説明

ピリジン複素環CGRPアンタゴニスト中間体の製造方法

2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩および2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンの他の塩形態を製造する効率的な合成。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(従来技術)
2004年4月9日出願の国際特許出願PCT/US2004/010851(2004年10月28日にWO2004/092166として公開)および2004年4月9日出願のPCT/US2004/011280(2004年10月29日にWO2004/092168として公開)ならびに米国特許出願10/838,835(2005年10月11日に米国特許6,953,790として許諾)は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体機能のインヒビター、モジュレーターまたはプロモーターで治療できる人類または他の種の疾患または状態の治療に有用な化合物を開示している。このような疾患または状態は、引用した出願に記載されたもの、より特定的には偏頭痛および群発頭痛を含む。
【0002】
N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド,1:
【0003】
【化1】

は強力なCGRPモジュレーターである。化合物1の実験製造は国際特許出願PCT/US2004/010851およびPCT/US2004/011280ならびに米国特許出願10/838,835に記載されている。
【0004】
化合物1の合成に使用されるいくつかの中間体の実験製造も上記に引用の出願に記載されている。このような中間体は、中間体(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン,2:
【0005】
【化2】

および、中間体2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン,3:
【0006】
【化3】

とその塩、例えば2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩:
【0007】
【化4】

を含む。
【0008】
中間体2および3の合成を含む化合物1の従来の合成技術は製造の見地から比較的低効率で高価であったり、および/または、以後の合成および/または開発に最適とはいえない塩および/または溶媒和物形態を生じたりする。
【0009】
中間体2に関しては、従来の合成技術が多数の単離段階を含む極めて多数の段階を必要とし、このため合成プロセス全体が遅くなりかつ高くつくことが知見されている。従って、化合物2の合成経路が効率的かつ経済的であるような化合物1の改良合成経路がいまだ要望されている。
【0010】
中間体3を製造する従来技術も同様に高価で低効率である。このような公知経路は、先ず2,3−ジアミノピリジン(“DAP”)を還元アシル化し、次いでCDI媒介環状尿素を形成し、最後に酸性Boc基脱保護/塩形成を行う。この“DAP”経路の特徴は、高価な出発材料および試薬を使用すること、ならびに、第一段階が低収率であること、その結果として総経費が法外な額になることである。従って、中間体3の合成経路が効率的かつ経済的であるような化合物1の改良合成経路がいまだ要望されている。
【0011】
最後に、カルボニルソースとして4−ニトロフェニルクロロホーメートを使用する化合物1の従来の製造技術は最適収率に到達できない。このような従来技術ではさらに、化合物1の中性形態を好ましい塩形態に変換する前に単離する必要がある。その上、遊離した塩基形態および塩形態を含めた化合物1の従来の実験製造形態は安定性および体内利用効率に関して理想的とはいえない特性を有していた。従って、大規模生産、配合、保存および配給が可能な化合物1および医薬的に許容されるその塩の改良合成経路が依然として要望されている。
【発明の開示】
【0012】
(発明の概要)
本発明は、中間体(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン,2、特にその塩酸塩形態および2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン,3、特にその二塩酸塩形態を、カルボニルソースである1,1’−カルボニルジイミダゾールと結合させることによって、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド,1を製造する効率的な合成に関する。本発明はさらに、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド,1のカリウムエタノラート形態を含むカリウム塩形態の効率的な製造を提案する。
【0013】
本発明はさらに、中間体(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン,2、特にその塩酸塩形態、および、2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン,3、特にその二塩酸塩形態を製造するための効率的な合成を提案する。
【0014】
本発明はさらに、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド,1のカリウム塩エタノラートおよびカリウム塩水和物を含むカリウム塩の優れた特性に存在する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド,1、および、そのカリウム塩エタノラート:
【0015】
【化5】

の製造方法を提供する。
【0016】
N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド,1、および、そのカリウム塩エタノラートの合成をスキーム1に示す:
【0017】
【化6】

【0018】
スキーム1Aは、カルボニルソースとして1,1’−カルボニルジイミダゾールを使用して中間体2および3から化合物1の中性形態を合成する効率的な方法を示す。スキーム1Bは、化合物1の中性形態を出発材料として化合物1のカリウム塩形態を合成する効率的な方法を示す。スキーム1Cは、化合物1の中性形態を単離することなくカルボニルソースとして1,1’−カルボニルジイミダゾールを使用して中間体2および3から直接的に化合物1のカリウム塩形態が得られる効率的な合成を示す。
【0019】
従って本発明の1つの実施態様では、(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン塩酸塩と2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩とを1,1’−カルボニルジイミダゾールの存在下で反応させる段階を含む、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド,1の製造方法が提供される。
【0020】
本発明の別の実施態様では、
(1)(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン塩酸塩と2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩とを1,1’−カルボニルジイミダゾールの存在下で反応させる段階と、
(2)N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド,1を単離する段階と、
(3)該N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド,1をカリウムtert−ブトキシドおよびエタノールと反応させる段階と、
を含むN−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド,1のカリウム塩エタノラート形態の製造方法が提供される。
【0021】
本発明のまた別の実施態様では、
(1)(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン塩酸塩と2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩とを1,1’−カルボニルジイミダゾールの存在下で反応させる段階と、
(2)N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド,1をカリウムtert−ブトキシドおよびエタノールと反応させる段階と、
を含む、化合物1の中性形態の単離を必要としないN−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド,1のカリウム塩エタノラート形態の製造方法が提供される。
【0022】
反応スキームおよび本文中の実施例に記載したように、N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドのカリウム塩エタノラート形態は無水条件下で得られる。記載の反応が水の存在下で行われるときは、反応生成物が純エタノラート、純水和物または混合エタノラート/水和物のいずれになるかは含水量次第である。空気中に水分が存在するので、単離したカリウム塩エタノラートまたは混合エタノラート/水和物は時間の経過に伴って水和物に変換される。
【0023】
本発明の別の目的は、中間体(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン,2:
【0024】
【化7】

およびその塩、特にその塩酸塩:
【0025】
【化8】

の製造方法を提供することである。
【0026】
(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン,2およびその塩酸塩の合成をスキーム2に示す:
【0027】
【化9】

【0028】
スキーム2は、廉価で入手容易なジフルオロベンゼンからのクロロアセトフェノンの直接形成、パラジウム触媒を使用するZ−アリルアルコールの選択的形成、アミン立体中心を固定するための結晶化駆動非対称変換の使用、次いでベンジリック立体中心およびトランス幾何を固定するためのシス選択的水素化およびエピマー化を示す。
【0029】
従って、本発明の1つの実施態様は、
(1)(3S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−3−アンモニウム塩をシス選択的触媒の存在下で水素化して、(3S,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−アンモニウム塩を形成する段階と、
(2)(3S,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−アンモニウム塩をRN[式中のRはおのおの独立にC1−4アルキルである]およびヒドロキシルニトロベンズアルデヒドと反応させて、(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン,2を形成する段階と、
を含む中間体(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン,2の製造方法を提供する。
【0030】
本発明の追加の実施態様は、
(1)(3S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−3−アンモニウム塩をシス選択的触媒の存在下で水素化して、(3S,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−アンモニウム塩を形成する段階と、
(2)(3S,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−アンモニウム塩をRN[式中のRはおのおの独立にC1−4アルキルである]およびヒドロキシルニトロベンズアルデヒドと反応させて、(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オンを形成する段階と、
(3)(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オンをHClと反応させる段階と、
を含む中間体(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン塩酸塩の製造方法を提供する。
【0031】
本発明の別の実施態様は、
(1)(3S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−3−アンモニウムジトルオイル酒石酸塩を不均一パラジウム触媒の存在下で水素化して、(3S,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−アンモニウムジトルオイル酒石酸塩を形成する段階と、
(2)(3S,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−アンモニウムジトルオイル酒石酸塩をEtNおよび2−ヒドロキシ−5−ニトロベンズアルデヒドと反応させて、(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン,2を形成する段階と、
を含む中間体(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン,2の製造方法を提供する。
【0032】
本発明のさらに別の実施態様は、
(1)(3S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−3−アンモニウムジトルオイル酒石酸塩を不均一パラジウム触媒の存在下で水素化して、(3S,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−アンモニウムジトルオイル酒石酸塩を形成する段階と、
(2)(3S,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−アンモニウムジトルオイル酒石酸塩をEtNおよび2−ヒドロキシ−5−ニトロベンズアルデヒドと反応させて、(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オンを形成する段階と、
(3)(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オンをHClと反応させる段階と、
を含む(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン塩酸塩の製造方法を提供する。
【0033】
本発明のまた別の目的によれば、中間体2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩,3:
【0034】
【化10】

および、二塩酸塩を含むその塩、ならびに、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸などのような代替酸との反応から誘導される塩の製造方法が提供される。2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン,3および2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩の合成をスキーム3に示す:
【0035】
【化11】

【0036】
スキーム3では、3−アミノ−2−クロロピリジン(“ACP”)を第一段階で還元アルキル化する。3−アミノ−2−クロロピリジンとエチル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートとをIPAC、トリフルオロ酢酸およびトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(“STAB”)の存在下で反応させて、アミンエチル4−[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する。第二段階で、アミンとクロロスルホニルイソシアナート(CSI)とを典型的にはHOおよびTHFの存在下で反応させて尿素を形成する。第三段階で、尿素をパラジウム触媒の存在下で環化する。典型的には尿素をNaHCO、i−PrOH、Pd(OAc)およびビス−(ジフェニルホスフィノ)ブタン(dppb)の存在下で反応させて環状尿素を得る。
【0037】
その後のエチルカーバメート脱保護段階では、カーバメートを濃塩酸で処理し次いでi−PrOHから沈殿させることによってビス−HCl塩3を直接的に得ることができる。あるいは、環状尿素をNaOH、EtOH、水の存在下HClと反応させてピリジン複素環ビス−HCl塩3としてもよい。この代替手順では、最終段階にLiOHおよびKOHを含む他の塩基または塩基の組合せを使用してもよく、また、HClをHBr、HI、HSO、HNOおよび他の酸を含む酸で代替することによって他の許容される塩形態を製造してもよい。
【0038】
上記および以後の実施例に記載したように、このACP経路は4つの合成段階を含み、主要な処理は、還元アルキル化、クロロスルホニルイソシアナートを使用する第一級尿素の形成、第一級尿素のPd触媒環化およびエチルカーバメートの加水分解である。ACP経路の出発材料/試薬はDAP経路に必要なものよりもかなり廉価であり、また全部の工程が高い効率を与える。
【0039】
従って1つの目的によれば、本発明は、中間体2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩,3を製造するための、
(1)3−アミノ−2−クロロピリジンとC1−4アルキル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートとをトリフルオロ酢酸およびトリアセトキシホウ水素化ナトリウムの存在下で反応させて、C1−4アルキル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(2)C1−4アルキル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをクロロスルホニルイソシアナートと反応させて、C1−4アルキル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(3)C1−4アルキル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをNaHCO、Pd(OAc)およびビス−(ジフェニルホスフィノ)ブタンの存在下で反応させて、C1−4アルキル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(4)C1−4アルキル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートをHClと反応させて、2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩を形成する段階と、
を含む方法を提供する。
【0040】
別の目的によれば本発明は、2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンの酸塩である中間体を製造するための、
(1)3−アミノ−2−クロロピリジンとC1−4アルキル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートとをトリフルオロ酢酸およびトリアセトキシホウ水素化ナトリウムの存在下で反応させて、C1−4アルキル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(2)C1−4アルキル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをクロロスルホニルイソシアナートと反応させて、C1−4アルキル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(3)C1−4アルキル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをNaHCO、Pd(OAc)およびビス−(ジフェニルホスフィノ)ブタンの存在下で反応させて、C1−4アルキル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(4)C1−4アルキル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを強酸と反応させて、2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンの酸塩を形成する段階と、
を含む方法を提供する。
【0041】
本発明のまた別の目的によれば、2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンの酸塩を製造するための、
(1)3−アミノ−2−クロロピリジンとC1−4アルキル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートとをトリフルオロ酢酸およびトリアセトキシホウ水素化ナトリウムの存在下で反応させて、C1−4アルキル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(2)C1−4アルキル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをクロロスルホニルイソシアナートと反応させて、C1−4アルキル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(3)C1−4アルキル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをNaHCO、Pd(OAc)およびビス−(ジフェニルホスフィノ)ブタンの存在下で反応させて、C1−4アルキル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(4)C1−4アルキル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを強塩基次いで強酸と反応させて、2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンの酸塩を形成する段階と、
を含む方法が提供される。
【0042】
本発明の追加の実施態様は、中間体2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩,3を製造するための、
(1)3−アミノ−2−クロロピリジンとエチル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートとをトリフルオロ酢酸およびトリアセトキシホウ水素化ナトリウムの存在下で反応させて、エチル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(2)エチル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをクロロスルホニルイソシアナートと反応させて、エチル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(3)エチル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをNaHCO、Pd(OAc)およびビス−(ジフェニルホスフィノ)ブタンの存在下で反応させて、エチル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(4)エチル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートをHClと反応させて、2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩を形成する段階と、
を含む方法を提供する。
【0043】
本発明は、本願に記載した特定実施態様に限定されない。実際には、特定の溶媒および反応条件の使用、特定の試薬形態 (中間体2および3の中性形態、HCl塩形態以外の塩形態を含む)の使用、特定の分離または単離技術の使用または不使用を限定的に含む、上記に明記しない追加の特徴やその他の特徴を含む。例えば上記に挙げたトリフルオロ酢酸、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム、NaHCO、Pd(OAc)、ビス−(ジフェニルホスフィノ)ブタンを選択肢とする反応条件およびその他の要素は当業者によって容易に代替できよう。
【0044】
いくつかの略号、頭字語および他の簡略用語を本文中に使用した。これらの用語は当業者に公知であるが、これらの用語を以下の表にまとめる。
【0045】
【表1】

【実施例1】
【0046】
N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド
【0047】
【化12】

【0048】
オーバーヘッド撹拌器、熱電対および窒素導入口を備えた12L容の4つ口フラスコにカプロラクタムHCl塩2−MTBE溶媒和物を充填した(HCl塩に換算して412g;MTBE溶媒和物は典型的にはHCl塩の78−79wt%)。次に室温でTHF(4.1L;10mL/g)、次いでトリエチルアミン(194ml;1.2当量)を添加した。スラリーを室温で熟成した。オーバーヘッド撹拌器、熱電対および窒素導入口を備えた別の22L容の4つ口フラスコにCDI(233g;1.25当量)およびTHF(2,3L;CDIに対して10ml/g)を添加した。溶液を室温で熟成した。カプロラクタムスラリー溶液をCDI溶液に室温で1から1.5時間を要して添加し、次に室温で1時間熟成後、反応混合物をアッセイにかけてカプロラクタムアシルイミダゾール中間体への変換を検定した(>98.5LCAP変換)。次に、ピペリジン複素環3(418g;1.25当量)、EtN(419mL;2.6当量)を順次に添加した。スラリーを60℃に加熱し、この温度で一夜維持した。HPLCアッセイは、97.4LCAP変換を示した。次に水(190mL;THFに対して〜3vol%)を添加し、反応混合物を60℃でさらに2.5時間熟成後、LCアッセイは99.8LCAP変換を示した。次に反応混合物を15℃に冷却し、次いでMTBE(3.1L;7.5ml/g)で反応停止させ、10%(w/w)クエン酸水溶液(4×2L;5ml/g)で洗浄した。次に有機層をアッセイにかけてイミダゾールおよびピペリジンアシルイミダゾール不純物を検定した(<0.2LCAP)。次に有機層を5%(w/w)炭酸水素ナトリウム水溶液(2L;5ml/g)、水(2L;5ml/g)で順次洗浄し、次いでインラインフィルターで濾過すると、620gアッセイ量の所望生成物が得られた(95.3%アッセイ収率、98LCAP純度)。
【実施例2】
【0049】
N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミド
【0050】
【化13】

【0051】
カプロラクタム2(8.23kg≡5.60kgカプロラクタムHCl塩(68wt%アッセイ量基準))をTHF(66.4L)およびトリエチルアミン(1.90kg)と共に不活性容器Aに充填した。容器BにCDI(3.163kg)およびTHF(30L)を充填した。容器Aの中味を1.5時間を要して容器Bに移し、容器Bの混合物を1時間熟成した。この時点のHPLC分析は、カプロラクタムアシルイミダゾールの形成が完了したことを示した。容器Bにピペリジン複素環3(5.0kg)、次いでトリエチルアミン(4.12kg)を充填した。バッチを60℃に加熱し、一夜熟成した。このときのHPLC分析は結合が完了したことを示した(<0.2LCAPのカプロラクタム−CDIアダクト残留)。MTBE(49L)および10%クエン酸水溶液(29L)を添加し、相分離させた。有機相を10%クエン酸水溶液(29L)で再度洗浄し、次いで5%NaHCO溶液(2×28L)で洗浄した。この時点で最終水相のpHは9であった。有機相をDI水(27L)で洗浄し、MTBE溶液をアッセイにかけて化合物1を検定すると、中性化合物1のアッセイ収量・収率は8.49kg、96.0%に等しかった。HPLCアッセイはまた、1.0LCAPのN−アシルイミダゾールアダクトがいまだ残留することを示した。従って、MTBE溶液を10%クエン酸水溶液(2×29L)、5%のNaHCO水溶液(2×28L)および水(27L)で再度洗浄した。MTBE溶液のHPLCアッセイを再度行った。アッセイ収率 中性454=8.27kg、93.5%、98.9LCAP、<0.1LCAP N−アシルイミダゾールアダクト。
【実施例3】
【0052】
N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウム塩エタノラート
【0053】
【化14】

【0054】
化合物1(8.27kg)のMTBE溶液を0.1μmのカートリッジフィルターを通して不活性容器に充填し、部分真空を使用して30Lに濃縮し、T<40℃に維持した。エタノール(116L)を充填し、溶液を真空下、<40℃で再度30Lに濃縮した。エタノール(116L)を添加し、溶液の残留THF/MTBE含量を分析した(検出されず)。カリウムtert−ブトキシド(1.720kg)を固体として容器に充填し、混合物を45℃に加温して固体を完全に溶解した。次にバッチを<40℃で最終容量58Lに濃縮した(中性454基準で7ml/g)。得られたスラリーを室温で一夜放冷した後で濾過した。フィルターケーキを冷エタノール(25L)で洗浄し、真空下、40℃で固体を乾燥した。コミル(co−mill)を使用して固体を粉砕した。収量・収率=7.97kg、84%。
【実施例4】
【0055】
N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウム塩エタノラート
【0056】
【化15】

【0057】
250mL容の3つ口丸底フラスコに、窒素導入口と熱電対をつけたクレイゼンアダプターおよび機械的撹拌器を取り付けた。化合物1(12.49g)と真性エタノール(165mL)とを容器に充填した。懸濁液を60℃の油浴で加温し、懸濁液を撹拌した。内部温度が38℃に到達したときに固体が完全に溶解し均質溶液が得られた。油浴の温度が50℃に低下し、内部温度が44℃に上昇した。次にカリウムtert−ブトキシド(2.72gの95%純度材料)を充填した(46℃まで若干の発熱が観察された)。次に、得られた溶液に真性化合物1カリウム塩エタノラート(20mg)を播種した。油浴の温度を40℃に下げ、バッチを約1時間熟成した。油浴加熱を停止し、懸濁液を約1時間で25℃に冷却した。次にバッチを氷浴で<5℃に冷却し、約2時間熟成した。バッチを適度な多孔度の焼結漏斗で濾過し、真空および窒素テント下で、一定重量が得られるまでまたはNMR(DMSO−d6)による残留EtOH存在量が化合物1に対して約80mol%になるまでケーキを乾燥した。化合物1カリウム塩(11.15)が緊密に結合したエタノール溶媒和物として収率78%(99.4LCAP、99.6%ee)で得られた。
【実施例5】
【0058】
N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウム塩エタノラート
【0059】
【化16】

【0060】
カプロラクタムHCl塩2(30g≡20.4gカプロラクタムHCl塩(68wt%アッセイ量基準))をTHF(240ml)およびトリエチルアミン(6.91g)と共に不活性化フラスコAに充填した。フラスコBにCDI(11.53g)およびTHF(110ml)を充填した。容器Aの中味を50分間で容器Bに移し、容器Bの混合物を1時間熟成した。この時点のHPLC分析はカプロラクタムアシルイミダゾールの形成が完了したことを示した。容器Bにピペリジン複素環3(18.2g)、次いでトリエチルアミン(15.0g)を充填した。バッチを60℃に加熱して一夜熟成した。このときのHPLC分析は結合が完了したことを示した(<0.2LCAPのカプロラクタム−CDIアダクト残留)。MTBE(180ml)および10%クエン酸水溶液(105ml)を添加し、相分離させた。有機相を10%クエン酸水溶液(105mL)、次いで5%NaHCO溶液(2×100mL)で再度洗浄した。この時点で最終水相のpHは9であった。有機相をDI水(100mL)で洗浄した(良好な相分離を得るために5mlの飽和ブライン水溶液を加えた)。MTBE溶液のHPLCアッセイは、中性化合物1のアッセイ収量・収率が31.95g、99.1%、98.8LCAPであることを示した。部分真空を使用しT<40℃に維持して中性化合物1のMTBE溶液(31.95g)を低容量に濃縮した。エタノール(240ml)を充填し、溶液を再度、部分真空下、<40℃で低容量に濃縮した。エタノール(116L)を添加して溶液量を420mlとし、溶液をアッセイにかけて中性化合物1を検定した。結果:30.3g、53.5mmol。カリウムtert−ブトキシド(6.3g)を添加し、混合物を45℃に加温して固体を完全に溶解した。次に溶液を<40℃で最終容量210ml(中性454基準で7ml/g)に濃縮した。得られたスラリーを室温で2時間冷却し、濾過によって固体を収集した。フィルターケーキを冷エタノール(100ml)で洗浄し、真空下、40℃で固体を乾燥した。収量・収率=30.2g、87%。
【実施例6】
【0061】
N−[(3R,6S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−3−イル]−4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキサミドカリウム塩エタノラート
【0062】
【化17】

【0063】
カプロラクタムHCl塩2(8.23kg≡5.60kgカプロラクタムHCl塩(68wt%アッセイ量基準))をTHF(66.4L)およびトリエチルアミン(1.90kg)と共に不活性容器Aに充填した。容器BにCDI(3.163kg)およびTHF(30L)を充填した。容器Aの中味を1.5時間で容器Bに移し、容器Bの混合物を1時間熟成した。この時点のHPLC分析はカプロラクタムアシルイミダゾールの形成が完了したことを示した。容器Bにピペリジン複素環3(5.0kg)、次いでトリエチルアミン(4.12kg)を充填した。バッチを60℃に加熱して一夜熟成した。このときのHPLC分析は結合が完了したことを示した(<0.2LCAPのカプロラクタム−CDIアダクト残留)。MTBE(49L)および10%クエン酸水溶液(29L)を添加し、相分離させた。有機相を10%クエン酸水溶液(29L)、次いで5%NaHCO溶液(2×28L)で再度洗浄した。この時点で最終水相のpHは9であった。有機相をDI水(27L)で洗浄した。HPLCプロフィルは、1.0LCAPのカプロラクタムN−アシルイミダゾール不純物がまだ残留することを示した。MTBE溶液を10%クエン酸水溶液(2×29L)、5%NaHCO水溶液(2×28L)および水(27L)で再度洗浄した。MTBE溶液のHPLCアッセイは、中性化合物1のアッセイ収量・収率が8.27kg、93.5%、98.9LCAP、<0.1LCAPカプロラクタム−N−アシルイミダゾールアダクトであることを示した。中性化合物1のMTBE溶液(8.27kg)を0.1μmのカートリッジフィルターを通して容器に充填し、部分真空を使用しT<40℃に維持して30Lに濃縮した。エタノール(116L)を充填し、部分真空下、<40℃で溶液を30Lに再度濃縮した。エタノール(116L)を添加し溶液の残留THF/MTBEを分析した(検出されず)。カリウムtert−ブトキシド(1.720kg)を固体として容器に充填し、混合物を45℃に加温して固体を完全に溶解した。次にバッチを<40℃で最終容量58L(中性454基準で7ml/g)に濃縮した。得られたスラリーを室温で一夜放冷した後で濾過した。フィルターケーキを冷エタノール(25L)で洗浄し、真空下、40℃で固体を乾燥した。収量・収率=7.97kg、84%。
【実施例7】
【0064】
(3R,6S)−3−アミノ−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)アゼパン−2−オン
段階1:2−クロロ−1−(2,3−ジフルオロフェニル)エタノン
【0065】
【化18】

【0066】
5L容の4つ口丸底フラスコに1,2−ジフルオロベンゼン(130.0g)および無水THF(1.3L)を充填した。この溶液を窒素下で撹拌しながら<−60℃に冷却した。これにn−ヘキシルリチウム(455mL、2.5M/ヘキサン)を滴下すると(〜15分間で添加)T<−60℃になる。溶液は速やかに撹拌可能なスラリーとなり、これを1時間低温熟成した。これに、塩化亜鉛(2,3L、0.5M/THF)を添加すると、T<−60℃になり、スラリーは速やかに均質溶液になった。これを0℃に加温し、次いで塩化銅(I)(11.3g)およびクロロアセチルクロリド(142g)を添加するとT<5℃になる。20分後に反応混合物をアッセイにかけ、HPLCによって反応完了を判定した。1NのHCl(2L)で反応停止させ、次いで2相系を分液漏斗に移し、IPAc(2L)で希釈した。水相を分離し、有機相を1NのHCl(2L)、次いで1NのNHOH(2×2L)、最後に水(2L)で洗浄した。有機相を濃縮すると油が得られた。アッセイ収率=78%。次にこの油をヘプタン(800mL−溶液に全量は混和しない)で希釈し、−30℃に冷却しながら撹拌する。冷却中に油が結晶質固体になる。スラリーを−30℃で1時間熟成し、濾過し、冷ヘプタンで洗浄する。所望生成物が収率71%で単離された(154g)。
【0067】
段階2:2−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−ビニルオキシラン
【0068】
【化19】

【0069】
無水トルエン(400mL)中のクロロアセトフェノン(40g)の溶液を窒素下で撹拌しながらT<−60℃に冷却した。これにビニルマグネシウムブロミド(420mL、THF中に0.8M)を滴下するとT<−25℃になる。添加の完了後、反応混合物を0℃に加温し、アッセイにかけて反応完了を判定する。1NのHCl(250mL)で反応停止させ、分液漏斗に移し、水層を分離する。有機相を1NのHCl(250mL)、次いで飽和炭酸水素ナトリウム(250mL)および水(250mL)で再度洗浄する。有機相を濃縮して油にし、そのまま次段階に移行する。
【0070】
【化20】

【0071】
トルエン(400mL)中の第三級アルコール(210mmol)の溶液に1NのNaOH(400mL)を添加し、2相系を室温で4時間撹拌する。有機層をアッセイにかけHPLCによって反応完了を判定する。反応の終了後、水層を分離し、有機相を水(400mL)で洗浄する。有機相を真空中で濃縮/共沸乾燥し、次段階で使用する。双方の段階の典型的アッセイ収率は89%である。
【0072】
段階3:N−[(3Z)−4−(2,3−ジフルオロフェニル)−5−ヒドロキシ−1,1−ジプロピオニルペント−3−エン−1−イル]アセトアミド
【0073】
【化21】

【0074】
真空/N2導入口、温度プローブ、添加漏斗および隔壁を備えた1L容の3つ口丸底フラスコに、Pd(OAc)(392mg,1.75mmol,2mol%)、DPPE(835mg,2.09mmol、2.4mol%)、N−アセトジエチルマロネート(43.8g,201mol,1.15当量)、NaOEt(1.20g,17.5mmol,10mol%)を添加し、Nで掃気した。添加漏斗に、100mLのトルエン(KF<300ppm)中の基質ビニルエポキシド(33.6g,174.8mmol)を充填した。反応フラスコに500mLのトルエン(<300ppm)を添加し、得られた混合物をNで掃気し、室温(20から25℃)で10分間撹拌した。ビニルエポキシド溶液を5分間で添加し、得られた混合物を室温(20から25℃)で一夜撹拌した(6から10時間)。トルエン(140mL)および1NのHCl(140mL)をフラスコに添加し、2相混合物を分液漏斗に移した。有機層を分離し、140mLの1NのNaOH、140mLのブラインおよび140mLの水で洗浄した。最終有機層をDarco−G60(2から5グラム)で処理し、10分間撹拌し、濾過した。得られた溶液を濃縮し(T=20から25℃)、約300mLの容量にした。溶液を40から45℃に加熱し、600mLのN−ヘプタンを20分間で添加した。スラリーを40から45℃で30分間撹拌し、室温で一夜放冷する。溶液を濾過し、固体を2×120mLの8:1のn−ヘプタン:トルエンで洗浄した。固体を真空およびN掃引で乾燥した(収率70%)。
【0075】
段階4:N−{(3Z)−4−(2,3−ジフルオロフェニル)−1,1−ジプロピオニル−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]ペント−3−エン−1−イル}アセトアミド
【0076】
【化22】

【0077】
400mLのトルエン中の段階3の化合物(50.0g,125.2mmol)をEtN(16.5g,162.7mmol)で処理し、次いで25mLのトルエンで洗浄し、次いで120mLのトルエン中のMsCl(16.5g,162.7mmol)で処理し、次いで温度が3℃を超えないように25mlのトルエンで洗浄した。30分間の熟成後、スラリーを250mLのHOで処理し、次いで室温に加温した。水層を排出し(黒い屑状の層が観察される)、有機相を1×200mLの1NのNaOHおよび1×150mLの15%のNaCl溶液で洗浄した。溶液を〜150mLに濃縮し、300mLのトルエンで洗浄した。375mLのDMAC(KF〜400)を添加すると、次段階でそのまま使用できる溶液が得られた。
【0078】
オレンジ色の溶液にCFCHNHを添加し(37.2g,376mmol,ここで温度が数度上昇)、次いでLiBr(2.17g,26mmol)を添加し、溶液を28から30℃で13時間熟成した。反応混合物を250mLのIPACおよび150mLのHOで希釈した。水層を除去した。有機層を150mLの1NのNaOHおよび150mLの15%NaCl水溶液で洗浄した。IPAC層をアッセイにかけると収率92%を示す。溶液を容量150mLに濃縮し、375mLのDMACを添加した。
【0079】
段階5:N−[6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−3−イル]アセトアミド
【0080】
【化23】

【0081】
6(55g,114.49mmolアッセイ量,475mL容量)のDMAC溶液に、LiCl(14.5g,343.5mmol)、次いでHO(6.1g,343.5mmol)を添加した。溶液を113から115℃で12から14時間熟成した(112℃で1時間経過後に白色沈殿物が形成される)。室温に冷却後、5gのDarcoを添加し、溶液をSolka−Flocで濾過した。フィルターケーキを285mLのIPACで洗浄した。有機層を半分に分け、5から10℃に冷却した。半量のおのおのを118.5mLのHOによって〜15から20℃の温度を維持しながら処理した。水相を165mLのIPACで逆抽出し、有機層を220mLの1NのNaOH、2×220mLの15%NaClブライン溶液および220mLの水で洗浄した。溶媒をトルエン(450mL容量,45gアッセイ量)に切り換えた。
【0082】
トルエン溶液(45g,110mmolのデカルボキシレート生成物)をトリフルオロ酢酸(143mmol,1.3当量)で処理し、トルエン溶液から黄色油を分離した。窒素下、反応混合物を85から90℃で一夜12から15時間熟成した。溶液を室温に冷却し、次いで出発材料を基準として3L/kgに濃縮し、IPAC(338mL)で希釈した。有機層を1NのNaOH(225mL)で洗浄した。この結果、エマルションが得られたので、バッチに10wt%のセライトを充填し、濾過し、ケーキを180mLのIPACで洗浄した。この時点で水相を分離した。有機層を1NのHCl(225mL)、225mLの1%NaCl水溶液で洗浄し、5gのDarcoを添加した。溶液をSolka−Flocで濾過し、溶液を4L/kg(生成物のアッセイ量基準で)に濃縮し、KF<100になるまでIPACで洗浄した。全部で4倍容のヘプタンを添加し、スラリーを0℃に冷却した。濾過し、0℃の7:1のヘプタン:IPAC(150mL)で洗浄すると生成物が黄白色固体として得られた。
【0083】
段階6:(3S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−3−アンモニウム3−カルボキシ−2,3−ビス[(4−メチルベンゾイル)オキシ]プロパノエート(ジトルオイル酒石酸塩)
【0084】
【化24】

【0085】
段階5の化合物(36g,99.4mmol)の288mLのジオキサン溶液を6当量の3NのHClに添加した。溶液を85℃で12時間加熱した。冷却後、溶液に230mLのMTBEを添加し、10NのNaOH次いで1NのNaOHでpHを8から10に調整した。相分離後、水相を230mLのMTBEで抽出し、集めた有機層を390mLの15%NaClで洗浄し、生成物をアッセイにかけた(25.4g,79.3mmol,80%アッセイ収率)。溶液を〜10L/kgのアミンに濃縮し、次に溶媒をIPA(全量〜762mL)に交換した。溶液のKFを4000ppmに調整し、次いで2−ヒドロキシ−5−ニトロベンズアルデヒド(7.9mmol)、次いで、(−)−O,O’−ジトルオイル−L−酒石酸(158.6mmol)を添加し、得られたスラリーを65℃で130時間熟成した。次にスラリーを濾過し、固体をIPAで洗浄した。
【0086】
段階7:(3S)−6−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−3−アンモニウムクロリド
【0087】
【化25】

【0088】
段階6の化合物(10g,14.15mmol)ジトルオイル酒石酸塩をi−PrOH(93mL)中でスラリー化した。この混合物に1NのHCl(15.57mL,1.10当量)を添加すると混合物が均質になった。窒素掃気後、5%Pd/BaSO(1.20g,4mol%)を添加し、80psiの水素下で、20時間またはHPLCが完全消耗を示すまで水素化した。溶液をMeOH(50mL)と共にSolka Flocで濾過して触媒を除去した。濾液を2mL/gに濃縮し、次にMTBE(100mL)、次いで1NのNaOH(80mL)で希釈した。相分離後、水相を70mLのMTBEで逆抽出した。有機溶液(70mL)をブラインで洗浄し(HPLCアッセイでシス形の収率を検定)、<5%MTBEおよびKF〜1500ppmになるまで溶媒を全量45mLのMeOHに交換し、次いでEtN(3.95mL,シス形に対して2当量)および2−ヒドロキシ5−ニトロベンズアルデヒド(237mg,シス形に対して10mol%)で処理した。溶液を室温で20時間撹拌すると、標題化合物が〜20:1のトランス形:シス形比で得られた。溶液をMTBE(100mL)で希釈し、次いで1NのNaOH(80mL)を添加した。相分離後、水相を70mLのMTBEで逆抽出した。次に、集めた有機相を70mLのブラインで25容量%まで濃縮し、濾過した。有機溶液をさらに濃縮し、次いで容量30mLになるまでMTBEを添加した。次にこの溶液に15mLのMeOH(KF〜1500ppm)を添加した。溶液を50℃に加熱後、標題化合物の1%シードを添加し、次いでIPA中の5NのHCl(5.6mL,シス形アッセイ量に対して2.2当量)を2時間で添加した。次にこれを50℃で1時間熟成し、次いで室温で3時間冷却した。室温で一夜熟成後、スラリーを濾過し、3:1のMTBE:MeOH(2×15mL)で洗浄した。次にケーキを真空下、室温で20時間乾燥すると、標題化合物がHCl塩・MTBE溶媒和物として収率85%(5.37g,99%ee)で得られた。
【実施例8】
【0089】
2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
段階1:エチル4−[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート
【0090】
【化26】

【0091】
機械的撹拌器および温度プローブを備えた1L容の3つ口丸底フラスコに、3−アミノ−2−クロロピリジン(37.9g,0.294mol,100mol%)およびエチル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレート(55.5g,0.324mol,110mol%)、次いでIPAC(500mL)を充填した。5分間の撹拌後に混合物が均質になった(16℃)。トリフルオロ酢酸(44mL,0.590mol,200mol%)を30秒で混合物に充填すると温度が25℃に上昇した(冷却不使用)。トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(75.0g,0.354mol,120mol%)を固体として5分間で添加するとさらに56℃まで温度上昇が観察された。10分間の撹拌後、混合物が透明で均質になった。LC分析は、3−アミノ−2−クロロピリジンの消耗(<0.5A%)およびアルキル化生成物の形成を示した。10wt%のNaOH水溶液を混合物に50℃で10分を要して添加した。混合物のpHが8から9になると相分離させた。有機相をブライン(200mL)で洗浄した。分離した水相は580mLであった。100μLのサンプルを100mLのMeOHに希釈すると、LC分析は0.23g,0.3%の生成物が存在することを示した。ブラインを上記同様にアッセイにかけると、無視できる量の生成物を含有していた。一定容量条件下に大気圧で、KF滴定による含水量が<500ppmになるまでIPAと共に共沸乾燥した。溶液を容量170mLまで濃縮し、次いでTHF(35ppm HO,230mL)を添加した。この溶液を次段階に直接使用した。LC分析は84g、101%AYの所望の還元アルキル化生成物を示し、KF滴定は含水量<500ppmを示した。
【0092】
段階1(代替方法):エチル4−[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート
機械的撹拌器と温度プローブとを備えた2L容の3つ口Morton型フラスコに、3−アミノ−2−クロロピリジンおよびエチル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートを充填し、次いでIPACを充填した。5分間の撹拌後に混合物が均質になった(16℃)。トリフルオロ酢酸を30秒で混合物に充填すると温度が26℃に上昇した(冷却不使用)。15分間の熟成後、キャプレット形のNaBH(0.95g,0.025mol)を添加した。30分間で温度が28℃に上昇し、この時間内にキャプレットが完全に溶解した。各キャプレットが完全に溶解してから次のキャプレットを加えるようにしてこのNaBH添加を繰り返し、合計8個のキャプレットを7時間で添加した。この時点のLC分析は、3−アミノ−2−クロロピリジンの>95%変換を示した。混合物に30から40℃の10wt%のNaOH水溶液を10分間で添加した(冷却せず)。混合物のpHが12から14になると、相分離させた。分離した水相は450mLであり、LCアッセイはこれが0.5g、<1.0%の生成物を含有することを示した。有機相をブラインで洗浄し、次いで分離した有機相をアッセイにかけた。分離したブライン洗浄液は275mLであり、LCアッセイはこれが無視できる量の生成物を含有することを示した。有機相は690mLであり、LCアッセイはこれが87.5g、97%AYの還元アルキル化生成物と2.1g、5%の出発アミンとを含有することを示した。黄色有機相を初期容量の約三分の一に濃縮した(浴温度45℃)。新しいIPACを添加し、含水量がKF滴定で110μg/mLになるまでこのプロセスを繰返した。溶液を容量170mLに濃縮し、次いでTHF(230mL)を添加した。この溶液を次段階に直接使用した。
【0093】
段階2:エチル4−[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート
【0094】
【化27】

【0095】
機械的撹拌器と温度プローブとを備えた1L容の3つ口丸底フラスコに、THF(250mL,KF 35ppm HO)を充填し、次いでクロロスルホニルイソシアナート(CSI)(30.7mL,0.353mol,120mol%)を室温で添加した(無視できる発熱)。氷/MeOHを使用して混合物を−10℃に冷却した。段階1で上記のように調製したアミン(83.42g,0.294mol,100mol%)のTHF:IPAC(〜1:1)中の溶液(400mL,この溶液のKFは500ppmであった)を滴下漏斗から20分を要して添加した。この添加中に発熱が観察された(最高温度2℃)。アミン溶液添加の終了後、LC分析はアミンの消耗(<1.0A%)を示した。0.1%HPO/MeCN(70:30)に希釈することによってサンプルを調製し、速やかにLC計器に注入すると1つの主要成分が示された。10分後、水(30mL)を10分間で滴下した。水の添加中に第二の発熱が観察された(最高温度17℃)。混合物を室温まで昇温させ、14時間熟成した。EORでpHは約1であった。LC分析によってモニターすると水の添加後30分以内に加水分解が完了した(<0.5A%中間体)。混合物を10%のNaOH水溶液でpH8から9になるまで処理し、分離した有機相をブライン(300mL)で洗浄した。生成物の溶解度を維持するための後処理(work−up)を50℃で行った。分離した水相の容量は500mLであった。100μLのサンプルを100mLの上記サンプル希釈剤に希釈すると、LC分析は1.38g、1.4%の生成物が存在することを示した。ブラインを上記のようにアッセイにかけると、無視できる生成物を含有していた。一定容量条件下に大気圧で、KF滴定による含水量が<250ppmになるまでIPACと共に共沸乾燥した。尿素が結晶化し、スラリーが〜5容量に濃縮し、次いで室温に到達した後で尿素生成物を濾過によって収集した。ケーキを2ベッドボリュームのIPACですすいだ。真空下、50から60℃で12時間乾燥後、尿素生成物が白色固体として得られた(81.41g,85%単離収率,96wt%)。
【0096】
段階3:エチル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−l−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0097】
【化28】

【0098】
機械的撹拌器と還流コンデンサーと温度プローブとを備えた500mL容の3つ口Morton型フラスコに、NaHCO(25.21g,0.300mol,300mol%)、前段階2の尿素(32.69g,0.100mol,100mol%)およびi−PrOH(KF 1415ppm,320mL)を充填した。均質混合物を撹拌し、M焼結ガス分散管を使用してNで掃気した。1時間後、Pd(OAc)(0.224g,0.001mol,1mol%)およびビス−(ジフェニルホスフィノ)ブタン(dppb)(0.854g,0.002mol,2mol%)を固体として添加し、N掃気をさらに30分間継続した。次に淡紅色混合物を83℃(還流)で24時間加熱した。この時間の経過後、黄色混合物のLC分析は>99.5:0.5A%の生成物対出発材料比を示した。i−PrOHの大気圧蒸留を開始し、200mLのi−PrOH蒸留液が収集されるまで継続した。IPAC(200mL)および水(100mL)を添加し、温度を60℃に維持した。30分間撹拌後、相分離させた。有機相は澄んだ黄色であり、水相は無色であった。分離した水相の容量は75mLであった。100μLのサンプルを100mLのMeOHに希釈すると、LC分析は0.03g,0.1%の生成物が存在することを示した。有機相をブライン(3×75mL)で洗浄した。一定容量条件下に大気圧で、KF滴定で測定した含水量が<150ppmになるまでIPACと共に共沸乾燥した。生成物を結晶化させると90℃でスラリーを生成した。スラリーを〜5容量まで濃縮し、室温に放冷した後、濾過し、ケーキを2ベッドボリュームのIPACで洗浄した、固体を真空オーブンに入れ、窒素掃引下、50から60℃で16時間乾燥した。環状尿素が白色固体として得られた(27.4g,94%単離,96wt%)。
【0099】
段階4:1−ピペリジン−4−イル−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オン二塩酸塩
【0100】
【化29】

【0101】
機械的撹拌器と還流コンデンサーと温度プローブとを備えた100mL容の3つ口丸底フラスコに、前段階3で製造した環状尿素(4.80g,16.48mmol,100mol%)、次いでEtOH(10mL)を充填した。得られたスラリーにNaOH水溶液(12mLの水で希釈した50wt%溶液を13mL,246.0mmol,1500mol%)を添加し、混合物を82℃(還流)で14時間加熱した。LC分析は環状尿素の消耗(<0.5A%)およびアミン生成物3の形成を示した。サンプルは0.1%のHPO/MeCN(70:30)に希釈することによって調製した。水(25mL)およびi−BuOH(25mL)を添加し、混合物を10分間撹拌し、次いで相分離させた。分離した水相の容量は41mLであった。100μLのサンプルを100mLの上記希釈剤に希釈すると、LC分析は0.26g,5%の生成物が存在することを示した。分離した水相の容量は54mLであった。100μLのサンプルを100mLの上記希釈剤に希釈すると、LC分析は4.13g,86%の生成物が存在することを示した。一定容量条件下に大気圧で、KF滴定で測定した含水量が<150ppmになるまでIPACと共に共沸乾燥した。容量を100mLに調整し、温度を50℃に到達させた。i−PrOH中のHCl(5から6N,20mL,0.100mol,600mol%)を添加すると直ちに白色沈殿物が生じた。室温に冷却後、スラリーを濾過し、ケーキを2ベッドボリュームのi−PrOHで洗浄した。白色固体を真空オーブンに入れ、窒素掃引下、50から60℃で24時間乾燥した。標題のピリジン複素環ビス−HCl塩が白色固体として得られた(5.54g @ 78wt%、これは単離収率89%に相当し、残りのwt%はNaClから成る)。
【実施例9】
【0102】
2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
段階1:エチル4−[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート
【0103】
【化30】

【0104】
IPAc(369kg)を300ガロン容器に充填し、KF180ug/mLを測定した。次に、容器に、39.1kgの3−アミノ−2−クロロピリジン(ACP)、次いで5kgのIPAcスプレーボールフラッシュおよび20kgのIPAcスプレーボールフラッシュを充填した。容器に57.2kgの1−カルボエトキシ−4−ピペリドン、次いで10kgのIPAcラインフラッシュを注入した。ACPの溶解を確保するために混合物を15分間熟成した。次に68.6kgのトリフルオロ酢酸、次いで10kgのIPAcラインフラッシュを容器に充填した。次に22から27℃の温度を維持しながら79.7kgのSTABを〜2.5時間を要して容器に充填した。(溶媒中の残留水とSTABとの反応から水素が発生するので、STABの添加開始から余剰のSTABをNaOHで反応停止させるまで容器を外気に通気した)。STABの全量を容器に充填した後、容器に5kgのIPAc PSLスプレーボールフラッシュ、次いで20kgのIPAc容器スプレーボールフラッシュを充填した。混合物を20から25℃で30分間熟成した。
【0105】
反応の完了を確認後、pHカート(cart)の周囲で再循環させながら17wt%のNaOHを添加してバッチを中性pHに調整した。系の初期pHは2.1であった。354.9kgの17wt% NaOHを添加した後のバッチのpHは9.7であった。pH調整中のバッチ温度は20から25℃に維持した。16.7kgの17wt% NaOHの添加によって混合物のpHを11に調整した。次に温度を55から60℃に上昇させ、25分間撹拌し、1時間静置した。水性廃液層(464.7kg)を500ガロン容器に分離した。
【0106】
次に、混合物に224kgの15wt% NaCl、次いで10kgのDI水ラインフラッシュを添加した。混合物を55から60℃に維持して15分間熟成し、45分間静置した。水性廃液層(248.3kg)を500ガロン容器に分離した。IPAc中のアミン生成物は分離後に安定であり、一夜熟成後にドラム処理した。ドラム処理後の“湿潤IPAc中のアミン生成物”溶液の計量値は530.1kgであった。分離後のバッチの濃度は16wt%であり、これに相関して84.8アッセイkgおよび〜100%収率である(目標収率95から100%、モルバランス参照)。
【0107】
200ガロン容器に343kgの“湿潤IPAc中のアミン生成物”、次いで50kgのIPAcラインフラッシュを充填した。次にST−30F中のバッチを〜210L(アミン生成物に対して〜2.5容量)に濃縮し、定容蒸留を維持するために“湿潤IPAc中のアミン生成物”の残量(187kg)を容器に供給した。“IPAc中のアミン生成物”の全量を容器に供給した後、無水IPAcの定レベルフィードアンドブリード蒸留によってバッチを共沸乾燥した。蒸留中の条件は160−200mmHg真空および47から54℃であった。フィードアンドブリード中に約410L(〜2バッチボリューム)のIPAcを容器に供給した。蒸留による真空の破壊後、温度を40から50℃に維持しながら183kgの無水モノグリム(アミン生成物に対して2.5容量)を容器に充填し、容量〜420L(アミン生成物に対して〜5容量)とした。ほぼ50:50v:vのIPAc:DME中のバッチを20から25℃に冷却した。バッチは室温でスラリーであり、これを段階2で使用するまで144時間熟成および撹拌した。
【0108】
段階2:エチル4−[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート
【0109】
【化31】

【0110】
300ガロン容器をパージした後、220kgのモノグリム(DME)を容器に充填した。KF測定用の溶媒サンプルを採取した。モノグリムが無水であることを確認した後、容器の中味を−12から−14℃に冷却した。容器の冷却後、容器に55.5kgのクロロスルホニルイソシアナート(CSI)、次いで10kgのモノグリムラインフラッシュを注入した。次にCSI/モノグリム混合物を−16℃に冷却し、“アミン生成物”スラリーを95分間で容器に充填した。反応中の容器内のバッチ温度は−5℃以下に維持された。30kgのモノグリムを容器スプレーボール経由でフォローフラッシュとして充填した。次に混合物を−8から−10℃で15分間熟成した。
【0111】
CSI反応の完了を確認後、31kgのDI水を20分を要して容器に充填した。温度が−12℃から14℃に上昇し、混合物がスラリーになった。次に混合物を20から25℃に加温し、30分間熟成後、加水分解反応の終了を確認するためのサンプルを採取した。
【0112】
反応の終了を確認後、pHカートの周囲で再循環させながら17wt% NaOHを添加して混合物を中性pHに調整した。系の初期pHは0.4であった。274.1kgの17wt% NaOH添加後のpHは9.5であった。pH調整中の温度はNaOHの添加に伴って22℃から58℃に上昇した。抽出中のバッチ温度は55から60℃に維持した。pHが9.5に達すると、混合物を15分間撹拌し、45分間静置した。水性廃液層(281.1kg)を除去した。容器に215kgの15wt% NaCl、次いで10 kgのDI水ラインフラッシュを添加した。15分間の熟成および45分間の静置中のバッチ温度は55−60℃に維持した。水性廃液層(267.8kg)を除去し、容器を15から25℃に冷却した。
【0113】
混合物を蒸留によって〜422L(出発材料に対して〜5倍容量)に濃縮した。濃縮中の蒸留条件は、200mmHgの真空および45から46℃であった。容量が〜422Lに達すると、1299kgのIPAc(3.5ベッドボリューム)を使用する定レベルフィードアンドブリード蒸留によって混合物の溶媒をIPAcに交換した。フィードアンドブリード蒸留中の条件は167から200mmHgの真空および46から51℃であった。このプロセス中に結晶化が観察された。3.5ベットボリュームのIPAcが完全に蒸留するまでこの定レベルフィードアンドブリード蒸留を継続した。次に混合物を20から25℃に冷却した。上清の尿素生成物濃度は5g/Lであり(目標−5g/L)、バッチのKFは<100ug/mLであった。
【0114】
フィルター容積に制約があるのでバッチを2つのドロップに分けて濾過した。濾過中のスラリーおよびフィルターの双方を20から25℃に維持した。第一ドロップは〜10分で濾過した。濾過流の流束は〜2600L/(m2*時)としケーキ高さは22cmであった。ケーキを100kgのIPAc置換洗浄液、次いで100kgのIPAcスラリー洗浄液、最後に100kgのIPAc置換洗浄液によって洗浄した。次に窒素を40分間ケーキに噴射した後、ケーキ純度測定用のサンプルを採取した。窒素をさらに90分間ケーキに噴射した後、ケーキをステンレススチール製のハインケル缶に取り出した。第一ドロップから36.6kgの尿素生成物湿性ケーキを収集した。第二ドロップは〜15分で濾過した。濾液流の流束は〜1900L/(m2*時)とし、ケーキ高さは30cmであった。ケーキを80kgのIPAc置換洗浄液、次いで80kgのIPAcスラリー洗浄液、最後に80kgのIPAc置換洗浄液によって洗浄した。次に窒素を20分間ケーキに噴射した後、ケーキ純度測定用のサンプルを採取した。窒素をさらに35分間ケーキに噴射した後、ケーキをステンレススチール製のハインケル缶に取り出した。第二ドロップから59.3kgの尿素生成物湿性ケーキを収集した。
【0115】
尿素生成物湿性ケーキをトレー乾燥機に移し、全真空、ジャケット温度35℃で58時間乾燥した後、溶媒含量測定用のサンプルを採取した。サンプル乾燥減量は<0.2wt%残留溶媒を示した。Tgアッセイはケーキの溶媒含量<0.2wt%(目標<0.5wt%溶媒)を確認した。合計84.0物質kgの尿素生成物をパッケージした(97.5wt%;81.9アッセイkg)。84.5アッセイkgのアミンから81.9アッセイkgの尿素生成物への変換に基づく収率は84.1%であった。
【0116】
段階3:エチル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0117】
【化32】

【0118】
300ガロン容器をパージした後、585kgのイソプロピルアルコールを容器に充填した。次にKF測定用の溶媒サンプルを採取した。イソプロピルアルコールのKFは237ppmであった。KFの測定後、容器に0.67kgの水、次いで62.8kgの炭酸水素ナトリウムおよび83.4kgの尿素生成物を充填した。次にイソプロピルアルコール(5kg)を容器スプレーボールキャップに充填し、次いで15kgのイソプロピルアルコールを容器スプレーボールに充填した。次に、20から25psigの窒素で容器を圧力パージした。毎回のパージ間に<1psigの通気を挿入して7回の窒素パージを繰返した。圧力パージ後、2.2kgの1,4−ビス(ジフェニルホスフィノブタン)および0.56kgの酢酸パラジウム(II)を容器に充填した。次に、ガス抜きした5kgのイソプロピルアルコールを容器スプレーボールキャップに充填し、ガス抜きした15kgのイソプロピルアルコールを容器スプレーボールに充填した。フォローフラッシュに使用したイソプロピルアルコールは、容器に充填する前に、撹拌ブロー缶中の窒素パージによってガス抜きした。イソプロピルアルコールフォローフラッシュ添加後、20から25psigの窒素で容器を圧力パージした。毎回のパージ間に<1psigの通気を挿入して7回の窒素パージを繰返した。次に、不均質反応混合物を83℃に加熱し、24時間熟成した。反応混合物の熟成後、バッチを50℃に冷却した。
【0119】
混合物を蒸留によって〜300L(尿素生成物に対して〜3.7倍容量)に濃縮した。蒸留中の温度は80から83℃の範囲であり、圧力は760mmHgであった。
【0120】
バッチ容量が〜300Lに達すると、バッチ温度を60から65℃に維持しながら439kgのイソプロピルアセテートおよび249kgの水をST−20Aに充填した。混合物を15分間撹拌し、30分間静置し、水層(225kg)を除去した。混合物を蒸留によって〜410L(尿素生成物に対して〜5倍容量)に濃縮した。蒸留中の温度および圧力はそれぞれ75から89℃および760mmHgであった。容量が〜410Lに達すると混合物をイソプロピルアセテート(1091.4kg,〜3ベッドボリューム)と共に定容蒸留によって共沸乾燥した。蒸留中にエチルカーバメート生成物が結晶化した。定容蒸留中に〜3ベッドボリュームのイソプロピルアセテートをフィード/ブリードした後、混合物を50℃に冷却し、測定したサンプルのKFは200ppmであった(目標<600ppm)。次にバッチを20℃に冷却し、3時間熟成した。エチルカーバメート生成物の濃度は11g/Lであった(目標<6g/L)。バッチを〜14時間熟成した。エチルカーバメート生成物の濃度は9g/Lであった。
【0121】
バッチを1ドロップで濾過および洗浄し、ケーキ高さは〜30cmであった。濾過中のスラリーおよびフィルターの双方を20から25℃に維持した。ケーキをイソプロピルアセテートで2回置換洗浄した。215kg(洗浄液1)および98.8kg(洗浄液2)を順次に洗浄に使用した。次に湿性ケーキに窒素を〜1時間噴射すると、湿性ケーキのLCアッセイはLCAP>98%を示した(目標LCAP>98%)。エチルカーバメート生成物の湿性ケーキを完全真空下35℃で85時間乾燥した。乾燥ケーキのTG分析は、138℃まで0.1wt%減量を示した。合計66.7物質kgのエチルカーバメート生成物をパッケージした(95.3wt%;63.6アッセイkg)。81.3アッセイkgの尿素から63.6アッセイkgのエチルカーバメート生成物への変換に基づく収率は88%であった。
【0122】
段階4:1−ピペリジン−4−イル−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オン二塩酸塩
【0123】
【化33】

【0124】
200ガロン容器をパージした後、66.7kgのエチルカーバメートをマンウェー(manway)から充填した。次に容器をパージし、136.7kgの12.1NのHClを容器スプレーボールから充填した。次に反応混合物を82℃に加熱し、24時間熟成した。反応混合物の熟成後、バッチを50℃に冷却した。LCアッセイで0.1LCAPのエチルカーバメートが測定された。
【0125】
バッチ温度を50から55℃に維持しながらイソプロピルアルコールを2つの部分量に分けて容器に充填した。第一部分量の65.4kgのイソプロピルアルコールは3時間で充填した。第二部分量の615kgのイソプロピルアルコールも3時間で充填した。イソプロピルアルコールの充填完了後、バッチを20℃に冷却し、10時間熟成した。LCアッセイは、上清のピリジン複素環ビス−HCl生成物濃度が0.78g/Lであることを示した。
【0126】
上清濃度の確認後、バッチを1ドロップで平均流束〜2300LMHで濾過および洗浄した。ケーキ高さは〜30cmであった。濾過中のスラリーおよびフィルターの双方を20から25℃に維持した。置換/スラリー/置換洗浄液を順次使用してケーキを洗浄した。各洗浄に105kgのイソプロピルアルコールを使用した。次に湿性ケーキに窒素を〜1時間噴射した。LCアッセイは湿性ケーキのLCAP>99%を示した。単離した湿性ケーキ中のPdレベルは7ppmであった。ケーキにさらに0.5時間窒素を噴射した後、乾燥した。ピリジン複素環ビス−HCl生成物の湿性ケーキを完全真空下、50℃で〜14時間乾燥した。乾燥ケーキサンプルのTG分析は、サンプルを24℃から160℃まで加熱したときに0.2wt%減量を示した。KF結果は1.2wt%水分を示した(目標<0.5 wt%)。湿性ケーキをFD−80A中、完全真空下、ジャケット温度50℃でさらに4時間乾燥した。KF結果は0.04wt%水分を示し、残留溶媒のGC分析は0.14wt%のIPAを示し、イソプロピルアセテートは検出されなかった。
【0127】
合計64.7物質kgのピリジン複素環ビス−HCl生成物が得られた(96.6wt%;62.5アッセイkg)。63.9アッセイkgのエチルカーバメートから62.5アッセイkgのピリジン複素環ビス−HCl生成物への変換に基づく収率は98%であった。
【0128】
本発明をそのいくつかの特定実施態様について記載してきたが、本発明の要旨および範囲を逸脱することなく手順およびプロトコルの様々な応用、変更、修正、置換、削除または追加が可能であることが当業者には理解されよう。例えば、上記に示した本発明の化合物のいずれかを処方することによって治療した哺乳動物の応答にはばらつきがあるので、本文中に提示した上記の特定薬用量以外の有効薬用量も適用できる。また、観察された特定の薬理学的応答が、選択された特定の有効化合物、医薬担体使用の有無、配合物の形態および使用される投与方式に従ってもしくはそれらに依存して異なることもあり得る。このような想定内の結果のばらつきまたは差異は本発明の目的および実施に違背しないと考えるべきである。従って、本発明は特許請求の範囲によって定義されており、また、このような特許請求の範囲は正当な広さで解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)3−アミノ−2−クロロピリジンをC1−4アルキル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートと反応させて、C1−4アルキル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(2)C1−4アルキル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをクロロスルホニルイソシアナートと反応させて、C1−4アルキル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(3)C1−4アルキル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを反応させて、C1−4アルキル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(4)C1−4アルキル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートをHClと反応させる段階と
を含む2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩の製造方法。
【請求項2】
(1)3−アミノ−2−クロロピリジンをエチル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートと反応させて、エチル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(2)エチル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをクロロスルホニルイソシアナートと反応させて、エチル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(3)エチル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを反応させて、エチル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(4)エチル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートをHClと反応させる段階と
を含む2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩の製造方法。
【請求項3】
(1)3−アミノ−2−クロロピリジンをエチル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートと反応させて、エチル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(2)エチル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをクロロスルホニルイソシアナートと反応させてエチル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(3)エチル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを反応させて、エチル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と
を含む2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンの製造方法。
【請求項4】
(1)エチル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをクロロスルホニルイソシアナートと反応させて、エチル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(2)エチル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを反応させて、エチル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(3)エチル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートをHClと反応させる段階と
を含む2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩の製造方法。
【請求項5】
(1)エチル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを反応させて、エチル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(2)エチル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートをHClと反応させる段階と
を含む2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩の製造方法。
【請求項6】
(1)エチル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをクロロスルホニルイソシアナートと反応させて、エチル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(2)エチル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを反応させて、エチル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と
を含む2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンの製造方法。
【請求項7】
エチル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを反応させて、エチル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階を含む2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン二塩酸塩の製造方法。
【請求項8】
(1)3−アミノ−2−クロロピリジンをC1−4アルキル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートと反応させて、C1−4アルキル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(2)C1−4アルキル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをクロロスルホニルイソシアナートと反応させて、C1−4アルキル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(3)C1−4アルキル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを反応させてC1−4アルキル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(4)C1−4アルキル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを強酸と反応させて、2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンの酸塩を形成する段階と
を含む2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンの酸塩の製造方法。
【請求項9】
前記C1−4アルキル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートがエチル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記強酸がHCl、HBr、HI、HSOおよびHNOから選択される請求項8に記載の方法。
【請求項11】
(1)3−アミノ−2−クロロピリジンをC1−4アルキル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートと反応させて、C1−4アルキル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(2)C1−4アルキル4[(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートをクロロスルホニルイソシアナートと反応させて、C1−4アルキル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(3)C1−4アルキル4[(アミノカルボニル)(2−クロロピリジン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレートを反応させて、C1−4アルキル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを形成する段階と、
(4)C1−4アルキル4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを強塩基次いで強酸と反応させて、2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンの酸塩を形成する段階と
を含む2−オキソ−1−(4−ピペリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンの酸塩の製造方法。
【請求項12】
前記C1−4アルキル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートがエチル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記強塩基がNaOH、LiOHおよびKOHから選択され、前記強酸がHCl、HBr、HI、HSOおよびHNOから選択される請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2009−533438(P2009−533438A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505408(P2009−505408)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/008701
【国際公開番号】WO2007/120590
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】