説明

ピリドン誘導体の製造法

式(I)[式中、X、R、R、R、R、及びRは、本明細書に定義される通りである]の化合物を製造するための経路について記載する。この経路において使用する方法の工程とこの経路の間に製造される新規中間体についても記載して、特許請求する。式(I)の化合物は、癌のような過剰増殖性疾患と炎症状態の治療に有用な医薬化合物、特にMEKの阻害剤の製造に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬活性化合物の合成に有用な化合物を製造するための新規経路、並びに新規方法とその経路中に使用する中間体及び化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
増殖因子受容体及びプロテインキナーゼを介した細胞シグナル伝達は、細胞の成長、増殖、及び分化の重要なレギュレーターである。正常な細胞増殖において、増殖因子(即ち、PDGF又はEGF、他)は、受容体活性化を介して、MAPキナーゼ経路を活性化する。正常な細胞増殖と非制御の細胞増殖に関与する、最も重要で最もよく理解されているMAPキナーゼ経路の1つは、Ras/Rafキナーゼ経路である。活性GTP−結合Rasは、Rafキナーゼの活性化と間接的なリン酸化をもたらす。次いで、Rafは、MEK1及び2を2つのセリン残基(MEK1ではS218及びS222、そしてMEK2ではS222及びS226)でリン酸化する(Ahn et al., Methods in Enzymology, 2001, 332, 417-431)。次いで、活性化されたMEKは、その唯一知られた基質であるMAPキナーゼのERK1及び2をリン酸化する。MEKによるERKリン酸化は、ERK1ではY204及びT202で、そしてERK2ではY185及びT183で生じる(Ahn et al., Methods in Enzymology, 2001, 332, 417-431)。リン酸化されたERKは、二量体化してから核へ移行して、そこに蓄積する(Khokhlatchev et al., Cell, 1998, 93, 605-615)。核内において、ERKは、限定されないが、核輸送、シグナル伝達、DNA修復、ヌクレオソーム組立て及び転座、並びにrnRNAプロセシング及び翻訳が含まれる、いくつかの重要な細胞機能に関与する(Ahn et al., Molecular Cell, 2000, 6, 1343-1354)。概して言えば、細胞を増殖因子で処理すると、ERK1及び2の活性化の活性化をもたらして、それが増殖と、ある場合は分化をもたらす(Lewis et al., Adv. Cancer Res., 1998, 74, 49-139)。
【0003】
増殖性疾患では、ERKキナーゼ経路に関与する増殖因子受容体、下流シグナル伝達タンパク質、又はプロテインキナーゼの遺伝子の突然変異及び/又は過剰発現が非制御の細胞増殖と、最終的には腫瘍形成をもたらす。例えば、ある種の癌は、増殖因子の連続産生による、この経路の連続活性化をもたらす突然変異を含有する。他の突然変異は、活性化GTP−結合Ras複合体の脱活性化において欠陥をもたらして、やはりMAPキナーゼ経路の活性化をもたらす可能性がある。結腸癌の50%と90%強の膵臓癌、並びに他の多くの種類の癌において、Rasの突然変異した発癌形態が見出されている(Kohl et al., Science, 1993, 260, 1834-1837)。最近、悪性メラノーマの60%以上でbRaf突然変異が確認された(Davies, H. et al., Nature, 2002, 417, 949-954)。bRafにおけるこれらの突然変異は、構成的に活性なMAPキナーゼカスケードをもたらす。原発性の腫瘍試料及び細胞系の研究も、膵臓、結腸、肺、卵巣、及び腎臓の癌におけるMAPキナーゼ経路の構成的又は過剰な活性化を示してきた(Hoshino, R. et al., Oncogene, 1999, 18, 813-822)。従って、種々の癌と、遺伝子突然変異より生じる過剰活性MAPキナーゼ経路の間には、強い相関性がある。
【0004】
細胞の増殖及び分化において、MAPキナーゼカスケードの構成的又は過剰な活性化がきわめて重要な役割を担うので、この経路の阻害は、過剰増殖性疾患において有益であると考えられている。MEKは、Ras及びRafの下流にあるので、この経路に重要な担い手である。追加的に、それは、MEKリン酸化について唯一知られた基質がMAPキナーゼのERK1及び2であるので、魅力的な治療ターゲットである。いくつかの研究において、MEKの阻害は、潜在的な治療利益を有することが示された。例えば、低分子MEK阻害剤は、ヌードマウス異種移植片においてヒト腫瘍の増殖を阻害する(Sebolt-Leopold et al., Nature-Medicine, 1999, 5 (7), 810-816; Trachet et al., AACR April 6-10, 2002, Poster #5426; Tecle, H., IBC 2nd International Conference of Protein Kinases, September 9-10, 2002)、動物において静的異痛症を妨げる(WO01/05390)、及び急性骨髄性白血病細胞の増殖を阻害する(Milella et al., J. CHn. Invest., 2001, 108 (6), 851-859)ことが示された。
【0005】
MEKの低分子阻害剤は、米国特許公開公報番号:2003/0232869、2004/0116710、及び2003/0216460、及び米国特許出願シリアル番号:10/654,580及び10/929,295、米国特許第5,525,625号;WO98/43960;WO99/01421;WO99/01426;WO00/41505;WO00/42002;WO00/42003;WO00/41994;WO00/42022;WO00/42029;WO00/68201;WO01/68619;WO02/06213;WO03/077914;WO03/077855、WO2005/051906、WO2005/023759、及びWO2005/051301が含まれる広範囲の刊行物において開示されてきた。
【0006】
MEK酵素の強力な阻害剤であるので、過剰増殖性疾患の治療に有用である、多様な複素環式化合物とその医薬的に許容される塩及びプロドラッグがWO2005/051301とWO2007/044084に記載されている。特に、上記の参考文献には、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン化合物が記載されていて、具体的に言えば、WO2007/044084では、式A:
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、Rは、Cl又はFであり、
は、水素、メチル、エチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、HO−CH−CH−O−、HOCHC(CH)−、(S)−HCCH(OH)CHO−、(R)−HOCHCH(OH)CHO−、シクロプロピル−CH−O−、HOCHCH−、
【0009】
【化2】

【0010】
であり;
は、メチル又はエチルであり、ここで前記メチル及びエチルは、1以上のフッ素原子で置換されていてもよく、
は、Br、I、又はSCHであり、
は、H、CN、Cl、又はF若しくはCNより独立して選択される1以上の基によって置換されていてもよいC1−4アルキルである]の化合物が、記載のような変数のある種の組合せの除外に従って、記載されて特許請求されている。
【0011】
この参考文献には、式(A)の化合物の製法についても記載されて特許請求されている。具体的には、式(A)の化合物は、リチウムヘキサメチルジシラジドをリチウム化試薬として使用して生成するリチウム化アミンを使用する、式(B):
【0012】
【化3】

【0013】
[式中、R、R、R、Rは、上記に定義される通りであり、Rは、メチル又はエチルのようなアルキル基である]の化合物のアミド化によって製造される。
故に、式(B)の化合物は、この医薬化合物の製造において重要な中間体である。それら自体は、一般に、適切に置換されたアニリン誘導体のリチウム化型(これは、リチウムヘキサメチルジシラジドを塩基として低温で使用して生成される)と好適なピリドンを反応させることによって製造する。この方法において必要とされるピリドンは、式(C):
【0014】
【化4】

【0015】
のものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
US2007/0112038によれば、これらのピリドンは、2,6−ジクロロニコチン酸より出発して、4つの合成段階で製造される。この出発材料から当該薬物への全体経路は7段階であって、医薬特性の初期評価用の少量の材料の製造としては十分であった。しかしながら、この薬物の大規模製造に対するこの経路の有効性を損なういくつかの課題がある。
【0017】
この経路に関連した諸問題に含まれるのは、以下の課題である:上記工程のいくつかは、クロマトグラフィー無しで分離することが難しい異性体混合物を生成する;Rは、パラジウム触媒によるアルキル化工程によって導入するが、これは低収率であり、完了へ進行せずに、除去することが難しい残留パラジウムを残す;いくつかの段階では、製造施設において達成することが難しい低温が必要とされる;この段階のうち2つで使用されるリチウムヘキサメチルジシラジドの供給が現在は限られていて、この残基は、潜在的な環境有害物である;並びに、好ましい側鎖:R=NHO(CHOH(O−(2−ビニルオキシ−エチル)−ヒドロキシルアミン)を導入するのに使用する試薬は、製造及び精製することが危険である。
【0018】
故に、式(B)のピリドン、特に、RとRがメチル基である、式Aの化合物に関連した化合物だけでなくその類似体の製法に代わる方法へのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本出願人は、他の経路において遭遇する、上記に記載のような難題を回避する、式(A)の化合物のような6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン化合物とその類似体への新たな経路を開発した。この経路は、非常に原子効率的(atom efficient)であり、ごく単純、廉価で容易に入手可能な試薬を使用して、すべての工程を適度な温度で安全に行うことができる。このアプローチは、きわめて実践的かつ効率的であって、上記化合物の実用規模での製造に適している。
【0020】
本発明の第一の側面により、式(I):
【0021】
【化5】

【0022】
[式中、Rは、メチル又はエチルであり、そのいずれも1以上のフッ素原子で置換されていてもよく、
、R、R、及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−SR21、−OR23、−C(O)R23、−C(O)OR23、−NR24C(O)OR26、−OC(O)R23、−NR24SO26、−SONR2324、−NR24C(O)R23、−C(O)NR2324、−NR25C(O)NR2324、−NR25C(NCN)NR2324、−NR2324、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルアルキル、−S(O)1−6アルキル、−S(O)(CR2425−アリール、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、−O(CR2425アリール、−NR24(CR2425−アリール、−O(CR2425−ヘテロアリール、−NR24(CR2425−ヘテロアリール、−O(CR2425−ヘテロシクリル、又は−NR24(CR2425−ヘテロシクリルであり、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれも、オキソ(但し、これはアリール又はヘテロアリール上では置換されない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR24SO26、−SONR2324、−C(O)R23、−C(O)OR23、−OC(O)R23、−NR24C(O)OR26、−NR24C(O)R23、−C(O)NR2324、−NR2324、−NR25C(O)NR2324、−NR25C(NCN)NR2324、−OR23、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく、そしてここで前記アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキル環は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C3−6ヘテロシクロアルキル、NR2324、及びOR23より選択される1以上の基でさらに置換されてよく;
ここでR23は、水素、トリフルオロメチル、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、リン酸又はアミノ酸残基であり、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれも、オキソ(但し、これはアリール又はヘテロアリール上では置換されない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR21SO29、−SONR2128、−C(O)R21、C(O)OR21、−OC(O)R21、−NR21C(O)OR29、−NR21C(O)R28、−C(O)NR2128、−SR21、−S(O)R29、−SO29、−NR2128、−NR21C(O)NR2830、−NR21C(NCN)NR2830、−OR21、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよいか、又はR23とR24は、それらが付く原子と一緒に、4〜10員の炭素環式環、ヘテロアリール環、又は複素環式環を形成し、ここで前記炭素環式環、ヘテロアリール環、又は複素環式環のいずれも、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR21SO29、−SONR2128、−C(O)R21、−C(O)OR21、−OC(O)R21、−NR21C(O)OR29、−NR21C(O)R28、−C(O)NR2128、−SR21、−S(O)R29、−SO29、−NR2128、−NR21C(O)NR2830、−NR21C(NCN)NR2830、−OR21、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく;
24とR25は、独立して、水素又はC1−6アルキルであり;又は
24とR25は、それらが付く原子と一緒に、4〜10員の炭素環式環、ヘテロアリール環又は複素環式環を形成し、ここで前記アルキル、又は前記炭素環式環、ヘテロアリール環、及び複素環式環のいずれも、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR21SO29、−SONR2128、−C(O)R21、C(O)OR21、−OC(O)R21、−NR21C(O)OR29、−NR21C(O)R28、−C(O)NR2128、−SR21、−S(O)R29、−SO29、−NR2128、−NR21C(O)NR2830、−NR21C(NCN)NR2830、−OR21、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく;
26は、トリフルオロメチル、C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、ここで前記アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれも、オキソ(但し、これはアリール又はヘテロアリール上では置換されない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR21SO29、−SONR2128、−C(O)R21、C(O)OR21、−OC(O)R21、−NR21C(O)OR29、−NR21C(O)R28、−C(O)NR2128、−SR21、−S(O)R29、−SO29、−NR2128、−NR21C(O)NR2830、−NR21C(NCN)NR2830、−OR21、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく;
21、R28、及びR30は、独立して、水素、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、及びアリールアルキルであり、そしてR29は、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、及びアリールアルキルであり;又は、R21、R28、R30、又はR29のどの2つも、それらが付く原子と一緒に、4〜10員の炭素環式環、ヘテロアリール環、又は複素環式環を形成し、ここで前記アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル炭素環式環、ヘテロアリール環、又は複素環式環のいずれも、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく;
mは、0、1、2、3、4、又は5であり;そしてjは、0、1、又は2であり;
Xは、OR、SR、−NR、−N(R12)OR、−N(R)SO、C3−10シクロアルキル、C1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;
ここでRは、R23について上記に定義されるような基であり;
とR12は、基:R24について上記に定義されるような基であり;又は
12は、その保護化誘導体を形成するようにRへ連結する]の化合物、又はその医薬的に許容される塩を製造するための方法を提供し;
該方法は、式(II):
【0023】
【化6】

【0024】
[式中、X、R、R、R、R、及びRは、上記に定義される通りであり、そしてLは、脱離基である]の化合物の加水分解を含む。
好適な脱離基Lには、ハロゲン(塩素、臭素、又はヨウ素のような)、並びに、多くの酸素連結脱離基、例えば、式:OR10、OC(O)R11、又はOSO11(ここでR10はアルキル基であり、R11はアルキル又はアリール基である)の基が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のさらなる側面により、式(IB):
【0026】
【化7】

【0027】
[式中、Rは、メチル又はエチルであり、そのいずれも1以上のフッ素原子で置換されていてもよく、
、R、R、及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−SR21、−OR23、−C(O)R23、−C(O)OR23、−NR24C(O)OR26、−OC(O)R23、−NR24SO26、−SONR2324、−NR24C(O)R23、−C(O)NR2324、−NR25C(O)NR2324、−NR25C(NCN)NR2324、−NR2324、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルアルキル、−S(O)1−6アルキル、−S(O)(CR2425−アリール、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、−O(CR2425アリール、−NR24(CR2425−アリール、−O(CR2425−ヘテロアリール、−NR24(CR2425−ヘテロアリール、−O(CR2425−ヘテロシクリル、又は−NR24(CR2425−ヘテロシクリルであり、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれも、オキソ(但し、これはアリール又はヘテロアリール上では置換されない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR24SO26、−SONR2324、−C(O)R23、−C(O)OR23、−OC(O)R23、−NR24C(O)OR26、−NR24C(O)R23、−C(O)NR2324、−NR2324、−NR25C(O)NR2324、−NR25C(NCN)NR2324、−OR23、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく、そしてここで前記アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキル環は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C3−6ヘテロシクロアルキル、NR2324、及びOR23より選択される1以上の基でさらに置換されてよく;
ここでR23は、水素、トリフルオロメチル、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、リン酸又はアミノ酸残基であり、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれも、オキソ(但し、これはアリール又はヘテロアリール上では置換されない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR21SO29、−SONR2128、−C(O)R21、C(O)OR21、−OC(O)R21、−NR21C(O)OR29、−NR21C(O)R28、−C(O)NR2128、−SR21、−S(O)R29、−SO29、−NR2128、−NR21C(O)NR2830、−NR21C(NCN)NR2830、−OR21、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよいか、又はR23とR24は、それらが付く原子と一緒に、4〜10員の炭素環式環、ヘテロアリール環、又は複素環式環を形成し、ここで前記炭素環式環、ヘテロアリール環、又は複素環式環のいずれも、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR21SO29、−SONR2128、−C(O)R21、−C(O)OR21、−OC(O)R21、−NR21C(O)OR29、−NR21C(O)R28、−C(O)NR2128、−SR21、−S(O)R29、−SO29、−NR2128、−NR21C(O)NR2830、−NR21C(NCN)NR2830、−OR21、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく;
24とR25は、独立して、水素又はC1−6アルキルであり;又は
24とR25は、それらが付く原子と一緒に、4〜10員の炭素環式環、ヘテロアリール環又は複素環式環を形成し、ここで前記アルキル、又は前記炭素環式環、ヘテロアリール環、及び複素環式環のいずれも、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR21SO29、−SONR2128、−C(O)R21、C(O)OR21、−OC(O)R21、−NR21C(O)OR29、−NR21C(O)R28、−C(O)NR2128、−SR21、−S(O)R29、−SO29、−NR2128、−NR21C(O)NR2830、−NR21C(NCN)NR2830、−OR21、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく;
26は、トリフルオロメチル、C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、ここで前記アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれも、オキソ(但し、これはアリール又はヘテロアリール上では置換されない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR21SO29、−SONR2128、−C(O)R21、C(O)OR21、−OC(O)R21、−NR21C(O)OR29、−NR21C(O)R28、−C(O)NR2128、−SR21、−S(O)R29、−SO29、−NR2128、−NR21C(O)NR2830、−NR21C(NCN)NR2830、−OR21、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく;
21、R28、及びR30は、独立して、水素、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、及びアリールアルキルであり、そしてR29は、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、及びアリールアルキルであり;又は、R21、R28、R30、又はR29のどの2つも、それらが付く原子と一緒に、4〜10員の炭素環式環、ヘテロアリール環、又は複素環式環を形成し、ここで前記アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル炭素環式環、ヘテロアリール環、又は複素環式環のいずれも、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく;
mは、0、1、2、3、4、又は5であり;そしてjは、0、1、又は2であり;
Xは、OR、−NR、−N(R12)OR、−N(R)SO、C3−10シクロアルキル、C1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;
ここでRは、R23について上記に定義されるような基であり;
とR12は、基:R24について上記に定義されるような基であり;又は
12は、その保護化誘導体を形成するようにRへ連結する]の化合物、又はその医薬的に許容される塩を製造するための方法を提供し;
該方法は、式(IIB):
【0028】
【化8】

【0029】
[式中、X、R、R、R、R、及びRは、上記に定義される通りであり、そしてLは、脱離基である]の化合物の加水分解を含む。
この反応は、好適には、エタノール又はIMS(工業用メチル化酒精)のようなアルコール溶媒のような有機助溶媒を伴うか又は伴わない水性媒体中の反応によって、周囲温度〜溶媒の沸点の温度(例えば、45〜65℃の温度が簡便であることが見出された)で実施する。
【0030】
式(II)の化合物は、好適には、式(III):
【0031】
【化9】

【0032】
[式中、L、X、R、R、R、及びRは、式(I)に関連して定義される通りである]の化合物を式(IV):
−L (IV)
[式中、Rは、式(I)に関連して定義される通りであり、Lは脱離基である]の化合物と反応させることによって製造する。
【0033】
好適な脱離基:Lには、特に、アルコキシ、OCOアルキル、OCOアリール、OSOアルキル、OSOアリールのようなO−連結基、並びにハロゲン原子が含まれる。このように、基:Lの例は、トリフルオロメタンスルホネート、メシレート、又はトシラート、並びにCl、Br、又はIのようなハロゲンである。
【0034】
この反応は、好適には、クロロベンゼンのような非反応性の有機溶媒において実施する。(III)型のピリジンは特に反応性なわけではなくて、アルキル化反応が遅くなり得ることが見出された。従って、この反応を簡便な速度で進行させるには、この反応を上昇温度、例えば60〜100℃の間で、そして式(V)の化合物の高濃度、例えば3〜10Kg/Lの間、典型的には約4Kg/Lで行うことが有益である。
【0035】
本質的ではないが、利用可能な場合、種充填(a seed charge)の導入は、この手順の間に式(II)の化合物の単離を促進するだろう。
好適には、このように得られる式(II)の化合物を式(I)の化合物の製造に直接使用する。フィルター上での粗い分離は有用であるが、徹底した乾燥又は精製の段階は必要でないことがわかった。
【0036】
式(III)の化合物自体は、式(V):
【0037】
【化10】

【0038】
[式中、L、R、R、R、及びRは、式(I)に関連して定義される通りである]の化合物を式(VI)又は(VIa):
【0039】
【化11】

【0040】
[式中、Xは、式(I)に関連して定義される通りであり、Yは、水素又は除去可能基(SiR192021又はSnR192021(ここでR19、R20、及びR21は、水素又はC1−6アルキル(メチルのような)又はアリールより独立して選択される)のような)であり、QとQは、水素、又はOC1−6アルキル、OCOC1−6アルキル、メシレート、トシラート、又はハロゲン(例、塩素、臭素、又はフッ素)のように、脱離によって容易に除去可能である基より独立して選択される]の化合物と反応させることを含んでなる方法によって製造することができる。例えば、Q又はQの一方、例えばQは水素であり、他方は、ハロゲンのような、上記に定義されるような除去可能基である。
【0041】
式(VIa)の化合物を使用するとき、式(V)の化合物と式(VIa)の化合物の間の反応の初期生成物はジヒドロピリジンであり、これを引き続き、除去可能基と水素の脱離によって芳香族化するので、Q又はQの一方は水素でなければならず、Q又はQの他方は除去可能基でなければならない。諸例を以下のスキームに示す。
【0042】
【化12】

【0043】
別の態様において、Y、Q、及びQがすべて水素である式(VIa)の化合物を使用するならば、式(V)の化合物と式(VIa)の化合物の間の反応の生成物はジヒドロピリジンであり、これは容易に酸化されて式(III)のピリジンを生成する。
【0044】
【化13】

【0045】
この種の反応は、一般的にはディールス・アルダー環状付加反応として知られていて、成分(VI)又は(VIa)は、ジエノフィル(dienophile)として知られている。(VI)及び(VIa)のような不斉ジエノフィルは、2つの位置化学モードで反応して別々の異性体生成物をもたらす可能性があり、これは大規模製造法にとってはきわめて不便で無駄が多い。しかしながら、本出願人は、構造(V)の新規アニリドをこのディールス・アルダー法に使用するとき、この反応の高レベルの制御が達成され得ることを見出した。
【0046】
さらに、中間体(III)は、一般にきわめて結晶性であることがわかっていて、下記に記載のように、適正な条件下で、それらは、簡単な結晶化によって反応混合物よりきわめて高い収率と高い純度で単離される。このように、この工程を含めることは、製造法の定式化においてきわめて有利である。
【0047】
この反応は、好適には、溶媒を伴うか又は伴わずに、例えば50〜200℃の間で基質を一緒に加熱することによって実施することができる。好適な溶媒には、トルエン、アセトニトリル、アニソール、クロロベンゼン、イソプロパノール、及び酢酸n−ブチルが含まれる。
【0048】
しかしながら、この反応は4+2環状付加法であるので、これは、加熱によって促進される熱プロセスである。従って、高沸点の溶媒を使用すると、この反応を高温で簡便に行うことが可能になり、それがこの反応の迅速な完了をもたらして、いずれかの基質の大過剰量を必要としない。このことに加えて、我々は、生成物がほとんど溶けない溶媒を慎重に選択することによって、単にこの反応の最後に反応混合物を冷却して生成物を溶媒より濾過して取ることによってそれを単離し得ることを見出した。上記の方法には、トルエンのような芳香族溶媒が概して有用であり、飽和炭化水素のような抗溶媒を反応の最後に加えて生成物の回収を高めることができる。
【0049】
いくつかの場合において、酢酸ブチルは、単一の溶媒として特に有効であり、例えば、化合物(V)(R=F、R=H、R=I、R=Me、L=Cl)をプロピオール酸エチルと酢酸ブチルにおいて約120℃で6時間反応させてからこの混合物を約0℃へ冷やす場合、クロロピリジン生成物は、収率>90%で単離されて、HPLCによって定量されるように、ほぼ100%、即ち99%より高い純度の検定で、0.05%の限度以上の副生成物は検出され得ない。
【0050】
置換ピリジンの製造についてのこのアプローチの一般性をさらに例証するために、以下の表に示すようにある範囲の反応を実施した。収率は、最適化されていない。
【0051】
【表1】

【0052】
式(V)の化合物は、簡便には、式(VII):
【0053】
【化14】

【0054】
[式中、Rは、式(I)に関連して定義される通りであり、Lは脱離基である]の化合物を式(VIII):
【0055】
【化15】

【0056】
[式中、R、R、及びRは、式(I)に関連して定義される通りである]の化合物と反応させることによって製造する。
好適な脱離基:Lには、トリフルオロメタンスルホネート、メシレート、又はトシラート、並びにCl、Br、Iのようなハロゲンが含まれる。
【0057】
化合物(VII)とアニリンの反応は、LとLが同じ脱離基であるときでも、驚くほど選択的である。この方法には多種多様な芳香族アミンが適している。特に、置換されたアニリンでの反応が有効であり、より特別には、この方法は、アニリン;2−フルオロアニリン;2−フルオロ−4−ヨードアニリン、及び4−ヨードアニリンのようなアニリンに適している。
【0058】
この反応は、好適には、テトラヒドロフラン、トルエン、ジオキサン、イソプロパノールのような有機溶媒において、好適には周囲温度〜100℃の温度で、より簡便には75〜85℃で、酸又はルイス酸触媒の媒介を伴うか又は伴わずに実施する。テトラヒドロフランのようなエーテル性溶媒では、三フッ化ホウ素のようなルイス酸触媒の使用が特に有効であり、トルエン又はクロロベンゼンのような芳香族溶媒では、メタンスルホン酸のような酸触媒が有益である。本発明の1つの態様において、Rはメチルであり、LとLはClである。本発明の別の側面において、Rはメチルであり、LとLはClであり、RはFであり、RはHであり、そしてRはIである。
【0059】
1つの側面において、中間体(VII)は、式(IX)の化合物と式(X)の化合物より in situ 製造される:
【0060】
【化16】

【0061】
[式中、RとLは、上記に定義される通りであり、そしてL2aは、Lについて上記に定義されるような脱離基であるか、又はOHである]。1つの側面において、化合物(IX)中のRはメチルであり、化合物(X)は塩化オキサリルである。
【0062】
好適には、上記の化合物を、本方法の以下の工程と適合可能である溶媒において塩酸アミン触媒を伴うか又は伴わずに、一緒に反応させる。トルエン、キシレン、及びクロロベンゼンのような芳香族溶媒が適していて、トルエンが特に有効である。この反応は、ある範囲の温度で行うことができるが、60〜80℃の間の温度を維持することが簡便かつ有効である。この反応の後続段階を行う前に、この混合物を水とトルエンのような好適に選択した反応溶媒で冷ましてから共沸蒸留による水の除去を可能にすることによって、あらゆる残留化合物(X)を取り除くことが有用である。得られる溶液は化合物(VII)を含有して、これを好ましくはメタンスルホン酸のような酸触媒とともに、上記に記載のような化合物(VIII)と直接反応させる。1つの側面において、式VIIIのアニリンは、2−フルオロ−4−ヨードアニリンである。
【0063】
2−フェニルアミノ置換された5−クロロ−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オンの製造についてのこのアプローチの一般性をさらに例示するために、以下の表に示すように一連の反応を実施した。収率は、最適化されていない。
【0064】
【表2】

【0065】
1つの側面において、本発明は、工程1)〜4)を含んでなる、式(I)のピリドンの生成の方法を提供する:
1)式(V):
【0066】
【化17】

【0067】
[式中、L、R、R、R、及びRは、式(I)に関連して定義される通りである]の化合物の生成;
式(VII)及び(VIII)の化合物のカップリングと、好適には式(IX)及び(X)の化合物より式(VII)の化合物を in situ 製造し得る方法を取り込むことによる;
【0068】
【化18】

【0069】
2)式(V)の化合物のプロピオン酸又はその誘導体との4+2環状付加反応により、式(III);
【0070】
【化19】

【0071】
のピリジンを生成すること;
3)式(III)のピリジンのアルキル化により、式(II):
【0072】
【化20】

【0073】
のピリジニウム塩を生成すること;及び
4)式(II)の化合物を加水分解して式(I):
【0074】
【化21】

【0075】
の化合物を提供すること。
この工程の組合せは、上記に強調した選択性と化学品の危険性の課題を回避する、式(I)のピリドンの製造にきわめて選択的な経路を表す。
【0076】
式(VII)及び(VIII)の化合物は既知化合物であり、慣用法によって製造してよい。例えば、3,5−ジクロロ−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(VIIa)と関連化合物の製法については、Hoornaert et al. Tetrahedron, 1994, 5211; Synthesis 1991, 765; Tetrahedron Lett., 1989, 3183 によって報告された。使用するすべてのアニリン、例えば(VIIa)は、市販の供給業者より入手した。
【0077】
【化22】

【0078】
化合物(IX)及び(X)は、バルクで市販品より利用可能であるか又は既知化合物より慣用法によって生成することができて、例えば、塩化オキサリルとラクトニトリルは、いずれも市販の供給業者より入手される。
【0079】
【化23】

【0080】
上記に定義されるような式(II)、(III)及び(V)の化合物は新規であり、本発明のさらなる側面を形成する。
1つの態様において、RとRは、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルコキシ、C1−10アルキルカルボニル、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイル、ジC1−6アルキルカルバモイル、スルファモイル、C1−6アルキルスルファモイル、ジC1−6アルキルスルファモイル、C1−10チオアルキルより独立して選択される。
【0081】
1つの側面において、RとRは、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、OCH、又はSCHより独立して選択される。
1つの側面では、上記に定義した化合物において、Rは水素である。
【0082】
好適には、Rは水素以外であり、そして1つの側面において、ハロゲンである。
加えて、1つの側面において、Rは、アミン基に対してはオルトで、R基に対してはメタでの置換基である。
【0083】
従って、式(I)の特別な化合物は、式(IA):
【0084】
【化24】

【0085】
[式中、X、R、R、R、及びRは、式(I)に関連して定義される通りである]の化合物である。
同様に、式(II)、(III)及び(V)の特別な化合物は、それぞれ式(IIA)、(IIIA)及び(VA):
【0086】
【化25】

【0087】
[式中、X、R、R、R、及びRは、式(I)に関連して定義される通りである]の化合物である。
好適には、上記化合物中のRは、水素、ハロゲン(例、F、Cl、Br、I)、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、又はC1−6チオアルキルである。例えば、Rは、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1−4アルキル、OCH、又はSCHである。
【0088】
式(I)、(II)、(III)及び(V)、並びに(IA)、(IIA)、(IIIA)及び(VA)の化合物中のRの特別な例は、ヨウ素である。
式(I)、(II)、(III)及び(V)、並びに(IA)、(IIA)、(IIIA)及び(VA)の化合物中のRの特別な例は、フッ素である。
【0089】
式(I)及び(II)、並びに(IA)及び(IIA)の化合物中のRの特別な例は、メチル、トリフルオロメチル、又はエチルであり、特にメチルである。
1つの側面において、Rは、水素、CN、ハロゲン(例、F、Cl、Br、I)、又はF若しくはCNより独立して選択される1以上の基によって置換されていてもよいC1−4アルキルである。
【0090】
1つの側面において、式(I)、(II)、(III)及び(V)、並びに(IA)、(IIA)、(IIIA)及び(VA)の化合物中のRは、F又はCNより独立して選択される1以上の基によって置換されていてもよいC1−4アルキルである。1つの側面において、Rは、メチル又はエチルのような未置換C1−4アルキルであり、特にメチルである。
【0091】
特別な態様において、Xは、OR、NHR、−N(R12)OR、SR、又はCHであり、ここでRは、上記に定義される通りである。1つの側面において、Rは、水素、又はヒドロキシ若しくはシクロアルキルによって置換されていてもよいC1−10アルキルより選択される。R12も、好適には、水素、又はヒドロキシ若しくはシクロアルキルによって置換されていてもよいC1−10アルキルより選択される。
【0092】
好適には、R12がRへ連結してRの保護化誘導体を形成するとき、それは、例えば、サブ式(i):
【0093】
【化26】

【0094】
[式中、zは、基:(CR1718(ここでqは、0、1又は2である)であり、R13、R14、R15、R16とそれぞれのR17及びR18は、水素又はC1−4アルキル、特に水素又はメチルより独立して選択される]のアザ−アセタール誘導体の形態である。該化合物の酸加水分解(例えば、塩酸のような水性の鉱酸を使用する)は、式(i)の基の開環をもたらして、(ii):
【0095】
【化27】

【0096】
の基をアセトンのようなケトンの排除とともに生成する。
式(I)、(II)、(III)、(IA)、(IIA)及び(IIIA)の化合物において、好適には、Xは、OR、−NHR、又は−NORである。
【0097】
1つの側面において、Xは、ORである。
式(I)、(II)及び(III)、並びに(IA)、(IIA)、及び(IIIA)の化合物中のRの特別な例は、メチル又はエチルであり、特にメチルである。
【0098】
しかしながら、代わりの態様において、基:Xは、基:−NHRであり、ここでRはRであって、Rは、式(A)に関連して上記に定義される通りである。
上記に定義される式Iの化合物のいくつかが1以上の不斉炭素原子により光学活性型又はラセミ型で存在し得る限りにおいて、本発明には、その定義において、上記の活性を保有するそのようなあらゆる光学活性型又はラセミ型が含まれると理解されたい。光学活性型の合成は、当該技術分野でよく知られた有機化学の標準技術によって、例えば、光学活性の出発材料からの合成によるか又はラセミ型の分割によって行ってよい。同様に、上記の活性は、以下に言及する標準実験技術を使用して評価することができる。
【0099】
上記に定義される式(I)のある化合物は、互変異性の現象を示す場合があることを理解されたい。特に、互変異性は、1又は2のオキソ置換基を担うどの複素環式環基にも影響を及ぼす場合がある。本発明には、その定義において、上記の活性を保有するそのようなあらゆる互変異性型、又はその混合物が含まれて、式図内で利用されるか又は「実施例」において命名されるどの1つの互変異性型にも限定されないことも理解されたい。
【0100】
上記の式(I)のある化合物は、非溶媒和型だけでなく、例えば水和型のような溶媒和型でも存在し得ることを理解されたい。本発明には、すべてのそのような溶媒和型が含まれることも理解されたい。
【0101】
式(I)のある化合物は、多形を示す場合があることも理解されたい。本発明には、そのようなすべての多形が含まれることも理解されたい。
本明細書において、「アルキル」という一般用語には、プロピル、イソプロピル、及びtert−ブチルのような、直鎖と分岐鎖の両方のアルキル基が含まれる。他に述べなければ、それらは、好適には、1〜10の炭素原子、特に1〜6の炭素原子を有する。しかしながら、「プロピル」のような個別アルキル基への言及は、直鎖バージョンだけに特定されて、「イソプロピル」のような個別分岐鎖アルキル基への言及は、分岐鎖バージョンだけに特定される。類似の慣例が他の一般用語へ適用されて、例えば、(1−4C)アルコキシには、メトキシ、エトキシ、及びイソプロポキシが含まれる。
【0102】
「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。
「アリール」という用語は、フェニル又はナフチルのような炭素環式芳香族基を意味するが、特にフェニルを意味する。
【0103】
「複素環式」又は「ヘテロシクリル」という用語は、本明細書で他に定義されなければ、4、5、6又は7の環原子を含有する、飽和、部分飽和、又は不飽和の単環式環を意味し、ここで前記原子の少なくとも1つ、そして好適には前記原子の1〜4は、酸素、イオウ、又は窒素のようなヘテロ原子である。それらが不飽和である場合、それらは芳香族であってよく、そのような環は、「ヘテロアリール」基として記載される。
【0104】
本発明の特別な化合物において、「複素環式環」は、4、5、6、又は7の環原子、特に5若しくは6の環原子を含有する、飽和した単環式環である。
本明細書に使用される「複素環式環」という用語の例と好適な意義は、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリン−4−イル、チオモルホリン−4−イル、1,4−オキサゼパン−4−イル、ジアゼパニル、及びオキサゾリジニルである。
【0105】
「ヘテロアリール」環の例には、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、又はピリミジニルが含まれる。
【0106】
式(I)の化合物へのこの経路の重要な特徴は、この方法を記載のように行うときに、保護基を全般に必要としないことである。関与する工程の種類は、これがほとんどの事例において実行可能な選択肢であることを意味し、このことは、この反応の複雑性を減らして、効率を高めることに関して利点となる。
【0107】
しかしながら、当業者には、本明細書に言及する反応の中には、化合物中の鋭敏な基を保護することが望ましい場合があることが理解されよう。保護化が必要であるか又は望ましい事例と保護化に適した方法は、当業者に知られている。標準法に従って、慣用の保護基を使用してよい(例示については、T. W. Green「Protective Groups in Organic Chemistry(有機合成の保護基)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(1991)を参照のこと)。このように、アミノ、カルボキシ、又はヒドロキシのような基が反応体に含まれるならば、本明細書に言及する反応のいくつかでは、その基を保護することが望ましい場合がある。
【0108】
アミノ又はアルキルアミノ基に適した保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、又はt−ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル、又はアロイル基、例えばベンゾイルである。上記保護基の脱保護条件は、必然的に、保護基の選択に応じて変化する。従って、例えば、アルカノイル又はアルコキシカルボニル基のようなアシル基、又はアロイル基は、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような好適な塩基での加水分解によって外してよい。あるいは、t−ブトキシカルボニル基のようなアシル基は、例えば、塩酸、硫酸、又はリン酸、又はトリフルオロ酢酸のような好適な酸での処理により外してよく、ベンジルオキシカルボニル基のようなアリールメトキシカルボニル基は、例えば、パラジウム担持カーボンのような触媒上での水素化により、又はルイス酸、例えばtris(トリフルオロ酢酸)ホウ素での処理により外してよい。一級アミノ基に適した代替の保護基は、例えばフタロイル基であり、これは、アルキルアミン、例えばジメチルアミノプロピルアミンでの、又はヒドラジンでの処理により外してよい。
【0109】
ヒドロキシ基に適した保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アロイル基、例えばベンゾイル、又はアリールメチル基、例えばベンジルである。上記保護基の脱保護条件は、必然的に、保護基の選択に応じて変化する。従って、例えば、アルカノイルのようなアシル基、又はアロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような好適な塩基での加水分解によって外してよい。あるいは、ベンジル基のようなアリールメチル基は、例えば、パラジウム担持カーボンのような触媒上での水素化により外してよい。
【0110】
カルボキシ基に適した保護基は、例えば、エステル化基、例えばメチル又はエチル基(例えば、水酸化ナトリウムのような塩基での加水分解によって外してよい)、又は例えばt−ブチル基(例えば、酸、例えばトリフルオロ酢酸のような有機酸での処理により外してよい)、又は、例えばベンジル基(例えば、パラジウム担持カーボンのような触媒上での水素化により外してよい)である。
【0111】
保護基は、化学の技術分野でよく知られた慣用の技術を使用して、合成中のどの簡便な段階でも外してよい。
さらに、光学活性型の合成は、当該技術分野でよく知られた有機化学の標準技術によって、例えば、光学活性のある出発材料からの合成によるか又はラセミ型の分割によって行ってよい。
【0112】
これから本発明を、以下の実施例において例示する。ここで、全般的には:
(i)温度は摂氏(℃)で示し;各種操作は、室温又は周囲温度で、即ち18〜25℃の範囲の温度で行った;
(ii)溶媒の蒸発は、ロータリーエバポレーターを減圧(600〜4000パスカル;4.5〜30mmHg)下に60℃までの浴温で使用して行った;
(iii)一般に、反応の経過はHPLC及び/又は分析用LC−MSによって追跡して、反応時間を例示用にのみ示す。保持時間(t)は、エレクトロスプレーイオン化をを用いる、Agilent 1100 HPLC機器又はAgilent 1100 MSDシングル四重極LC−MSで測定した(50x4.6mm Zorbax SB-C18 1.8μmカラム:検出 UV250nm及びMS;流速、1.25mL/分;13.5分にわたる、10% TFAを含有する65%水:25%メタノール〜10% TFAを含有する25%水:65%メタノールの線形勾配;カラム温度 40℃)。質量イオンの正確な定量用にAPCI検出を使用する、AC58−Agilent 1100 LC付きAC113,Bruker MicroTOFQを用いて正確な質量測定を行った。
【0113】
(iv)最終生成物は、プロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトル及び質量スペクトルのデータを示した;
(v)収率は例示用にのみ示し、必ずしも、入念なプロセス開発により入手し得るものではない;より多くの材料が必要とされる場合、製造を繰り返した;
(vi)示す場合、NMRデータは、主要な診断プロトンのデルタ値の形式であり、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm)で示し、他に示さなければ、過重水素ジメチルスルホキシド(DMSO−d)を溶媒として使用して400MHzで決定した;以下の略語を使用した:s,一重項;bs,ブロード一重項;d,二重項;dd,二重項の二重項;t,三重項;at,見かけの三重項;q,四重項;m,多重項;br,ブロード;
(vii)化学記号は、その通常の意味を有する;SI単位及び記号を使用する;
(viii)溶媒比は、容量:容量(v/v)の関係で示す;そして
(ix)質量スペクトルは、エレクトロスプレー(ESP)によるか又は大気圧化学イオン化(APCI)によって行った;m/zの数値を示す;全般に、親質量を示すイオンのみ報告する;及び、他に述べなければ、引用する質量イオンは、プロトン化質量イオンを意味する(MH)である;Mへの言及は、電子の損失によって産生される質量イオンか、四級塩カチオンの質量イオンのいずれかに対する;MNaは、質量イオン+Naを意味して、M−Hへの言及は、プロトンの損失によって産生される質量イオンに対する。
【0114】
加えて、必要な場合、以下の略語を使用した:
LiHMDS リチウムビス(トリメチルシリル)アミド;
DMSO ジメチルスルホキシド;
NMP 1−メチル−2−ピロリジノン;
THF テトラヒドロフラン;
DMF N,N−ジメチルホルムアミド;
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン;
IPA ジイソプロピルアルコール;
MTBE メチルtert−ブチルエーテル。
【実施例】
【0115】
実施例1
2−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸(Ia)
【0116】
【化28】

【0117】
トリフルオロメタンスルホン酸2−クロロ−6−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−5−エトキシカルボニル−1,3−ジメチル−ピリジニウム
【0118】
【化29】

【0119】
クロロベンゼン(544mL)中の6−クロロ−2−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−5−メチル−ニコチン酸エチルエステル(IIIa)(156.5g;357.5ミリモル)の撹拌スラリーへ周囲温度で、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(103mL;150g;894ミリモル;2.5当量)に続いてクロロベンゼン(78mL)をライン洗浄液(a line wash)として加えた。次いで、この混合物を90℃まで加熱して、固形物を溶かした。90℃で20時間後、この溶液は色が薄橙色になり、HPLC分析は、出発材料が残っていないことを示した。次いで、この混合物を約1時間にわたり55℃へ冷やし、内容物の温度を62℃未満に保ちながら、約20分にわたる水(207mL;11.5モル)の添加を続けた。10分後、第二充填の水(104mL;5.78モル)を約10分にわたり加えた。初回の水充填の間には54℃から61℃への発熱があり、水添加の終了時の温度は51℃であった。次いで、この温度をそのまま55℃(ジャケット温度)へ温めると、この混合物は二相性になった。撹拌速度を下げて、トリフルオロメタンスルホン酸2−クロロ−6−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−5−エトキシカルボニル−1,3−ジメチル−ピリジニウム(IIa)(1.10g;1.76ミリモル)の種充填(a seed charge)を加えた(この種材料は、種を加えずに結晶化を開始する以外は、本明細書の実施例1に記載の経路によって作製した)。1時間後、この混合物を4時間にわたり55℃から10℃へ冷やしてから、10℃に2時間保つと、この時間の間にピリジニウム塩が結晶化した。次いで、得られるスラリーを真空で濾過して、濾過ケークをイソプロピルアルコール(211mL)で洗浄してから、20分間完全に脱気して、トリフルオロメタンスルホン酸2−クロロ−6−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−5−エトキシカルボニル−1,3−ジメチル−ピリジニウム、180g(黄色いIPA湿式固形物として、91.8%(w/w)の検定、100%(w/w)で165.2gに等しい、収率77%)を得た。δH (400 MHz, CDCl3) 1.39 (3H, t, J 7, CH2CH3), 2.53 (3H, br. s, ArCH3), 3.90 (3H, s, NCH3), 4.35 (2H, q, J 7, CH2CH3), 7.28 (1H, 〜t, J 8.5, ArH), 7.52 (1H, m, ArH), 7.58 (1H, m, ArH), 8.57 (1H, br. s, ArH), 10.69 (s, 1H, NH); δ 19F (CDCl3) -78.78 (3F, s) -121.85 (1F, d, J9); m/z.(LCMS, ES+) 449.0, 451.0 (3:1 M+(Cl =35): M+(Cl =37))。
【0120】
この中間体(約180g)のIMS(工業用メチル化酒精)(1.65L)撹拌スラリーを50℃へ加熱すると、この温度で溶液を生成した。この混合物へ水酸化ナトリウム(447mL;465g;894ミリモル)を約40分にわたり加えてから、10分後に第2充填の水酸化ナトリウム(224mL;232g;447ミリモル)を約20分にわたり加えると、明橙色の溶液を生じた。次いで、この混合物を50℃に6時間保持すると、この時間の後でHPLC分析は、反応が完了していることを示した。内部温度を45℃より高く保ちながら、この混合物へアセトニトリル(311mL)を約15分にわたり加えてから、その温度をそのまま約50℃に落ち着かせた。希塩酸(84mL;840ミリモル)を2時間にわたり加えてから、この混合物を50℃に1時間保ち、次いで真空下に濾過した。濾過ケークをIMS(222mL)及び水(89mL)の混合物で洗浄してから、真空オーブンにおいて50℃で一晩乾燥させて、2−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸(Ia)(99.9g,2工程で収率69%)を得た。δH (400 MHz, D6-DMSO) 2.02 (3H, d, J1, ArCH3), 3.18 (3H, s, NCH3), 6.65 (1H, t, J 8.5, ArH), 7.44 (1H, bd, J 8.5, ArH), 7.69 (1H, dd, J 10.5, 2, ArH), 7.77 (1H, m, J1, ArH), 9.59 (1H, br. s, NH), 13.00 (1H, br. s, COOH), m/z (LCMS, ES+) 403.0, 425.0 (1:1 MH+:MNa+)。
【0121】
実施例2
トリフルオロメタンスルホン酸2−クロロ−6−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−5−メトキシカルボニル−1,3−ジメチル−ピリジニウム
【0122】
【化30】

【0123】
トルエン(5mL)中の6−クロロ−2−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−5−メチル−ニコチン酸メチルエステル(IIIb)(1.0g;2.38ミリモル)の撹拌スラリーへ周囲温度でトリフルオロメタンスルホン酸メチル(1.3mL;2.0g;11.9ミリモル;5.0当量)を加えた。次いで、この混合物を85℃へ加熱した。85℃で22時間後、この溶液を90℃までさらに2時間加熱すると、その後でこの混合物は、二相を形成した。下相を蒸発乾固させ、トルエン(5mL)を加えて、再び蒸発乾固させた。得られる固体/オイル混合物をMTBE(3mL)で摩砕して、得られる溶液を濾過し、MTBE(10mL)で洗浄して乾燥させて、トリフルオロメタンスルホン酸2−クロロ−6−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−5−メトキシカルボニル−1,3−ジメチル−ピリジニウム(88%(w/w)で760mg,補正収率48%)を得た。δH (400 MHz, CDCl3) 2.53 (3H, s, ArCH3), 3.91-3.90 (6H, m, NCH3/ COOCH3), 7.30 (1H, d, J 8.5, ArH), 7.53 (1H, dd, J 10, 2, ArH), 7.59 (1H, d, J 8.5, ArH), 8.58 (1H, s, ArH), 10.63 (1H, s, NH); m/z (LCMS, ES+) 435.0, 437.0 (3:1 M+(Cl =35):M+(Cl =37))。
【0124】
実施例3
6−クロロ−2−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−5−メチル−ニコチン酸エチルエステル(IIIa)
【0125】
【化31】

【0126】
酢酸ブチル(288mL)中の5−クロロ−3−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(50g;131.4ミリモル)の撹拌スラリーへプロピオール酸エチル(15.6g;157.7ミリモル;1.20当量)に続いて酢酸ブチルライン洗浄液(12.5mL)を加えた。次いで、この混合物を120℃へ加熱すると、溶液が約85℃で生成された。120℃で6時間後、HPLC分析が反応の完了していることを示したので、この混合物を1時間にわたり75℃へ冷やし、その後で6−クロロ−2−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−5−メチル−ニコチン酸エチルエステル(461mg;1.05ミリモル)を種入れした(この種材料は、種を加えずに結晶化を開始する以外は、本明細書の実施例3に記載の経路によって作製した)。次いで、この混合物を75℃に1時間保ってから5時間にわたり0℃へ冷やして、その温度に2時間保った。生成物を真空で濾過して、濾過ケークを酢酸ブチル(2x100mL)で洗浄し、真空オーブンにおいて45℃で一晩乾燥させて、6−クロロ−2−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−5−メチル−ニコチン酸エチルエステル(51.3g,収率89%)を得た。δH (400 MHz, CDCl3) 1.42 (3H, t, J 7, CH2CH3)2.30 (3H, s, ArCH3) 4.41 (2H, q, J 7, CH2CH3) 7.44 (2H, m, ArH), 8.08 (1H, s, ArH), 8.39 (1H, 〜t, J 8.5, ArH), 10.38 (1H, m, NH); m/z.(LCMS, ES+) 434.9, 436.9 (3:1 MH+(Cl =35):MH+(Cl =37))。
【0127】
しかしながら、この実施例は、多様な溶媒において80℃で有効に行うことができることがわかった。その結果の要約を以下の表1に示す。
表1:5−クロロ−3−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オンのプロピオール酸エチルとの80℃での反応に続く、生成物の濾過
【0128】
【表3】

【0129】
実施例4
6−クロロ−2−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−5−メチル−ニコチン酸メチルエステル(IIIb)
【0130】
【化32】

【0131】
トルエン(24mL)中の5−クロロ−3−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(2.4g;5.8ミリモル)の撹拌スラリーへプロピオール酸メチル(1.5g;17.5ミリモル;3.0当量)を加えた。次いで、この混合物を86℃へ加熱した。19時間後、HPLC分析がこの反応の完了していることを示したので、この混合物を周囲温度へ冷やした。この溶液の容量を真空蒸留(ロータリーエバポレーター)によってその元の容量の約2/5まで減らすと、いくらかの固形物の結晶化を生じた。このスラリーをそのまま周囲温度へ冷やしてから、氷(外側)で2時間冷やした。このスラリーを濾過してから、新鮮なトルエン(6mL)で洗浄して乾燥させて、6−クロロ−2−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−5−メチル−ニコチン酸メチルエステル(1.87g,収率76%)を得た。
【0132】
δH (400 MHz, CDCl3) 2.30 (3H, d, J 0.5, ArCH3), 3.94 (3H, s, COOCH3), 7.45 (2H, m, ArH), 8.08 (1H, br., J 0.5, ArH), 8.39 (1H, 〜t, J 8.5, ArH), 10.36 (bs, 1H, NH); m/z (LCMS, ES+) 420.9, 422.9 (3:1 MH+(Cl =35):MH+(Cl =37))。
【0133】
実施例5
6−クロロ−5−メチル−2−フェニルアミノ−ニコチン酸エチルエステル(IIIc)
【0134】
【化33】

【0135】
酢酸ブチル(14.38mL,5.75相対容量)中の5−クロロ−6−メチル−3−フェニルアミノ−[1,4]オキサジン−2−オン5−クロロ−6−メチル−3−フェニルアミノ−[1,4]オキサジン−2−オン(2.50g,9.51ミリモル)の薄いスラリーへプロピオール酸エチル(1.17mL,1.13g,11.41ミリモル)を充填して、この混合物を120℃へ加熱した。21時間後、この反応物を2.5時間にわたり0℃へ冷やして、0℃に2時間保持した。次いで、この生成物を濾過して取り、酢酸ブチル(5℃以下、625.00μL,0.25相対容量)で洗浄してから、真空オーブンにおいて45℃で乾燥させて、6−クロロ−5−メチル−2−フェニルアミノ−ニコチン酸エチルエステル(1.77g,99.0%(w/w),収率63%)を得た。融点:116〜118℃,Vmax 3245, 1690, 761, 707 cm-1;δH (400 MHz) 1.41, (3H, t, J 7, CH2CH3), 2.27 (3H, s, CH3), 4.37 (2H, q, J 7, CH2CH3), 7.05 (1H, 〜t, J8, Ar-H), 7.33 (2H, 〜t, J 8, Ar-H2), 7.70 (2H, 〜d, J 8, Ar-H2), 8.04 (1H, s, H-1), 10.14 (1H, s, NH); m/z (HRMS, ES+) [MH]+ (C15H16ClN2O2) = 291.0895: 実測値 291.0896。
【0136】
実施例6
6−クロロ−2−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−5−メチル−ニコチン酸エチルエステル(IIId)
【0137】
【化34】

【0138】
酢酸ブチル(46.00mL,5.75相対容量)中の5−クロロ−3−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(8.00g,31.42ミリモル)の薄いスラリーへプロピオール酸エチル(3.86mL,3.74g,37.70ミリモル)を充填して、この混合物を120℃へ加熱した。21時間後、この反応物を2.5時間にわたり0℃へ冷やして、0℃に2時間保持した。次いで、この生成物を濾過して取り、酢酸ブチル(5℃以下、2.00mL,0.25相対容量)で洗浄してから、真空オーブンにおいて45℃で乾燥させて、6−クロロ−2−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−5−メチル−ニコチン酸エチルエステル(8.31g,99.7%(w/w),収率85%)を得た。融点:122〜126℃,Vmax 3269, 1692, 758 cm-1;δH (400 MHz) 1.41 (3H, t, J 7, CH2CH3), 2.32 (3H, d, J 1, CH3), 4.46 (2H, q, J 7, CH2CH3), 6.96(1H, m, Ar-H), 7.12 (1H, ddd, Ar-H), 7.15 (1H, m, Ar-H), 8.08 (1H, br.q, J 1, Pyr-H), 8.60 (1H, 〜td, J 8, 2, Ar-H), 10.36 (1H, s, NH); m/z (HRMS, ES+) [MH]+ (C15H15ClFN2O2) = 309.0801: 実測値 309.0816。
【0139】
実施例7
6−クロロ−2−(4−ヨード−フェニルアミノ)−5−メチル−ニコチン酸エチルエステル(IIIe)
【0140】
【化35】

【0141】
酢酸ブチル(57.50mL,5.75相対容量)中の5−クロロ−3−(4−ヨード−フェニルアミノ)−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(10.00g,27.58ミリモル)の薄いスラリーへプロピオール酸エチル(3.39mL,3.28g,33.10ミリモル)を充填して、この混合物を120℃へ加熱した。21時間後、この混合物を2.5時間にわたり0℃へ冷やして、0℃に2時間保持した。次いで、この生成物を濾過して取り、酢酸ブチル(5℃以下、2.50mL,0.25相対容量)で洗浄してから、真空オーブンにおいて45℃で乾燥させて、6−クロロ−2−(4−ヨード−フェニルアミノ)−5−メチル−ニコチン酸エチルエステル(11.49g,100%(w/w),収率89%)を得た。融点:144〜146℃,Vmax 3249, 1684, 791 cm-1;δH (400 MHz) 1.41 (3H, t, J 7, CH2CH3), 1.53 (3H, s, CH3), 4.38 (2H, q, J 7, CH2CH3), 7.50 (2H, 〜d, J9, Ar-H2), 7.60 (2H, 〜d, J 9, Ar-H2), 8.08 (1H, s, H-1), 10.17 (1H, s, NH); m/z (HRMS, ES+) [MH]+ (C15H15ClIN2O2) = 416.9861: 実測値 416.9875。
【0142】
実施例8
5−クロロ−3−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン
【0143】
【化36】

【0144】
方法1:THF中の3,5−ジクロロ−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オンとBFより
3,5−ジクロロ−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(50g,272.2ミリモル)及び2−フルオロ−4−ヨードアニリン(73g;1.11当量)のテトラヒドロフラン(1.0L)スラリーを20℃で10分間撹拌してから、40℃へ温めた。三フッ化ホウ素−テトラヒドロフラン錯体(57.2g;409ミリモル)を加えて、温度を20分にわたり66℃へ高めた。ほぼ39時間後、HPLC分析によれば反応が完了して、この混合物を1時間にわたり20℃へ冷やした。水(1.0L;55.5モル)を約3.5時間にわたり加えると、その時間の間に生成物が結晶化した。約1時間後、このスラリーを濾過し、濾過ケークを1:1 THF:水(100mL)で洗浄してから、真空オーブンにおいて45℃で約16時間にわたり乾燥させて、5−クロロ−3−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン83.9g(収率80%,99.2%(w/w))を薄褐色の固形物として得た。δH (400MHz, CDCl3), 2.31 (3H, s, CCH3), 7.48 (1H, dd, J 10, 2, ArH), 7.51 (1H, m, ArH), 8.09 (1H, bs, NH), 8.29 (1H, 〜t, J 8.5, ArH); m/z (LCMS, APCI+) 380.9298 (MH+(Cl =35))。
【0145】
方法2−クロロベンゼン中の3,5−ジクロロ−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オンとMsOHより
クロロベンゼン(50mL)中のDCMO(2.5g;13.47ミリモル)、2−フルオロ−4−ヨードアニリン(3.58g;1.1当量;14.8ミリモル)、及びメタンスルホン酸(1.95g,20.2ミリモル)のスラリーを75℃でほぼ11時間加熱すると、このときHPLC分析は、5%未満のDCMOが残っていることを示した。この混合物をそのまま61℃へ冷やしてから、水(25mL;1.39モル)を5分にわたり慎重に加えた。得られる二相性の混合物を約60℃で約10分間撹拌して、水相を除去した。有機相を約60℃の水(35mL)で洗浄してから、温度を60〜66℃に維持しながら、イソプロピルアルコール(34mL)を約30分にわたり加えた。この溶液をそのまま3時間にわたり約66℃から約40℃へ冷やすと、この時間の間に結晶化が生じた。次いで、この撹拌スラリーを周囲温度にさらに16時間保持してから、約1℃へ約8時間冷やした後で、濾過した。濾過ケークを1:1 IPA:クロロベンゼン(13mL)で洗浄してから、真空オーブン(40℃)において乾燥させて、5−クロロ−3−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(3.21g,100%(w/w),収率63%)を得た。
【0146】
方法3−ラクトニトリルより
工程1:3,5−ジクロロ−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(DCMO)の製造
トルエン(140Kg)中の塩酸トリエチルアミン(24.2Kg)の撹拌スラリーへ周囲温度で塩化オキサリル(134Kg)を約10分にわたり加えると、この時間の間に温度は、そのまま15℃から30℃へ上昇した。次いで、この混合物を70〜75℃の間へ加熱して、ラクトニトリル(48Kg,1.0当量)のトルエン(22Kg)溶液を5〜6時間にわたり加えると、この時間の間にガスが発生した。次いで、この混合物を70〜75℃でさらに4時間撹拌すると、その時間の後でラクトニトリルは消費されていた(GCによれば1%未満)。次いで、この混合物の温度を下げて、温度を30℃未満に保ちながら、水(250Kg)をゆっくり加えた。次いで、水相を除去して、有機相をヴィタセル(vitacel)(約5Kg)に通して濾過し、水(250Kg)で洗浄してから、一部蒸留して水を除去して、3,5−ジクロロ−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オンのトルエン溶液(ほぼ全量220Kg,22〜26(w/w)% DCMO)を得た。
【0147】
工程2:5−クロロ−3−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン
上記のように製造したDCMOのトルエン溶液(ほぼ220Kg)を2−フルオロ−4−ヨードアニリン(77.5Kg,1.1当量[工程1からのDCMO溶液のHPLCアッセイに基づく])と合わせて、周囲温度で撹拌した。メタンスルホン酸(36Kg,1.25当量)を30分にわたり加えてから、この混合物を80〜82℃で加熱して、その温度に約12時間保持すると、HPLCは、DCMOの濃度が1%未満であることを示した。次いで、この混合物を20〜30℃へ冷やして、温度を30℃未満に保ちながら、メタノール(320Kg)のゆっくりした添加を続けた。次いで、この混合物の温度を約10〜15℃へ下げて1時間保持した後で、真空で濾過した。濾過ケークをメタノール(2x60Kg)で洗浄してから、40〜50℃/50ミリバールで、乾燥時損失が0.5%未満になるまで乾燥させて、5−クロロ−3−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(87Kg,2工程で収率64%)を得た。
【0148】
実施例9
5−クロロ−6−メチル−3−フェニルアミノ−[1,4]オキサジン−2−オン(Va−II)
【0149】
【化37】

【0150】
3,5−ジクロロ−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(8g,43.25ミリモル)及びアニリン(4.52g,47.57ミリモル)のテトラヒドロフラン(160mL)溶液へ40℃で三フッ化ホウ素−テトラヒドロフラン錯体(9.08g,64.87ミリモル)を加えた。得られる混合物を68℃まで48時間加熱した。次いで、これを20℃へ冷やして、周囲温度に48時間保持した。次いで、水(160mL)を3.6時間にわたり加えた。得られるスラリーを1時間保持した後で濾過して、テトラヒドロフラン:水(20mL,1:1)で洗浄した。この固形物を真空オーブンにおいて40℃で乾燥させて、5−クロロ−6−メチル−3−フェニルアミノ−[1,4]オキサジン−2−オン(4.07g,90%(w/w),収率36%)を得た。融点133〜137℃,Vmax 3329, 1733, 1057, 754, 687 cm-1;δH (400MHz) 2.21 (3H, s, CH3), 7.08 (1H, 〜t, J 8, Ar-H), 7.34 (2H, 〜t, J 8, Ar-H2), 7.91 (2H, 〜d, J 8, Ar-H2), 9.82 (1H, s, NH); m/z (HRMS, ES+) [MH]+ C11H10ClN2O2= 237.0425: 実測値 237.0414。
【0151】
実施例10
5−クロロ−3−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(Va−III)
【0152】
【化38】

【0153】
3,5−ジクロロ−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(10.00g,54.45ミリモル)及び2−フルオロアニリン(6.79g,59.89ミリモル)のテトラヒドロフラン(200mL)溶液へ窒素下に40℃で三フッ化ホウ素−テトラヒドロフラン錯体(11.43g,81.67ミリモル)を加えた。得られる混合物を68℃で45時間加熱した。次いで、これを1時間にわたり20℃へ冷やして、水(200mL)を4時間にわたり加えた。次いで、得られるスラリーを1時間保持した後で濾過して、テトラヒドロフラン:水(1:1)で洗浄した。この固形物を真空オーブンにおいて40℃で乾燥させて、5−クロロ−3−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(9.01g,99%(w/w),収率64%)を得た。融点126〜129℃;Vmax 3394, 3362, 1735, 1062, 764 cm-1;δH (400 MHz) 2.31 (3H, s, CH3), 7.12 (3H, m, 3xAr Ar-H), 8.15 (1H, br. s, NH), 8.52 (1H, 〜td, J 8,2, Ar-H); m/z (HRMS, ES+) [MH]+ (C11H9ClFN2O2) = 255.0331: 実測値 255.0327。
【0154】
実施例11
5−クロロ−3−(4−ヨード−フェニルアミノ)−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(Va−IV)
【0155】
【化39】

【0156】
3,5−ジクロロ−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(8.00g,43.25ミリモル)及び4−ヨードアニリン(10.63g,47.57ミリモル)のテトラヒドロフラン(160mL)溶液へ40℃で三フッ化ホウ素−テトラヒドロフラン錯体(9.08g,64.87ミリモル)を加えた。得られる混合物を68℃で45時間加熱した。次いで、これを1時間にわたり20℃へ冷やして、水(160mL)を3.6時間にわたり加えた。次いで、得られるスラリーを1時間保持した後で濾過して、テトラヒドロフラン:水(1:1,20mL)で洗浄した。この固形物を真空オーブンにおいて40℃で乾燥させて、5−クロロ−3−(4−ヨード−フェニルアミノ)−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(11.6g,92%(w/w),収率67%)を得た。融点:203〜205℃。Vmax 3323, 1725, 1059 cm-1;δH (400 MHz) 2.21 (3H, s, CH3), 7.67 (2H, 〜d, J 9, Ar-H2), 7.75 (2H, 〜d, J9, Ar-H2), 9.95 (1H, s, NH); m/z (HRMS, ES+) [MH]+ (C11H9ClIN2O2) = 362.9392: 実測値 362.9403。
【0157】
実施例12
5−クロロ−6−メチル−3−(4−ニトロ−フェニルアミノ)−[1,4]オキサジン−2−オン(Va−V)
【0158】
【化40】

【0159】
3,5−ジクロロ−6−メチル−[1,4]オキサジン−2−オン(2.00g,10.81ミリモル)及び4−ニトロアニリン(1.68g,11.89ミリモル)のテトラヒドロフラン(40.00mL)溶液へ40℃で三フッ化ホウ素−テトラヒドロフラン錯体(2.27g,16.22ミリモル)を加えた。得られる混合物を68℃で45時間加熱した。次いで、これを1時間にわたり20℃へ冷やして、水(40.00mL)を3.6時間にわたり加えた。次いで、得られるスラリーを1時間保持した後で濾過して、テトラヒドロフラン:水(1:1,20mL)で洗浄した。この固形物を真空オーブンにおいて40℃で乾燥させて、5−クロロ−6−メチル−3−(4−ニトロ−フェニルアミノ)−[1,4]オキサジン−2−オン(2.75g,99%(w/w),収率89%)を得た。融点:230〜234℃;Vmax 3322, 1736, 1566, 1272 cm-1;δH (400 MHz) 2.24 (3H, s, CH3), 8.16 (2H, 〜d, Ar-H2), 8.24 (2H, 〜d, Ar-H2), 10.43 (1H, s, NH); m/z (HRMS, ES+) [MH]+ (C11H9ClN3O4) = 282.0276: 実測値 282.0280。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、Rは、メチル又はエチルであり、そのいずれも1以上のフッ素原子で置換されていてもよく、
、R、R、及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−SR21、−OR23、−C(O)R23、−C(O)OR23、−NR24C(O)OR26、−OC(O)R23、−NR24SO26、−SONR2324、−NR24C(O)R23、−C(O)NR2324、−NR25C(O)NR2324、−NR25C(NCN)NR2324、−NR2324、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルアルキル、−S(O)1−6アルキル、−S(O)(CR2425−アリール、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、−O(CR2425アリール、−NR24(CR2425−アリール、−O(CR2425−ヘテロアリール、−NR24(CR2425−ヘテロアリール、−O(CR2425−ヘテロシクリル、又は−NR24(CR2425−ヘテロシクリルであり、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれも、オキソ(但し、これはアリール又はヘテロアリール上では置換されない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR24SO26、−SONR2324、−C(O)R23、−C(O)OR23、−OC(O)R23、−NR24C(O)OR26、−NR24C(O)R23、−C(O)NR2324、−NR2324、−NR25C(O)NR2324、−NR25C(NCN)NR2324、−OR23、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく、そしてここで前記アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキル環は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C3−6ヘテロシクロアルキル、NR2324、及びOR23より選択される1以上の基でさらに置換されてよく;
ここでR23は、水素、トリフルオロメチル、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、リン酸又はアミノ酸残基であり、ここで前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれも、オキソ(但し、これはアリール又はヘテロアリール上では置換されない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR21SO29、−SONR2128、−C(O)R21、C(O)OR21、−OC(O)R21、−NR21C(O)OR29、−NR21C(O)R28、−C(O)NR2128、−SR21、−S(O)R29、−SO29、−NR2128、−NR21C(O)NR2830、−NR21C(NCN)NR2830、−OR21、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよいか、又はR23とR24は、それらが付く原子と一緒に、4〜10員の炭素環式環、ヘテロアリール環、又は複素環式環を形成し、ここで前記炭素環式環、ヘテロアリール環、又は複素環式環のいずれも、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR21SO29、−SONR2128、−C(O)R21、−C(O)OR21、−OC(O)R21、−NR21C(O)OR29、−NR21C(O)R28、−C(O)NR2128、−SR21、−S(O)R29、−SO29、−NR2128、−NR21C(O)NR2830、−NR21C(NCN)NR2830、−OR21、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく;
24とR25は、独立して、水素又はC1−6アルキルであり;又は
24とR25は、それらが付く原子と一緒に、4〜10員の炭素環式環、ヘテロアリール環又は複素環式環を形成し、ここで前記アルキル、又は前記炭素環式環、ヘテロアリール環、及び複素環式環のいずれも、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR21SO29、−SONR2128、−C(O)R21、C(O)OR21、−OC(O)R21、−NR21C(O)OR29、−NR21C(O)R28、−C(O)NR2128、−SR21、−S(O)R29、−SO29、−NR2128、−NR21C(O)NR2830、−NR21C(NCN)NR2830、−OR21、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく;
26は、トリフルオロメチル、C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、ここで前記アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれも、オキソ(但し、これはアリール又はヘテロアリール上では置換されない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR21SO29、−SONR2128、−C(O)R21、C(O)OR21、−OC(O)R21、−NR21C(O)OR29、−NR21C(O)R28、−C(O)NR2128、−SR21、−S(O)R29、−SO29、−NR2128、−NR21C(O)NR2830、−NR21C(NCN)NR2830、−OR21、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく;
21、R28、及びR30は、独立して、水素、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、及びアリールアルキルであり、そしてR29は、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、及びアリールアルキルであり;又は、R21、R28、R30、又はR29のどの2つも、それらが付く原子と一緒に、4〜10員の炭素環式環、ヘテロアリール環、又は複素環式環を形成し、ここで前記アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル炭素環式環、ヘテロアリール環、又は複素環式環のいずれも、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルより独立して選択される1以上の基で置換されていてもよく;
mは、0、1、2、3、4、又は5であり;そしてjは、0、1、又は2であり;
Xは、OR、SR、−NR、−N(R12)OR、−N(R)SO、C3−10シクロアルキル、C1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;
ここでRは、R23について上記に定義されるような基であり;
とR12は、基:R24について上記に定義されるような基であり;又は
12は、その保護化誘導体を形成するようにRへ連結する]の化合物、又はその医薬的に許容される塩を製造するための方法であって;
式(II):
【化2】

[式中、X、R、R、R、R、及びRは、上記に定義される通りであり、そしてLは、脱離基である]の化合物の加水分解を含む、前記方法。
【請求項2】
請求項1に定義されるような式(II)の化合物を製造するための方法であって、式(III):
【化3】

[式中、L、X、R、R、R、R、及びRは、請求項1に定義される通りである]の化合物を式(IV):
−L (IV)
[式中、Rは、請求項1に定義される通りであり、Lは、脱離基である]の化合物と反応させることを含む、前記方法。
【請求項3】
請求項2に定義されるような式(III)の化合物を製造するための方法であって、式(V):
【化4】

[式中、L、R、R、R、及びRは、請求項1に定義される通りである]の化合物を式(VI):
【化5】

[式中、Xは、請求項1に定義される通りであり、Yは、水素又は除去可能基である]の化合物と反応させることを含む、前記方法。
【請求項4】
請求項2に定義されるような式(III)の化合物を製造するための方法であって、(i)式(V):
【化6】

[式中、L、R、R、R、及びRは、請求項1に定義される通りである]の化合物を式(VIa):
【化7】

[式中、Xは、請求項1に定義される通りであり、Yは、水素又は除去可能基であり、QとQは、独立して、水素、又は脱離によって容易に除去可能である基より選択されて、Q又はQの1つは、脱離によって容易に除去可能である基である]の化合物と反応させる工程、及び(ii)工程(i)の生成物を式(III)の化合物へ変換する工程を含む、前記方法。
【請求項5】
請求項2に定義されるような式(III)の化合物を製造するための方法であって、(i)式(V):
【化8】

[式中、L、R、R、R、及びRは、請求項1に定義される通りである]の化合物を式(VIb):
【化9】

[式中、Y、Q、及びQ1bは、すべて水素である]の化合物と反応させて、ジヒドロピリジンを形成する工程、及び(ii)該ジヒドロピリジンを酸化して、式(III)のピリジンを形成する工程を含む、前記方法。
【請求項6】
式(VII):
【化10】

[式中、Rは、請求項1に定義される通りであり、Lは、脱離基である]の化合物を式(VIII):
【化11】

[式中、R、R、及びRは、請求項1に定義される通りである]の化合物と反応させることによって式(V)の化合物を製造する、請求項3に定義されるような式(V)の化合物を製造するための方法。
【請求項7】
式(XI)の化合物を式(X):
【化12】

[式中、Rは、請求項1に定義される通りであり、LとL2aは、ともに脱離基である]の化合物と反応させることによって式(VII)の化合物を in situ 製造する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
とRが、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、OCH、又はSCHより独立して選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
Xが、OR、NHR、−N(R12)OR、SR、又はCHであり、ここでRとR12は、水素、又はヒドロキシ若しくはシクロアルキルによって置換されていてもよいC1−10アルキルより選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
が、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1−4アルキル、OCH、又はSCHである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
が、水素、CN、ハロゲン、又は、F若しくはCNより独立して選択される1以上の基によって置換されていてもよいC1−4アルキルである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に定義されるような式(II)の化合物。
【請求項13】
請求項2に定義されるような式(III)の化合物。
【請求項14】
請求項3に定義されるような式(V)の化合物。
【請求項15】
がヨウ素である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
がフッ素である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の化合物。

【公表番号】特表2011−511784(P2011−511784A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545565(P2010−545565)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050124
【国際公開番号】WO2009/101432
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】