説明

ファクシミリ装置

【課題】送信元装置から受信したファクシミリデータに対して送信する送信用データの送信先を、簡単に設定することができるファクシミリ装置を提供すること。
【解決手段】MFP1は、ファクシミリ装置2からFAXデータ30を受信すると、FAX管理テーブル14aに、ID(001)と、ファクシミリ装置2のFAX番号(222−222−2222)とを対応付けて記憶する。PC7から受信した返信用電子メール32にID(001)が含まれていれば、返信用電子メール32に添付されている返信用データの送信先を、ID(001)と対応付けてFAX管理テーブル14aに記憶されているファクシミリ装置2に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンピュータで作成した送信用原稿を、コンピュータとネットワーク接続されたファクシミリ装置を経由してファクシミリ送信を行うPC−FAXシステムが記載されている。このPC−FAXシステムでは、送信用原稿を印刷せずに送信用原稿を送信できるため印刷用紙の節約ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−56658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したPC−FAXシステムでは、コンピュータで作成した送信用原稿を、先に受信したファクシミリデータに対する返信として当該ファクシミリデータの送信元装置に送信する場合、送信元装置の宛先(FAX番号)を、直接手入力したり、アドレス帳の中から選択する必要があり、手間であるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、送信元装置から受信したファクシミリデータに対して送信する送信用データの送信先を、簡単に設定できるファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明のファクシミリ装置は、電子メール機能を有するものであって、送信元装置から送信されるファクシミリデータを受信するファックス受信手段と、そのファックス受信手段によって受信したファクシミリデータを他のファクシミリデータと識別する識別情報と、前記送信元装置を示す送信元情報とを対応付けて記憶部に記憶する記憶手段と、その記憶手段によって前記記憶部に記憶される識別情報を含む電子メールを外部装置に送信するメール送信手段と、前記外部装置を含む他の外部装置から送信される電子メールを受信するメール受信手段と、そのメール受信手段によって受信した電子メールに前記識別情報が含まれるかを判断する識別情報判断手段と、その識別情報判断手段によって前記識別情報が含まれると判断された場合、その識別情報に対応付けて前記記憶部に記憶されている前記送信元情報が示す送信元装置に対し、前記メール受信手段によって受信した電子メールに含まれる送信用データをファクシミリ送信するファックス送信手段とを備えている。
【0007】
また、本発明は、ファクシミリ制御装置、該ファクシミリ制御装置を含むファクシミリ装置、ファクシミリ制御方法、ファクシミリ制御装置を制御するコンピュータプログラム、該コンピュータプログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で実現可能である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載のファクシミリ装置によれば、送信元装置からファクシミリデータを受信した場合、識別情報と、送信元情報とを対応付けて記憶し、識別情報を含む電子メールを外部装置に送信する。一方、受信した電子メールに識別情報が含まれる場合、その識別情報に対応付けて記憶している送信元情報が示す送信元装置に対し、受信した電子メールに含まれる送信用データを送信する。送信元装置から受信したファクシミリデータに対して送信する送信用データの送信先を、簡単に設定できるという効果がある。
【0009】
請求項2記載のファクシミリ装置によれば、請求項1に記載のファクシミリ装置の奏する効果に加え、識別情報を含む電子メールの送信先を示す外部情報は、識別情報または送信元情報に対応付けて記憶する。電子メールを受信した場合、その電子メールに含まれる識別情報から特定される外部情報が受信した電子メールに含まれない場合、送信用データの送信は制限する。よって、識別情報から特定される外部情報が示す送信先とは無関係な装置から受信した送信用データを、送信してしまうという誤送信を防止することができるという効果がある。
【0010】
請求項3記載のファクシミリ装置によれば、請求項1または2記載のファクシミリ装置の奏する効果に加え、受信したファクシミリデータに付加されているヘッダ情報が、送信用データに含まれる場合、送信用データに含まれるヘッダ情報は自装置を示すヘッダ情報に書換える。よって、送信用データに自装置を示すヘッダ情報を追加する場合、送信用データを縮小する必要がなく、元のサイズで送信用データを送信することができるという効果がある。
【0011】
請求項4記載のファクシミリ装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載のファクシミリ装置の奏する効果に加え、受信した電子メールに、所定動作の実行を指示するコマンドが含まれる場合、そのコマンドは、識別情報に対応付けて記憶している受信したファクシミリデータに対する指示としてコマンドを実行する。よって、コマンドを記載する場合、コマンドを実行する対象を特定せずにコマンドを記載することができるという効果がある。
【0012】
請求項5記載のファクシミリ装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載のファクシミリ装置の奏する効果に加え、受信した電子メールに、送信元装置とは別のファクシミリ装置を示す別装置情報が含まれる場合、その別装置情報が示す別のファクシミリ装置に対し送信用データを送信する。よって、送信元装置とは別のファクシミリ装置にも簡単に送信用データを送信することができるという効果がある。
【0013】
請求項6記載のファクシミリ装置によれば、請求項5に記載のファクシミリ装置の奏する効果に加え、受信した電子メールに、別装置情報が含まれる場合、送信用データを送信するか、または、識別情報に対応付けて記憶している受信したファクシミリデータを転送用データとして送信するかを判断し、転送用データを送信すると判断した場合、転送用データを別のファクシミリ装置に送信する。よって、識別情報に対応付けて記憶している受信したファクシミリデータを、送信元装置とは別のファクシミリ装置に送信することができるという効果がある。
【0014】
請求項7記載のファクシミリ装置によれば、請求項6に記載のファクシミリ装置の奏する効果に加え、識別情報に対応付けて記憶している受信したファクシミリデータを転送用データとして送信する場合、転送用データに付加されているヘッダ情報は自装置を示すヘッダ情報に書換える。よって、受信したファクシミリデータに自装置を示すヘッダ情報を追加する場合、受信したファクシミリデータを縮小する必要がなく、元のサイズで、受信したファクシミリデータを転送用データとして送信することができるという効果がある。
【0015】
請求項8記載のファクシミリ装置によれば、請求項6又は7に記載のファクシミリ装置の奏する効果に加え、受信した電子メールに、添付ファイルが含まれる場合は送信用データ、添付ファイルが含まれない場合は転送用データを送信すると判断する。よって、転送用データを送信するか、転送用データを送信するかの判断を簡単にすることができるという効果がある。
【0016】
請求項9記載のファクシミリ装置によれば、請求項1から8のいずれかに記載のファクシミリ装置の奏する効果に加え、受信した電子メールに、添付ファイルが含まれる場合、その添付ファイルを送信用データとして送信する。受信した電子メールから送信用データを簡単に特定することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態であるMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】MFPの使用例1を説明するための図である。
【図3】MFPの使用例2を説明するための図である。
【図4】MFPの使用例3を説明するための図である。
【図5】FAX転送処理を示すフローチャートである。
【図6】FAX返信処理を示すフローチャートである。
【図7】返信先設定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明のファクシミリ装置の一実施形態である多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1の電気的構成を示したブロック図である。
【0019】
MFP1は、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャン機能、プリンタ機能、などの各種機能を有しており、特に、送信元装置から受信したファクシミリデータに対して送信する送信用データ(以下、返信用データと称す)の送信先を、簡単に設定できる装置である。
【0020】
MFP1には、CPU10、ROM11、RAM12、フラッシュメモリ14、操作キー15、LCD16、タッチパネル17、スキャナ20、プリンタ21、NCU23、モデム24、ネットワークI/F25が主に設けられている。
【0021】
CPU10、ROM11、RAM12、フラッシュメモリ14は、バスライン27を介して互いに接続されている。また、操作キー15、LCD16、タッチパネル17、スキャナ20、プリンタ21、NCU23、モデム24、ネットワークI/F25、バスライン27は、入出力ポート28を介して互いに接続されている。
【0022】
CPU10は、ROM11やフラッシュメモリ14に記憶される固定値やプログラム、RAM12に記憶されているデータ、或いは、NCU23を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート28と接続された各部を制御する。
【0023】
ROM11は、FAXプログラム11a、電子メールプログラム11bが記憶された書換不能なメモリである。CPU10は、FAXプログラム11aおよび後述の電子メールプログラム11bに従い、図5乃至図7に示すFAX転送処理、FAX返信処理、返信先設定処理を実行する。また、CPU10は、電子メールプログラム11bに従い、電子メールの送受信を行う。
なお、CPU10は、FAXプログラム11aおよび電子メールプログラム11bに従い、受信したファクシミリデータを電子メールに添付ファイルとして添付し、その電子メールを他の装置に送信することが出来る。また、電子メールを受信した場合には、その電子メールに添付ファイルが添付されていた場合には、その添付ファイルをファクシミリデータとして他の装置にファクシミリ送信することができる。
【0024】
フラッシュメモリ14は、書換可能な不揮発性のメモリであり、FAX管理テーブル14a、転送設定フラグ14b、転送先メールアドレス14c、IDフラグ14dが記憶されている。
【0025】
FAX管理テーブル14aには、ファクシミリデータ(以下、「FAXデータ」と称す)を受信したことを示すIDと、受信したFAXデータの送信元装置のFAX番号と、受信したFAXデータの転送先のメールアドレスと、受信したFAXデータとが対応付けて記憶される。
【0026】
転送設定フラグ14bは、FAXデータを受信した場合に、そのFAXデータを転送先メールアドレス14cに転送するか否かを示すフラグであり、転送する場合に「オン」、転送しない場合に「オフ」に設定される。この設定は、MFP1のユーザにより、操作キー15を介して行われる。
【0027】
転送先メールアドレス14cは、FAXデータを受信した場合に、そのFAXデータを転送する転送先のメールアドレスであり、受信したFAXデータは、添付ファイルとして電子メールに添付され、転送先に転送される。尚、転送先メールアドレス14cは1つに限られず、複数でも良い。また、受信したFAXデータの送信元に応じて、異なる転送先を設定しておき、受信したFAXデータの送信元に応じて、異なる転送先に転送しても良い。
【0028】
IDフラグ14dは、MFP1が受信する電子メールに、FAX管理テーブル14aに記憶されているIDが含まれているかを示し、含まれている場合に「オン」に設定される。
【0029】
操作キー15は、ユーザからの指示を受付ける押しボタンであり、例えば、スタートキー、テンキー等で構成され、操作キー15を介してユーザからの指示を受付けることができる。LCD16は、液晶表示装置であり、操作手順、ユーザへのコメント等を表示する。タッチパネル17は、LCD16の画面全域に設けられ、ユーザがタッチしたLCD16の画面上の位置を検出する。CPU10は、タッチした位置に応じてユーザからの指示を受付けることができる。
【0030】
スキャナ20は、ファクシミリ機能、スキャン機能、又は、コピー機能の実行時に、原稿を読み取って電子データに変換する読取動作を行う。プリンタ21は、ファクシミリ機能、プリンタ機能の実行時に、レーザー方式によって印刷用紙に画像を印刷する印刷動作を行う。
【0031】
NCU23は、電話回線の制御を行うものであり、電話回線網5を介して、例えば、ファクシミリ装置2,3,4と接続されている。ファクシミリ装置2,3,4とのFAXデータの送受信は、電話回線網5、NCU23を介して行われる。モデム24は、ファクシミリ送信時には送信信号を電話回線網5での伝送に適した形態に変調し、ファクシミリ受信時には電話回線網5から送られてきた変調信号を復調する。
【0032】
ネットワークI/F25は、インターネット6を介して、例えば、パーソナルコンピュータ7,8(以下、「PC7,8」と称す)と接続するためのインターフェイスである。PC7,8との電子メールの送受信は、インターネット6、ネットワークI/F25、不図示の電子メールサーバを介して行われる。尚、ネットワークI/F25は、ローカルエリアネットワークを介してPC7,8と接続することもできる。
PC7,8には、電子メールプログラムが記憶されており、この電子メールプログラムには、受信した電子メールに対して返信する返信機能、受信した電子メールを他の装置に転送する転送機能が設けられている。
返信機能では、受信した電子メールに記載された件名に、返信であることを示す文字列「Re:」を追加して電子メールを作成し、返信する。転送機能では、受信した電子メールに記載された件名に、転送であることを示す文字列「FW:」を追加して電子メールを作成し、転送する。
また、転送機能では、転送元装置の電子メールアドレスを本文に含むように電子メールを作成し、転送する。例えば、PC7が、MFP1から受信した電子メールを、PC8に転送する場合、その電子メールの本文には、MFP1のメールアドレスが含まれ、更に、そのPC7から受信した電子メールを、PC8がMFP1に転送する場合、その電子メールの本文には、MFP1のメールアドレスと、PC7のメールアドレスとが含まれる。
更に、転送機能では、特定の送信元から受信した電子メールについて、その特定の送信元と対応付けて、予め転送先が設定、記憶されていれば、その転送先にその電子メールを転送する。例えば、PC7は、MFP1から受信した電子メールについて、MFP1と対応付けて、予め転送先としてPC8が設定、記憶されていれば、PC8にその受信した電子メールを転送する。
また、PC7,8は、後述する返信用データを作成可能なプログラム(例えば文書作成アプリケーション)を備えており、返信用データを作成することができる。
【0033】
図2乃至図4を参照して、MFP1の使用例1乃至3について説明する。図2は、MFP1の使用例1を説明するための図である。使用例1は、MFP1が、ファクシミリ装置2から受信したFAXデータ30に対する返信を、PC7を経由してファクシミリ装置2に送信する例である。
【0034】
MFP1は、ファクシミリ装置2からFAXデータ30を受信すると、FAXデータ30を、転送先メールアドレス14cとして記憶されているPC7のメールアドレスに対して、転送用電子メール31で転送する。転送用電子メール31は、宛先がPC7のメールアドレス(PC7@XXXX)とされ、件名にID(001)と、送信元装置であるファクシミリ装置2のFAX番号(222−222−2222)とが含まれ、受信したFAXデータが添付ファイルとして添付される。
【0035】
また、MFP1は、ファクシミリ装置2からFAXデータ30を受信すると、FAX管理テーブル14aを作成する。FAX管理テーブル14aには、FAXデータ30を受信したことを示すID(001)と、送信元FAX番号としてファクシミリ装置2のFAX番号(222−222−2222)と、転送先のPC7のメールアドレス(PC7@XXXXX)と、受信したFAXデータ(XXXX)とが対応付けて記憶される。
【0036】
PC7は、MFP1から転送用電子メール31を受信すると、自装置で返信用データを作成し、電子メールプログラムの返信機能を使って、その返信用データを返信用電子メール32に添付してMFP1に返信する。返信用電子メール32は、宛先がMFP1のメールアドレス(MFP1@XXXX)、件名にID(001)と、ファクシミリ装置2のFAX番号(222−222−2222)とが含まれ、返信用データが添付ファイルとして添付される。
【0037】
MFP1は、PC7から返信用電子メール32を受信すると、返信用電子メール32にID(001)が含まれていることを条件に、返信用電子メール32の件名に含まれているファクシミリ装置2のFAX番号(222−222−2222)を送信先に設定する。MFP1は、設定した送信先に、返信用電子メール32に添付されている返信用データを返信用FAXデータ33としてファクシミリ装置2に送信する。
【0038】
また、返信用電子メール32の件名にファクシミリ装置2のFAX番号が含まれない場合(例えば、PC7のユーザが返信用電子メール32の件名からファクシミリ装置2のFAX番号を削除した場合)には、返信用電子メール32に含まれているID(001)と対応付けてFAX管理テーブル14aに記憶されているファクシミリ装置2のFAX番号を送信先に設定し、返信用データを返信用FAXデータ33としてファクシミリ装置2に送信する。
【0039】
使用例1によれば、ファクシミリ装置2からFAXデータ30を受信すると、FAX管理テーブル14aに、ID(001)と、ファクシミリ装置2のFAX番号(222−222−2222)とを対応付けて記憶する。一方、PC7から受信した返信用電子メール32にID(001)が含まれていれば、返信用電子メール32に添付されている返信用データの送信先を、受信したFAXデータの送信元であるファクシミリ装置2に設定する。よって、ファクシミリ装置2から受信したファクシミリデータに対する返信を、ファクシミリ装置2のFAX番号を入力することなく行うことができる。即ち、ファクシミリ装置2から受信したFAXデータ30に対して送信する返信用データの送信先(ファクシミリ装置2)を、簡単に設定することができる。
【0040】
図3は、MFP1の使用例2を説明するための図である。使用例2は、MFP1が、ファクシミリ装置2から受信したFAXデータ30に対する返信を、PC7を経由してファクシミリ装置3,4に送信する例である。
【0041】
使用例2は、MFP1がファクシミリ装置2からFAXデータ30を受信し、PC7に転送用電子メール31を転送するまでは、使用例1と同様だが、PC7が、MFP1に返信する返信用電子メール32の内容が、使用例1と異なる。
【0042】
使用例2では、PC7がMFP1に返信する返信用電子メール32は、宛先がMFP1のメールアドレス(MFP1@XXXX)とされ、件名にID(001)と、ファクシミリ装置3のFAX番号(333−333−3333)と、ファクシミリ装置4のFAX番号(444−444−4444)とが含まれ、PC7で作成された返信用データ、または、転送用電子メール31に添付されていたFAXデータである返信用データが添付ファイルとして添付される。
【0043】
即ち、使用例2では、返信用電子メール32の件名に、受信したFAXデータの送信元であるファクシミリ装置2のFAX番号(222−222−2222)が含まれず、ファクシミリ装置3,4のFAX番号が含まれている点で使用例1と異なる。
【0044】
この場合、MFP1は、返信用電子メール32にID(001)が含まれていることを条件に、返信用電子メール32に添付されている返信用データの送信先を、ファクシミリ装置3,4に設定し、その返信用データを、返信用FAXデータ33として、ファクシミリ装置3,4に送信する。よって、使用例2によれば、ファクシミリ装置2から受信したFAXデータ30に対する返信用データを、ファクシミリ装置3,4にも送信できる。即ち、ファクシミリ装置2から受信したFAXデータ30に対して送信する返信用データの送信先(ファクシミリ装置3,4)を、簡単に設定することができる。
【0045】
また、使用例2において、返信用電子メール32に添付ファイル(返信用データ)が添付されていない場合、返信用電子メール32の件名に含まれているID(001)と対応付けてFAX管理テーブル14aに記憶されているFAXデータ(XXXX)が、ファクシミリ装置3,4に送信される。よって、ファクシミリ装置2から受信したFAXデータを、ファクシミリ装置3,4に転送できる。
【0046】
図4は、MFP1の使用例3を説明するための図である。使用例3は、MFP1が、ファクシミリ装置2から受信したFAXデータ30に対する返信を、PC7,8を経由してファクシミリ装置2に送信する例である。
【0047】
使用例3は、MFP1がファクシミリ装置2からFAXデータ30を受信し、PC7に転送用電子メール31を送信するまでは、使用例1と同様であるが、MFP1は、PC8から転送用電子メール35を、受信する点で使用例1と異なる。
【0048】
PC7は、MFP1から転送用電子メール31を受信すると、電子メールプログラムの転送機能を使って、転送用電子メール34を予め転送先に設定されているPC8に転送する。転送用電子メール34は、宛先がPC8のメールアドレス(PC8@XXXX)とされ、件名にID(001)と、ファクシミリ装置2のFAX番号(222−222−2222)とが含まれ、MFP1がファクシミリ装置2から受信したFAXデータが添付ファイルとして添付される。また、転送用電子メール34の本文には、MFP1のメールアドレス(MFP1@XXXX)が含まれている。
【0049】
PC8は、PC7から転送用電子メール34を受信すると、自装置で返信用データを作成し、電子メールプログラムの転送機能を使って、その返信用データを転送用電子メール35に添付してMFP1に転送する。この転送用電子メール35の本文には、MFP1のメールアドレス(MFP1@XXXX)と、PC7のメールアドレス(PC7@XXXX)とが含まれている。
【0050】
MFP1は、PC8から転送用電子メール35を受信すると、転送用電子メール35に転送用電子メール31の送信先であるPC7のメールアドレス(PC7@XXXX)が含まれることを条件に、使用例1で説明したのと同様に、転送用電子メール35に添付されている返信用データを、返信用FAXデータ33としてファクシミリ装置2に送信する。
【0051】
使用例3によれば、受信したFAXデータを添付した電子メールの送信先であるPC7からでなく、受信したFAXデータを添付した電子メールの転送先であるPC8から転送用電子メール35を受信しても、MFP1では、ファクシミリ装置2から受信したファクシミリデータに対する返信を、ファクシミリ装置2のFAX番号を入力せずに行うことができる。即ち、ファクシミリ装置2から受信したFAXデータ30に対して送信する返信用データの送信先(ファクシミリ装置2)を、簡単に設定することができる。
【0052】
また、MFP1は、返信用電子メール32に転送用電子メール31の送信先であるPC7のメールアドレス(PC7@XXXX)が含まれることを条件に、返信用データを送信するので、転送用電子メール31の送信先であるPC7とは無関係な装置から受信した返信用データを送信するという誤送信を防止できる。
【0053】
図5は、FAX転送処理を示すフローチャートである。この処理は、MFP1が送信元装置から受信したFAXデータを電子メールに添付して、転送先メールアドレス14cに転送する処理であり、送信元装置からFAXデータを受信した場合に、MFPのCPU10によって実行される処理である。
【0054】
CPU10は、FAXデータの受信を開始すると、そのFAXデータの受信が完了するまで待機し(S501:No)、受信が完了した場合(S501:Yes)、受信したFAXデータをFAX管理テーブル14aに記憶する(S502)。
【0055】
CPU10は、FAXデータを受信すると、FAXデータを受信したことを示すIDを作成し(S503)、作成したIDと、受信したFAXデータの送信元を示すFAX番号とを、受信したFAXデータに対応付けてFAX管理テーブル14aに記憶する(S504)。
【0056】
このIDは、今回受信したFAXデータと、他のFAXデータとを識別可能な情報であり、別の送信元から受信したFAXデータである場合は勿論、同じ送信元から受信したFAXデータであっても、各々、異なるIDを作成する。
【0057】
CPU10は、IDと、送信元のFAX番号とを記憶すると、転送設定フラグ14bが「オン」かを判断し(S505)、「オフ」であれば(S505:No)、転送不要として、本処理を終了し、「オン」であれば(S505:Yes)、要転送として、S506の処理に移行する。
【0058】
S506の処理において、CPU10は、転送先メールアドレス14cを、FAXデータと、IDと、送信元装置のFAX番号とに対応つけてFAX管理テーブル14aに記憶する(S506)。CPU10は、転送先のメールアドレス14cを記憶すると、IDと、受信したFAXデータとを含む電子メールを、転送先(転送先メールアドレス14c)に送信し(S507)、本処理を終了する。
【0059】
このように、FAX転送処理では、受信したFAXデータを添付ファイルとして転送先メールアドレス14cに転送するので、受信したFAXデータを転送先で確認できる。また、転送先において、受信したFAXデータに対する返信用データを作成することができる。更に、受信したFAXデータを印刷しない分、トナー、印刷用紙を節約できる。
【0060】
図6は、FAX返信処理を示すフローチャートである。この処理は、主に、MFP1が送信元装置から受信したFAXデータに対し、MFP1から送信元装置に返信用データを返信する処理であり、MFP1が電子メールの受信を開始した場合に、MFP1のCPU10によって実行される処理である。
【0061】
CPU10は、電子メールの受信を開始すると、電子メールの受信が完了するまで待機し(S601:No)、受信が完了した場合(S601:Yes)、受信した電子メールにIDが含まれるかを判断する(S602)。CPU10は、IDが含まれると判断した場合(S602:Yes)、IDフラグ14dを「オン」に設定する(S603)。CPU10は、受信した電子メールの送信元メールアドレスが、受信した電子メールに含まれるIDと対応付けてFAX管理テーブル14aに記憶されている転送先メールアドレス14cかを判断する(S604)。
【0062】
CPU10は、送信元メールアドレスが、転送先メールアドレス14cでなければ(S604:No)、更に、受信した電子メールの本文に、転送先メールアドレス14cが含まれるかを判断する(S605)。S605の処理は、MFP1から転送先(転送先メールアドレス14c)に転送した電子メールが、転送先から別の装置に転送され、その別装置から電子メールを受信した場合を想定し、受信した電子メールの本文に、転送先メールアドレス14cが含まれるかを判断する。
【0063】
CPU10は、受信した電子メールの本文に、転送先メールアドレス14cを含まないと判断した場合(S605:No)、本処理を終了する。即ち、受信した電子メールは、転送先メールアドレス14cとは無関係の電子メールとして、本処理を終了することで、誤送信を防止している。
【0064】
一方、CPU10は、受信した電子メールの送信元メールアドレスが、受信した電子メールに含まれるIDと対応付けてFAX管理テーブル14aに記憶されている転送先メールアドレス14cである場合(S604:Yes)、または、受信した電子メールの本文に、転送先メールアドレス14cが含まれる場合(S605:Yes)、または、受信した電子メールにIDが含まれないと判断した場合(S602:No)、S606の処理に移行する。
【0065】
S606の処理において、CPU10は、IDフラグ14dが「オン」かを判断する(S606)。CPU10は、IDフラグ14dが「オン」、即ち、受信した電子メールにIDが含まれていると判断した場合には(S606:Yes)、図7の返信先設定処理を実行することにより、受信した電子メールに添付ファイルとして添付される返信用データから変換された返信用FAXデータ、もしくは、FAX管理テーブル14aに記憶されているFAXデータ(送信元装置から受信したFAXデータ)の返信先を設定する(S607)。そして、その設定した返信先に、それらFAXデータをFAX送信し(S608)、S612の処理に移行する。
【0066】
一方、CPU10は、S606の処理において、IDフラグ14dが「オン」ではない、即ち、受信した電子メールにIDが含まれないと判断した場合には(S606:No)、受信した電子メールの件名にFAX番号が含まれるかを判断し(S609)、含まれる場合には(S609:Yes)、更に、受信した電子メールに添付ファイルが含まれるかを判断する(S610)。CPU10は、添付ファイルが含まれていれば(S610:Yes)、受信した電子メールに含まれているFAX番号を送信先に設定し(S611)、その設定した送信先に、添付ファイルとして添付された返信用データを返信用FAXデータに変換した上でFAX送信し(S608)、S612の処理に移行する。
【0067】
これにより、例えば、受信した電子メールの送信元において、電子メールからIDが削除されても、その電子メールの件名に含まれるFAX番号が示す装置に返信用データを送信することができる。尚、CPU10は、S609の処理において、電子メールにFAX番号が含まれないと判断した場合(S609:No)、S610の処理において、電子メールに添付ファイルが含まれないと判断した場合(S610:No)、S612の処理に移行する。
【0068】
S612の処理において、CPU10は、受信した電子メールの本文にコマンドが含まれるかを判断し(S612)、コマンドが含まれない場合には(S612:No)、本処理を終了し、コマンドが含まれる場合には(S612:Yes)、そのコマンドに従った処理を実行し(S613)、本処理を終了する。
【0069】
CPU10は、S613の処理において、コマンドを実行する対象が指定されていない場合には、IDと対応付けてFAX管理テーブル14aに記憶されているFAXデータを、コマンド実行対象とする。例えば、受信した電子メールの本文に「削除」のコマンドが含まれる場合には、IDと対応付けてFAX管理テーブル14aに記憶されているFAXデータを削除する。よって、コマンドを記載する場合、コマンドの実行対象を記載せずに、コマンドを記載することができる。
なお、コマンドを実行する対象が指定されておらず、かつ、IDフラグがオフの場合には、コマンド実行対象が特定できないので、そのコマンドについては処理を行わない。
【0070】
このように、FAX返信処理では、MFP1が受信した電子メールに添付されている添付ファイル(返信用データ)の返信先を、S607の返信先設定処理、S611の処理において設定するので、返信用データの返信先を入力せずに、返信用データをFAX送信することができる。
【0071】
図7は、返信先設定処理を示すフローチャートである。この処理は、図6に示すFAX返信処理におけるS607の処理であり、MFP1のCPU10が、受信した電子メールに含まれている返信用データ(添付されている添付ファイル)の返信先を設定する処理である。
【0072】
CPU10は、受信した電子メ−ルの件名にFAX番号が含まれるかを判断し(S700)、FAX番号が含まれないと判断した場合には(S700:No)、IDと対応付けてFAX管理テーブル14aに記憶されている送信元FAX番号を抽出し(S701)、S703の処理に移行する。
【0073】
一方、CPU10は、受信した電子メ−ルの件名にFAX番号が含まれると判断した場合には(S700:Yes)、電子メールに含まれるFAX番号のうち、1件のFAX番号を抽出する(S713)。
【0074】
CPU10は、S713の処理で抽出したFAX番号が、IDと対応付けてFAX管理テーブル14aに記憶されているFAX番号、即ち、先に受信したFAXデータを送信した送信元装置のFAX番号かを判断し(S702)、IDと対応付けられている送信元装置のFAX番号であれば(S702:Yes)、S703の処理に移行する。
【0075】
CPU10は、S703の処理において、受信した電子メールに添付ファイルが含まれるかを判断し(S703)、添付ファイルが含まれていれば(S703:Yes)、S705の処理に移行する。
【0076】
一方、CPU10は、添付ファイルが含まれていなければ(S703:No)、返信用データがないとして、図6に示すFAX送信処理をせずに(S608)、図6に示すS612の処理に移行する。
【0077】
また、CPU10は、S702の処理において、抽出したFAX番号が、IDと対応付けられている送信元装置のFAX番号でなければ(S702:No)、受信した電子メールに添付ファイルが含まれるかを判断し(S704)、添付ファイルが含まれていれば(S704:Yes)、S705の処理に移行する。
【0078】
S705の処理において、CPU10は、IDと対応付けてFAX管理テーブル14aに記憶されているFAXデータ(送信元装置から受信したFAXデータ)と同じヘッダ情報が、受信した電子メールに添付されている添付ファイルのデータに含まれるかを判断する(S705)。
【0079】
即ち、IDと対応付けてFAX管理テーブル14aに記憶されているFAXデータ(送信元装置から受信したFAXデータ)には、ヘッダ情報として、例えば、FAXデータを受信した日時、送信元装置の名称、送信元装置のFAX番号が含まれている。S705では、このヘッダ情報が、添付ファイルのデータに含まれるかを判断し、添付ファイルのデータが、受信したFAXデータを利用したデータかを判断している。
【0080】
CPU10は、同じヘッダ情報が含まれると判断した場合(S705:Yes)、添付ファイルのデータを返信用FAXデータに変換し(S706)、返信用FAXデータに含まれるヘッダ情報を自装置を示すヘッダ情報に上書きする(S707)。これにより、返信用FAXデータに自装置を示すヘッダ情報を追加する場合、返信用FAXデータを縮小する必要がないので、元のサイズのまま、返信用FAXデータを送信できる。そして、CPU10は、S701、S713の処理で抽出したFAX番号を、その変換した返信用FAXデータの送信先に設定し(S708)、S709の処理に移行する。
【0081】
また、CPU10は、S705の処理において、同じヘッダ情報が含まれない、即ち、電子メールの添付ファイルは、受信したFAXデータを利用したものでないと判断した場合(S705:No)、添付ファイルのデータを、返信用FAXデータに変換し(S710)、返信用FAXデータを縮小して自装置のヘッダ情報を付加し(S711)、S701、S713の処理で抽出したFAX番号を、その変換した返信用FAXデータの送信先に設定し(S708)、S709の処理に移行する。
【0082】
このように、受信した電子メールに、送信元装置のFAX番号が含まれる場合(S702:Yes)、または、受信した電子メールにFAX番号が含まれない場合には(S700:No)、返信用データの送信先を、送信元装置のFAX番号に設定するので(S708)、送信元装置から受信したFAXデータに対する返信を、送信元装置の宛先を入力せずに行うことができる。即ち、送信元装置から受信したFAXデータに対して送信する返信用データの送信先を、簡単に設定することができる。
【0083】
また、受信した電子メールに、送信元装置のFAX番号以外のFAX番号が含まれ(S702:No)、受信した電子メールに添付ファイルが添付されている場合には(S704:Yes)、送信元装置のFAX番号以外のFAX番号を、返信用データの送信先に設定するので(S708)、送信元以外の装置にも、返信用データを送信することができる。
【0084】
一方、CPU10は、S702の処理において、S713の処理で抽出したFAX番号が、IDと対応付けられた送信元装置のFAX番号でなく(S702:No)、受信した電子メールに添付ファイルが含まれない場合には(S704:No)、次の処理を行う。
【0085】
CPU10は、S712の処理において、IDと対応付けてFAX管理テーブル14aに記憶されているFAXデータ(送信元装置から受信したFAXデータ)のヘッダ情報を、自装置を示すヘッダ情報に上書きし(S712)、S713の処理で抽出したFAX番号を、ヘッダ情報が上書きされたそのFAXデータの送信先に設定し(S708)、S709の処理に移行する。
【0086】
即ち、送信元以外の装置に対し、送信元装置から受信したFAXデータを転送することができる。また、その受信したFAXデータを縮小して、自装置を示すヘッダ情報を追加する必要がないので、元のサイズで、送信元装置から受信したFAXデータをFAX送信できる。
【0087】
こうして、S701、S713の処理で抽出したFAX番号を送信先に設定すると(S708)、CPU10は、S709の処理において、受信した電子メールに含まれる全FAX番号について、S713からの処理を実行したかを判断し(S709)、未実行であれば(S709:No)、S713からの処理を繰り返し、実行済であれば(S709:Yes)、本処理を終了する。
なお、S700の処理で否定判断された場合(S700:No)も、S709の処理では電子メールに含まれる全FAX番号の設定が完了したと判断し(S709:Yes)、本処理を終了する。
【0088】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
上述した実施形態では、MFP1からPC7に送信される転送用電子メール31およびPC7からPC8に送信される転送用電子メール34に添付される添付ファイルであるFAXデータ(本発明のファクシミリデータの一例)は、ファクシミリ送受信で使用されるMH/MR/MMRなどの形式のデータであってもよいし、例えばJPEG形式やTIFF形式などに変換された画像データやテキストデータであってもよい。画像データへの変換は電子メール送信元の装置であるMFP1またはPC7で行われるとよい。
また、PC7からMFP1に送信される返信用電子メール32およびPC8からMFP1に送信される転送用電子メール35に添付される添付ファイルである返信用データ(本発明の送信用データの一例)は、PC7,8によって作成されたテキストデータやJPEG形式やTIFF形式などの画像データであってもよいし、ファクシミリ送信可能なMH/MR/MMRなどの形式のデータであってもよい。前者の場合であれば、本実施形態のように、MFP1でファクシミリ送信用にデータ変換すればよいし(例えばS706,S710など)、後者の場合であれば、PC7,8がファクシミリ送信可能なMH/MR/MMRなどの形式のデータを作成すればよい。後者の場合、MFP1はファクシミリ送信用のデータへの変換処理を省略することができる。
【0089】
上述した実施形態では、受信したFAXデータを電子メールで転送先に転送する場合について説明したが、受信したFAXデータは、必ずしも電子メールに含める必要はなく、少なくともIDを含めた電子メールを転送先に送信すれば良い。この場合でも、転送先からIDを含む電子メールを受信すれば、そのIDと対応つけて記憶されているFAXデータの送信元を特定できるので、送信元の宛先を入力せずに、返信用データを送信元に返信することができる。
【0090】
また、上述した実施形態では、図5のS503でFAXデータを受信したことを示すIDを作成する場合について説明したが、例えば、転送先に電子メールを送信する場合に、その電子メール毎に固有のIDを作成し、そのIDを電子メールに含めて転送先に送信すると共に、そのIDをFAXデータの送信元のFAX番号と対応付けて記憶するように構成しても良い。この場合でも、転送先からIDを含む電子メールを受信すれば、そのIDと対応つけて記憶されているFAXデータの送信元を特定できるので、送信元の宛先を入力せずに、返信用データを送信元に返信することができる。
【0091】
また、上述した実施形態では、MFP1が受信した電子メールに添付されている添付データを返信用データとする場合について説明したが、返信用データとしては、電子メールの本文全部、あるいは、電子メールの本文の一部を返信用データとしても良い。
【0092】
また、上述した実施形態では、MFP1が受信したFAXデータを電子メールで転送先に転送する場合、その電子メールの件名に、IDと、送信元装置のFAX番号とを記載する場合について説明したが、IDと、送信元装置のFAX番号とを記載するのは、電子メールの件名に限られない。転送する電子メールに含まれれば、電子メールの本文、添付ファイルに記載するように構成しても良い。また、IDと、送信元装置のFAX番号との両方を記載する必要もなく、いずれか一方であっても、受信したFAXデータの送信元装置に返信用データを返信できる。
【0093】
また、上述した実施形態では、図7のS707、S712の処理において、返信用データにヘッダ情報が含まれている場合には、そのヘッダ情報に自装置のヘッダ情報を上書きする場合について説明したが、上書きをせずに、既に含まれているヘッダ情報に加えて、自装置を示すヘッダ情報を追加するように構成しても良い。かかる場合には、返信用データを受信した受信先において、返信用データの経緯を推認することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 MFP(ファクシミリ装置の一例)
23 NCU(ファックス受信手段の一例)
24 モデム(ファックス受信手段の一例)
S502 ファクシミリデータ記憶手段
S504 記憶手段の一例
S506 外部情報記憶手段の一例
S507 メール送信手段の一例
S601 メール受信手段の一例
S602 識別情報判断手段の一例
S604 メール送信元確認手段の一例
S605 メール送信元確認手段の一例
S605:No 制限手段の一例
S606 添付ファイル判断手段の一例
S608 ファックス送信手段の一例
S613 コマンド判断手段の一例
S614 コマンド実行手段の一例
S703 別装置判断手段の一例
S704 送信判断手段の一例
S704 添付ファイル判断手段の一例
S705 ヘッダ情報判断手段の一例
S707 第1書換手段の一例
S712 第2書換手段の一例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メール機能を有するファクシミリ装置であって、
送信元装置から送信されるファクシミリデータを受信するファックス受信手段と、
そのファックス受信手段によって受信したファクシミリデータを他のファクシミリデータと識別する識別情報と、前記送信元装置を示す送信元情報とを対応付けて記憶部に記憶する記憶手段と、
その記憶手段によって前記記憶部に記憶される識別情報を含む電子メールを外部装置に送信するメール送信手段と、
前記外部装置を含む他の外部装置から送信される電子メールを受信するメール受信手段と、
そのメール受信手段によって受信した電子メールに前記識別情報が含まれるかを判断する識別情報判断手段と、
その識別情報判断手段によって前記識別情報が含まれると判断された場合、その識別情報に対応付けて前記記憶部に記憶されている前記送信元情報が示す送信元装置に対し、前記メール受信手段によって受信した電子メールに含まれる送信用データをファクシミリ送信するファックス送信手段とを備えていることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
前記メール送信手段によって電子メールを送信した前記外部装置を示す外部情報を前記識別情報または前記送信元情報に対応付けて前記記憶部に記憶する外部情報記憶手段と、
前記メール受信手段によって受信した電子メールに含まれる前記識別情報から特定される前記外部情報記憶手段によって前記記憶部に記憶された外部情報が、前記メール受信手段によって受信した電子メールに含まれるかを判断するメール送信元確認手段と、
そのメール送信元確認手段によって含まれないと判断された場合、前記ファックス送信手段による前記送信用データの送信を制限する制限手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記メール送信手段によって送信する電子メールには、前記ファックス受信手段によって受信した前記ファクシミリデータが含まれ、
前記ファックス受信手段によって受信したファクシミリデータを前記識別情報または前記送信元情報に対応付けて前記記憶部に記憶するファクシミリデータ記憶手段と、
そのファクシミリデータ記憶手段によって前記記憶部に記憶されているファクシミリデータに付加されているヘッダ情報が、前記メール受信手段によって受信した電子メールに含まれる前記送信用データに含まれるかを判断するヘッダ情報判断手段と、
そのヘッダ情報判断手段によって含まれると判断された場合、前記送信用データに含まれるヘッダ情報を、自装置を示すヘッダ情報に書換える第1書換手段とを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記ファックス受信手段によって受信したファクシミリデータを前記識別情報または前記送信元情報に対応付けて前記記憶部に記憶するファクシミリデータ記憶手段と、
前記識別情報判断手段によって前記識別情報が含まれると判断された電子メールに、所定動作の実行を指示するコマンドが含まれるかを判断するコマンド判断手段と、
そのコマンド判断手段によって前記コマンドが含まれると判断された場合、そのコマンドは、前記電子メールに含まれる識別情報に対応付けて前記記憶部に記憶されているファクシミリデータに対する指示として、前記コマンドを実行するコマンド実行手段とを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記ファックス受信手段によって受信したファクシミリデータを前記識別情報または前記送信元情報に対応付けて前記記憶部に記憶するファクシミリデータ記憶手段と、
前記識別情報判断手段によって前記識別情報が含まれると判断された電子メールに、前記送信元装置とは別のファクシミリ装置を示す別装置情報が含まれるかを判断する別装置判断手段とを備え、
前記ファックス送信手段は、前記別装置判断手段によって前記別装置情報が含まれると判断された場合、その別装置情報が示す前記別のファクシミリ装置に対し、前記送信用データを送信することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のファクシミリ装置。
【請求項6】
前記別装置判断手段によって前記別装置情報が含まれると判断された場合、その別装置情報が示す前記別のファクシミリ装置に対し、前記送信用データを送信するか、または、前記記憶部に記憶されているファクシミリデータを転送用データとして送信するかを判断する送信判断手段を備え、
前記ファックス送信手段は、前記送信判断手段によって前記転送用データを送信すると判断された場合、前記転送用データを前記別のファクシミリ装置に送信することを特徴とする請求項5に記載のファクシミリ装置。
【請求項7】
前記ファックス送信手段は、前記送信判断手段によって前記転送用データを送信すると判断された場合、前記転送用データに付加されているヘッダ情報を、自装置を示すヘッダ情報に書換える第2書換手段を備えていることを特徴とする請求項6に記載のファクシミリ装置。
【請求項8】
前記メール受信手段によって受信した電子メールに、添付ファイルが含まれるかを判断する添付ファイル判断手段を備え、
前記送信判断手段は、前記添付ファイル判断手段によって前記添付ファイルが含まれると判断された場合は前記送信用データ、前記添付ファイルが含まれないと判断された場合は前記転送用データを、前記別のファクシミリ装置に送信すると判断することを特徴とする請求項6又は7に記載のファクシミリ装置。
【請求項9】
前記メール受信手段によって受信した電子メールに、添付ファイルが含まれるかを判断する添付ファイル判断手段を備え、
前記ファックス送信手段は、前記添付ファイル判断手段によって前記添付ファイルが含まれると判断された場合に、その添付ファイルを前記電子メールに含まれる前記送信用データとして送信することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−213002(P2012−213002A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77002(P2011−77002)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】