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ピリジン誘導体
説明

ピリジン誘導体

本発明は、式(I)の化合物ならびにその製薬上許容可能な塩および溶媒和物に、その製造方法に、その製造に用いられる中間体に、そしてこのような化合物を含有する組成物に、そして疼痛の治療のためのこのような化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリジン誘導体に関する。さらに特定的には、本発明は、6‐アミノ‐2‐アミノカルボニル‐5‐フェニル‐ピリジン誘導体に、そしてこのような誘導体の製造方法に、このような誘導体の製造に用いるための中間体に、このような誘導体を含有する組成物に、ならびにこのような誘導体の使用に関する。
【0002】
本発明のピリジン誘導体は、ナトリウムチャンネルモジュレーターであり、そして特に疼痛の治療における多数の治療的用途を有する。
【0003】
さらに特定的には、本発明のピリジン誘導体は選択的NaV1.8モジュレーターである。それらは、テトロドトキシン感受性ナトリウムチャンネル(TTX‐S)に対するそれらの親和性より大きいNaV1.8チャンネルに対する親和性を示す。本発明の好ましいピリジン誘導体は、テトロドトキシン感受性ナトリウムチャンネルと比較して少なくとも5倍のNaV1.8チャンネルに対する選択性を示す。
【背景技術】
【0004】
NaV1.8チャンネルは、疼痛性刺激の伝達に関与する感覚神経である侵害受容体中で発現される電位作動型ナトリウムチャンネルである。ラットチャンネルおよびヒトチャンネルは、それぞれ1996年および1998年にクローン化されている(Nature 379 (1996), pp. 257-262;Pain 1998 Nov; 78 (2): 107-14)。NaV1.8チャンネルは、従来、SNS(感覚ニューロン特異的)およびPN3(末梢神経3型)として既知であった。NaV1.8チャンネルは、それがフグ毒素テトロドトキシンの遮断作用に対する耐性を示す場合には、非定型的であり、そして後根神経節ニューロンから記録される遅い電位作動型およびテトロドトキシン耐性(TTX‐R)ナトリウム電流の基礎を成すと考えられる。NaV1.8チャンネル関連する最も近い分子はNaV1.5チャンネルであり、これは心臓ナトリウムチャンネルであり、それは約60%の相同性を共有する。NaV1.8チャンネルは、後根神経節(DRG)の「小細胞」中で最高度に発現される。これらは、推定多様式侵害受容体または疼痛センサーであるC‐およびA‐デルタ細胞であると考えられる。正常条件下では、NaV1.8チャンネルはDRGニューロンの亜集団以外のいずれの場所でも発現されない。NaV1.8チャンネルは、DRG増感のプロセスに、そして神経損傷のための過剰興奮性にも関与すると考えられる。NaV1.8チャンネルの抑制的変調は、それらが興奮プロセスに関与するのを防止することにより、侵害受容体の興奮性を低減することに向けられる。
【0005】
試験は、NaV1.8ノックアウトが鈍麻疼痛表現型を、主に炎症性攻撃をもたらし(A.N. Akopian et al., Nat. Neurosci. 2 (1999), 541-548)、そしてNaV1.8ノックアウトが疼痛行動、この場合は神経障害性疼痛を低減する(J. Lai et al., Pain, 2002 Jan; 95 (1-2): 143-52)、ということを示した。Coward等およびYiangou等は、NaV1.8が疼痛症状において発現されると思われる、ということを示した(Pain. 2000 Mar; 85 (1-2): 41-50およびFEBS Lett. 2000 Feb 11; 467 (2-3): 249-52)。
【0006】
NaV1.8チャンネルは、背部および歯髄に関する構造中で発現されることも示されており、灼熱痛、炎症性腸症状および多発性硬化症における役割に関する証拠がある(Bucknill et al., Spine. 2002 Jan 15; 27 (2): 135-40;Shembalker et al., Eur J Pain. 2001; 5 (3): 319-23;Laird et al., J Neurosci. 2002 Oct 1; 22 (19): 8352-6;Black et al., Neuroreport. 1999 Apr 6; 10 (5): 913-8;およびPro. Natl. Acad. Sci. USA 97 (2000), pp. 11598-11602)。
【0007】
鎮痙薬または抗うつ薬として用いるために、いくつかのナトリウムチャンネルモジュレーター、例えばカルバマゼピン、アミトリプチリン、ラモトリギンおよびリルゾールが既知であり、これらはすべて、脳テトロドトキシン感受性(TTX‐S)ナトリウムチャンネルを標的とする。このようなTTX‐S薬は、主に脳におけるTTX‐Sチャンネルでの作用のための、用量限定性副作用、例えば眩暈、運動失調および傾眠を欠点として有する。
【0008】
良好な薬剤候補である新規のNaV1.8チャンネルモジュレーターを提供することは、本発明の一目的である。好ましい化合物は、他のナトリウムチャンネル、特にTTX‐Sチャンネルに対する親和性をほとんど示さずに、NaV1.8チャンネルと強力に結合すべきであり、そしてNaV1.8チャンネルモジュレーターとしての機能的活性を示すべきである。それらは、消化管から良好に吸収され、代謝的に安定であり、そして好ましい薬物動態特性を保有すべきである。それらは、非毒性であり、そして副作用をほとんど示さない必要がある。さらに、理想的薬剤候補は、安定で、非吸湿性で、そして容易に処方される物理学的形態で存在する。
【0009】
特に、本発明のピリジン誘導体は、テトロドトキシン感受性(TTX‐S)ナトリウムチャンネルを上回ってNaV1.8チャンネルに対して選択性であり、副作用プロフィールの改善をもたらす。
【0010】
したがって本発明のピリジン誘導体は、広範囲の疾患、特に疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、内臓痛、侵害受容性疼痛、例えば術後痛、ならびに内臓、消化管、頭蓋構造、筋肉骨格系、脊柱、泌尿生殖器系、心臓血管系およびCNSを包含する混合型疼痛、例えば癌疼痛、背痛および口腔顔面痛の治療に潜在的に有用である。
【0011】
本発明のピリジン誘導体で治療され得るその他の症状としては、多発性硬化症、神経変性障害、過敏性腸症候群、骨関節炎、慢性関節リウマチ、神経病理学的障害、機能性腸障害、炎症性腸疾患、月経困難症に関連した疼痛、骨盤疼痛、膀胱炎、膵炎、片頭痛、群発性および緊張性頭痛、糖尿病性神経障害、末梢神経障害性疼痛、坐骨神経痛、繊維筋痛および灼熱痛が挙げられる。
【0012】
WO-A-96/18616は、一酸化窒素シンターゼ阻害薬として有用なピリジン誘導体を開示する。
【0013】
6‐アミノ‐N‐メチル‐5‐(2,3,5‐トリクロロフェニル)ニコチンアミドは、テトロドトキシン感受性(TTX‐S)ナトリウムチャンネルのモジュレーターとして開示されている(Gordon Conference, New London, USA, August 2000)。
【発明の開示】
【0014】
したがって本発明は、式(I):
【化1】

(式中、R1は、Het1、Het2または(C3〜C7)シクロアルキルで任意に置換される(C1〜C6)アルキルであり(ここで、上記のHet1、Het2および(C3〜C7)シクロアルキルは、(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルコキシおよびハロ(C1〜C4)アルキルから各々独立して選択される1つまたは複数の置換基により環炭素原子上で任意に置換される);
2は、各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから選択され;
nは、1、2または3であり;
【0015】
Het1は、窒素、酸素およびイオウから各々独立して選択される1または2個の異種原子環成員を含む5または6員飽和または部分的不飽和複素環式基であり、上記の環窒素原子は任意に(C1〜C4)アルキル置換基を保有し、そして上記の環イオウ原子は任意に1または2個の酸素原子を保有し;そして
Het2は、(a)1〜4個の窒素原子、あるいは(b)1個の酸素または1個のイオウ原子および0、1または2個の窒素原子を含む5または6員へテロアリール基である)
のピリジン誘導体、あるいはその製薬上許容可能な塩または溶媒和物を提供する。
【0016】
上記の定義において、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。必要数の炭素原子を含有するアルキルおよびアルコキシ基は、非分枝鎖または分枝鎖であり得る。アルキルの例としては、メチル、エチル、n‐プロピル、i‐プロピル、n‐ブチル、i‐ブチル、sec‐ブチルおよびt‐ブチルが挙げられる。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n‐プロポキシ、i‐プロポキシ、n‐ブトキシ、i‐ブトキシ、sec‐ブトキシおよびt‐ブトキシが挙げられる。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。ハロアルキルの例としては、トリフルオロメチルが挙げられる。
【0017】
Het1の特定例としては、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニルおよびピペラジニル(任意に上記のように置換される)が挙げられる。
【0018】
Het2の特定例としては、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびピラジニル(任意に上記のように置換される)が挙げられる。
【0019】
好ましい態様(A)では、本発明は、R1が上記と同様であり、そしてR2がクロロである式(I)のピリジン誘導体あるいはその製薬上許容可能な塩または溶媒和物を提供する。
【0020】
好ましい態様(B)では、本発明は、R2がその最も広範な態様においてあるいは(A)下での好ましい態様で上記と同様であり、そしてnが3であり;さらに好ましくはR2基がフェニル環上の2、3および5位置に存在する式(I)のピリジン誘導体あるいはその製薬上許容可能な塩または溶媒和物を提供する。
【0021】
さらに好ましい態様(C)では、本発明は、R2およびnがその最も広い態様においてあるいは(A)または(B)下での好ましい態様で上記と同様であり、そしてR1がピペリジニル、イミダゾリル、モルホリニル、ピペラジニルまたはピロリジニルで任意に置換される(C1〜C6)アルキルであり;さらに好ましくはR2基がピペリジニル、イミダゾリル、モルホリニル、ピペラジニルまたはピロリジニルで任意に置換されるメチル、エチルまたはプロピルであり;、最も好ましくはR1がメチルである式(I)のピリジン誘導体あるいはその製薬上許容可能な塩または溶媒和物を提供する。
【0022】
個々の好ましいR1基は、メチル;2‐(ピペリジン‐1‐イル)エチル;3‐(ピロリジン‐1‐イル)プロピル;3‐(モルホリン‐4‐イル)プロピル;2‐(ピロリジン‐1‐イル)エチル;および3‐(イミダゾール‐1‐イル)プロピルである。
【0023】
本発明の特定の好ましいピリジン誘導体は、以下に列挙するものである:
6‐アミノ‐5‐(2,3,5‐トリクロロ‐フェニル)‐ピリジン‐2‐カルボン酸メチルアミド;
6‐アミノ‐5‐(2,3,5‐トリクロロ‐フェニル)‐ピリジン‐2‐カルボン酸(2‐ピペリジン‐1‐イル‐エチル)アミド;
6‐アミノ‐5‐(2,3,5‐トリクロロ‐フェニル)‐ピリジン‐2‐カルボン酸(3‐ピロリジン‐1‐イル‐プロピル)アミド;
6‐アミノ‐5‐(2,3,5‐トリクロロ‐フェニル)‐ピリジン‐2‐カルボン酸(3‐モルホリン‐4‐イル‐プロピル)アミド;
6‐アミノ‐5‐(2,3,5‐トリクロロ‐フェニル)‐ピリジン‐2‐カルボン酸(2‐ピロリジン‐1‐イル‐エチル)アミド;
6‐アミノ‐5‐(2,3,5‐トリクロロ‐フェニル)‐ピリジン‐2‐カルボン酸(3‐イミダゾール‐1‐イル‐プロピル)アミド;および
その製薬上許容可能な塩および溶媒和物。
【0024】
本発明の特に好ましいピリジン誘導体は、6‐アミノ‐5‐(2,3,5‐トリクロロ‐フェニル)‐ピリジン‐2‐カルボン酸メチルアミドあるいはその製薬上許容可能な塩または溶媒和物である。
【0025】
NaV1.8チャンネルモジュレーターである式(I)の化合物は、一連の障害の治療において潜在的に有用である。疼痛、特に慢性、炎症性、神経障害性、侵害受容性および内臓疼痛の治療は、好ましい一用途である。
【0026】
生理学的疼痛は、外部環境からの潜在的損傷性刺激からの危険を警告するよう意図された重要な防御メカニズムである。そのシステムは、特定組の一次感覚ニューロンを介して作動し、そして末梢伝達メカニズムによる侵害刺激により活性化される(再検討のためには、Millan, 1999, Prog. Neurobiol., 57, 1-164参照)。これらの感覚繊維は、侵害受容体として機知であり、そして特徴的には遅い伝導速度を有する小直径軸索である。侵害受容体は、侵害刺激の強度、持続時間および質を、そして脊髄へのそれらの局所解剖学的組織化突出に基づいて、刺激の位置をコードする。侵害受容体は、2つの主要な型、A‐デルタ繊維(有髄)およびC繊維(無髄)が存在する侵害受容性神経線維上に見出される。侵害受容体インプットにより生成される活性は、後角中での複合プロセッシング後、直接的にまたは脳幹中継核を介して、基底腹側視床に、次に疼痛の感覚が生成される皮質に移される。
【0027】
疼痛は一般に、急性または慢性として分類され得る。急性疼痛は突然始まり、そして短期間である(通常は12週間またはそれ未満)。それは通常は特定の原因、例えば特定の損傷に関連し、そしてしばしば鋭く且つ重篤である。それは、外科手術、歯科作業、緊張または過労に起因する特定損傷後に起こり得る種類の疼痛である。急性疼痛は一般に、いかなる持続的心理学的応答を生じない。逆に、慢性疼痛は、長期疼痛であり、典型的には3ヶ月より長い間持続し、そして有意の心理学的および情動的問題をもたらす。慢性疼痛の一般例は、神経障害性疼痛(例えば疼痛性糖尿病性神経障害、ヘルペス感染後神経痛)、手根管症候群、背痛、頭痛、癌疼痛、関節痛および慢性術後痛である。
【0028】
実質的損傷が疾患または外傷により身体組織に生じる場合、侵害受容体活性化の特質は変更され、そして末梢に、損傷周囲に局所的に、そして侵害受容体が集結する場所に中心的に、増感が認められる。これらの作用は、疼痛感覚増大をもたらす。急性疼痛の場合、これらのメカニズムは、修復プロセスをより良好に起こさせ得る防御的行動を促進するのに有用であり得る。普通に予測されるのは、一旦損傷が治癒すれば、感受性は正常に戻る、ということである。しかしながら、多くの慢性疼痛状態では、過敏性は治癒プロセスよりはるかに長く続き、そしてしばしば神経系損傷のためである。この損傷はしばしば、適応不全および異所性活性に関連した感覚神経繊維の異常をもたらす(Woolf & Salter, 2000, Science, 288, 1765-1768)。
【0029】
患者の症候の中に不快感および異常感受性が特色になる場合、臨床的疼痛が存在する。患者は全く異質である傾向があり、そして種々の疼痛症候を伴って存在し得る。このような症候としては:1)鈍い、焼けつくようなまたは刺すようなものであり得る特発性疼痛;2)有害刺激に対する誇大疼痛応答(痛覚過敏);ならびに3)正常無害性刺激により生成される疼痛(異痛症‐Meyer et al., 1994, Textbook of Pain, 13-44)が挙げられる。種々の形態の急性および慢性疼痛に罹患している患者は同様の症候を有し得るが、しかし根本的メカニズムは異なり、したがって異なる治療戦略を要し得る。したがって疼痛はさらに、種々の病理生理学に従って多数の異なるサブタイプ、例えば侵害受容性、炎症性および神経障害性疼痛に分けられ得る。
【0030】
侵害受容性疼痛は、組織損傷により、または損傷を引き起こす可能性を有する強い刺激により、誘導される。疼痛求心性神経は、損傷の部位での侵害受容体による刺激の伝達により活性化され、そしてそれらの終末のレベルでの脊髄中のニューロンを活性化する。次にこれは、脊髄路を上って脳に中継され、そこで疼痛が感知される(Meyer et al., 1994, Textbook of Pain, 13-44)。侵害受容体の活性化は、2つの型の求心性神経線維を活性化する。有髄A‐デルタ繊維は迅速に伝導し、そして鋭利なそして刺すような疼痛感覚に関与するが、一方、無髄C繊維はより遅い速度で伝導し、そして鈍いまたはうずくような疼痛を伝達する。中等度〜重症の急性侵害受容性疼痛は、中枢神経系外傷、緊張/過労、熱傷、心筋梗塞および急性膵炎からの疼痛、術後痛(任意の型の外科的手法後の疼痛)、外傷後疼痛、腎疝痛、癌疼痛および背痛の顕著な特徴である。癌疼痛は、慢性疼痛、例えば腫瘍関連疼痛(例えば骨疼痛、頭痛、顔面痛または内臓痛)または癌療法に関連した疼痛(例えば化学療法後症候群、慢性術後痛症候群または放射線照射後症候群)の顕著な特徴である。癌疼痛は、化学療法、免疫療法、ホルモン療法または放射線療法に応答しても起こり得る。背痛は、椎間板ヘルニアまたは破裂、あるいは腰椎椎間関節、仙腸関節、傍脊椎筋または後縦靭帯の異常のせいであり得る。背痛は自然に消散し得るが、しかしそれが12週間に亘って継続する何人かの患者では、それは特に衰弱しつつある慢性状態になる。
【0031】
神経障害性疼痛は一般に、神経系における原発性病変または機能不全により開始されるかまたは引き起こされる疼痛と定義される。神経損害は外傷および疾患により引き起こされ、したがって「神経障害性疼痛」という用語は、多様な病因を有する多数の障害を包含する。これらの例としては、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、背痛、癌神経障害、HIV神経障害、幻肢痛、手根管症候群、中枢性卒中後痛、ならびに慢性アルコール依存症、甲状腺機能低下症、尿毒症、多発性硬化症、脊髄損傷、パーキンソン病、癲癇およびビタミン不足に関連した疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。神経障害性疼痛は、それが防御的役割を有さない場合、病的である。それはしばしば、最初の原因が消失した後、良好に存在し、一般に数年間持続して、患者の生活の質を有意に低減する(Woolf and Mannion, 1999, Lancet, 353, 1959-1964)。神経障害性疼痛の症候は、それらがしばしば同一疾患を有する患者間でさえ異質であるため、治療が難しい(Woolf & Decosterd, 1999, Pain Supp., 6, S141-S147;Woolf and Mannion, 1999, Lancet, 353, 1959-1964)。それらの例としては、特発性疼痛(継続性であり得る)、ならびに発作性または異常惹起性疼痛、例えば痛覚過敏症(有害刺激に対する感受性増大)および異痛症(正常無害性刺激に対する感受性)が挙げられる。
【0032】
炎症性経過は、一連の複雑な生化学的および細胞性事象であり、組織損傷または異物の存在に応答して活性化され、これが腫脹および疼痛を生じる(Levine and Taiwo, 1994, Textbook of Pain, 45-56)。関節性疼痛は、最も一般的な炎症性疼痛である。リウマチ様疾患は、先進国で最も一般的な慢性炎症性症状の1つであり、そして慢性関節リウマチは、能力障害の一般的原因である。慢性関節リウマチの正確な病因は不明であるが、しかし最新の仮説は、遺伝子的および微生物学的因子が重要であり得る、ということを示唆する(Grennan & Jayson; 1994, Tetbook of Pain, 397-407)。ほぼ1600万人の米国人が症候性骨関節炎(OA)または変性関節疾患を有し、そのほとんどが60歳異常であり、これは集団年齢が増大すると4000万人に増加して、このことが膨大な大きさの公衆衛生問題の原因になる、と見積もられている(Houge & Mersfelder, 2002, Ann Pharmacother., 36, 679-686;McCarthy et al., 1994, Textbook of Pain, 387-395)。骨関節炎を有するほとんどの患者が、関連疼痛のため、治療を求めている。関節炎は、心理学的および身体的機能に有意の影響を及ぼし、そして後年の人生における能力障害の主因となることが既知である。強直性脊椎炎も、脊椎および仙腸関節の関節炎を引き起こすリウマチ様疾患である。それは人生を通して生じる背痛の間欠性発症から、脊椎、末梢関節およびその他の身体器官を攻撃する重症慢性疾患まで、種々である。
【0033】
別の型の炎症性疼痛は、炎症性腸疾患(IBD)を含む内臓痛である。内臓痛は、腹腔内の器官を包含する内臓に関連した疼痛である。これらの器官としては、性器、脾臓、ならびに消化系の一部が挙げられる。内臓に関連した疼痛は、消化性内臓痛および非消化性内臓痛に分けられ得る。疼痛を引き起こす一般的に遭遇する胃腸性(GI)障害としては、機能性腸障害(FBD)および炎症性腸疾患(IBD)が挙げられる。これらのGI障害は、一般的に適度に制御されるだけである広範な一連の疾患状態、例えばFBDに関しては、胃‐食道逆流、消化不良、過敏性腸症候群(IBS)および機能性腹痛症候群(FAPS)を、そしてIBDに関しては、クローン病、回腸炎および潰瘍性結腸炎含み、これらはすべて、定期的に内臓痛を生じる。その他の型の内臓痛としては、月経困難症、膀胱炎および膵炎に関連した疼痛、ならびに骨盤痛が挙げられる。
【0034】
いくつかの型の疼痛は多数の病因を有し、したがって1つより多い領域で分類され、例えば背痛および癌疼痛は、侵害受容性および神経障害性構成成分を有する、ということに留意すべきである。
【0035】
他の型の疼痛を以下に挙げる:
・筋肉‐骨格障害に起因する疼痛、例えば筋肉痛、繊維筋痛、脊椎炎、血清陰性(非リウマチ様)関節症、非関節性リウマチ、ジストロフィン異常症、グリコーゲン分解、多発性筋炎および化膿性筋炎;
・心臓および血管性疼痛、例えば狭心症、心筋梗塞、僧帽弁狭窄、心膜炎、レイノー現象、水腫性硬化症および骨格筋虚血により引き起こされる疼痛;
・頭痛、例えば片頭痛(例えば前兆を伴う片頭痛および前兆を伴わない片頭痛)、群発性頭痛、緊張型頭痛、混合型頭痛および血管障害に関連した頭痛;ならびに
・口腔顔面性疼痛、例えば歯痛、耳痛、熱傷性口腔症候群および側頭下顎筋筋膜疼痛。
【0036】
式(I)のピリジン誘導体は、多発性硬化症の治療においても有用であると予測される。
【0037】
本発明は、神経変性障害の症候を治療または軽減するための作用物質としての式(I)のピリジン誘導体の治療的使用にも関する。このような神経変性障害としては、例えばアルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症が挙げられる。本発明は、急性脳損傷と呼ばれる神経変性障害の治療も網羅する。これらの例としては、卒中、頭部外傷および仮死が挙げられるが、これらに限定されない。卒中は脳血管性疾患を指し、そして脳血管性偶発症候(CVA)とも呼ばれ、急性血栓塞栓性卒中を含む。卒中は、病巣性および全体性虚血の両方を含む。さらにまた、一過性脳虚血性襲撃および脳虚血に伴う他の脳血管性問題が含まれる。これらの血管性障害は、特に頚動脈血管内膜切除を、あるいは概して他の脳血管性または血管外科手法を、あるいは診断的血管手法、例えば脳血管造影等を受けている患者に起こり得る。他の出来事は、頭部外傷、脊髄外傷、あるいは全身性無酸素症、低酸素症、低血糖症、低血圧症からの損傷、ならびにエンボリ、ハイパーフュージョンおよび低酸素症からの手法で観察される類似の損傷である。本発明は、一連の出来事において、例えば心臓バイパス手術中、頭蓋内出血の出来事において、周産期仮死において、心停止および癲癇発作頻発状態において有用である。
【0038】
被験者が例えば卒中を起こしやすいかまたはその危険がある、ならびに本発明の方法による投与のために卒中に罹患している適切な情況を、熟練医師は確定し得る。
【0039】
式(1)の化合物の製薬上許容可能な塩としては、その酸付加塩および塩基性塩が挙げられる。
【0040】
適切な酸付加塩は、非毒性塩を生成する酸から生成される。例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カムシル酸塩、クエン酸塩、シクラマート、エジシラート、エシラート、蟻酸塩、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロテート、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびxinofoateが挙げられる。
【0041】
適切な塩基塩は、非毒性塩を生成する塩基から生成される。例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オーラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛塩が挙げられる。
【0042】
酸および塩基の半塩、例えば半硫酸塩および半カルシウム塩も生成され得る。
適切な塩に関する再検討のためには、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use by Stahl and Wermuth( Wiley-VCH,2002)を参照されたい。
【0043】
式(1)の化合物の製薬上許容可能な塩は、以下の3つの方法のうちの1つまたは複数により調製され得る:
(i)式(1)の化合物を所望の酸または塩基と反応させることによる;
(ii)式(1)の化合物の適切な前駆体から酸−または塩基不安定性保護基を除去することによるか、あるいは所望の酸または塩基を用いて、適切な環状前駆体、例えばラクトンまたはラクタムを開環することによる;あるいは
(iii)適切な酸または塩基との反応により、あるいは適切なイオン交換カラムにより、式(1)の化合物のある塩を別の塩に転化することによる。
【0044】
3つの反応は全て、典型的には溶液中で実行される。その結果生じる塩は析出され、濾過により収集され得るし、あるいは溶媒の蒸発により回収され得る。その結果生じる塩におけるイオン化度は、完全イオン化からほとんどイオン化されないまで変化し得る。
【0045】
本発明の化合物は、完全非晶質から完全結晶までの範囲の固体状態の連続系列で存在し得る。「非晶質」という用語は、物質が分子レベルでの長距離秩序度を欠き、そして温度によって、固体または液体の物理学的特性を示し得る状態を指す。典型的には、このような物質は示差的なX線回析パターンを示さず、そして固体の特性を示しながら、液体としてより多く外見的に記載される。加熱時に、固体から液体特性への変化が起こり、これは、典型的には二次の状態の変化により特性化される(「ガラス転移」)。「結晶」という用語は、物質が分子レベルで正規則内部構造を有し、そして限定ピークを有する示差的X線回析パターンを有する固相を指す。このような物質は、加熱されると、液体の特性も十分に示しが、しかし相変化(典型的には一次(「融点」))により固体から液体への変化を示す。
【0046】
本発明の化合物は、非溶媒和および溶媒和形態でも存在し得る。「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物、ならびに1つまたは複数の製薬上許容可能な溶媒分子、例えばエタノールを含む分子錯体を記載するために本明細書中で用いられる。「水和物」という用語は、上記の溶媒が水である場合に用いられる。
【0047】
有機水和物に関して一般に許容される分類系は、隔離部位、チャンネルまたは金属イオン配位水和物を定義するものである(Polymorphism in Pharmaceutical Solids by K.R. Morris (Ed. H.G. Brittain, Marcel Dekker, 1995)参照)。隔離部位水和物は、有機分子の介在により、水分子が互いに直接接触から隔離される。チャンネル水和物では、水分子は、それらが他の水分子の隣に存在する格子チャンネル中にある。金属イオン配位水和物では、水分子は金属イオンに結合される。
【0048】
溶媒または水が密接に結合される場合、錯体は、湿度とは無関係に明確に定義された化学量論を有する。しかしながら溶媒または水が弱く結合される場合は、チャンネル溶媒和物および吸湿性化合物の場合のように、水/溶媒含量は湿度および乾燥条件によっている。このような場合、非化学量論が標準である。
【0049】
薬剤および少なくとも1つの他の構成成分が化学量論的または非化学量論的量で存在する多構成成分錯体(塩および溶媒和物以外)も本発明の範囲内に含まれる。この型の錯体としては、包接化合物(薬剤‐宿主混入錯体)および共結晶を含む。後者は、典型的には、非共有的相互作用を介して一緒に結合される中性分子成分の結晶錯体と定義されるが、しかし中性分子と塩との錯体でもあり得る。共結晶は、溶融結晶化により、溶媒からの再結晶化により、または構成成分を一緒に物理的に磨砕することにより調製され得る ‐ Chem Commun, 17, 1889-1896, by O. Almarsson and M.J. Zaworotko (2004)参照。多構成成分錯体の一般的再検討のためには、J Pharm Sci, 64 (8), 1269-1288, by Haleblian (August 1975)参照。
【0050】
本発明の化合物は、適切な条件に付された場合、メソモルフィック状態(中間相または液晶)でも存在し得る。メソモルフィック状態は、真の結晶状態と真の液体状態(溶融体または溶液)との間の中間体である。温度変化の結果として生じるメソモルフィズムは「屈熱性」として記載され、そして二次構成成分、例えば水またはその他の溶媒の付加に起因するものは、「離液順性」として記載される。離液順性中間相を形成する能力を有する化合物は「両親媒性」として記載され、イオン性(例えば‐COO-Na+、‐COO-+、または‐SO3-Na+、)または非イオン性(例えば‐N-+(CH33)極性頭基を保有する分子から成る。さらなる情報に関しては、Crystals and the Polarizing Microscope by N.H. Hartshorne and A. Start, 4th Edition (Edward Arnold, 1970)を参照されたい。
【0051】
本明細書中では以後、式Iの化合物への言及はすべて、その塩、溶媒和物、多構成成分錯体および液晶に対する、そしてその塩の溶媒和物、多構成成分錯体および液晶に対する言及を包含する。
【0052】
本発明の化合物は、上記のような式(I)の化合物を、その全ての多型性および結晶癖、後述されるようなそのプロドラッグおよび異性体(光学、幾何および互変異性異性体を含む)、ならびに式(I)の同位体標識化合物を含めて包含する。
【0053】
指示されたように、式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も本発明の範囲内である。したがって身体の中または上に投与された場合に、薬理学的活性それ自体をほとんどまたは全く有し得ない式(I)の化合物のある種の誘導体は、例えば加水分解的切断により、所望の活性を有する式(I)の化合物に転化され得る。このような誘導体は、「プロドラッグ」として言及される。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14, ACS Symposium Series (T. Higuchi and W. Stella)およびBioreversible Carries in Drug Design’, Pergamon Press, 1987 (Ed. E. B Roche, American Pharmaceutical Association)に見出され得る。
【0054】
本発明のプロドラッグは、例えばDesign of Prodrugs by H. Bundgaard (Elsevier, 1985)に記載されているように、例えば「プロ部分」として当業者に既知のある部分の代わりに式(I)の化合物中に存在する適切な官能基を置き換えることにより製造され得る。
【0055】
本発明のプロドラッグのいくつかの例としては、式(I)の化合物が第一級または第二級アミノ官能基(−NH2または−NHR(ここでR≠H))およびそのアミドを含有するもの、例えば式(I)の化合物のアミノ官能基の一方または両方の水素が(C1〜C10)アルカノイルに取り換えられ得るような化合物が挙げられる。
【0056】
上記の例およびその他の種類のプロドラッグの例に従う置換基のさらなる例は、上記の参考文献中に見出され得る。
さらに、式(I)のある種の化合物はそれ自体、式(I)の他の化合物のプロドラッグとして作用し得る。
【0057】
式(I)の化合物の代謝産物、即ち薬剤の投与時にin vivoで生成される化合物も本発明の範囲内に含まれる。本発明の代謝産物のいくつかの例を以下に挙げる:
(i)式(I)の化合物がメチル基、そのヒドロキシメチル誘導体(−CH3→−CH2OH)を含有するもの;
(ii)式(I)の化合物がアルコキシ基、そのヒドロキシ誘導体(−OR→−OH)を含有するもの;
(iii)式(I)の化合物が第二級アミノ基、その第一級誘導体(−NHR1>−NH2)を含有するもの;
(iv)式(I)の化合物がフェニル部分、そのフェノール誘導体(−Ph→−PhOH)を含有するもの;
(v)式(I)の化合物がアミド基、そのカルボン酸誘導体(−CONH2→COOH)を含有するもの。
【0058】
1つまたは複数の不斉炭素原子を含有する式(I)の化合物は、2つまたはそれ以上の立体異性体として存在し得る。式(I)の化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含有する場合、幾何シス/トランス(またはZ/E)異性体が考えられる。構造異性体が低エネルギーバリアを介して相互交換可能である場合、互変異性異性(「互変異性」)が起こり得る。これは、例えばイミノ、ケトまたはオキシム基を含有する式(I)の化合物において陽子互変異性の、あるいは芳香族部分を含有する化合物においていわゆる原子価互変異性の形態をとり得る。当然、単一化合物は1つより多い型の異性を示し得る、ということになる。
【0059】
本発明の範囲内に含まれるのは、1つより多い型の異性を示す化合物、およびその1つまたは複数の混合物を含めた式(I)の化合物の全ての立体異性体、幾何異性体および互変異性形態である。対イオンが任意に活性である酸付加または塩基塩、例えばd−乳酸塩またはl−リシン、あるいはラセミ、例えばdl−酒石酸塩またはdl−アルギニンも包含される。
【0060】
シス/トランス異性体は、当業者に周知の慣用的技法、例えばクロマトグラフィーおよび分別晶出により、分離され得る。
個々のエナンチオマーの調製/単離のための慣用的技法としては、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたラセミ化合物(あるいは塩または誘導体のラセミ化合物)の分割が挙げられる。
【0061】
あるいはラセミ化合物(またはラセミ前駆体)は、適切な光学的活性化合物、例えばアルコールと、あるいは式(I)の化合物が酸性または塩基性部分を含有する場合、塩基または酸、例えば1−フェニルエチルアミンまたは酒石酸と反応され得る。その結果生じるジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別晶出により分離され、そしてジアステレオマーの一方または両方が当業者に周知の手段により対応する純粋なエナンチオマー(単数または複数)に転化され得る。
【0062】
本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、0〜50容量%、典型的には2%〜20%のイソプロパノール、および0〜5容量%のアルキルアミン、典型的には0.1%のジエチルアミンを含有する炭化水素、典型的にはヘプタンまたはヘキサンから成る移動相を有する不斉樹脂上で、クロマトグラフィー、典型的にはHPLCを用いて、富エナンチオマー形態で得られる。溶離液の濃縮は、濃化混合物をもたらす。
【0063】
任意のラセミ化合物が結晶化する場合、2つの異なる型の結晶が考えられる。第一の型は、等モル量で両エナンチオマーを含有する一均質形態の結晶が生成される上記で言及されたラセミ化合物(真のラセミ化合物)である。第二の型は、2つの形態の結晶が各々単一エナンチオマーを含んで等モル量で生成されるラセミ混合物または団塊である。
【0064】
ラセミ混合物中に存在する結晶形態の両方は同一物理学的特性を有するが、しかしそれらは真のラセミ化合物と比較して異なる物理学的特性を有し得る。ラセミ混合物は、当業者に既知の慣用的技法により分離され得る(例えばE.L. Eliel and S.H. Wilen(Wiley, 1994)によるStereochemistry of Organic Compounds参照)。
【0065】
本発明は、1つまたは複数の原子が同一原子数を有するが、しかし現実に優勢である原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子に取って代わられる式Iの全ての製薬上許容可能な同位体標識化合物を包含する。
【0066】
本発明の化合物中に含入するのに適した同位体の例としては、水素の同位体、例えば2Hおよび3H、炭素、例えば11C、13Cおよび14C、塩素、例えば36Cl、フッ素、例えば18F、ヨウ素、例えば123Iおよび125I、窒素、例えば13Nおよび15N、酸素、例えば15O、17Oおよび18O、リン、例えば32P、ならびにイオウ、例えば35Sが挙げられる。
【0067】
式(I)のある種の同位体標識化合物、例えば放射性同位体を組入れているものは、薬剤および/または基底組織分布試験において有用である。放射性同位体トリチウム、即ち3Hおよび炭素−14、即ち14Cは、それらの組入れ易さおよび容易な検出手段にかんがみて、この目的のために特に有用である。
【0068】
より重い同位体、例えばジュウテリウム、即ち2Hを用いた置換は、より大きな代謝安定性に起因するある種の治療的利益、例えばin vivo半減期増大または投与量要件低減をもたらし、それゆえいくつかの環境において選択され得る。
【0069】
陽電子放射同位体、例えば11C、18F、15Oおよび13Nを用いた置換は、基底受容体占有率を検査するための陽電子放射断層撮影(PET)試験において有用であり得る。
式(I)の同位体標識化合物は一般に、従来用いられた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を用いて、当業者に既知の慣用的技法により、または添付の実施例および調製に記載されたものと同様の方法により調製され得る。
【0070】
本発明の製薬上許容可能な溶媒和物としては、結晶化の溶媒が異性体的に置換され得るもの、例えばD2O、d6−アセトン、d6−DMSOが挙げられる。
下記のような式(V)、(VI)および(VII)の中間体化合物、そのすべての塩、溶媒和物および錯体、ならびに式(I)の化合物に関して上記されたようなそのすべての溶媒和物および錯体も、本発明の範囲内である。本発明は、上記の種のすべての多型体およびその結晶癖を含む。
【0071】
式(I)の化合物は、提示された適応症の治療のための最も適切な剤形および投与経路を選択するために、それらの生物薬剤的特性、例えば溶解性および溶液安定性(pHによる)、透過性等に関して査定されるべきである。
【0072】
薬剤的使用を意図された本発明の化合物は、結晶または非晶質製品として投与され得る。それらは、例えば沈降、結晶化、凍結乾燥され、噴霧乾燥、または蒸発乾燥により、固体小塊、粉末または皮膜として得られる。マイクロ波または無線周波数乾燥は、この目的のために用いられ得る。
【0073】
それらは、単独で、または本発明の1つまたは複数の他の薬剤と組合せて、あるいは1つまたは複数の他の薬剤と組合せて(あるいはその任意の組合せとして)投与され得る。一般的に、それらは、1つまたは複数の製薬上許容可能な賦形剤と関連した処方物として投与され得る。「賦形剤」という用語は、本発明の化合物(単数または複数)以外の任意の成分を記載するために本明細書中で用いられる。賦形剤の選択は、大部分は、投与の特定の投与方式、溶解性および安定性に及ぼす賦形剤の作用、ならびに剤形の性質のような因子によっている。
【0074】
本発明の化合物の送達に適した製剤組成物、ならびにそれらの製造方法は、当業者に容易に明らかになる。このような組成物およびそれらの製造方法は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 19th Edition (Mack Publishing Company, 1995)に見出され得る。
【0075】
経口投与
本発明の化合物は、経口的に投与され得る。経口投与は、化合物が消化管に進入する嚥下、および/または化合物が口から直接血流中に侵入する頬または舌下投与を包含し得る。
【0076】
経口投与に適した処方物としては、固体、半固体および液体系、例えば錠剤;マルチ‐またはナノ‐粒子、液体または粉末を含有する軟質または硬質カプセル;ロゼンジ(例えば液体充填);咀嚼剤;ゲル;迅速分散剤形;皮膜;小卵剤(ovule);噴霧;ならびに頬/粘膜付着性パッチが挙げられる。
【0077】
液体処方物としては、懸濁液、溶液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。このような処方物は、軟質または硬質カプセル(例えばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースから作られる)中の充填剤として用いられ、そして典型的には、担体、例えば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適切な油、および1つまたは複数の乳化剤および/または沈殿防止剤を含む。液体処方物は、例えばサッシェからの固体の再構成によっても調製され得る。
【0078】
本発明の化合物は、迅速溶解、迅速崩壊剤形、例えばLiang and Chen (2001)によるExpert Opinion in Therapeutic Patents, 11 (6), 981-986に記載されたものにも用いられ得る。
【0079】
錠剤剤形に関しては、用量によって、薬剤は1重量%〜80重量%の剤形で、5重量%〜60重量%の剤形で製造され得る。薬剤のほかに、錠剤は一般に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微晶質セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、前ゼラチン化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。一般に崩壊剤は、剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を構成する。
【0080】
結合剤は一般に、錠剤組成物に粘着性を付与するために用いられる。適切な結合剤としては、微晶質セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、前ゼラチン化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤は、希釈剤、例えばラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物等)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微晶質セルロース、デンプンおよびリン酸二塩基性カルシウム二水和物も含有し得る。
【0081】
錠剤は任意に、界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80、および流動促進剤、例えば二酸化ケイ素およびタルクも含み得る。存在する場合、界面活性剤は錠剤の0.2重量%〜5重量%を構成し、そして流動促進剤は錠剤の0.2重量%〜1重量%を構成し得る。
【0082】
錠剤は一般に、滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物も含有する。滑剤は一般に、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を構成する。
【0083】
その他の考え得る成分としては、酸化防止剤、着色剤、風味剤、防腐剤および味遮蔽剤が挙げられる。
例示的錠剤は、約80%の薬剤、約10重量%〜約90重量%の結合剤、約0重量%〜約85重量%の希釈剤、約2重量%〜約10重量%の崩壊剤、および約0.25重量%〜約10重量%の滑剤を含有する。
【0084】
錠剤配合物は、直接的にまたはローラーにより圧縮されて、錠剤を生成する。錠剤配合物または配合物の部分は、錠剤成形前に択一的に湿式−、乾式−または融解−造粒され、融解凝結されまたは押し出され得る。最終処方物は1つまたは複数の層を含み、そして被覆され得るし、または被覆されない;それは封入される場合さえある。
【0085】
錠剤の処方物は、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Vol. 1, by H. Lieberman and L. Lachman (Marcel Dekker, New York, 1980)で考察されている。
【0086】
ヒトまたは獣医学的使用のための消耗経口皮膜は、典型的には、迅速溶解性または粘膜接着性であり得る柔軟性水溶性または水膨潤性薄膜剤形であり、そして典型的には式(I)の化合物、皮膜形成ポリマー、結合剤、溶媒、保湿剤、可塑剤、安定剤または乳化剤、粘度改質剤および溶媒を含む。処方物のいくつかの構成成分は、1つより多い機能を遂行する。
【0087】
式(I)の化合物は、水溶性または水不溶性であり得る。水溶性化合物は、典型的には1重量%〜80重量%、さらに典型的には20重量%〜50重量%の溶質を含む。低可溶性化合物は、より大きい比率の組成物、を、典型的には88重量%までの溶質を含み得る。あるいは式(I)の化合物は、マルチ微粒子ビーズの形態であり得る。
【0088】
皮膜形成ポリマーは、天然多糖、タンパク質または合成ヒドロコロイドから選択され、そして典型的には0.01〜99重量%の範囲で、さらに典型的には30〜80重量%の範囲で存在する。
その他の考え得る成分としては、酸化防止剤、着色剤、風味剤および風味増強剤、防腐剤、唾液刺激剤、冷却剤、補助溶媒(例えば油)、エモリエント、バルキング剤、消泡剤、界面活性剤および味遮断剤が挙げられる。
【0089】
本発明の皮膜は典型的には、剥ぎ取り可能な裏張り支持体または紙上に被覆された薄い水性皮膜の蒸発乾燥により調製される。これは、乾燥炉またはトンネル中で、典型的には複合コーター乾燥機で、あるいは凍結乾燥またはバキューミングにより実行され得る。
【0090】
経口投与のための固体処方物は、即時および/または変法放出であるよう処方され得る。変法放出処方物は、遅延−、持続−、パルス−、制御−、標的化およびプログラム化放出を包含する。
【0091】
本発明の目的のための適切な変法放出処方物は、米国特許第6,106,864号に記載されている。その他の適切な放出技法の詳細、例えば高エネルギー分散ならびに浸透性および被覆粒子は、Pharmaceutical Technology On-line, 25(2), 1-14, by Verma et al (2001)に見出される。制御放出を達成するためのチューインガムの使用は、WO 00/35298に記載されている。
【0092】
非経口投与
本発明の化合物は、血流中に、筋肉中に、または内部器官中にも直接投与され得る。非経口投与のための適切な手段としては、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、滑液嚢内および皮下投与が挙げられる。非経口投与のための適切な用具としては、針(例えば顕微針)注射器、無針注射器および注入技法が挙げられる。
【0093】
非経口処方物は典型的には、賦形剤、例えば塩、炭水化物および緩衝剤(好ましくは3〜9のpHに)を含有し得る水性溶液であるが、しかしいくつかの用途に関しては、それらは滅菌非水溶液として、または適切なビヒクル、例えば滅菌発熱物質不含水と一緒に用いられるための乾燥形態としてより適切に処方され得る。
【0094】
例えば凍結乾燥化による滅菌条件下での非経口処方物の調製は、当業者に周知の標準製薬技法を用いて容易に成し遂げられ得る。
非経口溶液の調製に用いられる式(I)の化合物の溶解度は、適切な処方技法、例えば溶解度増強剤の組入れの使用により増大され得る。
【0095】
非経口投与のための処方物は、即時および/または変法放出であるよう処方され得る。変法放出処方物は、遅延−、持続−、パルス−、制御−、標的化およびプログラム化放出を包含する。したがって本発明の化合物は、埋込みデポー剤としての投与のための固体、半固体またはチキソトロープ液体として処方されて、活性化合物の変法放出を提供し得る。このような処方物の例としては、薬剤被覆ステントおよび半固体、ならびに薬剤負荷ポリ(dl−乳酸−coグリコール)酸(PGLA)微小球を含む懸濁液が挙げられる。
【0096】
局所投与
本発明の化合物は、皮膚または粘膜に局所的に、皮膚(内)にまたは経皮的にも投与され得る。この目的のための典型的処方物としては、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、ダスティングパウダー、ドレッシング、発泡体、皮膜、皮膚パッチ、ウエファー、埋込物、スポンジ、繊維、包帯およびマイクロエマルションが挙げられる。リポソームも用いられ得る。典型的担体としては、アルコール、水、鉱油、液体ペトロラタム、白色ペトロラタム、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。浸透増強剤が混入され得る(例えばJ Pharm Sci, 88 (10), 955-958 by Finnin and Morgan (October 1999)参照)。
【0097】
局所投与の他の手段としては、電気穿孔、イオン導入、フォノフォレーシス、ソノフォレーシスおよび顕微針または無針(例えばPowderjectTM、BiojectTM等)注射による送達が挙げられる。
局所投与のための処方物は、即時および/または変法放出であるよう処方され得る。変法放出処方物は、遅延−、持続−、パルス−、制御−、標的化およびプログラム化放出を包含する。
【0098】
吸入/鼻腔内投与
本発明の化合物は、鼻腔内にまたは吸入によっても、典型的には乾燥粉末吸入器からの乾燥粉末(単独で、例えばラクトースとの乾燥配合物中の混合物として、または混合構成成分粒子として、例えばホスファチジルコリンのようなリン脂質と混合されて)の形態で、あるいは加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは電気流体力学を用いて微細ミストを生成するアトマイザー)またはネブライザーからのエーロゾル噴霧として、適切な噴射剤、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンの使用を伴ってまたは伴わずに、あるいは点鼻薬として、投与され得る。鼻腔内使用のために、粉末は生体接着剤、例えばキトサンまたはシクロデキストリンを含み得る。
【0099】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーは、例えば活性物質を分散し、可溶化し、または拡張放出するためのエタノール、水性エタノールまたは適切な代替作用物質、溶媒としての噴射剤(単数または複数)、ならびに任意の界面活性剤、例えば三オレイン酸ソルビタン、オレイン酸またはオリゴ乳酸を含む本発明の化合物(単数または複数)の溶液または懸濁液を含有する。
【0100】
乾燥粉末または懸濁液処方物中に用いる前に、薬品は、吸入による送達に適したサイズ(典型的には5ミクロン未満)に微小化される。これは、任意の適切な細砕方法、例えば渦巻きジェット粉砕、流動床ジェット粉砕、ナノ粒子を生成するための臨界超過流体処理、高圧均質化または噴霧乾燥により達成され得る。
【0101】
吸入器または散布器に用いるためのカプセル(例えばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースから作られる)、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物、適切な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプン、および性能改質剤、例えばl−ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムの粉末ミックスを含有するよう処方され得る。ラクトースは、無水物または一水和物の形態、好ましくは後者であり得る。その他の適切な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが挙げられる。
【0102】
微細ミストを生成するために電気流体力学を用いてアトマイザー中に用いるための適切な溶液処方物は、作動当たり1 μg〜20 mgの本発明の化合物を含有し、作動容積は1 μlから100 μlまで変わり得る。典型的処方物は、式(I)の本発明の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含み得る。プロピレングリコールの代わりに用いられ得る代替的溶媒としては、グリセロールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0103】
適切な風味剤、例えばメントールおよびレボメントール、あるいは甘味剤、例えばサッカリンまたはサッカリンナトリウムが、吸入/鼻腔内投与のために意図された本発明の処方物に付加され得る。
【0104】
吸入/鼻腔内投与のための処方物は、例えばPGLAを用いて、即時および/または変法放出であるよう処方され得る。変法放出処方物は、遅延−、持続−、パルス−、制御−、標的化およびプログラム化放出を包含する。
【0105】
乾燥粉末吸入器およびエーロゾルの場合、投与量単位は、計測量を送達する弁により確定される。本発明による単位は、典型的には、1 μg〜20 mgの式(I)の化合物を含有する計測用量または「パフ」を投与するよう取り決められる。全1日用量は典型的には1 μg〜100 mgの範囲であり、これは単一用量で、またはより普通には、1日を通して分割用量として投与され得る。
【0106】
直腸/膣内投与
本発明の化合物は、例えば座薬、ペッサリーまたは浣腸剤の形態で、直腸にまたは膣に投与され得る。ココアバターは伝統的座薬基剤であるが、しかし種々の代替物が適切な場合には用いられ得る。
直腸/膣投与のための処方物は、即時および/または変法放出であるよう処方され得る。変法放出処方物は、遅延−、持続−、パルス−、制御−、標的化およびプログラム化放出を包含する。
【0107】
眼/耳投与
本発明の化合物はまた、典型的には等張pH調整滅菌生理食塩水中の微小化懸濁液または溶液の液滴の形態で、眼または耳に直接投与され得る。眼および耳投与に適したその他の処方物としては、軟膏、ゲル、生分解性(例えば吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えばシリコーン)埋込物、ウエファー、レンズおよび微粒子または小胞系、例えばニオソームまたはリポソームが挙げられる。ポリマー、例えば架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース性ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはメチルセルロース、あるいはヘテロ多糖ポリマー、例えばゼラチンゴムは、防腐剤、例えば塩化ベンズアルコニウムと一緒に混入され得る。このような処方物は、イオン導入によっても送達され得る。
【0108】
眼/耳投与のための処方物は、即時および/または変法放出であるよう処方され得る。変法放出処方物は、遅延−、持続−、パルス−、制御−、標的化およびプログラム化放出を包含する。
【0109】
その他の技法
本発明の化合物は、上記の投与方式のいずれかに用いるためにそれらの溶解度、溶解速度、味遮断、生物学的利用能および/または安定性を改善するために、可溶性高分子物質、例えばシクロデキストリンおよびその適切な誘導体、またはポリエチレングリコール含有ポリマーと組合され得る。
【0110】
例えば薬剤−シクロデキストリン複合体は、ほとんどの剤形および投与経路に関して一般に有用であることが判明している。封入および非封入複合体の両方が用いられ得る。薬剤との直接複合の代替物として、シクロデキストリンが補助添加剤として、即ち担体、希釈剤または可溶化剤として用いられ得る。これらの目的のために最も一般的に用いられるのは、アルファ−、ベータ−およびガンマシクロデキストリンであり、この例は、国際特許出願WO 91/11172、WO 94/02518およびWO 98/55148に見出され得る。
【0111】
部品キット
例えば特定の疾患または症状を治療する目的のために活性化合物の組合せを投与するのが望ましいゆえに、そのうちの少なくとも1つが本発明の化合物を含有する2つまたはそれ以上の製剤組成物が組成物の同時投与に適したキットの形態で組合され得るのが便利であることは本発明の範囲内である。
【0112】
したがって本発明のキットは、そのうちの少なくとも1つが本発明の式(I)の化合物を含有する2つまたはそれ以上の別個の製剤組成物、ならびに上記の組成物を別々に保持するための手段、例えば容器、分割ボトル、または分割ホイルパケットを含む。このようなキットの例は、錠剤、カプセル等の包装のために用いられるよく知られたブリスターパックである。
【0113】
本発明のキットは、異なる投与間隔で別個の組成物を投与するための、または互いに対して別個の組成物を滴定するための、異なる剤形を傾向的および非経口的に投与するのに特に適している。遵守を助けるためにキットは典型的には投与のための使用説明書を含み、そしていわゆるメモリーエイドを装備され得る。
【0114】
投薬量
ヒト患者への投与のために、本発明の化合物の全1日用量は、もちろん投与方式によって、典型的には0.1 mg〜1000 mgの範囲である。例えば経口投与は、1 mg〜1000 mgの全1日用量を要し、一方、静脈内1日用量は、0.1 mg〜100 mgのみを要し得る。全1日用量は、単一または分割用量で投与され、そして医者の指図で、本明細書に示された典型範囲の外であり得る。
【0115】
これらの投薬量は、約60 kg〜70 kgの体重を有する平均ヒト被験者に基づいている。医者は、体重がこの範囲外である被験者、例えば乳児および高齢者に関する用量を容易に確定し得る。
【0116】
疑わしさを回避するために、本明細書中での「治療」に対する言及は、治癒可能な、一時的緩和性の、そして予防的処置への言及を包含する。
NaV1.8チャンネルモジュレーターは、特に疼痛の治療において、別の薬理学的活性化合物と、あるいは2またはそれより多い他の薬理学的活性化合物と有用に組合され得る。例えばNaV1.8チャンネルモジュレーター、特に上記のような式(I)の化合物、あるいはその製薬上許容可能な塩または溶媒和物は、同時に、逐次的にまたは別々に、以下のものから選択される1つまたは複数の作用物質と組合せて投与され得る:
・オピオイド鎮痛薬、例えばモルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、レボルファノール、レバロルファン、メタドン、メペリジン、フェンタニル、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィンまたはペンタゾシン;
・非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えばアスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナル、エトドラク、フェンブフェン、フルフェニサル、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチンまたはゾメピラク;
・バルビツレート鎮静薬、例えばアモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール、メフォバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルチタール、セコバルビタール、タルブタール、チアミラールまたはチオペンタール;
【0117】
・鎮静作用を有するベンゾジアゼピン、例えばクロルジアゼポキシド、クロラゼペート、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパムまたはトリアゾラム;
・鎮静作用を有するH1アンタゴニスト、例えばジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミンまたはクロルシクリジン;
・鎮静薬、例えばグルテチミド、メプロバメート、メタクアロンまたはジクロラルフェナゾン;
・骨格筋弛緩薬、例えばバクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモールまたはオルフレナジン;
・NMDA受容体アンタゴニスト、例えばデキストロメトルファン((+)‐3‐ヒドロキシ‐N‐メチルモルフィナン)またはその代謝産物デキストロルファン((+)‐3‐ヒドロキシ‐N‐メチルモルフィナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリン・キニン、シス‐4‐(ホスホノメチル)‐2‐ピペリジンカルボン酸、ブジピン、EN‐3231(モルフィデックス(登録商標)、モルヒネおよびできストロメトルファンの組合せ処方物)、トピラメート、ネラメキサンまたはペルジンフォテル、例えばNR2Bアンタゴニスト、例えばイフェンプロジル、トラキソプロジルまたは(−)‐(R)‐6‐{2‐[4‐(3‐フルオロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐1‐ピペリジニル]‐1‐ヒドロキシエチル‐3,4‐ジヒドロ‐2(1H)‐キノリノン;
【0118】
・α‐アドレナリン作動薬、例えばドキサゾシン、タムスロシン、クロニジン、グアンファシン、デキスメタトミジン、モダフィニルまたは4‐アミノ‐6,7‐ジメトキシ‐2‐(5‐メタン‐スルホンアミド‐1,2,3,4‐テトラヒドロイソキノール‐2‐イル)‐5‐(2‐ピリジル)キナゾリン;
三環式抗うつ薬、例えばデシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリンまたはノルトリプチリン;
・鎮痙薬、例えばカルバマゼピン、ラモトリジン、トピラトメートまたはバルプロエート;
【0119】
・タキキニン(NK)アンタゴニスト、特にNK‐3、NK‐2またはNK‐1アンタゴニスト、例えば(αR,9R)‐7‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]‐8,9,10,11‐テトラヒドロ‐9‐メチル‐5‐(4‐メチルフェニル)‐7H‐[1,4]ジアゾシノ[2,1‐g][1,7]‐ナフチリジン‐6‐13‐ジオン(TAK‐637)、5‐[[(2R,3S)‐2‐[(1R)‐1‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)‐4‐モルホリニル]‐メチル]‐1,2‐ジヒドロ‐3H‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐オン(MK‐869)、アプレピタント、ラネピタント、ダピタントまたは3‐[[2‐メトキシ‐5‐(トリフルオロメトキシ)フェニル]‐メチルアミノ]‐2‐フェニルピペリジン(2S,3S);
・ムスカリンアンタゴニスト、例えばオキシブチニン、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロプシウム、ダリフェナシン、ソリフェナシン、テミベリンおよびイプラトロピウム;
・COX‐2選択的阻害薬、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブまたはルミラコキシブ;
・コールタール鎮痛薬、特にパラセタモール;
【0120】
・神経弛緩薬、例えばドロペリドール、クロルプロマジン、ハロぺリドール、ペルフェナジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、ジプラシドン、クエチアピン、セルチンドール、アリピプラゾール、ソネピプラゾール、ブロナンセリン、イロペリドン、ペロスピロン、ラクロプリド、ゾテピン、ビフェプルノックス、アセナピン、ルラシドン、アミスルプリド、バラペリドン、パリンドレ、エプリバンセリン、オサネタント、リモナバント、メクリネルタント、ミラキシオン(登録商標)またはサリゾタン;
・バニロイド受容体アゴニスト(例えばレシンフェラトキシン)またはアンタゴニスト(例えばカプサゼピン);
・β‐アドレナリン作動薬、例えばプロプラノロール;
・局所麻酔薬、例えばメキシレチン;
・コルチコステロイド、例えばデキサメタゾン;
・5‐HT受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、特に5‐HT1B/1Dアゴニスト、例えばエレトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタンまたはリザトリプタン;
【0121】
・5‐HT2A受容体アンタゴニスト、例えばR(+)‐α‐(2,3‐ジメトキシ‐フェニル)‐1‐[2‐(4‐フルオロフェニルエチル)]‐4‐ピペリジンメタノール(MDL‐100907);
・コリン作動性(ニコチン性)鎮痛薬、例えばイソプロニクリン(TC‐1734)、(E)‐N‐メチル‐4‐(3‐ピリジニル)‐3‐ブテン‐1‐アミン(RJR‐2403)、(R)‐5‐(2‐アゼチジニルメトキシ)‐2‐クロロピリジン(ABT‐594)またはニコチン;
・トラマドール(登録商標);
・PDEV阻害薬、例えば5‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐メチル‐1‐ピペラジニル‐スルホニル)フェニル]‐1‐メチル‐3‐n‐プロピル‐1,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(シルデナフィル)、(6R,12aR)‐2,3,6,7,12,12a‐ヘキサヒドロ‐2‐メチル‐6‐(3,4‐メチレン時オキシフェニル)‐ピラジノ[2‘,1’:6,1]‐ピリド[3,4‐b]インドール‐1,4‐ジオン(IC‐351またはタダラフィル)、2‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐エチル‐ピペラジン‐1‐イル‐1‐スルホニル)‐フェニル]‐5‐メチル‐7‐プロピル‐3H‐イミダゾ[5,1‐f][1,2,4]トリアジン‐4‐オン(バルデナフィル)、5‐(5‐アセチル‐2‐ブトキシ‐3‐ピリジニル)‐3‐エチル‐2‐(1‐エチル‐3‐アゼチジニル)‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン、5‐(5‐アセチル‐2‐プロポキシ‐3‐ピリジニル)‐3‐エチル‐2‐(1‐イソプロピル‐3‐アゼチジニル)‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン、5‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)ピリジン‐3‐イル]‐3‐エチル‐2‐[2‐メトキシエチル]‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン、4‐[(3‐クロロ‐4‐メトキシベンジル)アミノ]‐2‐[(2S)‐2‐(ヒドロキシメチル)ピロリジン‐1‐イル]‐N‐(ピリミジン‐2‐メチル)ピリミジン‐5‐カルボキサミド、3‐(1‐メチル‐7‐オキソ‐3‐プロピル‐6,7‐ジヒドロ‐1H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐5‐イル)‐N‐[2‐(1‐メチルピロリジン‐2‐イル)エチル]‐4‐プロポキシベンゼンスルホンアミド;
【0122】
・α‐2‐δリガンド、例えばガバペンチン、プレガバリン、3‐メチルガバペンチン、(1α,3α,5α)(3‐アミノ‐メチル‐ビシクロ[3.2.0]ヘプト‐3‐イル)‐酢酸、(3S,5R)‐3‐アミノメチル‐5‐メチル‐ヘプタン酸、(3S,5R)‐3‐アミノ‐5‐メチル‐ヘプタン酸、(3S,5R)‐3‐アミノ‐5‐メチル‐オクタン酸、(2S,4S)‐4‐(3‐クロロフェノキシ)プロリン、(2S,4S)‐4‐(3‐フルオロベンジル)プロリン、[(1R,5R,6S)‐6‐(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプト‐6‐イル]酢酸、3‐(1‐アミノメチル‐シクロヘキシルメチル)‐4H‐[1,2,4]オキサジアゾール‐5‐オン、C‐[1‐(1H‐テトラゾール‐5‐イルメチル)‐シクロヘプチル]‐メチルアミン、(3S,4S)‐(1‐アミノメチル‐3,4‐ジメチル‐シクロペンチル)‐酢酸、(3S,5R)‐3‐アミノメチル‐5‐メチル‐オクタン酸、(3S,5R)‐3‐アミノ‐5‐メチル‐ノナン酸、(3S,5R)‐3‐アミノ‐5‐メチル‐オクタン酸、(3R,4R,5R)‐3‐アミノ‐4,5‐ジメチル‐ヘプタン酸および(3R,4R,5R)‐3‐アミノ‐4,5‐ジメチル‐オクタン酸;
【0123】
・カンナビノイド;
・向代謝性グルタメート亜型1受容体(mGluR1)アンタゴニスト;
・セロトニン再取込み阻害薬、例えばセルトラリン、セルトラリン代謝産物デメチルセルトラリン、フルオキセチン、ノルフルオキセチン(フルオキセチンデスメチル代謝産物)、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、シタロプラム代謝産物デスメチルシタロプラム、エシタロプラム、d,l‐フェンフルラミン、フェモキセチン、イフォキセチン、シアノドチエピン、リトキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、セリクラミンおよびトラゾドン;
【0124】
・ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)再取込み阻害薬、例えばマプロチリン、ロフェプラミン、ミルタゼピン、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン、ミアンセリン、ブプロプリオン、ブプロプリオン代謝産物ヒドロキシブプロプリオン、ノミフェンシンおよびビロキサジン(ビララン(登録商標))、特に選択的ノルアドレナリン再取込み阻害薬、例えばレボキセチン、特に(S,S)‐レボキセチン;
・二重セロトニン‐ノルアドレナリン再取込み阻害薬、例えばベンラファキシン、ベンラファキシン代謝産物O‐デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミン代謝産物デスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプランおよびイミプラミン;
【0125】
・誘導性一酸化窒素シンターゼ(iNOS)阻害薬、例えばS‐[2‐[(1‐イミノエチル)アミノ]エチル]‐L‐ホモシステイン、S‐[2‐[(1‐イミノエチル)アミノ]エチル]‐4,4‐ジオキソ‐L‐システイン、S‐[2‐[(1‐イミノエチル)アミノ]エチル]‐2‐メチル‐L‐システイン、(2S,5Z)‐2‐アミノ‐2メチル‐7‐[(1‐イミノエチル)アミノ]‐5‐ヘプテン酸、2‐[[(1R,3S)‐3‐アミノ‐4‐ヒドロキシ‐1‐(5‐チアゾリル)‐ブチル]チオ]‐5‐クロロ‐3‐ピリジンカルボニトリル;2‐[[(1R,3S)‐3‐アミノ‐4‐ヒドロキシ‐1‐(5‐チアゾリル)‐ブチル]チオ]‐4‐クロロベンゾニトリル、(2S,4R)‐2‐アミノ‐4‐[[2‐クロロ‐5‐(トリフルオロメチル)フェニル]チオ]‐5‐チアゾールブタノール、2‐[[(1R,3S)‐3‐アミノ‐4‐ヒドロキシ‐1‐(5‐チアゾリル)‐ブチル]チオ]‐6‐(トリフルオロメチル)‐3‐ピリジンカルボニトリル;2‐[[(1R,3S)‐3‐アミノ‐4‐ヒドロキシ‐1‐(5‐チアゾリル)‐ブチル]チオ]‐5‐クロロベンゾニトリル、N‐[4‐[2‐(3‐クロロベンジルアミノ)エチル]フェニル]チオフェン‐2‐カルボキサミジンまたはグアニジノエチルジスルフィド;
【0126】
・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、例えばドネペジル;
・プロスタグランジンE2亜型4(EP4)アンタゴニスト、例えばN‐[({2‐[4‐(2‐エチル‐4,6‐ジメチル‐1H‐イミダゾ[4,5‐c]ピリジン‐1‐イル)フェニル]エチル}アミノ)‐カルボニル]‐4‐メチルベンゼンスルホンアミドまたは4‐[(1S)‐1‐({[5‐クロロ‐2‐(3‐フルオロフェノキシ)ピリジン‐3‐イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;
・ロイコトリエンB4アンタゴニスト、例えば1‐(3‐ビフェニル‐4‐ヒドロキシ‐クロマン‐7‐イル)‐シクロペンタンカルボン酸(CP‐105696)、5‐[2‐(2‐カルボキシエチル)‐3‐[6‐(4‐メトキシフェニル)‐5E‐ヘキセニル]オキシフェノキシ]‐吉草酸(ONO‐4057)またはDPC‐11870、
・5‐リポキシゲナーゼ阻害薬、例えばジレウトン、6‐[(3‐フルオロ‐5‐[4‐メトキシ‐3,4,5,6‐テトラヒドロ‐2H‐ピラン‐4‐イル])フェノキシ‐メチル]‐1‐メチル‐2‐キノロン(ZD‐2138)、または2,3,5‐トリメチル‐6‐(3‐ピリジルメチル)、1,4‐ベンゾキノン(CV‐6504);
・ナトリウムチャンネル遮断薬、例えばリドカイン;
・5‐HT3アンタゴニスト、例えばオンダンセトロン;
ならびにその製薬上許容可能な塩および溶媒和物。
【0127】
このような組合せは、治療において有意の利点、例えば相乗的活性を提供する。
NaV1.8チャンネルを抑制する式(I)のピリジン誘導体の能力は、下記の検定を用いて測定され得る。
【0128】
NaV1.8化合物に関するVIPR検定
要約:
このスクリーンは、Auroraの蛍光電位/イオンプローブ読取機(VIPR)を利用して、ヒトNaV1.8(HEK293)発現細胞株中のテトロドトキシン耐性(TTX‐R)ナトリウムチャンネルに及ぼす化合物の作用を確定するために用いられる。この実験はFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)に基づいており、2つの蛍光分子を用いる。第一の分子であるオキソノール(DiSBAC2(3))は、膜貫通電位を「感知する」高蛍光負荷電疎水性イオンである。膜電位の変化に応答して、それは、形質膜の反対側の2つの結合部位間に迅速に再配分し得る。電位依存性再配分は、形質膜の一面と特異的に結合し、移動電位感知イオンに対するFRET相手として機能する第二蛍光分子(クマリン(CC2‐DMPE))を介して、レシオメトリック蛍光読出に変換される。検定を作動させるために、チャンネルは開放状態で薬理学的に保持されねばならない。これは、デルタメトリン(NaV1.8に関して)またはベラトリジン(TTX‐Sチャンネルに関するSHSY‐5Y検定のため)で細胞を処理することにより、達成される。
【0129】
細胞保持:
ヒトNaV1.8細胞を、5%CO2保湿インキュベーター中で、T225フラスコ中で約70%集密に増殖させた。培地組成物は、DMEM/F‐12、10%FCSおよび300 μg/mlゲネチシンで構成された。予定の必要性によって1:5〜1:20の細胞解離流体を用いてそれらを分割し、3〜4日間増殖させた後、次の分割を行なった。
【0130】
プロトコール:
1日目:
HEK‐Nav1.8細胞(100 μl/ウエル)をプレートからポリ‐D‐リシン被覆プレート中に取り出した後、以下の実験を実施する:24時間@3.5×104細胞/ウエル(3.5×104細胞/ml)または選択の技法を用いる。
【0131】
2日目:VIPR検定
1.実験前に、室温で2時間または37℃で30分間、緩衝液を平衡させる。
2.クマリン染料を調製し(下記参照)、そして暗所で保存する。Na+不含緩衝液を含有するプレート洗浄液で始めて、細胞を2回洗浄する。注:洗浄液沈積物を〜30 μlの残留緩衝液/ウエルで平板培養する。100 μLのクマリン(CC2‐DMPE)溶液(付録参照)を細胞に付加し、明光を避けながら室温で45分間インキュベートする。
3.オキソノール(DiSBAC2(3))染料を調製する(下記参照);
4.Na+不含緩衝液中で洗浄することにより、細胞からクマリン溶液を吸引する。
5.30 μlの化合物を付加する(付加プレートと呼ぶ)。30 μlのオキソノール溶液を細胞に付加し、暗所で室温で45分間インキュベートする(全ウエル容積〜90 μl)。
6.一旦インキュベーションが完了したら、ナトリウム逆付加膜電位に関してVIPRを用いて細胞を検定する準備ができる。
【0132】
データを分析し、460 nmおよび580 nmチャンネル中で測定した強度の正規比率として報告した。これらの比率の算定方法を、以下のように実施した。付加プレートは、細胞プレート中に用いたものと同一のDisBAC2(3)濃度を有する対照溶液を含入したが、しかしながらバックグラウンドプレート中には細胞は含まれなかった。各波長での強度値を、試料点5〜7(初期)および44〜49(最終)に関して平均した。これらの平均を、全検定ウエルにおいて同一時間の間で平均化した強度値から差し引いた。試料3〜8から得た初期比率(Ri)および試料45〜50から得た最終比率(Rf)を以下に示す:
【0133】
【数1】

【0134】
【数2】

【0135】
最終データを各ウエルの出発比率に対して正規化して、Rf/Riとして報告する。VIPR生成データのために意図されたコンピューター化特定プログラムを用いて、この分析を実施する。
エクセルLabstats(曲線適合)Rf/Ri比値をプロットし、あるいはECADAにより分析して、各化合物に関するIC50値を確定する。
【0136】
【表1】

【0137】
【表2】

【0138】
【表3】

【0139】
TTX‐S検定
ネイティブSHSY‐5Y細胞株で、TTX‐S検定を実施した。これらの細胞は、多数のテトロドトキシン感受性電位作動型ナトリウムチャンネル(例えばNaV1.2、NaV1.3およびNaV1.7)を発現する。NaV1.8検定に関して上で詳述した手法に従ったが、但し、50 μMの最終検定濃度で、ナトリウムチャンネルのオープナーとして検定においてデルタメトリンの代わりにベラトリジンを用いた。
【0140】
式(I)のピリジン誘導体はすべて、以下に提示する一般的方法に記載される手法により、あるいは実施例の節および調製の節に記載される特定方法により、あるいはそのルーチン変法により、調製され得る。本発明は、そこで用いられる任意の新規の中間体のほかに、式(I)のピリジン誘導体を調製するためのこれらの方法のうちのいずれか1つまたは複数も包含する。
【0141】
以下の一般的方法において、R1、R2およびnは、別記しない限り、式(I)のピリジン誘導体に関して前記したものと同様である。
第一の方法によれば、式(I)のピリジン誘導体は、スキーム1に例示したように、式(VI)または(VII)の化合物から調製され得る。
【0142】
【化2】

(式中、Xは、適切な脱離基、例えばトリフルオロメタンスルホニル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードであり;
PGは、適切な保護基、例えばtert‐ブトキシカルボニル、N‐ベンジルオキシカルボニル、tert‐ブチルカルボニルまたはメチルカルボニルであり;
3は、適切なエステル基、例えば(C1〜C6)アルキル、ベンジルであり;
Mは、水素またはアルカリ金属であり;そして
1は、適切なカップリング基、例えばスタンナン、ボランまたはボロン酸、金属または金属ハロゲン化物である)。
【0143】
式(III)の化合物は、25〜50℃の温度で5〜18時間、ジクロロメタンまたはジオキサンのような適切な溶媒中で、任意に酸受容体の存在下で、適切な酸塩化物または無水物との反応により、式(II)の化合物から調製され得る。PGは、適切には、tert‐ブトキシカルボニル、N‐ベンジルオキシカルボニル、tert‐ブチルカルボニルまたはメチルカルボニル、好ましくはtert‐ブチルカルボニルまたはメチルカルボニル、最も好ましくはメチルカルボニルである。
【0144】
PGがメチルカルボニルである場合、典型的条件は、Bioorg. Med. Chem. 9, 2061-2071, 2001に記載されたものと同様であり、そして50℃で18時間、ジオキサン中に1.0当量の化合物(II)および余分量の無水酢酸を含む。
【0145】
式(IV)の化合物は、65〜75℃の温度で3〜18時間、水または水都ピリジンのような適切な溶媒中で、適切な酸化剤、例えば過マンガン酸カリウムまたは二クロム酸ナトリウムを用いた酸化により、式(III)の化合物から調製され得る。典型的条件は、75℃で18時間、水およびピリジンの混合物中に、1.0当量の化合物(III)および2.0〜6.0当量の過マンガン酸カリウムを含む。
【0146】
式(V)の化合物は、J. Org. Chem. 61, 4623-4633, 1996に記載されたように、あるいは適切な酸、例えば濃塩酸または濃硫酸の存在下で、適切なアルコールを用いてアルキル化し、還流下で18〜72時間加熱することにより、式(IV)の化合物から調製され得る。アミン保護基(PG)の除去は、これらの条件下で共存的に起こる。典型的条件は、還流下で48時間加熱される濃硫酸の存在下で、1.0当量の化合物(IV)および余分量のメタノールを含む。
【0147】
あるいは一般式(V)の化合物は、ステップiiおよびiiiの組合せにより、一般式(III)の化合物から調製され得る。典型的条件は、75℃で18時間、水およびピリジンの混合物中に、1.0当量の化合物(III)および2.0〜6.0当量の過マンガン酸カリウムからなる。真空濃縮後にメタノールおよび濃硫酸を付加視、還流下で48時間加熱して、所望の生成物を得る。
【0148】
式(VI)の化合物は、適切な溶媒、例えばジクロロメタンあるいはテトラヒドロフラン/ROHの混合物中で、25℃〜還流温度で、18〜72時間、式(V)の化合物とアミンNH21との反応により調製され得る。典型的条件は、25〜80℃で18〜72時間、テトラヒドロフラン/メタノール中の1.0当量の化合物(V)および5.0〜10.0当量のNH21からなる。
【0149】
あるいはこの反応は、マイクロ波を用いて高温でも実行され得る。典型的条件は、130℃で30分間、テトラヒドロフラン/メタノール中の1.0当量のNH21からなり、その後、室温で72時間撹拌する。
【0150】
式(VII)の化合物は、適切な触媒系(例えばパラジウムまたはニッケル触媒)および余分量の適切な塩基、例えば炭酸カリウム、フッ化カリウムまたはトリエチルアミンの存在下で、適切な溶媒、例えばジオキサンまたはテトラヒドロフラン中で、25℃〜還流温度で1〜18時間、式(VIII)(式中、M1は適切にはトリアルキルスタンナン、ジヒドロキシボラン、ジアルコキシボラン、リチウム、ハロマグネシウムまたはハロ亜鉛、好ましくはジヒドロキシボランである)の化合物との交差カップリング反応により、式(V)の化合物から調製され得る。典型的条件は、周囲温度で18時間、テトラヒドロフラン中の1.0当量の化合物(V)、1.0〜1.1当量の適切なボロン酸、例えばベンゼンボロン酸または2,3,5‐トリクロロベンゼンボロン酸、3.2〜3.3当量のフッ化カリウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(触媒)およびビス(トリ‐tert‐ブチルホスフィン)パラジウム(0)(触媒的)から成る。
【0151】
用いられる触媒の種類は、M1基の性質、用いられる基質等によっている、と当業者は理解する。このようなカップリング反応の例としては、”Metal Catalysed cross-coupling reactions”, edited by F. Diederich, Wiley-VCH 1998およびその中の参照文献に記載されているようないわゆる「鈴木」条件、「スティル」条件または「根岸」条件が挙げられる。
【0152】
式(I)のピリジン誘導体は、式(VIII)の化合物との交差カップリング反応により、式(VI)の化合物から調製され得る。反応条件は、方法ステップvに関して上記したものと同様である。
【0153】
あるいは式(I)のピリジン誘導体は、式(VII)の化合物とアミンNH21との反応により調製され得る。反応条件は、方法ステップivに関して上記したものと同様である。
【0154】
上記の一般的方法を参照すると、保護基が存在する場合、これらは一般に同様の性質を有する他の保護基と互換性があり、例えばアミンがtert‐ブトキシカルボニル基で保護されていると記載される場合、これは任意の適切なアミン保護基と容易に相互交換され得る、ということが当業者に容易に理解される。適切な保護基は、’Protective Groups in Organic Synthesis’ by T. Greene and P. Wuts (3rd edition, 1999, John Wiley and Sons)に記載されている。
【0155】
本発明は、上記のような式(V)、(VI)および(VII)、そのすべての塩、溶媒和物および錯体、ならびに式(I)のピリジン誘導体に関して本明細書中に上記したようなそのすべての溶媒和物および錯体にも関する。本発明は、上記の種のすべての多型体およびその結晶癖を含む。
【0156】
本発明に従って式(I)のピリジン誘導体を調製する場合、この目的のための特徴の最良の組合せを提供する式(V)、(VI)または(VII)の化合物の形態をルーチンに選択することは、当業者に周知である。このような特徴としては、融点、溶解度、処理可能性および中間体形態の生成、ならびにその結果生じる単離時に生成物が精製され得る容易さが挙げられる。
以下の実施例は、式(I)のピリジン誘導体の調製を例証する。
【実施例】
【0157】
実施例1
6‐アミノ‐5‐(2,3,5‐トリクロロ‐フェニル)‐ピリジン‐2‐カルボン酸メチルアミド
【化3】

テトラヒドロフラン(11 mL)中のビス(トリ‐tert‐ブチルホスフィン)パラジウム(0)(135 mg, 0.27 mmol)の溶液を、テトラヒドロフラン(27 mL)中の調製4の生成物(1.36 g, 5.92 mmol)、フッ化カリウム(1.14 g, 19.55 mmol)、2,3,5‐トリクロロベンゼンボロン酸(1.46 g, 6.51 mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(81 mg, 0.09 mmol)の混合物に付加し、反応混合物を窒素下で室温で18時間撹拌した。次に混合物をアーボセル(登録商標)を通して濾過し、テトラヒドロフランで洗浄した。濾液を真空濃縮し、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、ヘプタン:酢酸エチル50:50で溶離して、表題化合物を白色固体として収率80%(1.57 g)で得た。
【化4】

微量分析:C1310Cl33O理論値:C47.23;H3.05;N12.71;実測値C47.15;H3.18;N12.55。
【0158】
実施例2
6‐アミノ‐5‐(2,3,5‐トリクロロ‐フェニル)‐ピリジン‐2‐カルボン酸(2‐ピペリジン‐1‐イル‐エチル)‐アミド
【化5】

テトラヒドロフラン(2.4 mL)中の1‐(2‐アミノエチル)ピペリジン(0.60 g, 4.71 mmol)の溶液を、メタノール(4 mL)およびテトラヒドロフラン(2 mL)中の調製3の生成物(0.16 g, 0.47 mmol)の懸濁液に付加し、混合物を50℃で72時間加熱した。次に反応混合物を真空濃縮し、残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジクロロメタン:メタノール90:10で溶離して、表題化合物を黄色固体として収率92%(0.19 g)で得た。
【化6】

微量分析:C1921Cl34O0.5H2O理論値:C52.25;H5.08;N12.83;実測値C52.52;H4.96;N12.87。
【0159】
実施例3
6‐アミノ‐5‐(2,3,5‐トリクロロ‐フェニル)‐ピリジン‐2‐カルボン酸(3‐ピロリジン‐1‐イル‐プロピル)‐アミド
【化7】

実施例2と同様の方法を用いて、調製3の生成物および1‐(3‐アミノプロピル)ピロリジンから、表題化合物を調製した。粗生成物を、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア90:10:1で溶離し、その後、ジエチルエーテルで粉砕して、所望の生成物を収率60%(61.5 mg)で得た。
【化8】

微量分析:C1921Cl34O0.5H2O理論値:C52.25;H5.08;N12.83;実測値C52.02;H4.86;N12.61。
【0160】
実施例4
6‐アミノ‐5‐(2,3,5‐トリクロロ‐フェニル)‐ピリジン‐2‐カルボン酸(3‐モルホリン‐4‐イル‐プロピル)‐アミド
【化9】

メタノール(0.5 mL)中の2‐(4‐モルホリノ)プロピルアミン(87 mg, 0.6 mmol)の溶液を、テトラヒドロフラン(0.5 mL)中の調製3の生成物(20 mg, 0.06 mmol)の溶液に付加し、混合物を室温で72時間撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジクロロメタン:メタノール90:10で溶離して、表題化合物を収率71%(19 mg)で得た。
【化10】

【0161】
実施例5
6‐アミノ‐5‐(2,3,5‐トリクロロ‐フェニル)‐ピリジン‐2‐カルボン酸(2‐ピロリジン‐1‐イル‐エチル)‐アミド
【化11】

テトラヒドロフラン(0.5 mL)およびメタノール(0.5 mL)中の1調製3の生成物(20 mg, 0.06 mmol)および1‐(2‐アミノエチル)ピロリジン(69 mg, 0.6 mmol)の混合物をマイクロ波管中に入れて、130℃で30分間、マイクロ波中で加熱した。次に混合物を室温で72時間撹拌後、溶媒を減圧下で蒸発させた。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジクロロメタン:メタノール90:10で溶離して、表題化合物を収率88%(22 mg)で得た。
【化12】

【0162】
実施例6
6‐アミノ‐5‐(2,3,5‐トリクロロ‐フェニル)‐ピリジン‐2‐カルボン酸(3‐イミダゾール‐1‐イル‐プロピル)‐アミド
【化13】

1‐(3‐アミノプロピル)イミダゾール(0.28 mL, 2.42 mmol)を、テトラヒドロフラン(4 mL)およびメタノール(0.5 mL)中の調製3の生成物(122.6 mg, 0.37 mmol)の溶液に付加し、混合物を65℃で18時間、そして75℃で72時間加熱した。次に反応混合物を真空濃縮し、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア90:10:0.1で溶離し、その後ジクロロメタン/ジエチルエーテル中で粉砕して、表題化合物を白色固体として収率70%(110 mg)で得た。
【化14】

微量分析:C1816Cl35O0.25H2O理論値:C50.37;H3.87;N16.32;実測値C50.36;H3.84;N16.15。
【0163】
調製1
N‐(3‐ブロモ‐6‐メチル‐ピリジン‐2‐イル)‐アセトアミド
【化15】

無水酢酸(21 mL, 223 mmol)を、ジオキサン(50 mL)中の2‐アミノ‐3‐ブロモ‐6‐ピコリン(10 g, 53.46 mmol)の溶液に付加し、混合物を50℃Cで18時間撹拌した。次に溶媒を減圧下で蒸発させて、残渣を飽和炭酸水素ナトリウム(150 mL)で希釈した。沈殿を濾し取り、水で洗浄し、ジクロロメタン中に再溶解して、濾液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpH7に中和し、ジクロロメタン(3×100 mL)で抽出した。有機溶液を併合し、水で洗浄して、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空濃縮して、白色固体を得た。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより固体を精製し、酢酸エチル:ヘプタン75:25で溶離して、表題化合物を白色固体として収率75%(9.2 g)で得た。
【化16】

微量分析:C89BrN2O理論値:C41.95;H3.96;N12.23;実測値C41.92;H3.91;N12.16。
【0164】
調製2
6‐アミノ‐5‐ブロモ‐ピリジン‐2‐カルボン酸メチルエステル
【化17】

過マンガン酸カリウム(9.77 g, 61.81 mmol)を、水(100 mL)およびピリジン(8 滴)中の調製1の生成物(4.8 g, 20.95 mmol)の溶液に一部ずつ付加し、混合物を75℃で18時間加熱した。次にさらなる過マンガン酸カリウム(3.31 g, 61.81 mmol)を混合物に付加し、75℃で18時間撹拌し続けた。次に反応混合物をセライト(登録商標)を通して濾過し、濾液を酢酸エチル(6×50 mL)で洗浄した。水溶液を真空濃縮して淡黄色固体を得て、これを50℃でトルエン(5×50 mL)と共沸させて、粗製カリウム塩を中間体として得た。次に中間体をメタノール(400 mL)中に溶解し、還流下で加熱した。濃硫酸(5 mL)を混合物に付加し、2日間加熱を継続した。次に溶媒を減圧下で蒸発させて、残渣を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(150 mL)でpH8の塩基性にして、ジクロロメタン(3×50 mL)で抽出した。併合有機溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空濃縮して、表題化合物を淡黄色固体として収率34%(1.65 g)で得た。
【化18】

微量分析:C77BrN22理論値:C36.39;H3.05;N12.12;実測値C36.24;H3.08;N11.94。
【0165】
調製3
6‐アミノ‐5‐(2,3,5‐トリクロロ‐フェニル)‐ピリジン‐2‐カルボン酸メチルエステル
【化19】

テトラヒドロフラン(2 mL)中のビス(トリ‐tert‐ブチルホスフィン)パラジウム(0)(9.3 mg, 0.18 mmol)の溶液を、テトラヒドロフラン(4 mL)中の調製2の生成物(0.21 g, 0.90 mmol)、フッ化カリウム(0.17 g, 2.86 mmol)、2,3,5‐トリクロロベンゼンボロン酸(0.21 g, 0.95 mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(9.3 mg, 触媒量)の混合物に付加し、反応混合物を窒素下で室温で18時間撹拌した。次に混合物をジエチルエーテルで希釈し、アーボセル(登録商標)を通して濾過し、さらなるジエチルエーテルで洗浄した。濾液を真空濃縮し、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、ヘプタン:酢酸エチル66:33で溶離して、表題化合物を白色固体として収率83%(0.25 g)で得た。
【化20】

微量分析:C139Cl322理論値:C47.09;H2.74;N8.45;実測値C47.05;H2.80;N8.51。
【0166】
調製4
6‐アミノ‐5‐ブロモ‐ピリジン‐2‐カルボン酸メチルアミド
【化21】

メチルアミン(テトラヒドロフラン中2 M, 36.8 mL, 73.64 mmol)を、メタノール(10 mL)中の調製2の生成物(1.70 g, 7.36 mmol)の懸濁液に付加し、混合物を室温で18時間撹拌した。次に反応混合物を真空濃縮して、残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製して、酢酸エチル:ヘプタン75:25で溶離して、表題化合物を固体として収率96%(1.63 g)で得た。
【化22】

微量分析:C78BrN3O理論値:C36.55;H3.50;N18.26;実測値C36.50;H3.47;N18.12。
【0167】
1H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、すべての場合に、提示構造と一致した。特徴的化学シフト(δ)を、主ピークの呼称に関する慣用的略号を用いて、テトラメチルシランからのppm低磁場で示す:例えばs、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;br、広幅。電気スプレー電離(ESI)または大気圧化学電離(APCI)を用いて、質量スペクトル(m/z)を記録した。以下の略号を共通溶媒のために用いた:CD3OD、重水素メタノール;THF、テトラヒドロフラン。「アンモニア」とは、0.88の比重を有する水中のアンモニアの濃縮溶液を指す。
【0168】
Emrys CreatorまたはEmrys Liberator(ともに供給元Personal Chemistry Ltd.)を用いて、マイクロ波照射を提供した。電力範囲は、2.45 GHzで15〜300 Wである。供給される実電力は、一定温度を保持するために反応の経過中に変化する。
【0169】
実施例の化合物はすべて、34〜38ページに記載した検定で試験し、10 μM未満のNaV1.8チャンネルに対する親和性を有することが判明した。特に実施例1および7は、それぞれ2.04および5.48の結合親和性を有した。
【0170】
実施例の化合物はすべて、38ページに記載した試験方法を用いて、TTX‐Sナトリウムチャンネルを少なくとも2倍上回るNaV1.8チャンネルに対する選択性を有することが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式:
【化1】

(式中、R1は、Het1、Het2または(C3〜C7)シクロアルキルで任意に置換される(C1〜C6)アルキルであり(ここで、前記Het1、Het2および(C3〜C7)シクロアルキルは、(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルコキシおよびハロ(C1〜C4)アルキルから各々独立して選択される1つまたは複数の置換基により環炭素原子上で任意に置換される);
2は、各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから選択され;
nは、1、2または3であり;
Het1は、窒素、酸素およびイオウから各々独立して選択される1または2個の異種原子環成員を含む5または6員飽和または部分的不飽和複素環式基であり、前記環窒素原子は任意に(C1〜C4)アルキル置換基を保有し、そして前記環イオウ原子は任意に1または2個の酸素原子を保有し;そして
Het2は、(a)1〜4個の窒素原子、あるいは(b)1個の酸素または1個のイオウ原子および0、1または2個の窒素原子を含む5または6員へテロアリール基である)
の化合物、あるいはその製薬上許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項2】
各R2がクロロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが3である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
2基がフェニル環上の2、3および5位にある、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
1がピペリジニル、イミダゾリル、モルホリニル、ピペラジニルまたはピロリジニルで任意に置換される(C1〜C6)アルキルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
1がメチルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項で定義される式(I)の化合物またはその製薬上許容可能な塩または溶媒和物を、1つまたは複数の製薬上許容可能な賦形剤と一緒に含む製剤組成物。
【請求項8】
薬剤として用いるための請求項1〜6のいずれか一項で定義される式(I)の化合物あるいはその製薬上許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項9】
NaV1.8チャンネルモジュレーターが指示される疾患または症状の治療のための薬剤の製造のための請求項1〜6および7のいずれか一項で定義される式(I)の化合物あるいはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物または組成物の使用。
【請求項10】
疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、内臓痛、侵害受容性疼痛、多発性硬化症、神経変性障害、過敏性腸症候群、骨関節炎、慢性関節リウマチ、神経病理学的障害、機能性腸障害、炎症性腸疾患、月経困難症に関連した疼痛、骨盤疼痛、膀胱炎、膵炎、片頭痛、群発性および緊張性頭痛、糖尿病性神経障害、坐骨神経痛、繊維筋痛および灼熱痛からなる群から選択される疾患または症状の治療のための薬剤の製造のための請求項1〜6および7のいずれか一項で定義される式(I)の化合物あるいはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物または組成物の使用。
【請求項11】
疾患または症状が疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害性疼痛および骨関節炎から成る群から選択される、請求項10記載の使用。
【請求項12】
NaV1.8チャンネルモジュレーターが哺乳類、例えばヒトにおいて指示される疾患または症状の治療方法であって、このような治療を必要とする哺乳類に有効量の請求項1〜6および7のいずれか一項で定義される式(I)の化合物あるいはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物または組成物を投与することを包含する方法。
【請求項13】
疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、内臓痛、侵害受容性疼痛、多発性硬化症、神経変性障害、過敏性腸症候群、骨関節炎、慢性関節リウマチ、神経病理学的障害、機能性腸障害、炎症性腸疾患、月経困難症に関連した疼痛、骨盤疼痛、膀胱炎、膵炎、片頭痛、群発性および緊張性頭痛、糖尿病性神経障害、坐骨神経痛、繊維筋痛および灼熱痛からなる群から選択される疾患または症状の治療方法であって、このような治療を必要とする哺乳類に有効量の請求項1〜6および7のいずれか一項で定義される式(I)の化合物あるいはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物または組成物を投与することを包含する方法。
【請求項14】
疾患または症状が疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害性疼痛および骨関節炎から成る群から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜6のいずれか一項で定義される式(I)の化合物あるいはその製薬上許容可能な塩または溶媒和物ならびに別の薬理学的に活性な作用物質の併合薬。

【公表番号】特表2008−507503(P2008−507503A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522066(P2007−522066)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【特許番号】特許第4056081号(P4056081)
【特許公報発行日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002214
【国際公開番号】WO2006/011050
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】