ファイル伝送システム及びファイル伝送方法
【課題】磁気テープ等の記録媒体のイメージファイルを他の拠点に転送し、他の拠点において記録媒体の複製を効率的かつ的確に作成するためのファイル伝送システム及びファイル伝送方法を提供する。
【解決手段】伝送元のシステム制御装置20の制御部21は、セットされた磁気テープの読込処理を実行し、データブロック数をカウントする。そして、伝送先のシステム制御装置30の制御部31は、処理対象ファイル一覧表示処理、処理対象ファイルの指定処理を実行する。そして、制御部31は、指定されたファイルをシステム制御装置20から取得する。制御部31は、磁気テープへの書込処理を実行し、データブロック数をカウントする。送信元及び送信先におけるデータブロック数が一致した書き込みを終了した場合、制御部31は、一時ファイルを削除する。そして、伝送元のシステム制御装置20の制御部21は、処理済ファイルの登録を行なう。
【解決手段】伝送元のシステム制御装置20の制御部21は、セットされた磁気テープの読込処理を実行し、データブロック数をカウントする。そして、伝送先のシステム制御装置30の制御部31は、処理対象ファイル一覧表示処理、処理対象ファイルの指定処理を実行する。そして、制御部31は、指定されたファイルをシステム制御装置20から取得する。制御部31は、磁気テープへの書込処理を実行し、データブロック数をカウントする。送信元及び送信先におけるデータブロック数が一致した書き込みを終了した場合、制御部31は、一時ファイルを削除する。そして、伝送元のシステム制御装置20の制御部21は、処理済ファイルの登録を行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気テープ等の記録媒体のイメージファイルを他の拠点に転送し、他の拠点において記録媒体の複製を作成するためのファイル伝送システム及びファイル伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関を含め各企業において、業務に関するデータファイルを計算機システムに取り込んで各種業務の管理処理が行なわれている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、磁気テープ等の記録媒体に格納されたファイルを計算機システム内のデータ記憶装置に格納して、データの加工処理を行なうことが多い。このようなデータ記憶装置に比べ、磁気テープは容量が大きく、テープの容量当たりの単価が安価である。しかし、磁気テープはランダムアクセスができず、読み書きの速度が遅い。こうした特徴から、企業が保有する大規模なサーバなどのバックアップ用メディアとして用いられている。
【0003】
また、より高速なアクセスが可能な磁気ディスク装置上で仮想的にテープ装置をエミュレートすることにより、実際の磁気テープよりも高速にアクセスすることが可能な仮想テープ装置も開発されている(例えば、特許文献2参照。)。この文献に記載された技術では、ディスク装置で磁気テープ装置を仮想的にエミュレートしたシステムにおいて、前記ディスク装置上の仮想テープ記憶領域から仮想テープのファイルを作成する。そして、前記作成した仮想テープのファイルを他のシステムの仮想テープのファイルにディスク装置間のファイルのコピー機能によって転送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−6039号公報(第2頁,図1)
【特許文献2】特開2004−227448号公報(第1頁,図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような磁気テープに格納されたファイルを他の拠点の計算機システムにおいて利用したい場合もある。この場合には、他の拠点に磁気テープを搬送することも可能であるが、ネットワークを介してファイルを伝送し、他の拠点において磁気テープを複製することもある。この場合には、伝送元の磁気テープに格納されたファイルに対して、他の拠点において複製された磁気テープに格納されたファイルの整合性を確保しておく必要がある。
【0006】
また、一つのファイルの容量が大きく、複数の磁気テープに分散して格納するマルチボリューム方式を利用する場合もある。この場合、伝送元と伝送先とでは、磁気テープの記録密度やテープ長さ等が異なることにより磁気テープの容量が異なる場合がある。この場合にも、ファイルの連続性を維持するとともに、伝送元及び伝送先の各磁気テープに格納されたファイルの整合性を確保しておく必要がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、磁気テープ等の記録媒体のイメージファイルを他の拠点に転送し、他の拠点において記録媒体の複製を効率的かつ的確に作成するためのファイル伝送システム及びファイル伝送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、記録媒体読取装置に接続された伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムであって、前記伝送元装置が、前記記録媒体読取装置において処理対象ファイルが格納された記録媒体のセッティングを検知した場合、この記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する識別コード取得手段と、前記記録媒体に記録されたEOFラベルを検知するまでのデータブロック数をカウントして記憶する伝送元ブロックカウント手段と、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込手段とを備え、前記伝送先装置が、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体に書き込む書込手段と、前記書込手段が書き込んだEOFラベルまでのデータブロック数をカウントする伝送先ブロックカウント手段と、前記伝送元装置から取得したデータブロック数と、記録媒体に書き込まれたデータブロック数とを照合し、データブロック数が一致しない場合にはエラー処理を実行する確認手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のファイル伝送システムにおいて、前記伝送元装置の伝送元ブロックカウント手段は、複数のEOFラベルを検知した場合には、最初のEOFラベルまでのデータブロック数をカウントすることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のファイル伝送システムにおいて、前記伝送先装置の書込手段は、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体において、処理対象ファイルの書込中にオーバーフローした場合には、次の順番の記録媒体に繰り越して書き込むことを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載のファイル伝送システムにおいて、前記伝送先装置の書込手段は、前記記録媒体の識別コードに基づいて、複数の記録媒体がグループ化されているマルチボリュームと判定した場合、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体にマルチボリュームの順番に書き込むことを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、記録媒体読取装置に接続され、処理対象の記録媒体の識別コードが記録された業務管理テーブルを保持した伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムであって、前記伝送元装置が、記録媒体読取装置にセットされた記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する手段と、前記業務管理テーブルに記録された識別コードと照合し、前記識別コードが業務管理テーブルに記録されている場合には、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込手段とを備え、前記伝送先装置が、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体の識別コードを読み取り、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、識別コードが一致する記録媒体に書き込む書込処理を実行する手段を備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のファイル伝送システムにおいて、前記伝送元装置は、イメージファイルを生成した記録媒体の識別コードを記録した読込済情報記憶手段と、イメージファイルを前記伝送先装置に転送した記録媒体の識別コードを記録した伝送済情報記憶手段とを備え、前記伝送元装置は、記録媒体読取装置にセットされた記録媒体の識別コードが前記読込済情報記憶手段或いは前記伝送済情報記憶手段に記録されているかどうかを確認し、既に前記読込済情報記憶手段或いは前記伝送済情報記憶手段のいずれかに前記識別コードが記録されている場合には、前記記録媒体の読み込みを拒否する手段と、前記読込済情報記憶手段及び前記伝送済情報記憶手段に前記識別コードが記録されていない場合には、前記伝送元装置は、読込処理を実行し、前記識別コードを前記読込
済情報記憶手段に記録する手段と、前記伝送先装置における書込処理の終了を検知した場合、前記伝送元装置は、前記識別コードを前記伝送済情報記憶手段に記録する手段とを備えたこことを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、記録媒体読取装置に接続された伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムを用いて、ファイルを伝送する方法であって、前記伝送元装置が、前記記録媒体読取装置において処理対象ファイルが格納された記録媒体のセッティングを検知した場合、この記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する識別コード取得段階と、前記記録媒体に記録されたEOFラベルを検知するまでのデータブロック数をカウントして記憶する伝送元ブロックカウント段階と、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込段階とを実行し、前記伝送先装置が、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体に書き込む書込段階と、前記書込段階で書き込んだEOFラベルまでのデータブロック数をカウントする伝送先ブロックカウント段階と、前記伝送元装置から取得したデータブロック数と、記録媒体に書き込まれたデータブロック数とを照合し、データブロック数が一致しない場合にはエラー処理を実行する確認段階とを実行することを要旨とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、記録媒体読取装置に接続され、処理対象の記録媒体の識別コードが記録された業務管理テーブルを保持した伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムを用いて、ファイルを伝送する方法であって、前記伝送元装置が、記録媒体読取装置にセットされた記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する段階と、前記業務管理テーブルに記録された識別コードと照合し、前記識別コードが業務管理テーブルに記録されている場合には、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込段階とを実行し、前記伝送先装置が、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体の識別コードを読み取り、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、識別コードが一致する記録媒体に書き込む書込処理を実行する段階を実行することを要旨とする。
【0016】
(作用)
請求項1又は7に記載の発明によれば、伝送元装置が、記録媒体読取装置において処理対象ファイルが格納された記録媒体のセッティングを検知した場合、この記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する。そして、記録媒体に記録されたEOFラベルを検知するまでのデータブロック数をカウントする。そして、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する。また、伝送先装置が、伝送元装置から識別コードに対応するイメージファイルを取得し、記録媒体書込装置にセットされた記録媒体に書き込む。次に、書き込んだEOFラベルまでのデータブロック数をカウントする。そして、伝送元装置から取得したデータブロック数と、記録媒体に書き込まれたデータブロック数とを照合し、データブロック数が一致しない場合にはエラー処理を実行する。これにより、伝送元に存在するファイルを伝送先において記録媒体に格納し、このファイルを用いて業務処理を行なうことができる。この場合、EOFラベルを利用してファイルの終端を特定し、新たに書き込んだデータブロック数を確認するため、確実なデータ伝送を行なうことができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、伝送元装置の伝送元ブロックカウント手段は、複数のEOFラベルを検知した場合には、最初のEOFラベルまでのデータブロック数をカウントする。記録媒体を使い回す場合には、複数のEOFラベルが記録されることがあるが、最初のEOFラベルを特定することにより、必要なデータブロックを特定し、記録媒体の複写を効率的に作成することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、伝送先装置の書込手段は、記録媒体書込装置にセットされた記録媒体において、処理対象ファイルの書込中にオーバーフローした場合には、次の順番の記録媒体に繰り越して書き込む。これにより、伝送元の記録媒体に格納されたファイルを、伝送先の記録媒体に書き込み切れない場合には、次の記録媒体に繰り越すことにより、ファイルの連続性を維持することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、伝送先装置の書込手段は、記録媒体の識別コードに基づいて、複数の記録媒体がグループ化されているマルチボリュームと判定した場合、伝送元装置から識別コードに対応するイメージファイルを取得し、記録媒体書込装置にセットされた記録媒体にマルチボリュームの順番に書き込む。これにより、マルチボリュームの記録媒体においても、記録媒体の順番を考慮してファイルの連続性を維持することができる。
【0020】
請求項5又は8に記載の発明によれば、伝送元装置が、記録媒体読取装置にセットされた記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する。そして、業務管理テーブルに記録された識別コードと照合し、識別コードが業務管理テーブルに記録されている場合には、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する。また、伝送先装置が、記録媒体書込装置にセットされた記録媒体の識別コードを読み取り、伝送元装置から識別コードに対応するイメージファイルを取得し、識別コードが一致する記録媒体に書き込む書込処理を実行する。これにより、業務に必要なファイルが格納された記録媒体のイメージデータを的確に伝送することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、伝送元装置は、記録媒体読取装置にセットされた記録媒体の識別コードが読込済情報記憶手段或いは伝送済情報記憶手段に記録されているかどうかを確認する。そして、既に読込済情報記憶手段或いは伝送済情報記憶手段のいずれかに識別コードが記録されている場合には、記録媒体の読み込みを拒否する。一方、読込済情報記憶手段及び伝送済情報記憶手段に識別コードが記録されていない場合には、伝送元装置は、読込処理を実行し、識別コードを読込済情報記憶手段に記録する。そして、伝送先装置における書込処理の終了を検知した場合、伝送元装置は、識別コードを伝送済情報記憶手段に記録する。これにより、重複した伝送を抑制することができ、通信負荷やシステム負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、磁気テープ等の記録媒体のイメージファイルを他の拠点に転送し、他の拠点において記録媒体の複製を効率的かつ的確に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態のシステム概略図。
【図2】システム制御装置の機能ブロックの説明図。
【図3】データ記憶部に記録されたデータの説明図及びステータステーブル画面の説明図。
【図4】本実施形態の処理手順の説明図。
【図5】本実施形態の処理手順の説明図。
【図6】本実施形態の処理手順の説明図。
【図7】本実施形態の処理手順の説明図。
【図8】本実施形態の処理手順の説明図。
【図9】本実施形態で用いるファイルのデータ構造の説明図。
【図10】本実施形態で用いる磁気テープのデータ構造の説明図。
【図11】本実施形態のオーバーフロー時の処理の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図1〜図11に従って説明する。本実施形態では、磁気テープに記録された伝送対象のイメージファイルを伝送元拠点から伝送先拠点に転送して磁気テープを複製する場合に用いるファイル伝送システム及びファイル伝送方法として説明する。図9に示すように、「レコード」は、複数の項目(フィールド)が集まって構成された1件分のデータ集合であり、データベースなどにおいて利用されている単位である。そして、1件以上のレコードが集まってできたデータ集合を「ブロック」と呼ぶ。本実施形態においては、磁気テープのイメージデータを、この磁気テープに記録された伝送対象のブロックをバイト単位で転送する。
【0025】
なお、本実施形態で用いる磁気テープの「イメージファイル」とは、磁気テープに記録されたボリュームラベル、ブロック間の間隔(ブロックギャップ)等の情報をそのままハードディスク等に複製、保存したデータのことである。
【0026】
ここでは、図1に示すように、第1拠点及び第2拠点に設置されたシステム制御装置(20,30)を用いる。本実施形態では、第1拠点が伝送元拠点であり、システム制御装置20が伝送元装置として機能する。一方、第2拠点は伝送先拠点であり、システム制御装置30が伝送先装置として機能する。各拠点におけるシステム制御装置(20,30)は、ネットワークを介して接続されている。そして、各システム制御装置(20,30)には、それぞれ記録媒体読取装置としてのCMT装置10、記録媒体書込装置としてのCMT装置40が接続されている。
【0027】
ここで、CMT装置(10,40)は、記録媒体としての磁気テープに格納されたファイルを読み出したり、磁気テープにファイルを書き込んだりするための入出力手段である。CMT装置(10,40)には、複数の磁気テープをセットすることができる複数のスロットが設けられている。
【0028】
このCMT装置(10,40)に用いられる磁気テープには、テープフォーマットとして「標準形式ラベル(SL)」と「ノンラベル(NL)」とがある。
「標準形式ラベル(SL)」の磁気テープの場合、図10に示すように、テープの先頭を表わすBOT(Beginning Of Tape )と終端を示すEOT(End Of Tape )との間に、以下の識別情報としてのラベル情報が記録されている。「ボリューム・ラベル(VOL1)」、「ヘッダ・ラベル(HDR1ラベル,HDR2ラベル)」、「テープ・マーク(TM)」、「データブロック」、「トレーラ・ラベル(EOF1ラベル,EOF2ラベル)」、「2つのテープ・マーク」。このEOF(End Of File )ラベルにより、ファイルが記録されたデータブロックの終端を特定することができる。また、図10に示すように、一つのファイルが複数(ここでは2本)の磁気テープに分散されて記録されているマルチボリュームにおいては、途中の各ボリュームにおいて「トレーラ・ラベル(EOV1ラベル,EOV2ラベル)」が記録されている。
【0029】
このボリューム・ラベルには、識別コードやVOL番号に関するデータが記録される。
HDR1ラベルには、データセット名や書込日付等に関するデータが記録される。
EOF1ラベル,EOV1ラベルは、HDR1ラベルに基づいて作成される。更に、EOV1ラベル、EOF1ラベルには、テープ・マーク(TM)に挟まれたデータ部に書き込まれたデータブロック数が記録される。
【0030】
HDR2ラベルには、レコード形式やブロック長、レコード長等に関するデータが記録される。そして、EOF2ラベル,EOV2ラベルは、HDR2ラベルに基づいて作成される。
【0031】
また、「ノンラベル(NL)」の磁気テープの場合、ラベル情報はなく、テープの先頭を表わすBOTとEOTとの間に、テープ・マークによって分けられたファイルが記録される。
【0032】
システム制御装置(20,30)は、CMT装置(10,40)に格納された磁気テープに対する読出制御や書込制御を行なうためのコンピュータシステムである。このシステム制御装置(20,30)は、図2に示すように、制御部(21,31)やデータ記憶部(22,32)を備える。このシステム制御装置(20,30)は、更にディスプレイ等の表示手段、キーボードやポインティングデバイス等の入力手段を備えている。
【0033】
制御部(21,31)は、図示しないCPU等の制御手段、RAM及びROM等のメモリを有し、制御部21は後述する各段階(識別コードを取得する識別コード取得段階、データブロック数を記憶する伝送元ブロックカウント段階、読込処理を実行する読込段階等)の処理を実行する。また、制御部31は後述する各段階(処理対象ファイルを書き込む書込段階、データブロック数をカウントする伝送先ブロックカウント段階、エラー処理を実行する確認段階等)の処理を実行する。このためのファイル伝送プログラムを実行することにより、伝送元拠点のシステム制御装置20の制御部21は、読込管理手段211として機能し、伝送先拠点のシステム制御装置30の制御部31は書込管理手段311として機能する。
【0034】
読込管理手段211は、識別コード取得手段、伝送元ブロックカウント手段、読込手段等として機能する。そして、伝送元のシステム制御装置20において、磁気テープのイメージファイルを生成し、このイメージファイルの伝送を管理する処理を実行する。読込管理手段211は、イメージファイルの生成に必要な各種情報を一時記憶するためのメモリを備えている。
【0035】
書込管理手段311は、書込手段、伝送先ブロックカウント手段、確認手段等として機能する。そして、伝送先のシステム制御装置30において、伝送元からイメージファイルを受信し、このイメージファイルについて磁気テープへの書込を管理する処理を実行する。このため、書込管理手段311は、受信したイメージファイルを一時記憶するためのバッファメモリを備えている。
【0036】
各データ記憶部(22,32)には、業務管理テーブル(221,321)、処理対象ファイルフォルダ(222,322)、処理済ファイルフォルダ(223,323)が格納されている。なお、システム制御装置20が伝送元になる場合には、処理対象ファイルフォルダ222及び処理済ファイルフォルダ223が利用され、システム制御装置30が伝送元になる場合には、処理対象ファイルフォルダ322及び処理済ファイルフォルダ323が利用される。一方、システム制御装置(20又は30)が伝送先になる場合には、処理対象ファイルフォルダ(222又は322)、処理済ファイルフォルダ(223又は323)は利用されない。
【0037】
業務管理テーブル(221,321)には、図3に示すように、磁気テープに格納されたファイルを用いて行なわれる業務を管理するためのレコードが記録されている。この業務管理テーブル(221,321)は、磁気テープに格納されたファイルを用いた業務を登録した場合に記録される。そして、各拠点の業務管理テーブル(221,321)は、それぞれ同じレコードが記録されており、各レコードが変更された場合にも同期して更新される。業務管理テーブル(221,321)の各レコードは、識別コード、VLD、業務コード、業務名、ファイル名、伝送元拠点、伝送先拠点、VOL番号、ラベル形式に関するデータを含んで構成される。
【0038】
識別コードデータ領域には、業務に用いるファイルを特定するための識別子に関するデータが記録される。
VLDデータ領域には、識別コードを有効化するためのフラグに関するデータが記録される。
【0039】
業務コードデータ領域には、このファイルを用いる業務を特定するための識別子に関するデータが記録される。
業務名データ領域には、この業務の名称に関するデータが記録される。
【0040】
ファイル名データ領域には、この業務に用いられるファイルの名称に関するデータが記録される。
伝送元拠点データ領域には、このファイルの伝送元を特定する識別子に関するデータが記録される。
【0041】
伝送先拠点データ領域には、このファイルの伝送先を特定する識別子に関するデータが記録される。
VOL番号データ領域には、このファイルが記録された磁気テープの順番を特定するための番号に関するデータが記録される。一つのファイルが複数の磁気テープに分散されて格納されているマルチボリュームの場合には、これらの磁気テープはグループ化されており、順序番号が付与されている。
【0042】
ラベル形式データ領域には、磁気テープのテープフォーマットを特定するための識別子に関するデータが記録される。本実施形態においては、テープフォーマットとして「標準形式ラベル(SL)」と「ノンラベル(NL)」とを用いる。
【0043】
処理対象ファイルフォルダ(222,322)は読込済情報記憶手段として機能し、CMT装置(10,40)或いは他の拠点のシステム制御装置から取得することにより、伝送や磁気テープへの書込処理の対象となるイメージファイルが一時的に記憶される。
【0044】
処理済ファイルフォルダ(223,323)は伝送済情報記憶手段として機能し、他の拠点への磁気テープへの書込処理を終了したイメージファイルが格納される。
更に、各データ記憶部(22,32)には、各拠点に設置されたシステム制御装置(20,30)の装置識別子と、各システム制御装置(20,30)が設置された拠点情報を関連付けた拠点管理テーブル(図示せず)が記録されている。この拠点管理テーブルを用いることにより、伝送元拠点に設置された他のシステム制御装置20や、伝送先拠点に設置されたシステム制御装置30を特定することができる。
【0045】
また、システム制御装置(20,30)のディスプレイには、図3に示すように、各ファイルの状況を出力するステータステーブル画面500が表示される。各拠点のオペレータは、このステータステーブル画面500を用いて伝送の進捗状況を確認する。このステータステーブル画面500には、識別コード、対象業務情報、読込ステータス、伝送ステータスが表示される。
【0046】
識別コード表示領域には、磁気テープに格納されたファイルを特定するための識別子が表示される。
対象業務情報表示領域には、このファイルが用いられる業務を特定するための情報(ここでは、業務コード)が表示される。
【0047】
読込ステータス表示領域には、伝送元の処理対象ファイルフォルダ222に記録された
イメージファイルに基づいて、磁気テープのイメージファイルの読込処理の進捗を表わす情報が表示される。なお、伝送元拠点に複数のシステム制御装置20が設置されている場合、この読込ステータス表示領域には、この拠点に設置されたすべてのシステム制御装置20の処理対象ファイルフォルダ222のイメージファイルに基づいて、読込処理の進捗情報が表示される。
【0048】
伝送ステータス表示領域には、伝送元の処理済ファイルフォルダ223に記録されたイメージファイルに基づいて、磁気テープのイメージファイルの伝送処理の進捗を表わす情報が表示される。なお、伝送元拠点に複数のシステム制御装置20が設置されている場合、この伝送ステータス表示領域には、この拠点に設置されたすべてのシステム制御装置20の処理済ファイルフォルダ223のイメージファイルに基づいて、伝送処理の進捗情報が表示される。
【0049】
(ファイル転送処理の概要)
ファイル転送処理の概要を、図4を用いて説明する。
まず、システム制御装置20の制御部21は、読込対象の磁気テープのセット及び実行指示処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、磁気テープのイメージファイルを転送する場合には、オペレータはシステム制御装置20を用いて転送指示を入力する。この場合、制御部21の読込管理手段211は、オペレータに対して、CMT装置10に、転送対象の磁気テープをセットする指示を出力する。この指示を受けたオペレータは磁気テープをCMT装置10にセットする。ここで、マルチボリュームの場合には、この業務に関するファイルが記録されたすべての磁気テープをCMT装置10にセットする。そして、磁気テープのセッティングを完了したオペレータは、システム制御装置20に転送処理の実行指示の入力を行なう。
【0050】
この場合、システム制御装置20の制御部21は、磁気テープの読込管理処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、CMT装置10にセットされた磁気テープのイメージファイルを生成し、データ記憶部22の処理対象ファイルフォルダ222に格納する。
【0051】
そして、システム制御装置30の制御部31は、磁気テープへの書込管理処理を実行する。
ここでは、システム制御装置30の制御部31は、処理対象ファイル一覧表示処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、送信元のシステム制御装置20から転送可能なファイルの識別情報を取得し、ディスプレイにおいて一覧表示を出力する。
【0052】
次に、システム制御装置30の制御部31は、処理対象ファイルの指定処理を実行する(ステップS1−4)。ここで、「標準形式ラベル(SL)」の磁気テープのイメージファイルを転送する場合には、制御部31が、CMT装置40に格納された磁気テープに基づいて処理対象ファイルを指定する。一方、「ノンラベル(NL)」の磁気テープのイメージファイルを転送する場合には、オペレータが、システム制御装置30の入出力手段を用いて、転送対象のファイルを指定する。これにより、制御部31の書込管理手段311は、指定された転送対象の磁気テープを特定する。
【0053】
次に、システム制御装置30の制御部31は、ファイル一覧表示を確認して書込用磁気テープのセット及び実行指示処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、オペレータは、CMT装置40に、転送対象の磁気テープをセットし、システム制御装置30に転送処理の実行指示の入力を行なう。
【0054】
次に、システム制御装置30の制御部31は、一時ファイル作成処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、伝送元のシステム制御装置20から、転送対象のイメージファイルを取得し、バッファメモリに一時記憶する。
【0055】
次に、システム制御装置30の制御部31は、磁気テープに書き込み処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、バッファメモリに一時記憶したイメージファイルを、CMT装置40にセットされた磁気テープに記録する。
【0056】
次に、システム制御装置30の制御部31は、一時ファイル削除処理を実行する(ステップS1−8)。具体的には、磁気テープへの書き込みを完了した場合、制御部31の書込管理手段311は、バッファメモリに一時記憶したイメージファイルを削除する。
【0057】
次に、システム制御装置20の制御部21は、処理済ファイル登録処理を実行する(ステップS1−9)。具体的には、伝送先のシステム制御装置30において磁気テープへの書き込みを完了を検知した制御部21の読込管理手段211は、データ記憶部22の処理対象ファイルフォルダ222に格納されたイメージファイルを、処理済ファイルフォルダ223に移し替える。
【0058】
(読込管理処理)
次に、伝送元で行なわれる読込管理処理を、図5、6を用いて説明する。
まず、システム制御装置20の制御部21は、テープセット検知処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、CMT装置10において磁気テープがセットされたことを検知する。
【0059】
次に、システム制御装置20の制御部21は、ラベル情報の検出処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、CMT装置10にセットされた磁気テープに記録されたデータにおいてボリューム・ラベル、ヘッダ・ラベル及びトレーラ・ラベルを検索する。
【0060】
次に、システム制御装置20の制御部21は、磁気テープについてSL又はNLについての判定処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、磁気テープにおける各ラベルの記録の有無に基づいてテープフォーマットを判定する。
【0061】
CMT装置10にセットされた磁気テープにおいてラベル情報を検出することができず、NLと判定された場合(ステップS2−3において「NL」の場合)、システム制御装置20の制御部21は、NL一覧表示処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、業務管理テーブル221においてラベル形式として「NL」が設定されているレコードを特定する。そして、このレコードの内容についての一覧(ノンラベル一覧表示)をディスプレイに出力する。
【0062】
次に、システム制御装置20の制御部21は、識別コードの特定処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、ノンラベル一覧表示において、オペレータによって選択された識別コードを取得して、メモリに一時記憶する。そして、後述するステップS3−1以降の処理を実行する。
【0063】
一方、CMT装置10にセットされた磁気テープにおいてラベル情報を検出することにより、SLと判定された場合(ステップS2−3において「SL」の場合)、システム制
御装置20の制御部21は、識別コードの特定処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、磁気テープのボリューム・ラベルから識別コードを取得して、メモリに一時記憶する。
【0064】
次に、システム制御装置20の制御部21は、処理対象ファイルの登録確認処理を実行する(ステップS2−7)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、業務管理テーブル221において、磁気テープから取得した識別コードを検索する。
【0065】
ここで、識別コードが業務管理テーブル221に登録されていない場合(ステップS2−8において「NO」の場合)には、システム制御装置20の制御部21は、読込拒否処理を実行する(ステップS2−9)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、磁気テープのイメージファイルの生成を拒否して、この結果を示すメッセージをディスプレイに表示する。
【0066】
一方、識別コードが業務管理テーブルに登録されている場合(ステップS2−8において「YES」の場合)には、図6に示すように、システム制御装置20の制御部21は、処理対象及び処理済のファイルフォルダの確認処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、CMT装置10にセットされた磁気テープに格納されたファイルの識別コードと、当日の日付に関連付けて既に処理対象ファイルフォルダ222や処理済ファイルフォルダ223に格納されているファイルの識別コードとを比較する。ここで、読込管理手段211は、拠点管理テーブルを用いて、同一拠点に設置されている他のシステム制御装置20を特定する。そして、読込管理手段211は、各システム制御装置20の処理対象ファイルフォルダ222や処理済ファイルフォルダ223に格納されているファイルについても識別コードを取得して比較する。
【0067】
いずれかのフォルダに既に同じファイルが格納されていることにより、処理対象済又は伝送済になっている場合(ステップS3−2において「YES」の場合)、システム制御装置20の制御部21は、読込拒否処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、ディスプレイにおいて既に処理を完了していることを示すメッセージを出力する。
【0068】
一方、いずれのフォルダにも同じファイルが格納されておらず、まだ処理対象済又は伝送済になっていない場合(ステップS3−2において「NO」の場合)、システム制御装置20の制御部21は、読込処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、CMT装置10から、選択されたイメージファイルの読み込みを開始する。この読込処理は、最初のEOFラベルを検知するまで実行される。なお、複数のEOFラベルを検知した場合、先頭に最も近い位置(複数の磁気テープにおいて検知した場合には、最もVOL番号が若い磁気テープ)に記録されたEOFラベル以降のデータについては伝送の対象外とする。
【0069】
次に、システム制御装置20の制御部21は、伝送元におけるデータブロックカウント処理を実行する(ステップS3−5)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、読み込んだ磁気テープの中で最も早い位置に記録されたEOFラベルまでのデータブロックの数を計数する。ここで、マルチボリュームの場合には、読み込んだ磁気テープのVOL順番の中で最も早い位置に記録されたEOFラベルまでのデータブロックの数を計数する。そして、読込管理手段211は、計数したデータブロック数をEOF1ラベル又はEOV1ラベルに記録する。
【0070】
次に、システム制御装置20の制御部21は、処理対象ファイル登録処理を実行する(ステップS3−6)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、読み込んだイメ
ージファイルに対して、メモリに記憶した識別コードを付与して、処理対象ファイルフォルダ222に格納する。これにより、磁気テープのイメージファイルは、伝送先に転送可能な状態になる。
【0071】
(書込管理処理)
次に、書込管理処理を、図7、8を用いて説明する。
まず、システム制御装置30の制御部31は、書込指示処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、送信元のシステム制御装置20から転送可能な状態のイメージファイルの識別情報を取得する。この場合、書込管理手段311は、伝送元で読み込まれたファイル毎にデータブロック数に関するデータを取得する。本実施形態では、EOF1ラベル又はEOV1ラベルに記録されたデータブロック数を取得する。そして、ステップS1−3〜ステップS1−5で説明したように、書込管理手段311は、処理対象一覧表示において、書込対象として指示されたイメージファイルの選択を受け付け、このイメージファイルの識別コードを特定する。
【0072】
この場合、システム制御装置30の制御部31は、伝送対象のイメージファイルがマルチボリュームかどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、業務管理テーブル321にマルチボリュームとしての登録の有無によって判定する。
【0073】
マルチボリュームと判定された場合(ステップS4−2において「YES」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、各スロットに格納されたボリュームの読込処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、CMT装置40にセットされた磁気テープに記録されたVOL番号を取得する。マルチボリュームでないと判定された場合(ステップS4−2において「NO」の場合)には、このステップを省略する。
【0074】
次に、システム制御装置30の制御部31は、転送処理を実行する(ステップS4−4)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、伝送元のシステム制御装置20に対して、書込対象として指示された識別コードのイメージファイルの転送を指示する。この場合、システム制御装置20は、磁気テープのボリューム毎に処理対象ファイルフォルダ222に格納されたイメージファイルをシステム制御装置30に転送する。そして、システム制御装置30の制御部31の書込管理手段311は、取得したテープデータを、バッファメモリに一時記憶する。
【0075】
この伝送処理は、指定されたイメージファイルの転送が終了するまで継続される(ステップS4−5において「NO」)。ここで、マルチボリュームの場合、グループ化されたすべての磁気テープに記録されていたイメージファイルの転送を終了するまで継続される。
【0076】
すべてのイメージファイルの転送が終了した場合(ステップS4−5において「YES」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、対応するボリュームの選択処理を実行する(ステップS4−6)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、CMT装置40にセットされた磁気テープにおいて、取得したイメージファイルを格納する磁気テープを特定する。ここで、SLの場合には、ボリューム・ラベルに記録された識別コード、VOL番号により、イメージファイルを格納するボリュームを選択する。NLの場合には、CMT装置40にセットされた磁気テープを選択する。
【0077】
そして、図8に示すように、システム制御装置30の制御部31は、書込処理を実行する(ステップS5−1)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、CMT装置
40において選択された磁気テープに、バッファメモリに一時記憶したイメージファイルを書き込む。この処理は、EOVラベル又はEOFラベルを検知するまで継続される。
【0078】
この場合、システム制御装置30の制御部31は、オーバーフローについての判定処理を実行する(ステップS5−2)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、書込先の磁気テープに書き込むべきデータが残っている状況で、EOT(End Of Tape )を検知したかどうかを監視する。
【0079】
ここで、EOTを検知する前にEOFラベルを検知して磁気テープへの書き込みを終了した場合、オーバーフローしなかったことになる。オーバーフローしなかった場合(ステップS5−2において「NO」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、伝送先におけるデータブロックカウント処理を実行する(ステップS5−3)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、磁気テープに書き込んだイメージファイルにおいて、EOFラベルまでのデータブロック数を計数する。マルチボリュームの場合には、すべての磁気テープにおけるデータブロックを総計する。
【0080】
そして、システム制御装置30の制御部31は、全データブロック数の照合処理を実行する(ステップS5−4)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、伝送元から取得したデータブロック数と、磁気テープに書き込んだイメージファイルのデータブロック数とを比較する。
【0081】
両者が一致している場合(ステップS5−5において「YES」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、処理済ファイル登録処理を実行する(ステップS5−6)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、伝送元のシステム制御装置20に対して書き込みを完了したことを通知する。この場合、システム制御装置20の制御部21の読込管理手段211は、このイメージファイルを、処理対象ファイルフォルダ222から処理済ファイルフォルダ223に移し替える。
【0082】
一方、伝送元で計数したデータブロック数と、磁気テープに書き込んだデータブロック数とが一致していない場合(ステップS5−5において「NO」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、異常処理を実行する(ステップS5−7)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、転送に問題があったことを示すエラーコードを発行し、このエラーコードを示すメッセージをディスプレイに表示する。
【0083】
また、磁気テープへの書き込みを終了する前の書込途中(EOFラベルの検知前)にEOTを検知した場合、オーバーフローしたことになる。オーバーフローした場合(ステップS5−2において「YES」の場合)には、システム制御装置30の制御部31は、次の磁気テープがセットされているかどうかについての判定処理を実行する(ステップS5−8)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、CMT装置40に次のVOL番号が設定された磁気テープがセットされているかどうかを検索する。
【0084】
次のVOL番号の磁気テープがセットされている場合(ステップS5−8において「YES」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、次のVOL番号の磁気テープへの繰越処理を実行する(ステップS5−9)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、オーバーフローした残りデータを次のVOL番号の磁気テープに記録する。そして、書込処理(ステップS5−1)を継続する。この場合、繰越分のデータの書き込みを終了した場合には、次のVOL番号のイメージデータの書き込みを行なう。
【0085】
このオーバーフローを、図11を用いて説明する。ここでは、伝送元の磁気テープ(601,602)を伝送先の磁気テープ(701,702)に書き込む場合を想定する。こ
こで、伝送元の1本目の磁気テープ601のデータを、伝送先の1本目の磁気テープ701に書き込み、データ611がオーバーフローした場合を想定する。この場合、書込管理手段311は、データ611を、伝送先の2本目の磁気テープ702のデータ部の先頭に書き込む。そして、書込管理手段311は、その後に続けて、伝送元の2本目の磁気テープ602のデータを磁気テープ702に書き込む。
【0086】
一方、次のVOL番号の磁気テープがセットされていない場合(ステップS5−8において「NO」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、予備磁気テープ要求処理を実行する(ステップS5−10)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、CMT装置40に予備磁気テープをセットするように指示するメッセージをディスプレイに出力する。
【0087】
そして、システム制御装置30の制御部31は、予備磁気テープへの繰越処理を実行する(ステップS5−11)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、CMT装置40において予備磁気テープがセットされたスロットを特定して、この予備磁気テープにオーバーフローした磁気テープの残りのデータを書き込む。そして、書込処理(ステップS5−1)を継続する。
【0088】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 本実施形態においては、システム制御装置20の制御部21は、SL又はNLについての判定処理を実行する(ステップS2−3)。CMT装置10にセットされた磁気テープがSLの場合(ステップS2−3において「SL」の場合)、システム制御装置20の制御部21は、識別コードの特定処理を実行する(ステップS2−6)。そして、システム制御装置20の制御部21は、業務管理テーブルを用いて処理対象のファイル確認処理を実行する(ステップS2−7)。これにより、業務管理テーブルにおいて処理対象の磁気テープを的確に読み込むことができる。
【0089】
更に、識別コードが業務管理テーブルに登録されている場合(ステップS2−8において「YES」の場合)には、図6に示すように、システム制御装置20の制御部21は、処理対象及び処理済のファイルフォルダの確認処理を実行する(ステップS3−1)。これにより、既に読込処理や伝送処理を終了した磁気テープについての重複した処理を防止することができる。特に、システム制御装置20の制御部21は、拠点管理テーブルを用いて、同一拠点に設置されている他のシステム制御装置20の処理対象ファイルフォルダ222や処理済ファイルフォルダ223に格納されているファイルについても確認する。これにより、一拠点において複数のシステム制御装置20を利用している場合にも、同一磁気テープについての重複処理を抑制することができる。
【0090】
・ 本実施形態においては、システム制御装置20の制御部21は、読込処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、CMT装置10から、選択されたイメージファイルの読込を開始する。この読込処理は、最初のEOFラベルを検知するまで実行される。そして、複数のEOFラベルを検知した場合、先頭に最も近い位置(複数の磁気テープにおいて検知した場合には、最もVOL番号が若い磁気テープ)に記録されたEOFラベル以降のデータについては伝送の対象外とする。これにより、先に記録されたデータの上に、今回のデータを上書きすることにより、磁気テープを使いまわした場合にも、的確に今回の処理対象のファイルを読み込むことができる。
【0091】
更に、システム制御装置20の制御部21は、伝送元におけるデータブロックカウント処理を実行する(ステップS3−5)。伝送後には、システム制御装置30の制御部31は、伝送先におけるデータブロックカウント処理(ステップS5−3)を実行し、全データブロック数の照合処理を実行する(ステップS5−4)。これにより、今回の処理対象
のファイルが確実に伝送されたかどうかを確認することができる。
【0092】
・ 本実施形態においては、磁気テープへの書込時にオーバーフローした場合(ステップS5−2において「YES」の場合)には、システム制御装置30の制御部31は、次のVOL番号の磁気テープがセットされているかどうかについての判定処理を実行する(ステップS5−8)。次のVOL番号の磁気テープがセットされている場合(ステップS5−8において「YES」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、次のVOL番号の磁気テープへの繰越処理を実行する(ステップS5−9)。一方、次のVOL番号の磁気テープがセットされていない場合(ステップS5−8において「NO」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、予備磁気テープ要求処理(ステップS5−10)、予備磁気テープへの繰越処理(ステップS5−11)を実行する。これにより、記録密度やテープ長さ等が異なることにより磁気テープの容量が異なり、ボリューム毎の書き込みができなかった場合にも、ファイルの連続性を維持しながら、業務に用いる磁気テープを複製することができる。
【0093】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態では、CMT装置(10,40)に用いられる磁気テープには、テープフォーマットとして標準形式ラベル(SL)とノンラベル(NL)とを用いたが、標準形式ラベル(SL)の磁気テープのみを対象とすることも可能である。
【0094】
○ 上記実施形態では、システム制御装置20の制御部21は、読込処理を実行する(ステップS3−4)。この場合、マルチボリュームの場合には、先に読み込んだ磁気テープのVOL番号よりも前のVOL番号の磁気テープにおいてEOFラベルを検知した場合には、このEOFラベル以降のデータについては、伝送の対象外とする。ここで、磁気テープに記録されたすべてのデータをシステム制御装置30に転送し、システム制御装置30側で最初のEOFラベルまでのデータのみを、磁気テープに記録するようにしてもよい。
【0095】
○ 上記実施形態では、伝送元で計数したデータブロック数と、磁気テープに書き込んだデータブロック数とが一致していない場合(ステップS5−5において「NO」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、異常処理を実行する(ステップS5−7)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、転送に問題があったことを示すエラーコードを発行し、ディスプレイに出力する。これに代えて、データブロック数が一致しない場合には、システム制御装置30は、伝送元のシステム制御装置20から、イメージファイルを再度、取得するようにしてもよい。そして、データブロック数が一致するまで、転送処理や書込処理を繰り返す。これにより、データブロック数が一致したファイルが格納された磁気テープを作成することができる。
【0096】
ここで、複数の伝送経路が用意されている場合には、先の伝送経路とは異なる経路を選択するようにしてもよい。具体的には、システム制御装置30の制御部31は、伝送に利用した伝送経路を記憶しておき、伝送エラーとなった場合には、他の伝送経路を用いての伝送を指示する。これにより、伝送経路によるとエラーを回避することができる。
【0097】
○ 上記実施形態では、両者が一致している場合(ステップS5−5において「YES」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、処理済ファイル登録処理を実行する(ステップS5−6)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、書き込んだイメージファイルを、処理対象ファイルフォルダ322から処理済ファイルフォルダ323に移し替える。これに代えて、伝送先においては、書き込みに用いたイメージファイルを廃棄してもよい。この場合には、送信元の処理済ファイルフォルダ223において処理状況を把握する。
【0098】
○ 上記実施形態では、システム制御装置30の制御部31は、全データブロック数の照合処理を実行する(ステップS5−4)。これに代えて、オーバーフローした場合とオーバーフローしていない場合とで、データブロック数の照合方法を変更するようにしてもよい。制御部がオーバーフローの有無を判定し、オーバーフローしている場合には、EOFラベルまでのデータブロック数を照合し、オーバーフローしていない場合にはボリューム毎のデータブロック数を照合する。これにより、オーバーフローしていない場合には、各ボリューム毎の照合を行なうことができる。
【符号の説明】
【0099】
10,40…CMT装置、20,30…システム制御装置、21,31…制御部、211…読込管理手段、311…書込管理手段、22,32…データ記憶部、221,321…業務管理テーブル、222,322…処理対象ファイルフォルダ、223,323…処理済ファイルフォルダ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気テープ等の記録媒体のイメージファイルを他の拠点に転送し、他の拠点において記録媒体の複製を作成するためのファイル伝送システム及びファイル伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関を含め各企業において、業務に関するデータファイルを計算機システムに取り込んで各種業務の管理処理が行なわれている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、磁気テープ等の記録媒体に格納されたファイルを計算機システム内のデータ記憶装置に格納して、データの加工処理を行なうことが多い。このようなデータ記憶装置に比べ、磁気テープは容量が大きく、テープの容量当たりの単価が安価である。しかし、磁気テープはランダムアクセスができず、読み書きの速度が遅い。こうした特徴から、企業が保有する大規模なサーバなどのバックアップ用メディアとして用いられている。
【0003】
また、より高速なアクセスが可能な磁気ディスク装置上で仮想的にテープ装置をエミュレートすることにより、実際の磁気テープよりも高速にアクセスすることが可能な仮想テープ装置も開発されている(例えば、特許文献2参照。)。この文献に記載された技術では、ディスク装置で磁気テープ装置を仮想的にエミュレートしたシステムにおいて、前記ディスク装置上の仮想テープ記憶領域から仮想テープのファイルを作成する。そして、前記作成した仮想テープのファイルを他のシステムの仮想テープのファイルにディスク装置間のファイルのコピー機能によって転送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−6039号公報(第2頁,図1)
【特許文献2】特開2004−227448号公報(第1頁,図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような磁気テープに格納されたファイルを他の拠点の計算機システムにおいて利用したい場合もある。この場合には、他の拠点に磁気テープを搬送することも可能であるが、ネットワークを介してファイルを伝送し、他の拠点において磁気テープを複製することもある。この場合には、伝送元の磁気テープに格納されたファイルに対して、他の拠点において複製された磁気テープに格納されたファイルの整合性を確保しておく必要がある。
【0006】
また、一つのファイルの容量が大きく、複数の磁気テープに分散して格納するマルチボリューム方式を利用する場合もある。この場合、伝送元と伝送先とでは、磁気テープの記録密度やテープ長さ等が異なることにより磁気テープの容量が異なる場合がある。この場合にも、ファイルの連続性を維持するとともに、伝送元及び伝送先の各磁気テープに格納されたファイルの整合性を確保しておく必要がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、磁気テープ等の記録媒体のイメージファイルを他の拠点に転送し、他の拠点において記録媒体の複製を効率的かつ的確に作成するためのファイル伝送システム及びファイル伝送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、記録媒体読取装置に接続された伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムであって、前記伝送元装置が、前記記録媒体読取装置において処理対象ファイルが格納された記録媒体のセッティングを検知した場合、この記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する識別コード取得手段と、前記記録媒体に記録されたEOFラベルを検知するまでのデータブロック数をカウントして記憶する伝送元ブロックカウント手段と、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込手段とを備え、前記伝送先装置が、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体に書き込む書込手段と、前記書込手段が書き込んだEOFラベルまでのデータブロック数をカウントする伝送先ブロックカウント手段と、前記伝送元装置から取得したデータブロック数と、記録媒体に書き込まれたデータブロック数とを照合し、データブロック数が一致しない場合にはエラー処理を実行する確認手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のファイル伝送システムにおいて、前記伝送元装置の伝送元ブロックカウント手段は、複数のEOFラベルを検知した場合には、最初のEOFラベルまでのデータブロック数をカウントすることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のファイル伝送システムにおいて、前記伝送先装置の書込手段は、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体において、処理対象ファイルの書込中にオーバーフローした場合には、次の順番の記録媒体に繰り越して書き込むことを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載のファイル伝送システムにおいて、前記伝送先装置の書込手段は、前記記録媒体の識別コードに基づいて、複数の記録媒体がグループ化されているマルチボリュームと判定した場合、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体にマルチボリュームの順番に書き込むことを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、記録媒体読取装置に接続され、処理対象の記録媒体の識別コードが記録された業務管理テーブルを保持した伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムであって、前記伝送元装置が、記録媒体読取装置にセットされた記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する手段と、前記業務管理テーブルに記録された識別コードと照合し、前記識別コードが業務管理テーブルに記録されている場合には、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込手段とを備え、前記伝送先装置が、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体の識別コードを読み取り、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、識別コードが一致する記録媒体に書き込む書込処理を実行する手段を備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のファイル伝送システムにおいて、前記伝送元装置は、イメージファイルを生成した記録媒体の識別コードを記録した読込済情報記憶手段と、イメージファイルを前記伝送先装置に転送した記録媒体の識別コードを記録した伝送済情報記憶手段とを備え、前記伝送元装置は、記録媒体読取装置にセットされた記録媒体の識別コードが前記読込済情報記憶手段或いは前記伝送済情報記憶手段に記録されているかどうかを確認し、既に前記読込済情報記憶手段或いは前記伝送済情報記憶手段のいずれかに前記識別コードが記録されている場合には、前記記録媒体の読み込みを拒否する手段と、前記読込済情報記憶手段及び前記伝送済情報記憶手段に前記識別コードが記録されていない場合には、前記伝送元装置は、読込処理を実行し、前記識別コードを前記読込
済情報記憶手段に記録する手段と、前記伝送先装置における書込処理の終了を検知した場合、前記伝送元装置は、前記識別コードを前記伝送済情報記憶手段に記録する手段とを備えたこことを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、記録媒体読取装置に接続された伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムを用いて、ファイルを伝送する方法であって、前記伝送元装置が、前記記録媒体読取装置において処理対象ファイルが格納された記録媒体のセッティングを検知した場合、この記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する識別コード取得段階と、前記記録媒体に記録されたEOFラベルを検知するまでのデータブロック数をカウントして記憶する伝送元ブロックカウント段階と、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込段階とを実行し、前記伝送先装置が、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体に書き込む書込段階と、前記書込段階で書き込んだEOFラベルまでのデータブロック数をカウントする伝送先ブロックカウント段階と、前記伝送元装置から取得したデータブロック数と、記録媒体に書き込まれたデータブロック数とを照合し、データブロック数が一致しない場合にはエラー処理を実行する確認段階とを実行することを要旨とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、記録媒体読取装置に接続され、処理対象の記録媒体の識別コードが記録された業務管理テーブルを保持した伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムを用いて、ファイルを伝送する方法であって、前記伝送元装置が、記録媒体読取装置にセットされた記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する段階と、前記業務管理テーブルに記録された識別コードと照合し、前記識別コードが業務管理テーブルに記録されている場合には、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込段階とを実行し、前記伝送先装置が、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体の識別コードを読み取り、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、識別コードが一致する記録媒体に書き込む書込処理を実行する段階を実行することを要旨とする。
【0016】
(作用)
請求項1又は7に記載の発明によれば、伝送元装置が、記録媒体読取装置において処理対象ファイルが格納された記録媒体のセッティングを検知した場合、この記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する。そして、記録媒体に記録されたEOFラベルを検知するまでのデータブロック数をカウントする。そして、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する。また、伝送先装置が、伝送元装置から識別コードに対応するイメージファイルを取得し、記録媒体書込装置にセットされた記録媒体に書き込む。次に、書き込んだEOFラベルまでのデータブロック数をカウントする。そして、伝送元装置から取得したデータブロック数と、記録媒体に書き込まれたデータブロック数とを照合し、データブロック数が一致しない場合にはエラー処理を実行する。これにより、伝送元に存在するファイルを伝送先において記録媒体に格納し、このファイルを用いて業務処理を行なうことができる。この場合、EOFラベルを利用してファイルの終端を特定し、新たに書き込んだデータブロック数を確認するため、確実なデータ伝送を行なうことができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、伝送元装置の伝送元ブロックカウント手段は、複数のEOFラベルを検知した場合には、最初のEOFラベルまでのデータブロック数をカウントする。記録媒体を使い回す場合には、複数のEOFラベルが記録されることがあるが、最初のEOFラベルを特定することにより、必要なデータブロックを特定し、記録媒体の複写を効率的に作成することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、伝送先装置の書込手段は、記録媒体書込装置にセットされた記録媒体において、処理対象ファイルの書込中にオーバーフローした場合には、次の順番の記録媒体に繰り越して書き込む。これにより、伝送元の記録媒体に格納されたファイルを、伝送先の記録媒体に書き込み切れない場合には、次の記録媒体に繰り越すことにより、ファイルの連続性を維持することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、伝送先装置の書込手段は、記録媒体の識別コードに基づいて、複数の記録媒体がグループ化されているマルチボリュームと判定した場合、伝送元装置から識別コードに対応するイメージファイルを取得し、記録媒体書込装置にセットされた記録媒体にマルチボリュームの順番に書き込む。これにより、マルチボリュームの記録媒体においても、記録媒体の順番を考慮してファイルの連続性を維持することができる。
【0020】
請求項5又は8に記載の発明によれば、伝送元装置が、記録媒体読取装置にセットされた記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する。そして、業務管理テーブルに記録された識別コードと照合し、識別コードが業務管理テーブルに記録されている場合には、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する。また、伝送先装置が、記録媒体書込装置にセットされた記録媒体の識別コードを読み取り、伝送元装置から識別コードに対応するイメージファイルを取得し、識別コードが一致する記録媒体に書き込む書込処理を実行する。これにより、業務に必要なファイルが格納された記録媒体のイメージデータを的確に伝送することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、伝送元装置は、記録媒体読取装置にセットされた記録媒体の識別コードが読込済情報記憶手段或いは伝送済情報記憶手段に記録されているかどうかを確認する。そして、既に読込済情報記憶手段或いは伝送済情報記憶手段のいずれかに識別コードが記録されている場合には、記録媒体の読み込みを拒否する。一方、読込済情報記憶手段及び伝送済情報記憶手段に識別コードが記録されていない場合には、伝送元装置は、読込処理を実行し、識別コードを読込済情報記憶手段に記録する。そして、伝送先装置における書込処理の終了を検知した場合、伝送元装置は、識別コードを伝送済情報記憶手段に記録する。これにより、重複した伝送を抑制することができ、通信負荷やシステム負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、磁気テープ等の記録媒体のイメージファイルを他の拠点に転送し、他の拠点において記録媒体の複製を効率的かつ的確に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態のシステム概略図。
【図2】システム制御装置の機能ブロックの説明図。
【図3】データ記憶部に記録されたデータの説明図及びステータステーブル画面の説明図。
【図4】本実施形態の処理手順の説明図。
【図5】本実施形態の処理手順の説明図。
【図6】本実施形態の処理手順の説明図。
【図7】本実施形態の処理手順の説明図。
【図8】本実施形態の処理手順の説明図。
【図9】本実施形態で用いるファイルのデータ構造の説明図。
【図10】本実施形態で用いる磁気テープのデータ構造の説明図。
【図11】本実施形態のオーバーフロー時の処理の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図1〜図11に従って説明する。本実施形態では、磁気テープに記録された伝送対象のイメージファイルを伝送元拠点から伝送先拠点に転送して磁気テープを複製する場合に用いるファイル伝送システム及びファイル伝送方法として説明する。図9に示すように、「レコード」は、複数の項目(フィールド)が集まって構成された1件分のデータ集合であり、データベースなどにおいて利用されている単位である。そして、1件以上のレコードが集まってできたデータ集合を「ブロック」と呼ぶ。本実施形態においては、磁気テープのイメージデータを、この磁気テープに記録された伝送対象のブロックをバイト単位で転送する。
【0025】
なお、本実施形態で用いる磁気テープの「イメージファイル」とは、磁気テープに記録されたボリュームラベル、ブロック間の間隔(ブロックギャップ)等の情報をそのままハードディスク等に複製、保存したデータのことである。
【0026】
ここでは、図1に示すように、第1拠点及び第2拠点に設置されたシステム制御装置(20,30)を用いる。本実施形態では、第1拠点が伝送元拠点であり、システム制御装置20が伝送元装置として機能する。一方、第2拠点は伝送先拠点であり、システム制御装置30が伝送先装置として機能する。各拠点におけるシステム制御装置(20,30)は、ネットワークを介して接続されている。そして、各システム制御装置(20,30)には、それぞれ記録媒体読取装置としてのCMT装置10、記録媒体書込装置としてのCMT装置40が接続されている。
【0027】
ここで、CMT装置(10,40)は、記録媒体としての磁気テープに格納されたファイルを読み出したり、磁気テープにファイルを書き込んだりするための入出力手段である。CMT装置(10,40)には、複数の磁気テープをセットすることができる複数のスロットが設けられている。
【0028】
このCMT装置(10,40)に用いられる磁気テープには、テープフォーマットとして「標準形式ラベル(SL)」と「ノンラベル(NL)」とがある。
「標準形式ラベル(SL)」の磁気テープの場合、図10に示すように、テープの先頭を表わすBOT(Beginning Of Tape )と終端を示すEOT(End Of Tape )との間に、以下の識別情報としてのラベル情報が記録されている。「ボリューム・ラベル(VOL1)」、「ヘッダ・ラベル(HDR1ラベル,HDR2ラベル)」、「テープ・マーク(TM)」、「データブロック」、「トレーラ・ラベル(EOF1ラベル,EOF2ラベル)」、「2つのテープ・マーク」。このEOF(End Of File )ラベルにより、ファイルが記録されたデータブロックの終端を特定することができる。また、図10に示すように、一つのファイルが複数(ここでは2本)の磁気テープに分散されて記録されているマルチボリュームにおいては、途中の各ボリュームにおいて「トレーラ・ラベル(EOV1ラベル,EOV2ラベル)」が記録されている。
【0029】
このボリューム・ラベルには、識別コードやVOL番号に関するデータが記録される。
HDR1ラベルには、データセット名や書込日付等に関するデータが記録される。
EOF1ラベル,EOV1ラベルは、HDR1ラベルに基づいて作成される。更に、EOV1ラベル、EOF1ラベルには、テープ・マーク(TM)に挟まれたデータ部に書き込まれたデータブロック数が記録される。
【0030】
HDR2ラベルには、レコード形式やブロック長、レコード長等に関するデータが記録される。そして、EOF2ラベル,EOV2ラベルは、HDR2ラベルに基づいて作成される。
【0031】
また、「ノンラベル(NL)」の磁気テープの場合、ラベル情報はなく、テープの先頭を表わすBOTとEOTとの間に、テープ・マークによって分けられたファイルが記録される。
【0032】
システム制御装置(20,30)は、CMT装置(10,40)に格納された磁気テープに対する読出制御や書込制御を行なうためのコンピュータシステムである。このシステム制御装置(20,30)は、図2に示すように、制御部(21,31)やデータ記憶部(22,32)を備える。このシステム制御装置(20,30)は、更にディスプレイ等の表示手段、キーボードやポインティングデバイス等の入力手段を備えている。
【0033】
制御部(21,31)は、図示しないCPU等の制御手段、RAM及びROM等のメモリを有し、制御部21は後述する各段階(識別コードを取得する識別コード取得段階、データブロック数を記憶する伝送元ブロックカウント段階、読込処理を実行する読込段階等)の処理を実行する。また、制御部31は後述する各段階(処理対象ファイルを書き込む書込段階、データブロック数をカウントする伝送先ブロックカウント段階、エラー処理を実行する確認段階等)の処理を実行する。このためのファイル伝送プログラムを実行することにより、伝送元拠点のシステム制御装置20の制御部21は、読込管理手段211として機能し、伝送先拠点のシステム制御装置30の制御部31は書込管理手段311として機能する。
【0034】
読込管理手段211は、識別コード取得手段、伝送元ブロックカウント手段、読込手段等として機能する。そして、伝送元のシステム制御装置20において、磁気テープのイメージファイルを生成し、このイメージファイルの伝送を管理する処理を実行する。読込管理手段211は、イメージファイルの生成に必要な各種情報を一時記憶するためのメモリを備えている。
【0035】
書込管理手段311は、書込手段、伝送先ブロックカウント手段、確認手段等として機能する。そして、伝送先のシステム制御装置30において、伝送元からイメージファイルを受信し、このイメージファイルについて磁気テープへの書込を管理する処理を実行する。このため、書込管理手段311は、受信したイメージファイルを一時記憶するためのバッファメモリを備えている。
【0036】
各データ記憶部(22,32)には、業務管理テーブル(221,321)、処理対象ファイルフォルダ(222,322)、処理済ファイルフォルダ(223,323)が格納されている。なお、システム制御装置20が伝送元になる場合には、処理対象ファイルフォルダ222及び処理済ファイルフォルダ223が利用され、システム制御装置30が伝送元になる場合には、処理対象ファイルフォルダ322及び処理済ファイルフォルダ323が利用される。一方、システム制御装置(20又は30)が伝送先になる場合には、処理対象ファイルフォルダ(222又は322)、処理済ファイルフォルダ(223又は323)は利用されない。
【0037】
業務管理テーブル(221,321)には、図3に示すように、磁気テープに格納されたファイルを用いて行なわれる業務を管理するためのレコードが記録されている。この業務管理テーブル(221,321)は、磁気テープに格納されたファイルを用いた業務を登録した場合に記録される。そして、各拠点の業務管理テーブル(221,321)は、それぞれ同じレコードが記録されており、各レコードが変更された場合にも同期して更新される。業務管理テーブル(221,321)の各レコードは、識別コード、VLD、業務コード、業務名、ファイル名、伝送元拠点、伝送先拠点、VOL番号、ラベル形式に関するデータを含んで構成される。
【0038】
識別コードデータ領域には、業務に用いるファイルを特定するための識別子に関するデータが記録される。
VLDデータ領域には、識別コードを有効化するためのフラグに関するデータが記録される。
【0039】
業務コードデータ領域には、このファイルを用いる業務を特定するための識別子に関するデータが記録される。
業務名データ領域には、この業務の名称に関するデータが記録される。
【0040】
ファイル名データ領域には、この業務に用いられるファイルの名称に関するデータが記録される。
伝送元拠点データ領域には、このファイルの伝送元を特定する識別子に関するデータが記録される。
【0041】
伝送先拠点データ領域には、このファイルの伝送先を特定する識別子に関するデータが記録される。
VOL番号データ領域には、このファイルが記録された磁気テープの順番を特定するための番号に関するデータが記録される。一つのファイルが複数の磁気テープに分散されて格納されているマルチボリュームの場合には、これらの磁気テープはグループ化されており、順序番号が付与されている。
【0042】
ラベル形式データ領域には、磁気テープのテープフォーマットを特定するための識別子に関するデータが記録される。本実施形態においては、テープフォーマットとして「標準形式ラベル(SL)」と「ノンラベル(NL)」とを用いる。
【0043】
処理対象ファイルフォルダ(222,322)は読込済情報記憶手段として機能し、CMT装置(10,40)或いは他の拠点のシステム制御装置から取得することにより、伝送や磁気テープへの書込処理の対象となるイメージファイルが一時的に記憶される。
【0044】
処理済ファイルフォルダ(223,323)は伝送済情報記憶手段として機能し、他の拠点への磁気テープへの書込処理を終了したイメージファイルが格納される。
更に、各データ記憶部(22,32)には、各拠点に設置されたシステム制御装置(20,30)の装置識別子と、各システム制御装置(20,30)が設置された拠点情報を関連付けた拠点管理テーブル(図示せず)が記録されている。この拠点管理テーブルを用いることにより、伝送元拠点に設置された他のシステム制御装置20や、伝送先拠点に設置されたシステム制御装置30を特定することができる。
【0045】
また、システム制御装置(20,30)のディスプレイには、図3に示すように、各ファイルの状況を出力するステータステーブル画面500が表示される。各拠点のオペレータは、このステータステーブル画面500を用いて伝送の進捗状況を確認する。このステータステーブル画面500には、識別コード、対象業務情報、読込ステータス、伝送ステータスが表示される。
【0046】
識別コード表示領域には、磁気テープに格納されたファイルを特定するための識別子が表示される。
対象業務情報表示領域には、このファイルが用いられる業務を特定するための情報(ここでは、業務コード)が表示される。
【0047】
読込ステータス表示領域には、伝送元の処理対象ファイルフォルダ222に記録された
イメージファイルに基づいて、磁気テープのイメージファイルの読込処理の進捗を表わす情報が表示される。なお、伝送元拠点に複数のシステム制御装置20が設置されている場合、この読込ステータス表示領域には、この拠点に設置されたすべてのシステム制御装置20の処理対象ファイルフォルダ222のイメージファイルに基づいて、読込処理の進捗情報が表示される。
【0048】
伝送ステータス表示領域には、伝送元の処理済ファイルフォルダ223に記録されたイメージファイルに基づいて、磁気テープのイメージファイルの伝送処理の進捗を表わす情報が表示される。なお、伝送元拠点に複数のシステム制御装置20が設置されている場合、この伝送ステータス表示領域には、この拠点に設置されたすべてのシステム制御装置20の処理済ファイルフォルダ223のイメージファイルに基づいて、伝送処理の進捗情報が表示される。
【0049】
(ファイル転送処理の概要)
ファイル転送処理の概要を、図4を用いて説明する。
まず、システム制御装置20の制御部21は、読込対象の磁気テープのセット及び実行指示処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、磁気テープのイメージファイルを転送する場合には、オペレータはシステム制御装置20を用いて転送指示を入力する。この場合、制御部21の読込管理手段211は、オペレータに対して、CMT装置10に、転送対象の磁気テープをセットする指示を出力する。この指示を受けたオペレータは磁気テープをCMT装置10にセットする。ここで、マルチボリュームの場合には、この業務に関するファイルが記録されたすべての磁気テープをCMT装置10にセットする。そして、磁気テープのセッティングを完了したオペレータは、システム制御装置20に転送処理の実行指示の入力を行なう。
【0050】
この場合、システム制御装置20の制御部21は、磁気テープの読込管理処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、CMT装置10にセットされた磁気テープのイメージファイルを生成し、データ記憶部22の処理対象ファイルフォルダ222に格納する。
【0051】
そして、システム制御装置30の制御部31は、磁気テープへの書込管理処理を実行する。
ここでは、システム制御装置30の制御部31は、処理対象ファイル一覧表示処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、送信元のシステム制御装置20から転送可能なファイルの識別情報を取得し、ディスプレイにおいて一覧表示を出力する。
【0052】
次に、システム制御装置30の制御部31は、処理対象ファイルの指定処理を実行する(ステップS1−4)。ここで、「標準形式ラベル(SL)」の磁気テープのイメージファイルを転送する場合には、制御部31が、CMT装置40に格納された磁気テープに基づいて処理対象ファイルを指定する。一方、「ノンラベル(NL)」の磁気テープのイメージファイルを転送する場合には、オペレータが、システム制御装置30の入出力手段を用いて、転送対象のファイルを指定する。これにより、制御部31の書込管理手段311は、指定された転送対象の磁気テープを特定する。
【0053】
次に、システム制御装置30の制御部31は、ファイル一覧表示を確認して書込用磁気テープのセット及び実行指示処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、オペレータは、CMT装置40に、転送対象の磁気テープをセットし、システム制御装置30に転送処理の実行指示の入力を行なう。
【0054】
次に、システム制御装置30の制御部31は、一時ファイル作成処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、伝送元のシステム制御装置20から、転送対象のイメージファイルを取得し、バッファメモリに一時記憶する。
【0055】
次に、システム制御装置30の制御部31は、磁気テープに書き込み処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、バッファメモリに一時記憶したイメージファイルを、CMT装置40にセットされた磁気テープに記録する。
【0056】
次に、システム制御装置30の制御部31は、一時ファイル削除処理を実行する(ステップS1−8)。具体的には、磁気テープへの書き込みを完了した場合、制御部31の書込管理手段311は、バッファメモリに一時記憶したイメージファイルを削除する。
【0057】
次に、システム制御装置20の制御部21は、処理済ファイル登録処理を実行する(ステップS1−9)。具体的には、伝送先のシステム制御装置30において磁気テープへの書き込みを完了を検知した制御部21の読込管理手段211は、データ記憶部22の処理対象ファイルフォルダ222に格納されたイメージファイルを、処理済ファイルフォルダ223に移し替える。
【0058】
(読込管理処理)
次に、伝送元で行なわれる読込管理処理を、図5、6を用いて説明する。
まず、システム制御装置20の制御部21は、テープセット検知処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、CMT装置10において磁気テープがセットされたことを検知する。
【0059】
次に、システム制御装置20の制御部21は、ラベル情報の検出処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、CMT装置10にセットされた磁気テープに記録されたデータにおいてボリューム・ラベル、ヘッダ・ラベル及びトレーラ・ラベルを検索する。
【0060】
次に、システム制御装置20の制御部21は、磁気テープについてSL又はNLについての判定処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、磁気テープにおける各ラベルの記録の有無に基づいてテープフォーマットを判定する。
【0061】
CMT装置10にセットされた磁気テープにおいてラベル情報を検出することができず、NLと判定された場合(ステップS2−3において「NL」の場合)、システム制御装置20の制御部21は、NL一覧表示処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、業務管理テーブル221においてラベル形式として「NL」が設定されているレコードを特定する。そして、このレコードの内容についての一覧(ノンラベル一覧表示)をディスプレイに出力する。
【0062】
次に、システム制御装置20の制御部21は、識別コードの特定処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、ノンラベル一覧表示において、オペレータによって選択された識別コードを取得して、メモリに一時記憶する。そして、後述するステップS3−1以降の処理を実行する。
【0063】
一方、CMT装置10にセットされた磁気テープにおいてラベル情報を検出することにより、SLと判定された場合(ステップS2−3において「SL」の場合)、システム制
御装置20の制御部21は、識別コードの特定処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、磁気テープのボリューム・ラベルから識別コードを取得して、メモリに一時記憶する。
【0064】
次に、システム制御装置20の制御部21は、処理対象ファイルの登録確認処理を実行する(ステップS2−7)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、業務管理テーブル221において、磁気テープから取得した識別コードを検索する。
【0065】
ここで、識別コードが業務管理テーブル221に登録されていない場合(ステップS2−8において「NO」の場合)には、システム制御装置20の制御部21は、読込拒否処理を実行する(ステップS2−9)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、磁気テープのイメージファイルの生成を拒否して、この結果を示すメッセージをディスプレイに表示する。
【0066】
一方、識別コードが業務管理テーブルに登録されている場合(ステップS2−8において「YES」の場合)には、図6に示すように、システム制御装置20の制御部21は、処理対象及び処理済のファイルフォルダの確認処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、CMT装置10にセットされた磁気テープに格納されたファイルの識別コードと、当日の日付に関連付けて既に処理対象ファイルフォルダ222や処理済ファイルフォルダ223に格納されているファイルの識別コードとを比較する。ここで、読込管理手段211は、拠点管理テーブルを用いて、同一拠点に設置されている他のシステム制御装置20を特定する。そして、読込管理手段211は、各システム制御装置20の処理対象ファイルフォルダ222や処理済ファイルフォルダ223に格納されているファイルについても識別コードを取得して比較する。
【0067】
いずれかのフォルダに既に同じファイルが格納されていることにより、処理対象済又は伝送済になっている場合(ステップS3−2において「YES」の場合)、システム制御装置20の制御部21は、読込拒否処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、ディスプレイにおいて既に処理を完了していることを示すメッセージを出力する。
【0068】
一方、いずれのフォルダにも同じファイルが格納されておらず、まだ処理対象済又は伝送済になっていない場合(ステップS3−2において「NO」の場合)、システム制御装置20の制御部21は、読込処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、CMT装置10から、選択されたイメージファイルの読み込みを開始する。この読込処理は、最初のEOFラベルを検知するまで実行される。なお、複数のEOFラベルを検知した場合、先頭に最も近い位置(複数の磁気テープにおいて検知した場合には、最もVOL番号が若い磁気テープ)に記録されたEOFラベル以降のデータについては伝送の対象外とする。
【0069】
次に、システム制御装置20の制御部21は、伝送元におけるデータブロックカウント処理を実行する(ステップS3−5)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、読み込んだ磁気テープの中で最も早い位置に記録されたEOFラベルまでのデータブロックの数を計数する。ここで、マルチボリュームの場合には、読み込んだ磁気テープのVOL順番の中で最も早い位置に記録されたEOFラベルまでのデータブロックの数を計数する。そして、読込管理手段211は、計数したデータブロック数をEOF1ラベル又はEOV1ラベルに記録する。
【0070】
次に、システム制御装置20の制御部21は、処理対象ファイル登録処理を実行する(ステップS3−6)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、読み込んだイメ
ージファイルに対して、メモリに記憶した識別コードを付与して、処理対象ファイルフォルダ222に格納する。これにより、磁気テープのイメージファイルは、伝送先に転送可能な状態になる。
【0071】
(書込管理処理)
次に、書込管理処理を、図7、8を用いて説明する。
まず、システム制御装置30の制御部31は、書込指示処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、送信元のシステム制御装置20から転送可能な状態のイメージファイルの識別情報を取得する。この場合、書込管理手段311は、伝送元で読み込まれたファイル毎にデータブロック数に関するデータを取得する。本実施形態では、EOF1ラベル又はEOV1ラベルに記録されたデータブロック数を取得する。そして、ステップS1−3〜ステップS1−5で説明したように、書込管理手段311は、処理対象一覧表示において、書込対象として指示されたイメージファイルの選択を受け付け、このイメージファイルの識別コードを特定する。
【0072】
この場合、システム制御装置30の制御部31は、伝送対象のイメージファイルがマルチボリュームかどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、業務管理テーブル321にマルチボリュームとしての登録の有無によって判定する。
【0073】
マルチボリュームと判定された場合(ステップS4−2において「YES」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、各スロットに格納されたボリュームの読込処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、CMT装置40にセットされた磁気テープに記録されたVOL番号を取得する。マルチボリュームでないと判定された場合(ステップS4−2において「NO」の場合)には、このステップを省略する。
【0074】
次に、システム制御装置30の制御部31は、転送処理を実行する(ステップS4−4)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、伝送元のシステム制御装置20に対して、書込対象として指示された識別コードのイメージファイルの転送を指示する。この場合、システム制御装置20は、磁気テープのボリューム毎に処理対象ファイルフォルダ222に格納されたイメージファイルをシステム制御装置30に転送する。そして、システム制御装置30の制御部31の書込管理手段311は、取得したテープデータを、バッファメモリに一時記憶する。
【0075】
この伝送処理は、指定されたイメージファイルの転送が終了するまで継続される(ステップS4−5において「NO」)。ここで、マルチボリュームの場合、グループ化されたすべての磁気テープに記録されていたイメージファイルの転送を終了するまで継続される。
【0076】
すべてのイメージファイルの転送が終了した場合(ステップS4−5において「YES」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、対応するボリュームの選択処理を実行する(ステップS4−6)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、CMT装置40にセットされた磁気テープにおいて、取得したイメージファイルを格納する磁気テープを特定する。ここで、SLの場合には、ボリューム・ラベルに記録された識別コード、VOL番号により、イメージファイルを格納するボリュームを選択する。NLの場合には、CMT装置40にセットされた磁気テープを選択する。
【0077】
そして、図8に示すように、システム制御装置30の制御部31は、書込処理を実行する(ステップS5−1)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、CMT装置
40において選択された磁気テープに、バッファメモリに一時記憶したイメージファイルを書き込む。この処理は、EOVラベル又はEOFラベルを検知するまで継続される。
【0078】
この場合、システム制御装置30の制御部31は、オーバーフローについての判定処理を実行する(ステップS5−2)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、書込先の磁気テープに書き込むべきデータが残っている状況で、EOT(End Of Tape )を検知したかどうかを監視する。
【0079】
ここで、EOTを検知する前にEOFラベルを検知して磁気テープへの書き込みを終了した場合、オーバーフローしなかったことになる。オーバーフローしなかった場合(ステップS5−2において「NO」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、伝送先におけるデータブロックカウント処理を実行する(ステップS5−3)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、磁気テープに書き込んだイメージファイルにおいて、EOFラベルまでのデータブロック数を計数する。マルチボリュームの場合には、すべての磁気テープにおけるデータブロックを総計する。
【0080】
そして、システム制御装置30の制御部31は、全データブロック数の照合処理を実行する(ステップS5−4)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、伝送元から取得したデータブロック数と、磁気テープに書き込んだイメージファイルのデータブロック数とを比較する。
【0081】
両者が一致している場合(ステップS5−5において「YES」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、処理済ファイル登録処理を実行する(ステップS5−6)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、伝送元のシステム制御装置20に対して書き込みを完了したことを通知する。この場合、システム制御装置20の制御部21の読込管理手段211は、このイメージファイルを、処理対象ファイルフォルダ222から処理済ファイルフォルダ223に移し替える。
【0082】
一方、伝送元で計数したデータブロック数と、磁気テープに書き込んだデータブロック数とが一致していない場合(ステップS5−5において「NO」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、異常処理を実行する(ステップS5−7)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、転送に問題があったことを示すエラーコードを発行し、このエラーコードを示すメッセージをディスプレイに表示する。
【0083】
また、磁気テープへの書き込みを終了する前の書込途中(EOFラベルの検知前)にEOTを検知した場合、オーバーフローしたことになる。オーバーフローした場合(ステップS5−2において「YES」の場合)には、システム制御装置30の制御部31は、次の磁気テープがセットされているかどうかについての判定処理を実行する(ステップS5−8)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、CMT装置40に次のVOL番号が設定された磁気テープがセットされているかどうかを検索する。
【0084】
次のVOL番号の磁気テープがセットされている場合(ステップS5−8において「YES」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、次のVOL番号の磁気テープへの繰越処理を実行する(ステップS5−9)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、オーバーフローした残りデータを次のVOL番号の磁気テープに記録する。そして、書込処理(ステップS5−1)を継続する。この場合、繰越分のデータの書き込みを終了した場合には、次のVOL番号のイメージデータの書き込みを行なう。
【0085】
このオーバーフローを、図11を用いて説明する。ここでは、伝送元の磁気テープ(601,602)を伝送先の磁気テープ(701,702)に書き込む場合を想定する。こ
こで、伝送元の1本目の磁気テープ601のデータを、伝送先の1本目の磁気テープ701に書き込み、データ611がオーバーフローした場合を想定する。この場合、書込管理手段311は、データ611を、伝送先の2本目の磁気テープ702のデータ部の先頭に書き込む。そして、書込管理手段311は、その後に続けて、伝送元の2本目の磁気テープ602のデータを磁気テープ702に書き込む。
【0086】
一方、次のVOL番号の磁気テープがセットされていない場合(ステップS5−8において「NO」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、予備磁気テープ要求処理を実行する(ステップS5−10)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、CMT装置40に予備磁気テープをセットするように指示するメッセージをディスプレイに出力する。
【0087】
そして、システム制御装置30の制御部31は、予備磁気テープへの繰越処理を実行する(ステップS5−11)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、CMT装置40において予備磁気テープがセットされたスロットを特定して、この予備磁気テープにオーバーフローした磁気テープの残りのデータを書き込む。そして、書込処理(ステップS5−1)を継続する。
【0088】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 本実施形態においては、システム制御装置20の制御部21は、SL又はNLについての判定処理を実行する(ステップS2−3)。CMT装置10にセットされた磁気テープがSLの場合(ステップS2−3において「SL」の場合)、システム制御装置20の制御部21は、識別コードの特定処理を実行する(ステップS2−6)。そして、システム制御装置20の制御部21は、業務管理テーブルを用いて処理対象のファイル確認処理を実行する(ステップS2−7)。これにより、業務管理テーブルにおいて処理対象の磁気テープを的確に読み込むことができる。
【0089】
更に、識別コードが業務管理テーブルに登録されている場合(ステップS2−8において「YES」の場合)には、図6に示すように、システム制御装置20の制御部21は、処理対象及び処理済のファイルフォルダの確認処理を実行する(ステップS3−1)。これにより、既に読込処理や伝送処理を終了した磁気テープについての重複した処理を防止することができる。特に、システム制御装置20の制御部21は、拠点管理テーブルを用いて、同一拠点に設置されている他のシステム制御装置20の処理対象ファイルフォルダ222や処理済ファイルフォルダ223に格納されているファイルについても確認する。これにより、一拠点において複数のシステム制御装置20を利用している場合にも、同一磁気テープについての重複処理を抑制することができる。
【0090】
・ 本実施形態においては、システム制御装置20の制御部21は、読込処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、制御部21の読込管理手段211は、CMT装置10から、選択されたイメージファイルの読込を開始する。この読込処理は、最初のEOFラベルを検知するまで実行される。そして、複数のEOFラベルを検知した場合、先頭に最も近い位置(複数の磁気テープにおいて検知した場合には、最もVOL番号が若い磁気テープ)に記録されたEOFラベル以降のデータについては伝送の対象外とする。これにより、先に記録されたデータの上に、今回のデータを上書きすることにより、磁気テープを使いまわした場合にも、的確に今回の処理対象のファイルを読み込むことができる。
【0091】
更に、システム制御装置20の制御部21は、伝送元におけるデータブロックカウント処理を実行する(ステップS3−5)。伝送後には、システム制御装置30の制御部31は、伝送先におけるデータブロックカウント処理(ステップS5−3)を実行し、全データブロック数の照合処理を実行する(ステップS5−4)。これにより、今回の処理対象
のファイルが確実に伝送されたかどうかを確認することができる。
【0092】
・ 本実施形態においては、磁気テープへの書込時にオーバーフローした場合(ステップS5−2において「YES」の場合)には、システム制御装置30の制御部31は、次のVOL番号の磁気テープがセットされているかどうかについての判定処理を実行する(ステップS5−8)。次のVOL番号の磁気テープがセットされている場合(ステップS5−8において「YES」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、次のVOL番号の磁気テープへの繰越処理を実行する(ステップS5−9)。一方、次のVOL番号の磁気テープがセットされていない場合(ステップS5−8において「NO」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、予備磁気テープ要求処理(ステップS5−10)、予備磁気テープへの繰越処理(ステップS5−11)を実行する。これにより、記録密度やテープ長さ等が異なることにより磁気テープの容量が異なり、ボリューム毎の書き込みができなかった場合にも、ファイルの連続性を維持しながら、業務に用いる磁気テープを複製することができる。
【0093】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態では、CMT装置(10,40)に用いられる磁気テープには、テープフォーマットとして標準形式ラベル(SL)とノンラベル(NL)とを用いたが、標準形式ラベル(SL)の磁気テープのみを対象とすることも可能である。
【0094】
○ 上記実施形態では、システム制御装置20の制御部21は、読込処理を実行する(ステップS3−4)。この場合、マルチボリュームの場合には、先に読み込んだ磁気テープのVOL番号よりも前のVOL番号の磁気テープにおいてEOFラベルを検知した場合には、このEOFラベル以降のデータについては、伝送の対象外とする。ここで、磁気テープに記録されたすべてのデータをシステム制御装置30に転送し、システム制御装置30側で最初のEOFラベルまでのデータのみを、磁気テープに記録するようにしてもよい。
【0095】
○ 上記実施形態では、伝送元で計数したデータブロック数と、磁気テープに書き込んだデータブロック数とが一致していない場合(ステップS5−5において「NO」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、異常処理を実行する(ステップS5−7)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、転送に問題があったことを示すエラーコードを発行し、ディスプレイに出力する。これに代えて、データブロック数が一致しない場合には、システム制御装置30は、伝送元のシステム制御装置20から、イメージファイルを再度、取得するようにしてもよい。そして、データブロック数が一致するまで、転送処理や書込処理を繰り返す。これにより、データブロック数が一致したファイルが格納された磁気テープを作成することができる。
【0096】
ここで、複数の伝送経路が用意されている場合には、先の伝送経路とは異なる経路を選択するようにしてもよい。具体的には、システム制御装置30の制御部31は、伝送に利用した伝送経路を記憶しておき、伝送エラーとなった場合には、他の伝送経路を用いての伝送を指示する。これにより、伝送経路によるとエラーを回避することができる。
【0097】
○ 上記実施形態では、両者が一致している場合(ステップS5−5において「YES」の場合)、システム制御装置30の制御部31は、処理済ファイル登録処理を実行する(ステップS5−6)。具体的には、制御部31の書込管理手段311は、書き込んだイメージファイルを、処理対象ファイルフォルダ322から処理済ファイルフォルダ323に移し替える。これに代えて、伝送先においては、書き込みに用いたイメージファイルを廃棄してもよい。この場合には、送信元の処理済ファイルフォルダ223において処理状況を把握する。
【0098】
○ 上記実施形態では、システム制御装置30の制御部31は、全データブロック数の照合処理を実行する(ステップS5−4)。これに代えて、オーバーフローした場合とオーバーフローしていない場合とで、データブロック数の照合方法を変更するようにしてもよい。制御部がオーバーフローの有無を判定し、オーバーフローしている場合には、EOFラベルまでのデータブロック数を照合し、オーバーフローしていない場合にはボリューム毎のデータブロック数を照合する。これにより、オーバーフローしていない場合には、各ボリューム毎の照合を行なうことができる。
【符号の説明】
【0099】
10,40…CMT装置、20,30…システム制御装置、21,31…制御部、211…読込管理手段、311…書込管理手段、22,32…データ記憶部、221,321…業務管理テーブル、222,322…処理対象ファイルフォルダ、223,323…処理済ファイルフォルダ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体読取装置に接続された伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムであって、
前記伝送元装置が、
前記記録媒体読取装置において処理対象ファイルが格納された記録媒体のセッティングを検知した場合、この記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する識別コード取得手段と、
前記記録媒体に記録されたEOFラベルを検知するまでのデータブロック数をカウントして記憶する伝送元ブロックカウント手段と、
この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込手段とを備え、
前記伝送先装置が、
前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体に書き込む書込手段と、
前記書込手段が書き込んだEOFラベルまでのデータブロック数をカウントする伝送先ブロックカウント手段と、
前記伝送元装置から取得したデータブロック数と、記録媒体に書き込まれたデータブロック数とを照合し、データブロック数が一致しない場合にはエラー処理を実行する確認手段とを備えたことを特徴とするファイル伝送システム。
【請求項2】
前記伝送元装置の伝送元ブロックカウント手段は、複数のEOFラベルを検知した場合には、最初のEOFラベルまでのデータブロック数をカウントすることを特徴とする請求項1に記載のファイル伝送システム。
【請求項3】
前記伝送先装置の書込手段は、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体において、処理対象ファイルの書込中にオーバーフローした場合には、次の順番の記録媒体に繰り越して書き込むことを特徴とする請求項1又は2に記載のファイル伝送システム。
【請求項4】
前記伝送先装置の書込手段は、前記記録媒体の識別コードに基づいて、複数の記録媒体がグループ化されているマルチボリュームと判定した場合、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体にマルチボリュームの順番に書き込むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のファイル伝送システム。
【請求項5】
記録媒体読取装置に接続され、処理対象の記録媒体の識別コードが記録された業務管理テーブルを保持した伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムであって、
前記伝送元装置が、
記録媒体読取装置にセットされた記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する識別コード取得手段と、
前記業務管理テーブルに記録された識別コードと照合し、前記識別コードが業務管理テーブルに記録されている場合には、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込手段とを備え、
前記伝送先装置が、
前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体の識別コードを読み取り、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、識別コードが一致する記録媒体に書き込む書込処理を実行する手段を備えたことを特徴とするファイル伝送システム。
【請求項6】
前記伝送元装置は、イメージファイルを生成した記録媒体の識別コードを記録した読込済情報記憶手段と、イメージファイルを前記伝送先装置に転送した記録媒体の識別コードを記録した伝送済情報記憶手段とを備え、
前記伝送元装置は、記録媒体読取装置にセットされた記録媒体の識別コードが前記読込済情報記憶手段或いは前記伝送済情報記憶手段に記録されているかどうかを確認し、
既に前記読込済情報記憶手段或いは前記伝送済情報記憶手段のいずれかに前記識別コードが記録されている場合には、前記記録媒体の読み込みを拒否する手段と、
前記読込済情報記憶手段及び前記伝送済情報記憶手段に前記識別コードが記録されていない場合には、前記伝送元装置は、読込処理を実行し、前記識別コードを前記読込済情報記憶手段に記録する手段と、
前記伝送先装置における書込処理の終了を検知した場合、前記伝送元装置は、前記識別コードを前記伝送済情報記憶手段に記録する手段とを備えたこと特徴とする請求項5に記載のファイル伝送システム。
【請求項7】
記録媒体読取装置に接続された伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムを用いて、ファイルを伝送する方法であって、
前記伝送元装置が、
前記記録媒体読取装置において処理対象ファイルが格納された記録媒体のセッティングを検知した場合、この記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する識別コード取得段階と、
前記記録媒体に記録されたEOFラベルを検知するまでのデータブロック数をカウントして記憶する伝送元ブロックカウント段階と、
この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込段階とを実行し、
前記伝送先装置が、
前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体に書き込む書込段階と、
前記書込段階で書き込んだEOFラベルまでのデータブロック数をカウントする伝送先ブロックカウント段階と、
前記伝送元装置から取得したデータブロック数と、記録媒体に書き込まれたデータブロック数とを照合し、データブロック数が一致しない場合にはエラー処理を実行する確認段階とを実行することを特徴とするファイル伝送方法。
【請求項8】
記録媒体読取装置に接続され、処理対象の記録媒体の識別コードが記録された業務管理テーブルを保持した伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムを用いて、ファイルを伝送する方法であって、
前記伝送元装置が、
記録媒体読取装置にセットされた記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する段階と、
前記業務管理テーブルに記録された識別コードと照合し、前記識別コードが業務管理テーブルに記録されている場合には、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込段階とを実行し、
前記伝送先装置が、
前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体の識別コードを読み取り、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、識別コードが一致する記録媒体に書き込む書込処理を実行する段階を実行することを特徴とするファイル伝送方法。
【請求項1】
記録媒体読取装置に接続された伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムであって、
前記伝送元装置が、
前記記録媒体読取装置において処理対象ファイルが格納された記録媒体のセッティングを検知した場合、この記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する識別コード取得手段と、
前記記録媒体に記録されたEOFラベルを検知するまでのデータブロック数をカウントして記憶する伝送元ブロックカウント手段と、
この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込手段とを備え、
前記伝送先装置が、
前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体に書き込む書込手段と、
前記書込手段が書き込んだEOFラベルまでのデータブロック数をカウントする伝送先ブロックカウント手段と、
前記伝送元装置から取得したデータブロック数と、記録媒体に書き込まれたデータブロック数とを照合し、データブロック数が一致しない場合にはエラー処理を実行する確認手段とを備えたことを特徴とするファイル伝送システム。
【請求項2】
前記伝送元装置の伝送元ブロックカウント手段は、複数のEOFラベルを検知した場合には、最初のEOFラベルまでのデータブロック数をカウントすることを特徴とする請求項1に記載のファイル伝送システム。
【請求項3】
前記伝送先装置の書込手段は、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体において、処理対象ファイルの書込中にオーバーフローした場合には、次の順番の記録媒体に繰り越して書き込むことを特徴とする請求項1又は2に記載のファイル伝送システム。
【請求項4】
前記伝送先装置の書込手段は、前記記録媒体の識別コードに基づいて、複数の記録媒体がグループ化されているマルチボリュームと判定した場合、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体にマルチボリュームの順番に書き込むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のファイル伝送システム。
【請求項5】
記録媒体読取装置に接続され、処理対象の記録媒体の識別コードが記録された業務管理テーブルを保持した伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムであって、
前記伝送元装置が、
記録媒体読取装置にセットされた記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する識別コード取得手段と、
前記業務管理テーブルに記録された識別コードと照合し、前記識別コードが業務管理テーブルに記録されている場合には、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込手段とを備え、
前記伝送先装置が、
前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体の識別コードを読み取り、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、識別コードが一致する記録媒体に書き込む書込処理を実行する手段を備えたことを特徴とするファイル伝送システム。
【請求項6】
前記伝送元装置は、イメージファイルを生成した記録媒体の識別コードを記録した読込済情報記憶手段と、イメージファイルを前記伝送先装置に転送した記録媒体の識別コードを記録した伝送済情報記憶手段とを備え、
前記伝送元装置は、記録媒体読取装置にセットされた記録媒体の識別コードが前記読込済情報記憶手段或いは前記伝送済情報記憶手段に記録されているかどうかを確認し、
既に前記読込済情報記憶手段或いは前記伝送済情報記憶手段のいずれかに前記識別コードが記録されている場合には、前記記録媒体の読み込みを拒否する手段と、
前記読込済情報記憶手段及び前記伝送済情報記憶手段に前記識別コードが記録されていない場合には、前記伝送元装置は、読込処理を実行し、前記識別コードを前記読込済情報記憶手段に記録する手段と、
前記伝送先装置における書込処理の終了を検知した場合、前記伝送元装置は、前記識別コードを前記伝送済情報記憶手段に記録する手段とを備えたこと特徴とする請求項5に記載のファイル伝送システム。
【請求項7】
記録媒体読取装置に接続された伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムを用いて、ファイルを伝送する方法であって、
前記伝送元装置が、
前記記録媒体読取装置において処理対象ファイルが格納された記録媒体のセッティングを検知した場合、この記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する識別コード取得段階と、
前記記録媒体に記録されたEOFラベルを検知するまでのデータブロック数をカウントして記憶する伝送元ブロックカウント段階と、
この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込段階とを実行し、
前記伝送先装置が、
前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体に書き込む書込段階と、
前記書込段階で書き込んだEOFラベルまでのデータブロック数をカウントする伝送先ブロックカウント段階と、
前記伝送元装置から取得したデータブロック数と、記録媒体に書き込まれたデータブロック数とを照合し、データブロック数が一致しない場合にはエラー処理を実行する確認段階とを実行することを特徴とするファイル伝送方法。
【請求項8】
記録媒体読取装置に接続され、処理対象の記録媒体の識別コードが記録された業務管理テーブルを保持した伝送元装置と、記録媒体書込装置に接続された伝送先装置とからなるファイル伝送システムを用いて、ファイルを伝送する方法であって、
前記伝送元装置が、
記録媒体読取装置にセットされた記録媒体に記録された識別情報に基づいて識別コードを取得する段階と、
前記業務管理テーブルに記録された識別コードと照合し、前記識別コードが業務管理テーブルに記録されている場合には、この記録媒体のイメージファイルを生成し、転送可能な状態で記憶する読込処理を実行する読込段階とを実行し、
前記伝送先装置が、
前記記録媒体書込装置にセットされた記録媒体の識別コードを読み取り、前記伝送元装置から前記識別コードに対応するイメージファイルを取得し、識別コードが一致する記録媒体に書き込む書込処理を実行する段階を実行することを特徴とするファイル伝送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−165284(P2010−165284A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8744(P2009−8744)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)
【出願人】(503136772)株式会社ユニテックス (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)
【出願人】(503136772)株式会社ユニテックス (3)
【Fターム(参考)】
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