説明

ファイバコーティング用の非反応性添加剤

本発明は、オリゴマー、少なくとも1種類のモノマー、およびある量の実質的に非反応性のオリゴマー添加剤を有する硬化生成物に関する。この実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、この非反応性のオリゴマー添加剤を含まない、そうでなければ同じ組成の硬化生成物の破壊靭性値よりも高い破壊靭性値を有する硬化生成物を生成するのに効果的な量で存在する。本発明はまた、硬化性組成物を有する、被覆光ファイバ、光ファイバリボンまたはバンドル、および通信システムにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、光ファイバコーティングを調製するための硬化性組成物の成分として使用できる実質的に非反応性のオリゴマー添加剤、並びに得られた被覆光ファイバに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバは、通信の分野で益々重要な役割を獲得してきており、既存の銅線を置き換えることも多い。この傾向は通信の全分野に著しい影響を与え、伝送されるデータの量を大幅に増加させてきた。ローカル・ファイバ・ネットワークが、増加の一途をたどる容量の音声、ビデオ、およびデータ信号を個人と企業の顧客に送達するようにせき立てられているので、特に地下鉄用途や各家庭までの光ファイバ化用途において、光ファイバの使用のさらなる増加が予測されている。さらに、内部データ、音声、およびビデオ通信のための家庭および企業構内通信網にファイバの使用が始まり、増加することが予期されている。
【0003】
光ファイバは一般に、ガラスから製造され、通常高分子一次コーティング及び高分子二次コーティングを有している。一次コーティング(内側一次コーティングとしても知られている)は一般に、ガラスファイバに直接施され、硬化されたときに、ガラスファイバを被包する軟質で弾性の従順な材料を形成する。一次コーティングは、曲げ、撚り合せ、またはスプールへの巻き付けの最中のガラスファイバを緩衝し保護するための緩衝物として働く。二次コーティング(外側一次コーティングとしても知られている)は、一次コーティングを覆って施され、加工、取扱い、および使用中に、ガラスファイバへの損傷を防ぐ丈夫な保護用外層として機能する。
【0004】
光ファイバに従来用いられる二次コーティングは典型的に、オリゴマー(例えば、ウレタン(メタ)アクリレート)および少なくとも1種類のモノマー(例えば、(メタ)アクリレートモノマー)の混合物を硬化させることにより形成された架橋ポリマーである。一般に、架橋コーティングに基づくウレタン/アクリレートオリゴマーのモジュラス(modulus)を増加させると、それに付随して、引張強度が増加し、破断点伸びが減少する(非特許文献1)。これにより、これらの材料の脆性が一般に増加し、コーティングが不十分な靭性を有すると考えられる。モジュラスを増加させることができるが、それでもまだ引張強度と破断点伸びの両方を高い値に維持する変形しにくい(rigid)または多官能性オリゴマーコーティング添加剤が有利であろう。
【0005】
高分子材料の強靱化について、多数の文献が存在する(非特許文献2および3)。熱可塑性プラスチックに適用される強靱化の概念の多くが、架橋材料にも適用されてきた。この研究のほとんどは、熱硬化性材料、特にエポキシコーティングに行われてきた(非特許文献4およびその中に引用された文献を参照のこと)。(i)コーティング全体に亘る反応性と非反応性の両方の軟質のゴム状材料の均一な分散;(ii)コーティング全体に亘る堅い強化材料(シリカ、カーボンブラック、粘土、および炭素繊維などの)の分散;および(iii)高分子量重合添加剤の分散:を含む、多くの特別な手法が、架橋エポキシ網状構造を改良するために行われてきた。これらの強靱化剤のほとんどは、材料全体に亘り均一に相分離されていると考えられ、それらは、外部エネルギーを吸収し消散させて、亀裂の開始や内部エネルギーを緩和し、架橋網状構造中に成長する亀裂の伝搬を遅くすることにより機能する。それに加え、エポキシコーティングは、エネルギーを消散し(結合シフトまたは回転により)、強靱化を提供するための手段として、網状構造に結合された化学構造を含有するアミン成分およびエポキシドから調製されてきた(非特許文献5およびその中に引用された文献を参照のこと)。一般に、紫外線(「UV」)硬化性アクリルコーティングにおける強靱化に対する同様の手法の実例を見つけることはずっと困難である。これは、エポキシと比較して非常に速い、アクリルコーティングにおける硬化過程のためであろう。これにより、上述した機構のいくつかが効率的に動作するのに必要な相分離した網状構造特徴の生成が不可能になるであろう。
【0006】
その「アーム」に非常に変形しにくい非アルコキシル化ビスフェノールAジオールを含有する多官能性ウレタン/アクリレートオリゴマーが以前に記載されていた(ファビアン(Fabian)等の特許文献1)。これらの材料の全てが二次ファイバコーティングの靭性を改善することが分かったが、それらは全て、その添加剤が、光硬化中にポリマーコーティング網状構造に化学的に結合するようになることを確実にし、またそれら添加剤がコーティング全体に亘り均一に分散されることを確実にすると考えられている反応性ヒドロキシアクリレート基によりキャッピングされている。これらの添加剤には、得られるコーティングを強靱化する所望の効果があった。しかしながら、これらの添加剤は、その反応性のために、コーティング組成物を、貯蔵安定性の低下したものにし、また意外なことに、製造中にコーティングに欠陥を生じさせ得る早すぎるゲル化を生じやすくする。
【0007】
先に報告したものと類似の構造を持つ他の多官能性反応性オリゴマー材料の例が、ハグストロム(Hagstrom)等の特許文献2に記載されているが、これらの材料は一般に、オリゴマーの粘度を減少させ、コーティングの有用性を増加させる高分子量の軟質ポリオールを含有する。これらのオリゴマーが、コーティング網状構造に化学結合されているにもかかわらずに向上したコーティング靭性を提供することは指摘されていない。
【特許文献1】米国特許第6862392号明細書
【特許文献2】米国特許第5578693号明細書
【非特許文献1】McConnell et al., ACS Symp. Ser. 417:272-283 (1990)
【非特許文献2】Polymer Toughening, Arends, ed., Marcel Dekker (1996)
【非特許文献3】Thermosetting Polymers, Pascault et al., eds., Marcel Dekker (2002)
【非特許文献4】Calzia et al., Antec Proceedings 2258-2268 (2004)
【非特許文献5】Lesser et al., J. Poly. Sci.: Part B: Polymer Physics 42:2050-2056 (2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、これらの制限と従来技術の他の制限を克服した二次光ファイバコーティング用の硬化性組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、オリゴマー、少なくとも1種類のモノマー、およびある量の実質的に非反応性のオリゴマー添加剤を有する硬化性組成物に関する。実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、この非反応性のオリゴマー添加剤を含まない、そうでなければ同一の組成物の硬化生成物の破壊靭性値よりも高い破壊靭性値を有する硬化生成物を生成するのに効果的な量で存在する。
【0010】
本発明の第2の態様は、光ファイバ、光ファイバを取り囲む一次コーティング、および一次コーティングを取り囲む二次コーティングを有する被覆光ファイバに関する。二次コーティングは、本発明の第1の態様による硬化性組成物の硬化生成物である。
【0011】
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様による、複数の実質的に一列に並べられた被覆光ファイバを有する光ファイバリボンまたはバンドルに関する。母材が複数の光ファイバを被包する。
【0012】
本発明の第4の態様は、複数の実質的に一列に並べられた被覆光ファイバおよびその複数の被覆光ファイバを被包する母材を有する光ファイバリボンまたはバンドルに関する。この母材は、本発明の第1の態様による硬化性組成物の硬化生成物である。
【0013】
本発明の第5の態様は、本発明の第3の態様または第4の態様いずれかによる光ファイバリボンまたはバンドルを有する通信システムに関する。
【0014】
本発明の第6の態様は、(I)の構造もしくは(II)または(III)の平均構造を有するオリゴマー化合物に関する:
【化1】

【0015】
それぞれ、(I)、(II)、および(III)の各構造または平均構造について、CAP1は、非反応性末端を持つキャッピング部分であり、RT’は、CAP1によりキャッピングされた反応性末端を持つキャッピングされた部分であり、R1は、ウレタン結合を実質的に含まないポリイソシアネートコア部分であり、RAはR1または−R1−(NH−COO−RC−OOC−NH−R1t−であり、ここで、RCはポリオール誘導のコア部分であり、tは0から約4までの範囲にある平均値であり、RMは、nの平均官能価を有するコア部分であり、ここで、nは2.2より大きい、R2は少なくとも1つの結晶化可能なポリオール誘導部分または少なくとも1つの環状の変形しにくい(rigid)部分のいずれかを含み、wはゼロより大きい。
【0016】
本発明の第7の態様は、(IV)の構造もしくは(V)または(VI)の平均構造を有するオリゴマー化合物に関する:
【化2】

【0017】
それぞれ、(IV)、(V)、および(VI)の各構造または平均構造について、CAP2−X−は、非反応性末端を持つキャッピング部分であり、XはS、O、またはNであり、R1は、ウレタン結合を実質的に含まないポリイソシアネートコア部分であり、RAはR1または−R1−(NH−COO−RC−OOC−NH−R1t−であり、ここで、RCはポリオール誘導のコア部分であり、tは0から約4までの範囲にある平均値であり、RMは、nの平均官能価を有するコア部分であり、ここで、nは2.2より大きい、R2は少なくとも1つの結晶化可能なポリオール誘導部分または少なくとも1つの環状の変形しにくい部分のいずれかを含み、wはゼロより大きい。
【0018】
本発明は、光ファイバコーティングの調製に使用される、新規の実質的に非反応性のウレタン/アクリレートオリゴマー添加剤に関する。この添加剤を用いて、取扱性の向上したファイバ用コーティングを製造することができる。このことはフォトニック専用ファイバにとって特に重要である。何故ならば、これらのタイプのファイバは、デバイスの製造中に頻繁に取り扱われるからである。本発明のコーティングにより示される高いヤング率値は、高モジュラス材料はしばしば脆いという事実にもかかわらず、光ファイバのマイクロベンド性能を改善するのに役立ち得る(Pearson et al., Polymer 34:3658-70 (1993); Glauser et al., Macromol. Mat. and Eng. 280/281:20-25 (2000)、各々をここにその全てを引用する)。それに加え、本発明の添加剤は、それらを高分子コーティング網状構造に化学結合するための重合性官能基を実質的に含有しない。極めて予期せぬことに、本発明の添加剤は、有害な可塑剤として働くというよりむしろ、コーティングの機械的性質および靭性を向上させる(破壊靭性を増加させながら、十分に高いヤング率を維持することにより)。さらに、本発明の添加剤は実質的に非反応性であるので、それらは、硬化性組成物の貯蔵中に重合を促進せず、その硬化生成物は加工可能なままである。
【0019】
硬化中にコーティング網状構造に架橋しない他の非反応性有機添加剤とは対照的に、本発明による硬化性組成物は、ガラス転移温度(すなわち、基礎組成の)を維持しながら、コーティングの機械的性質および靭性を向上させ続ける。本発明の添加剤の構造を持たない他の非反応性添加剤は、可塑剤として作用し、機械的性質、靭性、およびガラス転移温度を減少させることが分かっている。
【0020】
本発明の第1の態様は、オリゴマー、少なくとも1種類のモノマー、およびある量の実質的に非反応性のオリゴマー添加剤を有する硬化性組成物に関する。実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、この非反応性のオリゴマー添加剤を含まない、そうでなければ同一の組成物の硬化生成物の破壊靭性値よりも高い破壊靭性値を有する硬化生成物を生成するのに効果的な量で存在する。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態において、硬化性組成物のオリゴマーおよびモノマーはエチレン性不飽和である。その硬化生成物のオリゴマーとモノマーが(メタ)アクリレート系であることがさらにより好ましい。しかしながら、エポキシ、ビニルエーテル、およびチオールエンなどの他の硬化化学成分に適用されるオリゴマーおよびモノマーを本発明に使用してもよいことが、当業者により認識されるであろう。
【0022】
実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、硬化性組成物の硬化生成物に、高モジュラスおよび高破壊靭性の両方を提供するように選択されることが好ましい。特に、変形しにくいポリオール誘導サブユニット、多官能価(非反応性にされた)、および/または結晶化可能部分を有する実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、本発明の硬化性組成物に使用するのに特に望ましい。
【0023】
本発明の実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、2つ以上の反応性末端(RT)またはイソシアネート末端基を含む多官能性オリゴマーを提供し、次いで、この多官能性オリゴマーを反応性単官能性キャッピング部分(CAP1またはCAP2)と反応させ、それにより、得られた生成物が非反応性であるCAP誘導末端(−RT’−CAP1またはNCO−X−CAP2と表され、ここで、Xは元のキャッピング部分の成分である)を含有することにより調製される。
【0024】
反応性多官能性オリゴマーおよび得られる実質的に非反応性のオリゴマー添加剤はここでは、それらの平均構造により記載される。例えば、1.0当量のHO−R−OH、2.0当量のOCN−R1−NCO、および2.0当量のRT−OHから調製される反応性多官能性オリゴマーは、平均構造:
【化3】

【0025】
を有し、得られる実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、平均構造:
【化4】

【0026】
を有する。反応性多官能性オリゴマーおよび実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は実際には成分の混合物(例えば、あるものは2つのジオールブロックを有し、あるものは1つのジオールブロックを有し、またあるものはジオールブロックを有さない)であるが、それらの平均構造は、成分の加重平均である。反応体が組み合わされて、その後の精製の必要ない生成物を形成する場合には、平均構造は、それを製造するために使用された反応体の化学量論により都合よく定義される。
【0027】
それゆえ、本発明の実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、それらが、中間体オリゴマーのそれぞれRT部分またはイソシアネート末端基を形成するキャッピング部分(「CAP1」または「CAP2」)を含有することを除いて、中間体反応性多官能性オリゴマーと同じ一般構造を有するのを認識すべきである。
【0028】
ここに記載された反応性多官能性オリゴマーは、各々を全てここに引用する、ファビアン(Fabian)等の米国特許第6862392号、コーディー(Coady)等の米国特許第4608409号、およびビショップ(Bishop)等の米国特許第4609718号の各明細書に記載されたものなどの、当業者に馴染みのある方法を用いて合成してよい。典型的に、ポリイソシアネートがポリオールと反応せしめられて、イソシアネート末端ウレタンオリゴマーを生成し、次いで、これが、反応性末端(RT)、例えば、(メタ)アクリレート、エポキシ、ビニルエーテルなどを有するヒドロキシ官能部分(RT−OH)、チオール官能部分(RT−SH)、または第2級アミン(RT−NHR)と反応せしめられる。当業者は、尿素結合部分を有するオリゴマーを提供するために、ジオールまたはポリオールのいくつかまたは全ての代わりに、ジアミンまたはポリアミンを使用してよい。
【0029】
ここに用いたように、ポリイソシアネートは構造R1(NCO)jを有し、ここで、R1はポリイソシアネートコア部分である。ポリイソシアネートはオリゴマー構造中に組み込まれ、ここで、コア部分R1は、ウレタン(−NH−COO−)または尿素(−NH−CO−NH−)結合によりオリゴマーに結合している。反応性多官能性オリゴマー(および最終的には、本発明の実質的に非反応性のオリゴマー添加剤)の形成に使用するための好ましいポリイソシアネートの不完全なリストが表1に与えられている。
【表1】

【0030】
好ましい実施の形態において、RTは、ウレタン結合によりオリゴマーに結合される。本発明のアクリレート系硬化性組成物に使用するための好ましいRT部分の不完全なリストが表2に与えられている。
【表2】

【0031】
上述したように実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、それらの平均構造により記載されるので、その平均構造は、平均構造当たり、1.0未満、より好ましくは約0.5、0.4、または0.3未満、最も好ましくは0.2または0.1未満のRTまたはイソシアネート末端基を有することが意図されている。すなわち、上述した反応性多官能性オリゴマーに通常存在する反応性末端は、もしあってもいくつかしか、本発明の実質的に非反応性のオリゴマー添加剤中に存在しない。その結果、この実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は一般に、硬化の際に形成される高分子コーティングと架橋できない(オリゴマー混合物のあるわずかな部分は、そのような末端を持ち続け、ポリマー構造に架橋できるかもしれない)。オリゴマー添加剤のこの非反応性構造により、おそらく、オリゴマー添加剤が硬化生成物中に機械的に(すなわち、化学的ではなく)組み込まれることが可能になる。その結果、実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、可塑剤として挙動しないが、その代わりに、硬化性組成物の固化生成物に高モジュラスおよび高破壊靭性の両方を提供するのに役立つ。
【0032】
前記キャッピング化合物は、反応性多官能性オリゴマーの反応性末端またはイソシアネート末端基と反応できる単官能性基を有する。オリゴマーの末端基の性質に応じて、キャッピング化合物に異なる官能基を採用できる。例えば、オリゴマー上のイソシアネート末端基は、ヒドロキシル基(すなわち、アルコール)を有するキャッピング化合物と反応し;オリゴマー上の(メタ)アクリレート末端基は、メルカプト基を(すなわち、チオール)または第2級アミンを有するキャッピング化合物と反応し;オリゴマー上のエポキシ末端基は、カルボン酸を有するキャッピング化合物と反応し;ビニルまたはビニルエーテル末端基は、メルカプト基(すなわち、チオール)を有するキャッピング化合物と反応する。当業者は、多官能性反応性オリゴマーの官能末端基と反応できる官能基を有する適切なキャッピング化合物を容易に選択できる。
【0033】
上述したように、CAP1は、非反応性末端(−RT’−CAP1)を形成するために(メタ)アクリレートRT部分と、例えば、表2に列記されたものと反応できるどのような単官能性キャッピング成分であって差し支えない。好ましい実施の形態において、CAP1は、チオール(好ましくはC1-15チオール、より好ましくはC3-10チオール)または第2級アミン(好ましくは(C1-102アミン、より好ましくは(C3-102アミン)である。
【0034】
ある実施の形態によれば、反応性多官能性オリゴマーは、ウレタン結合により2つのRT部分に結合したジイソシアネート誘導コアを有し、構造:
【化5】

【0035】
を有し、ここで、RTは反応性末端を有する部分であり、R1はウレタン結合を実質的に含まない。この実施の形態によるオリゴマーは約1600ダルトン未満の数平均分子量(Mn)を有することが好ましい、またはこのオリゴマーは約1200ダルトン未満のMnを有することがより好ましい。本発明の硬化性組成物に使用するための実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、構造:
【化6】

【0036】
を有し、ここで、CAP1は非反応性末端を有するキャッピング部分であり、RT’はRT部分の誘導体であり、R1は先に定義したものである。
【0037】
オリゴマー添加剤の上述した好ましい部類の特定の実例は:
【化7】

【0038】
を含む。代わりの実施の形態において、HEAが、RT’部分としてのCLAの代わりに用いられる。
【0039】
別の実施の形態によれば、反応性多官能性オリゴマーは、約1600ダルトン未満の数平均分子量(Mn)を有し、
【化8】

【0040】
の好ましい構造式を有し、ここで、PO2NPGは、平均構造:
【化9】

【0041】
を有するプロポキシル化(1PO/OH)ネオペンチルグリコール誘導部分である。
【0042】
この実施の形態による得られた実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、好ましい構造式:
【化10】

【0043】
を有し、ここで、CAP1は非反応性末端を有するキャッピング部分であり、PO2NPGは先に定義したものである。
【0044】
代わりの実施の形態において、2.2より大きい平均官能価(すなわち、反応性末端の平均数)を有する。このオリゴマーが少なくとも約3の平均官能価を有することが好ましい。これらのオリゴマーの好ましい部類は、平均構造:
【化11】

【0045】
を有し、ここで、RMは多官能性コア部分であり、nは2.2より大きく、RTは反応性末端を有する部分である。RAが、ウレタン結合を実質的に含まないイソシアネート誘導コア部分R1であることが好ましい。あるいは、RAは、構造:
【化12】

【0046】
を有し、ここで、RCはポリオール誘導コア部分であり、tは0から約4の範囲にある平均値である。得られた実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、平均構造:
【化13】

【0047】
を有し、ここで、CAP1は非反応性末端を有するキャッピング部分であり、RT’はRT部分の誘導体であり、RM、RA、R1、RCおよびtは先に定義したものである。
【0048】
この部類の例示の実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、以下の一般化学構造:
【化14】

【0049】
を有し、ここで、UMB2005は、エスプリックス・テクノロジーズ(Esprix Technologies)社から得られる、Mn約2600ダルトンを有するヒドロキシル官能性(平均で2.4OH/分子)ポリ(ブチルアクリレート)の残基であり、PertPO(426)は、平均構造:
【化15】

【0050】
を有するプロポキシル化ペンタエリトリチル部分であり、GlyPO(725)は、Mn約725ダルトンおよび平均構造:
【化16】

【0051】
を有するプロポキシル化グリセリル部分であり、TMPPOは、平均構造:
【化17】

【0052】
を有するプロポキシル化(1プロポキシル/OH)トリメタノールプロパン部分である。当業者には、RM、RA、およびRT’の他の組合せをこの部類のオリゴマー添加剤に使用しても差し支えないことが認識されよう。
【0053】
多官能性オリゴマーの別の部類は、PETAなどの多官能性RT部分を有する線状オリゴマー主鎖を含有する。例えば、多官能性RT部分を有する好ましい反応性多官能性オリゴマーは:
【化18】

【0054】
である。得られる実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、以下の一般構造:
【化19】

【0055】
を有し、ここで、CAP1はキャッピング部分であり、xは誘導体化されたRT’上の官能価数までであり、PETAの場合は3である。
【0056】
別の実施の形態によれば、反応性多官能性オリゴマーは、その構造中に結晶化可能なポリオール誘導ブロックを含む。ここに用いたように、結晶化可能なポリオールは、約0℃より高い融点を有するものである。好ましい結晶化可能なポリオールの例としては、デュポン(DuPont)社からTERATHANE(商標)として得られるポリ(テトラメチレンオキシド)、およびポリ(カプロラクトン)ジオールが挙げられる。これらのオリゴマーの好ましい部類は、平均構造:
【化20】

【0057】
を有し、ここで、wはゼロより大きく、RTは反応性末端を有する部分であり、RXは、少なくとも1つの結晶化可能なポリオール誘導部分を含み、R1は先に定義したものである。得られた実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、平均構造:
【化21】

【0058】
を有し、ここで、w、R1、RX、RT’、およびCAP1は、先に定義したものである。
【0059】
結晶化可能なポリオールを持つオリゴマーを有するオリゴマー添加剤の平均構造の例としては:
【化22】

【0060】
が挙げられ、ここで、EO8BPAは、平均構造:
【化23】

【0061】
を有し、T(1000)は、Mn約1000ダルトンおよび平均構造:−(CH2CH2CH2CH2O)u(CH2CH2CH2CH2)−を有し、T(650)は、T(1000)の構造と類似の構造で、Mn約650ダルトンを有する。当業者には、この部類のオリゴマー添加剤に、CAP1、RT’、R1、およびRXの他の組合せを用いても差し支えないことが認識されよう。
【0062】
別の実施の形態によれば、反応性多官能性オリゴマーおよび実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、その構造に変形しにくいサブユニットを有する。この変形しにくいサブユニットは、オリゴマーのポリオール誘導部分にあることが好ましい。変形しにくいサブユニットの例としては:
【化24】

【0063】
などの環状部分が挙げられる。
【0064】
反応性多官能性オリゴマーのさらに別の部類は、平均構造:
【化25】

【0065】
を有し、ここで、wはゼロより大きく、RTは、反応性末端を有する部分であり、RLは、少なくとも1つの環状の変形しにくい部分を含み、R1は、先のように定義される。例えば、RLは、部分−(R4O)v−R5−(OR4vを含んでよく、ここで、R5は、変形しにくい環状サブユニットであり、R4は、エチレン、プロピレン、またはブチレンであり、vは0から7に及ぶ。本発明の得られる実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、平均構造:
【化26】

【0066】
を有し、ここで、CAP1は非反応性末端を有するキャッピング部分であり、RT’はRT部分の誘導体であり、R1、RLおよびwは先に定義したものである。
【0067】
この実施の形態の例示の実質的に非反応性のオリゴマー添加剤としては:
【化27】

【0068】
が挙げられ、ここで、PO2BPAは、平均構造:
【化28】

【0069】
を有し、T(1000)は、Mn約1000ダルトンおよび平均構造:
【化29】

【0070】
を有し、PPG(425)は、Mn約425ダルトンおよび平均構造−(CHCH3CH2O)s(CHCH3CH2)−を有する。本発明の硬化性組成物のオリゴマー添加剤に、CAP1、RT’、R1、およびRLの他の組合せを用いても差し支えないことが当業者には認識されよう。
【0071】
別の実施の形態によれば、反応性多官能性オリゴマーは、変形しにくいポリオール誘導サブユニットおよび多官能価の両方を含む。これらのオリゴマーの好ましい部類は、平均構造:
【化30】

【0072】
を有し、ここで、wはゼロより大きく、nは2.2より大きく、RTは、反応性末端を有する部分であり、RLは、少なくとも1つの環状の変形しにくい部分を含む。得られる実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、平均構造:
【化31】

【0073】
を有し、ここで、CAP1は非反応性末端を有するキャッピング部分であり、RT’はRT部分の誘導体であり、RM、RL、R1、wおよびnは先に定義したものである。
【0074】
この部類の実質的に非反応性のオリゴマー添加剤の平均構造の例としては:
【化32】

【0075】
が挙げられ、ここで、GlyPO(1500)は、Mn約1500ダルトンを有するプロポキシル化グリセリル部分である。反応性多官能性オリゴマーに、RT’、R1、RM、およびRLの他の組合せを用いても差し支えないことが当業者には認識されよう。
【0076】
本発明の実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、反応性多官能性オリゴマーのイソシアネート末端基上に非反応性キャッピング末端を形成するキャッピング部分CAP2も含有してよい。好ましいCAP2キャッピング部分は、アルコール、チオール、または第2級アミンから誘導され、非反応性末端を有する。例示のCAP2含有化合物としては、上述したような(CAP1含有化合物に関して)チオールおよび第2級アミン、並びにn−アルキルアルコールが挙げられる。好ましい実施の形態において、アルキル基は、C1-15アルキル、または好ましくはC3-10アルキルである。前記n−アルキルアルコールが、n−オクチルアルコールまたはn−プロピルアルコールであることが好ましい。
【0077】
ある実施の形態によれば、反応性多官能性オリゴマーが、ジイソシアネート誘導コアを有し、構造:
【化33】

【0078】
を有し、ここで、R1はウレタン結合を実質的に含まない。この実施の形態によるオリゴマーは、約1600ダルトン未満の数平均分子量(Mn)を有することが好ましく、またはこのオリゴマーが約1200ダルトン未満のMnを有することがより好ましい。
【0079】
得られる実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、イソシアネート末端基により結合した2つのCAP2部分を有し、構造:
【化34】

【0080】
を有し、ここで、CAP2−X−は非反応性末端を有するキャッピング部分であり、R1はウレタン結合が実質的に含まず、XはN、SまたはOである。
【0081】
別の実施の形態によれば、反応性多官能性オリゴマーは、約1600ダルトン未満の数平均分子量(Mn)を有し、
【化35】

【0082】
の好ましい構造式を有する。
【0083】
この実施の形態により得られる実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、好ましい構造式:
【化36】

【0084】
を有し、ここで、CAP2−X−は非反応性末端を有するキャッピング部分であり、Xは先に定義したものである。
【0085】
代わりの実施の形態において、反応性多官能性オリゴマーは、2.2より大きい平均官能価(すなわち、イソシアネート末端基の平均数)を有する。オリゴマーが少なくとも約3の平均官能価を有することが好ましい。これらのオリゴマーの好ましい部類は、平均構造:
【化37】

【0086】
を有し、ここで、RMは多官能性コア部分であり、nは2.2より大きい。RAが、ウレタン結合を実質的に含まないイソシアネート誘導コア部分R1であることが好ましい。あるいは、RAが、構造:
【化38】

【0087】
を有し、ここで、RCがポリオール誘導コア部分であり、tが0から約4の範囲にある平均数を有する。得られる実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、平均構造:
【化39】

【0088】
を有し、ここで、CAP2−X−は非反応性末端を有するキャッピング部分であり、RM、RA、R1、RC、w、tおよびnは先に定義したものである。
【0089】
この部類の例示の実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、以下の一般構造式:
【化40】

【0090】
を有する。この部類のオリゴマー添加剤に、RMおよびRAの他の組合せを使用して差し支えないことが当業者に認識されよう。
【0091】
別の実施の形態によれば、反応性多官能性オリゴマーは、その構造に結晶化可能なポリオール誘導ブロックを含む。ここに用いるように、結晶化可能なポリオールは、約0℃より高い融点を有するものである。好ましい結晶化可能なポリオールの例としては、デュポン社から「TERATHANE」として得られるポリ(テトラメチレンオキシド)、およびポリ(カプロラクトン)ジオールが挙げられる。これらのオリゴマーの好ましい部類は、平均構造:
【化41】

【0092】
を有し、ここで、wはゼロより大きく、RXは少なくとも1つの結晶化可能なポリオール誘導部分を含み、R1は先に定義したものである。得られる実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、平均構造:
【化42】

【0093】
を有し、ここで、w、R1、RX、およびCAP2−X−は、先に定義したものである。
【0094】
結晶化可能なポリオールを持つオリゴマーを有するオリゴマー添加剤の平均構造の例としては:
【化43】

【0095】
が挙げられる。この部類のオリゴマー添加剤に、CAP2−X−、R1およびRXの他の組合せを使用して差し支えないことが当業者により認識されよう。
【0096】
反応性多官能性オリゴマーのさらに別の好ましい部類は、平均構造:
【化44】

【0097】
を有し、ここで、wはゼロより大きく、RLは少なくとも1つの環状の変形しにくい部分を含み、R1は先に定義したものである。例えば、RLは、部分−(R4O)v−R5−(OR4vを含んでよく、ここで、R5は、変形しにくい環状サブユニットであり、R4は、エチレン、プロピレン、またはブチレンであり、vは0から7に及ぶ。本発明の得られる実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、平均構造:
【化45】

【0098】
を有し、ここで、CAP1−X−は非反応性末端を有するキャッピング部分であり、R1、RL、Xおよびwは先に定義したものである。
【0099】
この実施の形態の例示の実質的に非反応性のオリゴマー添加剤としては:
【化46】

【0100】
が挙げられる。本発明の硬化性組成物のオリゴマー添加剤に、CAP2−X−、R1およびRLの他の組合せを使用して差し支えないことが当業者により認識されよう。
【0101】
別の実施の形態によれば、反応性多官能性オリゴマーは、変形しにくいポリオール誘導サブユニットおよび多官能価の両方を含む。これらのオリゴマーの好ましい部類は、平均構造:
【化47】

【0102】
を有し、ここで、wはゼロより大きく、nは2.2より大きく、RLは、少なくとも1つの環状の変形しにくい部分を含む。得られる実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、平均構造:
【化48】

【0103】
を有し、ここで、CAP2−X−は非反応性末端を有するキャッピング部分であり、RM、RL、R1、wおよびnは先に定義したものである。
【0104】
この部類の実質的に非反応性のオリゴマー添加剤の平均構造の例としては:
【化49】

【0105】
が挙げられる。反応性多官能性オリゴマーに、R1、RM、およびRLの他の組合せを用いても差し支えないことが当業者には認識されよう。
【0106】
本発明の硬化性組成物中に存在する実質的に非反応性のオリゴマー添加剤の量は、非反応性のオリゴマー添加剤を含まない、そうでなければ同じ組成物の硬化生成物の破壊靭性値よりも高い破壊靭性値を有する硬化生成物を生成するのに効果的な量である。この実質的に非反応性のオリゴマー添加剤は、硬化生成物の約20%までの量で存在することが好ましく、硬化性組成物の約15%までの量がより好ましく、硬化生成物の約10%までの量がさらにより好ましい。実質的に非反応性のオリゴマー添加剤が硬化生成物の約1%から約10%の量で存在することが最も好ましい。
【0107】
本発明の硬化性組成物に、他の従来のオリゴマーを使用して差し支えない。例えば、そのオリゴマーは、2つの水酸基を有するポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリオールの、反応性末端で修飾された脂肪族または芳香族ジイソシアネートとの反応の生成物であってよい。耐湿性を増加させることが望ましい場合、以下に限られないが、飽和脂肪族ジオールを含む非極性ジオールに基づくオリゴマーを用いてもよい。本発明の硬化性組成物に使用するのに適した市販のオリゴマーの例としては、以下に限られないが、ボマー・スペシャルティー社(Bomar Specialty Co.,)からのBR301およびKWS4131;コグニス社(Cognis Corp.)からのRCC12−892およびRCC13−572;コグニス社からのPHOTOMER 6010;およびユーシービー・ラドキュア社(UCB Radcure)からのEBECRYL 8800、4883、8804、8807、8402および284が挙げられる。
【0108】
本発明の硬化性組成物はまた、硬化の際に、高分子コーティングに結合できるようになるモノマーを1種類以上含む。一般に、約80%より大きい転化率が可能な個々のモノマーが、それより低い転化率を持つモノマーよりも望ましい。転化率の低いモノマーを硬化性組成物に導入できる程度は、所望の硬化された高分子材料の特定の要件に依存する。一般に、転化率が高いほど、より強力な硬化生成物が生成される。
【0109】
本発明の硬化性組成物に使用するための好ましい多官能性エチレン性不飽和モノマーとしては、以下に限られないが、エトキシル化が2以上の、好ましくは2から約30に及ぶエトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、およびプロポキシル化が2以上の、好ましくは2から約30に及ぶプロポキシル化ビスフェノールAジアクリレート(例えば、コグニス社(ペンシルベニア州、アンブラー所在)から得られるPHOTOMER 4025およびPHOTOMER 4028)などのアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレート;エトキシル化が3以上の、好ましくは3から約30に及ぶエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、コグニス社のPHOTOMER 4149、およびサートマー社(Sartomer Company, Inc.)のSR499)、プロポキシル化が3以上の、好ましくは3から約30に及ぶプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、コグニス社のPHOTOMER 4072)、およびジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、コグニス社のPHOTOMER 4355)などの、アルコキシル化を含むものと含まないメチロールプロパンポリアクリレート;プロポキシル化が3以上のプロポキシル化グリセリルトリアクリレート(例えば、コグニス社のPHOTOMER 4096)などのアルコキシル化グリセリルトリアクリレート;ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、サートマー社(ペンシルベニア州、ウエストチェスター所在)のSR295)、エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、サートマー社のSR494)、およびジペンタエリトリトールペンタアクリレート(例えば、コグニス社のPHOTOMER 4399、およびサートマー社のSR399)などの、アルコキシル化を含むものと含まないエリトリトールポリアクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(例えば、サートマー社のSR368)およびトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートなどの、適切なシアヌル酸をアクリル酸または塩化アクリロイルと反応させることにより形成されたイソシアヌレートポリアクリレート;アクリレートをビスフェノールAなどに添加することにより形成されたエポキシアクリレート(例えば、コグニス社のPHOTOMER 3016);およびトリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジシクロペンタジエンジアクリレートおよびジシクロペンタンジアクリレートなどの、単環および多環の環状芳香族または非芳香族ポリアクリレートが挙げられる。本発明の硬化性組成物に使用するのに、ビスフェノールA系のモノマーが特に好ましい。
【0110】
本発明の硬化性組成物に多官能性チオールモノマーを含ませることが望ましいであろう。多官能性チオールモノマーは、遊離ラジカルチオール・エン反応により重合に加わることができ、チオエーテル部分と架橋したポリマー網状構造を提供する。多官能性チオールが、少なくとも約3のチオール/分子のチオール官能価を有することが望ましい。適切な多官能性チオールの例としては、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート);トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート);およびコグニス社から得られるCAPCURE LOFが挙げられる。その多官能性チオールモノマーは、約2質量%および約20質量%の間の量で硬化性組成物中に存在することが望ましい。ある望ましい硬化性組成物に、多官能性チオールモノマーは、約5質量%および約15質量%の間の量で存在する。
【0111】
硬化生成物が水を吸収する、他のコーティング材料に付着する、または応力下で挙動する程度に影響を与えるために導入できる、単官能性エチレン性不飽和モノマーをある量で使用することも望ましいであろう。例示の単官能性エチレン性不飽和モノマーの例としては、以下に制限されないが、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、および2−ヒドロキシブチルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクタデシルアクリレート、およびステアリルアクリレートなどの長鎖および短鎖アルキルアクリレート;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、および7−アミノ−3,7−ジメチルオクチルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート;ブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート(例えば、サートマー社のSR339)、およびエトキシエトキシエチルアクリレートなどのアルコキシアルキルアクリレート;シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジシクロペンタジエンアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、ボルニルアクリレート、イソボルニルアクリレート(例えば、サートマー社のSR506)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、サートマー社のSR285)、カプロラクトンアクリレート(例えば、サートマー社のSR495)、およびアクリロイルモルホリンなどの単環および多環の環状芳香族または非芳香族アクリレート;ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、およびエトキシル化(4)ノニルフェノールアクリレート(例えば、コグニス社のPHOTOMER 4003)などの様々なアルコキシル化アルキルフェノールアクリレートなどのアルコール系アクリレート;ジアセトンアクリルアミド、イソブトキシメチルアクリルアミド、N,N’−ジメチル−アミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、およびt−オクチルアクリルアミドなどのアクリルアミド;N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルカプロラクタムなどのビニル系化合物;およびマレイン酸エステルおよびフマル酸エステルなどの酸エステルが挙げられる。
【0112】
最も適切なモノマーは、市販されているか、または当該技術分野に公知の反応機構を用いて容易に合成できるかのいずれかである。例えば、先に列記した単官能性モノマーのほとんどは、適切なアルコールまたはアミンをアクリル酸または塩化アクリロイルと反応させることにより合成できる。
【0113】
好ましい実施の形態において、硬化性組成物の総オリゴマー含有量は約25%未満であり、総オリゴマー含有量が約15%未満であることがより好ましい。硬化性組成物の総モノマー含有量は約65%より多いことが好ましく、硬化性組成物のモノマー含有量が約75%より多いことがより好ましい。比較的少量のオリゴマーを使用すると、当業者は、望ましい粘度を有する硬化性組成物を容易に配合することができる。オリゴマーは一般に、本発明の組成物のより高価な成分であるので、オリゴマーの量を最小にすることにより、当業者は、硬化性組成物のコスト、並びにそれにより被覆された光ファイバなどの物品のコストを減少させることができる。オリゴマー含有量の低い二次コーティング組成物が、ここに引用するボテロー(Botelho)等の米国特許第6775451号明細書により詳しく記載されている。好ましい実施の形態において、オリゴマーは、少なくとも約1質量%の濃度で硬化性組成物中に存在する。
【0114】
本発明の硬化性組成物は、二次光ファイバコーティングに用いられる硬化性組成物中に通例含まれる、光開始剤、酸化防止剤、および当業者に馴染みのある他の添加剤も含んでよい。
【0115】
本発明の硬化性組成物は重合開始剤を含んでもよい。この開始剤は、硬化性組成物の重合を開始するのに効果的な量で存在することが望ましい。本発明の望ましい硬化性組成物は、化学線により硬化するように適合され、1種類以上の光開始剤を含む。ほとんどの(メタ)アクリレート系の硬化性組成物について、ケトン系および/またはホスフィン・オキシド系開始剤などの従来の光開始剤を用いてよい。一般に、硬化性組成物の総光開始剤含有量は、約0.1および約10.0質量%の間である。硬化性組成物の総光開始剤含有量が、約1.0および約7.5質量%の間であることがより望ましい。適切な光開始剤の例としては、以下に限られないが、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカル社(Ciba Specialty Chemical)(ニューヨーク州、タリータウン所在)から得られるIRGACURE 184)、(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカル社の市販のブレンドのIRGACURE 1800、1850、および1700)、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカル社のIRGACURE 651)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカル社のIRGACURE 819)、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカル社の市販のブレンドのDAROCUR 4265)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−ワン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカル社の市販のブレンドのDAROCUR 4265)、およびそれらの組合せが挙げられる。適切な表面硬化とバルク材料の適切な硬化の両方を提供するために、α−ヒドロキシケトン光開始剤(例えば、IRGACURE 184)のビス(アシル)ホスフィンオキシド光開始剤(例えば、IRGACURE 819)の組合せを使用することが望ましいであろう。光ファイバにおける二次コーティングとして使用するための硬化性組成物に、ここに引用する、ベイカー(Baker)等の米国特許第6628875号明細書に記載されているような、一次コーティング組成物に用いられる光開始剤の吸収スペクトルと完全には重複しない吸収スペクトルを有する光開始剤を配合してもよい。本発明の光開始剤が引き続き開発されており、ガラスファイバ上のコーティングとして使用される。本発明の組成物にどのような適切な光開始剤を導入してもよい。
【0116】
上述した成分以外に、本発明の硬化性組成物は必要に応じて追加の添加剤を含んでも差し支えない。適切な添加剤としては、制限するものではないが、酸化防止剤、触媒、滑剤、低分子量非架橋性樹脂、定着剤、カップリング剤、着色剤、および安定剤が挙げられる。ある添加剤は、重合プロセスを調節し、それにより、前記組成物から形成された重合生成物の物理的性質(例えば、モジュラス、ガラス転移温度)に影響を与えるように働ける。他の添加剤は、組成物の重合性生物の健全性に影響を与えることができる(例えば、解重合または酸化分解に対して保護する)。望ましい酸化防止剤は、チバ・スペシャルティ・ケミカル社からIRGANOX 1035として得られる、チオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル)−4−ヒドロキシヒドロシンナメートである。適切な定着剤は、ユーシービー・ラドキュア社から得られるEBECRYL 170などのアクリル化酸定着剤である。それぞれここに引用する、ファビアン(Fabian)等の米国特許第6553169号、およびフュークス(Fewkes)等の米国特許第6602601号の各明細書に記載されたものなどのチタンおよびジルコニウム系カップリング剤および蛍光増白剤を、本発明の硬化性組成物に用いてもよい。チバ社から得られるUVITEX OBなどの蛍光増白剤を本発明の硬化性組成物に用いてもよい。
【0117】
二次コーティング材料に使用するための他の適切な材料、並びにこれらの材料の選択に関連する検討事項は、当該技術分野において良く知られており、ここに引用するチャピン(Chapin)の米国特許第4962992号および同第5104433号の各明細書に記載されている。本発明の組成物に含まれる上述した添加剤を含む、コーティングの1つ以上の性質を向上させる様々な添加剤が含まれても差し支えない。
【0118】
本発明の硬化性組成物は、実質的に均一なモルホロジーを有する硬化高分子材料を生成するように硬化されるであろう。
【0119】
本発明の硬化性組成物による硬化生成物は、少なくとも約1.0、1.1、1.2または1.3MPa・m1/2の破壊靭性値により特徴付けられることが好ましい。本発明の硬化性組成物による硬化生成物は、少なくとも約1.4または1.5MPa・m1/2の破壊靭性値により特徴付けられることがさらにより好ましい。
【0120】
破壊靭性(K1C)は、不安定な破局的亀裂成長に対する材料の耐性である。ある材料の破壊靭性は、材料に亀裂を伝搬させるのに必要なエネルギーに関連する。破壊靭性は、フイルムサンプル上で測定され、
【数1】

【0121】
として定義され、ここで、Yは幾何学因子であり、σはフイルムサンプルの引張強度(破断点)であり、zはノッチ長さの半分である。破壊靭性は、中心に切り込まれたノッチの形状を有するフイルムに測定される。
【0122】
図3は、破壊靭性の測定に用いられるサンプルの外形を示す図である。フイルムサンプル30は、約52mmの幅を有し、厚さが約0.010インチ(254μm)である。ノッチ32が、当業者に馴染みのある方法を用い、鋭い刃を用いてフイルムの中心に切り込まれる。異なるサンプルに、18mm、24mm、および30mmの長さを有するノッチが切り込まれる。サンプルの引張強度(破壊)σは、引張試験機器(例えば、Sinitech MTS Tensil Tester、またはInstron Universal Material Test System)を用いて測定される。サンプルは、ゲージ長が75mmとなるように引張試験機器の把持具34に把持される。変位速度は2.5cm/分である。引張強度は、無傷のサンプルの断面積で破壊時に適用した荷重を割ることにより計算してよい。上述したサンプルについて、引張強度は、方程式:
【数2】

【0123】
を用いて計算してよく、Yは幾何学因子であり、1.77−0.177(2λ)+1.77(2λ)2として定義され、ここで、λ=z/サンプル幅である。
【0124】
本発明の硬化性組成物による硬化生成物は、非反応性のオリゴマー添加剤を含まない、そうでなければ同じ組成の硬化生成物のヤング率値と実質的に同じ(またはそれより大きい)ヤング率値により特徴付けられる。ここに用いたように、硬化高分子材料のヤング率は、直径が約0.0225インチ(571.5μm)の円柱ロッドとして成形された材料のサンプルについて引張試験機器(例えば、Sinitech MTS Tensil Tester、またはInstron Universal Material Test System)を用いて、5.1cmのゲージ長、2.5cm/分の試験速度で、測定される。「実質的に同じ」とは、本発明の硬化性組成物による硬化生成物のヤング率値が、非反応性のオリゴマー添加剤を含まないそうでなければ同じ組成の硬化生成物のヤング率値より、約20%未満しか高くも低くもない、より好ましくは約15%未満しか高くも低くもない、最も好ましくは約10%未満しか高くも低くもないことを意味する。本発明による硬化生成物のヤング率は少なくとも約1200、1300、または1400MPaであることが好ましい。本発明の硬化生成物のヤング率は少なくとも約1500、1600、または1700MPaであることがさらにより好ましい。本発明の硬化生成物のヤング率は少なくとも約1800、1900、または2000MPaであることが最も好ましい。
【0125】
降伏応力も、本発明の硬化性組成物による硬化生成物の重要なパラメータである。その値を用いて、重要な材料の性質のa*パラメータを計算する。この定数a*は、(1/π)(K1C/降伏応力)2に等しく、ファイバ上の二次コーティングの欠陥感受性を反映する。マイクロメートルで表されるa*値が高いほど、コーティングの欠陥開始に対する感受性が低くなる。前記硬化性組成物による硬化生成物は、約200μmより大きい欠陥感受性値により特徴付けられることが好ましい。本発明による硬化生成物の欠陥感受性は約210または220μmより大きいことがさらにより好ましい。
【0126】
高いK1C値および低い降伏応力を持つ二次光ファイバコーティングを有することが望ましい。本発明の硬化性組成物による硬化生成物は一般に、高い破壊靭性(K1C)および高いa*の両方を有するというこの特徴を示す。好ましい実施の形態において、本発明の硬化性組成物による硬化生成物が、少なくとも約1.1MPa・m1/2の破壊靭性値および約200μmよりより大きい欠陥感受性値(a*)の両方により特徴付けられる。
【0127】
本発明の硬化性組成物による硬化生成物は、本発明の非反応性のオリゴマー添加剤を含まない、そうでなければ同じ組成の硬化生成物のガラス転移温度(Tg)と実質的に同じガラス転移温度(Tg)を有する。好ましい実施の形態において、その硬化生成物は、非反応性のオリゴマー添加剤を含まない、そうでなければ同じ組成の硬化生成物のガラス転移温度(Tg)より約20%未満しか高くも低くもないガラス転移温度(Tg)を有する。本発明の硬化生成物のガラス転移温度(Tg)は約60℃より高いことが好ましく、約60から約80℃の範囲にあることがより好ましい。
【0128】
本発明の硬化性組成物は、光ファイバ用の二次コーティングとして有用である。それゆえ、本発明の別の態様は、光ファイバ、光ファイバを取り囲む一次コーティング、および一次コーティングを取り囲む二次コーティングを有する被覆光ファイバに関する。二次コーティングは、本発明の第1の態様による硬化性組成物の硬化生成物である。
【0129】
本発明により被覆光ファイバの実例が図1の断面図に示されている。被覆光ファイバ10は、一次コーティング14および二次コーティング16により取り囲まれたガラス光ファイバ12を含む。ガラスファイバ12は、当業者に馴染みがあるように、コアおよびクラッドを含む未被覆光ファイバである。この光ファイバは、データ伝送ファイバ(例えば、各々が、ニューヨーク州、コーニング所在のコーニング社(Corning Incorporated)から得られる、SMF−28(登録商標)、LEAF(登録商標)、およびMETROCOR(登録商標))としての使用に適合してよい。あるいは、光ファイバは、増幅、分散補償、または偏波維持機能を行うであろう。当業者には、ここに記載したコーティングが、環境から保護されるのが望ましい実質的にどのような光ファイバに使用するのにも適していることが認識されよう。
【0130】
被覆光ファイバ10において、ガラスファイバ12は一次コーティング14により取り囲まれている。一次コーティング14は、低いヤング率(例えば、25℃で約5MPa未満)および低いガラス転移温度(例えば、約−10℃未満)を有する軟質の架橋ポリマー材料から形成される。一次コーティング14は、逸脱した光信号を光ファイバコアから除去できるように、光ファイバのクラッドよりも高い屈折率を有することが望ましい。一次コーティングは、熱老化および加水分解老化の最中にガラスファイバに対する適切な付着性を維持し、それでも、スプライス目的のためにそこから剥ぎ取れるべきである。一次コーティングは一般に、25〜40μmの範囲(例えば、約32.5μm)の厚さを有する。一次コーティングは一般に、液体としてガラスファイバに施され、硬化せしめられる。一次コーティングを形成するために用いられる従来の硬化性組成物は、オリゴマー(例えば、ポリエーテルウレタンアクリレート)、1種類以上のモノマー希釈剤(例えば、エーテル含有アクリレート)、光開始剤、および他の望ましい添加剤(例えば、酸化防止剤)を用いて配合される。光ファイバ用の一次コーティングは、過去に十分に記載されてきており、当業者にも馴染みがある。望ましい一次コーティングが、各々ここに引用する、チェン(Chien)等の米国特許第6326416号、ウィニンガム(Winningham)の米国特許第6531522号、フュークス等の米国特許第6539152号、シセル(Schissel)等の米国特許第6849333号、ウィニンガムの米国特許第6563996号、およびフュークス等の米国特許第6869981号の各明細書に開示されている。別の望ましい一次コーティングは、52質量%のBR3741(ボーマー・スペシャルティーズ社(Bomar Specialties))、25質量%のPHOTOMER 4003(コグニス社)、20質量%のTONE M−100(ダウ・ケミカル社)、1.5質量%のIRGACURE 819(チバ社)、1.5質量%のIRGACURE 184(チバ社)、1pphの(3−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン(ゲレスト社(Gelest))および0.032pphのペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(アルドリッチ社(Aldrich))を含む一次コーティング組成物の硬化反応生成物である。
【0131】
被覆光ファイバ10において、一次コーティング14は二次コーティング16により取り囲まれている。図1において、二次コーティングは、一次コーティングに直接施されているものとして示されている。しかしながら、当業者には、一次コーティングと二次コーティングとの間に1つ以上の中間コーティング層が配置されてもよいことが認識されよう。二次コーティング16は、硬化高分子材料から形成され、一般に、20〜35μmの範囲(例えば、約27.5μm)の厚さを有する。二次コーティングは、光ファイバを保護するのに十分な剛性を有し、取り扱われたり曲げられたりスプールに巻かれたりするのに十分に柔軟であり、取扱いが可能でありかつスプールの隣接する巻かれたファイバが互いにくっつくのを防ぐほど低い粘着性を有し、水および光ファイバケーブルを充填する化合物などの化学物質に対して耐性であり、施されるコーティング(例えば、一次コーティング)に対する適切な付着性を有することが好ましい。
【0132】
本発明による硬化性組成物に由来する二次コーティングを有する光ファイバは標準方法により製造される。手短に言えば、このプロセスは、ガラスファイバを製造し(当業者に馴染みのある方法を用いて)、ガラスファイバに一次コーティング組成物を塗布し、一次コーティング組成物を重合させて一次コーティング材料を形成し、光ファイバされたガラスファイバに上述した硬化性組成物を塗布し、その硬化性組成物を重合させて光ファイバの二次コーティングとして硬化重合材料を形成する各工程を含む。必要に応じて、二次コーティング組成物は、一次コーティング組成物を重合させる前に、被覆ファイバに塗布しても差し支えなく、その場合、一回の重合工程しか用いられない。
【0133】
一次および二次コーティング組成物は、例えば、線引き塔で従来のプロセスを用いてガラスファイバに被覆される。例えば、約2000℃の温度に局部的かつ対称に加熱された、特別に調製された円柱形プリフォームから、ガラスファイバを線引きすることがよく知られている。プリフォームを炉に供給し、そこに通すことなどにより、プリフォームが加熱されるときに、ガラスファイバは、溶融材料から線引きされる。ガラスファイバがプリフォームから線引きされた後、好ましくは冷却の直後に、1種類以上のコーティング組成物がガラスファイバに塗布される。次いで、コーティング組成物が硬化されて、被覆光ファイバが製造される。硬化方法は、使用されるコーティング組成物および重合開始剤の性質に応じて、ガラスファイバ上の塗布された(未硬化の)コーティング組成物を、紫外線、化学線、マイクロ波、または電子ビームに曝露することなどにより、熱的、化学的または放射線誘起であって差し支えない。線引きプロセスに続いて、一次コーティング組成物および二次コーティング組成物の両方を順々に塗布することが都合よいことが多い。動いているガラスファイバにコーティング組成物の二重層を塗布するある方法が、ここに引用する、テイラー(Taylor)の米国特許第4474830号明細書に開示されている。ガラスファイバにコーティング組成物の二重層を塗布する別の方法が、ここに引用する、ランネル(Rannell)等の米国特許第4581165号明細書に開示されている。もちろん、一次コーティング組成物を塗布し、硬化させて、一次コーティング材料を形成し、次いで、本発明による硬化性組成物を塗布し、硬化させて、二次コーティングの硬化重合材料を形成しても差し支えない。
【0134】
本発明のさらに別の態様は、本発明の第2の態様による、複数の実質的に一列に配置された被覆光ファイバを有する光ファイバリボンまたはバンドルに関する。母材がその複数の光ファイバを被包する。
【0135】
本発明のリボンのある実施の形態が図2に示されている。そこに示されているように、本発明の光ファイバリボン20は、実質的に平面の関係で互いに実質的に一列に配置され、母材22により被包された、複数の単層または多層光ファイバ10を含む。当業者には、光ファイバ10が、二重層コーティング系(例えば、上述した一次および二次コーティング)を含んでよく、不変色インクにより着色されていてもよいことが認識されよう。光ファイバ10が、その直径の約半分より大きい距離、共通面からはずれていないことが望ましい。実質的に一列に配置されたとは、光ファイバ10が、光ファイバリボン20の長手方向に沿って、他の光ファイバと実質的に平行であることが意図されている。図2において、光ファイバリボン20は、16本の光ファイバ10を含んでいる。しかしながら、特定の用途のために配置される光ファイバリボン20を形成するために、いくつの光ファイバ10(例えば、2つ以上)を用いてもよいことが当業者には明らかであろう。
【0136】
本発明の光ファイバリボンまたはバンドルにおける光ファイバは、光ファイバリボンを製造する従来の方法により、どのような公知の構造(例えば、縁が結合されたリボン、薄く被包されたリボン、厚く被包されたリボン、または多層リボン)に母材22により被包されてもよい。
【0137】
前記光ファイバリボンは、本発明の硬化性組成物を用いて母材材料を形成する従来の方法により調製してもよい。例えば、多数の実質的に平面の光ファイバの配列の際に、本発明の組成物を、各々ここに引用する、メイヤー(Mayr)の米国特許第4752112号およびエストライヒ(Oestreich)等の米国特許第5486378号の各明細書に記載された光ファイバリボンを調製する方法にしたがって、塗布し、硬化させて差し支えない。
【0138】
本発明の硬化性組成物は、光ファイバ用の不変色インクの配合に都合良く用いてもよい。それゆえ、被覆光ファイバは、光ファイバ、光ファイバを被包するコーティング系(上述したコーティング系などの)、およびコーティング系の外部に付着される不変色インクを含む。例えば、図1は、ガラス光ファイバ12、一次コーティング14と二次コーティング16を含むコーティング系、および不変色インク18を備えたマーキングされた光ファイバ10の断面図を示している。不変色インク18は、上述した本発明の硬化性組成物の硬化生成物である。不変色インクは一般に、光ファイバの二次コーティングの外面の着色コーティングの薄層として形成される。適切な不変色インクを提供するために、顔料および/または染料を本発明の硬化性組成物に当業者により加えてもよい。ここに引用する、ファビアンの米国特許第6553169号明細書に記載されているように、不変色インク硬化性組成物中にチタン酸塩またはジルコン酸塩カップリング剤を含ませることが望ましいであろう。
【0139】
本発明の硬化性組成物および硬化高分子材料を、光ファイバの二次コーティングに関して先に記載してきた。しかしながら、ここに記載された硬化性組成物および硬化高分子材料が、非常に硬く丈夫なコーティングを必要とする他のコーティング用途に有用であろうことが当業者には認識されよう。例えば、本発明のコーティングは、例えば、スプライス接合部で、コーティングの剥がされた光ファイバを再被覆するのに使用してもよい。
【0140】
本発明による光ファイバリボンまたはファイババンドルを形成したが、これらの製品は、ネットワークに亘りデータ信号を伝送するための通信システムに用いられることが意図されている。
【実施例】
【0141】
以下の実施例は、本発明の実施を例示することが意図されているが、決してその範囲を制限することを意図するものではない。
【0142】
実施例1−実質的に非反応性のオリゴマー添加剤を有するウレタン/アクリレートオリゴマーの調製
全ての配合物は、チバ社からのIfgacure 819=ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドを1.5pph、チバ社からのIrgacure 184=1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンを1.5pph含有している。
【0143】
Photomer 4028は、コグニス社から得た、エトキシル化(4)BPAジアクリレートモノマーである。Photomer 3016は、コグニス社から得たエポキシアクリレートオリゴマーである。Sylvatac R40およびSylvatac RE25は、アリゾナ・ケミカル社(Arisona Chemical)から得た独自のペンタエリトリトール系樹脂エステル粘着付与剤である。
【0144】
反応性オリゴマー1−PEryth(PO)5[IPDI〜BPA〜IPDI〜HEA]4
構造PEryth(PO)5[IPDI〜BPA〜IPDI〜HEA]4を有するウレタンアクリレートオリゴマーを、78.5gのPhotomer 4028、20.0g(0.088モル)のビスフェノールA(アルドリッチ社)、9.34g(0.022モル)のプロポキシル化(5PO/4OH)ペンタエリトリトール(アルドリッチ社、Mn=426)(PertPO(426)として先に示された)、10.19g(0.088モル)の2−ヒドロキシエチルアクリレート(アルドリッチ社)、および240mgのMEHQ安定剤の混合物を2時間に亘り真空下(1mm)で75〜80℃で最初に加熱することにより調製した。真空を開放し、塩化カルシウム乾燥管を反応容器に取り付け、次いで、これを20℃未満に冷却し、その時点で、39.0g(0.175モル)のイソホロンジイソシアネート(アルドリッチ社)を滴下により加え、次いで、120mgのジラウリル酸ジブチルスズを加えた。その混合物を2時間に亘り75〜80℃で加熱して、反応を完了した。
【0145】
部分的反応性オリゴマー2−PEryth(PO)5[IPDI〜BPA〜IPDI〜HEA]2[IPDI〜BPA〜IPDI〜OA]2
構造PEryth(PO)5[IPDI〜BPA〜IPDI〜HEA]2[IPDI〜BPA〜IPDI〜OA]2を有するウレタンアクリレートオリゴマーを、78.5gのPhotomer 4028、20.0g(0.088モル)のビスフェノールA、9.34g(0.022モル)のプロポキシル化(5PO/4OH)ペンタエリトリトール(アルドリッチ社、Mn=426)、および240mgのMEHQ安定剤の混合物を1時間に亘り真空下(1mm)で75〜80℃で最初に加熱することにより調製した。真空を開放し、塩化カルシウム乾燥管を反応容器に取り付け、次いで、これを20℃未満に冷却し、その時点で、39.0g(0.175モル)のイソホロンジイソシアネートを滴下により加え、次いで、120mgのジラウリル酸ジブチルスズを加えた。その混合物を1.5時間に亘り75〜80℃で加熱し、次いで、65℃未満に冷却し、このときに、5.11g(0.044モル)の2−ヒドロキシエチルアクリレートおよび5.72g(0.044モル)のn−オクチルアルコールの混合物を、5分に亘り加えた。その混合物を2時間に亘り75〜80℃で加熱して、反応を完了した。
【0146】
部分的反応性オリゴマー3−PEryth(PO)5[IPDI〜BPA〜IPDI〜HEA][IPDI〜BPA〜IPDI〜OA]3
構造PEryth(PO)5[IPDI〜BPA〜IPDI〜HEA][IPDI〜BPA〜IPDI〜OA]3を有するウレタンアクリレートオリゴマーを、78.5gのPhotomer 4028、20.0g(0.088モル)のビスフェノールA、9.34g(0.022モル)のプロポキシル化(5PO/4OH)ペンタエリトリトール(アルドリッチ社、Mn=426)、および240mgのMEHQ安定剤の混合物を1時間に亘り真空下(1mm)で75〜80℃で最初に加熱することにより調製した。真空を開放し、塩化カルシウム乾燥管を反応容器に取り付け、次いで、これを20℃未満に冷却し、その時点で、39.0g(0.175モル)のイソホロンジイソシアネートを滴下により加え、次いで、120mgのジラウリル酸ジブチルスズを加えた。その混合物を1.5時間に亘り75〜80℃で加熱し、次いで、65℃未満に冷却し、このときに、2.55g(0.022モル)の2−ヒドロキシエチルアクリレートおよび8.58g(0.066モル)のn−オクチルアルコールの混合物を、5分に亘り加えた。その混合物を2時間に亘り75〜80℃で加熱して、反応を完了した。
【0147】
反応性オリゴマー4−GlyPO(725)[IPDI〜BPA〜IPDI〜BPA〜IPDI〜HEA]3
構造GP725[IPDI〜BPA〜IPDI〜BPA〜IPDI〜HEA]3を有するウレタンアクリレートオリゴマーを、81.2gのPhotomer 4028、25.0g(0.110モル)のビスフェノールA、および130mgのMEHQ安定剤の混合物を2時間に亘り真空下(1mm)で75〜80℃で最初に加熱することにより調製した。真空を開放し、その混合物を窒素雰囲気下に配置し、20℃未満に冷却し、このときに、36.56g(0.164モル)のイソホロンジイソシアネートを加え、次いで、130mgのジラウリル酸ジブチルスズを加えた。その混合物を1.5時間に亘り75〜80℃で加熱し、次いで、65℃未満に冷却し、このときに、6.37g(0.055モル)の2−ヒドロキシエチルアクリレートを5分に亘り加えた。その混合物を1.5時間に亘り75〜80℃で加熱し、次いで、65℃未満に冷却し、その後、13.25g(0.018モル)のグリセロールプロポキシレート(アルドリッチ社、Mn=725)を5分間に亘り加えた。その混合物を2時間に亘り75〜80℃で加熱して、反応を完了した。
【0148】
実質的に非反応性のオリゴマーA−PEryth(PO)5[IPDI〜BPA〜IPDI〜OA]4
構造PEryth(PO)5[IPDI〜BPA〜IPDI〜OA]4を有するウレタンアクリレートオリゴマーを、78.5gのPhotomer 4028、20.0g(0.088モル)のビスフェノールA、9.34g(0.022モル)のプロポキシル化(5PO/4OH)ペンタエリトリトール(アルドリッチ社、Mn=426)、および240mgのMEHQ安定剤の混合物を1時間に亘り真空下(1mm)で75〜80℃で最初に加熱することにより調製した。真空を開放し、塩化カルシウム乾燥管を反応容器に取り付け、次いで、これを20℃未満に冷却し、その時点で、39.0g(0.175モル)のイソホロンジイソシアネートを滴下により加え、次いで、120mgのジラウリル酸ジブチルスズを加えた。その混合物を1.5時間に亘り75〜80℃で加熱し、次いで、65℃未満に冷却し、このときに、11.44g(0.088モル)のn−オクチルアルコールを5分に亘り加えた。その混合物を2時間に亘り75〜80℃で加熱して、反応を完了した。
【0149】
実質的に非反応性のオリゴマーB−PEryth(PO)5[IPDI〜BPA〜IPDI〜PA]4
構造PEryth(PO)5[IPDI〜BPA〜IPDI〜PA]4を有するウレタンアクリレートオリゴマーを、92.0gのPhotomer 4028、25.0g(0.110モル)のビスフェノールA、11.68g(0.027モル)のプロポキシル化(5PO/4OH)ペンタエリトリトール(アルドリッチ社、Mn=426)、および140mgのMEHQ安定剤の混合物を1.5時間に亘り真空下(1mm)で75〜80℃で最初に加熱することにより調製した。真空を開放し、塩化カルシウム乾燥管を反応容器に取り付け、次いで、これを20℃未満に冷却し、その時点で、48.75g(0.219モル)のイソホロンジイソシアネートを滴下により加え、次いで、140mgのジラウリル酸ジブチルスズを加えた。その混合物を1.5時間に亘り75〜80℃で加熱し、次いで、65℃未満に冷却し、このときに、6.59g(0.110モル)のn−オクチルアルコールを5分に亘り加えた。その混合物を2時間に亘り75〜80℃で加熱して、反応を完了した。
【0150】
実質的に非反応性のオリゴマーC−GP725[IPDI〜BPA〜IPDI〜BPA〜IPDI〜OA]3
構造GP725[IPDI〜BPA〜IPDI〜BPA〜IPDI〜OA]3を有するウレタンアクリレートオリゴマーを、82.0gのPhotomer 4028、25.0g(0.110モル)のビスフェノールA、13.25g(0.018モル)のグリセロールプロポキシレート(アルドリッチ社、Mn=725)(先にGlyPO(725)とも示された)、および130mgのMEHQ安定剤の混合物を1.5時間に亘り真空下(1mm)で75〜80℃で最初に加熱することにより調製した。真空を開放し、その混合物を窒素雰囲気下に配置し、20℃未満に冷却し、このときに、36.56g(0.164モル)のイソホロンジイソシアネートを加え、次いで、130mgのジラウリル酸ジブチルスズを加えた。その混合物を1.5時間に亘り75〜80℃で加熱し、次いで、65℃未満に冷却し、このときに、6.37g(0.055モル)のn−オクチルアルコールを5分に亘り加えた。その混合物を2時間に亘り75〜80℃で加熱して、反応を完了した。
【0151】
実施例2−二次コーティングの調製
上述した(比較の)反応性オリゴマーおよび実質的に非反応性のオリゴマーを用いて、二次コーティング組成物を調製した。それらの組成物の配合が下記の表3に示されている。
【表3−1】

【表3−2】

官能基比較組成物および試験コーティング組成物は、それらが20パーセントの関連添加剤を含有することを示しているが、これらの組成物は、Photomer 4028により1:1で希釈されていることが実施例1から明らかである。それゆえ、添加剤自体の真の濃度は、表3に列記されたものの半分である(Photomer 4028の濃度は同じ量だけ高い)。
【0152】
コーティング配合物をジャケット付きビーカー内で70℃に加熱し、高速ミキサを用いて混合した。各場合において、成分を、秤を用いてジャケット付きビーカー中に秤量し、固体成分が完全に溶解し、混合物が均質に見えるまで、約1〜2時間に亘り混合した。
【0153】
表3に列記した硬化性組成物を用いて、破壊靭性試験のためのフイルムサンプルおよび引張特性の測定のためのロッドサンプルを調製した。フイルムサンプルは、10ミル(0.254mm)線引きバーを用いて、コーティングをガラス板上にキャストすることにより調製した。次いで、フイルムを、Fusion Dバルブを用いて約1.4ジュール/cm2の線量で硬化させた。ロッドサンプルは、25ミル(0.635mm)の内径を持つテフロン(登録商標)管中にコーティングを射出成形することにより調製した。これらのサンプルを、Fusion Dバルブを用いて約2.6ジュール/cm2の線量で硬化させた。硬化後、「テフロン」管をサンプルから剥がした。得られたロッドおよびフイルムを、50%の湿度および23℃の温度に制御された研究室内で一晩状態調節させた。
【0154】
次いで、Sintech MTS Tensile Testerを用いて、サンプルを試験した。ここに引用するASTM E561に記載された方法にしたがい、中心にノッチが切り込まれた形状で、Linear Elastic Fracture Mechanicsを使用して、そのフイルムサンプルを用いて硬化生成物の破壊靭性を測定した。サンプルの幅は52mmであり、3種類のノッチ長さ(18mm、24mm、および30mm)を試験した。試験のためのゲージ長は7.5cmであり、試験速度は2.5cm/分であった。破壊靭性値(K1C)は、以下の方程式:
【数3】

【0155】
を用いて計算した。ここで、σ=サンプルの破断点引張強度、a=亀裂長さ、Yは外形因子:
【数4】

【0156】
であり、ここで、λ=亀裂長さ/サンプル幅である。a*値は、式:
【数5】

【0157】
を用いて計算した。ロッドサンプルを用いて、引張特性を生成した(ヤング率、降伏応力、破断点引張強度、および破断点%伸び)。この試験のゲージ長は5.1cmであり、試験速度は2.5cm/分であった。破壊靭性a*、および引張特性データも表4に報告されている。
【表4】

【0158】
プロポキシル化ペンタエリトリトールに基づく添加剤を含有し、様々なレベルの反応性ヒドロキシエチルアクリレート端部キャップを有する配合物の比較により(表4の官能基比較1a,1b,2および3)、全ての材料が、同様の機械的性質および靭性特性を有することが示される。紫外線硬化中に、発達しているポリマー網状構造に添加剤を化学的に結合させる、添加剤の反応性末端基のレベルは、性質に著しい影響はなかった。完全に非反応性のウレタン/アクリレート添加剤を含有配合物(表4におけるテストコーティングA1,A2およびB)が特に重要である。これらの実施例において、非反応性末端基の性質(オクチル対プロピルアルコール)にも、性質に影響はなかった。プロポキシル化グリセロールに基づくウレタン/アクリレート添加剤(表4におけるテストコーティングC対官能基比較4)を用いて同様の作用が見られた。未修飾のベース対照コーティング(表4における負の対照1および2)との比較により、添加剤の全て(反応性と非反応性)が靭性を向上させたが、他の機械的性質にはほとんど影響がなかったことが示される。また、これらのコーティングの全てのガラス転移温度は、実質的に不変であることが分かった。
【0159】
これとは反対に、2つの非反応性の市販の粘着付与剤Sylvatac R40およびSylvatac RE25(表4における可塑剤比較1および2)またはフタル酸ジオクチル(表4における可塑剤比較3)を用いて調製した配合物は、未修飾のベース対照コーティングと比較して、機械的性質と靭性の両方で減少を示した。これらの非反応性添加剤は、本発明のものとは対照的に、予測したように、可塑剤として挙動した。このことは、硬化コーティングのガラス転移温度(Tg)が効果的に低下したことにより確認された。
【0160】
実施例3−一次コーティングを有する光ファイバの調製
公知の手順にしたがって、上述した一次コーティング材料および適切な二次コーティング材料を用いて、光ファイバを調製する。冷却後に、線引きされたガラスファイバに一次および二次コーティング材料を塗布する。約125μmの直径を有するガラスファイバを、実施例1に列記した一次コーティングの内の1つの容器中に導入する。被覆されたファイバをその容器から取り出すときに、一次コーティング組成物の厚さは、被覆ファイバをダイに通過させることにより、約32.5μmに調節される。次いで、被覆ファイバは、第2のコーティング容器を通して線引きされ、本発明の二次コーティング組成物を保持する。被覆ファイバが第2の容器から取り出されるときに、二次コーティング組成物の厚さは、被覆ファイバをダイに通して通過させることにより、約27.5μmに調節される。
【0161】
被覆ファイバは、約245±10μmの直径を有する光ファイバを製造するために、D(300W)バルブ(フュージョン・ユーブイ・システムズ社(Fusion UV Systems Inc)(メリーランド州、ゲイサーズバーグ所在)から得られる)を用いて、化学線、好ましくは紫外線により、0.25から1.0J/cm2の線量レベルで硬化させる。当業者は、D−バルブを照射ランプと称する。
【0162】
好ましい実施の形態をここに詳細に示し記載してきたが、本発明の精神から逸脱せずに、様々な変更、追加、置換などを行え、したがって、それらは、特許請求の範囲に定義された本発明の範囲に含まれると考えられることが当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明による、不変色インクを含む光ファイバの断面図
【図2】本発明による光ファイバリボンの断面図
【図3】破壊靭性の測定に用いられるフイルムサンプルの概略図
【符号の説明】
【0164】
10 被覆光ファイバ
12 ガラス光ファイバ
14 一次コーティング
16 二次コーティング
20 光ファイバリボン
22 母材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性組成物において、
オリゴマー、
少なくとも1種類のモノマー、および
実質的に非反応性のオリゴマー添加剤であって、該非反応性のオリゴマー添加剤を含まない、そうでなければ同じ組成の硬化生成物の破壊靭性値よりも高い破壊靭性値を有する硬化生成物を生成するのに効果的な量のオリゴマー添加剤、
を有してなる組成物。
【請求項2】
前記実質的に非反応性のオリゴマー添加剤が、化学式(I)、(II)、または(III)による構造または平均構造:
【化1】

を有し、ここで、
CAP1が、非反応性末端を有するキャッピング部分であり、
RT’が、CAP1によりキャッピングされた反応性末端を有する誘導体部分であり、
1が、ウレタン結合を実質的に含まないポリイソシアネートコア部分であり、
Aが、R1または−R1−(NH−COO−RC−OOC−NH−R1t−であり、ここで、RCはポリオール誘導コア部分であり、tは0から約4の範囲の平均値であり、
Mが、nの平均官能価を持つコア部分であり、ここで、nは2.2より大きく、
2が、少なくとも1つの結晶化可能なポリオール誘導部分または少なくとも1つの環状の変形しにくい部分のいずれかを含み、
wがゼロより大きい、
ことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記実質的に非反応性のオリゴマー添加剤が、化学式(IV)、(V)、または(VI)による構造または平均構造:
【化2】

を有し、ここで、
CAP2−X−が、非反応性末端を有するキャッピング部分であり、
Xが、S、OまたはNであり、
1が、ウレタン結合を実質的に含まないポリイソシアネートコア部分であり、
Aが、R1または−R1−(NH−COO−RC−OOC−NH−R1t−であり、ここで、RCはポリオール誘導コア部分であり、tは0から約4の範囲の平均値であり、
Mが、nの平均官能価を持つコア部分であり、ここで、nは2.2より大きく、
2が、少なくとも1つの結晶化可能なポリオール誘導部分または少なくとも1つの環状の変形しにくい部分のいずれかを含み、
wがゼロより大きい、
ことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記硬化性組成物が照射線硬化性であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記実質的に非反応性のオリゴマー添加剤が前記組成物の約20%までを構成することを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記実質的に非反応性のオリゴマー添加剤が前記組成物の約10%までを構成することを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記硬化性組成物の硬化生成物が、少なくとも約1.1MPa・m1/2の破壊靭性値により特徴付けられることを特徴とする請求項1記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−514994(P2009−514994A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537748(P2008−537748)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/039876
【国際公開番号】WO2007/050308
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】