説明

ファインファイバーと反応性、吸着性または吸収性微粒子とを含むウェブ

本発明のアセンブリは、ファインファイバー層中に分散された活性微粒子物質を含むファインファイバー層を含むことができる。本発明のアセンブリを通過して流れる流体は、流体内に分散または溶解している物質をナノファイバー層内の活性微粒子と反応、吸収または吸着させることができる。本発明の構造は、ろ過特性を有さず、単に反応性、吸収性、あるいは吸着性の層として作動させることができるし、また、フィルタ中に組み込んで、移動性の流体流れから微粒子をろ過すると同時に、移動性の流体流れ中の物質と反応したり、該物質を吸収または吸着することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブあるいはファイバー構造に関する。本発明のフィルタ、エレメントまたは媒体構造は、反応性、吸着性、または、吸収性の層としてあるいはろ過形態において役割を果たすことができる。この構造は、収集ファイバと、反応性、吸着性、または、吸収性微粒子とを含み、活性微粒子、活性材料のファイバー、スペーサ、または、分離手段としての役割を果たすこともできる。微粒子は、吸収剤、吸着剤または反応剤として役割を果たすことができる。
【背景技術】
【0002】
本出願は、米国以外の全ての国を指定国とする出願人である米国国内企業のドナルドソン社と、米国のみを指定国とする出願人である米国民であるアンドリュー・ジェームス・ダラス、ジョン・デニス・ジョリマン、ダスティン・ザステラおよびジェームス・アール・ギエルツおよび中国国民であるレフェリ・ディング、トルコ国民であるベリ・エンジン・カライシの名において、PCT国際特許出願として2007年2月13日に出願されたものであり、2006年2月13日に出願された米国仮特許出願第60/773,067号の優先権を主張する。
【0003】
背景技術
高分子ウェブは、押出、溶融紡糸、乾式レイド・プロセス(air laid process)、湿式レイド・プロセス(wet laid process)などによって製造することができる。移動する流体流れに含まれる微粒子を分離することができる構造を得るためのフィルタ構造の製造技術は、膨大なものである。そのようなフィルタ媒体は、表面充填媒体(surface loading media)とデプス媒体(depth media)を含んでおり、これらの媒体は、さまざまな幾何学的構造に製造することができる。そのような媒体の使用に関連する原理は、カールボウフ他、米国特許第5,082,476号、同5,238,474号、同5,364,456号および同5,672,399号に記載されている。任意に選択されるフィルタ媒体を含むフィルタ構造において、フィルタは、定められた粒径を除去するとともに経済的に妥当で十分な寿命を持つ微粒子の除去特性を持つ必要がある。寿命は、設置時間と、フィルタを横切る圧力損失が予め決められたレベルを超えるようなフィルタが十分に詰まった微粒子を得る時間との間の時間であると一般に考えられている。増加した圧力損失は、フィルタのバイパス流れ、機械的なフィルタの損傷、流体流れの欠乏、または他の操作上の問題を引き起こし得る。ろ過効率は、移動性の流体流れから取り除かれた微粒子の比率に対するフィルタ媒体の特性である。効率は、以下に定められる試験プロトコルによって通常は測定される。
【0004】
表面充填フィルタ媒体は、しばしば、移動性の流体流れの流路を横断して配置されている不織布構造を持つ緻密なファイバマットを含んでいる。移動性の流体流れが、形成された不織布のファイバ構造を通過する間に、通常は、微粒子は、フィルタ表面で流れからある効率で取り除かれてフィルタ表面上に残る。表面充填構造と対照的に、デプス媒体は、通常は、(表面充填媒体と比較して)かなり厚いファイバ構造を含み、前記ファイバ構造は、定められた固体性(固形物比率:solidity)、気孔率、層厚および効率を持っている。デプス媒体、特に、傾斜密度のデプス媒体は、カールバウフ他、米国特許第5,238,474号、同第5,082,476号、同第5,364,456号に示されている。一般に、デプス媒体は、移動性の流体流れ中に混入した微粒子の通過を妨害することによってろ過操作における役割を果たす。微粒子がデプス媒体繊維状構造に入るとき、微粒子は、デプス媒体内に残って、通常は、フィルタ容積全体にわたって、内部ファイバー上に分散して保持される。対照的に、表面充填媒体は、通常は、表面層に微粒子を蓄積する。
【0005】
グレージャー他、米国特許第5,486,410号は、二成分のコア/シェル・ファイバから通常作られるファイバー状構造であって、微粒子材料を含んでいるファイバー状構造を教示する。前記微粒子は、ファイバー構造中に保持されている固定されている機能物質を含んでいる。前記機能物質は、流体の流れと相互作用して流体の流れを変更するように設計されている。典型的な物質は、流体流れ中の物質と反応または吸収し得るシリカ、ゼオライト、アルミナ、分子ふるいなどを含んでいる。マーケル他、米国特許第号5,328,758号は、分離プロセスのために溶融吹き付け熱可塑性ウェブとウェブ中の吸着材料とを使用する。エレード他、米国特許第4,460,642号は、水膨張可能であり、親水性の吸収微粒子を含むPTFEの複合材シートを教示している。このシートは、傷被覆材として、非水溶媒を吸収して非水溶媒を除去する材料として、あるいは分離クロマトグラフ材料として有用である。コルピン他、米国特許第4,429,001号は、超吸収剤ポリマー微粒子を含む溶融吹き付けファイバーを有する吸着剤シートを教示する。脱臭あるいは空気浄化フィルタは、例えば、ミツトシ他、日本特許第7265640号およびエイイチ他、日本特許第10165731号に示されている。
【0006】
ガス相と液相とを含む多くの移動性の流体相は、好ましくない成分である懸濁成分、溶解成分、または移動性の流体相中に含まれた他の成分を含む。そのような好ましくない成分は、化学反応性があり、または、吸収剤あるいは吸着剤の使用により吸収あるいは吸着可能であり得る。しばしば、これらの種類の成分は、流体中で完全に混和性であり濾過することができない相を形成するので、化学反応、吸収剤あるいは吸着剤によってのみ除去することができる。そのような物質の例は、酸性、または、塩基性の反応化合物である。酸性化合物は、硫化水素、二酸化硫黄、および他のそのような種を含み、塩基性成分は、アンモニア、アミン、四基化合物などを含んでいる。更に、Cl2、SO2、シアン化物、ホスゲンなどの反応性気体は、危険を引き起こし得る。最後に、他の多くの化合物は、におい、色、または他の好ましくない特性により不快である。流体相からそのような物質のすべての除去することが可能ならば、多くの最終用途において有用であろう。既存のシステムの活性層は、活性層中の微粒子が機械的に不安定であるという問題に苦しんでいる。多くの構造では、微粒子は、活性層に機械的に固定されておらず、容易に除去され得る。多くの構造では、利用できる活性物質の量は、基板の性質および充填し得る活性物質の量によって限定されている。
【特許文献1】米国特許第5,082,476号
【特許文献2】米国特許第5,238,474号
【特許文献3】米国特許第5,364,456号
【特許文献4】米国特許第5,672,399号
【特許文献5】米国特許第号5,328,758号
【特許文献6】米国特許第5,486,410号
【特許文献7】米国特許第4,460,642号
【特許文献8】米国特許第4,429,001号
【特許文献9】日本特許第7265640号
【特許文献10】日本特許第10165731号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
表面充填媒体とデプス媒体の両方は、過去おいてに使用されてきて、あるレベルの性能を得ることができたが、流体相の処理とろ過媒体に対して、以前に得られた特性と異なる新しい特性を提供するという工業的な必要性は、実質的に残っている。特に、改善された効率、低い圧力損失、優れた吸着、吸収または反応性の特性に対する必要性は、高活性で強健な機械的安定性を有する構造において必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のウェブ、フィルター、他の通過する流れ(flow-through)あるいは層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)(flow-by)構造は、本発明の微粒子を含む実質的に連続するファインファイバーの固まりまたは層を含むことができる。粒子の形態の反応性、吸収性、または吸着性のファイバスペーサあるいはの分離手段は、ファイバの固まりと結合するか、さもなければファイバの固まり中に分散することができる。本発明のウェブは、ファイバーウェブまたは層およびファイバー分離手段あるいはファイバに接着したファイバスペーサ手段を含んでおり、反応剤、吸収剤、または吸着剤の構造の形態で使用することができる。
【0009】
1つの態様では、ウェブは、流体の流れを処理するために、連続するファイバー相と、反応性、吸収性、または、吸着性の活性微粒子とを含む連続するファイバー状構造を含みむことができる。流体の流れは、混入した物質を含むガスまたは液体であり得る。混入した物質は、移動性の流体流れ中に溶解可能であるまたは不溶性であり得るし、液体または固体の不純物微粒子であり得る。液体は、例えば、水溶液、非水性流体、水、油、およびそれらの混合物であり得る。
【0010】
第2の態様において、類似の構造もまたは、フィルタとしての役割を果たす。活性微粒子は、ファイバで分散された微粒子相を含む。フィルタは、ガス状流れあるいは液体流れなどの移動性の流体流れを濾過するために使用することができる。フィルタは、液体流れまたはガス状流れから不純物を取り除くために使用することができる。そのような不純物は微粒子を含み得る。通過する流れあるいは層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)構造は、PTFE、延伸拡張テフロン(登録商標)あるいは他の関連する多孔質状フッ化ポリマー成分を連続的な活性のため必要としない構造中で使用することができる。
【0011】
「分散された」によって、活性微粒子がファイバに接着して、ウェブ内の空隙内に保持され、あるいは部分的にウェブ中に浸透してウェブ表面中に空間を生成するポケット中に保持される。一旦形成されると、本発明の活性微粒子を含んでいるファインファイバー層を有する媒体は、媒体層と結合され得る。その形成物は、層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)処理ユニット中で使用することができる、あるいは、吸着性/吸収性、または、反応性の特性を有する通過する流れろ過ユニット中で使用することができる。層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)または通過する流れユニットにおいて、媒体は、移動性の流体流れがろ過層によって流路を妨害されずに通過し、流体媒体の流路に隣接するファインファイバー層中に形成された吸収性/吸着性、または、反応性種と単に接触し得る形態で単に配置されている。あるいはまた、活性微粒子と媒体とを含むファインファイバー層は通過する流れろ過構造中に形成されて、非ろ過モードの間に移動性の流体流れから微粒子を取り除くことができるし、本発明の媒体は、ろ過モードにおいて、移動性の流体流れから混入した微粒子を除去し、同時に、微粒子の形態で存在するまたはしない流体相中の好ましくない物質を吸収または吸着するまたは該物質と化学的に反応することができる。
【0012】
用語「フィルタ」は、移動性の流体流れを処理する中で実際に使用される構造をいう。「フィルタ」は、通常は、入口と出口を持つハウジングを含んでいる。用語「エレメント」は、通常は、媒体層と他の部品とを含むフィルターアセンブリ中で使用される構造をいい、フィルタ構造に挿入しかつフィルタ構造から取り除くことができる有用で構造的に安定なユニットをもたらす。本発明のエレメントあるいはウェブは、微粒子がファインファイバーウェブを全体にわたって分散している媒体層を含んでいる。ファインファイバーと微粒子の結合は、基板層上に形成されるてフィルタ媒体を形成する。
【0013】
微粒子は、ある量の1種類の微粒子あるいは異なる種類の微粒子の混合物を含むことができる。例えば、活性微粒子を不活性微粒子と混合してそのような層で使用することができる。不活性微粒子は、一つの微粒子を含み得るし、また、組成、粒径、微粒子の形態または他の微粒子の態様が異なる不活性微粒子の混合物であり得る。同様に、活性微粒子は、異なる活性微粒子を含む微粒子の混合物を含み得る。例えば、カーボン微粒子は、ゼオライト微粒子と混合することができる。あるいはまた、カルボキシメチルセルロース微粒子は、活性層中でイオン交換樹脂微粒子と混合することができる。さらに、そのような活性微粒子は、サイズ、形状または形態の異なる微粒子は本発明の活性層中で結合することができるという意味において混合された微粒子を持つことができる。用語「混入された微粒子」は移動性の流体流れ中の不純物についていうが、「分散した微粒子」は本発明のファイバー層中に意図的に含める微粒子についていう。
【0014】
本発明のエレメントは、2つの別々の形態のうちの1つの形態で使用することができる。これらの形態は、「通過する流れ(flow-through)」あるいは「層等の表面に沿った流れ(迂回流れ:flow-by)」と呼ばれる。通過する流れ形態では、移動性の流体流れ、液体またはガスは、ろ過モードにおいて、ファインファイバー層と基板をファイバー層の平面に実質的に垂直の流れで通過する。混入した微粒子は、本発明のエレメントにぶつかりエレメントによって除去され、流体が分散した微粒子と接触するファインファイバー層を通過するとき、分散した微粒子は、流体中に懸濁または溶解している化学物質または吸収または吸着する化学物質と反応することができる。
【0015】
層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)形態では、流体の流路は、一般に、ファインファイバー層またはエレメント表面の平面と平行である。層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)形態では、流体はファインファイバー層の表面と接触し、流体はエレメントを実質的に通過しない。流体の輸送の主要形態は、ファインファイバー層の表面に実質的に平行な方向にファインファイバー層を迂回するが、粘性、流速、温度、エレメントの配置に依存して、流体は、ある程度、ファインファイバーを浸透することができ、層から層へ流れることができるそのような形態では、流体は、層の表面と接触して、流体中に溶解または懸濁している化学物質を微粒子と反応させる、または微粒子に吸収または吸着させることができる。
【0016】
通過する流れエレメントおよび層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)エレメントは、さまざまな様式で使用することができる。通過する流れエレメントは、カートリッジパネルを含む従来のフィルタ構造およびいくつかの他のフィルタ構造においてひだ付きまたはひだ付きでない形態においてエレメントと共に使用することができる。同様に、層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)媒体は、パネルおよびカートリッジ構造中に含み得る。
【0017】
層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)材料の使用の好ましい形態は、巻いた媒体中にある。巻いた媒体は、必要なら、ファインファイバーを熱処理することによって、最初にファイバーと微粒子との層を形成し、次に、このエレメントを2〜50層の間の層を有する多層のロールに巻くことによって調製される。ロールの厚さまたは層間の間隔は、この構造を通過する流体の流速を決定する。流速は、複数の流路を巻いた媒体中に導入することによって改善することができる。そのような流路は、ファインファイバーが紡糸された基板中に予め形成することができる、または、ファインファイバー層を基板上に形成し、次に必要なら熱処理した後で、エレメント中に形成することができる。機械的な形成物あるいはスペーサは、処理工程によって含まれ得る。形成物あるいはスペーサは、流路を構造中に導入し得る。巻い材料は、巻いた構造の1部に固有の1つの流路を形成するために少なくとも1つのスペーサ部を含み得る。さらに、巻いた構造の各層が少なくとも1つの流路部分を持つように追加のスペーサを配置することができる。任意の数のスペーサを使用することができる。1層あたり少なくとも1つのスペーサを、1層あたり5、10または20スペーサまで使用することができる。スペーサの層がエレメント中に流路を形成した後で、スペーサを取り除くことができる。1つの形態では、エレメントを巻かずに物理的にエレメントからスペーサを取り除くことによって、スペーサを取り除くことができる。しかしながら、別の形態では、スペーサは、溶媒を使用して簡単に巻いアセンブリから洗浄することができる。この場合、スペーサ(基板のファインファイバーまたは微粒子でない)は可溶性であり、したがって、スペーサが取り除かれ、通過する流れ流路構造が残る。スペーサがロールの第1端部からロールの第2端部まで流体の通過する流れ流路を提供するかぎり、スペーサは実質的にどんな形状あるいは構造でも配置することができる。好ましくは、流路の寸法は、主要寸法が約1mmより大きく、主要寸法が約1〜500mmの範囲であり得る。流路の形状は、丸い、楕円形、円形、長方形、または、三角形、または、他の断面形状であり得る。この形状は、規則的、不規則的、または無定形であり得る。更に、流路に沿って、流路の断面形状を端部から端部まで変えることができる。例えば、巻いた構造の入口端部で、流路は相対的に大きな断面積を有し、反対端部で、断面積を入力端部より小さくすることができる。さらに、入力端部の断面積が出口端部よりが小さい場合がある。スペーサのサイズの他の変形は、流れに乱流を増加させて流体と微粒子との間で改善された接触をもたし得る。
【0018】
本発明のフィルタまたは通過する流れ構造または層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)構造は、有用な特性を提供するために特有の形に適合されている。通過する流れ構造は、通過する流れ構造を通過する移動性の流体相と化学的に反応するまたは該相を吸収/吸着するために使用される。通過する流れ構造は、フィルタとして、および、流体流れ中の物質と反応する、または該物質を吸収または吸着することができる構造としての両方の役割を果たすことができる。従って、この2つの機能の通過する流れ構造は、流体流れ中の通常は不溶性の相である好ましくない微粒子を取り除くことができる。更に、通過する流れ構造は、流体流れ中の不溶性および溶解性成分と反応することができる、または該成分を吸収または吸着することができる。
【0019】
応用に対して特に重要な流体流れは、ほこりの微粒子、水、溶媒残留物、油残留物、混合された水性の油残留物、塩素、ベンゼン、二酸化硫黄などの有害ガスなどの汚染物を含み得る空気流れを含む。他の通常の液体の移動相は、燃料、油、溶媒の流れなどを含んでいる。そのような流れは、水、微粒子の汚染物、着色物、少量の溶解可能な不純物を取り除くために、本発明の通過する流れ構造と接触することができる。多くの場合、流れ(ガス状または液体の両方)は、プリオン、ウイルス、バクテリア、胞子、DNA断片および他の潜在的に有害な生物学的生成物あるいは危険物質を含む生物学的生成物によって汚染され得る。
【0020】
本発明の活性ウェブまたはエレメントは、ファインファイバー層と、移動性の流体流れ相中に混入した物質と反応するまたは該物質を吸収/吸着するように該ファインファイバー層中に分散された微粒子とを含んでいる。そのようなエレメントあるいはウェブは、さまざまな形態で他の活性種または反応性種と結合し得る。本発明の微粒子は、ファイバから分離したバラバラの微粒子であり得るし、微粒子はファイバの表面上にまたはファイバに接着し得る。微粒子は、ファイバ中に埋め込むことができるし、ファイバーの固まりによって部分的にまたは完全に囲まれ得る。これらの構造を形成するために、微粒子は、紡糸後にファイバと結合し得るし、紡糸の間のファイバが乾燥して固まる時間の間に微粒子をファイバに加えることができるし、または、微粒子がファイバ中に部分的にまたは完全に埋め込まれるように紡糸の前に微粒子を紡糸液に加えることができる。
【0021】
活性層を形成する1つの方法は、シート層中に活性微粒子を形成させる成分、または、活性微粒子を本発明のウェブあるいはエレメントの一つまたはそれ以上の成分に接着させる成分を含む水性あるいは非水性相中に活性微粒子を分散することによるものである。本発明の活性微粒子は、いずれもそのような目的のための水性あるいは非水性液相中に組み込むことができる。非水性材料を形成する際に、非水性溶媒、好ましくは、低級アルコール、エーテル、低沸点炭化水素の分留、クロロホルム・メチレン・クロリド、ジメチルスルホン酸(DMSO)などを含む揮発性溶媒は、活性微粒子の材料を溶解性または分散可能な混合材料と混合することによって調製することができる。そのような溶液は、移動性の流体流れ相中に混入された物質と反応するまたは該物質を吸着/吸収する形態で役割を果たすことができる活性微粒子を含む層を形成するために、ファイバ微粒子シート状の基板または他の材料に適用することができる。あるいはまた、本発明の活性微粒子は、活性微粒子の活性層を形成するために、ファイバ微粒子あるいは基板のようなウェブシートと結合し得る材料あるいは該ファイバ微粒子あるいは該ウェブシートを被覆し得る材料を結合する水溶液または懸濁液中に分散し得る。あるいはまた、本発明の活性微粒子は、水相と有機相とを結合する混合された水性の有機相中に分散または懸濁させることができる。有機相は、追加の溶媒あるいはか他の有機液体を含み得るし、または、アクリルポリマー、PTFEポリマーなどの水性高分子相を含み得る。そのような混合相は、活性微粒子を含む層を形成し得るし、さらに、隣接するポリマー間の結合を形成することができる架橋成分を含み得るし、さらに膜のコーティングを補修し得る。
【0022】
熱処理あるいは熱接着工程は、全く異なった層を形成するのに使用することができ、そこでは完全に全く異なったファイバは無い。熱処理では、個々のファイバを個々のファイバの溶融あるいは溶融点以上の温度まで加熱し、次に、ファイバを接着させ、合体させるまたは溶融ネットワーク、膜または膜状構造を形成させることができる。熱処理の温度、圧力、および時間に依存して、熱処理は、ファイバを表面接触しかしていない中間的長さのランダムに分配されたファイバー層からファイバがより親密に連結している層に変換することができる。ファイバは最小限だけ加熱され、ファイバの交差部分でファイバは溶融ネットワークを形成するように溶融する。追加の熱、圧力、または熱処理の時間によって、ファイバは、さらに溶解してより親密に連結したウェブに合体する。更なる温度、時間、および圧力によって、ファイバは、より完全に溶けて広がって多孔性の膜様構造とすることができる。熱処理もまた微粒子の位置を変更することができる。ファイバが単に全体にわたって分配されている例では、微粒子はファインファイバー全体にわたって分配している。熱処理は、微粒子を構造中に固定することができ、構造中で微粒子は、熱処理されたファイバー状、ウェブまたは膜状構造と表面結合している。しかしながら、再び熱、圧力、または時間に依存して、微粒子を多孔性の膜状構造中に全体にわたって組み込むことができる。そのような熱処理またはカレンダー構造は、元のファインファイバー層の厚さとほぼ同じ厚さの層または元のファインファイバー層より薄い層をもたらす。従って、元のファインファイバー層が約0.5〜200μmの範囲の厚みがあるなら、得られる層は、紡糸されたファイバの量、微粒子の成分、および加熱、圧力、および時間を含む熱処理の度合いに依存して、しばしば、約0.5〜200μmまたは最大100μmまで、時々には、最大50μmの範囲の厚みを持ち得る。そのような熱処理工程の1つの形態は、熱的に使用することができるカレンダー操作である。カレンダー工程は、ローラー、ローラーとエンボッサー(紋付け機)、またはエンボッサーを使用して熱処理された層を形成する。エンボッサーは、規則性、中間的、あるいは無作為パターンをもたらす結合パターンと共に使用することができる。パターンが使用されると、パターンは、表面積の最大50パーセントまで占有することができる。通常、結合したアレイは、表面積の1〜75%、しばしば表面積の約10〜50%を占領する。
【0023】
様々な層中で使用されるファインファイバーの性質と、複合体の製造速度に依存しながら、時間、温度および圧力などのカレンダープロセスのパラメータを、受け入れ可能な結果をもたらすために変更し得る。カレンダー用ローラーの温度は、約25〜200℃の範囲であり得る。カレンダー用ローラーまたはローラーの組合せを使用することにより、層に加えられる圧力は500psiまで変更することができ、熱処理ステーションを通る複合体の速度は1分あたり約1〜約500フィートまで変更することができる。熱処理ステーションの操作パラメータは、正確な究極の構造を得るためにファイバに適切な量の熱が送られるように調整しなければならない。熱は、ファイバのある部分を柔らかくするまたは溶融するものではなく、ファイバが単に溶融して基板中に分散されるようなものではない。送られる全熱は、ファイバーを結合し、全体のファイバーを柔らかくし、または、ファイバーを多孔性の膜に形成するようにすぐに調製することができる。操作パラメータのそのような最小の調整は、職人の技能内である。
【0024】
本発明のウェブあるいはエレメントは、さまざまな異なる層を含むことができる。そのような層は、活性層と不活性層の両方を含むことができる。活性層は、通常は、ファインファイバ内に分散された微粒子を持つファインファイバーのウェブ、または、多の含浸された層、または吸着剤/吸収剤、または、反応性微粒子を含む層、または、他のそのような構造を含む。そのような層は、保護層、空間層、活性層、不活性層、支持層と結合した本発明の有用なエレメント中に形成され得る。そして、すべてのものは、従来のカートリッジパネル中に、あるいは、他のそのような保護構造中に組み込むまたは埋め込むことができる。活性微粒子の好ましい形態は吸着剤のカーボン微粒子を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の微粒子物質は、本発明の層および媒体の活性およびろ過特性改善することができる寸法を持っている。該微粒子物質は、不活性、反応性、吸収性および吸着性であるさまざまな有用な物質から作ることができる。該微粒子物質はウェブを通過する移動相および混入した微粒子充填物に対して実質的に不活性である、あるいは、この物質は、流体、流体の溶解部分あるいは流体中の混入した微粒子充填物と相互作用することができる。微粒子のいくつかあるいはかすべてが不活性である場合がある。好ましい微粒子は、活性、反応性、吸収性または吸着性の物質である。本発明の目的のために、用語「不活性」は、ウェブ中の物質が実質的に化学的に流体および混入した微粒子充填物と反応しない、あるいは、実質的に物理的に流体の一部あるいは混入した微粒子充填物を、実質的な量で微粒子上に吸収または吸着しないことを示す。この「不活性」形態では、微粒子は、単にファイバー層および一つまたはそれ以上のファイバー層を含む媒体の物理的パラメータを変更する。本発明の活性微粒子は様々な追加技術を用いて、本発明のエレメントのどんな層にも追加することができる。本発明の微粒子は、本明細書で既に記載されたように、ファイバの紡糸の間に、ファインファイバー層に組み込むことができる。さらに、本発明の活性微粒子は、水性または非水性または混合された水性液体中に溶解または分散して、本発明の有用なエレメントのどんな層にも適用することができる。
【0026】
流体あるいは混入した微粒子充填物と相互作用をする活性微粒子を使用するとき、微粒子は、媒体あるいは層の物理的性質を変更することに加えて、ウェブを通過する物質を変更する目的のために、移動性流体の一部あるいは混入した微粒子充填物のいずれかと反応するか、あるいは吸収するか、または吸着することができる。本明細書に開示された技術の主要な焦点は、媒体あるいは層の物理的な構造の反応性/吸収性/吸着性の容量あるいは寿命を増加するためにおよび必要とされるろ過性能を改良するために、層の処理の特性を改良することである。そのような多くの応用では、したがって、不活性微粒子と相互作用する微粒子の組合せが使用されるだろう。
【0027】
本発明は、マイクロファイバーやナノファイバーなどのファインファイバーの形態、ファイバーウェブの形態、または、特有な形の改善されたフィルタ構造で微粒子と共に使用される繊維状マットにおけるポリマー組成物に関する。本発明のウェブは、実質的に連続したファイバ相とファイバーの固まり中に分散されたファイバー分離手段とを有する。本発明の種々の態様において、ファイバー分離手段は、ウェブ中に微粒子相を含み得る。微粒子は、ウェブ表面上、または、表面生成物中、あるいはウェブ内に形成された空隙空間全体にわたって見つけることができる。ウェブの繊維状相は、実質的に1つの連続した層中に形成され得る、または、さまざまな別々に定義可能な層に含まれ得る、または、微粒子と内部ウェブ表面の周りに含有空間を形成しながらウェブ全体にわたってランダムに微粒子含有相を有するファイバの不定形な固まりの中に形成され得る。微粒子は、約5000μm未満の主要寸法を持つ。例えば、微粒子は、200μm未満の主要寸法を持ち得る、通常は、約0.05〜100μmを持ち得る、または約0.1〜70μmを持ち得る。実質的に連続したファインファイバー層では、層は、約0.0001〜1cm、0.5〜500μm、約1〜250μm、または約2〜200μmの層厚さを持つ。ファイバ中で分散された層では、手段は、約0.25〜200μm、約0.5〜200μm、約1〜200μm、約10〜200μmまたは約25〜200μmの粒径を有する微粒子を含んでいる。微粒子は層中にファイバ全体にわたって分散されている。微粒子は、0,1〜50体積%、約0.5〜50体積%、約1〜50体積%、約5〜50体積%または約10〜50体積%の量で存在する。ファイバは、約0.001〜約2μm、0.001〜約1μm、0.001〜約0.5μm、または、0.001〜約5μmの直径を持ち、層は、約0.1〜65%、約0.5〜50%、約1〜50%、約1〜30%、および約1〜20%のファインファイバーの固体性(固形物比率:solidity)を有する。微粒子は、約1〜1000g・m-2層、約5〜200g・m-2層または約10〜100g・m-2の量で層中で利用可能である。
【0028】
また、本発明は、ポリマー物質からファインファイバー形態が得られる構造を有する膜あるいは膜様層に関する。膜は、多孔質膜を形成するためにファインファイバーと微粒子を熱処理することにより形成される。膜は、実質的に連続した膜、あるいは膜の表面に接着した、膜の中に埋め込まれた、または膜のポリマーの固まりによって完全に囲まれた、微粒子を有する膜状の層である。本発明の膜では、微粒子は、200μm未満の主要寸法を持ち得る、通常は、約0.05〜100μmあるいは約0.1〜70μmの寸法を持っている。膜の厚さは、通常は、約0.5〜約5μmの範囲であり、約0.1〜約5μm、しばしば、約1〜2μの範囲の細孔径を持っている。好ましい膜は、約20μm未満の厚みを持ち、約0.5〜3μmの細孔径を持っている。微粒子は、約0.1〜50体積%の量で膜構造物に存在している。最後に、膜中で、微粒子は、約10kg・m-2までの量で、通常は、約0.1〜1000g・m-2、約0.5〜200g・m-2または約1〜100g・m-2の量で膜層中で利用可能である。
【0029】
微粒子は、さまざまな規則的な幾何学的形状あるいは不定形な構造を取り得る。そのような形状は、無定形あるいはランダム形状、塊、球、ディスク、楕円形、拡張楕円形、十字形形状、ロッド、中空ロッド、シリンダ、バー、複数の微粒子形成物が空間に延びている十字形形状、中空球、非規則形状、立方体、さまざまな表面、角、および内部体積の固体プリズムを含み得る。本発明の非球体の微粒子のアスペクト比(粒子の最少寸法対最大寸法比)は、約1:2〜約1:10の範囲であり、好ましくは、約1:2〜約1:8である。
【0030】
本発明の微粒子は、有機物質と無機物質の両方および混合して作ることができる。移動性の流体流れあるいは混入した微粒子相と相互作用しない微粒子は、有機あるいは無機物質を含む。有機微粒子は、ポリスチレンあるいは膨張したまたは膨張していないスチレンコポリマー、ナイロンあるいはナイロンコポリマー、ポリエチレンを含むポリオレフィンポリマー、ポリプロピレン、エチレン、オレフィンコポリマー、プロピレンオレフィンコポリマー、アクリルポリマー、およびポリメタクリル酸メチル、およびポリアクリロニトリルを含むコポリマーからを作ることができる。さらに、微粒子はセルロース物質およびセルロース誘導体のビーズを含むことができる。そのようなビーズは、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースや、他のものなどのセルロース誘導体から製造することができる。さらに、微粒子は、ケイ藻土、ゼオライト、滑石、粘土、シリケイト、溶融シリカ、ガラスビーズ、セラミックビーズ、金属微粒子、酸化物などを含むことができる。本発明における使用のために意図された微粒子は、約0.01〜510μmの範囲の平均サイズによって特徴付けられる。サブミクロンの活性粒子を使用することができるが、本発明は、平均粒径で最大100μmの粒子に適用できる。とにかく、活性粒子の平均粒径は、粒子の平均粒径の約0.01〜0.0001のオーダである。したがって、活性粒子の比較的大きい平均粒径は、大きい微粒子平均粒径を必要とする。粒子は、活性炭などのカーボン粒子、イオン交換樹脂/ビーズ、ゼオライト粒子、ケイ藻土、活性アルミナなどのアルミナ粒子、例えば、スチレンモノマなどを含むポリマー粒子、および市販の超吸収粒子などの吸収粒子を含む。特に適切な吸収性/吸着性粒子は、低密度、多孔質粒子であり、細孔と表面空洞を含む空洞を有し、カーボンにおける細孔径が最小で約0.00035μmの直径を有し、カーボンーカーボンの距離が100μmまでであり小さい細孔で相互に連結している。これらの細孔径と空洞は、堆積のために、特に、約0.01〜10μmの範囲の平均粒径を有する微細粒子の単層の堆積のために、およびその後の固定された微細粒子への接近のために、有利な内部表面を提供する。これらの粒子の1cm3は、バルクにおいて約75〜1500cm2の利用可能な表面を提供する。カーボン微粒子は、分割された活性炭を充填する形態で使用することができる。そのような活性炭は、カーボン表面に吸着したまたはカーボン表面と混合するすることができる他の反応吸着剤または吸着種と合体することができる。活性炭の他の形態は、カーボンナノチューブ、ナノ粒子、ナノワイヤ、ナノカーボンロープあるいは、個々のエレメントがカーボンナノチューブを含む大きな格子または構造物を含んで使用することができる。バッキーボールなどのそのようなナノ粒子、小さいナノチューブ(または、そのナノチューブの部分)、ナノロープなどは、ナノ構造のカーボン原子の格子に組み込むあるいはナノチューブの内部容積中に組み込むことができる。追加の原子、分子または成分は、ナノ粒子物質に構造あるいは機能を追加することができる。
【0031】
本発明において、小分子、オリゴマーおよびポリマー物質を使用することができる。小分子は、通常は、約500未満の分子量を有し、通常は、1つの識別可能な分子単位で作られており、通常は、その単位は分子構造中で繰り返えされない。オリゴマー構造は、通常は、いくらか大きい分子量を有し、構造中に通常は2〜10個の繰り返し分子単位を有する。ポリマー単位は、通常は、実質的に大きな分子量を有し、通常は、ポリマー構造において実質的に10以上の繰り返し単位を持っている。オリゴマーとポリマー構造の間の差別化はいつも明快に分離されるわけではない。しかしながら、構造中の繰り返し単位数が増加するのに従って、その物質は、よりポリマー的性質となる傾向がある。
【0032】
微粒子は、単分散あるいは多分散である得る。単分散微粒子では、粒子の大部分は直径あるいは主要寸法が類似している。例えば、単分散微粒子の1つの例は、約0.8±0.5μmあるいは約1±0.25μm以内の微粒子を80%〜90%を持っている。多分散物質では、微粒子は、異なる直径を持つ粒子をかなりの部分で持っている。多分散物質は、2つの単分散物質の混合物あるいは広範囲、(例えば)0.1〜10μmあるいは0.01〜100μmにわたって存在する微粒子物質のかなりの量を有する物質であり得る。
【0033】
球あるいは他の形状は、固体および中空形状を含むさまざまな異なる物理的形態であり得る。微粒子は、実質的に球体、または、わずかに楕円形形状の球状構造体を持ち得る。球は、固体であり得る、またはかなり内部に空隙容積を持ち得る。球の殻厚さは約0.05〜約500μmであり得るが、球は約0.5〜約5000μmの範囲であり得る。使用することができる他の円形構造は、簡単なトロイド構造、らせん(スピラルまたはヘリカル)構造、または連動しているリンク型鎖状構造を含んでいる。
【0034】
また、本発明の微粒子は、予め決められた長さと直径を持つ反応性の吸収剤あるいは吸着剤のファイバ状構造を含むことができる。そのようなファイバのアスペクト比は、通常は、約1〜約10:1であり、その構造のファインファイバーより通常は大きいファイバー径を持っている。微粒子ファイバ直径のファインファイバー直径に対する比率は通常は0.5〜約5000:1である。円筒形、中空の円筒形、十字構造、三次元的な十字構造、Iビーム構造、および他のものを含む他のさまざまな規則形状を使用できる。また、微粒子は、微粒子が比較的明確に定められた大きなおよび小さな寸法を有し、性質が実質的に不規則である外表面を有するように形状は不規則であり得る。多くの無定形の有機微粒子および無機微粒子は、不規則形状を持ち得るが、微粒子物質の間隔をあける特性を提供する寸法を持ち得る。球の物理的形態と化学的性質に依存して、球の寸法は、超吸水性、溶媒膨潤、熱膨張、気孔率変化などの二次工程によって巧みに処理され得る。エクスパンセル(登録商標)から利用可能な微小粒は、微小粒の体積を大きく広げるために熱処理され得る。本発明に基づいて、ファインファイバーと微小粒の複合体媒体を製造することができる、そして、後の2次処理(熱に限定されない)で、複合体媒体の構造は制御された方法で調整され得る、例えば、エクスパンセル(登録商標)の場合、適用された熱と温度のレベルに依存して、微小粒の膨張の度合いを制御することができる。例えば、微小粒を膨張させることによって、構造の厚さと高さ(loftiness)を増加し、それにより、ろ過特性を所望の方法で変更することができる。微小粒の物理的性質におけるそのような変化は、微小粒の膨張の場合に微粒子が伸びるときのファインファイバーの弾性によって適用されることが理解されるべきである。微小粒の変化の可逆性に依存して、高い構造を形成し、次に、その構造をたたむ/収縮させて、緻密/コンパクトなろ過構造を形成することができる。
【0035】
また、ウェブは、ろ過用途において、媒体中でファイバと合体した微粒子の形態で、反応性、吸収性あるいは吸着性のスペーサあるいは分離手段の存在によって変更されたファインファイバーの連続ウェブを有する表面媒体あるいはデプス媒体として使用することができ、該ウェブは、性能指数(Figure of merit)、ろ過効率、ろ過透過性、深さ充填、最小の圧力損失の増加によって特徴付けられる延びた有用な寿命を提供する。反応性、吸収性あるいは吸着性のスペーサあるいは分離手段は、ファイバーウェブをファイバーの固まりあるいはウェブ部分がウェブ中でのファイバー数あるいはポリマーの量を増加させずに、固体性を低減し、構造内でファイバあるいはウェブ部分を分離し、ファイバー層の深さを増加させるような構造を実現する。ファイバーウェブの反応性、吸着性、または、吸収性の部分は、ファイバー層を通過する移動性の流体の反応化学種と反応し得る、または、移動性のそのような化学的成分は、ファイバー層の吸収性あるいは吸着性部分によって吸収あるいは吸着され得る。活性微粒子は、微粒子の活性あるいは活動が維持される限り、不活性微粒子と共に使用することができる。得られる構造は、増加した圧力損失に対する抵抗、改善されたFOM(性能指数)、改善された透過性、改善された効率、およびファイバー層を通過する移動性の流体流れから微粒子の非反応性充填物および反応性のガス状あるいは微粒子充填物の両方を取り除く能力との組み合わせで改善されたろ過特性を得る。本発明のファインファイバーは、上記説明したような構造のファイバの形態であり得る。ファインファイバーは、反応性ファイバから紡糸されたものであり得る。そのような反応ファイバは、アミン、スルホン酸、カルボキシル酸、または、他の側鎖の官能基などの反応性の側鎖を持っているポリマー類から作ることができる。そのような側鎖はポリマー自体から誘導することができる。例えば、ポリアミンは、高官能性ポリアミンを用いて、置換基のポリマー側鎖の上に酸とアミンと平均の機能性を残して形成することができる。同様に、活性あるいは反応性の酸基を有するポリスルホンあるいはポリアクリル酸物質を形成することができる。同様に、本発明に吸収性、または、反応性の特性を追加することができる、樹脂微粒子中に、酸性、強い酸性、塩基性、強い塩基性の官能基を持つイオン交換樹脂物質を作ることができる。そのような物質は、溶解または懸濁して、および本発明の慣用ファイバとともに紡糸することができるし、また、別々に紡糸して本発明の微粒子を含有するウェブにすることができる。
【0036】
ウェブは、ファイバ中に活性微粒子あるいは活性分離手段を分散するような方法で作ることができる。好ましい活性微粒子あるいはスペーサ手段は、反応性、吸収性あるいは吸着性微粒子を含む。そのような微粒子は、ポリマー溶液含有中で分散することができる。微粒子は、形成の間に、ウェブに追加することができる、または形成後に追加することができる。そのようなウェブは、紡糸された場合、活性分離またはスペーサ手段、あるいはファイバーウェブの表面でファイバーウェブ中に分散された微粒子と相互連結されたナノファイバーあるいはファインファイバーの固まりによって特徴付けられる。ファイバーウェブ中で、スペーサ微粒子は、固体性を減少させて移動性の流体流れを増加させるような、相互連結されたファイバー状構造内の空隙空間を生み出す。また、本発明は、ファイバー層にスペーサ微粒子の同時添加あるいは紡糸後の後添加でファインファイバーの固まりを形成することによって形成されたウェブを含む。そのような実施例では、微粒子は、ファイバー状物質の固まりの全体にわたって点在する。最後に、本発明は、完全に仕上げられたウェブ中に紡糸された層を形成し、次に、ウェブを実用品に組み込む前にウェブの表面に活性微粒子を加える工程を含む。ラミネーション、カレンダリング、圧縮または他の工程を含むその後の工程は、ファイバーウェブ中におよびファイバーウェブ全体を通して微粒子を組み込むことができる。ウェブが形成されるときまたはウェブの形成後に、ウェブに微粒子の同時追加の1つの利点は、微粒子が溶媒に可溶性の微粒子であるときに得られる。溶液に可溶性の微粒子を溶解すると、ウェブ中に分離相として微粒子を維持せずに、ファイバ中に物質の組み込みをもたらされる。形成後に微粒子をウェブに追加すると、溶媒に可溶性の物質をその微粒子形態で保持する。
【0037】
また、ウェブの物質は傾斜構造を持つことができる。この開示では、用語「傾斜」は、ウェブのある成分(密度、固体性、ファイバサイズなど)がウェブ表面からウェブの反対表面に変わることを示す。傾斜は、活性および不活性微粒子の割合または微粒子中の他の変化量を変えて、活性微粒子の量を変化させることで特徴付けすることができる。また、傾斜は、ファイバの数あるいは重さの変化で特徴付けすることができる。傾斜は、ウェブが形成されるとき、ウェブ内に連続的に多くまたは少なくファイバーをまたは多くまたは少なく微粒子を形成することによって形成される。さらに、スペーサ手段あるいは微粒子の濃度は、傾斜態様を持つことができ、そこでは、体積あたりの微粒子物質のサイズ、重さまたは数が、実質的に、ウェブの1つの表面から他の表面までかなり増加するかまたは減少する。本発明の媒体は、一つのファインファイバーウェブの形態あるいはフィルタ構造中で一連のファインファイバーウェブの形態で使用することができる。
【0038】
用語「ファインファイバー」は、0.001〜0.5μm未満、または0.001〜2μm未満のファイバサイズまたは直径、例えば、0.001〜0.5μm直径を有するファイバを示す。ファインファイバーの製造にさまざまな方法を利用することができる。チャン他、米国特許第6,743,273号、カールバウフ他、米国特許第5,423,892号、マクリード、米国特許第3,878,014号、バリス、米国特許第4,650,506号、プレンチス、米国特許第3,676,242号、ローカムプ他、米国特許第3,841,953号、およびブチン他、米国特許第3,849,241号は、さまざまなファインファイバー技術を開示するが、それらのすべては引用により本明細書に合体される。本発明のファインファイバーは、通常は、基板上に向かって電界紡糸される。基板は浸透性あるいは不浸透性の物質であり得る。ろ過用途では、基板として不織布フィルタ媒体を使用することができる。他の応用では、ファイバは不浸透性層上に向かって紡糸し、下流の処理のために不浸透性層を除去することができる。そのような応用では、ファイバは金属ドラムあるいはホイル上に向かって電界紡糸され得る。基板は発泡PTFEポリマー層あるいはテフロン(登録商標)層を含み得る。そのような層は、ろ過と活性微粒子からの活性の両方を提供することができるさまざまな応用で有用である。
【0039】
この特許出願の目的のために、用語「吸着性」は、微粒子が流体の流れから微粒子の表面に物質を吸着して収容するために活性であることを示す。用語「吸収性」は、微粒子が、流体流れから微粒子内の内部、空隙空間または空間中に物質を収容する能力があることを示す。用語「化学的反応性」は、微粒子が流体流れ中に混入した微粒子の化学的特性と当該微粒子の特性の両方と反応して化学的に変える能力があることを指す。本明細書では、用語「流体の流れ」は、微粒子を含むことができるガス流れあるいは液体流れを示す。微粒子は、流体の流れから濾過することができる、または、微粒子は、本発明の微粒子物質に吸着される、吸収されるまたは該微粒子物質と反応することができる。用語「活性微粒子」は、本開示でに使用される場合、吸収性、吸着性、または、反応性の微粒子をいう。用語「不活性微粒子」は、実質的に吸収性、吸着性、または、反応性の能力を持っていない微粒子をいう。そのような粒子は、分離手段としてまたは空間を占めるために使用することができる。
【0040】
本発明の目的のために、「媒体」という用語はファイバの中で分散された発明の実質的に連続したファインファイバーの固まりを含むウェブを含む構造と分離またはスペーサ材料を含んでいる。本開示では、用語「媒体」は、本明細書に開示された活性あるいは不活性な種類の基板と組み合わせたファインファイバーと分散された微粒子を含む本発明のウェブを示す。用語「エレメント」は、本発明の「媒体」を(例えば)シリンダあるいは平板パネル構造形態のカートリッジコンポーネントを含む別のコンポーネントとの組合せを示している。本開示では、用語「ウェブ」は、実質的に連続したあるいは切れ目のないファインファイバー相とスペーサの微粒子相とを含んでいる。連続ウェブは、移動相中の微粒子状汚染物質充填物の通路に障壁を設けるために必要である。本発明のフィルタ媒体を作るために、一つのウェブ、2つのウェブまたは複数のウェブを結合することができる。
【0041】
「性能指数:FOM(Fifure of Merit)」は、費用効果比率として考えられ、効率が効果であり、規格化された圧力損失(ΔP)が費用(ΔP/媒体速度)である。「費用」は異なる速度で行ったテストから性能指数(FOM)を比較できるように規格化さる。性能指数(FOM)は、単に、媒体を比較するための指数である。性能指数(FOM)値が大きいのは小さいものより良い。性能指数(FOM)の計算式を以下に示す。
【0042】
性能指数(FOM)=Ln(浸透力)/(ΔP/媒体表面速度)
上記示された式において、ΔPは媒体を横切る圧力損失であり、式で使用される単位は、cmHgであり、媒体表面速度は、cm/秒の単位であり、Ln(浸透力)は、浸透力の自然対数である。そして、浸透力は以下で定められる。
【0043】
浸透力=1−効率
性能指数(FOM)報告される測定の標準単位は以下で与えられる。
【0044】
1/(cmHg)/(cm/秒)あるいは、(cm/秒)/cmHg
多くの応用において、特に、比較的高い流速を伴う応用では、時々「デプス(深さ)」媒体と一般に呼ばれる代替の種類のフィルタ媒体が使用される。通常のデプス媒体は、繊維状物質の比較的厚いもつれを含んでいる。デプス媒体は、一般に、気孔率、密度またはパーセント固体含有量で定められる。例えば、約2〜3%の固体性媒体は、全体積の約2〜3%が繊維状状物質(固体)であり、残りが空気またはガス空間であるように配置された繊維のデプス媒体マットである。
【0045】
本発明のフィルタ中の基板上に形成されたファインファイバー層は、微粒子分布、ろ過性能およびファイバー分布が実質的に均一である。「実質的に均一」によって、ファイバが基板を十分に被覆し、被覆された基板全体にわたって少なくとも何らかの測定可能なろ過効率を有することを意味する。本発明の媒体は、フィルタ構造中で複数のウェブとの積層体中で使用することができる。本発明の媒体は、少なくとも1個のウェブをファインファイバー構造中に含んでいる。ファインファイバーと活性微粒子とが形成される基板は、活性基板あるいは不活性基板であり得る。そのような基板は、基板層中に活性材料を、吸着性/吸収性、または、反応性の特性を全体構造に加えることができるようなコーティング、微粒子、またはファイバの形態で組み込むことができる。
【0046】
ファイバーウェブの全厚は、ファイバー直径の約1〜100倍、すなわち、約1〜300μmまたは約5〜200μmである。ウェブは、約5〜95重量%のファイバーと約95〜5重量%の活性微粒子、または、30〜75重量%のファイバーと約70〜25重量%の活性微粒子を有し、層の約0.1〜50体積%または層の約1〜50体積%または2〜50体積%を占める。媒体の総合的な固体性(固形物比率:solidity)(活性または不活性微粒子の貢献を含む)は、約0.1〜約50%、好ましくは、約1〜約30%である。構造中の微粒子の貢献の含まないウェブの固体性は、約10〜約80%である。本発明のフィルタ媒体は、本明細書に記載されたように、ASTM-1215-89に基づいて、0.78μm単分散ポリスチレン球状微粒子を用いて13.21fpm(4m/分)で測定されたときに、約20〜約99.9999%のろ過効率に達することができる。HEPAタイプの応用において使用される場合、ろ過性能は、10.5fpmと0.3μmのNaClあるいはDOP(フタル酸ジオクチル)の粒子サイズで約99.97%の効率である。このタイプの効率試験(10.5fpmテスト速度および0.3μmのDOPで)に関して効率値は、20〜99.9999%の範囲の効率をもたらす。
【0047】
性能指数(FOM)は10〜105であり得る。本発明のろ過ウェブは、通常は、透過率を示すフラジール透水性試験で少なくとも約1m・分-1、好ましくは約5m・分-1〜約50m・分-1を示す。不活発な微粒子あるいは分離手段として使用される場合、本発明のウェブの微粒子相を特徴付ける微粒子は、移動相および混入した汚染物質充填物に不活性である微粒子かまたは移動性流体あるいは混入した汚染物質充填物に対してある定められた活性を有する微粒子である。
【0048】
本発明の微粒子物質は、媒体のろ過特性と本発明の構造の活性な反応性、吸収性または吸着性の特性の両方を改善することができる寸法を有する。前記微粒子物質は、さまざまな有用な物質から作ることができる。前記微粒子物質は、ウェブを通過する移動相と混入した微粒子充填物に対して実質的に不活性であるか、または、前記微粒子物質は、流体あるいは混入した微粒子充填物と相互作用することができる。「不活性な」形態において、スペーサ微粒子は、単に、ファイバー層と一つまたはそれ以上のファイバー層の物理的パラメータを変更する。流体あるいは混入した微粒子充填物と相互作用する微粒子を使用する場合、微粒子は、媒体あるいは層の物理的性質を変更することに加えて、ウェブを通過する物質を変更する目的のために、移動流体あるいは混入した微粒子充填物のいずれかの一部と反応するか、該一部を吸収または吸着することができる。本明細書に開示された技術の主要な目的は、媒体または層の物理構造と、吸収性、反応性または吸着性特性を改善することである。その目的のために、活性または不活性な微粒子を使用することができる。ある応用では、実質的に不活性な微粒子は、移動相あるいは混入した微粒子充填物と相互作用する微粒子と組み合わせてを使用できる。そのような応用では、不活性微粒子と相互作用する微粒子の組合せを使用することができる。活性微粒子と不活性微粒子のそのような組合せは、改善されたフィルタ特性と吸収または吸着特性の両方を提供することができる。
【0049】
好ましいファイバー分離、活性、吸着性、または、吸収性手段は、微粒子を含む。本発明の特有な形のフィルタ構造中で使用される微粒子は、ろ過層あるいはマット中の空間を占有し、ファイバの有効密度を減少させ、フィルタを通過する流体のねじれた経路を増加させ、および、流体または流体中に溶解したまたは分散した物質を吸収、吸着するまたは該流体または該物質と反応する。あるいはまた、該微粒子は、移動性流体と化学的に反応する、または移動性流体中のガスまたは液体または固体成分を吸着または吸収しながら機械的な空間保持する効果を提供することができる。本発明の活性層は、本発明のナノファイバー層と、ナノファイバー層内に分散された反応性、吸収性、または吸着性微粒子を含むことができる。本発明のナノファイバー層は、通常は、約0.5〜約300μm、1〜約250μm、または、約2〜約200μmの厚さで、本発明の活性微粒子と不活性(もしあれば)の両方の形態で層の約0.1〜約50体積%、10〜約50体積%の層を含んでいる。この場合、本発明の活性微粒子は、いくらかの量の不活性なスペーサ微粒子と結合することができる。本発明の活性微粒子は、流体流れ中の汚染物質と反応する、または、吸着また吸収するように作用し、一方、不活性微粒子は単に固体性を低減し、効率および他のろ過特性を向上するために層内の容積を排除する。
【0050】
気流からのガス相の汚染物質を除去するための圧力損失の低い活性微粒子、化学的反応性、吸収性または吸着性の基板は、開いた流路と吸収性/吸着性/反応性の壁とを有する吸着性/反応性基板を形成するためにスペーサ媒体と一緒に積層または巻かれた吸収性/吸着性/反応性媒体の平らなシートロールからの生成される。さらに、スペーサ媒体は、最終的な化学ユニットの総合的な寿命/性能に貢献するように、吸収性/吸着性/反応性を有するようにすることができる。開いた流路を生成するスペーサ媒体は、メッシュ、ポリマービーズの各ライン、接着剤ドット、金属リブ、波形のワイヤ/ポリマー/紙のメッシュ、波形の金属/紙/ポリマーシート、ポリマーの細片、接着剤の細片、金属の細片、セラミックの細片、紙の細片、または媒体表面中に配置された窪みから製造することができる。これらのスペーサ媒体は、スペーサ媒体を吸収性/吸着性/反応性物質でコーティングすることによって、または、吸収性/吸着性/反応性物質を押し出すことによって、または、吸収性/吸着性/反応性物質からスペーサ媒体を形成することによって吸収性/吸着性/反応性とすることができる。汚染された空気流れは、主にスペーサ媒体によって生成した流路に沿って向けて送られる。この空気は、吸着性/反応性の媒体壁および/またはスペーサ媒体と接触して、吸着あるいは反応する。流路の大きさおよび形状は、スペーサ媒体の形状およびサイズによって制御される。実施例は、正方形、長方形、三角形、およびポリマー/接着剤のドットパターンによって生み出される不鮮明な形状を含んでいる。壁とスペーサ媒体の化学的性質は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、およびアセトンを含む反応性のカルボニル化合物を含むいくつかの特別な化合物と同様に酸性、塩基性、有機および水蒸気を吸着する特性にすることができる。
【0051】
反応性物質は多くの形態あるいは機能から始めることができる。これらの形態は、基板に取り付けた反応性微粒子の層を含んでいる。反応性物質は、接着剤またはファイバと共にカプセルに入れて保持する、または単に保持することができ、適所に反応性物質を保持するために微粒子および/または追加のスクリム物質を取り付けて微粒子の落下を最小にすることができる。また、反応性物質をスクリムの層間で挟むことができる。スクリムは、流路または層間の間隔を作るのを助けることができる。このことは、媒体中に反応性微粒子を全て保持する能力とともに適切な間隔を与える高いロフトスクリム物質を用いて実現することができる。反応性または吸着性微粒子は、一緒に保持することができるし、またファイバに点在させることができる。微粒子とファイバ(ナノファイバーも)を組合せると、いくつかの利点を提供する物質が得られる、例えば、拡散の増加:より小さい微粒子の使用を可能にし、それによる外部表面積および反応速度の増加:反応層への浸潤性の増加:微粒子と化学ろ過とを組合せた1つの層:基板あるいはキャリヤー(すなわち、含浸された吸着剤)を必要としないろ過用途への反応剤の直接的な応用などの利点が得られる。
【0052】
反応種でコーティングされたまたは含浸された微粒子を使用する以外に、ファイバーウェブと構造を形成した後で、当業者はこれらを変形することは容易である。ファイバーウェブと構造を形成した後で、反応活性を微粒子とウェブに付与することは、多くの異なるコーティングプロセスを使用して実現することができる。例えば、スプレーコーティング、ディップ(浸漬)コーティング、エーロゾル堆積、化学蒸着、キス・コーティング、および真空コーティングを使用することができる。最終段階は、熱処理、ガス排気、または真空方法を含むまたは含まない乾燥工程を含む。
【0053】
特定の態様
本発明の第1の態様では、低い圧力損失の揮発性有機化学フィルタを生成するためにナイロンメッシュとともに巻いたKXインダストリー(商品名PLEXX)販売の活性炭などの活性微粒子の巻いた基板を使用する。平板シートまたは巻いた商品形態の同様な活性炭基板は他の供給者から利用可能であり、同じ方法で適用することができる。基板材料は、様々なフィルタエレメントを形成できる形状と柔軟性を維持できかつ微粒子の落下を最小にできる必要がある。本発明の別の態様では、ナノファイバーと、薄くて可撓性のある多孔質の基板(例えば、スクリム、紙、メッシュなど)のような基板上に堆積し、空気流れまたはチャンバ中に共分散される活性炭粉末などの活性微粒子を使用する。ナノファイバーは、吸着性の微粒子を薄膜層中に捕集または保持して、微粒子の落下を最小にする。この基板層とナノファイバー/吸着材層との完全な合体物は、次に、空気流れあるいは輸送のために規制されない流路を提供するスペーサ層と一緒に巻かれる。層は、それぞれが異なる化学種と反応する微粒子の混合物を含むことができる。例えば、活性炭は、酸性、塩基性、または反応性の有機汚染物質に特効のある含浸剤もまた含み得る。実施例は、アミンとアンモニアの除去のためのクエン酸、二酸化硫黄と他の酸性ガスの除去のための水酸化カリウム、およびカルボニル基含有化合物の除去のための2,4-ジニトロフェニルヒドラジンを含む。本発明の第3の態様では、薄くて可撓性のある多孔質の基板(例えば、スクリム、紙、メッシュなど)のような基板上に堆積し、空気流れまたはチャンバ中に共分散されるナノファイバーとクエン酸粉末または顆粒を使用する。
【0054】
さらに本発明の別の態様では、本発明のエレメント中に、触媒TiO2微粒子、ファイバ、または層の使用を含む。そのような触媒層は、紫外光が照射されるときに、移動相の捕集された物質と触媒との間の化学反応を引き起こし、該物質を除去する、あるいは、有毒あるいは有害な物質を良性の物質に変換することができる。紫外光(350nm未満)と可視光(約350〜700nm)をある割合で有する環境光は、しばしば、エレメント中のTiO2の触媒効果を得るための十分な放射線エネルギーの源となり得る。もし周辺環境が活性に対して不十分であるなら、エレメントは、別の紫外光源と共に使用することができる。蛍光紫外光源は既知であり、別の照射源として使用することができるし、または、蛍光紫外光源は、TiO2上に実質的な量の紫外光を提供するためにエレメントに組み込むことができる。
【0055】
ナノファイバーは、薄膜層に反応性微粒子を捕集するまたは保持することで、微粒子の落下を最小にする。この基板層とナノファイバー/吸着材層との全体の結合物は、次に、空気流れあるいは輸送のために規制しない流路を提供するスペーサ層と一緒に巻かれる。層中に分散された活性微粒子を含むファインファイバー層は、さまざまなポリマー種から作ることができる。ポリマー種は、ポリマー物質の巨大な配列を含んでいる。ポリマーは、1つのポリマー種または、ポリマー種の混合物、または2つまたはそれ以上のポリマー種のポリマーアロイであり得る。ポリマー類の結合を含む、公知のファインファイバー製造技術を使用して前記ファイバを作ることができる。必要なら、他のポリマーまたは添加物とともに、次に、ポリマーを所望のファインファイバーポリマーに形成するための成形技術を使用することができる。実施例1のポリマーと実施例2のポリマー間では48%〜52重量%ブレンド比をそれぞれ使用した。
【0056】
本発明の更なる態様では、ナノファイバーとイオン交換樹脂、あるいは、薄くて可撓性のある多孔性基板(例えば、スクリム、紙、メッシュなど)のような基板上に堆積され、空気流れ中またはチャンバに共分散される顆粒を使用する。ナノファイバーは、薄膜層に反応性微粒子を捕集するまたは保持することで微粒子の落下を最小にする。この基板層とナノファイバー/吸着材層との全体の結合物は、次に、空気流れあるいは輸送のために規制しない流路を提供するスペーサ層と一緒に巻かれる。
【0057】
本発明のファイバポリマー組成物として使用することができるポリマー物質は、付加ポリマーと凝縮ポリマー物質の両方を含んでおり、例えば、ポリオレフィン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、セルロースエーテルおよびエステル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、改質されたポリスルホンポリマーおよびそれらの混合物を含んでいる。これらの一般的な種類中に含まれる好ましい物質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(ビニルクロライド)、ポリメタクリル酸メチル(および他のアクリル樹脂)、ポリスチレン、およびそれらのコポリマー(ABA型ブロックコポリマーを含む)、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリ(塩化ビニリデン)、架橋したおよび架橋していない形態における様々な加水分解度(80%〜99.5%)のポリビニールアルコールを含む。好ましい付加ポリマーは、ガラス状である(室温より大きなTg)傾向がある。これらは、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンポリマー組成物あるいはアロイ、または、結晶化度が低いポリふっ化ビニリデンおよびポリビニールアルコール物質である。1種類のポリアミド縮合ポリマーはナイロン物質である。用語「ナイロン」は、すべての長鎖の合成ポリアミドの総称である。通常、ナイロン用語体系では、ナイロン−6,6のような一連の数を含んでおり、ナイロン−6,6は、出発物質がC6ジアンミンと6C6二酸(第1のケタはC6ジアンミンを示し、第2のケタはC6ジカルボン酸化合物を示す)であることを示している。ナイロンは、少量の水の存在下で、ε−カプロラクタムの重縮合によって作ることができる。この反応は、線状ポリアミドであるナイロン−6を形成する(環状ラクタム、また、ε−アミノカプロン酸として知られているものから作られる)。また、さらに、ナイロンコポリマーが想定される。コポリマーは、様々なジアミン化合物、様々な二酸化合物、および様々な環状ラクタム構造を反応混合物中で結合することによって、次に、ポリアミド構造中にランダムに配置されたモノマー材料とナイロンを形成することによって作ることができる。例えば、ナイロン6,6−6,10材料は、ヘキサメチレンジアンミンと二酸のC6およびC10の混合物から製造されたナイロンである。ナイロン6−6,6−6,10は、εアミノカプロン酸、ヘキサメチレンジアンミン、および二酸物質のC6およびC10の混合物の共重合によって製造されたナイロンである。
【0058】
また、ブロックコポリマーも本発明のプロセスで使用可能である。そのようなコポリマーとともに、溶媒膨潤剤の選択は重要である。選択された溶媒は、両方のブロックが溶媒中で溶解可能なものである。1つの例は、塩化メチレン溶媒中のABA(スチレン−EP−スチレン)またはAB(スチレン−EP)である。もし1つの成分が水に不溶の場合は、ゲルを形成し得る。そのようなブロックコポリマーの例は、クラトン(登録商標)タイプのスチレン−b−ブタジエン、スチレン−b−水添ブタジエン(エチレンプロピレン)、ペバックス(登録商標)タイプのE−カプロラクタム−b−酸化エチレン、シンパテックス(登録商標)ポリエステル−b−酸化エチレンおよびエチレンオキシドとイソシアネートのポリウレタンである。
【0059】
ポリふっ化ビニリデン、シンジオタクチックポリスチレン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、ポリビニールアルコール、ポリ酢酸ビニルのような付加ポリマー、ポリ(アクリロニトリル)およびそのアクリル酸とメタクリレートとのコポリマーなどの無定形付加ポリマー、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニール)およびその種々のコポリマー、ポリ(メチル・メタクリレート)およびその様々なコポリマーは、低圧力および低温で溶解性であるので、比較的容易に溶液紡糸することができる。しかしながら、ポリエチレンとポリプロピレンのような高結晶性ポリマーは、溶液紡糸する場合、高温高圧力の溶媒を必要とする。したがって、ポリエチレンとポリプロピレンの溶液紡糸は非常に難しい。電界溶液紡糸はナノファイバとミクロファイバを作る1つの方法である。
【0060】
本発明のこの層中で使用する熱可塑性ポリウレタン(TPU)は、使用するイソシアネートに依存する脂肪族または芳香族ポリウレタンであり、ポリエーテルポリウレタンあるいはポリエステルポリウレタンであり得る。良い物理的性質を有するポリエーテルウレタンは、ヒドロキシル基末端ポリエーテルまたはポリエステル中間体と、脂肪族または芳香族(MDI)ジイソシアネートを有する鎖延長剤との溶融重合によって調製することができる。ヒドロキシル基末端ポリエーテルは、2〜10の炭素原子を含むアルキレンオキシド反復単位を有し、少なくとも1000の平均分子量を有する。鎖延長剤は、実質的に、2〜20の炭素原子を有する分枝していないグリコールである。鎖延長剤の量は、ヒドロキシル基末端ポリエーテル1モル当たり0.5から2モル未満である。ポリエーテルポリウレタンは、熱硬化性樹脂であり、約140℃から250℃またはそれより大きい(例えば、150℃〜250℃)180℃またはそれより大きい融点を有することが好ましい。
【0061】
第1モードでは、本発明のポリウレタンポリマーは、単にジ−、トリ−または多官能性−の芳香族または脂肪族のイソシアネート化合物を、ポリエステルポリオールまたはポリエーテル・ポリオールのどちらかを含むポリオール化合物と結合することによって簡単に作ることができる。ポリオール中の活性水素原子とイソシアネート基との間の反応は、まっすぐに前進するやり方で付加ポリウレタンポリマー物質を形成する。OH:NCO比は、通常は、約1:1であり、最終ポリマー中に未反応イソシアネートがほとんど無いまたは全く残っていない。未反応イソシアネート化合物において、イソシアネート反応化合物を使用して活性を除去することができる。第2モードでは、ポリウレタンポリマーをイソシアネート末端プレポリマー物質から徐々に合成することができる。ポリウレタンは、イソシアネート基末端ポリエーテルあるいはポリエステルから作ることができる。イソシアネート・キャップド・ポリオール・プレポリマーは、芳香族あるいは脂肪族ジヒドロキシ化合物を用いてチェインを拡張することができる。用語「イソシアネート基末端ポリエーテルまたはポリウレタン」は、一般に、ジイソシアネート化合物(すなわち、少なくとも2つのイソシアネート(−NCO)基を含む化合物)と反応したポリオールを含むプレポリマーについて言う。好ましい形態では、プレポリマーは、2.0またはそれ以上の官能性と、約250〜10,000あるいは600〜5000の平均分子量とを有し、実質的に未反応のモノマーのイソシアネート化合物を含まないように調製されている。用語「未反応のイソシアネート化合物」は、フリーなモノマーの脂肪族あるいは芳香族イソシアネート含有化合物、すなわち、出発物質としてプレポリマーの調製に関連して使用され、プレポリマー組成物中で未反応のままで残っているジイソシアネート化合物について言う。
【0062】
用語「ポリオール」は、本明細書で使用されるとき、一般に、二個以上のヒドロキシ(−OH)基を有する高分子化合物をいい、好ましくは、各端部がヒドロキシ基で終結している脂肪族高分子(ポリエーテルまたはポリエステル)化合物をいう。チェーンを延ばす試薬は、二官能、および/または、三官能性化合物であり、62〜500の分子量、好ましくは2〜14の炭素原子を有する脂肪族ジオール、例えば、エタンジオール、1,6ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、および、特に、1,4ブタンジオールを有する。しかしながら、例えば、テレフタル酸ビスーエチレングリコールあるいは1,4−ブチレングリコールなどの2〜4まで炭素原子を有するグリコールとテレフタル酸のジエステル、例えば、1,4−ジ(βヒドロキシエチル)ヒドロキノンなどのヒドロキノンのヒドロキシアルキレンエーテル、例えば、イソフォロンジアンミン、エチレンジアミン、1,2−および1,3プロピレン・ジアミン、N−メチル−1,3プロピレン−ジアミン、N,N'ジメチル−エチレンジ−アミンなどの(シクロ)脂肪族ジアミン、および、例えば、2,4−および2,6−トルエン−ジアンミン、3、5−ジエチル−2,4−、および/または、−2,6−トルエン−ジアンミンなどの芳香族ジアミン、および、第1オルト−、ジ−、トリ−、および/または、テトラ−アルキル−置換された4,4'−ジアミノジフェニルメタンもまた適切である。また、上記説明されたチェーンを延す試薬の混合物を使用することもまた可能である。好ましいポリオールは、ポリエーテル、ポリカーボネートまたはそれらの混合物である。さまざまなポリオール化合物は、プレポリマーの調製で使用するために利用可能である。好適な実施例において、ポリオールは、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオールおよびそれらの混合物またはそれらのコポリマーを含む高分子ジオールを含み得る。好ましい高分子ジオールはポリエーテルジオールであり、ポリアルキレンエーテルジオールがより好ましい。例示のポリアルキレンポリエーテルジオールは、例えば、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PEMEG)および、ポリヘキサメチレンエーテルグリコールおよびそれらの混合物あるいはコポリマーを含んでいる。これらのポリアルキレンエーテルジオール中で好ましいものは、PEMEGである。ポリエステルジオール中で好ましいものは、例えば、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリエチレンアジペートグリコール、それらの混合物あるいはコポリマーである。他のポリエーテル・ポリオールは、その中に結合された2つの活性水素原子を含むスターター分子と、アルキレンラジカル中に2〜4の炭素原子を有する1つまたはそれ以上のアルキレンオキシドとが反応することによって調製することができる。アルキレンオキシドの例として酸化エチレン、1,2酸化プロピレン、エピクロルヒドリン、1,2および2,3酸化ブチレンが挙げられる。酸化エチレン、酸化プロピレン、1,2−酸化プロピレンと酸化エチレンの混合物の使用が好ましい。アルキレンオキシドは、個々に、または連続して、または混合物の形態で使用され得る。スターター(開始剤)分子として、例えば、水、N−メチル−ジエタノールアミンなどのN−アルキルジエタノールアミンなどのアミノアルコール、エチレングリコール、1,3−プロピレン・グリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオールを含む。また、スターター分子の混合物を使用することも可能である。また、適切なポリエーテル・ポリオールは、テトラヒドロフランのヒドロキシル基含有重合生成物である。適切なポリエステルポリオールは、例えば、2〜12の炭素原子、好ましくは4〜6つの炭素原子を有するジカルボキシル酸と多価アルコールとから調製され得る。適切なジカルボキシル酸は、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を含んでいる。ジカルボキシル酸は、個別または、例えば、琥珀酸とアジピン酸の混合物の形態などの混合物の形態で使用され得る。ポリエステルポリオールの調製のために、ジカルボキシル酸の代わりに対応するジカルボキシル酸塩誘導体、例えば、アルコールラジカル中に1〜4の炭素原子を有するカルボン酸ジエステル、カルボン酸無水物、または塩化カルボン酸などのを使用することは、有利であり得る。多価アルコールの実施例は、2〜10、好ましくは2〜6の炭素原子を有するグリコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1、6−キサンジオール、1,10−デカネジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールおよびジプロピレングリコールであり得る。所望の特性の基づいて、多価アルコールは、単独またはオープションに互いに混合物で使用され得る。また、適切なものは、上記説明されたジオールを有する炭酸エステルであり、特に、例えば、1,4−ブチレングリコール、および/または、1、6−ヘキサンジオールなどの4〜6の炭素原子を有するもの、オメガ−ヒドロキシカルボン酸の縮合生成物、例えば、オメガ−ヒドロキシカルボン酸、および、好ましくは、例えば、オープションに置換されε−カプロラクトンなどのラクトンの重合生成物である。ポリエステル・ポリオール・エタンジオール・ポリアジペート、1,4−ブタンジオール・ポリアジペート、エタンジオール−1,4−ブタンジオール・ポリアジペート、1,6−ヘキサンジオール・ネオペンチル・グリコール・ポリアジペート、1,6−ヘキサンジオール−1,4−ブタンジオール・ポリアジペートおよびポリカプロラクトンとして好ましく使用されるものがある。ポリエステルポリオールは、600〜5000の分子量を有する。
【0063】
ポリマーあるいはプレポリマーから誘導され得るポリオールの数平均分子量は、約800〜約3500の範囲であり、その中にすべての結合とサブ結合があり得る。より好ましくは、ポリオールの数平均分子量は、約1500〜約2500の範囲であり得るが、約2000の数平均分子量を有するものがさらに好ましい。
【0064】
プレポリマー中のポリオールは、イソシアネート化合物でキャップされたかまたは熱可塑性ポリウレタン(TPU)と完全に反応している。広くさまざまなジイソシアネート化合物は、本発明のプレポリマーの調製において使用可能である。概して、ジイソシアネート化合物は、芳香族あるいは脂肪族であり得るが、芳香族ジイソシアネート化合物が好ましい。適切な有機ジイソシアネートは、例えば、Justus Liebigs Annalen der Chemie,562, page 75 to 136で説明されているような、例えば、脂肪族、環状脂肪族、芳香脂肪族、複素環および芳香族ジイソシアネートを含む。適切な芳香族ジイソシアネート化合物の例は、ジフェニルメタン・ジイソシアネート、キシレン・ジイソシアネート、トルエン・ジイソシアネート、フェニレン・ジイソシアネート、ナフタリン・ジイソシアネート、およびそれの混合物を含んでいる。適切な脂肪族ジイソシアネート化合物の例は、ジシクロヘキシルメタン・ジイソシアネート、ヘキサメチレン・ジイソシアネート、およびそれの混合物を含んでいる。ジイソシアネート化合物中で好ましいのは、MDIであり、その理由は、MDIが鎖延長剤(以下でより詳しく説明される)との一般的に好ましい反応性とともに、少なくとも一部が一般的に商業的に入手可能であり安全性が高いためである。本開示を知った当業者にとって、上記例示されたものに他のジイソシアネート化合物を加えることは容易である。以下のものを特定の例として言うことができる:ヘキサメチレン・ジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、イソフォロン・ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,4、および−2,6−シクロヘキサン・ジイソシアネート、および対応する異性体混合物などの環状脂肪族ジイソシアネート、4,4’−、2,4’−および2,2'−ジフェニルメタン・ジイソシアネート、2,4'−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび対応する異性体の混合物、および好ましくは、2,4トルイレンジイソシアネート、2,4−および2,6−トルイレンジイソシアネート2の混合物、4,4’−、2,4’−および2,2'−ジフェニルメタン・ジイソシアネート、2,4’−、4,4’−ジフェニルメタン・ジイソシアネート、ウレタン改質された液体4,4’−および/または2,4’−ジフェニルメタン・ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネート・ジフェニールエタン−(1,2)および1,5−ナフチレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート。好ましいものは、1,6−ヘキサメチレン・ジイソシアネート、イソフォロン・ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン・ジイソシアネート、96重量%より大きい量の4,4'−ジフェニルメタン・ジイソシアネートを有するジフェニルメタン・ジイソシアネート異性体混合物、および、特に、4,4’−ジフェニルメタン・ジイソシアネートおよび1,5−ナフチレン・ジイソシアネートなどの使用に対して与えられる。
【0065】
熱可塑性ポリウレタン(TPU)調製のために、鎖延長成分は、オープションに、触媒、助剤、および/または、付加物の存在下で、全NCO−反応基、特に、低分子量ジオール/トリオールおよびポリオールのOH基の合計に対するNCO基の等価比が、0.9:1.0〜1.2:1.0、好ましくは、0.95:1.0〜1.1:1.0である量で反応する。適切な触媒、特に、ジイソシアネートのNCO基とジオール成分の水酸基との反応を加速するものは、例えば、従来技術において知られている慣用の第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N、N’−ジメチル・ピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)−エタノール、ジアザビシクロ−(2,2,2)オクタンおよび同様物、および、特に有機金属化合物、例えば、チタン酸エステル、鉄化合物、スズ化合物、例えば、スズ二酢酸、スズジオクテート、スズジロウレートまたはジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレートまたは同様物などの脂肪族カルボン酸のスズジアルキル塩である。触媒は、通常は、ポリヒドロキシ化合物の100部あたり0.0005〜0.1部の量で使用される。また、触媒に加えて、助剤、および/または、付加物を鎖延長成分中に取り入れることができる。例示された例は、潤滑剤、反ブロッキング剤、禁止剤、加水分解、光、熱、および変色に対する安定剤、不燃剤、着色、顔料、無機および/または有機フィラー、および補強剤である。補強剤は、特に、例えば、無機ファイバなどのファイバ状補強材であり、先行技術に従って調製され、あるサイズで提供される。
【0066】
更にポリウレタン(PU)に合体される追加成分は、熱可塑性プラスチックであり、例えば、ポリカーボネートおよびアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン・ターポリマー、特にABCである。他のエラストマー、例えば、ゴム、エチレン酢酸ビニルポリマー、スチレン・ブタジエン・コポリマーおよび他のTPUもまた同様に使用することができる。また、合体されるのに適切なものは、市販の可塑剤、例えば、燐酸塩、フタラート、アジペート、セバシン酸塩などである。本発明に基づくTPUは、連続的に製造され得る。既知のバンド工程あるいは押出工程のどちらかで使用され得る。コンポーネントは、同時に、すなわち、ワンショットで、または連続に、すなわち、プレポリマープロセスで計測され得る。その場合、プレポリマーは、押出機の最初の部分にバッチ式でまたは連続的に導入され得るか、または、上流に配置された別のプレポリマー装置中で調製され得る。押出工程は、好ましくは、オープションにプレポリマーリアクタとともに使用される。
【0067】
ファイバは、慣用の方法により製造され、ポリウレタン(PU)あるいは混合されたポリエーテルウレタンおよび付加物を溶融紡糸することによって作ることができる。溶融紡糸は、周知のプロセスであり、そのプロセスでは、ポリマーは押出器によって溶融され、紡糸ノズルを通過して空気中に押し出され、冷却により固化し、収集器上にファイバを巻き上げることによって集められる。通常、ファイバは、約150℃から約300℃のポリマー温度で溶融紡糸される。
【0068】
ポリマー物質は、不織布、織物、ファイバ、およびマイクロファイバーに製造される。ポリマー物質は、製品の安定性に対して要求される物理的性質を提供する。これらのポリマー物質は、実質的に寸法が変化せず、分子量が減少せず、可撓性が低下せず、または応力亀裂を起こさず、または、日光、湿度、高温または他の負の環境の影響が存在するなかで物理的に劣化しない。本発明は、環境光などの電磁放射、熱、湿度および他の物理的課題に直面して物理的性質を維持することができる、改善されたポリマー物質に関する。
【0069】
また、我々は、ポリマー混合物、アロイ形式または架橋された化学結合構造中に2つまたはそれ以上のポリマー物質を含むポリマー組成物を形成する実質的な有利な点を見いだした。我々は、そのようなポリマー組成物が、ポリマー鎖の柔軟性あるいはポリマー鎖の移動度を改善する、総合的な分子量を増加させる、およびポリマー物質のネットワークの形成を通して補強を提供するなどのポリマー属性を変化させることによって、物理的性質を改良すると信じている。
【0070】
この概念の1つの実施例において、2つの関連するポリマー物質を有利な特性のために混合することができる。例えば、高分子量のポリ塩化ビニルを低分子量のポリ塩化ビニルと混合することができる。同様に、高分子量のナイロン材料を低分子量のナイロン物質と混合することができる。さらに、異なる種類の一般的な高分子類を混合することができる。例えば、高分子量スチレン物質は、低分子量の耐衝撃性ポリスチレンと混合することができる。ナイロン−6物質は、ナイロン6;6,6;6,10などのナイロンコポリマーと混合することができる。さらに、80〜87%の加水分解されたポリビニールアルコールなどの低い加水分解度を有するポリビニールアルコールを、98〜99.9%およびそれ以上の加水分解度を有する完全にまたは超加水分解されたポリビニールアルコールと混合することができる。混合物中でこれらの物質のすべては、適切な橋かけ機構を使用して架橋することができる。ナイロンは、アミド連鎖中の窒素原子と反応する架橋剤を使用して架橋することができる。ポリビニールアルコール物質は、ホルムアルデヒドなどのモノアルデヒド、尿素、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂およびその類似物、ホウ酸、および他の無機化合物、ジアルデヒド、二酸、ウレタン、エポキシおよび他の既知の架橋剤などのヒドロキシル基反応性物質を用いて架橋することができる。架橋技術は、既知であり、実質的に分子量、耐薬品性、総合的強度および機械的劣化への抵抗を改良するために、架橋剤がポリマーチェイン間で反応して共有結合を形成する現象は理解されている。
【0071】
我々は、付加物質がファインファイバの形態でポリマー物質の特性を実質的に改良することができることを見いだした。熱、湿度、衝撃、および機械的応力の影響、および他の負の環境的影響に対する耐性は、実質的に付加物質の存在によって改善し得る。我々は、本発明のマイクロファイバ物質を処理している間に、付加物質が疎油性の特性、疎水性の特性を改良することができること、および、付加物質が材料の化学安定度を改良するのを補助するように見えることを見出した。我々は、マイクロファイバ形態の本発明のファインファイバが、これらの付加剤(additive)の保護層コーティングの侵食表面(ablative surface)を形成するとき、または、ポリマー物質の性質を改良するためにある深さまで表面から浸透するときに、これらの疎油性および疎水性の付加剤の存在によって改良されると信じている。我々は、これらの物質の重要な特性は、強い疎水性基が存在することであり、好ましくは、該疎水性基が疎油性特性もまた持つことができることであると信じている。強い疎水性基は、例えば、炭化フッ化基、疎水性炭化水素の界面活性剤あるいはブロック、および実質的に炭化水素のオリゴマー組成物などである。これらの物質は、通常は、ポリマーと物理結合または会合を与えるポリマー物質と相溶性である傾向のある分子の一部を有する組成物中で製造され、強い疎水性基または疎油性基は、付加剤とポリマーの会合の結果として、表面に存在する保護的な表面層を形成する、または、ポリマー表面層とアロイとなるまたはポリマー表面層と混合する。10%の付加剤物レベルを有する0.2μmのファイバに対して、表面厚さは、付加剤が表面に移動した場合、約50Åとなると計算される。移動は、バルク物質中での疎油性基あるいは疎水性基の非相溶性の特性によって起こると信じられている。50Åの厚さは、保護コーティングのための妥当な厚さであるように見える。0.05μm直径のファイバに対して、50Åの厚さは20%の量に対応している。2μmの厚さファイバに対して、50Å厚さは2%の量に対応している。好ましくは、付加物質は約2〜25重量%の量で使用される。本発明のポリマー物質との結合において使用することができるオリゴマー付加剤は、約500〜約5000の分子量、好ましくは、約500〜約3000の分子量で、フッ化物、ノニオン性界面活性剤、および低分子量の樹脂またはオリゴマーを含むオリゴマーを含んでいる。エンゾ−BPA、エンゾ−BPA/フェノール、エンゾ−TBP、エンゾ−COPおよび他の関連するフェノール類を含む有用なフェノール付加物質の例は、オハイオ州、コロンバスのエンゾモール、インターナショナルインクから入手される。
【0072】
非常に広い種類の繊維状フィルタ媒体が異なる応用のために存在している。本発明で説明された耐久性のナノファイバとマイクロファイバーは、いかなる媒体にも追加することができる。本発明で記載されたファイバは、既存の媒体のファイバ成分の代わりに使用することもでき、繊維直径が小さいが大きな耐久性を示すために(改善された効率、および/または、低減された圧力損失)改善された性能の大きな利点を提供する。
【0073】
ポリマーナノファイバとマイクロファイバは知られている。しかしながら、その用途は、機械的応力に対する該ファイバの脆弱性および容積に対する非常に大きな表面積比による化学的劣化に対する感受性のために非常に限られている。本発明で記載されたファイバは、これらの制限に取り組むものであり、したがって、非常に広い種類のろ過、織物、膜、および他のさまざま応用において使用可能である。
【0074】
本発明に基づくフィルタ媒体構造物は、第1表面を有する透過性の粗いファイバ状媒体または基板の第1層を含んでいる。ファインファイバ媒体の第1層は、透過性の粗いファイバ状媒体の第1層の第1面に固定されている。好ましくは、透過性の粗いファイバ状物質の層は、少なくとも10μmの平均直径、通常および好ましくは、約12μm(または、14μm)〜30μmの平均直径を有するファイバを含む。また、好ましくは、透過性の粗いファイバ状物質の第1層は、約200g/m2より大きくない坪量、好ましくは0.50〜約150g/m2、最も好ましくは、少なくとも8g/m2の坪量を有する媒体を含む。好ましくは、透過性の粗いファイバ状媒体の第1層は、厚さが少なくとも0.0005インチ(12μm)であり、通常および好ましくは、厚さが約0.001〜0.030インチ(25〜800μm)である。本発明のエレメントは、本明細書のいずれかで議論されたようなファインファイバーと分散された微粒子層とを含むいろいろな他の層と結合され得る。本発明の層の平らまたは共平面性バージョンとして作ることができる、あるいは、ひだ付き、波形または、本発明のエレメントを通過する低い圧力損失の流れを形成するために必要とされる実質的にいかなる他の断面形状に形成することができる。基板は、発泡ポリPTFE層あるいはテフロン(登録商標)層を含むことができる。また、基板は、実質的にテフロン(登録商標)、発泡ポリPTFE層、または延伸PTFEファイバまたは層が無いものであり得る。そのような層は、ろ過と活性微粒子からの活性の両方を提供することができるさまざまな応用において有用である。また、そのような層は、微粒子をエレメント中に閉じ込める助けをすることができる。
【0075】
好ましい配置では、透過性の粗いファイバ状物質の層は、フラジール透水性試験によって構造物の残りのものと別々に評価される場合に、少なくとも1m/分の透水率、通常および好ましくは、約2〜900m/分の透水率を示す物質を含んでいる。本明細書において、「効率」について引用する場合に、特別の記載がない限り、引用は、本明細書に記載されるように、20fpm(6.1m/分)で、0.78μmの単分散ポリスチレン球状粒子を用いるASTM−1215−89試験に基づいて測定された効率を意味する。
【0076】
好ましくは、透過性の粗いファイバ状媒体の層の第1表面に固定されたファインファイバ物質の層は、ナノファイバおよびマイクロファイバ媒体の層であり、そこでは、ファイバは、約2μm以下の平均ファイバ径を有し、一般におよび好ましくは約1μm以下、通常および好ましくは、0.5μm未満で約0.05〜0.5μmの範囲の平均ファイバ径を有する。また、好ましくは、透過性の粗いファイバ状物質の第1層の第1表面に固定されているファインファイバ物質の第1層は、全体の厚が約30μm以下、より好ましくは20μm以下、最も好ましくは約10μm以下であり、通常及び好ましくは、層のファインファイバの平均直径の約1〜8倍(より好ましくは5倍以下)の厚さ以内である。
【0077】
電界紡糸プロセスは、マイクロファイバあるいはナノファイバユニットを形成することができる。ファイバを形成するための適切な装置は、バリスの米国特許第4,650,506号に例示されている。この装置は、ファインファイバを形成するポリマー溶液が含まれているリザーバと、ポンプと、ポリマー溶液がポンプで送られるロータリ式放出器またはエミッターとを含む。一般に、エミッターは、回転継ぎ手と、複数のオフセットホールを含む回転部分と、前方向に面している部分と回転継ぎ手とに連結しているシャフトとを含む。回転継ぎ手は、中空シャフトを通して前方向に面している部分にポリマー溶液の導入部を提供する。また、回転部分は、リザーバとポンプによって供給されたポリマーの貯蔵部に浸漬され得る。次に、回転部分がリザーバからポリマー溶液を得て、静電場で回転するとき、収集媒体に向かって一直線上に配置された静電場は、以下に説明されるように溶液の液滴を加速する。
【0078】
収集媒体(すなわち、基板あるいは結合した基板)が配置されている、実質的に平らなグリッド60が、エミッターに面し、エミッタから間隔をあけて配置されている。空気はグリッドを通過して吸引される。収集媒体は、グリッドの隣接する対向端部に配置されているローラーの周りを通過する。高電圧の静電電位が、適切な静電電圧源と、それぞれグリッドとエミッターとを接続する接続手段と、によってエミッターとグリッドとの間で維持される。
【0079】
使用中に、ポリマー溶液は、リザーバから回転継ぎ手までポンプで送られる。前方向に面している部分は回転し、液体がホールから出るかまたはリザーバから取り出され、エミッターの外側のエッジかグリッド上に配置された収集媒体に向かって移動する。グリッドとエミッターとの間の静電電位は、そこから放出されるべき液体が薄いファイバとして、グリッドに向かって吸引されるようにはっきりと物質に電荷を与え、そこで、ファイバが基板上または効率層に到着して集められる。溶液中のポリマーの場合、溶媒はグリッドまでの飛行の間にファイバから蒸発し、ファイバが実質的に溶媒無しに基板あるいは効率層に到着する。ファインファイバは、グリッドで最初に出会った基板のファイバと結合する。静電場の強さは、ポリマー物質が、エミッターから収集媒体まで加速されるとき、ポリマー物質を非常に薄いマイクロファイバあるいはナノファイバ構造に変えるのに加速が十分であるのを保証するように選択される。収集媒体の前進速度を増加するかまたは遅くすると、形成媒体上に放出されたファイバを多くまたは少なくを堆積することができ、それにより、堆積される各層の厚さの制御を可能にする。回転部分は、さまざまな有益な位置を持し得る。回転部分は、回転平面中に配置することができ、その平面は収集媒体の表面に垂直であるあるいは任意の角度で配置されている。回転媒体は、平行な配置と平行にあるいは平行な配置からわずかにオフセットされ得る。
【0080】
シート状基板はステーションで巻かれない。次に、シート状基板は、接合ステーションに送られ、そこで、複数の基板の長さが連続操作で接合される。シート状基板の連続する長さが、上記説明した紡糸技術を有するファインファイバ技術ステーションに送られ、そこで、紡糸装置は、ファインファイバを形成し、シート状基板上のろ過層中にファインファイバを堆積する。ファインファイバの層が形成ゾーン中でシート状基板上に形成された後に、ファインファイバの層と基板は、適切な処理のために熱処理ステーションに送られる。シート状基板とファインファイバの層は、次に、効率モニター中でテストされ、必要ならニップステーションではさまれて薄くされる。次に、シート状基板とファイバの層は、適切な巻き取りステーションに送られ、更なる処理のために適切なスピンドル上に巻き上げられる。
【0081】
本発明のエレメントは、ろ過形態で使用される場合、フィルタとしての許容可能な機能と活性微粒子の活動を得るための最小圧力損失を有する。そのような圧力損失情報は、本発明のろ過装置のタイプで知られている。そのような圧力損失パラメータは、本発明のろ過エレメントの有効寿命を定める。本発明のエレメントは、介在するろ過層を有さない流れ形態で使用される場合に、エレメントを通過する移動性の流体流れに対してほとんどまたは全く抵抗がない(例えば、0.1インチ以下または1〜5インチ未満の水柱)。しかしながら、流れは抑制されるべきでないが、エレメント内の流体の滞留時間は、エレメント中で活性微粒子から所望の活性を得るためにエレメント中で必要とされる接触および吸収/吸着/反応を得るために十分でなければならない。活性微粒子に依存する有用な滞留時間は、約0.01から混入した物質の除去を得るのに必要であるのと同じくらいの時間である。滞留時間は、0.02秒から最大5分であり、通常は、0.01〜60秒、0.01〜1秒、または、最小0.02〜0.5秒である。そのようなユニットの寿命は、活性微粒子の充填およびそのユニットにおける残りの活性量で定められる。圧力損失の少量は、実質的に流れを妨害せずに、流れを遅くして滞留時間を延ばすようにエレメントを設計することができる。
【0082】
本発明の媒体、ウェブ、層またはエレメントは、再生することができる。本発明における反応微粒子の場合、微粒子を化学的に処理することによって、微粒子を再生することができる。吸収性あるいは吸着性微粒子の場合、微粒子は、微粒子表面あるいは内部構造から吸収あるいは吸着された物質を追い出すのに充分な温度にエレメントを加熱することによって再生することができる。また、エレメントは、減圧効果が吸着性微粒子の表面からまたは吸収性微粒子の内部から揮発性物質を取り除くことができるように排出することができる。
【0083】
反応種は、流体相中にに入り込んだ物質と反応種との反応からの反応副産物を最初に除去することによって再生することができる。そのような反応の1つにおいて、副産物を除去し、エレメント内に残っている微粒子は、エレメントを通過する活性物質の溶液または懸濁液を通過させ、ファインファイバー層を含む内部構造に反応性物質の追加量を蓄積させることによって高められる。
【実施例】
【0084】
実施例1
ノヴェロン(登録商標)によって製造された熱可塑性脂肪族ポリウレタン化合物、TECOPHILIC SP−80A−150 TPUを使用した。ポリマーは、ジシクロヘキシルメタン4,4'ジイソシアネートとポリオールとの反応によって製造したポリエーテルポリウレタンである。
【0085】
ポリマー実施例2
ナイロン6,6−6,6,10ナイロン共重合樹脂(SVP−651)のコポリマーは、末端基滴定によって分子量を分析した(J.E.ウォルツとG.B.テイラー、ナイロンの分子量の決定、Anal. Chem Vol.19,Number 7, pp448-450(1947))。数平均分子量は21500〜24800であった。ナイロン6が約45%、ナイロン66が約20%、ナイロン610が約25%である3成分の溶融温度の状態図によって、組成物を見積った。(286ページ、ナイロン・プラスチック・ハンドブック、メルビン・コーハン編集、ハンサー出版、ニューヨーク(1995))SVP651樹脂の報告された物理的性質は以下の通りである。
【0086】
【表1】

【0087】
ポリマー実施例3
ポリマーの実施例2において先に記載されたコポリアミド(ナイロン6,6−6,6,10)を、ジョージア・パシフィック5137として特定されるフェノール樹脂と混合した。
【0088】
ナイロン:フェノール樹脂比とその混合物の溶融温度を以下に示す。
【0089】
【表2】

【0090】
この新しいファイバの化学的性質における弾性の有利な点がポリウレタンとポリマーの混合によって得られる。本発明に使用されるポリウレタンは、ノヴェロン(登録商標)から得られる実施例1のポリマーであり、熱可塑性ポリウレタンTECOPHILIC SP−80A−150として特定される。これは、アルコール溶解ポリマーであり、4時間激しくかき混ぜることによって、60℃でエチルアルコール中で溶解した。4時間後に、溶液を室温まで、通常、一昼夜、冷却した。ポリマー溶液の固体量は、約13重量%であったが、異なるポリマー固体量もまた同様に使用することができる。室温まで冷却したとき、溶液の粘性を25℃で測定すると、約340cP(センチポイズ)であった。この溶液は、様々な条件で首尾良く電界紡糸された。図1Aと1Bは、いくつかの機能性微粒子(SEM像)とともに紡糸されたときのファイバーを示す一連の走査顕微鏡(SEM)写真である。
【0091】
化学ろ過の分野において、SEM像(図1)で上記示された微粒子は、ガス相中のある化学物質の除去のために意図された活性炭微粒子である。これらの微粒子の吸着容量は、それらの後処理工程の条件と強い関係がある。電界紡糸において、電界紡糸されたファイバが形成され乾燥される場合、電界紡糸されたファイバから蒸発する溶剤蒸気はすみやかにカーボン微粒子によって吸着されるので、それによりカーボン微粒子の総合能力を制限する。したがって、活性炭微粒子から溶媒分子を「さっと除去する」ために、構造物を溶媒の沸点を超えた温度(この場合78〜79℃)に加熱して、カーボン微粒子から残留溶媒を除去して耐久時間を延ばす必要がある。その結果、これらのファイバは、上記説明された本実施例における後処理工程の間に、この非常な温度に耐えなければならない。
【0092】
これらのファイバの耐熱度を改良し、同時に、高い弾性と(活性、および/または、非活性微粒子の付着のために好まれる)接着性の有利な点を得るために、我々は、ポリウレタンベースのポリマー溶液を、ポリアミドベースの溶液であるポリマー溶液のポリマー実施例2と混合した。
【0093】
最終的に、我々は、ポリマー実施例1とポリマー実施例2とのブレンド比として48/52重量%を使用した。得られた溶液は、約210cP(センチポイズ)の粘性であった。混合は、室温で数分間、単に活発に撹拌することによって行われた。混合物の電界紡糸は、通常のプロセスを使用して行った。紡糸されたままのファイバを、次に、110℃で2分間加熱した。
【0094】
ポリマー実施例1とポリマー実施例2とのポリマー溶液混合物から電界紡糸されたファイバーは、溶液、ポリマー実施例1およびポリマー実施例2のどの成分とも全て一致して見出すことができない優れた温度安定性、良好な弾性および接着性を示した。このファイバは、ポリマー実施例2のファイバの平均直径の約2〜3倍の平均直径を有する。(ポリマー実施例2の平均ファイバー径は、0.25μmの範囲である)。
【0095】
このポリウレタンは優れた弾性を有するが、耐熱性を有することもまたかなり好ましいことである。このことは、高温処理を必要とするその後に続く下流工程がある場合には、特に重要である。
【0096】
ポリマー溶液は以下の通りであり、ポリマーは、180℃の測定で、18.1g/10分の溶融流れ指標(メルトフローインデックス)を有した。溶液粘度は、210センチポイズとして25℃で粘度計を使用することで測定した。
【0097】
リーメイ(Reemay)2011ポリエステル基板は、ナノファイバー/活性炭微粒子複合体を堆積するのに使用された。基板は、非常に広々した状態であり、基板ファイバは、ウェブからファイバの突起が無く、平らに定められており、非常に小さい坪量(25g/m2)を有する。このナノファイバー/活性炭複合体の製造のために、適した異なる基板物質を広く選択することができる。
【0098】
解こうシステムを使用して、活性炭微粒子をナノファイバーマトリックスに分散した。そこでは、微粒子の出力速度を電気的に制御する乾燥微粒子フィーダー(スクリューフィーダ)を使用しながら微粒子を解こうシステムに供給した。
【0099】
基板は、連続ベルト(図4aと4b)上に配置され、限られたファイバー紡糸能力を有する実験装置を使用して複合体を生成した。
【0100】
以下のテーブルに運転サイクルをまとめる。ナノファイバ/活性炭微粒子複合体を生成するように使用された運転サイクルの記載である。
【0101】
【表3】

【0102】
複合体中の正確な量のカーボンの数量化が行われた。数量化を行うために、ポリマー溶液を同じ工程パラメータでレムニー(Reemay)基板上に同じ持続時間(1290秒)で電界紡糸した。その後、同じサンプルサイズ(4インチ径)にカットして、両方のサンプル(一方に微粒子、他方に微粒子無し)を秤量した。2つの重さの差は、サンプルの与えられた表面積(1m2)への活性炭充填量を示すので、我々は、複合体中の活性炭量が56.04g/m2であると見積もった。言い換えれば、フィーダーから放出された60gの微粒子のうちの56gは、複合体に向かうが、4gは、微粒子の軌道を偏向するために使用されたノズルの内部表面への堆積を含めていろいろな形態で失われた。
【0103】
全体的に見て、ナノファイバー/活性炭微粒子複合体は、91.4重量%のカーボン微粒子と8.6重量%の高分子のナノファイバーで構成された。
【0104】
この乾式方法を微粒子を適用することによって、我々は、微粒子の大部分を複合体中に利用した。さらに、乾燥方法の適用は、微粒子中に挑戦するガスの拡散に影響する範囲まで微粒子の表面積を閉塞しないようにするのを可能にする。
【0105】
ナノファイバーマトリクス中に活性炭微粒子を捕集することができる2つの異なるメカニズムがある:−微粒子が複合体内部で自由に動くのを禁止するナノファイバーマトリクス内部での微粒子の機械的なもつれ。その結果は、蜘蛛の巣のように作用して、それ自体で微粒子を捕らえて保持するナノファイバーネットワークである。多くの層が堆積すると、このネットワークは、ナノファイバーと微粒子のナノ繊維状マトリクスとなる。
【0106】
−ナノファイバーの溶液紡糸の直接の結果としての微粒子とナノファイバーの間での接着。ナノファイバーは電界紡糸工程を使用することでポリマー溶液から生成するので、ナノファイバーがターゲット上に堆積するとき、ナノファイバーの構造中に非常にわずかな量の溶媒を保持し、したがって、ナノファイバーは、活性炭微粒子と融合する能力がある。ファイバは非常に小さなファイバー径を有し、少数のナノファイバーだけが微粒子に接触しているので、化学吸着のための活性炭の利用可能な表面積は、媒体の性能を向上させるように影響を与えるのに十分なほど非常に大きい。
【0107】
ほとんどのポリマー溶液を電界紡糸している間に、ナノファイバー構造中に少量の残留溶媒が残る可能性があるので、230°Fで5分間の熱処理を行う。活性炭微粒子の吸着能力に影響を与える残留溶媒を除去する試みでは、ポリマー溶液を調製するのに使用される溶媒の沸点より高く複合体を加熱した。この場合、溶媒の沸点は760mmHgで約176°Fであった。その結果、230°Fで5分間の加熱は、ナノファイバーおよび/または活性炭微粒子から残留溶媒を完全に除去することを確実にした。
【0108】
以下は微粒子効率試験の結果を概説するテーブルであり該試験は、TSI3160の部分効率テスト・ベンチで0.02〜0.4μm直径のフタル酸ジオクチル微粒子を10.5フィート/分の表面速度で用いて行った。効率、浸透率、および抵抗が試験結果である。このサンプルは、230°Fで5分間ラブオーブンで加熱後にテストされた。
【0109】
【表4】

【0110】
カーボン充填率 56.04(g/m2
カーボン濃度 91.40(%)
全ファイバおよびカーボン複合体 61.31(g/m2
【0111】
FOM(性能係数:Figure of Merit)は、上記結果と試験の表面速度を用いて以下の式で計算した。
FOM(性能係数)=−Ln(浸透率)/(ΔP/媒体面速度)
【0112】
FOM(性能係数)の測定の基準単位は、1/(cmHg)/(cm/秒)、または、(cm/秒)/cmHgである。FOM(性能係数)が高いほど、媒体の品質が良い、言い換えれば、FOM(性能係数)が高いほど、同じ圧力損失で高い効率を意味するか、同じ効率で低い圧力損失であることを意味する。
【0113】
上に示されたテーブルから、このサンプルの微粒子効率が高い90%の範囲内にあることがわかる。いくつかの手段でさらに高い微粒子効率を有する複合体を生成することは、非常に簡単である。
−総合的な複合体の厚さを増加させること。
−総合的な複合体の厚さを同じに保持するが、ナノファイバー/活性炭微粒子複合体の上部と下部を被覆する非常に細い(約0.25μm)ナノファイバーで作られた高能率層を加えること。
第2の方法は、複合体の化学吸着特性を同じに保持するとともに独自に微粒子効率を調整することが可能であるので、好ましく、単純である。
【0114】
本発明の応用は、液体の流れとガスの流れを含む流体流れを浄化することである。本発明のフィルタエレメントは、汚染物が混入した流体流れがエレメントを通過するまたはエレメント表面に沿って流れ、汚染物が除去可能であるような微粒子の適用のために適切な環境または位置に配置される。応用のための流体流れは、ほこりの微粒子、水、溶媒残留物、油残留物、混合した水性の油残留物、有害ガス等を含む液体またはガス流れを含んでいる。流動性の液体流れは燃料、油、溶媒流れなどを含んでいる。流れは、本発明の通過流れ(through-flow)構造物または層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)構造物(through-by)と接触していて、液体あるいは微粒子状汚染物質、着色剤、溶融可能な不純物を除去する。本発明の応用によって除去されるべき汚染物質は、また、プリオン、ウイルス、菌、胞子、核酸、他の潜在的に有害な生物学的生成物または危険物質などの生物的生成物を含んでいる。
【0115】
態様において、本発明は、燃料と潤滑油を含む液体のろ過、水のろ過、比較的低いガス濃度(100ppm未満)で、空中の酸性、塩基性、揮発性有機ガスのろ過を必要とする応用における空気流れの更なる追加と共に流体流れを浄化するために使用することができる。環境への応用は、乾燥している、または、かなりの量の水を含む、よどんでいるまたは流れているガス流れを含み得る。本発明の主要な応用の1つは、浄化した空気を処理、ツール、テスト、または容器に供給することを必要とする半導体への応用のために、軽量で圧力損失の少ない吸着媒体を提供することである。このことは、浄化した空気、窒素、または他の処理ガス流れを必要とする他の応用を含み得る。吸着媒体は、クリーンルーム、半導体工業またはサブ製造システム、処理ツール、およびワンパス(1回の通過)、再循環、または静的ろ過の容器内のガス状汚染物質を除去することができる。さらに、媒体は、ある位置で取られた空気別の位置に浄化することができる。そのような空気は、サブ製造から主な製造まで、あるいは、外部環境から放出試験システムまで移送することができる。
【0116】
1つの態様では、本発明のフィルタエレメントは、容器の通気口に配置し、吸着媒体が容器の内部から湿気を除去するので容器の内部を容器の外部に対して実質的に減少した湿分で維持されるようすることができる。フィルタエレメントが配置される容器は、電子回路またはデバイスを含む容器を含み、そこでは、電子回路またはデバイスは、制限なしに、有機発光ダイオード、ハードドライブ、ディスプレイ、またはそれの何らかの組合せを含んでいる。例えば、本発明のフィルタエレメントは、電子装置の湿気を吸収する可撓性のディスプレイとして使用することができる。可撓性のディスプレイは、フィルタエレメントと組み合わされた点灯されたディスプレイ(発光ダイオードを使用して形成されたディスプレイを含む)を含み、フィルタエレメントは可撓性のディスプレイが使用されている環境あるいは容器から湿気を吸収する。
【0117】
必要な性能の量に依存して、この媒体は、様々な応用および様々な形態で使用することができる、例えば、同じ層あるいは制限された空間における微粒子フィルタおよび化学フィルタ、ガスタービンへの応用において使用する微粒子フィルタと化学的フィルタの組合せ、ガスタービンシステムのための唯一のオプションとしての化学フィルタ、空調アセンブリのための半導体工業における高流速への応用、フィルタ製造場所あるいは製造所の全部または使用するポイント、「ゲッタリング」タイプフィルタを必要とする応用、最小空間と最大効率を有するクリーンルーム内で半導体のためのフィルタを使用するポイント、最小空間と最大効率を有するクリーンルーム内で半導体応用のためのツールマウントフィルタ、クリーンルームの応用のための天井のグリッド中の高流速への応用、重量が減少したにもかかわらず同様の効率を必要とする応用、圧力損失を低減して同様の効率を必要とする応用、少ない微粒子落下が要求されるまたは化学フィルタの層を使用する場所、などである。この応用の物質を用いて以下のものを全て作ることができる。例えば、呼吸マスク、防塵マスク、外科用マスクとガウン、外科用ドレープ、半導体処理装置とクリーンルームのためのフィルタを含むHEPA交換、ガソリン、天然ガスまたはディーゼルエンジンのためのサーろ過、空気圧縮機のための入口ろ過、集じん装置のための入口ろ過、電気掃除機フィルタ、空気からの酸性ガス除去、乾燥機のためのカートリッジ、CBRN保護物質、傷のケア、キャビン空気ろ過、室内エア・クリーナ、燃料フィルタ、潤滑油フィルタ、油フィルタ、液体フィルタ、燃料電池応用のためのエアフィルタ、プロセスフィルタ、断熱物質、ディスクドライブのフィルタ、電子機器容器のフィルタ、クロマトグラフィーの分離、バイオ分離を作ることができる。
【0118】
平らなシートの化学ろ過をスペーサ媒体と交互に積層することによって、エレメント中で流れ流路を生み出すことができる。これらの流路は、所望の反応を実行すると同時に、化学フィルタ媒体より低い圧力損失を維持することを可能にするような方法でろ過されるべきガス流体が媒体を横切るのを可能にする。スペーサ媒体は、ろ過を助けるために化学的に処理されるかまたは不活性であり得る。
【0119】
同様に、フィルタエレメント中の流路は、化学活性または不活性なコアの周囲にスペーサ媒体と化学フィルタ物質を一緒に巻くことによって製造することができる。
【0120】
一旦、本発明の活性あるいは不活性微粒子を含むファインファイバー層が調製されると、この層は、有用な活性な、吸着性、吸収性の構造中に機械的に組み込むことができる。ナノファイバー層は、通常は、スクリム、セルロース基質、混合して合成されたセルロース基質、または純粋なセルロース基質である基板物質上に紡糸することができる。活性あるいは不活性微粒子を含むナノファイバー層は、前記基板上に電界紡糸され、基板は、次に、吸収構造中に巻くことができる。あるいはまた、層は、同じ大きさの部分に切って、吸収性層を形成するために積層することができる。ナノファイバー層のアセンブリの内部構造が、空気が容易にアセンブリを通り抜けるのを確実にするために十分な空気流れを有することは重要である。この場合、アセンブリは、フィルタとして作用するのではなく、純粋に吸収性アセンブリ構造として作用する。代替の構造では、ファインファイバーと反応性または活性性微粒子の層は、濾過する、反応する、吸着する、または吸収する構造に組み立てることができる。そのような異なる構造は、さまざまな最終用途における応用がある。前者の構造は、ろ過特性をほとんどまたは全く持たないで、空気を通過する流れを用いて液体流れあるいは空気流れなどの流体流れから単に反応性の汚染物質の物質を除去することができる。後者の構造は、微粒子を除去することができ、空気などの流体からろ過操作と同時に化学種を除去することができる。
【0121】
本発明の巻き上げたあるいは積層した層の好ましい構成物では、媒体は、ろ過特性の無い流れかフィルタ層の通過を含む流れのいずれかのまっすぐな流れに配置することができる。そのような流体流れでは、流体は、第1の流れ面を通って一方から入り、第2流れ面から同じ方向に出る。フィルタ構造中では、流体はフィルタとして作用する表面と相互作用しないか、ろ過特性を得る表面と接触する流体と相互作用する。一般に、1つの好ましいフィルタ構造物は、中心点の周りを繰り返し巻かれた媒体の層を含む巻き上げられた構成物であり、フィルタ媒体を巻く、巻き上げる、またはコイル状に巻くことでコイルを形成している。1つの好ましい有用な構造は、物質が縦溝流路構造物を有するような波形状構造である。そのような縦溝流路は、対面シートと結合されて形成されている。一旦、波形状媒体が対面シートの形態で波形状でない媒体と結合されると、得られる構造は、コイル状に巻かれて有用なアセンブリを形成する。このタイプの媒体構造物を使用するとき、縦溝流路は波形状構造で交互に山と谷を形成する。ある構造物では、上側の縦溝流路は、下流で閉じている縦溝流路空間を形成し、縦溝流路空間が縦溝流路の他の列を形成するために閉じている上流端部を有する。そのような構造では、開いている領域と閉じている領域は、流体に少なくとも1つの波形状壁を通過させることで波形状の層のろ過特性を得る。使用中に、渦巻状アセンブリ中のそのような波形状媒体は、空気などの流体流れに対して入口形状を提供する。空気は、開いている上流端部で縦溝流路空間に入り、濾過されていない流体流れが閉じている下流端部を通過させず、波形状シートまたは縦溝流路シートを通過して進むようさせて、波形状のファイバ層または活性微粒子のいずれかと接触するようにし、流体流れから微粒子をろ過させる、あるいは、流体流れ中に分散または溶解している物質を活性微粒子と反応させるか活性微粒子に吸収または吸着させる。
【0122】
破過ベンチシステムの実験
汚染物質トルエン50ppmを用いてすべてのエレメントに対して有機ガス破過テストを行った。図5に破過テストベンチ設計の一般的なブロック図を示す。吸着剤のトルエン容量をテストするために0.12秒の滞留時間を有する破過テストを行った。実施例のカーボン媒体は、相対湿度が50%、温度が25℃に到着するまで、カラム(1.5インチの内径)中で条件付けした。次に、破過テストを始めるために、トルエンを含む空気(溶媒発生システムで発生)を30Lpm流速でサンプルベッドに流した。
【0123】
認定されたた標準ガスを用いて発生された汚染物質は、質量流速コントローラ(オールボア;ニューヨーク州オレンジバークあるいはブルックス/エマソン・プロセス・マネジメント;ペンシルベニア州、ハットフィールド)を通してテスト空気流れに送った。相対湿度は、流量・温度・湿度制御器(ミラ−ネルソン・リサーチ・インク;カリフォルニア州モントレー)モデルHCS−401を用いて制御した。50%RHの相対湿度を本明細書に記載された研究のために使用した。吸着剤ベッドの上流および下流の空気流れの温度と相対湿度は、較正された温度と湿度センサ(ヴァイサラ;マサチュセッツ州ウーバン;モデルHMP233)を使用して測定した。吸着剤ベッドの温度は、水を覆うサンプルホルダと水浴を使用して25℃に制御した。上流と川下の汚染物質濃度の検出は、JUM炎イオン検出器(FID)を使用してモニターした。図6は、すべてのファインファイバー混入エレメントに対してテストした破過曲線である。未含浸および含浸した活性炭は、優れた除去効率と有機ガスに対する寿命を有する。
【0124】
微粒子とファイバーの堆積は互いに独立しているので、微粒子のファイバに対する異なる比率を有する複合体を発生させることができる。我々は、過去に8〜15重量%のナノファイバーの充填を有する複合体を製造したが、この量に理論上の限界は存在しない。したがって、このような基板上への活性炭充填量は、92〜85重量%の範囲である。
【0125】
通常、このプロセスでは、取り扱いと傷をつけないためにスクリム上へナノファイバの非常に薄い層を堆積する工程と、それに続く、総合的な複合体のバルクを構成するナノファイバー/活性炭複合体を適用する工程を含む。最終段階において、ナノファイバだけの層の別の層を該複合体表面に堆積する。この表面と裏面のナノファイバだけの層は、我々が過去にその証拠を見たことがないような、微粒子の落下が全く無いように保持するのを助けるものである。また、表面と裏面のナノファイバだけの層は、複合体の微粒子効率を上げるのも助ける。本発明の構造は、ナノファイバー層、ナノファイバー/カーボン複合体層、ナノファイバーだけ層およびスクリムを含む。
【0126】
微粒子効率は、このタイプの媒体に対して形成されているエッジをもたらすキーパラメータの1つである。以下に、異なる坪量を有する2つのナノファイバー/活性炭複合体に対する微粒子効率データである。測定値は、平ならなシートサンプル上に10.5フィート/分の表面速度で、異なるサイズのDOP微粒子を使用して操作されたTSI3160自動フィルタ試験器を用いて記録した。
【0127】
【表5】

【0128】
この表は、異なる厚さを有する2つのナノファイバー複合体の微粒子効率を示す。上記表からわかるように、複合体の厚さを変えることによって、複合体の微粒子効率をうまく変えることができた。また、ナノファイバー/カーボン複合体の中央部に影響を与えること無しに、複合体の表面と裏面上のナノファイバー層の量を変えることによって、微粒子効率を変更することもまた可能である。さらに、所望の目標レベルまで微粒子効率を上げるために、一つまたはそれ以上のナノファイバーだけの層を中央の複合体内部に導入することが可能である。別の構造は、ナノファイバー層、ナノファイバー/カーボン複合体層、ナノファイバーだけの層およびスクリムを含むことができる。
【0129】
その上記と同様のこのナノファイバー複合体、この差は、微粒子効率増強ステージとして機能するナノファイバーカーボン複合体の中央にあるナノファイバーだけの層である。微粒子効率は、本発明に特有の1つの側面であるが、もう一つの側面は、ガス相からの汚染物質の化学吸着と除去である。異なるレベルのカーボン充填量の影響を理解するために、微粒子効率をテストした媒体Aと媒体Bはまた化学吸着能力のテストもした。この場合に、これらの媒体をトルエンに挑戦させた。結果は、図6に示すように、カーボン充填量の変化がこれらの媒体の破過時間と総合能力に影響することを示している。
【0130】
これらの媒体はひだ付き形態でテストしたのではなくらせん状に巻いた形態でテストしたものであり、したがって、曲線は、それが表すものだけを意図することに考慮すべきであり、呼吸マスクへの応用における実際の性能に対して考慮すべきものでないことに注意すべきである。
【0131】
微粒子とファイバーの堆積は互いに独立しているので、微粒子のファイバに対する異なる比率を有する複合体を発生させることができる。我々は、過去に8〜15重量%のナノファイバーの充填を有する複合体を製造したが、この量に理論上の限界は存在しない。したがって、このような基板上への活性炭充填量は、92〜85重量%の範囲である。
【0132】
通常、このプロセスでは、取り扱いと傷をつけないためにスクリム上へナノファイバの非常に薄い層を堆積する工程と、それに続く、総合的な複合体のバルクを構成するナノファイバー/活性炭複合体を適用する工程を含む。最終段階において、ナノファイバだけの層の別の層を該複合体表面に堆積する。この表面と裏面のナノファイバだけの層は、我々が過去にその証拠を見たことがないような、微粒子の落下が全く無いように保持するのを助けるものである。また、表面と裏面のナノファイバだけの層は、複合体の微粒子効率を上げるのも助ける。本発明の構造は、ナノファイバー層、ナノファイバー/カーボン複合体層、ナノファイバーだけ層およびスクリムを含む。
【0133】
微粒子効率は、このタイプの媒体に対して形成されているエッジをもたらすキーパラメータの1つである。以下に、異なる坪量を有する2つのナノファイバー/活性炭複合体に対する微粒子効率データである。測定値は、平ならなシートサンプル上に10.5フィート/分の表面速度で、異なるサイズのDOP微粒子を使用して操作されたTSI3160自動フィルタ試験器を用いて記録した。
【0134】
【表6】

【0135】
この表は、異なる厚さを有する2つのナノファイバー複合体の微粒子効率を示す。
【0136】
上記表からわかるように、複合体の厚さを変えることによって、複合体の微粒子効率をうまく変えることができた。また、ナノファイバー/カーボン複合体の中央部に影響を与えること無しに、複合体の表面と裏面上のナノファイバー層の量を変えることによって、微粒子効率を変更することもまた可能である。さらに、所望の目標レベルまで微粒子効率を上げるために、一つまたはそれ以上のナノファイバーだけの層を中央の複合体内部に導入することが可能である。別の構造は、ナノファイバー層、ナノファイバー/カーボン複合体層、ナノファイバーだけの層およびスクリムを含むことができる。
【0137】
その上記と同様のこのナノファイバー複合体、この差は、微粒子効率増強ステージとして機能するナノファイバーカーボン複合体の中央にあるナノファイバーだけの層である。微粒子効率は、本発明に特有の1つの側面であるが、もう一つの側面は、ガス相からの汚染物質の化学吸着と除去である。異なるレベルのカーボン充填量の影響を理解するために、微粒子効率をテストした媒体Aと媒体Bはまた化学吸着能力のテストもした。この場合に、これらの媒体をトルエンに挑戦させた。結果は、図6に示すように、カーボン充填量の変化がこれらの媒体の破過時間と総合能力に影響することを示している。
【0138】
これらの媒体はひだ付き形態でテストしたのではなくらせん状に巻いた形態でテストしたものであり、したがって、曲線は、それが表すものだけを意図することに考慮すべきであり、呼吸マスクへの応用における実際の性能に対して考慮すべきものでないことに注意すべきである。
【0139】
図7は、トルエンの加速した破過テストにおいて、我々のファインファイバーマトリクスのウェブ中に配置された高表面積のヤシ殻カーボンの性能を示している。この物質に対して50ppmトルエンの効率の破過曲線は、初期効率と寿命の問題があることを示しているが、我々は、この問題が新しい設計と同様に流路の全長を増加させることによって克服することができると考えている。
【0140】
上記の仕様、実施例、およびデータは、本発明の組成物の製造および使用について完全に記載している。本発明の精神と範囲から逸脱せずに本発明の多くの実施例を作ることができるが、本発明は、本明細書の以下に添付されたクレーム中に銘記されている。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1A】、
【図1B】本発明のエレメントの端部を示す図であって、該エレメントが規則的な効率と活性とを提供するために不活性な媒体の層と結合した活性な媒体の層を有している図である。
【図2】らせん状に巻かれた媒体の端部を示す図であって、該媒体が複数の層の間隔をあけるためにプラスチックのメッシュスクリーンとともに巻かれた化学的なフィルタ物質を含んでいる図である。そのような構造は、ろ過特性がほとんどあるいは全く無いが、かなりの反応性吸着物あるいは反応性の能力を有する、媒体表面に沿った流れ構造である。
【図3】本発明の構造のアセンブリの断面図であって、アセンブリが化学的フィルタ物質とスペーサ層とを含み、化学的フィルタ物質がナノファイバー層内に分散された活性微粒子を有するナノファイバー層を含み、スペーサ媒体が流体がほとんど障害無しに構造を通過して流れることができるように構造内に十分な開いた容積を提供する層である図である。
【図4A】、
【図4B】微粒子の堆積をポリマー溶液からのファインファイバーの電界紡糸と組み合わせて本発明のファインファイバー層を形成するために使用する装置を示す図である。
【図5】空気中の不純物であるトルエン除去試験の試験装置を示す図である。
【図6】図5の装置のよる本発明のエレメントを使用した空気中の不純物であるトルエンの除去試験の結果を示す図である。
【図7】加速された破過テストにおいて、本ファインファイバーマトリクスのウェブ内に置かれた大きな表面積のヤシ殻カーボンの性能を示ず図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ基板と、実質的に連続したファインファイバーの層を有するファイバー層またはファイバーウェブとを含むフィルタ媒体であって、
ファイバーが約0.001〜5μmの直径を有して活性微粒子が前記ファイバー層またはファイバーウェブ中に分散されており、
前記活性微粒子は前記ファイバー層またはファイバーウェブの0.1〜50体積%であり、
前記ファイバー層またはファイバーウェブは約0.0001〜1cmの厚みと約0.1〜70%の固体性とを有し、
前記活性微粒子は、前記ファイバー層またはファイバーウェブの1平方メートル当たり約0.001〜10kg含まれていることを特徴とするフィルタ媒体。
【請求項2】
前記ファインファイバーの層は、熱処理されて多孔質膜を形成していることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項3】
前記固体性が約1〜50%であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項4】
前記フィルタ媒体は、流体が前記媒体を通過するろ過流路を有さずに、前記基板に対して平行な流路中を流れることができるような前記基板表面に沿った方向の流れを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項5】
前記ファイバは、約0.001〜0.5μmの直径を有することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項6】
前記ウェブは、最大10,000の性能指数を有することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項7】
前記ウェブは、約10〜1,000の性能指数を有することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項8】
前記ファイバーウェブの厚さは、前記ファイバーの直径の約1〜100倍であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項9】
前記ファインファイバーの層は、約5〜95重量%のファイバと、活性微粒子および不活性微粒子の両方を含む約95〜5重量%の微粒子とを含み、
前記ファインファイバーの層は、1平方メートルあたり1〜1000gの活性微粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項10】
前記ファインファイバーの層は、約30〜75重量%のファイバと、約70〜25重量%の活性微粒子の手段とを含み、
前記ファインファイバーの層は、1平方メートルあたり1〜1000gの活性微粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項11】
前記活性微粒子の手段は、約5000μm未満の主要寸法を有することを特徴とする請求項10に記載のフィルタ媒体。
【請求項12】
前記活性微粒子は、吸収性微粒子、吸着性微粒子、反応性微粒子、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項13】
前記活性微粒子は、約200μm未満の主要寸法を有することを特徴とする請求項12に記載のフィルタ媒体。
【請求項14】
前記活性微粒子は、約5〜200μmの主要寸法を有することを特徴とする請求項12に記載のフィルタ媒体。
【請求項15】
前記活性微粒子は、約0.05〜100μmの主要寸法を有することを特徴とする請求項12に記載のフィルタ媒体。
【請求項16】
前記活性微粒子は、約0.1〜70μmの主要寸法を有することを特徴とする請求項12に記載のフィルタ媒体。
【請求項17】
前記ウェブは、約1〜約50m・分-1のフラジール透過率と、単分散された0.78μmのポリスチレン微粒子を6.1m・分-1または20フィート・分-1の速度で使用するASTM1215-89試験において、約40〜約99.9999%の効率とを有することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項18】
前記フィルタ媒体の構造は、少なくとも約0.5μmの厚みを有するファインファイバの層を1つまたはそれ以上含み、
少なくとも1つの層は前記活性微粒子を含まず、少なくとも1つの層は各ファインファイバー層全体にわたって分散されている微粒子を有することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項19】
前記活性微粒子が吸収剤であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項20】
前記活性微粒子が吸着剤であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項21】
前記活性微粒子が、不活性微粒子および活性微粒子スペーサ手段の組合せであることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項22】
前記活性微粒子が実質的に球体であることを特徴とする請求項12に記載のフィルタ媒体。
【請求項23】
前記活性微粒子が実質的に無定形であることを特徴とする請求項12に記載のフィルタ媒体。
【請求項24】
前記活性微粒子が単分散されていることを特徴とする請求項12に記載のフィルタ媒体。
【請求項25】
前記活性微粒子が多分散されていることを特徴とする請求項12に記載のフィルタ媒体。
【請求項26】
前記ウェブは、前記活性微粒子スペーサ手段の分散中に傾斜を有することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項27】
前記ウェブは、前記ファイバの分散中に傾斜を有することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項28】
フィルタ媒体を有するエレメントであって、
前記フィルタ媒体は、対向する第1流れ面および第2流れ面を有するウェブと、複数の縦溝流路とを含み、
(i)前記複数の縦溝流路のそれぞれは、前記第1流れ面に隣接する開いている第1端部部分と、前記第2流れ表面に隣接する開いている第2端部部分とを有し、
(ii)前記フィルタ媒体は、ファインファイバーの層によって少なくとも部分的に被覆された基板を含み、前記ファインファイバーの層がファインファイバー層と前記ファインファイバー層中に分散された活性微粒子の手段とを有し、前記活性微粒子は前記ファインファイバー層の0.1〜50体積%であり、前記ファイバーは約0.001〜5μmの直径を有し、前記ファインファイバーの層は、0.5〜500μmの厚みと約0.1〜65%の固体性とを有し、
前記エレメントは、流体が前記基板に平行な流路中を流れることができるような、前記基板表面に沿った流路を含むことを特徴とするエレメント。
【請求項29】
前記ファインファイバーの層は、熱処理されて多孔質膜を形成していることを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項30】
前記第1端部部分で開いていて前記第2端部部分で閉じている複数の縦溝流路のうちから選択された縦溝流路と、前記第1端部部分で閉じていて前記第2端部部分で開いている複数の縦溝流路のうちから選択された縦溝流路とが、前記縦溝流路の層を通過する流体流路を提供することを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項31】
前記ファイバは、約0.001〜0.5μmの直径を有することを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項32】
前記ウェブは、100〜10,000の性能指数を有することを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項33】
前記ファイバーウェブの厚さは、前記ファイバーの直径の約1〜100倍であることを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項34】
前記ウェブは、約5〜95重量%のファイバと、活性微粒子および不活性微粒子の両方を含む約95〜5重量%の活性微粒子の手段とを含むことを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項35】
前記ウェブは、約30〜75重量%のファイバと、約70〜25重量%の活性微粒子の手段とを含むことを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項36】
前記活性微粒子の手段は、約5000μm未満の主要寸法を有することを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項37】
前記微粒子は、約200μm未満の主要寸法を有することを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項38】
前記微粒子は、約5〜200μmの主要寸法を有することを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項39】
前記微粒子は、約0.05〜100μmの主要寸法を有することを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項40】
前記微粒子は約0.1〜70μmの主要寸法を有することを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項41】
前記ウェブは、約1〜約50m・分-1のフラジール透過率と、単分散された0.78μmのポリスチレン微粒子を6.1m・分-1または20フィート・分-1の速度で使用するASTM1215-89試験において、約40〜約99.9999%の効率とを有することを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項42】
前記フィルタの構造は、少なくとも約0.5μmの厚みを有するファインファイバの層を1つまたはそれ以上含み、少なくとも1つの層は前記活性微粒子を含まず、少なくとも1つの層は各ファインファイバー層全体にわたって分散されている微粒子を有することを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項43】
前記微粒子が吸収剤であることを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項44】
前記微粒子が吸着剤であることを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項45】
前記微粒子が不活性微粒子および前記活性微粒子のスペーサ手段の組合せであることを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項46】
前記微粒子が実質的に球体であることを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項47】
前記微粒子が実質的に無定形であることを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項48】
前記微粒子が単分散されていることを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項49】
前記微粒子が多単分散されていることを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項50】
前記ウェブは前記活性微粒子スペーサ手段の分散中に傾斜を有することを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項51】
前記ウェブは前記不活性微粒子スペーサ手段の分散中に傾斜を有することを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項52】
前記ウェブは前記ファイバの分散中に傾斜を有することを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項53】
前記フィルタ媒体と前記複数の縦溝流路がフレーム構成物を形成し、前記フィルタ媒体と前記フレーム構成物は円形の断面を有することを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項54】
更に、パネル構造を含み、
前記フィルタ媒体は、支持体を有する前記パネル構造内に取り付けられていることを特徴とする請求項28に記載のエレメント。
【請求項55】
流体を濾過する方法であって、
(a)対向する第1流れ面および第2流れ面と、複数の縦溝流路とを有するフィルタ媒体に流体を送る工程を含み、
前記フィルタ媒体は、
(i)前記第1流れ面に隣接する第1端部部分と、前記第2流れ面に隣接する第2端部部分とを有する前記複数の縦溝流路のそれぞれと、
(ii)前記第1端部部分で開いていて前記第2端部部分で閉じている複数の縦溝流路のうちから選択された縦溝流路と、前記第1端部部分で閉じていて前記第2端部部分で開いている複数の縦溝流路のうちから選択された縦溝流路とを有し、
(iii)前記フィルタ媒体は、ファインファイバーの層によって少なくとも部分的に被覆された基板を含み、前記ファインファイバー層がファインファイバー層と前記ファインファイバー層中に分散された活性微粒子の手段とを有し、前記微粒子は前記ファインファイバー層の0.1〜50体積%であり、前記ファイバーは約0.001〜5μmの直径を有し、前記ファインファイバー層は、0.5〜500μmの厚みと約0.1〜65%の固体性とを有することを特徴とする方法。
【請求項56】
実質的に連続するファインファイバー層を熱処理して形成された溶融ファイバーウェブまたは多孔質膜を有するフィルタエレメントであって、
前記フィルタエレメントは、
約0.1〜20μmの厚みと約0.01〜2μmの細孔径と前記膜の約0.1〜50体積%である分散された活性微粒子とを有し、
前記活性微粒子は前記膜の1平方メートル当たり約0.001〜10kgであることを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項57】
前記フィルタエレメントは、流体が前記膜を通過する実質的なろ過流路を持たず前記膜に対して平行な流路中を流れることができるような前記膜表面に沿った方向の流れを有することを特徴とする請求項56に記載のフィルタエレメント。
【請求項58】
前記膜は、前記膜を通過する流れの流路を有することを特徴とする請求項56に記載のフィルタエレメント。
【請求項59】
前記膜の厚さは、最初の前記熱処理されたファイバー直径の約1〜100倍であることを特徴とする請求項56に記載のフィルタエレメント。
【請求項60】
前記エレメントは、ファインファイバー層の約5〜95重量%の質量と、活性微粒子、不活性微粒子、およびそれらの混合物を含む95〜5重量%の微粒子とを含み、前記層は1〜100g・m-2の微粒子を含むことを特徴とする請求項56に記載のフィルタエレメント。
【請求項61】
前記エレメントは、ファインファイバー層の約30〜75重量%の質量と、約70〜25重量%の活性微粒子とを含み、前記層は1〜1,000g・m-2の活性微粒子を含むことを特徴とする請求項56に記載のフィルタエレメント。
【請求項62】
前記活性微粒子は、約500μm未満の主要寸法を有することを特徴とする請求項56に記載のフィルタエレメント。
【請求項63】
前記微粒子は、吸収性微粒子、吸着性微粒子、反応性微粒子、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項56に記載のフィルタエレメント。
【請求項64】
前記微粒子は、約200μm未満の主要寸法を有することを特徴とする請求項56に記載のフィルタエレメント。
【請求項65】
前記微粒子は、約5〜200μmの主要寸法を有することを特徴とする請求項56に記載のフィルタエレメント。
【請求項66】
前記微粒子が無定形または非球体の微粒子であることを特徴とする請求項56に記載のフィルタエレメント。
【請求項67】
前記エレメントは2つまたはそれ以上の層を有し、1つの層は前記膜と第2の層とを有し、前記第2の層は実質的に微粒子を含まないことを特徴とする請求項56に記載のフィルタエレメント。
【請求項68】
前記第2の層がフィルタ基板を含むことを特徴とする請求項56に記載のフィルタエレメント。
【請求項69】
前記微粒子が単分散されていることを特徴とする請求項56に記載のフィルタエレメント。
【請求項70】
前記微粒子が多分散されていることを特徴とする請求項56に記載のフィルタエレメント。
【請求項71】
空気流れから湿気を除去する方法であって、
湿気を含む空気流れがフィルタエレメントを通過するまたは前記フィルタエレメント表面に沿って流れるように前記フィルタエレメントを配置する工程を有し、
前記フィルタエレメントは、
基板と、実質的に連続したファインファイバーの層を含む層とを含み、
前記ファインファイバーは、約0.001〜5μmの直径を有して活性微粒子が前記ファインファイバー層中に分散されており、
前記活性微粒子は前記ファイバー層の0.1〜50体積%であり、
前記ファイバー層は、約0.0001〜1cmの厚みと約0.1〜70%の固体性とを有し、
前記活性微粒子は、前記ファイバー層の約0.001〜10kg/m2含まれていることを特徴とする方法。
【請求項72】
前記フィルタエレメントは、容器の内部が前記容器の外部に対して実質的に減少した湿分で維持されるような前記容器の通気口中に配置されていることを特徴とする請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記容器が電子回路あるいは電子装置を収容する容器を含むことを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記電子回路あるいは電子装置は、有機発光ダイオードを含むことを特徴とする請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記電子回路あるいは電子装置は、ハードドライブを含むことを特徴とする請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記電子回路あるいは電子装置は、ディスプレイを含むことを特徴とする請求項73に記載の方法。
【請求項77】
電子装置のための可撓性のあるディスプレイであって、
点灯されたディスプレイと、湿気吸収層とを含み、
前記湿気吸収層が、
フィルタ基板と、実質的に連続したファインファイバーの層を含む層とを含み、
前記ファイバーは、約0.001〜5μmの直径と、前記ファインファイバーの層中に分散された活性な湿気吸収微粒子とを有し、
前記微粒子は前記層の0.1〜50体積%であり、
前記層は、約0.0001〜1cmの厚みと約0.1〜70%の固体性とを有し、
前記活性な湿気吸収微粒子は前記層の約0.001〜10kg/m2であることを特徴とするディスプレイ。

【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−526635(P2009−526635A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554447(P2008−554447)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/004130
【国際公開番号】WO2007/095363
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)
【Fターム(参考)】