説明

ピンピネラサキシフレイジ抽出物

【課題】皮膚に有効な成分を多く含むと同時に高い安全性を有し、さらに皮膚を滑らかにし、毛髪を保護する作用をも有する組成物を提供すること並びにこれらの機能を有する化粧品類、医薬品類、医薬部外品類、浴用剤を提供することを課題とする。
【解決手段】ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)の抽出物からなる化粧料を提供する。本発明のピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)の抽出物は、高いコラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、抗酸化活性、リパーゼ阻害活性、抗菌効果を有し、これを化粧品類、医薬品類、医薬部外品類、浴用剤に配合する事により、有用な効果がもたらされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を皮膚化粧品や毛髪化粧品に配合することにより、高い安全性を維持しながら、皮膚に潤いを与えると共に皮膚を滑らかにし、毛髪を保護する作用を有するものであり、例えば化粧品類(人及びその他の動物に用いる各種製剤)、医薬品類、医薬部外品類、浴用剤などに用いることができる。
【背景技術】
【0002】
ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)はセリ科の多年生草本で、全ヨーロッパ及び西アジアに自生している。その根の乾燥粉砕物は生薬として、傷薬や利尿、防腐、鎮静、健胃薬などに利用されている。しかしながら、生薬として利用されているのは地下部だけであり、地上部はほとんど利用されることがなく、廃棄されており、その地上部からの抽出物が高い美白効果、抗酸化効果、老化防止効果を示すことは知られていない。
【0003】
また近年、皮膚老化メカニズムは光老化と自然老化に分けて考えられるようになっている。自然老化は加齢が進むに従って進行するのに対し、光老化は、紫外線の暴露によって皮膚内に生じた活性酸素によってマトリックスメタロプロテアーゼの活性が亢進し、皮膚に存在するコラーゲン、エラスチンといった細胞外マトリックスを変性させ、たるみ、しわなどの老化を引き起こすことから、その防御が重要な課題となっている。特にコラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、抗酸化活性は皮膚老化防止に関連深い因子とされる。コラゲナーゼやエラスターゼは細胞外マトリックスを破壊する酵素群のひとつで、総称してマトリックスメタロプロテアーゼと呼ばれる。
【0004】
コラゲナーゼ阻害活性を有する生薬としては、例えばユキノシタ科ベルゲニア・リグラータの根茎の溶媒抽出物(特許文献1参照)、松樹皮抽出物(特許文献2参照)などが報告されている。また、エラスターゼ阻害活性を有する生薬としては、例えば、セイヨウトニコの抽出物(特許文献3)、ホホバ葉抽出物(特許文献4参照)などが報告されている。さらに抗酸化活性を有する生薬としては、例えばキク科トウヒレン属植物の粉末及び/又は抽出物(特許文献5参照)などが報告されている。しかし、これらの生薬は十分な効果を持つには至っていない。従って、人の肌に対する安全性の面から天然物で、かつ低濃度でコラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、抗酸化活性といった皮膚老化防止効果を強く有する生薬が求められていた。
【0005】
特許文献6には、アオイ科植物の抽出物とペパーミントの抽出物とを有効成分として含有する皮膚を白くする美容活性組成物が開示されており、当該組成物の任意成分としてピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物が記載されている。しかしながら、ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物の薬理効果については何ら記載されていなく、当該抽出物が美白効果を有していると認識することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−315492号公報
【特許文献2】特開2003−238426号公報
【特許文献3】特開平11−147832号公報
【特許文献4】特開2003−48812号公報
【特許文献5】特開2004−155961号公報
【特許文献6】特表2004−517964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題はピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を配合した新規な化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)地上部の抽出物が、高い美白効果、抗酸化効果、老化防止効果を示し、皮膚に有効な成分を多く含むと同時に高い安全性を有し、さらに皮膚を滑らかにし、毛髪を保護する作用をも有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
ここでいう老化防止効果とは、皮膚に存在するコラーゲン、エラスチンなどを変性させ、しわ、たるみ、などの老化現象を引き起こすコラゲナーゼやエラスターゼの阻害活性、また、これら酵素活性を亢進する活性酸素を消去する抗酸化活性、加齢臭やフケの発生、アクネ悪化の原因となる遊離脂肪酸の生成を抑えるリパーゼ阻害活性や抗菌活性などをいう。
【0010】
すなわち本発明の要旨は以下の通りである。
(1)ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を含有する皮膚老化防止剤。
(2)コラゲナーゼ阻害、エラスターゼ阻害、抗酸化、リパーゼ阻害又は抗菌の用途で用いられる、(1)に記載の皮膚老化防止剤。
(3)ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を含有するシャンプー剤。
(4)ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を含有するヘアパック剤。
(5)植物抽出物として、ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物のみを含有する美白剤。
(6)ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を含有し、アオイ科植物[マルバ・シルベストリス(Malva sylvestris)]抽出物とペパーミント[メンタ・ピペリタ(Mentha piperita)]抽出物とを含有しない美白剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明のピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物は、美白効果、コラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、抗酸化活性、リパーゼ阻害活性、抗菌効果を示し、化粧品組成物、特に美白剤及び皮膚老化防止剤として有用である。本発明のピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物は、化粧品類の他、医薬品類、医薬部外品類、浴用剤など、特にシャンプー剤及びヘアパック剤に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コラゲナーゼ活性阻害活性を示す図である。
【図2】エラスターゼ活性阻害活性を示す図である。
【図3】抗酸化作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の化粧料の有効成分の原料であるピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)は、栽培種、野生種など特に限定はされない。本発明においてピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)の地上部及び地下部を合わせた全草を使用することができるが、好ましくは地上部が使用される。
【0014】
ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)は、乾燥、粉砕処理などを実施するのが好ましい。
ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物は乾燥、粉砕させた地上部を水、アルコール類、多価アルコール類、又はそれらの混合物を使用して、抽出することによって調製することが可能であり、それらを溶液状で使用することも可能であるが、それら溶液を乾燥して得られる粉体状の製品も化粧品組成物に使用することができる。また、ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)の抽出においては、水のかわりに緩衝液や、希酸および希アルカリを使用することも可能である。
【0015】
ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)はそのままでも抽出可能であるが、乾燥、粉砕処理をしてから抽出に供してもよく、抽出効率から考えて乾燥、粉砕処理を実施することが望ましい。
【0016】
抽出溶媒としては、水、アルコール類又はそれらの混合溶媒を使用する。アルコール類としては、一価アルコール、多価アルコールのいずれも使用できる。具体的には一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ベンジルアルコールなどが、多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコールなどが挙げられる。
【0017】
抽出溶媒として水とアルコール類の混合溶媒を使用する場合は、アルコール濃度が10〜90%とすることが望ましい。具体的には、エタノール濃度が20〜70%の含水エタノール、1,3-ブチレングリコール濃度が20〜70%の含水1,3-ブチレングリコールなどの溶媒が好適に使用される。
【0018】
抽出操作は特に限定されないが、例えばピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)の乾燥させた地上部1重量部に対し、抽出溶媒を5〜200重量部を用いて行うことが好ましい。また、さらに好ましくは抽出溶媒を10〜100重量部を用いて行うことが好ましい。
【0019】
抽出温度および抽出時間は、抽出溶媒によって適宜調節することができる。抽出温度は、好ましくは室温〜加圧下での沸点であり、抽出時間は抽出温度により異なるが、1時間〜2週間である。例えば、含水エタノール(エタノール濃度20〜70%)では20〜60℃で、1時間〜2週間、含水1,3-ブチレングリコール(1,3-ブチレングリコール濃度20〜70%)では20〜100℃で、1時間〜2週間抽出することが望ましい。
【0020】
ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物はそのままでも使用可能であるが、さらに濾過、遠心分離等の工程により精製するのが好ましい。多くの場合は、そのままの状態で利用できるが、必要ならば、その効果に影響のない範囲で更に脱臭、脱色などの精製処理を加えてもよく、脱臭・脱色等の精製処理手段としては、活性炭カラムなどを用いればよく、抽出物質により一般的に適用される通常の手段を任意に選択して行えば良い。また、得られたピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を凍結乾燥法、スプレードライ法などの熱乾燥法により乾燥物として得ることも可能である。
【0021】
こうして得られたピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物は、高い美白効果、コラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、抗酸化活性、リパーゼ阻害活性、抗菌活性を示す。
特にコラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、抗酸化活性は従来の技術で述べた通り皮膚老化防止、特に光老化に関連深い因子とされる。
【0022】
光老化を防御するには、紫外線曝露により生成した活性酸素の消去、活性酸素により亢進したマトリックスメタロプロテアーゼの阻害が重要であり、活性酸素除去剤である抗酸化剤及びマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤は有効な皮膚老化防止剤として利用することができる。
【0023】
一方、遊離脂肪酸は加齢臭やフケの発生、アクネを悪化させることから、これらの症状を防止するためには、遊離脂肪酸の生成を抑えるリパーゼ阻害活性や、皮脂を分解し、遊離脂肪酸を生じさせる皮膚常在菌などに対し抗菌活性を有するものが求められている。よってリパーゼ阻害剤や抗菌剤は、フケ防止剤や体臭防止剤として利用する他、皮膚老化防止剤としても有用である。
【0024】
本発明のピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物が配合される化粧品としては、化粧水、乳液、美容液、一般クリーム、クレンジングクリーム等の洗顔料、パック、髭剃り用クリーム、日焼けクリーム、日焼け止めクリーム、日焼け止めローション、日焼けローション、化粧石鹸、ファンデーション、おしろい、パウダー、口紅、リップクリーム、アイライナー、アイクリーム、アイシャドウ、マスカラ、浴用化粧品、シャンプー、リンス、染毛料、頭髪用化粧品等を挙げることができ、各種化粧品に利用可能である。その配合量は化粧品組成物中、0.0001〜100%含むことができるが好ましくは0.001〜10%である。
【0025】
本発明のピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を配合することを特徴とする化粧品組成物に併用して配合可能な成分としては、皮膚外用剤などにおいて使用されている各種成分や添加剤のほか、その他の化粧品、医薬部外品や浴用剤で一般に使用される基剤や薬剤などであれば特に限定されることはなく、用途に適したものを任意に選択、併用して製造することができる。例えば、以下のものを選択、併用することができる:
果実水、コラーゲン、コラーゲン誘導体、コラーゲン加水分解物、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、エラスチン、エラスチン加水分解物、ラクトフェリン、ケラチン、ケラチン加水分解物、カゼイン、アルブミン、ハチミツ、ローヤルゼリー等の蛋白質および蛋白質の加水分解物。ヒアルロン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、アルギン酸およびその塩、ペクチン、コンドロイチン硫酸およびその塩、水溶性キチン、キトサン誘導体およびその塩、デオキシリボ核酸、アラビアゴム、トラガントゴム、プルラン等の天然高分子及びそれらの誘導体;
チューリップ花エキス、シチヘンゲ根エキス、オタネニンジンエキス、キビ芽エキス、大麦発酵エキス、栗渋皮発酵エキス、リュウガン種子エキス、ラッカセイ種皮エキス、ピンクロックローズエキス、甘草エキス、アロエエキス、カモミラエキス、シソエキス等の植物抽出物。酵母エキス等の微生物由来物。海藻末や海藻エキス。プラセンタエキス等の動物由来物。カルボキシビニルポリマーおよびその塩、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシメチルセルロースおよびその塩等の酸性ポリマー、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロースポリビニルメチルエーテル等の中性ポリマー。カチオン化キトサン、カチオン化セルロース、ポリエチレンイミン、カチオン化グアーガム等のカチオン性ポリマー。エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類。パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、アントラニエール酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;
ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、リン酸L−アスコルビルマグネシウムおよびその誘導体、ビタミンD群、酢酸d−α−トコフェノール、ビタミンE群、葉酸類、β−カロチン、γ−オリザノール、ニコチン酸、パントテン酸類、ビオチン類、フェルラ酸等のビタミン類。グリチルリチン酸及びその塩類、グアイアズレン及びその誘導体、アラントイン等の抗炎症剤。ステアリン酸エステル、ノルジヒドログアセレテン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、パラヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、セサモール、セサモリン、ゴシポール等の抗酸化剤。パラ安息香酸メチル、パラ安息香酸エチル、パラ安息香酸プロピル、パラ安息香酸ブチル等のパラ安息香酸エステル類、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、フェノキシエタノール、安息香酸等の防腐剤;
エデト酸、エデト酸二ナトリウム等のエデト酸及びその塩類、フィチン酸、ヒドロキシエタンジスルホン酸等の金属イオン封鎖剤。グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類。L-アスパラギン酸、DL-アラニン、L-アルギニン、L-システイン、L-グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸類およびその塩。マルチトール、ソルビトール、キシロビオース、N-アセチル-D-グルコサミン等の糖類。クエン酸、乳酸、α-ヒドロキシ酢酸、ピロリドンカルボン酸等の有機酸類およびその塩類。流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類。ゴヨウマツ種子油、オリーブ油、ヤシ油、月見草油、ホホバ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油等の油脂類。ラウリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類;
ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類。ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、トリオクタン酸グリセリン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ステアリル等のエステル類。レシチンおよびその誘導体等のリン脂質類。ウシ骨髄脂やウシ脳脂質などの動植物由来脂質。ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸エタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミンなどのアルキル硫酸塩;
ポリオキシエチレン(2EO)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン(なお、EOはエチレンオキサイドでEOの前の数値はエチレンオキサイドの付加モル数を示す。)、ポリオキシエチレン(3EO)アルキル(炭素数11〜15のいずれか又は2種以上の混合物)エーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキル硫酸塩。ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩。ポリオキシエチレン(3EO)トリデシルエーテル酢酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩。ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ラウロイルメチル-L-グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸-L-グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸-L-グルタミン酸トリエタノールアミン。ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウムなどのN-アシルアミノ酸塩、エーテル硫酸アルカンスルホン酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、ウンデシノイルアミドエチルスルホコハク酸二ナトリウム、オクチルフェノキシジエントキシエチルスルホン酸ナトリウム、オレイン酸アミノスルホコハク酸二ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル(炭素鎖12〜15)エーテルリン酸(8〜10EO)、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤。塩化ステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤。2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシル-N-ヒドロキシエチル-N-カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油アルキル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ヤシ油アルキル-N-カルボキシメトキシエチル-N-カルボキシメチルイミダゾリニウムジナトリウムラウリル硫酸、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N-アルギニンエチル-DL-ピロリドンカルボン酸塩などの両性界面活性剤。ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14)エーテル(7EO)、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオレイン酸グリセリン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルステアリルジエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール・ラノリン(40EO)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル等のノニオン性界面活性剤。イソステアリン酸ジエタノールアミド、ウンデシレン酸モノエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、牛脂脂肪酸モノエタノールアミド、硬化牛脂脂肪酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸エタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸エタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラノリン脂肪酸ジエタノールアミドなどの増粘剤。鎖状又は環状メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンポリエチレングリコール共重合体、ジメチルポリシロキサンポリプロピレン共重合体、アミノ変性シリコンオイル、第四級アンモニウム変性シリコンオイルなどのシリコンオイル。その他、ビールエキス、pH調整剤、着色料、香料、安定化剤、清涼剤、血流促進剤、角質溶解剤、収斂剤、創傷治療剤、増泡剤、口腔用剤、消臭・脱臭剤、抗アレルギー剤、細胞賦活剤。
【0026】
本発明のピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物は医薬品として使用することもできる。医薬品の剤形としては、例えば軟膏剤、貼付剤、パップ剤、リニメント剤、ローション剤、エキス剤、流エキス剤、チンキ剤、エリキシル剤、シロップ剤、リモナーデ剤、芳香水剤、液剤、懸濁剤、乳剤、エアゾール剤、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などが挙げられる。
【0027】
ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を製剤化するために、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤などを添加することができる。
【0028】
賦形剤の具体例としては、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類が挙げられる。
【0029】
崩壊剤の具体例としては、結晶セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、トラガントが挙げられる。
【0030】
結合剤の具体例としては、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、アラビアゴム末、寒天、ゼラチン、白色セラック、トラガント、精製白糖、マクロゴールが挙げられる。
【0031】
滑沢剤の具体例としては、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ロウ類、水素添加植物油、ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0032】
界面活性剤の具体例としては、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴールが挙げられる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例により説明するが、本実施例によって本発明が限定されるものではない。
(製造例1)
ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)の地上部10 kgを乾燥後、粉砕した。
【0034】
(製造例2)
製造例1の乾燥後、粉砕したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)10gを50%エタノール水溶液100mLに浸漬し60℃で24時間抽出した。沈殿物を遠心分離法(10000G、10分)により除去し、渇色清澄なピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を得た。
【0035】
(製造例3)
製造例2で得たピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を濃縮後、真空凍結乾燥してピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物凍結乾燥粉末を得た。
【0036】
(製造例4)
製造例1の乾燥後、粉砕したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)の地上部10gを水100mLに浸漬し60℃で24時間抽出した。沈殿物を遠心分離法(10000G、10分)により除去し、褐色の清澄ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を得た。
【0037】
(製造例5)
製造例1の乾燥後、粉砕したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)の地上部10gをエタノール100mLに浸漬し60℃で24時間抽出した。沈殿物を遠心分離法(10000G、10分)により除去し、薄褐色の清澄ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を得た。
【0038】
(製造例6)
製造例1の乾燥後、粉砕したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)の地上部10gを50% 1,3-ブチレングリコール水溶液100mLに浸漬し室温で2週間抽出した。沈殿物を遠心分離法(10000G、10分)により除去し、薄褐色の清澄ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を得た。
【0039】
(製造例7)
製造例1の乾燥後、粉砕したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)の地上部10gを1,3-ブチレングリコール100mLに浸漬し60℃で24時間抽出した。沈殿物を遠心分離(10000G、10分)後、濾過し、薄褐色の清澄ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を得た。
【0040】
(製造例8)
ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)の全草10 kgを乾燥後、粉砕した。
【0041】
(製造例9)
製造例8の乾燥後、粉砕したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)10gを50%エタノール水溶液100mLに浸漬し60℃で24時間抽出した。沈殿物を遠心分離法(10000G、10分)により除去し、渇色清澄なピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を得た。
【0042】
(製造例10)
製造例9で得たピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を濃縮後、真空凍結乾燥してピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物凍結乾燥粉末を得た。
【0043】
(製造例11)
製造例8の乾燥後、粉砕したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)10gを水100mLに浸漬し60℃で24時間抽出した。沈殿物を遠心分離法(10000G、10分)により除去し、褐色の清澄ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を得た。
【0044】
(実施例1)
<美白試験>
表面積25cm2の細胞培養用ボトルに10% FBSを含むDMEM培地10mL、B16細胞懸濁液(2.5×104個/mL、10% FBSを含むDMEM培地)1mLを添加し、CO2濃度5%、37℃で24時間培養した。製造例4および製造例11で調製したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を培地に対して溶質濃度が0.5、0.1、0.05%となるように添加し、3日間培養し、同量の培地及び抽出物を取り換えた後、更に3日間培養した。トリプシン−EDTA処理によって細胞を剥離し、得られた細胞を、遠心分離(1000ppm、1分)して上澄液を取り除いた後、細胞の色相を観察した。抽出物を加えないものをコントロールとした。
【0045】
結果を表1に示した。表1から明らかなように製造例4および製造例11で調製したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物に優れた美白効果が認められ、この時、地上部より抽出した製造例4の方に、より強い効果が認められた。
【0046】
【表1】

【0047】
(実施例2)
<コラゲナーゼ活性阻害作用>
製造例3および製造例10で調製したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物凍結乾燥粉末を水を用いて500μg/mL、100μg/mL、10μg/mLに調製し試験液とした。コラゲナーゼ活性阻害作用の測定はコラーゲン技術研修会製のコラゲノキットCLN−100を用いて行った。蛍光標識した基質コラーゲン溶液200μLに試験液50μL、ヒト皮膚線維芽細胞由来コラゲナーゼ溶液(0.1units/mL)200μLを加え35℃で2時間反応させた後、反応停止液にて酵素反応を停止させ、分解物をエタノール溶液に抽出した後、蛍光強度(Ex=495nm、Em=520nm)を測定した。コラゲナーゼ活性阻害率はピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物無添加のものと比較して算出した。
【0048】
結果を図1に示した。図1から明らかなようにピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物に高いコラゲナーゼ阻害活性が認められた。この時、地上部より抽出した製造例3の抽出物乾燥粉末の方が、強い活性を示した。
【0049】
マトリックスメタロプロテアーゼのひとつであるコラゲナーゼの活性を阻害したことから、ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物は皮膚老化防止剤として有用であることがわかる。
【0050】
(実施例3)
<エラスターゼ阻害試験>
製造例3および製造例10で調製したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物凍結乾燥粉末を0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5,1% BSA,1M NaCl含有)を用いて1000μg/mL、500μg/mL、250μg/mL、100μg/mL、50μg/mLに調製し試験液とした。
【0051】
0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5,1% BSA,1M NaCl含有)で20μMに調製した基質溶液(Suc−(OMe)−(L−alanyl)2−Pro−Val−p−MCA)200μLと各濃度に調製した試験液100μLの混液に0.2unit/mLに調製したヒト好中球由来エラスターゼ溶液100μLを加え、37℃で1時間反応させた。反応後、蛍光強度(Ex=355nm,Em=460nm)を測定し、その低下率をもって活性阻害率を算出した。
【0052】
図2に測定結果を示した。製造例3および製造例10で調製したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物凍結乾燥粉末は、濃度依存的にエラスターゼ活性を阻害することがわかる。この時、地上部より抽出した製造例3の抽出物凍結乾燥粉末の方が、強い活性を示した。
【0053】
(実施例4)
<抗酸化作用>
抗酸化作用はDPPHラジカル消去法により評価した。
DPPHラジカル消去法とは、可視部に吸収を持ち、かつ還元されると吸収を示さなくなる安定ラジカルであるDPPH(1,1-diphenyl-2-picryl-hydrazyl)を利用し、測定抗酸化素材と反応しなかったDPPH量を、吸光度を測定することで測定抗酸化素材の抗酸化能を評価する方法である。
【0054】
製造例3及び製造例10で調製したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物凍結乾燥粉末と50%エタノール水溶液を用いて100ppmの試料溶液を調製した。反応指示薬(800μM 1,1-diphenyl-2-picryl-hydrazyl 12 mL、400 mM 2-morpholinoethanesulphonic acid Buffer 12mL、エタノール水溶液 24mL)0.9 mL を試験管に分注し、50% エタノール水溶液を(300-a)μLを加える。試料溶液 aμLを30秒おきに加え、ボルテックスミキサーでミキシングし、20分後に520nmでの吸光度を測定した。a=0、30、60、120、180、240μLとした。対照として茶抽出凍結乾燥粉末を用いた。
【0055】
結果を図3に示した。図3から明らかなように製造例3および製造例10で調製したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物に高いラジカル消去活性が認められた。この時、地上部より抽出した製造例3の抽出物凍結乾燥粉末の方が強い活性を示した。このことからピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物の抗酸化作用が確認された。
【0056】
(実施例5)
<リパーゼ阻害作用>
製造例3及び製造例10で調製したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物凍結乾燥粉末を50%エタノール水溶液に溶解し100ppm〜2000ppmの試料溶液を調製した。リパーゼはブタ膵臓由来リパーゼ(EPC社製)を使用した。三酪酸ジメチルカプロールとドデシル硫酸ナトリウムより構成される基質液に、100〜2000ppm濃度に調製した試料溶液100μLを加え、酵素液を加えて反応させた。なお、反応はリパーゼキットS(大日本製薬製)を用いた。
【0057】
対照として製造例3と同様に調製した茶抽出凍結乾燥粉末を用いた。リパーゼ活性抑制率は以下の式を用いて計算した。
【0058】
【数1】

A〔C〕試料溶液の代わりに50%エタノールを用いて同様に操作を行った溶液の吸光度
A〔B〕酵素液の代わりに緩衝液を用いて同様に操作を行った溶液の吸光度
A〔S〕試料溶液を用いて同様の操作を行った溶液の吸光度。
【0059】
結果を表2に示した。表から明らかなようにピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物に高いリパーゼ阻害活性が認められた。この時、地上部より抽出した製造例3の抽出物凍結乾燥粉末の方が強い活性を示した。
【0060】
【表2】

【0061】
(実施例6)
<抗菌作用>
抗菌作用はペーパーディスク法により評価した。製造例3及び製造例10で調製したピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物凍結乾燥粉末と50%エタノール水溶液を用いて2%の試料溶液を調製した。陽性対象のイソプロピルメチルフェノールは50%エタノールに1%の濃度で溶解した。試料溶液を20μLペーパーディスクに滴下後、クリンベンチ内で風乾した。なお、20μL以上の滴下では、一度に滴下できないので風乾後再度滴下する作業を繰り返した。Corynebacterium xerosis (JCM1324)、Micrococcus luteus(JCM1465)、Staphylococcus epidermidis (IFO3762)の3菌株は、すべてnutrient brothで増殖後、Mueller−Hinton broth (Difco性)を用いて37℃、18時間培養し菌を増殖させた(前培養)。次に菌液2mLをMueller−Hinton broth 100mLに加え37℃で24時間培養し(本培養)、得られた菌液をMueller−Hinton brothを用いて1 / 10に希釈した。Mueller−Hinton培地2mLに希釈した菌液0.5mLを加え撹拌し、寒天が固化した後、先に調製した試料溶液を含んだペーパーディスクを載せ、5℃で5時間保管後、30℃で24時間培養し阻止円の大きさを観察した。なお、シャーレはファルコン1007(60mmディッシュ)を用いた。
【0062】
【表3】

【0063】
表3にピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物の抗菌性を示した。いずれの菌株に対してもクリアゾーンが明らかであり、ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物が抗菌作用を有することが明らかになった。この時、地上部より抽出した製造例3の抽出物凍結乾燥粉末の方が強い作用を示した。
【0064】
(実施例7)
化粧水の製造
【0065】
【表4】

【0066】
表4の処方に従い、(1)〜(10)を80℃で撹拌、溶解後室温に冷却し、化粧水を得た。得られた化粧水はいずれも清澄あり、40℃、RH75%の条件下において3か月間白濁を生じることもなく安定であった。また、専門パネラー10名による官能試験を行なった。評価は下記の項目について5段階の評点評価を実施した。
(1) 肌のしっとりさ
1.かさつく
2.ややかさつく
3.普通
4.ややしっとりする
5.しっとりする
(2) 肌の滑らかさ
1.ざらつく
2.ややざらつく
3.普通
4.やや滑らか
5.滑らか
(3) 肌のべたつき
1.べたつく
2.ややべたつく
3.普通
4.ややさっぱり
5.さっぱり
【0067】
パネラー10名の評点の平均を表5に示した。表5から明らかなように、ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を配合した実施品は、ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物無配合の対照品より優れた保湿性と皮膚平滑性を示した。
【0068】
【表5】

【0069】
(実施例8)
シャンプー剤の製造
表6の処方に従い、(1)〜(8)を70℃で混合撹拌し、室温まで冷却させてシャンプー剤を得た。
得られた製品を用いて洗髪したところ、髪の感触が滑らかで、髪に潤いを与えるものであった。
【0070】
【表6】

【0071】
(実施例9)
クリーム剤の製造
表7に示す処方に従い、(1)〜(7)を80℃で混合撹拌したものに、別途(8)〜(12)を80℃で混合攪拌したものを加え、ホモジナイズし、攪拌しながら室温まで冷却し、クリーム剤を得た。
得られた製品は使用中にべたつかず、肌をしっとりとさせるものであった。
【0072】
【表7】

【0073】
(実施例10)
ボディジェル剤の製造
表8の処方に従い、(1)〜(8)を撹拌、溶解した。
得られた製品は使用中にべたつかず、肌をしっとりとさせるものであった。
【0074】
【表8】

【0075】
(実施例11)
ヘアパック剤の製造
表9に示す処方に従い、(1)〜(2)を80℃混合撹拌したものに、別途(3)〜(13)を80℃で混合撹拌したものを加え、80℃にて混合攪拌しながら(14)、(15)をさらに添加し混合攪拌してヘアパック剤を得た。
得られた製品を用いて髪のトリートメントをしたところ、髪の感触が滑らかで、髪に潤いを与えるものであった。
【0076】
【表9】

【0077】
(実施例12)
シャンプー剤の製造
表10の処方に従い、(1)〜(8)を70℃で混合撹拌し、室温まで冷却させてシャンプー剤を得た。
得られた製品を用いて洗髪したところ、髪の感触が滑らかで、髪に潤いを与えるものであった。
【0078】
【表10】

【0079】
(実施例13)
クリーム剤の製造
表11に示す処方に従い、(1)〜(7)を80℃で混合撹拌したものに、別途(8)〜(12)を80℃で混合攪拌したものを加え、ホモジナイズし、攪拌しながら室温まで冷却し、クリーム剤を得た。
得られた製品は使用中にべたつかず、肌をしっとりとさせるものであった。
【0080】
【表11】

【0081】
(実施例14)
ボディリンスの製造
表12に示す処方に従い、定法によりボディリンスを得た。得られたボディリンスは肌をしっとりとさせるものであった。
【0082】
【表12】

【0083】
(実施例15)
顆粒状浴用剤の製造
表13に示す処方に従い、(1)〜(5)の各成分を混合撹拌し顆粒状浴用剤を調製した。得られた顆粒状浴用剤は肌をしっとりとさせ、使用後の体温の保温性に優れるものであった。
【0084】
【表13】

【0085】
(実施例16)
ボディジェル剤の製造
表14の処方に従い、(1)〜(8)を撹拌、溶解した。
得られた製品は使用中にべたつかず、肌をしっとりとさせるものであった。
【0086】
【表14】

【0087】
(実施例17)
シャンプー剤の製造
表15の処方に従い、(1)〜(8)を70℃で混合撹拌し、室温まで冷却させてシャンプー剤を得た。
得られた製品を用いて洗髪したところ、髪の感触が滑らかで、髪に潤いを与えるものであった。
【0088】
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を含有する皮膚老化防止剤。
【請求項2】
コラゲナーゼ阻害、エラスターゼ阻害、抗酸化、リパーゼ阻害又は抗菌の用途で用いられる、請求項1に記載の皮膚老化防止剤。
【請求項3】
ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を含有するシャンプー剤。
【請求項4】
ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を含有するヘアパック剤。
【請求項5】
植物抽出物として、ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物のみを含有する美白剤。
【請求項6】
ピンピネラ サキシフレイジ(Pimpinella saxifraga L.)抽出物を含有し、アオイ科植物[マルバ・シルベストリス(Malva sylvestris)]抽出物とペパーミント[メンタ・ピペリタ(Mentha piperita)]抽出物とを含有しない美白剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−12027(P2011−12027A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158465(P2009−158465)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000240950)片倉チッカリン株式会社 (24)
【出願人】(399088289)株式会社再春館製薬所 (6)
【Fターム(参考)】