説明

ピリミジン誘導体及びカルシウム拮抗体の組み合わせ物

【発明の詳細な説明】
発明の背景発明の分野 本発明は、頭髪の生長を誘発及び刺激することを意図した、カルシウム拮抗体(antagonist)とピリミジン誘導体の新規な組み合わせ物に、また該組み合わせ物を使用する処置方法に関する。
個人は、その頭の上に約100 000なしし150 000の頭髪を有し、そして通常毎日50ないし100が失われる。一本の頭髪は、同じ毛胞(follicle)から現れる新しい一本の頭髪によって置き換えられる前に、生成、成長及び欠落から成る毛髪のライフサイクルを有するので、この数は本来維持される。
毛髪のサイクルには三つの相、進化の(anagenous)、退化の(catagenous)及び末期の(telogenous)相がある。
第一の進化の相の間、頭髪は、根における激しい新陳代謝の(metabolic)活動を伴う活発な生長の期間を経過する。
第二の退化の相は、短くそして有糸分裂の活動の低下によって特徴付けられる。この相の間、頭髪は衰退(involution)を受け、毛胞は萎縮し(atrophies)そしてその皮膚の植え込み(implantation)はますます突起して見える。
最後の末期の相は毛胞の休息(rest)期間に相当し、そして頭髪は、一本の新しく生成された進化の頭髪によって押し出されて、最後に抜け落ちる。
この連続的な肉体的更新プロセスは、頭髪がより細くそしてサイクルがより短くなりながら、加齢の間、自然に展開する。
この肉体的更新プロセスが加速または混乱させられると、即ち生長相が短縮され、頭髪がより早く末期の相に入りそしてより多くの頭髪が抜け落ちると、脱毛症(alopecia)が起きる。引き続く生長サイクルは、結果としてますます細く、ますます短い頭髪をもたらし、次第に着色されなくなって(as unpigmented down)終わる。この現象は結果としてはげをもたらし得る。
“ミノキシジル(Minoxidil)”(6−アミノ−1,2−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2−イミノ−4−ピペリジノピリミジン)が、脱毛症の効果を減らしまたは終わらせ、頭髪の生長を誘発及び刺激しそして頭髪の損失を減らす局所の(topical)組成物中で頭髪の損失を処置するのに既に使用されてきた。
経口または非経口投与されたカルシウム拮抗体は、心臓血管の疾患の治療及び処置において公知である。
カルシウム拮抗体(これらはそれら自身では頭髪の生長を誘発または刺激しないし頭髪の損失を遅らせもしない)とある種のピリミジン誘導体とを組み合わせると、頭髪の生長の誘発及び刺激を改良しそして頭髪の損失の遅延化を改善する驚くべき効果が生じることが、ここに驚くべきことに発見された。
特に、この組み合わせ物は、分離したこれらの組成物よりも早く作用し始める。組み合わせ物のために、ピリミジン誘導体のより低い濃度を使用することができる。
脱毛症の処置のための組成物の作用の効能(efficacity)または速度は、トリコグラム(trichogram)そして特になかんずく末期の相にある頭髪に対して進化の相にある頭髪の百分率を測定することを可能にするフォトトリコグラム(phototrichogram)を用いて特によく測定することができる。
特に、本発明による組み合わせ物は、組成物が別々に使用される時と比較してこの百分率を増加させるであろう。
本発明の一つの目的は、頭髪の生長を誘発または刺激しそして頭髪の損失を減らすことを意図した、カルシウム拮抗体とピリミジン誘導体との組み合わせ物を提供することである。
本発明の他の目的は、この組み合わせ物を有して成る化粧の及び/または薬物の組成物を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、該組み合わせ物を含む数個の区画を有する装置を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、以下の説明及び実施例から明らかになるであろう。
発明の要約 頭髪の生長を誘発及び刺激しそして頭髪の損失を減らすことを意図した本発明による組み合わせ物は、該組み合わせ物が、a)生理学的に受け入れられる媒体中に少なくとも一つのカルシウム拮抗体を有して成る第一成分;及びb)式:

式中、 R1は基

を表し、 ここで、 R3及びR4はお互いに独立でありそして水素、アルキル、アルケニル、アルキルアリールまたはシクロアルキル基を表すか、あるいはR3及びR4はそれらに結合する窒素原子と共に複素環を形成しそしてアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘプタメチレンイミン、オクタメチレンイミン、モルホリンまたは4−アルキルピペラジジニル基を表し、ここでこれらの複素環式の基は一ないし三の低級アルキル、ヒドロキシまたはアルコキシ基によって炭素原子においてさらに置換されていることができ、そして R2は水素原子、アルキル、アルケニル、アルキルアルコキシ、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールアルキル、アルコキシアリールアルキルまたはハロアリールアルキル基を表す、を有するピリミジン誘導体、並びに生理学的に受け入れられる酸の付加塩を、生理学的に受け入れられる媒体中に含む第二成分;を有して成り、該組み合わせ物中において、該第一及び第二成分は、同じ組成物の一部を形成するか、あるいは同時にもしくは引き続くまたは離れた段階において別々の使用を意図されている、ことを主に特徴とする。
さらに詳細には、該カルシウム拮抗体は、パパバリン誘導体、1,4−ジヒドロピリジン誘導体、ベンゾチアゼピン誘導体、シナミピペラジン誘導体、ニセルゴリン(nicergoline)及びベプリジル(bepridil)なら成る群から選ばれる。
特に好ましいパパバリン誘導体は以下の通りである:ビス1,7−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチル−1−イソプロピル−1−シアノ−5−アザヘプタン(ベラパミル(verapamil))とその塩酸塩及び5−[メチルアミノ−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル]]−2−イソプロピル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)バレロニトリル(ガロパミル(gallopamil))。
1,4−ジヒドロピリジン誘導体は、以下のものから成る群から選ばれる:4−(2′−ニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3,5−ジカルボメトキシ−1,4−ジヒドロピリジン(ニフェジピン(nifedipine));4−(3′−ニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3−カルボメトキシ−5−(メチルベンジルアミノ)−カルボキシエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン(ニカルジピン(nicardipine))とその塩酸塩;4−(3′−ニトロフェニル−2,6−ジメチル−3−カルボ−2−メトキシエトキシ)−5−カルボイソプロポキシ−1,4−ジヒドロピリジン(ニモジピン(nimodipine);4−(3′−ニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3,5−ジカルボ−2−プロポキシエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン(ニルジピン(niludipine));4−(2′3′−ジクロロフェニル)−2,6−ジメチル−3−カルボエトキシ−5−カルボメトキシ−1,4−ジヒドロピリジン(フェロジピン(felodipine));4−(3′−ニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3−カルボエトキシ−5−カルボメトキシ−1,4−ジヒドロピリジン(ニトレンジピン(nitrendipine);4−(3′−ニトロフェニル)−2−シアノ−6−メチル−3−カルボメトキシ−5−カルボ−(1−メチルエトキシ)−1,4−ジヒドロピリジン(ニルバジピン(nilvadipine));4−(4′−ベンゾフラザニル)−2,6−ジメチル−3−カルボメトキシ−5−カルボ−(1−メチルエトキシ)−1,4−ジヒドロピリジン(イスラジピン(isradipine);4−(2′−ニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3−カルボイソブトキシ−5−カルボメトキシ−1,4−ジヒドロピリジン(ニソルジピン(nisoldipine))。
特に好ましいベンゾチアゼピン誘導体は、3−アセチルオキシ−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2,3−ジヒドロ−2−(4−メトキシフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン(ジルチアゼム(diltiazem))とその塩酸塩である。
特に好ましいシナミルピペラジンは、1−シナミル−4−ジフェニルメチルピペラジン(シナリジン(cinnarizine))、その塩酸塩とそのクロフィブレート、及び1−シナミル−4−ジ[(パラフルオロフェニル)メチル]ピペラジン(フルナリジン(flunarizine))とその塩酸塩である。
特に好ましいニセルゴリンは、(10−メトキシ−1,6−ジメチルエルゴリン)−8−メタノール−5−ブロモニコチネートである。
特に好ましいベプリジルは、1−イソブトキシ−2−ピロリジノ−3−N−ベンジルアニリノプロパンである。
もっとも特に好ましいカルシウム拮抗体は、ベラパミル、ニフェジピン、ニカルジピン、ジルチアゼム、シナリジン及びフルナリジンである。
式(I)を有する物質において、“アルキルまたはアルコキシ”基は好ましくは一ないし四の炭素原子を含む基を定義し;“アルケニル”基は好ましくは二ないし五の炭素原子を含む基を定義し;“アリール”基は好ましくはフェニル基を定義しそして“シクロアルキル”基は好ましくは四ないし六の炭素原子を含む基を定義する。
式(I)を有する特に好ましい物質は、式中、R2は水素を表しそしてR1は基

を表し、ここで、R3及びR4はピペリジニル環を表す、物質、また例えば硫酸塩のようなそれらの塩である。
このタイプの特に好ましい物質は、“ミノキシジル”という商品名で知られている、6−アミノ−1,2−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2−イミノ−4−ピペリジノピリミジンである。
カルシウム拮抗体は、0.01ないし10重量%、好ましくは0.01ないし5重量%そして特に0.1ないし3重量%の割合で第一成分中に好ましく存在する。式(I)を有するピリミジン誘導体は、0.05ないし10重量%、好ましくは0.05ないし5重量%、そして特に0.5ないし4重量%の割合で第二成分中に好ましく存在する。
第一及び第二成分が単一の組成物で使用される時には、カルシウム拮抗体は全組成物重量に関して0.01ないし5重量%そして好ましくは0.05ないし3重量%の割合で好ましく存在し;式(I)を有するピリミジン誘導体は全組成物重量に関して0.05ないし6重量%、好ましくは0.1ないし5重量%そして特に0.5ないし2重量%の割合で使用される。
使用され得る生理学的に受け入れられる媒体は、水、水/溶媒混合物、あるいは化粧上または薬学上受け入れられる有機溶媒の混合物を含む。
さらに詳細には、以下のような溶媒が用いられてよい:C1ないしC4低級アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、tert.−ブタノール;アルキレングリコール、例えばプロピレングリコール;そしてモノ−及びジアルキレングリコールのアルキルエーテル、もっとも詳細にはエチレングリコールのモノエチルエーテル、プロピレングリコールのモノメチルエーテル及びジエチレングリコールのモノエチルエーテル。
水性媒体中で使用される時には、これらの溶媒は好ましくは全組成物重量に関して1ないし80重量%の割合で存在する。
生理学的に受け入れられる媒体は、もし所望ならば増粘してよい。当該技術において知られている増粘剤またはゲル化剤、特にヘテロビオポリサッカライド例えばキサンタン(xanthane)ゴムまたはスクレログルカン(scleroglucanes)、セルロース誘導体及び網状にされたまたは網状にされていないアクリルのポリマーを使用してよい。
増粘剤は、それらが別々に使用される時には各々の成分の全重量に関して、あるいは第一及び第二成分の両方を含む組成物の全重量に関して、0.1ないし5重量%、特に0.4ないし3重量%の割合で好ましくは存在する。
別々の第一及び第二成分、あるいは一緒の両方の成分によって構成される組成物は、局所の化粧のまたは薬物の組成物において一般に使用される任意のその他の添加物を含んでよい。特に、防腐剤、錯化剤、染料、アルカリ化または酸性化剤、界面活性剤、アニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性剤、またはこれらの混合物、そしてアニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性ポリマーまたはこれらの混合物を用いてよい。
組成物pHは4と9の間で変化してよい。
これらの組成物はまた圧力下でエーロゾル装置中に包装してよい。
第二成分において、式(I)を有するピリミジン誘導体は、生理学的に受け入れられる媒体中に溶解して、あるいはこの媒体中に、特に、80ミクロン以下、好ましくは20ミクロン以下そして特に5ミクロン以下の粒度(granulometry)を有する粒子として、完全にまたは部分的に懸濁して、存在してよい。
本発明の第一の具体例は、第一及び第二成分を含む単一の組成物としての上で定義された組み合わせ物を使用することに在る。
本発明の特に好ましい具体例は、第一及び第二成分を別々の手段で貯蔵し、そして適用の直前にその場でカルシウム拮抗体と式(I)を有するピリミジン誘導体を含む組成物を調製することに在る。
最後に、別の具体例は、第一及び第二成分を別々に、同時にかあるいは引き続くまたは離れた段階で、適用することに在る。
本発明による組み合わせ物は、この場合においては、数個の区画を有する装置中のキットとして包装されてよく、その第一区画はカルシウム拮抗体を有して成る第一成分を含みそしてその第二区画は式(I)を有するピリミジン誘導体を有して成る第二成分を含む。この装置はさらに適用の直前に組成物を調製するための混合手段を有して成ってよい。
頭髪の生長を誘発及び刺激しそして頭髪の損失を減らすための処置は、主に、上で定義された組み合わせ物を脱毛症によって影響された頭皮の領域に、単一の組成物を使用するか、あるいは第一成分そして次に第二成分を、または逆に、引き続いてまたは離れた段階で適用することによって、適用することに在る。
適用の好ましい方法は、1ないし5gの、単一の組成物、あるいは第一及び第二成分の各々を脱毛症によって影響された領域に、一日に一回または二回、一週間に一ないし七日、一ないし六ヵ月の期間の間、適用することに在る。
この処置方法は、本発明の組み合わせ物が、毛髪のサイクル及びその機能障害(dysfunction)の生物学的機構への治療作用を有するという点で治療処置の特性を有する。
本発明の目的は、かくして、頭髪の生長を誘発または刺激しそして頭髪の損失を減らす組み合わせ物の使用によって構成される。
本発明の方法はまた、それが頭髪または頭皮を改良するという点で化粧処置方法の特性を有する。
発明の実施例 以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、いささかもその範囲を限定するものではない。
実施例1 以下の組成を有するローションを調製した:−ベラパミル塩酸塩 0.60g−ミノキシジル 1.00g−プロピレングリコール 20.00g−エタノール 50.00g−水 qsp 100.00g実施例2 以下の組成を有するローションを調製した:−ジルチアゼム塩酸塩 0.90g−ミノキシジル 1.00g−エタノール 95.00g−プロピレングリコール qsp 100.00g実施例3 以下の組成を有するローションを調製した:−ニフェジピン 0.15g−ミノキシジル 1.00g−プロピレングリコール 20.00g−エタノール 50.00g−水 qsp 100.00g実施例4 以下の第一及び第二組成物(A)及び(B)をキットの形に包装した:組成物(A):−フルナリジン塩酸塩 0.20g−エタノール 95.00g−プロピレングリコール qsp 100.00g組成物(B):−ミノキシジル 3.00g−プロピレングリコール 20.00g−エタノール 50.00g−水 qsp 100.00g 組成物(A)及び(B)のその場での混合物を適用した。
実施例5 以下の第一及び第二組成物(A)及び(B)をキットの形に包装した:組成物(A):−ニカルジピン塩酸塩 0.60g−プロピレングリコール 20.00g−エタノール 50.00g−水 qsp 100.00g組成物(B):−微粉化したミノキシジル(平均粒子サイズ2ミクロン以下) 2.00g−網状にされたポリアクリル酸M.Wt=3百万、グッドリッチによって商品名“カーボポル(CARBOPOL)934"で販売されている 1.00g−プロピレングリコール 4.50g−2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール qs pH=7−防腐剤 qs −水 qsp 100.00g これら組成物を、離れた段階で、組成物(A)を朝にそして組成物(B)を夕方に、適用した。
実施例6 以下の第一及び第二組成物(A)及び(B)をキットの形に包装した:組成物(A):−シナリジン 0.50g−エタノール 95.00g−プロピレングリコール qsp 100.00g組成物(B):−ミノキシジル 2.00g−エタノール 95.00g−プロピレングリコール qsp 100.00g これらの組成物を、離れた日の段階で、組成物(A)を第一日に、組成物(B)を第二日に、適用した。
実施例1ないし6の各々において、脱毛症に冒された頭皮の領域への組成物の三ヵ月間の毎日の適用の後で、進化の頭髪/末期の頭髪の比におけるかなりの改良が観察された。
実施例7 以下の組成を有するローションを調製した:−ジルチアゼム 3.00g−ミノキシジル 0.54g−プロピレングリコール 20.00g−エタノール 50.00g−水 qsp 100.00g実施例8 以下の組成を有するローションを調製した:−シナリジン 3.00g−ミノキシジル 0.54g−プロピレングリコール 20.00g−エタノール 50.00g−水 qsp 100.00g 本発明に従う組成物(組み合わせ物)は、従来技術に従う組成物と較べて、頭髪の再生長および頭髪の損失の減少において優れた効果を奏する。
本発明の効果を示す比較試験およびその結果を下に記載する。
比較試験I.下記組成物A,BおよびCを使用した。
組成物A(従来技術)
ミノキシジル 0.54gプロピレングリコール 20.00gエタノール 50.00g水 100.00g組成物B(従来技術)
ジルチアゼム 3.00g(周知のカルシウム拮抗体)
プロピレングリコール 20.00gエタノール 50.00g水 100.00g組成物C(本発明、上記実施例7の組成物)
ミノキシジル 0.54gジルチアゼム 3.00gプロピレングリコール 20.00gエタノール 50.00g水 100.00gII.以下に記載の試験を行なった。
1.被験者:年令20才〜49才の男子被験者は、臨床的に男性型脱毛症と診断された(ハミルトン分類によるIII度ないしIV度)。
被験者は、健康診断を受け、次のとおり診断された。
心臓に問題はない。
頭髪の損失を起こす可能性のある処置は受けていない。
頭皮は健康である。
本試験の前の3カ月間、脱毛症の処置を受けていない。
本試験の前の6カ月間、ミノキシジルを用いる脱毛症の処置を受けていない。
脱毛症の処置と同時に他の処置を受けていない。
5人の被験者は組成物Aを適用された。
3人の被験者は組成物Bを適用された。
5人の被験者は組成物Cを適用された。
処置 3カ月の間1日当り脱毛症にかかった頭皮1cm2当り7.5ないし25マイクロリツトルの各組成物を適用した。
効果の検査 J.Med.Esth et Chir.Derm.VolXIV,No.53,1987年3月第31〜35頁「脱毛症の客観的方法」において、M.クルトワ,S.ジランおよびJ.F.グロリエが記載しているフオトトリコグラムを用いて検査した。
下記の検査項目進化の相にある頭髪のcm2当りの数末期の相にある頭髪のcm2当りの数全体の頭髪のcm2当りの数末期の相にある頭髪の百分率 について決定した。
全体の密度の増加および末期の相における頭髪の百分率の減少(すなわち、頭髪の再生長および頭髪の損失の減少)を決定した。
得られた結果を表1に示す。




表1より、下記のことがわかる。
ミノキシジルとカルシウム拮抗体(ジルチアゼム)を組み合わせることによって、頭髪の再生長と頭髪の損失の減少が、ミノキシジルのみを含有する組成物よりも、150%増大する。
また、カルシウム拮抗体(ジルチアゼム)のみを含有する組成物は、頭髪の再生長および頭髪の損失の減少に対して効果を有していない。
ミノキシジルとカルシウム拮抗体(ジルチアゼム)の組み合わせは、各々の成分が奏する効果と比較して、頭髪の再生長に対して驚くべきかつ予期されていなかった相乗効果を示す。
本発明の主なる特徴及び態様は以下の通りである。
1.頭髪の生長を誘発及び刺激しそして頭髪の損失を減らすための組み合わせ物であって、a)生理学的に受け入れられる媒体中に少なくとも一つのカルシウム拮抗体を含む第一成分;及びb)式:

式中、 R1は基

を表し、 ここで、 R3及びR4はお互いに独立でありそして水素、アルキル、アルケニル、アルキルアリールまたはシクロアルキル基を表すか、あるいはR3及びR4はそれらに結合する窒素原子と共に複素環を形成しそしてアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘプタメチレンイミン、オクタメチレンイミン、モルホリンまたは4−アルキルピペラジジニル基を表し、ここでこれらの複素環式の基は一ないし三の低級アルキル、ヒドロキシまたはアルコキシ基によって炭素原子においてさらに置換されていることができ、そして R2は水素原子、アルキル、アルケニル、アルキルアルコキシ、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールアルキル、アルコキシアリールアルキルまたはハロアリールアルキル基を表す、を有するピリミジン誘導体、並びに生理学的に受け入れられる酸の付加塩を、生理学的に受け入れられる媒体中に含む第二成分;を有して成り、該組み合わせ物中において、該第一及び第二成分は、同じ組成物の一部を形成するか、あるいは同時にもしくは引き続くまたは離れた段階において別々の使用を意図されている、組み合わせ物。
2.該カルシウム拮抗体が、パパバリン誘導体、1,4−ジヒドロピリジン誘導体、ベンゾチアゼピン誘導体、シナミルピペラジン誘導体、ニセルゴリン及びベプリジルから成る群から選ばれる、上記1に記載の組み合わせ物。
3.該パパバリン誘導体が、ベラパミル及びガロパミルから成る群から選ばれ;該1,4−ジヒドロピリジン誘導体が、ニフェジピン、ニカルジピン、ニモジピン、ニルジピン、フェロジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニバルジピン、イスラジピン及びベンゾチアゼピン誘導体例えばジルチアゼムから成る群から選ばれ;そして該シナミピペラジン誘導体がシナリジン及びフルナリジンから成る群から選ばれる、上記2に記載の組み合わせ物。
4.式(I)を有する該ピリミジン誘導体が、式中R2が水素を表しそしてR1が基:

を表し、ここで、R3及びR4がピペリジニル環を形成する、式(I)の化合物、またはそれらの塩から選ばれる、上記1に記載の組み合わせ物。
5.式(I)を有する該ピリミジン誘導体が6−アミノ−1,2−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2−イミノ−4−ピペリジノピリミジン(ミノキシジル)である、上記4に記載の組み合わせ物。
6.該カルシウム拮抗体が、0.01ないし10重量%、そして好ましくは0.01ないし5重量%の割合で該第一成分中に存在し、そして式(I)を有する該ピリミジン誘導体が、0.05ないし10重量%、好ましくは0.05ないし5重量%、そして特に0.5ないし4重量%の割合で該第二成分中に存在する、上記1に記載の組み合わせ物。
7.該第一及び第二成分が単一の組成物中に存在し、この組成物中で、該カルシウム拮抗体が全組成物重量に関して0.01ないし5重量%、好ましくは0.05ないし3重量%の割合で存在し、そしてこの組成物中で、式(I)を有する該ピリミジン誘導体が全組成物重量に関して0.05ないし6重量%、好ましくは0.1ないし5重量%そして特に0.5ないし2重量%の割合で存在する、上記1に記載の組み合わせ物。
8.該第一及び第二成分のための生理学的に受け入れられる該媒体が、水、あるいは水と一またはそれ以上の有機溶媒との混合物、あるいは化粧上または薬物上受け入れられる有機溶媒の混合物である、上記1に記載の組み合わせ物。
9.該第一及び第二成分の少なくとも一つが、C1ないしC4低級アルコール、アルキレングリコール、そしてモノ−及びジアルキレングリコールのアルキルエーテルから成る群から選ばれた溶媒を含む、上記8に記載の組み合わせ物。
10.該第一及び第二成分の少なくとも一つが、増粘剤またはゲル化剤を用いて増粘されている、上記1に記載の組み合わせ物。
11.第一及び第二成分の少なくとも一つが、防腐剤、錯化剤、染料、アルカリ化または酸性化剤;界面活性剤;アニオン性、カチオン性、ノニオン性または両性剤、及びこれらの混合物;そしてアニオン性、カチオン性、ノニオン性または両性ポリマー及びこれらの混合物から成る群から選ばれた、化粧上または薬物上受け入れられる添加物をも含む、上記1に記載の組み合わせ物。
12.a)生理学的に受け入れられる媒体中に少なくとも一つのカルシウム拮抗体を含む第一成分;及びb)式:

式中、 R1は基

を表し、 ここで、 R3及びR4はお互いに独立でありそして水素、アルキル、アルケニル、アルキルアリールまたはシクロアルキル基を表すか、あるいはR3及びR4はそれらに結合する窒素原子と共に複素環を形成しそしてアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘプタメチレンイミン、オクタメチレンイミン、モルホリンまたは4−アルキルピペラジジニル基を表し、ここでこれらの複素環式の基は一ないし三の低級アルキル、ヒドロキシまたはアルコキシ基によって炭素原子においてさらに置換されていることができ、そして R2は水素原子、アルキル、アルケニル、アルキルアルコキシ、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールアルキル、アルコキシアリールアルキルまたはハロアリールアルキル基を表す、を有するピリミジン誘導体、並びに生理学的に受け入れられる酸の付加塩を、生理学的に受け入れられる媒体中に含む第二成分;を有して成る組み合わせ物を頭髪または頭皮に適用することによる、頭皮または頭髪のための化粧処置方法であって、該方法において、該第一及び第二成分を、頭髪または頭皮を改良する目的で、単一の組成物において、あるいは同時にもしくは引き続くまたは離れた段階において別々に、適用する、方法。
13.生理学的に受け入れられる媒体中に少なくとも一つのカルシウム拮抗体を含む第一成分を含有する第一区画、及び式:

式中、 R1は基

を表し、 ここで、 R3及びR4はお互いに独立でありそして水素、アルキル、アルケニル、アルキルアリールまたはシクロアルキル基を表すか、あるいはR3及びR4はそれらに結合する窒素原子と共に複素環を形成しそしてアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘプタメチレンイミン、オクタメチレンイミン、モルホリンまたは4−アルキルピペラジジニル基を表し、ここでこれらの複素環式の基は一ないし三の低級アルキル、ヒドロキシまたはアルコキシ基によって炭素原子においてさらに置換されていることができ、そして R2は水素原子、アルキル、アルケニル、アルキルアルコキシ、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールアルキル、アルコキシアリールアルキルまたはハロアリールアルキル基を表す、を有するピリミジン誘導体、並びに生理学的に受け入れられる酸の付加塩を、生理学的に受け入れられる媒体中に含む第二成分を含有する第二区画を含む数個の区画を有して成る装置またはキット。
14.a)生理学的に受け入れられる媒体中に少なくとも一つのカルシウム拮抗体を含む第一成分;及びb)式:

式中、 R1は基

を表し、 ここで、 R3及びR4はお互いに独立でありそして水素、アルキル、アルケニル、アルキルアリールまたはシクロアルキル基を表すか、あるいはR3及びR4はそれらに結合する窒素原子と共に複素環を形成しそしてアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘプタメチレンイミン、オクタメチレンイミン、モルホリンまたは4−アルキルピペラジジニル基を表し、ここでこれらの複素環式の基は一ないし三の低級アルキル、ヒドロキシまたはアルコキシ基によって炭素原子においてさらに置換されていることができ、そして R2は水素原子、アルキル、アルケニル、アルキルアルコキシ、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールアルキル、アルコキシアリールアルキルまたはハロアリールアルキル基を表す、を有するピリミジン誘導体、並びに生理学的に受け入れられる酸の付加塩を、生理学的に受け入れられる媒体中に含む第二成分;を含む頭髪の生長を誘発及び刺激しそして頭髪の損失を減らすための組み合わせ物を有して成る、頭髪の損失の治療上の処置のための薬物であって、該薬物中において、該第一及び第二成分は、同じ組成物の一部を形成するか、あるいは同時にもしくは引き続くまたは離れた段階において別々の使用を意図されている、薬物。
15.a)生理学的に受け入れられる媒体中に少なくとも一つのカルシウム拮抗体を含む第一成分;及びb)式:

式中、 R1は基

を表し、 ここで、 R3及びR4はお互いに独立でありそして水素、アルキル、アルケニル、アルキルアリールまたはシクロアルキル基を表すか、あるいはR3及びR4はそれらに結合する窒素原子と共に複素環を形成しそしてアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘプタメチレンイミン、オクタメチレンイミン、モルホリンまたは4−アルキルピペラジジニル基を表し、ここでこれらの複素環式の基は一ないし三の低級アルキル、ヒドロキシまたはアルコキシ基によって炭素原子においてさらに置換されていることができ、そして R2は水素原子、アルキル、アルケニル、アルキルアルコキシ、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールアルキル、アルコキシアリールアルキルまたはハロアリールアルキル基を表す、を有するピリミジン誘導体、並びに生理学的に受け入れられる酸の付加塩を、生理学的に受け入れられる媒体中に含む第二成分;を有して成る、頭髪の生長を誘発及び刺激しそして頭髪の損失を減らすための組み合わせ物の、頭髪の損失の治療上の処置を意図した薬物における使用であって、該組み合わせ物中において、該第一及び第二成分は、同じ組成物の一部を形成するか、あるいは同時にもしくは引き続くまたは離れた段階において別々の使用を意図されている、組み合わせ物の使用。

【特許請求の範囲】
【請求項1】頭髪の生長を誘発及び刺激しそして頭髪の損失を減らすための組み合わせ物であって、a)生理学的に受け入れられる媒体中に少なくとも一つのカルシウム拮抗体を含む第一成分;
及びb)式:

式中、R1は基

を表し、ここで、R3及びR4はお互いに独立でありそして水素、アルキル、アルケニル、アルキルアリールまたはシクロアルキル基を表すか、あるいはR3及びR4はそれらに結合する窒素原子と共に複素環を形成しそしてアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘプタメチレンイミン、オクタメチレンイミン、モルホリンまたは4−アルキルピペラジジニル基を表し、ここでこれらの複素環式の基は一ないし三の低級アルキル、ヒドロキシまたはアルコキシ基によって炭素原子においてさらに置換されていることができ、そしてR2は水素原子、アルキル、アルケニル、アルキルアルコキシ、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールアルキル、アルコキシアリールアルキルまたはハロアリールアルキル基を表す、を有するピリミジン誘導体、並びに生理学的に受け入れられる酸の付加塩を、生理学的に受け入れられる媒体中に含む第二成分;を有して成り、該組み合わせ物中において、該第一及び第二成分は、同じ組成物の一部を形成するか、あるいは同時にもしくは引き続くまたは離れた段階において別々の使用を意図されている、組み合わせ物。
【請求項2】式(I)を有する該ピリミジン誘導体が6−アミノ−1,2−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2−イミノ−4−ピペリジノピリミジン(ミノキシジル)である、請求項1に記載の組み合わせ物。
【請求項3】生理学的に受け入れられる媒体中に少なくとも一つのカルシウム拮抗体を含む第一成分を含有する第一区画、及び式:

式中、R1は基

を表し、ここで、R3及びR4はお互いに独立でありそして水素、アルキル、アルケニル、アルキルアリールまたはシクロアルキル基を表すか、あるいはR3及びR4はそれらに結合する窒素原子と共に複素環を形成しそしてアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘプタメチレンイミン、オクタメチレンイミン、モルホリンまたは4−アルキルピペラジジニル基を表し、ここでこれらの複素環式の基は一ないし三の低級アルキル、ヒドロキシまたはアルコキシ基によって炭素原子においてさらに置換されていることができ、そしてR2は水素原子、アルキル、アルケニル、アルキルアルコキシ、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールアルキル、アルコキシアリールアルキルまたはハロアリールアルキル基を表す、を有するピリミジン誘導体、並びに生理学的に受け入れられる酸の付加塩を、生理学的に受け入れられる媒体中に含む第二成分を含有する第二区画を含む数個の区画を有して成る装置またはキット。
【請求項4】a)生理学的に受け入れられる媒体中に少なくとも一つのカルシウム拮抗体を含む第一成分;及びb)式:

式中、R1は基

を表し、ここで、R3及びR4はお互いに独立でありそして水素、アルキル、アルケニル、アルキルアリールまたはシクロアルキル基を表すか、あるいはR3及びR4はそれらに結合する窒素原子と共に複素環を形成しそしてアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘプタメチレンイミン、オクタメチレンイミン、モルホリンまたは4−アルキルピペラジジニル基を表し、ここでこれらの複素環式の基は一ないし三の低級アルキル、ヒドロキシまたはアルコキシ基によって炭素原子においてさらに置換されていることができ、そしてR2は水素原子、アルキル、アルケニル、アルキルアルコキシ、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールアルキル、アルコキシアリールアルキルまたはハロアリールアルキル基を表す、を有するピリミジン誘導体、並びに生理学的に受け入れられる酸の付加塩を、生理学的に受け入れられる媒体中に含む第二成分;を含む頭髪の生長を誘発及び刺激しそして頭髪の損失を減らすための組み合わせ物を有して成る、頭髪の損失の治療上の処置のための薬物であって、該薬物中において、該第一及び第二成分は、同じ組成物の一部を形成するか、あるいは同時にもしくは引き続くまたは離れた段階において別々の使用を意図されている、薬物。

【特許番号】第2858765号
【登録日】平成10年(1998)12月4日
【発行日】平成11年(1999)2月17日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭63−308991
【出願日】昭和63年(1988)12月8日
【公開番号】特開平1−172322
【公開日】平成1年(1989)7月7日
【審査請求日】平成7年(1995)4月7日
【出願人】(999999999)
【参考文献】
【文献】特開 昭61−260010(JP,A)
【文献】特開 昭62−190116(JP,A)
【文献】特開 昭62−135409(JP,A)