ピンロックを備えた呼吸器アクセスポートアセンブリ及びその使用方法
【課題】改良された呼吸器アクセスアセンブリを提供する。
【解決手段】患者の人工気道と機能的に連通して配置されるように適合されているポートを有する遠位プレートと、第1のポート及び第2のポートを有する近位プレートと、少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータとを含む呼吸器アクセスアセンブリを提供する。遠位プレートは近位プレートに隣接して積層形態で配置され、各プレートは相対的に変位するように構成されている。アクチュエータは、両プレートと協働して該両プレートの変位を実質的に防止することも、少なくとも一方のプレートと協働して少なくとも一方のプレートの変位を可能にすることもできる。呼吸器アクセスアセンブリは、遠位プレートのポートが近位プレートの第1のポートと整合される第1の開放位置、第2のポートと整合される第2の開放位置及び全てのポートが閉塞される第3の閉鎖位置を含む所定位置をとり得る。
【解決手段】患者の人工気道と機能的に連通して配置されるように適合されているポートを有する遠位プレートと、第1のポート及び第2のポートを有する近位プレートと、少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータとを含む呼吸器アクセスアセンブリを提供する。遠位プレートは近位プレートに隣接して積層形態で配置され、各プレートは相対的に変位するように構成されている。アクチュエータは、両プレートと協働して該両プレートの変位を実質的に防止することも、少なくとも一方のプレートと協働して少なくとも一方のプレートの変位を可能にすることもできる。呼吸器アクセスアセンブリは、遠位プレートのポートが近位プレートの第1のポートと整合される第1の開放位置、第2のポートと整合される第2の開放位置及び全てのポートが閉塞される第3の閉鎖位置を含む所定位置をとり得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許出願第12/333,916号の一部継続出願であり、該文献は、あらゆる目的のために引用することを以て本明細書の一部となす。
【0002】
本発明は、ピンロックを備えた呼吸器アクセスポートアセンブリ及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸器疾患患者のケアは、発展著しい医学分野であり、そのニーズは乳児から高齢者まで多岐にわたる。そのような患者たちが患う一過性及び持続性の呼吸器系疾患には、多種多様なものがある。例えば、挿管患者に対する医療処置には、換気、吸引、酸素供給、サンプリング、目視検査、インラインセンシング、圧力モニタリング、フラッシング、投薬及び/または洗浄が含まれ得る。ここで、ほとんどの問題は、患者の多様なニーズ及び複数の治療(一部は同時に行われる)に合うように対処することが試みられている。患者にとって最善の複数の治療を容易に、効率的にかつ安全に達成するための機器の欠如は以前から問題になっており、未だ解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第12/562,223号明細書
【特許文献2】米国特許第4,569,344号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、低肺容量患者(未熟児や気腫を患う成人など)の場合、貯留した肺分泌物の除去が問題となる。分泌物除去は、吸引カテーテルにより達成される。吸引カテーテルは呼吸器アクセスアセンブリを介して人工気道内に一時的に配置され、すなわち、気管内チューブが患者の気道の一部に留置されて、そのような患者の肺に空気(酸素及び他のガス)を供給する。この手順は単純なように思われるが、医療提供者が装置の交換またはその他の治療処置を連続的または同時に行わなければならないときには特に、困難を伴う。当然のことながら、分泌物除去作業中に患者に酸素が供給されないことは望ましくない。実際に、これらの困難の結果、患者が人工呼吸器関連肺炎に罹患する可能性がある。これらの困難に対処しかつ克服する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した困難及び問題を踏まえて、呼吸器アクセスアセンブリが提供される。呼吸器アクセスアセンブリは、ポートを有する遠位プレートを含み、ポートは、患者の人工気道と機能的に連通して配置されるように適合されている。呼吸器アクセスアセンブリは近位プレートを含み、近位プレートは第1のポート及び第2のポートを有する。遠位プレートは、近位プレートに隣接して積層形態で配置され、各プレートは、相対的に変位するように構成される。アセンブリはまた、少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータを有する。遠位プレートのポートが近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ両プレートの互いに整合されたポートを貫通して物体が配置されるときには、アクチュエータは、両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止する。(a)互いに整合されたポートを貫通して物体が配置されないときまたは(b)ポート同士が互いに整合されないときには、アクチュエータは、少なくとも一方のプレートと協働して、少なくとも一方のプレートの変位を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの一実施形態の斜視図であって、アセンブリが呼吸器マニホルドに結合され、アセンブリの遠位端(図の右上)において人工気道に結合されていることを示し、呼吸器アクセスアセンブリの近位端に結合された吸引カテーテルアセンブリの一部を示す図。
【図2】図1の呼吸器アクセスアセンブリの断面図。
【図3】図1及び図2の呼吸器アクセスアセンブリの分解近位斜視図。
【図4A】図1〜図3の呼吸器アクセスアセンブリの遠位プレートの平面図(上面図)。
【図4B】図1〜図3の呼吸器アクセスアセンブリの遠位プレートの平面図(下面図)。
【図5A】図1〜図3の呼吸器アクセスアセンブリの近位プレートの平面図(上面図)。
【図5B】図1〜図3の呼吸器アクセスアセンブリの近位プレートの平面図(下面図)。
【図6A】ラッチ及び遠位コネクタを備えた呼吸器アクセスアセンブリの近位プレートの平面図。
【図6B】吸引カテーテルチャンバを近位プレートに結合するために用いられるラッチの図。
【図6C】呼吸器アクセスアセンブリの近位プレートの平面図であって、ラッチが取り付けられていない近位プレート及び遠位コネクタを示す図。
【図7】呼吸器アクセスアセンブリの近位プレートの分解側面図。
【図8A】スリット入りのシリンダの個別図。
【図8B】スリーブ部の個別図。
【図8C】カラー部の個別図。
【図9A】非ロック位置にある呼吸器アクセスアセンブリのロック機構の斜視図。
【図9B】ロック位置にある図。
【図10A】遠位プレートのポート及びカフ部が近位プレートの第1のポート及び第1のカフ部と整合されている図。
【図10B】遠位プレートのポート及びカフ部が第2のポート及び第2のカフ部と整合されている図。
【図10C】遠位プレートのポート及びカフ部が第1、第2のいずれのポートとも整合されていない図。
【図11】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの別の実施形態の斜視図であって、アセンブリが呼吸器マニホルドに結合され、呼吸器マニホルドがアセンブリの遠位端(図の右上)において人工気道に結合されていることを示し、呼吸器アクセスアセンブリの近位端に結合された吸引カテーテルアセンブリの一部を示す図。
【図12】図11のピンロックアセンブリの分解図。
【図13】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの別の実施形態の斜視図であって、アセンブリが呼吸器マニホルドに結合され、アセンブリの遠位端(図の右上)において呼吸器マニホルドが人工気道に結合されていることを示し、呼吸器アクセスアセンブリの近位端に結合された吸引カテーテルアセンブリの一部を示す図。
【図14】遠位プレートのポート及び近位プレートの第2のポートが軸線方向に整合された状態にある、アセンブリの第2の開放位置の図。
【図15】図14のピンロックアセンブリの分解図。
【図16A】図14及び図15のロック実施形態のスリーブ部の図。
【図16B】図14及び図15のロック実施形態のカラー部の図。
【図16C】図14及び図15のロック実施形態のハンドルの図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本発明の1若しくは複数の実施形態、本発明の例を詳細に見てみる。それらの実施形態の例が図面に示されている。各例及び実施形態は、本発明の説明のために与えられており、本発明を制限する意図はない。例えば、一実施形態の一部として図示または記載されている構成要件を別の実施形態とともに用いることにより、さらなる実施形態を生み出すことができる。本発明には、これら及び他の変更形態及び変形形態が、本発明の範囲及び趣旨に含まれるものとする。
【0009】
本願の呼吸器アクセスポートアセンブリは、閉鎖式換気システムにおいて機能し、閉鎖式システムの閉鎖回路特性を損なうことなく、また、重要なことには、患者への換気ガスの流入を阻害することなく、挿管患者の呼吸器系へのマルチアクセスに適応するように設計されている。例えば、1若しくは複数のガスを用いて患者の肺を換気するため、肺から分泌物を吸引するため、肺に酸素を送り込んで肺からの残留二酸化炭素を除去するかまたは減少させるため、患者の呼吸器系の選択された部分を目視検査するため、痰及びガスをサンプリングするため、流量、圧力及び/または温度などのパラメータを検出するため、溶液で洗い流すため並びに、薬剤、ガス及び/または洗浄液を投与するために、1若しくは複数のアクセス部位を通して閉鎖式呼吸器システムへのアクセスが提供される。
【0010】
呼吸器アクセスポートアセンブリのための多くの現行の設計は、1つのポートしか有していないものがある。これらの例では、他の作業、例えば、気管支鏡検査や気管支肺胞洗浄などを行う必要があるときには、吸引カテーテルを抜去しなければならない。そのような人工呼吸器装着患者の吸引カテーテルを抜去することによって閉鎖式換気システムを開放すると、上述したように感染症を来す可能性がある。また、マルチアクセスポートマニホルド及び/またはアセンブリの現行の設計には、安全ロックが含まれていない。場合によっては、そのような安全ロックの欠如が原因で、マニホルドポートから吸引カテーテルを導入したときに、カテーテルの一部が脱落(離断)して患者の肺内に吸引されてしまうかもしれない。これが、気道閉塞、感染症を含む重篤な合併症を引き起こし、死につながる可能性すらある。さらに、呼吸器アクセスアセンブリの適切なシーリングが行われないと、終末呼気陽圧(PEEP)に支障を来すことがあり、それが今度は最適以下の換気を生じさせて、結果として患者の肺胞虚脱を招く可能性がある。本願の呼吸器アクセスアセンブリは、閉鎖式換気システムを開放することなくマルチアクセスを可能にする機能を含み、かつ、アセンブリ内に配置されたときに吸引カテーテル及び/または他の物体の任意の部分の欠損を防ぐパッシブ型安全ロック機能を含む。
【0011】
ここで図面を見てみると、図1及び図2に示されているように、呼吸器アクセスアセンブリ10が提供される。図1及び図2に示されているように、アセンブリ10には遠位ディスク(円盤体)またはプレート12及び近位ディスクまたはプレート14が含まれており、これらは互いに隣接して積層形態で配置されかつ軸線方向に整合された構成で配置されている。
【0012】
遠位ディスクまたはプレート12は、図4A及び図4Bに示されているように、ディスクまたはプレート12を貫通して形成された開口を有するポート16を少なくとも1つ含む。遠位ディスクまたはプレート12の遠位側の外部表面22上に、例えばカフ部(例えばカフ部20など)を設けることができる。そのようなカフ部20は、ポート16の一部をなすように、ポート16及びそれを貫通して延在する開口を全体的に取り囲んでいる。当然のことながら、本明細書に図示及び/または記載されているカフ部は、ディスクまたはプレートの内部表面上にあるにしても外部表面上にあるにしても、本明細書に記載されているカフ部20のための特徴及び機能を含む。
【0013】
本明細書では、「ポート」なる語は、或る物体及び/または液体及び/またはガスを通過させるために構成部品に開口しているかまたは該構成部品を貫通する開口を意味する。本明細書では、「カフ部」なる語は、ポート上に配置されかつポートの一部を形成する、貫通開口を有する概ね円筒形の構成部品を意味する。さらに、本明細書においては、ポート及びそのカフ部を集合的に「ポート」と呼ぶことがあり、2つ以上のポート及びその各々の関連するカフ部を集合的に「ポート」「両ポート(ポート及びカフ部が2つの場合)」と呼ぶことがあることを理解されたい。本明細書では、「プレート」なる語は、円形、正方形、矩形などを含むプレートの任意の形状及び構成をを指すが、これらに限定されるものではない。当然のことながら、プレートは、弧状、弓形、平面的、凸状、凹状のものなどであってもよい。
【0014】
遠位ディスクまたはプレート12は近位側表面24も有しており、近位側表面24は、外周部26(図4A及び図4B)を含む。外周部26に沿って外周壁28を形成することができる。外周壁28は、外周部26から近位方向に約90°の角度をなして延出するものであってよい。「約」なる語は、数字に隣接して置かれたとき、記載されている数字プラスまたはマイナス10%の数を指す。外周壁28は、溝(図示せず)を含むことができかつ溝内にOリング(図示せず)を保持するように構成された外部表面29も含むことができる。そのような配置は、外部表面29が近位ディスク14の外周壁30に隣接して配置されたとき、少なくとも部分的な密閉部を提供する助けとなる。
【0015】
遠位プレート12の近位側表面24は中心孔32を含むこともでき、中心孔32は、締結体34(例えば、非限定例として、中心孔32を貫通するねじやピンなど)を受容するように構成されている。締結体34は、互いに隣接する遠位及び近位プレート12、14を積層形態で軸線方向に整合された位置に保持し、さらに、各プレート12、14を互いに対して変位させることができる。これに加えて、遠位プレート12は、近位側表面24に形成されかつ遠位プレート12の遠位側表面22に設けられた密閉キャップ36内に広がり得る開口35を含むことができる。
【0016】
プレート12、14は、互いに対する変位を制限する構成要素を含むことができる。例えば、一方のプレートの1つの表面(すなわち、例えば、遠位プレート12の近位側表面24)は、半円形凹部(図示せず)を含むことができる。他方のプレートの隣接表面(すなわち、例えば、近位プレート14の遠位側表面38)は、半円形凹部(図示せず)内に配置されるタブ(図示せず)を含むことができる。そこで、タブ及び半円形凹部は協働して遠位及び近位プレート12、14の互いに対する変位を制限する。そのような実施形態では、回転は、0.1°ないし約200°の範囲に制限されることが望ましい。そのような実施形態では、回転は約1°ないし約200°の範囲に制限されることがより望ましい。
【0017】
非回転または摺動の実施形態は本明細書に示されていないが、そのような実施形態は本発明の趣旨の範囲内であると考えられることに留意されたい。そのような摺動実施形態では、両プレートは、共通軸の周りを回転するのではなく、互いに対して摺動する。全ての他の態様において、実施形態は同等である。
【0018】
近位ディスクまたはプレート14は、第1のポート40及び第2のポート42を含み、各ポートは、図5A及び図5Bに示されているように、近位プレート14を貫通して延在する開口を有する。第1のポート40は第1のカフ部44を有することができ、第1のカフ部44は、近位プレート14の近位側外表面46に設けることができる。同様に、第2のポート42は第2のカフ部48を有することができ、第2のカフ部48は、近位プレート14の近位側表面46に設けることができる。
【0019】
近位プレート14は外周部50を有し、外周部50は外周壁30を含むことができる。外周壁30は、外周部50に沿って形成することができ、外周部50から約90°の角度をなして遠位方向に延出する。本実施形態では、遠位プレート12の外周壁28は、近位プレート14の外周壁30内にちょうど収まる大きさにしてある。このように、遠位プレート12の外周壁28の外表面29上のいかなるOリングまたは他の密閉部品も、少なくとも、近位プレート14の外周壁30の内部表面54に対して変位可能な密閉部を形成するのに役立つ。
【0020】
近位プレート14には、中心開口56が設けられている。中心開口56は、遠位プレート12の中心孔32と整合され、両者は、貫通して配置される締結体34(図1)によって、少なくとも互いに隣接して保持される。これに加えて、近位プレート14を貫通して開口58が設けられ、開口58の遠位側表面38上にカフ部60(図5B)を設けることができる。しかし、当然のことながら、開口58に設けるカフ部は、近位プレート14の近位側表面46及び遠位側表面38の一方または両方にあってもよいし、表面46、38のどちらにもなくてもよい。
【0021】
再び遠位プレート12を見ると、操作中、アセンブリ10の遠位プレート12のポート16のカフ部20は、図1及び図2に示されているように、マニホルド62のポートに結合されることができる。マニホルド62はさらに、通常は気管内チューブまたは人工気道64及び人工呼吸器(図示せず)に結合される。人工気道64の少なくとも一部は、患者の気道(図示せず)の一部に配置される。
【0022】
ここで図7〜図9を見ると、ロックアセンブリすなわちアクチュエータアセンブリ65が示されており、該アセンブリ65は、この実施形態では、吸引カテーテルアセンブリ66(図1)の一部をなす。これに加えて、吸引カテーテルチャンバ68も示されており、吸引カテーテルチャンバ68も同様に吸引カテーテルアセンブリ66の一部をなし得る。他の実施形態では、当然のことながら、アクチュエータアセンブリ65を吸引カテーテルアセンブリ66(図示せず)とは別に設けてもよい。
【0023】
本実施形態では、図7に示されているように、アクチュエータアセンブリ65は長寸のピン70を含む。しかし、当然のことながら、ピン、ロッドなど以外の形態を用いてもよい。ピン70は遠位自由端72及びその反対側の近位端74を含み、近位端74はスリーブ部76に結合されている。ピン70は、両端72、74間に位置する長寸の本体78を有する。スリーブ部76は、外壁部79及び内壁部79’(図8B)を含むことができる。スリーブ部76は、カラー部80(図8C)と同軸方向に整合されて近位に配置されている。カラー部80の遠位端81は、カラー部80の少なくとも一部がスリーブ部76の内壁部79’と外壁部79との間に延出するように配置されている。スリーブ部の近位端82は、スリーブ部内でのカラー部80の変位を受容する。カラー部80の少なくとも一部は、スリーブ部76の近位端82を押しそれによってスリーブ部76を遠位方向に変位させるように、配置されることができる。そのために、カラー部80の周りに半径方向外向きに延出するフランジ84を、カラー部80に設けることができる。この実施形態では、フランジ84は、カラー部80の近位端86付近に配置されており、医療提供者がスリーブ部76を遠位方向に押すのを手助けすることができる。カラー部80及び/またはスリーブ部76に設けられた1若しくは複数の構造(図示せず)によって、カラー部80とスリーブ部76との間での変位を制限または制御することができる。スリーブ部76は、スリット入りのシリンダ90と同軸的に整合されて遠位に配置されており、スリット入りのシリンダ90は、少なくとも部分的にスリーブ部76を覆うように配置されており、実質的にスリーブ部76を覆うように配置されることもできる。シリンダ90は、シリンダ90の遠位端94(図8A)と交差するスリット92を有する。ピン70の近位端74は、スリット92を貫通するように配置されている。シリンダ90の遠位端94は、吸引カテーテルチャンバ68の近位端部分98と同軸的に整合されかつ該近位端部分98を覆うように配置されることができる。シリンダ90が遠位方向104(図9A及び図9B)にさらに変位するのを防止するために、近位端部分98上に半径方向に配置された変位止めタブ102(図1)を含むことができる。同様に、シリンダ90の近位端106は、カラー部80の一部を覆うように配置され得るスリーブ部76の少なくとも一部を覆うように同軸方向に配置されることができる。シリンダ90の近位端106がカラー部80上のフランジ84に接したとき、シリンダ90の変位は近位方向108(図9A及び図9B)において制限される。
【0024】
吸引カテーテルチャンバ68は、この実施形態では吸引カテーテルアセンブリ66の一部をなすことができ、近位端98及び遠位端110、両者間に位置する長寸の本体112(図3)を有する。吸引カテーテルチャンバ68にはルーメン114(図2)が貫通形成されており、ルーメン114は、吸引カテーテル115を通過させることができるように構成されている。遠位コネクタ118は、吸引カテーテルチャンバ68の遠位端110に配置されている。液体及び/またはガスの挿入及び/または回収を可能にするために、吸引カテーテルチャンバ68のルーメン114と交差するアクセスポート120(図1)を設けることができる。吸引カテーテルチャンバ68には、吸引カテーテルの遠位先端部(チップ)122を清拭しかつ/またはチャンバ内に分離・格納することができるように、また、吸引カテーテルの遠位先端部122を洗浄するために空気及び/または洗浄液をアクセスポート120を経由して供給することができるように、1若しくは複数のダイヤフラムバルブ、フラッパーバルブ、ワイパ、その他(図示せず)を設けることもできる。そのような空気及び/または溶液は、以下でさらに詳細に説明するように、アクセスポート120を経由してかつ/または吸引カテーテルアセンブリ66の一部に接続された吸引源(図示せず)を介して除去することができる。あるいは、吸引カテーテル115及び吸引カテーテル先端部122を吸引カテーテルシース内に維持することができるが、これについても以下でさらに詳細に説明する。
【0025】
遠位コネクタ118は、近位プレート14の第1のカフ部44を経由してポート(通常は第1のポート40)に結合されるように構成されている。遠位コネクタ118は、ピン70の少なくとも一部を挿入しかつ変位可能に保持することができるピンチャンネル124を含む。当然のことながら、ピン70は、ピンチャンネル124を通って遠位及び近位方向104、108(図9A及び図9B)に変位する。ピンチャンネル124は、ピン70の遠位端72を、近位プレート14の開口58を通って遠位プレート12(図4A、図4B及び図7)の密閉キャップ36の開口35内へと案内し、それによって、ピン70が遠位及び近位プレート12、14を変位不能な位置において固定しかつ解除可能に共にロックする。
【0026】
吸引カテーテルチャンバ68に隣接して、好適には遠位コネクタ118の隣に、解除可能なラッチ126を設けることもできる。ラッチ126の一端128は、遠位コネクタ118に結合する。ラッチ126の反対端である自由端130は、近位プレート14の近位側表面46に設けられたタブ132に結合し得る。ラッチ126の自由端130及びタブ132は協働して吸引カテーテルチャンバ68を解除可能に直接的に、アクチュエータアセンブリ65を間接的に、近位プレート14に結合する(図6A、図6B及び図6C)。
【0027】
「結合(する)」なる語及びその変化語は、2つのものの接続、連結、締結、関連付け、結束、(接着剤による)接着、または一体的または介在的な結び付けを含むが、これらに限定されるものではない。当然のことながら、2つのものは、直接または間接的に結合されることができる。
【0028】
吸引カテーテルアセンブリ66はシース135を含むことができ、シース135をその遠位端136においてカラー部80(図1)に結合させることができる。あるいは、シース134の遠位端136にコネクタ(図示せず)を配置し、コネクタをさらにカラー部80(図示せず)に解除可能に結合せることができる。
【0029】
シース135は、少なくとも実質的に吸引カテーテル115の全長にわたって延在する。「実質的な」または「実質的に」なる語は、かなりの範囲または程度までなされた何か;相当な、またはかなりの量を指す。例えば、本明細書において「実質的に覆われている」の如く適用される「実質的に」は、或るものが少なくとも70%覆われていることを意味する。
【0030】
シース135は、その近位端140において近位端コネクタ142に結合され、近位端コネクタ142は、吸引カテーテル115に印加される吸引圧力の量を制御するためのバルブまたはコントローラ144を含む。コントローラ144に吸引カテーテル115の近位端146を結合することができる。これに加えて、吸引カテーテル115の一部及び/または近位端コネクタ142またはコントローラ144にコネクタ148を結合することができる。コネクタ148は、吸引源(図示せず)に結合されるように構成されている。
【0031】
吸引カテーテル115は、使用されていないときには実質的にシース135内で保持される。吸引カテーテルの遠位先端部122(図2)は、その内部に少なくとも1つの開口(図示せず)を含む。吸引カテーテル115はまた、ルーメンが貫通しかつ開口近位端(図示せず)を有する長寸の本体を含む。吸引カテーテル115の近位端146または上記したような吸引カテーテルアセンブリ66の一部は、吸引カテーテル115に吸引力を与える吸引源(図示せず)の少なくとも一部に直接または間接的に結合されるように適合されている。当然のことながら、吸引カテーテル115の少なくとも遠位部分が、患者の気道内の一部まで延在してそこから分泌物を吸引するために、呼吸器アクセスポートアセンブリ10を通過しかつ任意の取り付けられたマニホルド120及び人工気道122を通過して配置されることができるように、吸引カテーテル115は十分な長さを有する。
【0032】
分泌物の吸引が望まれるときには、医療関係者が、互いに整合されたポート16、40を通して吸引カテーテル115を前進させる。カテーテル115を患者に向かって遠位方向に変位させると、この動作によって、カラー部80及び対応するピン70が同様に遠位方向に変位される。ピン70の遠位端72は、近位プレート14の開口58を通って遠位プレート12の密閉キャップ36の開口35内へ変位し、これによりプレート12、14の互いに対する変位を防止する。これは、パッシブなロック操作である。その後、コネクタ148及びバルブ144を介して吸引が行われる。
【0033】
吸引力を止めたときに、患者の気道、人工気道64、マニホルド62、呼吸器アクセスアセンブリ10の少なくとも一部のそれぞれから吸引カテーテル115が引き抜かれることが理解されるであろう。吸引カテーテル115の大部分は、吸引カテーテルアセンブリ66のシース135内の所定位置に戻される。あるいは、吸引カテーテル先端部122を含む吸引カテーテル115をシース135(図示せず)に戻すこともできる。上記した理由で、遠位先端部122は吸引カテーテルチャンバ68内にとどまることが望ましいであろう。このようにして、吸引カテーテル115の実質的な長さがシース135内に収容され、従って、分泌物の吸引のために再び必要とされるまで、患者の閉鎖回路換気システムの外側に置かれる。
【0034】
シース135内にランヤード(ひも)またはテザー(糸)150を設けることができる。テザー150の遠位端152をカラー部80に接続し、近位端154を近位端コネクタ142または本明細書において明示されている他の構造に接続することにより、テザー150の長さがカラー部80から近位端コネクタ142に及ぶようにすることができる。テザー150は、シース135が過度に拡張されたり、引っ張られ過ぎたり、伸ばされ過ぎたりしないようにする。テザー150は、吸引カテーテル115の大部分を保持するためのシース135の適正な長さを維持する。テザー150はまた、伸ばし過ぎによりシース135が引き裂かれるのを防止し、それによって、シース135の裂け目からカテーテル115を露出させることなく吸引カテーテル115を保持するため及びシース135内に適正な長さで吸引カテーテル115を保持するためにシース135の完全性及び操作性を維持する。吸引カテーテル115の近位端146は、近位端コネクタ142またはそれに関連するコントローラ144に結合されることもできるので、医療提供者が、近位端コネクタ142またはコントローラ144を患者から遠ざかるように近位方向108にゆっくりと引っ張って吸引カテーテル115を吸引位置すなわち操作位置から引き抜くことは容易であろう。このように、吸引カテーテル115の遠位先端部122の一部が吸引カテーテルチャンバ68内に保持された状態で、シース135内の非吸引位置すなわち非操作位置に吸引カテーテル115を戻すかまたは配置することができる。テザーの一例が米国特許出願第12/562,223号明細書(特許文献1)に開示されている。
【0035】
これに加えて、医療提供者が近位端コネクタ142を近位方向108に引っ張る動作は、カラー部80も近位方向108に変位させるが、それはテザー150を通じて力が伝えられるからである。この動作は、吸引カテーテル115をシース135に引き込み、同時に遠位及び近位プレート12、14のロックを解除する。すなわち、この動作はまた、ピン70を、遠位プレート12の密閉キャップ36の開口35内のロック位置から外へ出し、遠位及び近位プレート12、14を通過して、遠位及び近位プレート12、14に対する非ロック位置内へ近位方向に変位させるので、プレート12、14の変位を可能にする。これは、パッシブなロック解除操作である。テザー150は、吸引カテーテル115の大部分をシース135内に戻す動作を可能にするための強度及び耐久性を備えているが、シース135は、上記動作の力が加わらず、伸びたり引き裂かれたりしない。
【0036】
吸引カテーテルは、公知であり、多くの医学的用途のために広く市販されている。吸引は、「開放式」または「閉鎖式」システムを用いて行うことができる。開放式システムでは、吸引カテーテルは、フレキシブルルーメンに挿入される単なるフレキシブルなプラスチックチューブであり、吸引カテーテルの近位端には吸引源が接続される。ルーメンに入る前に吸引カテーテルが接触する如何なるものも滅菌状態に維持されていなければならないので、患者に接触または隣接して「滅菌領域」が作られなければならない。吸引カテーテルは、使用後には、表面が患者の分泌物で覆われることになるので、慎重に取り扱わなければならない。対照的に、例えば米国特許第4,569,344号明細書(特許文献2)に開示されているような「閉鎖式」システムでは、分泌物を吸引するために用いることができる機器は、使用前に吸引カテーテルの汚染を排除するかまたは最小にするために、概ね円筒状のプラスチックバッグに封入されている。これは、一般に「閉鎖式吸引カテーテル」と呼ばれるもので、バラード(登録商標)メディカルプロダクツのトラックケアー(登録商標)またはキムベント(登録商標)(ともにキンバリークラーク社製)という商品名で販売されている。閉鎖式吸引システムは広く医療提供者に好まれているが、その理由は、閉鎖式の方が患者及び医療提供者への感染症伝播の可能性が低いからである。本願の呼吸器アクセスポートアセンブリ10は、そのような閉鎖式吸引アセンブリと併用することができる。
【0037】
当然のことながら、吸引カテーテルアセンブリ66の遠位コネクタ118は、近位プレート14の第1ポート40の第1のカフ部44または第2ポート42の第2のカフ部48のいずれかに結合されてもよい。同様に、気管支鏡、気管支肺胞(BAL)カテーテル(例えば、バラード(登録商標)メディカルプロダクツのBAL CATH(登録商標)(キンバリークラーク社)または他の器具類、その他(図示せず)を、第1のポート40の第1のカフ部44または第2のポート42の第2のカフ部48のうちの一方に解除可能に結合することもできる。このようにして、吸引カテーテルアセンブリ及び別の器具を2つとも同時に呼吸器アクセスポートアセンブリ10に結合することができる。当然のことながら、吸引カテーテル115、吸引カテーテルアセンブリ66及び任意の器具は、常に閉鎖回路換気システムの一部として維持される。
【0038】
使用方法または操作方法の範囲内で、医療提供者は、予め選択された3つの使用位置のいずれかにアセンブリ10の位置を合わせることができる。第1の位置において、医療提供者は、遠位プレート12のポート16のカフ部20に結合されているマニホルド62を把持する。医療提供者はまた、近位プレート14の外周壁30または近位プレート14の第1及び/または第2のカフ部44、48を把持し、近位プレート14の第1のカフ部44及び第1のポート40が遠位プレート12のカフ部20及びポート16と整合するように近位プレート14を遠位プレート12に対して回転させる。
【0039】
そのために、医療提供者は、近位プレート14の一部を把持しかつ、遠位プレート12のポート16及びカフ部20を、図10Aに示されているように近位プレート14の第1のポート40及び第1のカフ部44と整合させるか、第2のポート42及び第2のカフ部48(図10B)と整合させるか、またはどちらとも整合させない(図10C)ようにするために、近位プレート14を反時計回りすなわち一方向に回転させることができる。あるいは、当然のことながら、医療提供者は近位プレート14を保持しながら、遠位プレート12を時計回りすなわち他方向に変位させることができる。しかし、遠位プレート12並びにそのポート16及びカフ部20はマニホルド120に結合され、マニホルド120は患者の人工気道122に結合され、これらは全て、相対的に定位置に維持されることが好ましい。従って、遠位プレート12を静止させて(動かさずに)近位プレート14を回転させる方がより望ましいことが理解されるであろう。
【0040】
「静止(した)」、「静止プレート」及び/または「静止ディスク」なる語句は、近位プレートまたは遠位プレートのうちのいずれか一方であって、該プレートまたは該プレートを保持する部品が、医療提供者によって把持されかつ、医療提供者が相手方のプレートまたはディスクを3つの所定位置のうちの1つにくるように回転させている間に相対的に固定された「静止」位置に保持されるときの、当該プレートを指す。両プレートは、同様に、固定された不動位置に配置されかつ共にロックされているときに、相対的に「静止したプレート」であり得る。
【0041】
「回転プレート」及び/または「回転ディスク」なる語句は、近位プレートまたは遠位プレートのうちのいずれか一方であって、該プレートがロックされていないために各プレートが互いに対して回転し得るときの当該プレートを指す。遠位及び近位プレートは、3つの所定位置のいずれかに位置合わせされるように構成される。しかし、非ロック位置にあるとき、遠位及び近位プレートの両者は互いに対して自由に回転することができ、各プレートは、互いに対して逆方向に(好適には最大約200°またはそれ以下)相対的に変位または回転することができる。両プレートは、同様に、各プレートを医療提供者が逆方向に自由に回転させることができるように非ロック位置に配置されているときに、相対的に変位または「回転」することができる。
【0042】
遠位プレート12のポート16及びカフ部20と近位プレート14のポート40及びカフ部42とが互いに整合されているとき、両者はロックされるのではなく、この特定の所定位置において、或る部品、例えば、近位プレート14の遠位側表面に設けられた1対のタブ(図示せず)と、遠位プレート12の近位側表面に設けられた複数個ある傾斜のついた凹部(図示せず)のうちの2つとの協働によって、解除可能に保持され得る。すなわち、近位プレートの遠位側表面に設けられた1対のタブの各々が、近位プレート14に設けられた複数個ある傾斜のついた凹部のうちの1つの凹部に入る。その結果、これらの部品は、協働して遠位及び近位プレート12、14を特定の所定位置、例えば図10Aに示されている第1の開放位置に、解除可能に保持する。第1の開放位置において、ポート16、40及びカフ部20、44はそれぞれ、軸線方向に整合された位置にあり、機能的に連通されている。「機能的連通(operable communication)」なる句は、特定の目的のための2つの点及び/または2つの構造間での伝達または通過を指す。この例では、機能的連通は、ガス及び/または液体を通過させることができる通路であり、物体を通過させることができるように構成することもできる。さらに、「開放」、「開放された」及び「開放位置」なる語及び句並びにそれらの変化語は、本明細書に記載の互いに整合された複数(2)個のポートの位置であって、該位置において、吸引カテーテル、気管支鏡の一部、その他などの物体を、互いに整合されたポートを通って患者の気道の一部内へ進めることができるような位置を指す。
【0043】
次に、医療提供者は、カラー部80から近位方向に約1〜3インチ(約2.54〜7.62センチメートル)離れた場所において吸引カテーテル115の一部を把持する。次に、医療提供者は、自身の手がカラー部80を押しかつ被把持部分がアセンブリ10に押し込まれるまで、吸引カテーテル115の被把持部分を遠位方向に押す。その後、患者の気道(図示せず)の吸引を可能にするべく、所望の長さ分の吸引カテーテル115がアセンブリ10、マニホルド62及び人工気道64を通って患者の気道内へと進められるまで、上記動作が繰り返される。
【0044】
医療提供者が吸引カテーテル115を把持しかつ該吸引カテーテル115をアセンブリ10を通して遠位方向に変位させるとともにカラー部80を押すと、カラー部80(図9A及び図9B)を押すことによって、ロッキングアセンブリすなわちアクチュエータアセンブリ65が作用される。カラー部80は、ピン70が結合されているスリーブ部76を押す。スリーブ部76はシリンダ90を押し、ピン70の一部はスリット92を通って遠位方向に変位する。カラー部80、スリーブ部76及びシリンダ90は、スリーブ部76及びシリンダ90が吸引カテーテルチャンバ68の近位端部分98に設けられた変位止めタブ102によって止められるまで、遠位方向104に遠位方向に変位する。
【0045】
カラー部80の変位と同時に、ピン70の自由端及びピン78の本体の一部が、遠位コネクタ118のピンチャンネル124を通って遠位方向104に遠位に変位し(ピンチャンネル124は、ピン70の遠位端72を、近位プレート14の開口58を通過して遠位プレート12の密閉キャップ36の開口35内へと案内する)、それによって、ピン70が遠位及び近位プレート12、14を変位不能なロック位置(図9B)において固定しかつ解除可能に共にロックする。
【0046】
患者の気道から吸引カテーテル115を引き抜くために、医療提供者は、アセンブリの一部を静止させておく(動かさない)ように片手で把持しながら、吸引カテーテル115の近位端146、または近位端コネクタ142またはそれに関連するコントローラ144も同様に把持することができる。医療提供者は、近位端コネクタ142またはコントローラ144を患者から離して近位方向108にゆっくりと引っ張って吸引カテーテル115を吸引位置すなわち操作位置から引き抜き、それによって、吸引カテーテル115の大部分をシース135内の非吸引位置すなわち非操作位置に戻す。その間、吸引カテーテル115の遠位先端部122の一部は、吸引カテーテルチャンバ68内で保持される。
【0047】
この医療提供者の動作は、テザー150を介して、カラー部80を近位方向108に変位させることにもなる。カラー部80は、スリーブ部76と、シリンダ90と、そして最も重要であるピン70とを近位方向108に変位させる。このため、ピン70の遠位端72は、遠位プレート12の密閉キャップ36の開口35及び近位プレート14の開口58から離れて近位方向に変位し、それによって遠位及び近位プレート12、14をロック位置からロック解除するので、両プレートは再び互いに対して変位可能になる。これは、パッシブなロック解除操作である。
【0048】
ピン70が遠位及び近位プレート12、14を貫通して配置されているとき、患者の気道内の吸引位置において吸引カテーテル115が留置または配置されているとき、吸引カテーテル115の一部を不注意に切断または破断することがないように、プレート同士をロックして変位を防止する。吸引カテーテルが引き抜かれ、ピン70がロック時の位置から遠位及び近位プレート12、14を通って引き抜かれたとき、プレート12、14は、例えば第2の位置に変位可能である。本明細書では、同じ意味で用いられる「方向」または「配置」なる語は、何かが位置している場所または方法の空間特性、例えば「時計の針の位置」を指す。
【0049】
第2の位置においては、気管支鏡または他の器具が、近位プレート14の第2のポート42の第2のカフ部48に接続される。アセンブリ10は、上記したように変位される。すなわち、第2のポート42及び第2のカフ部48が遠位プレート12のポート16及びカフ部20と整合されるように、近位プレート14が遠位プレート12に対して変位または回転される。その次に、気管支鏡または他の物体を、アセンブリ10、マニホルド62、人工気道64及び患者の気道内へ導入することができる。
【0050】
ポート16及びカフ部20が第1のポート40及び第1のカフ部44と整合される第1の位置は、例えば、ポート16及びカフ部20が第2のポート42及び第2のカフ部48と整合される第2の位置から約180°の角度をなすように位置付けることができる(図5A及び図5B)。アセンブリ10が第1の位置に配置されているとき、第2のポート42及び第2のカフ部48は、遠位プレート12の一部によって閉塞または閉鎖されている。同様に、アセンブリ10が第2の位置に配置されているとき、第1のポート40及び第1のカフ部44も同様に、遠位プレート12の一部によって閉塞または閉鎖されている。そのような閉塞または閉鎖は、キャップ114などの他の部品と協働してPEEP圧力を維持するとともに、閉塞されたポート内に、吸引カテーテル、気管支鏡、その他などの物体が導入されないようにすることによって、どのポートが開放されているかに関する混乱を防止する。
【0051】
「閉鎖(された)」または「閉鎖位置」なる語及び/または句並びにそれらの変化語は、1若しくは複数のポートの位置であって、該位置において、ポートが整合されていないので、吸引カテーテル、気管支鏡の一部、その他などの任意の大きな物体が、上記の「閉鎖された」ポートを通過することができないような位置を指す。ポートは、物体(既に言及したものなど)を閉塞するかまたは物体がポートを通過しないようにするために、「閉鎖」または「閉塞」され得る。しかし、ポートは完全に閉塞または閉鎖されなくてもよいし、少なくとも或る場合には、閉塞または閉鎖されたポートをガス及び/または液体が通過する状態が続くようにしてもよい。
【0052】
任意選択の第3の位置においては、遠位プレート12のポート16並びに近位プレート14の第1及び第2のポート40、42は、互いに整合されておらず、従って、器具、カテーテル、その他をポート16、40、42(図10C)を通して配置することができないような「閉塞」または閉鎖位置にある。すなわち、遠位プレート12ののポート16が近位プレート14の第1及び第2のポート40、42間に配置され、それによって、ポート16を近位プレート14によって閉塞または閉鎖するように、遠位プレート12が変位される。同様に、かつ同時に、近位プレート14の第1及び第2のポート40、42もまた、遠位プレート12によって閉塞または閉鎖される。この第3の位置は、全てのポートに対する閉鎖位置を提供する。ポート16、40及び42が或る期間使用されない場合、医療提供者は、PEEPの維持を支援するために、プレート12、14を第3の閉鎖位置へと変位させることを選択してもよい。
【0053】
第2及び第3の位置に関しては、アクチュエータアセンブリすなわちロックアセンブリ65に対してロック位置が設けられていない。しかし、当然のことながら、第2及び第3の位置(図示せず)においてロックを可能にするために、遠位及び近位プレート12、14に追加の開口または孔を設けることができる。この別法では、医療提供者は、遠位及び近位プレート12、14をロックするために、そのような開口または孔を通して遠位端72及びピン70の本体78の一部が配置されるように、カラー部80を遠位方向104に手動で変位させる。ピン70の引き抜き及びプレート12、14のロック解除は、医療提供者がカラー部80を把持しかつ近位方向108に変位させて遠位及び近位プレート12、14からピン70の一部を引き抜くことによって達成され、それによって、両プレートはロック解除され、両プレートの互いに対する変位または回転が可能になる。
【0054】
本明細書において、特定の部品が特定の角度で記載及び図示されている。しかし、当然のことながら、アセンブリが本明細書に図示及び/または記載されているように機能する限り、任意の部品を任意の角度または複数の角度の任意の組合せで配置することができる。
【0055】
さらに当然のことながら、本発明において、曲線状または弓形プレート、凸状または凹状ディスクまたはプレート、あるいは平坦または平面的なディスクまたはプレートを用いることもできる。さらに、ディスクまたはプレートは、本明細書に図示及び/または記載されているように機能する限り、任意の構成を含むことができる。同様に、ディスクまたはプレートは、様々な形で変位することができる。すなわち、ディスクまたはプレートは、本明細書に図示及び/または記載されているような結果を達成するように機能する限り、互いに対して、回転、旋回、摺動及び任意の方法での変位が可能である。ピン(例えばピン70など)は、ブレード、角材などであってもよい。
【0056】
遠位及び近位プレートが、平坦、四角形、または矩形のプレート(図示せず)である場合、当然のことながら、遠位及び近位プレートは、互いに対して摺動するように配置されることができる。そのような実施形態では、アクチュエータアセンブリすなわちロックアセンブリ65は、摺動または他の変位に適応するように異なって構成されることができる。プレートの互いに対する変位を制限するために、2つ以上の変位止めを設けることができる。この代替実施形態及び他の代替実施形態を実施するために必要とされるであろう変更箇所については、当業者が熟知しているであろう。
【0057】
アセンブリ10は、遠位ディスクまたはプレートに2つ以上のポート及びカフ部を含み、近位ディスクまたはプレート(図示せず)に3つ以上のポート及びカフ部を含むことができる。さらに、アセンブリ10は、マニホルド62、または当分野で既知の任意の他のマニホルドを含むことができる。さらに、アセンブリ10は、吸引カテーテルアセンブリ115、または当分野で既知の任意の他の吸引カテーテルアセンブリを含むことができる。さらに別の実施形態では、アセンブリ10は、マニホルド及び吸引カテーテルアセンブリの両者を含むことができる。
【0058】
別の類似した実施形態では、図11及び図12に示されている呼吸器アクセスアセンブリ210が提供される。呼吸器アクセスアセンブリ210は、若干の相違点を除いて、本明細書に記載されかつ図1〜図9に示されている呼吸器アクセスアセンブリ10と類似している。本実施形態では、ピンチャンネル224を含む吸引カテーテルチャンバ68のための遠位端コネクタ218が、異なる構成を有している。さらに、スリーブ部276を覆うシリンダがない。スリーブ部276は、近位ピンカバー277と、その下にあってピン270の近位端74を受容するスリット278とを含む。ピン270は、フランジを有しないカラー部280に結合される。少なくともカラー部280をスリーブ部276(図示せず)に対して軸線方向に変位させることができるような方法で、スリーブ部276及びカラー部280を互いに同軸方向に整合しかつ結合することができる。本実施形態には解除可能なラッチが備わっていないが、任意選択で、本明細書に既に図示及び記載したように、解除可能なラッチを設けてもよい。本願のアセンブリ210は、テザー150を含むことができる。さらに、この実施形態には示されていないが、アセンブリ210は、図1に示しかつ既に詳細に説明したアセンブリ10と同じ近位端部品を有することができる。当然のことながら、本実施形態の部品の符号は、その他の点では、本明細書に図示及び記載されている第1の実施形態と同じである。
【0059】
アセンブリ210は、本明細書に既に図示及び/または記載したのと実質的に同じ方法で作動する。当然のことながら、前の実施形態に対する上記の種々の変形形態は、その構成に関しても操作に関しても、本実施形態にも適用される。
【0060】
別の類似した実施形態では、図13〜図16に示されている呼吸器アクセスアセンブリ310が提供される。呼吸器アクセスアセンブリ310は、少数の相違点を除いて、本明細書に記載されかつ図1〜図12に示されている呼吸器アクセスアセンブリ10及び210と類似している。本実施形態では、吸引カテーテルチャンバ68のための遠位端コネクタ318が、異なる構成を有し、ピンチャンネル324を有している。さらに、スリーブ部376を覆うシリンダがない。スリーブ部376は近位ピンカバー377を含み、スリーブ部376上には対向する環状リブ379が互いに対して約180°の角度をなして配置されている。スリーブ部376はスリット378を有し、スリット378を通ってピン370の一部が延在する。ピン370は、フランジを有しないカラー部380に結合されている。カラー部380は、傾斜のついた遠位側表面392及び1対のアーム394を有する手動操作可能なハンドル390を含み、各アーム394は窪み(divot)または凹部395を有し、その中へ、スリーブ部376に設けられた各環状リブ379が枢動可能に結合されている。この実施形態には解除可能なラッチが設けられていないが、本明細書に既に図示及び記載したような解除可能なラッチを利用することができる。本願のアセンブリ310は、テザー150を含むことができる。さらに、この実施形態には示されていないが、アセンブリ310は、図1に示されかつ上記で詳細に説明されているアセンブリ10と同じ近位端部品を有することができる。本実施形態の部品の符号は、その他の点では本明細書に図示及び記載されている第1の実施形態と同じであることを理解されたい。
【0061】
カラー部380、ピン370及びスリーブ部376は、ハンドル390と協働する。カラー部380は、カラー部380の壁398を貫通して延在する2対のスリット396を有する。2対のスリット396はそれぞれ、互いから約180°の角度をなして配置されている。スリットは、カラー部380の遠位端400を貫通して形成され、壁398を貫通して延在し、カラー部380の近位端402の近くにまで及ぶ。1対のスリット396間には、それぞれ舌状部404が形成されている。各舌状部上には突出部分406が配置され、各舌状部404から半径方向外向きに延出している。
【0062】
スリーブ部376は、スリーブ部376の内表面410上に半径方向に約180°離間して配置されている1対の溝付きランプ(傾斜部)408を有する。各ランプ408は、ディテント412を含む。ランプ408及びその表面に設けられたディテント412は、協働してディテント412内にカラー部380を摺動可能に受容しかつ解除可能に締着するように構成されている。すなわち、カラー部380は、舌状部404及びその表面に設けられた突出部分406がランプ408内に変位され、舌状部404に設けられた突出部分406がスリーブ部376のランプ408のディテント412内に解除可能に締着されるように、スリーブ部376内に同軸方向に配置されるように構成されている。当然のことながら、2つ以上の同軸方向に整合された部品を互いに接続する方法は多数あり、本実施形態はそのうちの1つの非限定例でしかない。
【0063】
ハンドル390の近位端414が医療提供者によってアセンブリ10から離れるように持ち上げられたとき、ハンドル390は、スリーブ部376の環状リブ379に設けられたピン395を軸として、ハンドル390の遠位側表面392がピン370の近位端374に接するように枢動する。遠位側表面392がピン370の近位端374を遠位方向104に押すと、それによって、ピン370の遠位端372が遠位プレート12の開口35及び近位プレート14の開口58を通って変位し、プレート12、14がロック位置において共にロックされる。あるいは、ピン370の遠位端372が遠位及び近位プレート12、14の開口35、58の中を進み、プレート12、14をロック位置においてロックするように、同軸方向に整合されたカラー部380とスリーブ部376との組合せを遠位方向104に摺動させるかまたは押すために、ハンドル390が医療提供者によって用いられることもある。これら2つの方法により、医療提供者は、プレート12、14をアクティブに共にロックすることができる。あるいは、医療提供者の手でハンドル390を押したときにプレート12、14を共にロックすることができるが、それは、医療提供者の手が吸引カテーテル115をアセンブリ310を通して遠位方向104に数センチメートル押し進め、それによって、患者の気道(図示せず)からの分泌物の吸引を可能にするべく、吸引カテーテル先端部122を患者の気道内の或る位置へと配置することができるからである。本明細書に図示、説明、教示及び/または示唆されている任意の方法によって、患者の気道から吸引カテーテル115を抜去して非吸引位置に戻すことができる。これらの方法には、アクティブ(能動的)な方法もあるが、パッシブ(受動的)な方法もある。しかし、当然のことながら、医療提供者がハンドル390を把持して近位方向に引っ張ったときに遠位及び近位プレート12、14はロック解除され、それによってピン370の遠位端372が遠位及び近位プレート12、14の開口35、58から抜け出て、それによってプレート12、14が再び互いに対して変位し得るようにすることができる。
【0064】
アセンブリ310は、その他の点では、本明細書に既に図示及び/または記載したのと同様の方法で作動する。当然のことながら、前の実施形態に対する上記の種々の変形形態は、その構成に関しても操作に関しても、本実施形態にも適用され、逆も同様である。
【0065】
本発明について特定の好適実施形態に関連して説明してきたが、当然のことながら、本発明に含まれる対象はこれらの特定の実施形態に限定されるものではない。それどころか、本発明の対象は、本発明の趣旨及び範囲内に含めることができる全ての代替形態、変更形態及び等価形態を含むものとする。
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許出願第12/333,916号の一部継続出願であり、該文献は、あらゆる目的のために引用することを以て本明細書の一部となす。
【0002】
本発明は、ピンロックを備えた呼吸器アクセスポートアセンブリ及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸器疾患患者のケアは、発展著しい医学分野であり、そのニーズは乳児から高齢者まで多岐にわたる。そのような患者たちが患う一過性及び持続性の呼吸器系疾患には、多種多様なものがある。例えば、挿管患者に対する医療処置には、換気、吸引、酸素供給、サンプリング、目視検査、インラインセンシング、圧力モニタリング、フラッシング、投薬及び/または洗浄が含まれ得る。ここで、ほとんどの問題は、患者の多様なニーズ及び複数の治療(一部は同時に行われる)に合うように対処することが試みられている。患者にとって最善の複数の治療を容易に、効率的にかつ安全に達成するための機器の欠如は以前から問題になっており、未だ解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第12/562,223号明細書
【特許文献2】米国特許第4,569,344号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、低肺容量患者(未熟児や気腫を患う成人など)の場合、貯留した肺分泌物の除去が問題となる。分泌物除去は、吸引カテーテルにより達成される。吸引カテーテルは呼吸器アクセスアセンブリを介して人工気道内に一時的に配置され、すなわち、気管内チューブが患者の気道の一部に留置されて、そのような患者の肺に空気(酸素及び他のガス)を供給する。この手順は単純なように思われるが、医療提供者が装置の交換またはその他の治療処置を連続的または同時に行わなければならないときには特に、困難を伴う。当然のことながら、分泌物除去作業中に患者に酸素が供給されないことは望ましくない。実際に、これらの困難の結果、患者が人工呼吸器関連肺炎に罹患する可能性がある。これらの困難に対処しかつ克服する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した困難及び問題を踏まえて、呼吸器アクセスアセンブリが提供される。呼吸器アクセスアセンブリは、ポートを有する遠位プレートを含み、ポートは、患者の人工気道と機能的に連通して配置されるように適合されている。呼吸器アクセスアセンブリは近位プレートを含み、近位プレートは第1のポート及び第2のポートを有する。遠位プレートは、近位プレートに隣接して積層形態で配置され、各プレートは、相対的に変位するように構成される。アセンブリはまた、少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータを有する。遠位プレートのポートが近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ両プレートの互いに整合されたポートを貫通して物体が配置されるときには、アクチュエータは、両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止する。(a)互いに整合されたポートを貫通して物体が配置されないときまたは(b)ポート同士が互いに整合されないときには、アクチュエータは、少なくとも一方のプレートと協働して、少なくとも一方のプレートの変位を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの一実施形態の斜視図であって、アセンブリが呼吸器マニホルドに結合され、アセンブリの遠位端(図の右上)において人工気道に結合されていることを示し、呼吸器アクセスアセンブリの近位端に結合された吸引カテーテルアセンブリの一部を示す図。
【図2】図1の呼吸器アクセスアセンブリの断面図。
【図3】図1及び図2の呼吸器アクセスアセンブリの分解近位斜視図。
【図4A】図1〜図3の呼吸器アクセスアセンブリの遠位プレートの平面図(上面図)。
【図4B】図1〜図3の呼吸器アクセスアセンブリの遠位プレートの平面図(下面図)。
【図5A】図1〜図3の呼吸器アクセスアセンブリの近位プレートの平面図(上面図)。
【図5B】図1〜図3の呼吸器アクセスアセンブリの近位プレートの平面図(下面図)。
【図6A】ラッチ及び遠位コネクタを備えた呼吸器アクセスアセンブリの近位プレートの平面図。
【図6B】吸引カテーテルチャンバを近位プレートに結合するために用いられるラッチの図。
【図6C】呼吸器アクセスアセンブリの近位プレートの平面図であって、ラッチが取り付けられていない近位プレート及び遠位コネクタを示す図。
【図7】呼吸器アクセスアセンブリの近位プレートの分解側面図。
【図8A】スリット入りのシリンダの個別図。
【図8B】スリーブ部の個別図。
【図8C】カラー部の個別図。
【図9A】非ロック位置にある呼吸器アクセスアセンブリのロック機構の斜視図。
【図9B】ロック位置にある図。
【図10A】遠位プレートのポート及びカフ部が近位プレートの第1のポート及び第1のカフ部と整合されている図。
【図10B】遠位プレートのポート及びカフ部が第2のポート及び第2のカフ部と整合されている図。
【図10C】遠位プレートのポート及びカフ部が第1、第2のいずれのポートとも整合されていない図。
【図11】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの別の実施形態の斜視図であって、アセンブリが呼吸器マニホルドに結合され、呼吸器マニホルドがアセンブリの遠位端(図の右上)において人工気道に結合されていることを示し、呼吸器アクセスアセンブリの近位端に結合された吸引カテーテルアセンブリの一部を示す図。
【図12】図11のピンロックアセンブリの分解図。
【図13】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの別の実施形態の斜視図であって、アセンブリが呼吸器マニホルドに結合され、アセンブリの遠位端(図の右上)において呼吸器マニホルドが人工気道に結合されていることを示し、呼吸器アクセスアセンブリの近位端に結合された吸引カテーテルアセンブリの一部を示す図。
【図14】遠位プレートのポート及び近位プレートの第2のポートが軸線方向に整合された状態にある、アセンブリの第2の開放位置の図。
【図15】図14のピンロックアセンブリの分解図。
【図16A】図14及び図15のロック実施形態のスリーブ部の図。
【図16B】図14及び図15のロック実施形態のカラー部の図。
【図16C】図14及び図15のロック実施形態のハンドルの図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本発明の1若しくは複数の実施形態、本発明の例を詳細に見てみる。それらの実施形態の例が図面に示されている。各例及び実施形態は、本発明の説明のために与えられており、本発明を制限する意図はない。例えば、一実施形態の一部として図示または記載されている構成要件を別の実施形態とともに用いることにより、さらなる実施形態を生み出すことができる。本発明には、これら及び他の変更形態及び変形形態が、本発明の範囲及び趣旨に含まれるものとする。
【0009】
本願の呼吸器アクセスポートアセンブリは、閉鎖式換気システムにおいて機能し、閉鎖式システムの閉鎖回路特性を損なうことなく、また、重要なことには、患者への換気ガスの流入を阻害することなく、挿管患者の呼吸器系へのマルチアクセスに適応するように設計されている。例えば、1若しくは複数のガスを用いて患者の肺を換気するため、肺から分泌物を吸引するため、肺に酸素を送り込んで肺からの残留二酸化炭素を除去するかまたは減少させるため、患者の呼吸器系の選択された部分を目視検査するため、痰及びガスをサンプリングするため、流量、圧力及び/または温度などのパラメータを検出するため、溶液で洗い流すため並びに、薬剤、ガス及び/または洗浄液を投与するために、1若しくは複数のアクセス部位を通して閉鎖式呼吸器システムへのアクセスが提供される。
【0010】
呼吸器アクセスポートアセンブリのための多くの現行の設計は、1つのポートしか有していないものがある。これらの例では、他の作業、例えば、気管支鏡検査や気管支肺胞洗浄などを行う必要があるときには、吸引カテーテルを抜去しなければならない。そのような人工呼吸器装着患者の吸引カテーテルを抜去することによって閉鎖式換気システムを開放すると、上述したように感染症を来す可能性がある。また、マルチアクセスポートマニホルド及び/またはアセンブリの現行の設計には、安全ロックが含まれていない。場合によっては、そのような安全ロックの欠如が原因で、マニホルドポートから吸引カテーテルを導入したときに、カテーテルの一部が脱落(離断)して患者の肺内に吸引されてしまうかもしれない。これが、気道閉塞、感染症を含む重篤な合併症を引き起こし、死につながる可能性すらある。さらに、呼吸器アクセスアセンブリの適切なシーリングが行われないと、終末呼気陽圧(PEEP)に支障を来すことがあり、それが今度は最適以下の換気を生じさせて、結果として患者の肺胞虚脱を招く可能性がある。本願の呼吸器アクセスアセンブリは、閉鎖式換気システムを開放することなくマルチアクセスを可能にする機能を含み、かつ、アセンブリ内に配置されたときに吸引カテーテル及び/または他の物体の任意の部分の欠損を防ぐパッシブ型安全ロック機能を含む。
【0011】
ここで図面を見てみると、図1及び図2に示されているように、呼吸器アクセスアセンブリ10が提供される。図1及び図2に示されているように、アセンブリ10には遠位ディスク(円盤体)またはプレート12及び近位ディスクまたはプレート14が含まれており、これらは互いに隣接して積層形態で配置されかつ軸線方向に整合された構成で配置されている。
【0012】
遠位ディスクまたはプレート12は、図4A及び図4Bに示されているように、ディスクまたはプレート12を貫通して形成された開口を有するポート16を少なくとも1つ含む。遠位ディスクまたはプレート12の遠位側の外部表面22上に、例えばカフ部(例えばカフ部20など)を設けることができる。そのようなカフ部20は、ポート16の一部をなすように、ポート16及びそれを貫通して延在する開口を全体的に取り囲んでいる。当然のことながら、本明細書に図示及び/または記載されているカフ部は、ディスクまたはプレートの内部表面上にあるにしても外部表面上にあるにしても、本明細書に記載されているカフ部20のための特徴及び機能を含む。
【0013】
本明細書では、「ポート」なる語は、或る物体及び/または液体及び/またはガスを通過させるために構成部品に開口しているかまたは該構成部品を貫通する開口を意味する。本明細書では、「カフ部」なる語は、ポート上に配置されかつポートの一部を形成する、貫通開口を有する概ね円筒形の構成部品を意味する。さらに、本明細書においては、ポート及びそのカフ部を集合的に「ポート」と呼ぶことがあり、2つ以上のポート及びその各々の関連するカフ部を集合的に「ポート」「両ポート(ポート及びカフ部が2つの場合)」と呼ぶことがあることを理解されたい。本明細書では、「プレート」なる語は、円形、正方形、矩形などを含むプレートの任意の形状及び構成をを指すが、これらに限定されるものではない。当然のことながら、プレートは、弧状、弓形、平面的、凸状、凹状のものなどであってもよい。
【0014】
遠位ディスクまたはプレート12は近位側表面24も有しており、近位側表面24は、外周部26(図4A及び図4B)を含む。外周部26に沿って外周壁28を形成することができる。外周壁28は、外周部26から近位方向に約90°の角度をなして延出するものであってよい。「約」なる語は、数字に隣接して置かれたとき、記載されている数字プラスまたはマイナス10%の数を指す。外周壁28は、溝(図示せず)を含むことができかつ溝内にOリング(図示せず)を保持するように構成された外部表面29も含むことができる。そのような配置は、外部表面29が近位ディスク14の外周壁30に隣接して配置されたとき、少なくとも部分的な密閉部を提供する助けとなる。
【0015】
遠位プレート12の近位側表面24は中心孔32を含むこともでき、中心孔32は、締結体34(例えば、非限定例として、中心孔32を貫通するねじやピンなど)を受容するように構成されている。締結体34は、互いに隣接する遠位及び近位プレート12、14を積層形態で軸線方向に整合された位置に保持し、さらに、各プレート12、14を互いに対して変位させることができる。これに加えて、遠位プレート12は、近位側表面24に形成されかつ遠位プレート12の遠位側表面22に設けられた密閉キャップ36内に広がり得る開口35を含むことができる。
【0016】
プレート12、14は、互いに対する変位を制限する構成要素を含むことができる。例えば、一方のプレートの1つの表面(すなわち、例えば、遠位プレート12の近位側表面24)は、半円形凹部(図示せず)を含むことができる。他方のプレートの隣接表面(すなわち、例えば、近位プレート14の遠位側表面38)は、半円形凹部(図示せず)内に配置されるタブ(図示せず)を含むことができる。そこで、タブ及び半円形凹部は協働して遠位及び近位プレート12、14の互いに対する変位を制限する。そのような実施形態では、回転は、0.1°ないし約200°の範囲に制限されることが望ましい。そのような実施形態では、回転は約1°ないし約200°の範囲に制限されることがより望ましい。
【0017】
非回転または摺動の実施形態は本明細書に示されていないが、そのような実施形態は本発明の趣旨の範囲内であると考えられることに留意されたい。そのような摺動実施形態では、両プレートは、共通軸の周りを回転するのではなく、互いに対して摺動する。全ての他の態様において、実施形態は同等である。
【0018】
近位ディスクまたはプレート14は、第1のポート40及び第2のポート42を含み、各ポートは、図5A及び図5Bに示されているように、近位プレート14を貫通して延在する開口を有する。第1のポート40は第1のカフ部44を有することができ、第1のカフ部44は、近位プレート14の近位側外表面46に設けることができる。同様に、第2のポート42は第2のカフ部48を有することができ、第2のカフ部48は、近位プレート14の近位側表面46に設けることができる。
【0019】
近位プレート14は外周部50を有し、外周部50は外周壁30を含むことができる。外周壁30は、外周部50に沿って形成することができ、外周部50から約90°の角度をなして遠位方向に延出する。本実施形態では、遠位プレート12の外周壁28は、近位プレート14の外周壁30内にちょうど収まる大きさにしてある。このように、遠位プレート12の外周壁28の外表面29上のいかなるOリングまたは他の密閉部品も、少なくとも、近位プレート14の外周壁30の内部表面54に対して変位可能な密閉部を形成するのに役立つ。
【0020】
近位プレート14には、中心開口56が設けられている。中心開口56は、遠位プレート12の中心孔32と整合され、両者は、貫通して配置される締結体34(図1)によって、少なくとも互いに隣接して保持される。これに加えて、近位プレート14を貫通して開口58が設けられ、開口58の遠位側表面38上にカフ部60(図5B)を設けることができる。しかし、当然のことながら、開口58に設けるカフ部は、近位プレート14の近位側表面46及び遠位側表面38の一方または両方にあってもよいし、表面46、38のどちらにもなくてもよい。
【0021】
再び遠位プレート12を見ると、操作中、アセンブリ10の遠位プレート12のポート16のカフ部20は、図1及び図2に示されているように、マニホルド62のポートに結合されることができる。マニホルド62はさらに、通常は気管内チューブまたは人工気道64及び人工呼吸器(図示せず)に結合される。人工気道64の少なくとも一部は、患者の気道(図示せず)の一部に配置される。
【0022】
ここで図7〜図9を見ると、ロックアセンブリすなわちアクチュエータアセンブリ65が示されており、該アセンブリ65は、この実施形態では、吸引カテーテルアセンブリ66(図1)の一部をなす。これに加えて、吸引カテーテルチャンバ68も示されており、吸引カテーテルチャンバ68も同様に吸引カテーテルアセンブリ66の一部をなし得る。他の実施形態では、当然のことながら、アクチュエータアセンブリ65を吸引カテーテルアセンブリ66(図示せず)とは別に設けてもよい。
【0023】
本実施形態では、図7に示されているように、アクチュエータアセンブリ65は長寸のピン70を含む。しかし、当然のことながら、ピン、ロッドなど以外の形態を用いてもよい。ピン70は遠位自由端72及びその反対側の近位端74を含み、近位端74はスリーブ部76に結合されている。ピン70は、両端72、74間に位置する長寸の本体78を有する。スリーブ部76は、外壁部79及び内壁部79’(図8B)を含むことができる。スリーブ部76は、カラー部80(図8C)と同軸方向に整合されて近位に配置されている。カラー部80の遠位端81は、カラー部80の少なくとも一部がスリーブ部76の内壁部79’と外壁部79との間に延出するように配置されている。スリーブ部の近位端82は、スリーブ部内でのカラー部80の変位を受容する。カラー部80の少なくとも一部は、スリーブ部76の近位端82を押しそれによってスリーブ部76を遠位方向に変位させるように、配置されることができる。そのために、カラー部80の周りに半径方向外向きに延出するフランジ84を、カラー部80に設けることができる。この実施形態では、フランジ84は、カラー部80の近位端86付近に配置されており、医療提供者がスリーブ部76を遠位方向に押すのを手助けすることができる。カラー部80及び/またはスリーブ部76に設けられた1若しくは複数の構造(図示せず)によって、カラー部80とスリーブ部76との間での変位を制限または制御することができる。スリーブ部76は、スリット入りのシリンダ90と同軸的に整合されて遠位に配置されており、スリット入りのシリンダ90は、少なくとも部分的にスリーブ部76を覆うように配置されており、実質的にスリーブ部76を覆うように配置されることもできる。シリンダ90は、シリンダ90の遠位端94(図8A)と交差するスリット92を有する。ピン70の近位端74は、スリット92を貫通するように配置されている。シリンダ90の遠位端94は、吸引カテーテルチャンバ68の近位端部分98と同軸的に整合されかつ該近位端部分98を覆うように配置されることができる。シリンダ90が遠位方向104(図9A及び図9B)にさらに変位するのを防止するために、近位端部分98上に半径方向に配置された変位止めタブ102(図1)を含むことができる。同様に、シリンダ90の近位端106は、カラー部80の一部を覆うように配置され得るスリーブ部76の少なくとも一部を覆うように同軸方向に配置されることができる。シリンダ90の近位端106がカラー部80上のフランジ84に接したとき、シリンダ90の変位は近位方向108(図9A及び図9B)において制限される。
【0024】
吸引カテーテルチャンバ68は、この実施形態では吸引カテーテルアセンブリ66の一部をなすことができ、近位端98及び遠位端110、両者間に位置する長寸の本体112(図3)を有する。吸引カテーテルチャンバ68にはルーメン114(図2)が貫通形成されており、ルーメン114は、吸引カテーテル115を通過させることができるように構成されている。遠位コネクタ118は、吸引カテーテルチャンバ68の遠位端110に配置されている。液体及び/またはガスの挿入及び/または回収を可能にするために、吸引カテーテルチャンバ68のルーメン114と交差するアクセスポート120(図1)を設けることができる。吸引カテーテルチャンバ68には、吸引カテーテルの遠位先端部(チップ)122を清拭しかつ/またはチャンバ内に分離・格納することができるように、また、吸引カテーテルの遠位先端部122を洗浄するために空気及び/または洗浄液をアクセスポート120を経由して供給することができるように、1若しくは複数のダイヤフラムバルブ、フラッパーバルブ、ワイパ、その他(図示せず)を設けることもできる。そのような空気及び/または溶液は、以下でさらに詳細に説明するように、アクセスポート120を経由してかつ/または吸引カテーテルアセンブリ66の一部に接続された吸引源(図示せず)を介して除去することができる。あるいは、吸引カテーテル115及び吸引カテーテル先端部122を吸引カテーテルシース内に維持することができるが、これについても以下でさらに詳細に説明する。
【0025】
遠位コネクタ118は、近位プレート14の第1のカフ部44を経由してポート(通常は第1のポート40)に結合されるように構成されている。遠位コネクタ118は、ピン70の少なくとも一部を挿入しかつ変位可能に保持することができるピンチャンネル124を含む。当然のことながら、ピン70は、ピンチャンネル124を通って遠位及び近位方向104、108(図9A及び図9B)に変位する。ピンチャンネル124は、ピン70の遠位端72を、近位プレート14の開口58を通って遠位プレート12(図4A、図4B及び図7)の密閉キャップ36の開口35内へと案内し、それによって、ピン70が遠位及び近位プレート12、14を変位不能な位置において固定しかつ解除可能に共にロックする。
【0026】
吸引カテーテルチャンバ68に隣接して、好適には遠位コネクタ118の隣に、解除可能なラッチ126を設けることもできる。ラッチ126の一端128は、遠位コネクタ118に結合する。ラッチ126の反対端である自由端130は、近位プレート14の近位側表面46に設けられたタブ132に結合し得る。ラッチ126の自由端130及びタブ132は協働して吸引カテーテルチャンバ68を解除可能に直接的に、アクチュエータアセンブリ65を間接的に、近位プレート14に結合する(図6A、図6B及び図6C)。
【0027】
「結合(する)」なる語及びその変化語は、2つのものの接続、連結、締結、関連付け、結束、(接着剤による)接着、または一体的または介在的な結び付けを含むが、これらに限定されるものではない。当然のことながら、2つのものは、直接または間接的に結合されることができる。
【0028】
吸引カテーテルアセンブリ66はシース135を含むことができ、シース135をその遠位端136においてカラー部80(図1)に結合させることができる。あるいは、シース134の遠位端136にコネクタ(図示せず)を配置し、コネクタをさらにカラー部80(図示せず)に解除可能に結合せることができる。
【0029】
シース135は、少なくとも実質的に吸引カテーテル115の全長にわたって延在する。「実質的な」または「実質的に」なる語は、かなりの範囲または程度までなされた何か;相当な、またはかなりの量を指す。例えば、本明細書において「実質的に覆われている」の如く適用される「実質的に」は、或るものが少なくとも70%覆われていることを意味する。
【0030】
シース135は、その近位端140において近位端コネクタ142に結合され、近位端コネクタ142は、吸引カテーテル115に印加される吸引圧力の量を制御するためのバルブまたはコントローラ144を含む。コントローラ144に吸引カテーテル115の近位端146を結合することができる。これに加えて、吸引カテーテル115の一部及び/または近位端コネクタ142またはコントローラ144にコネクタ148を結合することができる。コネクタ148は、吸引源(図示せず)に結合されるように構成されている。
【0031】
吸引カテーテル115は、使用されていないときには実質的にシース135内で保持される。吸引カテーテルの遠位先端部122(図2)は、その内部に少なくとも1つの開口(図示せず)を含む。吸引カテーテル115はまた、ルーメンが貫通しかつ開口近位端(図示せず)を有する長寸の本体を含む。吸引カテーテル115の近位端146または上記したような吸引カテーテルアセンブリ66の一部は、吸引カテーテル115に吸引力を与える吸引源(図示せず)の少なくとも一部に直接または間接的に結合されるように適合されている。当然のことながら、吸引カテーテル115の少なくとも遠位部分が、患者の気道内の一部まで延在してそこから分泌物を吸引するために、呼吸器アクセスポートアセンブリ10を通過しかつ任意の取り付けられたマニホルド120及び人工気道122を通過して配置されることができるように、吸引カテーテル115は十分な長さを有する。
【0032】
分泌物の吸引が望まれるときには、医療関係者が、互いに整合されたポート16、40を通して吸引カテーテル115を前進させる。カテーテル115を患者に向かって遠位方向に変位させると、この動作によって、カラー部80及び対応するピン70が同様に遠位方向に変位される。ピン70の遠位端72は、近位プレート14の開口58を通って遠位プレート12の密閉キャップ36の開口35内へ変位し、これによりプレート12、14の互いに対する変位を防止する。これは、パッシブなロック操作である。その後、コネクタ148及びバルブ144を介して吸引が行われる。
【0033】
吸引力を止めたときに、患者の気道、人工気道64、マニホルド62、呼吸器アクセスアセンブリ10の少なくとも一部のそれぞれから吸引カテーテル115が引き抜かれることが理解されるであろう。吸引カテーテル115の大部分は、吸引カテーテルアセンブリ66のシース135内の所定位置に戻される。あるいは、吸引カテーテル先端部122を含む吸引カテーテル115をシース135(図示せず)に戻すこともできる。上記した理由で、遠位先端部122は吸引カテーテルチャンバ68内にとどまることが望ましいであろう。このようにして、吸引カテーテル115の実質的な長さがシース135内に収容され、従って、分泌物の吸引のために再び必要とされるまで、患者の閉鎖回路換気システムの外側に置かれる。
【0034】
シース135内にランヤード(ひも)またはテザー(糸)150を設けることができる。テザー150の遠位端152をカラー部80に接続し、近位端154を近位端コネクタ142または本明細書において明示されている他の構造に接続することにより、テザー150の長さがカラー部80から近位端コネクタ142に及ぶようにすることができる。テザー150は、シース135が過度に拡張されたり、引っ張られ過ぎたり、伸ばされ過ぎたりしないようにする。テザー150は、吸引カテーテル115の大部分を保持するためのシース135の適正な長さを維持する。テザー150はまた、伸ばし過ぎによりシース135が引き裂かれるのを防止し、それによって、シース135の裂け目からカテーテル115を露出させることなく吸引カテーテル115を保持するため及びシース135内に適正な長さで吸引カテーテル115を保持するためにシース135の完全性及び操作性を維持する。吸引カテーテル115の近位端146は、近位端コネクタ142またはそれに関連するコントローラ144に結合されることもできるので、医療提供者が、近位端コネクタ142またはコントローラ144を患者から遠ざかるように近位方向108にゆっくりと引っ張って吸引カテーテル115を吸引位置すなわち操作位置から引き抜くことは容易であろう。このように、吸引カテーテル115の遠位先端部122の一部が吸引カテーテルチャンバ68内に保持された状態で、シース135内の非吸引位置すなわち非操作位置に吸引カテーテル115を戻すかまたは配置することができる。テザーの一例が米国特許出願第12/562,223号明細書(特許文献1)に開示されている。
【0035】
これに加えて、医療提供者が近位端コネクタ142を近位方向108に引っ張る動作は、カラー部80も近位方向108に変位させるが、それはテザー150を通じて力が伝えられるからである。この動作は、吸引カテーテル115をシース135に引き込み、同時に遠位及び近位プレート12、14のロックを解除する。すなわち、この動作はまた、ピン70を、遠位プレート12の密閉キャップ36の開口35内のロック位置から外へ出し、遠位及び近位プレート12、14を通過して、遠位及び近位プレート12、14に対する非ロック位置内へ近位方向に変位させるので、プレート12、14の変位を可能にする。これは、パッシブなロック解除操作である。テザー150は、吸引カテーテル115の大部分をシース135内に戻す動作を可能にするための強度及び耐久性を備えているが、シース135は、上記動作の力が加わらず、伸びたり引き裂かれたりしない。
【0036】
吸引カテーテルは、公知であり、多くの医学的用途のために広く市販されている。吸引は、「開放式」または「閉鎖式」システムを用いて行うことができる。開放式システムでは、吸引カテーテルは、フレキシブルルーメンに挿入される単なるフレキシブルなプラスチックチューブであり、吸引カテーテルの近位端には吸引源が接続される。ルーメンに入る前に吸引カテーテルが接触する如何なるものも滅菌状態に維持されていなければならないので、患者に接触または隣接して「滅菌領域」が作られなければならない。吸引カテーテルは、使用後には、表面が患者の分泌物で覆われることになるので、慎重に取り扱わなければならない。対照的に、例えば米国特許第4,569,344号明細書(特許文献2)に開示されているような「閉鎖式」システムでは、分泌物を吸引するために用いることができる機器は、使用前に吸引カテーテルの汚染を排除するかまたは最小にするために、概ね円筒状のプラスチックバッグに封入されている。これは、一般に「閉鎖式吸引カテーテル」と呼ばれるもので、バラード(登録商標)メディカルプロダクツのトラックケアー(登録商標)またはキムベント(登録商標)(ともにキンバリークラーク社製)という商品名で販売されている。閉鎖式吸引システムは広く医療提供者に好まれているが、その理由は、閉鎖式の方が患者及び医療提供者への感染症伝播の可能性が低いからである。本願の呼吸器アクセスポートアセンブリ10は、そのような閉鎖式吸引アセンブリと併用することができる。
【0037】
当然のことながら、吸引カテーテルアセンブリ66の遠位コネクタ118は、近位プレート14の第1ポート40の第1のカフ部44または第2ポート42の第2のカフ部48のいずれかに結合されてもよい。同様に、気管支鏡、気管支肺胞(BAL)カテーテル(例えば、バラード(登録商標)メディカルプロダクツのBAL CATH(登録商標)(キンバリークラーク社)または他の器具類、その他(図示せず)を、第1のポート40の第1のカフ部44または第2のポート42の第2のカフ部48のうちの一方に解除可能に結合することもできる。このようにして、吸引カテーテルアセンブリ及び別の器具を2つとも同時に呼吸器アクセスポートアセンブリ10に結合することができる。当然のことながら、吸引カテーテル115、吸引カテーテルアセンブリ66及び任意の器具は、常に閉鎖回路換気システムの一部として維持される。
【0038】
使用方法または操作方法の範囲内で、医療提供者は、予め選択された3つの使用位置のいずれかにアセンブリ10の位置を合わせることができる。第1の位置において、医療提供者は、遠位プレート12のポート16のカフ部20に結合されているマニホルド62を把持する。医療提供者はまた、近位プレート14の外周壁30または近位プレート14の第1及び/または第2のカフ部44、48を把持し、近位プレート14の第1のカフ部44及び第1のポート40が遠位プレート12のカフ部20及びポート16と整合するように近位プレート14を遠位プレート12に対して回転させる。
【0039】
そのために、医療提供者は、近位プレート14の一部を把持しかつ、遠位プレート12のポート16及びカフ部20を、図10Aに示されているように近位プレート14の第1のポート40及び第1のカフ部44と整合させるか、第2のポート42及び第2のカフ部48(図10B)と整合させるか、またはどちらとも整合させない(図10C)ようにするために、近位プレート14を反時計回りすなわち一方向に回転させることができる。あるいは、当然のことながら、医療提供者は近位プレート14を保持しながら、遠位プレート12を時計回りすなわち他方向に変位させることができる。しかし、遠位プレート12並びにそのポート16及びカフ部20はマニホルド120に結合され、マニホルド120は患者の人工気道122に結合され、これらは全て、相対的に定位置に維持されることが好ましい。従って、遠位プレート12を静止させて(動かさずに)近位プレート14を回転させる方がより望ましいことが理解されるであろう。
【0040】
「静止(した)」、「静止プレート」及び/または「静止ディスク」なる語句は、近位プレートまたは遠位プレートのうちのいずれか一方であって、該プレートまたは該プレートを保持する部品が、医療提供者によって把持されかつ、医療提供者が相手方のプレートまたはディスクを3つの所定位置のうちの1つにくるように回転させている間に相対的に固定された「静止」位置に保持されるときの、当該プレートを指す。両プレートは、同様に、固定された不動位置に配置されかつ共にロックされているときに、相対的に「静止したプレート」であり得る。
【0041】
「回転プレート」及び/または「回転ディスク」なる語句は、近位プレートまたは遠位プレートのうちのいずれか一方であって、該プレートがロックされていないために各プレートが互いに対して回転し得るときの当該プレートを指す。遠位及び近位プレートは、3つの所定位置のいずれかに位置合わせされるように構成される。しかし、非ロック位置にあるとき、遠位及び近位プレートの両者は互いに対して自由に回転することができ、各プレートは、互いに対して逆方向に(好適には最大約200°またはそれ以下)相対的に変位または回転することができる。両プレートは、同様に、各プレートを医療提供者が逆方向に自由に回転させることができるように非ロック位置に配置されているときに、相対的に変位または「回転」することができる。
【0042】
遠位プレート12のポート16及びカフ部20と近位プレート14のポート40及びカフ部42とが互いに整合されているとき、両者はロックされるのではなく、この特定の所定位置において、或る部品、例えば、近位プレート14の遠位側表面に設けられた1対のタブ(図示せず)と、遠位プレート12の近位側表面に設けられた複数個ある傾斜のついた凹部(図示せず)のうちの2つとの協働によって、解除可能に保持され得る。すなわち、近位プレートの遠位側表面に設けられた1対のタブの各々が、近位プレート14に設けられた複数個ある傾斜のついた凹部のうちの1つの凹部に入る。その結果、これらの部品は、協働して遠位及び近位プレート12、14を特定の所定位置、例えば図10Aに示されている第1の開放位置に、解除可能に保持する。第1の開放位置において、ポート16、40及びカフ部20、44はそれぞれ、軸線方向に整合された位置にあり、機能的に連通されている。「機能的連通(operable communication)」なる句は、特定の目的のための2つの点及び/または2つの構造間での伝達または通過を指す。この例では、機能的連通は、ガス及び/または液体を通過させることができる通路であり、物体を通過させることができるように構成することもできる。さらに、「開放」、「開放された」及び「開放位置」なる語及び句並びにそれらの変化語は、本明細書に記載の互いに整合された複数(2)個のポートの位置であって、該位置において、吸引カテーテル、気管支鏡の一部、その他などの物体を、互いに整合されたポートを通って患者の気道の一部内へ進めることができるような位置を指す。
【0043】
次に、医療提供者は、カラー部80から近位方向に約1〜3インチ(約2.54〜7.62センチメートル)離れた場所において吸引カテーテル115の一部を把持する。次に、医療提供者は、自身の手がカラー部80を押しかつ被把持部分がアセンブリ10に押し込まれるまで、吸引カテーテル115の被把持部分を遠位方向に押す。その後、患者の気道(図示せず)の吸引を可能にするべく、所望の長さ分の吸引カテーテル115がアセンブリ10、マニホルド62及び人工気道64を通って患者の気道内へと進められるまで、上記動作が繰り返される。
【0044】
医療提供者が吸引カテーテル115を把持しかつ該吸引カテーテル115をアセンブリ10を通して遠位方向に変位させるとともにカラー部80を押すと、カラー部80(図9A及び図9B)を押すことによって、ロッキングアセンブリすなわちアクチュエータアセンブリ65が作用される。カラー部80は、ピン70が結合されているスリーブ部76を押す。スリーブ部76はシリンダ90を押し、ピン70の一部はスリット92を通って遠位方向に変位する。カラー部80、スリーブ部76及びシリンダ90は、スリーブ部76及びシリンダ90が吸引カテーテルチャンバ68の近位端部分98に設けられた変位止めタブ102によって止められるまで、遠位方向104に遠位方向に変位する。
【0045】
カラー部80の変位と同時に、ピン70の自由端及びピン78の本体の一部が、遠位コネクタ118のピンチャンネル124を通って遠位方向104に遠位に変位し(ピンチャンネル124は、ピン70の遠位端72を、近位プレート14の開口58を通過して遠位プレート12の密閉キャップ36の開口35内へと案内する)、それによって、ピン70が遠位及び近位プレート12、14を変位不能なロック位置(図9B)において固定しかつ解除可能に共にロックする。
【0046】
患者の気道から吸引カテーテル115を引き抜くために、医療提供者は、アセンブリの一部を静止させておく(動かさない)ように片手で把持しながら、吸引カテーテル115の近位端146、または近位端コネクタ142またはそれに関連するコントローラ144も同様に把持することができる。医療提供者は、近位端コネクタ142またはコントローラ144を患者から離して近位方向108にゆっくりと引っ張って吸引カテーテル115を吸引位置すなわち操作位置から引き抜き、それによって、吸引カテーテル115の大部分をシース135内の非吸引位置すなわち非操作位置に戻す。その間、吸引カテーテル115の遠位先端部122の一部は、吸引カテーテルチャンバ68内で保持される。
【0047】
この医療提供者の動作は、テザー150を介して、カラー部80を近位方向108に変位させることにもなる。カラー部80は、スリーブ部76と、シリンダ90と、そして最も重要であるピン70とを近位方向108に変位させる。このため、ピン70の遠位端72は、遠位プレート12の密閉キャップ36の開口35及び近位プレート14の開口58から離れて近位方向に変位し、それによって遠位及び近位プレート12、14をロック位置からロック解除するので、両プレートは再び互いに対して変位可能になる。これは、パッシブなロック解除操作である。
【0048】
ピン70が遠位及び近位プレート12、14を貫通して配置されているとき、患者の気道内の吸引位置において吸引カテーテル115が留置または配置されているとき、吸引カテーテル115の一部を不注意に切断または破断することがないように、プレート同士をロックして変位を防止する。吸引カテーテルが引き抜かれ、ピン70がロック時の位置から遠位及び近位プレート12、14を通って引き抜かれたとき、プレート12、14は、例えば第2の位置に変位可能である。本明細書では、同じ意味で用いられる「方向」または「配置」なる語は、何かが位置している場所または方法の空間特性、例えば「時計の針の位置」を指す。
【0049】
第2の位置においては、気管支鏡または他の器具が、近位プレート14の第2のポート42の第2のカフ部48に接続される。アセンブリ10は、上記したように変位される。すなわち、第2のポート42及び第2のカフ部48が遠位プレート12のポート16及びカフ部20と整合されるように、近位プレート14が遠位プレート12に対して変位または回転される。その次に、気管支鏡または他の物体を、アセンブリ10、マニホルド62、人工気道64及び患者の気道内へ導入することができる。
【0050】
ポート16及びカフ部20が第1のポート40及び第1のカフ部44と整合される第1の位置は、例えば、ポート16及びカフ部20が第2のポート42及び第2のカフ部48と整合される第2の位置から約180°の角度をなすように位置付けることができる(図5A及び図5B)。アセンブリ10が第1の位置に配置されているとき、第2のポート42及び第2のカフ部48は、遠位プレート12の一部によって閉塞または閉鎖されている。同様に、アセンブリ10が第2の位置に配置されているとき、第1のポート40及び第1のカフ部44も同様に、遠位プレート12の一部によって閉塞または閉鎖されている。そのような閉塞または閉鎖は、キャップ114などの他の部品と協働してPEEP圧力を維持するとともに、閉塞されたポート内に、吸引カテーテル、気管支鏡、その他などの物体が導入されないようにすることによって、どのポートが開放されているかに関する混乱を防止する。
【0051】
「閉鎖(された)」または「閉鎖位置」なる語及び/または句並びにそれらの変化語は、1若しくは複数のポートの位置であって、該位置において、ポートが整合されていないので、吸引カテーテル、気管支鏡の一部、その他などの任意の大きな物体が、上記の「閉鎖された」ポートを通過することができないような位置を指す。ポートは、物体(既に言及したものなど)を閉塞するかまたは物体がポートを通過しないようにするために、「閉鎖」または「閉塞」され得る。しかし、ポートは完全に閉塞または閉鎖されなくてもよいし、少なくとも或る場合には、閉塞または閉鎖されたポートをガス及び/または液体が通過する状態が続くようにしてもよい。
【0052】
任意選択の第3の位置においては、遠位プレート12のポート16並びに近位プレート14の第1及び第2のポート40、42は、互いに整合されておらず、従って、器具、カテーテル、その他をポート16、40、42(図10C)を通して配置することができないような「閉塞」または閉鎖位置にある。すなわち、遠位プレート12ののポート16が近位プレート14の第1及び第2のポート40、42間に配置され、それによって、ポート16を近位プレート14によって閉塞または閉鎖するように、遠位プレート12が変位される。同様に、かつ同時に、近位プレート14の第1及び第2のポート40、42もまた、遠位プレート12によって閉塞または閉鎖される。この第3の位置は、全てのポートに対する閉鎖位置を提供する。ポート16、40及び42が或る期間使用されない場合、医療提供者は、PEEPの維持を支援するために、プレート12、14を第3の閉鎖位置へと変位させることを選択してもよい。
【0053】
第2及び第3の位置に関しては、アクチュエータアセンブリすなわちロックアセンブリ65に対してロック位置が設けられていない。しかし、当然のことながら、第2及び第3の位置(図示せず)においてロックを可能にするために、遠位及び近位プレート12、14に追加の開口または孔を設けることができる。この別法では、医療提供者は、遠位及び近位プレート12、14をロックするために、そのような開口または孔を通して遠位端72及びピン70の本体78の一部が配置されるように、カラー部80を遠位方向104に手動で変位させる。ピン70の引き抜き及びプレート12、14のロック解除は、医療提供者がカラー部80を把持しかつ近位方向108に変位させて遠位及び近位プレート12、14からピン70の一部を引き抜くことによって達成され、それによって、両プレートはロック解除され、両プレートの互いに対する変位または回転が可能になる。
【0054】
本明細書において、特定の部品が特定の角度で記載及び図示されている。しかし、当然のことながら、アセンブリが本明細書に図示及び/または記載されているように機能する限り、任意の部品を任意の角度または複数の角度の任意の組合せで配置することができる。
【0055】
さらに当然のことながら、本発明において、曲線状または弓形プレート、凸状または凹状ディスクまたはプレート、あるいは平坦または平面的なディスクまたはプレートを用いることもできる。さらに、ディスクまたはプレートは、本明細書に図示及び/または記載されているように機能する限り、任意の構成を含むことができる。同様に、ディスクまたはプレートは、様々な形で変位することができる。すなわち、ディスクまたはプレートは、本明細書に図示及び/または記載されているような結果を達成するように機能する限り、互いに対して、回転、旋回、摺動及び任意の方法での変位が可能である。ピン(例えばピン70など)は、ブレード、角材などであってもよい。
【0056】
遠位及び近位プレートが、平坦、四角形、または矩形のプレート(図示せず)である場合、当然のことながら、遠位及び近位プレートは、互いに対して摺動するように配置されることができる。そのような実施形態では、アクチュエータアセンブリすなわちロックアセンブリ65は、摺動または他の変位に適応するように異なって構成されることができる。プレートの互いに対する変位を制限するために、2つ以上の変位止めを設けることができる。この代替実施形態及び他の代替実施形態を実施するために必要とされるであろう変更箇所については、当業者が熟知しているであろう。
【0057】
アセンブリ10は、遠位ディスクまたはプレートに2つ以上のポート及びカフ部を含み、近位ディスクまたはプレート(図示せず)に3つ以上のポート及びカフ部を含むことができる。さらに、アセンブリ10は、マニホルド62、または当分野で既知の任意の他のマニホルドを含むことができる。さらに、アセンブリ10は、吸引カテーテルアセンブリ115、または当分野で既知の任意の他の吸引カテーテルアセンブリを含むことができる。さらに別の実施形態では、アセンブリ10は、マニホルド及び吸引カテーテルアセンブリの両者を含むことができる。
【0058】
別の類似した実施形態では、図11及び図12に示されている呼吸器アクセスアセンブリ210が提供される。呼吸器アクセスアセンブリ210は、若干の相違点を除いて、本明細書に記載されかつ図1〜図9に示されている呼吸器アクセスアセンブリ10と類似している。本実施形態では、ピンチャンネル224を含む吸引カテーテルチャンバ68のための遠位端コネクタ218が、異なる構成を有している。さらに、スリーブ部276を覆うシリンダがない。スリーブ部276は、近位ピンカバー277と、その下にあってピン270の近位端74を受容するスリット278とを含む。ピン270は、フランジを有しないカラー部280に結合される。少なくともカラー部280をスリーブ部276(図示せず)に対して軸線方向に変位させることができるような方法で、スリーブ部276及びカラー部280を互いに同軸方向に整合しかつ結合することができる。本実施形態には解除可能なラッチが備わっていないが、任意選択で、本明細書に既に図示及び記載したように、解除可能なラッチを設けてもよい。本願のアセンブリ210は、テザー150を含むことができる。さらに、この実施形態には示されていないが、アセンブリ210は、図1に示しかつ既に詳細に説明したアセンブリ10と同じ近位端部品を有することができる。当然のことながら、本実施形態の部品の符号は、その他の点では、本明細書に図示及び記載されている第1の実施形態と同じである。
【0059】
アセンブリ210は、本明細書に既に図示及び/または記載したのと実質的に同じ方法で作動する。当然のことながら、前の実施形態に対する上記の種々の変形形態は、その構成に関しても操作に関しても、本実施形態にも適用される。
【0060】
別の類似した実施形態では、図13〜図16に示されている呼吸器アクセスアセンブリ310が提供される。呼吸器アクセスアセンブリ310は、少数の相違点を除いて、本明細書に記載されかつ図1〜図12に示されている呼吸器アクセスアセンブリ10及び210と類似している。本実施形態では、吸引カテーテルチャンバ68のための遠位端コネクタ318が、異なる構成を有し、ピンチャンネル324を有している。さらに、スリーブ部376を覆うシリンダがない。スリーブ部376は近位ピンカバー377を含み、スリーブ部376上には対向する環状リブ379が互いに対して約180°の角度をなして配置されている。スリーブ部376はスリット378を有し、スリット378を通ってピン370の一部が延在する。ピン370は、フランジを有しないカラー部380に結合されている。カラー部380は、傾斜のついた遠位側表面392及び1対のアーム394を有する手動操作可能なハンドル390を含み、各アーム394は窪み(divot)または凹部395を有し、その中へ、スリーブ部376に設けられた各環状リブ379が枢動可能に結合されている。この実施形態には解除可能なラッチが設けられていないが、本明細書に既に図示及び記載したような解除可能なラッチを利用することができる。本願のアセンブリ310は、テザー150を含むことができる。さらに、この実施形態には示されていないが、アセンブリ310は、図1に示されかつ上記で詳細に説明されているアセンブリ10と同じ近位端部品を有することができる。本実施形態の部品の符号は、その他の点では本明細書に図示及び記載されている第1の実施形態と同じであることを理解されたい。
【0061】
カラー部380、ピン370及びスリーブ部376は、ハンドル390と協働する。カラー部380は、カラー部380の壁398を貫通して延在する2対のスリット396を有する。2対のスリット396はそれぞれ、互いから約180°の角度をなして配置されている。スリットは、カラー部380の遠位端400を貫通して形成され、壁398を貫通して延在し、カラー部380の近位端402の近くにまで及ぶ。1対のスリット396間には、それぞれ舌状部404が形成されている。各舌状部上には突出部分406が配置され、各舌状部404から半径方向外向きに延出している。
【0062】
スリーブ部376は、スリーブ部376の内表面410上に半径方向に約180°離間して配置されている1対の溝付きランプ(傾斜部)408を有する。各ランプ408は、ディテント412を含む。ランプ408及びその表面に設けられたディテント412は、協働してディテント412内にカラー部380を摺動可能に受容しかつ解除可能に締着するように構成されている。すなわち、カラー部380は、舌状部404及びその表面に設けられた突出部分406がランプ408内に変位され、舌状部404に設けられた突出部分406がスリーブ部376のランプ408のディテント412内に解除可能に締着されるように、スリーブ部376内に同軸方向に配置されるように構成されている。当然のことながら、2つ以上の同軸方向に整合された部品を互いに接続する方法は多数あり、本実施形態はそのうちの1つの非限定例でしかない。
【0063】
ハンドル390の近位端414が医療提供者によってアセンブリ10から離れるように持ち上げられたとき、ハンドル390は、スリーブ部376の環状リブ379に設けられたピン395を軸として、ハンドル390の遠位側表面392がピン370の近位端374に接するように枢動する。遠位側表面392がピン370の近位端374を遠位方向104に押すと、それによって、ピン370の遠位端372が遠位プレート12の開口35及び近位プレート14の開口58を通って変位し、プレート12、14がロック位置において共にロックされる。あるいは、ピン370の遠位端372が遠位及び近位プレート12、14の開口35、58の中を進み、プレート12、14をロック位置においてロックするように、同軸方向に整合されたカラー部380とスリーブ部376との組合せを遠位方向104に摺動させるかまたは押すために、ハンドル390が医療提供者によって用いられることもある。これら2つの方法により、医療提供者は、プレート12、14をアクティブに共にロックすることができる。あるいは、医療提供者の手でハンドル390を押したときにプレート12、14を共にロックすることができるが、それは、医療提供者の手が吸引カテーテル115をアセンブリ310を通して遠位方向104に数センチメートル押し進め、それによって、患者の気道(図示せず)からの分泌物の吸引を可能にするべく、吸引カテーテル先端部122を患者の気道内の或る位置へと配置することができるからである。本明細書に図示、説明、教示及び/または示唆されている任意の方法によって、患者の気道から吸引カテーテル115を抜去して非吸引位置に戻すことができる。これらの方法には、アクティブ(能動的)な方法もあるが、パッシブ(受動的)な方法もある。しかし、当然のことながら、医療提供者がハンドル390を把持して近位方向に引っ張ったときに遠位及び近位プレート12、14はロック解除され、それによってピン370の遠位端372が遠位及び近位プレート12、14の開口35、58から抜け出て、それによってプレート12、14が再び互いに対して変位し得るようにすることができる。
【0064】
アセンブリ310は、その他の点では、本明細書に既に図示及び/または記載したのと同様の方法で作動する。当然のことながら、前の実施形態に対する上記の種々の変形形態は、その構成に関しても操作に関しても、本実施形態にも適用され、逆も同様である。
【0065】
本発明について特定の好適実施形態に関連して説明してきたが、当然のことながら、本発明に含まれる対象はこれらの特定の実施形態に限定されるものではない。それどころか、本発明の対象は、本発明の趣旨及び範囲内に含めることができる全ての代替形態、変更形態及び等価形態を含むものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸器アクセスアセンブリであって、
患者の人工気道に機能的に連通して配置されるように適合されたポートを有する遠位プレートと、
第1のポート及び第2のポートを有する近位プレートと、
前記両プレートの少なくとも一方に隣接して配置されたアクチュエータとを含み、
前記遠位プレートが前記近位プレートに隣接して積層形態で配置され、前記各プレートが相対的に変位するように構成され、
前記遠位プレートの前記ポートが、前記近位プレートの少なくとも一方のポートと整合するように位置合わせされ、かつ前記両プレートの前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置される場合には、前記アクチュエータが、前記両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止し、
(a)前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置されない場合または(b)前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの少なくとも一方のポートと整合するように位置合わせされない場合には、前記アクチュエータが、前記両プレートの少なくとも一方と協働して、前記両プレートの少なくとも一方の相対的な変位を可能にするようにしたことを特徴とする呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項2】
前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置される場合にのみ、前記アクチュエータの作用によって前記両プレートの変位を実質的に防止し、それによって、パッシブ型ロックを提供するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項3】
前記互いに整合されたポートから前記物体を抜去する力及び前記少なくとも一方のプレートの変位を可能にする力を伝達するためのテザーをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項4】
前記テザーが、吸引カテーテルとともにシース内に収容されていることを特徴とする請求項3に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項5】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第1のポートとが互いに整合されている場合には、前記アセンブリが第1の開放位置に位置合わせされるようにし、
前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置される場合には、前記アクチュエータの作用によって前記両プレートの変位を実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項6】
前記アセンブリが前記第1の位置に位置合わせされている場合、前記近位プレートの前記第2のポートが前記遠位プレートの一部によって閉塞されるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項7】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第2のポートとが互いに整合されている場合、前記アセンブリが第2の開放位置に位置合わせされるようにし、
前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置される場合には、前記アクチュエータの作用によって前記両プレートの変位を実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項8】
前記アセンブリが前記第2の開放位置に位置合わせされた場合、前記近位プレートの前記第1のポートが閉塞されるようにしたことを特徴とする請求項7に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項9】
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの前記第1のポートと前記第2のポートとの間に位置合わせされている場合には、前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートのいずれのポートとも互いに整合されず、かつ前記アセンブリが、各ポートが閉塞されるような第3の閉鎖位置に位置合わせされるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項10】
前記第1のポートと前記第2のポートとが、互いから約180°の角度をなして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項11】
呼吸器アクセスアセンブリであって、
患者の人工気道に機能的に連通して配置されるように適合されたポートを有する遠位プレートと、
第1のポート及び第2のポートを有する近位プレートと、
前記両プレートを共にロックするための手段とを含み、
前記遠位プレートが前記近位プレートに隣接して積層形態で配置され、各プレートが相対的に変位するように構成され、
一方のプレートのポートが他方のプレートのポートと整合されて両ポートが互いに整合された状態でありかつ該両ポートを貫通して物体が配置される場合に、前記手段が、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するようにしたことを特徴とする呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項12】
前記手段が、前記両プレートの少なくとも一方に隣接して配置されたアクチュエータを含み、
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ前記両プレートの前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置される場合には、前記アクチュエータが、前記両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止し、
(a)互いに整合されたポートを貫通して物体が配置されていない場合及び(b)前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの少なくとも一方のポートと整合するように位置合わせされていない場合には、前記アクチュエータが、前記両プレートの少なくとも一方と協働して、前記両プレートの少なくとも一方の相対的な変位を可能にするようにしたことを特徴とする請求項11に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項13】
前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置される場合にのみ、前記アクチュエータの作用によって前記両プレートの変位を実質的に防止し、それによって、パッシブ型ロックを提供するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項14】
前記ポートから前記物体を抜去しかつ前記アクチュエータを非作用状態にするロック解除手段をさらに含み、それによって前記アセンブリをパッシブにロック解除せしめるようにしたことを特徴とする請求項13に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項15】
前記ロック解除手段が、テザーを含むことを特徴とする請求項14に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項16】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第1のポートとが互いに整合されている場合には、前記アセンブリが第1の開放位置に位置合わせされるようにし、
前記互いに整合されたポートを通して物体が変位される場合には、前記アクチュエータの作用によって前記両プレートの変位を実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項17】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第2のポートとが互いに整合されている場合には、前記アセンブリが第2の開放位置に位置合わせされるようにし、
前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置される場合には、前記アクチュエータの作用によって前記両プレートの変位を実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項18】
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの前記第1のポートと前記第2のポートとの間に位置合わせされている場合には、前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートのいずれのポートとも互いに整合されず、かつ前記アセンブリが、各ポートが閉塞されるような第3の閉鎖位置に位置合わせされるようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項1】
呼吸器アクセスアセンブリであって、
患者の人工気道に機能的に連通して配置されるように適合されたポートを有する遠位プレートと、
第1のポート及び第2のポートを有する近位プレートと、
前記両プレートの少なくとも一方に隣接して配置されたアクチュエータとを含み、
前記遠位プレートが前記近位プレートに隣接して積層形態で配置され、前記各プレートが相対的に変位するように構成され、
前記遠位プレートの前記ポートが、前記近位プレートの少なくとも一方のポートと整合するように位置合わせされ、かつ前記両プレートの前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置される場合には、前記アクチュエータが、前記両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止し、
(a)前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置されない場合または(b)前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの少なくとも一方のポートと整合するように位置合わせされない場合には、前記アクチュエータが、前記両プレートの少なくとも一方と協働して、前記両プレートの少なくとも一方の相対的な変位を可能にするようにしたことを特徴とする呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項2】
前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置される場合にのみ、前記アクチュエータの作用によって前記両プレートの変位を実質的に防止し、それによって、パッシブ型ロックを提供するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項3】
前記互いに整合されたポートから前記物体を抜去する力及び前記少なくとも一方のプレートの変位を可能にする力を伝達するためのテザーをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項4】
前記テザーが、吸引カテーテルとともにシース内に収容されていることを特徴とする請求項3に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項5】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第1のポートとが互いに整合されている場合には、前記アセンブリが第1の開放位置に位置合わせされるようにし、
前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置される場合には、前記アクチュエータの作用によって前記両プレートの変位を実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項6】
前記アセンブリが前記第1の位置に位置合わせされている場合、前記近位プレートの前記第2のポートが前記遠位プレートの一部によって閉塞されるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項7】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第2のポートとが互いに整合されている場合、前記アセンブリが第2の開放位置に位置合わせされるようにし、
前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置される場合には、前記アクチュエータの作用によって前記両プレートの変位を実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項8】
前記アセンブリが前記第2の開放位置に位置合わせされた場合、前記近位プレートの前記第1のポートが閉塞されるようにしたことを特徴とする請求項7に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項9】
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの前記第1のポートと前記第2のポートとの間に位置合わせされている場合には、前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートのいずれのポートとも互いに整合されず、かつ前記アセンブリが、各ポートが閉塞されるような第3の閉鎖位置に位置合わせされるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項10】
前記第1のポートと前記第2のポートとが、互いから約180°の角度をなして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項11】
呼吸器アクセスアセンブリであって、
患者の人工気道に機能的に連通して配置されるように適合されたポートを有する遠位プレートと、
第1のポート及び第2のポートを有する近位プレートと、
前記両プレートを共にロックするための手段とを含み、
前記遠位プレートが前記近位プレートに隣接して積層形態で配置され、各プレートが相対的に変位するように構成され、
一方のプレートのポートが他方のプレートのポートと整合されて両ポートが互いに整合された状態でありかつ該両ポートを貫通して物体が配置される場合に、前記手段が、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するようにしたことを特徴とする呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項12】
前記手段が、前記両プレートの少なくとも一方に隣接して配置されたアクチュエータを含み、
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ前記両プレートの前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置される場合には、前記アクチュエータが、前記両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止し、
(a)互いに整合されたポートを貫通して物体が配置されていない場合及び(b)前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの少なくとも一方のポートと整合するように位置合わせされていない場合には、前記アクチュエータが、前記両プレートの少なくとも一方と協働して、前記両プレートの少なくとも一方の相対的な変位を可能にするようにしたことを特徴とする請求項11に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項13】
前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置される場合にのみ、前記アクチュエータの作用によって前記両プレートの変位を実質的に防止し、それによって、パッシブ型ロックを提供するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項14】
前記ポートから前記物体を抜去しかつ前記アクチュエータを非作用状態にするロック解除手段をさらに含み、それによって前記アセンブリをパッシブにロック解除せしめるようにしたことを特徴とする請求項13に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項15】
前記ロック解除手段が、テザーを含むことを特徴とする請求項14に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項16】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第1のポートとが互いに整合されている場合には、前記アセンブリが第1の開放位置に位置合わせされるようにし、
前記互いに整合されたポートを通して物体が変位される場合には、前記アクチュエータの作用によって前記両プレートの変位を実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項17】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第2のポートとが互いに整合されている場合には、前記アセンブリが第2の開放位置に位置合わせされるようにし、
前記互いに整合されたポートを貫通して物体が配置される場合には、前記アクチュエータの作用によって前記両プレートの変位を実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項18】
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの前記第1のポートと前記第2のポートとの間に位置合わせされている場合には、前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートのいずれのポートとも互いに整合されず、かつ前記アセンブリが、各ポートが閉塞されるような第3の閉鎖位置に位置合わせされるようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【公表番号】特表2013−514851(P2013−514851A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545479(P2012−545479)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055249
【国際公開番号】WO2011/077276
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055249
【国際公開番号】WO2011/077276
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
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