説明

ファクシミリ装置

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は、無線電話装置に接続して使用するファクシミリ装置に関する。
[従来の技術]
近年、自動車電話装置にファクシミリ装置を接続して、自動車電話を使用したファクシミリ通信がよく行なわれている。
自動車電話装置は、無線装置とハンドセットとで構成されるが、ファクシミリ装置を接続する場合、従来は、例えば、特開昭64−49468号公報に見られるように、無線装置とハンドセットとの間にインタフェース装置を取り付けて、そのインタフェース装置にファクシミリ装置を接続するようにしていた。
この場合、無線装置とハンドセット間を接続する接続ケーブルのコネクタ接続を外し、別の接続ケーブルを追加あるいは交換して、インタフェース装置やファクシミリ装置の所定の接続を行なっていた。
ところで、一般に、ハンドセットは車内のフロントシートの近辺に配置され、無線装置はトランク内など離れた場所に配置されている。
[発明が解決しようとする課題]
従って、ファクシミリ装置を自動車電話装置に取り付けたり取り外したりする場合、トランクを開閉したり車内のケーブル配線を交換あるいは追加したりしなければならないため、その作業に手間がかかるという問題があった。
本発明は、上記の問題を解決し、自動車電話装置に対して付け外しが容易なファクシミリ装置を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段]
このために本発明は、ハンドセットに備えられたマイク付ヘッドホン接続用の接続器を利用するもので、無線電話装置の送受信信号の信号線を上記接続器を介してファクシミリ装置側に接続すると共にマイク付ヘッドホンを接続し、上記信号線を介してファクシミリ信号を送受信してファクシミリ通信を実行する状態と、上記信号線を介してマイク付ヘッドホンの音声信号を送受信する通話状態とを切り換えるようにしたことを特徴としている。
[作用]
ハンドセットに備えられた接続器とファクシミリ装置とを接続するだけで、無線電話装置に対してファクシミリ装置を取り付けることができるので、ファクシミリ装置の付け外し作業が容易になる。また、ファクシミリ通信を実行してないときには、上記信号線をマイク付ヘッドホン側に切換接続するので、従来どおりヘッドホンで通話を行なうことができる。
[実施例]
以下、本発明を自動車電話装置に適用した場合を例にとって、その実施例を添付図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものでないことは言う迄もない。
第1図は、本発明の一実施例に係る車載通信システムの装置構成図を示したものである。図においてハンドセット1は、発着信操作および通話に使用するもので、図示せぬ自動車電話用無線装置に接続されている。このハンドセット1には、一面に受話器11と送話器12とが形成され、その背面には、作動状態を表示する表示器13、ダイヤルキー14、通話開始時に操作する開始キー15および通話終了時に操作する終了キー16が配設されている。
また、その端部側面から自動車電話用無線装置に接続するケーブル17が引き出されると共に、その面にヘッドホンジャック18が配設されている。
ヘッドホン2は、ハンドセット1を手に持たないで通話するためのもので、マイク21とスピーカ22とを備え、その接続コード23の先端にプラグ24が取り付けられている。
ファクシミリ装置3には、ハンドセットジャック301とヘッドホンジャック302とが配設されている。接続コード4は、両端にプラグ41が取り付けられ、ハンドセット1とファクシミリ装置3とを接続するためのものである。
第2図は、ファクシミリ装置3の回路構成図を示したものである。図において、スキャナ303は原稿画像を読み取るもので、プロッタ304は、画像を記録するものである。符号化復合化部305は、送信する画情報を符号化すると共に受信した画情報を復号化するものである。
モデム306は、ファクシミリ信号を送受信するもので、操作表示部307は装置の動作状態を表示する一方、オペレータが各種操作を行なうものである。システム制御部308は、この装置内各部を制御するものである。
ハンドセットジャック301の端子301aはアース端子であり、この装置のアースラインに接続されている。端子301bは、ハンドセット1側からの音声信号が取り出される端子であり、309のコモン端子c1に接続されている。また、端子301cは、ハンドセット1側に音声信号を送出する端子であり、リレー309のコモン端子c2に接続されている。さらに端子301dは、プラグ41が挿入されたとき、端子301aと導通する端子であり、システム制御部308に接続されている。
リレー309のブレーク接点a1はヘッドホンジャック302の端子302aに接続され、ブレーク接点a2は端子302bに接続されている。端子302aは、ヘッドホンジャック302にプラグ24が挿入されたとき、スピーカ22に接続される端子であり、端子302bはマイク21に接続される端子である。また、端子302cはアース端子であり、装置のアースラインに接続されている。
リレー309のメーク接点b1は、インピーダンス整合用のトランス310の一方の巻線の一端に接続され、その他端はアースラインに接続されている。トランス310の他方の巻線の一端はアースされ、他端は増幅回路311の入力に接続されている。その増幅回路311の出力信号はモデム306に入力されている。
モデム306の送信信号は、減衰器312に入力され、その出力端子はインピーダンス整合用のトランス313の一方の巻線の一端に接続され、その他端はアースラインに接続されている。他方の巻線の一端はリレー309のメーク接点b2に接続され、他端はアースラインに接続されている。
リレー309の巻線の一端は電源+Vに接続され、他端はシステム制御部308に接続されている。
以上の構成で、本実施例の車載通信システムでは、ファクシミリ装置3は、必要なときに任意に接続するようにしている。
ファクシミリ装置3が必要ない場合には、ファクシミリ装置3を接続しないで、従来どおり自動車電話装置を使用する。すなわち、発信の際には、オペレータは、まず開始キー15を押下し、発信の場合にはダイヤルキー14でダイヤルして、相手先が応答すると、ハンドセット1を手に取って通話する。また、着信の際には、開始キー15を押下して直ちにハンドセット1を手に取って通話する。
また、ヘッドホン2を使用する場合には、予めヘッドホン2のプラグ24をハンドセット1のヘッドホンジャック18に挿入すると共に、ヘッドホン2を頭に装着しておく。これにより、ハンドセット1を手に取らないで通話することができる。
次に、ファクシミリ装置3を使用する場合には、接続コード4両端のプラグ41をハンドセット1のヘッドホンジャック18とファクシミリ装置3のハンドセットジャック301とに挿入して、両者を接続する一方、ヘッドホンジャック302にプラグ24を挿入してヘッドホン2を接続する。
ファクシミリ装置3は、作動してない状態では、リレー309の可動接点はブレーク接点a1,a2側に接続されている。従って、ハンドセット1からの音声信号はスピーカ22に出力され、マイク21からの音声信号はハンドセット1に入力される。これにより、ヘッドホン2をハンドセット1に直結した前記の場合と同様に、自動車電話装置を使用することができる。
次に、ファクシミリ通信を行なう場合、オペレータは、相手先との通話状態において、操作表示部307に配設されている図示せぬスタートボタンを押下する。
ファクシミリ装置3は、第3図に示すように、常時スタートボタンの操作を監視している(処理1001のNのループ)。そして、スタートボタンが押下されると(処理1001のY)、ハンドセット1が接続されているかどうか判別する。すなわち、ファクシミリ装置3にハンドセット1が接続されている場合には、ハンドセットジャック301にプラグ41が挿入されているので、端子301dのラインはアース電位になる。ファクシミリ装置は、端子301dのライン状態により、ハンドセット1が接続されているかどうか判別する(処理1002)。
そして、ハンドセット1が接続されている場合(処理1002のY)、リレー309の可動接点をb側に切換接続する(処理1003)。なお、ここでハンドセット1が接続されてない場合には(処理1002のN)、作動しないようにしている(処理1001へ)。
これにより、モデム306からの送信信号は、減衰器312,トランス313,リレー309,ハンドセットジャック301および接続コード4を介してハンドセット1側に出力され、ハンドセット1側からの受信信号は、その逆ルートでモデム306に入力される。ファクシミリ装置は、この状態で所定のファクシミリ通信を実行する(処理1004)。
そして、ファクシミリ通信が終了すると、リレー309の可動接点をa側に切換接続して(処理1005)、動作を終了する。
以上のように、本実施例では、ファクシミリ装置3は、ハンドセット1のヘッドホンジャック18を介してファクシミリ信号を送受信することにより、自動車電話装置でファクシミリ通信するようにしている。これにより、自動車電話装置に対してファクシミリ装置3を接続したり取り外したりする着脱作業が非常に簡単になる。
また、プラグ41がハンドセットジャック301に挿入されているかどうかによりハンドセット1とファクシミリ装置3の接続状態を判別して、接続されてない場合には、スタートボタンの操作を無効にしている。これにより、その接続が行なわれたときに、オペレータが誤って起動操作してもファクシミリ装置は作動しないので、無駄な動作を防止することができる。
なお、以上の実施例において、ファクシミリ装置3に、さらに通常の電話回線など、他の回線接続用のインタフェース部を備えるようにしてもよい。その場合、ファクシミリ装置3を自動車電話装置に対して着脱する必要性が高くなるので、本発明を適用することにより、ファクシミリ装置をさらに便利に使用することができるようになる。
また、ハンドセット1とヘッドホン2とはジャックとプラグとで接続する例を示したが、端子やコネクタなど他の接続器でもよいことは言うまでもない。
[発明の効果]
以上のように、本発明によれば、無線電話装置の送受信信号の信号線をハンドセットに備えられたマイク付ヘッドホン接続用の接続器を介してファクシミリ装置側に接続すると共にマイク付ヘッドホンを接続し、その信号線を介してファクシミリ信号を送受信してファクシミリ通信を実行する状態と、その信号線を介してマイク付ヘッドホンの音声信号を送受信する通話状態とを切り換えるようにしたので、無線電話装置へのファクシミリ装置の付け外し作業が容易になると共に、ファクシミリ通信を実行してないときには、マイク付ヘッドホンにより、従来どおり通話を行なうことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係る車載通信システムの装置構成図、第2図はファクシミリ装置の回路構成図、第3図3図はファクシミリ装置の動作フローチャートである。
1……ハンドセット、2……ヘッドホン、3……ファクシミリ装置、4……接続コード、11……受話器、12……送話器、13……表示器、14……ダイヤルキー、15……開始キー、16……終了キー、18,302……ヘッドホンジャック、21……マイク、22……スピーカ、24,41……プラグ、301……ハンドセットジャック、303……スキャナ、304……プロッタ、305……符号化復号化部、306……モデム、307……操作表示部、308……システム制御部、309……リレー、310,313……トランス、311……増幅回路、312……減衰器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】ハンドセットにマイク付ヘッドホン接続用の接続器を備えている無線電話装置に接続するファクシミリ装置において、上記接続器を介して無線電話装置の送受信信号の信号線をファクシミリ装置側に接続する信号接続手段と、上記信号線を介してファクシミリ信号を送受信してファクシミリ通信を実行するファクシミリ通信手段と、マイク付ヘッドホンを接続する接続手段と、上記信号線を介して上記マイク付ヘッドホンの音声信号を送受信して通話状態にする通話手段と、上記ファクシミリ通信状態と通話状態との切り換えを行なう通信切換手段とを備えていることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】上記信号接続手段では付け外し自在の接続コードにより信号線の接続を行なう一方、その信号線の接続状態を判別する手段と、その信号線が接続されている場合のみファクシミリ装置の通信開始操作を有効にする手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載のファクシミリ装置。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【特許番号】第2786501号
【登録日】平成10年(1998)5月29日
【発行日】平成10年(1998)8月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−25117
【出願日】平成2年(1990)2月6日
【公開番号】特開平3−230662
【公開日】平成3年(1991)10月14日
【審査請求日】平成8年(1996)11月13日
【出願人】(999999999)株式会社リコー