説明

ファインダ視差検査装置、検査方法およびファインダ視差調整装置

【課題】カメラ毎に生じる倍率誤差を考慮する必要がなく、より簡単にファインダの視差検査を可能にするファインダ視差検査装置、検査方法を提供し、この検査方法および検査装置を用いて、より簡単にファインダの視差を調整可能にするファインダ視差調整装置を提供する。
【解決手段】撮像装置を所定姿勢で取り付ける保持ユニット4と、当該撮像素子の装着部位に合致させて配設されるチャート1と、撮像光学系の前方に配設されるスクリーン8と、撮像光学系の後方から光を照射してチャート4をスクリーン8に投影する投影手段5を備えた構成のファインダ視差検査装置KSとし、このファインダ視差検査装置KSを用いたファインダ視差検査方法、ファインダ視差調整装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラのファインダ視差検査装置、検査方法およびファインダ視差調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像光学系とファインダ光学系とを別個に有するカメラ等においては、撮影範囲とファインダにより観察される視野とのずれ(ファインダ視差と称する)を予め検査して調整している。
【0003】
このように、ファインダ光学系を有するカメラの製造時には、カメラごとに撮像系の中心出しとファインダ視差の検査と調整を行う作業が必要となる。そのために、容易にファインダの視差検査を行うために、環状のマークを有するファインダ視差検査用チャートを用いて、撮像光学系の中心軸をマークの中心に合致させてカメラの撮像光学系をセットし、その後、ファインダ視野とマークとのずれからファインダ視差を検査するファインダ視差検査装置が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
具体的に説明すると、特許文献1には、チャートの中心位置に配置されたマークをチャートから所定距離に配置されるピンホールを介して観察し、ピンホールの中心軸とチャートの中心位置とを略一致させる。その後、ファインダを通してチャートを観察し、良品・不良品を判定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−84246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載された方法では、視差検査を行うために、視差をチェックするチャートの中心位置とピンホールの中心軸(撮像系の中心)を一致させる工程が必要であり、工数がかかってしまう。
【0007】
また、同じ設計値で組んだカメラ毎にも、若干の倍率誤差が生じるが、これを考慮していないので、ファインダ視差検査でファインダ視野枠が撮影範囲内に入っていても、実際は撮影範囲外に位置している可能性も考えられる。
【0008】
そのために、より簡単にファインダの視差検査を可能にすることが好ましく、カメラ毎に生じる倍率誤差を考慮する必要がない視差検査方法であることが好ましい。また、不良と判定されたファインダ視差を容易に調整可能なファインダ視差調整装置であることが好ましい。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、カメラ毎に生じる倍率誤差を考慮する必要がなく、より簡単にファインダの視差検査を可能にするファインダ視差検査装置、検査方法を提供し、この検査方法および検査装置を用いて、より簡単にファインダの視差を調整可能にするファインダ視差調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、撮像光学系と、前記撮像光学系と独立したファインダ光学系を有する撮像装置のファインダ視差検査装置であって、前記ファインダ光学系が装着された前記撮像装置を所定姿勢で取り付ける保持ユニットと、前記撮像装置における撮像素子の装着部位に合致させて配設されるチャートと、前記撮像光学系の前方に配設されるスクリーンと、前記撮像光学系の後方から光を照射して前記チャートを前記スクリーンに投影する投影手段を備えたことを特徴としている。
【0011】
上記の構成によると、撮像素子が装着される部位にチャートを配設して、撮像光学系の後方から前方に向けて光を照射するので、撮像素子における結像位置にチャートが正しく配設される構成となって、前方に設けるスクリーンに、撮影系の中心とチャートの中心を合致させたチャート像を確実に投影することができる。そのために、チャートの中心位置と撮像系の中心を一致させる工程が不要となり、スクリーン上に投影されたチャート像をファインダ光学系を通して観察することで、ファインダ視差を容易に確認することができる。また、撮像光学系を通してチャートを投影しているので、それぞれの撮像光学系毎に生じる倍率誤差を考慮する必要がなくなる。
【0012】
また本発明は上記構成のファインダ視差検査装置において、前記チャートは、前記撮像素子における結像面に合致する部位に所定のパターン面が形成されていることを特徴としている。この構成によると、スクリーンに、パターン面に設けたパターンをピントの合ったチャート像として投影することができる。
【0013】
また本発明は上記構成のファインダ視差検査装置において、前記撮像光学系の取付け姿勢を調整する第一あおり調整機構を配設したことを特徴としている。この構成によると、ファンダ視差を検査するために保持ユニットに取り付ける撮像装置(製品)とスクリーンとの平行出しを製品毎に調整可能となるので、それぞれタイプの異なる製品であっても、投影手段を介して所定位置に配置されたチャートをスクリーン上に正しく投影することができる。
【0014】
また本発明は上記構成のファインダ視差検査装置において、前記撮像装置が前記撮像素子を装着する撮像素子装着部を備え、前記チャートは、前記撮像素子装着部に位置決めされる位置決め部を備え、該位置決め部を介して前記撮像素子装着部に取り付けられることを特徴としている。この構成によると、チャートの位置決め部を撮像素子装着部に係合させて取り付けることで、パターン面を結像面に合致させて正しく装着することができるので、チャートの中心位置と撮像光学系の中心を一致させる工程が不要となる。
【0015】
また本発明は上記構成のファインダ視差検査装置において、前記チャートは、前記保持ユニット側に配設される位置固定手段を介して前記撮像素子の装着部位に位置固定されることを特徴としている。この構成によると、チャートを保持ユニット側に設ける位置固定手段を介して位置固定し、この保持ユニットに撮像装置を取り付ける操作で、チャートが撮像素子の装着部に正しく配設される構成となるので、チャートの中心位置と撮像光学系の中心を一致させる工程が不要となる。
【0016】
また本発明は上記構成のファインダ視差検査装置において、前記位置固定手段は、前記チャートの取付け姿勢を調整する第二あおり調整機構を備えることを特徴としている。この構成によると、第二あおり調整機構を備える位置固定手段を介してチャートを任意の位置に配置することができ、各種タイプの製品に対するファインダ視差検査を行うことが可能となる。また、撮像素子を組み込む枠がない製品のファインダ視差も容易に検査することができる。
【0017】
また本発明は上記構成のファインダ視差検査装置において、前記チャートは、前記パターン面に、ファインダ視野枠の矩形の4辺に相当する部位にズレ量を確認する目盛りをそれぞれ設けていることを特徴としている。この構成によると、ファインダを覗いて、各部位の目盛りのズレ量を計測することで、ファインダ視野枠の4辺の位置ズレを一括に確認することができ、ファインダ視差を容易に確認可能となる。
【0018】
また本発明は、撮像光学系と、前記撮像光学系と独立したファインダ光学系を有する撮像装置のファインダ視差検査方法であって、前記ファインダ光学系が装着された前記撮像装置を所定姿勢で取り付ける工程と、前記撮像素子の装着部位に合致させてチャートを配設する工程と、前記撮像光学系の前方に配設されたスクリーンに、前記撮像光学系の後方から光を照射してチャート像を投影する工程と、を有し、前記スクリーンに投影されたチャート像を、前記ファインダ光学系を介して観察することで、ファインダ視差を検査することを特徴としている。
【0019】
上記の構成によると、撮像素子が配設される所定部位にチャートを配設してファインダ視差を検査するので、ファインダの視野検査を行う際に必要なチャートの中心と撮影系の中心を一致させる作業を不要とし、より容易にファインダの視差検査を行うことが可能なファインダ視差検査方法となる。また、撮像光学系を通してチャートを投影しているので、それぞれの撮像光学系毎に生じる倍率誤差を考慮する必要がなくなる。
【0020】
また本発明は上記構成のファインダ視差検査方法において、前記チャートは、前記撮像素子における結像面に合致する部位に形成される所定のパターン面を備え、このパターン面に、ファインダ視野枠の矩形の4辺に相当する部位にズレ量を確認する目盛りをそれぞれ設けていることを特徴としている。この構成によると、パターン面に設けられた所定のパターンを介してファインダ視野枠の4辺のズレ量を一括に確認することができ、ファインダ視差を容易に確認可能なファインダ視差検査方法となる。
【0021】
また本発明のファインダ視差調整装置は、上記の構成のファインダ視差検査装置と、ファインダ光学系の視野領域を調整するファインダ視野領域調整機構を備えている。この構成によると、ファインダ視差を容易に確認して、その場で直ちにファインダ光学系の視野領域を調整できるので、より簡単にファインダの視差を検査して調整可能なファインダ視差調整装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、カメラ毎に生じる倍率誤差を考慮する必要がなく、チャートの中心位置と撮像系の中心を一致させる工程も不要となって、より簡単にファインダの視差検査を可能にするファインダ視差検査装置、検査方法およびファインダ視差調整装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るファインダ視差検査装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係るファインダ視差検査装置が備えるチャートの第一の装着例を示す概略側面図である。
【図3】チャートの第二の装着例を示す概略側面図である。
【図4】ファインダ視差が良好な状態を示す概略説明図である。
【図5】ファインダ視差が不良な状態を示す概略説明図である。
【図6】チャートに設けるパターンの一例を示す説明図である。
【図7】ファインダ視差検査方法の流れを示すフローチャートである。
【図8】ファインダ視差調整方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。また、同一構成部材については同一の符号を用い、詳細な説明は適宜省略する。
【0025】
図1に示すように本実施形態に係るファインダ視差検査装置KSは、撮像光学系3Aとファインダ光学系3Bを有する撮像装置2のファインダ視差を検査する装置であって、撮像装置2を固定する保持ユニット4とスクリーン8と投影手段5とを備えた構成とされる。また、撮像装置2は、保持ユニット4に設ける固定手段6を介して所定姿勢に保持されている。
【0026】
スクリーン8は、撮像装置2に対して所定の撮影距離離間した位置に設けることが好ましいので、本実施形態では、テーブル9を介して保持ユニット4と一体に連結されるスクリーンボード7に装着する構成としている。この場合、テーブル9は、保持ユニット4とスクリーン8との離間距離を所定距離に設定可能な構成とされる。もちろん、テーブル9を用いることなく、撮像装置2とスクリーン8を、個別に所定の距離離して設置する構成であってもよい。
【0027】
また、スクリーン8は、ボード状のものでもシート状のものでもよいが、シート状の場合は、吸湿による膨潤が発生するので、これを考慮して貼り付けを行うとよい。
【0028】
撮像装置2は、撮像光学系3Aで得られた画像を電気信号に変換する撮像素子を備えているが、本実施形態では、この撮像素子を取り外した状態の撮像装置2を保持ユニット4に装着している。すなわち、ファインダ光学系3Bが装着され撮像素子が装着されていない撮像装置2を、保持ユニット4に所定姿勢で取り付けている。
【0029】
所定姿勢とは、撮像光学系3Aの中心軸を、投影手段5が備える光源5aからの光をスクリーン8上に正しく投影するように合致させた姿勢である。また、撮像光学系3Aの取付け姿勢を調整するあおり調整機構(第一あおり調整機構)を配設して、ファインダ視差を検査するために保持ユニット4に取り付ける撮像装置2(製品)とスクリーン8との平行出しを調整可能とすることが好ましい。
【0030】
あおり調整機構は、例えば、傾きを調整可能に首振り自在で且つXYZ方向に移動可能なステージを用いることができ、このようなあおり調整機構を保持ユニット4に設けた構成であれば、それぞれタイプの異なる製品であっても、確実に撮像装置2を保持ユニット4に所定姿勢で取り付け可能となって、投影手段5を介して所定の結像位置に配置されたチャートをスクリーン上に正しく投影することができる。
【0031】
すなわち、本実施形態に係るファインダ視差検査装置KSは、撮像光学系と、この撮像光学系と独立したファインダ光学系を有する撮像装置2のファインダ視差検査装置であって、ファインダ光学系が装着された撮像装置2を所定姿勢で取り付ける保持ユニット4と、撮像装置2における撮像素子の装着部位に合致させて配設されるチャート1と、撮像光学系の前方に配設されるスクリーン8と、撮像光学系の後方から光を照射してチャート1をスクリーン8に投影する投影手段5を備えた構成とされる。
【0032】
また、チャート1は、撮像素子における結像面に合致する部位に所定のパターン面が形成されている。そのために、スクリーン8に、ピントの合ったチャート像(パターン面に設けた所定のパターン)を確実に投影することができ、表示される所定のパターンを、ファインダ光学系を通して観察することで、ファインダ視差を確認することができる。
【0033】
すなわち、本実施形態に用いるチャート1は、ファインダ視差検査用のチャートであって、投影手段5から照射される光を受けて、パターン面に設けられた所定のパターンをスクリーン上に表示するものである。このチャート1は、ガラス製でも液晶型であってもよく、所定のパターンが設けられたパターン面を有し、投影手段5から照射される光を受けて、所定のパターンをスクリーン上に表示可能であればよい。
【0034】
上記の構成であれば、撮像素子が装着される部位にチャート1を配設して、撮像光学系3Aの後方から前方に向けて光を照射するので、結像面にパターン面が正しく配設される構成となって、前方に設けるスクリーン8に、ファインダ視差を確認可能な所定のパターンを確実に表示することができる。
【0035】
そのために、スクリーン8上に投影されたチャート像(パターン面に設けた所定のパターン)をファインダ(ファインダ光学系3B)を通して観察することで、ファインダ視差を容易に確認することができる。また、撮像光学系3Aを通して結像面に合致したチャート1のパターン面に設けられた所定のパターンを投影しているので、それぞれの撮像光学系毎に生じる倍率誤差を考慮する必要がなくなって好ましい。
【0036】
次に、撮像素子が装着される部位にチャート1を配設する方法について、図2、図3を用いて説明する。
【0037】
図2には、撮像装置が備える撮像素子装着部10(例えば、CCDユニット装着部)にチャート1(1A)を直接装着する一例(第一の装着例)を示している。そのために、このチャート1Aは、撮像素子装着部10に位置決めされる位置決め部1aと撮像素子の結像面に合致する部位に形成されるパターン面1bを備えた所定厚みとされている。
【0038】
また、図に示すように、スプリングなどの付勢部材11を介して、位置決め部1aを撮像素子装着部10の所定部位(CCD基準面)に押し付けるようにして、チャート1Aを正確に位置固定する構成としてもよい。
【0039】
このような構成であれば、チャート1(1A)をただ撮像素子装着部10に取り付けるだけで、撮像光学系の中心に合致させて正しく装着することができるので、チャートの中心位置と撮像光学系の中心を一致させる工程が不要となって好ましい。
【0040】
撮像素子装着部10にチャート1(1A)を直接装着する場合は、チャート1(1A)は、撮像素子が組み込まれる枠の形や大きさに合わせて作ることが好ましい。このような構成であれば、撮像装置2をより完成品に近い形で検査を行うことが可能になる。
【0041】
上記したようにチャート1は、撮像素子装着部10に直接装着してもよいが、この方法に限らず、保持ユニット4側に装着する構成であってもよく、この構成例について図3を用いて説明する。
【0042】
図3には、前述した保持ユニット4に配設する位置固定手段20を介して、チャート1(1B)を所定位置に設置する一例(第二の装着例)を示している。
【0043】
位置固定手段20は、チャート1Bを保持して、その保持姿勢を微調整可能なあおりステージ21と、位置の微調整が可能なXYZ軸ステージ22を備えている。また、保持しているチャート1Bに、投影手段5からの光を導光可能な構成とされている。この具体的な構成については、特に限定されず、例えば、光軸に沿って導光可能な空隙部を有する形状であってもよい。
【0044】
上記したような構成であれば、XYZ軸ステージ22とあおりステージ21を介して、チャート1(1B)を、撮像素子の装着部に正しく位置合わせして配設可能となるので、チャート1(1B)のパターン面1bを撮像素子における結像位置に正しく合致させることができる。すなわち、あおりステージ21とXYZ軸ステージ22とを備えた位置固定手段20は、チャート1(1B)の姿勢を調整するあおり調整機構(第二あおり調整機構)を備えた構成となる。そのために、位置固定手段20を用いてチャート1(1B)を所定位置に調節して、撮像装置2を保持ユニット4に取り付けると、チャート1(1B)が撮像素子の装着部に正しく配設される構成となって、チャートのパターン面1bが結像面に正しく合致した状態となる。
【0045】
位置固定手段20を用いてチャート1Bを保持する構成であれば、撮像素子を組み込む枠がない状態でも、撮像素子が製品に組み込まれる位置にチャート1Bを配置することができ、ファインダ視差検査を行うことができる。ファインダ視差検査は、ファインダを通して投影されたチャート像を観察して行う。つまり、検査する製品を保持ユニット4に取り付け、撮像素子の装着部位にチャート1Bを配設し、投影手段5から光を照射してスクリーン上に投影されるチャート像(パターン面に設けられた所定のパターン)をファインダを通して観察して、製品の良品・不良品を判別する。
【0046】
また、位置固定手段20を用いてチャート1を固定する場合は、一旦チャート1の位置を固定すると、あとは製品を取り換えるだけで、それぞれの製品の視差検査を容易に行うことが可能である。つまり、同一品種の製品を検査する場合は、チャートの中心位置と撮像光学系の中心を一致させる新たな工程が不要となる。
【0047】
また、先に示した撮像光学系の取付け姿勢を調整する第一あおり調整機構、および、前述したチャートの取付け姿勢を調整する第二あおり調整機構を共に用いると、製品本体とチャートの姿勢と位置を、任意の姿勢および位置に調整可能となって、異なる品種の製品のファインダ視差を検査可能な構成となって好ましい。
【0048】
次に、撮像光学系の撮影範囲と、ファインダ視野枠について、図4、図5を用いて説明する。
【0049】
図4は、ファインダ視野枠FWが製品である撮像装置の撮影範囲W1内に位置している状態を示している。この場合では、ファインダ視野枠FWよりも撮影範囲W1が僅かに大きいため、撮影者が意図した撮影範囲で撮影結果を得ることができる。従って、このような視差検査の結果、製品は良品と判定される。
【0050】
一方、図5はファインダ視野枠FWが撮影範囲W1の上側にはみ出している状態を示している。このような場合では、ファインダで見ている範囲の上辺部が欠けて撮影されてしまう。従って、このような視差検査の結果、製品は不良品と判定される。
【0051】
チャート1に設けるパターンとしては、例えば、図6に示すように、ファインダ視野枠FWの外枠位置に該当する四辺部分に設ける目盛りME1、ME2、ME3、ME4を用いる。つまり、チャート1は、撮像素子が備える撮影範囲に略合致した矩形の外形W2に対し、該外形よりも一回り小さいファインダ視野枠FWの矩形の4辺に相当する部位にズレ量を確認する目盛りME(ME1、ME2、ME3、ME4)をそれぞれ設けている。
【0052】
目盛りME(ME1、ME2、ME3、ME4)は、例えば、枠線と平行な3本のラインからなる目盛りを有し、この3本のなかの中央のラインを、ファインダ視野枠FWの外枠位置に該当させておくことで、上下左右にどれだけずれているかを容易に観察することが可能となる。
【0053】
すなわち、図中の上下に設けたME1とME2とでファインダ視野枠FWの上下方向のズレ量を確認し、図中の左右に設けたME3とME4とでファインダ視野枠FWの左右方向のズレ量を確認することができ、ファインダ視野枠FWの4辺の位置ズレを一括に確認することができる。
【0054】
そのために、設計値通りに組み立てられた製品であれば、チャート上に示す撮影範囲の線と視野枠が一致する。また、例えば、製品の仕様により、目盛りMEの範囲内に視野枠が入っていれば良品と判定してもよい。
【0055】
次に、図7を用いて、ファインダ視差検査方法について説明する。
【0056】
本実施形態に係るファインダ視差検査方法は、撮像光学系とこの撮像光学系と独立したファインダ光学系を有する撮像装置のファインダ視差検査方法である。
【0057】
また、ファインダ光学系が装着された撮像装置を所定姿勢で取り付ける工程と、撮像素子の装着部位に合致させてチャートを配設する工程と、撮像光学系の前方に配設されるスクリーンに、撮像光学系の後方から光を照射してチャート像を投影する工程と、を有し、スクリーンに投影されたチャート像を、ファインダ光学系を介して観察することで、ファインダ視差を検査して、製品の良品・不良品を判定する構成である。
【0058】
すなわち、本実施形態に係るファインダ視差検査方法は、図7のフローチャートに示すように、製品をセットする工程(ステップS1)と、チャートをセットする工程(ステップS2)と、投射手段の光源をONする工程(ステップS3)と、ファインダ視差検査を行う工程(ステップS4)と、チャート像を確認して、予め定める範囲内であれば良品と判定する工程(ステップS5)と、予め定める範囲を外れると不良品と判定する工程(ステップS6)を有する。
【0059】
上記したように、本実施形態に係るファインダ視差検査方法は、撮像光学系を通してスクリーンに、結像位置に合致させて配設するチャートのチャート像(パターン面に設けた所定のパターン)を投影し、当該チャート像をファインダを介して観察することで、ファインダ視差を検査する構成とされている。また、撮像素子における結像面に合致する部位に形成される所定のパターン面を備えるチャートを用い、このパターン面に、撮像素子が備える撮影範囲に略合致した矩形の外形に対し、該外形よりも一回り小さいファインダ視野枠の矩形の4辺に相当する部位にズレ量を確認する目盛りをそれぞれ設けているので、パターン面に設けられた所定のパターンを介してファインダ視野枠の4辺のズレ量を一括に確認することができ、ファインダ視差を容易に確認可能なファインダ視差検査方法となって好ましい。
【0060】
また、図1に示すファインダ視差検査装置KSにファインダ視差を調整可能な調整装置を具備することで、ファインダ視差調整装置を構築することができる。ここで、ファインダ視差を調整するとは、ファインダの視野領域が撮影範囲内にくるように調整することである。すなわち、本実施形態に係るファインダ視差調整装置は、上記の構成のファインダ視差検査装置と、ファインダ光学系の視野領域を調整するファインダ視野領域調整機構を備えている。
【0061】
そのために、本実施形態に係るファインダ視差調整装置は、図8のフローチャートに示すように、図7に示したファインダ視差検査方法が備えるステップS1からステップS6までの各工程を実行した後、設置するファインダ視野領域調整機構を用いてファインダ視差調整を行う(ステップS7)構成とされる。
【0062】
ファインダ視野領域調整機構としては、例えば、ファインダ光学系の姿勢を調整してファインダ視野枠を撮影範囲に合致させる調整機構や、ファインダ光学系を構成する一部のレンズの傾きや位置を微調整してファインダ視野領域を調整する調整機構などがある。
【0063】
このように、前述したファインダ視差検査装置にファインダ視野領域調整機構を備えた構成のファインダ視差調整装置であれば、ファインダ視差を容易に確認して、その場で直ちにファインダ光学系の視野領域を調整できる。そのために、本実施形態によれば、より簡単にファインダの視差を検査して調整可能なファインダ視差調整装置を得ることができる。
【0064】
以上説明したように、本発明に係るファインダ視差検査装置によれば、撮像素子が装着される部位にチャートを配設して、撮像光学系の後方から前方に向けて光を照射するので、スクリーン上に、撮影系の中心とチャートの中心を合致させたチャート像を正確に投影することができる。
【0065】
そのために、スクリーン上に投影されたチャート像をファインダ光学系を通して観察することで、ファインダ視差を容易に確認することができる。
【0066】
また、本発明に係るファインダ視差検査方法によれば、撮像素子が配設される所定部位にチャートを配設してファインダ視差を検査するので、ファインダの視野検査を行う際に必要なチャートの中心と撮影系の中心を一致させる作業を不要とし、より容易にファインダの視差検査を行うことが可能なファインダ視差検査方法となる。また、撮像光学系を通してチャートを投影しているので、それぞれの撮像光学系毎に生じる倍率誤差を考慮する必要がなくなる。
【0067】
また、本発明に係るファインダ視差調整装置によれば、上記の構成のファインダ視差検査装置と、ファインダ光学系の視野領域を調整するファインダ視野領域調整機構を備えているので、ファインダ視差を容易に確認して、その場で直ちにファインダ光学系の視野領域を調整できる。そのために、より簡単にファインダの視差を検査して調整可能なファインダ視差調整装置となって好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
そのために、本発明に係るファインダ視差検査装置およびファインダ視差検査方法は、それぞれ独立した撮影光学系とファインダ光学系を備えるカメラの製造に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 チャート
2 撮像装置
3A 撮影光学系
3B ファインダ光学系
4 保持ユニット
5 投影手段
5a 光源
6 固定手段
8 スクリーン
9 テーブル
10 撮像素子装着部
20 位置固定手段
21 あおりステージ
22 XYZ軸ステージ
KS ファインダ視差検査装置
FW ファインダ視野枠
W1 撮影範囲
ME1〜ME4 目盛り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系と、前記撮像光学系と独立したファインダ光学系を有する撮像装置のファインダ視差検査装置であって、
前記ファインダ光学系が装着された前記撮像装置を所定姿勢で取り付ける保持ユニットと、前記撮像装置における撮像素子の装着部位に合致させて配設されるチャートと、前記撮像光学系の前方に配設されるスクリーンと、前記撮像光学系の後方から光を照射して前記チャートを前記スクリーンに投影する投影手段を備えたことを特徴とするファインダ視差検査装置。
【請求項2】
前記チャートは、前記撮像素子における結像面に合致する部位に所定のパターン面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のファインダ視差検査装置。
【請求項3】
前記撮像光学系の取付け姿勢を調整する第一あおり調整機構を配設したことを特徴とする請求項1または2に記載のファインダ視差検査装置。
【請求項4】
前記撮像装置が前記撮像素子を装着する撮像素子装着部を備え、前記チャートは、前記撮像素子装着部に位置決めされる位置決め部を備え、該位置決め部を介して前記撮像素子装着部に取り付けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のファインダ視差検査装置。
【請求項5】
前記チャートは、前記保持ユニット側に配設される位置固定手段を介して前記撮像素子の装着部位に位置固定されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のファインダ視差検査装置。
【請求項6】
前記位置固定手段は、前記チャートの取付け姿勢を調整する第二あおり調整機構を備えることを特徴とする請求項5に記載のファインダ視差検査装置。
【請求項7】
前記チャートは、前記パターン面に、ファインダ視野枠の矩形の4辺に相当する部位にズレ量を確認する目盛りをそれぞれ設けていることを特徴とする請求項2に記載のファインダ視差検査装置。
【請求項8】
撮像光学系と、前記撮像光学系と独立したファインダ光学系を有する撮像装置のファインダ視差検査方法であって、
前記ファインダ光学系が装着された前記撮像装置を所定姿勢で取り付ける工程と、
前記撮像素子の装着部位に合致させてチャートを配設する工程と、
前記撮像光学系の前方に配設されたスクリーンに、前記撮像光学系の後方から光を照射してチャート像を投影する工程と、を有し、
前記スクリーンに投影されたチャート像を、前記ファインダ光学系を介して観察することで、ファインダ視差を検査することを特徴とするファインダ視差検査方法。
【請求項9】
前記チャートは、前記撮像素子における結像面に合致する部位に形成される所定のパターン面を備え、このパターン面に、ファインダ視野枠の矩形の4辺に相当する部位にズレ量を確認する目盛りをそれぞれ設けていることを特徴とする請求項8に記載のファインダ視差検査方法。
【請求項10】
請求項1から7のいずれかに記載されたファインダ視差検査装置と、ファインダ光学系の視野領域を調整するファインダ視野領域調整機構を備えていることを特徴とするファインダ視差調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−113247(P2012−113247A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264267(P2010−264267)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)