説明

ピークレベル保持機能を備えたモニター

【課題】
従来のエンベデッドオーディオのレベルメータは一定期間のピークレベルの表示を行い、使用者はそれによりオーディオの基準レベルを調整するものであった。しかしながら、ピークレベルおよびそれに達する時間は映像シーン毎に異なり、オーディオの基準レベルは一定期間のピークレベル表示だけで調整できるものではなく、使用者がその一定期間より過去のピークレベルを記憶し、基準レベルを調整する必要があった。
【解決手段】
本発明によるモニターは、使用者が映像を見ながら決定した任意期間(映像シーン単位)のピークレベル表示、およびピークレベルに達した時間(タイムコード)を映像と共に表示可能とすることにより、オーディオ基準レベルの調整を容易化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンベデッドオーディオのピークレベル保持機能を備えたモニターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエンベデッドオーディオのレベルメータは、一定期間のピークレベルの表示を行い、使用者はそれによりオーディオの基準レベルを調整するものであった。
【0003】
【特許文献1】特開平05−157578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ピークレベルおよびそれに達する時間は映像シーン毎に異なり、オーディオの基準レベルは一定期間のピークレベル表示だけで調整できるものではなく、よって使用者がその一定期間より過去のピークレベルを記憶し、基準レベルを調整する必要があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決し、映像を見ながら使用者が決定した任意期間(映像シーン単位)のピークレベル表示、およびピークレベルに達した時間(タイムコード)の表示を可能とするモニターを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決する為に、本発明のエンベデッドオーディオのピークレベル保持機能を備えたモニターは、SDI信号に多重されたエンベデッドオーディオのレベルメータ表示について、映像を見ながら使用者が決定した任意期間中のピークレベル保持機能を持つことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、任意期間のピークレベル保持機能は、モニター搭載のスイッチのON/OFFにて実行され、それがONの期間中はピークレベルを更新して保持し続けるので、映像シーン単位でのピークレベル表示が可能となる。
【0008】
更に本発明によれば、ピークレベルが更新された場合には、その時間としてSDI信号に多重されたタイムコードを記録して表示するので、映像シーン単位でピークレベルに達した時間の表示が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、映像シーン単位でピークレベル表示、およびピークレベルに達した時間(タイムコード)の表示が可能なので、使用者が過去のピークレベルを記憶し、基準レベルを調整する必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、従来の技術について図1を用いて説明する。
【0011】
SDI信号1を映像確認用モニターに入力し、セレクタ回路2にて映像データ3、オーディオデータ4を取り出す。レベル検出回路5にて閾値処理をし、オーディオデータ4をレベルメータ表示用のレベルデータ6に変換する。レベルデータ6はピークレベル検出回路7に入力されて、ディスプレイ10表示用のレベルメータ8とピークレベル9に変換される。
【0012】
ピークレベル検出回路7はピークレベルの更新およびリセットを行い、よってピークレベル9は現在から一定期間過去の最大値となり、それがレベルメータ8とともにディスプレイ10に表示される。
【0013】
使用者はディスプレイ10に表示される映像データ3を見ながら、ピークレベルを監視および記憶し、その記憶により映像シーン単位でオーディオの基準レベルを調整する。
【0014】
次に、本発明における任意期間のピークレベル保持機能を、映像確認用モニターに適用した場合について、図2を用いて説明する。
【0015】
SDI信号11を映像確認用モニターに入力し、セレクタ回路12にて映像データ13、オーディオデータ14、タイムコードデータ21を取り出す。レベル検出回路15にて閾値処理をし、オーディオデータ14をレベルメータ表示用のレベルデータ16に変換する。レベルデータ16、タイムコードデータ21はピークレベル検出回路17に入力されて、ディスプレイ20表示用のレベルメータ18とピークレベル19とタイムコード22に変換される。
【0016】
ピークレベル保持スイッチ23がONの間は、ピークレベル検出回路17はピークレベルの更新、および更新時のタイムコードの記録を行い、よってピークレベル19はピークレベル保持スイッチ23がONになってから現在までの最大値となり、タイムコード22はそのピークレベルに達した時間となり、それらがレベルメータ18とともにディスプレイ20に表示される。
【0017】
ピークレベル保持スイッチ23がOFFの間は、ピークレベル検出回路17はピークレベルの更新およびリセット、および更新時のタイムコードの記録を行い、よってピークレベル19は現在から一定期間過去の最大値となり、タイムコード22は現在から一定期間過去のピークレベルに達した時間となり、それらがレベルメータ18とともにディスプレイ20に表示される。
【0018】
また、ピークレベル保持スイッチ23がONからOFFになった瞬間に、ピークレベル検出回路17はピークレベルのリセットを行い、よってピークレベル19はその瞬間、レベルメータ18と同じレベルでディスプレイ20に表示される。
【0019】
同様に、ピークレベル保持スイッチ23がONからOFFになった瞬間に、ピークレベル検出回路17はタイムコードのリセット(現在、SDI信号に多重されているタイムコードに更新)を行い、よってタイムコード22はその瞬間、タイムコードデータ21に同じ値がディスプレイ20に表示される。
【0020】
使用者はディスプレイ20に表示される映像データ13、およびタイムコードデータ21を見ながら、ピークレベル保持スイッチ23をONすることで、ディスプレイ20にて映像シーン単位のピークレベル19とそのピークレベルに達した時間タイムコード22を把握することが可能となる。
【0021】
またピークレベル保持スイッチ23を1度OFFすることにより、ピークレベル19およびタイムコード22はリセットされるので、映像シーンの切り替わりにも素早く対応できる。
【0022】
以下、本発明における任意期間のピークレベル保持機能を、映像確認用モニターに適用した場合のモニター表示について、図3を用いて説明する。
【0023】
はじめに、実線で囲まれた領域がモニターの表示領域39となり、その中に全ての情報(レベルメータ、タイムコード、映像)を同時に表示する。レベルメータについては、本来チャンネルCH1〜CH16まで表示するが、ここでは図の見易さを考慮してCH1〜CH8にて説明する。
【0024】
オーディオレベルメータ表示31は画面中央に配置し、エンベデッドオーディオのCH1〜CH8について、ピークレベル32と現在のオーディオレベル33を表示する。
【0025】
タイムコード表示34はエンベデッドオーディオのCHの数だけ用意し、ピークレベルに達した時間はタイムコード35のように表示し、エンベデッドオーディオが多重されていない場合、あるいはタイムコードが多重されていない場合には、タイムコード36のように表示する。
【0026】
使用者は、映像表示エリア38にて現在の入力映像を確認しながらVITC(Vertical Interval Time Code)のタイムコード表示37にて入力映像のタイムコードを確認し、映像確認用モニター搭載のピークレベル保持スイッチをON/OFFすることで、映像シーン単位のピークレベル32とそのピークレベルに達した時間のタイムコード35を把握することができる。
【0027】
更に、本モニターを映像監視用モニターとして使用する場合のモニター表示内容を図4に示す。目的によって不必要となる情報(オーディオレベルメータ、タイムコード、等)の表示/非表示を使用者が選択可能とすることで、入力映像表示領域41に表示された入力映像を監視するモニターとしても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来技術による映像確認用モニターの機能ブロック図である。
【図2】本発明による映像確認用モニターの機能ブロック図である。
【図3】本発明において任意期間のピークレベル保持機能を実行した場合のモニター表示図である。
【図4】本発明において入力映像のみを監視する場合のモニター表示図である。
【符号の説明】
【0029】
1 SDI映像信号
2 セレクタ回路
3 映像データ
4 オーディオデータ
5 レベルデータ作成用レベル検出回路
6 レベルメータ用データ
7 モニター表示用レベルメータとピークレベルの作成回路
8 モニター表示用レベルメータ
9 モニター表示用ピークレベル
10 映像確認用モニターのディスプレイ
11 SDI映像信号
12 セレクタ回路
13 映像データ
14 オーディオデータ
15 レベルデータ作成用レベル検出回路
16 レベルメータ用データ
17 モニター表示用レベルメータとピークレベルとタイムコードの作成回路
18 モニター表示用レベルメータ
19 モニター表示用ピークレベル
20 映像確認用モニターのディスプレイ
21 タイムコードデータ
22 モニター表示用タイムコード
23 映像確認用モニター搭載のピークレベル保持スイッチ
31 オーディオレベルメータ表示
32 ピークレベル
33 現在のオーディオレベル
34 ピークレベルのタイムコード表示
35 チャンネル毎のピークレベルのタイムコード表示
36 エンベデッドオーディオがない又はタイムコードがない場合のタイムコード表示
37 現在のタイムコード表示
38 入力映像表示領域
39 ディスプレイの表示領域
41 入力映像表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SDI信号に多重されたエンベデッドオーディオのレベルメータ表示において、使用者が同一画面内の映像を見ながら決定した任意期間に対して、ピークレベル保持表示機能を持つことを特徴とするモニター。
【請求項2】
前記任意期間のピークレベル保持表示機能は、モニター搭載のスイッチのON/OFFにて実行され、それがONの期間中はピークレベルを更新して保持・表示し続けることを特徴とする請求項1記載のモニター。
【請求項3】
前記任意期間のピークレベル保持表示機能は、ピークレベルが更新された場合には、その時間としてSDI信号に多重されたタイムコードを記録・表示することを特徴とする請求項1及び2記載のモニター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−69549(P2009−69549A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238662(P2007−238662)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000101330)アストロデザイン株式会社 (28)
【Fターム(参考)】