説明

ピリダジノン誘導体及びそれらを有効成分とするPDE阻害剤

【課題】ホスホジエステラーゼ阻害作用を有する医薬品として有用な新規ピリダジノン誘導体の提供。
【解決手段】一般式(1)


[式中、Heterocycleはベンゾオキサゾール環又はベンゾチアゾール環を表わす。]で表されるピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤として有用なピリダジノン誘導体、その塩及び水和物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は生体内のセカンドメッセンジャーであるcyclic AMP(cAMP)、及びcyclic GMP(cGMP)を分解する酵素である。現在までに、PDEは1〜11までのタイプが見つかっており、タイプ毎にcAMPを特異的に分解するか、cGMPを特異的に分解するかあるいは両方を分解するかが決まっている。各タイプのPDE組織分布には差がみられ、臓器の種類により、様々なタイプのPDEにより細胞反応がコントロールされていると考えられている。
PDE阻害剤の開発はこれまでに数多く行われており、例えばPDE3阻害剤は狭心症、心不全、高血圧症などの治療薬や血小板凝集抑制薬あるいは抗喘息薬として、またPDE4阻害剤は気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、炎症性大腸炎、アルツハイマー、認知症、パーキンソン病、うつ病などの治療薬として期待されている。PDE5阻害剤は男性性機能障害治療薬としてすでに臨床において利用されている。さらに最近ではPDE10A modulatorとして、minocyclineをハンチントン病患者に試用して有効であったという報告があり(特許文献1)、PDE10阻害剤がハンチントン、アルツハイマー、認知症、パーキンソン病、精神分裂症などの各種精神障害治療薬として有効であることを示した公開特許公報も開示されてきている(特許文献2)。また、肥満やメタボリックシンドロームに対しても有効であることを示す公開特許公報もごく最近開示された(特許文献3)。
PDE阻害剤としてはピリダジノン環を保有する化合物がいくつか報告されており(非特許文献1〜3)、中でもピリダジノンの6位にヘテロ環を連結させた化合物がPDE3阻害剤として数多く報告されている(非特許文献4)。ベンゾチアゾール環と連結させたピリダジノン誘導体は(非特許文献5、特許文献4)に、またベンゾオキサゾール環との連結化合物は(非特許文献6、特許文献5、6)に報告例がある。ベンゾフラン環やベンゾチオフェン環との連結体は(非特許文献7、特許文献7−9)に、イミダゾピリジン環については(非特許文献8、特許文献10)に報告例がある。さらにベンズイミダゾール環との連結体は非特許文献4に記載されいるmeribendan、pimobendanやUD-CG-212(CAS-108381-22-2)がある。上述したこれら既知報告化合物はいずれもピリダジノン環やジヒドロピリダジノン環部分とヘテロ環部分の連結部位が本出願化合物と異なっており、また置換基も本特許出願化合物とは異なるものである。本特許化合物の一部に最も構造的に類似した化合物が(非特許文献9)に報告されているが、イミダゾール環の2位の置換基はすべて芳香環であり本特許の請求化合物は含まれていない。

【特許文献1】WO01024781号パンフレット
【特許文献2】特開2002−363103号公報
【特許文献3】WO05120514号パンフレット
【特許文献4】特開平2−193994号公報
【特許文献5】DE 3511110号
【特許文献6】DE 3006671号
【特許文献7】WO04078751号パンフレット
【特許文献8】WO04058729号パンフレット
【特許文献9】特開昭58−183687号公報
【特許文献10】WO03097062号パンフレット
【非特許文献1】Joshua O Odingo, Expert Opin. Ther. Patents, 15773 (2005)
【非特許文献2】Peter Norman, Expert Opin. Ther. Patents, 1293 (2002)
【非特許文献3】Miles D Houslay et al., Drug Discovery Today,10 1503 (2005)
【非特許文献4】Pasola Fossa et. al., Quant. Struct.-Act.Relat., 21 267 (2002)
【非特許文献5】Nomoto Yuji et. al., Chem, Pharm. Bull., 39352 (1991)
【非特許文献6】Abou-Zeid K.A.M. et. al., Egyptian J. Pharm.Sci., 38 303 (1997)
【非特許文献7】Hishmat, Orchidee H et. al., Pharmazie 40460 (1985)
【非特許文献8】Colletti Steven L et. al., J. Med. Chem., 46349 (2003)
【非特許文献9】Jonas R et. al., Eur. J. Med. Chem., 28141 (1993)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、優れたホスホジエステラーゼ阻害作用を有し、かつ副作用の少ないピリダジノン誘導体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】

本発明者らは、ホスホジエステラーゼ阻害活性を有し、かつ安全性の高い化合物を創製すべく鋭意研究を重ねた結果、これまでに知られているPDE阻害剤とは構造を異にした新規なピリダジノン誘導体がPDE阻害作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0005】

即ち、本発明は
1) 一般式(1)
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を、
Heterocycleは下記一般式(2)
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基を、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。)で表される複素環化合物を、
【0010】
【化3】

【0011】
は単結合又は二重結合を示す]で表されるピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
2) 前記一般式(1)で表される化合物が、一般式(1a)
【0012】
【化4】

【0013】
[式中、Yは酸素原子又は硫黄原子を示し、R、R及び
【0014】
【化5】

【0015】
は前記定義に同じ]で表される1)記載のピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
3) 前記一般式(1)で表される化合物が、一般式(1b)
【0016】
【化6】

【0017】
[式中、R、R及び
【0018】
【化7】

【0019】
は前記定義に同じ]で表される1)記載のピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
4)前記一般式(1)で示される化合物が、
6−(7−メトキシ−2−トリフルオロメチル−3H−ベンズイミダゾール−4−イル)−4,5−ジヒドロ−5−メチル−3−(2H)−ピリダジノン、
6−(2−エチル−4−メトキシベンゾオキサゾール−7−イル)−4,5−ジヒドロ−5−メチル−3−(2H)−ピリダジノン、
6−(4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール−7−イル)−4,5−ジヒドロ−5−メチル−3−(2H)−ピリダジノン、
6−(4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾチアゾール−7−イル)−4,5−ジヒドロ−5−メチル−3−(2H)−ピリダジノン、
6−(4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾチアゾール−7−イル)−3−(2H)−ピリダジノン又は6−(2−エチル−4−メトキシベンゾオキサゾール−7−イル)−3−(2H)−ピリダジノンである請求項1記載のピリダジノン誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
5) 1)〜4)のいずれかに記載のピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物を有効成分とするPDE阻害剤。
6) 1)〜4)のいずれかに記載のピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物を有効成分とする医薬。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、新規なピリダジノン誘導体とその付加塩が優れたPDE阻害作用を有することを見出したものである。このようなPDE阻害作用を有する化合物は、狭心症、心不全、高血圧症などの治療薬や血小板凝集抑制薬あるいは気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、炎症性大腸炎、ハンチントン、アルツハイマー、認知症、パーキンソン病、うつ病、精神分裂症などの各種精神障害、肥満、メタボリックシンドローム等の予防又は治療薬、ならびに男性性機能障害治療薬として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の一般式(1)、(2)、(1a)及び(1b)中のR、Rにおいて炭素数1〜6のアルキル基とは、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などを挙げることができる。
本発明の一般式(2)、(1a)及び(1b)中のRにおいて炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基とは、全水素をフッ素原子で置換した炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。
本発明の一般式(2)中のRにおいて炭素数1〜6のアルコキシ基とは、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基である。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などを挙げることができる。
本発明における薬理学的に許容される塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、クエン酸塩又は酒石酸塩のような酸付加塩が挙げられる。
【0022】
本発明によれば、一般式(1)で表される化合物のうち、Heterocycleがベンゾオキサゾール環又はベンゾチアゾール環でその7位で連結し、
【0023】
【化8】

【0024】
が単結合である化合物、即ち一般式(1a−1)
【0025】
【化9】

【0026】
[式中、R、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物は、下記合成経路Aにより製造することができる。
<合成経路A>
【0027】
【化10】

【0028】
合成経路Aで、一般式(3a−1)
【0029】
【化11】

【0030】
[式中、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(2a−1)
【0031】
【化12】

【0032】
[式中、R及びYは前述の通り]
で表される化合物と一般式(10)
【0033】
【化13】

【0034】
[式中、Rは前述の通り]
で表されるを反応させることによって製造することができる(工程A−1−1)。
反応は、パラトルエンスルホン酸、ピリジニウムパラトルエンスルホネートなどを触媒として加え、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの溶媒、好ましくはトルエンを用い加熱還流下、脱水しながら反応を行うことが望ましい。
【0035】
合成経路Aで一般式(3a−2)
【0036】
【化14】

【0037】
[式中、R、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物は一般式(2a−2)
【0038】
【化15】

【0039】
[式中、R、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物をルイス酸と処理することによって製造することができる(工程A−1−2)。
反応は、ベンゼン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、塩化メチレンなどの溶媒、好ましくはニトロメタンを用い、四塩化チタン、塩化アルミニウム、塩化スズなどのルイス酸、好ましくは四塩化チタンを用い、常温下〜80℃にて反応させることができる。
【0040】
合成経路Aで一般式(4a)
【0041】
【化16】

【0042】
[式中、R、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(3a−1)で表される化合物と一般式(11)
【0043】
【化17】

【0044】
[式中、Xはハロゲン原子を示し、Rは前述の通り]
で表される化合物を反応させることによって製造することができる(工程A−2−1)。
反応は塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、ニトロメタン、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンを溶媒として用い、塩化アルミニウム、塩化鉄、四塩化チタン、塩化スズなどのルイス酸、好ましくは塩化アルミニウムを加え、常温〜120℃までに加温して反応させることができる。
また、一般式(4a)で表される化合物は、一般式(3a−2)で表される化合物を脱水することによっても製造することができる(工程A−2−2)。
反応は、パラトルエンスルホン酸、ピリジニウムパラトルエンスルホネートなどを触媒として加え、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの溶媒、好ましくはトルエンを用い加熱還流下、脱水しながら反応を行うことが好ましい。
【0045】
合成経路Aで一般式(5a)
【0046】
【化18】

【0047】
[式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基又はベンシル基を示し、R、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(4a)で表される化合物を塩基で処理した後に、一般式(12)
【0048】
【化19】

【0049】
[式中、R及びXは前述の通り]
で表される化合物と反応させることによって製造することができる(工程A−3−1)。
反応は一般式(4a)で表される化合物を水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウム−2,2,6,6−テトラメチルピペリジド、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、カリウムビストリメチルシリルアミドを塩基として用い、THF、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどを反応溶媒として用い-78℃〜0℃にて処理した後、一般式(12)で表される化合物を反応させ徐々に常温下にまで昇温させることが好ましい。
【0050】
合成経路Aで一般式(6a)
【0051】
【化20】

【0052】
[式中、R、R、R、X及びYは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(4a)で表される化合物をハロゲン化することによって製造することができる(工程A−3−2)。
反応は、塩化スルフリル、臭素、ヨウ素、NCS(N−クロロスクシンイミド)、NBS(N−ブロモスクシンイミド)、NIS(N−ヨードスクシンイミド)、塩化第二銅、臭化第二銅又はヨウ化第二銅など、好ましくは塩化第二銅、臭化第二銅又はヨウ化第二銅を用い、酢酸エチル、THF、1,4−ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルムなどの溶媒、好ましくは酢酸エチルを用い、加熱還流下に行うことができる。
【0053】
合成経路Aで一般式(7a)
【0054】
【化21】

【0055】
[式中、R、R、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(6a)で表される化合物と一般式(13)
【0056】
【化22】

【0057】
[式中、Rは前述の通り]
で表される化合物とを塩基の存在下に作用させることによって製造することができる(工程A−4)。
反応溶媒としてTHF、DMF、1,4−ジオキサン、DMSOなどを用い、一般式(13)の化合物をナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、LDA、リチウム−2,2,6,6−テトラメチルピペリジド、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、カリウムビストリメチルシリルアミド、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの無機塩基、好ましくは水素化ナトリウムと0℃〜常温下に処理した後、一般式(6a)の化合物を常温〜加熱還流下に作用させることができる。
【0058】
合成経路Aで一般式(8a)
【0059】
【化23】

【0060】
[式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示し、R、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(4a)で表される化合物と一般式(14)
【0061】
【化24】

【0062】
[式中、Rは前述の通り]
で表される化合物を塩基の存在下に作用させることによって製造することができる(工程A−3−3)。
反応は、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの無機塩基、好ましくは水素化ナトリウムの存在下、一般式(14)の化合物を溶媒量用い、加熱還流下に行うことが好ましい。
【0063】
合成経路Aで一般式(9a)
【0064】
【化25】

【0065】
[式中、R、R、R、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(8a)で表される化合物に一般式(12)で表される化合物を塩基の存在下に反応させることによって製造することができる(工程A−5)。
反応は一般式(8a)の化合物を水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、LDA、リチウム−2,2,6,6−テトラメチルピペリジド、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、カリウムビストリメチルシリルアミドなどを塩基として用い、THF、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどを反応溶媒として用い0℃〜常温下にて処理した後、一般式(12)で表される化合物を0℃〜常温下に反応させることが好ましい。
【0066】
合成経路Aで一般式(1a−1)で表される化合物は、一般式(5a)で表される化合物を加水分解後にヒドラジン又はモノBocヒドラジンと作用させるか、直接ヒドラジンと作用させることによって製造することができる(工程A−6)。
反応は加水分解を経由する場合、エタノール、メタノール、THF、1,4−ジオキサンなどを溶媒として用い、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液などの塩基を、0℃〜常温下に作用させることが好ましい。また、Rがt−ブチル基の場合、トリフルオロ酢酸を用いて無溶媒下もしくは塩化メチレン溶媒下に加水分解することが好ましい。得られた加水分解体はエタノール、ベンゼン、トルエン、酢酸などの反応溶媒、好ましくはエタノールを用い、常温もしくは加熱還流下にヒドラジン、ヒドラジン塩酸塩、ヒドラジン酢酸塩又はモノBocヒドラジンと反応させることができる。また一般式(5a)で表される化合物を直接ヒドラジンと反応させる場合には、メタノールやエタノールなどの溶媒中、酢酸を触媒量添加し常温〜加熱下に行うか、酢酸溶媒中、常温〜加熱下に行うことが好ましい。
また、一般式(1a−1)で表される化合物は、一般式(7a)で表される化合物を加水分解後にヒドラジン又はモノBocヒドラジンと作用させることによっても製造することができる(工程A−7)。
反応は水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用い、メタノール、エタノール、THF、DMF、DMSOなどの反応溶媒を用い、常温下に加水分解を行った後、酸性にすることによって脱炭酸させることができる。また、脱炭酸が不十分な場合は得られたジカルボン酸をメタノールやエタノールに溶解させ加熱還流することによって脱炭酸を完了させることができる。引き続く環化反応は上述したようにエタノール、ベンゼン、トルエン、酢酸などの反応溶媒、好ましくはエタノールを用い、常温もしくは加熱還流下にヒドラジン、ヒドラジン塩酸塩、ヒドラジン酢酸塩又はモノBocヒドラジンと反応させることができる。
【0067】
さらに、一般式(1a−1)で表される化合物は、一般式(9a)で表される化合物を加水分解後にヒドラジン又はモノBocヒドラジンと作用させることによっても製造することができる(工程A−8)。
反応は、酸性条件の場合、塩酸又は臭化水素酸中にて80℃〜100℃に加熱して反応を行うことができる。アルカリ性条件の場合、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用い、メタノール、エタノール、THF、DMF又はDMSOなどの反応溶媒を用い、常温下に加水分解を行った後、酸性にすることによって脱炭酸させることができる。その後、環化反応は上述したようにエタノール、ベンゼン、トルエン、酢酸などの反応溶媒、好ましくはエタノールを用い、常温もしくは加熱還流下にヒドラジン、ヒドラジン塩酸塩、ヒドラジン酢酸塩又はモノBocヒドラジンと反応させることができる。
【0068】
一般式(1)で表される化合物のうち、Heterocycleがイミダゾール環で、その7位で連結し、
【0069】
【化26】

【0070】
が単結合である化合物、即ち一般式(1b−1)
【0071】
【化27】

【0072】
[式中、R、R及びRは前述の通り]
で表される化合物は、下記合成経路Bにより製造することができる。
<合成経路B>
【0073】
【化28】

【0074】
合成経路Bで、一般式(3b)
【0075】
【化29】

【0076】
[式中、R及びRは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(2b)
【0077】
【化30】

【0078】
[式中、Rは前述の通り]
で表される化合物を一般式(10)で表される化合物と反応させることによって製造することができる(工程B−1)。
反応は、一般式(10)で表される化合物を溶媒量用い、加熱還流下に反応させることが望ましい。
【0079】
合成経路Bで一般式(4b)
【0080】
【化31】

【0081】
[式中、R、R及びXは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(3b)で表される化合物をハロゲン化することによって製造することができる(工程B−2)。
反応は、NCS、NBS、NISなどをハロゲン化剤として用い、溶媒は塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などを用い常温下に行うことができる。
【0082】
合成経路Bで一般式(5b)
【0083】
【化32】

【0084】
[式中、R、R及びRは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(4b)で表される化合物を有機金属試薬と処理した後、一般式(11)で表される化合物、または一般式(15)
【0085】
【化33】

【0086】
[式中、Rは前述の通り]
で表される化合物と反応させることによって製造することができる(工程B−3)。
反応は、一般式(4b)で表される化合物をTHF、エーテル、1,4−ジオキサンなどに溶解し、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムヨージド、エチルマグネシウムヨージド、イソプロピルマグネシウムヨージドなどの有機マグネシウム試薬、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、LDAなどの有機リチウム試薬、好ましくはn−ブチルリチウムを用い、-78℃〜0℃にて反応させた後、一般式(11)または(15)の化合物を作用させ徐々に常温下にまで昇温させることが好ましい。
【0087】
合成経路Bで一般式(6b)
【0088】
【化34】

【0089】
[式中、R、R、R及びRは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(5b)で表される化合物を塩基で処理した後に、一般式(12)で表される化合物と反応させることによって製造することができる(工程B−4−1)。
反応は、工程A−3−1と同様に行うことができる。
【0090】
合成経路Bで一般式(7b)
【0091】
【化35】

【0092】
[式中、R、R、R及びXは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(5b)で表される化合物をハロゲン化することによって製造することができる(工程B−4−2)。
反応は、工程A−3−2と同様に行うことができる。
【0093】
合成経路Bで一般式(8b)
【0094】
【化36】

【0095】
[式中、R、R、R及びRは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(7b)で表される化合物に一般式(13)で表される化合物と塩基の存在下に作用させることによって製造することができる(工程B−5)。
反応は、工程A−4と同様に行うことができる。
【0096】
合成経路Bで一般式(9b)
【0097】
【化37】

【0098】
[式中、R、R、R及びRは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(5b)で表されると一般式(14)で表される化合物を塩基の存在下に作用させることによって製造することができる(工程B−4−3)。
反応は、工程A−3−3と同様に行うことができる。
【0099】
合成経路Bで一般式(10b)
【0100】
【化38】

【0101】
[式中、R、R、R、R及びRは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(9b)で表される化合物に一般式(12)で表される化合物を塩基の存在下に反応させることによって製造することができる(工程B−6)。
反応は、工程A−5と同様に行うことができる。
【0102】
合成経路Bで一般式(1b−1)で表される化合物は、一般式(6b)で表される化合物を加水分解後にヒドラジン又はモノBocヒドラジンと作用させるか、直接ヒドラジンと作用させることによって製造することができる(工程B−7)。
反応は、工程A−6と同様に行うことができる。
また、一般式(8b)で表される化合物を加水分解後にヒドラジン又はモノBocヒドラジンと作用させることによっても製造することができる(工程B−8)。
反応は、工程A−7と同様に行うことができる。
さらに一般式(10b)で表される化合物を加水分解後にヒドラジン又モノBocヒドラジンと作用させることによっても製造することができる(工程B−9)。
反応は、工程A−8と同様に行うことができる。
【0103】
一般式(1)で表される化合物のうち、Heterocycleがベンゾオキサゾール環又はベンゾチアゾール環でその4位で連結し、
【0104】
【化39】

【0105】
が単結合である化合物、即ち一般式(1c−1)
【0106】
【化40】

【0107】
[式中、R、R、Rは及びYは前述の通り]
で表される化合物は、下記合成経路Cにより製造することができる。
<合成経路C>
【0108】
【化41】

【0109】
合成経路Cで、一般式(3c)
【0110】
【化42】

【0111】
[式中、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(2c)
【0112】
【化43】

【0113】
[式中、R及びYは前述の通り]
で表される化合物と一般式(10)で表される化合物とを反応させることによって製造することができる(工程C−1)。
反応は、工程A−1−1と同様に行うことができる。
【0114】
合成経路Cで一般式(4c)
【0115】
【化44】

【0116】
[式中、R、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(3c)で表される化合物と一般式(11)で表される化合物を反応させることによって製造することができる(工程C−2)。
反応は、工程A−2−1と同様に行うことができる。
【0117】
合成経路Cで一般式(5c)
【0118】
【化45】

【0119】
[式中、R、R、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(4c)で表される化合物を塩基で処理した後に、一般式(12)で表される化合物と反応させることによって製造することができる(工程C−3−1)。
反応は、工程A−3−1と同様に行うことができる。
合成経路Cで一般式(6c)
【0120】
【化46】

【0121】
[式中、R、R、R、X及びYは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(4c)で表される化合物をハロゲン化することによって製造することができる(工程C−3−2)。
反応は、工程A−3−2と同様に行うことができる。
【0122】
合成経路Cで一般式(7c)
【0123】
【化47】

【0124】
[式中、R、R、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(6c)で表される化合物に一般式(13)で表される化合物と塩基の存在下に作用させることによって製造することができる(工程C−4)。
反応は、工程A−4と同様に行うことができる。
【0125】
合成経路Cで一般式(8c)
【0126】
【化48】

【0127】
[式中、R、R、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(4c)で表されると一般式(14)で表される化合物を塩基の存在下に作用させることによって製造することができる(工程C−3−3)。
反応は、工程A−3−3と同様に行うことができる。
【0128】
合成経路Cで一般式(9c)
【0129】
【化49】

【0130】
[式中、R、R、R、R、R及びYは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(8c)で表される化合物に一般式(12)で表される化合物を塩基の存在下に反応させることによって製造することができる(工程C−5)。
反応は、工程A−5と同様に行うことができる。
【0131】
合成経路Cで一般式(1c−1)で表される化合物は、一般式(5c)で表される化合物を加水分解後にヒドラジン又はモノBocヒドラジンと作用させるか、直接ヒドラジンと作用させることによって製造することができる(工程C−6)。
反応は、工程A−6と同様に行うことができる。
また、一般式(1c−1)で表される化合物は、一般式(7c)で表される化合物を加水分解後にヒドラジン又はモノBocヒドラジンと作用させることによっても製造することができる(工程C−7)。
反応は、工程A−7と同様に行うことができる。
さらに、一般式(1c−1)で表される化合物は、一般式(9c)で表される化合物を加水分解後にヒドラジン又はモノBocヒドラジンと作用させることによっても製造することができる(工程C−8)。
反応は、工程A−8と同様に行うことができる。
【0132】
一般式(1)で表される化合物の中、
【0133】
【化50】

【0134】
が2重結合である化合物、即ち一般式(1d)
【0135】
【化51】

【0136】
[式中、R、Heterocycleは前述の通り]
で表される化合物は一般式(1a−1〜1c−1)の化合物、即ち一般式(1e)
【0137】
【化52】

【0138】
[式中、R、Heterocycleは前述の通り]
で表される化合物を酸化することによって製造することができる。
反応は酢酸溶媒中、臭素を作用させ50℃〜60℃にて反応させるか、アセトニトリル中、塩化銅(II)を常温〜加熱下に反応させることができる。また、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムを水酸化ナトリウム水溶液中にて常温〜加熱還流下に作用させることによっても合成することができる。
また、下記合成経路Dによっても製造することができる。
<合成経路D>
【0139】
【化53】

【0140】
合成経路Dで一般式(3d)
【0141】
【化54】

【0142】
[式中、Heterocycleは前述の通り]
で表される化合物は一般式(2d)
【0143】
【化55】

【0144】
[式中、X及びHeterocycleは前述の通り]
で表される化合物をメタル化後、一般式(16)
【0145】
【化56】

【0146】
[式中、Rは前述の通り]
で表される化合物と反応させることによって製造することができる(工程D−1)。
反応はTHF中、一般式(2d)で表される化合物をLDA、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム又はt−ブチルリチウムと-78℃にて作用させるか、あるいはマグネシウムを加えて加熱還流させた後、一般式(16)で表される化合物と-78℃〜常温にて反応させることが好ましい。
【0147】
合成経路Dで一般式(4d)
【0148】
【化57】

【0149】
[式中、R及びHeterocycleは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(3d)で表される化合物と一般式(17)
【0150】
【化58】

【0151】
[式中、R及びXは前述の通り]
で表される化合物を反応させることによって製造することができる(工程D−2)。
反応は、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウムなどのパラジウム触媒存在下、炭酸ナトリウム又は炭酸セシウムを塩基として用いTHF、ベンゼン、トルエン、キシレン、1、4−ジオキサンなどの溶媒中、80℃〜加熱還流下に行うことが好ましい。
【0152】
合成経路Dで一般式(5d)
【0153】
【化59】

【0154】
[式中、R、X及びHeterocycleは前述の通り]
で表される化合物は、一般式(3d)で表される化合物と一般式(18)
【0155】
【化60】

【0156】
[式中、R及びXは前述の通り]
で表される化合物を反応させることによって製造することができる(工程D−3)。
反応はテトラキストリフェニルフォスフィンパラジウムなどのパラジウム触媒存在下、炭酸ナトリウム又は炭酸セシウムを塩基として用いTHF、ベンゼン、トルエン、キシレン、1、4−ジオキサンなどの溶媒中、80℃〜加熱還流下に行うことが好ましい。
【0157】
合成経路Dで一般式(1d)で表される化合物は一般式(5d)で表される化合物を加水分解することによって製造することができる(工程D−5)。
反応は、酢酸中80℃〜90℃に加熱して行うことが好ましい。
また、一般式(1d)で表される化合物は、一般式(4d)で表される化合物を加水分解することによっても製造することができる(工程D−4)。
反応は、メタノール、エタノール、THFなどの溶媒中アンモニア水を作用させることによって合成することがきる。
【0158】
一般式(1e)で表される化合物は一般式(1d)で表される化合物を還元することによっても製造することができる。
反応は、酢酸溶媒中、亜鉛を加え80℃〜90℃にて行うことが好ましい。
【0159】
一般式(1)で表される化合物の中
【0160】
【化61】

【0161】
が2重結合で、Rが水素原子である化合物、即ち一般式(1f)
【0162】
【化62】

【0163】
[式中、Heterocycleは前述の通り]
で表される化合物は一般式(2f)
【0164】
【化63】

【0165】
[式中、Heterocycleは前述の通り]
で表される化合物をグリオキザロ酸と反応させた後、ヒドラジンと処理することによって製造することができる。
反応はメタノール又はエタノールを溶媒として用い、グリオキザロ酸と水酸化ナトリウム水溶液、又は水酸化カリウム水溶液を加え常温、好ましくは50℃〜80℃にて行うことが望ましい。引き続く環化反応はエタノール、ベンゼン、トルエン又は酢酸、好ましくはエタノールを反応溶媒として用い、常温もしくは好ましくは加熱還流下にヒドラジン、ヒドラジン塩酸塩又はヒドラジン酢酸塩と反応させることができる。
【0166】
実施例
次に本発明を具体例によって説明するが、これらの例によって本発明が限定されるものではない。
<実施例1>
N−t−ブトキシカルボニル−3−メトキシ−2−ニトロアニリン
【0167】
【化64】

【0168】
3−メトキシ−2−ニトロ安息香酸 (10.0 g)をt‐ブタノール(50.0 mL)に溶解し、ジフェニルホスホリルアジド(11.5 mL)及びトリエチルアミン(7.40 mL)を加え、加熱還流下にて10時間攪拌した。溶媒留去後、残渣を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、生じた固形物をヘキサンに懸濁し、濾取することで目的物(13.3 g)を黄色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.50 (9H, s), 3.90 (3H, s), 6.71
(1H, dd, J = 1.2, 8.6 Hz), 7.39 (1H, dd, J = 8.6, 8.6 Hz), 7.55
(1H, brs), 7.77 (1H, dd, J = 1.2, 8.6 Hz).
【0169】
<実施例2>
3−メトキシ−2−ニトロアニリン
【0170】
【化65】

【0171】
実施例1の化合物
(13.3 g)を塩化メチレン(100 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(20.0 mL)を加え、常温にて4時間攪拌した。溶媒留去後、残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中に注いだ。有機層を分取後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、生じた固形物をヘキサンに懸濁し、濾取することで目的物(7.55 g)を黄色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.88 (3H, s), 6.31 (1H, dd, J
= 1.2, 8.6 Hz), 7.36 (1H, dd, J = 1.2, 8.6 Hz), 7.16 (1H, dd, J =
8.6, 8.6 Hz).
【0172】
<実施例3>
2−アミノ−3−メトキシアニリン
【0173】
【化66】

【0174】
実施例2の化合物(7.75 g)を酢酸エチル(100 mL)及びエタノール(100 mL)に溶解し、酢酸を数滴加え、10%パラジウム‐活性炭(775 mg)を加え、水素雰囲気下、常温にて11時間攪拌した。セライトを用いて不溶物を濾去後、濾液を溶媒留去し、目的物(6.49 g)を茶褐色油状物として得た。これを精製せずそのまま次の反応に用いた。
【0175】
<実施例4>
4−メトキシ−2−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール
【0176】
【化67】

【0177】
氷冷下にて実施例3の化合物(6.49 g)を トリフルオロ酢酸 (75.0 mL)に溶解し、加熱還流下にて5時間攪拌した。溶媒留去後、残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中に注いだ。有機層を分取後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、生じた固体をヘキサンに懸濁し、濾取することで目的物(8.69 g)を茶褐色粉末として得た。
1H-NMR
(400 MHz, CD3OD) δ 4.01 (3H, s), 6.89 (1H, d, J = 8.0 Hz),
7.24 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.32 (1H, dd, J = 8.0, 8.0 Hz).
【0178】
<実施例5>
7−ブロモ−4−メトキシ−2−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール
【0179】
【化68】

【0180】
実施例4の化合物 (5.54 g)をクロロホルム(130 mL)に溶解し、NBS(5.02 g)を加え、常温にて2時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層を分取後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル
= 4 : 1)にて精製し、目的物(47.2 mg)を淡褐色粉末として得た。
1H-NMR
(400 MHz, CDCl3) δ 4.00 (3H, s), 6.71 (1H, d, J
= 8.6 Hz), 7.46 (1H, d, J = 8.6 Hz), 10.1 (1H, brs).
【0181】
<実施例6>
3−メトキシ−2−ニトロフェノール
【0182】
【化69】

【0183】
2−ニトロレゾルシノール(25.0 g)のDMF(500 mL)溶液に、炭酸カリウム(6.8 g)及びヨウ化メチル(11.0 mL)を加えて常温で7時間攪拌した。溶媒を減圧下に留去した後、残渣に水を加えて酢酸エチルで洗浄し、水層を塩酸で酸性とし、酢酸エチルで抽出した。抽出層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、目的物(8.78 g)を黄色油状物として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ 3.95 (3H, s), 6.54 (1H, dd, J = 1.2, 8.6 Hz), 6.71 (1H, dd, J
= 1.2, 8.6 Hz), 7.40 (1H, t, J = 8.6 Hz), 10.22 (1H, s).
【0184】
<実施例7>
2−アミノ−3−メトキシフェノール
【0185】
【化70】

【0186】
10%-パラジウム炭素(1.00 g)に、エタノール(250 mL)及び実施例6の化合物(8.78 g)を加え、水素雰囲気下、常温で2.5時間攪拌した。セライトを用いて不溶物を濾去し、濾液の溶媒を減圧下留去し、目的物(7.09 g)を黄色粉末として得た。
LRMS (EI+): 139 [M+]
1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ 3.85 (3H, s), 6.46 (1H, d, J = 7.9 Hz), 6.48 (1H, d, J
= 7.9 Hz), 7.40 (1H, t, J = 8.6 Hz), 10.22 (1H, s).
【0187】
<実施例8>
(3−メトキシ−2−プロピオニルアミノフェニル)プロピオネート
【0188】
【化71】

【0189】
実施例7の化合物(1.35 g)の塩化メチレン(50 mL)溶液に、トリエチルアミン(4.06 mL)及びプロピオニルクロリド(1.86 mL)を加えて常温で2時間攪拌した。反応液に氷水を加えて有機層を分取し、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製し、目的物(1.86 g)を赤褐色粉末として得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ 1.24 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.24 (3H, brs), 2.39 (2H, brs),
2.56 (2H, q, J = 7.3 Hz), 3.84 (3H, s), 6.65 (1H, brs), 6.77 (1H, d, J
= 8.6 Hz), 6.81 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.20-7.26 (1H, brm).
【0190】
<実施例9>
N−(2−ヒドロキシ−6−メトキシ−3−プロピオニルフェニル)プロピオナミド
【0191】
【化72】

【0192】
実施例8の化合物(4.00 g)のニトロメタン(159 mL)溶液に、四塩化チタン(5.25 mL)を加えて常温で14時間攪拌した。反応液を氷水(300 mL)と濃塩酸(10 mL)の混合液に加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、残渣をイソプロピルエーテルで洗浄し、目的物(3.39 g)を淡黄色粉末として得た。
LRMS (EI+): 251 [M+]
1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ 1.23 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.25 (3H, brs), 2.45 (2H, brs),
2.98 (2H, q, J = 7.3 Hz), 3.91 (3H, s), 6.51 (1H, d, J = 9.2 Hz),
6.62 (1H, brs), 7.71 (1H, d, J = 9.2 Hz), 12.89 (1H, brs).
【0193】
<実施例10>
4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール
【0194】
【化73】

【0195】
実施例7の化合物(2.00 g)のトルエン(53 mL)溶液に、無水トリフルオロ酢酸(2.20 mL)を加えて5時間加熱還流した。反応液にp-トルエンスルホン酸一水和物(274 mg)を加え、ディーンスタークトラップを装着して2時間加熱還流した。反応液を放冷後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、目的物(1.84 g)を淡黄色粉末として得た。
LRMS (EI+): 217 [M+]
1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ4.08 (3H, s), 6.90 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.25 (1H, d, J
= 8.6 Hz), 7.46 (1H, dd, J = 7.9, 8.6 Hz).
【0196】
<実施例11>
4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾチアゾール
【0197】
【化74】

【0198】
2−アミノ−4−メトキシベンゾチアゾール(26.2 g)と60%水酸化ナトリウム水溶液を150℃にて22時間、加熱撹拌した。冷後、氷を加え、濃塩酸にてpH5とし、沈殿物を濾去後、水層をトルエンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し粘性油状物(2.68 g)を得た。一方、先の沈殿物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてトルエンで抽出し、有機層を硫酸マグネシムで乾燥後、濃縮し同様に粘性油状物を得た。得られた油状物をあわせ、トリフルオロ酢酸(96 mL)、ポリリン酸トリメチルシリルエステル(53 mL)に溶解し、95℃にて6時間反応させた。冷後、反応液に水を加え水酸化ナトリウム水溶液にてpH8とし、塩化メチレンで抽出した。有機層を硫酸マグネシムで乾燥後、濃縮し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、目的物(3.46 g)を白色粉末として得た。
LRMS (EI+): 233 [M+]
1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ4.09 (3H, s), 7.01 (1H, dd, J = 1.5, 7.6 Hz), 7.50-7.55 (2H,
m).
【0199】
<実施例12>
7−ブロモ−4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾチアゾール
【0200】
【化75】

【0201】
実施例11の化合物(3.45 g)の酢酸溶液(25mL)に1mol/L 臭素−酢酸溶液(15.6 mL)を常温にて滴下した後、75℃にて6時間加熱撹拌した。酢酸を留去後、残渣を酢酸エチルに溶解し飽和重曹水にて洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を濃縮し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)にて精製し、目的物(8.43 g)を無色粉末として得た。
1H-NMR (200 MHz, CDCl3) δ 4.06 (3H, s), 6.91 (1H, d, J
= 8.5 Hz), 7.59 (1H, d, J = 8.5 Hz).
【0202】
<実施例13>
4−メトキシ−7−プロピオニル−2−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール
【0203】
【化76】

【0204】
アルゴンガス雰囲気下にて、実施例5の化合物(800 mg)をTHF(20.0 mL)に溶解し、-78℃にて1.58 mol/L n‐ブチルリチウム/ヘキサン溶液(3.90 mL)を滴下し、そのまま1時間攪拌した。その後、同温度にてN, N‐ジメチルプロピオンアミド(0.890 mL)を加え、常温まで昇温させながら3時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)にて精製し、目的物(342 mg)を白色粉末として得た。
LRMS (EI+) : 272 [M+].
1H-NMR
(400 MHz, CDCl3) δ 1.29 (3H, t, J = 7.3 Hz), 3.08 (2H, q, J
= 7.3 Hz), 4.15 (3H, s), 6.80 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.96 (1H, d, J
= 8.6 Hz), 11.4 (1H, brs).
【0205】
<実施例14>
2−エチル−4−メトキシ−7−プロピオニルベンゾオキサゾール
【0206】
【化77】

【0207】
実施例9の化合物(3.39 g)のトルエン(135 mL)溶液に、パラトルエンスルホン酸一水和物(257 mg)を加え、ディーンスタークトラップを装着して8時間加熱還流した。反応液を放冷後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、目的物(3.00 g)を淡黄色粉末として得た。
LRMS (EI+): 233 [M+]
1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ 1.27 (3H, d, J = 7.3 Hz), 1.49 (3H, d, J = 7.3 Hz),
3.03 (2H, q, J = 7.3 Hz), 3.15 (2H, q, J = 7.3 Hz), 4.09 (3H, s),
6.84 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.94 (1H, d, J = 8.6 Hz).
【0208】
<実施例15>
4−メトキシ−7−プロピオニル−2−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール
【0209】
【化78】

【0210】
塩化アルミニウム(2.21 g)を塩化メチレン(55 mL)に懸濁し、プロピオニルクロリド(1.45 mL)を加えた後、実施例10の化合物(1.20 g)を加えて常温で3日攪拌した。反応液に5%塩酸(30 mL)を加えた後、有機層を分取し、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、目的物(955 mg)を淡黄色粉末として得た。
LRMS (EI+): 273 [M+]
1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ1.29 (3H, t, J = 7.3 Hz), 3.17 (2H, q, J = 7.3 Hz),
4.15 (3H, s), 6.98 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.17 (1H, d, J = 8.6 Hz).
【0211】
<実施例16>
7−メトキシ−4−プロピオニル−2−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール
【0212】
【化79】

【0213】
四塩化チタン(1.0 mol/L 塩化メチレン溶液、2.90
mL)にプロピオニルクロリド(0.254 mL)を加えた後、7−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール(420 mg)の塩化メチレン(5 mL)溶液を加えて常温で2日攪拌した。反応液に5%塩酸(30 mL)を加えた後、有機層を分取し、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、目的物(422 mg)を無色粉末として得た。
LRMS (EI+): 273 [M+]
1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ1.26 (3H, t, J = 7.3 Hz), 3.39 (2H, q, J = 7.3 Hz),
4.11 (3H, s), 7.08 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.13 (1H, d, J = 8.6 Hz).
【0214】
<実施例17>
4−メトキシ−7−プロピオニル−2−トリフルオロメチルベンゾチアゾール
【0215】
【化80】

【0216】
アルゴン雰囲気下、四塩化チタン(7.46 mL)をニトロメタン(40 mL)に溶解し、プロピオニルクロリド(5.91 ml)を加えた後、ニトロメタン(30 mL)に溶解した実施例11の化合物(3.93 g)を加え、常温にて30分、75℃にて6時間攪拌した。水を加え、酢酸エチルにて3回抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濾過した。濾液の溶媒を減圧下留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1→4:1)で精製し、目的物(2.19 g)を黄色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.31 (3H, t, J = 7.3 Hz),
3.14 (2H, q, J = 7.3 Hz), 4.18 (3H, s), 7.08 (1H, d, J = 8.6 Hz),
8.20 (1H, d, J = 8.6 Hz).
【0217】
<実施例18>
7−(2−ブロモプロピオニル)−4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール
【0218】
【化81】

【0219】
実施例15の化合物(92.0 mg)の酢酸エチル(4.2 mL)溶液に臭化銅(II)(150
mg)を加えて40℃で2時間攪拌した。セライトを用いて不溶物を濾去し、酢酸エチルで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせて溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、目的物(72.3 mg)を淡黄色粉末として得た。
LRMS (EI+): 351 [M+]
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.97 (3H, d, J = 6.7 Hz), 4.18 (3H, s), 5.45 (1H, q, J
= 6.7 Hz), 7.03 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.25 (1H, d, J = 8.6 Hz).
【0220】
<実施例19>

4−(2−ブロモプロピオニル)−7−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール
【0221】
【化82】

【0222】
実施例16の化合物(20.0 mg)の酢酸エチル(1.0 mL)溶液に臭化銅(II)(32.7
mg)を加えて1時間加熱還流した。セライトを用いて不溶物を濾去し、酢酸エチルで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせて溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、目的物(24.2 mg)を無色粉末として得た。
LRMS (EI+): 351 [M+]
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.95 (3H, d, J = 6.7 Hz), 4.13 (3H, s), 6.20 (1H, q, J
= 6.7 Hz), 7.12 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.22 (1H, d, J = 8.6 Hz).
【0223】
<実施例20>
4−(7−メトキシ−2−トリフルオロメチル−3H−ベンズイミダゾール−4−イル)−3−メチル−4−オキソ酪酸t−ブチルエステル
【0224】
【化83】

【0225】
アルゴンガス雰囲気下にて、実施例13の化合物 (1.19 g)をTHF(40.0
mL)に溶解し、-78℃にてリチウムビストリメチルシリルアミド/THF溶液(1.00 mol/L, 10.1 mL)を滴下し、-20℃まで徐々に昇温させながら2時間攪拌した。その後、-78℃にてブロモ酢酸t‐ブチル(0.970
mL)を加え、常温まで昇温させながら2.5時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去後、目的物(1.93 g)を黄色粉末として得た。これを精製せずそのまま次の反応に用いた。
【0226】
<実施例21>
4−(7−メトキシ−2−トリフルオロメチル−3H−ベンズイミダゾール−4−イル)−3−メチル−4−オキソ酪酸
【0227】
【化84】

【0228】
実施例20の化合物(1.93 g, crude)を塩化メチレン(20.0 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(10.0 mL)を加え、常温にて2時間攪拌した。溶媒を減圧下留去後、残渣をエタノールで2回共沸し、目的物(2.13 g, crude)を茶褐色アモルファスとして得た。これを精製せずそのまま次の反応に用いた。
【0229】
<実施例22>
6−(7−メトキシ−2−トリフルオロメチル−3H−ベンズイミダゾール−4−イル)−4,5−ジヒドロ−5−メチル−3−(2H)−ピリダジノン
【0230】
【化85】

【0231】
実施例21の化合物(2.13 g, crude)をエタノール(30.0 mL)に溶解し、ヒドラジン一水和物(0.540 mL)を加え、1時間加熱還流した。溶媒を減圧下留去後、残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1 : 2)にて精製し、目的物(974 mg)を淡黄色粉末として得た。
HRMS (EI+) : 326.0961 (-2.9 mmu)[M+].
1H-NMR
(400 MHz, CDCl3) δ 1.33 (3H, d, J = 7.3 Hz), 2.57 (1H, d, J
= 17.1 Hz), 2.79 (1H, dd, J = 6.7, 17.1 Hz), 3.50-3.57 (1H, m), 4.11 (3H,
s), 6.81 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.55 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.79 (1H,
brs), 11.3 (1H, brs).
【0232】
<実施例23>
6−(2−エチル−4−メトキシベンゾオキサゾール−7−イル)−4,5−ジヒドロ−5−メチル−3−(2H)−ピリダジノン
【0233】
【化86】

【0234】
実施例14の化合物(946 mg)のTHF(40
mL)溶液に、氷冷下ヘキサメチルジシラザンのTHF溶液(1.00 mol/L, 4.26 mL)を加えて15分攪拌した後、ブロモ酢酸t-ブチル
(0.719 mL)を加えて0℃で1時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、粗製のエステル体(1.20 g)を淡黄色油状物として得た。得られた油状物を塩化メチレン(8 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(4 mL)を加えて常温で3時間攪拌した後、溶媒等を減圧下に留去した。残渣にトルエン(40
mL)、カルバジン酸t-ブチル(1.61 g)及びパラトルエンスルホン酸一水和物(771 mg)を加え、ディーンスタークトラップを装着して3時間還流した。反応液の溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:3)で精製し、目的物(259 mg)を淡黄色粉末として得た。
元素分析 (%) :C15H17N3O3として
C
H N
計算値 62.71 5.96 14.63
実測値 62.54 5.90 14.63
LRMS (EI+): 287 [M+]
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.31 (3H, d, J = 7.3 Hz), 1.47 (3H, t, J = 7.3 Hz),
2.52 (1H, dd, J = 1.2, 17.1 Hz), 2.79 (1H, dd, J = 6.7, 17.1 Hz),
3.00 (2H, q, J = 7.3 Hz), 3.57-3.64 (1H, m), 4.06 (3H, s), 6.83 (1H, d, J
= 8.6 Hz), 7.65 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.62 (1H, s).
【0235】
<実施例24>
6−(4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール−7−イル)−4,5−ジヒドロ−5−メチル−3−(2H)−ピリダジノン
【0236】
【化87】

【0237】
マロン酸ジt-ブチル(856 mg)のDMF(15
mL)溶液に60%水素化ナトリウム(119 mg)を加えて常温で30分攪拌した。反応液に氷冷下、実施例18の化合物(541 mg)のDMF(15 mL)溶液を加えて1時間攪拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、粗製のブチルエステル体(780 mg)を淡黄色アモルファス状粉末として得た。得られたアモルファス状粉末を塩化メチレン(10 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(5 mL)を加えて常温で1時間攪拌した後、溶媒等を減圧下に留去した。残渣にキシレン(20 mL)を加えて150℃で2時間攪拌した後、カルバジン酸t-ブチル(618 mg)及びパラトルエンスルホン酸一水和物(296 mg)を加え、ディーンスタークトラップを装着して3時間加熱還流した。反応液の溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン=3:2)で精製し、目的物(157 mg)を無色粉末として得た。
元素分析 (%) :C14H12F3N3O3として

C
H
N
計算値 51.38 3.70 12.84
実測値 51.08 3.69 12.68
LRMS (FAB+): 328 [M+H+]
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.32 (3H, d, J = 7.3 Hz), 2.55 (1H, dd, J = 1.8, 17.1
Hz), 2.80 (1H, dd, J = 6.7, 17.1 Hz), 3.51-3.59 (1H, m), 4.12 (3H, s),
6.96 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.86 (1H, d, J = 9.2 Hz), 8.65 (1H, s).
【0238】
<実施例25>
6−(7−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール−4−イル)−4,5−ジヒドロ−5−メチル−3−(2H)−ピリダジノン
【0239】
【化88】

【0240】
マロン酸ジt-ブチル(1.08 g)のDMF(20
mL)溶液に60%水素化ナトリウム(150 mg)を加えて常温で30分攪拌した。反応液に氷冷下、実施例19の化合物(684 mg)のDMF(5 mL)溶液を加えて1時間攪拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、t-ブチルエステル体(793 mg)を無色油状物として得た。得られた油状物を塩化メチレン(10 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(5 mL)を加えて常温で30分攪拌した後、溶媒等を減圧下に留去した。残渣にキシレン(30 mL)を加えて150℃で2時間攪拌した後、カルバジン酸t-ブチル(646 mg)及びパラトルエンスルホン酸一水和物(310 mg)を加え、ディーンスタークトラップを装着して2時間加熱還流した。反応液の溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:3)で精製した後、イソプロピルエーテルで洗浄し目的物(285 mg)を無色粉末として得た。
元素分析 (%) :C14H12F3N3O3として

C
H
N
計算値 51.38 3.70 12.84
実測値 51.54 3.65 12.88
LRMS (EI+): 327 [M+]
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.27 (3H, d, J = 7.3 Hz), 2.53 (1H, dd, J = 1.2, 17.1
Hz), 2.82 (1H, dd, J = 7.3, 17.1 Hz), 4.06-4.16 (1H, m), 4.09 (3H, s),
7.06 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.91 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.57 (1H, s).
【0241】
<実施例26>
6−(4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾチアゾール−7−イル)−4,5−ジヒドロ−5−メチル−3−(2H)−ピリダジノン
【0242】
【化89】

【0243】
アルゴン雰囲気下、実施例17の化合物(2.10 g)をTHF(70
mL)に懸濁し、0℃にてリチウムヘキサメチルジシラザンのTHF溶液(1.0 mol/L, 7.99 mL)を加え、0℃にて30分攪拌した後、ブロモ酢酸t-ブチル(1.38
mL)を加え、常温にて4時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、減圧下THFを留去した後、残渣を酢酸エチルで3回抽出し、抽出層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下に留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1→5:1)により精製してエステル体を得た。得られたエステル体を塩化メチレン(20 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(10 mL)を加え、常温にて1.5時間放置した。減圧下溶媒を留去後、残渣に飽和炭酸カリウム水溶液を加え、酢酸エチルで洗浄した。水層に1 mol/L塩酸を加えpH4とした後、酢酸エチルにて3回抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をエタノール(40 mL)に溶解し、ヒドラジン一水和物(1.06 mL)を加え、加熱還流下17時間攪拌した。反応液に水を加えて析出した固体を濾取し、これをアセトンに溶解して不溶物を濾去し、濾液の溶媒を減圧留去後、残渣をジイソプロピルエーテルで洗浄し目的物(460 mg)を黄色粉末として得た。
元素分析 (%) :C14H12F3N3O2S・1/10 H2Oとして

C
H
N
計算値 48.72 3.56 12.24
実測値
48.61 3.36 12.11
HRMS (ESI+) : 343.0594 (-0.8 mmu) [M+H+]
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.34 (3H, d, J = 7.3 Hz),
2.59 (1H, d, J = 17.1 Hz), 2.81 (1H, dd, J = 6.7, 17.1 Hz),
3.55-3.58 (1H, m), 4.16 (3H, s), 7.09 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.76 (1H, d, J
= 8.6 Hz), 8.68 (1H, s).
【0244】
<実施例27>
6−クロロ−5−メチルー2H−ピラダジン−3−オン
【0245】
【化90】

【0246】
3,6−ジクロロ−4−メチルピリダジン(30.6 g)を氷酢酸(800 mL)に加え、110〜115℃にて4時間撹拌した。酢酸を減圧濃縮後、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200 mL)を加え、反応液のpHを6に調整し激しく常温にて撹拌した。塩化メチレンにて抽出後、抽出液を飽和食塩水にて洗浄し硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧下に溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1%メタノール/ジクロロメタン→5%メタノール/ジクロロメタン)にて精製し、目的物(5.00 g)を無色結晶として得た。
1H-NMR (200 MHz, CDCl3-CD3OD)
δ2.20 (3H, s), 2.90 (1H, br.s), 6.82 (1H, s).
13C-NMR (50 MHz, CDCl3) δ19.8,
129.6, 141.2, 144.8, 161.9.
【0247】
<実施例28>
2,2−ジメチルプロピオン酸―3−クロロ−4−メチルー6−オキソ−6H−ピリダジンー1−イルメチルエステル
【0248】
【化91】

【0249】
アルゴン下、実施例27の化合物(2.15g)をDMF(70mL)に溶解し、炭酸カリウム(4.11g)を加え40〜50℃にて20分間撹拌した後、常温に戻しピバリン酸クロロメチルエステル(2.60mL)を加え常温にて18時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムにで乾燥した。溶媒を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=3:7)で精製し、目的物(3.22g)を無色粉末として得た。
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 6.82 (1H, s), 6.07 (2H, s),
2.40 (3H, s), 1.35 (9H, s).
13C NMR (50 MHz, CDCl3) δ 177.2, 159.2, 144.2, 140.3,
129.8, 72.6, 38.8, 26.9, 19.6
【0250】
<実施例29>
6−(4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾチアゾール−7−イル)−5−メチル−3−(2H)−ピリダジノン
【0251】
【化92】

【0252】
実施例12の化合物(2.53 g)のTHF(60 mL)溶液に-78℃にて、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5 mol/L, 3.60 mL)を加え、1.5時間後、ホウ酸トリメチル(4.50 mL)を加えた。徐々に常温にまで昇温し1晩撹拌後、溶媒を減圧下留去した。残渣に水と酢酸エチルを加えた後、濃塩酸を加え激しく撹拌した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル→酢酸エチル:メタノール=95:5)で精製し、ホウ酸体(659 mg)を得た。得られたホウ酸体と実施例28の化合物(842 mg)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(231 mg)、THF(80 mL)、2
mol/L−炭酸ナトリウム水溶液(12 mL)の混液を90℃にて24時間撹拌した。反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出後、抽出層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下に濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し(770 mg)の無色粉末を得た。得られた粉末(770 mg)をメタノール(50 mL)に溶解し、濃アンモニア水(50 mL)とクロロホルム(15 mL)を加え、常温にて2日間撹拌した。溶媒を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=95:5)で精製し、目的物(347 mg)を無色粉末として得た。
1H-NMR (200 MHz, CDCl3) δ 2.37 (3H, d, J = 1.2 Hz), 4.13 (3H, s), 6.11 (2H, s), 6.88
(1H, q, J = 1.2 Hz), 7.34 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.93 (1H, d, J
= 8.5 Hz).
【0253】
<実施例30>
7−(6−クロロピリダジン−3−イル)−4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾチアゾール
【0254】
【化93】

【0255】
アルゴン雰囲気下実施例12の化合物 (400 mg)、ビス(ピナコラート)ジボロン(411 mg)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体(110 mg)、2-エチルヘキサン酸カリウム(370 mg)を1,4-ジオキサン(10
mL)に溶解し、80℃にて1.5時間攪拌した。反応液を常温まで冷却後、3,6-ジクロロピリダジン(603 mg)とテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(78.0 mg)の1,4-ジオキサン(3.0
mL)溶液を加えた後、2.0 mol/L 炭酸ナトリウム水溶液(8.1
mL)を加え100℃にて3 時間攪拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルにて3回抽出し、合わせた抽出層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル:1-1〜1-2)で精製し、目的物(166 mg)を黄色固体として得た。
LRMS (EI+) :345 [M]+
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 4.18 (3H, s), 7.16 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.65
(1H, d, J = 9.2 Hz), 8.05 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.09 (1H, d, J
= 9.2 Hz).
【0256】
<実施例31>
6−(4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾチアゾール−7−イル)−3−(2H)−ピリダジノン
【0257】
【化94】

【0258】
実施例30の化合物(165 mg)を酢酸(5.0
mL)に溶解し、加熱還流下1.5時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにて3回抽出し、合わせた抽出層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製し、目的物(73.8
mg)を白色固体として得た。
元素分析 (%) :C13H8F3N3O2Sとして

C
H
N
計算値 47.71 2.46 12.84
実測値 47.98 2.62 12.65
HRMS (EI+) : 327.0310 (+2.0 mmu) [M]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 4.08 (3H, s), 7.10 (1H, dd, J = 2.4, 9.8
Hz), 7.37 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.32 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.38
(1H, d, J = 9.8 Hz), 13.39 (1H, s).
【0259】
<実施例32>
(3−メトキシ−2−プロピオニルアミノ)フェノール
【0260】
【化95】

【0261】
実施例7の化合物(3.00 g)をトルエン(80 mL)に懸濁し、無水プロピオン酸(3.00 mL)を加えて常温で1時間攪拌した。反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出し、抽出層を3%炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去し、目的物(4.17 g)を淡黄色液体として得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)
δ 1.30 (3H, d, J = 7.6 Hz), 2.54 (2H, q, J
= 7.6 Hz), 3.87 (3H, s), 6.44 (1H, dd, J = 1.2, 7.9 Hz), 6.66 (1H, dd, J
= 1.2, 8.6 Hz), 7.04 (1H, dd, J = 7.9, 8.6 Hz), 7.88 (1H, s), 9.99 (1H,
s).
【0262】
<実施例33>
2−エチル−4−メトキシベンゾオキサゾール
【0263】
【化96】

【0264】
実施例32の化合物(1.44 g)のトルエン(70
mL)溶液に、パラトルエンスルホン酸一水和物(140 mg)を加え、ディーンスタークトラップを装着して6.5時間還流した。反応液を放冷後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)で精製し、目的物(1.12 g)を無色油状物質として得た。
LRMS (CI+): 178 [M+H+]
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 1.45 (3H, d, J = 7.7 Hz), 2.95 (2H, q, J
= 7.7 Hz), 4.02 (3H, s), 6.76 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.10 (1H, d, J
= 7.9 Hz), 7.22 (1H, dd, J = 7.9, 7.9 Hz).
【0265】
<実施例34>
4−ブロモ−2−エチル−4−メトキシベンゾオキサゾール
【0266】
【化97】

【0267】
実施例33の化合物(100 mg)のアセトニトリル(5.0 mL)溶液に、0℃でN-ブロモコハク酸イミド(111 mg)を加えて常温で1時間攪拌した後、1時間還流した。放冷後、反応液に水を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、抽出層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、目的物(98.3 g)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 1.47 (3H, t, J = 7.6 Hz), 2.98 (2H, q, J
= 7.6 Hz), 4.01 (3H, s), 6.69 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.34 (1H, J =
8.6 Hz).
【0268】
<実施例35>
2−エチル−4−メトキシ−7−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾオキサゾール
【0269】
【化98】

【0270】
アルゴン雰囲気下、実施例34の化合物(100 mg)、ビス(ピナコレート)ジボロン(109 mg)、2−エチルヘキサン酸カリウム(85.4 mg)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(15.9 mg)の1,4−ジオキサン(2.0
mL)溶液を、80℃で1.5時間攪拌した。放冷後、反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出し、抽出層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 3.5 : 1)にて精製し、目的物(71.2 mg)を無色液体として得た。
LRMS (EI+): 303 [M+]
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 1.37 (12H, s), 1.46 (3H, t, J = 7.6 Hz),
3.00 (2H, q, J = 7.6 Hz), 4.03 (3H, s), 6.77 (1H, d, J = 8.6 Hz),
7.67 (1H, d, J = 8.6 Hz).
【0271】
<実施例36>
7−(6−クロロピリダジン−3−イル)−2−エチル−4−メトキシベンゾオキサゾール
【0272】
【化99】

【0273】
アルゴン雰囲気下、実施例35の化合物(50.0 mg)の1,4−ジオキサン(2.0 mL)溶液に、3,6−ジクロロピリダジン(71.7 mg)、2 mol/L 炭酸ナトリウム水溶液(0.247 mL)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(24.3 mg)を加えた後、80℃で2時間攪拌した。放冷後、反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出し、抽出層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)にて精製し、目的物(34.1 mg)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 1.50 (3H, t, J = 7.6 Hz), 3.03 (2H, q, J
= 7.6 Hz), 4.10 (3H, s), 6.96 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.60 (1H, d, J
= 9.2 Hz), 8.25 (1H, d, J = 9.2 Hz), 8.35 (1H, d, J = 9.2 Hz).
【0274】
<実施例37>
6−(2−エチル−4−メトキシベンゾオキサゾール−7−イル)−3−(2H)−ピリダジノン
【0275】
【化100】

【0276】
実施例36の化合物(24.0 mg)に酢酸(2.0
mL)を加えて、100℃で1時間攪拌した。減圧下に酢酸を留去した残渣に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出し、抽出層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製して、目的物(15.8 mg)を白色固体として得た。
元素分析 (%) :C14H13N3O3として

C
H
N
計算値 61.99 4.83 15.49
実測値 61.51 4.73 15.28
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 1.49 (3H, t, J = 7.6 Hz), 3.02 (2H, q, J
= 7.6 Hz), 4.08 (3H, s), 6.88 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.11 (1H, d, J
= 9.8 Hz), 7.79 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.10 (1H, d, J = 9.8 Hz),
11.33(1H, brs).
【0277】
<実験例1> ホスホジエステラーゼ阻害活性
PDE3A触媒領域(以下Catと略す)、 PDE4Bcatの cDNAはヒト由来のRNAよりそれぞれRT-PCRを行い単離した。各単離したcDNA断片をGateway system (Invitrogen社製)及びBac-to-Bac(登録商標)
Baculovirus Expression system (Invitrogen社製)で昆虫細胞Sf9に導入し、目的の各PDEタンパクを発現させた。これら組み換えPDE3Acat、PDE4Bcat、PDE5Acat及び PDE10A1はこれらPDEタンパクを高発現したSf9細胞の培養上清もしくは細胞抽出液からそれぞれイオン交換クロマトグラフィーで精製し、以下に示す実験に用いた。
被験化合物は4 mmol/L溶液を段階的に15%DMSO溶液で4倍希釈し、15
nmol/Lから4 mmol/Lまでの濃度の溶液を用意した(実験での最終濃度は1.5 nmol/Lから400μmol/L)。これら被験化合物溶液 10μL、緩衝液[40 mmol/L
Tris-HCl (pH7.4), 10 mmol/LMgCl2 ]で希釈した[3H]
cAMP及び2×10-6unit量(1unitはpH7.5、30℃の条件下で1μmol/LのcAMPを1分間に分解するPDE量を示す)の各ヒト由来組み換えPDEタンパク40 μLを96穴プレートに添加し、30℃で20分間反応した。その後65℃で2分間反応させた後、1 mg/mL 5'nucleotidase(Crotalus atrox venom, Sigma社製) 25 μLを添加し、30℃で10分間反応した。反応終了後、Dowex溶液[300 mg/mL Dowex 1x8-400 (Sigma
Aldrich社製), 33% Ethanol] 200μLを添加し、4℃で20分間振動混合した後MicroScint
20(Packard社製) 200μLを添加し、シンチレーションカウンター(Topcount、Packard社製)を用いて測定した。IC50値の算出はGraphPad Prism v3.03 (GraphPad Software社製)を用いて行った。
なお、IC50値≧10μmol/L(−)、10μmol/L>IC50値≧1μmol/L (+)、1μmol/L>IC50値≧0.1μmol/L(++)、0.1μmol/L>IC50値 (+++)として表記した。
結果を表1に示す。
【0278】
【表1】

【0279】
<実験例2>モルモットにおけるヒスタミン誘発気道収縮反応
モルモットをペントバルビタール(30mg/kg,i.p.)で麻酔し、 左外頚静脈に静脈投与用カニューレ、右内頚動脈に採血及び血圧測定用カニューレ、
気管に気管カニューレを挿入した。60 times/min、10
mL/kg/strokeの条件で人工呼吸し、気管カニューレの側枝からオーバフローする空気 (エアフロー)をbronchospasm transducer(Ugo-Basile)にて測定し、Power Lab (ADInstruments Japan)を介してコンピューターに記録した。ガラミン(10mg/kg,i.v.)にて不動化した後、10分おきにヒスタミン (12.5μg/kg,i.v.)を投与した。ヒスタミンによる気道収縮が安定した後、化合物(0.1mg/kg,i.v.)を投与し、投与30秒後のヒスタミンによる気道収縮反応を測定し、
化合物の気道収縮抑制作用を調べた。気道収縮をエアフロー値で記録し、結果は投与30秒後のヒスタミンによるエアフローの最大値を投与前の最大値に対する割合で表した。なお被検化合物はDMSOで溶解し、10mg/mLに調製した。ガラミンは生理食塩液で溶解し、10mg/mLに調整した。ヒスタミンは生理食塩液に溶解し、1mg/mLにした後、生理食塩液で62.5μg/mLに希釈して用いた。
なお、抑制率≧90% (+++)として表記した。
結果を表2に示す。
【0280】
【表2】

【0281】
<実験例3>ラットにおけるLPS急性炎症モデル
Lipopolysaccharide from E.coli serotype 055:B5(LPS)吸入の1時間前に化合物1 mg/kgをラットに経口投与し、50 mlのLPS溶液をネブライザーで霧化して30分間吸入させた。LPS吸入3時間後,ラットを20%
urethane(5 ml/rat, i.p.)で安楽死させた。気道より5 mlの気管支・肺胞洗浄用生理食塩液を気管支・肺胞内腔に注入し、5 ml注射筒で3回洗浄し、この操作を2回繰り返し気管支・肺胞洗浄液(BALF)として回収した。回収したBALFを1200 rpm, 10 min, 4℃(Hirtachi; himac CR 5 DL)で遠心し、沈査を10 mlの0.1% Bovine serum albumin/生理食塩液で再懸濁した後、等量のチュルク液を加え白血球を染色し、顕微鏡下にて総白血球数を数え抑制率を算出した。なお、抑制率≧60% (++)、60%>抑制率≧30% (+)として表記した。
結果を表3に示す。
【0282】
【表3】

【0283】
以上のように、一般式(1)で表される本発明化合物はPDE阻害活性を有し、各種動物実験モデルにおいてその有効性が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0284】
上述のように、本発明は、新規なピリダジノン誘導体とその付加塩が優れたPDE阻害作用を有することを見出したものである。このようなPDE阻害剤作用を有する化合物は、狭心症、心不全、高血圧症などの治療薬や血小板凝集抑制薬あるいは気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、炎症性大腸炎、ハンチントン、アルツハイマー、認知症、パーキンソン病、うつ病、精神分裂症などの各種精神障害、肥満、メタボリックシンドローム等の予防又は治療薬、ならびに男性性機能障害治療薬として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

[式中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を、
Heterocycleは下記一般式(2)
【化2】

(式中Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基を、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。)で表される複素環化合物を、
【化3】

は単結合又は二重結合を示す。]
で表されるピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物が、一般式(1a)
【化4】

[式中、Yは酸素原子又は硫黄原子を示し、R、R及び
【化5】

は前記定義に同じ]
で表される請求項1記載のピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
【請求項3】
前記一般式(1)で表される化合物が、一般式(1b)
【化6】

[式中、R、R及び
【化7】

は前記定義に同じ]
で表される請求項1記載のピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
【請求項4】
前記一般式(1)で示される化合物が、
6−(7−メトキシ−2−トリフルオロメチル−3H−ベンズイミダゾール−4−イル)−4,5−ジヒドロ−5−メチル−3−(2H)−ピリダジノン、
6−(2−エチル−4−メトキシベンゾオキサゾール−7−イル)−4,5−ジヒドロ−5−メチル−3−(2H)−ピリダジノン、
6−(4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール−7−イル)−4,5−ジヒドロ−5−メチル−3−(2H)−ピリダジノン、
6−(4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾチアゾール−7−イル)−4,5−ジヒドロ−5−メチル−3−(2H)−ピリダジノン、
6−(4−メトキシ−2−トリフルオロメチルベンゾチアゾール−7−イル)−3−(2H)−ピリダジノン又は6−(2−エチル−4−メトキシベンゾオキサゾール−7−イル)−3−(2H)−ピリダジノンである請求項1記載のピリダジノン誘導体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物を有効成分とするホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のピリダジノン誘導体、その光学異性体、薬理学的に許容しうるその塩又はその水和物を有効成分として含有する医薬。

【公開番号】特開2008−63265(P2008−63265A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241618(P2006−241618)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【Fターム(参考)】