説明

ファクシミリ装置並びにそのデータ転送システム及び方法

【課題】ネットワーク接続された複数台のファクシミリ装置が、互いに稼動率の低い装置を判別して、負荷の高い装置のデータを他の装置に転送して印刷を肩代わりするファクシミリ装置のデータ転送方法を提供する。
【解決手段】ファクシミリ装置1は、ネットワークに接続された他のファクシミリ装置2,3と通信を行うための情報を登録する機能と、ネットワークを介して自装置の稼動情報を登録済の他装置へ送信すると共に他装置の稼働状況を受信する機能と、ネットワークを介してFAXデータを送受信可能な機能と、受信したFAXデータを蓄積する記憶部とを備え、FAXデータを受信すると、自装置の稼動情報を収集して印刷不可の場合、他の装置の稼動状態を確認して印刷可能な装置が存在すれば、その装置に対してFAXデータを転送し、自装置が印刷可の場合又は他の印刷可能な装置が存在しない場合、FAXデータを記憶部13に蓄積する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のファクシミリ装置をネットワーク接続したシステムにおいて、負荷の高い装置のデータを他の装置に転送して印刷を肩代わりするファクシミリ装置のデータ転送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数台のファクシミリ装置を利用している場合、各装置は独立して動作しているため、1台の装置の負荷が高くなっても負荷を軽減する手段がなく文書が印刷されるまでに時間がかかっていた。また、データを受信した装置が用紙切れやその他の障害の発生によって印刷ができない状態になった場合、印刷不可の要因を取り除くまで蓄積された文書の印刷が全くできなかった。
【0003】
複数の装置が同一のネットワーク上で稼動している状態では、1台の装置に負荷が集中してデータの印刷効率が悪くなる。また、1台の装置で問題が発生した場合に装置内のデータを印刷する手段がなくなってしまう。
【0004】
このため、受信したファクシミリデータを印刷可能でない場合に、登録された転送先情報に基づいて代替転送して出力することができるファクシミリ装置のデータ転送方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−83714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の代替転送では、予め登録された代替転送先情報に基づくため、転送先装置がどのような状態であるか分からない。
【0006】
そこで本発明は、複数台のファクシミリ装置がネットワーク上で装置の稼動情報をお互いに送受信して稼動率の低い装置を自動的に判別し、負荷の高い装置のデータを他の装置に転送して印刷を肩代わりすることによって、印刷の待ち時間を減らすことを可能とするファクシミリ装置並びにそのデータ転送システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、本発明は、所定の電話回線と所定のネットワークに接続され、同じネットワーク上に接続された他のファクシミリ装置と通信を行うための情報(IPアドレス、装置名称、識別子等)を登録するための登録機能と自装置の稼動情報(メモリ使用量、用紙切れ、その他印刷可否に関する情報)を登録済の他装置へ送信する送信機能、及びネットワークを介してFAXデータを送受信可能な機能を有するファクシミリ装置を複数台接続したシステムにおいて、1台の装置で負荷が増大したり印刷不可となる問題が発生した場合に、同じネットワークに接続された他の装置の稼働率、印刷可否の情報を共有することによって、稼働率の低い装置に対して受信データを自動的に転送して印刷処理を行わせ、印刷作業の効率化を図ることを特徴とする。
【0008】
以上の構成によって、複数台のファクシミリ装置がネットワーク上で装置の稼動情報をお互いに送受信して、稼動率の低い装置を自動的に判別し、負荷の高い装置のデータを転送して印刷を肩代わりすることによって、印刷の待ち時間を減らすことが可能となる。
【0009】
更に、データを受信した装置が用紙切れや障害等で印刷不可の状態になった場合でも蓄積されているデータを別の装置に転送することで印刷できない状態を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1台の装置が印刷部のトラブルによって印刷できない状況になっても残ったデータを特に人の手を介さずに別の装置で印刷することができる。その理由は、自装置が印刷できない状態であれば自装置内のデータを自動的に別の装置に転送して印刷を行えるからである。
【0011】
また、1台の装置に多数のデータが溜まって印刷を待ち続けることがなくなる(1台に負荷が集中しなくなる)。その理由は、装置に蓄積されたデータが一定量を超えると装置が自動的に他の装置にデータを送って印刷を行うことが可能となるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明のシステム構成例を示す。電話回線と構内ネットワーク(LAN)に接続されたファクシミリ装置1と同じLANに接続されたファクシミリ装置2及びファクシミリ装置3によって構成されたシステムにおいて、各相装置には、予め互いのIPアドレス、装置識別子が登録されている。ファクシミリ装置1は、電源投入されると、ファクシミリ装置2及びファクシミリ装置3に対して自装置の稼動情報を通知する。この場合、ファクシミリ装置2及びファクシミリ装置3がまだ起動状態ではない場合、ファクシミリ装置1は、自装置の情報送信を行わない。
【0014】
同様にファクシミリ装置2は、電源投入時ファクシミリ装置1及び3に自装置の状態を送信し、ファクシミリ装置3は、ファクシミリ装置1及びファクシミリ装置2に自装置の情報を送信する。以後、各装置は、自装置の状態が変化した場合に他の装置に稼動情報を送信する。
【0015】
ファクシミリ装置1は電話回線からFAXデータを受信し、内臓のメモリに蓄積する際、自装置の稼動状態(印刷可能な状態か、データの蓄積量が一定量を超えていないか等)を自装置の情報を保存している領域を参照することによって確認する。データの蓄積量が一定の量を超えていた場合、ファクシミリ装置1は、ファクシミリ装置2及び3の稼動状態を他装置の稼動状態を保存しているリスト領域から参照する。ファクシミリ装置2で印刷を行える状態であることを確認した場合、ファクシミリ装置1は、受信したデータをファクシミリ装置2に対して転送する。
【0016】
ファクシミリ装置2は、LANを介してデータを受信し、印刷を行う。現在印刷中のデータがある場合は、内部にデータを蓄積し、印刷可能状態になるまで待つ。
【0017】
図2は、ファクシミリ装置の内部構成を示す。ファクシミリ装置1は、電話回線からFAXデータを受信するためのモデム30と、受信データの管理と装置情報の確認、送信判断を行う制御装置10と、受信したデータを印刷する印刷装置50と、構内ネットワークと接続するためのLANデバイス70と、タッチパネルなどユーザ操作による登録情報の入力を行うための入力装置90とから構成される。
【0018】
図3は、ファクシミリ装置の制御装置10の内部構成を示す。ファクシミリ装置1において、ファクシミリ装置2及びファクシミリ装置3と通信するための情報は、ユーザによって入力され、入力装置90から制御部20の登録情報入力部18へ通知される。登録情報入力部18は、通知された情報を記憶部13の他装置情報リスト16に格納する。自装置の情報を送信する場合は、他装置情報リスト16に登録された装置に対して送信を行う。
【0019】
ファクシミリ装置1では、モデム30によって電話回線から受信されたFAXデータは、受信部11aで受信され、データ制御部19に送られる。データ制御部19では、装置状態監視部17を使用して自装置の稼動状況を確認する。装置状態監視部17は、記憶部13にある自装置稼動情報15を参照し、装置の状態をデータ制御部19へ報告する。
【0020】
データ制御部19は、装置の状態から正常に印刷可能であると判断した場合は、データ蓄積部14に受信データを格納する。データ制御部19は、データ蓄積部14を検索し、蓄積されたデータがある場合、データを取り出して、印刷部21へ送る。印刷部21は、受け取ったデータを印刷装置50へ送って印刷を実行する。
【0021】
データ制御部19は、自装置稼動情報15を参照し、装置のメモリ使用量が一定量を超えていた場合、他装置情報リスト16に登録されたファクシミリ装置2のIPアドレス情報を取得する。また、自装置稼動情報15に格納されている自装置の稼動情報を取り出し、送信部12を通してファクシミリ装置2へ自装置の情報を送信する。同様にファクシミリ装置3へも、ファクシミリ装置1の装置情報を送信する。
【0022】
次に他装置情報リスト16からファクシミリ装置2の稼動状況を確認する。ファクシミリ装置2のメモリ使用量が低く、正常に印刷を行うことができる場合、送信部12からLANデバイス70を介してデータをファクシミリ装置2へ転送する。
【0023】
ファクシミリ装置2では、受信部11bによって転送データを受信し、装置状態監視部17を使用してファクシミリ装置2における自装置稼動情報15を参照する。自装置の稼動率が低いことを確認した後、受信したデータを印刷部21に送って印刷を実行する。
【0024】
ファクシミリ装置1のデータ制御部19は、自装置稼動情報15を参照し、装置が用紙切れ、または障害が発生して印刷が実行できない状態の場合、上述と同様に他装置情報リスト16からファクシミリ装置2の稼動状況を確認する。
【0025】
ファクシミリ装置2が印刷可能な状態である場合、ファクシミリ装置1は送信部12からLANデバイス70を介してデータをファクシミリ装置2へ転送する。この時、ファクシミリ装置1は、全蓄積データをファクシミリ装置2へ転送を行う。
【0026】
次に図4に示すフローチャートを参照して、データを受信した際の処理について説明する。モデムからFAXデータを受信した際(S1)、自装置の稼動情報を収集する(S2)。メモリ使用量が大きい、または印刷不可のアラームが発生している場合(S3でYES)、自装置の情報を既に通知済であれば(S4でYES)、他の装置の稼動状態を確認し(S6)、印刷可能な装置が存在すれば(S7でYES)、印刷可能な装置に対してデータを転送する(S8)。
【0027】
自装置の情報が通知済でない場合(S4でNO)、自装置の情報を予め登録されている他の装置に対して送信し(S5)、その後、他装置の状況を確認する(S6)。印刷可能な装置が存在した場合(S7でYES)、印刷可能な装置に対してデータを転送する(S8)。印刷可能な装置が存在しない場合(S7でNO)、記憶部にデータの蓄積を行い処理を終了する(S9)。
【0028】
メモリ使用量が少なく、印刷不可の状態でもない場合(S3でNO)、記憶部にデータを蓄積し、処理を終了する(S9)。印刷処理は、別のプロセスとして動作している蓄積データの印刷処理で行う。
【0029】
次に図5に示すフローチャートを参照して、蓄積データの印刷処理について説明する。記憶部に蓄積データがある場合(S11でYES)、データの印刷を実行する(S12)。印刷が正常に終了した場合(S13でYES)、再びステップS11へ戻って蓄積データがあるか確認する。
【0030】
蓄積データがない場合(S11でNO)、自装置の情報を確認する(S19)。自装置の情報を既に他装置に通知済の場合(S20でYES)、処理を終了する。情報を未通知の場合(S20でNO)、自装置の情報を登録済の他装置(実施例におけるファクシミリ装置2、ファクシミリ装置3)へ通知する(S21)。
【0031】
印刷が異常終了した場合(S13でNO)、自装置の稼動情報を更新する(アラーム情報をセットする)(S14)。次に自装置の稼動状況を登録済の装置に送信する(S15)。更に他の装置の稼動状況を確認し(S16)、印刷可能な装置が存在する場合(S17でYES)、印刷可能状態の装置にデータを転送する(S18)。印刷可能な装置が存在しない場合(S17でNO)、処理を終了する。この場合、従来のアラーム発生時の処理となる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
ネットワーク接続機能を持つファクシミリ装置、あるいはファクス、プリンタ、スキャナの機能を持つ複合機に本発明を適用できる。特にオフィス等において、ファクシミリ装置あるいは複合機をネットワークに複数台接続して利用する環境に適用して好適である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のシステム構成図である。
【図2】ファクシミリ装置の内部構成図である。
【図3】ファクシミリ装置の制御装置の内部構成図である。
【図4】データ受信時の処理を示すフローチャートである。
【図5】蓄積データの印刷処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
1,2,3 ファクシミリ装置
10 制御装置
11 受信部
12 送信部
13 記憶部
14 データ蓄積部
15 自装置稼動情報
16 他装置情報リスト
17 装置状態監視部
18 登録情報入力部
19 データ制御部
20 制御部
21 印刷部
30 モデム
50 印刷装置
70 LANデバイス
90 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク接続されたファクシミリ装置において、
前記ネットワークに接続された他のファクシミリ装置と通信を行うための情報を登録する機能と、
前記ネットワークを介して自装置の稼動情報を登録済の他装置へ送信すると共に前記他装置の稼働状況を受信する機能と、
前記ネットワークを介してFAXデータを送受信可能な機能と、
受信したFAXデータを蓄積する記憶部とを備え、
FAXデータを受信すると、自装置の稼動情報を収集して印刷不可の場合、他の装置の稼動状態を確認して印刷可能な装置が存在すれば、その装置に対して前記FAXデータを転送し、
自装置が印刷可の場合又は他の印刷可能な装置が存在しない場合、前記FAXデータを前記記憶部に蓄積することを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
前記記憶部に蓄積されたFAXデータの印刷を実行して印刷が異常終了した場合、自装置の稼動情報を更新し、その更新した自装置の稼動情報を登録済の他の装置に送信すると共に他の装置の稼動状況を確認し、印刷可能な装置が存在する場合、その装置にデータを転送することを特徴とする請求項1記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
複数のファクシミリ装置をネットワーク接続したシステムにおいて、
前記複数の各ファクシミリ装置は、前記ネットワークに接続された他のファクシミリ装置と通信を行うための情報を登録する機能と、
前記ネットワークを介して自装置の稼動情報を登録済の他装置へ送信すると共に前記他装置の稼働状況を受信する機能と、
前記ネットワークを介してFAXデータを送受信可能な機能と、
受信したFAXデータを蓄積する記憶部とを備え、
FAXデータを受信すると、自装置の稼動情報を収集して印刷不可の場合、他の装置の稼動状態を確認して印刷可能な装置が存在すれば、その装置に対して前記FAXデータを転送し、
自装置が印刷可の場合又は他の印刷可能な装置が存在しない場合、前記FAXデータを前記記憶部に蓄積することを特徴とするファクシミリ装置のデータ転送システム。
【請求項4】
前記複数の各ファクシミリ装置は、前記記憶部に蓄積されたFAXデータの印刷を実行して印刷が異常終了した場合、自装置の稼動情報を更新し、その更新した自装置の稼動情報を登録済の他の装置に送信すると共に他の装置の稼動状況を確認し、印刷可能な装置が存在する場合、その装置にデータを転送することを特徴とする請求項3記載のファクシミリ装置のデータ転送システム。
【請求項5】
ネットワークに接続された他のファクシミリ装置と通信を行うための情報を登録する機能と、前記ネットワークを介して自装置の稼動情報を登録済の他装置へ送信すると共に前記他装置の稼働状況を受信する機能と、前記ネットワークを介してFAXデータを送受信可能な機能と、受信したFAXデータを蓄積する記憶部とを備えたファクシミリ装置を複数台ネットワーク接続したシステムにおいて、
前記ファクシミリ装置は、FAXデータを受信すると、自装置の稼動情報を収集して印刷不可の場合、他の装置の稼動状態を確認し、印刷可能な装置が存在すれば、その装置に対して前記FAXデータを転送し、
自装置が印刷可の場合又は他の印刷可能な装置が存在しない場合、前記FAXデータを前記記憶部に蓄積することを特徴とするファクシミリ装置のデータ転送方法。
【請求項6】
前記ファクシミリ装置は、前記記憶部に蓄積されたFAXデータの印刷を実行して印刷が異常終了した場合、自装置の稼動情報を更新し、その更新した自装置の稼動情報を登録済の他の装置に送信すると共に他の装置の稼動状況を確認し、印刷可能な装置が存在する場合、その装置にデータを転送することを特徴とする請求項5記載のファクシミリ装置のデータ転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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