説明

ファクシミリ装置

【課題】
発呼トーンの受信設定が手動受信に設定されているファクシミリ装置において、ファックス装置に詳しくないユーザが発信側のファクシミリ装置からの呼出音に対して応答したとしても、発信側と着信側とのファクシミリ装置間での通信エラーの発生を防止することが可能なファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】
手動受信を行うファクシミリ装置において、音声通信を媒介する受話器と、着信を検出する着信検出部と、ユーザによる受話器のフックアップを検出するフック検出部と、ファックス信号を送受信するファックス信号送受信部と、音声メッセージを送出する音声メッセージ送出部と、ファックス通信を制御する通信制御部とを備え、通信制御部は、着信が検出され、受話器のフックアップが検出され、ファックス信号の受信が検出された後、音声メッセージ制御部による音声メッセージの送出を受話器を介して行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動受信機能を有するファクシミリ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のファクシミリ装置においては、ITU−T(International Telecommunication Union)T.30勧告(非特許文献1)にもあるように、発信側であるファクシミリ装置は、自動ダイアルが終了した後、自装置が非音声端末であることを示す発呼トーンであるCNG信号(Calling Tone信号)を着信側のファクシミリ装置に対して送信していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ITU−T(International Telecommunication Union)T.30勧告
【0004】
CNG信号とは、0.5秒間オンの後、3.0秒間オフとなる1100Hzのトーン信号であり、着信側のファクシミリ装置は、当該CNG信号を受信することにより、発信側のファクシミリ装置が非音声端末であると識別することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発呼トーン(CNG信号)の受信設定が手動受信に設定されている着信側のファクシミリ装置において、ファックス装置に詳しくないユーザが発信側からの呼出音に対して受話器を取ったとしても、受話器からは発呼トーン(CNG信号)のみが聞こえるだけであり、それが発信側のファクシミリ装置から送信された発呼トーン(CNG信号)であることを理解できないため、そのまま受話器を戻してしまい、発信側と着信側とのファクシミリ装置間で通信エラーが発生するといった問題があった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、発呼トーン(CNG信号)の受信設定が手動受信に設定されているファクシミリ装置において、ファックス装置に詳しくないユーザが発信側のファクシミリ装置からの呼出音に対して応答したとしても、発信側と着信側とのファクシミリ装置間での通信エラーの発生を防止することが可能なファクシミリ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るファクシミリ装置は、手動受信を行うファクシミリ装置において、音声通信を媒介する受話器と、着信を検出する着信検出部と、ユーザによる前記受話器のフックアップを検出するフック検出部と、ファックス信号を送受信するファックス信号送受信部と、音声メッセージを送出する音声メッセージ送出部と、ファックス通信を制御する通信制御部とを備え、前記通信制御部は、前記着信検出部により前記着信が検出され、前記フック検出部により前記受話器のフックアップが検出され、前記ファックス信号送受信部により前記ファックス信号の受信が検出された後、前記音声メッセージ制御部による前記音声メッセージの送出を前記受話器を介して行わせる制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発呼トーン(CNG信号)の受信設定が手動受信に設定されているファクシミリ装置において、ファックス装置に詳しくないユーザが発信側のファクシミリ装置からの呼出音に対して応答したとしても、発信側と着信側とのファクシミリ装置間での通信エラーの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態の利用形態の一例を説明する図である。
【図2】FAX(受信機)の構成を説明するための概略構成図である。
【図3】FAX(受信機)の通信装置の構成を説明するための概略構成図である。
【図4】第1の実施形態にかかる制御部の構成を説明する図である。
【図5】通信制御部による処理動作を説明するフローチャートである。
【図6】第1の実施形態を説明するシーケンス図である。
【図7】第2の実施形態にかかる制御部の構成を説明する図である。
【図8】通信制御部による処理動作を説明するフローチャートである。
【図9】第3の実施形態にかかる制御部の構成を説明する図である。
【図10】通信制御部による処理動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態の利用形態の一例を説明する図である。本利用形態においてはFAX(送信機)1は、着信局としてのFAX(受信機)3に対してファクシミリデータを回線5を介して自動送信する発信局として機能する。交換機2は、例えば、公衆電話網やローカル電話網等の交換回線網である。FAX(受信機)3は、FAX(送信機)1から送信されるCNG信号を手動で受信するように設定されており、FAX(送信機)1からの呼出音に対してユーザが接続されたTEL4の受話器を取る(以下、フックアップと称する)ことによりCNG信号を受信することができる。
【0012】
図2は、本発明が適用されたFAX(受信機)3の構成を説明するための概略構成図である。FAX(受信機)3は、CPU(Central Processing Unit)10と、ROM(Read Only Memory)11と、RAM(Random Access Memory)13と、読取装置14と、印刷装置15と、通信装置16と、操作パネル17と、を備え、これらの部材は、システムバス11を介して接続されている。
【0013】
CPU10は、システムバス11を介してFAX(受信機)3全体を統括的に制御する中央演算装置であり、ROM12に格納された制御プログラム等のソフトウェアを実行することにより、その機能を実現する。
【0014】
システムバス11は、CPU10と以下に説明する各部材とを接続する信号線である。
【0015】
ROM12は、CPU10が実行する制御プログラム等のソフトウェアを予め格納する不揮発性の記憶装置である。
【0016】
RAM13は、CPU10による制御プログラムの実行時に発生するデータを一時的に格納するといった、CPU10のワーキングエリアとして機能する。
【0017】
読取装置14は、例えば、光源、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、又はレンズ等を備え、原稿上に形成された画像を読み取り、読み取った画像に基づくドットイメージデータを生成するスキャナ装置である。
【0018】
印刷装置15は、例えば、電子写真方式、感熱記録方式等の印刷エンジンを備えたプリンタ装置であり、ファクシミリ通信で受信した画像データ等をハードコピーとして出力する。
【0019】
通信装置16は、例えば、モデムやNCU(Network Control Unit)等を備え、ファクシミリ伝送制御手順による手順データや、画像データ等を変復調する。また、通信装置16は、回線18との接続、又は開放を制御することで、FAX(送信機)1とのファクシミリ通信を制御する。
【0020】
操作パネル17は、FAX(受信機)3の装置状況を表示や報知するための、例えば、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の表示装置、又はスピーカー等の音響装置、ユーザによるFAX(受信機)3への操作入力を受付けるためのファンクションキー、カーソルキー、又はスタート・ストップキー等の各入力装置を備える。
【0021】
図3は、FAX(受信機)3の通信装置16の構成を説明するための概略構成図である。図3に示すように、通信装置16は、ファックス信号送受信部としてのモデム20と、着信検出部としてのNCU21と、音声メッセージ送出部26とを備える。
【0022】
モデム20は、ファクシミリ伝送制御手段による手順データや、画像データ等の変復調し、発信側のFAX(送信機)1とのファクシミリデータを授受する。
【0023】
NCU21は、リレー22と、リレー23とにより信号経路を確立する。また、NCU21は、電圧センサを有し、回線5を介した着信を検出する着信検出部としての着信検出24と、電流センサを有し、TEL4の受話器のフックアップ状態を検出するフック検出部としてのフック検出25とを備える。なお、フック検出25は、TEL4の受話器のフックアップに伴う直流ループの形成により電流センサが電流を検知することで、TEL4の受話器のフックアップ状態を検知する。
【0024】
リレー22は、モデム20と回線5との接続、及び開放を行う。また、リレー23は、音声メッセージ送出部26とTEL4との接続、及び開放を行うとともに、TEL4と回線5との接続、及び開放を行う。
【0025】
音声メッセージ送出部26は、音声データ27を予め格納しており、リレー23を経由させて、音声信号に変換された音声データをTEL4に送出する。
【0026】
次に、図4を用いて第1の実施形態にかかる制御部30の構成について説明する。FAX(受信機)3の制御部30は、ROM12に格納され、CPU10によって実行されるソフトウェアのプログラムである。
【0027】
この制御部30は、システム制御部31と、操作パネル制御部32と、読取制御部33と、印刷制御部34と、画像データ処理部35と、通信制御部36とを備える。
【0028】
システム制御部31は、以下に説明する各制御プログラムの起動や調停を行うことで、FAX(受信機)3のシステム内における各部材の動作を制御する。
【0029】
操作パネル制御部32は、ユーザインタフェースとしての操作パネル17を制御する。
【0030】
読取制御部33は、読取装置14を制御し、原稿上の画像の読み取りに関する一連の動作を制御する。
【0031】
印刷制御部34は、印刷装置15を制御し、ハードコピーに関する一連の動作を制御する。
【0032】
画像データ処理部35は、ファクシミリ符号化データの圧縮処理や伸張処理を行う。
【0033】
通信制御部36は、通信装置16を制御して回線5を介して交換回線網と接続し、ファクシミリ伝送制御手順による手順データや、画像データの授受を制御する。また、通信制御部36は、TEL4との接続や、音声メッセージ送出部26を制御して音声データの送出を制御する。
【0034】
次に、本実施形態にかかる通信制御部36による処理動作について図5のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、通信制御部36が通信装置16を制御することにより、手動受信の際に実行される。
【0035】
まず、ステップS1において、通信制御部36は、FAX(受信機)3が着信待ち状態となるように、リレー22とリレー23とを制御する。具体的には、通信制御部36は、リレー22を制御して、回線5とモデム20とを未接続の状態とするとともに、リレー23を制御して、回線5とTEL4とを接続させる。
【0036】
そして、通信制御部36は、着信検出24を制御して、交換回線網から発せられる着信を監視させる。ここで、交換回線網から回線5を介して着信が到来すると(ステップS2 着信? Yes)、通信制御部36は、フック検出25を制御して、TEL4の受話器がフックアップされたか否かを監視させる。
【0037】
ここで、フック検出25がフックアップを検出すると(ステップS3 フックアップ? Yes)、通信制御部36は、FAX(受信機)3が発呼トーン(CNG信号)待ち状態となるように、リレー22とリレー23とを制御する。具体的には、通信制御部36は、リレー22を制御して、回線5とモデム20とを接続させるとともに、リレー23を制御して、回線5とTEL4とを接続させる(ステップS4)。
【0038】
一方、着信が到来しない場合(ステップS2 着信? No)、又はフックアップが検出されない場合(ステップS3 フックアップ? No)、通信制御部36による処理はステップS2から繰り返される。
【0039】
次に、通信制御部36は、モデム20を制御して、発呼トーン(CNG信号)が到達したか否かを監視させる。前述したように、発呼トーン(CNG信号)とは、FAX(送信機)1が送信するものであり、1000Hz(0.5秒)と無音(3秒)からなるトーン信号であり、FAX(受信機)3が応答するか、タイムアウトになるまで繰り返される。
【0040】
発呼トーン(CNG信号)が到来した場合(ステップS5 1stCNG? Yes)、通信制御部36は、リレー23と音声メッセージ送出部26とを制御して、音声メッセージをTEL4の受話器に送出させる(ステップS6)。具体的には、通信制御部36は、リレー23を制御して、TEL4と音声メッセージ送出部26とを接続させる。そして、通信制御部36は、音声メッセージ送出部26を制御して音声メッセージを送出させるとともに、リレー23を制御して、TEL4と回線5とを接続させる。
【0041】
上記音声メッセージは、例えば、「相手はファクシミリです。スタートキーを押して、通信を開始してください。」といった、ユーザが次の動作を把握することができるような内容とするものとする。なお、上記音声メッセージ以外にも、表示装置や音響装置等を利用して、ユーザに同内容を報知する形態としてもかまわない。
【0042】
一方、発呼トーン(CNG信号)が到来しない場合(ステップS5 1stCNG? No)、ステップS6における音声メッセージ送出の処理は行われず、ステップS7の処理に移行する。なお、ステップS5における発呼トーン(CNG信号)の検知は、一回の検知とし、後続する発呼トーン(CNG信号)は無視する。すなわち、二回目以降の発呼トーン(CNG信号)が到来したとしても、S5における判定はNoとなり、ステップS7の処理に移行する。
【0043】
ステップS6において、音声メッセージがTEL4の受話器に送出されると、システム制御部31は、操作パネル制御部32に対して、手動受信を開始する旨のスタートキーの押下がユーザにより操作パネル17を介してなされたか否かを監視するよう指示を与える。
【0044】
ユーザによる操作パネル17のスタートキーの押下を検知した場合(ステップS7 スタート? Yes)、操作パネル制御部32はその旨をシステム制御部31に通知する。通知を受けたシステム制御部31は、通信制御部36に対して、FAX(受信機)3がファクシミリ通信が可能となるように、リレー22とリレー23とを制御するよう指示を与える。指示を受けた、通信制御部36は、リレー22を制御して、回線5とモデム20とを接続させるとともに、リレー23を制御して、回線5とTEL4とを接続させる(ステップS9)。
【0045】
最後に、ファクシミリの受信が開始されると、通信制御部36による一連の処理は終了する(ステップS10)。
【0046】
ところで、ステップS7において、ユーザによる操作パネル17のスタートキーの押下が検知されない場合(ステップS7 スタート? No)、操作パネル制御部32はその旨をシステム制御部31に通知する。通知を受けたシステム制御部31は、通信制御部36に対して、フック検出25を制御して、TEL4の受話器がフックアップされたか否かを監視するよう指示を与える。
【0047】
そして、フック検出25がフックアップを検出すると(ステップS8 フックアップ? Yes)、通信制御部36による処理は、S5に移行する。一方、フック検出25がフックアップを検出しないと(ステップS8 フックアップ? No)、通信制御部36による処理は、ステップS1に移行する。
【0048】
図6は、第1の実施形態を説明するシーケンス図である。なお、図中の上段は、回線5における信号の流れを示し、図中下段は、TEL4における信号の流れを示す。
【0049】
まず、FAX(送信機)1が発信する。そして、FAX(受信機)3に着信すると、TEL4の受話器等から着信を示すベル音等が鳴動する。
【0050】
そして、ユーザが該ベル音等に対して、TEL4の受話器をフックアップする。すると、FAX(受信機)3は、FAX(送信機)1からの発呼トーン(CNG信号)を検出した後、音声メッセージをTEL4の受話器に対して送出する。
【0051】
TEL4の受話器からの発せられる音声メッセージを聞いたオペレータがスタートキーを押下することで、ファクシミリ通信が開始される。
【0052】
以上のように、第1の実施形態によれば、発呼トーン(CNG信号)の受信設定が手動受信に設定されているファクシミリ装置において、ファックス装置に詳しくないユーザが発信側のファクシミリ装置からの呼出音に対して応答したとしても、発信側と着信側とのファクシミリ装置間での通信エラーの発生を防止することができる。
【0053】
[第2の実施形態]
第2の実施形態にかかるFAX(受信機)3の構成は、第1の実施形態にかかる構成と略同一である。したがって、第2の実施形態の説明においては、第1の実施形態と同一か箇所については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる個所について説明を行う。
【0054】
図7は、第2の実施形態にかかる制御部30’の構成について説明する。FAX(受信機)3の制御部30’は、ROM12に格納され、CPU10によって実行されるソフトウェアのプログラムである。
【0055】
この制御部30’は、システム制御部31と、操作パネル制御部32と、読取制御部33と、印刷制御部34と、画像データ処理部35と第1の実施形態の通信制御部36に換えて通信制御部40とを備える。
【0056】
通信制御部40は、通信装置16を制御して回線5を介して交換回線網と接続し、ファクシミリ伝送制御手順による手順データや、画像データの授受を制御する。また、通信制御部40は、TEL4との接続や、音声メッセージ送出部26を制御して音声データの送出を制御する。
【0057】
次に、本実施形態にかかる通信制御部40による処理動作について図8のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、通信制御部40が通信装置16を制御することにより、手動受信の際に実行される。
【0058】
まず、ステップS11において、通信制御部40は、FAX(受信機)3が着信待ち状態となるように、リレー22とリレー23とを制御する。具体的には、通信制御部40は、リレー22を制御して、回線5とモデム20とを未接続の状態とするとともに、リレー23を制御して、回線5とTEL4とを接続させる。
【0059】
そして、通信制御部40は、着信検出24を制御して、交換回線網から発せられる着信を監視させる。ここで、交換回線網から回線5を介して着信が到来すると(ステップS12 着信? Yes)、通信制御部40は、フック検出25を制御して、TEL4の受話器がフックアップされたか否かを監視させる。
【0060】
ここで、フック検出25がフックアップを検出すると(ステップS13 フックアップ? Yes)、通信制御部40は、FAX(受信機)3が発呼トーン(CNG信号)待ち状態となるように、リレー22とリレー23とを制御する。具体的には、通信制御部40は、リレー22を制御して、回線5とモデム20とを接続させるとともに、リレー23を制御して、回線5とTEL4とを接続させる(ステップS14)。
【0061】
一方、着信が到来しない場合(ステップS12 着信? No)、又はフックアップが検出されない場合(ステップS13 フックアップ? No)、通信制御部40による処理はステップS12から繰り返される。
【0062】
次に、通信制御部40は、モデム20を制御して、発呼トーン(CNG信号)が到達したか否かを監視させる。前述したように、発呼トーン(CNG信号)とは、FAX(送信機)1が送信するものであり、1000Hz(0.5秒)と無音(3秒)からなるトーン信号であり、FAX(受信機)3が応答するか、タイムアウトになるまで繰り返される。
【0063】
発呼トーン(CNG信号)が到来した場合(ステップS15 CNG? Yes)、通信制御部40は、リレー23と音声メッセージ送出部26とを制御して、音声メッセージをTEL4の受話器に送出させる(ステップS16)。具体的には、通信制御部40は、リレー23を制御して、TEL4と音声メッセージ送出部26とを接続させる。そして、通信制御部40は、音声メッセージ送出部26を制御して音声メッセージを送出させるとともに、リレー23を制御して、TEL4と回線5とを接続させる。
【0064】
上記音声メッセージは、例えば、「相手はファクシミリです。受信を開始します。」といった、ユーザが次の動作を把握することができるような内容とするものとする。なお、上記音声メッセージ以外にも、表示装置や音響装置等を利用して、ユーザに同内容を報知する形態としてもかまわない。
【0065】
一方、発呼トーン(CNG信号)が到来しない場合(ステップS15 CNG? No)、ステップS16における音声メッセージ送出の処理は行われず、ステップS17の処理に移行する。
【0066】
ステップ17において、システム制御部40は、操作パネル制御部32に対して、手動受信を開始する旨のスタートキーの押下がユーザにより操作パネル17を介してなされたか否かを監視するよう指示を与える。
【0067】
ユーザによる操作パネル17のスタートキーの押下を検知した場合(ステップS17 スタート? Yes)、操作パネル制御部32はその旨をシステム制御部31に通知する。通知を受けたシステム制御部31は、通信制御部40に対して、ステップS19以降の処理を実行するよう指示を与える。
【0068】
一方、ステップS17において、ユーザによる操作パネル17のスタートキーの押下が検知されない場合(ステップS17 スタート? No)、操作パネル制御部32はその旨をシステム制御部31に通知する。通知を受けたシステム制御部31は、通信制御部40に対して、フック検出25を制御して、TEL4の受話器がフックアップされたか否かを監視するよう指示を与える。
【0069】
そして、フック検出25がフックアップを検出すると(ステップS18 フックアップ? Yes)、通信制御部40による処理は、S15に移行する。一方、フック検出25がフックアップを検出しないと(ステップS18 フックアップ? No)、通信制御部40による処理は、ステップS11に移行する。
【0070】
音声メッセージがTEL4の受話器に送出されるか(ステップS16)、又はユーザによる操作パネル17のスタートキーの押下が検知された場合(ステップS17 スタート? Yes)、システム制御部31は、通信制御部40に対して、FAX(受信機)3がファクシミリ通信が可能となるように、リレー22とリレー23とを制御するよう指示を与える。指示を受けた、通信制御部40は、リレー22を制御して、回線5とモデム20とを接続させるとともに、リレー23を制御して、回線5とTEL4とを接続させる(ステップS19)。
【0071】
最後に、ファクシミリの受信が開始されると、通信制御部40による一連の処理は終了する(ステップS20)。
【0072】
以上のように、第2の実施形態によれば、発呼トーン(CNG信号)の受信設定が手動受信に設定されているファクシミリ装置において、ファックス装置に詳しくないユーザが発信側のファクシミリ装置からの呼出音に対して応答したとしても、自動的に受信が開始され、その旨がユーザに報知されることになり、発信側と着信側とのファクシミリ装置間での通信エラーの発生を防止することができる。また、自動的に受信が開始されるため、ユーザがスタートキーを押下する手間を省くことができる。
【0073】
[第3の実施形態]
第3の実施形態にかかるFAX(受信機)3の構成は、第1の実施形態にかかる構成と略同一である。したがって、第3の実施形態の説明においては、第1の実施形態と同一か箇所については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる個所について説明を行う。
【0074】
図9は、第3の実施形態にかかる制御部30’’の構成について説明する。FAX(受信機)3の制御部30’’は、ROM12に格納され、CPU10によって実行されるソフトウェアのプログラムである。
【0075】
この制御部30’’は、システム制御部31と、操作パネル制御部32と、読取制御部33と、印刷制御部34と、画像データ処理部35と第1の実施形態の通信制御部36に換えて通信制御部50とを備える。
【0076】
通信制御部50は、通信装置16を制御して回線5を介して交換回線網と接続し、ファクシミリ伝送制御手順による手順データや、画像データの授受を制御する。また、通信制御部50は、TEL4との接続や、音声メッセージ送出部26を制御して音声データの送出を制御する。
【0077】
次に、本実施形態にかかる通信制御部50による処理動作について図10のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、通信制御部50が通信装置16を制御することにより、通信中に実行される。
【0078】
まず、ステップS21において、通信制御部50は、FAX(受信機)3が通信中となるように、リレー22とリレー23とを制御する。具体的には、通信制御部50は、リレー22を制御して、回線5とモデム20とを接続の状態とするとともに、リレー23を制御して、回線5とTEL4とを接続させる。
【0079】
そして、通信制御部50は、ファクシミリ伝送制御手順の状態遷移を監視し、通信中か否かを監視する。
【0080】
ここで、FAX(受信機)3が通信中である場合(ステップS22 通信中? Yes)、通信制御部50は、フック検出25を制御して、TEL4の受話器がフックアップされたか否かを監視させる。
【0081】
そして、フック検出25がフックアップを検出すると(ステップS23 フックアップ? Yes)、通信制御部50は、リレー23と音声メッセージ送出部26とを制御して、音声メッセージをTEL4の受話器に送出させる(ステップS24)。具体的には、通信制御部40は、リレー23を制御して、TEL4と音声メッセージ送出部26とを接続させる。
【0082】
上記音声メッセージは、例えば、「ファクシミリ通信中です。しばらくお待ちください。」といった、ユーザが次の動作を把握することができるような内容とするものとする。なお、上記音声メッセージ以外にも、表示装置や音響装置等を利用して、ユーザに同内容を報知する形態としてもかまわない。
【0083】
一方、フックアップが検出されない場合(ステップS23 フックアップ? No)、通信制御部50による処理はステップS22から繰り返される。
【0084】
音声メッセージがTEL4の受話器から送出されると(ステップS24)、通信制御部50は、フック検出25を制御して、TEL4の受話器がフックアップされなくなるまで監視する。
【0085】
そして、フック検出25によりフックアップが検出されなくなると(ステップS25 フックアップ? No)、通信制御部50による処理はステップS22から繰り返される。
【0086】
FAX(受信機)3が通信中でない場合(ステップS22 通信中? No)、通信制御部50は、通信制御部50は、FAX(受信機)3が着信待ち状態となるように、リレー22とリレー23とを制御する(ステップS26)。具体的には、通信制御部50は、リレー22を制御して、回線5とモデム20とを未接続の状態とするとともに、リレー23を制御して、回線5とTEL4とを接続させる。
【0087】
そして、通信制御部50による一連の処理は終了する。
【0088】
以上のように、第3の実施形態によれば、通信中のファクシミリ装置において、ファックス装置に詳しくないユーザが発信側のファクシミリ装置からの呼出音に対して応答したとしても、通信中である旨がユーザに報知されることになり、発信側と着信側とのファクシミリ装置間での通信エラーの発生を防止することができる。
【0089】
本実施形態の説明においては、本発明をファクシミリ装置に適用した一例について説明したが、本発明は、ファクシミリ装置以外にも、複合機、PC(Personal Computer)、PCFAX等のファクシミリ通信を行う情報処理装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 FAX(送信機)
2 交換機
3 FAX(受信機)
4 TEL
5 回線
10 CPU
11 システムバス
12 ROM
13 RAM
14 読取装置
15 印刷装置
16 通信装置
17 操作パネル
20 モデム
21 NCU
22 リレー
23 リレー
24 着信検出
25 フック検出
26 音声メッセージ送出部
27 音声データ
30 制御部
31 システム制御部
32 操作パネル制御部
33 読取制御部
34 印刷制御部
35 画像データ処理部
36、40、50 通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動受信を行うファクシミリ装置において、
音声通信を媒介する受話器と、
着信を検出する着信検出部と、
ユーザによる前記受話器のフックアップを検出するフック検出部と、
ファックス信号を送受信するファックス信号送受信部と、
音声メッセージを送出する音声メッセージ送出部と、
ファックス通信を制御する通信制御部とを備え、
前記通信制御部は、
前記着信検出部により前記着信が検出され、
前記フック検出部により前記受話器のフックアップが検出され、
前記ファックス信号送受信部により前記ファックス信号の受信が検出された後、前記音声メッセージ制御部による前記音声メッセージの送出を前記受話器を介して行わせる制御を行うこと
を特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
前記通信制御部は、
前記ファックス信号送受信部による前記ファックス信号の送受中に、前記音声メッセージ制御部による前記音声メッセージの送出を前記受話器を介して行わせる制御を行うこと
を特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、
前記ファックス信号送受信部による前記ファックス信号の送受中に、前記フック検出部により前記受話器のフックアップが検出されたとき、前記音声メッセージ制御部による前記音声メッセージの送出を前記受話器を介して行わせる制御を行うこと
を特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
メッセージを報知する表示装置及び/又は音響装置を備え、
前記通信制御部は、前記音声メッセージの送出に換えて前記表示装置及び/又は音響装置を用いて前記ユーザに対して前記メッセージを報知させること
を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−178756(P2012−178756A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41100(P2011−41100)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】