説明

ピンホールディスク

本発明は、フィルタディスクとして、透過光モードで使用することができるピンホールディスクに関しており、殊に共焦点式顕微鏡内で使用可能であり、且つ、固定の外経rmax及び内経rminの内孔を有する透光性材料製のピンホールディスクに関している。透光性材料は、少なくとも大きな領域に非透過性層が設けられており、この領域に、透過性ピンホールのパターンが設けられている。このピンホールは、ほぼ均一の点密度がディスク上に得られるような規則に従って配置構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共焦点型顕微鏡で使用するための、ユニバーサルピンホールパターンを形成するための方法に関する。
【0002】
ここで説明する方法は、回転する共焦点フィルタディスク上に最適化されたピンホールパターンをユニバーサル(universellen)に形成するために用いられる。この方法を用いて、新たな形式のホールパターンを形成することができ、つまり、これまで使用されてきたニポーディスク(Nipkowscheiben)に較べて、調整、アンバランス及び同期にさほど要求レベルが高くないホールパターンを形成することができる。これまで使用されてきたニポーディスクとは異なり、ピンホールの密度は、全ディスク半径に亘って一定のままである。イメージ面に対して、システムのダイナミック特性に負の影響を及ぼすことがある、付加的な輝度のV字形部(Helligkeitskeil)は生じない。付加的な明暗のストライプ状のパターンを生じることがある、力学的な(mechanische)アンバランスによって逆方向に調整されたり、調整がはずれたりするという問題は、同様に除去することができる。同様に、ディスクの回転数と撮像モードの露光時間とを所期のように同期化するという問題も緩和することができる。これらの各特性に対して付加的に、共焦点でない概観イメージ(Uebersichtsbild)を形成するための特別な領域は形成されない。
【0003】
この(V字形の)領域は、しかし、通常の共焦点フィルタディスク(例えば、ニポーディスク)でも形成されることがあり、本発明の新規なピンホールの構成に制限されない。
【0004】
ここで説明している本発明を用いると、通常の顕微鏡モードと共焦点モードとの間で機械的な切換スイッチを切り換えずに、最初から、共焦点型顕微鏡の作動が可能である。切換スイッチに依存せずに、本発明によると、ピンホールディスクの外側面上での一方の側の強度が低減せずに、最初から、共焦点作動を行うことができ、調整がはずれたり、又は、回転ディスクがアンバランスになった場合でも接触の少ない作動が可能となり、撮影モードの露光時間に簡単に同期化することができる。
【0005】
図面:
図1は、ピンホールディスクの大まかなセグメンテーションを行うための原理略図、
図2は、ピンホールディスク上のほぼ均一なピンホール密度を形成するための原理略図、
図3は、ピンホールディスク上の各ピンホールパターンの最小間隔の対称化の算出及び保持を行うための原理略図を示す。
【0006】
図1は、透過光モードで作動するピンホールディスクの大まかなセグメンテーション用の原理略図を示す。ディスクは、固定の外径rmax(4)及び内径rmin(3)の内孔を有する、丸く切断された透光性材料製である。透光材料には、非透過性(ND>3)の、特別に構造化された層が設けられている。この構造は、例えば、角度、製品番号及び社名のようなマーキングの他に、2つのセグメントに分割されている。1.)顕微鏡の概観イメージを可能にするために、ディスクの中心点にコーナーを有する三角形状の透過性のV字形部(1)と:2.)ディスクの残りの部分とに分割されており、このディスクの残りの部分には、透過性のピンホールのほぼ均一なピンホールパターンが設けられている。その際、先ず、確実に最小間隔が維持されるように隣接して各ピンホールが配列されるように決定されたピンホールパターン(2)が形成され、このピンホールは、適切に確率的に拡散処理され、続いて、隣接し合った各ピンホール間に最小間隔を維持するために適切に補正される。
【0007】
ディスクは、当該ディスクの中心点を中心にして回転する。観測すべきイメージ領域(5)を通過して、顕微鏡概観モード(Uebersichtsmodus)用の透過性のV字形部も、ピンホールパターンも動く。2つのフォーク状ライトバリア(Gabellichtschranken)(6)及び(7)によって、透過性のV字形部がイメージ面内に達して、当該イメージ面を離れる時点を検出することができる。一般的な状態(Allgemeinheit)を制限せずに、透過性のV字形部がイメージフィールド内に達する直前にライトバリア(6)は、パルスを送出し、透過性のV字形部がイメージ領域を離れる際に、ライトバリア(7)がパルスを送出する。イメージセンサの露光が時点(6)及び時点(7)で終了する際、概観イメージを形成することができる。時点(7)で露光が開始し、時点(6)で終了すると、共焦点イメージを撮影することができる。露光期間が、時点(6)から時点(6)の直ぐ次のパルス迄に選定されると、共焦点且つ概観モードの結合イメージを撮影することができる。これは、パルス(7)が用いられた場合にも機能する。殊に、急峻な側縁及び非常に光が弱い試料では、このやり方は、従来の方法よりも良好なパフォーマンスを有している。
【0008】
図2は、ピンホールディスク上のほぼ均一なピンホール密度を形成するための原理略図を示す。基本パターンを形成するために、簡単にするために、シリンダの座標内で算出され、ディスク全体が、一定半径間隔Δr=(rmax−rmin)/(n−1)の半径r,r,r,...,rのn個の均等な厚みのV字形環に分割されている。各円形環は、当該円形環の中心点に原点を有している。原点から出た直線は、全ての前記円形環を角度αで交差する。各同心円と半直線との各交点に、各円に対して、第1のピンホールが配設されている。各円で、後続するピンホール中心の角度は、最後の角度と、円半径に典型的な被加数dα(r)との和から算出される。角度dα(r)は、ラジアンで算出され、dα(r)=D/(Δr・r)となる。各ピンホールの全角度位置は、式α(r,j)=α+j・dα(r)により算出され、その際、0〜2πの角度しか考慮されない。これにより、各ピンホールをほぼ均一に分布するための基本的な幾何形状が得られる。各個別円上に分布された各ピンホールの個数は、その際、連続的に円半径の整数倍で増大し、且つ、局所の最小値を有することはできない。
【0009】
1つの円上で、各々2つの隣り合う各ピンホール間の間隔は、各円上で外側から内側に向かって常に一定であり、その結果、αで隣り合った各ピンホールの結合線は、緩やかに湾曲している。
【0010】
図3は、対称化を崩し、及び、隣り合った各ピンホール間の所定の最小間隔を保持するための原理略図を示す。その際、半径は変わらない。角度座標だけがずらされる。(1)は、ピンホールの角度をずらすための手段を示す。その際、ランダムジェネレータを介して、角度Δαが算出され、つまり、この角度は、最大の平均ピンホール間隔になる迄、正乃至負にずらすことができ、つまり、Δα=[(−D/r)..(D/r)]である。このずれ角度は、各ピンホール毎に新たに形成され、その角度値に加算される。最終ステップとして、隣接ピンホールに対する最小間隔を保障するように角度ずれがおこなわれる(2)。その際、必要なずれの回数を低減し、且つ、必要な最大ずれ角度を低減するために、最小間隔は、平均間隔の90%より小さな値にする必要がある。拡散区間の定義及び最小間隔を保障することにより、最大ずれ角度は、ピンホール毎に最大ずれは、ほぼ平均ピンホール間隔となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ピンホールディスクの大まかなセグメンテーションを行うための原理略図
【図2】ピンホールディスク上のほぼ均一なピンホール密度を形成するための原理略図
【図3】ピンホールディスク上の各ピンホールパターンの最小間隔の対称化の算出及び保持を行うための原理略図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過光モードでフィルタディスクとして殊に共焦点式顕微鏡内で使用可能であり、且つ、固定の外経rmax及び内経rminの内孔を有する透光性材料製のピンホールディスクにおいて、
前記透光性材料は、少なくとも大きな領域内に非透過性層が設けられており、前記領域に、透過性ピンホールのパターンが設けられており、前記ピンホールは、以下の規則に従って配置構成されており:
a. ディスクは、一定の半径間隔Δrの半径r,r....,rのn個の同じ厚みの円形環に分割されており、
b. 前記ディスクの原点から出た直線は、全ての前記円形環を角度αで交差し、
c. 同心円状の各円と前記直線との各交点には、第1のピンホールが配設されており、
前記各円での直ぐ次のピンホールの角度は、最後の角度と、前記円の半径に典型的な被加数dα(r)の和から算出され、該算出の際、前記角度dα(r)=D/(Δr×r)は、ラジアンで算出され、該ラジアンで算出することにより、前記ピンホールの全角度位置は、式α(r,j)=α+j×dα(r)に従って算出され、且つ、0〜2πの角度だけが考慮され、該式で、
i=ラジアンの数、
D=同じ半径上の2つの前記各ピンホール間の距離、
j=前記円形環上の前記各ピンホールの個数であることを特徴とするピンホールディスク。
【請求項2】
各々の半径上で、各々のピンホールの角度座標は、先ず、ランダムジェネレータを介して、角度Δαが算出され、この角度は、最大の平均ピンホール間隔になる迄正乃至負の方にずらすことができ、つまり、Δα=[(−D/r)..(D/r)]であり、当該のずれの角度は、前記各ピンホールに対して新規に形成され、前記ずれの角度の平均値に加算され、当該加算により、最後のステップとして、隣接する各ピンホールに対して最小間隔が確実に形成されるように各角度がずらされ、前記最小間隔は、平均間隔の90°より小さい請求項1記載のピンホールディスク。
【請求項3】
ディスクのV字形の領域は、透明且つ構造が形成されておらず、前記V字形の両辺は、前記ディスクの中心と一致している請求項1又は2記載のピンホール。
【請求項4】
2つのフォーク状ライトバリア(6,7)が設けられており、該フォーク状ライトバリアは、パルス状に顕微鏡のイメージセンサと結合され、V字形の領域の通過(Keildurchlauf)の検出用に設けられている請求項3記載のピンホールディスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−534695(P2009−534695A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505713(P2009−505713)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際出願番号】PCT/DE2007/000637
【国際公開番号】WO2007/121706
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(301014719)ナノフォーカス アクチエンゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】NanoFocus AG
【住所又は居所原語表記】Lindnerstrasse 98, D−46149 Oberhausen, Germany
【Fターム(参考)】