説明

ファスナー部材及びその装着器具

【課題】 従来のファスナー部材には、単なる連接作用があるのみで、商品を管理するための情報データを有するICチップは必要において、別途に装着しなければならず、作業が煩わしく、時間や労力を費やしてしまうものであり、そのICチップとファスナー部材とを使い勝手よく、また、損傷の虞なく一体化させたものは存在していなかったという点である。
【解決手段】 硬質材によって成形された基材を有し、その基材に一体的にフィラメント部を連結し、そのフィラメント部の先端に対象物を連結可能とした硬質材によって成形された連結部を有するファスナー部材において、前記した基材もしくは連結部にICチップを搭載してあることとし、前記した基材はT字バーとし、連結部にはタグを一体的に連結する構成としてICチップは連結部に搭載してあることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は魚介類や食肉、野菜、果実等の生鮮食品のほか、衣服等のアパレル製品や日用品、雑貨品を対象として、そこにブランドタグや商品の品質、価格を表示したタグを装着あるいは複数の対象物を連結してまとめたり、結束する目的で使用されるファスナー部材及び、そのファスナー部材がアッセンブリとして製造された場合、順次単一品を対象物に装着していく装着器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した目的のため、多様な構成をしたタグの装着部材やバンド部材が、種々の素材を用いて成形され提供されている。このファスナー部材が装着された商品は生産地あるいは製造工場から流通経路を経て需要者に供されるが、その際、その商品を管理するための電子タグ、多くは非接触式として内容を読み取り確認できるデータが書き込まれたICチップを利用するが、そのICチップの搭載はフィラメント部材と別途に作業を行う必要があり、作業に時間と労力を要することとなり、効率が悪いものとなっていた。
【0003】
ここで、特許文献9として示すアメリカ合衆国特許には、フィラメントの一端に表示部を有するパドルを一体に備え、他端に対象物に係止するためのT字バーを一体に備えた部材が示され、そのうちT字バー部分にチップを埋設した構成が示されている。しかし、この構成にあって示されるファスナー部材はT字バーの外側に切離可能な短寸の連結棒が設けられ、ランナーバーに複数個が並列されたアッセンブリとして製作されるもので、対象物に装着する場合、スリットを形成したニードルを刺し込み、ピストンでこのT字バーを対象物の向こう側へ押し出す。この際に短寸の連結棒はカッターで切断され、フィラメントはニードルのスリットから逃がされる。
【0004】
かかる作業を行うため、T字バーはニードルを通過する際に強制的に変形され、チップも歪められることとなり、また、このT字バーは極細のもので、チップを埋設する工程は非常に困難であって、現実として実用的なものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2009−144161号出願書類
【特許文献2】特願2010−109930号出願書類
【特許文献3】特許第3547324号公報
【特許文献4】特許第3628144号公報
【特許文献5】特願2007−134019号公報
【特許文献6】特願2008−271653号公報
【特許文献7】特許第3953163号公報
【特許文献8】特許第3976451号公報
【特許文献9】アメリカ合衆国特許第5631631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする問題点は、従来のファスナー部材には、単なる連接作用があるのみで、商品を管理するための情報データを有するICチップは必要において、別途に装着しなければならず、作業が煩わしく、時間や労力を費やしてしまうものであり、そのICチップとファスナー部材とを使い勝手よく、また、損傷の虞なく一体化させたものは存在していなかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した問題点を解決するために、本発明に係るファスナー部材は、硬質材によって成形された基材を有し、その基材に一体的にフィラメント部を連結し、そのフィラメント部の先端に対象物を連結可能とした硬質材によって成形された連結部を有するファスナー部材において、前記した基材もしくは連結部にICチップを搭載してあることを特徴とし、前記した基材はT字バーとし、連結部にはタグを一体的に連結する構成としてICチップは連結部に搭載してあることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係るファスナー部材は、前記した基材は挿通孔を形成した受部とし、前記した連結部は前記挿通孔に挿し込み固定される挿し込み部とし、フィラメント部は挿し込み部方向に向かって徐々に径を小さくする円錐体を連続したものとし、そのフィラメント部でループを形成し、前記した受部の一部にタグの基端を取り付け固定する取り付け部を設けてあることを特徴とし、前記した基材は挿通孔を形成した受部とし、前記した連結部は前記挿通孔に挿し込み固定される挿し込み部とし、フィラメント部はプラスチックもしくはナイロン製、または金属製の線状体とし、そのフィラメント部でループを形成するものであることを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明に係るファスナー部材は、前記した基材は挿通孔を形成した受部とし、前記した連結部は前記挿通孔に挿し込み固定される挿し込み部とし、フィラメント部は繊維の撚糸とし、そのフィラメント部でループを形成するものであることを特徴とし、前記した基材は挿通孔を形成した受部とし、前記した連結部は前記挿通孔に挿し込み固定される挿し込み部とし、フィラメント部はエラストマーとし、そのフィラメント部でループを形成するものであることを特徴としている。
【0010】
そして、本発明に係るファスナー部材は、前記した基材は挿通孔を形成した受部とし、前記した連結部は前記した挿通孔に挿し込み固定される挿し込み部とし、フィラメント部はフレキシブルなチェーン状のものとし、そのフィラメント部でループを形成するものであることを特徴とし、前記したフィラメント部にICチップと対応するアンテナ部材を埋設あるいは撚り込み、もしくは絡め付けしてあることを特徴とし、前記した基材はフィラメント部の略中央に挿通孔を形成した受部を配し、その受部にICチップを搭載し、前記した連結部はフィラメント部の両端に備えられた挿し込み部とし、その各々の挿し込み部によって二つのループを形成されるものとし、前記した受部内におけるフィラメント部はICチップ位置を囲むように配されたアンテナ部材としてあることを特徴とし、前記した基材はT字バーとし、前記した連結部はフィラメント部の一端に固着されたタグとし、そのタグにICチップを搭載するとともに、そのICチップを囲むようにアンテナ部材を配してあることを特徴としている。
【0011】
また、アッセンブリとしたファスナー部材を対象物に装着するための装着器具は、硬質材によって成形された基材を有し、その基材に一体的にフィラメント部を連結し、そのフィラメント部の先端に対象物を連結可能とした硬質材によって成形された連結部を有し、前記した基材もしくは連結部にICチップを搭載したファスナー部材をランナー部材に切離可能に一定ピッチで並列したアッセンブリとし、そのアッセンブリを装着し、順次、単一のファスナー部材を目的物に装着する装着器具であって、そのカバーケーシングの一部に前記ICチップと対応するリーダーライターを設けてあることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るファスナー部材及びその装着器具は上記のように構成されている。そのため、ファスナー部材の装着作業のみで、商品管理のためのICチップも同時に商品に付設されることとなり、複数に亘る装着作業の手間が省けることとなる。そして、ICチップはファスナー部材の硬質部に装備されるため、変形や衝撃に対しても強く、損傷してしまうこともない。また、ICチップには無線の送受信のためのアンテナが付設されているが、ファイバー部にアンテナ用として導電材を付加することで、その送受信状態をアップさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一実施例を示す図である。
【図2】使用状態を示す図である。
【図3】第二実施例を示す図である。
【図4】側面図である。
【図5】使用されるタグの図である。
【図6】第三実施例を示す図である。
【図7】変形例である。
【図8】第四実施例を示す図である。
【図9】変形例である。
【図10】第五実施例を示す図である。
【図11】アッセンブリ状態を示す図である。
【図12】フィラメント部に糸を使用したアッセンブリを示す図である。
【図13】側面図である。
【図14】装着器具を示す図である。
【図15】タグを連結したファスナー部材を示す図である。
【図16】フィラメント部の中央に受部を配したファスナー部材を示す図である。
【図17】タグにICチップとアンテナ部材を搭載したファスナー部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0015】
次に、本発明の第一実施例を図1及び図2を参照して説明する。図中4はプラスチックで成形された線状のフィラメント部を示している。このフィラメント部4の一端には対象物への係止用のT字バー3が一体的に設けられている。尚、このT字バー3はその外面で短寸のピン状連結材によって図示しないランナーバーに接続され、複数のものが一定間隔を隔てて集合されたアッセンブリとされている。
【0016】
フィラメント部3の他端にはブランドタグ5の連結部6が一体的に形成されている。この連結部6はアッセンブリ状態でブランドタグ5も装備された状態となり、これが嵩張って大きなスペースをとらないようにT字バー3もしくはランナーバーの軸芯に対し、略45度となるように強制する偏平六角形となっており、そのブランドタグ5の挟持部スリットを前記角度で形成してある。
【0017】
この連結部6は硬質なプラスチックで成形されており、その一部に対象となる商品(この実施例にあっては生きた状態の魚)のデータ、即ちDNA、水揚地、その他の管理データが入力されたICチップCが搭載されている。この搭載は埋設のほか、貼着して表面をコーティングする等種々の方法が用いられ、連結部6に直接プリントすることも可能である。
【0018】
また、前記したフィラメント部4には導電性のアンテナ部材Aが埋設され、ICチップCの通信機能を補助するものとしている。このアンテナ部材Aの埋設やICチップCの搭載は、このファスナー部材のアッセンブリを製作する際に工程として組み込まれるものとされている。
【0019】
このブランドタグ5と一体的に備えたファスナー部材のアッセンブリはランナーバーを装着器具8に装填することで、一本づつ対象物に装着される。装着器具8にはスリットを形成したニードルが備えられ、このニードルを対象物(この場合、魚の背ビレの基端筋肉)へ突き刺し、ピストン部材でT字バー3を押すことで装着される。この際フィラメント部4はニードルのスリットによって逃がされる。そして、この装着器具8の一部にICチップCのデータを書き込み、あるいは読み取るリーダー、ライターRWを装着しておくと、作業がより一層スムーズに実行できる。
【実施例2】
【0020】
次に、図3乃至図5を用いて第二実施例を説明する。この図3乃至図5にあって1は本実施例におけるフィラメント部を示しており、このフィラメント部1の一端には挿通孔7を形成した受部13が一体に備えられており、他端には前記挿通孔7に挿し込まれ、フィラメント部1によってループを形成する挿し込み部2が一体的に形成されている。この挿し込み部2と受部13は少なくとも硬質のプラスチックで成形されている。
【0021】
フィラメント部1は挿し込み部2方向に向かって徐々に径を小さくする円錐体14、14‥が連続して形成されているもので、挿し込み部2を挿通孔7へ挿し込み、引き絞ることで、フィラメント部1によるループ径を自在に調整でき、その戻りを防止する係止部となる。挿し込み部2の先端15は180度位置で対向する一対のスリットが形成され、そのスリットによって先端15の径の収縮が図れ、挿通孔7への挿し込みを行ない易くしている。
【0022】
前記した受部13の外側面にはICチップCが搭載されており、この搭載方法は前記と同様である。また、この受部13の前端面には、その前端面に対して略45度の角度でタグ16の取り付け部12が一体に形成されている。タグ16は基端に取り付け用の舌片141が一体に形成され、その舌片141にはピンホール151が穿設されているもので、このピンホール151に取り付け部12の成形素材を通すことで一体化を図り、タグ16の抜け止めが図られている。
【実施例3】
【0023】
次に、図6、図7を参照して第三実施例を説明する。図中10は第三実施例に係るファスナー部材を示しており、11はプラスチックで成形された線状のフィラメント部を示している。このフィラメント部11の一端には、内面に係止部12aを形成した挿通孔7aを有する受部13aが設けられている。この受部13aとフィラメント部11の連結はフィラメント部11の端部に設けられた芯玉20で係合されるものとなっており、この場合の芯玉20は第一の芯玉20a及び第二の芯玉20bとより構成されている。この受部13aの一部にICチップCが搭載されており、この搭載方法は前記と同様である。
【0024】
一方、フィラメント11の他端には、受部13aの挿通孔7aへ挿し込まれ、係止部12aと係合し、ロックされる挿し込み部2aが設けられている。この挿し込み部2aには指先での摘み部2bが設けられ、その摘み部2bの外方に実際に挿通孔7aへ挿し込まれる挿し入れ部2cが形成されているもので、フィラメント部11は摘み部2bを貫通し、挿し入れ部2cまで到達している。この挿し入れ部2cの外方には下端に前記係止部12aと係合する係合部2dを拡開させたキャップカバー2eが取り付けられている。
【0025】
また、図7は変形例であり、受部13aの挿通孔7bはフィラメント部11の軸芯方向と直線上となる、受部13aの後端面に開口されている。フィラメント部11は撚糸が用いられその一端が受部13aの前面に深く嵌入され接着剤で止着されることで一体化が図られ、この受部13aの一部には前記と同様の方法によってICチップCが搭載されている。フィラメント部11によってループを形成することは前記と同様である。尚、アンテナ部材Aはこの場合、フィラメント部11に撚り込むこともできる。
【実施例4】
【0026】
次に、図8、図9を参照して第四実施例を説明する。この第四実施例はフィラメント部111としてエラストマーを用いた例である。このフィラメント部111の一端には後端面を開口した挿通孔を形成した受部13bが一体に設けられているもので、この受部13bの一部にICチップCが前記と同様の方法で搭載されている。受部13bには後述する挿し込み部2fの嵌装状態が視認できる窓孔18が形成され、その窓孔18内で係止部12bが形成されている。
【0027】
一方、フィラメント部111の他端には、前記受部13bの挿通孔に嵌合されて、フィラメント部111でループを形成する挿し込み部2fが一体に備えられている。この挿し込み部2fには受部13bの挿通孔の開口縁と密に当接するストッパ段差2gを形成し、その先方に先端面を球面状とし、基端に係合段差2iを形成した先端部2hを形成したものとなっている。
【0028】
この形態のファスナー部材は、図9として示すように、受部13bと挿し込み部2fを予め形成し、その基部に各々設けられたインサート部19、19により、フィラメント部111と一体化することができる。
【実施例5】
【0029】
次に、図10を参照して本発明の第五実施例を説明する。この実施例としてフィラメント部112はプラスチック製のチェーン部材が用いられている。このフィラメント部112の一端は連結桿200の先端に設けられたリング21と連結され、前記連結桿200の端部には挿通孔22を形成した受部23が一体に連結されている。そして、この受部23の一部に前記したと同様の方法でICチップCが搭載されている。
【0030】
一方、フィラメント部112の他端には挿し込み部24がリング25を介して連結されているもので、挿し込み部24の挿入部24aを挿通孔22に挿し込むことでフィラメント部112はループを形成することとなり、挿入部24aに形成されたくびれが挿通孔22の内壁面に形成された係止部と係合してロック状態とされる。
【実施例6】
【0031】
続いて図11を参照して第六実施例を説明する。この図11は複数のファスナー部材のアッセンブリABを示している。単体としてのファスナー部材はフィラメント部113として糸を用いてある。このフィラメント部113の一端には対象物を通過して抜け止めを図るT字バー26が一体に備えられている。また、このT字バー26はその外端で短寸の連結ピン27を介してランナーバー28と連接されている。このランナーバー28を装着器具に装填し、順次一本づつファスナー部材を対象物に装着していくこととなる。その際に、連結ピン27は装着器具に設けられているカッターで切断され、ファスナー部材はランナーバー28から切離される。
【0032】
一方、フィラメント部113の他端には、フィラメント部113がピンホールに挿通されて吊持するタグの抜け止め用のパドル部29が一体に備えられている。このパドル部29はランナーバー28と同様の硬質のプラスチックで成形されており、このパドル部29の一部に前記したと同様の方法でICチップCが搭載されている。尚、アッセンブリABの状態で、このパドル部29がバラけることのないように、各パドル部29、29‥間は短寸の連結ピン30によって連結されている。対象物への装着時にはこの連結ピン30も切離されることは勿論である。
【実施例7】
【0033】
次に、図12、図13及び図14を参照して本発明の第七実施例を説明する。この場合もフィラメント部113aとして糸を用いたファスナー部材のアッセンブリABを示している。この場合、フィラメント部113aの一端に挿通孔7cを形成して受部13cを備え、他端には前記した挿通孔7cに挿し込まれてフィラメント部113aでループを形成する挿し込み部2jが備えられている。また、前記した受部13c及び挿し込み部2jはその外面で短寸の連結ピン27、27‥によって各々ランナーバー28b、28aと一体に連結されている。この場合、受部13cの一部に前記したと同様の方法でICチップCが搭載されている。
【0034】
このアッセンブリABは図14として示す専用の装着器具8aによって対象物に装着される。この装着器具8aの一部には前記と同様にICチップCと対応するリーダーライターRWが搭載されている。この装着器具8aは受部13cと挿し込み部2jに各々対応する送り路が設けられ、レバーの操作で一本づつを送り込み、両者を合わせ嵌め合わせることで目的となるループを作成することができる。この装着器具8aには前記した各々のランナーバー28a、28bを各々送り状態でセットすることとなる。
【実施例8】
【0035】
次に、図15を参照して本発明の第八実施例を説明する。この場合のフィラメント部113bは糸が使用されており、そのフィラメント部113bの略中央でU字状に屈曲され、その屈曲部分はプラスチック製の固定部材32で位置決めされている。勿論、このフィラメント部113bは一本のものではなく、二本をこの固定部材32で連結するものとしてもよい。
【0036】
このフィラメント部113bは一端には挿通孔7dを形成した受部13dが備えられ、この受部13dに前記したと同様の方法でICチップCが搭載されている。また、フィラメント部113bの他端には前記した挿通孔7dに挿入され、フィラメント部113bでループを形成することのできる挿し込み部2kが備えられている。さらに、この挿し込み部2k及び受部13dの基端には各々ボール状の連結部31a、31bが備えられ、使用前の状態で、この連結部31a、31bはポイント接合されており、フィラメント部113bがバラけることのないよう一体化してある。
【0037】
さらに、前記した固定部材32の外端には予めタグ5aが一体的に固定されたものとなっており、フィラメント部113bでループを形成して対象物に装着することで、その対象物にタグ5aを装備させることができるものとなっている。
【実施例9】
【0038】
次に、図16を参照して第九の実施例を説明する。この場合、フィラメント部114の両端に硬質材による挿し込み部2l、2lが設けられている。また、このフィラメント部114の略中央にはフィラメント部114と平行方向に両端面に挿通孔が形成されており、その挿通孔に各々の挿し込み部2l、2lを挿し込み固定することで、二つのループを形成することを可能としている。
【0039】
また、受部13eの側面略中央には前記したと同様の方法によりICチップCが搭載されている。そして、前記受部13e内にあってフィラメント部114は金属成分を有するアンテナ部材Aとなっており、そのアンテナ部材AはICチップCの位置を囲むように屈曲させて形成されている。
【実施例10】
【0040】
次いで、図17を参照して第十の実施例を説明する。この第十実施例は第一実施例を変形させたもので、連結部6は格別に角度を強制するものとする必要もない。フィラメント部4の一端にT字バー3を備え、他端に連結部6を備えており、この連結部6にはタグ5aが一体的に固定されている。ここでタグ5aは硬質材によるものを想定しており、その一部に前記したと同様の方法でICチップCが搭載されている。
【0041】
また、Aはアンテナ部材を示しており、この実施例の場合、このアンテナ部材Aが略U字状の長尺のものが用いられ、その中央部分となる屈曲部分でICチップCを囲むように構成してある。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係るファスナー部材は上記のように構成されている。実施例1としてアンテナ部材Aをフィラメント部4に埋設する構成を示したが、このアンテナ部材Aはフィラメント部が糸を用いた場合には細線のものとして撚り込むこともできるし、また、他の構成の場合、絡め付けたり、巻き付けたりする構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 フィラメント部
2 挿し込み部
2a 挿し込み部
2b 摘み部
2c 挿入部
2d 係合部
2e キャップカバー
2f 挿し込み部
2g ストッパ段差
2h 先端部
2i 係合段差
2j 挿し込み部
2k 挿し込み部
2l 挿し込み部
3 T字バー
4 フィラメント部
5 ブランドタグ
5a タグ
6 連結部
7 挿通孔
7a 挿通孔
7b 挿通孔
7c 挿通孔
7d 挿通孔
8 装着器具
10 ファスナー部材
11 フィラメント部
12 取り付け部
12a 係止部
12b 係止部
13 受部
13a 受部
13b 受部
13c 受部
13d 受部
13e 受部
14 円錐体
15 先端
18 窓孔
19 インサート部
20 芯玉
21 リング
22 挿通孔
23 受部
24 挿し込み部
25 リング
26 T字バー
27 連結ピン
28 ランナーバー
28a ランナーバー
28b ランナーバー
29 パドル部
30 連結ピン
31a 連結部
31b 連結部
32 固定部材
111 フィラメント部
112 フィラメント部
113 フィラメント部
113a フィラメント部
113b フィラメント部
114 フィラメント部
141 舌片
151 ピンホール
200 連結桿
A アンテナ部材
AB アッセンブリ
C ICチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質材によって成形された基材を有し、その基材に一体的にフィラメント部を連結し、そのフィラメント部の先端に対象物を連結可能とした硬質材によって成形された連結部を有するファスナー部材において、前記した基材もしくは連結部にICチップを搭載してあることを特徴とするファスナー部材。
【請求項2】
前記した基材はT字バーとし、連結部にはタグを一体的に連結する構成としてICチップは連結部に搭載してあることを特徴とする請求項1に記載のファスナー部材。
【請求項3】
前記した基材は挿通孔を形成した受部とし、前記した連結部は前記挿通孔に挿し込み固定される挿し込み部とし、フィラメント部は挿し込み部方向に向かって徐々に径を小さくする円錐体を連続したものとし、そのフィラメント部でループを形成し、前記した受部の一部にタグの基端を取り付け固定する取り付け部を設けてあることを特徴とする請求項1に記載のファスナー部材。
【請求項4】
前記した基材は挿通孔を形成した受部とし、前記した連結部は前記挿通孔に挿し込み固定される挿し込み部とし、フィラメント部はプラスチックもしくはナイロン製、または金属製の線状体とし、そのフィラメント部でループを形成するものであることを特徴とする請求項1に記載のファスナー部材。
【請求項5】
前記した基材は挿通孔を形成した受部とし、前記した連結部は前記挿通孔に挿し込み固定される挿し込み部とし、フィラメント部は繊維の撚糸とし、そのフィラメント部でループを形成するものであることを特徴とする請求項1に記載のファスナー部材。
【請求項6】
前記した基材は挿通孔を形成した受部とし、前記した連結部は前記挿通孔に挿し込み固定される挿し込み部とし、フィラメント部はエラストマーとし、そのフィラメント部でループを形成するものであることを特徴とする請求項1に記載のファスナー部材。
【請求項7】
前記した基材は挿通孔を形成した受部とし、前記した連結部は前記した挿通孔に挿し込み固定される挿し込み部とし、フィラメント部はフレキシブルなチェーン状のものとし、そのフィラメント部でループを形成するものであることを特徴とする請求項1に記載のファスナー部材。
【請求項8】
前記した基材はフィラメント部の略中央に挿通孔を形成した受部を配し、その受部にICチップを搭載し、前記した連結部はフィラメント部の両端に備えられた挿し込み部とし、その各々の挿し込み部によって二つのループを形成されるものとし、前記した受部内におけるフィラメント部はICチップ位置を囲むように配されたアンテナ部材としてあることを特徴とする請求項1に記載のファスナー部材。
【請求項9】
前記した基材はT字バーとし、前記した連結部はフィラメント部の一端に固着されたタグとし、そのタグにICチップを搭載するとともに、そのICチップを囲むようにアンテナ部材を配してあることを特徴とする請求項1に記載のファスナー部材。
【請求項10】
前記したフィラメント部にICチップと対応するアンテナ部材を埋設あるいは撚り込み、もしくは絡め付けしてあることを特徴とする請求項1から9のうち1項に記載のファスナー部材。
【請求項11】
硬質材によって成形された基材を有し、その基材に一体的にフィラメント部を連結し、そのフィラメント部の先端に対象物を連結可能とした硬質材によって成形された連結部を有し、前記した基材もしくは連結部にICチップを搭載したファスナー部材をランナー部材に切離可能に一定ピッチで並列したアッセンブリとし、そのアッセンブリを装着し、順次、単一のファスナー部材を目的物に装着する装着器具であって、そのカバーケーシングの一部に前記ICチップと対応するリーダーライターを設けてあることを特徴とするファスナー部材の装着器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−109121(P2013−109121A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253584(P2011−253584)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000134464)株式会社トスカ (23)
【出願人】(390004156)株式会社日本バノック (7)
【Fターム(参考)】