説明

ピルボックスタイプ多層平行板導波路アンテナ及び対応するアンテナシステム

本発明は、波を生成する給電部と、放射部と、波を給電部から放射部に誘導できるようにするガイド部とを備える多層アンテナ30に関する。ガイド部は、平行な平面を有する少なくとも2つの積み重ねられたガイド層と、隣接する層の対毎に、スロット結合手段と係合する反射部R1を含む、隣接する層間の移行手段とを備える。ガイド部が非平面反射部を備える少なくとも一対の隣接する層に関して、スロット結合手段は複数のスロット10を含む。各スロットは、少なくとも1つの軸に沿って延びる本体を含む。スロットは、少なくとも1つの行内に配置され、合わされてパターンを形成し、そのパターンは、反射部に沿って延び、反射部の形状に応じた形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、ピルボックス・アンテナ又はチーズ・アンテナとも呼ばれる、多層平行板導波路アンテナの分野に関する。
【0002】
本発明は、数多くの応用例を有し、例えば、
−自動車レーダー、
−移動プラットフォーム(車、トラック、列車、船舶等)と衛星との間の通信、
−移動プラットフォーム(高い高度のプラットフォーム又はHAP、航空機等)と地上との間の通信(例えば、Kuバンド、Kaバンド及びQバンド)、
−多重ビーム、ビーム整形及びビーム再構成能力を有する陸上無線通信(屋内又は屋外)において数多くの応用例を有する。
【背景技術】
【0003】
2.技術的状況及び背景
2.1 状況
近年、特に電気通信、レーダー及び監視に適用するために、ミリ波範囲内の低コスト及び高性能のアンテナを生産することへの要求が高まってきている。
【0004】
基板上の平行板システムの形をとり、プリント回路基板(PCB)技術に適合する平面型の解決策が提案されており、性能、コスト及び小型化に関して最も有望であると考えられている。
【0005】
平行板単層導波路アンテナシステム(単一層システムとも呼ばれる)では、信号源によって与えられるエネルギーが基板層の両側に配置される2つの金属板間に閉じ込められ、その後、同じくこの層内に含まれる放射部に向かって誘導される。この放射部は一般的に、例えば、SIW(基板集積導波路)を用いて作製されるスロット付導波路アレイ、又は漏洩波構造によって形成される。
【0006】
2つの金属板を接続し、波のエネルギーに対して鏡のように挙動する導電性垂直壁によって、エネルギーの反射又は方向付けができるようになる。これらの垂直壁は、信号源から到来するエネルギーのコリメーションを実行するために、一般的に放物線プロファイルを有する。しかしながら、信号源に向かって後方散乱するのを防ぐために、複反射鏡に基づく解決策、若しくは偏心構成、又はそうでない場合2層構造を用いる必要がある。
【0007】
2層平行板構造の場合、信号源及び放射部は2つの異なる層であり、該2つの異なる層は多くの場合に放物線プロファイルを有する「180度平行板ベンド」として知られる180度ベンドを有する板によって接続される。
【0008】
そのような平行板多層アンテナが、例えば、以下の2つの科学文献において記述されている。
−C. J. Sletten著「Reflector Antennas」(Antenna theory, R. E. Collin and F. J. Zucker, Eds. New York: McGraw-Hill, 1969, Part. 2, Ch. 17)
−W. Rotman著「Wide Angle Scanning With Microwave Double-Layer Pillboxes」(IRE Transaction on Antennas and Propagation, Vol. 6, No. 1, pp. 96-105, Jan 1958)
【0009】
これらのアンテナの主な利点は、そのモジュール性である。実際に、異なる機能に対応する3つの部分、すなわち給電部(信号源)、放射部及び誘導部を区別することができる。誘導部は、信号源によって生成される波のエネルギーを、重ね合わせられた平行板導波路タイプの層を通して、給電部から放射部まで上方に誘導するために用いられる。隣接する層の対毎に、誘導部は、スロットと協動する反射部を備える、これらの層間の移行手段を有する。
【0010】
ここで、自動車レーダーの或る応用例を通じて、アンテナのための或る所望の特性を提示する。
【0011】
自動車に適用する場合の次世代レーダーのための目標は、自動車の前方において起こり得る種々のシナリオ(事故、車間の過度な近接等)の効率的な制御、及びこれらのシナリオへの効率的な反応を通して、道路の安全を改善することである。
【0012】
車両の前方には、2つの特に明確な動作ゾーン、すなわち短距離レーダーレンジ(SRR)及び長距離レーダーレンジ(LRR)があり、埋込検出アンテナが従来配置されている車両の前方から、それぞれ0m〜30m及び30m〜200m(典型値)の範囲に及ぶ。
【0013】
アンテナ理論の観点から、これは結局、レーダーに適用するために用いられるアンテナの放射及びビームステアリング範囲(視野)に関する性能がSRRモードとLRRモードとでは異ならなければならないということに等しい。そのようなアンテナは、「再構成可能放射パターンアンテナ」と呼ばれる。また、美観及び空気力学の理由から、このタイプのアンテナは小型で軽量でなければならず、更には製造コストがほとんどかからないようにしなければならない。1つの同じ車両内にSRRアンテナ及びLRRアンテナの両方を組み込むのは、特にコスト及び空間要件の理由から不可能であるので、このアンテナは再構成可能にする必要があり、すなわち、SRRモード及びLRRモードにおいて動作できるようにすべきである。このため、後に更に詳細に説明するように、マルチビームの再構成可能な平面及び/又はビームステアリングのアンテナが最も有望な解決策であると思われる。
【0014】
2.2 技術的背景
この節では、自動車に適用するために用いることができるいくつかのタイプのアンテナを記述する。
【0015】
第1の既知の技法は、誘電体レンズを使用することによる。市販の解決策が既に存在している。これらの解決策は非常に魅力的であるが、依然として嵩が大きい。
【0016】
第2の既知の技法は、以下の科学文献、非特許文献1において記述されるような、3つの焦点を有する準光学平面システムであるロトマンレンズを使用することからなる。この第2の技法の主な欠点は、アンテナシステム全体のサイズが大きいこと、及び全ての部分(給電部、誘導部及び放射部)が1つの同じ基板上に形成されるので、モジュール性が低いことである。
【0017】
また、ロトマンレンズは大きな寸法を有し、この大きな寸法は、アンテナの全体サイズを小さくできないことを意味する。
【0018】
この構造は、完全なビームステアリングを達成するための入力ビームの数に関しても制限される。
【0019】
最後に、そのような構造は高い挿入損失を示す。
【0020】
第3の既知の技法は、以下の科学文献、非特許文献2において提示されるような、2層平行板(ピルボックス)アンテナに関連する。
【0021】
図1及び図2は、この第3の既知の技法によるアンテナのそれぞれ斜視図及び断面図を提示する。そのアンテナは、底層5及び上層6を含む。底層5は2つの金属板8、9を含む平行板構造である。上層6も2つの金属板9、4を含む平行板構造であり、金属板のうちの一方(9で参照される)は両方の層及び両方の平行板構造に共通である。2つの層5、6は移行手段によって接続され、移行手段は、放物線プロファイルを有する反射部2(180度平行板ベンド)と、放物線反射部2の長さに沿ってその長さ全体にわたって延びる単一のスロット7とを含む。底層5には、単一の扇形ホーン1を含む給電部が配置される。上部6には、放射部3が配置される。移行手段(反射部2及び単一のスロット7)によって、底層5と上層6との間で(すなわち、ホーン1から放射部3に)エネルギーを伝達できるようになり、放物線反射部上に衝突する波面は円筒形波面である。
【0022】
この第3の既知の技法の主な欠点は、移行手段が単一のスロットを備えているが、それではエネルギーを最適に伝達することはできず(単一のスロット内に共鳴現象が存在するため)、狭い角度範囲においてのみ効率的であるという事実にある。それゆえ、その解決策は最適ではない。
【0023】
さらに、特許文献1に従って、放物線反射部及び単一のスロットを組み合わせて使用しても、底層の衝突する波面が円筒形(より一般的には、平面でない)波面である場合には、(反射部において反射した後に)上層において完全に平面の波面は得ることが可能にならない。
【0024】
さらに、この第3の既知の技法は、ホーンが放物線反射部(扇形ホーン)のエッジまで直接延びるので、いくつかの励起源を使用できるようにしない。それゆえ、ビーム再構成又はビームステアリングは不可能である。
【0025】
第4の既知の技法は、上記の第3の既知の技法を変形した形態である以下の科学文献、非特許文献3において記述される。
【0026】
この変形した形態では、単一のスロット(2つの層間の移行手段に含まれる)が、反射部に沿って延びる三角形メッシュ(すなわち、その基本パターンが三角形であるメッシュ)内に分散する複数の円形開口部に置き換えられる。したがって、移行手段によって実行される結合が改善され、動作周波数帯が広くなり、角度範囲も広くなる。それはE平面(2つの層の平行な平面を形成する金属板に対して平行な電界)内で機能する。
【0027】
第4の技法の1つの欠点は、1つの偏波(水平偏波:平行板導波路すなわちPPWにおけるTEモード)でしか機能できないことである。それゆえ、二重偏波では機能することができない。
【0028】
さらに、第4の技法は、第3の既知の技法と同様に、いくつかの励起源を使用できるようにしない。それゆえ、ビーム再構成は不可能である。
【0029】
第4の既知の技法の別の欠点は、移行効率を上げるには、結合領域(三角形メッシュに含まれる円形開口部の数及びサイズ)の増加、それゆえ、最終的には、アンテナの空間要件及びコストの増加という代償を払うことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】国際公開第91/17586号公報
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】W. Rotman、R. F. Turner著「Wide-angle microwave lens for line source applications」(IEEE Transaction on Antennas and Propagation, Vol. 11, No. 6, pp. 623-632, Nov. 1956)
【非特許文献2】T. Teshirogi、Y. Kawahara、A. Yamamoto、Y. Sekine、N. Baba、M. Kobayashi著「Dielectric Slab Based Leaky-Wave Antennas for Millimeter-Wave Applications」(IEEE Antennas and Propagation Society International Symposium, 2001, Vol. 1, pp. 346-349, Jul. 2001)
【非特許文献3】V. Mazzola, J. E. Becker著「Coupler-Type Bend for Pillbox Antennas」(IEEE Transaction on Microwave Theory and Techniques, Vol. 15, no.8, pp. 462-468, Aug. 1967)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
3.発明の目的
少なくとも1つの実施の形態では、本発明は、上記で検討された既知の技術的解決策の欠点を持たないピルボックスタイプ平行板多層アンテナを提案することを特に目的とする。
【0033】
本発明の少なくとも1つの実施の形態の目的は、2つの隣接する層(例えば、底層及び上層と呼ばれる)間の移行手段を備え、広い範囲の角度及び周波数において最適で効率的にエネルギーを伝達できるようにし、これらの移行手段が平面形状でない(例えば、放物線である)反射部を含む場合であっても、最適で効率的にエネルギーを伝達できるようにするアンテナを提案することである。それゆえ、底層の衝突する波面が平面でない(例えば、円筒形の)波面である場合でも、(反射部において反射した後に)上層において完全に平面の波面が得ることが追求される。
【0034】
本発明の少なくとも1つの実施の形態の別の目的は、二重偏波及び円偏波において機能することができるアンテナを提供することである。
【0035】
本発明の少なくとも1つの実施の形態の別の目的は、いくつかの励起源を使用できるようにするアンテナを、それゆえ、そのビームが再構成可能である(多重ビーム、ビームオフセット、可変指向性ビーム)アンテナを提供することである。
【0036】
本発明の少なくとも1つの実施の形態の別の目的は、小型で軽量のアンテナを提供することである。
【0037】
本発明の少なくとも1つの実施の形態の別の目的は、実装するのが簡単であり、コストがほとんどかからないアンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0038】
4.発明の概要
本発明の1つの特定の実施の形態では、多層アンテナであって、
波を生成する給電部と、
放射部と、
前記波を前記給電部から前記放射部まで誘導できるようにする誘導部であって、
少なくとも2つの平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層と、
隣接する層の対毎に、スロットによる結合手段と協動する反射部を備える、該隣接する層間の移行手段とを備える、誘導部と
を備えており、
該アンテナは、前記誘導部が非平面形状の反射部を備える少なくとも一対の隣接する層に関して、前記スロットによる結合手段が、複数のスロットを備え、該スロットのそれぞれが、少なくとも1つの軸に沿って延びる形状を有する本体を含み、前記複数のスロットが、少なくとも1つの行内にレイアウトされ、合わされてパターンを形成し、該パターンが、前記反射部に沿って延び、前記反射部の形状に応じた形状を有するようになっている、多層アンテナを提供する。
【0039】
したがって、本発明は、全く新規で進歩的な手法に基づいており、その手法では、非平面形状(例えば、放物線タイプ)の反射部が保持され、2つの層間の移行手段において、第3の既知の解決策の単一のスロットが
(既知の第4の技法の場合のように)反射部の長さ全体にわたって延びる三角形メッシュ内に分散する複数の円形開口部に置き換えられるのではなく、
複数のスロット(本発明との関連における用語「スロット」の定義に関して、及び網羅的ではない、スロットのいくつかの例に関しては、図17A〜図17Eの以下の説明を参照されたい)に置き換えられる。
【0040】
したがって、連続的なスロットにおいて現れる共鳴効果が低減される。それにより、2つの連続する層間のエネルギーの伝達が、広い角度範囲において、そして広い周波数帯にわたって改善される。言い換えると、電力伝達に関して最適化された収量を示すアンテナが得られる。
【0041】
さらに、非平面形状(それゆえ、底層の衝突する波面は非平面の波面である)を有する反射部と複数のスロットとを(移行手段において)組み合わせて使用することによって、上層において(反射部において反射した後に)完全に平面の波面を得ることが可能になる。
【0042】
さらに、そして後に詳細に説明されるように、複数のスロットを使用することによって、二重偏波において機能することができるアンテナを提供することが可能になる。これは、いくつかの励起源を使用することができるアンテナ、それゆえ、そのビームが再構成可能であるアンテナも与える。
【0043】
1つの特定の実施の形態では、上記複数のスロットは単一の行にレイアウトされる。
【0044】
有利には、各スロットは前記反射部に対して実質的に平行又は垂直である少なくとも1つの軸に沿って延びる形状を有する本体を有する。
【0045】
したがって、複数のスロットによって達成される結合が更に改善される。
【0046】
第1の特定の実施の形態では、少なくとも或るスロットは、1つの軸だけに沿って延びる形状を有する本体を有する。
【0047】
したがって、そのアンテナは、単偏波において機能することができる。後に詳細に示される図17A〜図17Cは、網羅的ではない、スロットのいくつかの例を示しており、それらのスロットは本発明の第1の実施の形態において用いることができる。
【0048】
第2の特定の実施の形態では、少なくとも或るスロットは十字形を有する本体を有し、該本体は、第1の軸に沿って延びる形状を有する第1のアームと、該第1の軸に対して実質的に垂直である第2の軸に沿って延びる形状を有する第2のアームとを備える。
【0049】
したがって、これらの十字形(すなわち、本体が十字形である)スロットの結果として、そのアンテナは二重偏波において機能することができる。後に詳細に示される図17D及び図17Eは、網羅的ではない、スロットのいくつかの例を示しており、それらのスロットは本発明の第2の実施の形態において用いることができる。
【0050】
この第2の実施の形態の1つの代替形態では、複数の十字形スロットを、第1の軸に沿って延びる形状を有する本体を含む1組の第1のスロット、及び第1の軸に対して実質的に垂直な第2の軸に沿って延びる形状を有する本体を含む1組の第2のスロットに置き換えることができることに留意しなくてはならない。
【0051】
有利には、前記複数のスロットによって合わされて形成される前記パターンの前記形状は、前記反射部の前記形状と実質的に同一である。
【0052】
反射部は従来通りの形状(放物線、楕円、双曲線、円)を有するか、又は特定の要求に合わせた任意の他の形状を有することを思い起こされたい。
【0053】
有利には、前記複数のスロットの各スロットは、
0.25λ〜0.5λの範囲の長さと、
0.1λ〜0.2λの範囲の幅とを有し、
λは、前記アンテナの動作周波数における、前記平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層内の波長である。
【0054】
したがって、スロットの長さ及び幅は、スロットが関与する移行の効率を容易に最適化するために、スロット毎に利用することができるパラメーターである。
【0055】
有利な特徴によれば、前記複数のスロットの各スロットは、0.3λ〜0.5λの範囲の長さを有し、λは、前記アンテナの動作周波数における、前記平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層内の波長である。
【0056】
したがって、反射部からのスロットの距離は、スロットが関与する移行の効率を最適化するのを容易にするために、スロット毎に利用することができるパラメーターである。
【0057】
有利には、前記複数のスロットのうちの2つの隣接するスロット間の距離(δsi)は、0.02λ〜0.1λの範囲にあり、λは、前記アンテナの動作周波数における、前記平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層内の波長である。
【0058】
したがって、2つの隣接するスロット間の距離は、スロットが関与する移行の効率を最適化するのを容易にするために、スロット毎に利用することができるパラメーターである。
【0059】
1つの有利な特徴によれば、前記給電部は、少なくとも2つの信号源を備え、該信号源は、物理的に電気的に互いにずらして配置(interlace:インターレース)される。
【0060】
したがって、より広い角度範囲において均一なビーム幅を有することができ、そのビーム幅は、上記ずらして配置された信号源の位置によって決まる。
【0061】
1つの代替的な実施の形態では、前記給電部は、少なくとも1つの信号源と、前記平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層に対して平行な平面内で該少なくとも1つの信号源を機械的にシフトする1つの第1の手段とを有する。
【0062】
したがって、ビームステアリングは機械的に達成することができる。ビームステアリングの概念は、図18を参照しながら後に詳細に示される。
【0063】
1つの有利な特徴によれば、前記給電部は少なくとも2つの信号源と、該少なくとも2つの信号源の選択的給電手段とを備える。
【0064】
したがって、時間の経過と共に、実効的に給電される1つ又は複数の信号源を変更することによって、ビーム形状変更及び/又はビーム掃引動作(照準軸の変更)を得ることができる。ビーム形状変更及びビーム掃引の概念は、図18を参照しながら後に詳細に示される。
【0065】
本発明の別の実施の形態によれば、アンテナシステムであって、上述した実施の形態のうちの1つによる多層アンテナと、前記アンテナを機械的にシフトする第2の手段とを備える、アンテナシステムが提案される。
【0066】
したがって、3D再構成(ビーム形状変更及び/又はビーム掃引)を実行することができる。実際に、多層アンテナは、第2のシフト手段がシフトすることを可能にする平面(図18を参照)内で基本的に放射する。
【0067】
本発明の別の実施の形態によれば、上述した実施の形態のうちの1つによる多層アンテナを備える(すなわち、第1の波を生成する第1の給電部と、放射部と、前記第1の波を前記第1の給電部から前記放射部まで誘導できるようにする誘導部であって、該誘導部は少なくとも2つの平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層と、隣接する層の対毎に、スロットによる結合手段と協動する第1の反射部を備える、該隣接する層間の第1の移行手段とを備える、誘導部とを備える)アンテナシステムが提案される。該アンテナシステムは、第2の波を生成する第2の給電部も更に備える。前記誘導部は、前記第2の波も前記第2の給電部から前記放射部まで誘導できるようにし、前記誘導部は、隣接する層の対毎に、スロットによる第2の結合手段と協動する第2の反射部を備える、該隣接する層間の第2の移行手段を更に備え、該第2の移行手段は、前記第1の移行手段に対して90度だけオフセットされる。前記誘導部が非平面形状の反射部を備える少なくとも一対の隣接する層に関して、前記スロットによる第1の結合手段は、複数の第1のスロットを備え、各第1のスロットは、少なくとも1つの軸に沿って延びる形状を有し、前記複数の第1のスロットは、少なくとも1つの行内に配置され、合わされてパターンを形成し、該パターンは、前記第1の反射部に沿って延び、前記第1の反射部の形状に応じた形状を有する。前記誘導部が非平面形状の反射部を備える少なくとも一対の隣接する層に関して、前記スロットによる第2の結合手段は、複数の第2のスロットを備え、各第2のスロットは、少なくとも1つの軸に沿って延びる形状を有し、前記複数の第2のスロットは、少なくとも1つの行内に配置され、合わされてパターンを形成し、該パターンは、前記第2の反射部に沿って延び、前記第2の反射部の形状に応じた形状を有する。
【0068】
したがって、簡単で、信頼性があり、小型で、しかも低コストである方法で、3D再構成(ビーム形状変更及び/又はビームステアリング)を実行することができる。
【0069】
5.図面のリスト
本発明の他の目的、特徴及び利点は、網羅的ではない一例として与えられる以下の説明、及び添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】Teshirogi他の先行技術の技法によるアンテナの斜視図である。
【図2】Teshirogi等の先行技術の技法によるアンテナの断面図である。
【図3】本発明の1つの特定の実施形態による2層アンテナの斜視図である。
【図4】本発明の1つの特定の実施形態による2層アンテナの断面図である。
【図5】本発明の1つの特定の実施形態による、給電部に含まれる信号源を物理的にずらして配置することに関する概略的な斜視図である。
【図6】2つの隣接する層間の移行手段内に含まれる反射部のための種々の可能なプロファイルを示す図である。
【図7】単偏波において動作するために、2つの隣接する層間の移行手段の第1の特定の実施形態において放物線反射部と協動する複数のスロットの概略図である。
【図8】二重偏波において動作するために、2つの隣接する層間の移行手段の第2の特定の実施形態において放物線反射部と協動する複数のスロットの概略図である。
【図9】1組の物理的にずらして配置された信号源を示す、本発明の1つの特定の実施形態による2層アンテナの断面図である。
【図10】4つの異なる給電構成(各給電構成は3つの近接する信号源の起動に対応する)について、図9のアンテナで得られる4つの放射パターンを示す図である。
【図11】ダイオード又は短絡負荷(分路)を使用することに基づく、放射部を再構成する第1の手段を含む、本発明の1つの特定の実施形態による2層アンテナの部分的な斜視図である。
【図12】放射部において2組のスロットを使用することに基づく、放射部を再構成する第2の手段を含む、本発明の1つの特定の実施形態による2層アンテナの部分的な斜視図である。
【図13】本発明の1つの特定の実施形態による、アンテナシステムの平面図である。
【図14】本発明の第1の特定の実施形態による3層アンテナの斜視図である。
【図15】本発明の第2の特定の実施形態による3層アンテナの斜視図である。
【図16】本発明の第3の特定の実施形態による3層アンテナの斜視図である。
【図17D】本発明によるアンテナにおいて用いることができる結合スロットの網羅的ではない例を示す図である。
【図17E】本発明による、アンテナにおいて用いることができる結合スロットの網羅的ではない例を示す図である。
【図18】図3及び図4のアンテナの主放射面の概念、並びにビーム形状変更及びビームステアリングの概念を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
6.詳細な説明
本発明者らは、これ以降、本明細書において、最新世代の自動車レーダーのためのアンテナの分野において存在する本特許出願の発明者らが直面している問題及び課題をより詳細に説明するように努める。本発明は当然、この特定の応用分野に限定されるのではなく、非常に近いか又は類似の1組の問題及び課題に対処しなければならない任意の技法にとって有用である。
【0072】
本明細書の全ての図面において、同一の構成要素は同じ参照番号によって指示されることにも留意しなくてはならない。
【0073】
ここで図3及び図4を参照すると、本発明の1つの特定の実施形態による、2層アンテナ30が提示される。そのようなアンテナは、例えば、自動車に適用するためのレーダーにおいて用いることができる。
【0074】
この実施形態では、アンテナ30は、2つの平行板層を備える導波部を有し、それら平行板層は共通の金属板M.2を有する。より具体的には、導波部は、以下の層を備える。
−第1の平行板層。それ自体が誘電体基板層Sub.1の両側に配置される2つの金属板M.1、M.2を備える。
−第2の平行板層。それ自体が誘電体基板層Sub.2の両側に配置される2つの金属板M.2、M.3を備える。
【0075】
2つの基板層Sub.1、Sub.2の高さ及び誘電率は、以下の関係を満たすように選択されることが好ましい。
【数1】

ただし、h2及びh1はそれぞれ2つの基板層Sub.2及びSub.1の高さであり、εr1及びεr2はそれぞれ2つの基板層Sub.1及びSub2の誘電率値である。
【0076】
簡単にするために、これ以降の説明では、以下の関係が成り立つものと見なす。
【数2】

かつ、
【数3】

ただし、
【数4】

【0077】
基板の2つの層は、放物線反射部R1、及び共通の金属板M.2内に作製される複数の結合スロット10を備える、光学的移行手段によって結合される。
【0078】
放物線反射部R1は、金属板M.1から金属板M.3まで延びる。他の反射部プロファイル(標準的な、又は最適化された任意の形状)を用いることもできる(後の図6の説明を参照されたい)。
【0079】
この実施形態では、各結合スロット10は長方形の形状を有し、反射部に対して実質的に平行な軸に沿って延びる。複数の結合スロット10は1つの行内に配置され、それらのスロットは合わされて、放物線反射部に沿って広がる放物線パターンを形成する。全ての結合スロットによって形成されるパターンは、例えば、スロットの幾何学的な中心によって形成される幾何学的軌跡(例えば、後に与えられる式2によって与えられる軌跡等であるが、この式は網羅的ではない)である。
【0080】
当然、本発明の枠組みから逸脱することなく、他の形状の結合スロットを用いることができる。
【0081】
ここで、図17D及び図17Eを参照すると、本発明によるアンテナにおいて用いることができる結合スロットの、網羅的ではない、いくつかの例が提示される。
【0082】
図17Aは、長方形のスロット170(すなわち、長方形の形状を有し、それゆえ、軸に沿って延びる本体を含むスロット)を提示する。
【0083】
図17Bは、軸に沿って延びる形状を有する本体を含むスロット171を提示する。このスロット171は、その端部が丸みをつけられる点で、図17Aのスロットと区別される。
【0084】
図17Cは、軸に沿って延びる形状と、2つの全く同じ形の端部172b、172cとを有する本体172aを含む、H形スロット(ドッグボーンスロットとも呼ばれる)を提示する。全く同じ形の各端部は、スロットの物理的な長さを短縮することを可能にするが(アンテナ小型化という目的の観点から)、その電気的な長さは短縮しない。通常、全く同じ形の各端部172b、172cの長さIは、本体172aの長さLよりもはるかに短い(例えば、3:4の比を成す)。1つの変形した形態(図示せず)では、H形スロットの全く同じ形の端部は丸みをつけられる。
【0085】
図17Dは、単一の十字形スロット173を提示する。そのスロットは、第1の軸に沿って延びる形状を有する第1のアーム173a、173bと、第1の軸に対して実質的に垂直な第2の軸に沿って延びる形状を有する第2のアーム173c、173dとを含む本体を有する。1つの変形した形態(図示せず)では、単一の十字形スロットの端部は丸みをつけられる。
【0086】
図17Eは、エルサレム十字の形を成すスロット174を提示する。そのスロットは、第1の軸にそって延びる形状を有する第1のアーム174a、174bと、第1の軸に対して実質的に垂直な第2の軸に沿って延びる形状を有する第2のアーム174c、174dとを含む本体を有する。アームの各端部174e、174f、174g、174hは全く同じ形である。これは、スロットの物理的な長さを短縮することを可能にするが(アンテナ小型化という目的の観点から)、その電気的な長さは短縮しない。通常、全く同じ形の各端部の長さは、それが端部に配置される(本体の)アームの長さよりもはるかに短い(例えば、4:3の比を成す)。1つの変形した形態(図示せず)では、エルサレム十字形スロットの端部は丸みをつけられる。
【0087】
図8を参照しながら後に詳細に説明されるように、十字形スロットによって、そのアンテナが二重偏波において動作できるようになる。
【0088】
ここで、図3及び図4の説明を再開すると、アンテナ30は、基板層Sub.1内に配置される信号源S1を含む給電部も備える。後に詳細に説明されるように、平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層に対して平行な平面内でのシフトを達成するために(達成されるシフトの経路が、図3において破線で示され12で参照される矢印によって示される)、いくつかの信号源(図5及び図9を参照)を用いるか、又は単一の信号源を機械的に動かす手段を用いることができる。
【0089】
また、そのアンテナは、上側の金属板M.3内に作製される複数の放射スロット11を含む、基板層Sub.2上に作製される放射部も有する。
【0090】
図3及び図4は、ビーム形成ネットワーク(BFN)基板も示す。このBFN基板によれば、例えば、能動構成要素(例えば、ダイオード又はEMS構成要素)を用いて、1つ又は複数の信号源を励起状態又は非励起状態にすることによって、ビームを整形できるようになる。
【0091】
このアンテナの動作は以下の通りである。信号源S1によって生成される波のエネルギーが第1の平行板層(金属板M.1、M.2及び基板層Sub.1)によって誘導される。光学的な移行の結果として(複数の結合スロット10を備える反射部R1)、このエネルギーは第2の平行板層(金属板M.2、M.3及び基板層Sub.2)に伝達され、そこで最終的に、放射部(複数の放射スロット11)によって放射される。
【0092】
図18は、図3及び図4のアンテナ30の主放射を示す。用いられるモードが、電界がZ軸に沿って向けられるTEMモードであると仮定する。用いられる放射部のタイプによって、以下のパターンのいずれかが得られる。
−図18においてPで参照される、平面YZ(平行板タイプガイドの重ね合わせられる層に対して直交する平面)内に位置する主放射パターン181
−平面YZに対して角度θだけ傾けられる、図18においてP’で参照される平面内に位置する主放射パターン182。
【0093】
主放射パターンが配置される平面がP、P’いずれであっても、主放射パターンは、例えば、主ローブを含む(これは特に、1つの信号源だけが給電される場合に当てはまる)。後に詳細に説明されるように、アンテナの或る特定の実施形態では、以下のことが可能である。
−主放射パターンの形状を変更すること(給電される信号源の数を変更することによる)。図18においてこの形状変化を示すために、平面P及びP’毎に2つの可能なビームが示されており、一方は狭いビーム181a、182aであり、もう一方は広いビーム181b、182bである;及び/又は
−ビーム掃引動作を実行すること(給電される信号源を変更することによるか、若しくは1つ若しくは複数の信号源を機械的にシフトする手段による)。この給電は、図18において、183及び184で参照される2つの矢印によって示される。
【0094】
ビーム形状変更及びビーム掃引のこれらの概念は、本発明の種々の実施形態による全ての構造に当てはまることに留意しなくてはならない。
【0095】
図3及び図4のアンテナ30の例では、反射部R1の放物線プロファイルに起因して、そして光学的な理由から、特に放射部に関して、放物線反射部によって反射される波の進み位相を適切に確認することによって他の位置を取り得る場合であっても(特に、アンテナの表面積を低減するために)、信号源S1及び放射部11は、放物線反射部の焦点面に沿って、そして焦点面の直ぐ後方に(すなわち、焦点距離に)配置される。焦点差は、図3においてFで参照される。
【0096】
自動車レーダーの応用例の場合、76GHz〜81GHzの周波数帯が一般的に用いられるのに対して、これ以降に提示される全ての結果は動作周波数f=24.15GHzにおいて得られるが、それでも本発明の一般原理に影響を及ぼさないことに留意しなくてはならない。それゆえ、本明細書において提示される全ての概念は、他の周波数範囲においても適用することができる。
【0097】
これ以降、給電部に関する更に詳細な説明が与えられる。給電部は、移行手段の反射部R1の焦点面F内に(又はこの焦点面付近に)配置される。給電部は、1つ(図3における信号源S1の場合)又はいくつかの信号源を含む。1つ又は複数の信号源を用いて、TEM(transverse electromagnetic)波若しくはTE(transverse electric)波、又はその両方の波を生成する。TEM波は、Z軸に沿って向けられる電界を有し、一方、TE波は、Y軸に沿って向けられる電界を有する。これ以降、TEMモードが更に詳細に説明される。
【0098】
本発明の一実施形態によれば、1つ又は複数の基本の信号源はH扇形ホーン(又は集積H面扇形ホーン)である。いくつかの信号源を用いて1つ又は複数のビームを生成し、それによりビームを再構成できるようにするときに、そのようなホーン形状は特に好都合である。しかしながら、他の既知の形状の信号源(単極ネットワーク、ずらして配置されるペロー−ファブリー信号源等)を用いることもできることに留意しなくてはならない。
【0099】
いくつかの信号源が用いられる図5において示されるように、反射部R1の小型化及び照明効率に関して好都合な解決策は、信号源を物理的にずらして配置することを実行することにある。この例では、単位信号源51〜55が、Z軸に沿って2段に積み重ねられる(当然、それよりも多くの段数を実現することもできる)。1つの同じ段の信号源は、Y軸に沿って位置合わせされる長さlaperの長方形の開口部を有する。1つの段の信号源は、他の段に対して、距離ddsだけオフセットされる。この例では、dds=0.5*laperである(すなわち、2つの隣接するホーンの開口部間が50%だけ重なり合う)。したがって、信号源のそのような構成によって、広い範囲の角度をカバーできるようになる。しかしながら、他の構成も可能である。
【0100】
図9は、本発明の1つの特定の実施形態による、2層を有するアンテナの断面図であり、2つの段において物理的にずらして配置される1組の信号源を示す。この例では、9つの信号源が用いられる。それらの信号源は以下のように分散する(図9において左から右への順序に従う)。第1段には、信号源S9、S7、S1、S3及びS5がある。第2段には、信号源S8、S6、S2及びS4がある。第1段の信号源と比べると、第2段の信号源は、ホーン開口部の半分の長さだけ右方向にオフセットされる。
【0101】
ここで、誘導部が更に詳細に提示される。
【0102】
図6は、第1の平行板層(金属板M.1、M.2及び基板層Sub.1)と第2の平行板層(金属板M.2、M,3及び基板層Sub.2)との間の移行手段内に含まれる反射部R1のための可能な異なるプロファイルを提示する。これらの異なるプロファイルは双曲線プロファイル63、楕円プロファイル62、放物線プロファイル61及び円プロファイル64である。当然、他の最適化された任意の形状を用いることもできる。一般に、反射部のプロファイルは、光学法則に従って第2の平行板層内に到達しなければならない波形プロファイルに依拠する。ピルボックスタイプアンテナの場合に最も一般的に用いられるプロファイルは放物線プロファイル61である。実際には、この場合、焦点F2から到来するエネルギーは、平面波として第2の平行板層内に反射され、集められて、通常、平面ネットワークである放射部に向けられる。
【0103】
図示される例では、全ての結合スロットによって形成されるパターンは、それに沿ってそれらのスロットが配置される反射部のパターンと同一の形状(又は実質的に同一の形状)を有する。
【0104】
図7は、単偏波において動作する場合に、2つの隣接する層間の移行手段の第1の特定の実施形態において放物線反射部R1と協動する複数の結合スロット10の概略図である。
【0105】
図3の場合と同様に、各結合スロット10は、反射部に対して実質的に平行な軸に沿って長方形の形状を有する。複数の結合スロット10は1つの行にレイアウトされ、合わされて放物線パターンを形成し、そのパターンは放物線反射部に沿って延びる。必ずしも長方形とは限らない他のスロット形状を用いることもできる(図17A〜図17Cの説明を参照されたい)。
【0106】
これらの光学的移行手段の性能(第2の平行板層へのエネルギーの伝達、及び反射部から信号源に到来する反射波の相殺に関する)は、各第iの結合スロットの寸法(長さlsi及びwsi)並びに位置(rsi)を利用することによって高めることができる。
【0107】
このため、第iの結合スロット(全ての結合スロットを含む行内にある)は或る位置を占有し、その位置に対する円柱座標のうちの1つが以下の関係によって定義される。
【数5】

ただし、Fは反射部R1の放物線プロファイルの焦点距離であり、r及びφは第iのスロットの中心の従来通りの円柱座標であり、Δsiは、第iのスロットの中心と放物線反射部との間の距離である。
【0108】
本発明の1つの特定の実施形態によれば、以下の条件が確認される。
・0.25*λ<lsi<0.5*λ
・0.1*λ<wsi<0.2*λ、及び
・0.3*λ<Δsi<0.5*λ
【0109】
これらの式において、λはアンテナの動作周波数における誘電体内の(すなわち、平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層内の)波長である。
【0110】
スロットの数は、2つの隣接するスロット間の間隔δsiが条件:0.02*λ<δsi<0.1*λを満たすように選択される。
【0111】
この例では、平面xzに沿った構造の対称性も保持される。しかしながら、アンテナによって放射されることなるビームのタイプによっては、スロットの非対称な分布も考えることができる。
【0112】
この図7の構成によれば、単偏波(Z軸に沿った電界を有する垂直偏波)において放射できるようになるだけである。しかし、後に更に詳細に説明されるように、二重偏波を放射することもできる(図8を参照)。
【0113】
シミュレーションによれば、複数の結合スロットを含む、この種の結合手段を用いることによって、波と結合手段との相互作用中に、波の反射を除去することが可能になる。したがって、第1の層と第2の層との間の電力の伝達が(広範囲の角度及び周波数にわたって)最適化される。
【0114】
また、複数の結合スロットを用いることによって、連続する単一のスロットによる結合手段の場合に従来に直面してきたような、望ましくない共鳴効果が除去される。
【0115】
図8は、二重偏波において動作する場合に、2つの隣接する層間の移行手段の第2の特定の実施形態において放物線反射部と協動する複数のスロットの概略図である。
【0116】
上記において、特に図3の例(単偏波において動作するアンテナ)では、用いられるモードはTEMモードであり、その場合、電界がZ軸に沿って向けられる。しかしながら、電界がY軸に沿って向けられるTEモードの場合にも、移行手段に関して上記で行なわれたのと同じ検討を繰り返すことができる。光学的移行手段の唯一の変化は、2つの平行板層に対して共通の金属板M.2内に作製される結合スロットを実質的に90度回転させることである(他の回転角を選択することもでき、例えば、45度だけ回転した十字を選択することもできる)。
【0117】
したがって、図8のアンテナにおいて二重偏波モードにおいて機能するために、各結合スロットは、2つの垂直なスロットの組み合わせに対応する十字形のスロット80である(図17D及び図17Eの説明を参照されたい)。この例では、十字を形成するために組み合わせられる2つのスロットは同一であるが、それらのスロットは異なることもできる。1つの変形した形態によれば、各十字形スロットは、互いに対して間隔を置いて配置される2つの垂直なスロットに置き換えられる。
【0118】
結合手段が二重偏波において機能することができるという事実は、後に詳細に示されるように、アンテナの動作及び再構成可能性の両方に関して、別の自由度を与える。
【0119】
二重偏波動作が可能になると、例えば、円偏波のような、全ての他の偏波も可能であることに留意しなくてはならない。
【0120】
本発明のアンテナの平行板多層アンテナの実施形態に依拠して、2つのタイプの放射を得ることができることも思い起こされたい。
・アンテナが単一の信号源を含む場合には、単一ビーム放射(上記で既に説明されている図3及び図4の場合);
・アンテナがいくつかの信号源を有する場合には、マルチビーム放射(上記で既に説明されている図5及び図9の場合)。
【0121】
これ以降、アンテナの出力におけるビーム再構成に関連する種々の態様が検討される。
・提示された電子的な解決策及び機械的な解決策を用いた、第1の平面(主放射パターンが位置する)における2Dビーム再構成又はビーム掃引。この第1の平面(図18において平面P又はP’と呼ばれる)は、自動車の応用例における道路の平面である。
・提示されたいくつかの解決策を用いた、第1の平面P、P’に対して直交する第2の平面におけるビーム幅の制御(この第2の平面は、自動車の応用例において、仰角面とも呼ばれる、道路に対して直交する平面である)。
・提示された電子的な解決策及び機械的な解決策を用いた、3Dビーム再構成又は掃引。
【0122】
上記のように、次世代の自動車レーダーは、2つのモード、すなわち、SRR(ワイドビームを用いる、短距離レーダーレンジ)及びLRR(ナロービームを用いる、長距離レーダーレンジ)に適合しなければならず、1つのアンテナだけを用いて、これを達成するべきである。
【0123】
道路の平面において2Dビーム再構成又は走査を達成するために、すなわち、1つの同じアンテナがSRR及びLRRの両方のモードにおいて機能することができるように、1つの解決策は、特にSRRワイドビームはLRRナロービームの組み合わせであるので、SRRモードに関連付けられた視野角をカバーするために、同相であるか否かにかかわらず、いくつかのLRRタイプナロービームを足し合わせることである。
【0124】
この概念が図10に示されており、図10は、4つの異なる給電構成について図5のアンテナを用いて得られる4つの放射パターン101〜104を有する(各給電構成は、3つの近接する信号源、それぞれS6/S1/S2、S1/S2/S3、S2/S3/S4及びS3/S4/S5を起動することに対応する)。
【0125】
構成毎に、得られたビームは(単一の信号源の場合の6度に対して)14度のビーム幅、及び−20dB未満の副ローブSLLのレベルを有する。これらの構成のうちの1つから他の構成に移行する際に掃引動作を実行することができる(信号源を1つずつ起動することによって走査を実行することができるのと同様)。
【0126】
図10において示されるこの基本的な概念はビーム整形にも拡張することができる。例えば、別の解決策は、図9の信号源を連続的に給電し、ビームの形状を変更し、それにより、1つの同じビームに対してアンテナの角度範囲を広げられるようにすることである。また、この技法において、2つの異なる方向を示す2つの異なるビームを生成することもできる。
【0127】
道路の平面において2Dビーム再構成又は掃引を達成するために、上記の(そして図10によって示される)電子的な解決策は、高速の掃引速度が必要とされるときに特に適用することができる。しかしながら、車両間又は基地局間の電気通信のような或る応用例では、低速の掃引速度が容認されるので、2Dビーム再構成又は掃引を達成するために、機械的な解決策を用いることができる。
【0128】
図3の説明において上記で既に参照されているこの機械的な解決策は、平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層に対して平行な平面において信号源を機械的にシフトすること手段を使用することからなる。図3において、12で参照される矢印は、信号源S1のシフトの経路を示す。
【0129】
ここで、仰角面(自動車の応用例において道路に対して直交する平面)内のビーム幅を制御するためのいくつかの解決策が提示される。
【0130】
SRRモード及びLRRモードは、仰角面においても異なる性能特性を必要とする。この場合、掃引は必要ではなく、LRRモードにおけるビーム幅は通常(必ずしもそうではないが)、SRRモードにおけるビーム幅の半分である。
【0131】
仰角面におけるビーム幅はX軸に沿ったアンテナのサイズに依拠するので、LRRモードにおけるビームのサイズは、SRRモードにおけるビームのサイズの2倍であるべきであることを意味する。再構成に関して、これは、X軸に沿ったサイズを自動的に拡大又は縮小できることを意味する。アンテナの観点から、これは、いくつかの方法、例えば、開口部に沿って分路ダイオードを用いること(図11を参照)、偏波の区別を用いること(図12を参照)、又は再びSRRモードにおいていくつかのアンテナ(例えば、その間にいかなる角度オフセットも用いることなく並置される2つのアンテナ)を用いることによって果たすことができる。
【0132】
放射スロットのネットワークを含む放射部の場合に、最初の2つの手法が以下に詳細に説明されるが、これらの手法は他の構成においても用いることができることは明らかである。簡単にするために、放射部のみを検討し、一方、給電部及び誘導部は、例えば、既に説明されている給電部及び誘導部である。
【0133】
図11は、放射部の下に(放射スロット11が配置される放射部のエリアを横切る線に沿って)分路ダイオード112(又は1つの変形した形態では分路負荷)を組み込み、、金属板M.3及びM.2上に作製される接続部111及び113を接続できるようにすることを示す。これらのダイオードは、到達するエネルギーを短絡又は吸収して放射部を半分に減らすために、SRRモードにおいて動作する場合に起動される(図11には起動手段は示されない)。
【0134】
図12では、放射部は、LRRモードの場合及びSRRモードの場合に異なる偏波に応答するように設計される。これは、2種類の放射スロット:単一スロット121(1つの軸に沿う)及び十字形スロット122(2つの垂直な軸に沿う)を用いることによって果たされる。単一スロットは、Z軸に沿った電界(TEM)によって給電される場合にのみ放射することができる。十字形スロットは、単一スロットと同様に放射するが、Y軸に沿った電界(TE)によって給電される場合にも放射することができる。したがって、十字形スロットはLRR及びSRRの両方のモードにおいて機能し、一方、単一スロットはLRRモードにおいてのみ機能する。この手法は、移行手段(反射部及び結合スロット)が二重偏波において機能できる場合に可能である。この手法は制御電子回路を必要とせず、区別は放射に対して行なわれる。
【0135】
ここで引き続き、3Dビーム再構成又は掃引を可能にする2つの解決策を提示する(一方は機械的な解決策であり、他方は電子的な解決策である)。電気通信の応用例は通常、所定の錐体内での3D掃引を必要とする。この場合、アンテナシステムは、1つの平面内では360度にわたって、そして他の平面内ではそれよりも小さな角度範囲においてビーム掃引を行うことができなければならない。
【0136】
3D掃引のための機械的な解決策は、上記で提案された2D掃引解決策(一方は機械的で、他方は電子的)のいずれかによる。実際には、これらの解決策は、最も小さな角度範囲(図18においてP又はP’で参照される第1の平面内の掃引)をカバーするために選択されなければならない。例えば、xy平面(平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層に対して平行な平面)内でアンテナ全体を機械的にシフトする手段を追加することによって、アンテナが主に放射する主放射面(平面P又はP’、図18)の回転を達成する。
【0137】
3D掃引のための電子的な解決策は図13を参照しながら提示され、図13は、上記のような本発明の一実施形態による(2つ以上の層を有する)多層アンテナを含むアンテナシステム130の平面図である。
【0138】
手短に言うと、このアンテナは、第1の給電部(第1の波を生成する)、放射部及び誘導部を有する。誘導部によって、第1の波を第1の給電部から放射部まで上方に誘導できるようになる。ガイド部は、2つの平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層と、隣接する層の対毎に、複数の第1の結合スロットと共に機能する第1の反射部とを備える、隣接する層間の第1の移行手段とを備える(そのような複数の結合スロットの特性は上記で既に詳細に検討されている)。
【0139】
図13のアンテナシステムは、第2の波を生成する第2の給電部を更に備える。誘導部によって、同様に、第2の波を第2の給電部から放射部まで上方に誘導できるようになる。誘導部は更に、隣接する層の対毎に、複数の第2の結合スロットと協動する第2の反射部を備える、隣接する層間の第2の移行手段を備える(そのような複数の結合スロットの特性は上記で既に詳細に検討されている)。これらの第2の移行手段は、第1の移行手段に対して90度だけオフセットされる。
【0140】
図13に示される平面図では、放射部131と、P.1(及びP.2)で参照される第1(及び第2)の放物線反射部131とを見ることができ、その反射部は、以下のいずれかである。
・単一の第1(又は第2)の光伝送手段からなる反射部である。これは2層アンテナを含む。
・第1(又は第2)の光伝送手段の組み合わせからなる最後の反射部である。この事例は、3つ以上の層を備えるアンテナに対応する(2つの層間の各移行手段は上記で既に説明されており、反射部及び複数の結合スロットを含む)。そのエネルギーは、最も下の層内に位置する給電部(1つ又は複数の信号源)から到来し、移行手段によって伝達される。
【0141】
放物線反射部P.1及びP.2は放射部に給電し、例えば、YZ平面(図18における平面P)及びXZ平面のビーム方向をそれぞれ制御する。このために、第1の給電部及び第2の給電部はそれぞれ、ずらして配置されるいくつかの信号源(例えば、図5と同様)を備える。したがって、そのビームは、上側の空間のいかなる方向にも向けることができる。言い換えると、第1の給電手段及び第2の給電手段を利用することによって、放射部の上方に位置する部分空間(正のZ値の方向)のいかなる方向においても、アンテナ構造の最大放射の方向を見つけることができる。
【0142】
このために、漏洩波構造を用いることができる。その制約はビーム周波数スキントの制約である。しかしながら、狭い帯域幅(<10%)の場合、或る決まったビーム動作が可能であり、そのアンテナ構造は、3D電子掃引に適した、平坦で、低コストで、軽量の構造であり、位相調整ネットワーク(phased network)のような他の手法と比べて損失が小さい。
【0143】
ここで図14、図15及び図16を参照して、本発明の3つの特定の実施形態における3つの層を有するアンテナ140、150、160を提示する。
【0144】
他の実施形態も想定することができる。実際には、本発明によって導入されるタイプの移行手段(反射部に関連付けられた複数の結合スロットを用いる)を通して、2つの隣接する段間でエネルギーを効率的に伝達することが可能になると、ここで、反射アンテナのために一般的に用いられる全ての光学的構成を、基板に集積する形で(例えば、SIW技術を用いて)実装することができる。
【0145】
図14、図15及び図16のアンテナは、図3のアンテナと同一の給電部(この例では、1つの信号源を備えるが、いくつかの信号源を用いることもできる)及び放射部を備える。それらのアンテナは、以下の3つの平行板層を含む誘導部を備える。
−第1の平行板層。それ自体が、誘電体基板層Sub.1(誘電率εr1)の両側に位置する2つの金属板M.1、M.2を備える。
−第2の平行板層。それ自体が、誘電体基板層Sub.2(誘電率εr2)の両側に位置する2つの金属板M.2、M.3を備える。
−第3の平行板層。それ自体が、誘電体基板層Sub.3(誘電率εr3)の両側に位置する2つの金属板M.3、M.4を備える。
【0146】
図14のアンテナ140の場合(グレゴリアンタイプ二重反射システム)、誘導部は以下の手段を更に備える。
・楕円反射部R1’と、金属板M.2内に作製される複数の結合スロット10a’とを備える第1の光学的移行手段。
・放物線反射部R2’と、金属板M.3内に作製される複数の結合スロット10b’とを備える第2の光学的移行手段。
【0147】
図15のアンテナ150の場合(カセグレンタイプ二重反射部を備えるシステム)、誘導部は以下の手段を更に備える。
・双曲線反射部R1’’と、金属板M.2内に作製される複数の結合スロット10a’’とを備える第1の光学的移行手段。
・放物線反射部R2’’と、金属板M.3内に作製される複数の結合スロット10b’’とを備える第2の光学的移行手段。
【0148】
図16のアンテナ160の場合、誘導部は以下の手段を更に備える。
・放物線反射部R1’’’と、金属板M.2内に作製される複数の結合スロット10a’’’とを備える第1の光学的移行手段。
・平面鏡R2’’’と、金属板M.3内に作製される複数の結合スロット10b’’’とを備える第2の光学的移行手段。
【0149】
図14及び図15の例では、グレゴリアン又はカセグレンタイプ二重反射システムによって、光伝送システムの軸方向サイズを小さくし、そしてYZ平面内の掃引能力に関する性能を高めることが可能になる。
【0150】
図16の例では、平面鏡を使用することによって、単に、アンテナを更に折り返し(第3の層)、その空間要件を更に緩和することが可能になる。実際に、平面鏡は、放物線反射部(第1の移行手段)によって送出される平面波を、その特性に影響を及ぼすことなく反射する。
【0151】
図14、図15及び図16の代替(低い性能)の実施形態では、第1の光学的移行手段及び第2の光学的移行手段のうちの一方が本発明に従って(すなわち、複数の結合スロットを用いて)作製され、他方は従来通りに(すなわち、単一の結合スロットを用いて)作製される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層アンテナ(30、140、150、160)であって、
波を生成する給電部と、
放射部と、
前記波を前記給電部から前記放射部まで誘導できるようにする誘導部であって、
少なくとも2つの平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層と、
隣接する層の対毎に、スロットによる結合手段と協動する反射部(R1、R1’、R2’、R1’’、R2’’、R1’’’、R2’’’)を備える、該隣接する層間の移行手段とを備える、誘導部と
を備えており、
該アンテナは、前記誘導部が非平面形状の反射部を備える少なくとも一対の隣接する層に関して、前記スロットによる結合手段が複数のスロット(10、10a’、10b’、10a’’、10b’’、10a’’’、10b’’’)を備え、該スロットのそれぞれが、少なくとも1つの軸に沿って延びる形状を有する本体を含み、前記複数のスロットが少なくとも1つの行内にレイアウトされ、合わされてパターンを形成し、該パターンが、前記反射部に沿って延び、前記反射部の形状に応じた形状を有することを特徴とする、多層アンテナ。
【請求項2】
前記スロットのそれぞれが、前記反射部に対して実質的に平行又は垂直である少なくとも1つの軸に沿って延びる形状を有する本体を有することを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
少なくとも或るスロット(170、171、172)が、1つの軸だけに沿って延びる形状を有する本体を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のアンテナ。
【請求項4】
少なくとも或るスロット(173、174)が、十字形を有する本体を有し、該本体は、第1の軸に沿って延びる形状を有する第1のアームと、該第1の軸に対して実質的に垂直である第2の軸に沿って延びる形状を有する第2のアームとを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記複数のスロットによって合わされて形成される前記パターンの前記形状は、前記反射部の前記形状と実質的に同一であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記複数のスロットのうちの各スロットが、
0.25λ〜0.5λの範囲の長さ(lsi)と、
0.1λ〜0.2λの範囲の幅(wsi)とを有し、
λは、前記アンテナの動作周波数における、前記平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層内の波長であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記複数のスロットのうちの各スロットは、前記反射部に対して、0.3λ〜0.5λの範囲の距離(Δsi)にあり、λは、前記アンテナの動作周波数における、前記平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層内の波長であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記複数のスロットのうちの2つの隣接するスロット間の距離(δsi)は、0.02λ〜0.1λの範囲にあり、λは前記アンテナの動作周波数における、前記平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層内の波長であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記給電部は少なくとも2つの信号源(51〜55、S1〜S9)を備え、該信号源は物理的又は電気的に互いにずらして配置されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記給電部は、少なくとも1つの信号源(S1)と、前記平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層に対して平行な平面内で該少なくとも1つの信号源を機械的にシフトする1つの第1の手段とを有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記給電部は、少なくとも2つの信号源(51〜55、S1〜S9)と、該少なくとも2つの信号源の選択的給電手段とを備えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の多層アンテナ(30、140、150、160)と、前記アンテナを機械的にシフトする第2の手段とを備えることを特徴とする、アンテナシステム。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の多層アンテナを備えるアンテナシステム(130)であって、該多層アンテナは、
第1の波を生成する第1の給電部と、
放射部と、
前記第1の波を前記第1の給電部から前記放射部まで誘導できるようにする誘導部であって、該誘導部は少なくとも2つの平行板ガイドタイプの重ね合わせられた層と、隣接する層の対毎に、スロットによる結合手段と協動する第1の反射部(P.1)を備える、該隣接する層間の第1の移行手段とを備える、誘導部と
を備えており、
該アンテナシステムは、第2の波を生成する第2の給電部を更に備え、前記誘導部は、前記第2の波も前記第2の給電部から前記放射部まで誘導できるようにし、前記誘導部は、隣接する層の対毎に、スロットによる第2の結合手段と協動する第2の反射部(P2)を備える、該隣接する層間の第2の移行手段を更に備え、該第2の移行手段は前記第1の移行手段に対して90度だけオフセットされることを特徴とし、
前記誘導部が非平面形状の反射部を備える少なくとも一対の隣接する層に関して、前記スロットによる第1の結合手段は、複数の第1のスロットを備え、該第1のスロットのそれぞれは、少なくとも1つの軸に沿って延びる形状を有し、前記複数の第1のスロットは、少なくとも1つの行内に配置され、合わされてパターンを形成し、該パターンは、前記第1の反射部に沿って延び、前記第1の反射部の形状に応じた形状を有することを特徴とし、
前記誘導部が非平面形状の反射部を備える少なくとも一対の隣接する層に関して、前記スロットによる第2の結合手段は、複数の第2のスロットを備え、該第2のスロットのそれぞれは、少なくとも1つの軸に沿って延びる形状を有し、前記複数の第2のスロットは、少なくとも1つの行内に配置され、合わされてパターンを形成し、該パターンは、前記第2の反射部に沿って延び、前記第2の反射部の形状に応じた形状を有することを特徴とする、アンテナシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17A】
image rotate

【図17B】
image rotate

【図17C】
image rotate

【図17D】
image rotate

【図17E】
image rotate

【図18】
image rotate


【公表番号】特表2012−523149(P2012−523149A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502610(P2012−502610)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054060
【国際公開番号】WO2010/112443
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(503261111)ユニヴェルシテ・ドゥ・レンヌ・1 (9)
【出願人】(511239133)サントル・ナシオナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シアンティフィーク (2)
【Fターム(参考)】