulary,19:2404−2406(2000)に見出され、p.2404〜2406に記載の内容は全体として本明細書に参照として組み入れられる。好ましい賦形剤はブタンジオールおよびEDTAを包含する。好適な賦形剤の例は、デンプン、アラビアゴム、珪酸カルシウム、微結晶性セルロース、メタクリレート、シェラック、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップおよびメチルセルロースであるが、それらに限定されない。水性媒質は、1つまたはそれ以上の活性成分、該活性成分を媒質中に均質に溶解または懸濁させるのに充分なある量の1つまたはそれ以上の界面活性剤、および当分野で既知の他の製造添加剤を含有し得る。該添加剤は、下記のものを包含する:造粒−結合剤、例えばゼラチン;天然ゴム、例えば、アカシア、トラガカント;デンプン、アルギン酸ナトリウム、糖類、ポリビニルピロリドン;セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルオキソアゾリドン;医薬充填剤、例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、燐酸二カルシウム、燐酸三カルシウム、硫酸カルシウム、デキストロース、マンニトール、スクロース;必要であればタブレット成形潤滑剤、例えば、ステアリン酸カルシウムおよびマグネシウム、ステアリン酸、タルク、ステロテックス(アルカリ性ステアレート)。本発明の1つの実施形態の1成分についての「水性媒質」という用語は、当分野の慣習の範囲で使用される。主として、該用語は、必要であればイソプロパノールまたはエタノールのような水混和性溶媒を添加された、活性成分を保持する水媒質を意味する。
【0130】
本発明を下記の実施例においてさらに詳しく説明する。これらの実施例は、本発明を例示するものであり、本発明を限定するものと理解すべきでない。
【実施例1】
【0131】
1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリド(6)の合成
【化12】

【0132】
工程a:2,6−ルチジン(1)とヨードエタン(2)との反応による2,6−ルチジンエチオダイド(3)の生成
2,6−ルチジン(1)の合計69.7g(0.65mol)を、沃化エチル(2)202.8gと合わし、混合物を100℃で一晩加熱した。次に、反応混合物を冷却し、沈殿した2,6−ルチジンエチオダイド(3)を濾過によって収集した。濾液を100℃に再加熱し、次に、冷却し、濾過して、固体2,6−ルチジンエチオダイト(3)の第二生成物を収集した。これらの2生成物を合わし、熱い無水エタノールに溶解し、再結晶させた。この得られた固形物を熱いエタノールに溶解し、再び再結晶した。精製2,6−ルチジンエチオダイド(3)を恒量に空気乾燥して、所望生成物107.5gを得た。1H−NMRは、所望化合物と一致し、未補正融点は205〜206℃であった。
【0133】
工程b:2,6−ルチジンエチオダイド(3)の2,6−ルチジンエトクロリド(4)への変換
2,6−ルチジンエチオダイド107.5gを、メタノール2.0Lに溶解し、その溶液を氷水浴で冷却した。合計220gの無水塩化水素を、ガスバブラーでその溶液にゆっくり添加した。塩化水素を添加する間、氷水浴を使用して、反応温度を30℃未満に維持した。全ての塩化水素を添加した後に、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮してほぼ乾固させ、次に、メタノール1.0Lに再溶解させた。次に、合計103gの無水塩化水素を、その混合物に泡立たせた。10分間攪拌した後に、反応混合物を真空下に濃縮乾固して、所望の2,6−ルチジンエトクロリド(4)94.3gを得た。
【0134】
工程c:2,6−ルチジンエトクリド(4)と4−ピロリジノベンズアルデヒド(5)との反応による1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリド(6)の生成
2,6−ルチジンエトクロリド(4)30.6g(0.22mol)、4−ピロリジノベンズアルデヒド(5)75g(0.54mol)、ピペリジン12mLおよびメタノール約2Lの混合物を、一晩にわたって還流させながら加熱した。1H NMRは、反応が生じていないことを示した。反応混合物をさらに96時間にわたって還流させながら加熱した後も反応が生じなかった。さらに12mLのピペリジンを添加し、還流させながら加熱を継続した。合計120時間にわたって還流させながら加熱した後に、いくらかの固形物が沈殿しはじめたが、1H NMRは、所望の反応がまだ終了していないことを示した。さらに12mLのピペリジン触媒を添加し、反応混合物をさらに24時間にわたって還流させながら加熱した。このとき、1H NMRスペクトルは、所望の反応が終了したことを示した。反応混合物を室温にゆっくり冷却し、1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリド(6)を含有する沈殿固形物を濾過によって収集した。固形物をすりつぶし、エチルエーテル100mLで3回洗浄して、不純物および残留メタノール溶媒を除去した。固形物を空気乾燥し、恒量に真空乾燥して、赤色結晶性1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリド(6)32.6gを得た。
高性能液体クロマトグラフィー面積%(HPLC面積%)=98.1%。1H NMR(DMSO、d6);ppm 8.16−8.14(t,1H);8.08−8.07(d,2H);7.71−7.68(d,1H);7.69−7.67(d,2H,J=8.8Hz);7.23−7.20(d,1H);6.61−6.59(d,2H,J=8.8Hz);4.75−4.74(m,2H);3.31(m,2H);1.98−1.96(m,2H);1.48−1.45(t,3H)。反応濾液を原容量の約半分に濃縮し、ピペリジン10mLを添加し、濃色反応濾液を24時間にわたって還流させながら加熱した。1H NMRスペクトル分析は、おそらくはオレフィン異性体平衡により、1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリド(6)がさらに形成されたことを示した。加熱を除去し、反応混合物を室温で48時間攪拌し、その間に沈殿物が形成された。固形物を濾過によって収集し、すりつぶし、エチルエーテル100mLで3回洗浄して、不純物および残留メタノール溶媒を除去した。赤色結晶性固形物を空気乾燥し、恒量に真空乾燥して1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリド(6)19.2gをさらに得た。HPLC面積%=97.4%。1H NMRは第一生成物(6)と一致していた。
【実施例2】
【0135】
1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリドの合成
【化13】

2,6−ルチジンエトクロリド9.0g(0.07mol)、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド23.6g(0.16mol)、ピペリジン14mLおよびメタノール350mLの混合物を、77時間にわたって還流させながら加熱した。77時間還流させた後、高性能液体クロマトグラフィー−質量スペクトル分析(LC/MS分析)は、所望生成物が反応混合物に存在することを示した。反応混合物をゆっくり冷却して沈殿を生じさせ、沈殿した固形物を濾過によって収集した。固形物をすりつぶし、エチルエーテル100mLで3回洗浄して、不純物および残留メタノール溶媒を除去した。固形物を空気乾燥し、恒量に真空乾燥して、赤色結晶性1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリド2.8gを得た。高性能液体クロマトグラフィー面積%(HPLC面積%)=99.5%。1H NMR(DMSO、d6)は所望生成物と一致していた。反応濾液を原容量の約半分に濃縮した。合計10mLのピペリジン触媒を添加し、濃色溶液をさらに24時間にわたって還流させながら加熱した。このとき、高性能液体クロマトグラフィー面積%分析(HPLC A%分析)は、生成物がさらに形成され、2,6−ルチジンエトクロリド出発物質がほぼ消失したことを示した。加熱を除去し、反応を真空濃縮して、濃いスラリーを得た。沈殿固形物を濾過によって収集し、エチルエーテル100mLで3回洗浄し、得られた固形物を空気乾燥し、一晩にわたって真空乾燥して、赤色結晶性1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリド13.6gを得た。HPLC面積%=99%。1H NMRは所望生成物と一致していた。
【実施例3】
【0136】
1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ジエチルアミノ)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリドの合成
【化14】

2,6−ルチジンエトクロリド9.0g(0.07mol)、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド28.1g(0.16mol)、ピペリジン14mLおよびメタノール350mLの混合物を、96時間にわたって加熱還流し、このとき、LC/MS分析は所望生成物が存在することを示した。反応混合物を冷却し、真空濃縮して、スラリーを得た。固形物を濾過によって収集し、すりつぶし、エチルエーテル50mLで3回洗浄した。得られた精製固形物を空気乾燥し、真空乾燥して、赤色結晶性1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ジエチルアミノ)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリド17.3gを得た。高性能液体クロマトグラフィー面積%(HPLC面積%)=95%。1H NMR(DMSO、d6)は所望生成物と一致し、微量の出発物質4−ジエチルアミノベンズアルデヒドが存在していた。
【実施例4】
【0137】
1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウム4−アミノベンゾエート塩の合成
【化15】

合計52.8g(0.12mol)の1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリニジル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリドおよび18.6g(0.12mol)の4−アミノ安息香酸のナトリウム塩(p−アミノ安息香酸のナトリウム塩、Na+ PABA-)を、メタノール1.3Lに溶解し、この混合物を室温で4日間攪拌し、この間に沈殿物が形成された。次に、反応混合物を濾過し、固体塩を空気乾燥し、真空乾燥して、第一生成物1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウム4−アミノベンゾエート塩(PABA塩とも称す)28.0gを得た。濾液を真空濃縮して、さらに沈殿物を得た。第二生成物の分離を、濾過、次に、固形物の空気乾燥および真空乾燥によって行なって、第二生成物1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウム4−アミノベンゾエート塩(PABA塩とも称す)42.6gを得た。高性能液体クロマトグラフィー面積%(HPLC A%)第一生成物=99.6%(PABAを除く);HPLC A% 第二生成物=99.9%(PABAを除く)。両生成物の1H NMRおよび質量スペクトル分析は、所望化合物1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウム4−アミノベンゾエート塩の構造と一致していた。この生成物は、1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムp−アミノベンゾエート塩または1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムPABA塩とも称される。
【0138】
実施例1〜3に記載した方法によって、置換および非置換芳香族アルデヒドまたは置換および非置換複素芳香族アルデヒドと、置換および非置換ルチジンエトクロリド塩、ルチジンイソブトクロリド塩、ルチジンメトクロリド塩、ルチジン1,1,1−トリフルオロエトクロリド塩等とを、第二級アミン触媒、例えばピペリジンおよびピロリジンを使用して、極性プロトン溶媒、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等、または極性非プロトン溶媒、例えば、アセトニトリル(ACN)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等において、反応させて、本出願および請求の範囲に記載されている化合物の任意の可能な組合せを生成する。本出願は、さらに、本発明の可能な組合せのいくつかを例示する図1〜4に示されている多くの化合物も提供する。
【0139】
下記の実施例において、「活性成分」は、前記の式(I)の任意化合物、またはその医薬的に許容される塩または溶媒化合物であってよい。
【実施例5】
【0140】
抗細菌活性
式Iの化合物、塩化スチルバジウムの溶液(1%ジメチルスルホキシド)を、系列ハーフステップ希釈(serial half−step dilutions)によって、滅菌水で希釈した。次に、接種したミューラー・ヒントン寒天平板に、各希釈液40μLをピペットで添加した。次に、寒天平板を35℃で24時間培養し、次に、阻止帯を記録した。最低阻止濃度(MIC)は、有機体に対して阻止帯を生じた被験物質の最低濃度であった。一系列の有機体に対する式Iの化合物のMICを下記の表に示す。
【0141】
【表1】

【実施例6】
【0142】
抗真菌活性
真菌株(ATCCから入手)を、ミューラー・ヒントン液体培地において35℃で18時間増殖させた。次に、平板に液体培地培養物を接種し、室温(22℃)で約10〜15分間空気乾燥した。次に、式Iの化合物(1%ジメチルスルホキシド中)および水中の系列ハーフステップ希釈液40μLを、接種ミューラー・ヒントン寒天平板に、ピペットで添加した。次に、平板を35℃で24時間培養し、次に、阻止帯を記録した。最低阻止濃度(MIC)は、有機体に対して阻止帯を生じた式Iの化合物の最低濃度であった。下記の表は、種々の真菌株に対する式Iの化合物の抗真菌活性を示す。
【0143】
【表2】

【実施例7】
【0144】
沃化スチルバジウムを、植物関連糸状菌株について試験した。化合物の原液を10,000ppm活性成分の濃度でDMSO中に調製した。水を使用して希釈液をさらに調製した。以下の濃度で試験を行った。125、31、8、21、0.5および0.125ppm活性成分。真菌の胞子懸濁液を調製した。試験を、微量検定板で、各真菌および各濃度について行い、3穴を調製した。接種した平板の培養を、18℃で7日間行なった。次に、各穴で成長した菌糸の光学密度を405nmで測定した。
表3に示す得られたデータは、IC90値(対照と比較して、真菌の増殖が少なくとも90%減少した際の濃度)の評価を可能にする。
【0145】
【表3】

【実施例8】
【0146】
下記の表4に示すデータは、スチルバジウム化合物で処置することができる種々の細菌および真菌を示す。データは、種々のスチルバジウム化合物の全般的有効性を示している。
【0147】
【表4A】

【表4B】

【実施例9】
【0148】
(1)錠剤配合物
(i)経口
【表5】

【0149】
(ii)舌下
【表6】

【0150】
配合物A〜Eは、Povidone(商標)で先の6つの成分を粒状化し、次に、ステアリン酸マグネシウムを添加し、圧縮することによって製造し得る。
【0151】
(iii)口腔
【表7】

【0152】
配合物は、混合した成分を直接圧縮することによって製造し得る。
【0153】
(2) カプセル配合物
(i)粉末
【表8】

【0154】
配合物FおよびGは、成分を混合し、得られた混合物をニ部分(two−part)硬質ゼラチンカプセルに充填することによって製造し得る。
【0155】
(ii)液体充填物
【表9】

【0156】
配合物Hは、Macrogol(商標)4000 BPを溶融させ、活性成分をそのメルトに分散させ、二部分硬質ゼラチンカプセルにそれを充填することによって製造し得る。配合物Iは、活性成分をレシチンおよび落花生油に分散させ、その分散物を軟質弾性ゼラチンカプセルに充填することによって製造し得る。
【0157】
(iii)制御放出
【表10】

【0158】
配合物を、先の4つの成分の混合および押出、および押出物の球状化(spheronising)および乾燥によって製造し得る。放出制御膜としてのエチルセルロースで乾燥ペレットを被覆し、ニ部分硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0159】
吸入用粉末カプセル
活性成分(0.5〜7.0μm粉末) 1.0mg
ラクトース(30〜90μm粉末) 49.0mg
【0160】
粉末を均質になるまで混合し、適切な大きさの硬質ゼラチンカプセルに充填する(50mg/カプセル)。
【0161】
吸入エーロゾル剤
【表11】

【0162】
三オレイン酸ソルビタンおよびメタノールを、トリクロロフルオロメタンに溶解させる。その混合物にサッカリンナトリウムおよび活性成分を分散させ、好適なエーロゾルキャニスターに移し、ジクロロフルオロメタンをバルブ系から注入する。この組成物は、各100μL用量につき活性成分0.5mgを与える。
【0163】
局所用液剤
【表12】

【0164】
式Iの化合物を、アルコールに直接溶解させ、琥珀色ガラス瓶に入れる。得られた0.2%溶液の皮膚への適用は、罹患表皮に適用される綿棒によるかまたは浸透性吸収性キャップによって行ない得る。
【実施例10】
【0165】
生物学的活性
外部(経皮)、膣および直腸投与用の水性クリーム剤
【0166】
式Iの化合物
【表13】

【0167】
式Iの化合物を、混合によってブタンに懸濁させ、得られたクリーム剤を局所適用する。
【0168】
カラゲーナン胸膜炎アッセイ
本発明の化合物の抗炎症活性を、150±20gの雄ルイスラットを用いて、Vinegar,R et al.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,1981,168,24−32の手順によって測定した。カラゲーナン投与量は、0.075mg/ラットであった。カラゲーナンを注射してから4時間後に胸膜滲出液を採取した。急性抗炎症活性を、負(ビヒクル)の対照群からの胸膜水腫および炎症細胞(好中球)の阻害によって測定した。
【0169】
2)酢酸大腸炎アッセイ
本発明の化合物の抗炎症活性を、275+25gの雄ルイスラットを用いて、Fretland,D.et al.,1990,255:572−576の手順によって酢酸大腸炎ラットモデルにおいて測定した。軽度麻酔下に、結腸の近位6cmに3%酢酸溶液を40秒間点滴注入する24時間、16時間および4時間前に、化合物を経口または直腸投与した。結腸を、生理食塩水5ccで直ぐに洗浄した。24時間後、ラットを犠牲にし、近位結腸6cmを切除し、水腫を秤量した。好中性炎症を、これらのラットからのこすり取った結腸粘膜におけるMPOレベルを測定することによって評価した。抗炎症活性を、負の対象群(ビヒクル)と比較した水腫形成および粘膜MPOレベルの阻害によって測定した。
【0170】
3)抗細菌活性
式Iの溶液(1%ジメチルスルホキシド)を、系列ハーフステップ希釈によって、滅菌水でさらに希釈した。接種したミューラー・ヒントン寒天平板に、各希釈液40μLをピペットで添加した。次に、寒天平板を35℃で24時間培養し、次に、阻止帯を記録した。最低阻止濃度(MIC)は、有機体に対して阻止帯を生じた被験物質の最低濃度であった。一系列の有機体に対する式Iの化合物についてのMICを前記の表2に示す。
【0171】
4)抗真菌活性
真菌株(ATCCから入手)を、ミューラー・ヒントン液体培地において35℃で18時間増殖させた。次に、平板に液体培地培養物を接種し、室温(22℃)で約10〜15分間空気乾燥した。次に、式Iの化合物(1%ジメチルスルホキシド中)および水中の系列ハーフステップ希釈液40μLを、接種ミューラー・ヒントン寒天平板に、ピペットで添加した。次に、平板を35℃で24時間培養し、次に、阻止帯を記録した。最低阻止濃度(MIC)は、有機体に対して阻止帯を生じた式Iの化合物の最低濃度であった。下記の表6は、種々の真菌株に対する式Iの化合物の抗真菌活性を示す。
【0172】
【表14】

【0173】
結果を、カラゲーナンの胸膜内注射によって生じた白血球(wbc)の浸潤および滲出液容量の%阻害として表す。カラゲーナン注射の1時間後に薬剤を投与し、4時間後に測定を行なった。
【0174】
【表15】

【0175】
【表16】

【0176】
Candida albicansを膣感染させたマウスを、感染後6時間から開始して4日間にわたって毎日、前記の処置剤0.025mLで処置した。式Iの化合物の濃度は0.5%(w/v)であり、クロルトリマゾールは1%(w/v)であった。
【0177】
【表17】

【0178】
データは、インビトロで培養した細菌の増殖阻害についての、式Iの化合物の最低阻止濃度(μg/mL)を示す。
【0179】
【表18】

【0180】
【表19】

【実施例11】
【0181】
[インビトロスクリーニング]
各化合物の原液を、DMSO中に10,000ppm活性成分の濃度で調製した。水を使用して希釈液をさらに調製した。以下の濃度で試験を行った。125、31、8、21、0.5および0.125ppm活性成分。以下の真菌の胞子懸濁液を調製した。Alternaria solani、Botrytis cinerea、Cochiobolus mijabeanus、Colletorichum lagenarium、Fusarium culmorum、Phytophthora infestants、Pyrenophora teres、Pyricularia oryzae、Rhizoctonia solaniおよびSeptoria tritici。
【0182】
試験を、微量検定板で、各真菌および各濃度について行い、3穴を調製した。接種した平板の培養を、18℃で7日間行なった。次に、各穴で成長した菌糸の光学密度を405nmで測定した。得られたデータによって、IC90値(真菌増殖が、対照と比較して少なくとも90%減少した際の濃度)を評価することができた。
【0183】
[インビボ切断葉アッセイ]
このモデルにおいて、適切な宿主植物の切断葉を素寒天に入れた。DMSO中の10,000ppm活性成分の原液から調製した各化合物の15ppm活性成分溶液20μL cm2で葉を処置した。処置した葉を24時間乾燥し、次に、それらに下記の真菌種を接種した(括弧内は宿主植物);例外は、小麦褐色錆菌(Puccinia triticina)であり、その場合、被験化合物の適用の24時間前に、葉への接種を行なった。Blumeria graminis f.sp.tritici(小麦)、Fusarium culmorum(大麦)、Phaeosphaeria nodorum(小麦)、Phytophthora infestans(トマト)、Puccinia triticina(小麦)およびPyricularia oyrzae(イネ)。
【0184】
次に、18℃において、12時間の光周期で葉を培養した。培養期間は最長7日間であった。3複製を行なった。
【0185】
インビボガラス室スクリーニング
化合物を、250、63および16ppm活性成分において、試験植物に吹き付けて流し、処置植物への接種を処置から24時間後に行ない、前記のように小麦褐色錆菌は例外であり、処置の24時間前に接種を行なった。下記の病原菌/宿主植物の組合せについて試験を行った。Alternaria solani/トマト、Botrytis cinerea/ピーマン、Phytophthora infestans/トマト、およびPuccinia triticina/小麦。
【0186】
次に、真菌類病原菌の成長に有利な気候条件下に、培養を行なった。疾患の発生を、接種から7日後に評価した。
【0187】
全般的結果
大部分の被験化合物は、広範なインビトロ活性を示し、この活性は極めて低い濃度においても見られる場合があった。
【0188】
ガラス室条件下、完全(intact)植物を用いた場合、試験した高濃度(250ppm活性成分)において、限られた程度の活性が見られた。Alternaria solaniおよびPhytophthora infestansにおいて、活性が示された。
【実施例12】
【0189】
沃化スチルバジウムを、植物関連糸状菌株について試験した。化合物の原液を、DMSO中に10,000ppm活性成分の濃度で調製した。水を使用して希釈液をさらに調製した。以下の濃度で試験を行った。125、31、8、21、0.5および0.125ppm活性成分。真菌の胞子懸濁液を調製した。試験を、微量検定板で、各真菌および各濃度について行い、3穴を調製した。接種した平板の培養を、18℃で7日間行なった。次に、各穴で成長した菌糸の光学密度を405nmで測定した。
【0190】
表11に示す得られたデータによって、IC90値(真菌増殖が、対照と比較して少なくとも90%減少した際の濃度)を評価することができた。
【0191】
【表20】

【0192】
本明細書において、本発明の典型的な好ましい実施形態を開示し、特定の用語を使用したが、それらは一般的および記述的意味で使用されているにすぎず、請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】ピリジン環上の窒素位置にメチルを含む種々の化合物を示す。
【図2】ピリジン環上の窒素位置に結合したトリフルオロエチルを含む種々の化合物を示す。
【図3】ピリジン環上の窒素位置にイソブチルを含む化合物を示す。
【図4】ピリジン環上の窒素位置に結合したエチルを有する種々の化合物を示す。




























【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式で示されるE,E配置の化合物またはその溶媒化合物:
【化1】

[式中、
NR12およびNR34成分は、オルト、メタまたはパラ位置にあり;
-は、陰イオン塩であり;
1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1とR2またはR3とR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジノまたはピペリジノ環を形成し;
5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分、および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される]。
【請求項2】
前記X-が、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージドハロゲン化物、メシレート、トシレート、ナプチレート、ノシレート、パラ−アミノベンゾエート、ラウリルスルフェート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ベンゼンスルホネート、ベシレート、エチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートおよび5−ブチルフェニルサリチレートからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
5が、(CH2n−MR6(ここで、nは1〜6の数値であり、Mは、錫、珪素およびゲルマニウムからなる群から選択される有機金属化合物であり、R6は、プロピル、ブチルおよび置換または非置換アルキルからなる群から選択される)である請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリド、1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリド、1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ジエチルアミノ)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリド、1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウム4−アミノベンゾエート塩および1−メチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリドからなる群から選択され、他のどのような立体配置異性体も実質的に含まない請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
工業製品を真菌増殖に関して処置する方法であって、有効量の請求項1〜4のいずれかに記載の化合物を、増殖の処置をすべき部位に投与することを含む方法。
【請求項6】
前記工業製品が、木材、空気ダクト、製材、デッキ、パイプ、スタッコ、タイル、塗料、絶縁材、屋根、建材、金属、コンピューター部品、食品包装材料および基板からなる群から選択される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
下記の式で示されるE,E配置の化合物またはその溶媒化合物、および賦形剤を含む組成物:
【化2】

[式中、
NR12およびNR34成分は、オルト、メタまたはパラ位置にあり;
-は、陰イオン塩であり;
1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1とR2またはR3とR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジノまたはピペリジノ環を形成し;
5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分、および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される]。
【請求項8】
HClを前記組成物に添加することを含む請求項7に記載の組成物の製造のための合成法。
【請求項9】
-が、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージドハロゲン化物、メシレート、トシレート、ナプチレート、ノシレート、パラ−アミノベンゾエート、ラウリルスルフェート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、エチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、ベンゼンスルホネート、ベシレートおよび5−ブチルフェニルサリチレートからなる群から選択される請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記化合物が、1−エチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリドであり、他のどのような立体配置異性体も実質的に含まない請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
5が、(CH2n−MR6(式中、nは1〜6の数値であり、Mは、錫、珪素およびゲルマニウムからなる群から選択される有機金属化合物であり、R6は、プロピル、ブチルおよび置換または非置換アルキルからなる群から選択される)である請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
前記化合物が、1−メチル−(E,E)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリドである請求項7に記載の組成物。
【請求項13】
殺真菌剤および/または殺細菌剤をさらに含む請求項7に記載の組成物。
【請求項14】
殺虫剤をさらに含む請求項7に記載の組成物。
【請求項15】
エマルジョンまたはマイクロカプセルに封入された請求項7に記載の組成物。
【請求項16】
前記マイクロカプセルが、徐放性カプセルである請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、持続放出形態または非持続放出形態である請求項7に記載の組成物。
【請求項18】
下記の式で示される化合物またはその溶媒化合物を含む組成物を投与することを含む真菌および/または細菌の防除法:
【化3】

[式中、
NR12およびNR34成分は、オルト、メタまたはパラ位置にあり;
-は、陰イオン塩であり;
1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1とR2またはR3とR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジノまたはピペリジノ環を形成し;
5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分、および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される]。
【請求項19】
被験者または被験物における炎症を治療する方法であって、下記の式(I)で示される化合物またはその溶媒化合物を含む組成物を、それを必要とする被験者または被験物に局所投与することを含む方法:
【化4】

[式中、
NR12およびNR34成分は、オルト、メタまたはパラ位置にあり;
-は、陰イオン塩であり;
1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1とR2またはR3とR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジノまたはピペリジノ環を形成し;
5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分、および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される]。
【請求項20】
被験者または被験物における感染を治療する方法であって、下記の式(I)で示される化合物またはその溶媒化合物を含む組成物を、それを必要とする被験者または被験物に投与することを含む方法:
【化5】

[式中、
NR12およびNR34成分は、オルト、メタまたはパラ位置にあり;
-は、陰イオン塩であり;
1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1とR2またはR3とR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジノまたはピペリジノ環を形成し;
5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分、および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される]。
【請求項21】
被験者または被験物における免疫性疾患を治療する方法であって、下記の式(I)で示される化合物またはその溶媒化合物を含む組成物を、それを必要とする被験者または被験物に投与することを含む方法:
【化6】

[式中、
NR12およびNR34成分は、オルト、メタまたはパラ位置にあり;
-は、陰イオン塩であり;
1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1とR2またはR3とR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジノまたはピペリジノ環を形成し;
5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分、および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される]。
【請求項22】
被験者または被験物における真菌または細菌感染を治療する方法であって、下記の式(I)で示される化合物またはその溶媒化合物を含む組成物を、それを必要とする被験者または被験物に投与することを含む方法:
【化7】

[式中、
NR12およびNR34成分は、オルト、メタまたはパラ位置にあり;
-は、陰イオン塩であり;
1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1とR2またはR3とR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジノまたはピペリジノ環を形成し;
5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分、および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される]。
【請求項23】
植物を真菌感染から保護する方法であって、前記植物の成長段階の間に、下記の式で示される化合物またはその溶媒化合物に植物を接触させることを含む方法:
【化8】

[式中、
NR12およびNR34成分は、オルト、メタまたはパラ位置にあり;
-は、陰イオン塩であり;
1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1とR2またはR3とR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジノまたはピペリジノ環を形成し;
5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分、および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される]。
【請求項24】
N−R成分がパラ位置にあり、XがCl-であり、R5がメチルまたはエチルである請求項18〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
真菌および/または細菌を防除する前記方法が、同じ領域に真菌および/または細菌を拘束し含有することをさらに含む請求項18および22〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
真菌増殖が起こる前に前記組成物を投与する請求項18および22〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
5が、(CH2n−MR6(式中、nは1〜6の数値であり、Mは、錫、珪素およびゲルマニウムからなる群から選択される有機金属化合物であり、R6は、プロピル、ブチルおよび置換または非置換アルキルからなる群から選択される)である請求項18〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
真菌増殖が起きた後に前記組成物を投与する請求項18および22〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
工業材料に前記組成物を投与する請求項18および22〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記工業材料が、シートロック、製材、敷板、床材、屋根材、敷物、壁紙、パネル、クロスコーキング材、モルタル、タイル、グラウト、ファスナー、接着剤、塗料、被覆剤、シーラントおよびスタッコからなる群から選択される請求項29に記載の方法。
【請求項31】
食品包装系、医用品、基板、プラスチック、紙およびフォームにおける真菌および/または細菌の増殖を減少させることによって、真菌および/または細菌を防除することを含む請求項18に記載の方法。
【請求項32】
前記炎症が、アレルギー性鼻炎、外耳炎、ブドウ膜炎、副鼻腔炎、喘息、成人呼吸促進症候群、気管支炎、喉頭炎、口腔カンジダ症および嚢胞性線維症からなる群から選択される請求項19に記載の方法。
【請求項33】
前記免疫性疾患が、アレルギー性鼻炎、外耳炎、副鼻腔炎、喘息、成人呼吸促進症候群、気管支炎、喉頭炎、口腔カンジダ症、嚢胞性線維症、慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節炎、痛風性関節炎、ブドウ膜炎、結膜炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、遠位直腸炎、乾癬、湿疹、皮膚炎、アレルギー性痒疹、局所真菌感染症、歯肉炎、歯周炎、管状動脈梗塞損傷、慢性炎症、喘息、成人呼吸促進症候群、鼻炎、慢性鼻副鼻腔炎、口腔咽頭カンジダ症、気管支炎、喉頭炎、嚢胞性線維症および平滑筋増殖疾患からなる群から選択される請求項21に記載の方法。
【請求項34】
有機錫、有機珪素または有機ゲルマニウムを投与することをさらに含む請求項18〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
植物用の増殖培地に種子を蒔き、植物を成長させる前に、前記株(strain)を含む組成物に植物の種子を浸漬する請求項23に記載の方法。
【請求項36】
前記植物が、苗または種子を含む請求項23に記載の方法。
【請求項37】
前記真菌感染症が、足白癬、頭部白癬、躯幹白癬、澱風、爪菌類病、頭皮疾患、股部白癬、カンジダ症、鼻副鼻腔炎およびアレルギー性鼻炎からなる群から選択され、前記細菌感染症が、アクネ、ブドウ膜炎、鼻副鼻腔炎およびアレルギー性鼻炎からなる群から選択される請求項19〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
5が、紫外線遮断剤または紫外線吸収剤である請求項18〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記紫外線遮断剤または紫外線吸収剤が、下記からなる群から選択される請求項38に記載の方法:
【化9】


【請求項40】
下記式(I)の化合物またはその溶媒化合物、賦形剤および感光性物質を含む組成物を含有するマイクロカプセル:
【化10】

[式中、
NR12およびNR34成分は、オルト、メタまたはパラ位置にあり;
-は、陰イオン塩であり;
1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1とR2またはR3とR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジノまたはピペリジノ環を形成し;
5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分、および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される]。
【請求項41】
前記感光性物質が、紫外線を吸収する請求項40に記載のマイクロカプセル。
【請求項42】
前記感光性物質が、紫外線を遮断する請求項40に記載のマイクロカプセル。
【請求項43】
前記感光性物質/式(I)の化合物の比が1:10である請求項40に記載のマイクロカプセル。
【請求項44】
下記式(I)の化合物またはその溶媒化合物を含む組成物を投与することを含む昆虫の防除法:
【化11】

[式中、
NR12およびNR34成分は、オルト、メタまたはパラ位置にあり;
-は、陰イオン塩であり;
1、R2、R3またはR4は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1とR2またはR3とR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジノまたはピペリジノ環を形成し;
5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルケン、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルおよびベンジル基からなる群から選択される]。
【請求項45】
前記組成物を廃水に投与する請求項44に記載の方法。
【請求項46】
下記の式で示される化合物またはその溶媒化合物であって、但し、1−エチル−(Z,Z)、(Z,E)または(E,Z)−2,6−ビス[2−[4−(ピロリジニル)フェニル]エテニル]ピリジニウムクロリドでない化合物:
【化12】

[式中、
nは1〜5の数値であり;
Zは、C、N、O、Sおよびハロゲンからなる群から選択され;
ZR12およびZR34成分は、オルト、メタまたはパラ位置にあり;
-は、陰イオン塩であり;
1、R2、R3またはR4は、非存在、水素、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)からなる群から独立に選択されるか、またはR1とR2またはR3とR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノまたはピペリジノ環を形成し;
5は、メチル、エチル、C110アルキル(直鎖または分岐鎖)、アルケン(直鎖または分岐鎖)、アルキン、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、置換および非置換アリール成分、および置換および非置換ベンジル成分からなる群から選択される]。
【請求項47】
E,E配置である請求項46に記載の化合物。

【公表番号】特表2007−525441(P2007−525441A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509022(P2006−509022)
【出願日】平成16年3月3日(2004.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/006437
【国際公開番号】WO2004/078136
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(505334189)マイコソル,インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】