説明

ピン駆動機構

【課題】被駆動体と駆動歯車とを噛合い位置に簡便に配置するとともに、被駆動体と駆動歯車との間に生じがちな摩損または破損を回避するピン駆動機構を提供すること。
【解決手段】保持フレーム111に接触して被駆動体110と駆動歯車120との相対的な噛合い位置を位置決めする位置決め用丸ピン130が、駆動歯車120の歯車側面120sに設けられていることを特徴とするピン駆動機構100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプロケット、ピニオン、またはギヤ等の駆動歯車と、この駆動歯車により直線駆動または回転駆動されるピンラックまたはピンホイールのような被駆動体とを備えたピン駆動機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、部品搬送用回転テーブルの回転駆動機構に使用されてモータ等の駆動装置に連結したスプロケットにより駆動されるピンホイールや、車両の生産ラインにおいて搬送台車の直線駆動機構に使用されて同じくモータ等の駆動装置に連結されたピニオンにより駆動されるピンラックのように、一対の保持フレームの間に等ピッチで複数の係合ピンを架設した環状または直線状の被駆動体を、被駆動体の係合ピンと係合する、例えばスプロケット、ピニオン、またはギア等のような外周面に歯を備えた駆動歯車により、回転駆動または直線駆動させるピン駆動機構が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登3005224号公報(段落番号[0007]、図1参照。)
【特許文献2】特開平11−079410号公報(段落番号[0022]、図4参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のピン駆動機構に使用される駆動歯車では、被駆動体に取り付けられた係合ピンが一対の保持フレームに挟まれて被駆動体の係合ピンと駆動歯車の歯との噛合い状態を外部から視認することが困難なため、取付作業の際に駆動歯車を回転させて被駆動体と駆動歯車との噛合い状態を確認し必要に応じて被駆動体または駆動歯車を移動させて被駆動体と駆動歯車の回転軸との距離を調整しなければならず多大な作業時間を費やすという問題があった。
【0005】
また、被駆動体の係合ピンと駆動歯車の歯との間に噛合い不良が発生した場合には被駆動体の係合ピンと駆動歯車の歯との間に形成されるバックラッシュが増大するため、被駆動体および駆動歯車が過度に摩損または破損するおそれがあるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、被駆動体と駆動歯車とを噛合い位置に簡便に配置するとともに、被駆動体と駆動歯車との間に生じがちな摩損または破損を回避するピン駆動機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
まず、本請求項1に係る発明は、左右離間して配置された一対の保持フレームと該保持フレームの相互間に架設状態で等間隔に内装された複数の係合ピンとを有する被駆動体と、前記保持フレーム内の係合ピンに順次噛み込む複数の歯を有する駆動歯車とを備えて、前記被駆動体を駆動歯車により回転駆動または直線駆動するピン駆動機構において、前記保持フレームに接触して被駆動体と駆動歯車との相対的な噛合い位置を位置決めする位置決め手段が、前記駆動歯車の歯車側面に設けられていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記位置決め手段が、前記保持フレームのフレーム幅方向に亘って保持フレームに線接触していることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の構成に加えて、前記位置決め手段が、前記駆動歯車の回転軸と平行に駆動歯車の歯車側面から突出した位置決め用丸ピンから構成されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明の構成に加えて、前記位置決め用丸ピンが、前記駆動歯車の回転軸中心と歯先部とを結ぶ線分上に設けられていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の構成に加えて、前記位置決め手段が、前記駆動歯車の回転軸に外嵌した位置決め用環状部材から構成されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るピン駆動機構によれば、左右離間して配置された一対の保持フレームとこの保持フレームの相互間に架設状態で等間隔に内装された複数の係合ピンとを有する被駆動体と、保持フレーム内の係合ピンに順次噛み込む複数の歯を有する駆動歯車とを備えていることにより、被駆動体を駆動歯車により回転駆動または直線駆動させることができるばかりでなく、以下のような特有の効果を奏することができる。
【0013】
すなわち、請求項1に係る本発明のピン駆動機構によれば、保持フレームに接触して被駆動体と駆動歯車との相対的な噛合い位置を位置決めする位置決め手段が駆動歯車の歯車側面に設けられていることにより、係合ピンが一対の保持フレームの相互間に内装されて被駆動体と駆動歯車との噛合い状態を外部から視認できない場合であっても位置決め手段が保持フレームに当接して被駆動体と駆動歯車とを最適な噛合い位置に位置決めするため、被駆動体と駆動歯車との噛合い状態を確認して被駆動体と駆動歯車との相対的な位置を微調整するという厄介な手間を必要とすることなく被駆動体と駆動歯車とを確実かつ簡便に配置することができ、さらに、従来のピン駆動機構のようなバックラッシュに起因する不都合および被駆動体と駆動歯車との間で生じがちな摩損または破損を回避することができる。
【0014】
本請求項2に係る本発明のピン駆動機構によれば、請求項1に記載されたピン駆動機構が奏する効果に加えて、位置決め手段が保持フレームのフレーム幅方向に亘って保持フレームに線接触していることにより、駆動歯車側の位置決め手段が被駆動体側の保持フレームのフレーム幅方向に亘って最適な噛合い位置に等しく位置決めされるため、被駆動体と駆動歯車との間で生じがちな歯幅方向の偏摩耗を回避することできる。
【0015】
本請求項3に係る本発明のピン駆動機構によれば、請求項1または請求項2に記載されたピン駆動機構が奏する効果に加えて、位置決め手段が駆動歯車の回転軸と平行に駆動歯車の歯車側面から突出した位置決め用丸ピンから構成されていることにより、位置決め用丸ピンが位置決め用丸ピンの回転軌道上で被駆動体の保持フレーム側面と位置決め用丸ピンの円周面を接触させた状態で被駆動体と駆動歯車とを噛合い位置に応じた距離だけ離隔するため、位置決め用丸ピンを保持フレーム側面に接触させるだけで被駆動体と駆動歯車とを簡便に配置することができ、また、位置決め用丸ピンが歯車側面に部分的に設けられて駆動歯車の重量増加を抑制するため、駆動歯車の駆動エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0016】
本請求項4に係る本発明のピン駆動機構によれば、請求項3に記載されたピン駆動機構が奏する効果に加えて、位置決め用丸ピンが駆動歯車の回転軸中心と歯先部とを結ぶ線分上に設けられていることにより、駆動歯車を焼入処理した際に歯先部側で生じる熱処理歪みが歯底部側で生じる熱処理歪みよりも少ないため、熱処理後に位置決め用丸ピンの寸法調整を要せずピン駆動機構の組立負担を軽減することができるとともに、位置決め用丸ピンを保持フレームに接触させる際に被駆動体を回転駆動又は直線駆動させることなく歯が係合ピンの間に簡便に差し込まれるため、被駆動体と駆動歯車とを容易に位置決めすることができる。
【0017】
本請求項5に係る本発明のピン駆動機構によれば、請求項1または請求項2に記載されたピン駆動機構が奏する効果に加えて、位置決め手段が駆動歯車の回転軸に外嵌した位置決め用環状部材から構成されていることにより、位置決め用環状部材が保持フレーム側面と位置決め用環状部材の外周面とを接触させた状態で被駆動体と駆動歯車とを噛合い位置に応じた距離だけ離隔するため、被駆動体に対する駆動歯車の配置位置に依らず駆動歯車の全周に亘って被駆動体と駆動歯車とを噛合い位置に連続して位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施例であるピン駆動機構を示す斜視図。
【図2】図1の駆動歯車を示す斜視図。
【図3】図1のピン駆動機構を示す一部切欠正面図。
【図4】図2の駆動歯車を示す正面図。
【図5】本発明の第2実施例であるピン駆動機構を示す斜視図。
【図6】図5のピン駆動機構を示す一部切欠正面図。
【図7】本発明の第3実施例であるピン駆動機構の駆動歯車を示す斜視図。
【図8】本発明の第3実施例であるピン駆動機構を示す一部切欠正面図。
【図9】本発明の第4実施例であるピン駆動機構を示す一部切欠正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のピン駆動機構は、左右離間して配置された一対の保持フレームとこの保持フレームの相互間に架設状態で等間隔に内装された複数の係合ピンとを有する被駆動体と、保持フレーム内の係合ピンに順次噛み込む複数の歯を有する駆動歯車とを備えて、被駆動体を駆動歯車により回転駆動または直線駆動するピン駆動機構において、保持フレームに接触して被駆動体と駆動歯車との相対的な噛合い位置を位置決めする位置決め手段が、駆動歯車の歯車側面に設けられて、被駆動体と駆動歯車とを噛合い位置に簡便に配置するとともに、被駆動体と駆動歯車との間で生じがちな摩損または破損を回避するものであれば、その具体的な態様はいかなるものであっても構わない。
【0020】
なお、本発明でいうところの「相対的な噛合い位置」とは、被駆動体と駆動歯車とが支障なく噛み合って円滑な動力伝達を達成できる位置を意味するものである。
【0021】
すなわち、本発明で使用されるピン駆動機構は、部品搬送用回転テーブルの回転駆動機構や、搬送台車の直線駆動機構に使用されるものであってもよいし、円筒ドラムを駆動する回転駆動機構や、風力発電機の風車により発電機を駆動する駆動機構に使用するものであっても構わない。
【0022】
また、本発明で用いる被駆動体の係合ピンについては、駆動歯車の歯と直接係合するものであっても、または、係合ピンに遊嵌される中空ローラを介して駆動歯車の歯と間接的に係合するものであっても構わない。
特に、係合ピンが中空ローラを介して歯と係合する場合には、中空ローラと歯とが転がり接触するため、係合ピンと歯とが直接係合して滑り接触する場合と比較して被駆動体と駆動歯車とが円滑に係合することができる。
【0023】
また、保持フレーム側面と位置決め手段の接触態様については、位置決め手段が保持フレーム側面に接触して被駆動体と駆動歯車との相対的な噛合い位置を規定すれば良く、保持フレーム側面と位置決め手段とが、点接触するものであっても、または、駆動歯車の回転軸方向と平行に線接触するものであっても構わない。
【0024】
また、位置決め手段は、保持フレーム側面に接触するものであるから、耐摩耗性の高い素材で形成されていることが望ましい。
【実施例1】
【0025】
以下、本発明の第1実施例であるピン駆動機構について図面に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の第1実施例であるピン駆動機構を示す斜視図であり、図2は、図1の駆動歯車を示す斜視図であり、図3は、図1のピン駆動機構を示す一部切欠正面図であり、図4は、図2の駆動歯車を示す正面図である。
【0026】
まず、本発明の第1実施例であるピン駆動機構100は、図1に示すように、左右離間して配置された一対の保持フレーム111、111とこの保持フレーム111、111の相互間に架設状態で等間隔に内装された複数の係合ピン112とを有する環状の被駆動体110と、保持フレーム111、111内の係合ピン112に順次噛み込む複数の歯121を有する駆動歯車120とを備えて、被駆動体110を駆動歯車120により回転駆動させる。
【0027】
また、被駆動体110は、係合ピン112に被嵌した中空ローラ113を備えており、係合ピン112は、中空ローラ113を介して歯121と噛み合っている。
これにより、中空ローラ113と歯121とが転がり接触するため、被駆動体110と駆動歯車120とが円滑に係合する。
【0028】
次に、本実施例のピン駆動機構100が最も特徴とする位置決め手段の具体的な形態について、図面に基づいて説明する。
まず、図2および図3に示すように、保持フレーム111に接触して被駆動体110と駆動歯車120との相対的な噛合い位置を位置決めする位置決め用丸ピン130から成る位置決め手段は、駆動歯車120の歯車側面120sに設けられている。
これにより、左右一対の保持フレーム111、111の相互間に内装された係合ピン112とこの係合ピン112に噛み込む歯121との間の噛合い状態を保持フレーム111で隠れて外部から視認できない場合であっても、位置決め用丸ピン130が、保持フレーム111の保持フレーム側面111sと位置決め用丸ピン130とを当接させて被駆動体110と駆動歯車120とを最適な噛合い位置に位置決めしている。
【0029】
また、位置決め用丸ピン130は、保持フレーム111の保持フレーム幅方向に亘ってすなわち図3中の紙面に対して垂直方向に保持フレーム側面111sと線接触している。
これにより、駆動歯車120に設けられた位置決め用丸ピン130が、被駆動体110の保持フレーム111のフレーム幅方向に亘って最適な噛合い位置に等しく位置決めされている。
【0030】
また、位置決め用丸ピン130は、図2に示すように、駆動歯車120の回転軸O1と平行に駆動歯車120の歯車側面120sから突出している。
これにより、位置決め用丸ピン130が、位置決め用丸ピン130の回転軌道上で被駆動体110の保持フレーム側面111sとこの保持フレーム側面111sに接触する位置決め用丸ピン130の円周面130sを接触させた状態で被駆動体110と駆動歯車120とを噛合い位置に応じた距離だけ離隔して歯車側面120sに部分的に設けられて駆動歯車120の重量増加を抑制する。
【0031】
また、本実施例のピン駆動機構100は、駆動歯車120のピッチ円C1が被駆動体110の係合ピン112の中心点を結んで形成される係合ピン中心円C2と接するように被駆動体110と駆動歯車120とを配置して、被駆動体110と駆動歯車120とを支障なく噛み合わせて円滑な動力伝達を達成している。
このとき、位置決め用丸ピン130は、図3に示すように、駆動歯車120のピッチ円半径P1と駆動歯車120のピッチ円C1に接する係合ピン中心円C2の半径P2との和が、位置決め用丸ピン130の回転軌道の半径R1と被駆動体110の半径R2との和に等しくなるように被駆動体110および駆動歯車120を位置決めしている。
【0032】
また、位置決め用丸ピン130は、図4に示すように、駆動歯車120の回転軸O1中心と歯先部122とを結ぶ線分上に設けられている。
これにより、駆動歯車120を焼入処理した際に歯先部122で生じる熱処理歪みが歯底部123で生じる熱処理歪みよりも少なく、また、位置決め用丸ピン130を保持フレーム111に接触させる際に被駆動体110を回転駆動させることなく歯121が係合ピン112の間に簡便に差し込まれるようになっている。
【0033】
このようにして得られた本実施例のピン駆動機構100は、保持フレーム111に接触して被駆動体110と駆動歯車120との相対的な噛合い位置を位置決めする位置決め用丸ピン130が駆動歯車120の歯車側面120sに設けられていることにより、被駆動体110と駆動歯車120との噛合い状態を確認して被駆動体110と駆動歯車120との距離を調整という厄介な手間を必要とすることなく被駆動体110と駆動歯車120とを確実かつ簡便に配置できるとともに従来のピン駆動機構で生じがちなバックラッシュに起因する不都合および被駆動体110と駆動歯車120との間で生じがちな摩損または破損を回避することができる。
【0034】
また、位置決め用丸ピン130が駆動歯車120の回転軸O1と平行に駆動歯車120の歯車側面120sから突出しているとともに保持フレーム111の保持フレーム幅方向に亘って保持フレーム側面111sと線接触していることにより、位置決め用丸ピン130を保持フレーム側面111sに接触させるだけで被駆動体110と駆動歯車120とを簡便に配置するとともに、駆動歯車120の駆動エネルギーの利用効率を向上させる被駆動体110と駆動歯車120との間で生じがちな歯幅方向の偏摩耗を回避することができる。
【0035】
さらに、位置決め用丸ピン130が駆動歯車120の回転軸O1中心と歯先部122とを結ぶ線分上に設けられていることにより、熱処理後に位置決め用丸ピン130の寸法調整を要せずピン駆動機構100の組立負担を軽減することができるとともに被駆動体110と駆動歯車120とを容易に位置決めすることができる等、その効果は甚大である。
【実施例2】
【0036】
次に、本発明の第2実施例であるピン駆動機構200について、図面に基づいて説明する。
ここで、図5は、本発明の第2実施例であるピン駆動機構を示す斜視図であり、図6は、図5のピン駆動機構を示す一部切欠正面図である。
本発明の第2実施例であるピン駆動機構200は、図5に示すように、上述した第1実施例のピン駆動機構100と比較すると、被駆動体210の構成のみが異なっており、その余の部品構成については基本的に何ら変わるところがないため、上述した第1実施例のピン駆動機構100と同一の部材について対応する200番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0037】
本実施例のピン駆動機構200に係る被駆動体210は、図5に示すように、左右離間して配置された一対の保持フレーム211、211とこの保持フレーム211、211の相互間に架設状態で等間隔に内装された複数の係合ピン212とを有する直線状の被駆動体210と、保持フレーム211、211内の係合ピン212に順次噛み込む複数の歯221を有する駆動歯車220とを備えて、被駆動体210を駆動歯車220により直線駆動させる。
【0038】
また、本実施例のピン駆動機構200は、駆動歯車220のピッチ円C1が被駆動体210の係合ピン212の中心点を結んで形成される係合ピン中心線Lと接するように被駆動体210と駆動歯車220とを配置して、被駆動体210と駆動歯車220とを支障なく噛み合わせて円滑な動力伝達を達成している。
このとき、位置決め用丸ピン230は、図6に示すように、駆動歯車220のピッチ円半径P1が、位置決め用丸ピン230の回転軌道の半径R1と被駆動体210の係合ピン中心線Lから保持フレーム側面211sまでの芯高さHとの和に等しくなるように被駆動体210および駆動歯車220を位置決めしている。
【0039】
このようにして得られた本実施例のピン駆動機構200は、前述した第1実施例のピン駆動機構100と同様の効果を奏することができる。
【実施例3】
【0040】
次に、本発明の第3実施例であるピン駆動機構300について、図面に基づいて説明する。
ここで、図7は、本発明の第3実施例であるピン駆動機構の駆動歯車を示す斜視図であり、図8は、本発明の第3実施例であるピン駆動機構を示す一部切欠正面図である。
本発明の第3実施例であるピン駆動機構300は、図8に示すように、上述した第1実施例のピン駆動機構100と比較すると、位置決め手段の構成のみが異なっており、その余の部品構成については基本的に何ら変わるところがないため、上述した第1実施例のピン駆動機構100と同一の部材について対応する300番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0041】
本実施例のピン駆動機構300に係る位置決め用環状部材330から成る位置決め手段は、図7に示すように、歯車側面311sから膨出したボス324に駆動歯車320の回転軸O1と同軸で外嵌されている。
【0042】
また、本実施例のピン駆動機構300は、駆動歯車320のピッチ円C1が被駆動体310の係合ピン312の中心点を結んで形成される係合ピン中心円C2と接するように被駆動体310と駆動歯車320とを配置して、被駆動310と駆動歯車320とを支障なく噛み合わせて円滑な動力伝達を達成している。
このとき、位置決め用環状部材330は、図8に示すように、駆動歯車320のピッチ円半径P1と駆動歯車320のピッチ円C1に接する係合ピン中心円C2の半径P2との和が、位置決め用環状部材330の回転軌道の半径R3と被駆動体の半径R2との和に等しくなるように被駆動体310および駆動歯車320を位置決めしている。
【0043】
このようにして得られた本実施例のピン駆動機構300は、前述した第1実施例のピン駆動機構100と同様の効果を奏するばかりでなく、位置決め環状部材330が保持フレーム側面311sと位置決め環状部材330の外周面330sとを接触させた状態で被駆動体310と駆動歯車320とを噛合い位置に応じた距離だけ離隔するため、被駆動体310に対する駆動歯車320の配置位置に依らず駆動歯車320の全周に亘って被駆動体310と駆動歯車320とを噛合い位置に連続して位置決めすることができる。
【実施例4】
【0044】
次に、本発明の第4実施例であるピン駆動機構400について、図面に基づいて説明する。
ここで、図9は、本発明の第4実施例であるピン駆動機構を示す一部切欠正面図である。
本発明の第4実施例であるピン駆動機構400は、図5に示すように、上述した第3実施例のピン駆動機構300と比較すると、被駆動体410の構成のみが異なっており、その余の部品構成については基本的に何ら変わるところがないため、上述した第3実施例のピン駆動機構300と同一の部材について対応する400番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0045】
また、本実施例のピン駆動機構400に係る被駆動体410は、第2実施例の被駆動体210と同様に、左右離間して配置された一対の保持フレーム411、411とこの保持フレーム411、411の相互間に架設状態で等間隔に内装された複数の係合ピン412とを有する直線状の被駆動体410と、保持フレーム411、411内の係合ピン412に順次噛み込む複数の歯421を有する駆動歯車420とを備えて、被駆動体410を駆動歯車420により直線駆動させる。
【0046】
また、本実施例のピン駆動機構400は、駆動歯車420のピッチ円C1が被駆動体410の係合ピン412の中心点を結んで形成される係合ピン中心線Lと接するように被駆動体410と駆動歯車420とを配置して、被駆動体410と駆動歯車420とを支障なく噛み合わせて円滑な動力伝達を達成している。
このとき、位置決め用環状部材430は、図9に示すように、駆動歯車420のピッチ円半径P1が、位置決め用環状部材430の回転軌道の半径R3と係合ピン中心線Lから保持フレーム側面411sまでの芯高さHとの和に等しくなるように被駆動体410と駆動歯車420を位置決めしている。
【0047】
このようにして得られた本実施例のピン駆動機構400は、前述した第3実施例のピン駆動機構300と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0048】
100、200、300、400 ・・・ ピン駆動機構
110、210、310、410 ・・・ 被駆動体
111、211、311、411 ・・・ 保持フレーム
111s、211s、311s、411s・・・ 保持フレーム側面
112、212、312、412 ・・・ 係合ピン
113、213、313、413 ・・・ 中空ローラ
120、220、320、420 ・・・ 駆動歯車
120s、220s・・・歯車側面
121、221、321、421 ・・・ 歯
122 ・・・ 歯先部
123 ・・・ 歯底部
324、424 ・・・ ボス
130、230 ・・・ 位置決め用丸ピン
130s、230s・・・円周面
330、430 ・・・ 位置決め用環状部材
330s、430s・・・外周面
O1・・・ 駆動歯車の回転軸
O2・・・ 被駆動体の回転軸
P1・・・ 駆動歯車のピッチ円半径
P2・・・ 係合ピン中心円の半径
R1・・・ 位置決め用丸ピンの回転軌道の半径
R2・・・ 被駆動体の半径
R3・・・ 位置決め用環状部材の回転軌道の半径
H・・・ 芯高さ
C1・・・ 駆動歯車のピッチ円
C2・・・ 係合ピン中心円
L・・・ 係合ピン中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右離間して配置された一対の保持フレームと該保持フレームの相互間に架設状態で等間隔に内装された複数の係合ピンとを有する被駆動体と、前記保持フレーム内の係合ピンに順次噛み込む複数の歯を有する駆動歯車とを備えて、前記被駆動体を駆動歯車により回転駆動または直線駆動するピン駆動機構において、
前記保持フレームに接触して被駆動体と駆動歯車との相対的な噛合い位置を位置決めする位置決め手段が、前記駆動歯車の歯車側面に設けられていることを特徴とするピン駆動機構。
【請求項2】
前記位置決め手段が、前記保持フレームのフレーム幅方向に亘って保持フレームに線接触していることを特徴とする請求項1に記載のピン駆動機構。
【請求項3】
前記位置決め手段が、前記駆動歯車の回転軸と平行に駆動歯車の歯車側面から突出した位置決め用丸ピンから構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のピン駆動機構。
【請求項4】
前記位置決め用丸ピンが、前記駆動歯車の回転軸中心と歯先部とを結ぶ線分上に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のピン駆動機構。
【請求項5】
前記位置決め手段が、前記駆動歯車の回転軸に外嵌した位置決め用環状部材から構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のピン駆動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−219960(P2012−219960A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88444(P2011−88444)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(500310993)株式会社椿本スプロケット (7)
【Fターム(参考)】