説明

ファクシミリ装置

【課題】装置本体の上面に操作パネルと原稿セット部とを有し、該装置本体の後面に給紙トレイと給紙口を有するファクシミリ装置において、給紙トレイをファクシミリ装置本体の防塵カバーとしても用いることにより、低コストで確実な防塵機能を有するファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】ファクシミリ装置は、給紙トレイ13は、装置本体10の後面101を覆う大きさの下方部130と、装置本体10の上面100を覆う大きさの上方部131とに2分割され、下方部130の下端を装置本体10に回動可能に軸支する第1の回動軸132と、下方部130と上方部131との間を回動可能に軸支する第2の回動軸133と、下方部130と上方部131を同一平面に位置させ装置本体10から傾いた状態で上方に突出した状態に保持するストッパー134と、を備え、前記第1の回動軸132により前記給紙トレイ13を装置本体10に軸支してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体の上面に操作パネルと原稿セット部とを有し、該装置本体の後面に給紙トレイと給紙口を有するファクシミリ装置において、防塵対策を施したファクシミリ装置に関するものであり、特に、ファクシミリ装置の本体の後面(背面部)に設ける給紙トレイを2分割構造として、ファクシミリの送受信機能を用いない時に、前記給紙トレイを折り畳み装置本体の操作パネル面を覆うようにしたファクシミリ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の家庭用ファクシミリ装置としては種々のコンパクトな構造の装置が提供されている。例えば、下記の特許文献1(特開2001−119507号公報)に開示されたファクシミリ装置がある。この特許文献1に開示された従来のファクシミリ装置は、上面部にパネル部を有する開閉カバーを備え、後面部に給紙トレイを備えている。
【0003】
パネル部はダイヤルキー、操作案内ボタン、コピーボタン、留守番ボタン、表示部等が設けられている。開閉カバーは、回動軸によって本体に対して回動自在に取り付けられ、回動軸を軸として先端が上下に本体から離れるようになっている。そして、開閉カバーは、開いた上体でファクシミリ装置内部のメンテナンス等が行えるようにしている。開閉カバーを閉じた状態ではラッチ部によってその状態が保持されている。この開閉カバーが閉じられ保持された状態でパネル部上のボタン、キーなどを操作しFAX機能を達成するようになっている。
【特許文献1】特開2001−119507号公報(段落[0021]〜段落[0033]、段落[0049]〜段落[0052])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術のファクシミリ装置においては、上方を向いたパネル部が常に露出しているため、塵埃の付着、ボタン、キー等の隙間からの塵埃の進入を防止することができなかった。そこで、防塵カバーを用いることも考えられているが、本体から大きく突出している給紙トレイをも同時に覆うことになり、大きな防塵カバーを必要とするために実用化されていない。
【0005】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、ファクシミリ装置の本体の後面(背面部)に設ける給紙トレイを2分割構造として、ファクシミリの送受信機能を用いない時に、前記給紙トレイを折り畳み装置本体の操作パネル面を覆うようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到して、本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、給紙トレイをファクシミリ装置本体の防塵カバーとしても用いることにより、低コストで確実な防塵機能を有するファクシミリ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
装置本体の上面に操作パネルと原稿セット部とを有し、該装置本体の後面に給紙トレイと給紙口を有するファクシミリ装置において、
前記後面を覆う大きさの下方部と前記上面を覆う大きさの上方部とに2分割されて形成された前記給紙トレイと、
前記下方部の下端を前記給紙口の下側において前記装置本体に回動可能に軸支する第1の回動軸と、
前記下方部と前記上方部との間を回動可能に軸支する第2の回動軸と、
前記下方部と上方部を同一平面に位置させ、前記装置本体から傾いた状態で上方に突出した状態に保持するストッパーと、を備え、
前記第1の回動軸により前記給紙トレイを装置本体に軸支してなることを特徴とする。
【0008】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるファクシミリ装置において、前記上方部は、前記操作パネルの表示部に対向する位置に透明窓を有することを特徴とする。
【0009】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1又は請求項2にかかるファクシミリ装置において、前記下方部の側縁に設けられた用紙ガイド用突起と、前記装置本体に設けられた前記用紙ガイド用突起が嵌合する凹部とを有すること特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上述した解決手段により以下に述べるとおりの優れた効果を奏する。
【0011】
即ち、本願の請求項1にかかる発明のファクシミリ装置においては、装置本体の上面に操作パネルと原稿セット部とを有し、該装置本体の後面に給紙トレイと給紙口を有するファクシミリ装置において、前記後面を覆う大きさの下方部と前記上面を覆う大きさの上方部とに2分割されて形成された前記給紙トレイと、前記下方部の下端を前記給紙口の下側において前記装置本体に回動可能に軸支する第1の回動軸と、前記下方部と前記上方部との間を回動可能に軸支する第2の回動軸と、前記下方部と上方部を同一平面に位置させ、前記装置本体から傾いた状態で上方に突出した状態に保持するストッパーと、を備え、前記第1の回動軸により前記給紙トレイを装置本体に軸支した。
【0012】
このような構成によれば、2分割された前記給紙トレイの下方部が第1の回動軸によって回動して前記後面を覆い、上方部が第2の回動軸によって回動して前記上面を覆うことができるので、給紙トレイを使用しないときには、防塵のためのカバーとすることができる。そのため、請求項1の発明は専用のカバーを用意する必要がなく低コストで防塵効果を得ることができる。また、装置本体には突出する給紙トレイがなくなり全体的にコンパクトになる。
【0013】
また、請求項1の発明においては、ファクシミリ機能を使用するため給紙を行うときには、前記下方部と上方部とを前記装置本体の後方に回動させることができる。この回動動作は前記ストッパーによって停止され、下方部と上方部とが同一平面になって傾いた状態で前記装置本体から突出して保持され、用紙を装填できる状態に変更できる。そのため、給紙を必要とするときには、下方部と上方部とを回動させるだけの簡単な操作で給紙トレイを形成することができる。
【0014】
また、本願の請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるファクシミリ装置によれば、前記給紙トレイの上方部で前記上面を覆って防塵用カバーとして用いているときに、前記透明窓を通して表示部の表示状態を監視することができる。従って、請求項2の発明によれば給紙トレイの使用以外の際の表示状態がカバーをした状態であっても監視できるようになる。
【0015】
また、本願の請求項3にかかる発明においては、請求項1又は請求項2にかかるファクシミリ装置において、前記下方部が前記後部を覆うように回動されたときに、前記下方部に設けられた前記用紙ガイド用突起は前記装置本体に設けられた凹部に嵌合する。そのため、前記下方部は前記後面に密着して確実な防塵効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのファクシミリ装置を例示するものであって、本発明をこのファクシミリ装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のファクシミリ装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は実施例におけるファクシミリ装置のFAXとしての使用状態を示す斜視図、図2は実施例におけるファクシミリ装置にカバーを施した状態を示す斜視図、図3は図2におけるファクシミリ装置の側面図である。
ファクシミリ装置1は、画像読取り機構、紙送り機構、印刷機構、回路基板等を内蔵した装置本体10と、装置本体10の上面100に設けた操作パネル部11と、装置本体10の上面100の後方寄りに設けた原稿セット部12と、装置本体10の傾斜した後面101に設けた給紙トレイ13と、装置本体10の前面102に設けた原稿排出口14と、装置本体10に接続されたハンドセット15と、ハンドセット15を不使用時に載置しておくための装置本体10の側方前面に設けたハンドセット用載置部16とから形成されている。また、後面101には、給紙口17と、給紙口17の上方に隣接して原稿排出口(図示せず)が設けられている。
【0018】
給紙トレイ13は、後面101を覆う大きさの下方部130と上面100を覆う上方部131とに2分割されている。下方部130は、後面101に形成された給紙口17の下側において下端が第1の回動軸132で回動可能に軸支されている。また、下方部130と上方部131との間は回動可能に第2の回動軸133によって軸支され、2つ折になるように連結されている。
【0019】
給紙トレイ13は、下方部130と上方部131とが同一平面状になっているときは装置本体10から離れて後方に傾き、用紙(図示せず)が装填可能になっている。そして、この状態が保持されるために、第1の回動軸132、第2の回動軸133部分にはストッパー134が設けられている。
【0020】
上方部131には、操作パネル部11の液晶パネルからなる表示部110、留守録表示用LEDを有する留守録用ボタン111に対向した位置に透明窓135が設けられている。また、上方部131の上縁中央には摘み136が設けられている。下方部分130の両側縁には、用紙ガイド用突起137が設けられている。この用紙ガイド用突起137に対向する装置本体10には、用紙ガイド用突起137が嵌合する凹部138が設けられている。
【0021】
上述した本発明の実施例によるファクシミリ装置の動作を説明する。FAXの使用の際は、図1に示すように、下方部130と上方部131を夫々第1の回動軸132、第2の回動軸133を中心として装置本体10から離れるように後方に回動させる。下方部130はストッパー134によって停止されるまで回動して装置本体10に対し後方に傾いた状態で保持される。上方部131は同じくストッパー134によって停止されるまで回動して下方部130と同一平面に位置された状態で保持される。
【0022】
この状態において、装置本体10の後方に給紙トレイ13が形成される。そして、給紙トレイ13には用紙を用紙ガイド用突起137によってガイドして装填することができる。
【0023】
FAXの受信の際は、FAX信号が受信されると給紙トレイ13に装填されている用紙が給紙口17を介して装置本体10内に送られ、印刷されて用紙排出口から排出される。FAXの送信の際は、原稿を原稿セット部12にセットし、操作パネル11を操作してFAX送信モードに設定し送信先の電話番号を入力する。原稿は装置本体10内に送られ原稿の読取りがなされてから原稿排出口14より排出される。
【0024】
電話による通話の場合は、ハンドセット15を用いることにより送受信が可能となる。また、子機を有する場合は、子機を使用して通話を行うことができる。
【0025】
次に、図2、図3で示すように、ファクシミリ装置1を使用しない場合について説明する。すなわち、ファクシミリ機能を使用しない場合、下方部130を第1の回動軸132により装置本体10方向に回動させる。この回動によって、用紙ガイド用突起137は凹部138内に嵌合する。そして、下方部130は後面101に密着しこれを覆う。更に、上方部131は第2の回動軸133により下方部130に対して前方に回動させ装置本体10の上面100を覆う。
【0026】
ファクシミリ装置1は、ハンドセット15を用いて電話機能を達成するようになっているだけでなく、子機を備えていることが一般的である。そこで、FAXとして用いずもっぱら子機による通話として活用する場合がある。この場合は、装置本体10を下方部130と上方部131とによって覆っておく。この場合、装置本体10側においては、表示部110、留守録用ボタン111が上方部131で覆われていても透明窓135を通じて視認可能となる。従って、子機による使用状況がファクシミリ装置1の装置本体10側において監視することができる。
【0027】
上述した本発明の実施例によれば、ファクシミリ装置1において2分割された給紙トレイ13の下方部130が第1の回動軸132によって前方に回動して後面101を覆い、上方部131が第2の回動軸133によって回動して上面100を覆うことができるので、給紙トレイ13を使用しないときには、防塵のためのカバーとすることができる。
【0028】
そして、下方部130が後部101を覆うように回動されたときに、下方部130に設けられた用紙ガイド用突起137は装置本体10に設けられた凹部138に嵌合する。そのため、下方部130は後面101に密着して防塵効果を確実なものとする。また、上方部131で上面100を覆って防塵用カバーとして用いているときに、透明窓135を通して表示部110、留守録用ボタン111の表示状態を監視することができる。そのため、子機による電話として用いているときに、装置本体1側においても表示部分を直接に監視することにより子機の使用状態を把握できる。
【0029】
一方、給紙を行うときには、下方部130と上方部131とを装置本体10の後方に回動させる。この回動動作はストッパー134によって停止され、下方部130と上方部131とが同一平面になって傾いて装置本体10から突出して保持され、用紙を装填できる状態に変更できる。
【0030】
尚、本発明の実施例においては、上方部131に透明窓135を設けて表示部110、留守録用ボタン111を視認可能にしたが、本発明においてはこれに限定されることなく上方部131の全面を透明にして操作パネル部11全体を視認可能にしてもよい。また、透明窓135は、表示部110、留守録用ボタン111以外のボタン等に対向する位置に設けてもよく、表示部110にのみ対向する位置に設けるようにしてもよい。
【0031】
尚、また、本発明の実施例においては、原稿排出口14を前面102に設け、用紙排出口を後面101に設けたが、本発明はこれに限定されることなく必要に応じて他の面に設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例におけるファクシミリ装置のFAXとしての使用状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例におけるファクシミリ装置のカバーをした状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の図2におけるファクシミリ装置の側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1・・・・・・ファクシミリ装置
10・・・・・装置本体
11・・・・操作パネル部
12・・・・原稿セット部
13・・・・給紙トレイ
14・・・・原稿排出口
15・・・・ハンドセット
16・・・・ハンドセット用搭載置部
17・・・・給紙口
100・・・上面
101・・・後面
102・・・前面
110・・・表示部
111・・・留守録用ボタン
130・・・下方部
131・・・上方部
132・・・第1の回動軸
133・・・第2の回動軸
134・・・ストッパー
135・・・透明窓
136・・・摘み
137・・・用紙ガイド用突起
138・・・凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の上面に操作パネルと原稿セット部とを有し、該装置本体の後面に給紙トレイと給紙口を有するファクシミリ装置において、
前記後面を覆う大きさの下方部と前記上面を覆う大きさの上方部とに2分割されて形成された前記給紙トレイと、
前記下方部の下端を前記給紙口の下側において前記装置本体に回動可能に軸支する第1の回動軸と、
前記下方部と前記上方部との間を回動可能に軸支する第2の回動軸と、
前記下方部と上方部を同一平面に位置させ、前記装置本体から傾いた状態で上方に突出した状態に保持するストッパーと、を備え、
前記第1の回動軸により前記給紙トレイを装置本体に軸支してなることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
前記上方部は、前記操作パネルの表示部に対向する位置に透明窓を有することを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記下方部の側縁に設けられた用紙ガイド用突起と、前記装置本体に設けられた前記用紙ガイド用突起が嵌合する凹部とを有すること特徴とする請求項1又は請求項2に記載のファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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