説明

ピンホールの検査方法

【課題】 外層と、アルミニウム箔層と、内層とを少なくとも備えた包装材をプレス成形することにより凹部を備えた形状に成形した容器状外装体の内層側に生じた前記アルミニウム箔層にまで達するピンホールの有無を容易に確実に確認することができるピンホールの検査方法を提供することである。
【解決手段】 外層と、アルミニウム箔層と、内層とを少なくとも備えた包装材をプレス成形することにより凹部を備えた形状に成形した容器状外装体の内層側に生じた前記アルミニウム箔層にまで達するピンホールの検査方法であって、前記容器を鍍金法にて前記ピンホールの部分に金属析出物を形成することを特徴とするピンホールの検査方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体のピンホールの有無を検査する方法に関し、二次電池、特に電解質(液体や固体電解質)を有するリチウム電池の容器状外装材のピンホールの有無を検査する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム電池とは、リチウム二次電池ともいわれ、電解質として固体高分子、ゲル状高分子、液体などからなり、リチウムイオンの移動で起電する電池であって、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。リチウム二次電池の構成は、正極集電材(アルミニウム)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質)/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子負極材料)/負極集電材(銅)からなるリチウム電池本体およびそれらを包装する外装等からなる。リチウム二次電池は、その高い体積効率、重量効率から電子機器、電子部品、特に携帯電話、ノート型パソコン、ビデオカメラなどに広く用いられている。
【0003】
前記リチウム電池の外装として、金属端子の取出し易さや密封のし易さ、あるいは、柔軟性を有するために電子機器や電子部品自体の形状をある程度自由に設計することができるために、小型化や軽量化を図り易い等々の理由から、プラスチックフィルムやアルミニウム箔等の金属箔を積層した包装材が用いられるようになってきた。前記包装材は、リチウム電池として求められる物性、すなわち、防湿性、密封性、耐突き刺し性、絶縁性、耐熱・耐寒性、耐電解質性(耐電解液性)、耐腐食性(電解液の劣化や加水分解により発生するフッ酸に対する耐性)等が必要不可欠なものとして求められるために、前記包装材としては耐突き刺し性や外部との通電を阻止するための外層、防湿性を確保するためのアルミニウム箔等の金属箔からなるバリアー層、密封性を確保するための内層から一般的には構成される。
【0004】
リチウム電池の形態としては、上記した包装材を製袋加工して周縁熱接着部で図2(a)に示すように袋状〔図2(a)上はピロータイプの包装袋であるが三方タイプ、四方タイプ等の包装袋であってもよい〕にして、図示はしないがリチウム電池本体の正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納し、開口部を熱接着して密封するなりした図2(b)に示す袋タイプ、あるいは、上記した包装材を図3(a)に示すようにプレス成形して凹部を形成し、この凹部に図示はしないが前記リチウム電池本体の正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納すると共に、別途用意した平板状の包装材で前記凹部を被覆すると共に四周縁を熱接着して密封するなりした図3(b)に示す成形タイプとがある。なお、図2、3に示す袋タイプ、あるいは、成形タイプは本発明のリチウム電池の形態である。また、図2、3上で示す符号Aは包装材、符号Dはリチウム電池、符号Sは周縁熱接着部、Tは金属端子を示す。また、図3において別途用意した平板状の包装材に代えて、図示はしないが容器状に成形した包装材で前記凹部を被覆した成形タイプであってもよいものである。
【0005】
そして、成形タイプの二次電池は袋タイプの二次電池に比べて、リチウム電池本体等をタイト(ぴったりとした状態)に収納することができるために体積エネルギー密度を向上させることができると共にリチウム電池本体等の収納がし易いなどの利点があり、成形タイプが主流となっている。
【0006】
しかしながら、成形タイプの二次電池は袋タイプの二次電池に比べて、包装材を成形する工程があり、この成形工程において、特に内層にバリアー層(アルミニウム箔等の金属箔)にまで達するピンホールが発生すると、リチウム電池本体の電解液がピンホールを介してバリアー層と接触することになり、絶縁性が損なわれ、電池として機能しないという問題が生じ、歩留まり低下の大きな要因となるものである。また、包装材を成形して凹部内にリチウム電池本体を収納した後の蓋材をシールする工程や蓋材をシールした後のシールしたフランジ部を折り曲げる工程においても、内層にバリアー層にまで達するピンホールが発生することがあり、これにより絶縁性が損なわれて電池として機能しないという問題が生じる。
【0007】
そこで、ピンホール発生のない容器状外装体を安定的に製造するために、製造条件(成形条件)を設定する場合や、日々の製造開始時、あるいは、機械停止時等の再スタート時等にピンホール発生の有無を検査することは必要不可欠であるが、従来は、容器状外装体のピンホール発生の有無を、ピンホールの発生し易い部位に的を絞ってルーペや顕微鏡で確認していたが、この作業は手間隙のかかる作業であると共に見逃すことも避けられず、容易に確実にピンホールの発生の有無を検査することができる方法が求められていた。また、蓋材をシールする工程や蓋材をシールした後のシールしたフランジ部を折り曲げる工程での内層にバリアー層にまで達するピンホールの有無を確認する際にも、リチウム電池本体を取り出した後、容器状外装材もしくは蓋材のピンホール発生の有無をルーペや顕微鏡で確認していたが、これについても容易に確実にピンホール発生の有無を検査する方法が求められていた。
【0008】
なお、電池分野において、出荷前に正極端子および負極端子が短絡しているか否かを検査する絶縁検査方法(たとえば、特許文献1参照)、あるいは、電池のシール性を検査する方法(たとえば、特許文献2参照)については開示されているが、本発明の特徴に直接関連した内容、すなわち、プレス成形された容器状外装体のピンホールを検査する方法が開示されている先行技術文献を現段階では認識していない。
【特許文献1】特開2002−324572号公報
【特許文献2】特開2004−221060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、外層と、アルミニウム箔層と、内層とを少なくとも備えた包装材をプレス成形することにより凹部を備えた形状に成形した容器状外装体の内層側に生じた前記アルミニウム箔層にまで達するピンホールの有無を容易に確実に確認することができるピンホールの検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、外層と、アルミニウム箔層と、内層とを少なくとも備えた包装材をプレス成形することにより凹部を備えた形状に成形した容器状外装体の内層側に生じた前記アルミニウム箔層にまで達するピンホールの検査方法であって、前記容器を鍍金法にて前記ピンホールの部分に金属析出物を形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のピンホールの検査方法は、ピンホール発生のない容器状外装体を安定的に製造するために、製造条件(成形条件、シール条件、シール部折り曲げ位置等)を設定する場合や、日々の製造開始時、あるいは、機械停止時等の再スタート時等に容易に確実にピンホールの有無を検査することができ、製造条件(成形条件、シール条件、シール部折り曲げ位置等)等に即座にフィードバックすることができるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳しく説明する。
最初に、本発明に供する包装材1としては、図1に示すように、外層10、アルミニウム箔層30、化成処理層20、熱接着性樹脂からなる内層40を少なくとも順に積層したものである。
【0013】
前記包装材1が、雄型と雌型とからなる成形金型を備えたプレス成形機で冷間成形(引き込み1段成形)されて、たとえば、図3(a)に示すような凹部を有する容器状外装体が形成され、この凹部に図示はしないが前記リチウム電池本体の正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納すると共に、別途用意した平板状の包装材1で前記凹部を被覆すると共に四周縁を熱接着して密封した図3(b)に示すようなリチウム電池となるものであるが、前記容器状外装体の内層40にアルミニウム箔層30にまで達するピンホールが存在すると、リチウム電池本体の電解液がピンホールを介して前記アルミニウム箔層30と接触することになり、絶縁性が損なわれ、電池として機能しないという問題が生じ、歩留まり低下に繋がるために、成形時のピンホールの発生は電池製造のおいては極めて大きな問題である。そこで、このピンホールを前記容器状外装体の状態で発見し、製造条件(成形条件)にフィードバックすることは極めて有意義なことである。なお、本明細書でいうところのピンホールは意味通りの小さい孔に限ることはなく、クラック(ひび割れ)も含むものである。
【0014】
次に、前記容器状外装体の状態でピンホールやクラックを検査する具体的な方法について説明する。本発明にかかるピンホールやクラックを検査する方法としては、無電解メッキ法や電気メッキ法を用いることができ、これによりピンホールやクラックの存在する箇所の前記アルミニウム箔層30上に金属析出物を形成させ、この金属析出物の形成の有無を目視等で確認するものである。
【0015】
本発明にかかるピンホールの検査方法に用いる無電解メッキ法は特に制限されることはなく、公知の無電解メッキ法を適宜採用することが可能であり、たとえば、金属塩、錯化剤および還元剤を主成分として含有する酸性メッキ溶液、中性メッキ溶液、アルカリ性メッキ溶液(たとえば、水酸化アルカリ浴、アンモニア浴)等のメッキ浴中に前記容器状外装体を浸漬する方法や、このようなメッキ溶液をスプレー法等によって前記容器状外装体の内面側に供給する方法等を好適に用いることができる。ここで使用される金属塩は、無電解メッキにより金属析出物を形成可能な金属塩であればよく、特に制限されない。このような金属塩としては、各種金属のハロゲン化物、酸塩、シアン化物等を挙げることができ、中でも、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル、硫酸コバルト、塩化コバルト、硫酸銅、シアン化金カリウム等が適当であるが、目視での確認の容易さを考慮すると、金属析出物がアルミニウムの銀白色と異なる有色を呈するものが好ましく、特に金属析出物が赤色となる硫酸銅である。また、還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、ホウ水素化ナトリウム、ホルムアルデヒド等が挙げられる。さらに、錯化剤としては、クエン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等が挙げられる。なお、無電解メッキ法における溶液の組成、温度およびpH(水素イオン濃度)、処理時間、接触方法等は特に制限されず、用いる方法、金属塩等に応じて適宜調節される。
【0016】
また、本発明にかかるピンホールの検査方法に用いる電気メッキ法は特に制限されることはなく、公知の電気メッキ法を適宜採用することが可能であり、たとえば、電気メッキにより金属析出物を形成可能な金属のイオンを含む電解液中に前記容器状外装体を浸漬し、前記容器状外装体を(通常は陰極)と対極(通常は陽極)との間に適当な電位差を付与する方法等を好適に用いることができる。ここで用いる電解液としては、上記した金属塩を適宜選択して用いることができ、上記したと同様な理由から金属析出物がアルミニウムの銀白色と異なる有色を呈するものが好ましく、特に金属析出物が赤色となる硫酸銅である。なお、電気メッキ法における電解液の組成、温度およびpH(水素イオン濃度)、処理時間、電位差等は特に制限されず、用いる方法、電解液等に応じて適宜調節される。
【0017】
なお、無電解メッキ法や電気メッキ法において、今までは前記容器状外装体を浸漬することを主に説明してきたが、要点は前記内層40側のピンホールであり、前記容器状外装体の凹部に金属塩あるいは電解液を注入して金属析出物を形成するようにしてもよいものである。
【0018】
次に、前記包装材1の諸材料について説明する。まず、前記外層10としては、外力からアルミニウム箔を保護すると共に、特に外部からの突き刺しに対する耐突き刺し性を向上させる目的で設けるものであり、機械的強度に優れる点から2軸方向に延伸したポリエステルフィルムやポリアミドフィルム、あるいは、これらの積層体を挙げることができる。ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート等からなるフィルムを挙げることができ、また、ポリアミドフィルムとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10等からなるフィルムを挙げることができる。前記外層10の厚さとしては6μm以上が適当である。この理由としては、6μmより厚さが薄いと、それ自体にピンホールが存在する可能性があると共に外力に対する後述するアルミニウム箔層30(以下、アルミニウム箔と呼称する場合がある)の保護効果が減少し、成形時のピンホールや破断の発生の防止を考慮すると、より好ましくは12μm以上である。また、前記外層10が上記したフィルムの単層であれ、複層であれ、25μmより厚い場合は外力に対するアルミニウム箔層30の保護という点で顕著な効果が認められず、体積および重量エネルギー密度を低下させると共に、費用対効果の面からも使用しない方が望ましい。また、上記したポリエステルフィルムやポリアミドフィルムは必要な面にコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の易接着処理を施してもよいものである。
【0019】
また、前記アルミニウム箔層30としては、外部から電池内部に特に水蒸気が浸入するのを防止するために設けられるものであって、水蒸気バリアー性の確保と加工時の加工適性を考慮すると、20〜200μmの厚さのものが適当である。20μm未満の厚さの場合は、アルミニウム箔単体のピンホールが危惧され、水蒸気の浸入の危険性が高くなり、200μm超の厚さの場合は、アルミニウム箔のピンホールに顕著な効果が認められず、水蒸気バリアー性の更なる向上が期待できず、加工適性においても劣り、体積および重量エネルギー密度を低下させると共に費用対効果の面からも使用しない方が望ましい。
【0020】
また、前記アルミニウム箔30は鉄分を0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%含有したものが鉄分を含有しないものと比較して延展性に優れると共に折り曲げに対するピンホールの発生が少なく、成形時に偏肉のない均一な成形品を得るということを考慮すると、鉄分を含有したアルミニウム箔を用いるのが好ましい。なお、鉄含有量が0.3重量%未満ではピンホール発生の防止や延展性において効果が認められず、鉄含有量が9.0重量%超ではアルミニウム箔としての柔軟性が阻害されるために成形適性が低下する。
【0021】
また、前記アルミニウム箔30は冷間圧延で製造されるが、焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性、腰の強さ、硬さが変化するが、本発明に用いるアルミニウム箔は焼きなましをしていない硬質処理品よりも多少ないし完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウム箔がよい。
【0022】
次に、前記化成処理層20について説明する。前記化成処理層20は前記アルミニウム箔30を電解液や電解液の加水分解により発生するフッ酸による腐蝕を防止すると共に電解液や電解液の加水分解により発生するフッ酸による前記アルミニウム箔30と後述する内層40との間でのデラミネーションを防止するために設けるものである。また、成形タイプの電池にあっては、プレス成形時の上記した層間でのデラミネーションを防止するために設けるものである。前記化成処理層20は、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、塗布型クロメート処理等のクロム系化成処理、あるいは、ジルコニウム、チタン、リン酸亜鉛等の非クロム系(塗布型)化成処理等により前記アルミニウム箔30面に形成されるものであるが、連続処理が可能であると共に水洗工程が不要で処理コストを安価にすることができるなどから塗布型化成処理が適当である。処理液としては、従来公知の六価クロム化合物を含有したクロメート処理液で処理してもよいものであるが、環境に優しく、時間経過と共に上記した層間の接着強度の低下を来たし難い処理液、具体的にはアミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する処理液を用いて形成するのが好ましい。
【0023】
まず、アミノ化フェノール重合体について説明する。アミノ化フェノール重合体としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、下記式(1)、(2)、(3)、(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体を挙げることができる。なお、式中のXは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基ないしベンジル基を示す。また、R1、R2はヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示し、同じ基であってもよいし、異なる基であってもよいものである。
【0024】
下記式(1)〜(4)において、X、R1、R2で示されるアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。また、X、R1、R2で示されるヒドロキシアルキル基としては、たとえば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖ないし分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。なお、下記式(1)〜(4)におけるXは水素原子、ヒドロキシル基、および、ヒドロキシアルキル基のいずれかであるのが好ましい。
【0025】
また、下記式(1)、(3)で表されるアミノ化フェノール重合体は、繰り返し単位を約80モル%以下、好ましくは繰り返し単位を約25〜約55モル%の割合で含むアミノ化フェノール重合体である。また、アミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、好ましくは約500〜約100万、より好ましくは約1000〜約2万である。アミノ化フェノール重合体は、たとえば、フェノール化合物ないしナフトール化合物とホルムアルデヒドとを重縮合して下記(1)ないし(3)で表される繰り返し単位からなる重合体を製造し、次いで、この重合体にホルムアルデヒドおよびアミン(R12NH)を用いて水溶性官能基(−CH2NR12)を導入することにより製造される。アミノ化フェノール重合体は、1種ないし2種以上混合して用いることができる。
【0026】
【化1】

【0027】
【化2】

【0028】
【化3】

【0029】
【化4】

【0030】
次に、三価クロム化合物について説明する。三価クロム化合物としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロム等を挙げることができ、好ましくは硝酸クロム、フッ化クロムである。
【0031】
次に、リン化合物について説明する。リン化合物としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、リン酸、ポリリン酸等の縮合リン酸およびこれらの塩等を挙げることができる。ここで、前記塩としては、たとえば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩を挙げることができる。
【0032】
そして、アミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する処理液を用いて形成する前記化成処理層としては、1m2当たり、アミノ化フェノール重合体が約1〜約200mg、三価クロム化合物がクロム換算で約0.5〜約50mg、および、リン化合物がリン換算で約0.5〜約50mgの割合で含有されているのが適当であり、アミノ化フェノール重合体が約5.0〜150mg、三価クロム化合物がクロム換算で約1.0〜約40mg、および、リン化合物がリン換算で約1.0〜約40mgの割合で含有されているのがより好ましい。この場合の乾燥温度としては、150〜250℃、好ましくは170〜250℃で、加熱処理(焼付け処理)するのが適当である。
【0033】
また、前記化成処理層20の形成方法としては、前記処理液をバーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等の周知の塗布法を適宜選択して形成すればよいものである。また、前記化成処理層20を形成する前に前記アルミニウム箔30面に、予め、たとえば、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法等の周知の脱脂処理法で処理を施しておく方が、前記化成処理層の機能を最大限に発現させると共に、長期間維持することができる点から好ましい。
【0034】
次に、熱接着性樹脂からなる内層40について説明する。前記内層40を形成する樹脂としては、リチウム電池本体の正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して熱接着して密封する際に前記内層40と金属端子T(図3参照)との間に金属端子部密封用接着性フィルムを介在させるか否かで樹脂種が異なるものである。金属端子部密封用接着性フィルムを介在させる場合には、低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂の単体ないし混合物等の一般的なオレフィン系樹脂(炭素と水素とからなる直鎖状あるいは分枝鎖状のオレフィン系樹脂層を意味する)を適宜選択して用いればよいものであり、前記内層40は積層方法によりシート状のものを用いた層であっても、また、上記した一般的なオレフィン系樹脂のペレットをTダイ押出機等で加熱溶融押出し(Tダイ押出し法)して形成された層であってもよいものである。
【0035】
また、金属端子部密封用接着性フィルムを介在させない場合には、金属端子T(図3参照)と良好に接着する酸変性ポリオレフィン系樹脂、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体等の酸変性ポリオレフィン樹脂、特に好ましくは不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂を用いることができる。前記内層40の厚さとしては、10〜100μm、好ましくは30〜50μmであり、10μm未満では熱接着した際に十分な接着強度を得ることができずに密封性に問題が生じる虞があり、100μm超では熱接着して密封する際の密封性に顕著な効果が認められず、また、総厚が厚くなることにより逆に体積および重量エネルギー密度を低下させると共に費用対効果の面からも使用しない方が好ましい。なお、金属端子部密封用接着性フィルムとして例示するならば、上記した酸変性ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムである。また、前記内層40は、積層方法に応じて必要な面にコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の易接着処理を施してもよいものである。
【0036】
また、前記アルミニウム箔層30より内側の具体的な層構成としては、たとえば、a)アルミニウム箔層30/化成処理層20/酸変性ポリオレフィン系樹脂層/一般的なオレフィン系樹脂層、b)アルミニウム箔層30/化成処理層20/酸変性ポリオレフィン系樹脂層、等であり、積層方法としてはサンドイッチラミネーション法、Tダイ押出し法、あるいは、サーマルラミネーション法のいずれかを適宜選択して用いればよいものである。また、前記外層10と前記アルミニウム箔層30との積層は、たとえば、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系等の周知のドライラミネーション用接着剤を用いて、周知のドライラミネーション法で積層すればよいものであり、その塗布量としては、3.0〜5.0g/m2が適当である。また、図1においては、前記内層40側の前記アルミニウム箔層30面に前記化成処理層20を設けたものを示したが、前記外層10側の前記アルミニウム箔層20面にも前記化成処理層20を設けるのがより好ましいものである。
【0037】
また、成形時に金型に対して包装材1が部分的に密着するのを防止して厚みムラ(厚みバラツキ)のない均一な成形品を得る目的(成形時の成形性を向上させる目的)で、包装材1の前記外層20の表面に、たとえば、流動パラフィンなどの炭化水素系、ステアリン酸、エルカ酸などの脂肪酸系、ステアリルアミド、エルカ酸アマイドなどの脂肪酸アミド系、金属石鹸、天然ワックス、シリコーンなどの滑剤を適当な溶媒で溶液化するなどの塗布可能な状態にして、たとえば、グラビアコート法、ロールコート法、あるいは、パターン状に形成する場合にはグラビア印刷法等の周知の塗布法で滑剤層を形成してもよいものである。
【0038】
なお、今までは、電池用外装材のピンホールの検査方法ということで説明してきたが、本発明のピンホールの検査方法は、これに限ることはなく、たとえば、アルミニウム箔等の金属箔を用いた包装材からなる食品や浸透性の強い内容物を収容する成形容器や包装袋のピンホールの有無を調査する方法としても好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明にかかる容器状外装体に用いる包装材の基本的な層構成を図解的に示す図である。
【図2】リチウム電池の形態の一実施例を説明する図である。
【図3】リチウム電池の形態の他の実施例を説明する図である。
【符号の説明】
【0040】
1,A 包装材
10 外層
20 化成処理層
30 アルミニウム箔層
40 内層
D リチウム電池
S 周縁熱接着部
T 金属端子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層と、アルミニウム箔層と、内層とを少なくとも備えた包装材をプレス成形することにより凹部を備えた形状に成形した容器状外装体の内層側に生じた前記アルミニウム箔層にまで達するピンホールの検査方法であって、前記容器を鍍金法にて前記ピンホールの部分に金属析出物を形成することを特徴とするピンホールの検査方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−257974(P2007−257974A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80177(P2006−80177)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】