説明

ピース押圧装置

【課題】ピースと貯蔵タンク内壁との肌付けを確実に行うことができ、作業効率良くピースと貯蔵タンク内壁との肌付け作業を行うことができるピース押圧装置を得る。
【解決手段】ピース20を角部へ押圧する角部押圧治具110と、ピース20を、ピース20とコルゲーション11との重合部へ押圧するコルゲーション部押圧治具120と、ピース20を押圧する押圧部140と、押圧部140を着脱自在に支持するストッパ150と、ストッパ150が設けられたフレーム151とを備え、フレーム151には、押圧部140が角部にピース20を押圧する角部押圧位置、押圧部140が角部と隣接する一方の重合部にピース20を押圧する第1の重合部押圧位置、及び押圧部140が角部と隣接する他方の重合部にピース20を押圧する第2の重合部押圧位置にストッパ150を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵タンク内壁に設けられたコルゲーションを貯蔵タンク内壁の角部で連接するためのピースを貯蔵タンク内壁に押圧するためのピース押圧装置に関し、特に角部角度θが180°<θ<360°である貯蔵タンク内壁の角部に配設されるピースを貯蔵タンク内壁に押圧するためのピース押圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貯蔵タンク内壁をメンブレン構造とするため、所定間隔で直交するコルゲーションが形成されたメンブレンシート(金属薄板)を貯蔵タンク内壁の平面部全域に液密性及び気密性を有するように溶接接合する。また、貯蔵タンク内壁の角部では隣接する各平面部に設けられたコルゲーションが間欠してしまうため、これらコルゲーションを連接するために、コルゲーションの上部にピースを重ね合わせて溶接接合する。
【0003】
このピースは、内面形状がコルゲーションの外面形状に対応した半筒形状の金属薄板を、貯蔵タンク内壁の角部角度に折り曲げられた形状となっている。また、このピースのコルゲーション形成方向と直交する方向のそれぞれには、ピースを貯蔵タンク内壁(又はメンブレンシート)に溶接する際の溶接代となる側部が延設されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピースは3次元的に例えばプレス成形されるため、その形状は必ずしも正確ではない。また、貯蔵タンク内壁の平面部に設けられているコルゲーションも正確に配置されてはいない。このため、ピースをコルゲーションに重ね合わせても、ピースと貯蔵タンク内壁(又はメンブレンシート)とをうまく肌付けできない。このため、従来より、ピースをハンマーで叩く(以下、ハンマーリングという)等によってピースと貯蔵タンク内壁(又はメンブレンシート)との肌付けを行っている。
【0005】
しかしながら、3次元的に形成されたピースは剛性が高いので、ピースと貯蔵タンク内壁(又はメンブレンシート)との肌付けを行うために、強くハンマーリングを行わなければならない場合がある。このとき、ピースが損傷してしまうことがある。このため、ハンマーリングではピースと貯蔵タンク内壁(又はメンブレンシート)との肌付けをうまく行えないという問題点があった。
また、ハンマーリングによるピースと貯蔵タンク内壁(又はメンブレンシート)との肌付け作業は作業効率が悪い(作業に時間がかかる)という問題点があった。
【0006】
本発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、第1の目的は、ピースと貯蔵タンク内壁(又はメンブレンシート)との肌付けを確実に行うことができるピース押圧装置を得ることである。また、第2の目的は、作業効率良くピースと貯蔵タンク内壁(又はメンブレンシート)との肌付け作業を行うことができるピース押圧装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るピース押圧装置は、貯蔵タンク内壁の平面部に設けられたコルゲーションを前記貯蔵タンク内壁の角部で連接するために配設するピースを、前記貯蔵タンク内壁に押圧するピース押圧装置であって、前記ピースを前記角部へ押圧するための角部押圧治具と、前記ピースを、前記ピースと前記コルゲーションとの重合部へ押圧するためのコルゲーション部押圧治具と、前記角部押圧治具を介して前記ピースを前記角部へ押圧し、前記コルゲーション部押圧治具を介して前記ピースを前記ピースと前記コルゲーションとの重合部へ押圧する押圧手段と、前記押圧手段を着脱自在に支持する支持部と、前記支持部が設けられたフレーム部とを備え、該フレームには、前記押圧手段が前記角部に前記ピースを押圧する角部押圧位置、前記押圧手段が前記角部と隣接する一方の前記平面部に形成された前記重合部に前記ピースを押圧する第1の重合部押圧位置、及び前記押圧手段が前記角部と隣接する他方の前記平面部に形成された前記重合部に前記ピースを押圧する第2の重合部押圧位置に前記支持部が設けられているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、押圧手段は、角部押圧治具を介してピースを角部押圧位置に押圧し、コルゲーション部押圧治具を介してピースを第1の重合部押圧位置及び第2の重合部押圧位置に押圧するので、ピースと貯蔵タンク内壁(又はメンブレンシート)との肌付けを確実に行うことができる。
また、フレームに設けられた支持部に押圧手段を支持させることにより、角部押圧位置、第1の重合部押圧位置、及び第2の重合部押圧位置に押圧手段を移動させることが容易となる。このため、作業効率良くピースと貯蔵タンク内壁(又はメンブレンシート)との肌付け作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態における貯蔵タンクの壁面形状を示す縦断面模式図である。図2は図1のP部拡大図であり、(a)はピースが角部に配設されていない状態を示す拡大図、(b)はピースが角部に配設されている状態を示す拡大図である。また、図3は、図2に示すピースの詳細図である。なお、以下の図では、壁面2gに設けられた部材については符号aを、注入口4の壁面に設けられた部材については符号bを付して説明する。
【0010】
図1に示すように、貯蔵タンク1は例えば壁面2a〜2hで形成された八角柱形状等の多角形状をしており、その両端が壁面3によって閉塞されている。また、貯蔵タンク1(壁面2a〜2h、壁面3及び注入口4の壁面)の内壁には、所定間隔で直交するコルゲーション11が形成されたメンブレンシート10が溶接接合されている。
【0011】
図2(a)に示すように、貯蔵タンク1の角部(壁面2gと注入口4との接合部)では、壁面2gに設けられたメンブレンシート10aのコルゲーション11aと注入口4の壁面に設けられたメンブレンシート10bのコルゲーション11bとが間欠した状態となる。このため、図2(b)に示すように、コルゲーション11a及びコルゲーション11bにピース20を重ね合わせてピース20の全周を溶接することにより、コルゲーション11aとコルゲーション11bとを連接している。
【0012】
図2及び図3に示すように、このピース20は例えばステンレス製の薄板で形成されており、コルゲーション部21と側部22から構成されている。コルゲーション部21の形状は、内面形状がコルゲーション11の外面形状と対応した略半筒形状を、角部角度θ=270°に折り曲げられた形状となっている。また、コルゲーション部21のコルゲーション形成方向と直交する方向のそれぞれに、側部22が延設されている。このピース20は、例えばプレス成形により形成される。
【0013】
(ピース押圧装置)
次に、ピース20を貯蔵タンク1の内壁に押圧するためのピース押圧装置100について説明する。
図4は、本発明の実施の形態における角部押圧治具を用いている状態のピース押圧装置を示す外観斜視図である。図5は、コルゲーション部押圧治具を用いている状態のピース押圧装置を示す外観斜視図である。また、図6は、図5のA−A断面模式図である。以下、これら図4〜図6を用いて本実施の形態におけるピース押圧装置について説明する。なお、図4〜図6に示すピース押圧装置は、壁面2gと注入口4との接合部(角部角度θ=270°)で使用するピース押圧装置を示している。また、図6では、説明を容易とするために、押圧部の一部を破断して示している。
【0014】
図4に示すように、ピース押圧装置100は、角部押圧治具110、押圧部140、及びフレーム部150等から構成されている。なお、図5に示すように、ピース押圧装置100は、角部押圧治具110に換えてコルゲーション部押圧治具120を用いることも可能である。
【0015】
フレーム部150は、角部(壁面2gと注入口4との接合部)を囲うように設けられており、フレーム151、ストッパ155(155a,155b)、ノットクランプ160等から構成されている。例えばアルミニウム製のフレーム151は、所定の間隔を介して配置された一対の略L字型フレーム151a,151bから構成されてている。具体的には、フレーム151aは、壁面2gに略平行なフレーム152aと注入口4の壁面に略平行なフレーム153aとがフレーム152a及びフレーム153aのそれぞれと略135°の角度で配置されたフレーム154aで連設された形状となっている。フレーム151bは、壁面2gに略平行なフレーム152bと注入口4の壁面に略平行なフレーム153bとがフレーム152b及びフレーム153bのそれぞれと略135°の角度で配置されたフレーム154bで連設された形状となっている。これらフレーム151a,151bが所定の間隔を介して配置されることにより、フレーム151が構成されている。
【0016】
なお、本実施の形態では、後述する押圧部140が152a,152b、153a,153b及び154a,154bのそれぞれに設けられたとき、押圧部140の押圧方向と152a,152b、153a,153b及び154a,154bのそれぞれが略垂直となるようにフレーム151を略L字形状に形成している。しかしながら、押圧部の設置方向(押圧方向)を本実施の形態と同様にできればフレーム151を略L字形状に形成する必要はなく、例えば略円弧状のフレームとしてもよい。
【0017】
これらフレーム152a,152b、フレーム153a,153b及びフレーム154a,154bのそれぞれの外面部には、本発明の支持部に相当するストッパ155a,155bが壁面側に突出して設けられている。このストッパ155a,155bは略直方体をしており、壁面側の縁部及びこの縁部と連接する縁部の一部がフレーム151a,151b(フレーム152a,152b、フレーム153a,153b及びフレーム154a,154b)の内側に向けて突出している。つまり、ストッパ155a,155bのフレーム151a,151bと接する面には、略L字形状の凸部155ai、1545iが形成されている。そして、図6に示すように、ストッパ155a,155bがフレーム151a,151bの外面部に設けられた状態においては、凸部155ai、1545iにおける壁面側の縁部と連接する縁部側の端部がフレーム151a,151bの壁面側側部と接し、有底の溝部156a,156bが形成される。この溝部156a,156bが本発明の係合凹部に相当する。
【0018】
なお、本実施の形態では凸部155ai、1545iの内側側部とフレーム151a,151bの壁面側側部とで溝部156a,156bを形成したが、ストッパ155a,155bに直接溝部156a,156bを形成してもよい。フレーム151a,151bに直接溝部156a,156bを形成してもよい。
【0019】
フレーム151a,151bの両端部には、ブロック157を介して取り付けられたノットクランプ160が設けられている。このノットクランプ160はメンブレンシート10に形成されたコルゲーション11とコルゲーション12との交差部(以下、ノット部という)を挟持するものであり、固定クランプ部材161、摺動板162、可動クランプ部材163及びクランプ部164等から構成されている。
【0020】
例えば略直方体形状の固定クランプ部材161はブロック157に固定されており、端部にはコルゲーション11の外面形状と対応した面圧部161aが形成されている。例えば略直方体形状の可動クランプ部材163はブロック157に固定された摺動板162に設けられており、端部にはコルゲーション11の外面形状と対応した面圧部163aが形成されている。この可動クランプ部材163には摺動板162の両側部と係合する凹溝(図示せず)が形成されており、可動クランプ部材163は摺動板162に摺動自在に設けられている。また、固定クランプ部材161及び可動クランプ部材163のコルゲーション12と対向する面のそれぞれには、コルゲーション12の外面形状と対応した面圧部161b及び163bが設けられている。したがって、ノットクランプ160がノット部を挟持した状態においては、コルゲーション11と面圧部161a及び面圧部163a、コルゲーション12と面圧部161b及び面圧部163bがそれぞれ面接触することとなり、ノット部に損傷を与えることを防止することができる。また、摺動板162には、可動クランプ部材163を固定するため、例えばトグルクランプからなるクランプ部164も設けられている。
【0021】
押圧部140はフレーム151aとフレーム151bの間に設けられており、油圧シリンダ141及びシリンダボックス142等から構成されている。ここで、油圧シリンダ141が本発明の押圧手段に相当する。
フレーム151a,151bの間に設けられたシリンダボックス142は、中空有底の略直方体形状をしており、その内部形状は油圧シリンダ141の本体部141aと対応した形状となっている。そして、シリンダボックス142の開口側端部には、本発明の係合凸部に相当する鍔部142aが形成されている。また、シリンダボックス142の側面部には、油圧ポンプ(図示せず)と油圧シリンダ141とを接続している配管を通すための開口部が形成されている。溝部156a,156bとシリンダボックス142の鍔部142aとを係合させることにより、シリンダボックス142に収納された油圧シリンダ141はフレーム151(ストッパ155a,155b)に支持される。
【0022】
なお、本実施の形態では油圧シリンダ141をシリンダボックス142に収納してフレーム151(ストッパ155a,155b)に支持させているが、油圧シリンダ141に鍔部142aを設けて、フレーム151(ストッパ155a,155b)に支持させてもよい。また、押圧手段は油圧シリンダ141に限らず、種々の押圧手段を設けることが可能である。例えば側縁部が鍔部142aとなる平板に雌ねじ部を形成し、この雌ねじ部に雄ねじ部が形成されたロッドを螺合して押圧手段としてもよい。
【0023】
図4に示すように、角部押圧治具110は、略長方形状のプレート111の両側部に(すなわち、ピース20の側部22と対応する間隔を介して)押圧プレート112が突設された形状となっている。この押圧プレート112は、先端部にピース20の側部22の外面形状に対応した(つまり、角部角度に形成された)凹部112aが形成されている。ここで、凹部112aが本発明の側部押圧凹部に相当する。ピース20を押圧している状態において、角部押圧治具110はピース20の側部22にのみ接する形状となっているので、ピース20のコルゲーション部21を損傷させることがない。
【0024】
なお、角部押圧治具110の材質は、木材や樹脂等のように、ピース20等を損傷させないものであればよい。ピース20等にもらい錆びが発生しなければ、金属等で角部押圧治具110を形成してもよい。
【0025】
図5に示すように、コルゲーション部押圧治具120は略直方体形状をしており、側面部120aにはコルゲーション部21の外面形状と対応した凹部121が形成されている。つまり、コルゲーション部押圧治具120がピース20を押圧している状態においては、側面部120aがピース20の側部22を押圧する。また、凹部121が、ピース20のコルゲーション部21とメンブレンシート10のコルゲーション11との重合部を押圧する形状となっている。ここで、側面部120a及び凹部121が、それぞれ本発明の側部押圧部及びコルゲーション部押圧凹部となる。
【0026】
なお、コルゲーション部押圧治具120の材質は、木材や樹脂等のように、ピース20等を損傷させないものであればよい。ピース20等にもらい錆びが発生しなければ、金属等でコルゲーション部押圧治具120を形成してもよい。
【0027】
(ピース押圧装置の動作説明)
続いて、本実施の形態におけるピース押圧装置100の動作について説明する。
図7は、本発明の実施の形態におけるピース押圧装置の動作説明図である。この図はピース押圧装置100を横方向から見た図である。以下、図7を用いて、壁面2gと注入口4との接合部である角部にピース20を仮付け溶接接合する場合について説明する。
【0028】
(フレーム取り付け工程)
始めに、コルゲーション11a及びコルゲーション11bに形成されたノット部に固定クランプ部材161をセットし、可動クランプ部材163をコルゲーション11a及びコルゲーション11b側に摺動させる。そして、クランプ部164で可動クランプ部材163を固定して、コルゲーション11a及びコルゲーション11bに形成されたノット部を挟持し、フレーム151を取り付ける。
なお、本実施の形態では、ノットクランプ160でノット部を挟持することによりフレーム151を固定したが、例えば貯湯タンク1の底面や側面等から棒材等を立設し、この棒材にフレーム151を固定してもよい。
【0029】
(第1の仮付け溶接工程)
次に、コルゲーション11a及びコルゲーション11bの上部にピース20を重ね合わせる。そして、フレーム154a,154bとストッパ155a,155bとで形成された溝部156a,156bにシリンダボックス142の鍔部142aを係合させて、油圧シリンダ141を角部押圧位置に支持させる。その後、ピース20の角部(壁面2gと注入口4との接合部)と対向する範囲に角部押圧治具110を押し当てる。このように油圧シリンダ141を支持させることにより、油圧シリンダ141を所定の位置でしっかり固定できる。このため、油圧シリンダ141の押圧力を確実に角部押圧治具110へ伝達することができる。なお、角部押圧治具110を設置した後、油圧シリンダ141を支持させてもよい。
【0030】
その後、油圧ポンプ(図示せず)等から油圧シリンダ141に作動油を圧送し、角部押圧治具110を介してピース20の側部22を押圧する。そして、側部22と角部(壁面2gと注入口4との接合部)に設けられたステンレスシートとを肌付けし、仮付け溶接する(図7(a))。このとき、角部押圧治具110はピース20の側部22にのみ接する形状となっているので、ピース20のコルゲーション部21を損傷させることがない。また、最初にピース20の角部(壁面2gと注入口4との接合部)から肌付けをおこなうので、ピース20の角部を確実に壁面2gと注入口4との接合部に位置合わせすることができる。
側部22と壁面2a及び壁面2bの角部に設けられたステンレスシートとを仮付け溶接後、油圧シリンダ141への作動油の圧送を停止し、角部押圧治具110を取り外す。
【0031】
(第2の仮付け溶接工程)
次に、フレーム154a,154bとストッパ155a,155bとで形成された溝部156a,156bからシリンダボックス142の鍔部142aを抜き出して、油圧シリンダ141及びシリンダボックス142を角部側にずらし、フレーム152a,152b側に油圧シリンダ141及びシリンダボックス142を移動させる。そして、フレーム152a,152bとストッパ155a,155bとで形成された溝部156a,156bにシリンダボックス142の鍔部142aを係合させて、油圧シリンダ141を第1の重合部押圧位置に支持させる。その後、ピース20とコルゲーション11aが重合する範囲にコルゲーション部押圧治具120を押し当てる。このように、本実施の形態では、角部押圧位置から第1の重合部押圧位置へ、容易に油圧シリンダ141を移動させることができる。また、油圧シリンダ141を所定の位置でしっかり固定できるので、油圧シリンダ141の押圧力を確実にコルゲーション部押圧治具120へ伝達することができる。なお、コルゲーション部押圧治具120を設置した後、油圧シリンダ141を支持させてもよい。
【0032】
その後、油圧ポンプ(図示せず)等から油圧シリンダ141に作動油を圧送し、コルゲーション部押圧治具120を介してピース20のコルゲーション部21及び側部22を押圧する。そして、コルゲーション部21の端部とコルゲーション11aとを肌付けし、仮付け溶接する。また、側部22とメンブレンシート10aの平面部とを肌付けし、仮付け溶接する(図7(b))。このとき、コルゲーション部押圧治具120は、ピース20の側部22のみでなく、ピース20のコルゲーション部21とコルゲーション11aとの重合部も押圧しているので、コルゲーション部21の端部とコルゲーション11aとを確実に肌付けすることができる。
仮付け溶接後、油圧シリンダ141への作動油の圧送を停止し、コルゲーション部押圧治具120を取り外す。
【0033】
(第3の仮付け溶接工程)
次に、フレーム152a,152bとストッパ155a,155bとで形成された溝部156a,156bからシリンダボックス142の鍔部142aを抜き出して、油圧シリンダ141及びシリンダボックス142を壁面2g側にずらし、フレーム153a,153b側に油圧シリンダ141及びシリンダボックス142を移動させる。そして、フレーム153a,1523とストッパ155a,155bとで形成された溝部156a,156bにシリンダボックス142の鍔部142aを係合させて、油圧シリンダ141を第2の重合部押圧位置に支持させる。その後、ピース20とコルゲーション11bが重合する範囲にコルゲーション部押圧治具120を押し当てる。このように、本実施の形態では、第1の重合部押圧位置から第2の重合部押圧位置へ、容易に油圧シリンダ141を移動させることができる。また、油圧シリンダ141を所定の位置でしっかり固定できるので、油圧シリンダ141の押圧力を確実にコルゲーション部押圧治具120へ伝達することができる。なお、コルゲーション部押圧治具120を設置した後、油圧シリンダ141を支持させてもよい。
【0034】
その後、油圧ポンプ(図示せず)等から油圧シリンダ141に作動油を圧送し、可変スペーサ130及びコルゲーション部押圧治具120を介してピース20のコルゲーション部21及び側部22を押圧する。そして、コルゲーション部21の端部とコルゲーション11bとを肌付けし、仮付け溶接する。また、側部22とメンブレンシート10bの平面部とを肌付けし、仮付け溶接する(図7(c))。このとき、コルゲーション部押圧治具120は、ピース20の側部22のみでなく、ピース20のコルゲーション部21とコルゲーション11bとの重合部も押圧しているので、コルゲーション部21の端部とコルゲーション11bとを確実に肌付けすることができる。
仮付け溶接後、油圧シリンダ141への作動油の圧送を停止し、コルゲーション部押圧治具120を取り外す。
【0035】
なお、本実施の形態では、第1の仮付け溶接工程後、第2の仮付け溶接工程として壁面2g側を仮付け溶接したが、注入口4側を仮付け溶接してもよい。この場合、本実施の形態における第3仮付け溶接工程が第2仮付け溶接工程となり、本実施の形態における第2仮付け溶接工程が第3仮付け溶接工程となる。また、本実施の形態における第2の重合部押圧位置が第1の重合部押圧位置となり、本実施の形態における第1の重合部押圧位置が第2の重合部押圧位置となる。
【0036】
このように構成されたピース押圧装置100においては、油圧シリンダ141が角部押圧治具110を介してピース20の側部22を押圧する。そして、ピース20の側部22と貯蔵タンク1の角部に設けられたステンレスシートとを肌付けして仮付け溶接する。また、油圧シリンダ141がコルゲーション部押圧治具120を介してピース20のコルゲーション部21及び側部22を押圧する。そして、コルゲーション部21の端部とメンブレンシート10のコルゲーション11とを肌付けして仮付け溶接し、側部22と貯蔵タンク1の角部に設けられたステンレスシートとを肌付けして仮付け溶接する。したがって、ピース20と貯蔵タンク1の壁面に設けられたステンレスシート又はコルゲーション11とを確実に肌付けして仮付け溶接できる。
【0037】
また、油圧シリンダ141の各押圧位置への移動は、前の押圧位置に形成された溝部156a,156bからシリンダボックス142の鍔部142aを抜き出し、次の押圧位置に形成された溝部156a,156bにシリンダボックス142の鍔部142aを係合させるだけでよい。したがって、油圧シリンダ141の各押圧位置への移動が容易となり、作業効率良く、ピース20と貯蔵タンク1の内壁(又はメンブレンシート10)との肌付け作業を行うことができる。
【0038】
また、角部押圧治具110及びコルゲーション部押圧治具120を押圧する押圧手段として油圧シリンダ141を設けているので、ピース20に損傷を与えることなく、ピース20を貯蔵タンク1の内壁(又はメンブレンシート10)に肌付け可能な押圧力を与えることができる。
【0039】
また、溝部156a,156bにシリンダボックス142の鍔部142aを係合させることにより押圧部140(油圧シリンダ141)を支持できるので、押圧部140(油圧シリンダ141)を次の押圧位置に移動させた際、押圧部140(油圧シリンダ141)の支持が容易となる。
【0040】
また、押圧部140(油圧シリンダ141)はフレーム151aとフレーム151bの間に設けられているので、フレーム151a,151bが押圧部140を移動させる際のガイドとなり、押圧部140(油圧シリンダ141)を次の押圧位置へ移動させることが容易となる。
【0041】
また、ピース押圧装置100は、ノットクランプ160で溶接箇所近傍のノット部に固定できるので、ピース押圧装置100を小型化(つまり軽量化)することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では角部角度θ=270°で使用するピース押圧装置100について説明したが、他の角部角度(180°<θ<360°)でも本構成のピース押圧装置100を使用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施の形態における貯蔵タンクの内壁形状を示す縦断面模式図である。
【図2】図1のP部拡大図であり、(a)はピースが角部に配設されていない状態を示す拡大図、(b)はピースが角部に配設されていない状態を示す拡大図である。
【図3】図2に示すピースの詳細図である。
【図4】実施の形態における角部押圧治具を用いている状態のピース押圧装置を示す外観斜視図である。
【図5】実施の形態におけるコルゲーション部押圧治具を用いている状態のピース押圧装置を示す外観斜視図である。
【図6】図5のA−A断面模式図である。
【図7】実施の形態におけるピース押圧装置の動作説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 貯蔵タンク、2a〜2h 壁面、3 壁面、4 注入口、10 メンブレンシート、11 コルゲーション、12 コルゲーション、20 ピース、21 コルゲーション部、22 側部、100 ピース押圧装置、110 角部押圧治具、111 プレート、112 押圧プレート、112a 凹部、120 コルゲーション部押圧治具、120a 側面部、121 凹部、140 押圧部、141 油圧シリンダ、142 シリンダボックス、142a 鍔部、150 フレーム部、151(151a,151b) フレーム、152a,152b フレーム、153a,153b フレーム、154a,154b フレーム、155(155a,155b) ストッパ、155ai、155bi 凸部、156a,156b 溝部、157 ブロック、160 ノットクランプ、161 固定クランプ部材、161a 面圧部、161b 面圧部、162 摺動板、163 可動クランプ部材、163a 面圧部、163b 面圧部、164 クランプ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵タンク内壁の平面部に設けられたコルゲーションを前記貯蔵タンク内壁の角部で連接するために配設するピースを、前記貯蔵タンク内壁に押圧するピース押圧装置であって、
前記ピースを前記角部へ押圧するための角部押圧治具と、
前記ピースを、前記ピースと前記コルゲーションとの重合部へ押圧するためのコルゲーション部押圧治具と、
前記角部押圧治具を介して前記ピースを前記角部へ押圧し、前記コルゲーション部押圧治具を介して前記ピースを前記ピースと前記コルゲーションとの重合部へ押圧する押圧手段と、
前記押圧手段を着脱自在に支持する支持部と、
前記支持部が設けられたフレーム部と、
を備え、
該フレーム部には、前記押圧手段が前記角部に前記ピースを押圧する角部押圧位置、前記押圧手段が前記角部と隣接する一方の前記平面部に形成された前記重合部に前記ピースを押圧する第1の重合部押圧位置、及び前記押圧手段が前記角部と隣接する他方の前記平面部に形成された前記重合部に前記ピースを押圧する第2の重合部押圧位置に前記支持部が設けられていることを特徴とするピース押圧装置。
【請求項2】
前記ピースは、
前記コルゲーションと重合するコルゲーション部と、
該コルゲーション部のコルゲーション形成方向と直交する方向のそれぞれに延設された側部とを備え、
前記角部押圧治具は、
前記側部と対応する間隔を介して設けられ、前記側部を押圧する、先端部が前記角部に形成された一対の側部押圧凹部を備えることを特徴とする請求項1に記載のピース押圧装置。
【請求項3】
前記コルゲーション部押圧治具は、
前記側部を押圧する側部押圧部と、
該側部押圧部に形成され、前記コルゲーション部を押圧するコルゲーション部押圧凹部とを備えることを特徴とする請求項2に記載のピース押圧装置。
【請求項4】
前記ピースは、
前記コルゲーションと重合するコルゲーション部と、
該コルゲーション部のコルゲーション形成方向と直交する方向のそれぞれに延設された側部とを備え、
前記コルゲーション部押圧治具は、
前記側部を押圧する側部押圧部と、
該側部押圧部に形成され、前記コルゲーション部を押圧するコルゲーション部押圧凹部とを備えることを特徴とする請求項1に記載のピース押圧装置。
【請求項5】
前記押圧手段は油圧シリンダであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のピース押圧装置。
【請求項6】
前記押圧手段には係合凸部が設けられ、
前記支持部には係合凹部が設けられ、
前記押圧手段は、前記係合凸部が前記係合凹部に係合されて、前記支持部に支持されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のピース押圧装置。
【請求項7】
前記フレーム部は、前記角部を囲む形状をした一対のフレームからなり、
前記押圧手段は、前記一対のフレームの間に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のピース押圧装置。
【請求項8】
前記フレーム部は、コルゲーションのノット部を挟持する複数のノットクランプを備えることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のピース押圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−48298(P2010−48298A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211610(P2008−211610)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(502116922)ユニバーサル造船株式会社 (172)
【Fターム(参考)】